JP2002003512A - 暴走反応の停止方法 - Google Patents

暴走反応の停止方法

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JP2002003512A
JP2002003512A JP2000194947A JP2000194947A JP2002003512A JP 2002003512 A JP2002003512 A JP 2002003512A JP 2000194947 A JP2000194947 A JP 2000194947A JP 2000194947 A JP2000194947 A JP 2000194947A JP 2002003512 A JP2002003512 A JP 2002003512A
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reaction
runaway
meth
reaction system
polymerization
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JP2000194947A
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English (en)
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Yuichi Kawada
雄一 川田
Fumihide Tamura
文秀 田村
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塊状重合反応において暴走反応が発生して
も、これを効果的に停止して、塊状重合反応の実施上の
安全性を向上させることができる、暴走反応の停止方法
を提供する。 【解決手段】 塊状重合の進行過程で暴走反応が発生し
た場合に、反応系を撹拌しながら、水を主成分とする冷
却溶媒と、界面活性剤とを添加する。これによって、反
応系に冷却溶媒が十分に分散して混合され、蓄積された
反応熱が迅速に除熱されるので、暴走反応の原因そのも
のが除去されることになる。その結果、暴走反応を容
易、迅速、かつ確実に停止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学反応の進行過
程で発生する制御困難な発熱反応、すなわち暴走反応を
停止するための方法に関するものであり、特に、単量体
を重合する、たとえば塊状重合において発生した暴走反
応を確実かつ効率的に停止するための方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より、単量体(モノマー)を重合す
ることによって重合体を得る様式、すなわち重合反応を
行う様式(以下、重合様式とする)としては、一般的
に、反応系の状態から、塊状重合、溶液重合、懸濁重
合、および乳化重合の4種類に分類することができる。
【0003】中でも塊状重合は、単量体に重合触媒(開
始剤)を添加するのみで重合を行う反応である。そのた
め、得られる重合体の品質を一定にすることが容易であ
り、かつ生産速度も同一に制御することも容易であるこ
とから、重合体の品質や製造コストの面で特に大きな利
点がある。
【0004】ところが、上記塊状重合は、上記4種類の
中でも反応系での単量体濃度が最も高くなる様式である
ため、重合反応の反応速度は小さな乱れ(たとえば重合
体の不均一な層ができるなど)によって大きく変化し易
い。その結果、塊状重合では、制御困難な発熱反応、す
なわち暴走反応が発生し易くなる。このような暴走反応
は、爆発や火災などといった大事故を引き起こすことに
もなるため、塊状重合は安全性の面で大きな問題点を有
する。
【0005】ここで、重合反応が暴走した場合にとられ
る処置としては、一般的には、重合禁止剤を添加する処
置が挙げられる。具体的には、たとえば、不飽和ポリエ
ステル樹脂の製造において暴走反応が発生した場合に
は、不飽和ポリエステル樹脂における単量体成分の一つ
であるグリコールに重合禁止剤を十分に加えたものを反
応系に添加する。これによって、暴走している重合反応
を阻害する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な重合禁止剤を添加する処置は、実際には、反応の暴走
を効果的に阻止できないという問題点を招来している。
【0007】すなわち、上記の処置では、重合反応その
ものを阻害することを目的としているため、暴走反応が
生じた場合には、重合禁止剤を反応系に対してごく短時
間に分散して溶解させる必要がある。ところが、特に塊
状重合などにおいては、溶媒等を用いないため、反応系
が高粘度化している。その結果、重合禁止剤を反応系に
分散・溶解させることが非常に困難である。
【0008】また、上記のように、反応系に含まれる液
体成分(たとえば不飽和ポリエステル樹脂の製造の場合
は単量体であるグリコール)に十分な量の重合禁止剤を
分散させてから、この液体成分とともに重合禁止剤を添
加する手法であれば、該重合禁止剤を反応系に分散・溶
解させ易くすることは可能である。
【0009】しかしながら、暴走反応の発生に迅速に対
応するためには、上記液体成分に重合禁止剤を分散させ
たものを予め大量に準備しておかなければならない。そ
のため、上記液体成分や重合禁止剤の種類によっては、
上記液体成分や重合禁止剤を大量に準備するだけでも高
コスト化するだけでなく、安全性などの問題からその取
扱いも非常に煩雑となるおそれがある。
【0010】このように、従来では、塊状重合のような
発熱を伴う化学反応において反応が暴走した場合に、こ
の暴走を確実に停止できる有効な処置がなかった。その
ため、暴走反応時の安全対策などから、製造規模を制限
したり、安全対策設備を充実化したり、反応系の組成を
制限するなどといった各種の制限を実施しなければなら
ず、製造コストが上昇し、かつ塊状重合の利点も十分に
出し切れていないという問題点を招来している。
【0011】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
のであって、その目的は、たとえば塊状重合のような発
熱を伴う化学反応において暴走反応が発生しても、これ
を効果的に停止して、塊状重合反応の実施上の安全性を
向上させることができる、暴走反応の停止方法を提供す
ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意検討した結果、塊状重合反応に
おいて暴走が発生した場合に、重合反応そのものを阻害
するのではなく、重合反応が暴走する原因となってい
る、過剰に蓄積された反応熱を効率的に除去すること
で、迅速かつ確実に暴走反応を停止できることを見出
し、本発明を完成させるに至った。
【0013】すなわち、本発明にかかる暴走反応の停止
方法は、上記の課題を解決するために、塊状重合反応の
進行過程で暴走反応が発生した場合に、該暴走反応が発
生した反応系を撹拌しながら、水を主成分とする冷却溶
媒と、界面活性剤とを添加することを特徴としている。
【0014】上記方法では、反応系に対して水を主成分
とする冷却溶媒を添加して分散させ、単に反応熱を除去
するだけによって暴走反応を停止する。水は、比熱が大
きく冷却効率も大きく量も豊富で、さらに、消防法で規
制の対象外にあるため、低コスト、高い冷却効率、およ
び管理や取扱いが容易であるため、水を主成分とする冷
却溶媒を用いることで、反応熱を容易かつ確実に除去す
ることができる。
【0015】しかも、反応系に対しては、上記冷却溶媒
に加えて、界面活性剤が添加されるので、反応系と水を
主成分とする上記冷却溶媒との間に親和性がないような
場合でも、冷却溶媒を反応系に迅速かつ確実に分散・混
合することができる。その結果、反応系から迅速に熱が
奪われるため、暴走反応を容易かつ確実に停止すること
ができる。
【0016】このように本発明では、反応熱の蓄積とい
う、反応が暴走する根本的な問題点を除去することにな
るので、化学反応を阻害する物質を用いて反応そのもの
を阻害する場合と比べて、プロセスが単純となり、制御
が容易でしかも安全性も高くなる。その結果、暴走反応
を容易かつ確実に停止することができる。
【0017】さらに、上記方法においては、反応系に応
じて、重合禁止剤を添加してもよい。これによって、反
応系から蓄積された反応熱を除去するだけでなく、重合
反応そのものを阻害することになり、暴走反応をより確
実に停止することが可能となる。
【0018】本発明にかかる暴走反応の停止方法は、塊
状重合反応において暴走が発生した場合に好適に用いら
れるが、上記塊状重合の具体的な例としては、(メタ)
アクリルシラップを製造する場合が挙げられる。
【0019】具体的には、上記塊状重合反応として、
(メタ)アクリルシラップの製造で実施される単量体の
重合工程での重合反応、および、(メタ)アクリルシラ
ップの製造で実施されるエステル化工程中で副次的に発
生する重合反応の少なくとも何れかが挙げられる。
【0020】また、本発明にかかる暴走反応の停止方法
が、特に顕著な効果を発揮する化学反応の条件として
は、常圧下で、かつ反応温度が100℃以下であり、さ
らに、該反応温度と反応系中の主成分の沸点との温度差
が30℃以内となる条件下である。このような条件下で
本発明を適用すれば、非常に効果的かつ安全に暴走反応
を停止することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について説
明すれば、以下の通りである。なお、本発明はこれに限
定されるものではない。
【0022】本発明にかかる暴走反応の停止方法は、重
合反応の進行過程で暴走反応が発生した場合に、反応系
に蓄積された反応熱を除去する(以下、除熱と称する)
方法である。具体的には、暴走反応が発生した反応系を
撹拌しながら、冷却溶媒を添加する。この方法では、暴
走反応の原因となる蓄積された反応熱を効果的に除熱す
ることができる上に、反応系に対して反応を阻害する物
質(たとえば重合禁止剤など)のように添加剤を分散・
溶解させる必要がない。それゆえ、その制御が容易であ
り安全性が高くなるとともに、塊状重合のように反応系
が高粘度化する場合には非常に有効となる。
【0023】本発明における「暴走反応」または反応が
「暴走する」とは、発熱を伴う化学反応を進行している
過程で、反応熱が蓄積されて反応系の温度が異常に上昇
することで、重合反応そのものが制御困難となる現象を
指す。
【0024】具体的には、通常、重合反応は反応熱を除
去しながら(除熱しながら)一定温度(すなわち一定重
合速度)で実施される。ところが、その反応熱による反
応系の内温が反応装置の除熱能力を超えて上昇し始める
と、この内温の上昇に伴って反応速度も速くなり、結果
として加速度的に内温が上昇して重合反応の制御が困難
となる「暴走」状態に陥る。このような暴走反応は、火
災や爆発といった事故を引き起こす可能性が高くなるの
で、極めて危険なものである。
【0025】上記暴走反応が非常に発生し易い化学反応
としては、たとえば塊状重合が挙げられる。塊状重合で
は、除熱能力を低下させる因子としては種々のものを挙
げることができるが、特に、反応系の粘度の上昇という
因子が最も大きく機能する。これは、塊状重合の進行に
より、反応系に含まれる樹脂濃度などが上昇することに
よって反応系の粘度も上昇するため、反応系の流動性が
低下して効率的な除熱が困難になり易いためである。そ
こで、本実施の形態では、上記塊状重合、より具体的に
は、後述するように、(メタ)アクリルシラップの製造
を例に挙げて本発明を詳細に説明する。
【0026】塊状重合は、単量体をそのまま、または少
量の開始剤を用いて重合する方法であり、溶媒などの各
種添加剤をほとんど用いないため、溶媒などの影響を受
けることがない。そのため、製品の品質や製造コスト面
で他の重合方法と比較して生成する重合体の純度を向上
させることができるなどのメリットがある。
【0027】ところが、この塊状重合では、反応系のほ
とんどが単量体であるため、重合反応に関与しない、た
とえば溶媒などによる反応系の冷却効果がほとんど得ら
れない。そのため、反応系に重合熱が非常に蓄積し易く
なる。しかも、重合の進行に伴って重合体の量が増大し
て反応系の粘度が上昇していき、結果的に生成する重合
体が塊状に固化することになるので、重合熱の効率的な
除熱も非常に困難となる。
【0028】このように塊状重合では、温度調節が非常
に困難であるため、重合熱が蓄積され易く、その結果、
重合反応そのものが制御困難となる上記暴走反応が非常
に発生し易い。
【0029】本実施の形態では、単量体と、該単量体の
重合により生成した重合体とを含む反応系に対して、該
反応系を撹拌しながら、多量の冷却溶媒を所定の速度で
添加する。そのため、冷却溶媒が反応系に迅速かつ確実
に混合されるので、反応系から迅速に除熱されるため、
暴走反応を容易かつ確実に停止することができる。
【0030】本発明に用いられる上記冷却溶媒として
は、効率的に反応系を除熱できるように液体であるとと
もに、冷却効率が高ければ特に限定されるものではな
い。しかしながら、実用上、この冷却溶媒は反応系に対
して多量に添加する必要があるため、該冷却溶媒には、
冷却効率以外に、多量に準備することが容易である、
常備している状態でも管理や取扱いが容易である、と
いう二つの条件が求められる。したがって、上記冷却溶
媒としては、安価であり、かつ可燃性や毒性などの有害
な性質がないものが特に好ましい。
【0031】より具体的には、上記冷却溶媒としては、
水が非常に好ましく用いられる。水は日常生活で必須の
物質であり安全性が高く、比熱が大きく冷却効率も大き
く量も豊富で、さらに、消防法で規制の対象外にあるた
め、上記およびの条件を確実に満たすことができ
る。したがって、冷却溶媒として水を用いることで、低
コスト、高い冷却効率、および管理や取扱いが容易で安
全であるという優れた効果を得ることができる。
【0032】上記水の品質についても特に限定されるも
のではないが、本発明では暴走反応を停止することを主
目的としているため、純度は低いもので構わない。たと
えば、通常の工業用水や循環水などが好適に用いられ
る。なお、純度の高いイオン交換水や蒸留水、あるいは
超純水なども用いることができるが、コスト上の面から
鑑みれば、上記工業用水や循環水などがより好ましい。
【0033】上記冷却溶媒としての水に対しては、暴走
反応を効果的に停止するための種々の添加剤を添加して
もよい。このような添加剤は、暴走反応が発生した場合
に、適宜水に添加されるようにしておくことが非常に好
ましい。つまり、本発明にかかる暴走反応の停止方法に
おいては、水に各種の添加剤を加えてもよいが、このよ
うな添加剤は水に添加して配合した状態では準備しない
ことが非常に好ましい。これによって冷却溶媒としての
水を大量かつ容易に準備することができる。
【0034】上記冷却溶媒の投入速度は、反応系の種類
や製造規模、投入設備などによって種々変化するもので
あり、特に限定されるものではないが、たとえば、製造
設備における内容物(すなわち反応系)に対する1分あ
たりの投入量と内容物との重量比(冷却溶媒の投入量
(1分当たり)/内容物の量)が0.1以上2以下の範
囲内が好ましく、0.3以上1以下の範囲内がより好ま
しい。0.1未満では除熱効果が小さ過ぎて好ましくな
い。一方、2を超えると、短時間で多量の冷却溶媒を投
入することになるので、大規模な製造設備を容易する必
要があるなどコストアップを招来するため好ましくな
い。なお、上記1分あたりの冷却溶媒の投入量と内容物
との重量比を、投入速度比と称する。
【0035】上記冷却溶媒の全投入量(添加量)として
は、暴走反応を停止できる程度に反応系から熱を奪うこ
とのできる量であれば特に限定されるものではない。し
たがって、冷却溶媒の全投入量は、重合反応系の規模な
どに応じて適宜設定されるものであるが、通常、反応系
に対して0.3重量倍以上3重量倍以下の範囲内が好ま
しく、0.5重量倍以上2重量倍以下の範囲内がより好
ましい。
【0036】冷却溶媒の全投入量が0.3重量倍未満で
あれば、反応系に対する冷却溶媒の全投入量が少な過ぎ
て十分に冷却することができなくなるおそれがある。一
方、3重量倍を超えると、冷却溶媒の常備などの面でコ
スト高になったり管理が煩雑になったりするおそれがあ
る。たとえば、製造設備内には、投入される冷却溶媒を
受け入れる空き容積を確保しておかなければならない
が、製造設備の容積には限界があるので、大量に投入さ
れる冷却溶媒に対応し得る空き容積を確保するためには
製造量を少なくしなければならないという問題点が発生
する。
【0037】なお、反応系に対する分散性を考慮すれ
ば、上記冷却溶媒としては、反応系に含まれる物質との
親和性が高いものを優先的に選択することも考えられ
る。したがって、塊状重合の場合では、反応系に含まれ
る単量体との親和性から、一般には、各種有機溶媒が好
ましく選択される。ところが、有機溶媒は、可燃性や揮
発性を有していたり、有毒であったりするものが多いた
め、多量に準備して使用するには、その管理や取扱いが
困難となるおそれがある。それゆえ、上記のように、水
を冷却溶媒として用いることが非常に好ましい。
【0038】そこで、本発明では、反応系と冷却溶媒と
の親和性が低い場合にも十分対応できるように、適宜界
面活性剤を添加することが非常に好ましい。これによっ
て、冷却溶媒がより迅速かつより確実に反応系に分散・
混合されるため、暴走反応をより一層確実に停止するこ
とができる。
【0039】本発明に用いられる上記界面活性剤として
は、反応系、すなわち単量体および重合体の種類と、冷
却溶媒の種類とに応じて適宜選択されるものであり、特
に限定されるものではないが、たとえば、カルボン酸
塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩
などの陰イオン界面活性剤;脂肪族アミン塩、ベンザル
コニウム塩、ピリジニウム塩などの陽イオン界面活性
剤;カルボキシベタイン、アミノカルボン酸などの両性
界面活性剤;エーテル型、エーテルエステル型、エステ
ル型、窒素含有型などの非イオン性界面活性剤;フッ素
系界面活性剤;などが挙げられる。
【0040】上記界面活性剤の全添加量としては、上記
冷却溶媒を反応系に効率的に分散・混合できる程度の量
であれば特に限定されるものではないが、冷却溶媒を1
00重量部とした場合、該冷却溶媒に対して、0.05
重量部以上2重量部以下の範囲内で添加されることが好
ましく、0.1重量部以上1重量部以下の範囲内で添加
されることがより好ましい。0.05重量部未満であれ
ば、冷却溶媒を反応系に十分分散・混合させることがで
きない。一方、2重量部を超えると、添加量に見合った
効率的な冷却溶媒の分散・混合効果が得られない。
【0041】本実施の形態で例に挙げる重合反応の反応
系は、単量体の種類にもよるが、一般には水との親和性
が低い性質であることが多い。したがって、特に塊状重
合の反応系に対して単に水を添加しただけでは、水と反
応系が分離してしまい、迅速かつ効率的な除熱ができ
ず、暴走反応を停止することができない。しかしなが
ら、本発明では、反応系を撹拌しながら界面活性剤およ
び水を加えるため、水との親和性が低い反応系であって
も、水が容易に反応系に分散・混合されるため、非常に
効率的に除熱を行うことができる。その結果、重合熱の
蓄積を原因とする暴走反応を効果的に停止することがで
きる。
【0042】本発明にかかる暴走反応の停止方法では、
界面活性剤および冷却溶媒を混合する方法としては、冷
却溶媒を迅速かつ確実に分散させることができれば特に
限定されるものではないが、(i)反応系を撹拌しなが
ら、先に上記界面活性剤を添加し、その後、撹拌を継続
しながら冷却溶媒を上述した範囲内の速度で徐々に添加
する方法;(ii)反応系を撹拌しながら、界面活性剤を
分散・混合させた冷却溶媒を徐々に添加する方法;が好
ましく用いられる。
【0043】上記界面活性剤および冷却溶媒の添加に伴
う反応系の撹拌方法や撹拌条件については、界面活性剤
および冷却溶媒を反応系に十分に分散・混合できるので
あれば特に限定されるものではない。
【0044】本発明にかかる暴走反応の停止方法におい
ては、上記界面活性剤および冷却溶媒に加えて、暴走し
ている重合反応を阻害する物質、すなわち重合禁止剤を
添加してもよい。重合禁止剤を添加することによって、
反応系からの除熱だけでなく、重合反応そのものを阻害
することになるため、暴走反応をより確実に停止するこ
とが可能となる。
【0045】上記重合禁止剤は、反応系の種類などに応
じて適宜選択されるものであり、何ら限定されるもので
はない。また、その添加量についても、重合反応を十分
に阻害できる量であれば、特に限定されるものではな
い。ただし本発明では、上記重合禁止剤は、冷却溶媒お
よび界面活性剤を添加した上で、補助的に添加されるも
のであるため、単に重合禁止剤のみを添加する場合より
も添加量は少なくすることができる。
【0046】上記重合禁止剤としては、具体的には、従
来から用いられている各種重合禁止剤が適宜用いられ、
特に限定されるものではない。たとえば、ハイドロキノ
ン、メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノ
ン、p−メトキシフェノール、パラベンゾキノン、カテ
コール、およびこれらの誘導体などが好ましく用いられ
る。
【0047】上記重合禁止剤の具体的な添加量として
は、特に限定されるものではないが、反応系に使用され
る重合開始剤に対して1重量倍以上30重量倍以下の範
囲内であることが好ましく、2重量倍以上15重量倍以
下の範囲内であることが好ましい。1重量倍未満であれ
ば、添加量が少なく反応系全体にわたって十分に重合反
応を阻害できない可能性があるので好ましくない。
【0048】上記重合禁止剤の添加方法としては、冷却
溶媒を添加する前か、冷却溶媒や有機溶剤に予め混合し
た状態で反応系に添加することが好ましい。これは、重
合禁止剤のみでは、反応系に効率的に分散・混合するこ
とができないためである。
【0049】本発明にかかる暴走反応の停止方法は、化
学反応の種類や反応系に含まれる物質の種類、あるいは
その他添加剤などによって適用範囲が限定されるもので
はない。しかしながら、本発明が特に好ましく適用でき
る反応条件としては、常圧下で、かつ反応温度が100
℃以下である。
【0050】反応系に含まれる主成分(たとえば塊状重
合では、単量体成分)の沸点と反応温度とが比較的接近
していると、暴走反応が発生した場合、反応系の突沸に
よる爆発や火災の危険性が非常に高くなる。したがっ
て、このような条件下では、反応阻害物質を分散・混合
して反応を阻止するよりも、本発明のように、反応系か
ら除熱する方法が非常に好ましく用いられる。また、常
圧下で実施される化学反応であれば、反応系に対して上
記冷却溶媒、および、界面活性剤および/または反応阻
害物質を容易かつ迅速に添加できる。
【0051】一方、加圧下や減圧下条件では、一旦常圧
に戻した時点で、上記冷却溶媒、および、界面活性剤お
よび/または重合禁止剤を添加しなければならないた
め、緊急時に対応することが難しい場合がある。
【0052】また、本発明にかかる暴走反応の停止方法
では、冷却溶媒として水を用いることが非常に好ましい
ため、化学反応の反応温度が100℃を超えると、反応
系に対して水を添加した時点で水が蒸発することにな
り、たとえば突沸などで内容物が吹き出すといった二次
災害を誘発しかねないなどの危険性がある。
【0053】本発明が好ましく適用できる条件は、上記
のように、常圧下で、かつ反応温度が100℃以下であ
り、さらに、該反応温度と反応系中の主成分の沸点との
温度差が30℃以内となる条件下で実施される化学反応
である。このような条件下で塊状重合が実施される例と
しては、たとえば、(メタ)アクリル系単量体を重合す
る反応を挙げることができる。
【0054】そこで、本実施の形態では、本発明を詳細
に説明するために、塊状重合が好適に用いられる(メ
タ)アクリルシラップの製造方法を例に挙げる。
【0055】上記(メタ)アクリルシラップの具体的な
製造方法について説明する。(メタ)アクリルシラップ
は(メタ)アクリル系重合体とその他のビニル単量体と
を含んでなっているものである。具体的には、この(メ
タ)アクリル系重合体としては、架橋性または非架橋性
(メタ)アクリル系重合体を含む(メタ)アクリルシラ
ップが挙げられる。
【0056】上記非架橋性(メタ)アクリル系重合体を
含む(メタ)アクリルシラップの製造方法としては、特
に限定されるものではないが、たとえば、(メタ)アク
リル酸エステルと、必要に応じてその他の単量体とを重
合する方法が挙げられる。上記その他の単量体として
は、たとえば、カルボキシル基含有単量体や、スチレ
ン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチ
レンなどのスチレン系単量体などが挙げられるが特に限
定されるものではない。
【0057】架橋性を有する(メタ)アクリル系重合体
を含む(メタ)アクリルシラップの製造方法としても特
に限定されるものではないが、たとえば、(メタ)アク
リル酸エステルと、カルボキシル基を有する単量体とを
含む単量体成分(以下、単に単量体成分とする)とを重
合してカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系重合
体を得て、この重合体に対して不飽和エポキシ化合物を
用いて重合性二重結合を導入する方法;(メタ)アクリ
ル酸エステルと、グリシジル基を有する単量体とを含む
単量体成分とを重合してグリシジル基を有する(メタ)
アクリル系重合体を得て、この重合体に対して不飽和酸
を用いて重合性二重結合を導入する方法;などが挙げら
れる。
【0058】上記(メタ)アクリル酸エステルとしては
特に限定されるものではないが、具体的には、たとえ
ば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブ
チル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリ
レート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル
ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アク
リレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)ア
クリル酸シクロアルキルエステル;ジメチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メ
タ)アクリレートなどの塩基性(メタ)アクリル酸エス
テル;などが挙げられる。中でも、メチルメタクリレー
ト(メタクリル酸メチル、MMA)、および、メチルメ
タクリレートを主成分とする(メタ)アクリル酸エステ
ルが特に好ましく用いられる。上記(メタ)アクリル酸
エステルは、一種類のみを用いてもよく、また、二種類
以上を併用してもよい。
【0059】なお、(メタ)アクリル酸エステルとして
塩基性(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合には、
塩基性(メタ)アクリル酸エステルに対して、中性(メ
タ)アクリル酸エステルを100重量%以上用いて重合
することが好ましい。上記の中性(メタ)アクリル酸エ
ステルとしては、たとえば、前記例示の(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロアル
キルエステルなどが挙げられる。
【0060】その他の単量体としては、重合可能な二重
結合を有する化合物であればよく、特に限定されるもの
ではないが、上述した架橋性(メタ)アクリル系重合体
を得るためには、カルボキシル基を有する単量体、また
はグリシジル基を有する単量体などの架橋構造を付与す
る単量体を、その他の単量体として用いることができ
る。
【0061】上記カルボキシル基を有する単量体(以
下、カルボキシル基含有単量体とする)は、重合可能な
二重結合と、カルボキシル基とを分子内に有する化合物
であればよく、特に限定されるものではない。該カルボ
キシル基含有単量体としては、具体的には、たとえば、
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香
酸などの不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル
酸、イタコン酸、シトラコン酸などの不飽和ジカルボン
酸;これら不飽和ジカルボン酸のモノエステル;酸無水
物のモノエステルなどの長鎖カルボキシル基含有単量
体;などが挙げられる。そして、上記不飽和ジカルボン
酸のモノエステルとしては、たとえば、マレイン酸モノ
メチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチ
ル、マレイン酸モノオクチル、フマル酸モノメチル、フ
マル酸モノエチル、フマル酸モノブチル、フマル酸モノ
オクチル、シトラコン酸モノエチルなどが挙げられる。
また、上記酸無水物のモノエステルとしては、たとえ
ば、コハク酸モノエステル、フタル酸モノエステル、ヘ
キサフタル酸モノエステルなどが挙げられる。これらカ
ルボキシル基含有単量体は、一種類のみを用いてもよ
く、また、二種類以上を併用してもよい。
【0062】上記の長鎖カルボキシル基含有単量体は、
ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの
該ヒドロキシル基を、酸無水物でエステル化することに
よって得られる。上記の酸無水物としては、具体的に
は、たとえば、無水コハク酸、無水フタル酸、無水ヘキ
サヒドロフタル酸などが挙げられる。上記ヒドロキシル
基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、たと
えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートへのε−カプ
ロラクトン開環付加物、または、2−ヒドロキシエチル
(メタ)アクリレートへのγ−ブチロラクトン開環付加
物などを用いることができる。
【0063】カルボキシル基含有単量体の使用量は特に
限定されるものではないが、架橋性(メタ)アクリル系
重合体を得る場合には、単量体成分中、0.5重量%〜
50重量%の範囲内であることがより好ましく、1重量
%〜20重量%の範囲内であることがさらに好ましく、
3重量%〜10重量%の範囲内であることが特に好まし
い。
【0064】上記グリシジル基を有する単量体(以下、
グリシジル基含有単量体とする)は、重合可能な二重結
合と、グリシジル基とを分子内に有する化合物であれば
よく、特に限定されるものではない。該グリシジル基含
有単量体としては、たとえば、不飽和エポキシ化合物が
挙げられる。具体的には、たとえば、アリルグリシジル
エーテル;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグ
リシジル(メタ)アクリレート;エポキシ樹脂のモノ
(メタ)アクリレート;などが挙げられる。これら不飽
和エポキシ化合物は、一種類のみを用いてもよく、ま
た、二種類以上を併用してもよい。
【0065】上記単量体成分は、カルボキシル基を含有
しないビニル化合物(モノマー)を必要に応じて含んで
いる。上記ビニル化合物は、重合可能な二重結合を有す
る化合物であればよく、特に限定されるものではない。
該ビニル化合物としては、具体的には、たとえば、スチ
レン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロス
チレンなどのスチレン系単量体;酢酸ビニルなどのビニ
ルエステル;アリルアルコール、エチレングリコールモ
ノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエ
ーテルなどのアリル化合物;(メタ)アクリルアミド;
(メタ)アクリロニトリル;N−メトキシメチルアクリ
ルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミドなどのN
−アルコキシ置換(メタ)アクリルアミド;不飽和塩基
性単量体;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシ
ルマレイミド、N−イソプロピルマレイミドなどのマレ
イミド系単量体;などが挙げられる。これらビニル化合
物は、必要に応じて、一種類のみを用いてもよく、ま
た、二種類以上を併用してもよい。
【0066】(メタ)アクリル酸エステルにビニル化合
物を混合する場合における両者の混合割合、すなわち、
上記単量体成分におけるビニル化合物の含有量は、ビニ
ル化合物の種類や(メタ)アクリル酸エステルとの組み
合わせなどにもよるが、50重量%以下が好ましい。
【0067】上記の単量体成分を重合させる際には、重
合開始剤を使用することが望ましい。上記の重合開始剤
としては、具体的には、たとえば、2,2’−アゾビス
イソブチロニトリル、2−フェニルアゾ−2,4−ジメ
チル−4−メトキシバレロニトリルなどのアゾ化合物な
どが挙げられるが、特に限定されるものではない。これ
ら重合開始剤は、一種類のみを用いてもよく、また、二
種類以上を併用してもよい。単量体成分に対する重合開
始剤の添加量などは、特に限定されるものではない。
【0068】上記単量体成分を重合させる際には、重合
体の平均分子量等を調節するために、連鎖移動剤を単量
体成分に添加することがより望ましい。上記の連鎖移動
剤は、特に限定されるものではないが、単量体成分の重
合反応を極めて容易に制御できることから、チオール化
合物が最適である。上記のチオール化合物としては、具
体的には、たとえば、t−ブチルメルカプタン、n−オ
クチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタンなどの
アルキルメルカプタン;チオフェノール、チオナフトー
ルなどの芳香族メルカプタン;チオグリコール酸;チオ
グリコール酸オクチル、エチレングリコールジチオグリ
コレート、トリメチロールプロパントリス−(チオグリ
コレート)、ペンタエリスリトールテトラキス−(チオ
グリコレート)などのチオグリコール酸アルキルエステ
ル;β−メルカプトプロピオン酸;β−メルカプトプロ
ピオン酸オクチル、1,4−ブタンジオールジ(β−チ
オプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス−
(β−チオプロピオネート)、ペンタエリスリトールテ
トラキス−(β−チオプロピオネート)等のβ−メルカ
プトプロピオン酸アルキルエステル;などが挙げられる
が、特に限定されるものではない。これら連鎖移動剤
は、一種類のみを用いてもよく、また、二種類以上を併
用してもよい。なお、連鎖移動剤として、α−メチルス
チレンダイマー、四塩化炭素などを用いることもでき
る。
【0069】連鎖移動剤の使用量は、該連鎖移動剤の種
類や、(メタ)アクリル酸エステルなどとの組み合わせ
等などに応じて設定すればよく、特に限定されるもので
はないが、単量体成分に対して0.1重量%〜15重量
%の範囲内が好適である。
【0070】(メタ)アクリルシラップに含まれる上記
その他のビニル単量体としては、重合可能な二重結合を
有する化合物であればよく、特に限定されるものではな
い。該ビニル単量体としては、具体的には、たとえば、
前述した(メタ)アクリル酸エステルやカルボキシル基
含有単量体、後述するグリシジル基含有単量体、あるい
はその他のビニル化合物などが挙げられる。
【0071】これら化合物の中でも、メタクリル酸アル
キルエステル、スチレン系単量体がより好ましく用いら
れる。さらに、該メタクリル酸アルキルエステルのう
ち、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n
−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレー
ト、 sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリ
レートがより好ましく用いられ、メチルメタクリレート
が特に好ましく用いられる。上記スチレン系単量体のう
ち、スチレンが特に好ましく用いられる。また、これら
ビニル単量体は、一種類のみを用いてもよく、また、二
種類以上を併用してもよい。
【0072】上記その他のビニル単量体に含まれるその
他のビニル化合物の具体的な例を挙げると、たとえば、
芳香族ビニル単量体や多官能単量体などが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、具体的には、たとえば、
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロ
ロスチレン、ジクロロスチレン、t−ブチルスチレン、
ビニルトルエンなどが挙げられるが特に限定されるもの
ではない。
【0073】多官能単量体としては、具体的には、たと
えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)
アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;エポ
キシ(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン、ジア
リルフタレート、ジアリルイソフタレート、トリアリル
シアヌレート、トリアリルイソシアヌレート;などが挙
げられるが、(メタ)アクリルシラップに含まれる官能
基と反応する重合性二重結合を分子内に複数有する化合
物であれば特に限定されるものではない。
【0074】上記(メタ)アクリルシラップにおける
(メタ)アクリル系重合体とその他のビニル単量体との
割合(比率)は、両者の合計量を100重量%として、
(メタ)アクリル系重合体が7重量%〜80重量%の範
囲内、その他のビニル単量体が93重量%〜20重量%
の範囲内となるように調節することが好ましい。また、
必要に応じて、(メタ)アクリル系重合体およびその他
のビニル単量体以外に、各種添加剤などの他の成分が含
まれていてもよい。
【0075】上記単量体成分の重合方法としては、たと
えば、塊状重合(バルク重合)、溶液重合、懸濁重合、
乳化重合などの公知の重合方法を採用することができる
が、生成する重合体の純度が向上する点、他の重合方法
に比べて重合速度が迅速化する点、重合体の分子量が大
きくなる点という、重合体の品質や製造コスト面の利点
から、塊状重合が特に好ましく選択される。なお、塊状
重合については、後述する暴走反応の停止方法とともに
具体的に説明する。
【0076】また、上記(メタ)アクリルシラップの製
造方法は特に限定されるものではないが、上述した(メ
タ)アクリル系単量体を重合するプロセスにおいて、単
量体成分の重合を途中で停止させる方法、すなわち、部
分重合を好ましく用いることができる。これにより、
(メタ)アクリル系重合体と、未反応の単量体成分との
混合物が得られるので、一段階で(メタ)アクリルシラ
ップを製造することができる。
【0077】さらに、架橋性(メタ)アクリル系重合体
を含む架橋性(メタ)アクリルシラップを製造する場合
には、(a)不飽和エポキシ化合物を用いて、前述した
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体に重合性
二重結合を導入する手法、または、(b)前述したグリ
シジル基含有(メタ)アクリル系重合体が有するグリシ
ジル基に対して、不飽和酸が有するカルボキシル基を反
応させる(グリシジル基を開環反応させる)手法が好適
に用いられる。
【0078】上記(a)の手法で用いられる上記不飽和
エポキシ化合物としては、カルボキシル基含有(メタ)
アクリル系単量体が有する該カルボキシル基と反応可能
なエポキシ基と、重合性の二重結合とを有する化合物で
あればよく、特に限定されるものではなく、前述した不
飽和エポキシ化合物が挙げられる。
【0079】上記不飽和エポキシ化合物の使用量は、不
飽和エポキシ化合物の種類や、カルボキシル基含有(メ
タ)アクリル系重合体との組み合わせなどに応じて設定
すればよく、特に限定されるものではないが、カルボキ
シル基含有(メタ)アクリル系重合体の原料として用い
たカルボキシル基含有単量体に対して、0.5倍モル〜
2倍モルの範囲内がより好ましく、0.8倍モル〜1.
5倍モルの範囲内がさらに好ましい。
【0080】上記不飽和エポキシ化合物を用いて、カル
ボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体に重合性二重
結合の導入を促進するための触媒としては、特に限定さ
れるものではないが、具体的には、たとえば、Zn、S
nおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの
元素を含有する触媒、または、四級ホスホニウム塩を挙
げることができる。これら触媒を用いた、重合性二重結
合の導入方法については後述する。
【0081】上記(b)の手法で用いられる不飽和酸と
しては、グリシジル基含有(メタ)アクリル系重合体が
有する該グリシジル基と反応可能なカルボキシル基と、
重合性の二重結合とを有する化合物であればよく、特に
限定されるものではない。上記の不飽和酸としては、た
とえば、前述したカルボキシル基含有単量体が挙げられ
る。なお、上記グリシジル基の開環反応の反応条件など
は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体と不
飽和エポキシ化合物とのエステル化反応の反応条件など
と同様である。
【0082】上記Zn、SnおよびZrからなる群より
選ばれる少なくとも1つの元素を含有する触媒、また
は、四級ホスホニウム塩を用いた、重合性二重結合の導
入方法について説明する。つまり、本実施の形態におけ
る重合性二重結合の導入方法は、カルボキシル基含有
(メタ)アクリル系重合体が有するカルボキシル基に対
して、不飽和エポキシ化合物が有するエポキシ基を開環
反応させることによって、すなわち、エステル化反応さ
せることよって、該カルボキシル基含有(メタ)アクリ
ル系重合体に重合性二重結合を導入するものである。
【0083】上記触媒はエステル化触媒であり、Zn、
SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つ
の元素を含有する金属化合物(以下、単に金属化合物と
記す)、並びに、四級ホスホニウム塩である。上記の金
属化合物並びに四級ホスホニウム塩は、触媒活性が高
く、主に、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合
体が有するカルボキシル基と、不飽和エポキシ化合物と
の反応を促進することができる。すなわち、上記触媒
は、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体への
重合性二重結合の導入を促進することができる。
【0084】また、金属化合物並びに四級ホスホニウム
塩は、(メタ)アクリルシラップ、および該シラップを
含む本発明にかかる樹脂組成物を着色させることがな
い。さらに、該金属化合物並びに四級ホスホニウム塩を
用いることにより、従来の(一般的な)触媒によって生
じる(メタ)アクリル系樹脂組成物の貯蔵安定性の低下
を、抑制することができる。
【0085】上記金属化合物としては、Zn、Snおよ
びZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を
含有する無機金属化合物、オキソ酸金属塩、ポリオキソ
酸金属塩、有機金属化合物、有機酸金属塩、金属錯塩な
どが挙げられる。
【0086】上記無機金属化合物としては、Zn、Sn
およびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの金
属の、金属フッ化物、金属塩化物、金属臭化物、金属ヨ
ウ化物等の金属ハロゲン化物;金属酸化物、金属硫化物
等の金属カルコゲン化物;金属窒化物;金属リン化物;
金属砒化物;金属炭化物;金属ケイ化物;金属ホウ化
物;金属シアン化物;金属水酸化物;金属塩化酸化物;
などが挙げられるが、特に限定されるものではない。該
無機金属化合物としては、具体的には、たとえば、塩化
亜鉛、酸化ジルコニウム、硫化スズなどが挙げられる。
【0087】上記のオキソ酸金属塩としては、Zn、S
nおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの
金属の、硫酸金属塩、硝酸金属塩、リン酸金属塩、ホス
フィン酸金属塩、ホスホン酸金属塩、メタリン酸金属
塩、ホウ酸金属塩、塩素酸金属塩、臭素酸金属塩、ヨウ
素酸金属塩、ケイ酸金属塩などが挙げられるが特に限定
されるものではない。該オキソ酸金属塩としては、具体
的には、たとえば、硫酸スズ、リン酸亜鉛、硝酸ジルコ
ニウムなどが挙げられる。なお、本発明において、オキ
ソ酸金属塩には、リン酸水素亜鉛などの水素塩も含まれ
るものとする。
【0088】上記のポリオキソ酸金属塩としては、Z
n、SnおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも
1つの金属の、ポリリン酸金属塩、ポリホウ酸金属塩、
ポリニオブ酸金属塩、ポリタンタル酸金属塩、ポリモリ
ブデン酸金属塩、ポリバナジン酸金属塩、ポリタングス
テン酸金属塩などが挙げられるが特に限定されるもので
はない。該ポリオキソ酸金属塩としては、具体的には、
たとえば、ポリリン酸亜鉛などが挙げられる。
【0089】上記有機金属化合物としては、下記一般式
(1) M−(R)n ・・・(1) (式中、MはZn、SnおよびZrからなる群より選ば
れる1つの元素であり、Rはメチル基、エチル基、メト
キシ基、エトキシなどの有機基であり、nは1〜6の整
数である)で表される化合物などが挙げられるが、特に
限定されるものではない。該有機金属化合物としては、
具体的には、たとえば、ジエチル亜鉛、テトラエトキシ
ジルコニウムなどが挙げられる。
【0090】上記有機酸金属塩としては、Zn、Snお
よびZrからなる群より選ばれる少なくとも1つの金属
の、金属石鹸、酢酸金属塩、安息香酸金属塩、サリチル
酸金属塩、シュウ酸金属塩、酒石酸金属塩、乳酸金属
塩、クエン酸金属塩などが挙げられるが、特に限定され
るものではない。上記金属石鹸としては、脂肪酸金属塩
(たとえば、ラウリル酸金属塩、ミリスチン酸金属塩、
パルミチン酸金属塩、ステアリン酸金属塩、オレイン酸
金属塩など)、ナフテン酸金属塩、オクチル酸金属塩、
スルホン酸金属塩、硫酸エステル金属塩、リン酸エステ
ル金属塩などが挙げられる。該金属石鹸としては、具体
的には、たとえば、オクチル酸亜鉛、ステアリン酸スズ
などが挙げられる。また、金属石鹸以外の有機酸金属塩
としては、具体的には、たとえば、酢酸亜鉛、サリチル
酸スズなどが挙げられる。
【0091】上記金属錯塩としては、下記一般式(2) M−(L)n ・・・(2) (式中、MはZn、SnおよびZrからなる群より選ば
れる1つの元素であり、Lはアセチルアセトンなどの配
位子であり、nは1〜6の整数である)で表される化合
物などが挙げられるが特に限定されるものではない。該
金属錯塩としては、具体的には、たとえば、アセチルア
セトン亜鉛などが挙げられる。
【0092】上記の四級ホスホニウム塩としては、具体
的には、たとえば、テトラフェニルホスホニウムクロラ
イド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラ
ブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニ
ウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムクロ
ライド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、
ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジ
ルトリフェニルホスホニウムブロマイド、テトラブチル
ホスホニウムヒドロキシドなどが挙げられる。上記例示
の四級ホスホニウム塩のうち、エステル化反応にかかる
時間を短縮することができるので、テトラフェニルホス
ホニウム塩がより好ましく、テトラフェニルホスホニウ
ムブロマイドが特に好ましい。
【0093】四級ホスホニウム塩は、Zn、Snおよび
Zrからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素を含
有する上記各種化合物と比較して、触媒活性が高い。し
たがって、触媒として四級ホスホニウム塩を用いてエス
テル化反応を行うことにより、エステル結合を介して重
合性二重結合が導入された(メタ)アクリル系重合体の
分子量分布を、より小さく(狭く)することができる。
より具体的には、四級ホスホニウム塩を用いてエステル
化反応を行うことにより、該(メタ)アクリル系重合体
の分子量分布を示すd値(Mw/Mn)を、1〜2の範
囲内に調節することができる。
【0094】上記触媒の使用量は、その種類やカルボキ
シル基含有(メタ)アクリル系重合体などとの組み合わ
せ等に応じて設定すればよく、特に限定されるものでは
ないが、(A)触媒が金属化合物である場合、つまり、
上記各種化合物である場合には、カルボキシル基含有
(メタ)アクリル系重合体100重量部に対して、0.
005重量部〜5重量部の範囲内がより好ましく、0.
05重量部〜3重量部の範囲内がさらに好ましい。ま
た、(B)触媒が四級ホスホニウム塩である場合には、
カルボキシル基含有(メタ)アクリル系重合体100重
量部に対して、0.005重量部〜5重量部の範囲内が
より好ましく、0.05重量部〜4重量部の範囲内がさ
らに好ましく、0.1重量部〜3重量部の範囲内が特に
好ましい。
【0095】上記のエステル化反応を行う際には、必要
に応じて、重合禁止剤を共存させてもよい。該重合禁止
剤としては、具体的には、たとえば、ハイドロキノン、
メチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、p
−メトキシフェノールなどが挙げられるが、特に限定さ
れるものではない。また、上記のエステル化反応を行う
際には、必要に応じて、溶媒を用いることができる。該
溶媒としては、水および/または有機溶媒が好適であ
る。
【0096】上記のエステル化反応において、カルボキ
シル基含有(メタ)アクリル系重合体と単量体とからな
る(メタ)アクリルシラップ、不飽和エポキシ化合物、
および、金属化合物または四級ホスホニウム塩を混合す
る順序や方法は、特に限定されるものではなく、該(メ
タ)アクリルシラップと不飽和エポキシ化合物との反応
時に、金属化合物または四級ホスホニウム塩が存在して
いればよい。
【0097】本実施の形態における(メタ)アクリルシ
ラップの製造方法では、上記のように塊状重合が好まし
く用いられる。この塊状重合を行う際の反応温度や反応
時間などの反応条件は、特に限定されるものではなく、
たとえば、公知の反応条件を採用することができる。な
お、塊状重合は、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で
行うことがより好ましい。
【0098】上記塊状重合を常圧下で実施する場合の反
応温度は、通常70〜90℃前後となる。また、単量体
として、メチルメタクリレート(MMA)を用いた場合
には、このMMAの沸点は約100℃である。つまり、
この塊状重合では、反応系に含まれる単量体の沸点と反
応温度とが約30℃以内となり比較的接近している。こ
の場合に、暴走反応が発生すると、上述したように、反
応系の突沸による爆発や火災の危険性が非常に高くな
る。
【0099】そこで、この塊状重合において、暴走反応
が発生した場合に、本発明にかかる暴走反応の停止方法
を実施する。ここで暴走反応が発生したか否かの判定
は、反応系の内温の異常な上昇や、反応系の粘度追跡に
より判断することができる。具体的には、重合反応の反
応熱が除熱能力を超えて内温の上昇が見られた場合や、
通常の速度を超えて反応系の粘度上昇が見られた場合な
どが挙げられる。
【0100】上記暴走反応の判定および暴走反応の停止
処理の実行については、塊状重合反応の製造設備のオペ
レーターによりなされてもよいが、たとえば、図1に示
すように、制御部とセンサーとを含む暴走反応追尾シス
テム(暴走反応の停止処理システム)を用いてなされる
ことがより好ましい。これによって、定性的かつ確実に
暴走反応の判定がなされ、停止処理が確実に実行可能と
なる。
【0101】上記暴走反応追尾システムについてより具
体的に説明する。図1に示すように、本発明における暴
走反応追尾システムは、塊状重合の反応系6が仕込まれ
た反応槽(反応かま)5に対して設置されるものであっ
て、水を主成分とする冷却溶媒を投入する冷却溶媒投入
部1と、界面活性剤を投入する界面活性剤投入部2と、
センサー部3と、これらを制御する制御部4とを備えて
いる。もちろん、必要に応じてその他の構成を備えてい
てもよい。
【0102】冷却溶媒投入部1は、冷却溶媒投入ノズル
1aと、冷却溶媒タンク1bと、投入弁1cと、冷却溶
媒供給管1dとを含んでおり、制御部4からの制御によ
って投入弁1cが開閉され、反応槽5に対する冷却溶媒
の投入が制御される。冷却溶媒供給管1dは図示しない
冷却溶媒供給源につながっている。冷却溶媒として工業
用水や循環水が用いられている場合には、工業用水また
は循環水の供給源につながっていることになる。
【0103】界面活性剤投入部2は、界面活性剤投入ノ
ズル2aと、投入弁2bと、界面活性剤供給管2cとを
含んでおり、制御部4からの制御によって投入弁2bが
開閉され、反応槽5に対する界面活性剤の投入が制御さ
れる。このとき、界面活性剤単独での投入は意味がない
ので、必ず冷却溶媒の投入に合わせて界面活性剤も投入
されるように制御部4によって制御される。なお、界面
活性剤供給管2cは図示しない界面活性剤供給部につな
がっている。
【0104】上記冷却溶媒投入部1および界面活性剤投
入部2の具体的な構成は特に限定されるものではなく、
投入弁1cおよび投入弁2bも含めて、工業的に水など
の溶媒を供給するための通常の配管系などが好適に用い
られる。なお、図1中のラインIおよびIIは、それぞれ
投入弁1cおよび投入弁2bの開閉を制御するための信
号を制御部4から出力するためのラインである。
【0105】センサー部3は、温度検出センサー3aお
よび粘度検出センサー3bの少なくとも一方、好ましく
は双方ともを含んでいる。これは、暴走反応が発生した
場合には、塊状重合反応が制御できなくなって反応系6
の温度が所定値よりも上昇するか、あるいは反応の進行
により反応系6の粘度が所定値よりも上昇するためであ
る。なお、その他暴走反応が発生したか否かを判定する
ことが可能なパラメータがある場合には、センサー部3
には、そのパラメータを測定または検出するセンサーを
含んでいてもよい。
【0106】上記センサー部3の構成としても特に限定
されるものではなく、工業的に反応系6の温度や粘度、
あるいはその他のパラメータを検出可能な検出手段が備
えられていればよい。また、上記のようにセンサー部3
が複数のセンサーを含んでいる場合には、センサー部3
内にこれら各センサーを制御して、得られるパラメータ
を包括して制御部4に出力するような制御手段などが備
えられていてもよい。なお、図1中のラインIII は、セ
ンサー部3からの検出結果を制御部4に出力するための
ラインである。
【0107】上記制御部4は、センサー部3から得られ
る反応系6の温度や粘度などといった暴走反応の発生を
判定するためのパラメータに基づいて、反応槽5におい
て暴走反応が発生したか否かを判定し、その判定結果に
基づいて、冷却溶媒投入部1および界面活性剤投入部2
の動作、すなわち冷却溶媒および界面活性剤の投入を制
御できるものであれば特に限定されるものではない。具
体的には、たとえばパーソナルコンピュータなどのコン
ピュータが非常に好適に用いられる。
【0108】上記制御部4における暴走反応の発生を判
定する手法としては特に限定されるものではないが、た
とえば、暴走反応の発生を判定するためのパラメータが
上記温度や粘度であれば、暴走反応が発生したと見なせ
る上限値を予め設定しておいて、センサー部3から得ら
れる温度や粘度がその上限値を超えた場合には、暴走反
応が発生したと判定するような手法が挙げられる。この
方法では、上限値を単に設定するだけでよいので、本発
明にかかる暴走反応の停止方法の自動制御をより簡素化
することができる。
【0109】なお、瞬間的に温度が上限値を超えても暴
走反応は発生していない場合もあるので、ある一定時間
温度が上限値を超えた場合に暴走反応が発生したと判定
することがより一層好ましい。これによって、より正確
に暴走反応の発生を判定することができる。上記一定時
間としては特に限定されるものではないが、たとえば数
分間程度が好ましく挙げられる。
【0110】さらに、制御部4においては、冷却溶媒投
入部1および界面活性剤投入部2の動作により冷却溶媒
および界面活性剤が投入され、反応槽5内で暴走反応が
停止したことを判定するようにしてもよい。これによっ
て冷却溶媒および界面活性剤を必要以上に投入する必要
がなく、本発明にかかる暴走反応の停止方法を確実に制
御することができる。
【0111】冷却溶媒および界面活性剤の投入により暴
走反応が停止したことを判定する手法としては、特に限
定されるものではないが、上記上限値を基準にする手法
や、暴走反応が停止したと見なせる規定値を設定してお
く手法などが挙げられる。
【0112】前者の手法では、たとえば所定温度以上で
暴走反応が発生していると判定され、冷却溶媒および界
面活性剤が投入された後、反応系6に冷却溶媒他が十分
混合撹拌された時点で反応系6の温度が上記上限値を下
回っていれば、暴走反応が停止したと見なす。一方、後
者の手法では、上記上限値とは別に、冷却溶媒他を添加
した状態で所定の温度以下となれば暴走反応が停止した
と見なせるような温度を規定値として予め設定してお
き、反応系6の温度がこの温度未満(あるいはこの温度
以下)となった場合には、暴走反応が停止したと見な
す。
【0113】暴走反応が停止したことを判定する手法と
して上記何れの手法を用いるかについては、反応系6に
含まれる各成分の性質等を鑑みて適宜選択すればよく、
何れが好ましいかなどについては特に限定されるもので
はない。もちろん他の手法によって暴走反応が停止した
ことを判定してもよい。
【0114】なお、制御部4においては、温度や粘度な
どのパラメータにおける上記上限値や規定値は、該制御
部4が備える各種記憶手段に記憶させておけばよい。ま
た、記憶手段の種類は特に限定されるものではなく、一
般的に用いられているものであればよい。
【0115】上述した例では、冷却溶媒と界面活性剤と
を別々に投入する際の暴走反応追尾システムの例を挙げ
たが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえ
ば、図2に示すように、冷却溶媒に界面活性剤を予め混
合しておいて、界面活性剤含有の冷却溶媒をまとめて反
応系6に投入する総合冷却溶媒投入部11を備える構成
であってもよい。
【0116】この構成では、反応系6が仕込まれた反応
槽5、センサー部3、制御部4などは図1と同様である
が、冷却溶媒投入部1および界面活性剤投入部2に代え
て上記総合冷却溶媒投入部11が備えられている。総合
冷却溶媒投入部11は、投入ノズル11aと、タンク1
1bと、投入弁11cと、冷却溶媒供給管1dとを含ん
でおり、制御部4からの制御によって投入弁11cが開
閉され、反応槽5に対する界面活性剤を含む冷却溶媒の
投入が制御される。
【0117】冷却溶媒供給管1dは図示しない冷却溶媒
供給源につながっており、冷却溶媒供給源から供給され
た冷却溶媒が一旦タンク11bに貯蔵される点は、図1
に示す構成と同様であるが、界面活性剤は、たとえばタ
ンク11b中に貯蔵される冷却溶媒に対して所定の割合
で混合されることになる。このときの界面活性剤の添加
手段としては、界面活性剤供給源につながる配管系(図
1における界面活性剤供給部2など)であってもよいし
その他の構成であってもよい。なお、タンク11bで界
面活性剤を混合する場合には、タンク11bには撹拌手
段が備えられていることが好ましい。これによって、添
加された界面活性剤が冷却溶媒に均一に混合されること
になる。
【0118】なお、図2だけでなく図1に示す構成でも
同様であるが、界面活性剤以外の他の添加剤(たとえば
重合禁止剤など)を添加する場合には、タンク1bまた
はタンク11bの冷却溶媒に予め添加してもよいし、別
途反応系6に添加するための構成を付与してもよい。こ
の場合、その他の添加剤を添加する各種手段も制御部4
によって動作制御されることになる。
【0119】上述した図1または図2に示す暴走反応追
尾システム(暴走反応の停止処理システム)による本発
明にかかる暴走反応の停止方法の制御の一例について、
図3のフローチャートを用いてより詳細に説明する。
【0120】まず、ステップ1(以下ステップをSと略
す)として、センサー部3にて、反応系6の温度および
/または粘度(あるいはその他のパラメータでもよい)
を検出する。次にS2として、検出された温度および/
または粘度が、予め設定されている上限値に達している
か否かを制御部4にて判定する。
【0121】上限値に達している場合(図中YES)に
は、S3として、制御部4にて暴走反応が発生したと判
定され、制御部4の制御により、冷却溶媒投入部1およ
び界面活性剤投入部2の投入弁1cおよび2b、あるい
は総合冷却溶媒投入部11の投入弁11cが開放される
ことによって界面活性剤および冷却溶媒が反応槽5に投
入される。なお、図では説明していないが、このとき、
界面活性剤および冷却溶媒の投入に対応させて、制御部
4の制御により、反応槽5に備えられている撹拌手段な
どを動作させるように制御してもよい。
【0122】その後、S4として、センサー部3で反応
系6の温度および/または粘度が検出され、S5とし
て、制御部4にて、温度および/または粘度が規定値未
満となったか否かを判定する。なお、このときの判定基
準としては、上述したようにS2における上限値を用い
てもよいし、別途規定値を設定して用いてもよい。規定
値未満となった場合(図中YES)には、S6として、
制御部4では、十分な量の冷却溶媒および界面活性剤が
投入されて暴走反応が停止したと判定し、投入弁1cお
よび2b、あるいは投入弁11cが閉鎖され、冷却溶媒
および界面活性剤の投入が停止され、一連の制御動作が
終了する。
【0123】一方、S5にて温度および/または粘度が
規定値未満となっていなければ(図中NO)、S7とし
て、制御部4では、暴走反応は停止していないと判定
し、冷却溶媒および界面活性剤の投入を継続して、S4
に戻る。
【0124】また、S2において、反応系6の温度およ
び/または粘度が上限値に達していない場合(図中N
O)には、S8として、制御部4では、塊状重合反応が
円滑に進行しており暴走反応が発生していないと判定さ
れる。そして、S9として、塊状重合反応が完了したか
否かが判定され、完了していなければ(図中NO)S1
に戻り、完了していれば(図中YES)一連の制御動作
を終了する。
【0125】また、図1または図2に示す暴走反応追尾
システムによる本発明にかかる暴走反応の停止方法の制
御の他の例について、図4のフローチャートを用いて説
明する。
【0126】この例では、S11〜S13、およびS1
6・S17は図3に示すS1〜S3、およびS8・S9
と同じであるが、S13で冷却溶媒および界面活性剤が
投入された後、投入量が一定量に達すれば、S14にて
投入弁1cおよび2b、あるいは投入弁11cを自動的
に閉鎖するようにしている。
【0127】つまり、反応槽5の大きさや反応槽5に仕
込まれた反応系6の量、あるいは塊状重合反応の性質な
どから鑑みて、どの程度の量の冷却溶媒および界面活性
剤を添加すれば確実に反応を停止できるか否かを予め算
出しておき、その量だけを投入するようにしておく。そ
の後、S15にてセンサー部3で反応系6の温度や粘度
を念のため検出して暴走反応が停止していることを確認
することによって、制御部4による制御方法を簡素化す
ることが可能である。
【0128】なお、上述した例では、本発明にかかる暴
走反応の停止方法の自動制御として、温度および粘度を
パラメータとして冷却溶媒および界面活性剤の投入タイ
ミングを制御する手法を用いていたが、本発明はこれに
限定されるものではない。たとえば、反応系における反
応度や、反応槽(反応かま)による熱対流や除熱能力を
計算することで、冷却溶媒および界面活性剤の投入タイ
ミングを決定するためのより好ましい反応系の温度や粘
度を決定することができる。
【0129】このように、本発明においては、上述した
ように、本発明にかかる暴走反応の停止方法をコンピュ
ータなどを用いた暴走反応追尾システムにて自動制御に
より実行することができるが、上記暴走反応追尾システ
ムは、暴走反応の停止処理を機能させるためのプログラ
ムで実現することができる。このプログラムはコンピュ
ータで読み取り可能な記録媒体に格納されている。
【0130】本発明では、この記録媒体として、図1ま
たは図2に示されている制御部4としてのたとえばパー
ソナルコンピュータ(判定用パソコン)で処理が行われ
るために必要な図示していないメモリ、例えばROMの
ようなものそのものがプログラムメディアであってもよ
いし、また図示していないが外部記憶装置としてプログ
ラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入す
ることで読み取り可能なプログラムメディアであっても
よい。
【0131】いずれの場合においても、格納されている
プログラムは上記判定用パソコンのマイクロプロセッサ
がアクセスして実行させる構成であってもよいし、ある
いはいずれの場合もプログラムを読み出し、読み出され
たプログラムは、上記判定用パソコンのプログラム記憶
エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行さ
れる方式であってもよい。このダウンロード用のプログ
ラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0132】ここで上記プログラムメディアは、本体と
分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカ
セットテープ等のテープ系、フロッピーディスクやハー
ドディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/M
D/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード
(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、ある
いはマスクROM、EPROM、EEPROM、フラッ
シュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプロ
グラムを担持する媒体であってもよい。
【0133】また、本発明においてはインターネットを
含む通信ネットワークと接続可能なシステム構成である
ことから、通信ネットワークからプログラムをダウンロ
ードするように流動的にプログラムを担持する媒体であ
ってもよい。なお、このように通信ネットワークからプ
ログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロー
ド用プログラムは予め本体装置に格納しておくか、ある
いは別な記録媒体からインストールされるものであって
もよい。また、記録媒体に格納されている内容としては
プログラムに限定されず、データであってもよい。
【0134】このように、本発明では、反応系の反応状
態を判定するためのパラメータ(温度や粘度など)を検
出する手段と、検出されたパラメータから暴走反応の発
生を判定する手段と、この暴走反応を判定する手段によ
り得られた判定結果に基づいて、冷却溶媒および界面活
性剤を投入する手段と、を実現させるためのプログラム
を記録したコンピュータ読取可能な記録媒体が好ましい
形態の一つとなっている。
【0135】好ましくは、上記冷却溶媒および界面活性
剤を投入する手段では、予め決定された所定量の冷却溶
媒および界面活性剤を投入するか、投入処理とともに上
記パラメータも検出して、該パラメータから暴走反応の
発生を判定する手段の判定結果に基づいて、上記冷却溶
媒および界面活性剤を投入する手段による投入を停止さ
せることを実現するようになっていてもよい。
【0136】換言すれば、本発明における好ましい形態
の一つは、塊状重合反応において発生した暴走反応を停
止するための暴走反応の停止方法を実行するプログラム
をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを
記録した機械読み取り可能な記録媒体であって、コンピ
ュータに、反応系の反応状態を判定するためのパラメー
タ(温度や粘度など)を検出するステップと、検出され
たパラメータに基づいて暴走反応が発生したか否かを判
定するステップと、上記ステップにて暴走反応が発生し
たと判定された場合には、界面活性剤および冷却溶媒を
反応系に投入するステップとを実行させるコンピュータ
プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体であ
る。
【0137】また、好ましくは、上記冷却溶媒および界
面活性剤を投入するステップでは、予め決定された所定
量の冷却溶媒および界面活性剤を投入するようになって
いるか、あるいは別に、投入処理とともに上記パラメー
タも検出するステップと、該パラメータから暴走反応の
発生を判定するステップと、判定結果に基づいて、冷却
溶媒および界面活性剤の投入を停止させるステップを実
行するようになっていてもよい。
【0138】なお、本実施の形態では、上記のように冷
却溶媒として水が好ましく用いられるが、界面活性剤の
添加効率をアップする観点から、消泡剤などの添加剤が
水に別途添加されてもよい。消泡剤は界面活性剤の泡立
ちを抑えるため、界面活性剤の添加効率を向上すること
ができる。消泡剤の添加量は特に限定されるものではな
いが、界面活性剤全量に対して1重量%以上200重量
%以下の範囲内で添加することが好ましく、10重量%
以上100重量%以下の範囲内で添加することがより好
ましい。
【0139】上記界面活性剤、消泡剤、重合禁止剤、お
よび冷却溶媒の添加または投入方法としても、前述の
(i)または(ii)の何れかの方法を用いることができ
るが、製造設備の関係から、(i)の方法がより好まし
い。また、このときの反応系の撹拌方法や撹拌条件につ
いても特に限定されない。
【0140】上述した説明では、暴走反応の例として、
(メタ)アクリルシラップの製造において実施される、
(メタ)アクリル系単量体の塊状重合工程を例に挙げた
が、暴走反応が発生し易い化学反応としては、上記塊状
重合に限定されるものではない。
【0141】たとえば上述した(メタ)アクリルシラッ
プの製造においては、第一段階で単量体成分の塊状重合
工程が実施され、第二段階の反応工程であるカルボキシ
ル基−エポキシ基間のエステル化工程が実施されるが、
本発明にかかる暴走反応の停止方法は、第一段階の塊状
重合工程だけでなく、第二段階のエステル化工程にも利
用することができる。
【0142】上記エステル化工程では、塊状重合反応に
続いてエステル化反応が実施されるために、このエステ
ル化反応中に副次的に塊状重合が引き起こされる可能性
がある。したがって、上記エステル化工程でも、望まし
くない塊状重合の発生により暴走反応が招来されるおそ
れがあるので、本発明にかかる暴走反応の停止方法は、
このようなエステル化反応で招来される塊状重合の暴走
にも好適に用いることができる。なお、エステル化工程
における暴走停止方法は、上記塊状重合の場合とほぼ同
様であるため、その説明は省略する。
【0143】
【実施例】以下、実施例および比較例に基づいて本発明
をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定され
るものではない。なお、以下の説明では、重量%を単に
「%」と略記する。
【0144】また、暴走反応の停止に際しての、冷却溶
媒としての水の分散性の評価、および水を投入した状態
での固形分量の測定は、下記の方法により行った。
【0145】〔水の分散性〕反応系に対して水が投入さ
れた後、反応系と水との混合物が白濁して良好に水が分
散している場合を○とし、反応系の上部に水のみの層が
形成されている場合を×として評価した。
【0146】〔固形分量〕反応系に対して水が投入され
た後、反応系と水との混合物(すなわち樹脂および単量
体+水)を採取して、その重量を測定した後、減圧乾燥
することによって固形分を得て、該固形分の重量を測定
し、混合物に対する固形分の重量比を固形分量として測
定した。なお、反応系に対して水が十分に分散していな
い場合には、固形分量は測定しなかった。
【0147】〔実施例1〕温度計、冷却管、窒素ガス導
入管、撹拌機、およびマントルヒーターを備えた2リッ
トルセパラブルフラスコ(内径15cm、高さ18c
m)に、メチルメタクリレート(メタクリル酸メチル、
MMA)776gおよびメタクリル酸(MAA)24g
を仕込んだ後、フラスコ内を窒素ガス置換した。
【0148】次に、撹拌機によってMMAおよびMAA
の混合物を撹拌しながら85℃に昇温した。このときの
撹拌条件は、いかり型(幅14cm、高さ8cm)の撹
拌羽根を用いて、100rpmで撹拌した。その後、重
合開始剤としてのAIBN(アゾビスイソブチロニトリ
ル)0.15gと、連鎖移動剤としてのn−ドデシルメ
ルカプタン7.0gとを上記混合物に添加して反応系と
し、加熱しながら塊状重合を開始した。
【0149】2時間後には、反応系の粘度が105ps
(ポアズ、パスカル秒(Pa・s)に換算して10.5
Pa・s、以下、各実施例および比較例も同じ)(25
℃)、固形分量(反応率)が45.1%に達した。この
時点で加熱を停止し、反応装置が除熱能力を超えてしま
い、除熱できなくなった状態を想定し、反応容器のマン
トルヒーター部分以外を発泡スチロールで覆い、断熱
(熱の出入りがなく、反応熱が蓄積される状態)に近い
状態を作った。
【0150】続いて、界面活性剤としてのハイテノール
N−08(商品名:スルホン酸塩系界面活性剤、第一工
業製薬製)0.25g、および冷却溶媒としての水(2
5℃)250gを、この順で反応系に添加・投入した。
また、水の投入速度は10g/sec (投入速度比で約
0.75)とした。なお、この条件では、水(冷却溶
媒)の全投入量は、内容物(反応系)に対して約0.3
1重量倍となり、界面活性剤の添加量は水(冷却溶媒)
100重量部に対して0.1重量部となる。
【0151】上記反応系における水の分散性、フラスコ
内の温度(内温)、および反応系における固形分量を、
投入直後および30分経過後に測定または評価した。そ
の結果を表1に示す。
【0152】〔比較例1〕実施例1と同様にして塊状重
合を開始した。2時間後には、粘度105ps(10.
5Pa・s)(25℃)、固形分量45.0%となっ
た。この時点で加熱を停止し、実施例1と同様に断熱に
近い状態とした後に、冷却溶媒として水250gのみを
10g/sec の速度で投入した。なお、この条件では、
水(冷却溶媒)の全投入量は、内容物(反応系)に対し
て約0.31重量倍となり、界面活性剤の添加量は水
(冷却溶媒)100重量部に対して0重量部となる。
【0153】上記反応系における水の分散性、フラスコ
内の温度(内温)、および反応系における固形分量を、
投入直後および30分経過後のそれぞれで測定または評
価した。その結果を表1に示す。
【0154】〔実施例2〕実施例1と同様にして塊状重
合を開始した。2時間後には、粘度106ps(10.
6Pa・s)(25℃)、固形分量45.2%になっ
た。この時点で加熱を停止し、実施例1と同様に断熱に
近い状態とした後に、界面活性剤としてのハイテノール
N−08:0.8g、冷却溶媒として水:800gを、
この順で反応系に添加・投入した。また、水の投入速度
は10g/sec とした。なお、この条件では、水(冷却
溶媒)の全投入量は、内容物(反応系)に対して約1重
量倍となり、界面活性剤の添加量は水(冷却溶媒)10
0重量部に対して0.1重量部となる。
【0155】上記反応系中における水の分散性、フラス
コ内の温度(内温)、および反応系における固形分量
を、投入直後および30分経過後のそれぞれで測定また
は評価した。その結果を表1に示す。
【0156】〔実施例3〕実施例1と同様にして塊状重
合を開始した。2時間後には、粘度103ps(10.
3Pa・s)(25℃)、固形分量45.0%になっ
た。この時点で加熱を停止し、実施例1と同様に断熱に
近い状態とした後に、界面活性剤としてのハイテノール
N−08:1.2g、冷却溶媒として水:1200g
を、この順で反応系に添加・投入した。また、水の投入
速度は10g/sec とした。なお、この条件では、水
(冷却溶媒)の全投入量は、内容物(反応系)に対して
約1.5重量倍となり、界面活性剤の添加量は水(冷却
溶媒)100重量部に対して0.1重量部となる。
【0157】上記反応系中における水の分散性、フラス
コ内の温度(内温)、および反応系における固形分量
を、投入直後および30分経過後のそれぞれで測定また
は評価した。その結果を表1に示す。
【0158】〔実施例4〕実施例1と同様にして塊状重
合を開始した。2時間後には、粘度103ps(10.
3Pa・s)(25℃)、固形分量45.0%になっ
た。この時点で加熱を停止し、実施例1と同様に断熱に
近い状態とした後に、重合禁止剤としてのパラベンゾキ
ノン:1.0g、界面活性剤としてのハイテノールN−
08:0.8g、冷却溶媒として水:800gを、この
順で反応系に添加・投入した。また、水の投入速度は1
0g/sec とした。なお、この条件では、水(冷却溶
媒)の全投入量は、内容物(反応系)に対して約1重量
倍となり、界面活性剤の添加量は水(冷却溶媒)100
重量部に対して0.1重量部となり、重合禁止剤の添加
量は重合開始剤に対して6.7重量倍となる。
【0159】上記反応系中における水の分散性、フラス
コ内の温度(内温)、および反応系における固形分量
を、投入直後および30分経過後に測定または評価し
た。その結果を表1に示す。
【0160】〔実施例5〕実施例1と同様にして塊状重
合を開始した。2時間後には、粘度105ps(10.
5Pa・s)(25℃)、固形分量45.1%になっ
た。この時点で加熱を停止し、実施例1と同様に断熱に
近い状態とした後に、界面活性剤としてのハイテノール
N−08:0.8g、冷却溶媒として水:800g、シ
リコーン系消泡剤TSA732(商品番号:東芝シリコ
ーン製):0.08gを、この順で反応系に添加・投入
した。また、水の投入速度は10g/sec とした。な
お、この条件では、水(冷却溶媒)の全投入量は、内容
物(反応系)に対して約1重量倍となり、界面活性剤の
添加量は水(冷却溶媒)100重量部に対して0.1重
量部となり、消泡剤の添加量は界面活性剤に対して10
重量%となる。
【0161】上記反応系中における水の分散性、フラス
コ内の温度(内温)、および反応系における固形分量
を、投入直後および30分経過後に測定または評価し
た。その結果を表1に示す。
【0162】〔実施例6〕実施例1と同様にして塊状重
合を開始した。2時間後には、粘度103ps(10.
3Pa・s)(25℃)、固形分量45.0%になっ
た。この時点で加熱を停止し、実施例1と同様に断熱に
近い状態とした後に、重合禁止剤としてのパラベンゾキ
ノン:1.0g、界面活性剤としてのハイテノールN−
08:0.8g、冷却溶媒として水:800g、シリコ
ーン系消泡剤TSA732:0.08gを、この順で反
応系に添加・投入した。また、水の投入速度は10g/
sec とした。なお、この条件では、水(冷却溶媒)の全
投入量は、内容物(反応系)に対して約1重量倍とな
り、界面活性剤の添加量は水(冷却溶媒)100重量部
に対して0.1重量部となり、重合禁止剤の添加量は重
合開始剤に対して6.7重量倍となり、消泡剤の添加量
は界面活性剤に対して10重量%となる。
【0163】上記反応系中における水の分散性、フラス
コ内の温度(内温)、および反応系における固形分量
を、投入直後および30分経過後に測定または評価し
た。その結果を表1に示す。
【0164】〔実施例7〕実施例1と同様にして塊状重
合を開始した。2時間後には、粘度107ps(10.
7Pa・s)(25℃)、固形分量45.3%になっ
た。この時点で加熱を停止し、実施例1と同様に断熱に
近い状態とした後に、界面活性剤としてのハイテノール
N−08:0.4g、冷却溶媒として水:800gを、
この順で反応系に添加・投入した。また、水の投入速度
は10g/sec とした。なお、この条件では、水(冷却
溶媒)の全投入量は、内容物(反応系)に対して約1重
量倍となり、界面活性剤の添加量は水(冷却溶媒)10
0重量部に対して0.05重量部となる。
【0165】上記反応系中における水の分散性、フラス
コ内の温度(内温)、および反応系における固形分量
を、投入直後および30分経過後に測定または評価し
た。その結果を表1に示す。
【0166】〔比較例2〕実施例1と同様にして塊状重
合を開始した。2時間後には、粘度100ps(10.
0Pa・s)(25℃)、固形分量49.8%になっ
た。この時点で加熱を停止し、実施例1と同様に断熱に
近い状態とした後に、界面活性剤としてのハイテノール
N−08:0.1g、冷却溶媒として水:250gを、
この順で反応系に添加・投入した。また、水の投入速度
は10g/sec とした。なお、この条件では、水(冷却
溶媒)の全投入量は、内容物(反応系)に対して約0.
31重量倍となり、界面活性剤の添加量は水(冷却溶
媒)100重量部に対して0.04重量部となる。
【0167】上記反応系中における水の分散性、フラス
コ内の温度(内温)、および反応系における固形分量
を、投入直後および30分経過後に測定または評価し
た。その結果を表1に示す。
【0168】〔比較例3〕実施例1と同様にして塊状重
合を開始した。2時間後には、粘度108ps(10.
8Pa・s)(25℃)、固形分量45.3%になっ
た。この時点で加熱を停止し、実施例1と同様に断熱に
近い状態とした後に、界面活性剤としてのハイテノール
N−08:0.16g、冷却溶媒として水:160g
を、この順で反応系に添加・投入した。また、水の投入
速度は10g/sec とした。なお、この条件では、水
(冷却溶媒)の全投入量は、内容物(反応系)に対して
約0.2重量倍となり、界面活性剤の添加量は水(冷却
溶媒)100重量部に対して0.1重量部となる。
【0169】上記反応系中における水の分散性、フラス
コ内の温度(内温)、および反応系における固形分量
を、投入直後および30分経過後に測定または評価し
た。その結果を表1に示す。
【0170】
【表1】
【0171】表1から明らかなように、本発明にかかる
暴走反応の停止方法を用いることによって、冷却溶媒と
しての水が、メチルメタクリレートおよびメタクリル樹
脂を主成分とする反応系に迅速かつ効果的に分散・混合
されるため、除熱が効率的に行われる。その結果、暴走
反応が発生しても、該暴走反応を効率的に停止すること
ができる。
【0172】〔実施例8〕実施例1と同様にして塊状重
合を開始した。2時間後には、粘度110ps(11.
0Pa・s)(25℃)、固形分量45.5%になっ
た。この時点で加熱を停止し、実施例1と同様に断熱に
近い状態とした後に、3分後、6分後、8分後、10分
後の内温を測定した。このときの温度変化を表2に示
す。続いて、界面活性剤としてのハイテノールN−0
8:0.25g、冷却溶媒として水:250gを、この
順で反応系に添加・投入した。なお、水の投入速度は1
0g/secとした。投入直後における反応系と水との混
合物は白濁し、水の分散性は良好であった。
【0173】また、水を投入してから30分経過した後
の内温を表2に示す。さらに、投入直後と30分経過後
とで混合物の状態を比較したが、状態変化はなく水の分
散性は良好な状態を保持していた。
【0174】〔比較例4〕実施例1と同様にして塊状重
合を開始した。2時間後には、粘度112ps(11.
2Pa・s)(25℃)、固形分量45.3%になっ
た。この時点で加熱を停止し、実施例1と同様に断熱に
近い状態とした後に、3分後、6分後、8分後、10分
後、11分後、12分後の内温を測定した。このときの
温度変化を表2に示す。表2に示す様に、13分後に
は、内容物が冷却管および窒素導入管から吹き出した。
【0175】
【表2】
【0176】表2から明らかなように、本発明にかかる
暴走反応の停止方法を用いることによって、界面活性剤
とともに冷却溶媒としての水を添加するだけで、反応熱
が迅速に奪われ、暴走反応を容易に停止できることがわ
かる。
【0177】〔実施例9〕図1のブロック図に示す暴走
反応追尾システムを用いて、実施例8と同じ暴走反応の
停止方法を自動制御により実施した。なお、制御部4と
してはパーソナルコンピュータ(判定用パソコン)を用
いた。また、本実施例の具体的な自動制御方法として
は、図4のフローチャートに示す方法を採用した。
【0178】すなわち、実施例1と同様にして塊状重合
を開始した。2時間後には、粘度110ps(11.0
Pa・s)(25℃)、固形分量45.5%になった。
この時点で加熱を停止し、実施例1と同様に断熱に近い
状態とした後に、センサー部3にて実施例8と同様に所
定時間毎に反応系6の内温を測定した。
【0179】制御部4では、上記センサー部3から得ら
れた内温に基づいて暴走反応の発生を判定した。本実施
例では、まず、内温が85〜95℃の範囲内に達する
か、あるいは内温が85〜95℃の場合の限界粘度(規
定値)が5〜20Pa・sの範囲内となった場合に暴走
反応が発生すると判定した。
【0180】具体的には、本実施例では、内温を基準と
して制御する手法を採用した。つまり、内温が95〜9
9℃に達した時点で、その状態が2分間維持された場合
には、暴走反応が発生したと判定(表2参照)して、冷
却溶媒および界面活性剤を投入するように設定した。
【0181】制御部4では、暴走反応が発生したと判定
した後、界面活性剤投入部2の投入弁2bを開放する制
御を行い、ハイテノールN−08を投入するとととも
に、冷却溶媒投入部1の投入弁1cを開放する制御を行
い、水(この場合、循環水)を投入した。このときの水
の投入速度は実施例8と同様に10g/sec とした。投
入直後における反応系6と水との混合物は白濁し、水の
分散性は良好であった。投入後30分経過した後反応系
6の内温は65℃となったことが検出され反応の停止が
確認された。
【0182】〔比較例5〕図1のブロック図に示す暴走
反応追尾システムを用いて、比較例4の暴走反応の停止
方法を自動制御により実施した。すなわち、実施例1と
同様にして塊状重合を開始した。2時間後には、粘度1
12ps(11.2Pa・s)(25℃)、固形分量4
5.3%になった。この時点で加熱を停止し、実施例1
と同様に断熱に近い状態とした後に、センサー部3にて
実施例8と同様に所定時間毎に反応系6の内温を測定し
た。
【0183】本比較例でも前記実施例9と同様に、内温
を基準として制御する手法を採用した。ただし、内温が
105℃に達した時点で、その状態が2分間維持された
場合には、暴走反応が発生したと判定して、冷却溶媒お
よび界面活性剤を投入するように設定した。
【0184】制御部4では、暴走反応が発生したと判定
した後、界面活性剤投入部2の投入弁2bを開放する制
御を行い、ハイテノールN−08を投入するとととも
に、冷却溶媒投入部1の投入弁1cを開放する制御を行
い、水(この場合、循環水)を投入した。このときの水
の投入速度は実施例8と同様に10g/sec とした。水
の投入直後、反応系6に激しい突沸が起り始め、投入後
約2分で反応物の一部が反応槽5から吹き出した。
【0185】上記実施例9および比較例5の結果から明
らかなように、本発明にかかる暴走反応の停止方法をパ
ーソナルコンピュータにより自動制御する暴走反応追尾
システムを用いれば、上記暴走反応の停止方法をより一
層確実に実施することが可能になることがわかる。した
がって、上記暴走反応の停止方法を自動制御するシステ
ムを用いれば、本発明にかかる暴走反応の停止方法の制
御における特に好ましい実施形態であることが判明し
た。
【0186】上記のように、本発明にかかる暴走反応の
停止方法で採用されるパーソナルコンピュータ(判定用
パソコン)などのコンピュータには、たとえば前述した
図1や図2で示されるような、反応系の粘度および/ま
たは温度を検出し、その上限値が予め決定された判定用
のプログラムがインストールされている。そして、この
プログラムによって自動的に投入すべき冷却溶媒(水を
主成分とする)や界面活性剤、あるいはこれらの混合溶
液のタンクにつながる投入弁を所定量開いて、反応装置
(反応槽・反応かま)にこれらを所定量投入する制御
(すなわち本発明にかかる暴走反応の停止方法)を自動
的に実施することができる。
【0187】すなわち、本発明においては、上記コンピ
ュータにおいて上記プログラムの記録された記録媒体を
用いるか、あるいは上記プログラムが搭載されたコンピ
ュータを使用して暴走反応をコントロールする方法を採
用することがより好ましい。また、本発明においては、
上記のような、本発明にかかる暴走反応の停止方法をコ
ントロールするプログラムが記録された記録媒体も好ま
しい実施形態の一つとして好適に挙げることができる。
【0188】
【発明の効果】以上のように、本発明にかかる暴走反応
の停止方法は、塊状重合反応の進行過程で暴走反応が発
生した場合に、該暴走反応が発生した反応系を撹拌しな
がら、水を主成分とする冷却溶媒と界面活性剤とを添加
・投入するものである。水を主成分とする冷却溶媒は、
反応系から反応熱を奪うものであり、界面活性剤は、該
冷却溶媒を反応系に十分分散・混合させるためのもので
ある。さらに、重合反応を阻害する重合禁止剤が添加さ
れてもよい。
【0189】上記方法によれば、暴走反応の根本的な原
因である反応熱の蓄積という問題点を除去することにな
るため、暴走反応を容易かつ確実に停止することができ
るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態にかかる暴走反応の停止
方法を実施するための暴走反応追尾システムの一例を示
すブロック図である。
【図2】図1に示す暴走反応の停止方法を実施するため
の暴走反応追尾システムの他の例を示すブロック図であ
る。
【図3】図1または図2に示す暴走反応追尾システムに
より実施される、本発明にかかる暴走反応の停止方法の
自動制御方法の一例を示すフローチャートである。
【図4】図3に示す本発明にかかる暴走反応の停止方法
の自動制御方法の他の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 冷却溶媒投入部 1c 投入弁 2 界面活性剤投入部 2b 投入弁 3 センサー部 4 制御部 5 反応槽 6 反応系 11 総合冷却溶媒投入部 11c 投入弁

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塊状重合反応の進行過程で暴走反応が発生
    した場合に、該暴走反応が発生した反応系を撹拌しなが
    ら、水を主成分とする冷却溶媒と、界面活性剤とを添加
    することを特徴とする暴走反応の停止方法。
  2. 【請求項2】さらに、重合禁止剤を添加することを特徴
    とする請求項1記載の暴走反応の停止方法。
  3. 【請求項3】上記塊状重合反応が、(メタ)アクリルシ
    ラップの製造で実施される単量体の重合工程での重合反
    応、および、(メタ)アクリルシラップの製造で実施さ
    れるエステル化工程中で副次的に発生する重合反応の少
    なくとも何れかであることを特徴とする請求項1または
    2記載の暴走反応の停止方法。
  4. 【請求項4】上記塊状重合反応が、常圧下で、かつ反応
    温度が100℃以下であり、さらに、該反応温度と反応
    系中の主成分の沸点との温度差が30℃以内となる条件
    下で実施されることを特徴とする請求項1、2、または
    3記載の暴走反応の停止方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008501837A (ja) * 2004-06-09 2008-01-24 ストックハウゼン ゲーエムベーハー コンピュータ生成モデルを用いた親水性ポリマー及び親水性ポリマーを含む追加処理製品の製造方法
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