JP2002004076A - 電鋳装置 - Google Patents

電鋳装置

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JP2002004076A
JP2002004076A JP2000185947A JP2000185947A JP2002004076A JP 2002004076 A JP2002004076 A JP 2002004076A JP 2000185947 A JP2000185947 A JP 2000185947A JP 2000185947 A JP2000185947 A JP 2000185947A JP 2002004076 A JP2002004076 A JP 2002004076A
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plating
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Eiji Saito
Masatoshi Suzuki
正敏 鈴木
Minoru Tazoe
稔 田添
Makoto Ito
伊藤  誠
Yuji Segawa
雄司 瀬川
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    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D1/00Electroforming
    • C25D1/10Moulds; Masks; Masterforms
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25DPROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
    • C25D1/00Electroforming
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
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    • Y10S204/07Current distribution within the bath

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 本発明は、メッキ液の分解を招来させること
なく、短時間で高品質のメッキ膜を形成することができ
る電鋳装置を提供すること。 【解決手段】メッキ液を収容する収容部150と、この
収容部内に配置され、且つメッキを施すメッキ対象物を
備える陰極部120と、前記収容部内に配置され、且つ
前記陰極部に対向して配置される陽極部140と、を有
する電鋳装置であって、前記陽極部の通電開口面積が、
前記陰極部の通電開口面積より大きく形成されているこ
とで電鋳装置を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メッキ対象物であ
る、例えば光ディスク原盤の表面にメッキを施すための
電鋳装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばガラス製の光ディスク原盤
にメッキ膜を形成する電鋳装置にあっては、メッキ液を
収容する本槽内に、この光ディスク原盤を配置する陰極
部が形成されている。この陰極部は、光ディスク原盤を
配置する配置する配置面を有すると共に、配置された光
ディスク原盤を回転させるための回転機構を備えてい
る。また、この本槽内には、前記陰極部に対向し、且つ
一定の距離を保持して、陽極部であるチタンバスケット
が配置されている。このチタンバスケットには、ニッケ
ル(Ni)玉が複数個、収容されている。このように構
成される電鋳装置をスタートさせると、前記チタンバス
ケットと光ディスク原盤との間に所定の電流、電圧が印
加され、光ディスク原盤の表面にニッケルのメッキ膜が
一定の膜厚で形成されるようになっている。このような
電鋳装置を用いて光ディスク原盤の表面にメッキを形成
するときの電流と、その時間は例えば以下のように行わ
れる。
【0003】すなわち、例えば光ディスク原盤のサイズ
が直径200mmで、メッキ膜厚を290μm乃至30
0μmに形成する場合、先ず、光ディスク原盤の表面に
0.2A/dm2 乃至0.3A/dm2 の低電流密度が
形成されるように電流を印加する。そして、その後、例
えば10分乃至20分かけて徐々に電流を上げ、光ディ
スク原盤の表面の電流密度を、例えば22A/dm2
至26A/dm2 にまで上昇させる。そして、この電流
密度で70分乃至80分電流を印加しつづけると、光デ
ィスク原盤の表面に300μmの膜厚が形成されること
になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、光ディスク
原盤の製造工程には、この電鋳装置を用いたメッキ工程
だけでなく、その前工程として、ガラス原盤にピット等
を形成するカッティング工程等がある。このカッティン
グ工程は、近年、工程に要する時間の短縮化が達成さ
れ、現在、30分程度でカッティング工程が終了するよ
うになっている。これに伴い、光ディスク原盤製造工程
の全体のプロセスの時間短縮が要請されるようになって
いる。そこで、上述の電鋳装置によるメッキ工程の時間
も短縮するよう強く要請されている。上述の例では、光
ディスク原盤のサイズが直径200mmで、メッキ膜厚
を290μm乃至300μmに形成するには、光ディス
ク原盤の表面の電流密度を22A/dm2 乃至26A/
dm2 とした場合、70分乃至80分の間、電流を印加
しつづける必要がある。
【0005】ところで、光ディスク原盤の表面の電流密
度と所要時間には、図15に示すような関係がある。す
なわち、光ディスク原盤の表面のメッキ膜厚300μm
を30分以内で行うには、光ディスク原盤の表面の電流
密度を50A/dm2 程度にまで上昇させればよいこと
になる。しかし、このように光ディスク原盤の表面の電
流密度を50A/dm2 程度にまで上昇させると、光デ
ィスク原盤に対向して配置されるチタンバスケット内で
の金属の不動態が発生する。この不動態は、ニッケル
(Ni)の溶解に優先して水酸化イオンや塩素イオンの
放電が生じ、酸素、塩素ガス等発生する現象をいう。こ
の不動態が生じると、本槽内のメッキ液のPHが低下
し、メッキ液の分解が生じ、光ディスク原盤に所望のメ
ッキを形成できなくなってしまうという問題があった。
【0006】また、光ディスク原盤の表面の電流密度を
50A/dm2 程度にまで上昇させると、この高い電流
密度でメッキ液の温度が上昇し、メッキ液が滞留し易い
チタンバスケット付近では、例えばメッキ液の通常の温
度である50度C乃至55度Cを超え70度C以上まで
達することがある。このようにメッキ液の温度が高温に
なると、やはりメッキ液の分解が生じ、光ディスク原盤
に所望のメッキを形成できなくなってしまうという問題
があった。
【0007】そこで、本発明は、以上の点に鑑み、メッ
キ液の分解を招来させることなく、短時間で高品質のメ
ッキ膜を形成することができる電鋳装置を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的は、請求項1の
発明によれば、メッキ液を収容する収容部と、この収容
部内に配置され、且つメッキを施すメッキ対象物を備え
る陰極部と、前記収容部内に配置され、且つ前記陰極部
に対向して配置される陽極部と、を有する電鋳装置であ
って、前記陽極部の通電開口面積が、前記陰極部の通電
開口面積より大きく形成されていることを特徴とする電
鋳装置により、達成される。
【0009】前記構成によれば、前記陽極部の通電開口
面積が、前記陰極部の通電開口面積より大きく形成され
ているので、前記陰極部の電流密度を上昇させても、前
記陽極部の電流密度は、前記陰極部ほど上昇しない。し
たがって、前記陽極部で不動態は生ぜず、メッキ液の分
解等を未然に防止することができる。また、メッキ液が
滞留し易い前記陽極部の電流密度が前記陰極部ほど上昇
しないので、高温によるメッキ液の分解も未然に防止す
ることができる。
【0010】好ましくは、請求項2の構成によれば、請
求項1の構成において、前記陰極部が一定の傾斜角を保
持するように配置されていることを特徴とする電鋳装置
である。
【0011】前記構成によれば、前記陰極部が一定の傾
斜角を保持するように配置されている例えば傾斜型回転
式電鋳装置において、前記陰極部の電流密度を上昇させ
ても、前記陽極部の電流密度は、前記陰極部ほど上昇し
ないようにすることができる。
【0012】好ましくは、請求項3の構成によれば、請
求項2の構成において、前記陽極部の通電開口面積が、
前記陰極部の通電開口面積の2倍乃至3倍以上に形成さ
れていることを特徴とする電鋳装置である。
【0013】前記構成によれば、前記陽極部の通電開口
面積が、前記陰極部の通電開口面積の2倍乃至3倍に形
成されている場合は、特に前記陰極部の電流密度を上昇
させても、前記陽極部の電流密度は、前記陰極部の電流
密度の半分以下に止まることになる。したがって、前記
陽極部でより不動態は生じないようにすることができ、
メッキ液の分解等をさらに未然に防止することができ
る。
【0014】好ましくは、請求項4の発明によれば、請
求項3の構成において、前記陽極部がチタンバスケット
で形成され、このチタンバスケットと前記陰極部のメッ
キ対象物との間に、隔膜面と遮蔽版とが配置され、前記
チタンバスケットと前記隔膜面との間にメッキ液を送る
ための第1の配管部と、前記陰極部と前記遮蔽版との間
にメッキ液を送るための第2の配管部と、を有すること
を特徴とする記載の電鋳装置である。
【0015】前記構成によれば、前記チタンバスケット
と前記隔膜面との間にメッキ液を送るための第1の配管
部と、前記陰極部と前記遮蔽版との間にメッキ液を送る
ための第2の配管部と、を有するので、メッキ液の滞留
を防ぎ、電流を印加した際のメッキ液の温度上昇を未然
に防ぐことができる。したがって、メッキ液の分解をよ
り有効に防止することができる。
【0016】好ましくは、請求項5の発明によれば、請
求項4の構成において、前記チタンバスケットと隔膜面
との距離が約5mm乃至約20mmに形成されると共
に、前記隔膜面と前記遮蔽版との距離が約10mm乃至
約30mmに形成されていることを特徴とする電鋳装置
である。
【0017】前記構成によれば、前記チタンバスケット
と隔膜面との距離が約5mm乃至約20mmに形成され
ると共に、前記隔膜面と前記遮蔽版との距離が約10m
m乃至約30mmに形成されているので、電流が印加さ
れたことによるメッキ液の上昇を正確に制御することが
できる。したがって、メッキ液の分解をさらに有効に防
止することができる。
【0018】好ましくは、請求項6の発明によれば、請
求項5の構成において、前記チタンバスケットは、全体
が箱状に成っており、このチタンバスケットの少なくと
も、陰極部に対向する面には、メッシュが形成されてい
ることを特徴とする電鋳装置である。
【0019】好ましくは、請求項7の発明によれば、請
求項4の構成において、前記遮蔽版の中央部には、開口
部が形成されていると共に、この開口部の外周には、複
数のパンチング穴が形成されているパンチング穴形成部
が形成されていることを特徴とする電鋳装置である。
【0020】前記構成によれば、前記遮蔽版の中央部に
は、開口部が形成されていると共に、この開口部の外周
には、複数のパンチング穴が形成されているパンチング
穴形成部が形成されているので、前記陽極部の電流密度
を大きく上昇させずに、前記陰極部の電流密度を大きく
上昇させることができると共に、メッキ対象物上に形成
されるメッキ膜厚も均一にすることができる。
【0021】好ましくは、請求項8の発明によれば、請
求項1の構成において、前記陰極部がメッキ対象物を載
置するキャップベースと、メッキ対象物を保持するキャ
ップと、を有し、前記メッキ対象物とキャップとの間に
リング状部材が配置されることを特徴とする電鋳装置で
ある。
【0022】前記構成によれば、前記メッキ対象物とキ
ャップとの間にリング状部材が配置されるので、前記メ
ッキ対象物と前記リング状部材との接触面積が大とな
り、メッキ対象物に施された通電皮膜が破壊され難くな
り、通電不良が生じ難くなる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態
を図1乃至図14を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例で
あるから、技術的に好ましい種々の限定が付されている
が、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を
限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られる
ものではない。
【0024】図1は、本実施の形態に係る電鋳装置であ
る傾斜型回転式電鋳装置100を示す概略図である。図
1に示すように、傾斜型回転式電鋳装置100は、ロー
タリーヘッド部110、メッキ槽部130及びコントロ
ールタンク部160等を有している。このロータリーヘ
ッド部110は、陰極部120を備えており、駆動部1
11により陰極部120が回転等するようになってい
る。また、メッキ層部130は、メッキ液を収容する収
容部である本槽150と、この本槽150内に配置され
ている陽極部であるチタンバスケット140とを有して
いる。さらに、コントロールタンク部160は、コント
ロールタンク本体200を有しており、このコントロー
ルタンク本体200から配管170によりメッキ液が本
槽150へ供給されるようになっている。この配管17
0には、メッキ液を本槽150に送るためのポンプ19
0やフィルタ180が設けられている。
【0025】図2は、図1のロータリーヘッド部110
及びメッキ槽部130の詳細を示した斜視図である。図
2に示すようにロータリーヘッド部110は、本槽15
0の蓋151に対して設けられている。そして、この蓋
151の外側には、陰極部120を回転させるためのモ
ータと通電用接点を有する駆動部111が配置され、蓋
151の内側には、陰極部120が配置されている。こ
のようにロータリーヘッド部110が設けられている本
槽150の蓋151を閉めると、この陰極部120は、
本槽150内で約45度の角度に傾斜して配置されるこ
とになる。陰極部120が傾斜して配置されると、本槽
150内に収容されるメッキ液に発生するガス等が容易
に液面方向に抜け、ガス等によってメッキ不良が発生す
るのを防止することができる。また、駆動部111によ
って陰極部120が周方向に回転されられるが、この回
転によって陰極部120に配置されるメッキ対象物であ
る例えば光ディスク原盤の表面に形成されるメッキ膜厚
を均一にすることができる。
【0026】ところで、メッキ液が収容される本槽15
0には、隔壁152を介してチタンバスケット140が
配置されている。このチタンバスケット140は、その
内部にニッケル(Ni)玉等が収容されていると共に、
その陰極部120と対向する面は、網目状のメッシュに
成っている。このチタンバスケット140の近傍には、
電流分布調整用の遮蔽板210やチタンバスケット通電
用のバー220等が設けられている。
【0027】図3は、図2に示す陰極部120の具体的
構成を示す分解斜視図である。図3に示すように陰極部
120は、後述するキャップ124への通電と後述する
ガラス製の光ディスク原盤123を保持するためのキャ
ップベース121を有している。このキャップベース1
21は、駆動部111のモータ等により図の矢印方向に
回転されるように構成されている。このキャプベース1
21円形の面には、メッキ対象物である例えばガラス製
の光ディスク原盤122が載置される。光ディスク原盤
122は、例えば直径が200mm程度に形成される。
この光ディスク原盤122の周縁部に当接するように、
リング状部材である通電リング123が設けられてい
る。通電リング123は、具体的には幅が8mm乃至1
2mmで形成されており、厚みが0.2mm乃至0.5
mmに形成されている。また、材質は金属で例えばSU
S304,316等によって形成されている。
【0028】このような通電リング123を介してキャ
ップ124により、光ディスク原盤122は、キャップ
ベース121に、密着して保持される。また、通電時に
はキャップ124及び通電リング123を介して光ディ
スク原盤122の表面に通電されることになる。ところ
で、この通電リング123は、従来の電鋳装置の陰極部
には、存在しなかったものである。図4(a)に従来の
陰極部のキャップ124と光ディスク原盤122との当
接状態を示す。図4(a)に示すように、従来は光ディ
スク原盤123とキャップ124の端部が当接している
にすぎないため、メッキを行う際に、例えば電流の上昇
を10分で電流値を140A(電流密度50A/d
2 )とした場合、光ディスク原盤123とキャップ1
24との接触部分から、通電皮膜が破壊され、通電不良
の問題が起きていた。これを解決するには、従来、電流
の上昇を10分という短時間ではなく、より長い時間を
かけるしか方法がなかった。
【0029】しかし、本実施の形態では、図4(b)に
示すように通電リング123を介してキャップ124は
光ディスク原盤122と当接している。したがって、光
ディスク原盤122との接触面積が従来より大となる。
このため、例えば電流の上昇を3分乃至4分で電流値を
140A(電流密度50A/dm2 )とした場合でも、
光ディスク原盤123と通電リング123との接触部分
から、通電皮膜が破壊されることがなく、通電不良の問
題が起きるのを未然に防止することができた。このよう
に短時間のメッキが可能となると光ディスク原盤製造工
程の全体のプロセスの時間も短縮することができる。
【0030】このように構成される陰極部120を図2
の本槽150内に配置した状態を示すのが図5である。
図5に示すように陰極部120に対して一定の間隔、例
えば30mm乃至35mm距離をおいて上述の電流分布
調整用の遮蔽板210が配置されている。この遮蔽板2
10は、図6に示すように、その中央に開口部である通
電開口部211が設けられており、この通電開口部21
1は、例えば直径又は長軸方向が120mm乃至140
mmに形成されている。そして、この通電開口部211
の外周には、パンチング穴形成部であるメッシュ状開口
部212が設けられており、この直径又は長軸方向は例
えば300mmに形成されている。このメッシュ状開口
部212の直径又は長軸方向の長さは、後述する隔膜面
230の開口部と同様の大きさと成っている。
【0031】このように構成される遮蔽版210の図5
において左側には、例えば10mm乃至30mmの間隔
を空けて隔膜面230が設けられている。この隔膜面2
30は、図において、その左側に配置されてるチタンバ
スケット140内に収容されているニッケル玉が溶解
し、ニッケルスラッジが発生した場合、このニッケルス
ラッジ飛散防止堰として機能するものである。具体的に
は、隔膜面230は、図7に示すように構成され、その
中央に開口231を有しており、その直径又は長軸方向
の長さは上述の遮蔽板210のメッシュ開口部212と
同様の例えば300mmと成っている。
【0032】さらに、この隔膜面230の図5における
左側には、5mm乃至20mmの間隔を空けてチタンバ
スケット140が配置されている。このチタンバスケッ
ト140は、具体的には、図8に示すように構成されて
いる。すなわち、全体が箱状を成し、その前面141側
である隔膜面230側に網目状のメッシュ部が形成され
ている。また、チタンバスケット140の内部に例え
ば、スルファミン酸ニッケルが玉状に収容されている。
ところで、上述のように、本実施の形態においては、こ
のチタンバスケット140の前面141側に、隔膜面2
30を設け、さらに遮蔽板210を配置する構成となっ
ている。すなわち、チタンバスケット140の前面14
1のメッシュ部の開口は、先ず、隔膜面230で遮断さ
れる。しかし、隔膜面230は、その中央に、例えば直
径又は長軸方向に300mmの開口231を有してい
る。そして、この隔膜面230に対して配置される遮蔽
板210は、その中央の通電開口部211とメッシュ状
開口212を併せた開口部の直径又は長軸方向が300
mmとなっている。この直径又は長軸方向の長さ300
mmが陽極側(チタンバスケット140側)の開口面積
の基準と成る。
【0033】これに対して、上述のように、陰極部12
0の光ディスク原盤122の直径は200mmである
が、その周縁部はキャップ124や通電リング123で
覆われているため、通電開口は、直径185mm程度と
なり、これが開口面積の基準となる。ここで、陽極側の
開口面積の基準となる直径又は長軸方向の長さ300m
mと陰極側の開口面積の基準となる直径185mmを比
べると明らかに陽極側の方が開口面積が大となる。ここ
で、陽極側の開口面積と陰極側の開口面積については、
製品の品質保持、製品の安定化又は装置の実用化の可能
性を考慮すると、陽極側が陰極側により面積比で2倍乃
至3倍の大きさにする必要がある。このように構成され
た傾斜型回転式電鋳装置100に電流を印加し、光ディ
スク原盤122の通電開口表面とチタンバスケット22
0の通電開口表面の電流密度を計測したのが図9であ
る。
【0034】図9に示すように、トータル電流値を14
0Aとし、光ディスク原盤122の表面の電流密度を5
2.2A/dm2 としても、チタンバスケット220の
表面の電流密度は19.8A/dm2 に止まり、チタン
バスケット220側のニッケル玉に不動態が生じる電流
密度である50A/dm2 にはならない。したがって、
メッキ液のPHも低下せず、メッキ液の分解も未然に防
ぐことができる。また、このように光ディスク原盤12
2の表面の電流密度を50A/dm2 まで上昇させるこ
とができるので、図15に示すように、メッキ膜厚30
0μmを30分という高速で形成できることになる。さ
らに、本実施の形態では、上述のようにチタンバスケッ
ト140と隔膜面230、さらに隔膜面230と遮蔽板
210との間を一定の距離、隔離して配置されているの
で、傾斜型回転式電鋳電鋳装置100に電流を印加した
際に、電流の流れが良好となり、上述のように一定のメ
ッキ膜厚を高速に形成しやすくなっている。
【0035】一方、従来は、隔膜面と遮蔽版が分離せず
一体化されており、その中央部の開口は長軸方向又は直
径は160mm乃至170mmとなり、この数値を上述
の光ディスク原盤の開口面積の基準である185mmと
比べると、明らかに開口面積は小となる。このような開
口面積を有する従来のチタンバスケットの表面の電流密
度と光ディスク原盤の表面の電流密度を計測したのが、
図10である。図10に示すように、トータル電流値6
0Aで、光ディスク原盤の表面の電流密度を22A/d
2 まで上昇させると、チタンバスケットの表面の電流
密度も28A/dm2 まで上昇している。したがって、
光ディスク原盤の表面の電流密度を本実施の形態の光デ
ィスク原盤122のと同様に50A/dm2 程度まで上
昇させると、チタンバスケットの電流密度は50A/d
2 を超えてしまい、上述のニッケルの不動態が生じ、
メッキ液の分解を招来するおそれがある。
【0036】このように本実施の形態では、従来の電鋳
装置と異なり、光ディスク原盤122の表面の電流密度
52.2A/dm2 にすると同時に、チタンバスケット
140の表面の電流密度を19.8A/dm2 に押さえ
ることができ、メッキ液の分解を生ぜずに、高速にメッ
キができる傾斜型回転式電鋳装置100である。
【0037】また、従来の電鋳装置では、光ディスク原
盤の表面の電流密度を50A/dm2 程度にまで上昇さ
せ、短時間でメッキ厚膜を形成すると、光ディスク原盤
の表面に形成されるメッキ厚膜にバラツキが生じ、電着
応力が増大していた。しかし、本実施の形態では、図6
に示すように通電開口部211の外側にメッシュ状開口
部212を設けており、且つ、遮蔽板210の通電用開
口の長軸方向の長さ又は直径を125mmとし、陰極部
120とチタンバスケット140との極間距離を60m
m、陰極部120と遮蔽板210との距離を30mm乃
至35mmと成るように形成されている。したがって、
光ディスク原盤122の表面の直径40mm乃至140
mmの範囲内である膜厚エリアに、膜厚を295±5μ
mの範囲で形成することができた。
【0038】また、従来の電鋳装置では、光ディスク原
盤の表面に形成するメッキ厚膜の表面にピットやブツ不
良が多発するという問題があった。しかし、本実施の形
態では、メッキ液にピット防止剤を添加している。した
がって、メッキ厚膜の表面にピットやブツ不良が発生す
るのを未然に防止することができる。
【0039】ところで、図5に示すように、チタンバス
ケット140の図において左側には堰240が設けら
れ、メッキ液がオーバーフローしないように構成されて
いるとともに、メッキ液を図1に示す配管170から本
槽150内部に導く吐出口及びノズルが設けられてい
る。すなわち、図11は、図5におけるノズル等の位置
を示す図である。本実施の形態では、従来の電鋳装置と
異なり、吐出口251が、チタンバスケット140と隔
膜面230との間に配置されている。また、ノズル25
2は、陰極部120と遮蔽板210との間に設けられて
いる。
【0040】このように配置された吐出口251からの
メッキ液は、図において矢印で示すようにチタンバスケ
ット140と隔膜面230との間、及びチタンバスケッ
ト140と堰240との間を流れ、最後は、堰240を
越え、堰240の図において左側に流れるようになって
いる。この吐出口251における流量は、例えば5乃至
20リットル/分である。一方、ノズル252は、陰極
部120と遮蔽板210との間にメッキ液を流すように
配置されている。このように、本実施の形態では、メッ
キ液が特に滞留し易いチタンバスケット140の近傍
に、従来と異なる吐出口251を設け、このチタンバス
ケット140の近傍のメッキ液の流れを促進している。
したがって、電流を印加した際に、メッキ液の温度が著
しく上昇し、例えばメッキ液がチタンバスケット140
の近傍で、通常の50度C乃至55度Cに対し、70度
以上になるのを防止することができる。
【0041】このようにメッキ液が70度以上になる
と、特にスルファミン酸ニッケルを使用している場合
は、メッキ液の分解が発生し、メッキ不良の原因なって
しまう。そのため、上述のように吐出口251を設ける
ことで、メッキ液の分解を未然に防ぐことができるよう
になっている。以上のように構成されている吐出口25
1及びノズル252に供給されるメッキ液は、図12に
示すように循環するようになっている。すなわち、コン
トロールタンク部200内のメッキ液は、このコントロ
ールタンク部200と接続されているポンプ190の作
用により、フィルタ180でろ過された後、第1の配
管171と第2の配管172に分岐される。この第1の
配管171は、チタンバスケット140用の冷却管とな
っており、本槽150内に設けられた吐出口251に接
続されている。
【0042】一方、第2の配管172は、本槽150内
のノズル252に接続されている。このように本槽15
0内に導かれたメッキ液は、オーバーフロー管173に
より、本槽150からコントロールタンク本体200に
戻される。また、本実施の形態では、従来例と異なり、
リターン管174が配置され、メッキ液の循環がより円
滑に行われるようになっている。本実施の形態に係る傾
斜型回転式電鋳装置100は、上述のように構成される
が、以下、その動作等を説明する。先ず、使用者は、傾
斜型回転式電鋳装置100の本槽150内に図12のコ
ントロールタンク本体200からメッキ液を一定量注入
する。このメッキ液には、ピット防止剤が含有されてい
ると共に、メッキ液の設定温度が60度C、通電時に
は、62度乃至64度になるように形成されている。
【0043】次に、図2に示す状態で、メッキを施す対
象である光ディスク原盤122を陰極部120のキャッ
プベース121に配置して、通電リング123を介して
キャップ124を装着する。すると、陰極部120に光
ディスク原盤122が装着されることになる。この状態
で、図5に示すように陰極部120を本槽150内に配
置する。さらにその他所定の操作を行って、傾斜型回転
式電鋳装置100を稼働させる。稼働と同時に電流が流
され、図13に示すように、開始から3分乃至4分でト
ータル電流値が140Aとなる。このとき、陰極部12
0の開口面積よりチタンバスケット140側の陽極側の
ン開口面積が2倍乃至3倍大きくなるように形成されて
いるので、図9に示すように光ディスク原盤122の表
面の電流密度は52,2A/dm2 となるが、チタンバ
スケット140の表面の電流密度は19.8A/dm2
に止まる。
【0044】このため、チタンバスケット140内に収
容されているスルファミン酸ニッケルの玉に上述の不動
態が生ぜず、メッキ液が分解するおそれがない。また、
通電しながら陰極部120のキャップベース121は、
図5の駆動部111により図の矢印方向に回転するた
め、膜厚を均一に形成することができる。また、本実施
の形態では、上述のように遮蔽板210の通電開口部2
11を例えば長軸方向の長さ又は直径を125mm、陰
極部120とチタンバスケット140との極間距離を6
0mm、陰極部120と遮蔽板210との間を30mm
乃至35mm離して設置している。そして、遮蔽板21
0の通電開口部211の外周に、パンチング穴を多数設
けて形成されたメッシュ状開口部212が形成されてい
るので、光ディスク原盤122の表面の直径40mm乃
至140mmの膜厚エリア内に膜厚を295±5mmの
範囲で形成することができる。
【0045】ところで、図13に示すように、上述のよ
うに電流値が140Aとなってから、その状態で電流を
例えば27分30秒流しつづける。すると、図15に示
すようにメッキ膜厚300μmのメッキが光ディスク原
盤122の表面に形成されることになる。この27分3
0秒の間、図12に示すようにメッキ液はコントロール
タンク本体200と本槽150内を循環するので、メッ
キ液の滞留による不良メッキの発生も防ぐことができ
る。また、本槽150内の吐出口251からメッキ液が
チタンバスケット140の近傍に吐出されるため、チタ
ンバスケット140近傍のメッキ液の温度上昇を有効に
防ぐことができる。特に、チタンバスケット140に収
容されているスルファミン酸ニッケルは、温度に弱いた
め、メッキ液を65度以下に保持される必要があり、こ
の温度制御を容易に行うことができる。
【0046】さらに、本槽150内のチタンバスケット
140、隔膜面230、遮蔽板210等は、一定の間隔
を保持しているため、電流の流れもよくなり、より精度
の高いメッキ膜の形成を容易にしている。以上のように
して、光ディスク原盤122の表面に300μmの膜厚
を形成した後、この光ディスク原盤122を陰極部12
0から取り外すことで、一連の作業は終了する。このよ
うに本実施の形態の傾斜型回転式電鋳装置100によれ
ば、わずか27分30秒で均一で良質の300μmの膜
厚を光ディスク原盤122に形成できるので、光ディス
ク原盤製造工程の全体のプロセスの時間を大幅に短縮す
ることができる。また、本実施の形態によれば、製造さ
れた光ディスク原盤の品質も向上することになる。
【0047】本実施の形態においては、ガラス原盤であ
るメタルマスターを例に説明したが、他にニッケルメタ
ル原盤であるマザーやスタンパーでも同様である。
【0048】図15は、本実施の形態の変形例に係る傾
斜型回転式電鋳装置300を示す図である。本変形例で
は、上述の傾斜型回転式電鋳装置100を例えば3台並
べるて構成されている。したがって、光ディスク原盤等
のメッキの生産性をより、向上させることができる。ま
た、図15は、単に傾斜型回転式電鋳装置100を3台
並べたが、これに限らずコントロールタンクを1つに
し、本槽を増設してもよい。
【0049】また、上記各実施の形態の各構成は、その
一部を省略したり、上述していない他の任意の組み合わ
せに変更することができる。
【0050】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、メ
ッキ液の分解を招来させることなく、短時間で高品質の
メッキ膜を形成することができる電鋳装置を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る電鋳装置である傾斜型回転
式電鋳装置を示す概略図である。
【図2】図1のロータリーヘッド部及びメッキ槽部の詳
細を示した斜視図である。
【図3】図2に示す陰極部の具体的構成を示す分解斜視
図である。
【図4】(a)従来のキャップと光ディスク原盤との関
係を示す説明図である。(b)図3のキャップ、通電リ
ング及び光ディスク原盤との関係を示す説明図である。
【図5】図4の陰極部を図2の本槽内に配置した状態を
示すのが概略断面図である。
【図6】遮蔽板を示す概略図である。
【図7】隔膜面を示す概略図である。
【図8】チタンバスケットを示す概略図である。
【図9】光ディスク原盤の通電開口表面とチタンバスケ
ットの通電開口表面の電流密度を計測した図である。
【図10】従来の光ディスク原盤の通電開口表面とチタ
ンバスケットの通電開口表面の電流密度を計測した図で
ある。
【図11】図5におけるノズル等の位置を示す概略図で
ある。
【図12】メッキ液の循環構造を示す概略図である。
【図13】電流とメッキ時間との関係を示す図である。
【図14】本実施の形態の変形例を示す図である。
【図15】電流密度と所要時間との関係を示す図であ
る。
【符号の説明】
100・・・傾斜型回転式電鋳装置、110・・・ロー
アリーヘッド部、120・・・陰極部、121・・・キ
ャップベース、122・・・光ディスク原盤、123・
・・通電リング、124・・・キャップ、130・・・
メッキ槽部、140・・・チタンバスケット、141・
・・前面、150・・・本槽、151・・・蓋、152
・・・隔壁、160・・・コントロールタンク、170
・・・配管、171・・・第1の配管、172・・・第
2の配管、173・・・オーバーフロー管、174・・
・リターン管、180・・・フィルタ、190・・・ポ
ンプ、200・・・コントロールタンク本体、210・
・・遮蔽板、211・・・通電開口部、212・・・メ
ッシュ状開口部、220・・・チタンバスケット通電用
のバー、230・・・隔膜面、240・・・堰、251
・・・吐出口、252・・・ノズル
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年1月30日(2001.1.3
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 電鋳装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、メッキ対象物であ
る、例えば光ディスク原盤の表面にメッキを施すための
電鋳装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばガラス製の光ディスク原盤
にメッキ膜を形成する電鋳装置にあっては、メッキ液を
収容する本槽内に、この光ディスク原盤を配置する陰極
部が形成されている。この陰極部は、光ディスク原盤を
配置する配置する配置面を有すると共に、配置された光
ディスク原盤を回転させるための回転機構を備えてい
る。また、この本槽内には、前記陰極部に対向し、且つ
一定の距離を保持して、陽極部であるチタンバスケット
が配置されている。このチタンバスケットには、ニッケ
ル(Ni)玉が複数個、収容されている。このように構
成される電鋳装置をスタートさせると、前記チタンバス
ケットと光ディスク原盤との間に所定の電流、電圧が印
加され、光ディスク原盤の表面にニッケルのメッキ膜が
一定の膜厚で形成されるようになっている。このような
電鋳装置を用いて光ディスク原盤の表面にメッキを形成
するときの電流と、その時間は例えば以下のように行わ
れる。
【0003】すなわち、例えば光ディスク原盤のサイズ
が直径200mmで、メッキ膜厚を290μm乃至30
0μmに形成する場合、先ず、光ディスク原盤の表面に
0.2A/dm2 乃至0.3A/dm2 の低電流密度が
形成されるように電流を印加する。そして、その後、例
えば10分乃至20分かけて徐々に電流を上げ、光ディ
スク原盤の表面の電流密度を、例えば22A/dm2
至26A/dm2 にまで上昇させる。そして、この電流
密度で70分乃至80分電流を印加しつづけると、光デ
ィスク原盤の表面に300μmの膜厚が形成されること
になる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、光ディスク
原盤の製造工程には、この電鋳装置を用いたメッキ工程
だけでなく、その前工程として、ガラス原盤にピット等
を形成するカッティング工程等がある。このカッティン
グ工程は、近年、工程に要する時間の短縮化が達成さ
れ、現在、30分程度でカッティング工程が終了するよ
うになっている。これに伴い、光ディスク原盤製造工程
の全体のプロセスの時間短縮が要請されるようになって
いる。そこで、上述の電鋳装置によるメッキ工程の時間
も短縮するよう強く要請されている。上述の例では、光
ディスク原盤のサイズが直径200mmで、メッキ膜厚
を290μm乃至300μmに形成するには、光ディス
ク原盤の表面の電流密度を22A/dm2 乃至26A/
dm2 とした場合、70分乃至80分の間、電流を印加
しつづける必要がある。
【0005】ところで、光ディスク原盤の表面の電流密
度と所要時間には、図15に示すような関係がある。す
なわち、光ディスク原盤の表面のメッキ膜厚300μm
を30分以内で行うには、光ディスク原盤の表面の電流
密度を50A/dm2 程度にまで上昇させればよいこと
になる。しかし、このように光ディスク原盤の表面の電
流密度を50A/dm2 程度にまで上昇させると、光デ
ィスク原盤に対向して配置されるチタンバスケット内で
の金属の不動態が発生する。この不動態は、ニッケル
(Ni)の溶解に優先して水酸化イオンや塩素イオンの
放電が生じ、酸素、塩素ガス等発生する現象をいう。こ
の不動態が生じると、本槽内のメッキ液のPHが低下
し、メッキ液の分解が生じ、光ディスク原盤に所望のメ
ッキを形成できなくなってしまうという問題があった。
【0006】また、光ディスク原盤の表面の電流密度を
50A/dm2 程度にまで上昇させると、この高い電流
密度でメッキ液の温度が上昇し、メッキ液が滞留し易い
チタンバスケット付近では、例えばメッキ液の通常の温
度である50度C乃至55度Cを超え70度C以上まで
達することがある。このようにメッキ液の温度が高温に
なると、やはりメッキ液の分解が生じ、光ディスク原盤
に所望のメッキを形成できなくなってしまうという問題
があった。
【0007】そこで、本発明は、以上の点に鑑み、メッ
キ液の分解を招来させることなく、短時間で高品質のメ
ッキ膜を形成することができる電鋳装置を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的は、請求項1の
発明によれば、メッキ液を収容する収容部と、この収容
部内に配置され、且つメッキを施すメッキ対象物を備え
る陰極部と、前記収容部内に配置され、且つ前記陰極部
に対向して配置される陽極部と、を有する電鋳装置であ
って、前記陽極部の通電開口面積が、前記陰極部の通電
開口面積より大きく形成されていることを特徴とする電
鋳装置により、達成される。
【0009】前記構成によれば、前記陽極部の通電開口
面積が、前記陰極部の通電開口面積より大きく形成され
ているので、前記陰極部の電流密度を上昇させても、前
記陽極部の電流密度は、前記陰極部ほど上昇しない。し
たがって、前記陽極部で不動態は生ぜず、メッキ液の分
解等を未然に防止することができる。また、メッキ液が
滞留し易い前記陽極部の電流密度が前記陰極部ほど上昇
しないので、高温によるメッキ液の分解も未然に防止す
ることができる。
【0010】好ましくは、請求項2の構成によれば、請
求項1の構成において、前記陰極部が一定の傾斜角を保
持するように配置されていることを特徴とする電鋳装置
である。
【0011】前記構成によれば、前記陰極部が一定の傾
斜角を保持するように配置されている例えば傾斜型回転
式電鋳装置において、前記陰極部の電流密度を上昇させ
ても、前記陽極部の電流密度は、前記陰極部ほど上昇し
ないようにすることができる。
【0012】好ましくは、請求項3の構成によれば、請
求項2の構成において、前記陽極部の通電開口面積が、
前記陰極部の通電開口面積の2倍乃至3倍以上に形成さ
れていることを特徴とする電鋳装置である。
【0013】前記構成によれば、前記陽極部の通電開口
面積が、前記陰極部の通電開口面積の2倍乃至3倍に形
成されている場合は、特に前記陰極部の電流密度を上昇
させても、前記陽極部の電流密度は、前記陰極部の電流
密度の半分以下に止まることになる。したがって、前記
陽極部でより不動態は生じないようにすることができ、
メッキ液の分解等をさらに未然に防止することができ
る。
【0014】好ましくは、請求項4の発明によれば、請
求項3の構成において、前記陽極部がチタンバスケット
で形成され、このチタンバスケットと前記陰極部のメッ
キ対象物との間に、隔膜面と遮蔽とが配置され、前記
チタンバスケットと前記隔膜面との間にメッキ液を送る
ための第1の配管部と、前記陰極部と前記遮蔽との間
にメッキ液を送るための第2の配管部と、を有すること
を特徴とする記載の電鋳装置である。
【0015】前記構成によれば、前記チタンバスケット
と前記隔膜面との間にメッキ液を送るための第1の配管
部と、前記陰極部と前記遮蔽との間にメッキ液を送る
ための第2の配管部と、を有するので、メッキ液の滞留
を防ぎ、電流を印加した際のメッキ液の温度上昇を未然
に防ぐことができる。したがって、メッキ液の分解をよ
り有効に防止することができる。
【0016】好ましくは、請求項5の発明によれば、請
求項4の構成において、前記チタンバスケットと隔膜面
との距離が約5mm乃至約20mmに形成されると共
に、前記隔膜面と前記遮蔽との距離が約10mm乃至
約30mmに形成されていることを特徴とする電鋳装置
である。
【0017】前記構成によれば、前記チタンバスケット
と隔膜面との距離が約5mm乃至約20mmに形成され
ると共に、前記隔膜面と前記遮蔽との距離が約10m
m乃至約30mmに形成されているので、電流が印加さ
れたことによるメッキ液の温度上昇を正確に制御するこ
とができる。したがって、メッキ液の分解をさらに有効
に防止することができる。
【0018】好ましくは、請求項6の発明によれば、請
求項5の構成において、前記チタンバスケットは、全体
が箱状に成っており、このチタンバスケットの少なくと
も、陰極部に対向する面には、メッシュが形成されてい
ることを特徴とする電鋳装置である。
【0019】好ましくは、請求項7の発明によれば、請
求項4の構成において、前記遮蔽の中央部には、開口
部が形成されていると共に、この開口部の外周には、複
数のパンチング穴が形成されているパンチング穴形成部
が形成されていることを特徴とする電鋳装置である。
【0020】前記構成によれば、前記遮蔽の中央部に
は、開口部が形成されていると共に、この開口部の外周
には、複数のパンチング穴が形成されているパンチング
穴形成部が形成されているので、前記陽極部の電流密度
を大きく上昇させずに、前記陰極部の電流密度を大きく
上昇させることができると共に、メッキ対象物上に形成
されるメッキ膜厚も均一にすることができる。
【0021】好ましくは、請求項8の発明によれば、請
求項1の構成において、前記陰極部がメッキ対象物を載
置するキャップベースと、メッキ対象物を保持するキャ
ップと、を有し、前記メッキ対象物とキャップとの間に
リング状部材が配置されることを特徴とする電鋳装置で
ある。
【0022】前記構成によれば、前記メッキ対象物とキ
ャップとの間にリング状部材が配置されるので、前記メ
ッキ対象物と前記リング状部材との接触面積が大とな
り、メッキ対象物に施された通電皮膜が破壊され難くな
り、通電不良が生じ難くなる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、この発明の好適な実施形態
を図1乃至図14を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例で
あるから、技術的に好ましい種々の限定が付されている
が、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を
限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られる
ものではない。
【0024】図1は、本実施の形態に係る電鋳装置であ
る傾斜型回転式電鋳装置100を示す概略図である。図
1に示すように、傾斜型回転式電鋳装置100は、ロー
タリーヘッド部110、メッキ槽部130及びコントロ
ールタンク部160等を有している。このロータリーヘ
ッド部110は、陰極部120を備えており、駆動部1
11により陰極部120が回転等するようになってい
る。また、メッキ層部130は、メッキ液を収容する収
容部である本槽150と、この本槽150内に配置され
ている陽極部であるチタンバスケット140とを有して
いる。さらに、コントロールタンク部160は、コント
ロールタンク本体200を有しており、このコントロー
ルタンク本体200から配管170によりメッキ液が本
槽150へ供給されるようになっている。この配管17
0には、メッキ液を本槽150に送るためのポンプ19
0やフィルタ180が設けられている。
【0025】図2は、図1のロータリーヘッド部110
及びメッキ槽部130の詳細を示した斜視図である。図
2に示すようにロータリーヘッド部110は、本槽15
0の蓋151に対して設けられている。そして、この蓋
151の外側には、陰極部120を回転させるためのモ
ータと通電用接点を有する駆動部111が配置され、蓋
151の内側には、陰極部120が配置されている。こ
のようにロータリーヘッド部110が設けられている本
槽150の蓋151を閉めると、この陰極部120は、
本槽150内で約45度の角度に傾斜して配置されるこ
とになる。陰極部120が傾斜して配置されると、本槽
150内に収容されるメッキ液に発生するガス等が容易
に液面方向に抜け、ガス等によってメッキ不良が発生す
るのを防止することができる。また、駆動部111によ
って陰極部120が周方向に回転されられるが、この回
転によって陰極部120に配置されるメッキ対象物であ
る例えば光ディスク原盤の表面に形成されるメッキ膜厚
を均一にすることができる。
【0026】ところで、メッキ液が収容される本槽15
0には、隔壁152を介してチタンバスケット140が
配置されている。このチタンバスケット140は、その
内部にニッケル(Ni)玉等が収容されていると共に、
その陰極部120と対向する面は、網目状のメッシュに
成っている。このチタンバスケット140の近傍には、
電流分布調整用の遮蔽板210やチタンバスケット通電
用のバー220等が設けられている。
【0027】図3は、図2に示す陰極部120の具体的
構成を示す分解斜視図である。図3に示すように陰極部
120は、後述するキャップ124への通電と後述する
ガラス製の光ディスク原盤123を保持するためのキャ
ップベース121を有している。このキャップベース1
21は、駆動部111のモータ等により図の矢印方向に
回転されるように構成されている。このキャプベース1
21円形の面には、メッキ対象物である例えばガラス製
の光ディスク原盤122が載置される。光ディスク原盤
122は、例えば直径が200mm程度に形成される。
この光ディスク原盤122の周縁部に当接するように、
リング状部材である通電リング123が設けられてい
る。通電リング123は、具体的には幅が8mm乃至1
2mmで形成されており、厚みが0.2mm乃至0.5
mmに形成されている。また、材質は金属で例えばSU
S304,316等によって形成されている。
【0028】このような通電リング123を介してキャ
ップ124により、光ディスク原盤122は、キャップ
ベース121に、密着して保持される。また、通電時に
はキャップ124及び通電リング123を介して光ディ
スク原盤122の表面に通電されることになる。ところ
で、この通電リング123は、従来の電鋳装置の陰極部
には、存在しなかったものである。図4(a)に従来の
陰極部のキャップ124と光ディスク原盤122との当
接状態を示す。図4(a)に示すように、従来は光ディ
スク原盤123とキャップ124の端部が当接している
にすぎないため、メッキを行う際に、例えば電流の上昇
を10分で電流値を140A(電流密度50A/d
2 )とした場合、光ディスク原盤123とキャップ1
24との接触部分から、通電皮膜が破壊され、通電不良
の問題が起きていた。これを解決するには、従来、電流
の上昇を10分という短時間ではなく、より長い時間を
かけるしか方法がなかった。
【0029】しかし、本実施の形態では、図4(b)に
示すように通電リング123を介してキャップ124は
光ディスク原盤122と当接している。したがって、光
ディスク原盤122との接触面積が従来より大となる。
このため、例えば電流の上昇を3分乃至4分で電流値を
140A(電流密度50A/dm2 )とした場合でも、
光ディスク原盤123と通電リング123との接触部分
から、通電皮膜が破壊されることがなく、通電不良の問
題が起きるのを未然に防止することができた。このよう
に短時間のメッキが可能となると光ディスク原盤製造工
程の全体のプロセスの時間も短縮することができる。
【0030】このように構成される陰極部120を図2
の本槽150内に配置した状態を示すのが図5である。
図5に示すように陰極部120に対して一定の間隔、例
えば30mm乃至35mm距離をおいて上述の電流分布
調整用の遮蔽板210が配置されている。この遮蔽板2
10は、図6に示すように、その中央に開口部である通
電開口部211が設けられており、この通電開口部21
1は、例えば直径又は長軸方向が120mm乃至140
mmに形成されている。そして、この通電開口部211
の外周には、パンチング穴形成部であるメッシュ状開口
部212が設けられており、この直径又は長軸方向は例
えば300mmに形成されている。このメッシュ状開口
部212の直径又は長軸方向の長さは、後述する隔膜面
230の開口部と同様の大きさと成っている。
【0031】このように構成される遮蔽210の図5
において左側には、例えば10mm乃至30mmの間隔
を空けて隔膜面230が設けられている。この隔膜面2
30は、図において、その左側に配置されてるチタンバ
スケット140内に収容されているニッケル玉が溶解
し、ニッケルスラッジが発生した場合、このニッケルス
ラッジ飛散防止堰として機能するものである。具体的に
は、隔膜面230は、図7に示すように構成され、その
中央に開口231を有しており、その直径又は長軸方向
の長さは上述の遮蔽板210のメッシュ開口部212と
同様の例えば300mmと成っている。
【0032】さらに、この隔膜面230の図5における
左側には、5mm乃至20mmの間隔を空けてチタンバ
スケット140が配置されている。このチタンバスケッ
ト140は、具体的には、図8に示すように構成されて
いる。すなわち、全体が箱状を成し、その前面141側
である隔膜面230側に網目状のメッシュ部が形成され
ている。また、チタンバスケット140の内部に例え
ば、スルファミン酸ニッケルが玉状に収容されている。
ところで、上述のように、本実施の形態においては、こ
のチタンバスケット140の前面141側に、隔膜面2
30を設け、さらに遮蔽板210を配置する構成となっ
ている。すなわち、チタンバスケット140の前面14
1のメッシュ部の開口は、先ず、隔膜面230で遮断さ
れる。しかし、隔膜面230は、その中央に、例えば直
径又は長軸方向に300mmの開口231を有してい
る。そして、この隔膜面230に対して配置される遮蔽
板210は、その中央の通電開口部211とメッシュ状
開口212を併せた開口部の直径又は長軸方向が300
mmとなっている。この直径又は長軸方向の長さ300
mmが陽極側(チタンバスケット140側)の通電開口
面積の基準と成る。
【0033】これに対して、上述のように、陰極部12
0の光ディスク原盤122の直径は200mmである
が、その周縁部はキャップ124や通電リング123で
覆われているため、通電開口は、直径185mm程度と
なり、これが通電開口面積の基準となる。ここで、陽極
側の通電開口面積の基準となる直径又は長軸方向の長さ
300mmと陰極側の通電開口面積の基準となる直径1
85mmを比べると明らかに陽極側の方の通電開口面積
が大となる。ここで、陽極側の通電開口面積と陰極側の
通電開口面積については、製品の品質保持、製品の安定
化又は装置の実用化の可能性を考慮すると、陽極側が陰
極側により面積比で2倍乃至3倍の大きさにする必要が
ある。このように構成された傾斜型回転式電鋳装置10
0に電流を印加し、光ディスク原盤122の通電開口表
面とチタンバスケット220の通電開口表面の電流密度
を計測したのが図9である。
【0034】図9に示すように、トータル電流値を14
0Aとし、光ディスク原盤122の表面の電流密度を5
2.2A/dm2 としても、チタンバスケット220の
表面の電流密度は19.8A/dm2 に止まり、チタン
バスケット220側のニッケル玉に不動態が生じる電流
密度である50A/dm2 にはならない。したがって、
メッキ液のPHも低下せず、メッキ液の分解も未然に防
ぐことができる。また、このように光ディスク原盤12
2の表面の電流密度を50A/dm2 まで上昇させるこ
とができるので、図15に示すように、メッキ膜厚30
0μmを30分という高速で形成できることになる。さ
らに、本実施の形態では、上述のようにチタンバスケッ
ト140と隔膜面230、さらに隔膜面230と遮蔽板
210との間を一定の距離、隔離して配置されているの
で、傾斜型回転式電鋳電鋳装置100に電流を印加した
際に、電流の流れが良好となり、上述のように一定のメ
ッキ膜厚を高速に形成しやすくなっている。
【0035】一方、従来は、隔膜面と遮蔽が分離せず
一体化されており、その中央部の開口は長軸方向又は直
径は160mm乃至170mmとなり、この数値を上述
の光ディスク原盤の開口面積の基準である185mmと
比べると、明らかに開口面積は小となる。このような開
口面積を有する従来のチタンバスケットの表面の電流密
度と光ディスク原盤の表面の電流密度を計測したのが、
図10である。図10に示すように、トータル電流値6
0Aで、光ディスク原盤の表面の電流密度を22A/d
2 まで上昇させると、チタンバスケットの表面の電流
密度も28A/dm2 まで上昇している。したがって、
光ディスク原盤の表面の電流密度を本実施の形態の光デ
ィスク原盤122のと同様に50A/dm2 程度まで上
昇させると、チタンバスケットの電流密度は50A/d
2 を超えてしまい、上述のニッケルの不動態が生じ、
メッキ液の分解を招来するおそれがある。
【0036】このように本実施の形態では、従来の電鋳
装置と異なり、光ディスク原盤122の表面の電流密度
52.2A/dm2 にすると同時に、チタンバスケット
140の表面の電流密度を19.8A/dm2 に押さえ
ることができ、メッキ液の分解を生ぜずに、高速にメッ
キができる傾斜型回転式電鋳装置100である。
【0037】また、従来の電鋳装置では、光ディスク原
盤の表面の電流密度を50A/dm 2 程度にまで上昇さ
せ、短時間でメッキ厚膜を形成すると、光ディスク原盤
の表面に形成されるメッキ厚膜にバラツキが生じ、電着
応力が増大していた。しかし、本実施の形態では、図6
に示すように通電開口部211の外側にメッシュ状開口
部212を設けており、且つ、遮蔽板210の通電用開
口の長軸方向の長さ又は直径を125mmとし、陰極部
120とチタンバスケット140との極間距離を60m
m、陰極部120と遮蔽板210との距離を30mm乃
至35mmと成るように形成されている。したがって、
光ディスク原盤122の表面の直径40mm乃至140
mmの範囲内である膜厚エリアに、膜厚を295±5μ
mの範囲で形成することができた。
【0038】また、従来の電鋳装置では、光ディスク原
盤の表面に形成するメッキ厚膜の表面にピットやブツ不
良が多発するという問題があった。しかし、本実施の形
態では、メッキ液にピット防止剤を添加している。した
がって、メッキ厚膜の表面にピットやブツ不良が発生す
るのを未然に防止することができる。
【0039】ところで、図5に示すように、チタンバス
ケット140の図において左側には堰240が設けら
れ、メッキ液がオーバーフローしないように構成されて
いるとともに、メッキ液を図1に示す配管170から本
槽150内部に導く吐出口及びノズルが設けられてい
る。すなわち、図11は、図5におけるノズル等の位置
を示す図である。本実施の形態では、従来の電鋳装置と
異なり、吐出口251が、チタンバスケット140と隔
膜面230との間に配置されている。また、ノズル25
2は、陰極部120と遮蔽板210との間に設けられて
いる。
【0040】このように配置された吐出口251からの
メッキ液は、図において矢印で示すようにチタンバスケ
ット140と隔膜面230との間、及びチタンバスケッ
ト140と堰240との間を流れ、最後は、堰240を
越え、堰240の図において左側に流れるようになって
いる。この吐出口251における流量は、例えば5乃至
20リットル/分である。一方、ノズル252は、陰極
部120と遮蔽板210との間にメッキ液を流すように
配置されている。このように、本実施の形態では、メッ
キ液が特に滞留し易いチタンバスケット140の近傍
に、従来と異なる吐出口251を設け、このチタンバス
ケット140の近傍のメッキ液の流れを促進している。
したがって、電流を印加した際に、メッキ液の温度が著
しく上昇し、例えばメッキ液がチタンバスケット140
の近傍で、通常の50度C乃至55度Cに対し、70度
以上になるのを防止することができる。
【0041】このようにメッキ液が70度以上になる
と、特にスルファミン酸ニッケルを使用している場合
は、メッキ液の分解が発生し、メッキ不良の原因なって
しまう。そのため、上述のように吐出口251を設ける
ことで、メッキ液の分解を未然に防ぐことができるよう
になっている。以上のように構成されている吐出口25
1及びノズル252に供給されるメッキ液は、図12に
示すように循環するようになっている。すなわち、コン
トロールタンク部200内のメッキ液は、このコントロ
ールタンク部200と接続されているポンプ190の作
用により、フィルタ180でろ過された後、 、第1の配
管171と第2の配管172に分岐される。この第1の
配管171は、チタンバスケット140用の冷却管とな
っており、本槽150内に設けられた吐出口251に接
続されている。
【0042】一方、第2の配管172は、本槽150内
のノズル252に接続されている。このように本槽15
0内に導かれたメッキ液は、オーバーフロー管173に
より、本槽150からコントロールタンク本体200に
戻される。また、本実施の形態では、従来例と異なり、
リターン管174が配置され、メッキ液の循環がより円
滑に行われるようになっている。本実施の形態に係る傾
斜型回転式電鋳装置100は、上述のように構成される
が、以下、その動作等を説明する。先ず、使用者は、傾
斜型回転式電鋳装置100の本槽150内に図12のコ
ントロールタンク本体200からメッキ液を一定量注入
する。このメッキ液には、ピット防止剤が含有されてい
ると共に、メッキ液の設定温度が60度C、通電時に
は、62度乃至64度になるように形成されてい
る。
【0043】次に、図2に示す状態で、メッキを施す対
象である光ディスク原盤122を陰極部120のキャッ
プベース121に配置して、通電リング123を介して
キャップ124を装着する。すると、陰極部120に光
ディスク原盤122が装着されることになる。この状態
で、図5に示すように陰極部120を本槽150内に配
置する。さらにその他所定の操作を行って、傾斜型回転
式電鋳装置100を稼働させる。稼働と同時に電流が流
され、図13に示すように、開始から3分乃至4分でト
ータル電流値が140Aとなる。このとき、陰極部12
0の開口面積よりチタンバスケット140側の陽極側の
ン開口面積が2倍乃至3倍大きくなるように形成されて
いるので、図9に示すように光ディスク原盤122の表
面の電流密度は52,2A/dm2 となるが、チタンバ
スケット140の表面の電流密度は19.8A/dm2
に止まる。
【0044】このため、チタンバスケット140内に収
容されているスルファミン酸ニッケルの玉に上述の不動
態が生ぜず、メッキ液が分解するおそれがない。また、
通電しながら陰極部120のキャップベース121は、
図5の駆動部111により図の矢印方向に回転するた
め、膜厚を均一に形成することができる。また、本実施
の形態では、上述のように遮蔽板210の通電開口部2
11を例えば長軸方向の長さ又は直径を125mm、陰
極部120とチタンバスケット140との極間距離を6
0mm、陰極部120と遮蔽板210との間を30mm
乃至35mm離して設置している。そして、遮蔽板21
0の通電開口部211の外周に、パンチング穴を多数設
けて形成されたメッシュ状開口部212が形成されてい
るので、光ディスク原盤122の表面の直径40mm乃
至140mmの膜厚エリア内に膜厚を295±5μmの
範囲で形成することができる。
【0045】ところで、図13に示すように、上述のよ
うに電流値が140Aとなってから、その状態で電流を
例えば27分30秒流しつづける。すると、図15に示
すようにメッキ膜厚300μmのメッキが光ディスク原
盤122の表面に形成されることになる。この27分3
0秒の間、図12に示すようにメッキ液はコントロール
タンク本体200と本槽150内を循環するので、メッ
キ液の滞留による不良メッキの発生も防ぐことができ
る。また、本槽150内の吐出口251からメッキ液が
チタンバスケット140の近傍に吐出されるため、チタ
ンバスケット140近傍のメッキ液の温度上昇を有効に
防ぐことができる。特に、チタンバスケット140に収
容されているスルファミン酸ニッケルは、温度に弱いた
め、メッキ液を65度以下に保持される必要があり、
この温度制御を容易に行うことができる。
【0046】さらに、本槽150内のチタンバスケット
140、隔膜面230、遮蔽板210等は、一定の間隔
を保持しているため、電流の流れもよくなり、より精度
の高いメッキ膜の形成を容易にしている。以上のように
して、光ディスク原盤122の表面に300μmの膜厚
を形成した後、この光ディスク原盤122を陰極部12
0から取り外すことで、一連の作業は終了する。このよ
うに本実施の形態の傾斜型回転式電鋳装置100によれ
ば、わずか27分30秒で均一で良質の300μmの膜
厚を光ディスク原盤122に形成できるので、光ディス
ク原盤製造工程の全体のプロセスの時間を大幅に短縮す
ることができる。また、本実施の形態によれば、製造さ
れた光ディスク原盤の品質も向上することになる。
【0047】本実施の形態においては、ガラス原盤であ
るメタルマスターを例に説明したが、他にニッケルメタ
ル原盤であるマザーやスタンパーでも同様である。
【0048】図1は、本実施の形態の変形例に係る傾
斜型回転式電鋳装置300を示す図である。本変形例で
は、上述の傾斜型回転式電鋳装置100を例えば3台並
べて構成されている。したがって、光ディスク原盤等の
メッキの生産性をより、向上させることができる。ま
た、図1は、単に傾斜型回転式電鋳装置100を3台
並べたが、これに限らずコントロールタンクを1つに
し、本槽を増設してもよい。
【0049】また、上記各実施の形態の各構成は、その
一部を省略したり、上述していない他の任意の組み合わ
せに変更することができる。
【0050】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、メ
ッキ液の分解を招来させることなく、短時間で高品質の
メッキ膜を形成することができる電鋳装置を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る電鋳装置である傾斜型回転
式電鋳装置を示す概略図である。
【図2】図1のロータリーヘッド部及びメッキ槽部の詳
細を示した斜視図である。
【図3】図2に示す陰極部の具体的構成を示す分解斜視
図である。
【図4】(a)従来のキャップと光ディスク原盤との関
係を示す説明図である。(b)図3のキャップ、通電リ
ング及び光ディスク原盤との関係を示す説明図である。
【図5】図4の陰極部を図2の本槽内に配置した状態を
示すのが概略断面図である。
【図6】遮蔽板を示す概略図である。
【図7】隔膜面を示す概略図である。
【図8】チタンバスケットを示す概略図である。
【図9】光ディスク原盤の通電開口表面とチタンバスケ
ットの通電開口表面の電流密度を計測した図である。
【図10】従来の光ディスク原盤の通電開口表面とチタ
ンバスケットの通電開口表面の電流密度を計測した図で
ある。
【図11】図5におけるノズル等の位置を示す概略図で
ある。
【図12】メッキ液の循環構造を示す概略図である。
【図13】電流とメッキ時間との関係を示す図である。
【図14】本実施の形態の変形例を示す図である。
【図15】電流密度と所要時間との関係を示す図であ
る。
【符号の説明】 100・・・傾斜型回転式電鋳装置、110・・・ロー
アリーヘッド部、120・・・陰極部、121・・・キ
ャップベース、122・・・光ディスク原盤、123・
・・通電リング、124・・・キャップ、130・・・
メッキ槽部、140・・・チタンバスケット、141・
・・前面、150・・・本槽、151・・・蓋、152
・・・隔壁、160・・・コントロールタンク、170
・・・配管、171・・・第1の配管、172・・・第
2の配管、173・・・オーバーフロー管、174・・
・リターン管、180・・・フィルタ、190・・・ポ
ンプ、200・・・コントロールタンク本体、210・
・・遮蔽板、211・・・通電開口部、212・・・メ
ッシュ状開口部、220・・・チタンバスケット通電用
のバー、230・・・隔膜面、240・・・堰、251
・・・吐出口、252・・・ノズル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田添 稔 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 伊藤 誠 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 瀬川 雄司 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5D121 BA05 CB07 CB09

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メッキ液を収容する収容部と、 この収容部内に配置され、且つメッキを施すメッキ対象
    物を備える陰極部と、 前記収容部内に配置され、且つ前記陰極部に対向して配
    置される陽極部と、を有する電鋳装置であって、 前記陽極部の通電開口面積が、前記陰極部の通電開口面
    積より大きく形成されていることを特徴とする電鋳装
    置。
  2. 【請求項2】 前記陰極部が一定の傾斜角を保持するよ
    うに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の
    電鋳装置。
  3. 【請求項3】 前記陽極部の通電開口面積が、前記陰極
    部の通電開口面積の2倍乃至3倍に形成されていること
    を特徴とする請求項2に記載の電鋳装置。
  4. 【請求項4】 前記陽極部がチタンバスケットで形成さ
    れ、 このチタンバスケットと前記陰極部のメッキ対象物との
    間に、隔膜面と遮蔽版とが配置され、 前記チタンバスケットと前記隔膜面との間にメッキ液を
    送るための第1の配管部と、 前記陰極部と前記遮蔽版との間にメッキ液を送るための
    第2の配管部と、を有することを特徴とする請求項3に
    記載の電鋳装置。
  5. 【請求項5】 前記チタンバスケットと隔膜面との距離
    が約5mm乃至約20mmに形成されると共に、前記隔
    膜面と前記遮蔽版との距離が約10mm乃至約30mm
    に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の電
    鋳装置。
  6. 【請求項6】 前記チタンバスケットは、全体が箱状に
    成っており、 このチタンバスケットの少なくとも、陰極部に対向する
    面には、メッシュが形成されていることを特徴とする請
    求項5に記載の電鋳装置。
  7. 【請求項7】 前記遮蔽版の中央部には、開口部が形成
    されていると共に、この開口部の外周には、複数のパン
    チング穴が形成されているパンチング穴形成部が形成さ
    れていることを特徴とする請求項4に記載の電鋳装置。
  8. 【請求項8】 前記陰極部がメッキ対象物を載置するキ
    ャップベースと、 メッキ対象物を保持するキャップと、を有し、 前記メッキ対象物とキャップとの間にリング状部材が配
    置されることを特徴とする請求項1に記載の電鋳装置。
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