JP2001518294A - プレセニリンと相互作用することが可能なタンパク質をコードする核酸 - Google Patents

プレセニリンと相互作用することが可能なタンパク質をコードする核酸

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JP2001518294A JP2000513944A JP2000513944A JP2001518294A JP 2001518294 A JP2001518294 A JP 2001518294A JP 2000513944 A JP2000513944 A JP 2000513944A JP 2000513944 A JP2000513944 A JP 2000513944A JP 2001518294 A JP2001518294 A JP 2001518294A
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メルカン,リユツク
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アバンテイス・フアルマ・エス・アー
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Abstract

(57)【要約】 本発明は新規ヌクレオチド及びペプチド配列とその医薬的使用に関する。より詳細には、本発明はプレセニリンと相互作用することが可能なタンパク質をコードする核酸に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は新規ヌクレオチド及びペプチド配列とその医薬的使用に関する。より
詳細には、本発明はプレセニリンと相互作用することが可能なタンパク質をコー
ドする核酸、前記タンパク質の製造方法及び前記タンパク質を含む組成物に関す
る。
【0002】 アルツハイマー病は最も一般的な痴呆症である。その総発生頻度は年齢と共に
増加し、65歳以上では5〜10%、80歳以上では20%である。
【0003】 現状では特別な治療法はなく、対処的処置しか患者に施すことができない。こ
の疾病は正確な早期診断法がなく、大脳の死後組織分析後にしか実際に確認され
ない。
【0004】 アルツハイマー病は老年斑、ニューロン神経原線維変性、皮質レベルのニュー
ロンの損失及び萎縮等の組織徴候を構成する器質的大脳病変に結び付けられてい
る。
【0005】 病因は複雑であり、多数の遺伝子が関係しているが、これらの遺伝子が関与す
る種々の病態生理機構は完全には分かっていない。
【0006】 初老痴呆については、65歳未満の患者に観察される大脳の解剖学的変質との
関連が報告されている。現状では、同一特徴をもつ初老(65歳未満)痴呆と老
年痴呆(65歳以上)を「アルツハイマー型痴呆」と総称している。
【0007】 疾病の形態は遺伝に無関係な散発性形態と家族性形態の2種類が存在する。
【0008】 散発性疾病形態のほうが高頻度であり、患者の60〜90%を占め、65歳以
上では更に高い。病理の原因は症例の大半で不明である。しかし、頭部外傷、炎
症、感情ショック又は大きなストレスの刺激が発病確率を増すことが立証されて
いる(Seubertら,1992)。
【0009】 家族性疾病形態は症例の10〜40%を占める。家族性形態は晩発形態(65
歳以上)と早発形態(65歳未満)の2種類に分類される。早発の場合には、疾
患は優性常染色体形質により伝達される。
【0010】 1992年に遺伝子座AD3の存在が染色体14で明らかになり、1995年
にはプレセニリン1(PS−1)の遺伝子が単離された(遺伝子は最初はS18
2と命名された)(Sherringtonら,1995)。極早発性の疾病形
態(55歳未満)の70%にはプレセニリン1の遺伝子の突然変異が関与してい
る。早発形態の症例で染色体1に位置するプレセニリン2の遺伝子の突然変異に
結び付けられるものは非常に稀である(Levy−Lahadら,1995)。
この遺伝子はプレセニリン1の遺伝子と67%の相同度をもつ。
【0011】 遺伝子は12個のエキソンから形成され、エキソン3〜12がタンパク質をコ
ードする。遺伝子は偏在的に発現され、2.7kbの主要転写産物と7.5kb
の副次的転写産物を生成する(Kovacs,1996)。タンパク質は467
個のアミノ酸を含み、膜タンパク質の構造をもつ。タンパク質は少なくとも8個
の潜在的膜貫通ドメインをもつ。報告されている突然変異に関係するコドンに対
応するアミノ酸はタンパク質全体に分布しており、疎水性領域(TM)にも親水
性環(BL)にも位置するが、TM2とBL6の2領域が特に重要である。
【0012】 現在、35種を越える点突然変異が報告されており、現在までに同定されてい
る点突然変異はほぼ全てが「ミスセンス」型である(即ち、タンパク質の配列上
の1アミノ酸の点変異)。他方、スプライシングに影響する別の型の突然変異も
最近報告されており(Perez−Turら,1995)、この場合には、遺伝
子はエキソン9の欠損により変異している。
【0013】 正常細胞におけるプレセニリンの役割はまだよく分かっていない。多数の仮説
が発表されている。これらの仮説の1つによると、プレセニリン1(PS−1)
は細胞トラフィックに役割を果たすとされる。この仮説は、PS−1がヒト神経
膠腫細胞で小胞体とゴルジ体のレベルに位置することを突き止めた免疫細胞化学
結果により裏付けられる(Kovacsら,1996)。更に、PS−1は細胞
交通とAPPのエンドサイトーシス及びタンパク分解の機構に役割を果たすとも
考えられている(DewjiとSinger,1996)。第3の仮説はPS−
1が細胞骨格、特にタウタンパク質に結合した微小管との相互作用に関与すると
いうものである(LewとWang,1996)。更に、その構造を考慮すると
、PS−1はシグナルの伝達に関与するGタンパク質に結合した受容体又は輸送
体又はイオンチャンネルの役割をもつと考えられる(Van Broeckho
ven,1995)。
【0014】 プレセニリンと相互作用するパートナーを研究することにより、プレセニリン
の正確な役割を解明することができると思われる。
【0015】 本発明者らはプレセニリンと相互作用することが可能なタンパク質をコードす
る核酸を見いだし、本発明を達成した。このような核酸の発見により、医薬とし
て使用可能な新規ポリペプチドの製造を予想することができる。
【0016】 従って、本発明の第1の目的はプレセニリンと相互作用することが可能なタン
パク質をコードするヌクレオチド配列に関する。
【0017】 特定態様によると、本発明のヌクレオチド配列はプレセニリンPS−1のH鎖
の全部又は一部と相互作用することが可能なタンパク質又はポリペプチドをコー
ドする。
【0018】 より好ましくは、本発明のヌクレオチド配列は配列番号1もしくはその誘導体
の全部もしくは一部又は配列番号2もしくはその誘導体の全部もしくは一部を含
む。
【0019】 本発明の意味では、誘導ヌクレオチド配列なる用語は、1個以上の遺伝的及び
/又は化学的修飾により得られ、遺伝コードの縮重により該当配列と異なる任意
配列と、これらの配列又はこれらの配列のフラグメントとハイブリダイズし、本
発明のポリペプチドをコードする任意配列を意味する。遺伝的及び/又は化学的
修飾とは、1個以上の残基の任意突然変異、置換、欠失、付加及び/又は修飾を
意味する。誘導体なる用語は該当配列に相同でありながら、他の細胞源、特にヒ
ト又は他の生物起源の細胞に由来する配列も含む。このような相同配列はハイブ
リダイゼーション実験により得ることができる。ハイブリダイゼーションは可変
ハイブリダイゼーション条件下で核酸バンクから天然配列又はそのフラグメント
をプローブとして使用することにより実施することができる(Maniatis
ら,1989)。
【0020】 本発明のヌクレオチド配列は人工起源でもよいし、そうでなくてもよい。例え
ば、ゲノム配列、cDNA、RNA、ハイブリッド配列又は合成もしくは半合成
配列が挙げられる。これらの配列は例えば上記配列に基づいて作製したプローブ
でDNAバンク(cDNAバンク、ゲノムDNAバンク)をスクリーニングする
ことにより得られる。このようなバンクは当業者に公知の慣用分子生物学技術に
より種々の起源の細胞から作製することができる。本発明のヌクレオチド配列は
化学的合成により作製することもできるし、バンクのスクリーニングにより得ら
れた配列を化学的又は酵素的に修飾する混合法により作製することもできる。一
般に、本発明の核酸は当業者に公知の任意技術により作製することができる。
【0021】 本発明はプレセニリンと相互作用することが可能なタンパク質又はポリペプチ
ドにも関する。好ましくは、本発明のポリペプチドはプレセニリンPS−1のH
鎖及び/又はプレセニリンPS−2のH鎖と相互作用することが可能である。よ
り好ましくは、プレセニリンPS−1のH鎖のアミノ酸配列310〜463と相
互作用することが可能なポリペプチドである。
【0022】 本発明の意味では、プレセニリンなる用語はプレセニリンPS−1及びPS−
2と、特にこれらのタンパク質の突然変異形態に対応するそれらの相同形態を意
味する。
【0023】 本発明は更に、配列番号1もしくは配列番号2の配列又はこれらの配列の誘導
体から選択されるペプチド配列の全部又は一部を含むポリペプチドにも関する。
【0024】 本発明の意味では、誘導ポリペプチド配列なる用語は、1個以上の遺伝的及び
/又は化学的修飾により得られ、配列番号1又は配列番号2に示す配列と異なる
が、プレセニリンと相互作用する能力をもつ任意ポリペプチド配列を意味する。
遺伝的及び/又は化学的修飾とは、1個以上の残基の任意突然変異、置換、欠失
、付加及び/又は修飾を意味する。
【0025】 このような誘導体は種々の目的で作製することができ、例えば、特に治療効力
を増したり、副作用を抑えたり、新規薬物動態学的及び/又は生物学的性質を与
える目的で作製することができる。
【0026】 誘導体なる用語は該当配列に相同でありながら、他の細胞源、特にヒト又は他
の生物起源の細胞に由来する配列も含む。
【0027】 更に、上記ペプチド配列のフラグメントでもよい。このようなフラグメントは
種々の方法で作製することができる。特に、当業者に公知のペプチド合成器を使
用することにより、本明細書に記載の配列に基づいて化学的に合成することがで
きる。所望ペプチドをコードするヌクレオチド配列を細胞宿主で発現させること
により遺伝子工学的に合成することもできる。この場合には、ヌクレオチド配列
はオリゴヌクレオチド合成器を使用することにより本明細書に記載のペプチド配
列と遺伝子コードに基づいて化学的に作製することができる。ヌクレオチド配列
は更に本明細書に記載の配列から当業者に公知の技術により酵素切断、連結、ク
ローニング等により作製することもできるし、これらの配列から作製したプロー
ブでDNAバンクをスクリーニングすることにより作製することもできる。
【0028】 本発明は更に、プレセニリンの活性を抑制、阻害、刺激又は調節するための本
発明のポリペプチドの使用にも関する。
【0029】 実際に、本発明のタンパク質によりプレセニリンの作用を調節し、特に突然変
異プレセニリンの活性を阻害又は抑制することが考えられる。
【0030】 本発明の別の目的は、本発明のヌクレオチド配列を含む細胞を前記配列の発現
条件下で培養し、生産されたポリペプチドを回収する本発明のポリペプチドの製
造方法に関する。この場合には、前記ポリペプチドをコードする部分を一般に細
胞宿主でその発現を可能にするシグナルの制御下におく。これらのシグナル(プ
ロモーター、ターミネーター、分泌リーダー配列等)の選択は使用する細胞宿主
により異なる。更に、本発明のヌクレオチド配列は自律又は組込み複製可能なベ
クターの一部を構成することができる。より詳細には、自律複製ベクターは選択
した宿主で自律複製配列を使用することにより作製することができる。組込みベ
クターについては、例えば相同組換えによりベクターの組込みを可能にする宿主
のゲノムの所定領域に相同の配列を使用することにより作製することができる。
【0031】 本発明は、本発明のヌクレオチド配列を含む核酸で形質転換された宿主細胞に
も関する。組換え経路により本発明のペプチドを生産するのに使用可能な細胞宿
主は真核宿主でも原核宿主でもよい。適当な真核宿主のうちでは、動物細胞、酵
母又は菌類を挙げることができる。特に、酵母としてはSaccharomyc
es、Kluyveromyces、Pichia、Schwanniomyc
es又はHansenula属を挙げることができる。動物細胞としては、CO
S、CHO、C127、ヒト神経芽腫細胞等を挙げることができる。菌類として
は、特にAspergillu種又はTrichoderma種を挙げることが
できる。原核宿主としては、大腸菌、バチルス又はストレプトミセス等の細菌を
使用することが好ましい。
【0032】 好適態様によると、宿主細胞は本発明の核酸を発現させ、これらの核酸から誘
導されるタンパク質を生産するための組換え酵母株が有利である。
【0033】 好ましくは、宿主細胞は本発明のタンパク質を生産するために、配列番号1又
は配列番号2の配列から選択される少なくとも1個の配列又は配列フラグメント
を含む。
【0034】 本発明の核酸配列の別の用途は薬剤として利用可能なアンチセンスオリゴヌク
レオチド又はアンチセンス遺伝子の使用である。アンチセンス配列は所与遺伝子
のコーディング鎖に相補的であり、従って、転写されたmRNAと特異的にハイ
ブリダイズしてそのタンパク質翻訳を阻害することが可能な小寸法のオリゴヌク
レオチドである。従って、本発明はプレセニリンと相互作用することが可能なタ
ンパク質の発現を少なくとも部分的に阻害することが可能なアンチセンス配列に
関する。このような配列は上記ヌクレオチド配列の全部又は一部により構成して
もよいし、断片化等又は化学的合成により得ることもできる。
【0035】 本発明の配列はアンチセンス配列をin vivo導入及び生産するため又は
プレセニリンの活性を調節することが可能なタンパク質もしくはポリペプチドを
発現させるために遺伝子治療の範囲で利用することができる。この点では、ウイ
ルス又は非ウイルスベクターに配列を組み込むと、in vivo投与すること
ができる。ベクターは当業者に公知の方法で獲得可能なプラスミドを利用できる
。本発明に適したウイルスベクターとしては、特にアデノウイルス、レトロウイ
ルス、アデノ随伴ウイルス又はヘルペスウイルス型のベクターを挙げることがで
きる。本発明は本発明のポリペプチドをコードする異種核酸配列を含む欠損組換
えウイルスにも関する。
【0036】 本発明によると、遺伝子治療の範囲で利用可能な上記ヌクレオチド配列又は対
応するmRNAとハイブリダイズすることが可能な合成又は非合成ヌクレオチド
プローブを作製することもできる。このようなプローブはプレセニリンの検出又
は遺伝子異常(スプライシング不良、多型性、点突然変異等)の検出のための診
断ツールとしてin vitro使用することができる。これらのプローブは他
の細胞源、好ましくはヒト起源の細胞から上記のようなペプチドをコードする同
種核酸配列を検出及び単離するために使用することもできる。本発明のプローブ
は一般に少なくとも10塩基を含み、例えば上記配列又はその相補鎖の完全配列
までを含むことができる。これらのプローブは使用前に標識することが好ましい
。そのためには、当業者に公知の技術を利用することができる(放射性、酵素標
識等)。
【0037】 本発明の別の目的は上記のようなポリペプチドに対するポリクローナル又はモ
ノクローナル抗体又は抗体フラグメントである。このような抗体は当業者に公知
の方法により作製することができる。特に、これらの抗体は配列番号1もしくは
2の配列又はその任意フラグメント又は誘導体から選択される配列をもつポリペ
プチドで動物を免疫した後、採血し、抗体を単離することにより作製することが
できる。これらの抗体は当業者に公知の技術によりハイブリドーマを作製して作
製することもできる。本発明の抗体又は抗体フラグメントは特にプレセニリンと
上記のようなポリペプチドの相互作用を阻害及び/又は検出するために使用する
ことができる。
【0038】 本発明の別の目的は、プレセニリンと本発明のポリペプチドの相互作用を完全
又は部分的に調節又は阻害することが可能な化合物の同定方法に関する。
【0039】 本発明のポリペプチドのモジュレーター又はリガンドの検出及び/又は単離は
、 −ある分子が本発明のポリペプチドに対して親和性をもつ場合に前記ポリペプチ
ドと前記分子の相互作用を可能にする条件下で前記分子又は場合により同定され
ていない種々の分子を含む混合物を前記ポリペプチドを発現する上記のような組
換え細胞と接触させる段階と、 −前記本発明のポリペプチドに結合した分子を検出及び/又は単離する段階によ
り実施される。
【0040】 特定態様では、本発明のこの方法はプレセニリンと本発明のポリペプチドの相
互作用のアゴニスト及びアンタゴニストの検出及び/又は単離に適している。
【0041】 本発明の別の目的は、上記方法により同定及び/又は獲得されたリガンド又は
モジュレーターの医薬としての使用に関する。このようなリガンド又はモジュレ
ーターは実際に所定の神経疾患を治療することができる。
【0042】 本発明は更に、少なくとも1種の上記ポリペプチドを有効成分として含む任意
医薬組成物に関する。
【0043】 本発明は少なくとも1種の上記抗体及び/又は抗体フラグメント及び/又はア
ンチセンスオリゴヌクレオチドを有効成分として含む任意医薬組成物と、少なく
とも1種の上記ヌクレオチド配列を有効成分として含む任意医薬組成物にも関す
る。
【0044】 更に、本発明は上記ペプチド、抗体及びヌクレオチド配列又はそのフラグメン
トを相互に又は他の有効成分と組み合わせた医薬組成物にも関する。
【0045】 本発明は更に、本発明のヌクレオチド配列をウイルス又は非ウイルス組換えベ
クターに組み込んだ組成物にも関する。
【0046】 本発明の医薬組成物はプレセニリンの活性を調節するために使用することがで
きる。より好ましくは、これらの組成物はプレセニリン、特にその突然変異形態
の活性を少なくとも部分的に抑制又は阻害することを目的とする。より好ましく
は、例えばアルツハイマー病やトリソミー21等の神経変性疾患の治療用医薬組
成物である。
【0047】 材料と方法 1)使用した酵母株は以下の通りである。
【0048】 S.cerevisiae YCM79(MATa,ade2,trp1,l
eu2,lys2,ura3,his3,gal4,gal80,met16:
:GAL1/10−URA3 lacZ,HIS3::Gal7−phleo )。
【0049】 S.cerevisiae PCY2(MATa,Dgal4,Dgal80
,ade2,trp1,leu2,lys2,his3 URA3::GAL1
/10−lacZ)。
【0050】 S.cerevisiae HF7C(MATa,ura3,his3,ad
e2,trp1,leu2,lys2,gal4,gal80,can,UR
A3::GAL4結合部位−CYC1−lacZ,LYS2::GAL1−HI
S3)。
【0051】 S.cerevisiae L40(MATa,his3,ade2,trp
1,leu2,lys2,URA3::LexA−lacZ,LYS2::Le
xA−HIS3)。
【0052】 2)使用した細菌株は以下の通りである。
【0053】 E.coli TG1(F’[traD 36,lacI,lacZ D
M15,proA],supE,thi−1,D(lac−pro AB
),D(hsdM−mcrB)5(rKmKMcrB)。
【0054】 E.coli BL21(DE3)(F−,ompT,hsdSB(rB
),gal,dcm,(DE3)。
【0055】 3)種々の株に使用した培地は以下の通りである。
【0056】 酵母の完全YPD培地: −Bacto−酵母エキス(10g/l)(Difco) −Bacto−ペプトン(20g/l)(Difco) −グルコース(20g/l)(Merk)。
【0057】 この培地は寒天(20g/l)を加えて凝固させ、オートクレーブにて110
℃で20分間滅菌することができる。
【0058】 酵母の最少YNB培地: −アミノ酸を含まないBacto−酵母窒素塩基(6.7g/l)(Difc
o) −グルコース(20g/l)(Merk)。
【0059】 この培地は寒天(20g/l)を加えて凝固させ、オートクレーブで滅菌する
ことができる。その後、栄養要求性酵母の増殖に必要なアミノ酸又は窒素塩基5
0mg/lを加える。細菌汚染を避けるためにアンピシリン100μg/mlも
加える。
【0060】 細菌の完全LB培地: −Bacto−酵母エキス(5g/l)(Difco) −Bacto−トリプトン(10g/l)(Difco) −NaCl(5g/l)(Difco) この培地は寒天(12g/l)を加えて凝固させ、オートクレーブで滅菌する
ことができる。アンピシリン又はカナマイシン100μg/mlを加え、対応す
る耐性マーカーをもつプラスミドにより形質転換された細菌を選択する。
【0061】 4)使用したプラスミドは以下の通りである。
【0062】 ベクターpGBT9(図6(a))は大腸菌と酵母で増殖及び選択可能な5.
5kbのシャトルプラスミドである。このベクターはColE1複製起点及びア
ンピシリン耐性遺伝子(大腸菌における増殖と選択)と、2mm複製起点及びT
RP1遺伝子(トリプトファンの合成を欠損するtrp1−酵母における選択)
をもつ。このプラスミドはGAL4のDNA結合ドメイン(DBD)と着目ペプ
チドの融合タンパク質を酵母で発現させるために使用する。このプラスミドは、
いずれもアルコールデヒドロゲナーゼをコードするADH1遺伝子のプロモータ
ーとターミネーターの間に配置された多重クローニング部位をGAL4のDBD
領域の下流にもつ。GAL4のDBDは核局在シグナル配列を含む。
【0063】 PS−1の種々の部分に対応する配列をEcoRI/SalIクローニング部
位に挿入した。
【0064】 ベクターpGAD10(図6(a))は6.6kbのシャトルプラスミドであ
る。このプラスミドは大腸菌で増殖及び選択できるようにColE1複製起点と
アンピシリン耐性遺伝子をもつ。このプラスミドは形質転換酵母を単離するため
に酵母(2mm)の複製起点と選択遺伝子LEU2も含む。このプラスミドはG
AL4の活性化ドメイン(AD)をコードする配列の下流でADH1のプロモー
ターとターミネーターの間に多重クローニング部位をもつ。GAL4のADは核
局在シグナル配列を含む。
【0065】 このプラスミドは市販ヒト大脳cDNAバンク(Clontech)を作製す
るために使用されている。cDNA配列をEcoRIクローニング部位に挿入し
た。
【0066】 ベクターpLex9(図6(b))は5kbのシャトルプラスミドである。p
GBT9と同様に、このプラスミドはColE1起点及びAmp遺伝子と、2
mm複製起点及びTRP1遺伝子をもつ。他方、DNA結合ドメインをコードす
る配列は細菌リプレッサーLexAの配列である。融合タンパク質の発現に有用
なプロモーターとターミネーターも遺伝子ADH1と同様である。LexAのD
BDはSV40の核局在シグナル配列を含む。
【0067】 PS−1のH鎖に対応する配列をEcoRI/SalIクローニング部位に挿
入した。
【0068】 ベクターpGEX−4T1(図6(b))は4.9kbの細菌プラスミドであ
る。このプラスミドはpBR322複製起点と、アンピシリン耐性遺伝子と、β
−ガラクトシダーゼ系を抑制するためのlacIq遺伝子をもつ。このプラスミ
ドはグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)タンパク質と着目ペプチド
の融合タンパク質を細菌で発現させるために使用する。このプラスミドはペプチ
ドをコードする配列を挿入するための多重クローニング部位をGSTの遺伝子の
下流にもつ。全体はIPTGにより誘導可能な高い発現レベルでtacプロモー
ターにより制御される。タンパク質の生産後、トロンビンで切断すると、トロン
ビンにより認識及び切断された配列が着目ペプチドとGSTの間に導入されるの
で、着目ペプチドをGSTから分離することができる。
【0069】 ベクターpET−29a(図6(c))は5.4kbの細菌プラスミドである
。このプラスミドはpBR322複製起点と、ファージf1の複製起点と、カナ
マイシン耐性遺伝子と、lacIq遺伝子をもつ。このプラスミドは、融合タン
パク質の検出と精製を容易にするS−Tag配列(プロテインSリボヌクレアー
ゼの触媒部分)とHis−Tag配列(10ヒスチジンのペプチド)に融合した
着目ペプチドを細菌で発現させるために使用する。T7転写プロモーターはIP
TG誘導後に強力な発現を可能にする。トロンビンにより認識及び切断される配
列をS−Tag配列とHis−Tag配列の間に導入した。
【0070】 5)使用した合成オリゴヌクレオチド: PS−1の親水性領域に対応するDNAフラグメントを得るために、PS−1
の配列(Sherringtonら,1995)から種々のオリゴヌクレオチド
対を選択した。これらのオリゴヌクレオチドを用いてPCR増幅後に配列の5’
にEcoRI部位、3’にSalI部位を導入することができる。
【0071】 オリゴA CAA GAA TTC TGT CCG AAA GGT CC
A CTT(配列番号3) オリゴB CAA GTC GAC TCA GGT TGT GTT CC
A GTC TCC(配列番号4)。
【0072】 オリゴヌクレオチドA及びBはH鎖に由来するフラグメントBL6及びBMを
得るために使用した。
【0073】 オリゴC CAA GAA TTC TCA ACA ATG GTG TG
G TTG(配列番号5) オリゴD CAA GTC GAC TCA TTC CTC TGG GT
C TTC ACC(配列番号6)。
【0074】 オリゴヌクレオチドC及びDはH鎖の短い領域に由来するフラグメントBRを
得るために使用した。
【0075】 オリゴE CAA GAA TTC ACA TTA TTA CTC CT
T GCC(配列番号7) オリゴF CAA GTC GAC TCA GAT ATA AAA TT
G ATG CAA(配列番号8)。
【0076】 オリゴヌクレオチドE及びFはPS−1のC末端部分に由来するフラグメント
Ctを得るために使用した。
【0077】 オリゴG CAA GAA TTC ATG ACA GAG TTA CC
T GCA(配列番号9) オリゴH AA GTC GAC TCA ATG CTT GGC GCC ATA TTT(配列番号10)。
【0078】 オリゴヌクレオチドG及びHはPS−1のN末端部分に由来するフラグメント
Ntを得るために使用した。
【0079】 オリゴヌクレオチドI、J及びKを使用してプラスミドpGBT9及びpGA
D10のインサートを増幅及び配列決定した。これらのオリゴヌクレオチドは夫
々GAL4のDBD、GAL4のAD及びADH1ターミネーターの配列に相補
的である。
【0080】 オリゴI GCG ACA TCA TCA TCG GAA GAG AG
(配列番号11) オリゴJ CTA TTC GAT GAT GAA GAT ACC CC
(配列番号12) オリゴK GGC GAA GAA GTC CAA AGC(配列番号13
)。
【0081】 6)分子生物学法 プラスミドDNAの調製 Maniatisら(1989)に記載されているプロトコールに従って、プ
ラスミドDNAの少量及び大量調製を実施した。
【0082】 熱安定Taqポリメラーゼによる連鎖増幅(又はPCR) PCRは熱安定ポリメラーゼ用プライマーとして用いるオリゴヌクレオチド(
約20bp)が固定可能な2つの既知領域間でDNA配列を増幅することができ
る。反応はDNA鋳型(50ng)、dNTP(0.2mM)、PCR緩衝液(
10mM Tris−HCl,pH8.5,1mM MgCl,5mM KC
l,0.01%ゼラチン)、2種のオリゴヌクレオチド(各500ng)及びA
mpli Taq DNAポリメラーゼ2.5IUの存在下に最終容量100μ
l中で実施する。混合物をパラフィン油2滴で覆い、試料の蒸発を制限する。
【0083】 使用したプログラムは32サイクルであり、鋳型変性1サイクル(95℃、5
分)と、30サイクル(95℃で1分変性、50℃で1分DNA鋳型にオリゴヌ
クレオチドのハイブリダイゼーション、72℃で1分Taqポリメラーゼによる
伸長)と、最後に最終伸長1サイクル(72℃、5分)とした。
【0084】 PCRは指数増殖期に細菌又は酵母培養物で直接実施することができる。
【0085】 蛍光配列決定 使用した配列決定法はSangerら(1977)の方法をApplied
Biosystemsにより開発された蛍光配列決定に応用した。使用したプロ
トコールはシステムの設計者(Perkin Elmer,1995)により記
載されている通りである。
【0086】 連結によるDNAフラグメントのプラスミド挿入 プラスミドDNA又はPCR反応に由来するインサートとプラスミドベクター
を夫々の緩衝液(Biolabs)中でDNA1μg当たり1Uの制限酵素で1
時間消化する。酵素はインサートをベクターの他のドメインとインフレーム導入
するようにクローニング部位に応じて選択する。
【0087】 BET0.5μg/mlを加えたTBE(90mM Tris,90mM硼酸
,2mM EDTA,pH8)中で作製した0.8%アガロース「調製用」ゲル
上で電気泳動により消化フラグメントをサイズに従って分離する。青色試薬(1
/10容量)を試料に加えた後、分子量マーカー(1Kbラダー、Gibco
BRL)の側でゲルにロードする。TBE中90V/cmの定電圧で泳動させる
【0088】 塩基間に挿入されたBETの蛍光によりDNAを紫外線検出する。所望サイズ
のDNAフラグメント(ベクターとインサート)を含むゲルフラクションをメス
で切断し、TBEを収容する透析チューブに導入し、15分間100Vで電気泳
動させる。その後、ゲルから抽出したDNAを回収し、フェノール/クロロホル
ム/イソアミレート(25/24/1)1容量で処理し、0.25M NaCl
の存在下に無水エタノール3容量で沈殿させ、70%エタノールで1回洗浄し、
乾燥し、最後にHO20μlに取る。
【0089】 ゲル上でベクターとインサートの夫々の量を算定後、総容量20μl中、T4 DNAリガーゼ40IU、最終1X連結用緩衝液(50mM Tris−HC
l,pH7.5,10mM MgCl,10mM DTT,1mM ATP)
の存在下にベクターとインサートを1/1比で混合する。20℃で少なくとも1
時間連結させる。
【0090】 プラスミドによる細菌の形質転換 1)所謂「TSB」法(ChungとMiller,N.A.R.vol 1
6,1988による)はDMSO処理により細胞壁を脆化させて細胞にDNAを
導入する。その効率はDNA1μg当たり形質転換細胞10個である。細菌を
液体LB培地で撹拌下に約3時間培養する(A600=0.6まで)。培養液を
3000rpmで10分間遠心し、ペレットをTSB(LB培地、10%PEG 4000 ,5%DMSO,10mM MgCl,10mM MgSO)によ
り初期容量の1/10にとり、15分間4℃でインキュベートする。DNA約5
0ng(連結産物10μl)をコンピテント細菌100μlに加えた後、混合物
を30分間4℃でインキュベートする。TSBglu(TSB,20mMグルコ
ース)の添加と37℃で45分間インキュベーション後、プラスミドに担持した
耐性遺伝子に対応する抗生物質を加えたLB培地に細菌を播く。
【0091】 2)エレクトロポレーションはTSB法よりも1000倍有効な方法であり、
(例えば酵母に含まれるプラスミドの抽出後のように)DNAが非常に少量の場
合に使用される。この方法は電気ショックにより細胞壁を脆化させてDNAを細
胞に導入する。
【0092】 細菌を液体LB培地で撹拌下にA600=0.6まで培養する。培養液を予め
15分間4℃でインキュベートし、3000rpmで10分間遠心し、ペレット
を氷水1容量、氷水1/2容量及び10%氷グリセロール1/5容量で順次洗浄
する。各洗浄間に細菌を10分間3000rpmで遠心し、最終的に10%氷グ
リセロール1/1000容量に取る。この細菌懸濁液40μlをエレクトロポレ
ーション槽でDNA1μlと混合する。槽をGene Pulser BioR
adに入れ、細菌に電気ショック(25mF,2.5kV,200W)を与える
。37℃で45分間インキュベーション後、選択用抗生物質を加えたLB培地に
細菌を播く。
【0093】 膜転写(又はノーザンブロット)後のmRNAのハイブリダイゼーション 使用した膜は、種々のヒト組織に由来するmRNAが既に転写及び固定されて
いる市販Clontechニトロセルロース膜である。
【0094】 Amershamの「Rediprime DNA Labelling S
ystem」プロトコールに従って放射性DNAプローブを作製する。このプロ
トコールによると、10分間37℃でインキュベーション後にDNAフラグメン
ト中に55%を上回る[32P]dCTP(50mCi)取り込み率が得られ、
2時間ハイブリダイゼーションと一晩オートラジオグラフィー後に0.5pgに
等価のRNAバンドを検出することができる。
【0095】 膜をハイブリダイゼーション溶液(1M NaCl,10mM NaHPO ,pH7.4,10mg/ml Ficoll,10mg/mlポリビニルピ
ロリドン,10mg/ml BSA,100mg/mlサケ精子DNA,2%S
DS)8mlと約2時間42℃で撹拌下にプレインキュベートした後、ハイブリ
ダイゼーション溶液8mlと混合したプローブ2.10cpm/mlと24時
間42℃で撹拌下にハイブリダイズし、その後、洗浄溶液1(0.3M NaC
l,30mMクエン酸ナトリウム,pH7,0.05%SDS)で数回濯ぎ、こ
の同一溶液で40分間洗浄し、洗浄溶液2(15mM NaCl,1.5mMク
エン酸ナトリウム,pH7,0.1%SDS)中、40分間50℃でインキュベ
ートし、最後にオートラジオグラフィーにかける。
【0096】 7)二重ハイブリッドシステムの方法 システムの原理 二重ハイブリッドシステムは1989年以来SongとFieldsにより開
発され、酵母Saccharomyces cerevisiaeにおけるin
vivo相互作用によるクローニング法である。このシステムは所定の真核ト
ランスアクチベーターが特異的配列に固定するDNA結合ドメイン(DBD)と
転写機構(polII RNA)を強化する活性化ドメイン(AD)の2領域し
かその機能に必要としないという事実に基づく。2領域が分離していると、AD
は正しく配置できず、転写は誘導されない。
【0097】 このシステムでは、DBDをタンパク質Xに融合し、ADをタンパク質Yに融
合する。タンパク質Xとタンパク質Yが相互作用するならば、機能的トランスア
クチベーター複合体が形成され、DBDにより認識される配列の下流に配置され
たレポーター遺伝子の発現を誘導する。遺伝子の発現により、2種のタンパク質
間の相互作用を間接的に検出することができる。
【0098】 1又は2種の異なるプラスミドによる酵母の形質転換 Gietz(Gietzら,1995)により記載されている方法に従い、L
iAc/PEG処理により酵母をコンピテントにする。
【0099】 酵母をYPD固体培地で28℃で一晩培養する。次に、滅菌溶液I(0.1M LiAc,10mM Tris−HCL,1mM EDTA,pH7.5)1
mlに再懸濁し、1分間3000rpmで遠心し、再び溶液I 1mlにとる。
次に、懸濁液50μlをサケ精子DNA(キャリヤーDNA)5μg、プラスミ
ドDNA1〜5μg及び滅菌溶液II(0.1M LiAc,10mM Tri
s−HCl,1mM EDTA,pH7.5,50%PEG4000)300μ
lと混合する。混合物を30分間28℃でインキュベートした後、20分間42
℃で熱ショックを与える。1分間3000rpmで遠心後、細胞を滅菌水で1回
洗浄し、滅菌水100μlにとる。次に、その増殖に必要なアミノ酸と窒素塩基
を加えたYNB寒天培地に酵母を播く。形質転換酵母株を選択できるように、プ
ラスミドに担持した選択マーカーに対応するアミノ酸と窒素塩基は加えない。容
器を28℃のインキュベーターに3日間入れる。
【0100】 cDNAバンクによる酵母の形質転換 使用したcDNAバンクは正常ヒト(大脳外傷後に死亡した37歳男子)大脳
のmRNAから構成される市販バンク(Clontech)である。cDNAを
GAL4のAD領域の下流のEcoRI部位でプラスミドpGAD10にクロー
ニングした。インサートの平均寸法は1.4kb±標準偏差1kbである。バン
クを大腸菌DH5aで1回増幅すると、80%にインサートを含む独立クローン
1.2×10個が得られた。
【0101】 バンクの良好な適確性を維持するためには、形質転換細胞数をバンクの構築時
に得られる独立クローン数の2〜10倍にする必要がある。従って、良好な形質
転換効率(DNA100μg当たり形質転換細胞約10個)が得られるプロト
コールを使用する。
【0102】 PS−1の1領域に対応する配列を含むプラスミドpGBT9により予め形質
転換した酵母YCM79をYNB培地50ml+His+Lys+Ade+Me
t+Leu+Ura中28℃で撹拌下に一晩培養する。この予備培養物の光学密
度を測定し、1ml当たりの細胞数を算定すると、YPD培地250mlに接種
すべき容量を計算することができ、28℃で一晩撹拌後に細胞10個/ml(
約A600=0.8)の培養物が得られる。
【0103】 次に、3000rpmで10分間遠心して細胞を回収し、滅菌水100mlで
2回洗浄し、形質転換溶液I 10mlに取る。懸濁液を10分間3000rp
mで遠心し、細胞をこの同一溶液2.5mlに再懸濁する。懸濁液の一部を分取
し(200μl)、半量を非形質転換対照とし、残りの半量を形質転換効率が分
かっている対照プラスミドにより形質転換する。残りの懸濁液を1mg/mlの
cDNAプラスミドバンク100μl及び溶液II 20mlと混合する。混合
液を撹拌下に28℃で1時間、次いで42℃で20分間インキュベートした後、
15分間3000rpmで遠心する。細胞ペレットを1回水洗し、PBSで2回
洗浄し、酵母に毒性作用をもつPEGを完全に除去した後、滅菌PBS(50m
M NaHPO,10mM KCl,1mM MgSO,pH7)2.5
mlに取る。
【0104】 YNB培地250ml+His+Lys+Ade+Met+Uraにこの懸濁
液を播き、4時間28℃で撹拌下にインキュベートし、ハイブリッドタンパク質
を発現させ、場合により相互作用させ、レポーター遺伝子URA3を発現させる
。他方、この段階は結果的に陽性クローン数を増幅する。コロニー数の増幅率を
調べるために、このインキュベーション前後に培養液1mlを分取し、希釈率を
変えてYNB寒天培地+His+Lys+Ade+Met+Uraに播く。増殖
後、Leu+Trp+クローン数を測定し、インキュベーション期間前後の形質
転換頻度を評価し、増幅率を推算する。
【0105】 次に、細胞を10分間3000rpmで遠心し、滅菌水で2回洗浄し、NYB
10mlにとり、YNB選択培地200ml+His+Lys+Ade+Met
を各々入れた435cm容器10個に播く。容器を28℃のインキュベーター
に3日間入れる。
【0106】 酵母からプラスミドDNAの抽出 本方法はプラスミドと酵母に含まれるゲノムDNAを抽出する。プラスミドを
単離するためには、プラスミドDNAのみが増幅できる細菌を形質転換し、ミニ
調製後に各クローンを分析すればよい。プラスミドを含む酵母を選択NYB固体
培地で28℃で一晩培養する。次に、ガラスビーズ(直径450μm)とフェノ
ール/クロロホルム200mlの存在下に破砕溶液(2%Triton X10
0,1%SDS,100mM NaCl,10mM Tris,pH8,1mM EDTA)200mlに再懸濁する。混合物を15分間ボルテックスで撹拌し
た後、2分間14000rpmで遠心する。水相を1時間膜透析する。この溶液
をエレクトロポレーションによる細菌の形質転換に利用することができる。
【0107】 β−ガラクトシダーゼ活性の検出 本試験はβ−ガラクトシダーゼをコードするレポーター遺伝子LacZの形質
転換酵母における発現を確認する。
【0108】 ニトロセルロースシートを個々の酵母クローンに被せる。レプリカを液体窒素
に30秒ずつ3回浸し、酵母を破砕し、基質をβ−ガラクトシダーゼに接触でき
るようにする。次に、現場調製したPBS/Xgal溶液(PBS5ml中ジメ
チルホルムアミド40mg/mlを含むXgal基質溶液100μl)を染み込
ませたWhatman濾紙にコロニーを上にしてシートを重ね、試験する酵素活
性に最適な温度である37℃にする。
【0109】 β−gal活性を検出する青色の出現時間は数分から数時間まで非常に幅があ
る。試験はすぐに青変する相互作用陽性対照と白色のまま変わらない陰性対照の
存在下に実施する。
【0110】 滴注試験 本試験は酵母株の表現型を分析する。僅かに濁った酵母懸濁液1滴(約5ml
)を種々の選択及び非選択寒天培地に滴注し、28℃で2日間インキュベーショ
ン後に酵母の増殖を観察する。
【0111】 プラスミドの分離 本試験は形質転換した酵母の表現型がプラスミドの存在に十分に結び付けられ
るか否かをプラスミド分離により試験する。
【0112】 酵母を完全YPD培地にて28℃で一晩培養する。この非選択培地は細胞分裂
後にプラスミドを維持するか否かに関係なく酵母を増殖させることができる。2
8℃で一晩インキュベーション後にYPD培地容器当たり50〜100クローン
を得るようにこの培養液を種々の希釈率で播く。その後、種々の選択培地でクロ
ーンの表現型を簡単にレプリカ試験し、28℃で2日間インキュベーション後に
プラスミドを含まない細胞の頻度を算定することができる。
【0113】 8)in vitro相互作用試験のための方法 試験原理 本試験は、アフィニティークロマトグラフィー生化学法を使用することにより
2種のタンパク質間の相互作用を確認する。デコイタンパク質を予め固定してお
いた支持体にタンパク質の予想パートナーの1個を含む細胞抽出液を加える。タ
ンパク質とその潜在的パートナーの間に相互作用が存在するならば、このパート
ナーも支持体に保持される。
【0114】 大腸菌における融合タンパク質の発現 IPTG(Studier,1991)により誘導可能な発現ベクターpET
及びpGEXにより、融合タンパク質を大腸菌BL21(DE3)で生産させる
【0115】 選択用抗生物質(pGEXにはアンピシリン、pETにはカナマイシン100
μg/ml)を加えたLB培地で組換えプラスミドにより予め形質転換しておい
た細菌BL21(DE3)を撹拌下に一晩培養する。この予備培養液5mlをL
B培地45ml+抗生物質に接種し、37℃で1時間撹拌後にA600=0.6
の培養液を得る。次に0.1mM IPTGを加えてタンパク質の生産を誘導し
、細菌を37℃で1時間〜4時間再度撹拌する。6000rpmで5分間遠心し
てタンパク質を発現する細胞を回収する。ペレットは−20℃で保存できる。
【0116】 細菌で生産されたタンパク質の抽出と分析 融合タンパク質を含む細菌ペレットをTE(50mM Tris−HCl,p
H8,2mM EDTA)5mlに再懸濁する。細胞を終濃度0.1mg/ml
のリゾチームと1% Triton X−100で溶解する。細胞溶解液を15
分間30℃でインキュベートした後、氷中に入れ、細菌懸濁液が流動性になるま
で超音波にかける。細菌溶解液を4℃、10000rpmで15分間遠心する。
可溶化融合タンパク質を含む上清は−20℃で保存できる。
【0117】 この段階では、得られた種々のフラクションを変性ゲル電気泳動(SDS−P
AGE)により分析する。遠心分離前の細菌懸濁液(全フラクション)60μl
、上清(可溶性フラクション)60μl及びTE5mlに再懸濁したペレット(
不溶性フラクション)60μlを分取する。各フラクションに含まれるタンパク
質を1/4容量の青色試薬4×L(0.2M Tris−HCl,pH6.8,
5%SDS,5%グリセロール,0.5%2−メルカプトエタノール、ブロモフ
ェノールブルー)の存在下に10分間95℃で変性させ、12%SDSポリアク
リルアミドゲルにロードし、電気泳動により分子量に従って分離する。125V
/cmで泳動後、ゲルのクーマシーブルー着色によりタンパク質を検出する。
【0118】 タンパク質の可溶化 大腸菌で外来遺伝子を発現させる際には封入体を形成する外来タンパク質の凝
集体が出現することがある。その場合、組換えタンパク質は遠心分離により容易
に精製できるが、可溶化しにくいことが多い。
【0119】 不溶性フラクション中に存在するタンパク質を6M尿素と10mM DTTに
より10分間37℃で変性させた後、3種の連続緩衝液(5mM Tris−H
Cl,pH8/2M尿素,5mM Tris−HCl,pH8/1M尿素,5m
M Tris−HCl,pH8)で少なくとも6時間ずつ透析して再生させる。
10000rpmで15分間遠心後、−20℃で保存可能な上清中に約5〜10
%のタンパク質が存在する。
【0120】 アフィニティークロマトグラフィー 良好な条件でタンパク質を保持するためには、試料のタンパク質濃度を40m
g/ml以上にすべきである。この濃度は比色分析法(例えばBradford
試薬)により計算することができる。
【0121】 非融合GST又はGST−BM(プレセニリン1の突然変異鎖)を含む可溶性
フラクション200μlを「グルタチオン樹脂」300μlの存在下に2分間2
0℃でインキュベートする。ビーズに保持されなかったフラクションを分取する
。樹脂を洗浄用緩衝液(20mM Tris−HCl,pH8,150mM N
aCl,0.1% Triton X100)で4回洗浄し、非特異的吸着によ
り固定したタンパク質を除去する。GST又はGST−BMを結合した樹脂15
0μlを、STag又はSTag−Pep126を含む可溶性フラクション60
0μlと共に1時間4℃で撹拌下にインキュベートする。次に、アガロースビー
ズを1分間3000rpmで遠心し、保持されなかったフラクションの分取後に
洗浄用緩衝液で4回洗浄する。
【0122】 各フラクション(可溶性、非保持及びビーズに保持)のアリコートを青色試薬
の存在下に95℃で変性後にSDS−PAGEゲルにロードし、電気泳動により
分離する。次に、タンパク質をニトロセルロース膜に移した後、膜をポンソーレ
ッド(20μg/ml)で着色し、タンパク質の転写が確かに行われたことを確
認する。
【0123】 STagと融合したタンパク質を特異的に検出できるように、ニトロセルロー
ス膜をTBST(10mM Tris−TCl,pH8,150mM NaCl
,0.1% Tween20)中1%ゼラチンで15分間飽和し、アルカリホス
ファターゼに結合したプロテインSと共に15分間インキュベートする。TBS
Tで4回洗浄後、Novagen法によりNBTとBCIPを含む緩衝液PA
1Xを加えてアルカリホスファターゼの活性を検出する。
【0124】 9)哺乳動物細胞における組換えタンパク質の発現方法 哺乳動物細胞発現ベクターの構築 哺乳動物細胞で発現させるために、配列番号1及び2を強力なウイルスプロモ
ーター(CMV)の制御下に慣用方法によりベクターにサブクローニングした。
【0125】 細胞のトランスフェクション COS1細胞又はCHO細胞に確立されている方法は、DNAの圧縮とトラン
スフェクション効率を最適化するために、DNAに対して1:8(重量/重量)
の比のリポフェクタントと、同一比の合成ペプチド(H1)を使用している。こ
の方法は特にリポフェクタントの正電荷によりDNAのリン酸の電荷を中和する
ものである。
【0126】 37℃、湿度95%及びCO5%のインキュベーターでグルコース(Gib
co−BRL)4.5g/lを加えたDMEM培地(ダルベッコの変形イーグル
培地)にL−グルタミン3%、ペニシリン−ストレプトマイシン1%及びウシ胎
児血清10%を補充してCOS1細胞を培養する。
【0127】 トランスフェクションの前日に100mm容器当たり細胞2.5x10個の
密度で細胞を播種する。トランスフェクションの当日に細胞をPBS(リン酸緩
衝塩類)で2回、OptiMEM(特許組成物,Gibco−BRL)で1回濯
ぎ、インキュベーターで少なくとも15分間馴化する。
【0128】 100mm容器等量当たり、プラスミドDNA合計8μgをOptiMEM
300μl及び合成ペプチド(H1)64μgに加える。10秒間激しくボルテ
ックスした後、5分間の待機後にOptiMEM 300μlで希釈したリポフ
ェクトアミン(32μl,即ち64μg)を先の混合物に加える。全体を再び激
しくボルテックスした後、30分間放置する。各チューブに5mlのOptiM
EMを加え、ボルテックスした混合液を(予め培地を吸引しておいた)細胞に重
層する。次に、細胞をインキュベーターに4時間入れ、その後、混合物を完全培
地に交換する。
【0129】 細胞溶解とタンパク質定量 最も多くの場合には、細胞をトランスフェクションから48時間後(通常発現
最大)に溶解させる。溶解用緩衝液は10mM Tris,pH7.5、1mM
EDTA、1% Triton X100、1% NP40及びプロテアーゼ
インヒビターカクテル(Complete,Boehringer−Mann
heim)を含む。各プレートをPBSで濯いだ後に冷緩衝液800μlを加え
る。次に、溶解液を音波処理した後、4℃で一晩磁気バーで撹拌する。30分間
15000xgで遠心し、上清からペレットを分離する。
【0130】 次に、下記実験を標準化できるようにBCAキット(Pierce)により可
溶性タンパク質を定量する。
【0131】 免疫転写 試料(細胞溶解液)を等容量のローディング緩衝液(125mM Tris,
pH6.8,4%m/v SDS,20%グリセロール,0.02%ブロモフェ
ノールブルー,50mMジチオトレイトール)中、95℃で5分間変性させる。
プレセニリンの発現の分析に際しては、95℃でプレセニリンに固有の凝集を避
けるために試料を8M尿素の存在下に37℃で変性させる。
【0132】 識別する分子量に応じてアクリルアミド百分率を変えながら、Tris−Gl
ycine(Novex)ゲルに試料をロードする。分子量マーカー(Broa
d Range,BioRad)もロードする。最終1X SDS(Novex
)緩衝液中で100Vの定電圧で約2時間泳動させる。次に、ゲルをニトロセル
ロース又はPVDF膜(10%メタノールを含む最終1X転写緩衝液(Nove
x))に50mAの定電流で2時間転写する。
【0133】 転写後、2%脱脂乳を含むPBS−T(0.5%Tweenを含むPBS)(
Merck)50mlで周囲温度で2時間膜をブロックする。一次抗体(2%脱
脂乳を含むか又は含まないPBS−Tで約1/1000〜1/5000の最適濃
度に希釈)を一晩4℃で放置する。PBS−Tで短時間濯いだ後、膜を所謂「E
CL」緩衝液(20mM Tris,150mM NaCl,0.1%Twee
n)で1/5000に希釈した二次抗体(場合に応じて西洋ワサビペルオキシダ
ーゼに結合した抗マウス又は抗ウサギIgG)の存在下に45分間インキュベー
トする。
【0134】 次に、膜を「ECL」緩衝液で4×15分間濯ぐ。膜は2種の緩衝液を現場で
等容量混合することにより構成されるECL試薬(Amersham)により検
出することができる。写真フィルム(Hyperfilm ECL,Amers
ham)の種々の露光後に現像する。
【0135】 実施例 実施例1:大脳cDNA融合バンクのスクリーニングによるPS−1の特異的
パートナーの単離 タンパク質PS−1の特異的パートナーを単離する目的で、二重ハイブリッド
法によりヒト大脳cDNAバンクをスクリーニングした。GAL4のADと融合
したcDNAバンクを使用し、PS−1の親水性領域をGAL4のDBDと融合
することにより種々のデコイタンパク質を構築した。
【0136】 1.1 GAL4のDBDとPS−1の親水性領域の融合タンパク質の発現を 可能にするベクターの構築 PS−1の種々の親水性領域に対応する配列をGAL4のDBDの配列と同一
の読み枠に導入したベクターpGBT9により5種の融合タンパク質を作製した
。N末端領域(Nt,コドン1〜81)、H鎖(BL6,コドン263〜407
)、L286V突然変異をもつH鎖(BM)、H鎖の短い領域(BR,コドン2
90〜376)及びタンパク質のC末端部分(Ct,コドン421〜467)と
相互作用するタンパク質を同定することにした。
【0137】 PS−1のcDNAの完全配列からPCRによりこれらの各領域に対応するD
NAフラグメントを得た。使用した種々のオリゴヌクレオチドは各増幅配列の末
端にEcoRI部位とSalI部位を導入することができた。こうして、GAL
4のDBDの配列の下流でpGBT9の多重クローニング部位のEcoRI部位
とSalI部位の間にPCRフラグメントをインフレーム挿入することができた
。得られた各構築物pGBT−Nt、pGBT−BL6、pGBT−BM、pG
BT−BR及びpGBT−CtをDNA配列決定により確認した。この確認の結
果、フラグメントはPCRにより生じた突然変異を含まず、確かにGAL4のD
BDの配列と同一のオープンリーディングフレーム内にあることが分かった。
【0138】 1.2 GAL4のDBDとPS−1の親水性領域の融合タンパク質を発現す る酵母株の獲得 2種の異なるプラスミドによる酵母の同時形質転換は単一プラスミドによる形
質転換よりも頻度の低い現象であるので、cDNAバンクのスクリーニング時に
できるだけ最良の効率が得られるように、デコイタンパク質をコードするベクタ
ーで予め形質転換した酵母株を使用した。
【0139】 このために、酵母株YCM79をプラスミドpGBT−Nt、pGBT−BL
6、pGBT−BM、pGBT−BR及びpGBT−Ctの各々で形質転換した
。これらのプラスミドを含む酵母をトリプトファン欠失培地でTrp+表現型に
ついて選択し、夫々yNt、yBL6、yBM、yBR及びyCtと命名した。
各株におけるこれらの各プラスミドの存在は、インサートの5’及び3’に位置
するDBD及びtADH1配列に相補的なオリゴヌクレオチドを用いて酵母で直
接PCRを実施することにより確認した。得られたPCRフラグメントの寸法か
らyBL6及びyBM株以外の各株を識別することができる。
【0140】 1.3 PS−1の親水性領域を含む融合タンパク質のトランスアクチベータ ー活性及びGAL4のADとの相互作用の試験 融合タンパク質がトランスアクチベーター活性をもつか又はGAL4のADと
相互作用する場合には、完全タンパク質−タンパク質間相互作用以外は常に陽性
応答を与えるので、二重ハイブリッドシステムでデコイとして使用することがで
きない。
【0141】 そこで、第1の試験ではPS−1の親水性領域がGAL4のADと融合してい
る場合、即ち単独でレポーター遺伝子の転写を誘導できる場合にはトランスアク
チベーター活性をもたないことを確認する。この種の活性は、例えば融合タンパ
ク質における酸性ドメインの存在に結び付けることができる。
【0142】 この試験では、レポーター遺伝子LacZ及びURA3の発現をyNt、yB
L6、yBM、yBR及びyCt株で直接試験した。
【0143】 融合タンパク質とGAL4のADの相互作用の不在を試験する第2の試験では
、GAL4のADをコードするプラスミドpGAD424(pGAD10と等価
)により表現型Trp+Leu−のyNt、yBL6、yBM、yBR及びyC
t株を形質転換した。トリプトファンもロイシンも含まない培地で酵母を選択し
、得られたクローンで相互作用を試験することが可能なレポーター遺伝子Lac
Z及びURA3の発現を試験した。
【0144】 全ての場合に、β−ガラクトシダーゼ活性試験の結果とウラシルを含まない選
択培地への滴注試験の結果は陰性であった。
【0145】 従って、PS−1の親水性部分を含む融合タンパク質は固有トランスアクチベ
ーター性をもたず、GAL4の活性化ドメインと相互作用しない。従って、バン
クのスクリーニングにデコイタンパク質として使用することができる。
【0146】 1.4 cDNA融合バンクによる種々の酵母株の形質転換 融合バンクのスクリーニングにより、デコイタンパク質と相互作用するGAL
4のADに融合したペプチドを発現するクローンを同定することができる。この
相互作用が存在する場合には、デコイタンパク質を含む株でレポーター遺伝子U
RA3及びLacZの発現を誘導することが可能な機能的トランスアクチベータ
ーを再構成できる筈である。
【0147】 スクリーニングが適確であるためには、バンクを構成する各独立プラスミドが
形質転換後の少なくとも1個の酵母クローンに存在していることが必要である。
そこで、理論的にバンクの独立プラスミド数よりも多数の形質転換細胞が得られ
るようなプロトコールを使用した(材料と方法の項参照)。
【0148】 表現型His−、Lys−、Ade−、Met−、Ura−、Leu−のyN
t、yBL6、yBM、yBR及びyCtの5株を融合バンクのプラスミドDN
A100μgで順次形質転換し、形質転換細胞をYNB培地+His+Lys+
Ade+Metで選択した。
【0149】 最初の選択後に、yNt株で表現型Ura+をもつクローン32個、yBL6
でUra+クローン450個、yBMで128個、yBRで250個、yCtで
67個が得られた。これらの形質転換細胞でβ−ガラクトシダーゼ活性試験を実
施し、第2のレポーター遺伝子LacZの発現を確認した。yNt株で1クロー
ン、yBL6株で1クローン、yBM及びyBR株で各2クローンの合計6個の
クローンがUra+,β−gal+の二重表現型を示し、yCtでは0であった
。これらのクローンを夫々yNt.A、yBL6.B、yBM.C、yBM.D
と命名した。
【0150】 実施例2:バンクからプラスミドの単離 PS−1の突然変異鎖又は短縮鎖と相互作用することが可能なタンパク質を同
定するために、酵母yBM.C及びyBM.Dに含まれるプラスミドを抽出した
。DNA調製物中に存在するプラスミドを使用してエレクトロポレーションによ
り細菌を形質転換した。
【0151】 得られた細菌クローンから抽出したプラスミドを種々の酵素で消化した。この
分析により5種の異なる制限プロフィルが判明した。
【0152】 酵母yBM.C及びyBM.Dから抽出したプラスミドの消化物はプラスミド
pGBT−BMに対応する共通プロフィルと、配列番号1に対応する2900b
pのインサート(pGAD−CはyBM.C株に由来)及び配列番号2に対応す
る1400bpのインサート(pGAD−DはyBM.D株に由来)を含むプラ
スミドpGAD10に対応する2種の異なるプロフィルを示す。
【0153】 2.1 種々の酵母株の形質転換による単離プラスミドの試験 大脳バンクプラスミドによる酵母の形質転換時には、数個の異なるプラスミド
が同一細胞に導入される場合がある。相互作用の結果が確かに単離プラスミドの
存在に起因し、余分なプラスミドに起因するものではないことを確認するために
、YCM79株とHF7C及びPCY2株でPS−1の種々の親水性領域に対し
てバンクスクリーニングからの融合タンパク質を更に試験した。
【0154】 HF7Cは2個のレポーター遺伝子HIS3及びLacZをもつ。遺伝子La
cZはYCM79株に存在するプロモーター環境とは異なるプロモーター環境を
もつため、β−gal+クローンの獲得が特定プロモーター環境ではなく、試験
したタンパク質間の相互作用に結び付けられることを確認することができる。P
CY2はトランスアクチベーターGAL4が機能的である場合に他の2種の株よ
りも強く発現されるただ1個のレポーター遺伝子LacZしかもたないという利
点がある。
【0155】 3種の酵母株YCM79、HF7C及びPCY2を種々のプラスミド対pGB
T−X/pGAD−Y(XはNt、BL6、BM、BR又はCtに対応し、Yは
C又はDに対応する)、pGBT9/pGAD424(陰性相互作用対照)及び
pGBT−CtAPP/pGAD−Fe65(陽性相互作用対照)(Russo
ら,1995)で形質転換した。各形質転換から3〜5個のクローンで栄養要求
性とβ−gal活性を試験した。容器の結果を図2に示す。
【0156】 試験感度の差を考慮すると、形質転換酵母YCM79及びHF7Cがウラシル
欠失又はヒスチジン欠失選択培地で発生する場合、即ちレポーター遺伝子の少な
くとも一方を確実に発現する場合に相互作用が確認される。
【0157】 応答の強度(コロニーの青色の濃淡と発生の多少)はレポーター遺伝子の発現
率に比例するとみなされる。この率の変動は種々の方法で説明することができる
。低率はトランスアクチベーターGAL4を再構成するタンパク質間の相互作用
が弱いためであると思われる。また、複合体の形成を不安定にする第3のタンパ
ク質の介在、あるいは酵母中の融合タンパク質の不安定性、あるいは酵母の状態
にも起因すると思われる。酵母は低転写活性状態にあると思われ、これは例えば
外来タンパク質の毒性の問題に結び付けられる。
【0158】 単離した大脳バンク融合タンパク質はPS−1のN末端部分及びC末端とは相
互作用しない。他方、親水性領域BL6、突然変異親水性領域BL6(BM)及
びこの領域の短縮形(BR)とはいずれも相互作用すると思われる。
【0159】 2.2 PS−1鎖を含まないタンパク質とバンク融合タンパク質の相互作用 試験 本試験では、バンクからの融合タンパク質がその構造、その電荷、その疎水性
によりデコイタンパク質(タイプIIIの偽陽性)又はGAL4のDBD(タイ
プIIの偽陽性)と非特異的に相互作用するか否かを調べる。
【0160】 YCM79、HF7C及びPCY2株をプラスミド対pGBT9/pGAD−
Y(YはC又はDに対応)、pGBT−LAM/pGAD−Y、pGBT9/p
GAD424(陰性対照)及びpGBT−CtAPP/pGAD−Fe65(陽
性対照)で形質転換した。pGBT9はGAL4のDBDを単独でコードし、C
lontech製品であるpGBT−LAMは、他のタンパク質の疎水性領域と
非特異的に相互作用するラミンとGAL4のDBDの融合タンパク質をコードす
る。
【0161】 その結果、こうして形質転換した酵母のうち、そのレポーター遺伝子を発現で
きるものは皆無であった。即ち、酵母YCM79は表現型Ura−,β−gal
−をもち、酵母HF7CはいずれもHis−,β−gal−であり、酵母PCY
2はβ−gal−であった。
【0162】 これらの結果は、こうして単離したバンク融合タンパク質がPS−1の親水性
領域BL6と特異的に相互作用するが、ラミン又はGAL4のDBDとは結合し
ないことを示唆している。
【0163】 2.3 PS−1鎖をコードする領域を含むベクターpLex9により形質転 換した酵母の相互作用試験 本試験では、タンパク質の相互作用はBL6の種々のフラグメントがGAL4
のDBDに融合している場合のみに示す構造に起因しないことを確認する。
【0164】 これを確認するために、フラグメントBL6及びBMを別のDBDである細菌
リプレッサーLexAのDBDに融合した。親水性鎖BL6と突然変異形の配列
をプラスミドpLex9のEcoRI/SalI部位のレベルでLexA遺伝子
に融合した2種の付加プラスミド構築物(pLex−BS及びpLex−BM)
を作製した。
【0165】 次に、LexAのオペレーター部位に複合体DBD−LexA/AD−GAL
4を固定することによりレポーター遺伝子HIS3及びLacZの発現を誘導す
る酵母株L40を形質転換した。プラスミド対pLex−BL6/pGAD−Y
(YはC又はDに対応)、pLex−BM/pGAD−Y、pLex−RAS/
pGAD−RAF(陽性相互作用対照)(Vojtekら,1993)及びpL
ex−RAS/pGAD424、pLex−BL6/pGAD424、pLex
−BL6/pGAD−RAF、pLex−BM/pGAD424、pLex−B
M/pGAD−RAF(陰性相互作用対照)との相互作用を試験した。
【0166】 ヒスチジンを欠失する選択培地への滴注試験とβ−gal活性試験の結果は、
試験したプラスミドpGAD−Yの種類に関係なくpLex−BL6を含む株で
は陽性であった。試験したプラスミドpGAD−Yの種類に関係なくpLex−
BMを含む株についても同様である。この試験の結果、得られる相互作用はPS
−1のBL6領域がGAL4のDNA結合ドメインに融合している場合に示す特
定コンホメーションに結び付けられないことが判明した。
【0167】 実施例3:スクリーニングからのプラスミドのインサートの同定 3.1 プラスミドpGAD−C及びpGAD−Dのインサートの配列決定 プラスミドpGAD−C及びpGAD−Dのインサートを完全に配列決定した
。まず、各インサートの始点と終点の配列を知るために、GAL4のADとtA
DH1の相補的オリゴヌクレオチドを使用して配列決定した。次に、各配列の末
端から合成オリゴヌクレオチドを構成し、両鎖で配列を伸ばしていった。こうし
て配列番号2に対応するインサートDの1400bpを完全に配列決定した。他
方、2900bpのインサートC(配列番号1)については、制限地図を作製し
た後、種々のフラグメントのサブクローニングを実施して配列全体を得ることが
必要であった。
【0168】 インサートDはその配列全体にオープンリーディングフレームをもつ(配列番
号2)。他方、インサートCは配列の最後にストップコドンを含む(配列番号1
)。
【0169】 それらのペプチド配列は親水性傾向のプロフィルをもつので、親水性タンパク
質に適用される傾向のあるスクリーニング法の選択に一致する。
【0170】 3.2 配列の比較 この比較により、インサートが既知機能をもつペプチドドメインをコードする
か否かを知ることができると思われる。
【0171】 インサートの塩基及びペプチド配列をデータバンク「Gen Bank」及び
「EMBL(European Molecular Biology Lab
)」に登録されている配列と比較した。インサートとこれらのバンクに登録され
ている遺伝子(又はタンパク質)との間に有意類似性は全く認められなかった。
【0172】 更にインサートの配列を相互比較した。配列間にも類似性は全くなかった。
【0173】 更に、インサートによりコードされるペプチドの機能に情報を提供することが
可能なペプチドモチーフが存在するか否かを調べた。多少の潜在グリコシル化、
リン酸化及びミリスチル化部位が認められたが、ペプチドの潜在機能について仮
説を立てるには至らなかった。
【0174】 3.3 種々のヒト組織における選択ペプチドに対応するmRNAの発現 これらのペプチドとPS−1の相互作用がin vivoで確かに存在すると
いう見解を裏付けるために、バンクから単離したペプチドのmRNAの発現がP
S−1のmRNAの発現と同一組織で生じることを確認した。単離配列を含む遺
伝子の特定組織における発現を調査し、種々のヒト組織におけるインサートC及
びDに対応するmRNAの発現率をノーザンブロットにより分析した。
【0175】 インサートC(配列番号1)から作製した放射性プローブは大脳、より詳細に
は大脳皮質、前頭葉及び側頭葉で特異的に発現される9.5kbのmRNAとハ
イブリダイズすることができた(図3参照)。このmRNAの寸法は、翻訳され
たタンパク質が大きい寸法であることを示唆している。
【0176】 実施例4:in vitro相互作用試験 本試験では、相互作用が酵母コンテキストに依存していないことを確認する。
機能的トランスアクチベーターGAL4の再構成は必ずしも2種のタンパク質間
の直接相互作用に起因するのではなく、融合タンパク質と酵母の1種以上の外来
タンパク質とのタンパク質複合体の形成に起因する場合もある。従って、相互作
用は酵母に由来する中間タンパク質の存在下のみに存在すると思われ、このコン
テキスト以外では実在しないと思われる。
【0177】 PS−1の親水性領域BL6と夫々PepC及びPepDと呼ぶ単離タンパク
質の相互作用を無細胞系で確認することにした。
【0178】 タンパク質は大量に得られるように大腸菌BL21(DE3)で生産した。2
種の単離ペプチドは、検出と支持体固定を可能にするtagペプチドに融合した
。このために、グルタチオンに関連するタンパク質GSTをBL6領域の種々の
形態に融合し、プロテインSにより特異的に認識されるS−Tagペプチドを単
離ペプチドに融合することにした(試験原理については材料と方法の項参照)。
【0179】 4.1 cDNAバンクのスクリーニング時に単離したペプチドとS−Tag の融合タンパク質の生産 S−Tagと2種のペプチドPepC及びPepDの融合タンパク質を構築す
るために、プラスミドpGAD−C及びpGAD−Dからの種々のEcoRI/
EcoRIフラグメントをベクターpET−29aのS−Tagの配列と同一読
み枠に挿入した。
【0180】 この段階で、PepDに対応するインサートを含むプラスミド(pET−D)
が得られた。このプラスミドの部分配列決定の結果、所望読み枠に挿入が行われ
たことが判明した。
【0181】 このプラスミドにより、融合タンパク質STag−PepDに対応する52k
Daタンパク質を得ることができた。タンパク質STag−PepDはIPTG
誘導後に細菌BL21(DE3)で生産される。
【0182】 4.2 GSTとPS−1の親水鎖の融合タンパク質の生産 GSTをPS−1の親水性領域BL6の3形態の1つと融合するために、プラ
スミドpGBT−BL6、pGBT−BM及びpGBT−BRに由来するEco
RI/SalIフラグメントを導入したベクターpGEX−4T1を使用した。
【0183】 PS−1の突然変異鎖に対応するプラスミドpGEX−BMが得られた。配列
決定の結果、確かに配列GSTの読み枠に挿入が行われたことが判明した。
【0184】 このプラスミドにより、IPTG誘導後に細菌BL21(DE3)で42kD
aの融合タンパク質GST−BMを生産することができた。
【0185】 4.3 融合タンパク質GST−BMの可溶化 細菌の溶解後、ペプチドSTagとタンパク質STag−PepD及びGST
は部分的に可溶性フラクション側にあるが、タンパク質GST−BMは完全に不
溶性フラクション側に維持される。
【0186】 アフィニティークロマトグラフィーを実施するためには融合タンパク質の可溶
化が絶対に必要である。まず、アガロースビーズに共有結合したグルタチオン樹
脂にタンパク質GST−BMを特異的に固定し、STagに融合したPS−1の
ペプチドパートナーとGST−BMの相互作用を試験できるようにした(材料と
方法の項参照)。タンパク質が可溶化されないならば、ビーズと特異的に結合せ
ずにビーズと共に沈殿する。
【0187】 融合タンパク質GST−BMの可溶化後に、材料と方法の項のパラグラフ8に
記載した条件に従って試験を行う。
【0188】 実施例5:哺乳動物細胞におけるPS−1の特異的パートナーの発現 5.1 適当な発現ベクターの構築 本試験では、酵母で検出されたタンパク質相互作用が完全タンパク質PS−1
をその膜環境に挿入した状態で哺乳動物細胞のコンテキストでも検出できるか否
かを確認する。5’末端mycエピトープに対応する付加配列とパートナー配列
のインフレームサブクローニングを可能にするEcoRI制限部位(図4)をも
つ哺乳動物細胞発現ベクターpCDNA3にパートナーである配列番号1及び配
列番号2をサブクローニングした。
【0189】 1400bpのpGAD−DのEcoRI制限フラグメントを単離し、発現ベ
クターのEcoRI部位にインフレームサブクローニングした。正しい向きにc
DNAをもつ構築物を酵素制限分析により選択した。
【0190】 クローンCについては、pGAD−CのEcoRI(1)−HindIII(
391)フラグメントをまず単離した。次に、部分消化により第2のHindI
II(392)−MscI(2892)フラグメント(後者部位はベクターpG
AD10でクローンCのコーディング領域の下流に位置する平滑末端をもつ)を
単離した。EcoRIとEcoRV(後者部位は平滑末端をもつ)で消化した発
現ベクターにEcoRI(1)−HindIII(391)及びHindIII
(392)−MscI(2892)フラグメントを一緒に連結した。Cのコーデ
ィング配列全体をもつ適正な構築物を制限分析により同定した。
【0191】 これらの構築物からエピトープmycをもつ融合タンパク質と配列番号1及び
2に夫々対応するペプチドを生成することができる。
【0192】 5.2 哺乳動物細胞における発現 これらの構築物を標準方法によりCOS1細胞にトランスフェクトした。細胞
溶解後、試料を免疫転写と抗myc抗体による検出により分析した。抗Myc抗
体9E10(図5)を使用することにより免疫転写によりパートナーの発現を検
出することができた。pepCに予想された通り、120kDaの非常に強いバ
ンドを検出することができ、強い発現が実証された(レーンC)。Dについては
、検出されたバンドの強度は必ずしも一定ではなかった。他方、CHO細胞では
発現を検出することができた。この細胞型では、Dは少し安定性が高いらしく、
約80kDaで泳動するタンパク質として出現する(レーンD)。
【0193】 このように、2種のタンパク質を哺乳動物細胞で発現させ、検出することがで
きた。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 プレセニリン1と二重ハイブリッド試験に使用した部分の模式図である。
【図2】 特にクローンC(配列番号1に対応)とクローンD(配列番号2に対応)を含
む種々のプラスミドをもつ酵母の栄養要求性試験によるyBM−C及びyBM−
D株の単離を示す。
【図3】 ヒト組織におけるペプチドC及びDに対応するmRNAの発現を示す。
【図4】 使用した哺乳動物発現ベクターの模式図である。
【図5】 哺乳動物細胞におけるC及びD融合タンパク質の発現を示す。
【図6a】 主要ベクターのマップ。
【図6b】 主要ベクターのマップ。
【図6c】 主要ベクターのマップ。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年3月31日(2000.3.31)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 C07K 14/47 A61P 25/28 16/18 C07K 14/47 C12Q 1/68 A 16/18 G01N 33/68 C12Q 1/68 C12N 15/00 ZNAA G01N 33/68 A61K 37/02 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AU,BA,BB,BG,BR,CA,CN, CU,CZ,EE,GD,GE,HU,ID,IL,I S,JP,KR,LC,LK,LR,LT,LV,MG ,MK,MN,MX,NO,NZ,PL,RO,SG, SI,SK,SL,TR,TT,UA,US,UZ,V N,YU (72)発明者 ポール,マリ−フランソワーズ フランス国、94600・シヨワジ−ル−ロワ、 リユ・ドウ・ランシユレクシヨン・パリジ エンヌ・5

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プレセニリンと相互作用することが可能なタンパク質をコー
    ドするヌクレオチド配列。
  2. 【請求項2】 プレセニリンPS−1のH鎖の全部又は一部と相互作用する
    ことが可能なポリペプチド又はタンパク質をコードすることを特徴とする請求項
    1に記載のヌクレオチド配列。
  3. 【請求項3】 配列番号1の配列又はその誘導体の全部又は一部を含むこと
    を特徴とする請求項1又は2に記載のヌクレオチド配列。
  4. 【請求項4】 配列番号2の配列又はその誘導体の全部又は一部を含むこと
    を特徴とする請求項1又は2に記載のヌクレオチド配列。
  5. 【請求項5】 プレセニリンと相互作用することが可能であることを特徴と
    するポリペプチド。
  6. 【請求項6】 プレセニリンPS−1のH鎖と相互作用することが可能であ
    ることを特徴とする請求項5に記載のポリペプチド。
  7. 【請求項7】 プレセニリンPS−1のH鎖のアミノ酸配列310〜463
    と相互作用することが可能であることを特徴とする請求項6に記載のポリペプチ
    ド。
  8. 【請求項8】 プレセニリンPS−2のH鎖と相互作用することが可能であ
    ることを特徴とする請求項5に記載のポリペプチド。
  9. 【請求項9】 配列番号1のペプチド配列又は該配列から誘導される配列の
    全部又は一部を含むことを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載のポ
    リペプチド。
  10. 【請求項10】 配列番号2のペプチド配列又は該配列から誘導される配列
    の全部又は一部を含むことを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の
    ポリペプチド。
  11. 【請求項11】 プレセニリンの活性を抑制、刺激又は調節するための医薬
    を獲得するための請求項5から10のいずれか一項に記載のポリペプチドの使用
  12. 【請求項12】 請求項1から4のいずれか一項に記載のヌクレオチド配列
    を含む細胞を前記配列の発現条件下で培養し、生産されたポリペプチドを回収す
    ることを特徴とする請求項5から10のいずれか一項に記載のポリペプチドの製
    造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1から4のいずれか一項に記載のヌクレオチド配列
    を含む核酸で形質転換されていることを特徴とする請求項5から10のいずれか
    一項に記載のポリペプチドを生産するための宿主細胞。
  14. 【請求項14】 請求項3又は4に記載の配列のアンチセンスオリゴヌクレ
    オチド。
  15. 【請求項15】 請求項1から4のいずれか一項に記載のヌクレオチド配列
    又は対応するmRNAとハイブリダイズすることが可能なヌクレオチドプローブ
  16. 【請求項16】 請求項5から10のいずれか一項に記載のポリペプチドに
    対する抗体又は抗体フラグメント。
  17. 【請求項17】 配列番号1もしくは配列番号2に示すペプチド配列又はそ
    れらの誘導体から選択される配列に対することを特徴とする請求項16に記載の
    抗体又は抗体フラグメント。
  18. 【請求項18】 プレセニリンと請求項5から10のいずれか一項に記載の
    ポリペプチドの相互作用を阻害及び/又は検出する能力をもつことを特徴とする
    請求項16又は17に記載の抗体又は抗体フラグメント。
  19. 【請求項19】 プレセニリンと請求項5から10のいずれか一項に記載の
    ポリペプチドの相互作用を調節又は阻害することが可能な化合物の検出又は単離
    方法であって、 a−ある分子が本発明のポリペプチドに対して親和性をもつ場合に前記ポリペ
    プチドと前記分子の相互作用を可能にする条件下で前記分子又は場合により同定
    されていない種々の分子を含む混合物を前記ポリペプチドを発現する上記のよう
    な組換え細胞と接触させる段階と、 b−前記ポリペプチドに結合した分子を検出及び/又は単離する段階を実施す
    ることを特徴とする前記方法。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載の方法により獲得することが可能な、請
    求項5から10のいずれか一項に記載のポリペプチドのリガンド。
  21. 【請求項21】 神経疾患治療用医薬の製造のための請求項20に記載のリ
    ガンドの使用。
  22. 【請求項22】 請求項5から10のいずれか一項に記載のポリペプチドを
    コードするヌクレオチド配列を含む欠損組換えウイルス。
  23. 【請求項23】 請求項1から4のいずれか一項に記載のヌクレオチド配列
    を含むベクター。
  24. 【請求項24】 プラスミドベクターであることを特徴とする請求項23に
    記載のベクター。
  25. 【請求項25】 ウイルスベクターであることを特徴とする請求項23に記
    載のベクター。
  26. 【請求項26】 複製用欠損ウイルスであることを特徴とする請求項25に
    記載のベクター。
  27. 【請求項27】 請求項23から26のいずれか一項に記載の1種以上のベ
    クターを含む医薬組成物。
  28. 【請求項28】 請求項5から10のいずれか一項に記載の少なくとも1種
    のポリペプチドを有効成分として含む医薬組成物。
  29. 【請求項29】 請求項16から18のいずれか一項に記載の少なくとも1
    種の抗体又は抗体フラグメント及び/又は請求項14に記載のアンチセンスオリ
    ゴヌクレオチド及び/又は請求項19に記載の方法により製造された化合物を有
    効成分として含む医薬組成物。
  30. 【請求項30】 プレセニリン又はその突然変異形態の活性を調節、抑制又
    は阻害することを目的とする請求項27から29のいずれか一項に記載の組成物
  31. 【請求項31】 神経変性疾患の治療を目的とする請求項27から29のい
    ずれか一項に記載の組成物。
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