JP3452586B2 - 低温で架橋性であってもよい球状ポリエステル粒子、それらの製造方法、および粉末コーティングのためのそれらの使用 - Google Patents

低温で架橋性であってもよい球状ポリエステル粒子、それらの製造方法、および粉末コーティングのためのそれらの使用

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、所望により<200℃の温度で架橋しうる、
粒度<50μmの球状ポリエステル粒子、それらの製造方
法、および粉末コーティングのためのそれらの使用に関
する。
透明な粉末コーティングは一般に、架橋性であっても
よいフィルム形成性ポリマー、および添加剤、たとえば
流れ改良剤または脱蔵助剤(devolatilization assist
ant)からなる。
粉末コーティングは従来、上記成分を押出機中におい
て、フィルム形成性ポリマーの軟化温度より高く、ただ
し架橋温度より低い温度で十分に混合し、次いで得られ
た押出品を微粉砕法で約40〜70μmの平均粒度にするこ
とにより製造されている。微粉砕法では不規則な構造の
粉末が得られる。これは、約30μmより著しく小さい平
均粒度の粉末はもはや、粉末コーティングの処理に慣用
される静電吹付け法で処理できないことを意味する。た
とえば欧州特許第B−0 459 048号には、15μm未満
の粒度をもつ粉末コーティング組成物は静電吹付け法で
処理できないと述べられている。
先行技術で用いられる微粉砕粒子は約40〜70μmの平
均粒径をもち、一般に膜厚40〜70μmになる。微粉砕法
では特にきわめて広い粒度分布が生じる。さらに、この
分布は粉末の微細度が増すのに伴って広がるのが認めら
れる。
粒度分布幅は、パラメーターd50(正確に50%の粒子
が数値d50より小さいか、または大きい)だけでなく、
他の2パラメーターをも用いて表示される。すなわち、
d10は10%の粒子がこの数値より小さい粒度であること
を表す。これに対応して、d90は90%の粒子が数値d90よ
り小さい粒度であることを表す。粒度分布幅を表示する
ためには、スパンと呼ばれ、次式により計算される商を
求めるのが一般的である:スパン=d90−d10/d50。した
がってその関係は、スパンが小さいほど粒度分布が狭い
ことになる。等しい粒度の球体を含む粉末がもつスパン
は0であろう。平均粒度d50が50μである微粉砕粉末に
ついては、一般に3〜4のスパンが得られる。
経済的考慮(少ない材料消費)だけでなく技術的利点
(より大きいコーティング柔軟性)にも基づけば、粉末
コーティングには比較的薄い膜厚が望ましい。
したがって、処理性における前記の欠点を生じること
のない新規方法で粒度を低下させるために、これまで多
くの試みがなされている。この試みは一般に、理想的球
状に近い粒子を製造することである。このような粉末は
不規則な微粉砕粉末より実質的に好ましい流れ挙動を示
すからである。たとえばポリマー溶融物を噴霧すること
によって球形に近い粒子を製造することが試みられた。
しかし国際特許出願公開第WO92/00342号に提示される結
果は、これにより中程度の成功が得られたにすぎないこ
とを示す。この方法で得られた粒子は微粉砕粉末よりは
平滑な表面をもつが、なお理想的球体構造とはほど遠
い。
球状粒子を製造するために試みられた他の方法は、た
とえば欧州特許出願公開第A−0 661 091およびA−
0 792 999号に記載されるように、超臨界溶液からポ
リマーを噴霧するものである。この方法も実質的欠点を
もつ。たとえば上記特許出願には、超臨界“溶剤”が突
然蒸発するため多孔質構造をもつ粉末が得られると述べ
られている。これらの粉末をコーティングの製造に用い
ると、−非孔質粉末と比較して−コーティングの気泡形
成率が高く、したがって欠陥発生率が高い。多孔質構造
は大量の気体が粉末中に捕獲され、コーティング形成過
程でこれを除去しなければならないことを意味するから
である。さらに、超臨界溶剤はたとえば高圧下での操作
を必要とするので、その使用は技術的に複雑である。
原理的に異なる球状粒子製造方法は、分散液を調製す
るものである。物理的法則によれば、分散液中では得ら
れる粒子の好ましい幾何学的形状は完全らせん形である
と指示される。したがって先行技術では、コーティング
系(好ましくは高固形分の液状コーティング系)におい
て結合剤として使用できるポリマー粒子を分散液中で製
造することにより得る試みがこれまで多くなされてきた
(Keith Barett,Dispersion Polymerization in Or
ganic Media、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ、ロ
ンドン、1975)。たとえば英国特許第1 373 531号に
は、重縮合ポリマー(たとえばポリエステル)の安定な
分散液の調製法が記載されている。
特にポリエステルをベースとする、非水性分散法で得
たポリマー粒子を粉末コーティングとして使用する可能
性が、ドイツ特許第DE−C−21 52 515号において検
討されている。この場合、既存のポリマーを<200℃の
温度で分散させ、顔料を場合により室温で添加すること
により着色している。しかし、得られた粒子は最初のポ
リマー粒子と顔料粒子の実質的に球状の“凝集体”であ
ると記載されている。材料を噴霧乾燥により単離すると
おそらく比較的大きな構造体になり、これを機械的微粉
砕によって微細粉末に戻さなければならない。最初に形
成された凝集体の微粉砕後、そこに述べられた粒度範囲
は約2〜50μmである。しかし平均粒度または粒度分布
についての情報は全くない。さらに、目的とする120〜2
00℃の低温で架橋する粉末コーティング系の製造方法は
示されていない。上記架橋系の場合、用いられた唯一の
系は架橋温度が分散に必要な温度より高いものである。
ドイツ特許第DE−C−21 52 515号に記載されたよ
うに既に高分子量に縮合しているポリマーを分散液調製
のための出発物質として用いるのは、さらに下記の欠点
をもつ:ポリマーの粘度が既に著しく高いため、溶融物
を良好に分散させること、および均一な粒度分布を得る
ことが困難である。一般に、ポリマーの粘度を十分に低
下させるためにきわめて高い温度を用いる必要がある。
粉末コーティングとして慣用される市販のポリエステル
は、200℃で3000〜20,000mPasの粘度をもつ。
したがって本発明の目的は、きわめて低い粒度および
狭い粒度分布を有し、低温で処理して連続コーティング
を得ることすら可能であり、かつ所望によりこれらの温
度で架橋でき、したがって粉末コーティングに用いるの
に適した球状ポリエステル粒子を提供することである。
本発明はこの目的を達成する。本発明は、所望により
架橋性であり、<50μmの平均粒度およびスパン(d90
−d10/d50)2.5以下のモノモード粒度分布を有し、<20
0℃の温度で溶融して連続コーティングを形成すること
ができる球状の透明な非孔質粒子、ならびにそれらの製
造方法、ならびに粉末コーティングとしてのそれらの使
用を提供する。
所望により架橋性である新規な球状の透明ポリエステ
ル粒子は、たとえば下記により製造できる: a.ポリエステル系結合剤の出発物質を、少なくとも出発
物質の軟化温度と同じ高さの温度で少なくとも1種のポ
リマー(好ましくは有機)分散安定剤の存在下に、不活
性、高沸点の熱媒体に分散させ; b.次いで同時に縮合反応副生物を除去しながら、ポリエ
ステルが目的分子量になるまで反応混合物を120〜280℃
の温度に加熱し; c.架橋性官能性ポリエステルの場合、その後、反応混合
物を60〜140℃の温度に冷却し、少なくとも1種の多官
能性架橋剤またはエポキシ樹脂を添加し; d.次いで温度をポリエステルの軟化温度より低い範囲に
まで低下させ、得られた球状ポリエステル粒子を分離す
る。
用いる出発物質は、好ましくは粘度1000mPas未満(20
0℃で測定)、特に≦500mPasのオリゴエステルであり、
式(1)および(2)の単位を含む: これらの式中、 Xは、置換または非置換C6〜C14芳香族基、またはア
ルキレン、ポリメチレン、シクロアルカンもしくはジメ
チレンシクロアルカン基、または直鎖もしくは分枝鎖
の、置換もしくは非置換アルカンジイル基であり、 Dは、アルキレン、ポリメチレン、シクロアルカンも
しくはジメチレンシクロアルカン基、または直鎖もしく
は分枝鎖の、置換もしくは非置換アルカンジイル基であ
る。
時間を節約するために、まず酸の形または低分子量ア
ルキルエステルとしてのカルボン酸成分、たとえばテレ
フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸またはフマル酸
(一例を挙げたにすぎない)を、ジオール成分、たとえ
ばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペ
ンチルグリコールまたはビス−ヒドロキシメチルシクロ
ヘキサンと共に溶融状態で、エステル交換触媒、たとえ
ば酢酸マンガンまたは亜鉛酸もしくはスズ塩の存在下
に、縮合生成物であるそれぞれ水または低級アルカノー
ルの大部分が留出するまで加熱することにより、溶融状
態の前記組成のオリゴエステルを製造することが好まし
い。この操作中に溶融物の粘度に有意の上昇はみられな
い。200℃で粘度は依然として<1000mPasである。
この種のオリゴマー混合物を、たとえば高められた温
度で熱媒油および分散剤と組み合わせることにより、直
接に新規な分散液にすることができる。この方法は大規
模な工業的製造に好ましい。あるいは、保存のためにオ
リゴマー混合物を冷却させ、のちにそれを再び加熱して
もよい。一般にオリゴマーの製造を実際の分散液中で実
施することもできる。
新規方法の実施態様においては、出発物質、好ましく
はオリゴマー混合物を工程(a)で不活性の高沸点熱媒
体中において混合し、この混合物を高められた温度(出
発物質の軟化温度より高くなければならず、150〜280℃
が適切)に加熱し、次いで少なくとも1種の分散安定剤
または分散安定剤混合物を撹拌装入する。
特に適切であることが証明された熱媒体(分散媒)
は、沸点150〜300℃の脂肪族熱媒油である。そのような
熱媒油は−技術的な意味で−芳香族構造基を含まない。
言い換えると、それらは2重量%より多量、好ましくは
1重量%より多量の芳香族成分を含有しない。たとえば
エキソン・ケミカルから商品名アイソパル(Isopar、登
録商標)、エキソル(Exxsol、登録商標)またはノルパ
ル(Norpar、登録商標)で市販されているこれらの油は
極性が低いため、ポリエステルが膨潤しない。これは、
原則として分散法に同様に適している芳香油につき場合
により起きる問題である。
適切なポリマー分散安定剤を設計するための一般則
は、Keith Barett,“Dispersion Polymerization in
Organic Media"、ジョン・ワイリー・アンド・サン
ズ、ロンドン、1975,p.45〜110に記載されている。主な
要件は、用いる分散液中におけるポリマー分散安定剤の
溶解度、および分散すべき粒子と強く相互作用しうる極
性または反応性基である。
新規方法には、両親媒性コポリマーまたは表面改質し
た無機化合物を用いることが好ましい。これらの例は、
トリアルキルアンモニウム塩で表面改質したフィロケイ
酸塩、特にトリアルキルアンモニウム塩で表面改質した
ベントナイト、または極性ポリマー単位、たとえばポリ
−N−ビニルピロリドン、もしくは非極性ポリマー単
位、たとえば長鎖α−オレフィン(たとえば1−エイコ
セン)を含む両親媒性コポリマーである。
そのような両親媒性コポリマーはISPグローバル社か
ら商品名アンタロン(Antaron、登録商標)で市販され
ており、特に適切であることが認められた。たとえば欧
州特許第B−0 392 285号に記載されるように、アン
タロンは比較的低温でポリウレタン分散液の安定化に既
に有効に用いられている。しかしアンタロンは最高300
℃の温度でも有利に使用でき、優れた分散液安定化をも
たらすことが認められた。
本発明によれば、目的粒度の粒子を得るための分散安
定剤の含量は、出発物質に対し0.1〜6重量%、好まし
くは0.3〜4重量%、特に0.5〜2重量%である。
次の工程(b)で、反応混合物をさらに120〜280℃、
特に200〜250℃の温度に加熱し、生成する縮合反応副生
物を平行して除去する。ポリエステルが目的分子量、通
常はMn=500〜20,000、好ましくは1000〜10,000になる
まで、この温度を維持する。分子量は反応期間により判
定され、試料を採取することにより監視できる。
ポリエステルの官能性を高めるために、架橋性系につ
いては目的分子量に達した後、工程(b)の後に多官能
性化合物を添加することができる。たとえば多官能性カ
ルボン酸またはアルコール類、たとえば無水トリメリト
酸を同反応温度で添加し、添加した成分が確実に取り込
まれるようにしばらく加熱を続ける。
工程(b)の縮合反応が完了した後、ポリエステルの
被覆性を最適化するために−最終粉末コーティングの表
面品質を最適化するために望ましい−、たとえば流れ助
剤(flow assistant)または脱蔵助剤などの添加剤を
添加することもできる。これは、混合物を160〜200℃に
冷却し、反応混合物の撹拌と同時に目的添加剤を添加す
ることにより行われる。
次いで反応混合物を60〜140℃、特に80〜120℃の温度
に冷却し、架橋性官能性ポリエステルの場合は少なくと
も1種の多官能性架橋剤またはエポキシ樹脂を添加す
る。この方法で、粉末から得られたコーティングがベー
キング温度(たとえば180℃)で2〜5分の慣用ゲル化
時間になる程度まで、架橋反応を避けることができる。
したがって新規な粉末コーティングは、ベーキング温度
またはゲル化時間に関して、押出しおよび微粉砕により
得られる従来の系と差がない。
新規ポリエステルは熱可塑性挙動を示し、かつのちに
架橋しうる官能基も含むことができる。
官能性ポリエステルのカルボキシル基は、たとえばエ
ポキシドと架橋しうる。慣用されるそのようなポリエス
テル組成物の例は下記のモノグラフに示されている:Dav
id A.Bate,“The Science of Powder Coationgs",
p.17,SITA,UK 1990 ISBN 0 947798005)。これを
本明細書に援用する。官能性ポリエステル用として使用
できる一般的原料の例は、下記のカルボン酸またはそれ
らの低分子量エステルである:テレフタル酸、イソフタ
ル酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸およびフマル
酸。使用できるジオール成分の例は、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、
ヘキサンジオールおよびビスヒドロキシメチルシクロヘ
キサンである。
官能性ポリエステルに慣用される架橋剤および必要な
添加剤、たとえば流れ改良剤の概説は、上記文献に示さ
れている。一般的架橋剤の例は、イソシアヌル酸トリグ
リシジル(アラルダイト(Araldite、登録商標)PT81
0)、ビスグリシジル−ビスフェノールAをベースとす
るエポキシ樹脂、またはβ−ヒドロキシアルキルアミド
(たとえばプリミド(Primid、登録商標)XL552)であ
る。
架橋剤の含量は、ポリエステル成分に対し通常は2〜
20重量%、好ましくは5〜10重量%であるが、いわゆる
エポキシ/ポリエステルハイブリッド系については最高
50重量%であってもよい。
架橋剤の添加後、反応混合物の温度をポリエステルの
軟化温度より低い温度、好ましくは<60℃に低下させ
る。
このプロセスでポリエステルは粉末状で得られる。得
られた球状ポリエステル粒子を反応上清から分離し、所
望により精製する。
上記方法で得られるポリエステル粒子は透明であり、
目的とする任意の分子量、たとえばMn=500〜50,000の
ものを製造できる。収率は>98%である。収率低下をも
たらす反応器内粘着の例は、実際上ほとんどない。
新規方法によれば、平均粒度(d50)<50μm、好ま
しくは<40μm、特に<30μm、およびモノモード粒度
分布(d90−d10/d50)≦2.5、特に2.0、好ましくは≦1.
5、を有する球状ポリエステル粒子を得ることができ
る。
得られたポリエステル粒子は、適切な表面に付与した
後、200℃以下の温度、特に120〜200℃、好ましくは160
〜200℃の温度で溶融して連続コーティングを形成する
ことができ、一方、架橋性ポリエステルの場合は同様に
これらの温度で硬化しうるという事実でも注目される。
本発明による球状ポリエステル粒子の粒度分布が狭い
ので、それらは慣用される粉末コーティング法で処理す
るのにきわめて適しており、著しく良好な表面をもつコ
ーティングを生じる。通常は50〜70μmの膜厚を与える
従来の粉末と比較して、本明細書に記載するポリエステ
ルを用いると厚さ<50μm、好ましくは5〜40μm、特
に10〜30μmのコーティングを形成することができる。
図1A、1B、1Cは、新規な粉末(図1Aの試料、実施例4m
に従って製造)と先行技術により得た微粉砕粉末(図1B
の試料)の比較、および対応する粒度分布(図1C)を示
す。粒度分布はマルバーン・マスターサイザー(Malver
n Mastersizer)を用いて光散乱により測定された。
以下の例は本発明を説明するものである。
実施例1:架橋性ポリエステルの出発物質としてのオリゴ
マーの製造 テレフタル酸ジメチル4090g(21.06mol)、イソフタ
ル酸ジメチル888.4g(4.58mol)、ネオペンチルグリコ
ール2814g(27.05mol)、および触媒としての酢酸マン
ガン(II)・4水和物1.5gを、10lの四つ口丸底フラス
コ中へ秤量する。フラスコを蒸留橋付き充填カラム(l
=10cm)に接続する。次いで反応混合物を不活性ガス下
で150℃にする。この温度でモノマーはすべて溶融状態
である。さらに、この温度でエステル化が開始する。オ
ーバーヘッド温度が75℃を越えないように温度を制御す
る。できるだけ多量の生成メタノールを反応混合物から
分離するために、4時間かけて内部温度を150℃から225
℃に高める。6181.1gのオリゴマー混合物(これは室温
で凝固して透明なガラス質素材となる)、およびメタノ
ール1638.8g(理論値:メタノール1640g)が単離され
る。
実施例2:透明な架橋性ポリエステル粉末の製造 実施例1で得たオリゴマー混合物300g、240gのアイソ
パルP(エキソン・ケミカル)および60gのアイソパル
L(熱媒油として)、ならびに117mgの三酸化アンチモ
ン(エステル化触媒として)、ならびにアンタロン(登
録商標)V220(分散安定剤として、量は表1参照)を、
水分離器付きの1l反応器中へ秤量する。反応混合物を不
活性ガス下で(熱媒油の発火温度が低いため火災の危険
性がある)内部温度240℃に加熱する。熱媒油およびネ
オペンチルグリコールの留出が約230℃で始まる(t=
0分)。
30分間蒸留を行い(撹拌機速度:2000rpm)、次いでカ
ルボキシル基の官能性を高めるために沸騰温度で無水ト
リメリト酸21.88g(0.114mol)を添加する。さらに40分
間、反応混合物を沸騰状態に維持する。その間に少量の
水が留出する。次いで反応混合物を撹拌しながら冷却さ
せる。
180℃で添加剤ベンゾイン(1.2g)およびByk360P(BY
Kヘミー)(4.5g)を添加する。さらに冷却した後、100
℃で架橋剤として21gのイソシアヌル酸トリグリシジル
(TGIC)を添加する。反応混合物が35℃に冷却した後、
ろ過し、熱媒体を除去するためにポリエステル粉末をイ
ソヘキサンで5回洗浄する。30℃/0.1ミリバールで3時
間乾燥させた後、336gの粉末コーティングを単離する。
顕微鏡写真は球状粒子が形成されたことを示す(図1参
照)。
分散安定剤含量に対する粒度の依存度を表1に示す。
通常は分散安定剤含量が増すのに伴って粒度が低下す
る。
得られた粉末は180℃で2〜5分のゲル化時間を示す。
粉末を摩擦電気式(triboelectric)ガンおよびコロ
ナガンにより、厚さ950μmのアルミニウムパネルに吹
付けた。次いで材料を180℃で20分間硬化させた。得ら
れたコーティングの厚さを表1に示す。
実施例3:熱可塑性ポリエステルの出発物質としてのオリ
ゴマー混合物の製造 テレフタル酸ジメチル2475g(12.75mol)、イソフタ
ル酸ジメチル2250g(11.59mol)、ネオペンチルグリコ
ール450g(4.33mol)、エチレングリコール2500g(40.2
8mol)、ジエチレングリコール252g(2.37mol)および
酢酸マンガン(II)・4水和物1.485gを、10lの四つ口
丸底フラスコ中へ秤量する。反応混合物を不活性ガス下
で150℃の温度に加熱する。この温度でモノマーはすべ
て溶融する。生成したメタノールを蒸留橋付き充填カラ
ム(l=10cm)で留去する。オーバーヘッド温度が75℃
を越えないように温度を制御する。できるだけ多量の生
成メタノールを反応混合物から分離するために、反応混
合物を225℃の温度に加熱する。1555gのメタノールが留
出した(理論値1557g)。室温に冷却すると、高粘度の
オリゴマー混合物6240gが得られた。
実施例4:粉末コーティング用の透明な熱可塑性ポリエス
テル粉末の製造 実施例3で得たオリゴマー混合物400g、アイソパルP
および/またはアイソパルL(量は表2参照、熱媒油と
して)、ならびにアンタロン(登録商標)V220(分散安
定剤として、量は表2参照)、ならびに三酸化アンチモ
ン(エステル交換触媒として)100mgを、水分離器付き
の1l反応器中へ秤量する。反応器を水分離器に接続す
る。次いで反応混合物を不活性ガス下で内部温度200〜2
40℃に加熱する(表2参照)。熱媒体の沸点より約20℃
低い温度で蒸留が始まる(t=0分)。熱媒油の沸点で
4時間、蒸留を続ける(表2参照)。この間に、エチレ
ングリコール、ネオペンチルグリコールおよびジエチレ
ングリコールの混合物約82mlが熱媒体との共沸により留
出する。留出物の比較的大きな部分がエチレングリコー
ルからなる。
ろ過により熱媒油からポリエステル粉末を分離する。
粘着性の熱媒油を除去するために、ポリエステル粒子を
イソヘキサンで3回洗浄し、次いで30℃/0.1ミリバール
で3時間乾燥させる。
粉末を摩擦電気式ガンおよびコロナガンにより、厚さ
950μmの鉄パネルに吹付けにより付与した。次いで均
質な表面を得るためにコーティングを190℃で5分間溶
融させた。クレーターのない高光沢透明コーティングが
得られた(表2参照)。さらに、この微細粉末は慣用さ
れる粉末コーティング吹付け法で問題なく処理できる。
実施例5:エポキシ−ポリエステルハイブリッド粉末コー
ティングの製造 実施例2と同様に、添加剤および1%アンタロンV220
を用いてポリエステル分散液を調製する。TGICの代わり
に、分散媒としてのアイソパルL中におけるエポキシ
ド、タイプ3003(シェル社から)の50%分散液(1%ア
ンタロンV220で安定化)を100℃で添加する。この分散
液は、全成分の混合物を撹拌しながら100℃に短時間加
熱するだけで得られる。100℃で10分後、系を室温にま
で放冷し、実施例2の記載に従って粉末を単離する。
平均粒度25μm、スパン2.0、および180℃でゲル化時
間4分の粉末コーティング600gが得られる。この粉末は
欠陥のない膜厚20μmの高光沢コーティングを与える。
実施例6:架橋剤としてプリミド(登録商標)を用いた粉
末コーティングの製造 実施例2と同様にして、0.9%アンタロン(登録商
標)V220を用いてポリエステル分散液を調製する。180
℃で添加剤を添加した後、混合物を125℃に冷却し、こ
の温度で16.5gのプリミド(登録商標)XL552を添加す
る。室温にまで冷却し、ろ過し、熱媒油の残分をイソヘ
キサン洗浄により除去した後、平均粒度21μmの無色粉
末が単離される。収率は>98%である。
この粉末を実施例2と同様に処理すると、欠陥のない
膜厚23μmの透明なコーティングが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 米国特許5736621(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 C08L 67/00 - 67/02 WPI/L(QUESTEL)

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】<50μmの平均粒度を有し、透明かつ球状
    であり、スパン(d90−d10/d50)2.5以下のモノモード
    粒度分布を有し、<200℃の温度で溶融して連続コーテ
    ィングを形成することができるポリエステル粒子。
  2. 【請求項2】厚さ<50μmのコーティングを形成するた
    めに使用できる、請求項1記載のポリエステル粒子。
  3. 【請求項3】式(1)および(2)の単位: (これらの式中、 Xは、置換または非置換C6〜C14芳香族基、またはアル
    キレン、ポリメチレン、シクロアルカンもしくはジメチ
    レンシクロアルカン基、または直鎖もしくは分枝鎖の、
    置換もしくは非置換アルカンジイル基であり、 Dは、アルキレン、ポリメチレン、シクロアルカンもし
    くはジメチルシクロアルカン基、または直鎖もしくは分
    枝鎖の、置換もしくは非置換アルカンジイル基である) を含む、請求項1または2記載のポリエステル粒子。
  4. 【請求項4】500〜50,000の分子量Mnを有する、請求項
    1〜3のいずれか1項記載のポリエステル粒子。
  5. 【請求項5】粉末コーティングのための、請求項1〜4
    のいずれか1項記載のポリエステル粒子の使用。
  6. 【請求項6】球状の透明な、所望により架橋性であるポ
    リエステル粒子の製造方法であって: a.1000mPas以下(200℃で測定)の粘度を有するオリゴ
    エステルの形のポリエステル系結合剤の出発物質を、少
    なくとも出発物質の軟化温度と同じ高さの温度で少なく
    とも1種のポリマー分散安定剤の存在下に、不活性、沸
    点150〜300℃の熱媒体に分散させ; b.次いで同時に縮合反応副生物を除去しながら、ポリエ
    ステルが目的分子量になるまで反応混合物を120〜280℃
    の温度に加熱し; c.架橋性官能性ポリエステルの場合、その後、反応混合
    物を60〜140℃の温度に冷却し、少なくとも1種の多官
    能性架橋剤またはエポキシ樹脂を添加し; d.次いで温度をポリエステルの軟化温度より低い範囲に
    まで低下させ、得られた球状ポリエステル粒子を分離す
    る ことによる方法。
  7. 【請求項7】使用する出発物質が、式(1)および
    (2)の単位: (これらの式中、 Xは、置換または非置換C6〜C14芳香族基、またはアル
    キレン、ポリメチレン、シクロアルカンもしくはジメチ
    レンシクロアルカン基、または直鎖もしくは分枝鎖の、
    置換もしくは非置換アルカンジイル基であり、 Dは、アルキレン、ポリメチレン、シクロアルカンもし
    くはジメチレンシクロアルカン基、または直鎖もしくは
    分枝鎖の、置換もしくは非置換アルカンジイル基であ
    る) を含む、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】工程(a)で出発物質を150〜280℃の温度
    に加熱する、請求項6または7のいずれか1項記載の方
    法。
  9. 【請求項9】使用する熱媒体が150〜300℃の沸点を有す
    る、請求項6〜8のいずれか1項記載の方法。
  10. 【請求項10】分散安定剤の含量がポリエステル出発物
    質に対し0.1〜6重量%である、請求項6〜9のいずれ
    か1項記載の方法。
  11. 【請求項11】両親媒性コポリマーを分散安定剤として
    使用する、請求項6〜10のいずれか1項記載の方法。
  12. 【請求項12】ポリ(ビニルピロリドン/1−エイコセ
    ン)を分散安定剤として使用する、請求項6〜11のいず
    れか1項記載の方法。
  13. 【請求項13】ポリエステルの官能性を高めるために、
    工程(b)の後に、かつ目的分子量に達した後に、多官
    能性成分を添加する、請求項6〜12のいずれか1項記載
    の方法。
  14. 【請求項14】工程(b)の縮合反応が完了した後、ポ
    リエステルの被覆性を最適化するために反応混合物を16
    0〜200℃に冷却し、適切な添加剤を添加する、請求項6
    〜13のいずれか1項記載の方法。
  15. 【請求項15】得られたポリエステルが500〜50,000の
    分子量Mnを有する、請求項6〜14のいずれか1項記載の
    方法。
  16. 【請求項16】ポリエステル粒子が粉末状で得られる、
    請求項6〜15のいずれか1項記載の方法。
  17. 【請求項17】得られたポリエステル粒子がモノモード
    粒度分布(d90−d10/d50)≦2.5を有する、請求項6〜1
    6のいずれか1項記載の方法。
  18. 【請求項18】得られたポリエステル粒子を膜厚<50μ
    mの最終粉末コーティングを形成するために使用でき
    る、請求項6〜17のいずれか1項記載の方法。
  19. 【請求項19】請求項6〜18のいずれか1項記載の方法
    で製造された、平均粒度<50μmの球状ポリエステル粒
    子。
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