JP2002001780A - 射出成形方法 - Google Patents

射出成形方法

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JP2002001780A
JP2002001780A JP2000189867A JP2000189867A JP2002001780A JP 2002001780 A JP2002001780 A JP 2002001780A JP 2000189867 A JP2000189867 A JP 2000189867A JP 2000189867 A JP2000189867 A JP 2000189867A JP 2002001780 A JP2002001780 A JP 2002001780A
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injection molding
thermoplastic resin
cavity
screw
molten thermoplastic
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JP2000189867A
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Shinji Kiboushi
眞治 木坊子
Tokiaki Iwakiri
常昭 岩切
Kiyoji Takagi
喜代次 高木
Hajime Fujii
一 藤井
Masahiro Matsuba
将裕 松葉
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Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Mitsubishi Corp Plastics Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Engineering Plastics Corp
Mitsubishi Corp Plastics Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】バックフロー現象を確実に防止し得る射出成形
方法を提供する。 【解決手段】縮径部24を有するヘッド部21、及
び、先端部に縮径部24に面したシート部29が設けら
れた本体部27から成るスクリュー20、縮径部24
に配設され、シート部29と係合し得る逆流防止リング
30、キャビティ45、ゲート部44、及び、溶融樹
脂流路43を備えた金型組立体40、(E)閉鎖手段5
0を備えたインラインスクリュー式射出成形装置を使用
した射出成形方法は、(1)溶融熱可塑性樹脂の射出開
始時点において、閉鎖手段50によってゲート部44を
閉じた状態としておき、(2)スクリュー20の前進運
動によってシート部29と逆流防止リング30とを密着
させた後、(3)閉鎖手段50を移動させてゲート部4
4を開いた状態とし、(4)次いで、ヘッド部空間12
内に導入された溶融熱可塑性樹脂をキャビティ45内に
射出する各工程から成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インラインスクリ
ュー式射出成形装置を使用した射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、金型組立体に設けられたキャビテ
ィ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、キャビティ内の溶融
熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を導入することによっ
て、成形品の内部に中空部を形成する中空射出成形法に
用いられる射出成形装置は、インラインスクリュー式射
出成形装置である。そして、中空射出成形法に基づき美
麗な外観を有する成形品を成形するために、通常、キャ
ビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出するためのゲート部
近傍における溶融熱可塑性樹脂の射出速度は、極めて遅
い射出速度に設定されている。
【0003】図1に一部を切り欠いた模式図を示すよう
に、インラインスクリュー式射出成形装置の一形式に、
(A)熱可塑性樹脂を可塑化、溶融、計量するための射
出成形用シリンダー10、(B)射出成形用シリンダー
10の内部に配設され、ヘッド部21と、ヘッド部21
の後端に配設された本体部27から成り、ヘッド部21
の後部には縮径部24が設けられ、本体部27の先端部
には、該縮径部24に面したシート部29が設けられて
いるスクリュー20、(C)射出成形用シリンダー10
内であって、スクリュー20の該縮径部24に配設さ
れ、スクリュー20の前後進方向に可動であり、シート
部29と係合し得る逆流防止リング30、並びに、
(D)キャビティ45、該キャビティ45内に溶融熱可
塑性樹脂を射出するためのゲート部44、及び、該ゲー
ト部44と射出成形用シリンダー10のノズル部11と
を結ぶ溶融樹脂流路43を備えた金型組立体40、を具
備したインラインスクリュー式射出成形装置が公知であ
る。
【0004】上記の形式のインラインスクリュー式射出
成形装置においては、先ず、スクリュー20を後退状態
としておく。そして、計量工程においては、射出成形用
シリンダー10内、より具体的には、射出成形用シリン
ダー10の内壁とスクリューの本体部27との間に存在
する空間(便宜上、本体部空間13と呼ぶ)内で可塑
化、溶融された熱可塑性樹脂が、スクリュー20の回転
に伴い前方に移動させられ、それに伴い、逆流防止リン
グ30とシート部29とが離れる。すると、溶融熱可塑
性樹脂は、逆流防止リング30とシート部29との間の
隙間、及び、逆流防止リング30と縮径部24との間の
隙間を経由して、ヘッド部21と射出成形用シリンダー
10の内壁の間に存在する空間(便宜上、ヘッド部空間
12と呼ぶ)内に導入され、溶融熱可塑性樹脂が計量さ
れる。尚、溶融熱可塑性樹脂がヘッド部空間12内に充
填されることに伴い、スクリュー20は溶融熱可塑性樹
脂の圧力により後退するが、図示しない油圧シリンダー
等によりスクリュー20には前方への適当な背圧が加え
られている。
【0005】次いで、射出工程においては、油圧シリン
ダー等の作動によるスクリュー20の前進運動によっ
て、ヘッド部空間12内の溶融熱可塑性樹脂が、溶融樹
脂流路43及びゲート部44を介してキャビティ45内
に射出される。その際、逆流防止リング30が相対的に
後退し、逆流防止リング30とシート部29とが密着す
る結果、スクリューの本体部27側への溶融熱可塑性樹
脂の逆流を防止することができる。尚、このような溶融
熱可塑性樹脂の逆流現象は、「バックフロー現象」と呼
ばれている。
【0006】ところで、キャビティ45内への溶融熱可
塑性樹脂の射出速度を高速とすれば、逆流防止リング3
0とシート部29とが直ちに確実に密着し、バックフロ
ー現象の発生を防止することができる。しかしながら、
美麗な外観を有し、しかも中空部を有する成形品を得る
ためには、射出速度を遅くする必要がある。然るに、射
出速度を遅くした場合、ヘッド部空間12内の溶融熱可
塑性樹脂の幾ばくかは、ヘッド部空間12内にて計量さ
れた溶融熱可塑性樹脂の圧力が上昇し、逆流防止リング
30とシート部29とが密着するまでの間に、スクリュ
ーの本体部27側へと逆流する。即ち、バックフロー現
象が発生する。その結果、射出成形毎のキャビティ内に
射出される溶融熱可塑性樹脂の重量(ショット量と呼
ぶ)がばらつくといった問題が生じ、しかも、中空率
(成形品体積に対する中空部体積の割合)がばらつき、
安定した中空率を有する製品が得られない。例えば、中
空率が所望の値よりも小さい場合、成形品にヒケが発生
する。一方、中空率が所望の値よりも大きい場合、成形
品の強度が不足する。
【0007】尚、基本的に、中空射出成形法は、所謂打
ち切り成形である。即ち、通常の射出成形方法とは異な
り、実際のショット量が少々ばらついた場合にもショッ
ト量のばらつきを吸収するための余裕となるべき溶融熱
可塑性樹脂量(所謂クッション量)を、本来、射出すべ
き溶融熱可塑性樹脂量に加えるような設定は行われてい
ない。通常の射出成形方法においては、保圧工程におい
てキャビティ内に更に溶融熱可塑性樹脂を導入すること
が可能であり、ショット量のばらつきを補償することが
できる。中空射出成形法において、加圧流体をキャビテ
ィ内の溶融熱可塑性樹脂に導入した後、再度、溶融熱可
塑性樹脂をキャビティ内に射出すると、成形品に形成さ
れた中空部からの加圧流体の排出が困難となり、金型組
立体から成形品を取り出したとき、成形品が破裂するこ
とがある。
【0008】一方、ヘッド部空間12内の溶融熱可塑性
樹脂の圧力を高めて逆流防止リング30とシート部29
とを密着させれば、バックフロー現象の発生といった問
題を解消することが可能である。それ故、一般には、背
圧を高めることが行われている。しかしながら、背圧を
高めてヘッド部空間12内の溶融熱可塑性樹脂の密度
(圧力)を高めると、樹脂焼けの問題や、可塑化時間が
長くなり成形サイクルが長くなる等の工業生産的にコス
トアップの問題が生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】かかる問題の対策とし
て、溶融熱可塑性樹脂の計量精度を安定させ、ショット
量のバラツキを安定させる方法が、特開平6−2106
86号公報に提案されている。しかしながら、計量時に
幾度もスクリューの前進、後退を繰り返すので、成形サ
イクルが通常の射出成形方法に比べて長くなる。しか
も、バレル内での溶融熱可塑性樹脂の滞留時間が長くな
り、熱可塑性樹脂の熱劣化を来す虞がある。また、特殊
な計量動作が必要とされるので、インラインスクリュー
式射出成形装置の大幅な改造が必要とされる。
【0010】逆流防止リングをシート部に速やかに密着
させるために、逆流防止リングを磁性体材料から作製す
る技術が、特開平9−11295号公報に開示されてい
る。しかしながら、磁性体の強度、耐摩耗性等の制約を
受ける虞がある。しかも、現行使用している逆流防止リ
ングを、磁性体から作製された新たな特殊な逆流防止リ
ングに交換する必要がある。
【0011】前述したように、美麗で、しかも、安定し
た中空率を有する成形品を安定して得るには、射出速度
が低速であっても、バックフロー現象を確実に防止する
ことが重要である。
【0012】従って、本発明の目的は、特別な装置等を
用いず、金型組立体に何らの改造を施すことなく、射出
速度が低速であってもバックフロー現象を確実に防止し
得る、インラインスクリュー式射出成形装置を使用した
射出成形方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の射出成形方法は、(A)熱可塑性樹脂を可
塑化、溶融、計量するための射出成形用シリンダー、
(B)射出成形用シリンダーの内部に配設され、ヘッド
部と、ヘッド部の後端に配設された本体部から成り、ヘ
ッド部の後部には縮径部が設けられ、本体部の先端部に
は、該縮径部に面したシート部が設けられているスクリ
ュー、(C)射出成形用シリンダー内であって、スクリ
ューの該縮径部に配設され、スクリューの前後進方向に
可動であり、シート部と係合し得る逆流防止リング、
(D)キャビティ、該キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂
を射出するためのゲート部、及び、該ゲート部と射出成
形用シリンダーのノズル部とを結ぶ溶融樹脂流路を備え
た金型組立体、並びに、(E)ゲート部に設けられ、若
しくは、射出成形用シリンダーの先端部内に配設された
閉鎖手段、を備えたインラインスクリュー式射出成形装
置を使用した射出成形方法であって、溶融熱可塑性樹脂
のキャビティ内への射出開始時点において、閉鎖手段に
よってキャビティと射出成形用シリンダーとを非連通状
態としておき、スクリューの前進運動によってシート部
と逆流防止リングとを密着させた後、閉鎖手段を移動さ
せてキャビティと射出成形用シリンダーとを連通状態と
し、次いで、ヘッド部と射出成形用シリンダーの内壁の
間に存在する空間内に導入された溶融熱可塑性樹脂を、
スクリューの更なる前進運動によって、溶融樹脂流路、
ゲート部を介して、キャビティ内に射出することを特徴
とする。尚、本発明の射出成形方法には、射出圧縮成形
法が包含される。
【0014】本発明の射出成形方法において、インライ
ンスクリュー式射出成形装置は、キャビティ内に射出さ
れた溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を導入するため
の加圧流体導入部を更に備えており、溶融熱可塑性樹脂
のキャビティ内への射出中、若しくは射出完了後(射出
完了と同時を含む)、キャビティ内に射出された溶融熱
可塑性樹脂の内部に加圧流体を導入する構成とすること
ができる。
【0015】本発明の射出成形方法において、溶融樹脂
流路はホットランナー方式であり、ゲート部はバルブゲ
ート(ホットノズルとも呼ばれる)構造を有し、閉鎖手
段はゲート部を閉鎖するためのバルブピンから成る構成
とすることができる。尚、従来のインラインスクリュー
式射出成形装置において、溶融樹脂流路をホットランナ
ー方式とする場合、溶融樹脂流路内にはバルブゲートが
配設されているが、かかるバルブゲートは、金型組立体
から成形品を取り出すとき、ホットランナーから溶融熱
可塑性樹脂がキャビティ内に流出することを防止する目
的で配設されている。そして、通常、溶融熱可塑性樹脂
の射出開始前にバルブゲートを開いておき、射出完了後
にバルブゲートを閉じる。溶融樹脂流路(具体的には、
マニホールド)をホットランナー方式とする場合、溶融
樹脂流路を、特別に加熱を行わない断熱ランナーとする
方式(熱絶縁式コールドマニホールド方式)、マニホー
ルドの内部にヒータを挿入した内部加熱ヒータ付きとす
る方式(内部加熱ヒータ付きコールドマニホールド方
式)、マニホールド全体をヒータで加熱するホットマニ
ホールド方式を例示することができる。バルブピンは、
例えば、油圧あるいは空気圧で強制的に開閉させること
ができる。
【0016】あるいは又、本発明の射出成形方法におい
て、閉鎖手段は、射出成形用シリンダーの先端部内に配
設されたシャットオフバルブから成る構成(射出成形用
シリンダーの先端部(ノズル部)を、所謂、逆止めノズ
ルとする構成)とすることもできる。尚、従来のインラ
インスクリュー式射出成形装置においても、逆止めノズ
ル形式のものが使用されているが、通常、溶融熱可塑性
樹脂の射出開始前にシャットオフバルブを開いておき、
射出完了後にシャットオフバルブを閉じる。本発明の射
出成形方法において、逆止めノズル形式のインラインス
クリュー式射出成形装置を使用する場合、ゲート部の構
造は、公知の如何なる形式のゲート構造とすることもで
き、例えば、ダイレクトゲート構造、サイドゲート構
造、ジャンプゲート構造、ピンポイントゲート構造、ト
ンネルゲート構造、リングゲート構造、ファンゲート構
造、ディスクゲート構造、フラッシュゲート構造、タブ
ゲート構造、フィルムゲート構造を例示することができ
る。
【0017】本発明の射出成形方法の実施にあたって
は、スクリューの前進運動によってシート部と逆流防止
リングとを密着させた後、閉鎖手段を移動させてキャビ
ティと射出成形用シリンダーとを連通状態とし、次い
で、スクリューの更なる前進運動によって、ヘッド部と
射出成形用シリンダーの内壁の間に存在する空間(ヘッ
ド部空間)内に導入された溶融熱可塑性樹脂を、溶融樹
脂流路、ゲート部を介して、キャビティ内に射出する
が、そのためには、インラインスクリュー式射出成形装
置におけるスクリューの前進運動を制御するためのソフ
トウエアー(プログラム)を変更すればよい。尚、シー
ト部と逆流防止リングとを密着させるためのスクリュー
の前進運動を、便宜上、スクリューの第1段階の前進運
動と呼び、ヘッド部空間内に導入された溶融熱可塑性樹
脂を、溶融樹脂流路、ゲート部を介して、キャビティ内
に射出するためのスクリューの更なる前進運動を、便宜
上、スクリューの第2段階の前進運動と呼ぶ。具体的に
は、スクリューの第1段階の前進運動を行わせるため
に、スクリューの前進運動を所謂「インチング」とし得
るようなソフトウエアー(プログラム)の変更を行えば
よい。尚、スクリューの位置を検知し、スクリューの位
置によってスクリューの前進運動を制御するような、所
謂、クローズド・ループによるフィードバック制御を行
えば、スクリューの第1段階の前進運動の制御を一層高
精度に行うことができる。ここで、スクリューの第1段
階の前進運動によって、どの程度スクリューを前進させ
るかは、使用する溶融熱可塑性樹脂の粘度、添加剤、フ
ィラー等の充填材等により、変化するので、一義的に規
定することはできず、射出成形を繰り返し、最適化を図
る必要がある。
【0018】加圧流体導入部を設ける場合、加圧流体導
入部は、例えば、公知のガス注入ノズルから構成するこ
とができる。加圧流体導入部を配設する位置は、例え
ば、射出成形用シリンダーのノズル部内やゲート部内、
溶融樹脂流路内であってもよいし、キャビティに面した
金型組立体の部分であってもよい。キャビティに面した
金型組立体の部分に加圧流体導入部を配設する場合、加
圧流体導入部をキャビティに近づく方向及びキャビティ
から遠ざかる方向に移動させるための加圧流体導入部移
動手段(例えば、油圧シリンダーや空気圧シリンダーか
ら構成される)を備えていることが好ましい。加圧流体
導入部は、例えば配管を介して加圧流体源に接続されて
いる。
【0019】ここで、使用に適した加圧流体としては、
常温・常圧下でガス状あるいは液状の流体であって、溶
融熱可塑性樹脂の内部への導入時、溶融熱可塑性樹脂と
反応したり混合しないものが望ましい。具体的には、窒
素ガス、炭酸ガス、空気、ヘリウムガス等、常温でガス
状の物質、水等の液体、高圧下で液化したガスを使用す
ることができるが、中でも、窒素ガスやヘリウムガス等
の不活性ガスが好ましい。尚、導入する加圧流体は、成
形品の中空部に断熱圧縮による焼けが生じないような不
活性な加圧流体であることが一層好ましく、窒素ガスを
用いる場合、純度90%以上のものを使用することが望
ましい。更には、加圧流体として、発泡性樹脂、繊維強
化樹脂材料等を使用することもできる。尚、この場合に
は、中空部に発泡性樹脂、繊維強化樹脂材料等が充填さ
れるが、このような構造も中空部という概念に含める。
【0020】キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹
脂の内部への加圧流体の導入開始の時点は、溶融熱可塑
性樹脂の射出中、射出完了と同時、あるいは射出完了後
とすることができる。キャビティ内の樹脂内への加圧流
体の導入は、キャビティ内の樹脂が冷却、固化した後も
続けることが好ましい。キャビティ内へ射出する溶融熱
可塑性樹脂の量は、キャビティ内を溶融熱可塑性樹脂で
完全に充填するために必要な量であってもよいし、成形
品に依っては、キャビティ内を溶融熱可塑性樹脂で完全
に充填するには不十分な量であってもよい。
【0021】キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹
脂の内部へ加圧流体を導入する場合、所望の中空部を有
し、しかも、美麗な外観を有する成形品を成形するため
に、溶融熱可塑性樹脂の射出速度は、遅い射出速度に設
定することが好ましい。例えば、所望の中空部を有して
いない成形品を成形するための溶融熱可塑性樹脂の射出
速度をIR1、所望の中空部を有する成形品を成形する
ための溶融熱可塑性樹脂の射出速度をIR0としたと
き、0.01IR1≦IR0≦0.5IR1、好ましくは
0.01IR1≦IR0≦0.3IR1、一層好ましくは
0.01IR1≦IR 0≦0.1IR1とすることが望ま
しい。
【0022】本発明での使用に適した熱可塑性樹脂とし
て、結晶性熱可塑性樹脂や非晶性熱可塑性樹脂を挙げる
ことができ、具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロ
ピレン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリアミド6、
ポリアミド66、ポリアミドMXD6等のポリアミド系
樹脂;ポリオキシメチレン(ポリアセタール,POM)
樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポ
リブチレンエチレンテレフタレート(PBT)樹脂等の
ポリエステル系樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹
脂;ポリスチレン樹脂等のスチレン系樹脂;メタクリル
系樹脂;ポリカーボネート樹脂;変性PPE樹脂;ポリ
スルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリアリレ
ート樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリアミドイミド
樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポ
リエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエステルカーボネ
ート樹脂を例示することができる。
【0023】また、各種の熱可塑性樹脂に、安定剤、紫
外線吸収剤、離型剤、染顔料等を添加することができる
し、ガラスビーズ、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム
等の無機充填材、あるいは有機充填材を添加することも
できる。更には、各種の熱可塑性樹脂に、無機繊維を含
有させることもできる。無機繊維は、ガラス繊維、カー
ボン繊維、ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウィ
スカー繊維、チタン酸カリウムウィスカー繊維、塩基性
硫酸マグネシウムウィスカー繊維、珪酸カルシウムウィ
スカー繊維及び硫酸カルシウムウィスカー繊維から成る
群から選択された少なくとも1種の材料から構成するこ
とが好ましい。尚、熱可塑性樹脂に含有される無機繊維
は1種類に限定されず、2種類以上の無機繊維を熱可塑
性樹脂に含有させてもよい。
【0024】場合によっては、金型組立体を、成形品の
成形時、キャビティの容積を可変とし得る構造とするこ
とができる。この場合、例えば油圧シリンダーで可動さ
せることができる可動中子を金型組立体に配設すればよ
い。あるいは又、金型組立体を構成する固定金型部と可
動金型部とを入れ子構造(印籠構造)とすればよい。そ
して、かかる構造の金型組立体を使用し、型締め時、成
形すべき成形品の容積(VM)よりもキャビティの容積
(VC)が大きくなるように、金型を型締めし、(金型
組立体の構造によっては、キャビティ内における可動中
子の配置位置を制御し、)該キャビティ(容積:VC
内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、溶融熱可塑性樹脂の射
出開始前、開始と同時に、射出中に、あるいは射出完了
後(射出完了と同時を含む)、可動金型部を移動させて
(あるいは又、可動中子を移動させて)、キャビティの
容積を成形すべき成形品の容積(VM)まで減少させて
もよい。尚、キャビティの容積が成形すべき成形品の容
積(VM)となる時点を、溶融熱可塑性樹脂の射出中、
あるいは射出完了後(射出完了と同時を含む)とするこ
とができる。この場合にも、キャビティ内に射出された
溶融熱可塑性樹脂の内部への加圧流体を導入し、成形品
に中空部を形成してもよい。加圧流体の導入開始の時点
は、溶融熱可塑性樹脂の射出中、射出完了と同時、ある
いは射出完了後とすることができる。
【0025】本発明の射出成形方法においては、先ず、
スクリューを後退状態としておく。そして、計量工程に
おいては、射出成形用シリンダー内、より具体的には、
射出成形用シリンダーの内壁とスクリューの本体部との
間に存在する空間(本体部空間)内で可塑化、溶融され
た熱可塑性樹脂が、スクリューの回転により、前方に移
動させられ、それに伴い、逆流防止リングとシート部と
が離れる。すると、溶融熱可塑性樹脂は、逆流防止リン
グとシート部との間の隙間、及び、逆流防止リングと縮
径部との間の隙間を経由して、ヘッド部と射出成形用シ
リンダーの内壁の間に存在する空間(ヘッド部空間)内
に導入され、溶融熱可塑性樹脂が計量される。次いで、
射出工程においては、スクリューの前進運動によって、
ヘッド部空間内の溶融熱可塑性樹脂が、溶融樹脂流路及
びゲート部を介してキャビティ内に射出される。このと
き、即ち、溶融熱可塑性樹脂のキャビティ内への射出開
始時点において、閉鎖手段によってキャビティと射出成
形用シリンダーとを非連通状態としておく。それ故、ス
クリューの第1段階の前進運動に起因して、ヘッド部空
間内の溶融熱可塑性樹脂の圧力が、たとえ射出速度(ス
クリューの第1段階の前進運動におけるスクリューの前
進速度)が遅くとも、従来の技術におけるよりも速やか
に上昇し、その結果、逆流防止リングが速やかに相対的
に後退し、逆流防止リングとシート部とが直ちに密着す
る。その結果、スクリューの本体部側への溶融熱可塑性
樹脂の逆流(バックフロー現象)の発生を確実に防止す
ることができる。そして、スクリューの第1段階の前進
運動によってシート部と逆流防止リングとを密着させた
後、閉鎖手段を移動させてキャビティと射出成形用シリ
ンダーとを連通状態とし、通常の溶融熱可塑性樹脂のキ
ャビティ内への射出を行う。
【0026】
【実施例】以下、図面を参照して、実施例に基づき本発
明を説明する。
【0027】(実施例1)実施例1におけるインライン
スクリュー式射出成形装置の概要を図1に示す。尚、図
1は、金型組立体、及び射出成形用シリンダー等の一部
を切り欠いた模式的な断面図である。更には、スクリュ
ー等を模式的に分解した分解図を図2の(A)に示し、
逆流防止リングの側面図を図2の(B)に示し、逆流防
止リングとスクリューのヘッド部の配置関係を図2の
(C)及び(D)に示す。
【0028】実施例1におけるインラインスクリュー式
射出成形装置は、熱可塑性樹脂を可塑化、溶融、計量す
るための射出成形用シリンダー10と、スクリュー20
と、逆流防止リング30と、金型組立体40を備えてい
る。
【0029】射出成形用シリンダー10は、ほぼ円筒状
であり、外周には、加熱用ヒーター15が配設されてい
る。また、射出成形用シリンダー10の先端部に相当す
るノズル部11が金型組立体に接続される構造となって
いる。
【0030】スクリュー20(実施例1においては、径
60mmのものを使用)は、射出成形用シリンダー10
の内部に、回転自在に、且つ、前後進方向(軸線方向)
に移動自在に配設されている。そして、スクリュー20
は、電動モータ等の回転駆動手段(図示せず)により回
転駆動されると共に、油圧シリンダー等の加圧駆動手段
(図示せず)により前後進方向(図面の紙面上下方向)
に駆動される。更には、スクリュー20は、ヘッド部2
1と、ヘッド部21の後端25に配設された本体部27
から成る。ヘッド部21は、その先端がテーパー状にな
っており、その外周部には、前後進方向(軸線方向)に
沿って複数の溝部22が設けられている。ヘッド部21
の後部には肩部23を介して縮径部24が設けられてい
る。更には、ヘッド部21の後端25にはネジ部26が
設けられている。かかるネジ部26を本体部27に設け
られたネジ孔と螺合させることによって、ヘッド部21
は本体部27と固定される。また、本体部27の先端部
には、縮径部24に面したシート部29が設けられてい
る。具体的には、リング状のスペーサ28が本体部27
の先端に、ヘッド部21の縮径部24と本体部27に挟
まれた状態で固定されている。スペーサ28の前面がシ
ート部29に相当する。スペーサ28の外径は、射出成
形用シリンダー10の内径よりも小さく、スペーサ28
の外周部と射出成形用シリンダー10の内壁の間を溶融
熱可塑性樹脂が通過できる構造となっている。尚、ヘッ
ド部21の後端25はスペーサ28を貫通している。射
出成形用シリンダー10と、シート部29と、縮径部2
4の外周部と、肩部23によって、リング状の空間14
が形成されている。
【0031】逆流防止リング30は、射出成形用シリン
ダー10内であって、スクリュー20の縮径部24に配
設され、スクリュー20の前後進方向(軸線方向)に可
動であり、シート部29と係合し得る構造を有する。具
体的には、逆流防止リング30は、リング状の空間14
内に収納されており、逆流防止リング30は、かかるリ
ング状の空間14内で前後進方向(軸線方向)に自由に
移動可能である。逆流防止リング30の先端部には突起
部31が設けられており、かかる突起部31はヘッド部
21に設けられた溝部22と常に摺動自在に係合してい
る。それ故、逆流防止リング30の回転が抑制され、し
かも、逆流防止リング30の前後進方向(軸線方向)に
沿った移動が制限される。逆流防止リング30の先端部
と肩部23との間には、逆流防止リング30がどのよう
な位置にあっても、隙間が存在し(図2の(C)、
(D)参照)、かかる隙間を経由して溶融熱可塑性樹脂
が流れる。また、逆流防止リング30の内径は縮径部2
4の外径よりも大きく、逆流防止リング30の内壁と縮
径部24の外周との間の隙間を経由して溶融熱可塑性樹
脂が流れる。逆流防止リング30の外径は、射出成形用
シリンダー10の内径とほぼ等しい。
【0032】金型組立体40は、キャビティ45、キャ
ビティ45内に溶融熱可塑性樹脂を射出するためのバル
ブゲート構造を有するゲート部44、及び、ゲート部4
4と射出成形用シリンダー10のノズル部11とを結ぶ
溶融樹脂流路(マニホールド全体をヒータで加熱するホ
ットマニホールド方式のマニホールド)43を備えてい
る。尚、マニホールド全体を加熱するヒータの図示は省
略した。また、ゲート部44には、閉鎖手段が設けられ
ている。具体的には、ゲート部44の近傍の溶融樹脂流
路43内には、ゲート部44を閉鎖するためのバルブピ
ン50から成る閉鎖手段が配設されている。バルブピン
50は、油圧シリンダー51によってゲート部44を強
制的に開閉し得る構造となっている。更には、キャビテ
ィ45内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流
体を導入するための加圧流体導入部(具体的には、ガス
注入ノズル52)が、キャビティ45に面した金型組立
体の部分に配設されている。ガス注入ノズル52をキャ
ビティ45に近づく方向及びキャビティ45から遠ざか
る方向に移動させるために、例えば空気圧シリンダーか
ら構成された加圧流体導入部移動手段53が更に備えら
れている。ガス注入ノズル52は、例えば配管を介して
加圧流体源に接続されているが、これらの図示は省略し
た。尚、成形品を2個取りとした。また、成形品は、自
動車用バータイプアウターハンドル形状の成形品とし
た。
【0033】以下、このインラインスクリュー式射出成
形装置を用いた実施例1の射出成形方法を説明する。
尚、熱可塑性樹脂として、ポリカーボネート樹脂(三菱
エンジニアリングプラスチックス株式会社製、商品名:
ユーピロンTMB4010:無機フィラー充填 グレー
色)を使用し、予め、120゜Cで5時間以上、予備乾
燥した。また、図14バルブピン50及び油圧シリンダ
ー51の組立体として、三菱商事プラスチック株式会社
販売のインコホットランナーバルブゲートを用いた。図
14更には、本発明の射出成形方法を実施できるよう
に、インラインスクリュー式射出成形装置のプログラム
を、キャビティ45と射出成形用シリンダー10とを連
通状態とする前に、バルブピン50によってゲート部4
4を閉じた状態で、即ち、キャビティ45と射出成形用
シリンダー10とを非連通状態としておき、スクリュー
20を、一旦、僅かに前進せしめる、所謂「インチン
グ」動作ができるように修正し、また、比較例を実行す
るために、スイッチの切り替えによって、インチング動
作を行うことなく、通常の射出成形が行えるように改造
した。
【0034】先ず、スクリュー20を後退状態としてお
く。そして、射出成形用シリンダー10のノズル部11
を固定金型部41に接触させる。次いで、固定金型部4
1と可動金型部42との型締めを行った後(型締め力:
350トン)、加圧流体導入部移動手段53を作動させ
て、ガス注入ノズル52をキャビティ45に開口するよ
うに配置した。また、閉鎖手段によってキャビティ45
と射出成形用シリンダー10とを非連通状態としておい
た。即ち、バルブピン50によってゲート部44を閉鎖
状態としておいた。
【0035】[計量工程]そして、計量工程において
は、射出成形用シリンダー10内、より具体的には、射
出成形用シリンダー10の内壁とスクリュー20の本体
部27との間に存在する空間(本体部空間13)内で、
280゜Cにて熱可塑性樹脂を可塑化、溶融しておく。
尚、加熱用ヒーター15及びスクリュー20の回転によ
り、可塑化、溶融、混練が行われる。溶融熱可塑性樹脂
は、スクリュー20の回転によって前方へ送られる。こ
のとき、逆流防止リング30には後方から溶融熱可塑性
樹脂の圧力が加わり、逆流防止リング30はリング状の
空間14内において前方に移動し、逆流防止リング30
の後端面がスペーサ28の前面であるシート部29から
離れ、逆流防止リング30とシート部29の間には隙間
ができる(図2の(C)参照)。一方、逆流防止リング
30が最前方に移動しても、逆流防止リング30の先端
部と肩部23との間には隙間が残されている(図2の
(C)参照)。それ故、溶融熱可塑性樹脂は、逆流防止
リング30とシート部29との間の隙間、逆流防止リン
グ30と縮径部24との間の隙間、及び、逆流防止リン
グ30と肩部23との間の隙間を経由して、ヘッド部2
1と射出成形用シリンダー10の内壁の間に存在する空
間(ヘッド部空間12)内に導入され、溶融熱可塑性樹
脂が計量される。尚、溶融熱可塑性樹脂がヘッド部空間
12内に充填されることに伴い、スクリュー20は溶融
熱可塑性樹脂の圧力により後退するが、図示しない油圧
シリンダー等の加圧駆動手段によりスクリュー20には
前方への適当な背圧が加えられている。
【0036】[射出工程]計量工程の終了後、射出工程
を実行する。射出工程では、油圧シリンダー等の加圧駆
動手段の作動によりスクリュー20が前進させられ、ヘ
ッド部空間12内の溶融熱可塑性樹脂がノズル部11か
ら溶融樹脂流路43、ゲート部44を経由してキャビテ
ィ45へ射出される。この溶融熱可塑性樹脂のキャビテ
ィ45内への射出開始時点において、閉鎖手段であるバ
ルブピン50によってキャビティと射出成形用シリンダ
ーとを非連通状態としておく。具体的には、バルブピン
50によってゲート部44は既に閉鎖状態となってい
る。それ故、スクリュー20の第1段階の前進運動に起
因して、ヘッド部空間12に存在する溶融熱可塑性樹脂
の圧力が、たとえ射出速度(スクリュー20の第1段階
の前進運動におけるスクリュー20の前進速度)が遅く
とも、従来の技術におけるよりも速やかに上昇し、その
結果、逆流防止リング30が速やかに相対的に後退し、
逆流防止リング30とシート部29とが直ちに密着する
(図2の(D)参照)。そして、その後も、この状態が
確実に保持される。その結果、スクリュー20の本体部
側への溶融熱可塑性樹脂の逆流(バックフロー現象)の
発生を確実に防止することができる。
【0037】スクリュー20の第1段階の前進運動の完
了は、スクリュー20の位置を検出することによって判
定することができる。即ち、スクリュー20が所定の距
離だけ前進したならば、スクリュー20の第1段階の前
進運動が完了したとする。その後、直ちに、油圧シリン
ダー51によって閉鎖手段であるバルブピン50を移動
させて、キャビティ45と射出成形用シリンダー10と
を連通状態とし(具体的には、ゲート部44を開き)、
ヘッド部21と射出成形用シリンダー10の内壁の間に
存在するヘッド部空間12内に導入された溶融熱可塑性
樹脂を、スクリュー20の更なる前進運動(スクリュー
20の第2段階における前進運動)によって、溶融樹脂
流路43、ゲート部44を介して、キャビティ45内に
射出した。この時点における溶融熱可塑性樹脂の射出率
を10cm3/秒とした。図14射出開始から2秒間が
経過した後、油圧シリンダー51によって閉鎖手段であ
るバルブピン50を移動させてキャビティ45と射出成
形用シリンダー10とを再び非連通状態とし(具体的に
は、ゲート部44を閉じ)、同時に、図14ガス注入ノ
ズル52から、加圧流体として加圧窒素ガス(ゲージ圧
力:8×107Pa)をキャビティ45内の溶融熱可塑
性樹脂の内部に導入した。加圧窒素ガスの導入から60
秒間、キャビティ45内の熱可塑性樹脂の冷却、固化を
行った後、加圧流体導入部移動手段53によってガス注
入ノズル52を後退させて、成形品の内部の加圧窒素ガ
スを大気中に解放せしめた。その後、固定金型部41及
び可動金型部42の型開きを行い、成形品を取り出し
た。
【0038】以上の操作を連続して100回行い、全数
(100ショット×2個=計200個)の成形品の重量
測定を行った。その結果を表1に示すが、各々のキャビ
ティ45における成形品の重量は極めて安定していた。
また、外形図を図3に示す成形品をその軸線方向に切断
し、中空部の断面観察を行ったが、中空部はほぼ同じ形
状であった。尚、成形品の切断図の一部を模式的に図4
の(A)に示す。また、屡々ヒケが発生する部位を、図
3においては、「ヒケ発生部位」で示した。
【0039】(比較例1)計量工程の開始前に、閉鎖手
段であるバルブピン50を移動させて、キャビティ45
と射出成形用シリンダー10とを連通状態としておい
た。具体的には、ゲート部44を開いた状態としておい
た。そして、この状態を保持したまま、射出成形を行っ
た。具体的には、実施例1と異なり、インチング動作を
させることなく、スクリュー20の前進運動によって、
ヘッド部空間12内に導入された溶融熱可塑性樹脂を、
溶融樹脂流路43、ゲート部44を介して、キャビティ
45内に射出した。溶融熱可塑性樹脂の射出率を10c
3/秒とした。図14射出開始から2秒間が経過した
後、油圧シリンダー51によって閉鎖手段であるバルブ
ピン50を移動させてキャビティ45と射出成形用シリ
ンダー10とを非連通状態とし(具体的には、ゲート部
44を閉じ)、同時に、図14ガス注入ノズル52か
ら、加圧流体として加圧窒素ガス(ゲージ圧力:8×1
7Pa)をキャビティ45内の溶融熱可塑性樹脂の内
部に導入した。加圧窒素ガスの導入から60秒間、キャ
ビティ45内の熱可塑性樹脂の冷却、固化を行った後、
ガス注入ノズル52から成形品の内部の加圧窒素ガスを
大気中に解放せしめた。その後、固定金型部41及び可
動金型部42の型開きを行い、成形品を取り出した。
【0040】以上の操作を連続して100回行い、全数
(100ショット×2個=計200個)の成形品の重量
測定を行った。その結果を表2に示すが、各々のキャビ
ティ45における成形品の重量がばらついていた。ま
た、成形品をその軸線方向に切断し、中空部の断面観察
を行ったが、中空部の形状もばらついていた。尚、成形
品の切断図の一部を模式的に図4の(B)及び(C)に
示す。図4の(B)に示す状態にある成形品にあって
は、キャビティ45内に射出された溶融熱可塑性樹脂の
量が、バックフロー現象の発生により、規定の値よりも
少ない。一方、図4の(C)に示す状態にある成形品に
あっては、キャビティ45内に射出された溶融熱可塑性
樹脂の量が規定の値よりも多い。
【0041】 [表1] 成形品の平均重量 標準偏差(σ) 一方のキャビティ 49.23グラム 0.27グラム 他方のキャビティ 49.20グラム 0.25グラム
【0042】 [表2] 成形品の平均重量 標準偏差(σ) 一方のキャビティ 49.40グラム 1.13グラム 他方のキャビティ 49.39グラム 1.02グラム
【0043】(実施例2)実施例2におけるインライン
スクリュー式射出成形装置の概要を図5に示す。実施例
2においては、閉鎖手段を、射出成形用シリンダー10
の先端部であるノズル部11に配設されたシャットオフ
バルブ60から構成した。シャットオフバルブ60は、
油圧シリンダー61によって、ノズル部11を閉じる方
向、及び、開く方向に移動可能である。
【0044】以下、実施例2の射出成形方法を説明す
る。
【0045】計量工程は、実質的に実施例1と同様とす
ることができるので、詳細な説明は省略する。計量工程
の終了後、射出工程を実行する。実施例2の射出工程に
おいては、シャットオフバルブ60によってノズル部1
1を予め閉鎖した状態としておく。即ち、キャビティ4
5と射出成形用シリンダー10とは非連通状態にある。
そして、この状態で、油圧シリンダー等の加圧駆動手段
の作動によりスクリュー20を前進させる。即ち、スク
リュー20の第1段階の前進運動を実行する。キャビテ
ィ45と射出成形用シリンダー10とは非連通状態にあ
るが故、スクリュー20の第1段階の前進運動に起因し
て、ヘッド部空間12に存在する溶融熱可塑性樹脂の圧
力が、たとえ射出速度(スクリュー20の第1段階の前
進運動におけるスクリュー20の前進速度)が遅くと
も、従来の技術におけるよりも速やかに上昇し、その結
果、逆流防止リング30が速やかに相対的に後退し、逆
流防止リング30とシート部29とが直ちに密着する。
そして、その後も、この状態が確実に保持される。その
結果、スクリュー20の本体部側への溶融熱可塑性樹脂
の逆流(バックフロー現象)の発生を確実に防止するこ
とができる。
【0046】スクリュー20の第1段階の前進運動の完
了は、スクリュー20の位置を検出することによって判
定することができる。即ち、スクリュー20が所定の距
離だけ前進したならば、スクリュー20の第1段階の前
進運動が完了したとする。その後、直ちに、油圧シリン
ダー61の動作によって、閉鎖手段であるシャットオフ
バルブ60を移動させて、キャビティ45と射出成形用
シリンダー10とを連通状態とし、ヘッド部21と射出
成形用シリンダー10の内壁の間に存在するヘッド部空
間12内に導入された溶融熱可塑性樹脂を、スクリュー
20の更なる前進運動(スクリュー20の第2段階にお
ける前進運動)によって、溶融樹脂流路43、ゲート部
44を介して、キャビティ45内に射出した。この時点
における溶融熱可塑性樹脂の射出率を10cm3/秒と
した。図14射出開始から2秒間が経過した後、油圧シ
リンダー61によって閉鎖手段であるシャットオフバル
ブ60を移動させてキャビティ45と射出成形用シリン
ダー10とを再び非連通状態とし、同時に、図14ガス
注入ノズル52から、加圧流体として加圧窒素ガス(ゲ
ージ圧力:8×107Pa)をキャビティ45内の溶融
熱可塑性樹脂の内部に導入した。加圧窒素ガスの導入か
ら60秒間、キャビティ45内の熱可塑性樹脂の冷却、
固化を行った後、加圧流体導入部移動手段53によって
ガス注入ノズル52を後退させて、成形品の内部の加圧
窒素ガスを大気中に解放せしめた。その後、固定金型部
41及び可動金型部42の型開きを行い、成形品を取り
出した。
【0047】以上の操作を連続して100回行い、全数
(100ショット×2個=計200個)の成形品の重量
測定を行った。その結果、各々のキャビティ45におけ
る成形品の重量は極めて安定していた。また、成形品を
その軸線方向に切断し、中空部の断面観察を行ったが、
図4の(A)に示したと同様に、中空部はほぼ同じ形状
であった。
【0048】(比較例2)計量工程の開始前に、閉鎖手
段であるシャットオフバルブ60を移動させて、キャビ
ティ45と射出成形用シリンダー10とを連通状態とし
ておいた。そして、この状態を保持したまま、射出成形
を行った。具体的には、実施例2と異なり、インチング
動作をさせることなく、スクリュー20の前進運動によ
って、ヘッド部空間12内に導入された溶融熱可塑性樹
脂を、溶融樹脂流路43、ゲート部44を介して、キャ
ビティ45内に射出した。溶融熱可塑性樹脂の射出率を
10cm3/秒とした。図14射出開始から2秒間が経
過した後、油圧シリンダー61によって閉鎖手段である
シャットオフバルブ60を移動させてキャビティ45と
射出成形用シリンダー10とを非連通状態とし、同時
に、図14ガス注入ノズル52から、加圧流体として加
圧窒素ガス(ゲージ圧力:8×107Pa)をキャビテ
ィ45内の溶融熱可塑性樹脂の内部に導入した。加圧窒
素ガスの導入から60秒間、キャビティ45内の熱可塑
性樹脂の冷却、固化を行った後、ガス注入ノズル52か
ら成形品の内部の加圧窒素ガスを大気中に解放せしめ
た。その後、固定金型部41及び可動金型部42の型開
きを行い、成形品を取り出した。
【0049】以上の操作を連続して100回行い、全数
(100ショット×2個=計200個)の成形品の重量
測定を行ったが、各々のキャビティ45における成形品
の重量がばらついていた。また、成形品をその軸線方向
に切断し、中空部の断面観察を行ったが、中空部の形状
もばらついていた。
【0050】以上、本発明を、発明の実施の形態に基づ
き説明したが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。射出成形用シリンダー、スクリュー、逆流防止リン
グ、金型組立体、加圧流体導入部の構成や構造、射出成
形条件や使用した熱可塑性樹脂等は例示であり、適宜変
更することができる。
【0051】
【発明の効果】本発明の射出成形方法においては、たと
え射出速度が遅くとも、スクリューのヘッド部と射出成
形用シリンダーの内壁との間のヘッド部空間に存在する
溶融熱可塑性樹脂が、スクリューの本体部側へと逆流す
るバックフロー現象の発生を確実に防止することができ
る。その結果、安定して均一な品質を有する成形品を確
実に成形することができる。また、金型組立体の構造に
もよるが、特別な装置等を用いず、金型組立体を改造す
ることもなく、従来から使用されているインラインスク
リュー式射出成形装置をそのまま使用することができ、
しかも、かかる優れた効果を達成することが可能である
し、成形サイクルが大幅に延長することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び従来のインラインスクリュー式射
出成形装置における金型組立体、及び射出成形用シリン
ダー等の一部を切り欠いた模式的な断面図である。
【図2】スクリュー等を模式的に分解した分解図、逆流
防止リングの側面図、逆流防止リングとスクリューのヘ
ッド部の配置関係を示す図である。
【図3】実施例1にて得られた成形品の模式的な外形図
である。
【図4】実施例1及び比較例1にて得られた成形品の切
断図の一部を模式的に示す図である。
【図5】実施例2のインラインスクリュー式射出成形装
置における金型組立体、及び射出成形用シリンダー等の
一部を切り欠いた模式的な断面図である。
【符号の説明】
10・・・射出成形用シリンダー、11・・・ノズル
部、14・・・リング状の空間、15・・・加熱用ヒー
ター、20・・・スクリュー、21・・・ヘッド部、2
2・・・溝部、23・・・肩部、24・・・縮径部、2
5・・・ヘッド部の後端、26・・・ネジ部、27・・
・本体部、28・・・スペーサ、29・・・シート部、
30・・・逆流防止リング、31・・・突起部、40・
・・金型組立体、41・・・固定金型部、42・・・可
動金型部、43・・・溶融樹脂流路、44・・・ゲート
部、45・・・キャビティ、50・・・バルブピン、5
1・・・油圧シリンダー、52・・・ガス注入ノズル、
53・・・加圧流体導入部移動手段、60・・・シャッ
トオフバルブ、61・・・油圧シリンダー
フロントページの続き (72)発明者 岩切 常昭 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 (72)発明者 高木 喜代次 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三 菱エンジニアリングプラスチックス株式会 社技術センター内 (72)発明者 藤井 一 大阪府大阪市中央区淡路町3丁目3番7号 三菱商事プラスチック株式会社内 (72)発明者 松葉 将裕 大阪府大阪市中央区淡路町3丁目3番7号 三菱商事プラスチック株式会社内 Fターム(参考) 4F202 AM32 CA11 CB01 CK06 CK07 4F206 JA07 JD03 JM04 JN15 JQ27 JQ62 JQ81

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)熱可塑性樹脂を可塑化、溶融、計量
    するための射出成形用シリンダー、 (B)射出成形用シリンダーの内部に配設され、ヘッド
    部と、ヘッド部の後端に配設された本体部から成り、ヘ
    ッド部の後部には縮径部が設けられ、本体部の先端部に
    は、該縮径部に面したシート部が設けられているスクリ
    ュー、 (C)射出成形用シリンダー内であって、スクリューの
    該縮径部に配設され、スクリューの前後進方向に可動で
    あり、シート部と係合し得る逆流防止リング、 (D)キャビティ、該キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂
    を射出するためのゲート部、及び、該ゲート部と射出成
    形用シリンダーのノズル部とを結ぶ溶融樹脂流路を備え
    た金型組立体、並びに、 (E)ゲート部に設けられ、若しくは、射出成形用シリ
    ンダーの先端部内に配設された閉鎖手段、を備えたイン
    ラインスクリュー式射出成形装置を使用した射出成形方
    法であって、 溶融熱可塑性樹脂のキャビティ内への射出開始時点にお
    いて、閉鎖手段によってキャビティと射出成形用シリン
    ダーとを非連通状態としておき、 スクリューの前進運動によってシート部と逆流防止リン
    グとを密着させた後、閉鎖手段を移動させてキャビティ
    と射出成形用シリンダーとを連通状態とし、次いで、ヘ
    ッド部と射出成形用シリンダーの内壁の間に存在する空
    間内に導入された溶融熱可塑性樹脂を、スクリューの更
    なる前進運動によって、溶融樹脂流路、ゲート部を介し
    て、キャビティ内に射出することを特徴とする射出成形
    方法。
  2. 【請求項2】インラインスクリュー式射出成形装置は、
    キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加
    圧流体を導入するための加圧流体導入部を更に備えてお
    り、 溶融熱可塑性樹脂のキャビティ内への射出中、若しくは
    射出完了後、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹
    脂の内部に加圧流体を導入することを特徴とする請求項
    1に記載の射出成形方法。
  3. 【請求項3】溶融樹脂流路はホットランナー方式であ
    り、 ゲート部はバルブゲート構造を有し、 閉鎖手段は、ゲート部を閉鎖するためのバルブピンから
    成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の射
    出成形方法。
  4. 【請求項4】閉鎖手段は、射出成形用シリンダーの先端
    部内に配設されたシャットオフバルブから成ることを特
    徴とする請求項1又は請求項2に記載の射出成形方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109514793A (zh) * 2018-12-14 2019-03-26 王海祥 注塑机

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