JP2001524994A - 球形着色ポリエステル粒子とその製造方法及びその粉末被覆剤としての使用 - Google Patents
球形着色ポリエステル粒子とその製造方法及びその粉末被覆剤としての使用Info
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、平均粒度<50μm及びスパン(d90−d10/d50)≦25である単峰形の粒度分布を有する、均一に着色されたポリエステル粒子であって、温度<200℃で融解して連続被覆を形成する前記ポリエステル粒子に関し、さらにその製造方法及び粉末被覆剤としての使用に関する。本態様において、粒子は、以下の式(1)及び(2):
(式中、Xは置換又は非置換のC6〜C14芳香族基又はアルキレン、ポリメチレン、シクロアルカン、又はジメチレンシクロアルカン基又は直鎖又は分枝の、置換又は非置換のアルカンジイル基、及びDは、アルキレン、ポリメチレン、シクロアルカン又はジメチレンシクロアルカン基又は直鎖又は分枝の、置換又は非置換のアルカンジイル基である)で表わされる単位を含む。
Description
【発明の詳細な説明】
球形着色ポリエステル粒子とその製造方法及びその粉末被覆剤としての使用
本発明は、温度<200℃で連続被膜を形成する、粒径<50μmを有する均
一に着色された球形のポリエステル粒子に関し、それらの製造方法及びそれらの
粉末被覆剤としての使用に関する。
粉末被覆剤は一般に架橋可能であってよいフィルム形成ポリマーと、添加剤、
例えば流動性向上剤又は揮発防止助剤(devolatilizing auxiliaries)と、及び
着色粉末被覆剤の場合には顔料と、並びに所望であれば充填剤とからなる。
粉末被覆剤は、伝統的に、フィルム形成ポリマーの軟化点より高いが架橋温度
よりは低い温度で、上述の成分を押出機中で強力ミキシングにかけ、そしてミリ
ング工程を用いて得られた押出物を平均粒度約40〜70μmにする。ミリング
工程は不揃いの構造の粉末を生じ、このことは、明らかに30μmより小さい平
均粒度を有する粉末を慣用の粉末被覆の処理である静電吹付法により処理するこ
とはもはやできないことを意味する。例えば、欧州特許EP−A−045904
8号は、15μmより小さい粒度を有する粉末被覆剤組成物は、静電吹付法で処
理できないと述べている。
従来技術で用いられるミリングされた粉末は、約40〜70μmの平均粒径を
有し、典型的には40〜70μmの被覆厚を生じる。特にミリング法は非常に広
い粒度分布をもたらす。さらに、この分布の広がりは粉末の細末度が上昇すると
観察される。
粒度分布の幅はd50パラメータ(ちょうど50%の粒子がd50の値よりも
大きい又は小さいことを示す)だけではなく、さらに二つのパラメータ、即ちd
10(10%の粒子が境界値よりも小さいことを示す)と、相応じるd90(9
0%の粒子がd90の値よりも細かいことを示す)を用いて特徴付けられる。粒
度分布の幅は一般にスパンと呼ばれる比率を計算することにより特徴付けられ、
以下の計算式により計算される:スパン=(d90−d10)/d50。関係は
以下の通りである:即ち、スパンが小さいと粒度分布が狭い。同一のサイズの球
を含む粉末は、0のスパンを有する。従来技術によりミリングされた粉末は、平
均粒度d50が50μm、スパンが3〜4のものが典型的には得られる。
経済的な観点(より低い材料消費)に基づくだけでなく、技術的利点(被覆の
、より大きな柔軟性)のためにも、粉末被覆においては比較的小さい被覆厚が望
まれている。比較的小さい被覆厚は粉末粒度を減少させるだけで実現できる。他
の重大な要因は、粉末が非常に狭い粒度分布を有していることである。そうでな
いと、特に高微細内容物を有している場合処理が困難だからである。
したがって、過去には、上述の粉末処理における不利益を被ることなしに新技
術を用いて粒度を減少させた粉末被覆剤を得る試みには欠けていた。一般に目的
は理想に近い球形の形状を有する粒子を作ることである。なぜならば、かかる粉
末は不揃いのミリング粉末よりも実質的に好ましい流動挙動を呈するからである
。例えば、ポリマー溶融物をスプレーすることにより球形に近い粒子を作ること
が試みられている。しかしながら国際出願WO92/00342号が示す結果は
、これは並の成功しかもたらしていない。この方法により得られる粒子はミリン
グ粉末よりもなめらかな表面を有するが、理想的な球形構造からはまだほど遠い
ものである。
球形粒子の調製のために研究された他の方法は、超臨界溶液からポリマーをス
プレーする方法であり、例えば欧州特許A−0661091号又はA−0792
999号に説明されている。この方法も実質的には不都合である。例えば、引用
された出願は、超臨界「溶媒」の急激な蒸発のために、得られる粉末は多孔性構
造を有していると述べている。もしかかる粉末が調製されたフィルムに用いられ
れば、非多孔性粉末と比較して泡形成の発生が増加し、したがって被覆における
欠点が増加することになる。なぜなら、多孔性構造は粒子内に大量のガスをトラ
ップしておりフィルム形成工程の中で除去されなければならないからである。さ
らに、超臨界溶媒の使用は未だ技術的に複雑であり、例えば、高圧下で操作する
ことが要求される。
原理において異なっている、球形粒子を製造する方法は分散物を製造すること
である。物理的法則は、分散物中では、完全な球形が、得られる粒子の好ましい
幾何学構造であるとしている。適当な条件下できわめて狭い粒度分布を有する球
形粒子を作ることは可能である。
したがって、過去には、被覆システム(好ましくは高固液被覆システム(high-
solid liquid coating systems))においてバインダーとして用いることのでき
るポリマー粒子を、分散物中で調製することにより得る試みは不足していない(K
eith Barett,Dispersion Polymerization in Organic Media,John Wiley & Sons
,London,1975)。英国特許GB−1373531号は、例えば、重縮合ポリマ
ーの安定な分散物、例えばポリエステルの調製について説明している。
特にポリエステルに基づいた非水系分散プロセスから得られるポリマー粒子を
用いることの可能性は、ドイツ特許DE−C−2152515号に扱われている
。ここでは、存在するポリマーは温度<200℃で分散され、着色は、好ましく
は分散物がポリマー粒子の「固化点」まで下げたあとに、顔料を加えることによ
り行われている。生成した粒子は0.05〜20μmの粒度を有する第1ポリマ
ー粒子と、顔料粒子との、実質的に球形の「集合体」であると説明されている。
第2ポリマー粒子と説明されている集合体は10〜90μmあるいは100〜3
00μmの粒度を有し、分散物をスプレーすることにより得ることができる。説
明される工程においては、顔料は室温又はそれよりも若干高い温度で加えられて
おり、このことは、顔料粒子はポリマー粒子にきわめて弱く付着していることを
意味している。経験から、これは粉末処理に関する問題を生ずることを示してい
る。なぜならば、ポリマーバインダーからの顔料の分離が起こるからである。バ
インダーの固化前の、比較的高い温度での顔料添加の可能性は、困難であり可能
ではなく、なぜならば、粒径が変化するからであると述べられている。
又さらに、所望の低温(120〜200℃の間)で架橋する粉末被覆システム
をどのように調製するかという方法は示されていない。これまで述べられた架橋
システムは全て分散に必要とされる温度を超える架橋温度を有する。
ドイツ特許DE−C−2152515号に説明されるとおり、既に縮合して高
分子量にしたポリマーを分散物調製の出発物質として用いることは、さらに、以
下のような不都合な点を有する:商用のポリマーを用いる場合には、既に相当の
粘性(200℃で3000〜20000mPaの範囲)を有しており、このため
溶融物の良好な分配を達成すること及び均一な粒度分布を得ることが困難になる
。
したがって、本発明の目的は、非常に低い粒度と狭い粒度分布とを有し、粉末
処理工程の最中にポリマーバインダーから顔料が分離せずに加工可能であり、所
望であれば低温であっても架橋して連続披膜を形成し、したがって粉末披覆剤と
して好適に用いることができる、均一に着色された、球形のポリエステル粒子を
提供することである。
本発明は、この目的を達成し、且つ所望の通り架橋することができ、平均粒度
<50μm及び単峰形粒度分布[(d90−d10)/d50≦2.5]を有し、
温度<200℃で融解して連続被膜を形成することが可能な、均一に着色された
、球形の、非多孔性ポリエステル粒子を提供する。
新規の、所望により架橋可能な、均一に着色された、球形のポリエステル粒子
は、以下の工程:
a.ポリエステルバインダーのための出発物質を、不活性の高沸点熱媒体に、少
なくとも出発物質の軟化点程度の高さの温度で、少なくとも重合性の、好ましく
は有機物分散安定剤の存在下に分散し;
b.次いで反応混合物を120〜280℃の範囲の温度に加熱し、同時にポリエ
ステルが所望の分子量になるまで縮合副生物を除去し;
c.次いで140〜220℃の範囲の温度で染料、顔料及び/又は充填剤と所望
によりさらなる添加剤とを添加し;
d.その後、架橋可能な官能性ポリエステルを製造する場合には、60〜140
℃の範囲の温度まで反応混合物を冷却し、重合官能性架橋剤又はエポキシ樹脂の
うち少なくとも1つを添加し;そして
e.次いでポリエステルの軟化点よりも低い範囲内の温度まで低下させ、得られ
た均一に着色された、球形のポリエステル粒子を分離する
ことにより製造する。
用いられる出発物買は、好ましくは1000mPaを超えない、好ましくは≦
500mPa(200℃で測定)の粘度を有するオリゴエステルであって、以下
の式(1)及び(2)の単位:(式中、Xは置換若しくは未置換のC6〜C14の芳香族基又はアルキレン、ポリ
メチレン、シクロアルカン、又はジメチレンシクロアルカン基、又は直鎖又は分
枝の置換若しくは未置換のアルカンジイル基、及び
Dは、アルキレン、ポリメチレン、シクロアルカン、又はジメチレン−シクロア
ルカン基又は直鎖又は分枝の置換若しくは未置換のアルカンジイル基である)
を含む。
時間を節約するために、最初に、カルボン酸成分、例えばテレフタル酸、イソ
フタル酸、アジピン酸又はフマル酸を、酸又は低分子量(low molecular mass)
アルキルエステルの形態で、ジオール成分、例えばエチレングリコール、ジエチ
レングリコール、ネオペンチルグリコール又はビス−ヒドロキシメチルシクロヘ
キサンと一緒に加熱することにより溶融物の状態で上記組成物オリゴエステルを
調製するのが好ましく、溶融物中にエステル交換触媒、例えば酢酸マンガン又は
亜鉛塩又はスズ塩が存在している状態で、縮合生成物である水又はアルカノール
の大半がそれぞれ留去されるまで行うことにより調製する。しかしこの一連の操
作において、溶融物の粘度に著しい増加は観察されない。200℃での粘度はな
お<1000mPaである。
この種のオリゴマー混合物は、高温下、熱媒油及び分散剤を用いて、例えば新
規分散物に直接転換させることができる。本方法は大スケール工業的製法にふさ
わしい。しかし、保存のためにオリゴマー混合物を冷却して後に再度加熱するこ
ともできる。一般に実際の分散物中でオリゴマーの調製を行うことが可能である
。
本新規方法の実際的な態様において、工程(a)で出発物質、好ましくはオリ
ゴマー混合物を、不活性高沸点熱媒体に混合し、混合物を出発物質の軟化点を超
えた範囲にあるべきである高温(賢明には150〜280℃の範囲)に加熱し、
そして、分散安定剤又は分散安定剤混合物のうち少なくとも1つを撹拌により導
入する。
特に適切であると判明した熱媒体(分散媒体)は、150〜300℃の範囲内
の沸点を有する脂肪族熱媒油である。かかる熱媒油は、技術的意味では芳香族構
造の基を有していない;換言すれば2重量%以上の、好ましくは1重量%以上の
芳香族成分を有していない。
例えばExxon Chemical社から商品名Isopar(登録商標)、Exxol(登録商標)、又
はNorpar(登録商標)のもとで購入できる、かかる油の極性の低さに起因して、
かかるポリエステル類は膨張しない。このことは芳香族系油にしばしば起こる問
題であるが、原則として分散プロセスにおいては同時に好適でもある。
好適なポリマー分散安定剤のデザインの一般的な規則は『Keith.Baret,Disp
ersion Polymerization in Organic Media,John Willey & Sons,London,1975
』の第45頁から110頁に記載されている。原則的に要求される事項は、用い
られる分散媒体へのポリマー分散安定剤の溶解性と、分散されるべき粒子との相
互作用を強力にする極性基又は反応性基である。
新規方法にとって、両親媒性コポリマー又は表面改質無機複合物を適用するこ
とが好ましい。後者の例としては、トリアルキルアンモニウム塩で表面改質され
たフィロ珪酸塩、特にトリアルキルアンモニウム塩で表面改質されたベントナイ
ト又は極性ポリマー単位、例えばポリ−N−ビニルピロリドン及び非極性ポリマ
ー単位と、例えば長鎖α−オレフィン(例えば1−エイコサンなど)とを含む両
親媒性コポリマーである。
かかる両親媒性コポリマーは、ISP Global社から商品名Antaron(登録商標)
のもとで購入でき、特に適切であることが判明している。上述の通り、例えば欧
州特許EP−B−0392285号では既に、比較的低温におけるポリウレタン
分散物の安定化にAntaronを好適に用いている。しかしながら、Antaronは300
℃までの温度で好都合に用いることができ、分散物の著しい安定性をもたらすこ
とが判明している。
本発明に従う分散安定剤の量は、ポリエステル出発物質に基づき0.1〜6重
量%の範囲であり、好ましくは0.3〜4重量%であり、所望の粒度の粒子を得
るために特に好ましくは0.5〜2重量%の範囲である。
続く工程(b)では、反応混合物はさらに120〜280℃、特に200〜2
50℃の範囲の温度まで加熱し、得られる縮合副生物を同時に留去する。温度は
ポリエステルが所望の分子量、即ち通常はMn=500〜20000の範囲、好
ましくは1000〜10000の範囲に達するまで維持する。分子量を決定する
重要な点は反応の持続時間であり、これは試料を採取することでモニターできる
。
ポリエステルの官能性を増加させるためには、架橋可能な系が要求される分子
量に達した後に、多官能性成分を工程(b)に続いて加えることが可能である。
例えば、多官能性カルボン酸又はアルコール、例えばトリメリット酸無水物を反
応温度と等しい温度で加え、しばらく加熱を続けて加えた成分の導入を確実なも
のにする。
工程(b)における縮合の終結に続いて、ポリエステルの被覆性能を最適化す
る、すなわち、粉末被覆仕上げの表面品質を所望する程度に最適化するために、
例えば流動性補助剤、揮発防止助剤等の添加剤を加えることも可能である。これ
は混合物を160〜200℃まで冷却して、所望の添加剤を同じ温度で反応混合
物を撹拌しながら添加することによって行う。添加剤の添加は単独で行うことも
でき、又は染料及び顔料の添加とともに行うこともできる。
流動性向上剤又は消泡剤などの、粉末被覆法において慣用の添加剤は、上述の
ように添加することができ、分散物の安定性や粒子の形成に負の影響を与えるこ
とがない。
工程(c)の後、ポリエステルの軟化点よりも遥かに高い温度、好ましくは1
40〜220℃の範囲で、充填剤、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸
化チタン、マイカ、タルク、ドロマイト又はウォラストライト及びポリエステル
粒子を着色する染料及び/又は顔料とを加える。
着色を定着させるために、少なくとも200℃まであるいは粉末被覆剤システ
ムの硬化温度までの温度に安定な、慣用の市販の有機又は無機顔料又は染料は全
て適用することが可能である。このような要求に見合う染料又は顔料は、例えば
David A Bate,"The science of powder coatings"Vol.1,SITA Technology,ISBN
0947798005に列挙されている。所望であれば、着色を定着させるために異なる顔
料又染料の混合物を適用することも可能である。
本発明の方法に従う好適な態様において、染料、顔料及び/又は充填剤を、反
応混合物に加える前に分散に充分な量の分散安定剤の存在下に、好ましくは用い
る熱媒体中に分散させ、その分散物を反応混合物の温度まで予熱する。この方法
によりポリエステル粒子の高い均一性と集中的な着色が達成可能であり、粉末が
さらに処理されてもこれらを保持することが可能となる。
続いて反応混合物は60〜140℃、特に80〜120℃の範囲の温度に冷却
し、そして、架橋可能な官能性ポリエステルの場合には多官能性架橋剤又はエポ
キシ樹脂のうち少なくとも1つを加える。この方法により、粉末から得られる被
覆が焼付温度(例えば180℃)において2〜5分の通例のゲル化時間を有する
程度にまで、架橋反応を回避することが可能となる。こうして新規粉末被覆剤は
、押出及びミリングにより得られる従来のシステムと焼付温度及びゲル化時間の
点で何ら異なることがない。
新規ポリエステルは熱可塑性挙動を呈し、引き続き架橋可能となる官能基を包
含することもできる。
こうして官能性ポリエステルのカルボキシ基は、例えばエポキシドと架橋され
る。かかるポリエステルの、慣用の組成物の例は、以下の研究書:David A Bate
,"The science of powder coatings"Vol.1,SITA Technology,ISBN 0947798005
に記載されており、ここに明確に引用として挙げられる。官能性ポリエステルと
して用いられる典型的な原料は以下のジカルボン酸又はそれらの低分子量エステ
ルである:テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸及
びフマル酸。用いられるジオール成分の例は、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール及びビスヒドロキシメ
チルシクロヘキサンである。
官能性ポリエステルに慣用される架橋剤及び必要な添加剤、例えば流動性向上
剤の検討は、上記引用文献に記載される。典型的な架橋剤の例はトリグリシジル
イソシアヌレート(Araldite(登録商標)PT810)、ビスグリシジルビスフェノー
ルAベースのエポキシ樹脂、又は他のβ−ヒドロキシアルキルアミド(例えばPr
imid(登録商標)XL552)である。
架橋剤の量はポリエステル成分を基準にして普通2〜20重量%、好ましくは
5〜10重量%であるが、いわゆるエポキシ/ポリエステルハイブリッドシステ
ムの場合には50重量%まで増やすことができる。
架橋剤の添加に続いて、反応混合物の温度をポリエステルの軟化点より低い温
度、好ましくは<60℃にまで減少させる。
この工程で、ポリエステルを粉末の形態で得る。得られる均一に着色された球
形のポリエステル粒子を反応溶液の上澄みから分離し、所望であれば精製する。
説明する方法で得られるポリエステル粒子は、透明で所望の分子量のもの、例
えばMn=500〜50000が調製可能である。収率は>95%であり、一般
に、特に反応が比較的大スケールで行われると、>98%を超えさえする。収率
の低下を生じる反応器内での接着の例は、実質的にない。
新規方法によって、平均粒度(d50)<50μm、好ましくは<40μm、
特に好ましくは<30μmの、単峰形の粒度分散(d90−d10/d50)≦
2.5、好ましくは≦2.0、さらに好ましくは≦1.5を有する、均一に着色
された、球形のポリエステル粒子を得ることが可能である。
得られるポリエステル粒子は、適当な表面に適用した後に、200℃未満、好
ましくは120〜200℃、さらに好ましくは160〜200℃の範囲の温度で
溶融して連続被膜を形成し、架橋可能なポリエステルの場合にはかかる温度で硬
化もすることができるという事実においても注目に値するものである。
新規ポリエステル粒子は粒度分散が狭いために、従来の粉末被覆法による処理
に非常に好適であり、非常に良好な表面を有する均一に着色された被覆を生じさ
せる。既知の粉末と比較して、新規ポリエステル粉末を粉末被覆仕上げに用いる
とポリマー粒子からの顔料の分離がない。この方法で製造される被覆は、したが
って、高度に均一な、均質な着色と優れた隠蔽力を擁する。通常50〜70μm
の被覆厚を与える従来の粉末と比較して、ここに説明するポリエステル粉末を用
いて厚さ<50μm、好ましくは5〜40μm、特に10〜35μmの厚さの被
覆を製造することが可能である。
以下の実施例は本発明を例示することを意図したものである。
<実施例>
実施例1:架橋可能なポリエステル粉末被覆剤を調製するための、出発物質とし
てのオリゴマー混合物の調製
テレフタる酸ジメチル4090g(21.06モル)、イソフタル酸ジメチル8
88.4g(4.58モル)、ネオペンチルグリコール2814g(27.05モ
ル)及び触媒としての酢酸マンガン(II)四水塩1.5gを、10リットルの四
つ口丸底フラスコに量りとる。フラスコを蒸留アタッチメントを取り付けた充填
カラム(長さ:10センチ)に接続する。次いで反応混合物を不活性ガス下で1
50℃にする。この温度で全てのモノマーは融解状熊になる。さらに、この温度
でエステル化が起こる。オーバーヘッド温度が75℃を超えないように温度を制
御する。4時間にわたって内部温度を150℃から225℃に上げ、反応混合物
からできるだけ多くの生成メタノールを除去する。
6181.1gのオリゴマー混合物と1448.8gのメタノール(理論量:
メタノール1640g)が分離される。
実施例2:熱可塑性ポリエステルのためのオリゴマー混合物の調製
テレフタル酸ジメチル2475g(12.75モル)、イソフタル酸ジメチル2
250g(11.59モル)、ネオペンチルグリコール450g(4.33モル)、
エチレングリコール2500g(40.28モル)、ジエチレングリコール252
g(2.37モル)及び酢酸マンガン(II)四水塩1.485gを10リットル
の四つ口丸底フラスコに量りとる。
不活性ガス下、反応混合物を温度150℃に加熱する。この温度で全てのモノ
マーが融解している。生成メタノールを蒸留塔(distillation bridge)を備え
た充填カラム(長さ:10センチ)を通じて留去する。オーバーヘッド温度が7
5℃を超えないように温度を制御する。反応混合物を225℃の温度に加熱し、
できるだけ多くの反応混合物からのメタノールを除去する。1555gのメタノ
ール(理論量:1557g)が留去された。室温まで冷却して6240gの非常
に粘度の高いオリゴマー混合物が得られた。
実施例3:着色した架橋可能な粉末被覆剤の調製
実施例1で調製したオリゴマー混合物225g、及び熱媒油としてのIsopar
P180gとIsopar L45g、エステル化触媒としての三酸化アンチモン88
mg及び表1に記載された量の分散剤としてのAntaronV(ISP Global社)を、
水分離器を備えた1リットルの反応器に量りとり、混合物を不活性ガス下加熱す
る。全ての成分が融解してすぐに(内部温度約150℃)撹拌を開始し、混合物
を激しく撹拌しながら熱媒油の沸点(約230℃)まで加熱する。反応混合物を
1時間この温度に維持し、この間、少量のメタノールとネオペンチルグリコール
とを留去する。次いで、トリメリット酸無水物16.5gを加え、さらに30分
沸騰
を保つ。数ミリリットルの蒸留物が得られる。
次いで、加熱バスをとり去り、分散物をゆっくり冷却させる。内部温度が20
0〜160℃の範囲になった時に、同じ温度まで予熱した、表1に記載する量の
染料、顔料及び分散剤(Antaron 2)及び流動性向上剤としてのBYK(
登録商標)360P(3.4g、BYK Chemie社)並びに揮発防止助剤としてのベンゾ
イン0.9gをIsopar L中に含むものに、先に調製した分散物を加える。この
分散物を、全ての成分を約100℃まで加熱して、激しい剪断下で得る。
次いで混合物を100〜120℃の温度まで冷却し、この温度範囲でトリグリ
シジルイソシアヌレート(TGIC)15.7gを加える。室温まで冷却した後
、粉末を濾別し低沸点炭化水素で洗浄し、乾燥する。表1に記載する粒度を有す
る非常に流動性のある、球形の粉末を得、これは粉末被覆仕上げを与えるために
従来の静電吹付法により処理できるものである。180℃で20分間硬化して良
好な接着性と優れた品質の表面を有する被覆を与える。得られる被覆厚は、表1
に記載する。実施例4:熱可塑性粉末被覆剤の調製
実施例3のオリゴマー混合物300g、熱媒油としてのIsopar P150gとI
sopar L150g及び分散安定剤としてのAntaron V220(量は表2を参照のこと
)及びエステル化触媒としての三酸化アンチモン100mgを水分離器を備えた
1リットルの反応器に量りとる。反応器を水分離器に接続する。次いで反応混合
物を激しい撹拌の下で内部温度217℃(熱媒油の沸騰が開始する温度)まで加
熱する。熱媒油の沸点より約20℃低い温度で蒸留が開始する。(t=0分)。内
部温度217〜218℃で蒸留を4時間続ける。この間、熱媒油との共沸により
エチレングリコール、ネオペンチルグリコール及びジエチレングリコールの混合
物約82ミリリットルを留去する。蒸留物の大半はエチレングリコールである。
そして、加熱バスをとり去り、混合物を撹拌下で冷却する。200〜160℃の
範囲の温度において表2に記載する量の顔料又は染料を少量のIsopar Lに分散
させて加える。混合物を撹拌下室温までさらに冷却する。
ポリエステル粉末を熱媒油から濾別する。付着する熱媒油を除去するために、
ポリエステル粒子を3回イソヘキサンで洗浄し30℃/0.1ミリバールで3時
間乾燥する。表2に記載する粒度と粒度分布を有する着色した、球形の粒子が得
られる。粉末の収率は理論量の95〜98%である。粉末を静電的に金属表面上にスプレーし、180℃で10分間溶融する。優れた
表面品質を有する均一な、接着性のよい被覆が得られる。被覆厚は、表2に記載
する。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成11年2月11日(1999.2.11)
【補正内容】
請求項7を補正。(請求の範囲のその他の項は補正なし)
『
7.スパン(d90−d10/d50)≦2.5を有する、球形の、均一に着色
されたポリエステル粒子の製造方法であって、以下の工程:
a.ポリエステルバインダーのための出発物質を、少なくとも出発物質の軟化
点程度の温度で、両親媒性コポリマー又は表面改質無機化合物である少なくとも
1のポリマー分散安定剤の存在下、多くとも2重量%の芳香族化合物を含む不活
性高沸点熱媒体中に分散し;
b.次いで、反応混合物を120〜280℃の範囲の温度まで加熱して、同時
に、ポリエステルが500〜20000の範囲の分子量になるまで縮合副生物を
除去し;
c.続いて、充填剤、染料及び/又は顔料、及び所望であればさらに添加剤を
140〜220℃の範囲の温度で添加し;
d.架橋可能な官能性ポリエステルの場合には、続いて、反応混合物を60〜
140℃の範囲の温度まで冷却して多官能性架橋剤又はエポキシ樹脂のうち少な
くとも1つを添加し;そして
e.さらにポリエステルの軟化点未満の範囲内の温度まで温度を低下させて得
られる球形の、均一に着色されたポリエステル粒子を分離する;
工程を含む、前記力法。
』
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.平均粒度<50μmを有する均一に着色された球形のポリエステル粒子であ って、スパン(d90−d10/d150)≦2.5である単峰形の粒度分布を 有し、温度<200℃で融解して連続被覆を形成する、前記ポリエステル粒子。 2.500〜50000の範囲の分子量Mnを有する、請求項1に記載のポリエ ステル粒子。 3.スパン(d90−d10/d50)≦2.0である単峰形の粒度分布を有す る、請求項1又は2に記載のポリエステル粒子。 4.厚さ<50μmの範囲の被覆を製造するために用いることのできる、請求項 1〜3の少なくとも1項に記載のポリエステル粒子。 5.以下の式(1)及び(2): (式中、Xは置換又は非置換のC6〜C14芳香族基又はアルキレン、ポリメチレ ン、シクロアルカン、又はジメチレンシクロアルカン基又は直鎖又は分枝の、置 換又は非置換のアルカンジイル基、及び Dは、アルキレン、ポリメチレン、シクロアルカン又はジメチレンシクロアル カン基又は直鎖又は分枝の、置換又は非置換のアルカンジイル基である) で表わされる単位を含む、請求項1〜4の少なくとも1項に記載のポリエステル 粒子。 6.請求項1〜5の少なくとも1項に記載のポリエステル粒子の、粉末被覆剤と しての使用。 7.球形の、均一に着色されたポリエステル粒子の製造方法であって、以下の工 程: a.ポリエステルバインダーのための出発物資を、少なくとも出発物質の軟化 点程度の温度で、少なくとも1のポリマー分散安定剤の存在下、不活性高沸点熱 媒体中に分散し; b.次いで、反応混合物を120〜280℃の範囲の温度まで加熱して、同時 に、ポリエステルが所望の分子量になるまで縮合副生物を除去し; c.続いて、充填剤、染料及び/又は顔料、及び所望であればさらに添加剤を 140〜220℃の範囲の温度で添加し; d.架橋可能な官能性ポリエステルの場合には、続いて、反応混合物を60〜 140℃の範囲の温度まで冷却して多官能性架橋剤又はエポキシ樹脂のうち少な くとも1つを添加し;そして e.さらにポリエステルの軟化点未満の範囲内の温度まで温度を低下させて得 られる球形の、均一に着色されたポリエステル粒子を分離する; 工程を含む、前記方法。 8.出発物質として、以下の式(1)及び(2): (式中、Xは置換又は非置換のC6〜C14芳香族基又はアルキレン、ポリメチレ ン、シクロアルカン、又はジメチレンシクロアルカン基又は直鎖又は分枝の、置 換又は非置換のアルカンジイル基、及び Dは、アルキレン、ポリメチレン、シクロアルカン又はジメチレンシクロアル カン基又は直鎖又は分枝の、置換又は非置換のアルカンジイル基である) で表わされる単位を含む化合物を用いる、請求項7に記載の方法。 9.出発物質を、工程(a)で150〜280℃の範囲の温度まで加熱する、請 求項7又は8に記載の方法。 10.用いられる熱媒体が、150〜300℃の範囲の沸点を有する、請求項7 〜9の少なくとも1項に記載の方法。 11.架橋剤の量が、出発物質を基準として5〜20重量%である、請求項7〜 10の少なくとも1項に記載の方法。 12.工程(c)において、充填剤、染料又は顔料を、充分な量の分散安定剤の 存在下に、用いられる熱媒体中に、添加する前に分散し、この分散物を反応混合 物の温度まで予熱する、請求項7〜11の少なくとも1項に記載の方法。 13.工程(c)において添加する染料又は顔料が、少なくとも200℃までの 温度に安定である、請求項7〜12の少なくとも1項に記載の方法。 14.分散安定剤として、両親媒性コポリマーを用いる、請求項7〜13の少な くとも1項に記載の方法。 15.分散安定剤として、Antaron(登録商標)V220を用いる、請求項7〜14 の少なくとも1項に記載の方法。 16.工程(b)に引き続き、及び要求される分子量に達した後に、多官能性成 分を加えてポリエステルの官能性を増加させる、請求項7〜15の少なくとも1 項に記載の方法。 17.工程(b)の縮合の終結に続いて、反応混合物を160〜200℃にまで 冷却し、適当な添加剤を加えてポリエステルの被覆性能を最適化する、請求項7 〜16の少なくとも1項に記載の方法。 18.得られるポリエステルが、500〜50000の範囲の分子量Mnを有す る、請求項7〜17の少なくとも1項に記載の方法。 19.ポリエステル粒子が粉末の形態で得られる、請求項7〜18の少なくとも 1項に記載の方法。 20.得られるポリエステル粒子が、スパン(d90−d10/d50)≦2. 5である単峰性の粒度分布を有する、請求項7〜19の少なくとも1項に記載の 方法。 21.得られるポリエステル粒子が、被覆厚<50μmを有する粉末被覆仕上げ に用いることができるものである、請求項7〜20の少なくとも1項に記載の方 法。 22.平均粒度<50μmを有する、球形の、均一に着色されたポリエステル粒 子であって、請求項7〜21の少なくとも1項に記載の方法により得られる、前 記ポリエステル粒子。
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