JP2002008966A - 微細加工のシミュレーション方法 - Google Patents

微細加工のシミュレーション方法

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JP2002008966A JP2000186864A JP2000186864A JP2002008966A JP 2002008966 A JP2002008966 A JP 2002008966A JP 2000186864 A JP2000186864 A JP 2000186864A JP 2000186864 A JP2000186864 A JP 2000186864A JP 2002008966 A JP2002008966 A JP 2002008966A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 電子線リソグラフィーシミュレーションにお
ける、計算負荷が大、メモリ容量が膨大、シミュレーシ
ョン条件部分変更に対する再計算負荷が大、等の問題に
対応できる、微細加工のシミュレーション方法。 【解決手段】 シミュレーション領域を分割した全ての
分割計算領域に対して、(a)その領域を含み周辺部を
Lだけ外側に拡大させる実計算領域設定処理と、(b)
その領域を含み周辺部をM(M>L)だけ外側に拡大さ
せる対象図形領域設定処理と、(c)2次元の描画デー
タから全ての閉図形を選出する対象図形選出処理と、
(d)所定のプロセス条件に基づいて所定の形状シミュ
レーションを行い、予測形状を構築する予測形状構築処
理と、(e)予測形状から分割計算領域外の周辺領域を
削除するトリミング処理とを実行し、各分割計算領域に
対応して得られた予測形状の全てを、対応する位置に配
置し、全体予測形状を構築する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細加工形状のシ
ミュレーション方法に関し、特に、電子ビーム描画法に
よるフォトマスク製造における、微細加工のシミュレー
ション方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体素子(チップ)の高密度
化、高機能化は激しく、これに伴い、ウエハへ直接縮小
投影するためのレチクル等のフォトマスクについても、
ますます、微細で且つ精度の良いものが求められるよう
になってきた。レチクル等のフォトマスクは、通常、石
英ガラス基板等の透明基板の一面に遮光性の金属薄膜を
設けた基板(ブランクスとも言う)の金属薄膜上に塗
布、乾燥され、形成された感光性のレジスト上に、描画
装置により電離放射線を所定の領域のみに照射して潜像
を形成し、これを現像して、電離放射線の照射領域に対
応した、所望の形状のレジストパターン得た後、更に、
レジストパターンを耐エッチングレジストとして、金属
薄膜をレジストパターン形状に加工することにより得ら
れる。描画装置としては、EB描画装置、エキシマレー
ザ描画装置等が用いられ、それぞれに対応したプロセス
処理が行われている。
【0003】特に、EB描画装置を用い電子線描画を行
うフォトマスク作製プロセスにおいては、上記のよう
に、フォトマスクの高精度化が求められる中、以下のよ
うな目的で、予め、処理条件に対応したレジストの解像
性、断面形状等の情報を精確に得ることが必要になって
きて、電子線リソグラフィーシミュレーションも開発さ
れるようになってきた。尚、電子線シミュレーションの
理論自体は文献1(S. M. SZE:「VLSITec
hnology」、Second Edition、M
acGraw−Hill、1988)にみられるように
約20年前に確立しており、商用版も活用されている。 実製造前での品質把握 所望の精度および歩留まりを得るためのプロセス条件
の確立 新型レジスト材料の開発 電子線近接効果補正およびその効果の確認 電子ビーム描画装置の設計・改良
【0004】しかし、シミュレーションを行なうにあた
り膨大なメモリ空間を必要とし、最近のパソコンやワー
クステーションに実装できるメモリ容量が大きくなった
とはいうものの、実用的な描画寸法のシミュレーション
を行なうレベルには程遠い。また、最近のパソコンOS
では仮想記億をサポートし、実装メモリ以上のメモリ空
間で計算が可能であるが、現実にはパフオーマンスが極
端に低下し、ただでさい計算負荷が大きい処理であるの
に一層の処理時問の肥大化を招く。これに対し、本願発
明者らは、先の出願(特願2000−37507)に
て、計算負荷を削減しワークメモリ容量をあわせて削減
することができる微細加工形状のシミュレーション方法
を提案したが、計算できるサイズが従来に比べ大きくな
るとはいえ、限界があり、この方法でも実用寸法のシミ
ュレーションを行なうには困難であった。
【0005】一方、描画データを領域分割して繰り返し
計算する方法が容易に考えられるが、分割境界部で計算
結果が不連続になるという問題に遭遇する。ワークメモ
リの範囲内に計算対象領域を分割して処理する方法にお
いては、分割領域外の図形による下記(1)の近接効果
の影響と、下記(2)の分割領域に隣接する境界領域に
よる現像処理の影響の2点を考慮する必要があるためで
あるが、これらに対応できる方法がまだないためであ
る。 (1)分割領域外の図形による近接効果の影響・電子線
の近接効果により領域外に存在する図形に対して描画を
行なったときの電子線エネルギーが領域内にまわりこむ
効果を考慮する必要がある。これは加速電圧によりかな
り離れていても影響を及ぼす。 (2)分割領域の境界部で領域外における現像の進行度
が領域内の現像を加速させる効果があることを考慮する
必要がある。影響は隣接部にとどまる。(特にネガ型レ
ジストを用いる場合)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、EB描
画装置を用いて電子線描画を行うフォトマスク作製プロ
セスの、レジストの解像性、断面形状等の情報を得るた
めの電子線リソグラフィーシミュレーションにおいて
は、(1)計算、負荷が大きい、(2)必要とするメモ
リ容量が膨大となる、(3)シミュレーション条件部分
変更に対する再計算負荷がかかる、等の問題があり、そ
の対応が求められていた。本発明は、これらに対応でき
る、EB描画装置を用いて電子線描画を行うフォトマス
ク作製プロセスの、レジストの解像性、断面形状等の情
報を得るための微細加工のシミュレーション方法を提供
しようとするものである。更に具体的には、描画データ
を領域分割して繰り返し計算する、EB描画装置を用い
て電子線描画を行うフォトマスク作製プロセスの、レジ
ストの解像性、断面形状等の情報を得るための微細加工
のシミュレーション方法であって、分割境界部で計算結
果が不連続にならず、大サイズのシミュレーションを可
能にする方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の微細加工のシミ
ュレーション方法は、平坦な媒体の断面方向に微細加工
を施すために準備された複数の閉図形で構成される2次
元の描画データ内の指定されたシミュレーション領域に
対して、1次元方向または2次元方向に隙間なく複数の
分割計算領域に分割する領域分割処理を行なった後、領
域分割処理で作成された全ての分割計算領域に対して、
それぞれ、(a)その領域を含み前記シミュレーション
領域の範囲内で周辺部を所定の距離Lだけ外側に拡大さ
せた実計算領域を設定する実計算領域設定処理と、
(b)その領域を含み前記シミュレーション領域の範囲
内で周辺部を所定の距離M(M>L)だけ外側に拡大さ
せた対象図形領域を設定する対象図形領域設定処理と、
(c)前記2次元の描画データから、設定された対象図
形領域に含まれるか、または交差する全ての閉図形を選
出する対象図形選出処理と、(d)実計算領域におい
て、選出された閉図形のみが描画されるという前提で所
定のプロセス条件に基づいて所定の形状シミュレーショ
ンを行い、実計算領域に対応する予測形状を構築する予
測形状構築処理と、(e)構築された予測形状から分割
計算領域外の周辺領域を削除しトリミング形状を得る形
状トリミング処理とを実行し、更に、各分割計算領域に
対応して得られたトリミング形状の全てを、シミュレー
ション領域内の対応するl次元方向または2次元方向に
配置し、シミュレーション領域内の全領域における全体
予測形状を構築する予測形状合成処理を行なうことを特
徴とするものである。そして、上記において、予測形状
が3次元形状であり、形状トリミング段階が分割領域外
の断面形状を削除するようにし、予測形状合成段階が3
次元のトリミング形状を2次元方向に配置するようにし
ていることを特徴とするものである。そしてまた、上記
において、所定の距離Lが分割計算領域外にある周辺境
界部におけるプロセス進行度合いが分割計算領域内に対
して影響を及ぼす加工代に相当することを特徴とするも
のである。また、上記において、所定の距離Mが実計算
領域外にある閉図形に基づく描画処理により実計算領域
内のプロセス進行度に対して影響を及ぼす近接効果の範
囲を決める量に相当することを特徴とするものである。
また、上記において、予測形状構築処理が、媒体に照射
されたエネルギービームにより媒体のある平面位置の断
面方向に蓄積されたエネルギー量の分布、及び平面位置
の近傍に照射されたエネルギービームにより平面位置の
断面方向に回り込んだエネルギー量の分布との合算値を
算出するエネルギー蓄積分布算出処理と、エネルギー蓄
積量に基づいて媒体の平面位置の断面一方向に進行する
化学的な溶解処理により形成される物理的な欠損分布を
算出する、あるいは平面位置の近傍における断面方向の
欠損分布に基づいて化学的な溶解処理を加速させるよう
な制御を行う形状欠損算出処理とで構成されることを特
徴とするものであり、媒体が電子線レジストであり、エ
ネルギービームが電子ビームであり、化学的な溶解処理
が前記電子線レジストの現像処理であり、所定の距離L
が電子線レジスト現像の加工代であり、所定の距離Mが
電子線の近接効果の範囲を決める量であることを特徴と
するものである。また、上記において、予測形状合成処
理が複数のプロセス処理時間に対応する複数の全体予測
形状を算出するとき、プロセス処理時間が異なる一部の
トリミング形状を混在させるようにしていることを特徴
とするものである。
【0008】
【作用】本発明の微細加工のシミュレーション方法は、
このような構成にすることにより、従来の、EB描画装
置を用いて電子線描画を行うフォトマスク作製プロセス
の、レジストの解像性、断面形状等の情報を得るための
電子線リソグラフィーシミュレーションにおける、
(1)計算、負荷が大きい、(2)必要とするメモリ容
量が膨大となる、(3)シミュレーション条件部分変更
に対する再計算負荷がかかる、等の問題を解決できる微
細加工形状のシミュレーション方法の提供を可能とする
ものである。更に具体的には、描画データを領域分割し
て繰り返し計算する、EB描画装置を用いて電子線描画
を行うフォトマスク作製プロセスの、レジストの解像
性、断面形状等の情報を得るための微細加工形状のシミ
ュレーション方法であって、分割境界部で計算結果が不
連続にならず、大サイズのシミュレーションを可能にす
る方法の提供を可能とするものである。詳しくは、平坦
な媒体の断面方向に微細加工を施すために準備された複
数の閉図形で構成される2次元の描画データ内の指定さ
れたシミュレーション領域に対して、1次元方向または
2次元方向に隙間なく複数の分割計算領域に分割する領
域分割処理を行なった後、領域分割処理で作成された全
ての分割計算領域に対して、それぞれ、(a)その領域
を含み前記シミュレーション領域の範囲内で周辺部を所
定の距離Lだけ外側に拡大させた実計算領域を設定する
実計算領域設定処理と、(b)その領域を含み前記シミ
ュレーション領域の範囲内で周辺部を所定の距離M(M
>L)だけ外側に拡大させた対象図形領域を設定する対
象図形領域設定処理と、(c)前記2次元の描画データ
から、設定された対象図形領域に含まれるか、または交
差する全ての閉図形を選出する対象図形選出処理と、
(d)実計算領域において、選出された閉図形のみが描
画されるという前提で所定のプロセス条件に基づいて所
定の形状シミュレーションを行い、実計算領域に対応す
る予測形状を構築する予測形状構築処理と、(e)構築
された予測形状から分割計算領域外の周辺領域を削除し
トリミング形状を得る形状トリミング処理とを実行し、
更に、各分割計算領域に対応して得られたトリミング形
状の全てを、シミュレーション領域内の対応するl次元
方向または2次元方向に配置し、シミュレーション領域
内の全領域における全体予測形状を構築する予測形状合
成処理を行なうことにより、これを達成している。
【0009】本発明は、EB描画装置を用いて電子線描
画を行うフォトマスク作製プロセスの、レジストの解像
性、断面形状等の情報を得るための微細加工形状のシミ
ュレーション方法として開発されたが、レジストを用い
た微細加工技術・リソグラフィー一般に適用できる。媒
体としてはフォトマスク以外にも適用でき、例えばシリ
コンウエハへの、EB描画装置を用いた直接描画による
半導体製造プロセス、電子線マスクを用いた電子線露光
によるウエハ転写プロセスにも適用できる。また、本発
明は、電子ビーム以外のレーザビーム、X線ビーム、イ
オンビームを描画線源とした場合にも適用できる。ま
た、本発明は、EB描画装置を用いて電子線描画を行う
フォトマスク作製プロセスの、レジストのベーキング
(特にPEB)を考慮したプロセスや、エッチングプロ
セスにも適用できる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の1例を挙
げ、図に基づいて説明する。図1は本発明の微細加工の
シミュレーション方法の実施の形態の1例の概略工程図
で、図2は領域分割処理と、各分割計算領域とそれに対
応した実計算領域、対象図形領域、および対象図形選出
を説明するための図で、図3は図1に示す処理の1例を
模式的に示した概略工程図で、図4は図1に示す予測形
状構築処理の1例のフロー図で、図5は図4を模式的に
示した概略工程図で、図6は電子線描画による試料への
3次元エネルギー蓄積分布と、現像プロセスを説明する
ための概略図で、図7はセル・リムーバル法を説明する
ための図で、図8は散乱シミュレーション(モンテカル
ロ法)と非弾性散乱損失エネルギー等を説明するための
概略図で、図9は別の図1に示す予測形状構築処理例の
フロー図で、図10は図9を模式的に示した概略工程図
で、図11は近接画素分布ヒストグラム計算を説明する
ための図ある。尚、図1中のS11〜S21、図4中の
S410〜S460、図6中のS505〜S560、図
8中のS810〜S890、図9中のS911〜S94
0、S9141、S9142は処理ステップを示す。図
2、図3中、110はレジスト(加工媒体)、120は
加工面全体、125、125Aは分割計算領域、127
は実計算領域、129は対象図形領域、130は描画閉
図形、135は対象図形、210は2次元描画データ、
220はシミュレーション領域(描画領域でもある)、
221、222は分割計算領域、230は分割線、24
0はセルである。また、図11中、310は描画される
領域(閉図形部でもある)、320は画素、325は注
目する画素である。
【0011】本例の微細加工のシミュレーション方法
は、EB描画装置を用いて電子線描画を行うフォトマス
ク作製プロセスにおける、表面部を選択的に電子線描画
されたポジティブレジストの現像形状のシミュレーショ
ン方法である。図1を基に説明する。先ず、平坦な加工
媒体であるレジストの断面方向に微細加工を施すために
準備された複数の閉図形で構成される、EB描画装置用
の、X、Y2次元の描画データ(S10)内の指定され
たシミュレーション領域に対して、1次元方向または2
次元方向に隙間なく複数の分割計算領域に分割する領域
分割処理を行なう。(S11) 図2(a)に示す様に、レジスト(加工媒体)110の
加工面120には、EB描画装置用の、X、Y2次元の
描画データにより、その閉図形に対応して多数の描画閉
図形が描画されるが、これを複数の分割計算領域に隙間
なく分ける。図2(a)全体がシミュレーション領域
で、図2(b)ではそのシミュレーション領域を12個
の分割計算領域に分けたものである。分割計算領域の設
定は、ワークメモリの範囲内でできるだけ大きいサイズ
を選ぶ。例えば、フークメモリ64M、XYZ方向の計
算分解能(1セルの各方向単位長さ)を5nmとすると
き、X:l.5×Y:1.5×Z:0.4〔μm]とす
る。(セル個数が300×300×80となり1セルを
8バイトとすると56Mになる。)
【0012】次いで、分割された全ての分割計算領域に
対して、それぞれ、以下の処理を行なう。まず、分割計
算領域を含みシミュレーション領域の範囲内で周辺部を
所定の距離Lだけ外側に拡大させた実計算領域を設定す
る。(S14) 図2(b)に示す分割計算セル125Aの場合、そのX
Y両外側に領域をLだけ拡大して実計算領域を設定す
る。この場合、点線領域127が実計算領域に当たる。
所定の距離Lは、分割計算領域外にある周辺境界部にお
けるプロセス進行度合いが分割計算領域内に対して影響
を及ぼす加工代に相当するものである。通常、セルリム
ーバル法の現像計算においては、Lは1〜2セル分の長
さとする。(分割計算領域が300×300×80の場
合、各方向外側に2セル延長し304×304×80と
なる。)
【0013】次いで、その分割計算領域を含みシミュレ
ーション領域の範囲内で周辺部を所定の距離M(M>
L)だけ外側に拡大させた対象図形領域を設定する。
(S15) 図2(b)に示す分割計算セル125Aの場合、そのX
Y両外側に領域をMだけ拡大して対象図形領域を設定す
る。この場合、点線領域129が対象図形領域に当た
る。所定の距離Mは、実計算領域外にある閉図形に基づ
く描画処理により実計算領域内のプロセス進行度に対し
て影響を及ぼす近接効果の、及ぶ範囲を決める量に相当
する。電子線の近接効果の及ぶ分Mだけ分割計算領域を
拡大しその範囲に交差する図形を計算対象にする。近接
効果の及ぶ範囲を決める量Mを0.5〔μm]とすれ
ば、X:l.5×Y:1.5×Z:0.4〔μm]に分
割計算領域が設定されている場合は、X:2.5×Y:
2.5の範囲に交差する図形(領域内の図形および一部
が領域にかかっているものを含む)を計算の対象とす
る。
【0014】次いで、2次元の描画データから設定され
た対象図形領域129に含まれるか、または交差する全
ての閉図形を選出する。(S16) この場合、対象図形領域129から選出される閉図形
は、図2(b)の斜線部の閉図形である。
【0015】次いで、実計算領域において、前記選出さ
れた閉図形のみが描画されるという前提で所定のプロセ
ス条件に基づいて形状シミュレーションを行い、実計算
領域に対応する予測形状を構築する。(S17) 予測形状を構築は、図4に示すような従来より公知の、
EB描画装置を用いて電子線描画を行うフォトマスク作
製プロセスの、レジストの解像性、断面形状等の情報を
得るための微細加工形状のシミュレーション方法が適用
できる。これを、以下簡単に説明する。処理は分割計算
領域から得られた実計算領域127に対して行なうもの
である。先ず、2次元描画データ(S410)を元に、
描画領域ラスター変換(S420)を行い、ラスター変
換され得られた各画素F(x,y)について、それぞ
れ、描画する画素の場合値1、描画しない画素の場合値
0としておき、これと、モンテカルロ法による電子線飛
跡計算から得られた、単体電子線による媒体内への蓄積
エネルギー分布E(z,r)から(S440)、対象と
する描画データ毎に、その都度、3次元の各セルの蓄積
エネルギーU(x,y,z)を求めていた。(S45
0) 描画閉図形データにそって、下記の式に示すような畳み
込み演算により3次元の各セルの蓄積エネルギーU
(x,y,z)求める。 U(x,y,r)=Σj Σi F(x+i,y+j)×E
(z,r) 但し、r=(i2 +j2 1/2 そして、現像処理の最小単位である各セルに蓄積される
蓄積エネルギーU(x,y,z)に対応して、各セル毎
に現像速度を、Drillの式、Mackの式を用い決
めた後、セル・リムーバル法により、予測形状を構築し
ていた。尚、上記、図4に示すような従来より公知の、
EB描画装置を用いて電子線描画を行うフォトマスク作
製プロセスの、レジストの解像性、断面形状等の情報を
得るための微細加工形状のシミュレーション方法を、模
式的に示したのが図5である。図5の説明は省く。
【0016】次いで、構築された予測形状から分割計算
領域外の周辺領域を削除しトリミング形状を得る。(S
18) このようにして、分割計算領域に対応した予測形状を構
築される。全ての分割計算領域に対し、予測形状を構築
するまで、この処理を繰り返し、(S19,S21)全
ての分割計算領域に対し、予測形状を構築した後、各分
割計算領域に対応して得られたトリミング形状の全て
を、シミュレーション領域内の対応するl次元方向また
は2次元方向に配置し、シミュレーション領域内の全領
域における全体予測形状を構築する。(S20)
【0017】分割計算領域が2つの場合について模式的
に示した図3に基づいて、本例を更に説明する。2次元
描画データ210を分割計算領域221と222に2分
割し、(図3(a))、分割計算領域221と222に
対して、それぞれ、実計算領域、対象図形領域を計算
し、且つ、対象図形を選出しておく。220がシミュレ
ーション領域である。そして、各分割計算領域の実計算
領域に対し、それぞれ、公知の、モンテカルロ法による
電子散乱計算(図3(b))から得られた、単体電子線
による媒体内への蓄積エネルギー分布E(z,r)か
ら、対象とする描画データ毎に、その都度、蓄積エネル
ギーを求め、総和を3次元の各セルの蓄積エネルギーU
(x,y,z)として求める。図3(c1)、図3(c
2)は、それぞれ、各分割計算領域の実計算領域に対応
した加工媒体(レジスト)の各セルに蓄積されたエネル
ギー量を、濃淡で表したもので、濃い部分はエネルギー
量が大で、薄い部分はエネルギー量である。次いで、蓄
積エネルギーU(x,y,z)に対応して、各セル毎に
現像速度を、Drillの式、Mackの式を用い決め
ておき、セル・リムーバル法により、予測形状を構築す
る。図3(c1)、図3(c2)の予測形状は、それぞ
れ、図3(d1)、図3(d2)として得られる。次い
で、分割計算領域に合せた予測形状を得る。図3(e
1)、図3(e2)は、それぞれ、図3(d1)、図3
(d2)をトリミングして得た予測形状である。次い
で、図3(d1)、図3(d2)にそれぞれ示す分割計
算領域に合せた予測形状を、所定の位置にて配列して、
シミュレーション領域220内の全領域における全体予
測形状を構築する。図3(f)に示す形状が、がシミュ
レーション領域220内の全領域における全体予測形状
である。
【0018】次に、電子線描画による試料への3次元エ
ネルギー蓄積分布と、現像プロセスを、図6に基づいて
更に説明しておく。先ず、描画する電子ビーム(電子線
とも言う)の形状が設定されると(S505)、これと
電子ビームの設定dose量より、電子ビーム(電子線
とも言う)の形状に対応し、照射される単位の電子ビー
ムの粒子分布が計算にて得ることができる。(S51
0) 尚、ビーム形状は、アパーチャを通るビームの投影像
で、通常、ラスター型EB描画装置、ベクター型EB描
画装置では、それぞれ、円形、四角形である。次いで、
試料(媒体とも言うが、本例ではフォトマスクである)
の物理的仕様が設定されると(S515)、公知のモン
テカルロ法による電子飛跡計算を行い、単体電子ビーム
の散乱をシミュレートし、これより、試料の各部に蓄積
されるエネルギーを算出し、単体電子による試料内部で
の蓄積分布を得る。(S521) 尚、モンテカルロ法による電子飛跡計算(散乱シミュレ
ーション)と、これより得られる、媒体内に3次元的に
蓄積される蓄積エネルギー(非弾性散乱損失エネルギ
ー)量の計算は、既に公知で、ここでは、そのフロー図
8に挙げるに止め、説明を省く。透明基板上にクロム層
を遮光膜とし設け、さらにその上にレジストを設けたフ
ォトマスク用基板である場合には、レジスト層、クロム
層、透明基板、それぞれの分子構成、密度、厚さが、物
理的仕様である。尚、モンテカルロ法による電子飛跡の
追跡対象の設定については、一次電子の前方散乱、一次
電子の後方散乱、二次電子、オージェ電子、フォノン
(振動、熱量)等、設定できる。次いで、得られた電子
ビームの粒子分布(S511)と、単位電子エネエルギ
ー蓄積分布(S521)をデータとして用い、描画デー
タに基づく形状に沿ってスキャニングして(S53
0)、試料内のおける3次元蓄積エネルギー分布を得
る。(S540)詳しくは、現像処理の最小単位である
セル毎に畳み込み演算して、試料内のおける3次元蓄積
エネルギー分布を得る。
【0019】このようにして、レジスト内の3次元蓄積
エネルギー分布が得られるが、現像条件を設定し(S5
45)、Dillの式、Mackの式を用い、レジスト
内の各セル毎に、それぞれ、現像速度を計算し、全体の
現像速度分布を求める。(S550) ここで言う現像条件とは、レジスト仕様、現像液濃度、
温度等である。
【0020】Dillの式は、セルf(x,y,z)に
蓄積されるエネルギーをU(x,y,z)とした場合
の、セルf(x,y,z)の現像速度R(x,y,z)
を(1)式のように表すものである。 R(x,y,z)= {A+B・U(x,y,z)n }[1−exp(−αz)] +C・U(x,y,z)k +ε (1) 但し、A、B、n、α、C、εは定数であるが、実験に
よる経験値である。
【0021】Mackの式は、セルf(x,y,z)に
蓄積されるエネルギーをU(x,y,z)とした場合
の、セルf(x,y,z)の現像速度R(x,y,z)
を(2)式のように表すものである。 R(x,y,z)=[Rmax{(a+1)(1−m)n }/ {a+(1−m)n }]+Rmin (2) ここで、 m=e−CU(x,y,z) (3) 但し、Rmaxは完全に露光されたレジスト部の現像速
度、Rminは完全に露光されていないレジスト部の現
像速度を表し、Cは定数で、nは溶解選択性を示したも
ので、aは(4)式で表される定数である。 a=[(n+1)/(n−1)](1−mTHn (4) (4)式中、mTHはmの閾値である。Mackの式の場
合も、各定数は、実験による経験値である。
【0022】次いで、現像条件を設定して、セル・リム
ーバル法により、レジストの表面に沿ってレジスト溶解
像を計算する。(S560) ここで言う現像条件とは、現像液流体条件、現像時間等
である。セル・リムーバル法は、Dillの式、Mac
kの式等を用い、各セルの現像速度を決めた後、設定時
間までの時間を細かいステップ時間に分割し、各セルに
対して、ステップ時間の経過分だけ指定の速度で現像を
進め、その分だけセル体積値を減少させるもので、現像
処理経過毎の、即ち、ステップ時間毎の最表層部セルを
登録するリスト(これをセルリストとも言う)を作成
し、最表層部セルのみを現像処理の対象とする。現像さ
れていないセルの体積値(容積とも言う)を100とし
て、セルの体積値が0または負値になったセルを、セル
リストより削除し、これに代え、削除されたセルの背後
(Z方向下層)に位置する内部のセルを最表層部セルと
して、セルリストに追加し、これを処理対象セルとす
る。以下、図7に基づいて、セル・リムーバル法によ
る、レジストの溶解像の計算例を、簡単に説明してお
く。現像処理が始まる前は、処理対象のセルの集合は、
図7(a)に示すようになっており、図7(d)に示す
セルリストにセルIDとして記載されるように、処理対
象となる最表層部セルは、それぞれ体積値100であ
り、各セルはそれぞれの現像速度を持つ。現像を開始
し、ステップ時間T1時間後の、図7(d)に示す各セ
ルの体積値(容積)は、図7(e)に示すようになる。
各セルの容積は、ステップ時間T1の経過分だけ指定の
速度で現像を進め、その分だけセル体積値を元の100
から減少させたものである。この場合、セル[2,2,
1]、セル[3,2,1]、セル[2,3,1]、セル
[3,3,1]の容積が0となっている。したがって、
次のステップ時間T1の現像に先たち、図7(e)に示
すセルリストから、セル[2,2,1]、セル[3,
2,1]、セル[2,3,1]、セル[3,3,1]を
削除し、削除するセルに代え、これらのセルの背後
((Z方向下層)に位置する内部のセル、セル[2,
2,2]、セル[3,2,2]、セル[2,3,2]、
セル[3,3,2]を最表層部セルとして、セルリスト
に追加し、これを処理対象セルとする。(図7(f)) 図7(f)は、図7(a)に示す現像処理が始まる前の
処理対象のセルの集合から、セル[2,2,1]、セル
[3,2,1]、セル[2,3,1]、セル[3,3,
1]を削除した状態を示したものである。このように、
ステップ時間T1毎に、セルリストを管理しながら、更
に、所定の現像を進めていき、図7(c)に示すような
最終的な形状を得る。
【0023】また、各分割計算領域それぞれに対する、
実計算領域に対応する予測形状を構築する予測形状構築
処理としては、例えば、図9にその処理工程を示す本願
発明者らの、先の出願(特願2000−37507)の
微細加工形状のシミュレーション方法も適用できる。こ
の方法によれば、電子ビームのエネルギー蓄積分布デー
タを直接図形データに沿ってスキャニングせず、図形ど
うしの近接関係の計算をあらかじめ行うことにより、計
算回数を減らし、計算負荷を減少させており、3次元シ
ミュレーション処理においては、ボクセルデータでもた
ず2次元データから別に用意した断面方向データを参照
させるような形式にすることにより、必要とするメモリ
容量を滅少させることができ、一部の条件変更の場合
も、再計算する量を極力減らした簡易再計算により、シ
ミュレーションができるものとしている。特に、EB描
画装置を用いて電子線描画を行うフォトマスク作製プロ
セスの、レジストの解像性、断面形状等の情報を得るた
めの微細加工形状のシミュレーションにおいては、近接
画素分布ヒストグラムに定型パターンの概念を導入する
ことにより、描画データと断面方向データの作成を独立
させることができ、一方側が変更になった場合、他方は
再計算する必要がない。
【0024】以下、図9、図10に基づいて、この微細
加工形状のシミュレーション方法を適用した、EB描画
装置を用いて電子線描画を行うフォトマスク作製プロセ
スにおける、表面部を選択的に電子線描画されたポジテ
ィブレジストの現像形状のシミュレーション方法例を説
明する。先ず、EB描画装置用の、X、Y2次元描画デ
ータ(911、図10(a))に対し、電子線照射の領
域(描画領域)を決める複数の閉図形部を含む、描画デ
ータ内の指定された領域に対して、微細加工を施す最小
単位である複数の画素に分割する、領域ラスター変換ス
テップを行う。(S912) これにより、画素分割されたデータが得られる。(S9
13,図10(b)) 本例では、描画される画素毎のdose量(照射量)を
一定としているため、画素F(x,y)が描画される画
素である場合、その値を1とし、描画されない画素で有
る場合、その値を0としているが、描画される画素毎の
dose量(照射量)を2種以上に設定する場合には、
これに対応してF(x,y)の値を多値とし、オン画素
に重み付けをしても良い。x,yは、それぞれ、現像処
理を行う最小単位のX、Y方向ピッチの整数倍であり、
電子線描画装置の最小ステップ値程度になる。
【0025】次いで、分割された各画素を中心として、
所定の近傍距離内に存在する画素と描画領域とが重複す
るオン画素数の分布状態を示す近傍画素分布を得る。近
傍画素分布を得る方法の1例を、図11に基づいて説明
しておく。図11(a)は描画データと画素分割の状態
を示したもので、図11(a)において、310は描画
される領域(閉図形部でもある)、320は画素、32
5は注目する画素で、注目する画素325に対する近傍
画素分布を求める。注目する画素325に対し、画素中
心間の距離をパラメータとして、オン画素の数を頻度と
してカウントすると、図11(b)のようになる。尚、
最大数はその距離での画素数を示しており、割合はその
距離での最大に対する頻度の割合を%で示している。そ
して、X方向ないしY方向の1画素ピッチを距離1とし
ている。また、説明を分かり易くするため、ここでは、
画素中心間距離が5画素ピッチまでを近傍とし、更にデ
ータの圧縮を図り、図11(c)のようにして、オン画
素の分布を得て、これを、近傍画素分布としている。実
用レベルから、所定の画素中心間距離までを近傍とし、
近傍画素分布を得る範囲を、この範囲に限定する。この
ようにして、近傍画素分布は得られるが、全ての画素に
ついて、同様に、それぞれの近傍画素分布を求めてお
く。(S9141) 画素F(x,y)について、図10(c)に示すよう
な、ヒストグラムパターンH(x,y,z)が得られ
る。ここで、 H(x,y,z)=Σj Σi F(x+i,y+j) 但し、r=(i2 +j2 1/2である。尚、x,y、z
は、それぞれ、現像処理を行う最小単位(以下セルとも
言う)のX、Y、Z方向ピッチの整数倍である。また、
電子線照射の領域(描画領域)を決める閉図形部に、微
細加工処理に対し重み情報が付加されているとき、重み
の高い閉図形部と重複する(交差するとも言う)画素に
対しては、ヒストグラムのカウント値を高くして、近傍
画素分布を調整することもできる。
【0026】一方、予め、注目する画素を中心として、
画素中心間距離が所定の範囲において、注目する画素に
対し、画素中心間の距離をパラメータとして、描画デー
タ状態とは別に、考えられる(可能性のある)オン画素
の状態、全てを、それぞれ、ヒストグラムパターンデー
タとして、得ておき(図2(e)の)、且つ、各ヒス
トグラムパターンデータ毎に、それぞれ、ヒストグラム
ID(idとする)を付与して、これらをデータベース
として保管しておく。(S920,図10(e)の) H(x,y,r)=C(r,ID(x,y)) のように表し、ヒストグラムパターンH(x,y,z)
をコード化しておく。このようにして、ヒストグラムパ
ターンデータ群(定型画素分布集合とも言う)、ヒスト
グラムコード群(画素分布コード群とも言う)が、デー
タベースとして保管される。
【0027】描画データの全ての画素に対し、それぞれ
得られたヒストグラムパターン(図10(c))に対
し、それぞれ、データベース(S210)のどのヒスト
グラムパターンと対応するかを決め、決められたヒスト
グラムパターンのID(id)を、それぞれ、その画素
に対応するヒストグラムIDとして決める。(S914
2,図10(c)の) このようにして、描画データの全ての画素に対し、それ
ぞれ、ヒストグラムIDが決められ、描画データに対応
したヒストグラムコード群2(画素分布コード2)が得
られる。(S915)
【0028】次に、電子線散乱計算(モンテカルロ法)
(S931,図10(f)の)に基づき、電子線照射
による蓄積エネルギーE(z,r)を3次元的に求め
て、全てのヒストグラムIDに対し、断面方向(Z軸方
向)、所定ピッチ(現像処理の際の最小単位(セルとも
以下言う)の幅に相当)毎に、ID(IDパターンとも
言う)別の蓄積エネルギーZ軸分布U(z,id)を得
る。(S932、図10(f)の) ここで、 U(z,id)=Σr C(r,id)E(z,r) と表される。次いで、idパターン別に、各セル毎に蓄
積されたエネルギーから各セルのZ方向のみの現像スピ
ードR(z,id)を換算し(S 933)、現像処理を
実行し(S934,図2(f))、idパターン別
の、現像時間毎のZ軸方向現像状態(現像パターンとも
言う)V(z,id,t)、即ち断面データを得る。
(S940,図10(f))の) ここで、 R(z,id)=G(U(z,id)) V(z,id,t)=S(R(z,id),t) と表される。これより、描画データの全画素に対応する
断面データV(x,y,z,t)が得られたこととな
る。ここで、 V(x,y,z,t)=V(ID(x,y),t) と表される。
【0029】次いで、描画データの全ての画素に対し、
それぞれ、ヒストグラムIDが決められ得られた、描画
データに対応したヒストグラムコード群2(S915、
図10(d)))と、ID別の画素断面データ(S94
0、図10(f)))から、描画データの各画素毎に、
その位置に対し、断面方向に、ID別の画素断面データ
を配置することにより、シミュレーションを実行し、予
測形状を得る。(S916、図10(g))) 尚、図10(g)は指定領域全体に対する予測形状を
示し、図10(g)はその一割断面を示したものであ
る。
【0030】本例の場合、データベース(S920)、
画素断面データ(S940)は、描画データ(S91
1)には、影響されない独立のものである。このため、
処理ステップS920、S930、S940を、予め、
行っておき、これらをデータベースとして保存しておく
ことにより、種々の異なる描画データ(S110)に
も、描画データ毎に処理ステップS920、S930、
S940を、行う必要はなく、簡単に対応できる。即
ち、処理ステップS911からS915を行う際に、保
存されているデータベース(S920)、画素断面デー
タ(S940)を参照、利用すれば良いのである。これ
より、従来に比ベ、計算負荷が減少し、処理途上で必要
なメモリ容量が減少する。また、シミュレーションする
領域を変更するなど描画図形データのみの変更など部分
変更の際、全てを再計算する必要がなく、迅速な切り替
えが行える。また、2次元でシミュレーションしている
状態から、必要に応じて3次元に切り替える際、再計算
する割合が少なくて済む。
【0031】尚、本実施の形態の変形例の微細加工の形
状シミュレーション方法としては、媒体をフォトマスク
に代え、シリコンウエハとし、EB描画装置で直描を行
った場合、あるいは電子線マスクを用いて電子線露光を
行った場合の、レジストの現像シミュレーション、ある
いは、電子ビーム以外のレーザビーム、X線ビーム、イ
オンビームを描画線源とした場合の、レジストのシミュ
レーションを挙げることができる。基本的には、同様に
して、予測形状を得ることができる。また、本例のよう
なEB描画装置を用いて電子線描画を行うフォトマスク
作製プロセスにおいて、レジストのベーキング(特にP
EB)を考慮したシミュレーションを行うこともでき
る。
【0032】また、本実施の形態例のようにして得られ
た、現像形状に基づいた、クロム層のエッチング処理
を、更にシミュレートする、シミュレーションが挙げら
れる。この場合は、エッチング条件を設定し、ストリン
グモデル法等により、エッチング処理による予測形状を
得るものである。エッチング条件としては、エッチング
ガスの濃度、温度、エッチング時間、エッチング流体条
件等が挙げられる。尚、ストリングモデル法は公知で、
ここでは説明を省略する。
【0033】
【発明の効果】本発明は、上記のように、従来の、EB
描画装置を用いて電子線描画を行うフォトマスク作製プ
ロセスの、レジストの解像性、断面形状等の情報を得る
ための電子線リソグラフィーシミュレーションにおけ
る、(1)計算、負荷が大きい、(2)必要とするメモ
リ容量が膨大となる、(3)シミュレーション条件部分
変更に対する再計算負荷がかかる、等の問題を解決でき
る微細加工のシミュレーション方法の提供を可能とし
た。更に具体的には、描画データを領域分割して繰り返
し計算する、EB描画装置を用いて電子線描画を行うフ
ォトマスク作製プロセスの、レジストの解像性、断面形
状等の情報を得るための微細加工形状のシミュレーショ
ン方法であって、分割境界部で計算結果が不連続になら
ず、大サイズのシミュレーションができる方法の提供を
可能とした。これにより、実製造前の品質保証、所望の
精度および歩留まりを得るためのプロセス条件の確立、
新型レジスト材料の開発、電子線近接効果補正およびそ
の効果の確認、電子ビーム描画装置の設計・改良を、効
率的に行うことを可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微細加工のシミュレーション方法の実
施の形態の1例の概略工程図
【図2】領域分割処理と、各分割計算領域とそれに対応
した実計算領域、対象図形領域、および対象図形選出を
説明するための図
【図3】図1に示す1例を模式的に示した工程図
【図4】予測形状構築例の概略工程図
【図5】図4に示す例を模式的に示した工程図
【図6】電子線描画による試料への3次元エネルギー蓄
積分布と、現像プロセスを説明するための概略図
【図7】セル・リムーバル法を説明するための図
【図8】散乱シミュレーション(モンテカルロ法)と非
弾性散乱損失エネルギー等を説明するための概略図
【図9】別の予測形状構築例の概略工程図
【図10】図9に示す例を模式的に示した工程図
【図11】近接画素分布ヒストグラム計算を説明するた
めの図
【符号の説明】
110 レジスト(加工媒体) 120 加工面全体 125、125A 分割計算領域 127 実計算領域 129 対象図形領域 130 描画閉図形 135 対象図形 210 2次元描画データ 220 シミュレーション領域(描画領
域でもある) 221、222 分割計算領域 230 分割線 240 セル 310 描画される領域(閉図形部でも
ある) 320 画素 325 注目する画素
フロントページの続き (72)発明者 石田 晃司 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 2H095 BB01 2H097 CA16 LA10 5F056 CA30

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平坦な媒体の断面方向に微細加工を施す
    ために準備された複数の閉図形で構成される2次元の描
    画データ内の指定されたシミュレーション領域に対し
    て、1次元方向または2次元方向に隙間なく複数の分割
    計算領域に分割する領域分割処理を行なった後、領域分
    割処理で作成された全ての分割計算領域に対して、それ
    ぞれ、(a)その領域を含み前記シミュレーション領域
    の範囲内で周辺部を所定の距離Lだけ外側に拡大させた
    実計算領域を設定する実計算領域設定処理と、(b)そ
    の領域を含み前記シミュレーション領域の範囲内で周辺
    部を所定の距離M(M>L)だけ外側に拡大させた対象
    図形領域を設定する対象図形領域設定処理と、(c)前
    記2次元の描画データから、設定された対象図形領域に
    含まれるか、または交差する全ての閉図形を選出する対
    象図形選出処理と、(d)実計算領域において、選出さ
    れた閉図形のみが描画されるという前提で所定のプロセ
    ス条件に基づいて所定の形状シミュレーションを行い、
    実計算領域に対応する予測形状を構築する予測形状構築
    処理と、(e)構築された予測形状から分割計算領域外
    の周辺領域を削除しトリミング形状を得る形状トリミン
    グ処理とを実行し、更に、各分割計算領域に対応して得
    られたトリミング形状の全てを、シミュレーション領域
    内の対応するl次元方向または2次元方向に配置し、シ
    ミュレーション領域内の全領域における全体予測形状を
    構築する予測形状合成処理を行なうことを特徴とする微
    細加工のシミュレーション方法。
  2. 【請求項2】 請求項lにおいて、予測形状が3次元形
    状であり、形状トリミング段階が前記分割領域外の断面
    形状を削除するようにし、予測形状合成段階が3次元の
    トリミング形状を2次元方向に配置するようにしている
    ことを特徴とする微細加工のシミュレーション方法。
  3. 【請求項3】 請求項1ないし2において、所定の距離
    Lが、分割計算領域外にある周辺境界部におけるプロセ
    ス進行度合いが分割計算領域内に対して影響を及ぼす加
    工代に相当することを特徴とする微細加工のシミュレー
    ション方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3において、所定の距離
    Mが、実計算領域外にある閉図形に基づく描画処理によ
    り実計算領域内のプロセス進行度に対して影響を及ぼす
    近接効果の範囲を決める量に相当することを特徴とする
    微細加工のシミュレーション方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4において、予測形状構
    築処理が、媒体に照射されたエネルギービームにより媒
    体のある平面位置の断面方向に蓄積されたエネルギー量
    の分布、及び平面位置の近傍に照射されたエネルギービ
    ームにより平面位置の断面方向に回り込んだエネルギー
    量の分布との合算値を算出するエネルギー蓄積分布算出
    処理と、エネルギー蓄積量に基づいて媒体の平面位置の
    断面一方向に進行する化学的な溶解処理により形成され
    る物理的な欠損分布を算出する、あるいは平面位置の近
    傍における断面方向の欠損分布に基づいて化学的な溶解
    処理を加速させるような制御を行う形状欠損算出処理と
    で構成されることを特徴とする微細加工のシミュレーシ
    ョン方法。
  6. 【請求項6】 請求項5において、媒体が電子線レジス
    トであり、エネルギービームが電子ビームであり、化学
    的な溶解処理が前記電子線レジストの現像処理であり、
    所定の距離Lが電子線レジスト現像の加工代であり、所
    定の距離Mが電子線の近接効果の範囲を決める量である
    ことを特徴とする微細加工のシミュレーション方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6において、予測形状合
    成処理が複数のプロセス処理時間に対応する複数の全体
    予測形状を算出するとき、プロセス処理時間が異なる一
    部のトリミング形状を混在させるようにしていることを
    特徴とする微細加工のシミュレーション方法。
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