JP2001519386A - 哺乳動物における血管収縮または血管痙攣を予防または緩和するための一酸化窒素供与体組成物、方法、装置およびキット - Google Patents

哺乳動物における血管収縮または血管痙攣を予防または緩和するための一酸化窒素供与体組成物、方法、装置およびキット

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JP2001519386A JP2000515584A JP2000515584A JP2001519386A JP 2001519386 A JP2001519386 A JP 2001519386A JP 2000515584 A JP2000515584 A JP 2000515584A JP 2000515584 A JP2000515584 A JP 2000515584A JP 2001519386 A JP2001519386 A JP 2001519386A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は哺乳動物における血管収縮または血管痙攣を緩和または防止するための組成物、方法、装置およびキットに関する。該組成物、方法、装置およびキットは、動脈瘤蜘蛛膜下出血の後に生じる脳血管収縮に、血栓性発作に、冠状動脈閉塞に、および他の症状に伴う虚血症より由来の虚血性組織損傷を緩和または防止するのに有用である。これらの組成物、方法、装置およびキットは、一般に、哺乳動物における一酸化窒素供与体化合物の外膜(すなわち、流出面外)投与に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、血管収縮および血管痙攣の緩和に関する。
【0002】 (背景技術) 血管収縮および血管痙攣は、例えば、心筋梗塞、狭心症およびアテローム性動
脈硬化症の損傷のごとき虚血性心疾患、発作、脳血管収縮、および、筋肉の痙攣
に伴う痙攣発作および虚血性筋肉損傷を包含するヒトの非常に様々な病気におけ
る虚血性損傷の重要な原因である。
【0003】 動脈瘤の蜘蛛膜下出血(SAH)に続く慢性の遅延性脳血管収縮(CDCV)は、ヒ トにおいて、重篤、かつ、しばしば致命的な状態である。かなりの臨床的および
研究的な証拠が蓄積され、エンドセリン-1(ET-1)がSAHに続くCDCVの進行に関 係していることが示された(Suzukiら、1990, Annals of Medicine 22:233-236;
Suzukiら、1992, J. Neurosurgery 77: 96-100; Fuwaら、1993, Neurologia Me
dico-chirurgica 33:739-743; Kasuyaら、1993, J. Neurosurgery 79:892-98; O
hlsteinら、1992, J. Neurosurgery 77:274-278)。脳血管壁における本来備わ っている血管拡張機構がSAHの結果として欠損する場合のET-1の役割について、 同様の証拠が存在する(Hongoら、1988, J. Neurosurgery 69:247-253; Snyder ら、1992, Scientific American 266:68-77; Todaら、1993, Stroke 24:1584-1
588)。
【0004】 本来備わっている局所の血管拡張機構において、一酸化窒素(NO)の働きが関
係している。NOは、最も小さな生物学的活性分子として知られており、異常な生
理学的プロセスのメディエーターである(Nathan, 1994, Cell 78:915-918; Tho
mas, 1997, Neurosurg. Focus 3:Article 3)。多くの研究者によって、NOは、C
DCVに関係していることが示されているアンギオテンシンIIの血管収縮能力の少 なくとも10倍を有する、最も強力な哺乳動物の血管収縮物質として知られるエン
ドセリン-1の生理学的アンタゴニストとしても知られている(Yanagisawa et al
., 1988, Nature 332:411-415; Kasuya et al., 1993, J. Neurosurg. 79:892-8
98; Kobayashi et al., 1991, Neurosurgery 28:5:673-679)。NOの生物学的半 減期は非常に短い(Morris et al., 1994, Am. J. Physiol. 266:E829-839; Nat
han, 1994, Cell 78:915-918, 1994)。NOは、エンドセリン由来の弛緩因子(ED
RF)の生物学的効果を完全に説明し、血管拡張効果に対するcGMP依存性タンパク
質キナーゼの作用を介して働く非常に強力な血管拡張物質である(Henry et al.
, 1993, FASEB J. 7:1124-1134; Nathan, 1992, FASEB J. 6:3051-3064; Palmer
et al., 1987, Nature 327:524-526; Snyder et al., 1992, Scientific Ameri
can 266:68-77)。
【0005】 NOはフリーラジカルガスなので直接測定するのは困難であるが、2つの証拠が
、SAHが引き起こした脳血管痙攣中のNOの欠乏または機能障害を支持している。 まず、SAHの後の血管壁においてcGMPが欠乏し、次いで、SAHの凝血における赤血
球溶解によって放出されたオキシヘモグロビンがNOにどん欲に結合する(Gibson
ら、1957, Am. J. Physiol. 136:507-526; Kimら、1992, Circulation Research
70:248-56; Martinら、1985, J. Pharmacol. Exp. Ther. 232:708-716)。
【0006】 CDCVの現象は、ET-1活性の増加およびNO活性の減少に同時に関係しているよう
に思われる。かかる理論の確認には、ET-1の作用の妨害、または、何らかの方法
でNOを血管壁に利用可能に産生することのいずれかによるCDCVの減弱または回復
が示されることが必要である。このことは、異なる方法を用いたいくつかの研究
者のグループによって試みられ、様々な程度に成功している。前者の方法は、最
近の文献においてより多くのグループに好まれ、CDCVを緩和させるためにエンド
セリン受容体のアンタゴニストを使用して、将来性のある最初の結果を提供して
いる(Foleyら、1994, Neurosurgeru 34:108-113; Itohら、1994, J. Neurosurg
ery 81:759-764)。
【0007】 インビボでのNO供与体の使用のひとつの重要な制限は、深刻な全身性低血圧を
引き起こす傾向にあることである(Herosら、1976, Surgical Neurology 5:354-
362; Raynorら、1963, J. Neurosurgery 20:94-96)。動脈瘤SAHに続くCDCVの信
頼できる効果的治療は依然として不明である。現在、最も重要な死因であり、動
脈瘤SAHに続く神経学的病的状態である、この病気の治療の頼みの綱は、昇圧/ 多血/血液希釈(HHH)療法(Solomonら、1998, Neurosurgery 23: 699-704)で
ある。CDCVの重症のケースはHHH療法に対して難治性であり、何人かの患者は医 学的理由からHHH療法に耐えられないので、CDCVの別の治療法が必要とされてい る。脳および他の組織における血管収縮および血管痙攣の効果的治療が必要とさ
れているのと同様に、血管収縮および血管痙攣を予防するための予防的治療も必
要である。 本発明はこれらの必要性を満足させる。
【0008】 (発明の開示) 本発明は、哺乳動物における血管収縮を緩和する方法に関する。本方法は、哺
乳動物における収縮した血管に対して一酸化窒素供与体化合物を外膜的に投与す
ることを含んでなる。それによって血管の収縮は緩和する。本発明のひとつの具
体例において、動物はヒトであり、血管は、脳血管、右前大脳動脈、右中大脳動
脈、右後交通動脈、左前大脳動脈、左中大脳動脈、左後交通動脈、心血管、右冠
状動脈、左冠状動脈、および、痙攣筋肉組織内に存在している血管からなる群か
ら選択される。好ましくは、血管は脳血管であり、哺乳動物の脳脊髄液へ化合物
をデリバリーすることにより、化合物を血管に外膜的に投与する。これを達成す
るひとつの方法は、哺乳動物の蜘蛛膜下腔から脳脊髄液の一部を取り出し、その
一部の脳脊髄液と化合物を混合し、次いで、哺乳動物の蜘蛛膜下腔にその脳脊髄
液を戻すことによって、哺乳動物の脳脊髄液に化合物をデリバリーすることであ
る。これを達成するもう一つの方法は、哺乳動物の蜘蛛膜下腔から脳脊髄液の一
部を取り出し、その一部の脳脊髄液と化合物を含んでなる医薬組成物を混合し、
次いで、哺乳動物の蜘蛛膜下腔にその脳脊髄液を戻すことによって、哺乳動物の
脳脊髄液に化合物をデリバリーすることである。
【0009】 本発明のもう一つの具体例において、血管は心血管であり、哺乳動物の心膜腔
に化合物を提供することによって外膜的にその化合物を投与する。 本方法の哺乳動物は、例えば、慢性遅延性脳血管収縮を経験した哺乳動物、蜘
蛛膜下出血を経験した哺乳動物、動脈瘤蜘蛛膜下出血を経験した哺乳動物、初期
塞栓症発作を経験している哺乳動物、発作を経験した哺乳動物、心臓虚血を経験
した哺乳動物、心筋梗塞を経験した哺乳動物、狭心症で苦しむ哺乳動物からなる
群から選択されても良い。好ましくは哺乳動物はヒトである。
【0010】 本発明のひとつの具体例において、化合物の徐放性処方の形態でその化合物を
投与する。例えば、化合物は、ニトログリセリン、アルギニン、および、ニトロ
プルシド塩からなる群から選択してもよい。好ましくは、化合物はニトロプルシ
ドナトリウム(SNP)である。大人のヒトに対する一日当たりのSNPの用量は、約
10mgないし88mg、より好ましくは約10mgないし30mgの範囲であ
る。
【0011】 本発明のもう一つの具体例において、化合物、および、シアン化物スカベンジ
ャー、シアネートスカベンジャー、ヒドロキシコバラミンおよびチオ硫酸塩から
なる群から選択されるスカベンジャー化合物を含んでなる医薬組成物の形態で、
化合物は投与される。
【0012】 好ましくは、血管に投与されるNO供与体化合物の量は、血管の収縮を緩和する
のに十分であるが、哺乳動物において体低血圧または脳高血圧を引き起こさない
量である。 本発明のもう一つの具体例は、哺乳動物に対する抗炎症剤、抗生物質、オキシ
ヘモグロビン還元化合物、血栓崩壊剤、および制吐剤からなる群から選択される
化合物を該哺乳動物に投与することを含んでなる。
【0013】 本発明は、哺乳動物における血管収縮を予防する方法にも関する。本方法は、
一酸化窒素供与体化合物を哺乳動物の血管に外膜的に投与し、それによって血管
収縮を予防することを含んでなる。好ましくは、一酸化窒素供与体化合物はニト
ロプルシドナトリウムである。さらに好ましくは、哺乳動物はヒトであり、ヒト
に投与する一日当たりのニトロプルシドナトリウムの量は24mgより多くなく
、より好ましくは4ないし24mgの範囲である。さらに好ましくは、一酸化窒
素供与体化合物は、その化合物の徐放性処方を含んでなる医薬組成物の形態で投
与される。
【0014】 さらに、本発明は、哺乳動物において収縮または痙攣している血管を拡張する
方法に関する。本方法は、一酸化窒素供与体化合物を外膜的に血管に投与し、そ
れによって血管を拡張することを含んでなる。
【0015】 さらに、本発明は、動物の組織における虚血を緩和する方法に関する。本方法
は、一酸化窒素供与体化合物を組織に投与し、それによって化合物を組織の血管
に投与し、それによって血管の収縮または痙攣を緩和し、組織の虚血を緩和する
ことを含んでなる。
【0016】 さらに本発明は、動物の組織における虚血を予防する方法に関する。本方法は
、一酸化窒素供与体化合物を組織に投与し、それによって化合物を組織の血管に
投与し、それによって血管の収縮を予防し、組織の虚血を予防することを含んで
なる。
【0017】 本発明は、哺乳動物の収縮または痙攣している血管に外膜的に投与するための
血管拡張組成物、一酸化窒素供与体化合物および医薬上許容される担体を含んで
なる組成物にも関する。好ましくは、医薬上許容される担体は、哺乳動物の脳脊
髄液および合成脳脊髄液からなる群から選択される。
【0018】 さらに、本発明は溶液中で短い半減期を有する薬剤を哺乳動物にデリバリーす
るための装置に関する。この装置は: 流動オリフィス、第1流体出入口および第1圧力オリフィスを有する第1中空
本体であって、各々が第1中空本体の内部と流体連絡している第1中空本体と; 薬剤を含有する第2中空本体であって、第2中空本体の内部と流体連絡してお
り、かつ、第1流体出入口と流体連絡している第2流体出入口、および第2中空
本体の内部と流体連絡している流出口を有する第2中空本体と; 第1圧力オリフィスと連結している第1圧力調節器とからなる。
【0019】 一の具体例において、本装置は、さらに、流出口に結合した入口オリフィスお
よび出口オリフィスを有するバルブを含んでなる装置であって、該バルブが液流
を入口オリフィスから出口オリフィスに方向付けるバルブを有する。
【0020】 本装置のもう一つの具体例において、第2中空本体がその内部に薬剤を含有す
る 。好ましくは、薬剤は、一酸化窒素供与体化合物、より好ましくは、単一のヒト
髄腔内デリバリー量の一酸化窒素供与体化合物である。
【0021】 本装置のさらにもう一つの具体例において、第2中空本体はさらに、薬剤を含
有する少なくとも一つのコンパートメントを含んでなり、そのコンパートメント
の内部は、第2中空本体の内部から突破可能な障壁によって分けられている。好
ましくは、突破可能な障壁は、少なくとも一つの切り込みを有するフィルムまた
は少なくとも一つの穿孔を有するフィルムのごとき、ポリマーのフィルムまたは
ホイルを含んでなる。一つのバージョンにおいて、本装置はさらに、障壁を突破
するためにコンパートメント内を摺動可能に配置されたコンパートメントプラン
ジャーを含んでなり、そこでは、コンパートメントプランジャーを作動させると
障壁が突破され、それによって組成物が第2中空本体の内部と流体連絡するよう
になる。
【0022】 本発明の装置のもう一つの具体例において、圧力調節器は、第1中空本体の内
部にぴったりと摺動可能に配置された第1プランジャーであって、前進した位置
と引っ込められた位置との間の第1中空本体内に配置可能な第一のプランジャー
を含んでなり、第1プランジャーが前進した位置にある時は、流動オリフィスは
流体出入口と流体連絡しておらず、第1プランジャーが引っ込められた位置にあ
るときは、流動オリフィスは流体出入口と流体連絡している。好ましくは、本具
体例の装置はさらに、第2中空本体の内部にぴったりと摺動可能に配置された第
2プランジャーを含んでなり、第2プランジャーが流出口の方向に押しだされる
と、それによって第2中空本体の中身は流出口を通って放出される。かくして、
一つの具体例に従って、最初の流動本体は第1シリンジであり、第2中空本体は
第2シリンジであり、第1および第2シリンジの内部は三方バルブによって脳室
瘻形成装置に連結され、三方バルブは第1シリンジの内部、第2シリンジ内部、
および脳室瘻形成装置内部のいずれか2つと選択的に連結する。
【0023】 本発明装置のもう一つの具体例において、第2中空本体が該第1中空本体の内
部に配置され;該第1中空本体および第2中空本体が実質的に縦方向に同軸であ
り;該出口オリフィスが該流動オリフィスに接近して配置され;該流動オリフィ
スが脳脊髄液ドレイン系に適応できる。
【0024】 本発明は、外表面、近位末端、遠位末端、近位末端から本体内に伸びる管腔、
外表面から管腔へ該本体を通って伸びる少なくととも一つの穴、および、流体ハ
ンドリング装置へ該カテーテルを接続するための近位末端のハブを有する、可撓
性の略管状の本体を含んでなる硬膜下カテーテルにも関連する。好ましくは、本
体は水平な円筒形である。さらに好ましくは、本体は少なくとも一部、放射線不
透過性である。硬膜下カテーテルの一つの具体例において、本体の遠位末端の管
腔はその本体の遠位末端の管腔より広い。
【0025】 さらに本発明は、硬膜下挿入ガイドに関する。そのガイドは、長軸、近位末端
、遠位末端、外表面および近位末端から外表面へ本体内を伸びる管腔を有する実
質的に剛性の本体を有し、管腔が本体の近位末端で長軸に沿って略平行に、かつ
外表面で長軸に対して略垂直に伸びており、該本体の遠位末端を哺乳動物の頭蓋
穿孔中へ挿入すると、該管腔が該哺乳動物の硬膜下腔と流体連絡している。一つ
の具体例において、硬膜下挿入ガイドはさらに、本体の遠位末端に膨張可能なバ
ルーンを含んでなる。
【0026】 本発明はさらに、哺乳動物の血管を拡張するためのキットに関する。このキッ
トは、一酸化窒素供与体化合物、および、その化合物を哺乳動物の血管に外部か
ら投与することを説明した教材を含んでなる。 さらに本発明は、哺乳動物の収縮した血管または痙攣している血管を拡張する
ためのキットに関する。このキットは、実質的に無水形態の一酸化窒素供与体化
合物を含有する少なくとも一つのシリンジ、および、そのシリンジを第2シリン
ジおよび血管の外表面と流体連絡している液体導管と連結するための三方バルブ
を含んでなる。
【0027】 本発明は、哺乳動物への一酸化窒素供与体化合物の髄腔内投与のためのキット
にも関する。このキットは; a)該化合物を投与するための装置であって、 流動オリフィス、第1流体出入口および第1圧力オリフィスを有する第1中空
本体であって、各々が第1中空本体の内部と流体連絡している第1中空本体と; 該化合物を含有する第2中空本体であって、第2中空本体の内部と流体連絡し
ており、かつ、第1流体出入口と流体連絡している第2流体出入口、および第2
中空本体の内部と流体連絡している流出口を有する第2中空本体と; 出口に結合した入口オリフィスおよび出口オリフィスを有し、その入口オリフ
ィスから出口オリフィスへの方向に流体が流れることを可能とするバルブ を含んでなる装置;および b)該化合物を該哺乳動物に髄腔内投与するための該装置の使用について説明す
る教材を含んでなる。
【0028】 さらに本発明は、 外表面、近位末端、遠位末端、近位末端からカテーテル本体内に伸びる管腔、
外表面から管腔へカテーテル本体を通って伸びる少なくととも一つの開口部、お
よびカテーテルを流体ハンドリング装置に接続するための近位末端にてハブを有
する、可撓性の略管状のカテーテル本体と; ガイドが、長軸、近位末端、遠位末端、外表面および近位末端から外表面へガ
イド本体内を伸びる管腔を有する実質的に剛性のガイド本体を有し、管腔がガイ
ド本体の近位末端で長軸に沿って略平行に、かつ外表面で長軸に対して略垂直に
伸びており、そのガイド本体の遠位末端を哺乳動物の頭蓋穿孔中へ挿入すると、
該管腔が該哺乳動物の硬膜下腔と流体連絡している、硬膜下挿入ガイドと からなる硬膜下カテーテル挿入用キットに関する。
【0029】 (発明を実施するための最良の形態) 本発明は、哺乳動物における、静脈および動脈の、血管収縮および血管痙攣の
緩和および防止方法に関する。NOまたはNO供与体化合物の全身性デリバリー
が重度かつ危険な体低血圧を誘発することが知られている。このため、NO供与
体化合物は血管痙攣および血管収縮の治療に使用されない。本明細書に記載する
ように、NO供与体化合物の血管への外膜投与(すなわち、流出面(non-lumina
l)への投与)が血管の収縮または痙攣を緩和あるいは反転させることが見出さ れた。
【0030】 さらに1またはそれ以上のNO供与体化合物を血管と接触する体液中にデリバ
リーすることで血管の収縮が緩和され、または拡張されることも見出された。こ
の発見は、その体内位置の理由から、直接的に治療することが容易でない、血管
の収縮および痙攣を緩和するのに特に有用である。例えば、心臓および脳組織を
補足する血管は体内の比較的深いところにあり、骨または他の組織により囲まれ
ており、重度の外傷を対象に生じさせることなく、外科的操作を施すことは困難
である。本発明はNO供与体化合物を体腔(例えば、冠動脈についての心膜腔、
および脳動脈についての蜘蛛膜下腔)にデリバリーすると、その腔内にある血管
の外膜に輸送され、それにより血管の収縮または痙攣が緩和されるか、または血
管が拡張され、効果的である。
【0031】 血管の拡張、例えば、血管収縮または痙攣を緩和または反転させることにより
得られる血管の拡張は、血管を通る血流を増加させ、それにより血管およびその
近位および遠位にある血管によって供給される組織への酸素供給量が改善される
。このように、本発明の組成物および方法は血管収縮を緩和し、血管痙攣を反転
させるだけでなく、これら症状に付随する虚血症の緩和にも有用である。
【0032】 本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおけるある種の血管収縮または血管痙
攣の緩和方法を包含する。本発明の方法は、少なくとも1つのNO供与体化合物
を哺乳動物の収縮血管または痙攣状態の血管に膜外投与することからなる。好ま
しい具体例において、本発明はヒトにおける初期閉塞性発作の治療を包含する。
さらに別の好ましい具体例において、本発明はヒトにおける動脈瘤SAH後のC
DCVの治療を包含する。このように、少なくとも1の態様において、本発明は
NO供与体化合物をヒトに鞘内投与することからなる。
【0033】 重要な具体例において、本発明は、1またはそれ以上のNO供与体をヒト患者
に鞘内投与することによる、そのヒト患者の脳血管収縮の治療に関する。その使
用方法としての、1またはそれ以上のNO供与体をヒトまたは他の哺乳動物患者
に鞘内デリバリーするのに有用な装置の具体例がいくつか本明細書にて記載され
ている。本発明の具体例によれば、NO供与体を哺乳動物、好ましくはヒトに鞘
内投与することで体低血圧または頭蓋内高血圧を付随することなく血管収縮を緩
和することができる。本明細書に示されるデータで確立されるように、NO供与
体の鞘内投与は、ET−1誘発の動脈瘤SAH後の血管痙攣の作用を阻止するの
に役立つ。
【0034】 脳血管収縮または血管痙攣を緩和し、または防止するために1またはそれ以上
のNO供与体を鞘内投与することはまた、哺乳動物(例えば、ヒト)における閉
塞性発作に伴う虚血性脳障害を緩和し、最小とし、または防止するのにも有用で
ある。閉塞性発作または他の型の発作(あるいは他の型の脳虚血)が生じている
最中の、または最近(すなわち、数分、数時間または数日以内)にかかる発作を
経験した哺乳動物にNO供与体を鞘内投与することで哺乳動物における脳血管収
縮または血管痙攣が緩和および防止され、それにより脳血管収縮および血管痙攣
に付随する酸素供給の損傷をもたらす虚血性組織障害が最小となり、緩和され、
または防止される。
【0035】 本発明はまた、処置が治療よりもむしろ予防である方法、すなわち、血管収縮
または血管痙攣が直ちにまたはNO供与体化合物の徐放性形態がまだ哺乳動物、
例えばヒトの中にある期間の間に予想される状況にて、血管収縮または血管痙攣
の予防に有用である方法に関する。本発明の方法は、哺乳動物、例えばヒトにて
、一定量のNO供与体を血管、例えば収縮または収縮するようになると考えられ
る血管に投与することからなる。本発明の方法のこの態様において、予防効果を
得るために、NO供与体を血管の外膜または流出面にデリバリーする。多種の医
学的理由から、血管収縮または血管痙攣が「危険」であると判断される個体にて
、予防的な抗血管収縮または抗血管痙攣処理が必要とされる。詳細には、SAH
に続く脳血管痙攣のように血管収縮が遅れて予想される医学的環境、あるいはそ
の進行の初期に観察される医学的環境がある。後者の場合、この環境は、医学的
または外科的操作の間に同定される血管収縮にて、あるいはその自然史の一部と
して、または医学的操作の結果として、独立して進行すると考えられる血管収縮
にて生じるかもしれない。そのような環境、例えば、血管を機械的に操作するこ
とで引き起こされる血管収縮は、外科的手術の間では特に一般的である。そのよ
うな手術の一例として、脳手術、脊髄手術、頭蓋外、血管および心臓手術、カテ
ーテルを用いる内血管手術、または血管を内在的にもしくはその逆で操作する外
科的操作が挙げられる。この問題を解決するための本発明の有利な効果が本発明
者によって観察され、詳細に記載された。心臓、脳または他の器官もしくは組織
の虚血症は、本発明の方法に従ってNO供与体を定期的に投与することで防止さ
れ、最小となり、あるいは阻止することができる。このように、血栓塞栓症、卒
中、心臓発作、血液疾患または血管炎などの広範囲に及ぶ環境下で、血管の外膜
または流出部にNO供与体を投与することも本発明の一部を形成する。
【0036】 NO供与体化合物とは、実質的に、生理学的条件下、化合物が投与される哺乳
動物の組織にて、分解し、あるいは逆に反応してNOを生成する化合物をいう。
様々な環境下にある多くの哺乳動物組織の生理学的条件は公知であり、以前には
特徴的でない組織または場合での生理学的条件も当業者であれば周知の方法を用
いて容易に決定することができる。
【0037】 本発明の組成物、方法、装置およびキットにて有用であると思われるNO供与
体化合物は、例えば、1またはそれ以上のニトログリセリン(NTG)、ニトロ
プラシド塩、例えばナトリウムニトロプラシド(SNP)、アルギニンまたは他
のNO−生成化合物を包含する。本願明細書を作成の時点でNO供与体化合物で
あると分かっていない化合物であっても、本発明においてはNO供与体化合物が
化学的に同一であることは重要なことではないため、そのNO生成特性が分かれ
ばすぐに使用することができる。1以上のNO供与体化合物を対象に投与する場
合、複数の化合物を、混合して、別々であるが同時にまたは連続的に投与するこ
とができる。
【0038】 たった1つのNO供与体化合物を哺乳動物に投与する場合、SNPが好ましい
NO供与体化合物である。SNP単独での投与の効果が宿主に悪影響を及ぼす場
合に、例えば、NTGとSNPの組み合わせを哺乳動物に投与することができる
。そのような場合には、SNP投与に付随する副作用なしに必要量のNOを哺乳
動物に提供するために、NTGをSNPと一緒に投与することができる。NTG
およびSNPの両方を連続してヒトに使用する場合、まずSNPを用いることが
好ましい。
【0039】 NOは、米国特許第5543430号に記載されるように、L−アルギニンお
よび酵素、NOシンターゼの作動剤を有してなる組成物の形態にて哺乳動物に投
与することができる。別法として、L−アルギニンおよびNOシンターゼを一緒
に動脈血管外膜部位に投与してもよい。NOシンターゼは、正常な内皮細胞、ニ
ューロン、および他の組織にて存在する構成的形態を含む、複数の異なるイソ型
にて存在する。誘発可能な形態のNOシンターゼが活性化マクロファージに存在
し、それはまた血管平滑筋細胞にて誘発される。L−アルギニンおよびNOシン
ターゼの投与はインビボでのNOの生成を促進するのに供され、それによりNO
が哺乳動物に効果的に投与される。
【0040】 血管はその血管へのアクセスが、間接的(例えば、カテーテルまたは内視鏡)
または直接的な外科的手段によりなされる体のいずれの部分にあってもよい。例
えば、心臓手術の間、血流を増やすか、その外科手術それ自体の技術的方法を改
良するために、収縮した冠状血管を拡張することが望ましい。例えば、また、急
性心筋虚血症の環境下では、本明細書に記載されるようにNO供与体を外膜にデ
リバリーすることで急性脳虚血症を処理しうる環境と同様に、ニードルまたはカ
テーテルを介する、NO供与体の心膜投与が望ましい。治療用化合物の血管の外
膜面への、あるいは体液またはその外膜面と流体連絡している体腔へのデリバリ
ーは当該分野にてよく知られており、種々の経路、例えば、ニードル、カテーテ
ルまたは直接的な手術により行うことができる。
【0041】 NO供与体化合物を哺乳動物の血管の外膜に投与するために、その化合物を単
独にて、溶液にて、懸濁液にて、医薬組成物にて、または徐放性医薬組成物にて
、体液または血管の外側(すなわち、外膜または流出)面と流体連絡している体
腔に、あるいは血管の外面に直接投与する。NOは組織を介して限定された量を
拡散させる能力を有する極めて小さな化合物であるため、その化合物を流体、腔
または血管の外膜を覆う組織の薄層(すなわち、10を越える細胞層ではなく、
好ましくはほんの少し、例えば1または2の細胞層)と流体連絡している組織に
投与することもできる。このように、例えば、NO供与体化合物を有してなる組
成物を皮膚に塗布することで、NO供与体化合物を皮膚表面近くにある血管に外
膜デリバリーすることができる。
【0042】 本発明の好ましい具体例において、NO供与体化合物を有してなる組成物を脳
血管に外膜投与する。脳血管は、右および左前脳動脈、右および左中脳動脈、右
および左後連絡動脈、右および左内頚動脈、左および右脈絡叢動脈の一部、個々
に名前が変化し、統一された名前のない副血管チャネルを含むが、これに限定さ
れない副脳循環系に含まれる小径血管を包含するが、これに限定されるものでは
ない。かかるデリバリーは本発明の化合物を哺乳動物に鞘内投与することにより
達成できる。
【0043】 NO供与体化合物をヒトに鞘内投与する1の方法は、哺乳動物に対して脳室瘻
形成術を施し、その脳室瘻形成装置(ventriculostium)を介して哺乳動物の脳 室(例えば、右外脳室)にNO供与体化合物の溶液をデリバリーする。好ましく
は、該溶液を例えば2、3ミリリットルないし約5ミリリットルのアリコートに
て投与する。注射する直前に、注射される容量に等しいかまたはわずかに多い容
量の脳脊髄液(CSF)を脳室瘻形成装置から取り出し、その対象における頭蓋
内圧(ICP)の上昇を回避する。
【0044】 NO供与体化合物を有してなる組成物を蜘蛛膜下へのデリバリーに付し、その
組成物を幾何学的に他の脳動脈の近くにあり、その動脈と流体連絡している蜘蛛
膜下腔にデリバリーすることにより他の脳動脈における血管収縮または血管痙攣
を防止または緩和することができると理解される。例えば、そのような組成物を
(蜘蛛膜下の)脳−延髄槽にデリバリーして組成物を血管に鞘内投与し、脳、特
にその下部に供給することもできる。同様に、脊髄に供給する動脈の血管収縮お
よび血管痙攣を、NO供与体化合物を有してなる組成物を収縮したまたは痙性脊
髄動脈の幾何学的に近くにある蜘蛛膜下腔にデリバリーすることで防止または緩
和することができる。NO供与体化合物は、これに限定されるものではないが、
蜘蛛膜腔への経腰アクセス、脳室瘻形成術、または槽マグナへのニードルアクセ
スを含む、患者のCSFとアクセスするいずれか公知の方法を用いて脳または脊
髄組織に外膜投与することができる。
【0045】 本明細書に用いる「脳室瘻形成術」なる語は、哺乳動物の体外から哺乳動物の
脳室にアクセスする公知のあるいは今後開発される方法をいう。脳室瘻形成術の
一の方法は、例えば、哺乳動物を頭蓋開口術に付した後、装置(すなわち、軟プ
ラスチック製カニューレなどの「脳室瘻形成装置」)を設置することを包含し、
それによりカニューレの穿孔が哺乳動物の脳室と体外環境を流体連絡するように
置かれる。
【0046】 分節血管痙攣の適当な条件下では、さらなる局所経路を用い、例えば、蜘蛛膜
下カテーテルによりまたは術中に、NO供与体化合物を哺乳動物に髄腔内投与す
ることもできる。例えば、脳室瘻形成術に含まれる操作と同様に、脳その物に侵
入することなく、脳の回りにある蜘蛛膜下腔にプラスチック製カニューレを挿入
してもよい。この操作は動脈瘤の手術の時点で、または別の時点で頭蓋骨に穴を
開けることで行うことができる。NO供与体化合物は、カニューレを用いる手術
の間に脳表面血管に直接的に髄腔内投与してもよい。
【0047】 本発明のもう一つ別の好ましい具体例において、右および左冠状動脈などの心
臓血管にNO供与体化合物を心膜投与する。例えば、胸骨付近の第5または第6
左肋間腔にあるニードルを、好ましくは超音波または他の明視化ガイダンスの下
で、心膜に挿入し、組成物をそのニードルの穿孔を介して心膜に入れることによ
り、SNPまたは1またはそれ以上の別のNO供与体化合物を有してなる組成物
を心膜投与することができる。あるいはまた、ニードルを左肋骨剣状突起角で入
れ、心膜サック(pericardial sac)まで上下方向に通してもよい。いずれの場 合も、心筋に侵入しないように注意しなければならない。
【0048】 典型的には、ヒトに投与されるSNPの量は、確立された血管収縮または血管
痙攣を緩和するのに一日当たり約10ないし88mgの範囲にある。さらに好ま
しくは、この投与量の範囲は一日当たり約10ないし30mgである。この投与
量は約5ないし12mgより多くのSNPを含まないアリコートで投与され、そ
のアリコートも少なくとも5または10分離して投与する必要がある。血管収縮
または血管痙攣の予防的処置として投与する場合、あるいは収縮していない血管
を拡張するのに投与する場合、SNPの典型的な量は成人で一日当たり約24m
gを超えるべきではない。さらに好ましくは、この投与量範囲は一日に付き約4
ないし12mgである。この投与量は約2ないし4mgのSNPを含むアリコー
トで投与され、一日当たり1ないし3回、2つのアリコートを5または10分離
して投与する必要がある(すなわち、一日につき6個までのアリコートを投与す
る)。予防的処理は少なくとも約10日間続けることが好ましく、かつ約21日
より長くないことが好ましい。処置の結果、付随的低血圧が誘発される危険性が
あるため、各アリコートに配合されるNO供与体化合物の量および投与するアリ
コートの回数を注意してモニター観察する必要がある。さらに処置の間、患者の
動脈血圧をモニター観察する必要もある。さらには、SNP以外のNO供与体化
合物の比較投与量範囲も、その化合物の抗血管収縮または抗血管痙攣活性をSN
Pの対応する活性と比較することで当業者であれば推定することができる。
【0049】 本発明は、特に、単一用量にて哺乳動物に適宜デリバリーされる一定量のNO
供与体化合物を有してなる組成物であって、その単一用量は脳血管痙攣を緩和す
るが、体低血圧または頭蓋内高血圧を誘発しない組成物を意図するものである。
かかる用量を、本明細書において、NO供与体化合物の「単一のヒト髄腔内デリ
バリー量」という。該組成物は、少なくとも1つのNTGまたはSNPを含むN
O供与体化合物を有してなるか、あるいはまたL−アルギニンおよびNOシンタ
ーゼの作動剤を含むNO供与体化合物を有する。適当な単一用量は5mLの溶液
中に約0.5ないし約5mg、好ましくは約4mgのNO供与体化合物を有する 。単一用量のNO供与体化合物が包装した粉末形態である場合、その単一用量は
約0.5ないし約5mgのNO供与体化合物を含み、それを投与直前に約0.5m
lの溶媒に懸濁させてもよい。本明細書に記載の薬物デリバリー装置の1または
それ以上のコンパートメントに単一の髄腔内デリバリー量を含めることも本発明
において意図するものである。
【0050】 当業者である医師または獣医師であれば、対象の血管収縮または血管痙攣を緩
和または防止するのに、あるいは血管を拡張するのに有効な量のNO供与体化合
物を容易に決定して処方することができる。かかる操作において、医師または獣
医師は、例えば、最初は比較的低用量に処方し、その後、適当な応答が得られる
まで用量を増加させてもよい。しかしながら、個々の対象の用量レベルは、使用
する個々のNO供与体化合物の活性、対象の年齢、体重、健康状態、性別および
食事、投与期間、投与経路、排泄率、薬物の組み合わせ、NO供与体化合物が血
管部位より輸送されまたはその部位で分解される推定速度、および緩和または防
止すべき血管痙攣もしくは血管収縮の重篤度および持続期間を含む、種々の因子
に依存していることがわかるであろう。
【0051】 NO供与体化合物を哺乳動物に投与する前に、その供与体を、限定されるもの
ではないが、滅菌生理食塩水などの医薬上許容される担体中に処方してもよい。
しかし、好ましい処方は粉末形態のNO供与体化合物であり、それを患者自身の
CSFを有してなる溶液または本明細書に記載されるような合成CSF溶液に懸
濁または溶解させてもよい。
【0052】 本発明の方法の好ましい一の具体例において、1またはそれ以上のNO供与体
化合物を徐放性処方の形態、すなわち、処方を哺乳動物に投与してすぐに、該化
合物の少なくとも一部が哺乳動物中で生理学的環境と接触しない形態にて投与す
る。NO供与体化合物は、数分、数時間、数日あるいは数週間にもわたって、そ
の処方より生理学的環境に放出されることが好ましい。NO供与体化合物などの
活性医薬製剤の多くの徐放性処方が当該分野にて知られており、そのような処方
のすべてを本明細書にて開示するものではない。例えば、かかる組成物は遅溶解
性または生物分解性固体またはポリマー組成物、油性懸濁液、ならびに水中油、
油中水型および他のエマルジョンを包含する。
【0053】 SNPなどのNO供与体化合物の投与は、有害なシアン化物またはシアネート
部を哺乳動物に放出する可能性があり、そうでないとしても、哺乳動物に吐気を
惹起させる可能性がある。このように、本発明の組成物および方法のもう一つ別
の好ましい具体例において、NO供与体化合物を、ヒドロキシコバルアミン、チ
オサルフェートなどのシアン化物またはシアネートスカベンジャー、またはそれ
らを除去、キレート形成、結合、不活化するであろう他のスカベンジャー、そう
でないとしても、シアン化化合物およびその誘導体を非毒性にするスカベンジャ
ーと組み合わせて投与する。さらに、NO供与体化合物は、制吐剤と組み合わせ
て投与し、NO供与体化合物の投与に付随する吐気を緩和、防止または阻害する
こと、抗炎症性化合物と組み合わせて投与し、本明細書に記載の処置方法に伴う
炎症を軽減または緩和すること、オキシヘモグロビン還元化合物(例えば、亜硝
酸ナトリウム)と組み合わせて投与し、その組成物を投与する蜘蛛膜下の(また
は他の)体内位置におけるオキシヘモグロビンの量を最小とすること、血栓溶解
剤と組み合わせて投与し、その組成物を投与する体内位置に存在するか、または
生じるかもしれない血塊を最小または減少させること、あるいは抗生物質と一緒
に投与し、その組成物を投与する体内位置に存在するか、または持ち込まれるか
もしれない微生物汚染を最小または減少させることが好ましい。
【0054】 時に第1の化合物と第2の化合物を投与する場合、2つの化合物の生理学的作
用が明瞭である期間が重なるように、第1の化合物を第2の化合物を組み合わせ
て投与することを本明細書では「組み合わせて」として用いる。このように、第
1の化合物を第2の化合物の前に、後に、または同時に投与することができる。
第1の化合物の望ましくない生理学的作用を緩和、防止または阻止するために第
2の化合物を投与する場合、第1の化合物の生理学的作用が明瞭である期間全体
を通して第2の化合物の生理学的作用が明瞭であるような量で1またはそれ以上
の回数、第2の化合物を投与することが好ましい。
【0055】 NO供与体化合物は薬理学上許容される担体中に処方することができ、密封ア
ンプルまたは密封シリンジあるいは他の密封装置に単一用量として包装されるこ
とが好ましい。NO供与体化合物をヒトに髄腔内投与する目的で有用な装置が本
明細書、例えば実施例3に記載されている。NO供与体化合物の単一用量の包装
体は、包装後の短期間の間に使用し、そのように包装されている間はNO供与体
化合物を光から保護するという条件付きで、溶液の形態であってもよい。別法と
して、本明細書に記載されているように、NO供与体化合物の単一用量を粉末形
態で包装し、投与する直前に患者自身のCSF中に懸濁させる。
【0056】 NO供与体化合物を収縮または痙攣していない血管に投与してもよいが、それ
により得られる血管拡張はその大きさが収縮している血管に比べて小さいと理解
される。もちろん、血管収縮および血管痙攣の予防的処置は、かかる化合物を収
縮または痙攣していてもいなくてもよい1またはそれ以上の血管に外膜投与する
ことからなる。
【0057】 本発明は、NO供与体化合物を活性成分として有してなる医薬組成物の調製お
よび使用を包含する。かかる医薬組成物は、対象に投与するのに適する形態にて
、活性成分を単独で有していてもよく、あるいはその医薬組成物は、活性成分と
、1またはそれ以上の医薬上許容される担体、1またはそれ以上の添加成分ある
いはこれら成分の組み合わせとを有してなっていてもよい。これらの医薬組成物
の1つを対象に投与することは、本明細書に記載されているように、対象の血管
収縮または血管痙攣を防止または緩和するのに、あるいは対象の血管を拡張する
のに有用である。活性成分は、生理学上許容されるカチオンまたはアニオンと組
み合わせた、医薬上許容される塩またはエステルの形態にて医薬組成物中に配合
することができ、そのことは当該分野にてよく知られている。
【0058】 本明細書にて用いる場合、「医薬上許容される担体」なる語は、活性成分と組
み合わせ、組み合わせた後に、その活性成分を対象に投与するのに用いることの
できる化学組成物をいう。 本明細書で用いる場合、「生理学上許容される」エステルまたは塩なる語は、
組成物が投与される対象に有害でなく、NO供与体化合物がインビボにてNOを
生成することを妨げない、医薬組成物の他の成分と適合する活性成分のエステル
または塩の形態をいう。 本明細書に記載の医薬組成物の処方は、公知方法、あるいは今後製薬分野で開
発される方法により調製することができる。一般に、かかる調製方法は、活性成
分を担体または1またはそれ以上の他の付属成分と一緒にし、所望によりあるい
は必要ならば、その生成物を所望の単一または複数の投与単位に成形または包装
することからなる方法を包含する。
【0059】 本明細書に示される医薬組成物の記載は、原則として、認定基準に従ってヒト
に投与するのに適する医薬組成物に関するが、かかる組成物は、一般に、すべて
の種類の動物に投与するのに適していることが当業者であればわかるであろう。
ヒトに投与するのに適する医薬組成物を種々の動物に投与するのに適するように
組成物を修飾することはよく理解されており、通常の知識を有する獣医学的薬理
学者であれば、かかる修飾を、あるとしても、単に一般的な実験を用いて設計し
て行うことができる。本発明の医薬組成物の投与を意図とする対象は、限定され
るものではないが、ヒトおよび他の霊長類、商取引に関連する哺乳類、例えばウ
シ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌを包含する哺乳類、商取引に関連する鳥類
、例えばニワトリ、アヒル、ガチョウおよび七面鳥などの鳥類、養殖魚および鑑
賞魚を含む魚類、ならびに養殖貝などの甲殻類を包含する。
【0060】 本発明の方法にて有用な医薬組成物を、経口、経直腸、経膣、非経口、局所、
経肺、鼻腔内、バッカル、経眼または他の投与経路に適する処方にて、調製し、
包装し、あるいは市販することができる。他の意図する処方は、保護されたナノ
粒子、リポソーム製剤、活性成分を含有する再封した赤血球および免疫学を基礎
とする処方を包含する。
【0061】 本発明の医薬組成物は、単一単位用量として、または複数の単一単位用量とし
て、大量に製造し、包装し、または販売することができる。本明細書にて使用す
る「単位用量」なる語は所定量の活性成分を有してなる個々の医薬組成物の量を
いう。活性成分の量は、一般に、対象に投与される活性成分の投与量に等しいか
、または、例えば、対象に投与される投与量の半分または3分の1などのその投
与量の常分数に相当する量である。
【0062】 本発明の医薬組成物中の活性成分、医薬上許容される担体およびいずれかの添
加剤の相対量は、処置される対象の同一性、大きさおよび体調に応じて、さらに
は投与すべき組成物の経路に応じて変化するであろう。例えば、その組成物は、
0.1%ないし100%(w/w)の活性成分を有してなる。 活性成分に加えてさらに、本発明の医薬組成物は、1またはそれ以上の付加的
な医薬上活性な薬剤を有していてもよい。特に意図する付加的な薬剤は、制吐剤
およびスカベンジャー、例えばシアン化物およびシアネートスカベンジャーを包
含する。 本発明の医薬組成物の制御または徐放性処方は、常法に従って製造することが
できる。
【0063】 経口投与に適する本発明の医薬組成物の処方は、これに限定されるものではな
いが、錠剤、硬または軟カプセル剤、カシェ剤、トローチまたはロゼンジを含む
、個々の固体単位投与形にて製造し、包装し、あるいは販売することができ、そ
の各々が所定量の活性成分を含有する。経口投与に適する他の処方は、これに限
定されるものではないが、散剤または顆粒剤処方、水性または油性懸濁液、水性
または油性溶液あるいはエマルジョンを包含する。 本明細書で用いる「油性」液体なる語は、含炭素液体分子を有し、水よりも極
性の低い液体をいう。
【0064】 活性成分を有してなる錠剤は、例えば、活性成分を、所望により1またはそれ
以上の添加剤と一緒に圧縮しあるいは成型することで製造することができる。圧
縮錠剤は、所望により1またはそれ以上の結合剤、滑沢剤、賦形剤、界面活性剤
および分散剤を混合していてもよい、さらさらした形態の活性成分、例えば粉末
または顆粒製剤を適当な装置にて圧縮することで製造することができる。成型錠
剤は、活性成分の混合物、医薬上許容される担体、およびその混合物を湿らすの
に少なくとも十分な液体を、適当な装置にて成型することで製造することができ
る。錠剤の製造に使用される医薬上許容される賦形剤は、これに限定されるもの
ではないが、不活性な希釈剤、顆粒化および崩壊剤、結合剤および滑沢剤を包含
する。既知の分散剤は、イモ澱粉および澱粉グリコール酸ナトリウムを包含する
が、これらに限定されるものではない。既知の希釈剤は、炭酸カルシウム、炭酸
ナトリウム、ラクトース、微結晶セルロース、リン酸カルシウム、リン酸水素カ
ルシウムおよびリン酸ナトリウムを包含するが、これらに限定されるものではな
い。既知の顆粒化および崩壊剤は、コーン澱粉およびアルギン酸を包含するが、
これらに限定されるものではない。既知の結合剤は、これに限定されるものでは
ないが、ゼラチン、アカシア、予めゼラチン化されたトウモロコシ澱粉、ポリビ
ニルピロリドンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを包含する。既知の
滑沢剤は、これに限定されるものではないが、ステアリン酸マグネシウム、ステ
アリン酸、シリカおよびタルクを包含する。
【0065】 錠剤はコーティングされていなくても、あるいは対象の胃腸管での崩壊を遅ら
せ、それにより活性成分の持続された放出および吸収を得るために、公知方法に
よりコーティングしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジス
テアリン酸グリセリルなどの物質を用いて錠剤をコーティングすることができる
。さらには、例えば、米国特許第4256108号;第4160452号;およ
び第4265874号に記載の方法を用いて錠剤をコーティングし、浸透性を制
御した放出錠剤を形成してもよい。医薬上エレガントで口にあう製剤を得るのに
、さらに甘味剤、フレーバー剤、着色剤、保存剤、あるいはこれらの組み合わせ
を含んでいてもよい。
【0066】 活性成分を有してなる硬カプセル剤は、生理学的に分解可能な組成物、例えば
ゼラチンを用いて製造することができる。このような硬カプセル剤は活性成分の
他に、例えば、不活性な固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム
またはカオリンを含む、添加剤を有していてもよい。 活性成分を有してなる軟ゼラチンカプセル剤は、生理学的に分解可能な組成物
、例えば、ゼラチンを用いて製造することができる。このような軟カプセル剤は
、活性成分を有してなり、その成分は水またはピーナッツ油、流動パラフィンま
たはオリーブ油などの油性媒体と混合されていてもよい。 経口投与に適する本発明の医薬組成物の液体処方は、液体形態あるいは使用前
に水または別の適当なビヒクルで復元することを意図とする乾燥品の形態にて製
造し、包装し、かつ販売することができる。
【0067】 活性成分の水性または油性ビヒクル中懸濁液を得るための常法を用いて液体懸
濁液を調製することができる。水性ビヒクルは、例えば、水および等張食塩水を
包含する。油性ビヒクルは、例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアル
コール、植物性油、例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはココヤシ油、
分別植物性油、および鉱油、例えば流動パラフィンを包含する。液体懸濁液は、
さらに1またはそれ以上の添加剤、例えばこれらに限定されるものではないが、
沈殿防止剤、分散または湿潤剤、乳化剤、粘滑剤、保存剤、緩衝剤、塩、フレー
バー剤、着色剤、および甘味剤を有していてもよい。油性懸濁液は、さらに増粘
剤を有していてもよい。既知の沈殿防止剤は、ソルビトールシロップ、硬化食用
脂、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム、アカシ
アガム、およびセルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウ
ム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを包含するが、こ
れらに限定されるものではない。既知の分散および湿潤剤は、天然に存在するリ
ン脂質、例えばレシチン、アルキレンオキシドと脂肪酸との、長鎖脂肪族アルコ
ールとの、脂肪酸およびヘキシトールより由来の部分エステルとの、あるいは脂
肪酸および無水ヘキシトールから由来の部分エステルとの縮合生成物(例えば、
各々、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ヘプタデカエチレンオキシセタノール
、ポリオキシエチレンソルビタールモノオレエートおよびポリオキシエチレンソ
ルビタンモノオレエート)を包含するが、これらに限定されるものではない。既
知の乳化剤は、レシチンおよびアカシアを包含するが、これに限定されるもので
はない。既知の保存剤は、パラヒドロキシ安息香酸メチル、エチルまたはn−プ
ロピル、アスコルビン酸およびソルビン酸を包含するが、これに限定されるもの
ではない。既知の甘味剤は、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソ
ルビトール、シュークロースおよびサッカリンを包含する。油性懸濁液に用いる
既知の増粘剤は、例えば、蜜蝋、硬質パラフィンおよびセチルアルコールを包含
する。
【0068】 活性成分の水性または油性溶媒中液体溶液は、液体懸濁液と実質的に同じ方法
にて調製することができるが、主たる違いは活性成分を溶媒に懸濁させるという
よりも溶解させることである。本発明の医薬組成物の液体溶液は、液体懸濁液に
ついて記載した各成分を有していてもよく、沈殿防止剤は活性成分が溶媒に溶解
することを必ずしも助けるものではないであろう。水性溶媒は、例えば、水およ
び等張食塩水を包含する。油性溶媒は、例えば、アーモンド油、油性エステル、
エチルアルコール、植物性油、例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはココ
ヤシ油、分別植物性油および鉱油、例えば流動パラフィンを包含する。
【0069】 本発明の医薬製剤の粉末化および顆粒処方は既知の方法を用いて調製すること
ができる。そのような処方を用いて錠剤を形成し、カプセルに充填し、あるいは
水性または油性ビヒクルをそこに添加することで水性または油性懸濁液または溶
液を調製し、対象に直接投与することができる。これらの処方は、各々、さらに
1またはそれ以上の分散剤または湿潤剤、沈殿防止剤および保存剤を有していて
もよい。充填剤および甘味剤、フレーバー剤または着色剤などの付加的な賦形剤
もまた、これらの処方に配合することができる。
【0070】 本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンまたは油中水型エマルジョ
ンの形態にて調製し、包装し、または販売することができる。その油相はオリー
ブ油または落花生油などの植物性油、流動パラフィンなどの鉱油、またはこれら
の組み合わせとすることができる。かかる組成物はさらに1またはそれ以上の乳
化剤、例えば天然に存在するガム、例えばアカシアガムまたはトラガカントガム
、天然のリン脂質、例えば大豆またはレシチンリン脂質、脂肪酸と無水ヘキシト
ールの組み合わせより由来のエステルまたは部分エステル、例えばソルビタンモ
ノオレエート、およびエチレンオキシドとの部分エステルの縮合生成物、例えば
ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートを有していてもよい。これらのエ
マルジョンはまた、例えば、甘味剤またはフレーバー剤を含む、添加剤を含んで
いてもよい。
【0071】 本発明の医薬組成物は経直腸投与に適する処方にて調製し、包装しまたは販売
することができる。そのような組成物は、例えば、坐剤、停留式浣腸製剤、およ
び直腸または結腸潅注用溶液の形態とすることができる。 活性成分と室温(すなわち、約20℃)で固体であって対象の直腸内温度(す
なわち、健康な人における約37℃)で液体である過敏的でない医薬上許容され
る成分を組み合わせることで坐剤処方を製造することができる。適当な医薬上許
容される成分は、これに限定されるものではないが、カカオ脂、ポリエチレング
リコール、および種々のグリセリドを包含する。坐剤処方はさらに、限定するも
のではないが、酸化防止剤および保存剤を含む、種々の添加剤を含んでいてもよ
い。
【0072】 停留式浣腸製剤および直腸または結腸潅注用溶液は、活性成分を医薬上許容さ
れる液体担体と組み合わせることで製造することができる。当該分野にて周知で
あるように、浣腸製剤は、対象の直腸解剖学に適合するデリバリー装置を用い、
その中に包装して投与することができる。浣腸製剤はさらに、限定するものでは
ないが、酸化防止剤および保存剤を含む、種々の添加剤を有していてもよい。
【0073】 本発明の医薬組成物は、経膣投与に適する処方にて製造し、包装し、または販
売することができる。かかる処方は、例えば、坐剤、膣に挿入可能な含浸または
被覆物質、例えば、タンポン、潅注製剤、または膣潅注用溶液の形態とすること
ができる。 物質を化学組成物で含浸または被覆する方法は当該分野にて公知であり、限定
するものではないが、後で乾燥させ、または乾燥させることなく、化学組成物を
表面に置くかまたは結合させる方法、その物質の合成(すなわち、生理学的に分
解可能な材料との合成)の間に化学組成物を材料の構造中に組込む方法、および
水性または油性溶液または懸濁液を吸着材料に吸着させる方法が挙げられる。
【0074】 潅注製剤または膣潅注用溶液は、活性成分を医薬上許容される液体担体と組み
合わせることで製造できる。当該分野にて周知のように、潅注製剤は、対象の膣
解剖学に適合するデリバリー装置を用い、その中に包装して投与することができ
る。潅注製剤はさらに、限定するものではないが、酸化防止剤、抗生物質、抗真
菌剤および保存剤を含む、種々の添加剤を有していてもよい。
【0075】 本明細書にて用いる医薬組成物の「非経口投与」は、対象の組織に物理的に破
れ目を作り、その破れ目を介して医薬組成物を組織に投与し、長期間にわたって
NO供与体化合物を全身に投与することができないことで特徴付けられるいずれ
の投与経路をも包含する。このように非経口投与は、限定するものではないが、
組成物の注射、外科的切開を介する組成物の付与、組織に浸透する外科的な開口
を介しない組成物の付与などによる、医薬組成物の投与を包含する。特に、非経
口投与は、限定するものではないが、皮下、腹腔内、筋肉内、胸骨内注射および
腎透析注入法を含むものである。
【0076】 非経口投与に適する医薬組成物の処方は、活性成分を医薬上許容される担体、
例えば滅菌水または滅菌等張食塩水と組み合わせて有する。そのような処方はボ
ーラス投与または連続投与に適する形態にて製造し、包装し、または販売するこ
とができる。注射可能な処方は、例えばアンプルまたは保存剤を含有する複数投
与用容器に入れられた単位投与形にて製造し、包装し、または販売することがで
きる。非経口投与用処方は、限定するものではないが、懸濁液、溶液、油性また
は水性ビヒクル中エマルジョン、ペースト、および移植可能な徐放性または生物
分解性処方を包含する。そのような処方はさらに、1またはそれ以上の、限定す
るものではないが、沈殿防止剤、安定化剤または分散剤を含む、添加剤を有して
いてもよい。非経口投与に適する処方の一の具体例において、活性成分は、復元
した組成物を非経口投与する前に適当なビヒクル(例えば、発熱物質不含水)で
復元する乾燥(すなわち、散剤または顆粒)形態で提供される。
【0077】 医薬組成物は、滅菌した注射可能な水性または油性懸濁液または溶液の形態に
て調製し、包装し、または販売することができる。この懸濁液または溶液は、公
知技術に従って処方することができ、活性物質に加えて、本明細書に記載の添加
剤、例えば分散剤、湿潤剤または沈殿防止剤を有していてもよい。かかる滅菌し
た注射可能な処方は、非毒性の非経口的に許容される希釈体または溶媒、例えば
、水または1,3-ブタンジオールを用いて調製することができる。他の許容され
る希釈体および溶媒は、限定するものではないが、リンガー溶液、等張塩化ナト
リウム溶液、合成モノ−またはジ−グリセリドなどの固定油を包含する。有用で
ある他の非経口投与可能な処方は、活性成分を微結晶形態にて、リポソーム製剤
にてまたは生物分解性ポリマー系の成分として有してなる処方を包含する。徐放
性または移植用組成物は、医薬上許容されるポリマーまたは疎水性材料、例えば
、エマルジョン、イオン交換樹脂、溶解性に乏しいポリマーまたは溶解性に乏し
い塩を有していてもよい。
【0078】 局所投与に適する処方は、限定するものではないが、液体または半液体調製物
、例えば、リニメント、ローション、水中油型または油中水型エマルジョン、例
えばクリーム、軟膏またはペースト、および溶液または懸濁液を包含する。局所
投与可能な処方は、例えば、約1%ないし約10%(w/w)の活性成分を有し
てなるが、活性成分の濃度は活性成分の溶媒中溶解度と同じくらい高濃度であっ
てもよい。局所投与の処方はさらに1またはそれ以上の上記した添加剤を有して
いてもよい。
【0079】 本発明の医薬組成物は頬側腔を介して肺に投与するのに適する処方にて製造し
、包装し、または販売することができる。かかる処方は、活性成分を含み、約0
.5ないし約7nm、好ましくは約1ないし約6nmの範囲にある直径を有する 乾燥粒子を有してなっていてもよい。かかる組成物は、一般に、粉末を分散させ
るように噴射剤の蒸気が方向付けられている乾燥粉末リザバーを有してなる装置
を用いるか、または自己噴射溶媒/粉末分散容器、例えば密封した容器中に活性
成分を低沸点噴射剤に溶解または懸濁させてなる装置を用いて投与する乾燥粉末
の形態である。かかる粉末は重量において少なくとも98%の粒子が0.5nm よりも大きな直径を有し、数において少なくとも95%の粒子が7nm未満の直
径を有する粒子からなることが好ましい。重量において少なくとも95%の粒子
が1nmよりも大きな直径を有し、数において少なくとも90%の粒子が6nm
未満の直径を有することがさらに好ましい。乾燥粉末組成物は、好ましくは、固
体微粉末希釈体、例えば、ショ糖を包含し、通常、単位投与形で提供される。
【0080】 低沸点噴射剤は、一般に、常圧で沸点が65°Fより低い液体噴射剤を包含す る。一般に、噴射剤が組成物の50ないし99.9%(w/w)を構成し、活性 成分が組成物の0.1ないし20%(w/w)を構成する。噴射剤はさらに液体 非イオン性または固体アニオン性界面活性剤または固体希釈体(活性成分を含む
粒子と同じ次元の粒径を有することが好ましい)を含んでいてもよい。
【0081】 肺デリバリーのために処方された本発明の医薬組成物は、また、有効成分を溶
液または懸濁液の液滴の形態で提供してもよい。かかる製剤は、有効成分を含有
する、無菌状態であってもよい、水性または希アルコール性溶液または懸濁液と
して調製、包装または販売されてよく、便宜的には、ネブライザーまたはアトマ
イザー装置のいずれかを用いて投与できる。かかる製剤は、さらに、サッカリン
ナトリウムのようなフレーバリング剤、揮発性油、緩衝化剤、界面活性剤、また
はヒドロキシ安息香酸メチルのような保存剤を包含するがこれに限定されない1
種類またはそれ以上の付加成分を含有してもよい。この投与経路により得られる
液滴は、好ましくは、約0.1ないし約200ナノメーターの範囲の平均直径を 有する。
【0082】 肺デリバリーに有用であることが本明細書において記載された製剤は、また、
本発明の医薬組成物の鼻腔内デリバリーにも有用である。
【0083】 鼻腔内投与に適した別の製剤は、有効成分を含有しており、約0.2ないし5 00マイクロメーターの平均粒径を有する粗い粉末である。かかる製剤は、嗅剤
を摂取するような方法で、すなわち、鼻孔付近に維持した粉末の入った容器から
鼻の通路を通って迅速に吸入することにより投与される。
【0084】 鼻投与に適した製剤は、例えば、有効成分を0.1%(w/w)程度から10 0%(w/w)まで含有でき、さらに、本明細書に記載した1種類またはそれ以
上の付加成分を含有してもよい。
【0085】 本発明の医薬組成物は、口腔内投与に適した製剤で調製、包装または販売され
てもよい。かかる製剤は、例えば、慣用的方法を用いて調製された錠剤またはロ
ゼンジ剤の形態であってもよく、例えば、有効成分0.1ないし20%(w/w )、経口用の溶解可能または分解可能な組成物からなる残部、および所望により
本明細書に記載した1種類またはそれ以上の付加成分を含有できる。別法として
、口腔内投与に適した製剤は、有効成分を含有する粉末またはエアロゾル化また
は噴霧化された溶液または懸濁液からなっていてもよい。かかる粉末化またはエ
アロゾル化製剤は、分散させた場合、好ましくは、約0.1ないし約200ナノ メーターの範囲の平均粒径または液滴サイズを有し、さらに、本明細書に記載し
た1種類またはそれ以上の付加成分を含有してもよい。
【0086】 本発明の医薬組成物は、眼への投与に適した製剤で調製、包装または販売され
てもよい。かかる製剤は、例えば、有効成分の水性または油性液体担体中0.1 −1.0%(w/w)溶液または懸濁液を包含する、例えば、点眼剤の形態であ ってもよい。かかる滴剤は、さらに、緩衝化剤、塩、または本明細書に記載した
1種類もしくはそれ以上の他の付加成分を含有してもよい。眼に投与できる他の
有用な製剤は、微結晶性形態でまたはリポソーム調製物中に有効成分を含有する
ものを包含する。
【0087】 本明細書で用いる場合、「付加成分」としては、賦形剤;界面活性剤;分散剤
;不活性希釈剤;顆粒化および崩壊剤;結合剤;滑沢剤;甘味剤;フレーバリン
グ剤;着色剤;保存剤;ゼラチンなどの生理学上分解可能な組成物;水性ビヒク
ルおよび溶媒;油性ビヒクルおよび溶媒;沈殿防止剤;分散または湿潤剤;乳化
剤、粘滑剤;緩衝剤;塩;増粘剤;充填剤;乳化剤;抗酸化剤;抗生物質;抗真
菌剤;安定化剤;および医薬上許容される高分子または疎水性物質の1種類また
はそれ以上を包含するが、これに限定されない。本発明の医薬組成物に包含でき
る他の「付加成分」は、当該技術分野では知られており、例えば、Genaro編, 19
85, Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA
に記載されており、出典明示により本明細書の記載とする。
【0088】 本発明は、また、NO供与体化合物(例えば、SNP)のような溶液中で短い
半減期を有する薬剤を哺乳動物にデリバリーするための装置を包含する。多くの
医薬上活性な化合物は、水溶液により分解、崩壊、または他の反応を生じて、も
はや医薬上活性ではなくなる。これらの化合物は、短い半減期のために、臨床的
に、特に、該化合物が困難なまたは扱いにくい外科的処置の後にだけアクセスで
きる身体位置でそれらの薬理効果を有する場合には用いられない。本発明のこの
装置は、薬剤を溶解して数分後、数秒後、または1秒以内でさえ(装置と一緒に
用いる溶媒に対する薬剤の溶解度、および、薬剤が懸濁液としてデリバリーされ
るかまたは単に溶液としてデリバリーされるかに依存する)、該薬物を適当な身
体位置にデリバリーするために用いることができるので、該装置は、かかる短命
の化合物を体腔または体液のような身体位置に投与するのに有用である。。
【0089】 当該装置は、間が流体連結されている2つのチャンバーを用いる。第1チャン
バーは、哺乳動物に薬剤を投与する前に該薬剤を溶解または懸濁させようとする
溶媒を引き上げ、貯蔵し、または、含有するために用いられる。第2チャンバー
は、薬剤を含有する。薬剤は、第1チャンバーに溶媒を供給する前または後に第
2チャンバーに添加してもよい。薬剤が水溶液により分解、反応、または他の望
ましくない反応を起こす場合(例えば、薬剤がSNPである場合)、該薬剤は、
好ましくは、実質的に無水形態で第2チャンバーに供給される。例えば、該装置
は、溶媒を含有しないが、第2チャンバーに薬剤を好ましくは単位投与形態で含
有する使い捨てユニットとして提供されてもよい。装置の使用により哺乳動物の
体内に微生物汚染または他の汚染が導入されないように、装置の内部部分(すな
わち、2つのチャンバーおよびそれらを連結している流体導管)が本発明の方法
で該装置を使用する前に無菌状態に維持されていることが重要である。該装置は
、第1チャンバーに体液を吸引し、該体液を、流体導管を介して第2チャンバー
に通し、第2チャンバー中で該体液と薬剤とを混合することにより操作される。
次いで、体液混合薬剤を第2チャンバーから直接、または、体液混合薬剤を、流
体導管を介して第1チャンバーに通し、それから哺乳動物に通すことにより、哺
乳動物にデリバリーできる。
【0090】 本発明の好ましい実施態様において、当該装置は、哺乳動物にNO供給化合物
を包膜内投与するのに適している。当該装置は、患者から、選択された容量のC
SFを吸引するのに適している。該装置は、CSFを受容するための第1チャン
バー、およびNO供給化合物を含有する第2チャンバーを含有しており、装置を
分解せずに吸引したCSFを第2チャンバーに通すことができる。好ましくは、
第1および第2チャンバーは、例えば、2つのチャンバーの間で伸長している流
体導管により、または、2つのチャンバーが共通の壁を有する場合にはその壁に
あるオリフィスにより、お互いに流体連絡している(2つのチャンバーの間には
密閉可能な弁、ポンプなどが配置されていてもよい)。第2チャンバーは、開く
ことができ、これにより、使用者は第2チャンバーにNO供与体化合物を入れる
ことができるか、または、好ましくは、該装置は、NO供与体化合物が第2チャ
ンバー中に既に存在している状態で供給される。CSFが第1チャンバーから第
2チャンバーへ移されるとすぐに、CSFは、NO供与体化合物と混合し、これ
により、該化合物は、CSFに溶解するか、懸濁するか、またはその両方である
。次いで、NO供与体化合物を含有するCSFは、第2チャンバーからクモ膜下
空隙へCSFを放出することにより、または、第2チャンバーから第1チャンバ
ーへ移し、そこからクモ膜下空隙へ移すことにより、脳室(例えば、第三脳室)
などの患者のクモ膜下空隙にデリバリーされる。好ましくは、該装置は、1回限
りの使用のための使い捨て装置であり、予め決定された量のNO供与体化合物が
予め充填されている。
【0091】 別の好ましい実施態様において、該装置は、 1)流動オリフィス、第1流体出入口および第1圧力オリフィスを有する第1
中空本体であって、各々が第1中空本体の内部と流体連絡している第1中空本体
; 2)薬剤を含有する第2中空本体であって、第2中空本体の内部と流体連絡し
ており、かつ、第1流体出入口と流体連絡している第2流体出入口、および第2
中空本体の内部と流体連絡している流出口を有する第2中空本体;および 3)第1圧力オリフィスと連結している第1圧力調節器 を含有する。第1中空本体および第2中空本体は、例えば、分離シリンジ、多重
チャンバーシリンジからなる2つのチャンバー、図11に示すような特別に構築
された装置、プラスチック製もしくはガラス製の分離バイアル、または複数のく
ぼみを有する物質からなる分離部品などである。第1圧力オリフィスと連結した
圧力調節器は、実質的に、ガス圧または液圧を調節するために用いることができ
る機構であってよい(例えば、ガスまたは液体ポンプ、弾性弁、プランジャー、
経口吸引用綿栓口など)。好ましくは、第1圧力調節器は、第1中空本体の内部
内にきちんと摺動可能に配置されるプランジャーであり、これは、該プランジャ
ーを動かした場合、よく知られているように、プランジャーが摺動することによ
り中空本体の内部の圧力が変化することを意味する(例えば、伝統的なシリンジ
プランジャーは、シリンジのバレル内できちんと摺動可能に配置される)。また
、好ましくは、第2プランジャーは、第2中空本体の内部内外への流体流を制御
するために、第2中空本体の内部内にきちんと摺動可能に配置される。該装置は
、また、該装置を注入ラインまたはCSFドレナージなどの流体取扱装置に連結
するために、第1中空本体の流動オリフィスでアダプターを有してもよい。
【0092】 プランジャーをくぼみの長軸に沿って動かすことができる場合、および、始動
時にプランジャーが、少なくとも約0.1気圧(ゲージ)、好ましくは、少なく とも約0.5または1.0気圧(ゲージ)のプランジャーの両側のくぼみ内で特異
な圧力を維持することができる場合、くぼみ内に「きちんと」摺動可能に配置さ
れている。
【0093】 流体(例えば、CSFなどの体液または合成CSFなどの動物から採取されな
い溶液)は、第1中空本体内の圧力を低下させて流体を吸引するために用いられ
る第1圧力調節器の操作により流動オリフィスを介して第1中空本体の内部に吸
引される。流体は、第1流体出入口を介し、所望により、第1および第2流体出
入口を連結する流体導管を介し、次いで、第2流体出入口を介して流動すること
により第2中空本体の内部に流れる。流体は、例えば、重力により、または、第
2中空本体の内部に適合した第2圧力調節器を動かすことにより、第2チャンバ
ーに流入させられる。第2中空本体の内部において、流体を薬剤と混合する。混
合した後、流体混合薬剤は、流出口を介して第2中空本体の内部から流出する。
流体混合薬剤は、重力により、または、第2中空本体の内部に適合した第2圧力
調節器(例えば、プランジャー)を動かすことにより、第2中空本体の内部から
流出させてもよい。流出口および第2流体出入口は、同一オリフィスであっても
よく、この場合、流体は、混合した後に第1中空本体の内部に戻される。流出口
および第2流体出入口が同一の口ではない場合、流出口は、第1中空本体の内部
と流体連絡していてもよいか、または、混合流体を哺乳動物に直接デリバリーす
るために用いてもよい。混合した後、流体は、第1中空本体の流動オリフィスま
たは第2中空本体の流出口により動物に投与される。
【0094】 好ましくは、上記実施態様に従って、当該装置は、さらに、第2中空本体の流
出口に連結される、流出オリフィスおよび流入オリフィスを有する弁を含有し、
該流出口および第2流体出入口は、同一の口ではない。該弁は、流体を流入オリ
フィスから流出オリフィスの方向にのみ流動させる。該弁は、流体が第2中空本
体の流出口を介して第2中空本体の内部へ流入しないように作用するが、該流出
口を介して第2中空本体の内部から流出させる。当該技術分野において多くの逆
止め弁が知られており、種々の既知の方法を用いて流出口と連結できる。
【0095】 一の実施態様において、当該装置は、2つのシリンジおよび三方弁を含有する
。該弁は、第1シリンジ、第2シリンジ、および哺乳動物の体液と流体連絡して
いる流体導管に連結している(例えば、三方弁は、2つのシリンジおよび設けら
れた脳室開口に連結している)。三方弁は、第1シリンジ、第2シリンジおよび
流体導管のうちのいずれか2つを選択的に連結する。この装置は、以下のとおり
用いられる。三方弁は、流体導管および第1シリンジを連結するように選択され
、第1シリンジに体液が採集される。次いで、三方弁は、2つのシリンジを連結
するように選択される。第2シリンジは、体液として哺乳動物にデリバリーされ
るべき薬剤を含有する。第1シリンジ中の流体を、弁により、第2シリンジに移
し、ここで、流体を薬剤と混合し、該薬剤を流体に溶解または懸濁する。次いで
、第2シリンジを流体導管または第1シリンジと連結するように三方弁を選択し
、第2シリンジの内容物を放出させる。第2シリンジが流体導管に連結された場
合、流体混合薬剤は、哺乳動物にデリバリーされ、流体導管中に残存する流体混
合薬剤は全て、第1シリンジおよび流体導管を連結するように弁を選択した後に
第1シリンジから液体を放出することにより流体導管からフラッシュすることが
できる。第2シリンジが第1シリンジに連結された場合、流体混合薬剤は、第1
シリンジにデリバリーされ、ここで、第1シリンジ中の流体で希釈される。次い
で、弁を第1シリンジおよび流体導管を連結するように選択し、希釈した流体混
合薬剤を哺乳動物に投与する。
【0096】 任意の実施態様において、第1シリンジの代わりに流体リザーバーを用いる。
この実施態様において、流体は、流体リザーバーから第2シリンジに吸引され、
そこで薬剤と混合する。次いで、流体混合薬剤は、第2シリンジから、流体リザ
ーバー中に、または、好ましくは、流体導管中に放出される。次いで、流体リザ
ーバーを流体リザーバーに連結して、該流体導管から流体混合薬剤をフラッシュ
して、哺乳動物に液体を供給するか、または、両方である。
【0097】 別の任意の実施態様において、弁は、流体リザーバーにも連結する四方弁であ
る。この弁は、 ・流体導管および流体リザーバー; ・流体リザーバーおよび第1シリンジ; ・第1シリンジおよび第2シリンジ;または ・第2シリンジおよび流体導管 を連結することができる。哺乳動物から体液を吸引する代わりに、第1シリンジ
は、流体リザーバーから流体を引き出す。該流体を第2シリンジに移し、そこで
、薬剤と混合する。流体混合薬剤は、第2シリンジから流体導管を介して流体混
合薬剤を放出することにより、哺乳動物にデリバリーされる。所望により、その
後、流体リザーバーを流体導管と連結して哺乳動物に流体を提供する。
【0098】 本明細書で用いる場合、「流体混合薬剤」とは、流体と混合した薬剤であり、
薬剤の流体中溶液、薬剤の流体中懸濁液、またはその両方からなっていてもよい
【0099】 第1身体位置で存在する流体を第2身体位置に流すことができる場合、流体、
チャンバー、組織または身体位置は、別の流体、チャンバー、組織または身体位
置と「流体連絡」している。
【0100】 別の実施態様において、該装置は、予め選択された量のNO供与体化合物を含
有しており、かつ、切り目入りまたは有孔の高分子または非高分子フィルムまた
はホイルのような破壊可能なバリヤーにより第2チャンバーと分離されている1
個またはそれ以上のコンパートメントを含有する。例えば、各チャンバー内に摺
動可能に配置されたプランジャーを動かしてバリヤーを破り、予め選択された量
の化合物を第2チャンバー中に放出するかまたは第2チャンバーとの流体連絡に
化合物を置くようにしてもよい。別法として、コンパートメントは、変形可能で
あってよく(例えば、変形可能なプラスチックバブル)、コンパートメント内に
含有される組成物は、該組成物が破壊可能なバリヤーを無理に押し通される程度
にまでチャンバーを変形させることにより第2チャンバーにデリバリーされる。
コンパートメントから第2チャンバーへ組成物をデリバリーさせるために用いら
れる機構に関係なく、少なくともNO供与体化合物を含有するCSFが患者に投
与されるまで第1および第2チャンバーの無菌状態を保存するために、第2チャ
ンバー(第1チャンバーも同様)は、環境から単離されたままである(すなわち
、外部汚染を通さない)。
【0101】 一の実施態様において、該装置は、薬剤のデリバリー前に必要なある容量のC
SFを取り出させると同時に、1回に投与できる量の薬剤を制限する。したがっ
て、該装置は、脳虚血、上昇した頭蓋内圧および全身性低血圧などの包膜内ドラ
ッグデリバリーの状況下で有用である安全性の限界を提供する。薬剤のデリバリ
ー前にある容量のCSFが引き出されるという必要条件は、第1および第2チャ
ンバー間の流体連結の配置およびCSFを引き出すためのプランジャーの使用に
より生じる。流体連結は、第1チャンバー内に位置しており、その結果、ある容
量のCSFが引き出される位置にプランジャーが引き出されるまでCSF流体は
連結を通って流れることはできない。1度に投与できる薬剤の量は、選択された
量のNO供与体化合物を第2チャンバー内または破壊可能なバリヤーにより第2
チャンバーと分離されたコンパートメント内に存在させることにより制限される
【0102】 本明細書において記載するように、該装置は、NO供与体化合物を哺乳動物に
包膜内投与するのに適している。しかしながら、該装置は、単にNO供与体化合
物の投与に限定されるものではない。むしろ、本発明の装置を用いて、他の薬剤
を哺乳動物に包膜内デリバリーすることができる。かかる他の薬剤としては、抗
生物質、薬物療法剤、酸素担持流体化合物、抗体、特に、モノクロール抗体、血
栓崩壊剤、ステロイド、浸透圧剤、制吐薬、抗炎症剤、オキシヘモグロビン減少
薬、およびパパベリンが挙げられるが、これに限定されない。さらにまた、該装
置は、実質的には無菌方法で哺乳動物から体液を引き出し、該体液に薬剤を溶解
し、該体液を哺乳動物に戻すために用いることができる。もちろん、体液が血液
である場合、薬剤は、好ましくは、全身投与されると全身性低血圧を誘発するこ
とがあるNO供与体化合物ではない。
【0103】 該装置の利点は、以下のとおりである。該装置は、体液の無菌状態を維持する
。例えば、該装置(デリバリーしようとする薬剤を含む)は、該装置を流体取扱
装置(例えば、針、CSFドレナージなど)と連結する前に滅菌してよい。該装
置は、密閉されている(すなわち、該装置の内部は、動物体外の環境から分離さ
れている)ので、動物体外の環境に体液を暴露することなく、体液が引き出され
、薬剤を該体液と混合し、該体液を動物の体に戻すことができ、これにより、体
液の可能性のある汚染およびそれにより引き起こされる対応する合併症を回避す
ることができる。該装置が薬剤の包膜内投与に用いられる場合、該装置は、デリ
バリーされるべき流体の容量と少なくとも同一容量の患者のCSFを引き出すた
めに用いることができ、これにより、起こり得る有害なICPの増加を予防し、
包膜内投与経路による薬剤のデリバリーにおいて重要な安全濃度であるICPを
調節することができる。さらに、該装置は、予め決定された制限用量の薬剤をデ
リバリーするために用いることができる。
【0104】 該装置を構築するために用いられる物質および方法は、重要ではない。本明細
書を考慮して当業者に明らかであるような適当な物質を用いることができ、ガラ
ス、プラスチック、金属などが挙げられるが、これに限定されない。同様に、装
置を合成することができる様々な方法が本明細書を考慮して当業者に明らかであ
ろう。該装置を用いてデリバリーしようとする薬剤が感光性である場合(例えば
、SNP)、第2中空本体の少なくとも一部分、第2中空本体の内部から分離し
たコンパートメントの少なくとも一部分、または、その両方が一部または全体的
に不透明であるのが好ましい。
【0105】 本発明は、また、実質的に堅固な本体および本体内の管腔を有する硬膜下挿入
ガイドを包含する。本体は、長軸、近位端、遠位端および外面を有する。管腔は
、本体の近位端から本体を通って本体の外面まで伸長している。近位端では、管
腔の軸は、本体の長軸と実質的に平行であり、好ましくは、同軸である。本体の
外面では、管腔の軸は、本体の長軸に対して実質的に垂直である。かくして、該
管腔は、本体内で少なくともほぼ90°回転している。この特徴は、硬膜下カテ
ーテルによる脳穿通の可能性を減少させることにより、および、比較的小さい穴
を用いる簡単な頭蓋開口術を可能にすることにより、該カテーテルの配置に伴う
危険性を減らしている。小さい穴の使用は、斜めの頭蓋開口術(孔あけ)および
より大きい骨の開口を作ることの両方において好ましい。装置の遠位は、好まし
くは、比較的幅広くなっており、脳組織に対して遠位的にガイドを推し進めるこ
とにより頭蓋開口部で脳組織を穏やかに押し下げるために用いることができる。
所望により、硬膜下挿入ガイドは、膨張式バルーン(例えば、サーカムファレン
シャル・バルーン)を有してもよい。
【0106】 バルーンの使用は、脳組織を押し下げるために、下部の直径を安全な幅までに
有効に増大させるように作用し、ガイドの直径を、したがって、開口を最小化さ
せる。脳組織を穏やかに押し下げることにより、硬膜下(または硬膜内)カテー
テルは、ガイドの管腔を介してカテーテルを推し進めることにより開口部位を通
って導入される。該装置は、本明細書の別の箇所に記載するように、治療薬をヒ
トの脳に導入するために用いることができる。別法として、この装置は、治療目
的または診断目的のために、または、カテーテルの導入のための予備段階として
、光ファイバー照明および視覚化システムを導入するために用いることができる
【0107】 本発明は、また、流体を哺乳動物の脳の外面または内面(すなわち、脳室に面
している面)に均一に分布させるための軟らかい略管状本体を含有する硬膜下カ
テーテルを包含する。該カテーテルは、軟らかい、可撓性の、および、好ましく
は、少なくとも一部が放射線不透過性(例えば、バリウム含浸)である物質から
なる。該カテーテルは、外面、近位端、遠位端、および本体の近位端から本体内
に伸長している管腔を有する。該カテーテルは、シリンジ、挿入ライン、または
本発明の装置などの流体取扱装置にカテーテルを連結するために、該カテーテル
の近位端にハブを有する。該ハブは、カテーテルの本体と一体化されていてもよ
く、または、カテーテルの本体に取り付けられていてもよい。該カテーテルは、
管腔から本体の外面に伸長している、1個またはそれ以上、好ましくは、多数の
穴を有する。好ましくは、この穴の多くまたはほとんどは、本体の近位端よりも
遠位端の近く配置される。また、好ましくは、本体は、扁平円柱形を有する。流
体または液体薬物は、ハブを介して装置にデリバリーされる。次いで、該流体ま
たは薬物は、カテーテルの管腔を介して移動し、結果として、管腔から穴を介し
てカテーテルの周囲の環境に移される。該管腔は、所望により、逆に、その近位
端から遠位端に先細になっていてもよい、すなわち、ハブから最も離れたカテー
テルの端部に向かって徐々に広くなっている。このデザインにより、カテーテル
からの流体の分布が改良される。
【0108】 本発明は、また、哺乳動物における収縮したかまたは痙攣性の血管を拡張させ
るためのキットを包含する。このキットは、NO供与体化合物、およびこの化合
物を哺乳動物の血管に外膜投与することを記載する取り扱い説明書を含有する。
別の実施態様において、このキットは、NO供与体化合物を哺乳動物に投与する
前に該化合物を溶解または懸濁するのに適した(好ましくは無菌状態の)溶媒を
含有する。
【0109】 本明細書で用いる場合、「取り扱い説明書」は、哺乳動物における収縮したか
または痙攣性の血管を拡張させるため、または、血管収縮または血管痙攣の緩和
または予防のための、キットのNO供与体化合物の有用性を伝達するために用い
ることができる、刊行物、録音テープ、図表または他の表現媒体を包含する。所
望により、または、別法として、取り扱い説明書には、NO供与体化合物を哺乳
動物の血管に外膜投与する1種類またはそれ以上の方法が記載されていてもよい
。本発明のキットの取り扱い説明書は、例えば、NO供与体化合物を含有する容
器に添付されるか、または、該化合物を含有する容器と一緒に出荷されてもよい
。別法として、取り扱い説明書および該化合物が一緒になって受容者により用い
られることを意図して、取り扱い説明書は容器とは別々に出荷されてもよい。
【0110】 本発明は、また、NO供与体化合物の哺乳動物への包膜内投与用キットを包含
する。このキットは、本発明の装置、および当該化合物を哺乳動物に包膜内投与
するために該装置を用いることが記載されている取り扱い説明書を含有する。該
装置は、好ましくは、無菌状態の密封されたパッケージで供給されており、好ま
しくは、流動オリフィスで、CSFドレナージラインのような流体取扱装置に該
装置を取り付けるのに適したアダプターを含有する。
【0111】 該キットは、好ましくはさらに単位投与形の塊状で供給されるか、あるいはさ
らに好ましくは該装置の第2中空本体の内部に含まれる、NO供与体化合物を含
有する。さらに別の具体例において、このキットは、該化合物を哺乳動物に投与
する前にNO供与体化合物を溶解または懸濁させるのに適する(好ましくは滅菌
した)溶媒を有する。
【0112】 本発明はさらに硬膜下カテーテル挿入用キットを構成する。このキットは本発
明の少なくとも1つの硬膜下カテーテルと、少なくとも1つの硬膜下挿入用ガイ
ドを有してなる。このキットは、該キットの硬膜下カテーテルを設置するための
硬膜下挿入用ガイドの使用を記載する取り扱い教材を有することが好ましい。該
キットはまた、1またはそれ以上のNO供与体化合物、本発明の装置および該化
合物を哺乳動物に投与する前にNO供与体化合物を溶解または懸濁させるのに適
する(好ましくは滅菌した)溶媒を有することができる。
【0113】 本発明を以下の実施例を用いてさらに詳しく説明する。これらの実施例は単に
本発明を例示するものであり、特記しない限り、何ら限定することを意図とする
ものではない。したがって、本発明は以下の実施例により何ら限定されるもので
はなく、本明細書の教示の結果、明らかとなるあらゆるすべての変形も包含する
ことがわかるであろう。
【0114】 (実施例) 実施例1 一酸化窒素供与体化合物の髄腔内投与によるエンドセリン−1−誘導性脳血管
収縮の迅速な反転 ここに記載される実験は、脳脊髄液(CSF)中において血管の外膜側にデリ
バリーされるNO供与体化合物、例えば、ニトロプルシドナトリウム(SNP)
およびニトログリセリン(NTG)が、体低血圧を誘発することなく脳血管収縮
の反転を誘導することを証明する。 イン・ビボで脳血管の直接の視覚による観察が可能な誘導性血管痙攣の動物モ
デルを使用した。
【0115】 実験動物 1.5−2.5キログラムの体重の50匹の雄性ニュージーランドホワイト種
ウサギを研究に用いた。8匹の動物を純粋なSNPまたはNTG対照として用い
た。残りの動物を血管痙攣反転実験に用いた。全ての手順は、南カルフォルニア
大学のthe Animal Research Ethics Commiteeによって検討および認可された。
【0116】 麻酔準備 ケタミン(体重1キログラムあたり40ミリグラム)およびキシラジン(体重
1キログラムあたり6ミリグラム)を用いて麻酔誘導を行った。十分な麻酔後、
動物の気管内に挿管し、全身麻酔剤を投与した(ハロセン1%(v/v)、1分
あたり1リットルの一酸化二窒素および1分あたり1リットルの酸素)。パルス
酸素測定法によって評価して、95%以上の酸素飽和を維持した。大腿動脈ライ
ンを連続的血圧モニタリング下におき、耳静脈内ラインを生理学的セーライン溶
液の連続的投与下においた。動脈血ガスを15分毎にサンプリングした。
【0117】 外科的手法 麻酔完了時に、対象を手術台の上に仰向けに置き、脳幹および脳底動脈への経
頚部−経斜台的アプローチを顕微鏡下で行った。約1.0x1.5センチメート
ルの頭蓋基部の骨を高速ドリルで除去後、硬膜および蜘蛛膜被覆を鋭く開けた。
脳底動脈またはそ支脈とのいずれかの直接または間接的接触あるいは脳底動脈ま
たはそ支脈の機械的障害は細心に回避され、いずれかのかかる障害は研究対象の
死をもたらした。
【0118】 実験薬剤およびそれらの投与 以下の実験物質を本研究に用いた。エンドセリン−1(Peninsula Laboratori
es Inc., Belmont, CA, USA);ニトロプルシドナトリウム(SNP;Elkins-Si
nn Co., Cherry Hill, NJ, USA);ニトログリセリン(NTG;Solopak Labora
tories Inc.,Elk Grove, IL, USA)。全実験物質は、37℃で人工脳脊髄液(s
CSF)媒体中でデリバリーされた。sCSFの組成は以下のとおりであった:
124ミリモルNaCl、3.30ミリモルKCl、1.25ミリモルKH2P O4、2.40ミリモルMgSO4、2.00ミリモルCaCl2、25.70ミ リモルNaHCO3および10ミリモル グルコース。
【0119】 実験手順 sCSFを用いる露出した脳幹および脳底動脈の連続的灌注を、蜘蛛膜を除去
して、1分あたり1.0ミリリットルでデリバリーするようにメモリを定められ
たデリバリーカーテルによって開始した。全実験物質は、該媒体中においてデリ
バリーされた。流体は、一定速度でフィールドの反極にてカーテルによって同時
に除去され、その結果、動脈中の流体レベルは、該手法の始めから終わりまで同
一の濃度に維持された。脳底動脈のサイズを絶えず観察し、ビデオ顕微鏡および
イン−ライン口径測定ビデオカリパスによって測定した。倍率(f=200)お
よびズームファクター(ファクター=2,0)を全実験で一定に維持した。
【0120】 脳底動脈を最初、その直径の安定なベースライン測定値が保証されるまで、2
0分間観察した。この後、実験物質を一定速度でデリバリーした。本研究におい
て、3つの対照群(n=8)および3つの実験群(n=38)の動物を用いた。
対照群を用いて、1分あたり2ミリグラム/ミリリットルの速度でデリバリーさ
れた純粋なsCSFおよびSNPまたはNTGを含有するsCSFの可能な効果
を評価した。第1の実験群(n=15)は、ET−1を有するsCSFを投与さ
れた(100nM、速度1ml/分で投与された)。最大血管収縮が存在すると
みなされたとき、ET−1の充溢を停止し、脳底動脈の直径がベースラインに戻
るまでsCSF単独で置換した。第2(n=13)および第3(n=10)実験
群は、ET−1によって誘導された最大血管収縮後、SNPまたはNTGの充溢
(1ミリリットルあたり2ミリグラム)を受けた。結果をANOVAの後、Ba
rtlettテストに付した。ET−1とET−1の後NTGまたはSNPの効
果との間の比較は、Student−Newman−Keuls Multip le Comparisonテストを用いて行った。P値<0.05は有意であ るとみなされた。
【0121】 ベースライン動脈直径の範囲は、992ミクロン±標準偏差であった。sCS
F単独に曝露した動物(群1)において、動脈直径に有意な変化は起こらなかっ
た。ET−1の投与は、動脈直径の減少をもたらし、それは、デリバリー開始後
5−8分で始まり、20−30分以内で完了した(群4、5、6;n=38)。
動脈の平均最少直径は500ミクロンであった(ベースライン直径の50.4%
)。さらに、血管収縮は、充溢30分後には決して観察されなかった(図1)。
該実験を表1にまとめる。
【0122】
【表1】
【0123】 ET−1後のsCSF単独の投与(群4、n=15)は、ベースラインへ戻る
のに非常に時間がかかった(>30分)。SNP−sCSFの投与(群2、n=
3)単独は、60分以内の観察で脳底動脈の直径に有意な変化を生じなかった。
ET−1による最大血管収縮時のSNP−sCSFの投与(群5、n=13)は
、迅速および完全に血管収縮を反転した。ベースライン直径への復帰は、全ての
ケースで数分以内に観察された。該効果は、該処置の間維持され、30分後に収
縮の兆しもなかった(図2)。
【0124】 同様の結果がNTGを用いて観察された。NTG−sCSFの充溢(群3、n
=3)は、動脈のベースライン直径に変化を生じなかった。しかしながら、ET
−1誘導性血管収縮の後のNTGの投与は、迅速な著しい血管拡張をもたらした
(群6、図3)。 SNPまたはNTGのいずれの投与でも、動脈血圧または心速度における有意
な変化は起きなかった。
【0125】 これらの実験は、NO供与体(SNPおよびNTG)がET−1によって誘導
される脳血管収縮を迅速かつ完全に反転することを証明する。該効果は、概説さ
れる条件下での体血圧または他の生命徴候におけるいかなる変化とも関連しない
【0126】 イン・ビボで血管痙攣に対抗するためのNO供与体化合物の使用は、限られて
おり(Afsharら、1995,J.Neurosurgery 83: 118-122; Egemenら、1993, Neurol
ogy Research 15: 310-315)、それらの投与後の体低血圧のおそれが臨床的設定
におけるそれらの使用を効果的に抑制してきた。本明細書に記載の実験の目的は
、脳血管の外膜側に投与するとき、血管痙攣の反転においてNO供与体化合物が
有効なことを立証すること、および体低血圧を促進することなく直接の視覚によ
る観察下で該効果を証明することにある。 SNPおよびNTGが該経路によって投与されるとき低血圧を誘発しないこと
は、おそらく、イン・ビボでのNOの非常に短い半減期(酸素圧中、秒で測定し
た)に関連する(Culottaら、1992, Sciencec 258: 1862-1865)。しかしながら
、一部その小さなサイズのため、迅速な充溢に対するその許容能力は、血管壁の
十分に有効な浸透力により強力な血管拡張をもたらす。
【0127】 これらの結果は、特にCDCVにおけるET−1またはNOを標的にする多く
の他の研究に関連して、CDCVがエンドセリン−1の活性の増加およびその局
所的に作用する生理学的アンタゴニスト、NOの活性の減少を同時に伴うという
仮説と一致する。該環境は、理論的に、遺伝子活性化によるET−1の局所的濃
縮およびそのヘム部分に直接結合することによるNOの局所的濃縮における酸素
ヘモグロビンの同時効果によって可能とされる。
【0128】 実施された実験は、ET−1誘導性血管収縮が外膜に投与されたNO供与体化
合物による反転を受けやすいか否かという疑問に答えるために行われた。結果は
そうであることを証明する。よって、かかる一酸化窒素供与体の髄腔内投与は、
SAH後の慢性の遅延性脳血管収縮の治療に関する重要な治療的介入を示す。
【0129】 実施例2 3人のヒト患者における重篤な脳血管痙攣のITSNPに媒介される緩和 動脈瘤蜘蛛膜下出血(SAH)に続く慢性の遅延性脳血管収縮(CDCV)は
、最初に脳動脈瘤の破裂を生き残るヒト患者における死亡および神経学的病状の
主要な原因である。動脈瘤SAHに続くCDCVの最も一般的な治療は、HHH
治療である。他の介入は、パパベリンまたはNOの動脈内投与およびバルーン血
管形成を包含する。重篤なCDCVの場合、ときどき、HHH治療に対して不応
性であり、幾人かの患者は医学的理由でHHH治療に対して耐性がない。例えば
、これらの介入の合併症は、鬱血性心不全、リズム障害(disrythmia)およびス
ワンガンツカテーテル法に付随する合併症、例えば感染を包含する。これらの理
由で、CDCVの別の治療が所望される。
【0130】 実施例1に記載の実験は、血管外膜に投与される場合の重篤な脳血管収縮の反
転における一酸化窒素供与化合物の効力を立証した。本実施例に記載の研究は、
医学的に不応性の血管痙攣が、動脈瘤蜘蛛膜下出血(SAH)を経験したヒト患
者において迅速かつ実質的に反転された3つの例を明らかにする。血管痙攣は、
これらの場合、ニトロプルシドナトリウム(SNP)、一酸化窒素(NO)供与
体の髄腔内投与によって緩和された。これらの患者における血管痙攣の緩和は、
臨床的技術、血管造影技術および超音波検査技術を用いて証明された。該実施例
に記載された研究は、FDA認可の後に開始された臨床研究の一部として実施さ
れた。
【0131】 該実施例の研究において記載される3人の患者の各々は、動脈瘤SAHに罹患
後5〜12日後に発病する重篤な血管痙攣を経験した。全ての患者は、新たに発
現した昏迷(グラスゴー・コーマ・スケール(Glasgow Coma Scale){GCS}=7 ;Teasdaleら、1974, Lancet 2: 81-84)および新たな焦点神経学的欠損(片麻 痺)を示した。重篤な血管痙攣は、3人の患者の各々において血管造影法で明ら
かにされた。
【0132】 3人の患者の各々を髄腔内投与されるニトロプルシドナトリウム(ITSNP
)で処理した。ITSNP治療の後、3人の患者の各々は血管痙攣の反転および
脳虚血からの開放を経験し、それらは、ITSNP治療後54時間ほどの間に、
血管造影法、経頭蓋ドップラー超音波検査法およびコンピューター断層撮影法(
CT)によって証明された。また、各患者は、数日以内に2人、12時間以内に
残りの1人が著しい臨床上の改善を示した。合併症は頭蓋内圧(ICP)上昇、
生命徴候における変化に関連があり、血流力学パラメーターはITSNP治療の
間または後に検出されなかった。3人の患者のうち2人は退院し、1人は該記載
が準備された現在も入院したままである。
【0133】 該実施例に記載の研究は、NO供与体化合物の髄腔内投与がSAHを経験した
ヒト患者において重篤な血管痙攣を緩和することを立証する。 該実施例に記載の研究に用いられた物質および方法をここに記載する。
【0134】 該実施例に記載の研究における3人の患者の各々は、1時間のHHH治療に対
して不応性の徴候的な動脈瘤SAH誘導性CDCVを示した。TCD血流速度測
定値を臨床試験に関連してCDCVを診断するために用い、無徴候性患者は該実
施例に記載の研究に包含しないとみなした。臨床試験に利用できない患者の場合
(例えば、脳保護のためペントバルビタール誘導性EEGバースト抑制下の患者
)、これらの研究に該患者を包含するか否かに関する決定は、他の研究-包含基 準を考慮に入れるが(例えば、生理学的パラメーター{例えば、CSFドレナー
ジ速度またはICP}が一定に保たれたとき、各々、頭蓋内圧{ICP}または
CSFドレナージ量の上昇)、臨床試験に利用できる患者よりTCD測定値が高
いことに依存した。CTによって評価したとき梗塞または実質組織内血腫を有す
る患者、水銀(圧力計)で20ミリメートル以下に減少できないICP患者およ
び18歳未満の患者は、該研究への参加から除外された。
【0135】 全ての患者の場合、TCD速度測定は、特別に該技術を訓練した1人の技師に
よって実施された。TCD速度測定値を標準化して、頚動脈指数を用いて、血流
力学的状態の変化を計算した(中脳動脈における平均血流速度/頚部内頚動脈に おける平均血流速度)。
【0136】 ITSNP治療の前、間および後に、高解像度二平面デジタルサブトラクショ
ン技術を用い、標準的な方法を用いて脳血管造影法を行った(経大腿部選択的)
。患者のうち2人において(本明細書で患者#1および#2)、付加的な治療後
の血管造影法を治療後12〜54時間後に行った。前後方向の血管造影図を用い
て最初に観察された同側性頚動脈サイホンの充填と最初に観察されたどいずれか
の横静脈洞の充填の間にインターバルとして定義される脳循環時間(秒)は、最
も近似の2分の1秒まで評価され、全ての患者について一人の観察者によって決
定された。全ての脳循環時間は、一定の平均動脈血圧(MABP)で測定された
。血管直径は、Phillips Integris 3000 Biplane Digital Subtraction Angiogr
aphy Unitのコンピューターパラダイムを用いて、1人の観察者によってデジタ ル方式で評価された。これらの測定は、血管造影図から認識できる一定の解剖対
照、例えば、骨の標認点または容易に観察される枝管の起点を用いて行われた。
【0137】 SNPは、前頭葉を経た側室の挿管を含む標準的な方法を用いて実施される脳
室造瘻術によって投与した。SNPの始めの投与範囲は、本明細書の実施例1に
記載の実験的観察に基づいていた。ITSNP治療に対する患者の臨床応答は、
処置間のモニタリングおよび血管造影法によって評価された。
【0138】 患者および結果 該実施例の研究に関係する患者の特徴およびこれらの患者のITSNP治療の
結果をここに記載する。 患者#1は、Hunt and Hessの分類(Huntら、1968, J. Neurosurg. 28: 14-20
)を用いて、左の頚動脈内分岐動脈瘤の破裂に起因するグレードIII SAH 、に罹患した42歳の女性であった。患者#1は、SAH後24時間以内に併発
症を伴わない開頭術および動脈瘤のクリップ結紮を行った。SAH後5日目に、
患者#1の精神状態は悪化し、右側虚弱を示し(GCS=7)、それは片麻痺へ
と進行した。患者#1の症状は、HHH治療またはスワンガンツカテーテル法に
よって測定された肺毛細血管楔入圧(PCWP)、MABPおよび心指数の最適
化での心臓作動強化のどちらにも応じず、改善されない。CTは、右前脳動脈、
左前脳動脈および左中脳動脈の分布に対応する左および右脳皮質の低希薄領域を
明らかにした。これらの観察は脳虚血に一致する。
【0139】 攻撃的なHHH治療の開始1時間後に行った脳血管造影法は、右前脳動脈およ
び右前後方向の交通動脈の近位および遠位部分、左前脳動脈の近位部分、左脳動
脈の近位部分、および左中脳動脈の遠位部分を包含する両側に前方循環血管の重
篤な血管収縮を示した。左および右側脳循環時間は、各々、7および7.5秒で
あった。
【0140】 ITSNP治療を患者#1について以下のように行った。SNPの全投与量3
0ミリグラムを脳室造瘻術によって患者#1の右側の脳室中へ、セーラインに溶
解させ、次いで投与前に患者のCSFと混合した1ミリリットルあたり1.0ミ
リグラムのSNP溶液(混合溶液)の5.0ミリリットルアリコートでデリバリ
ーした。該溶液注射直前に、注射容量に等しいかまたは注射容量よりもわずかに
多いCSF量を脳室造瘻から抜き取った。ICPをモニターした。スワンガンツ
心内カテーテルを用いて、MABPのような血流力学的特性を連続的にモニター
した。神経学的特性もまた、脳波記録法(EEG)および体性感覚誘発電位(S
SEP)検出を用いて、連続的にモニターした。血管造影をITSNP治療の前
、間および後に、15分のインターバルで行って、左内頚動脈に遠位の動脈を視
覚化した。
【0141】 複数の以前に収縮した血管の内径における進行性で著しい増加が、ITSNP
治療の開始後30分で得られた血管造影図で開始していることが観察された。I
TSNP治療の間または後のベースライン値由来のMABP、ICPまたは神経
生理学的パラメーターにおける有意な変化はなかった。ITSNP治療後のTC
D血流速度測定値は、左中脳動脈を除外して、正常な限界内であった。該動脈中
の血流速度は、ITSNP治療後、最初は正常であり、ITSNP治療後20時
間で徐々に上昇した(平均速度1秒あたり<200センチメートル)。TCD測
定値は、該処置後26時間、該上昇値から変化しないままであった。
【0142】 治療後24時間後に行った脳血管造影法は、以前は痙攣していた右後部の交通
動脈および右前脳動脈の遠位部分の永続性かつ実質的な拡張を明らかにした。該
血管造影図は、また、中脳動脈のM1およびM2セグメントならびに左前脳動脈
のA1、A2およびA3セグメントの拡張におけるさらに有意な増加を明らかに
した。遠位循環の増加は、どちらの半球においても検出されなかった。脳血管の
相対直径は、ITSNP治療の前および後にデジタル方式で測定した。これらの
相対的測定値を表2に挙げる。左および右半球脳循環時間は、各々、5秒に減少
した。
【0143】
【表2】 注釈:A予測
【0144】 患者#1の脳のCT分析を治療後48時間後に行い、以前の虚血領域への酸素
供給における改善が示された。 左中脳動脈のM1セグメントにおいて観察されたTCD速度の増加のため、I
TSNP治療後54時間後に脳血管造影法を繰り返した。右半球血管ならびに左
前脳動脈のA1およびA2セグメントの膨張現象が存続した。左中脳動脈のM1
および近位M2セグメントにおいて、焦点狭窄が観察された。左中脳動脈のM1
セグメントをITSNP治療によって生じた内径に復帰させるために、該セグメ
ントをITSNP治療後54時間後に血管形成させた。
【0145】 次いで、患者#1は著しく臨床的に回復し、昏睡から目覚め、ITSNP治療
後数日以内に、以前に麻痺していた右側が有用に機能することを示した。有用な
機能は、患者の右腕よりも右足で表明された。血中シアン酸塩レベルは、ITS
NP治療後の晩に検出不可能となった。患者#1は、ITSNP治療後2週間以
内に、安定な状態(GCS 15)でリハビリテーション施設に移った。治療後 129日現在、患者#1は家で、歩行補助器を用いて歩行でき、1人で食事でき
、穏かな純粋な運動性の不全失語症で会話することができる。右腕は極端に麻痺
したままであるが、勝手気ままにそれを動かすことができる。
【0146】 患者#2は、右側中大動脈瘤の破裂に起因する臨床上グレードIII(Huntら
、1968, J. Neurosurg. 28: 14-20)およびX線撮影上のグレードIII(Fishe
rら、1980, Neurosurgery 6: 1-9)SAHに罹患した50歳の男性であった。患
者#2の過去の病歴には、制御不十分な動脈高血圧の病歴および1年に50パッ
クの喫煙があった。
【0147】 該患者は、SHA発症の翌日に、合併症を伴わない右プテリオン開頭術および
動脈瘤のクリップ結紮をうけた。外科手術で注目すべきは、有効な浸透性利尿お
よび脳室ドレナージにもかかわらず、おびただしいSAHを伴う極端に膨張した
充血したような脳であった。右中脳動脈の下部の一時的な閉塞時間は、エミデー
トバースト抑制麻酔下で5分であった。神経生理学的モニタリングパラメーター
(EEGおよびSSEP)における変化は手術の間に観察されなかった。脳膨張
を見越して、手術の最後に骨板をもとへ戻さなかった。
【0148】 患者は平穏無事に目覚め、手術の翌日に抜管した。彼は、5日間、明白な焦点
神経学的欠損を有さず、彼のGCSスコアは一貫して14−15であった。手術
後5日目に(すなわち、SAH発症後6日目)、患者は左側のTCD速度の増大
を表し、同時に、精神状態における深い抑鬱(GCS7)を示し、体の右側を動
かすことができなかった。彼は、緊急に挿管された。
【0149】 脳のCTスキャンは、右側の脳膨張、許容CTスキャンに比例した穏かな脳室
肥大、および永続性の残余SAHを明らかにした。左脳半球に対する焦点傷害は
X線撮影法で認識されなかった。脳室造瘻術は、脳室開頭減圧できるように施さ
れた。ICPは水銀(圧力計)で15〜18ミリメートルのままであった。HH
H治療の最適化にもかかわらず、1時間後に精神状態における有意な改善は観察
されなかった。
【0150】 患者#2は、緊急に脳血管造影法を行い、それは、右前脳動脈のA1セグメン
ト、左前脳動脈のA1セグメントおよび左中脳動脈のM1セグメントの重篤な狭
窄を明らかにした。脳循環時間は、左半球で8秒、右半球で6.5秒であった。
介入前にベースラインで観察された右腕および脚を示すSSEP潜時の増加は、
左中脳動脈および前脳動脈分布における血管痙攣の血管造影実験証明に一致する
と考えられた。
【0151】 次いで、ITSNPを患者#2において以下のとおりに行った。SNPの全投
与量30ミリグラムは、患者#2の脳室造瘻を経て、予めセーライン中に溶解さ
せた後に患者のCSFと混合したSNP溶液1ミリリットルあたり4.0ミリグ
ラムのアリコートでデリバリーされた。最初のアリコートは2.0ミリリットル
容量であり、20分経過後、5〜10分のインターバルで合計53分間、1.0
ミリリットルの次のアリコ−トを投与した。神経麻痺および神経生理学的モニタ
リングに関して、投与の詳細は患者#1のものと同一であった。
【0152】 左皮質SSEPの以前の長い潜時における改善は、ITSNP治療の23分以
内に観察され、腕に関して23.9ミリ秒から20.0ミリ秒まで、および脚に
関して51.5ミリ秒から47.7ミリ秒まで値が減少した。第1に、より大き
な伝導性血管(左前脳動脈のセグメントA1および左中脳動脈のM1セグメント
)の内径における有意な変化はなく、同時に脳血管形成が試みられた。しかしな
がら、患者の左内頚動脈の著しいねじれのために、バルーンカテーテルは頚動脈
サイホンを越えて進むことができなかった。ITSNP治療を持続し、左中脳動
脈のM1セグメントの進行性の拡張が明らかになった。ITSNP治療はSNP
の全投与量30ミリグラムの投与で停止されたが、血管造影上の改善は続いた。
この理由で、血管形成を行うためのさらなる試みはなされなかった。左側脳循環
時間は、8秒から6秒に改善された。右での循環時間もまた、5.5秒へ減少し
た。
【0153】 最終SNPアリコートの投与後55分後に、左中脳動脈のM1セグメントのベ
ースライン直径は、ほとんどもとに戻ったようであり、後部交通動脈は改善した
充填を示した。右の大内径血管は最少の拡張を示したが、ITSNP治療後、脳
半球間の裂溝における遠位前脳動脈の遠位A1セグメントおよび遠位前脳動脈が
よりよく視覚化された。
【0154】 ITSNP治療の間または後に、重要な全身性血流力学的変化は観察されなか
った。低血圧は起こらなかった。最初の投与後、水銀(圧力計)で21ミリメー
トルへのICP上昇が一次的に起こり、直ちに、3ミリリットルの脳室ドレナー
ジに応答した。その後ICP上昇は起こらず、水銀(圧力計)で17ミリメート
ル以下に留まった。神経生理学的パラメーターは、ITSNP治療の間および後
に安定なままであった。
【0155】 患者は、神経外科集中治療処置室(NICU)に戻され、そこで、TCD速度
測定値が著しく改善されたことを明らかにされた。同日の晩に、患者は、以前に
麻痺した右側が首尾一貫して意図的に動くことを証明した。反対側(右)のその
後のTCD速度の上昇は、脳血管造影の反復を導き、ITSNP治療の約12時
間後に、右床上頚動脈で血管形成が行われた。
【0156】 また、血管造影を左半球で行い、ITSNP治療によって以前に拡張されたA
1およびM1セグメントの再発性狭窄を明らかにした。脳循環時間は、右および
左半球で各々、5.5および6秒であった。より小さなバルーンカテーテルおよ
び親水性ガイドワイヤーを用いる管内操作は、患者のねじれた左内頚動脈の通過
を許し、抵抗血管における遠位循環を増加させるために、12ミリグラムの付加
的なSNP投与を用いてM1セグメントを同時に血管形成させた。床上頚動脈ま
たはA1セグメントのいずれも血管形成しなかった。脳循環時間は、同時のIT
SNP治療および血管形成の60分以内に、相互的に5秒まで減少した。さらに
、ITSNP治療の間または後に、血流力学的および生理学的変化は観察されな
かった。MABPは、水銀(圧力計)で125ミリメートルに一定のままであっ
た。
【0157】 翌日、患者は目覚め、機敏であり、GCS10を示した。患者は、四肢を使っ
て元気よく指示に従った。血中シアン酸塩レベルは、治療後の晩に採血された試
料中で検出されなかった。治療後5日目の脳のCT画像は、脳膨張における改善
を明らかにした。該患者は、明白な神経学的欠損もなく(GCS=15)、平穏
無事に退院した。
【0158】 患者#3は、破裂した右頚動脈眼セグメント動脈瘤に起因する臨床上のSAH
グレード3(Huntら、1968, J. Neurosurg, 28: 14-20)およびX線撮影上のS AHグレード3(Fisherら、1980, Neurosurgery 6: 1-9)動脈瘤SAHに罹患 した38歳の女性であった。該患者は、有意な過去の病歴を持たないが、原因不
明の有意な心臓障害の臨床的証拠を示した(心臓の左心室駆出フラクション35
%)。
【0159】 動脈瘤のコイル塞栓が好ましく、合併症を伴わない方法で、患者#3がSAH
に罹患した後4日目である病院滞在の2日目に行った。コイル塞栓の過程の間、
全面的なヘパリンによる凝血防止を行い、慣用的な方法で24時間続けた。ニモ
ジピン、デカドロンおよびジランチンを慣用的な方法で患者に投与した。患者は
合併症もなく、NICU中にとどまった。
【0160】 TCD速度測定を行って、患者#3の頚動脈指数を決定した。頚動脈指数は、
手術後2日目(SAH後6日目)に、右側で8.5および左側で9.2に上昇し
た。他の臨床上の変化は観察されなかった。管内容積拡張をスワンガンツカテー
テル法を用いる慣用的な方法で行った。SAH後8日目に、頚動脈指数値を再び
測定し、右側で8.5および左側で9.3に再び上昇した。患者は、神経学的徴
候を示さなかった。心臓の能力は最適化され、肺毛細血管楔入圧は水銀(圧力計
)で14ミリメートルに維持された。
【0161】 患者の内因性心臓障害のため、心指数は3.25を越えなかった。SAH後9
日目に、頚動脈指数値は、右側で9.6および左側で5.8にもう一度上昇した
。ネオシネフリンおよびドーパミンを計画に加えた。MABPは、水銀(圧力計
)で110−120ミリメートルに維持された。SAH後10日目に、患者#3
は右側の片側不全麻痺および失語症を経験し、菌血症によって患者のMABPは
水銀(圧力計)で80ミリメートルに落ちた。脳の徴候は、水銀(圧力計)で9
0ミリメートルより大きいMABPの回復で迅速に解決された。抗生物質処理を
始めた。SAH後11日目に、患者は吸引性肺炎と診断された。晩に、患者は再
び、MABPの一時的な減少に関連して、一時的な片側不全麻痺および失語症を
経験した。
【0162】 SAH後12日目に、頚動脈指数値は著しく上昇したままであったが、患者は
、神経学的徴候を示さなかった。患者の体温は摂氏39度に上昇し、抗生物質投
与計画を調整した。胸郭ラジオグラフは、肺浮腫を示し、動脈中酸素飽和は不十
分であった。選択的に挿管を行った。次いで、患者#3は、右側片側麻痺および
失語症を表した。彼女は昏迷し、GCS7を示した。患者のMABPは水銀(圧
力計)で110ミリメートルであり、心指数は4.0であった。正面脳室造瘻術
が施され、患者は緊急に脳のCTスキャンに処された。
【0163】 CTスキャンは目立ったものではなく、患者は直接CTから血管造影セットに
運ばれた。脳血管造影は、左中脳動脈のM1セグメント、右中脳動脈のM1セグ
メント、左床上頚動脈、右床上頚動脈、および右前脳動脈のA1セグメントの重
篤な血管収縮を明らかにした。左半球における脳循環時間は8秒に延び、右半球
では7.5秒に延びた。ICPは水銀(圧力計)で10ミリメートルであった。
左中脳動脈のM1セグメントおよび両方の床上頚動脈セグメントのバルーン血管
形成を行った。右中脳動脈のM1セグメントおよび右前脳動脈のA1セグメント
の血管形成は、技術的理由で達成できなかった。
【0164】 ITSNP治療を患者#3において以下のとおりに行った。SNPの全投与量
10ミリグラムを脳室造瘻術によって、1ミリリットルあたり4ミリグラム溶液
の1.25ミリリットルの2アリコートにおいてデリバリーした。ITSNP治
療の間および後、血圧およびICPは安定なままであった。血管形成およびIT
SNP治療後20分以内に、左側脳循環時間が6秒に改善した。右側脳循環時間
はITSNP治療後、該側のより大きな伝導性血管の内径に目に見えるほどの変
化もなく、6.5秒に改善した(すなわち、A1またはM1セグメントにおいて
血管形成がない)。患者をINCUに戻し、ペントバルビタール性昏睡を起こし
て、脳波記録上のバースト抑制パターンを維持した。
【0165】 ITSNP治療後7時間目に測定したTCD値は、左中脳動脈において血流速
度の著しい減少を示したが、右中脳動脈において血流速度に変化はなかった。右
前脳動脈および左前脳動脈において、速度のわずかな上昇が注目された。ITS
NP治療後21時間目のTCD測定は、血管形成に付されなかった血管(すなわ
ち、右中脳動脈、右前脳動脈および左前脳動脈)における血流速度の実質的な減
少、および左中脳動脈における血流速度のさらなる減少を示した。低速が持続し
、患者は5日後にペントバルビタール性昏睡から蘇生した。
【0166】 患者は改善され続け、血管痙攣の再発を経験しなかった。患者#3の精神の鋭
さは、わずかな神経学的欠損もなく高いままであった(GCS=15)。容量拡
張は維持された。プレッサー(pressor)(すなわち、MABPを増加する傾向 があるエピネフリンのような血圧調節化合物)は、逐次および平穏無事に回収さ
れた。脳血管造影法は繰り返さなかった。クランピングの試みがさらなる脳室肥
大を示さなくなった後、脳室造瘻術を停止した。ITSNP治療後10日目の脳
のCT分析は、残留性の異常を示さなかった。患者はSAH後32日で、回復目
的の短期のリハビリテーション施設へ移り、神経学的欠損を示さなかった。その
後、彼女は家に戻り、ITSNP治療後7ヶ月目で彼女の状態はよい。
【0167】 該実施例に記載の研究でなされた観察は、NO供与体化合物の髄腔内デリバリ
ーがヒトにおける動脈瘤SAH後の重篤な不応性脳血管痙攣を緩和することを立
証する。さらに、ITSNP治療によってもたらされる血管痙攣の緩和は、生物
学系においてSNPの予測される半減期をはるかに越えて現れた。
【0168】 該実施例に記載の3人の患者のうち、その全員が根深い神経学的欠損を有する
危機的状態にあったのだが、2人は残留性の神経学的欠損を有さず、他の1人は
非常に改善され、虚血に関連する神経学的悪化後比較的早くに(129日)家で
過ごしている。さらに、後者の患者はITSNP治療できる以前の少なくとも1
2時間、血管痙攣由来の片麻痺であったので、その治療は非特徴的に遅れた。
【0169】 SNP投与後の血管収縮反転の観察パターンおよび血管収縮の遅延性セグメン
ト的再発は、限定された基質の存在および有用性に依存する作用機構に一致し、
ここに、該機構は少なくとも一時的に制圧することができる。ITSNP治療に
よってもたらされる軽減の持続は明確に確立されていないが、脳室内投与後、該
実施例に記載の研究において報告された軽減は、血管痙攣および危機的な脳虚血
に起因する他の徴候を和らげるほど十分に長く持ちこたえた。さらに、たとえI
TSNP治療によって提供される軽減の持続が所望の程度よりも短いことがわか
っても、ITSNP治療を必要なだけ繰り返すことによって、所望のほど長い期
間持ちこたえる軽減を提供することができる。
【0170】 該実施例に記載の研究において、ITSNP治療に応答して、大きな内径の脳
伝導性血管の実質的な維持された血管拡張が明らかにされた。これらの研究にお
いて明確に調べていないが、血管造影法によって本明細書で研究されたものより
も小さい脳血管の拡張によってもたらされる側枝循環における改善は、脳循環時
間の短縮に対して等しく重要な効果を有しうるようである。該結論は、これらの
研究において視覚化された大きい内径の伝導性血管のサイズにおいて著しい変化
をもたらすことなしに、脳循環時間がときどき短縮されたという、本明細書でな
された観察によって支持される。
【0171】 さらに、該結論は、NOが環状GMP介在タンパク質キナーゼ活性メカニズム
によって血管拡張をもたらすという事実(Nathan, 1994, Cell 78: 915-918; Th
omas, 1997, Neurosurg. Focus 3: Article 3)によって支持される。該メカニ ズムはおそらく、大きな内径の血管のレベルだけでなく、筋肉化された管でもあ
る小動脈のレベルにも機能する。いずれの特定の作業理論に捕らわれることなく
、血管の外膜表面を貫通したITSNPによって提供されるNO分子は、可溶形
態のグアニレートシクラーゼを活性化し、次いで、それはGTPを環状GMPに
変換すると考えられる。この後者のセカンドメッセンジャーはプロテインキナー
ゼ活性を活性化し、それは管平滑筋の弛緩を引き起こし、それにより血管拡張を
生じる。小動脈のような小さな管の比較的薄い壁は、おそらく、それらを外膜に
投与したNO供与体化合物により容易に影響されやすくし、それらをより速く反
応させ、脳循環時間を改善する。
【0172】 かかる効果は、非常に小さい分子であり、それゆえ、直接、組織を貫通するこ
とができるNOの既知の物理的性質と一致する。このことは、外膜表面から貫通
しうるという血管とのその相互作用において非常に明白である。しかしながら、
NOはまた、脳組織および血餅も貫通すると予測される。また、ITSNPが脳
室の上衣を通って実質組織を貫通することも可能である。この場合、NOの生理
学的効果は、少なくとも多少は、脳室CSF循環と無関係であろう。
【0173】 NO供与体化合物投与による血管拡張の有益な効果は、頭蓋内高血圧または体
低血圧を包含せずに得られるようである。したがって、蜘蛛膜下血管拡張は、本
明細書に記載されるより局所的であっても、NO供与体化合物を投与することに
よってもたらされうる。かかるデリバリー方法は、蜘蛛膜下カテーテルによるデ
リバリーまたは手術によるデリバリーを包含する。これらの方法はNO供与体化
合物のデリバリーのためにCSF循環に依存しないので、該型の標的とされる局
所的治療は、CSF経路が脳膨張によって傷つけられる場合に、理論上有益であ
る。
【0174】 確立されたCDCVを緩和するために、適当な方法でNO供与体化合物をデリ
バリーする必要性を強調する。HHH治療を最大限に活用し、該治療が1時間効
果がなかった場合、CDCV患者に対して脳血管造影法を行い、別の治療法を計
画することは、確立された習慣である。好ましくは、HHH治療の効果を評価す
るためにITSNP治療を遅らせないが、その代わり、CDCVと診断された後
できるだけ早くに、より好ましくは、本明細書の予防方法に記載のように、CD
CVが診断される前でも実施する。例えば、該実施例に記載の研究において、患
者#1について臨床結果は比較的良好であったが、ITSNP治療が該患者によ
り初期に投与されたほうが、該結果はもっと良好であったかもしれない。
【0175】 例えば、患者に投与されるSNPの全投与量を増やすことによって、該治療を
実施する期間を延長することによって、またはその両方によって、確立されたC
DCVの再発を防止するためにITSNP治療を用いることができる。ITSN
P治療は該実施例に記載の研究において血管形成術と共に用いられたが、ITS
NP治療は血管形成術と共に、または血管形成術なしで用いることができる。I
TSNP治療が血管形成術に起因する血管拡張から時間的および空間的に遠位で
ある血管拡張を生じたという本明細書における観察は、ITSNP治療がその効
果に関して血管形成術に依存しないことを立証する。
【0176】 本開示が経験のある開業医に限定されないフォーラムにおいて公表されうると
いう予想において、本明細書に記載の方法におけるNO供与体化合物の実験的投
与は、これらの研究におけるように、熱心な臨床上の神経生理学的および神経麻
痺的モニタリングなしで、好ましくは、直接の血管造影的コントロールなしで実
施されるべきではない真剣な事業であるということを強調する。また、長期にわ
たる(すなわち、4時間より長い)脳虚血の環境下でITSNPを実施する場合
、特別の警告が行使されるべきである。再灌流による梗塞の出血性変換の危険性
およびNOに起因する潜在的な刺激神経毒効果のため、明らかな梗塞または著し
い実質組織内血腫の立証は、本明細書に記載の方法においてNO供与体化合物の
使用に対し、比較的禁忌である。
【0177】 好ましくは、60分以内に臨床上の応答できない血管痙攣のような、HHH治
療に対する不応性を証明する血管痙攣患者においてITSNPを実施する。血管
造影的または神経生理学的改善がITSNP治療の開始から30分以内に観察さ
れない場合、好ましくは患者を適した血管形成術(中脳動脈のM1セグメントお
よび前脳動脈のA1セグメントに対して遠位でない近位の伝導性血管)に付す。
神経生理学的改善(例えば、SSEP潜時の短縮)が観察されるが、唯一識別で
きる血管造影的改善が側枝循環および改善された循環時間にあるような(すなわ
ち、比較的大きい内径の痙攣性伝導性血管の直径が著しく増加することのない)
例において、好ましくは、脳血管形成術とITSNP治療を組み合わす。
【0178】 該実施例に記載の研究は、NO供与体化合物の髄腔内投与が頭蓋内高血圧また
は体低血圧を促進することなく、脳血管痙攣を緩和することを明らかにする。こ
れらの研究は、血管痙攣の緩和の血管造影的および超音波検査的証拠を示すが、
ITSNP治療の同等なまたはより重要な効果は、微小循環のレベルでの脳血流
の増加であり、それは、これらの研究において直接検出されなかった。
【0179】 実施例3 ヒトにおける動脈瘤蜘蛛膜下出血後の脳血管痙攣の緩和および予防のためのニ
トロプルシドナトリウムの髄腔内投与 動脈瘤SAH後に脳血管痙攣を経験する患者においてかかる血管痙攣を緩和す
るために、または動脈瘤SAHを経験したが脳血管痙攣を経験しなかった患者に
おいて脳血管痙攣を予防するために、髄腔内ニトロプルシドナトリウム(ITS
NP)治療を本明細書に記載のとおりに行った。
【0180】 ITSNP治療は、4人が脳血管痙攣を経験しなかった16人の患者において
全部で18回行った。16人の各患者は、結紮した動脈瘤を有し、臨床上、X線
撮影上またはその両方でグレード3を有するSAHを経験した。患者の81%
において、当初の臨床上のSAHグレードは、HuntおよびHessの分類(Huntら、
1968, J. Neurosurg. 28: 14-20)を用いて3であった。全患者において、X 線撮影上のSAHグレードは少なくとも3であった(Fisherら、1980, Neurosur
gery 6: 1-9)。患者の31%において、ITSNP治療前に、HHH治療に対 して不応性の重篤な血管痙攣が診断された。ITSNP治療前に、確立された不
応性血管痙攣を有する患者の全てが危険な神経学的状態にあった。
【0181】 ITSNP治療は、広範囲の血流力学的および神経生理学的モニタリングと同
時に血管造影的コントロール下で行った。ITSNPは、硬膜下カテーテルを用
いる脳室造瘻術によって、または直接的な手術中の充溢によってデリバリーされ
た。血管痙攣治療に関する終点は、1)血管痙攣の永続性血管造影的反転、2)
30分以内の効果の減退、3)反対の効果であった。予防的処理に関する終点は
、1)SAH後10日後に血管痙攣がないこと、2)反対の効果であった。67
%のケースにおいて、血管痙攣の治療または予防のために、ITSNPを単独で
用いた(血管形成術なし)。
【0182】 ITSNP治療の間および直後に行った血管造影法は、ITSNP治療前に血
管痙攣を体験している患者の88.9%において、血管痙攣の軽減または反転を
示した。ITSNP治療を受けた患者の全ての神経学的結果は、患者の87.5
%において良好または優れていた。ITSNP治療後4ヶ月で、患者の71%が
依然として良好または優れた神経学的状態にあった。
【0183】 予防的ITSNP治療を行った4人のうち誰も臨床上の血管痙攣を発症しなか
った。 該実施例に記載の研究において観察された16人の患者のうち1人の患者が、
ITSNP治療の中断の間、TCD値において短時間の上昇を示し、それは治療
の持続を決定した。3人の患者は悪心を感じ、それは、オンダンセトロンの治療
前投与によって解決することができた。 該実施例に記載の研究の結果は、ITSNP治療が安全で、不応性脳血管痙攣
の有効な治療であることを立証する。さらに、これらの結果は、予防的ITSN
P治療が安全で、動脈瘤SAH後の脳血管痙攣を防止するのに有効であることを
立証する。
【0184】 実施例4 NO供与体化合物の髄腔内デリバリーのための装置 髄腔内薬物デリバリー装置をNO供与体化合物の髄腔内投与に使用してもよい
。かかる装置の図を図6A−6Eに示す。装置は、患者からCSFを限定量で抜
き取ることのできる器具であり、抜き取った流体を所定量の薬剤(すなわち、N
O供与体化合物)と混合させる。次いで、脳血管痙攣の治療のために、NO供与
体化合物を患者の髄腔内コンパーメント中にデリバリーする。
【0185】 装置は、特に、薬剤のデリバリー前に必要な特定量のCSFを抜き取るために
設計されるが、同時に、一度に投与できる薬剤量を限定する。したがって、装置
は、脳虚血、頭蓋内圧の上昇および体低血圧のような髄腔内薬物デリバリーの環
境下で有用な安全性の限界を提供する。
【0186】 装置は、現存のCSFドレナージシステム(例えば、脳室造瘻術)上に、流出
口(18)に結合した固定口の手段によって固定される。CSFは、いずれかの
シリンジと同じ方法で外部プランジャー(14)を用いて、普通の方法で第1空
洞体(10)の内部(12)へ抜き取られる。特定量(例えば、5.0ml)の
CSFの抜き取りは、受動取り入れ口(19)の手段によって第2空洞体(20
)の内部(22)へ流体を受動的に移動させ、ここで、所定量の薬剤(30)と
接触させ、混合する。次いで、CSF溶液中に混合した薬剤は、内部プランジャ
ーシャフト(24)を押し下げることによって一方向性バルブ(28)を通じて
CSFドレナージシステムを介してデリバリーされる。次いで、溶液中の薬剤は
、外部プランジャーシャフト(14)を押し下げることによって、外部チャンバ
ー(12)由来のCSF量を用いて「追跡」される。装置は、内部プランジャー
シャフト(24)の引っ込みを防止する停止メカニズム(29)を有していても
よい。外部プランジャーシャフトの頭部(16)は、外部チャンバー(12)内
にきちんとスライド可能に配置され、内部プランジャーシャフトの頭部(26)
は、外部チャンバー(12)内にきちんとスライド可能に配置される。
【0187】 図6C−6Eに示される任意の具体例において、所定量の薬剤(30)の多数
が破壊可能な障壁(48)によって第2空洞体(20)の内部(22)と分離さ
れているコンパートメント(40)内に含有される。各コンパートメント(40
)の破壊可能な障壁(48)は、コンパートメントのプランジャー(44)を動
かして、薬剤(30)に対してコンパートメントのプランジャーの頭部(46)
を押し動かし、それにより障壁(48)を破壊することによって破壊されうる。
第2の空洞体(20)は、好ましくは、その内部(22)に含有される流体量を
示すための容量測定用の印を有する。第1空洞体(10)は、好ましくは、少な
くとも1箇所の透明部分(17)を有し、それを通して第2空洞体(20)の容
量測定用の印(27)を観察することができる。
【0188】 実施例5 硬膜下カテーテル 本発明は、さらに、脳灌注装置として用いられうる硬膜下カテーテルを包含す
る。1の具体例において、硬膜下カテーテルは、脳の表面または内部(すなわち
、脳室系)へ流体物質を均等に分配するために設計されたソフトプラスチックカ
テーテルを含む。該装置の図を図7A〜7Gに示す。カテーテルは、やわらかで
柔軟な放射線不透過性(例えば、バリウム飽和された)の不活性プラスチック製
の胴体(50)を有する。流体または液体薬物はハブ(54)を通じて装置にデ
リバリーされる。ハブは、シリンジまたは注入管上に固定するように設計される
。次いで、流体または薬物はカテーテルの内腔(56)を通って運ばれ、次に、
穿孔を通って内腔から出て行く(B)。装置は、最も基部の3cmを除くカテー
テルの全長に存在する広範囲に分布した孔(52)を有する。さらに、内腔は基
部から末梢部へ逆に先細になり、すなわち、ハブから最も遠くのカテーテル末端
が近付くにつれて徐々に幅広になる。該設計は、カテーテルの穴のあいた全長に
沿って穿孔からの流体の分布も可能にする。別法では、カテーテルの先端は、側
面の穿孔を通ってのみ出て行くことが可能なように塞いでもよい。図7Gに示す
ように、カテーテル(C)は、シリンジ(S)のような流体を取り扱う装置にそ
れを取りつけ、カテーテル(C)を患者の頭蓋(Sk)における穿孔(T)に挿
入することによって用いてもよい。
【0189】 実施例6 硬膜下挿入ガイド 本発明は、また、例えば、硬膜下カテーテル移植システムとして使用されうる
硬膜下挿入ガイドも包含する。硬膜下挿入ガイドは、図8に示すように、最小限
の侵入的方法で柔軟なカテーテルを脳の硬膜下空間にデリバリーするための固定
体(60)を含む。1の具体例において、固定体(60)は、脳表面に対して垂
直方向から水平方向へ装置内を90°曲げられた内腔(62)を有する。該特性
は、カテーテルによる脳貫入の可能性を減じ、比較的小さな孔を用いる頭蓋の単
純な垂直穿孔術を可能にする。小孔の使用は、角度を有する穿孔術(またはドリ
リング)およびより大きな骨開口術の両方において望ましい。いったん穿孔を行
うと、通常の様式で硬膜を外科的に開け、硬膜開口部を通じて装置を挿入する。
装置の底面は比較的幅広く(例えば、約15ミリメートル)、該部位で脳組織を
穏かに押してもよい。別法では、ガイドはその底面に円周バルーン(64)を備
え付けていてもよく、硬膜の内部を空気で一度膨らませてもよい。バルーンの使
用は、底面の直径を脳組織を押すのに安全な幅(約15−20ミリメートル)ま
で効果的に増加させ、カニューレ、およびしたがって穿孔を、バルーンを使用し
ない場合よりも狭くする。脳組織の穏かな押し下げ(例えば、約5−20ミリメ
ートル)において、硬膜内カテーテルを内腔(62)の近位末端(61)を通じ
て導入してもよく、固定体(60)を通って、その遠位末端(63)に近い固定
体(60)の外部表面に現れる内腔(62)の部分を通過させてもよい。図8D
に示すように、ガイドは、患者の頭蓋(Sk)において固定体(60)を穿孔(
T)中に挿入することによって使用される。もし存在するならば、バルーン(6
4)を膨らませ、穿孔(T)のすぐ下の脳組織(B)を穏かに押し下げる。カテ
ーテル(C)は固定体(60)の近位末端(61)で内腔(62)中に挿入され
、内腔(62)中を押し動かされ、患者における硬膜下空間(Ss)に現れる。
【0190】 特許、特許出願および本明細書に引用される出版物の各々および全ての開示は
、出典明示により完全に本明細書の一部とされる。 本発明を特定の具体例について開示したが、本発明の真実の精神および範囲を
逸脱することなく、他の具体例および本発明の変形が他の当業者によって工夫さ
れうることは明らかである。添付の請求の範囲は、全てのかかる具体例および同
等な変形を包含しようとするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 蜘蛛膜下投与後のウサギの基底動脈に対するET-1の効果を説明するグラフであ
る。
【図1B】 重篤な収縮動脈を示した基底動脈のビデオイメージである。
【図2A】 ET-1によって誘導された血管収縮に対するニトロプルシドナトリウム(SNP) の効果を説明するグラフである。
【図2B】 図1Bに示した同じ動脈において30分後には収縮の様子がないことを示すビ
デオイメージである。
【図3】 基底動脈直径に対するET-1およびSNPの効果を示すグラフである。
【図4】 ET-1によって誘導される血管収縮に対するNTGの効果を示すグラフである。
【図5】 基底動脈直径に対するET-1およびNTGの効果を示すグラフである。
【図6】 ヒトの蜘蛛膜下腔内にNOを投与する装置のダイアグラムである。
【図7】 硬膜下カテーテルのダイアグラムである。
【図8】 硬膜下挿入ガイドのダイアグラムである。
【手続補正書】
【提出日】平成13年2月13日(2001.2.13)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 33/04 A61K 33/04 4C206 33/26 33/26 35/24 35/24 A61N 1/30 A61N 1/30 A61P 9/08 A61P 9/08 9/10 101 9/10 101 103 103 39/06 39/06 43/00 111 43/00 111 //(A61K 33/26 (A61K 33/26 31:714) 31:714) (A61K 33/26 (A61K 33/26 33:04) 33:04) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW Fターム(参考) 4C053 HH01 4C076 AA11 BB12 BB21 FF31 4C084 AA17 MA02 MA56 MA65 ZA392 4C086 AA01 DA39 HA11 MA02 MA03 MA04 MA56 MA65 NA14 ZA39 4C087 AA01 BB42 MA02 MA56 MA65 NA14 ZA39 4C206 AA01 EA01 EA07 HA11 HA32 JA78 JB11 NA14 ZA39

Claims (51)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 哺乳動物における血管収縮を緩和する方法であって、哺乳動
    物における収縮した血管に一酸化窒素供与体化合物を外膜的に投与し、それによ
    って該血管の収縮は緩和することからなる方法。
  2. 【請求項2】 動物がヒトであり、血管が、脳血管、右前大脳動脈、右中大
    脳動脈、右後交通動脈、左前大脳動脈、左中大脳動脈、左後交通動脈、心血管、
    右冠状動脈、左冠状動脈、および、痙攣筋肉組織内に存在している血管からなる
    群から選択される、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 血管が脳血管である、請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 哺乳動物の脳脊髄液へ化合物をデリバリーすることにより、
    該化合物を血管に外膜的に投与する、請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 哺乳動物の蜘蛛膜下腔から脳脊髄液のアリコートを取り出し
    、化合物をその脳脊髄液のアリコートと合し、該哺乳動物の蜘蛛膜下腔に該脳脊
    髄液を戻すことによって、該哺乳動物の該脳脊髄液に該化合物をデリバリーする
    、請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 哺乳動物の蜘蛛膜下腔から脳脊髄液のアリコートを取り出し
    、化合物を有する医薬組成物をその脳脊髄液のアリコートと合し、該哺乳動物の
    蜘蛛膜下腔に該脳脊髄液を戻すことによって、該哺乳動物の該脳脊髄液に該化合
    物をデリバリーする、請求項4記載の方法。
  7. 【請求項7】 血管が心血管であり、哺乳動物の心膜腔に化合物を提供する
    ことによって外膜的に該化合物を投与する、請求項2記載の方法。
  8. 【請求項8】 哺乳動物が、慢性遅延性脳血管収縮を経験している哺乳動物
    、蜘蛛膜下出血を経験した哺乳動物、動脈瘤蜘蛛膜下出血を経験した哺乳動物、
    初期塞栓症発作を経験している哺乳動物、発作を経験した哺乳動物、心臓虚血を
    経験している哺乳動物、心筋梗塞を経験した哺乳動物、狭心症で苦しむ哺乳動物
    からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 化合物をその徐放性処方の形態で投与する、請求項1記載の
    方法。
  10. 【請求項10】 哺乳動物がヒトである、請求項1記載の方法。
  11. 【請求項11】 化合物が、ニトログリセリン、アルギニンおよびニトロプ
    ルシド塩からなる群から選択される、請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 該化合物がニトロプルシドナトリウムである、請求項11
    記載の方法。
  13. 【請求項13】 哺乳動物が成人であり、その哺乳動物に投与される化合物
    の一日量が約10mgないし88mgの範囲にある、請求項12記載の方法。
  14. 【請求項14】 哺乳動物に投与される化合物の一日量が約10mgないし
    30mgの範囲にある、請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 化合物と、シアン化物スカベンジャー、シアネートスカベ
    ンジャー、ヒドロキシコバラミンおよびチオサルフェートからなる群から選択さ
    れるスカベンジャー化合物とを含んでなる医薬組成物の形態で、化合物を投与す
    る、請求項12記載の方法。
  16. 【請求項16】 血管に投与される化合物の量が、該血管の収縮を緩和する
    のに十分であるが、該哺乳動物において体低血圧または脳高血圧を誘発するのに
    十分な量でない、請求項1記載の方法。
  17. 【請求項17】 哺乳動物に、抗炎症剤、抗生物質、オキシヘモグロビン還
    元化合物、血栓崩壊剤、および制吐剤からなる群から選択される化合物を投与す
    ることを含んでなる、請求項1記載の方法。
  18. 【請求項18】 哺乳動物における血管収縮を防止する方法であって、一酸
    化窒素供与体化合物を該哺乳動物の血管に外膜的に投与し、それによって血管収
    縮を防止することからなる方法。
  19. 【請求項19】 一酸化窒素供与体化合物がニトロプルシドナトリウムであ
    る、請求項18記載の方法。
  20. 【請求項20】 哺乳動物がヒトであり、該ヒトに投与する一日当たりのニ
    トロプルシドナトリウムの量が24mgより多くない、請求項19記載の方法。
  21. 【請求項21】 ヒトに投与する一日当たりのニトロプルシドナトリウムの
    量が4ないし24mgの範囲にある、請求項20記載の方法。
  22. 【請求項22】 一酸化窒素供与体化合物が、該化合物の徐放性処方を含ん
    でなる医薬組成物の形態で投与される、請求項18記載の方法。
  23. 【請求項23】 哺乳動物において収縮または痙攣している血管を拡張する
    方法であって、一酸化窒素供与体化合物を外膜的に該血管に投与し、それによっ
    て該血管を拡張することからなる方法。
  24. 【請求項24】 動物の組織における虚血を緩和する方法であって、一酸化
    窒素供与体化合物を該組織に投与し、それによって該化合物を該組織の血管に投
    与し、該血管の収縮または痙攣を緩和し、該組織の虚血を緩和することからなる
    方法。
  25. 【請求項25】 動物の組織における虚血を防止する方法であって、一酸化
    窒素供与体化合物を該組織に投与し、それによって該化合物を該組織の血管に投
    与し、該血管の収縮を防止し、該組織の虚血を防止することからなる方法。
  26. 【請求項26】 哺乳動物の収縮または痙攣している血管に外膜的に投与す
    るための血管拡張組成物であって、一酸化窒素供与体化合物および医薬上許容さ
    れる担体を有してなる組成物。
  27. 【請求項27】 医薬上許容される担体が、哺乳動物の脳脊髄液および合成
    脳脊髄液からなる群から選択される、請求項26記載の血管拡張組成物。
  28. 【請求項28】 溶液中で短い半減期を有する薬剤を哺乳動物にデリバリー
    するための装置であって、 流動オリフィス、第1流体出入口および第1圧力オリフィスを有する第1中空
    本体であって、各々が第1中空本体の内部と流体連絡している第1中空本体と; 薬剤を含有する第2中空本体であって、第2中空本体の内部と流体連絡してお
    り、かつ、第1流体出入口と流体連絡している第2流体出入口、および第2中空
    本体の内部と流体連絡している流出口を有する第2中空本体と; 第1圧力オリフィスと連結している第1圧力調節器とからなるデリバリー装置
  29. 【請求項29】 流出口に結合した入口オリフィスおよび出口オリフィスを
    有するバルブを含んでなる装置であって、該バルブが液流を入口オリフィスから
    出口オリフィスに方向付ける、請求項28記載の装置。
  30. 【請求項30】 出口オリフィスが第1中空本体の内部と流体連絡している
    、請求項29記載の装置。
  31. 【請求項31】 第2中空本体が、それの内部に薬剤を含有する、請求項2
    8記載の装置。
  32. 【請求項32】 薬剤が一酸化窒素供与体化合物である、請求項31記載の
    装置。
  33. 【請求項33】 薬剤が単一のヒト髄腔内デリバリー量の一酸化窒素供与体
    化合物を含有する、請求項32記載の装置。
  34. 【請求項34】 第2中空本体がさらに、薬剤を含有する少なくとも一つの
    コンパートメントを有し、該コンパートメントの内部が、該第2中空本体の内部
    から突破可能な障壁によって分けられている、請求項28記載の装置。
  35. 【請求項35】 突破可能な障壁が、ポリマーのフィルムまたはホイルから
    なる群から選択される、請求項34記載の装置。
  36. 【請求項36】 フィルムが、少なくとも一つの切り込みを有するフィルム
    または少なくとも一つの穿孔を有するフィルムからなる群から選択される、請求
    項35記載の装置。
  37. 【請求項37】 障壁を突破するために該コンパートメント内に摺動可能に
    配置されたコンパートメントプランジャーを含み、該コンパートメントプランジ
    ャーを作動させると該障壁が突破され、それによって組成物が第2中空本体の内
    部と流体連絡するようになる、請求項34記載の装置。
  38. 【請求項38】 圧力調節器が、第1中空本体の内部にぴったりと摺動可能
    に配置された第1プランジャーを有し、その第1プランジャーが第1中空本体内
    の前の位置と後の位置の間を作動することができ、該第1プランジャーがかかる
    前の位置にある時は、流動オリフィスは流体出入口と流体連絡しておらず、該第
    1プランジャーがかかる後の位置にある時は、該流動オリフィスは該流体出入口
    と流体連絡している、請求項28記載の装置。
  39. 【請求項39】 さらに第2中空本体の内部にぴったりと摺動可能に配置さ
    れた第2プランジャーを有し、第2プランジャーが流出口の方向に押しだされる
    と、それにより該第2中空本体の中身が該流出口を通って放出される、請求項3
    8記載の装置。
  40. 【請求項40】 第1中空本体が第1シリンジであり、第2中空本体が第2
    シリンジであり、第1および第2シリンジの内部が三方バルブによって脳室瘻形
    成装置の内部に連結され、ここで該三方バルブはその第1シリンジの内部、その
    第2シリンジの内部、およびその脳室瘻形成装置の内部のいずれか2つを選択的
    に連結する、請求項39記載の装置。
  41. 【請求項41】 第2中空本体が該第1中空本体の内部に配置され;該第1
    中空本体および第2中空本体が実質的に縦方向に同軸であり;該出口オリフィス
    が該流動オリフィスに接近して配置され;該流動オリフィスが脳脊髄液ドレイン
    系に適応できる、請求項28記載の装置。
  42. 【請求項42】 外表面、近位末端、遠位末端、近位末端から本体内に伸び
    る管腔、外表面から管腔へ該本体を通って伸びる少なくととも一つの穴、および
    、流体ハンドリング装置へ該カテーテルを接続するための近位末端のハブを有す
    る、可撓性の略管状の本体を含んでなる硬膜下カテーテル。
  43. 【請求項43】 本体が水平な円筒形である、請求項42記載の硬膜下カテ
    ーテル。
  44. 【請求項44】 本体が少なくとも一部、放射線不透過性である、請求項4
    2記載の硬膜下カテーテル。
  45. 【請求項45】 本体の遠位末端の管腔が、その本体の遠位末端の管腔より
    幅が広い、請求項42記載の硬膜下カテーテル。
  46. 【請求項46】 ガイドが、長軸、近位末端、遠位末端、外表面および近位
    末端から外表面へ本体内を伸びる管腔を有する実質的に剛性の本体を有し、管腔
    が本体の近位末端で長軸に沿って略平行に、かつ外表面で長軸に対して略垂直に
    伸びており、該本体の遠位末端を哺乳動物の頭蓋穿孔中へ挿入すると、該管腔が
    該哺乳動物の硬膜下腔と流体連絡している、硬膜下挿入ガイド。
  47. 【請求項47】 さらに、本体の遠位末端に膨張可能なバルーンを有してな
    る、請求項46記載の硬膜下挿入ガイド。
  48. 【請求項48】 哺乳動物の血管を拡張するためのキットであって、一酸化
    窒素供与体化合物、および、該化合物を該哺乳動物の血管に外膜的に投与するこ
    とを説明した教材を含んでなるキット。
  49. 【請求項49】 哺乳動物の収縮した血管または痙攣している血管を拡張す
    るためのキットであって、実質的に無水形態の一酸化窒素供与体化合物を含有す
    る少なくとも一つのシリンジ、および、そのシリンジを第2シリンジおよび血管
    の外表面と流体連絡している流体導管と連結するための三方バルブを有してなる
    キット。
  50. 【請求項50】 一酸化窒素供与体化合物を哺乳動物に髄腔内投与するため
    のキットであって、 a)該化合物を投与するための装置であって、 流動オリフィス、第1流体出入口および第1圧力オリフィスを有する第1中空
    本体であって、各々が第1中空本体の内部と流体連絡している第1中空本体と; 該化合物を含有する第2中空本体であって、第2中空本体の内部と流体連絡し
    ており、かつ、第1流体出入口と流体連絡している第2流体出入口、および第2
    中空本体の内部と流体連絡している流出口を有する第2中空本体と; 出口に結合した入口オリフィスおよび出口オリフィスを有し、その入口オリフ
    ィスから出口オリフィスへの方向に流体が流れることを可能とするバルブ を含んでなる装置;および b)該化合物を該哺乳動物に髄腔内投与するための該装置の使用について説明す
    る教材を含んでなる キット。
  51. 【請求項51】 外表面、近位末端、遠位末端、近位末端からカテーテル本
    体内に伸びる管腔、外表面から管腔へカテーテル本体を通って伸びる少なくとと
    も一つの開口部、およびカテーテルを流体ハンドリング装置に接続するための近
    位末端にてハブを有する、可撓性の略管状のカテーテル本体と; ガイドが、長軸、近位末端、遠位末端、外表面および近位末端から外表面へガ
    イド本体内を伸びる管腔を有する実質的に剛性のガイド本体を有し、管腔がガイ
    ド本体の近位末端で長軸に沿って略平行に、かつ外表面で長軸に対して略垂直に
    伸びており、そのガイド本体の遠位末端を哺乳動物の頭蓋穿孔中へ挿入すると、
    該管腔が該哺乳動物の硬膜下腔と流体連絡している、硬膜下挿入ガイドと からなる硬膜下カテーテル挿入用キット。
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