JP2002001198A - スピンコーター及び情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

スピンコーター及び情報記録媒体の製造方法

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JP2002001198A
JP2002001198A JP2000185820A JP2000185820A JP2002001198A JP 2002001198 A JP2002001198 A JP 2002001198A JP 2000185820 A JP2000185820 A JP 2000185820A JP 2000185820 A JP2000185820 A JP 2000185820A JP 2002001198 A JP2002001198 A JP 2002001198A
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disk
substrate
coating
turntable
spin coater
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Atsushi Tamaki
淳 玉木
Yasushi Miwa
靖 三輪
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 筋状の塗布むらがなく、より一層均一な厚さ
の塗布膜を形成でき、しかも、装置構成をより一層簡素
化し得る様に改良されたスピンコーター、および、当該
スピンコーターを使用した情報記録媒体の製造方法を提
供する。 【解決手段】 スピンコーターは、ディスク基板(7)
を搭載して回転するターンテーブル(1)と、ディスク
基板(7)の中央部を被覆する被覆円板(2)と、被覆
円板(2)を押し付けて保持する円板保持手段と、保護
膜形成樹脂を供給する樹脂供給ノズル(3)とから主と
して構成される。被覆円板(2)の表面は、外周から内
周に向かうに従って高さが増加する傾斜面(20)とし
て形成され、樹脂供給ノズル(3)は、傾斜面(20)
に対して保護膜形成樹脂を供給可能に配置される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スピンコーター及
び情報記録媒体の製造方法に関するものであり、詳しく
は、ディスク基板の表面の塗布膜を形成するスピンコー
ターであって、筋状の塗布むらがなく、より一層均一な
厚さの塗布膜を形成でき、しかも、装置構成をより一層
簡素化し得る様に改良されたスピンコーター、および、
当該スピンコーターを使用した情報記録媒体の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】情報記録媒体としては、磁気ディスク装
置をはじめとする磁気記録装置に用いる磁気ディスク等
の磁気記録媒体、光磁気ディスク、相変化ディスク、無
機穴開け型ディスク、色素ディスク等の光ディスクに代
表される光記録媒体などが挙げられる。磁気ディスク装
置は、コンピュータなどの情報処理装置の外部記録装置
として広く用いられており、近年は動画像の録画装置や
セットトップボックスのための記録装置としても使用さ
れつつある。
【0003】磁気ディスク装置は、通常、磁気ディスク
を1枚あるいは複数枚を串刺し状に固定するシャフト
と、当該シャフトにベアリングを介して接合され且つ磁
気ディスクを回転させるモータと、記録及び/又は再生
に用いる磁気ヘッドと、当該ヘッドが取り付けられたア
ームと、ヘッドアームを介してヘッドを磁気記録媒体上
の任意の位置に移動させるアクチュエータとから成る。
記録再生用のヘッドとしては、磁気記録媒体上を一定の
浮上量で移動する浮上型ヘッドの他、媒体との距離をよ
り縮めるためにコンタクトヘッド(接触型ヘッド)の使
用も提案されている。
【0004】磁気ディスク装置に搭載される磁気記録媒
体は、一般にアルミニウム合金などから成る基板の表面
にNiP層を形成し、所要の平滑化処理、テキスチャリ
ング処理などを施した後、その上に金属下地層、磁性層
(情報記録層)、保護層、潤滑層などを順次形成して作
製される。あるいは、ガラスなどから成る基板の表面に
金属下地層、磁性層(情報記録層)、保護層、潤滑層な
どを順次形成して作製される。磁気記録媒体には、面内
磁気記録媒体と垂直磁気記録媒体とがあり、面内磁気記
録媒体は、通常、長手記録が行われる。
【0005】光記録媒体は、ユーザーが記録可能な大容
量情報記録媒体であり、コンピュータの外部記録装置に
用いる媒体として広く普及している。また音楽や写真、
画像、動画などの情報を記録するため音楽プレーヤーや
デジタルカメラ、ビデオ、セットトップボックスなどの
記録再生装置に用いる媒体としても急速に普及しつつあ
る。
【0006】光磁気ディスクとしては、3.5インチ型
の640MB製品、230MB製品、128MB製品、
GIGAMO、5.25インチ型の650MB〜4.8
GBの製品、ミニディスク等が知られており、相変化デ
ィスクとしては、CD−RW、DVD−RAM等が製品
化され、更に、DVD+RW、DVD−RW等も開発さ
れている。また、色素ディスクとしては、CD−R、D
VD−Rと言った製品が知られている。
【0007】さて、光記録媒体の記録再生方式には、基
板を通して記録再生光を入射させ記録再生を行う基板面
入射方式と、基板を通さずに(記録層側から)記録再生
光を入射させる膜面入射方式とがある。膜面入射方式
は、記録再生ヘッドと記録層との距離を縮める事が出
来、より大容量に記録できる点で好ましい。一般に、基
板面入射方式の光ディスクの層構成は、ディスク基板/
第1誘電体層/記録層/第2誘電体層(/反射層)/保
護膜であり、膜面入射方式の光ディスクの層構成は、デ
ィスク基板(/反射層)/第1誘電体層/記録層/第2
誘電体層/保護膜となっている。
【0008】この様に磁気ディスクや光ディスクの表面
には、記録層の損傷や腐食を防止するために保護膜が形
成されるが、斯かる保護膜は、記録層と磁気ヘッドとの
間隔を一定に維持し、印加する磁界の強さのばらつきを
防止するため、あるいは、光学ピックアップから照射さ
れるレーザー光の収差を低減するため、均一な厚さで形
成される必要がある。通常、保護膜は、比較的薄い膜を
膜厚ムラや気泡なく形成するため、所謂スピンコーター
を使用したスピンコート法によって形成される。スピン
コート法によれば、ターンテーブル上にディスク基板を
搭載し、基板を回転させつつ、その情報記録領域の内周
部に保護膜形成樹脂として紫外線硬化樹脂を供給するこ
とにより、遠心力によって情報記録領域全体に樹脂を塗
布することが出来る。
【0009】例えば、特開平11−66647号公報に
は、均一な厚さで保護膜を形成するためのスピンコータ
ー及びスピンコート法が「保護膜形成装置及び保護膜形
成方法」として記載されている。斯かる保護膜形成装置
は、基板を回転させるターンテーブルと、基板の中心孔
およびその周縁部を被覆し且つ基板の情報記録領域の内
周部に保護膜形成樹脂を供給するための回転円板とを備
え、当該回転円板は、基板の中心孔を覆う円板部と、当
該円板部から下方に伸長され且つ基板の中心孔を貫通し
てターンテーブルの軸に装着される中心軸から成り、し
かも、回転円板の円板部は、外周から内周に向かうに従
い漸次厚さが増加し且つ外側に膨出する扁平なドーム状
に形成され、そして、回転円板の中心、すなわち、円板
部の頂点に保護膜形成樹脂を供給可能になされている。
【0010】また、上記の保護膜形成装置においては、
気体を噴出させるための噴出口が回転円板の中心軸に設
けられており、樹脂が塗布されたターンテーブル上の基
板から回転円板を上方へ取り外す際、噴出口から気体を
噴出させることにより、基板の内周側へ毛細管現象によ
って樹脂が染込むのを防止し、基板の中心孔の周りへ樹
脂が付着するのを防止する様になされている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、スピンコー
ト法において、保護膜に膜厚差を生じる原因としては、
滴下した保護膜形成樹脂に作用する遠心力、樹脂の粘性
抵抗、流動性、硬化速度などの要素が複雑に関係する
が、従来のスピンコーターにおいては、実際、膜厚のば
らつき以外に筋状の塗布むらが発生することがある。確
認は出来ていないが、斯かる塗布むらは、上記の様な回
転円板の円板部の頂点、すなわち、被覆部材の頂点に供
給された樹脂の分散が早すぎるために発生すると考えら
れる。
【0012】更に、前述した基板の内周側への樹脂の染
込みは、被覆部材の取り外しの際のみならず、回転中の
塗布操作においても発生することもあり、斯かる染込み
部分を基点として、塗布領域(情報記録領域)に上記と
同様の筋状の塗布むらを生じさせる。上記の様な何れの
筋状の塗布むらも、記録特性を著しく低下させる塗膜欠
陥である。
【0013】上記の保護膜形成装置においては、ターン
テーブルに対する基板の着脱に伴い回転円板も着脱する
が、斯かる回転円板は、取り外しの際に把持できる部分
が中心軸または円板端部に限られている。換言すれば、
取り外しの際には、中心軸の噴出口から気体を噴出させ
ることにより、一旦、回転円板を上方に浮かせ、そこで
中心軸または円板端部を把持しなければならない。しか
も、把持した後は、ディスク基板の内周に接触し傷つけ
てしまう虞があるため、真上に大きく移動させる必要が
ある。すなわち、上記の回転円板の様なドーム状の被覆
部材は、操作上の観点からすると、ハンドリング機構が
極めて複雑化すると言う問題がある。
【0014】本発明は、上記の実情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、ディスク基板の表面の塗布膜を
形成するスピンコーターであって、より一層均一な厚さ
の塗布膜を形成でき且つ塗布膜における筋状の塗布むら
を確実に防止でき、しかも、装置構成をより一層簡素化
し得る様に改良されたスピンコーター、および、当該ス
ピンコーターを使用した情報記録媒体の製造方法を提供
することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明のスピンコーターは、ディスク基板の表面に
塗布膜を形成するためのスピンコーターであって、ディ
スク基板を搭載して回転するターンテーブルと、当該タ
ーンテーブル上のディスク基板の中央部を被覆する被覆
円板と、ディスク基板上に前記被覆円板を押し付けて保
持する円板保持手段と、前記被覆円板の表面に液状の塗
布膜形成樹脂を供給する樹脂供給ノズルとから主として
構成され、前記被覆円板の表面は、外周から内周に向か
うに従って高さが増加する傾斜面として形成され、か
つ、前記樹脂供給ノズルは、前記被覆円板の傾斜面に対
して塗布膜形成樹脂を供給可能に配置されていることを
特徴とする。
【0016】すなわち、上記スピンコーターによる塗布
操作おいては、ターンテーブルにディスク基板を搭載
し、被覆円板によってディスク基板の中央部を被覆した
後、ターンテーブルを回転させる。そして、樹脂供給ノ
ズルによって被覆円板の傾斜面に対して液状の塗布膜形
成樹脂を供給する。その結果、被覆円板は、その回転に
より、供給された塗布膜形成樹脂をディスク基板側へ均
等に分散させる。また、円板保持手段は、ディスク基板
上に被覆円板を押し付け、ディスク基板と被覆円板の間
への塗布膜形成樹脂の染込みを規制する。そして、上記
スピンコーターにおける被覆円板の形状および樹脂供給
ノズルの特定の配置は、その頂部を利用した被覆円板の
着脱操作を可能にし、装置構成をより一層簡素化でき
る。
【0017】上記スピンコーターにおいては、塗布膜形
成樹脂をより均一に分散させるため、被覆円盤の傾斜面
は、外周から内周に向かうに従って高さが増加し且つ内
側に凹没する後退斜面に形成されているのが好ましい。
すなわち、斯かる態様のスピンコーターにおいて、後退
斜面として形成された被覆円板の表面の傾斜面は、供給
された塗布膜形成樹脂を一時的に貯留し、被覆円板の回
転に伴って円周方向に亙って均一化させるため、塗布膜
形成樹脂を一層均等に分散させ得る。
【0018】また、上記スピンコーターの各態様におい
ては、被覆円板がステンレスによって構成されているこ
とにより、被覆円板の後退斜面における塗布膜形成樹脂
の滞留時間を長くでき、一層均一に塗布膜形成樹脂を分
散できる。
【0019】また、上記スピンコーターの更に好ましい
態様においては、円板保持手段により、ディスク基板に
対して0.01〜0.5MPaの圧力で被覆円板を押圧
可能に構成されており、斯かる構成により、被覆円板と
ディスク基板との間の塗布膜形成樹脂の染込みを一層確
実に防止できる。更に、斯かる塗布膜形成樹脂の染込み
をより一層確実に防止するための好ましい態様は、被覆
円板の外周縁部の底面がディスク基板に当接する構造を
備え、前記底面の直径方向の当接長さが0.1〜0.8
mmである。
【0020】上記スピンコーターにおいて、円板保持手
段としては、ディスク基板に対して被覆円板を簡単に着
脱でき且つ適度な圧力で押圧可能な幾つかの態様が挙げ
られる。例えば、円板保持手段は、ターンテーブルに設
けられた真空吸引機構と、被覆円板に設けられた蓋構造
とから成り、前記ターンテーブルの真空吸引機構は、前
記ターンテーブルの中心に設けられ且つディスク基板の
中心孔に下方から貫通する柱状の突起部と、当該突起部
の先端に開口された減圧可能な真空路とから構成され、
前記被覆円板の蓋構造は、前記被覆円板の中心に形成さ
れ且つ前記突起部が嵌合する貫通孔と、弾性体によって
前記被覆円板から離間する方向に付勢され且つ前記貫通
孔を開閉する蓋とから構成されている。
【0021】また、他の態様において、円板保持手段
は、ターンテーブルの上方に配置された昇降可能なアー
ムによって構成され、被覆円板は、前記アームの先端に
軸受を介して吊持されている。更に、他の態様におい
て、円板保持手段は、ターンテーブルの上方の昇降可能
なアームの先端に設けられた電磁コイルと、被覆円板の
頂部に設けられた永久磁石とによって構成されている。
【0022】そして、本発明に斯かる情報記録媒体の製
造方法は、上記の何れかの態様のスピンコーターを使用
した情報記録媒体の製造方法であって、保護膜を形成す
る工程において、ターンテーブルにディスク基板を搭載
し且つディスク基板の中央部に円板保持手段によって被
覆円板を押し付けた状態で回転させると共に、前記被覆
円板の傾斜面に対して樹脂供給ノズルから保護膜形成樹
脂を供給することにより、ディスク基板の表面に塗布膜
としての保護膜を形成することを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明に係るスピンコーターおよ
び当該スピンコーターを使用した情報記録媒体の製造方
法の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発
明に係るスピンコーターの主要部を示す一部破断の側面
図である。図2は、被覆円板の基本的な形状を拡大して
示す縦断面図である。また、図3は、本発明のスピンコ
ーターを使用して得られた情報記録媒体における保護膜
の状態を示すグラフである。なお、実施形態の説明にお
いては、ディスク基板を「基板」と略記する。
【0024】先ず、本発明のスピンコーターについて説
明する。本発明のスピンコーターは、図1に示す様に、
例えば、情報記録媒体としての基板(7)の表面に保護
膜としての塗布膜を形成するための塗布装置であり、基
板(7)を搭載して回転するターンテーブル(1)と、
当該ターンテーブル上の基板(7)の中央部を被覆する
被覆円板(2)と、基板(7)上に被覆円板(2)を押
し付けて保持する円板保持手段と、被覆円板(2)の表
面に液状の保護膜形成樹脂としての塗布膜形成樹脂を供
給する樹脂供給ノズル(3)とから主として構成され
る。
【0025】本発明において、例えば、基板(7)とし
ては、磁気ディスクや光ディスク等が挙げられ、また、
塗布する保護膜形成樹脂としては、アクリル系紫外線硬
化樹脂などが挙げられるが、基板(7)や樹脂材料につ
いては、製造方法の説明において詳述する。本発明のス
ピンコーターにおいて、ターンテーブル(1)は、基板
(7)を水平かつ安定に搭載し得る回転テーブルであ
り、スピンドルモータ(図示省略)によって回転する駆
動軸(15)に装着され、使用する保護膜形成樹脂の粘
度および保護膜の厚さに応じ、振り切り時には例えば一
方向に数千rpmの速度で回転する様に構成される。
【0026】ターンテーブル(1)の中心には、当該タ
ーンテーブル上で基板(7)及び被覆円板(2)を位置
決めするため、基板(7)の中心孔(7c)に下方から
貫通する柱状の突起部(12)が設けられる。基板
(7)の厚さに相当する高さの突起部(12)の基端部
は、基板(7)の中心孔(7c)に嵌合する直径で形成
され、また、前記基端部よりも上端側の部位は、後述す
る被覆円板(2)の貫通孔(21)に嵌合する直径で形
成される。
【0027】ターンテーブル(1)には、搭載された基
板(7)を固定するための真空吸引機構が設けられる。
具体的には、真空吸引機構は、上記の駆動軸(15)の
軸芯およびターンテーブル(1)の軸部に形成され且つ
減圧可能になされた真空路(14)と、真空路(14)
からターンテーブル(1)の机盤部内に形成された分岐
路(14b)と、ターンテーブル(1)の表面に例えば
円環状の平面パターンで形成され且つ分岐路(14b)
に通じる溝(14c)とから成る。
【0028】上記の真空吸引機構は、別途設置された真
空ポンプ(図示省略)によって真空路(14)を減圧可
能に構成され、斯かる減圧操作により、ターンテーブル
(1)表面の溝(14c)を減圧し、ターンテーブル
(1)上の基板(7)を吸着する様になされている。な
お、後述する様に、円板保持手段の一部として機能させ
るため、上記の真空吸引機構においては、真空路(1
4)の上端に小径の真空路(14d)が設けられる。
【0029】被覆円板(2)は、ターンテーブル(1)
上の基板(7)の中央部、すなわち、基板(7)の中心
孔(7c)及びその周縁部(非記録領域)を被覆し、か
つ、供給された保護膜形成樹脂を基板(7)の情報記録
領域へ均等に分散させるために設けられる。被覆円板
(2)は、例えば図2に示す様に、外周側が薄肉で且つ
内周側が厚肉になされ、かつ、頂部を平坦に形成された
略陣笠状の円板体である。被覆円板(2)の外径は、情
報記録領域より内側にある必要があり、5.25インチ
ディスクに用いる場合で例えば35〜38mm程度であ
る。
【0030】被覆円板(2)の内部には、通常、後述す
る様な円板保持手段などの機構が設けられるが、少なく
とも被覆円板(2)の表面は、外周から内周に向かうに
従って高さが増加する傾斜面(20)として形成される
必要がある。しかも、被覆円盤(2)の傾斜面(20)
は、外周から内周に向かうに従って高さが増加し且つ内
側に凹没する後退斜面に形成されるのが好ましい。これ
により、傾斜面(20)に供給された保護膜形成樹脂を
一時的に滞留させ、保護膜形成樹脂の急激な分散を抑制
し、より均等に保護膜形成樹脂を分散させ得る。しか
も、被覆円板(2)の操作を安全かつ容易に行える。そ
して、被覆円板(2)の頂部を利用することにより、被
覆円板(2)を簡単に着脱でき、装置構成をより一層簡
素化できる。
【0031】具体的には、上記の後退斜面は、被覆円板
(2)の頂部と外周端部とを結ぶ直線よりも内側に凹没
していればよく、外周から内周に向かうに従って直線的
に傾斜し、中央部近傍で頂部に向けて垂直に屹立してい
てもよい。より好ましくは、被覆円板(2)の表面は、
外周から内周に向かうに従い漸次高さが増加し且つ内側
に凹没する後退斜面として形成される。すなわち、全体
として角が無く、少なくとも一部が内側に湾曲する曲面
で構成されているのが好ましい。より一層好ましくは、
外周側と内周側で曲率が異なり、かつ、これら曲率の異
なる湾曲面が滑らかに連続する斜面とされる。外周側の
曲率半径は25mm以上が好ましく、内周側の曲率半径
は2mm以下が好ましい。
【0032】被覆円板(2)の傾斜面(20)を上記の
様な後退斜面に形成する理由は次の通りである。すなわ
ち、被覆円板(2)上の外周部分で適度な液溜まりが形
成されることにより、基板(7)側への樹脂の急激な飛
散を抑制し、より均等に樹脂を分散できると考えられ
る。また、被覆円板(2)の表面は、完全な鏡面である
よりも、むしろ微視的には荒れている方がマクロな意味
での表面張力の上昇につながり、樹脂の保持特性が向上
するので好ましいと考えられる。そして、傾斜面(2
0)に対する保護膜形成樹脂の粘性抵抗の観点からする
と、傾斜面(20)は、適度な速度で保護膜形成樹脂を
分散させるため、凡そ鏡面化された金属材料によって形
成される。すなわち、被覆円板(2)は、ステンレスに
よって構成されているのが好ましい。
【0033】更に、円板保持手段によって基板(7)上
に被覆円板(2)を押し付けた際、加圧力を有効に作用
させ、上記の保護膜形成樹脂の染込みを防止するため、
被覆円板(2)は、その底面側の外周縁部(エッジ部
分)が基板(7)に当接する構造を備えている。すなわ
ち、被覆円板(2)の底面は、傾斜面(20)側へ幾分
持ち上げられた湾曲面に形成され、基板(7)との間に
空隙を形成する構造になされている。そして、基板
(7)の表面に接触する外周縁部の長さ、換言すれば、
基板(7)を押え付けた場合の直径方向の当接長さ
(L)は、好ましくは0.1〜0.8mmとされる。
【0034】被覆円板(2)の底面の当接長さ(L)を
上記の様に設定する理由は次の通りである。すなわち、
当接長さ(L)が0.8mmよりも長い場合には、被覆
円板(2)と基板(7)との間の樹脂の染み込み領域
(毛細管現象の発生領域)が広がってしまい、筋状の塗
布むらの原因となり易い。一方、当接長さ(L)が0.
1mmよりも短い場合には、狭い面積の領域に円板保持
手段による押圧力が集中するため、被覆円板(2)が基
板(7)を傷つける可能性があり、その結果、液溜まり
が発生し、やはり筋状の塗布むらの原因となり易い。
【0035】上記の円板保持手段は、塗布操作の間、タ
ーンテーブル(1)上の基板(7)に対して被覆円板
(2)を押し付けるために設けられる。円板保持手段と
しては、基板(7)に対して被覆円板(2)を簡単に着
脱でき且つ適度な圧力で押圧可能な限り、種々の機構を
採用し得るが、例えば、円板保持手段は、図1に示す様
な機構によって構成される。
【0036】図1に示す円板保持手段は、ターンテーブ
ル(1)に設けられた真空吸引機構と、被覆円板(2)
に設けられた蓋構造とから成る。すなわち、ターンテー
ブル(1)の真空吸引機構は、ターンテーブル(1)の
中心に設けられ且つ基板(7)の中心孔(7c)に下方
から貫通する前述の柱状の突起部(12)と、真空路
(14)の上端に設けられ且つ突起部(12)の先端に
開口された前述の減圧可能な真空路(14d)とから構
成される。
【0037】他方、被覆円板(2)の蓋構造は、被覆円
板(2)の中心に形成され且つ突起部(12)が嵌合す
る貫通孔(21)と、コイルバネ等の弾性体(22)に
よって被覆円板(2)から離間する方向に付勢され且つ
貫通孔(21)を開閉する蓋(23)とから構成され
る。蓋(23)は、例えば、被覆円板(2)の頂部の平
坦面と略同径の円板部と、当該円板部の下面に形成され
た短軸円柱状の小径の突出部とから成り、かつ、前記の
突出部は、突起部(12)の上端の真空路(14d)の
拡径された開口部に嵌合可能に構成される。なお、被覆
円板(2)と蓋(23)とは、被覆円板(2)のハンド
リングを容易にするため、通常は弾性体(22)により
結合されている。
【0038】すなわち、円板保持手段は、前述の真空吸
引機構によって基板(7)をターンテーブル(1)上に
吸着する際、同時に、真空路(14d)の減圧によって
突起部(12)の上端に被覆円板(2)の蓋(23)を
吸着することにより、弾性体(22)の反発力を利用
し、被覆円板(2)の本体部分を下方の基板(7)表面
へ押し付けることが出来る。そして、本発明のスピンコ
ータにおいては、前述の染込みをより一層確実に防止す
るため、上記の円板保持手段における真空吸引機構の真
空度の調整により、基板(7)に対して0.01〜0.
5MPa、好ましくは0.01〜0.1MPaの圧力
(エッジ部分における圧力)で被覆円板(2)を押圧可
能に構成されている。
【0039】基板(7)に対する円板保持手段の押圧力
を上記の様に設定する理由は次の通りである。すなわ
ち、押圧力が0.01MPaよりも小さい場合には、被
覆円板(2)と基板(7)との間へ塗布膜形成樹脂の染
み込みが発生し易いと言う傾向があり、また、押圧力が
0.1MPa、特に0.5MPaよりも大きい場合に
は、基板(7)が撓んで変形し、被覆円板(2)と基板
(7)の間に隙間が空くため、前記の場合と同様に、や
はり塗布膜形成樹脂の染み込みが発生し易いと言う傾向
がある。
【0040】また、塗布操作の際に基板(7)の上に被
覆円板(2)を載せ、塗布後に基板(7)から被覆円板
(2)を取り外すため、ターンテーブル(1)の上方に
は、被覆円板の着脱装置(4)が設けられる。着脱装置
(4)は、水平移動可能で且つ昇降可能なアームと、当
該アームの先端に吊持されたチャック装置とから構成さ
れる。上記チャック装置は、例えば、被覆円板(2)を
保持する際、被覆円板(2)の蓋(23)を真空吸着す
る様になされている。
【0041】樹脂供給ノズル(3)は、別途設置された
送液ポンプ(図示省略)によって一定流量で供給される
液状の保護膜形成樹脂を被覆円板(2)の表面に向けて
吐出するノズルである。斯かる樹脂供給ノズル(3)
は、例えば、ターンテーブル(1)の上方の上記の着脱
装置(4)のアームの先端側に付設されることにより、
被覆円板(2)の傾斜面(20)に対して保護膜形成樹
脂を供給可能に配置される。
【0042】本発明のスピンコーターを使用した塗布操
作は次の様に行われる。先ず、ターンテーブル(1)に
基板(7)を載せ且つ基板(7)の中心孔(7c)に突
起部(12)を嵌合させる。次いで、着脱装置(4)の
アームを作動させ、基板(7)の中心まで被覆円板
(2)を搬送し、被覆円板(2)の貫通孔(21)にタ
ーンテーブル(1)の突起部(12)を嵌合させ、そし
て、着脱装置(4)のチャック装置による吸着を解除す
ることにより、基板(7)の中心に被覆円板(2)を搭
載する。
【0043】基板(7)に被覆円板(2)を搭載した
後、ターンテーブル(1)に設けられた前述の真空吸引
機構を作動させ、ターンテーブル(1)上に基板(7)
を吸着する。その際、円板保持手段は、前述の通り、真
空路(14d)を減圧操作されることにより、突起部
(12)の上端に被覆円板(2)の蓋(23)を吸着す
るため、弾性体(22)の反発力によって基板(7)表
面へ被覆円板(2)を所定の加圧力で押し付ける。
【0044】上記の様に被覆円板(2)を基板(7)の
中心に固定した後、ターンテーブル(1)を駆動し、一
定速度で基板(7)を回転させ、そして、樹脂供給ノズ
ル(3)から被覆円板(2)に向けて保護膜形成樹脂を
供給する。これにより、供給された保護膜形成樹脂は、
遠心力によって被覆円板(2)から基板(7)の情報記
録領域へ分散させられ、そして、基板(7)の表面に保
護膜を形成する。
【0045】本発明のスピンコーターにおいては、保護
膜形成樹脂を供給した際、被覆円板(2)の表面は、上
記の様な特定の傾斜面(20)として形成されており、
供給された保護膜形成樹脂を一時的に貯留し、被覆円板
(2)の回転に伴って円周方向に亙って均一化させるた
め、基板(1)の情報記録領域に対し、保護膜形成樹脂
を均等に分散させることが出来る。また、円板保持手段
は、基板(7)上に被覆円板(2)を上記の様な所定の
力で押し付けるため、基板(7)と被覆円板(2)の間
への保護膜形成樹脂の染込みを規制する。
【0046】すなわち、本発明のスピンコーターにおい
ては、保護膜形成樹脂を均等に分散させることが出来る
ため、塗布むらのない一層均一な厚さの保護膜を形成で
きる。しかも、基板(7)と被覆円板(2)の間の保護
膜形成樹脂の染込みがないため、筋状の塗布むらを発生
させることもない。特に、底面側の外周縁部の特定の長
さ(L)だけ基板(7)に当接する構造を被覆円板
(2)が備えている場合には、円板保持手段による加圧
力をより有効に査証させ、被覆円板(2)と基板(7)
の間への保護膜形成樹脂の染込みを一層確実に防止でき
る。
【0047】塗布を終了した後は、ターンテーブル
(1)の真空吸引機構の作動を解除し、突起部(12)
の上端に吸着されていた被覆円板(2)開放する。次い
で、着脱装置(4)のアームを下降させると共に、着脱
装置(4)のチャック装置によって被覆円板(2)を吸
着保持し、そして、アームを上昇・旋回操作することに
より、基板(7)から被覆円板(2)を取り外すことが
出来る。また、真空吸引機構の解除により、ターンテー
ブル(1)上に吸着されていた基板(7)も開放される
ため、ターンテーブル(1)から基板(7)を取り外す
ことが出来る。
【0048】本発明のスピンコーターにおいて、被覆円
板(2)は、いわゆる頂部が絞られた形状を備え、しか
も、樹脂供給ノズル(3)によって傾斜面(20)に保
護膜形成樹脂を供給する様になされているため、被覆円
板(2)の頂部を利用し、上記の様な着脱装置(4)に
よって簡単に着脱でき、装置構成をより一層簡素化でき
る。
【0049】また、本発明のスピンコーターにおいて、
円板保持手段としては、前述した様に他の機構を採用す
ることも出来る。図示しないが、円板保持手段は、例え
ば、ターンテーブル(1)の上方に配置された前述と同
様の昇降可能なアームによって構成され、被覆円板
(2)は、アームの先端に軸受を介して吊持されていて
もよい。斯かる態様の円板保持手段は、基板(7)を回
転させる間、アームによって前述の様な加圧力で基板
(7)に被覆円板(2)を押し付ける。その際、被覆円
板(2)は、軸受を介してアームに取り付けられている
ため、ターンテーブル(1)及び基板(7)の回転に伴
って自由に回転する。
【0050】更に他の態様の円板保持手段は、ターンテ
ーブル(1)の上方の前述と同様の昇降可能なアームの
先端に設けられた電磁コイルと、被覆円板(2)の頂部
に設けられた永久磁石とによって構成されてもよい。斯
かる態様の円板保持手段は、被覆円板(2)の搬送機構
としても機能し、被覆円板(2)を搬送する場合は、電
磁コイルに通電して被覆円板(2)を吸着保持する。そ
して、基板(7)を回転させる間は、電磁コイルの通電
方向を反転させることにより、被覆円板(2)の永久磁
石との反発力を利用し、アームによって前述の様な加圧
力を基板(7)に加える。その際、被覆円板(2)は、
アーム側の電磁コイルから離間しているため、ターンテ
ーブル(1)及び基板(7)の回転に伴って自由に回転
する。
【0051】次に、本発明に係る情報記録媒体の製造方
法を説明する。本発明に係る情報記録媒体の製造方法
は、上記の各態様のスピンコーターを使用した情報記録
媒体の製造方法であり、保護膜を形成する工程、すなわ
ち、塗布操作を行う工程において、上述した通り、ター
ンテーブル(1)に基板(7)を搭載し且つ基板(7)
の中央部に円板保持手段によって被覆円板(2)を押し
付けた状態で回転させると共に、被覆円板(2)の傾斜
面(20)に対して樹脂供給ノズル(3)から保護膜形
成樹脂を供給することにより、基板(7)の表面に塗布
膜としての保護膜を形成する。
【0052】基板(7)は、ハードディスクドライブ等
の記憶装置に適用される磁気ディスクや、光磁気ディス
クや相変化型ディスク等の光ディスクの基板であり、従
来の製法により作製される。光ディスクの一例として、
浮上ヘッドを用いて膜面から記録、再生を行なう膜面入
射方式の光ディスについて説明すると、一般に、膜面入
射方式の光ディスクは、ディスク基板(/反射層)/第
1誘電体層/記録層/第2誘電体層/保護膜から成る層
構成を備えている。
【0053】上記の光ディスクの基板(7)の材料とし
ては、アクリル系樹脂、ノルボルネン系などのポリオレ
フィン樹脂、液晶ポリマー、ポリカーボネート等が用い
られ、これらの材料から、基板(7)は、グループ及び
ピットを備えた円盤状基板としてスタンパー成形され
る。また、基板(7)の材料としては、アルミニウム合
金、ガラス、シリコン、チタン、セラミックスなどの硬
質材料を用いてもよい。そして、基板(7)上には、必
要に応じて放熱層あるいは反射層となるA1、Ag、A
u、Cu等の金属膜が形成される。
【0054】更に、基板(7)又は放熱層の上には、光
を干渉させ増幅させる目的や記録層保護の目的などで誘
電体層を設けることも出来る。この誘電体層は、酸化
物、窒化物、カルコゲン化物、炭化物、フッ化物、およ
びその混合物などによって構成される。酸化物として
は、A123、Ta25、TiO2等の金属酸化物が挙
げられる。これらの金属酸化物は、単独で誘電体層を構
成していてもよいし、混合物として誘電体層を構成して
いてもよい。あるいは、誘電体層を構成する金属酸化物
としては、A1−Ta−Oの複合酸化物などが挙げられ
る。
【0055】また、誘電体層の材料としては、Si
2、SiO等の非金属酸化物が挙げられる。更に、窒
化物としては、窒化シリコン、窒化アルミニウム等が挙
げられる。カルコゲン化物としては、ZnS、ZnSe
等のカルコゲン化亜鉛、CdS、CdSe等のII−V
族化合物、La22、Ce23等の希土類硫化物、Ta
2、MgS、CaS等が挙げられる。これらの材料か
ら成る誘電体層は、反応性スパッタリング、あるいは、
高周波スパッタリングにより得られる。
【0056】誘電体層上に形成する光記録層としては、
例えば、光磁気記録層、相変化型記録層あるいは色素型
記録層などの各種の態様を採用することが出来る。ま
た、層構成としても特に制限はなく、各種層構成を採用
することができる。例えば、光磁気記録層は、TbF
e、TbFeCo、TbCo、GdFeCo、DyTb
FeCo等の希土類と遷移金属との非晶質磁性膜、Mn
Bi、MnCuBi等の多結晶垂直磁化膜、Pt/Co
多層膜などによって構成される。斯かる光磁気記録層
は、単層であってもよいし、オーバーライトやMSRを
可能とするためにGdTbFe/TbFcの様に2層以
上の磁性層を重ねて構成されていてもよい。また、相変
化型記録層は、例えば、GeSbTeやInSbTe、
AgSbTe、AgInSbTeと言った化合物によっ
て構成される。そして、これらの記録層の膜厚は、20
〜50nm程度が好ましい。
【0057】上記の光記録層上には、耐候性、高硬度、
高滑性などの性質を備えた誘電体層が保護層として形成
される。斯かる保護層は、上記の誘電体層と同様の材料
によって構成されるが、特に記録層の酸化を防止すると
言う観点からは、酸化物を用いないのが望ましい。上記
の保護層の膜厚は、40〜150nm程度が好ましい。
また、記録再生ヘッドによる損傷を防ぐため、木保護層
上には、更に上記の炭素質膜からなる保護層が設けられ
てもよい。なお、基板面入射方式の光ディスクの層構成
は、逆に、ディスク基板/第1誘電体層/記録層/第2
誘電体層(/反射層)/保護膜である。
【0058】そして、通常、上記の誘電体層(保護層)
の上には、後述する紫外線硬化樹脂の塗布によって保護
膜が設けられる。膜面入射方式は、記録再生ヘッドと記
録層との距離を縮めることが出来、より大容量に記録で
きる点で好ましいが、ヘッドとの接触、衝突の危険性が
大きいため、傷や欠陥防止のために保護膜の膜厚を厚く
するのが望ましい。保護膜の厚さは、通常、基板面入射
方式の場合で5〜15μM程度であり、膜面入射方式の
場合で8〜200μM程度である。膜厚が厚いほどスピ
ンコートによる膜厚むらは大きくなるが、本発明によれ
ば、8μM以上の比較的厚い保護膜の形成においても、
膜厚を均一にすることができ効果が大きい。保護膜を形
成する保護膜形成樹脂としては、通常、エポキシアクリ
レート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレ
ート、ポリエーテルアクリレート等のアクリル樹脂に代
表される紫外線硬化樹脂が使用される。
【0059】本発明においては、均一な分散性を得るた
め、塗布する上記の保護膜形成樹脂の粘度は、好ましく
は100mPa・s以上に調整される。粘度が100m
Pa・sよりも低い場合は、保護膜形成樹脂の流動性が
高いため、被覆円板とディスク基板との間へ保護膜形成
樹脂が染み込み易くなり、その結果被覆円板を中心とし
た放射状の筋状塗布むらが発生しやすい傾向がある。ま
た、保護膜形成樹脂の粘度は、好ましくは600mPa
・s以下に調整される。粘度が600mPa・sよりも
高い場合には、所定の膜厚を得るための塗布時間、すな
わち、基板(7)に被覆円板(2)を押し付け且つ基板
(7)及び被覆円板(2)の表面上に保護膜形成樹脂を
保持したままターンテーブル(7)を回転し続ける時間
が長くなるため、被覆円板(2)と基板(7)との間へ
保護膜形成樹脂が染み込む機会が大きくなり、筋状塗布
むらが発生し易くなる傾向がある。
【0060】上記の製造方法においては、前述の通り、
保護膜形成樹脂を供給した際、被覆円板(2)の表面が
上記の様な特定の傾斜面(20)として形成されている
ため、基板(1)の情報記録領域に対して保護膜形成樹
脂を均等に分散させることが出来、また、円板保持手段
が基板(7)と被覆円板(2)の間への保護膜形成樹脂
の染込みを規制するため、筋状の塗布むらを発生させる
ことなく、一層均一な厚さの保護膜を形成できる。特
に、本発明は、膜厚の厚い保護膜を形成した場合に多く
発生する厚さむら及び塗布むらを防止できるため、厚い
保護膜を要求される膜面入射方式の媒体の製造に好適で
ある。
【0061】
【実施例】以下に実施例をもって本発明をさらに詳細に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実
施例に限定されるものではない。基板(7)として、厚
さ1.2mm、直径130mmのポリカーボネート製の
基板を使用した。基板(7)上には、SiNを30n
m、TbFeCoを80nm、GdFeCoを35n
m、TbFeCoを7nm、GdFeCoを25nm、
SiNを70nm、何れもスパッタリングにより成膜し
た。そして、図示した構造のスピンコーターを使用し、
上記の基板(7)の表面に保護膜を形成し、5.25イ
ンチ径の膜面入射方式に用いる光磁気ディスクを作製し
た。
【0062】被覆円板(2)としては、ステンレス(S
US316)製で直径が36.6mm、被覆円板(2)
の底面側の外周縁部(エッジ部分)における基板(7)
との当接長さ(L)が0.3mmの円板を使用した。ま
た、保護膜形成樹脂としては、粘度が510mPa・s
及び1100mPa・sの2種のアクリル系紫外線硬化
樹脂を使用し、塗布中は、図示した円板保持手段によっ
て被覆円板(2)のエッジ部分に0.05MPaの圧力
を加えることにより、基板(7)に被覆円板(2)を押
し付け、塗布後、圧力を解除し、被服円板(2)を外
し、基板(7)をターンテーブル(1)から取り外し
た。その後、高圧水銀ランプで300mJ/cm2の紫
外線を照射することにより、紫外線硬化樹脂を硬化さ
せ、基板(7)の表面に10μm、11μm、16μm
の3種の保護膜を形成した。
【0063】上記3種の保護膜の厚さをそれぞれ半径方
向に測定した結果、図3のグラフに示す通り、膜厚目標
値に対する誤差は、各々、10μmの保護膜の場合は±
0.64μm、11μmの保護膜の場合は±0.56μ
m、16μmの保護膜の場合は±0.55μmと小さ
く、何れの場合も被覆円板(2)の裏側への樹脂の染み
込みはなく、筋状の塗布むらも発生しなかった。
【0064】
【発明の効果】本発明のスピンコーターならびに当該ス
ピンコーターを使用した情報記録媒体の製造方法によれ
ば、被覆円板の表面が特定の後退斜面として形成されて
おり、被覆円板の頂部を利用することにより、被覆円板
を簡単に着脱でき、装置構成をより一層簡素化できる。
また、基板の情報記録領域に対して保護膜形成樹脂を均
等に分散させることが出来、また、円板保持手段がディ
スク基板と被覆円板の間への保護膜形成樹脂の染込みを
規制できるため、筋状の塗布むらを発生させることな
く、一層均一な厚さの保護膜を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスピンコーターの主要部を示す一
部破断の側面図
【図2】被覆円板の基本的な形状を拡大して示す縦断面
【図3】本発明のスピンコーターを使用して得られた情
報記録媒体における保護膜の状態を示すグラフ
【符号の説明】
1 :ターンテーブル 12 :突起部 14 :真空路 14d:真空路(円板保持手段) 2 :被覆円板 20 :後退斜面 21 :貫通孔 22 :弾性体(円板保持手段) 23 :蓋(円板保持手段) 3 :樹脂供給ノズル 4 :着脱装置 7 :ディスク基板 7c :ディスク基板の中心孔 L :当接長さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 11/105 546 G11B 11/105 546F 5D121 Fターム(参考) 2H025 AB17 EA05 4D075 AC64 AC84 DC27 DC28 4F042 AA07 EB09 EB16 EB17 5D075 EE03 FG04 GG12 5D112 AA07 CC05 5D121 AA04 EE22

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスク基板(7)の表面に塗布膜を形
    成するためのスピンコーターであって、ディスク基板
    (7)を搭載して回転するターンテーブル(1)と、当
    該ターンテーブル上のディスク基板(7)の中央部を被
    覆する被覆円板(2)と、ディスク基板(7)上に被覆
    円板(2)を押し付けて保持する円板保持手段と、被覆
    円板(2)の表面に液状の塗布膜形成樹脂を供給する樹
    脂供給ノズル(3)とから主として構成され、被覆円板
    (2)の表面は、外周から内周に向かうに従って高さが
    増加する傾斜面(20)として形成され、かつ、樹脂供
    給ノズル(3)は、被覆円板(2)の傾斜面(20)に
    対して塗布膜形成樹脂を供給可能に配置されていること
    を特徴とするスピンコーター。
  2. 【請求項2】 被覆円盤(2)の傾斜面(20)は、外
    周から内周に向かうに従って高さが増加し且つ内側に凹
    没する後退斜面に形成されている請求項1に記載のスピ
    ンコーター。
  3. 【請求項3】 被覆円板(2)がステンレスによって構
    成されている請求項1又は2に記載のスピンコーター。
  4. 【請求項4】 円板保持手段により、ディスク基板
    (7)に対して0.01〜0.5MPaの圧力で被覆円
    板(2)を押圧可能に構成されている請求項1〜3の何
    れかに記載のスピンコーター。
  5. 【請求項5】 被覆円板(2)の外周縁部の底面がディ
    スク基板(7)に当接する構造を備え、前記底面の直径
    方向の当接長さ(L)が0.1〜0.8mmである請求
    項1〜4の何れかに記載のスピンコーター。
  6. 【請求項6】 円板保持手段は、ターンテーブル(1)
    に設けられた真空吸引機構と、被覆円板(2)に設けら
    れた蓋構造とから成り、ターンテーブル(1)の真空吸
    引機構は、ターンテーブル(1)の中心に設けられ且つ
    ディスク基板(7)の中心孔(7c)に下方から貫通す
    る柱状の突起部(12)と、当該突起部の先端に開口さ
    れた減圧可能な真空路(14d)とから構成され、被覆
    円板(2)の蓋構造は、被覆円板(2)の中心に形成さ
    れ且つ突起部(12)が嵌合する貫通孔(21)と、弾
    性体(22)によって被覆円板(2)から離間する方向
    に付勢され且つ貫通孔(21)を開閉する蓋(23)と
    から構成されている請求項1〜5の何れかに記載のスピ
    ンコーター。
  7. 【請求項7】 円板保持手段は、ターンテーブル(1)
    の上方に配置された昇降可能なアームによって構成さ
    れ、被覆円板(2)は、アームの先端に軸受を介して吊
    持されている請求項1〜5の何れかに記載のスピンコー
    ター。
  8. 【請求項8】 円板保持手段は、ターンテーブル(1)
    の上方の昇降可能なアームの先端に設けられた電磁コイ
    ルと、被覆円板(2)の頂部に設けられた永久磁石とに
    よって構成されている請求項1〜5の何れかに記載のス
    ピンコーター。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8の何れかに記載のスピンコ
    ーターを使用した情報記録媒体の製造方法であって、保
    護膜を形成する工程において、ターンテーブル(1)に
    ディスク基板(7)を搭載し且つディスク基板(7)の
    中央部に円板保持手段によって被覆円板(2)を押し付
    けた状態で回転させると共に、被覆円板(2)の傾斜面
    (20)に対して樹脂供給ノズル(3)から保護膜形成
    樹脂を供給することにより、ディスク基板(7)の表面
    に塗布膜としての保護膜を形成することを特徴とする情
    報記録媒体の製造方法。
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