JP2001515709A - 免疫原性物質の発現におけるまたはそれに関する改良 - Google Patents

免疫原性物質の発現におけるまたはそれに関する改良

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Abstract

(57)【要約】 ヒトまたは動物の対象において免疫原性であるポリペプチドをコードする核酸配列の発現を前記対象において調節する方法が開示される。この方法は、免疫原性ポリペプチドをコードし、薬剤により調節可能なプロモータに作動可能に結合されている核酸配列を含む細胞を該対象に導入すること、および該細胞がさらされる調節薬剤の濃度を変化させることを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、とりわけ、真核細胞における核酸配列の発現を調節する方法に関し
、特に、免疫原性ポリペプチドの発現を調節する方法に関する。
【0002】
【発明の背景】
抗体分子とは異なって、T細胞などいくつかの細胞は、微小血管の壁を通って
活発にかつ効率的に移動することができ、それらの細胞溶解作用を発揮する前に
組織(たとえば固体腫瘍の核)内に入り込むことができる。自己由来の腫瘍応答
性T細胞のエクスビボ(ex vivo)増殖および再注入が、癌治療に対する実験的 アプローチとして研究されている。しかしながら、末梢血から循環するT細胞は
腫瘍抗原に対する特異性に欠け(1)、十分な数の腫瘍浸潤リンパ球を得ること
は非実用的または不可能であることが多い(2)。これらの問題を克服するため
に、抗体の特異性をT細胞の効率的な移動特性およびエフェクター作用と組合せ
ることができる新たなアプローチが開発されている。いくつかの報告によると、
T細胞を本来の抗原へと向かわせるための手段として一本鎖抗体ドメイン(sc
Fv)をTCR/CD3/ζ複合体の種々のシグナリング部分に結合させるよう
、キメラ受容体をコードする遺伝子で培養T細胞を形質転換できる可能性が示さ
れている(3−6)。しかしながら、この「T体」アプローチが長期間臨床的に
成功するかどうかは、明らかに、多くの問題に対する解決策を見出すことにかか
っている。
【0003】 真核細胞において導入遺伝子の発現を調節するために種々の戦略が開発されて
いる(7)が、テトラサイクリンにより調節可能な系(TRS)は、哺乳類の細
胞においてほとんどまたは全く毒性を持たないテトラサイクリン濃度に応じて導
入遺伝子の発現を実質的に調節することにより、これらの系の多くに関する問題
を回避している(8、9)。
【0004】 MillerおよびWhelan(1997 Hum. Gene Therapy 8,803-815)は、最近、遺伝子
治療に関する調節可能なベクターの開発に向けての進展を論評している。これら
のベクターの中にも、TRSを用いるものが記載されている。
【0005】 もともとGossenおよびBujard(1992 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89,5547-55
51)によって記述されたTRSでは、テトラサイクリンリプレッサータンパク質
をヘルペス・シンプレックス・ウイルス(HSV)VP16−活性化ドメインに
融合させてキメラのテトラサイクリン抑制性トランス活性化(tTA)ポリペプ
チドを生成させ、これがtetオペレーター配列からなるDNAに結合してオペ
レーター下流のコード配列の転写活性をもたらす。テトラサイクリンまたはその
類似体(ドキシサイクリン、アンヒドロテトラサイクリン、ミノサイクリンおよ
びオキシテトラサイクリンなど)の存在はこの転写活性を抑制する。これらの化
合物が、tTAポリペプチドに結合してそのコンホメーションを変化させ、該ポ
リペプチドがtetオペレーター配列に結合するのを妨げるからである。
【0006】 元のTRSの変異体も開示されており(WO96/01313)、そこにおい
てtetリプレッサータンパク質の変異体形は、テトラサイクリンまたはその類
似体の存在下でDNAに結合する一方、不在下では結合しない。よって、これら
の系では、tetオペレーターに結合した遺伝子の発現はテトラサイクリンまた
はその類似体の存在下で積極的に調節される。
【0007】 しかしながら、TRSの使用に関していくつかの難題および/または不確実な
点がある。たとえば、Cooke他(1997 J. Gen. Virol. 78,381-392)は、TRS が、ヒトのT細胞系Jurkat E6−1におけるnef遺伝子発現の調節に使用で きないことを見出した。さらに、HSV VP16ドメインは有害な「押え込み
」作用を伴うため、従来、高レベルの調節を得ることができなかった。最近の論
評(MillerおよびWhelan、1997 Hum. Gene Ther. 8,803-815)によると、TRS
は「すべての細胞系に適用可能とは言えない」(Ackland-BerglundおよびLeib 1
995 Bio Techniques 18,196-200、ならびにHowe他、 1995 J. Biol. Chem. 270,
14168-14174の研究を引用)。
【0008】
【発明の概要】
第1の局面において本発明は、ヒトまたは動物の対象において免疫原性である
ポリペプチドをコードする核酸配列の、該対象における発現を調節する方法を提
供する。この方法は、免疫原性ポリペプチドをコードし、薬剤により調節可能な
プロモーターに作動可能に結合されている核酸配列を含む細胞を、該対象に導入
すること、および該細胞がさらされる調節薬剤の濃度を変化させることを含む。
【0009】 該細胞は、白血球など、管外遊出をうけ得るものであることが望ましい。特に
好ましい細胞種は、リンパ球(BもしくはTリンパ球)、単球、またはマクロフ
ァージである。
【0010】 「薬剤により調節可能なプロモーター」という用語は、核酸の部分(たとえば
エンハンサーまたはより好ましくはプロモーター)であって、細胞に対して外因
性の物質(「調節薬剤」)の存在に応答して核酸のコード領域の発現を調節する
部分を示すことを意図する。調節薬剤は、当該核酸が存在する細胞に対して致命
的でない濃度において、薬剤により調節可能なプロモーターの活性の変化を引き
起こすものである。調節薬剤の作用は、薬剤により調節可能なプロモーターに対
して実質的に特異的であることが好ましく、それにより、この薬剤を患者に投与
する必要がある場合、他の組織または細胞型に対し広範囲な作用が引き起こされ
ることがなくなる。このような特異性は、合成した調節薬剤の使用、およびヒト
または動物の対象に通常存在しない、薬剤により調節可能な対応のプロモーター
の使用により、非常に容易に与えられる。薬剤により調節可能なプロモーターは
、直接的に薬剤により調節可能であるか、またはより典型的には、間接的に薬剤
により調節可能であり得る。間接的に薬剤により調節可能なプロモーターを含む
系の一例は、薬剤により調節可能なオペレーターがプロモーターに対して調節作
用を及ぼし、この作用が調節薬剤の濃度に依存するという系である。
【0011】 薬剤により調節可能なプロモーターおよび対応する調節薬剤の適当な種々のも
のが知られており(たとえば、MillerおよびWhelan, Hum. Gene Ther. 8,803-81
5を参照)、それらは、グルココルチコイドステロイド類、性ホルモンステロイ ド類、リポ多糖類(LPS)およびイソプロピルチオガラクトシド(IPTG)
によって調節されるプロモーターを含む。対応の薬剤の適当な濃度は、当業者に
明らかである。一般的な指針として、細胞をステロイド類の存在下においてイン
ビトロで培養するとき、ステロイド剤の好ましい濃度は1nMから1mMである
。このステロイド剤をインビボでヒトまたは動物の対象に投与するとき、約0.
05と10.0μg/kgの間の血清濃度を達成するようにその用量を調節する
のが望ましい。細胞をIPTGの存在下で培養するとき、その用量は1μMから
100mMの範囲にあるのが好ましく、100μMから1mMの範囲にあるのが
より好ましい。細胞をLPSの存在下で培養するとき、用量は0.1nMから1
mMの範囲にあるのが好都合であり、100μMから1mMの範囲内にあるのが
より望ましい。
【0012】 本発明の方法を適用するにあたって特に有用な別の系は、テトラサイクリンに
より調節可能な系(TRS)である。これは広範囲にわたって研究されており、
その変形例もいくつか開発されており、TRSを非常に適合性の高いものにして
いる。たとえば、テトラサイクリンの不在下では、野生型細菌性tetリプレッ
サータンパク質が、細菌性テトラサイクリン耐性遺伝子の負の調節を引き起こす
。テトラサイクリンはリプレッサータンパク質に結合し、それがtetオペレー
ターDNA配列に結合するのを抑制し、よって耐性遺伝子の発現が可能となる。
逆に、tetリプレッサーの部分を含むキメラポリペプチドおよびHSV VP
16トランス活性化ドメインは、コード配列の正の調節(転写活性)を引き起こ
す。他のトランス活性化ドメインも当業者に知られており(たとえばGAL4の
アミノ酸残基753−881、CTF/NF1のアミノ酸残基399−499、
およびITF1またはITF2からのもの)、これらは、キメラのテトラサイク
リン感受性ポリペプチドまたは他の調節薬剤感受性ポリペプチドを形成するのに
用いられ得ると考えられる。
【0013】 野生型tetリプレッサータンパク質の一部を含む従来技術(たとえば上記に
引用したGossenおよびBujard(1992年))に記載のキメラポリペプチドに加えて
、tetリプレッサータンパク質の変異形を含む他のポリペプチドも知られてお
り(WO96/01313に開示)、これはテトラサイクリンの存在下でtet
オペレーター配列に結合する一方、テトラサイクリンの不在下では該配列に結合
しない。
【0014】 かくして、本発明の方法は、いくつかの具体例において、テトラサイクリンの
存在がテトラサイクリンオペレーター(tetO)に結合されたコード配列(す
なわち免疫原性ポリペプチドをコードする配列)の発現を阻害する役割を果たす
ものであり、他の具体例において、テトラサイクリンの存在がtotOに結合さ
れた配列の発現を促進する役割を果たすものである。
【0015】 当業者には、多くのテトラサイクリン類似体が知られており、それらが上述の
具体例においてテトラサイクリンに容易に取って代わり得るものであることがわ
かる。確かに、ある特定の類似体が実際にテトラサイクリンより好ましいことも
ある。それらが(テトラサイクリン感受性ポリペプチドに対して)より高い結合
アフィニティーを有し得るので、より低い濃度で調節作用を発揮することができ
るからである。テトラサイクリン類似体は、テトラサイクリンに構造的に関連し
、少なくとも約106-1、好ましくは109-1、またはそれより大きいKaで tetリプレッサーに結合する分子をいうものとして理解され得る。好ましい類
似体はドキシサイクリンおよびアンヒドロテトラサイクリンである。その他の類
似体は、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、
エピオキシテトラサイクリンおよびシアノテトラサイクリンを含む。テトラサイ
クリンの他の類似体については、HlavkaおよびBoothe(Handbook of Experiment
al Pharmacology 78、Blackwoodら(eds.)、Springer verlag(1985年)中の「
The Tetracyclines」)により述べられている。
【0016】 tetオペレーター(tetO)配列は現在、当業者によく知られている。検
討のため、読者はProtein-Nucleic Acid Interaction中のHillenおよびWissmann
(1989年)「Topics in Molecular and Structural Biology」 SaengerおよびHe
inemann編,(Macmillan, London), Vol. 10, pp143-162)を参照されたい。典 型的に、免疫原性ポリペプチドをコードする核酸配列は、複数のtetO配列(
一般的に5から10のこのようなtetO配列が直接的な繰返しで用いられる)
の下流に配置される。
【0017】 好都合にtetO配列は、「最小限の」(すなわちエンハンサーのない)真核
プロモーター(たとえば[GossenおよびBujard 1992 Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 89, 5547]に先に記載された最小限のCMV前初期プロモーター)に実質的
に近接して(すなわち100bp以内、好ましくは50bp以内で)融合され、
それにより、トランス活性化テトラサイクリン感受性ポリペプチドのtetO配
列への結合は、tetOに結合されたコード配列の発現を促進させる。
【0018】 免疫原性ポリペプチドおよび/または薬剤により調節可能なプロモーターをコ
ードする配列の導入のため特に適当な構造はよく知られており、先に開示されて
いる(たとえばBaron他 1995 Nucl. Acids Res 23、3605-3606、およびSchultz
e他 1996 Nature Biotechnology 14、499-503頁)。特に好ましい構造(テトラ
サイクリンまたはその類似体が調節薬剤である場合)は、tetO結合配列の発
現を非常に高レベルで調節できることがわかっており、これは、同時係属中のU
K特許出願番号9718873.4において、およびMohamadi他(1997 Gene Th
erapy 4, 991-997; 1998 Gene Therapy 5, 76-84)、およびAlvarez-Vallina他 (1997 J. Immunol, 5889-5895)により開示される。
【0019】 本発明の方法は、多くの分野に適用できるが、特に遺伝子治療の分野に適用さ
れる。したがって、本発明の方法は、問題の対象に対して免疫原性である任意の
ポリペプチドの発現を調節するのに有用であり得る一方、1つまたはそれ以上の
治療ポリペプチドの発現の調節に適用するのが望ましく、特にヒトにおけるポリ
ペプチドの発現を調節するのに有用である。当業者によく知られている広範囲の
ポリペプチドは、遺伝子治療技術により治療ポリペプチドとして患者中に発現さ
れると潜在的有用性を有する一方で、たとえばヒトの患者で発現される場合、そ
れらが通常のヒトタンパク質でないため、その免疫原性に起因する問題を生じ得
る。このような免疫原性ポリペプチドの例は、他の起源(たとえば植物、動物、
真菌、細菌、酵母など)からのタンパク質を含み、また、ヒト以外の起源からの
タンパク質の部分を含むキメラポリペプチド、あるいは複数のヒトタンパク質も
しくはその複数の部分の新たな融合を創り出し、それよってヒトにおいて免疫原
性となるキメラポリペプチドをも含む。
【0020】 潜在的に免疫原性の治療タンパク質の別の種類は、発現されないものまたは遺
伝子欠陥により機能的な形態で発現されないものである。このようなポリペプチ
ドの例は、増殖因子および血液凝固因子、ホルモン、神経伝達物質、酵素、アポ
リポタンパク質、受容体、薬剤、癌遺伝子、腫瘍抗原、腫瘍サプレッサー、構造
タンパク質、ウイルス抗原、寄生体抗原および細菌抗原を含む。
【0021】 これら化合物の特定の例は、CFTR、インスリン、アデノシンデアミナーゼ
、プロインスリン、成長ホルモン、ジストロフィン、アンドロゲン受容体、イン
スリン様増殖因子I、インスリン様増殖因子II、インスリン様増殖因子結合タ
ンパク質、上皮増殖因子、TGF−α、TGF−β、PDGF、血管新生因子(
酸性繊維芽細胞増殖因子、塩基性繊維芽細胞増殖因子およびアンギオゲニン)、
基質タンパク質(IV型コラーゲン、VII型コラーゲン、ラミニン)、フェニ
ルアラニンヒドロキシラーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、癌遺伝子(ras、
fos、myc、erb、src、sis、jun)、E6またはE7トランス
フォーミング配列、p53タンパク質、Rb遺伝子生産物、サイトカイン受容体
、IL−1、IL−6、IL−8、ウイルスキャプシドタンパク質、ウイルス、
細菌および寄生生物由来のタンパク質であって免疫応答を誘発するために用いら
れ得るもの、ならびに体内で有用な意義をもつ他のタンパク質を含む。原則とし
て、組入れられるタンパク質またはポリペプチドに対して利用可能な核酸配列が
ある化合物はいずれも、本発明により用いられ得る。
【0022】 本発明に従って有用な治療剤の別の種類は、免疫活性剤、すなわちウイルスに
対する免疫応答を活性化させることによりウイルス感染またはウイルス生産に対
抗する薬剤を含む。このような薬剤は、限定されることなく、ウイルス一般に対
するサイトカイン類(Biron, 1994, Curr Opin. Imunol. 6:530)、SIVに対 する可溶性CD4(Watanabe他、1991, Proc. Nat. Aca. Sci. 88:126)、HI V−1およびSIVに対するCD4−免疫グロブリン融合体(Langner他、1993,
Arch. Virol. 130:157)、HIV感染に対するCD4(81−92)に基づく ペプチド誘導体(Rausch他、1992, Biochem. Pharmacol. 43:1785)、HIV感 染に対するリンパ細胞傷害性抗体(Szabo他、 1992, Acta. Virol. 38:392)、 HIV感染に対するIL−2(Bell他、1992,Clin Exp. Immunol. 90:6)、お よびウイルス一般に対する抗T細胞受容体抗体(Newell他、1991, Ann. N.Y. Ac
a. Sci. 636:279)を含む。
【0023】 対象は典型的にはヒト患者であるが、本発明の方法は家畜哺乳類または農業用
動物など、いかなる哺乳類にも潜在的に適用可能である。したがって、典型的に
、本発明の方法は、免疫原性ポリペプチドに対して既に免疫応答を形成しており
、たとえば免疫原性ポリペプチドと反応する循環抗体、または免疫原性ポリペプ
チドに特異的な免疫コンピテント記憶細胞を有し得る、哺乳類において行われる
【0024】 典型的には、関連の核酸配列はインビトロで細胞に導入される。核酸配列を真
核細胞へ導入する方法は数多く知られており、それらはトランスフェクション、
形質導入(トランスダクション)、電気穿孔、および細胞融合などを含む。これ
らの方法はいずれも本発明において用いることができ、一般にトランスフォーメ
ーション(形質転換)と呼ばれ得る。
【0025】 同様に、形質転換された細胞を対象に導入する方法も周知である。これは対象
の血流中に注入または注射することにより行なうのが好都合である。典型的には
、105から108の間(好ましくは106から107の間)の細胞が対象の血流に
導入される。対象への外来細胞の導入により、その細胞上で外来抗原に対する免
疫応答が創り出される可能性が高く、よって一般に、それらの細胞は、受容体で
ある対象と組織適合する。最も好都合には、細胞は、対象(たとえば末梢血液ま
たは骨髄から)から元々得られるオートロガス細胞であり、インビトロで関連の
核酸配列によって形質転換され、その後対象に再導入される。典型的には、この
方法のインビトロの段階は、一般に、うまく形質転換されたそれらの細胞を選択
するための選択プロセス、および/または形質転換された細胞の数を増やすため
の増殖段階を含む。インビトロでの細胞の選択および増殖の方法は当業者に周知
であり、本発明の本質部分を構成するものではない。
【0026】 一般に、この発明が、潜在的に免疫原性の治療ポリペプチドの発現を調節する
ことを伴う場合、以下により詳細に説明する理由により、細胞が対象に導入され
た後、ポリペプチドの発現を遅らせることが望ましい。したがって、細胞は通常
、免疫原性ポリペプチドの発現が十分に抑制されるインビトロでの条件から、免
疫原性ポリペプチドの発現がもはやダウンレギュレーションされない対象におけ
るインビボの条件に移される。一方、本発明は、実質的に完全に抑制された状態
から実質的に完全に発現される状態に細胞を移すため、「遅延インターバル」と
呼ぶことができる大事な期間(典型的には2〜10日間、好ましくは4日または
それ以上)をとるようにする。
【0027】 細胞は、調節薬剤(たとえばテトラサイクリンまたはその類似体)の適当な(
非毒性の)濃度にさらすことにより、インビトロで免疫原性ポリペプチドが実質
的に完全に抑制される状態とすることができ、調節薬剤のない対象に導入される
とき、最終的に、免疫原性ポリペプチドが実質的に完全に発現する状態に入る。
これに代えて、上述したように、TRSおよびその変異体、ならびに当業者に入
手可能な、薬剤により調節可能な別のプロモーター系の可変性によって、細胞を
、調節薬剤の不在下においてインビトロで十分に抑制された状態に維持してもよ
く、その後、適当な用量の調節薬剤を受け入れる対象に導入して、(適当な遅延
の後)免疫原性ポリペプチドを十分に発現させることができる。
【0028】 一般的に、調節薬剤の存在によって免疫原性ポリペプチドの発現を阻害するこ
とが好ましく、これは、その後、調節薬剤への暴露から細胞を取除くことにより
、通常、免疫原性ポリペプチドの発現の誘発前に、より長い遅滞期または遅延が
得られるからである。
【0029】 ほとんどの具体例において、調節薬剤は、対象に投与されるとき認容されるも
のである。したがって、必要であれば、免疫原性ポリペプチドの発現を抑制する
よう形質転換細胞がインビトロで調節薬剤にさらされる場合、形質転換細胞の導
入前、導入中、または導入後に調節薬剤を患者に投与してもよい。これは、遅延
インターバルを延ばすために望ましいことであり得る他、免疫原性物質の発現を
調節するように細胞を調節薬剤の中間濃度にさらすために望ましいことであり得
る。また、患者が免疫原性ポリペプチドの発現に対して有害な作用をこうむる場
合、調節薬剤を十分な用量で投与し、免疫原性ポリペプチドのさらなる発現を防
ぐこともできる。
【0030】 調節薬剤を(必要に応じて)対象に投与する方法は当業者に周知であり、これ
は、(任意の形態の)経口投与、除放性ペレット、および拡散ポンプの植え込み
を含む他、より通常的な方法、たとえば注射、注入、吸入または経口摂取を含む
。対象における調節薬剤の濃度の調整は、試行錯誤によって、臨床的症状または
マーカーを分析することによって行なうことができる。一例として、テトラサイ
クリンまたはテトラサイクリン類似体が対象に投与される場合、その用量は0.
05から1.0μg/mlの間の血清濃度を達成するように都合よく調整される
【0031】 遅延インターバルの長さは、形質転換された細胞がさらされる調節薬剤の濃度
を変えることによって変えることができる(たとえば、細胞を予め処理するため
に非常に高い濃度が用いられる場合、いったん細胞を取り除いた後、薬剤の細胞
内濃度を特定の濃度にまで下げるにはより長い時間がかかる)。また、いくつか
の薬剤は他のものに比べてより優れた調節作用を有する(たとえばドキシサイク
リンはテトラサイクリンよりもTRSにおいてより優れた作用を有し得る)。
【0032】 特定の具体例において、免疫原性ポリペプチドは対象内の固体腫瘍に治療効果
を発揮するものであると考えられる。対象は典型的にはヒト患者であるが、本発
明の方法はたとえば家畜や農業用動物などのいかなる哺乳類の対象にも潜在的に
適用可能である。したがって、免疫原性ポリペプチドは、たとえば、細胞傷害性
剤(たとえば「イムノトキシン」、すなわち免疫グロブリン結合ドメインに融合
される毒性成分、あるいは特異的結合活性を有するその他のターゲッティング成
分)、または腫瘍中に腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を入れるような、免疫グロブ
リン、抗体、二重特異性抗体もしくは他の知られた抗体の変異体(たとえばsc
Fv)などの薬剤である。
【0033】 一つの具体例において、薬剤により調節可能なプロモーターは、複製可能なウ
イルスゲノムまたはウイルスベクター(免疫原性ポリペプチドをコードする配列
を含む)の転写を制御する。本発明のこの具体例を達成するのに適当な構造は、
とりわけ、別のところで引用したHofman他(1996年)およびShockett他(1995年
)によって開示されている。好ましい具体例において、複製可能なウイルスゲノ
ムは、アデノウイルスまたはパラミクソウイルスのゲノム(当該ゲノムは通常の
DNA操作法によって人為的に変えられたものでもよい)を実質的に含む。これ
らのゲノムが、ウイルスの全遺伝子情報を含む必要はない(また通常含んでいな
い)一方、感染可能な宿主細胞に導入されるとき、感染ウイルス粒子の生産を可
能にするのに十分な情報を含むものであるということは、当業者の認めるところ
である。
【0034】 対象に導入される細胞(免疫原性ポリペプチドの発現が抑制されて)が血管壁
を通って移動できる場合(管外遊出として知られるプロセス)、それらは固体腫
瘍中にも入り込むことができ得る。この能力を有するそのような細胞の例は白血
球である。導入された白血球による腫瘍攻撃の効率は、ねらいを定める成分を細
胞によってそれらの細胞表面に発現させることにより向上させることができる(
たとえば、Eshar他 1993 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 720、Hwu他 1993
J. Exp. Med. 178, 361、Stancovski他 1993 J. Immunol. 151, 6577、およびB
rocker他 1996 Eur. J. Immunol. 26, 1770を参照)。いったん腫瘍内に入ると
、白血球はその治療作用(たとえば細胞傷害作用、あるいはマクロファージおよ
び白血球の補充など)を発揮できる。
【0035】 しかしながら、導入された白血球の腫瘍へのターゲッティングにはいくらか時
間がかかる。したがって、この時間中の免疫原性ポリペプチドの発現は、回避さ
れるのが好ましい。というのも、免疫原性ポリペプチドの発現が、(a)悪性で
ない細胞に対する付帯的損傷および/または(b)免疫原性タンパク質と対象の
免疫系(特に循環抗体)の成分との相互作用を引き起こし得るからである。後者
の点は、白血球の投与を繰返し行なう必要がある場合とくに問題である。という
のは、これが、投与された白血球と相互作用する傾向にあり、当該白血球が標的
の腫瘍に届くのを阻害するであろう免疫原性ポリペプチドに対して、免疫応答を
効率的に誘導する可能性が高いからである。これらの問題は、本発明の方法によ
って克服することができる。この方法では、治療(免疫原性)ポリペプチドは、
重要な時間遅延の後、高レベルで発現されることが許容されるだけである。この
点により、投与される白血球は標的の腫瘍に入り込むようになり、よって免疫系
による妨害を防ぎ、悪性でない細胞に対する付帯的損傷を最小限にすることがで
きる。したがって、本発明の方法は、免疫原性ポリペプチドに対して既に免疫応
答を形成しており、また、たとえば免疫原性ポリペプチドと反応する循環抗体ま
たは免疫原性ポリペプチドに特異的な免疫コンピテント記憶細胞を有し得る対象
において行うことができる。
【0036】 血液が運ぶ細胞により接近可能な固体腫瘍はいずれも、本発明の方法により治
療することが可能となり得る。また対象に導入される細胞は、腫瘍細胞の表面に
発現されるマーカーに白血球がねらいを定めるような細胞表面成分を含むと好都
合である。これらは、たとえば、キメラ「T体」ターゲッティング成分であり、
当業者に知られている(上記で引用したEshar他、Hwu他、Stancovski他、および
Brocker他の開示を参照)。
【0037】 この方法において採用される薬剤調節可能なプロモーター系の成分を変えるこ
とによって(たとえば特定のエピトープを除去するように何らかのDNA結合タ
ンパク質を変更することによって)それらの免疫原性を減じることが望ましい場
合もある。好都合には、存在していれば、DNA結合タンパク質は、核局在化シ
グナル(NLS)を含み、それによって対象の免疫系に現われ得る量を最小限に
する。この点において有用な他の技術は、WO96/01313に開示されてい
る。
【0038】 第2の局面において、本発明は、正常なヒトの対象に対して免疫原性であるポ
リペプチドをコードする核酸配列で形質転換された細胞を提供する。該核酸配列
は、薬剤により調節可能なプロモーターに作動可能に結合されており、それによ
って、細胞による免疫原性ポリペプチドの発現は、細胞がさらされる調節薬剤の
濃度を変えることにより制御することができる。この形質転換された細胞は典型
的には上述の方法において使用するためのものである。
【0039】 第3の局面において本発明は、遺伝子治療法において使用するための組成物を
提供する。該組成物は、生理学的に許容される希釈媒体(たとえば生理食塩水ま
たはリン酸塩緩衝生理食塩水、組織培養培地など)中、上述の第2の局面に従う
複数の細胞を含む。
【0040】 本発明はさらに、第4の局面において、遺伝子治療に使用するための組成物を
製造する方法を提供する。この方法は、(a)哺乳類の対象から細胞の試料を得
ること、(b)異種免疫原性ポリペプチドをコードし、薬剤により調節可能なプ
ロモーターに作動可能に結合された核酸配列によって、該細胞を形質転換させる
こと、および(c)該細胞を生理学的に許容される希釈剤と混合することを含む
。上述の方法は、工程(b)を行った後、追加の工程、たとえば、うまく形質転
換された細胞についてスクリーニングかつ選択すること、および、必要に応じて
、形質転換細胞の数を増やすために選択された細胞をインビトロで増殖させるこ
とを含むと好都合である。スクリーニングおよび選択は、蛍光活性化セルソータ
ーにより都合よく行なうことができる。望ましいのは、上記第4の局面の方法の
実施により、本発明の第1の局面の方法において使用するのに適した組成物が得
られることである。
【0041】 本発明を、例を挙げて、また添付の図面を参照して、さらに説明する。
【0042】
【発明の具体例の詳細な説明】
例1 本発明者らは、ヒトT細胞系における表面分子の発現を一時的に調節するため
の手段として、テトラサイクリンにより制御されるトランスアクチベーター系の
有用性を評価した。トランスアクチベーターおよび発現遺伝子ユニットの両方を
含むベクターを用いて、キメラTCR(chTCR)分子の発現が効率よく調節
され得る安定して形質転換されたJurkat T細胞系を生成させることができた。 使用されるテトラサイクリン類似体およびその濃度に依存して、chTCRの誘
発は、より大きくまたはより小さく可逆的に抑制することができる。さらに、本
発明者は、完全に抑制されたT細胞がキメラ受容体を介してIL−2を生産する
ように活性化され得ないことを明らかにし、このことは、再誘導T細胞の可逆的
な機能的不活性化が可能であるということを示している。
【0043】 遺伝子発現を基底レベルに抑制するための時間経過は、薬剤の除去後、遺伝子
発現が最高レベルに到達するための時間経過より顕著に短く、また、プロモータ
ー活性の回復における遅延は、抑制に用いられたドキシサイクリン(テトラサイ
クリン類似体)の濃度に依存してかなり変化した。これらのデータとT細胞によ
って媒介される免疫治療における現在の認識との関連について論じる。
【0044】 材料および方法 試薬: 使用したmAbは、それぞれヒトCD3εおよびCD28分子に特異
的なSPvT3b(マウスIgG2a)(10)およびYTH913.12(ラ
ットIgG2b)(Serotec Ltd., Oxford, UK)を含んだ。直接染色のために、
次のFITC抱合抗体を用いた。UCHT−1(抗CD3ε、マウスIgG1 S
erotec、マウスλ軽鎖に対するヤギポリクローナル抗血清(Southern Biotechno
logy Associates, Inc. Birmingham AL)、およびマウスIgGに対するヤギポ リクローナル抗血清(γ鎖特異的)(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)。 ウシ血清アルブミン(BSA)を、4−ヒドロキシ−5−ヨード−3−ニトロフ
ェニルアセチル(NIP)(Cambridge Research Biochemicals, Northwich, UK
)と、モル比10:1(NIP10−BSA)で抱合した(11)。テトラサイク
リン塩酸塩(Sigma)を培養培地中に0.5mg/mlの濃度で溶解した。ドキ シサイクリン塩酸塩(「Dox」)(Sigma)を0.02NのHCl中に1mg /mlの濃度で溶解し、さらに培養培地で希釈した。この抗生物質溶液は、使用
当日に新しく調製し、適当な濃度に希釈した。
【0045】 ベクターの構築: ヒトCMV前初期(CMV IE)プロモーター/エンハ
ンサーから転写されたtTAトランスアクチベーター遺伝子を含むプラスミドp
UHD15−1、およびtTA−応答性プロモーター(TRP、ヒトCMV前初
期最小プロモーター[PhCMV*−1]に融合された七量体化tetO配列( TetO)7)を含むpUHD10−3は、H. Bujard(8)から好意により提 供されたものである。プラスミドpCSは、 CMV IEプロモーター、多重 クローニング部位およびSV40ポリアデニル化シグナルを含む1308bpの
SalIフラグメントをpCEP4バックボーン(Invitrogen, San Diego, CA )から取出すことにより構築した。pCSからの6723bp NruI−Cl
aI消化フラグメントをクレノウ(Cambio, Cambridge, UK)で平滑末端にし、 この部位をクレノウおよび子ウシ腸アルカリホスファターゼ(CIP, Boehringer
Mannheim GmbH, Germany)で処理した後、プラスミドpUHD15−1のXho
I部に挿入した。得られたプラスミドは、tTAとハイグロマイシン転写ユニッ
トの両方を対向する方向で含み、pCRAZYと呼んだ。
【0046】 キメラNIP特異的scFv−TCRζ分子を、前述のように構築し(11)
、プラスミドpUHD10−3中へクローン化した。これを行なうために、pU
HD10−3からのHindIII部位をHindIIIによる開裂によって取出し、
その後クレノウ補填および平滑末端連結を行い、pLAV5を得た。pLAV6
構築のため、プラスミドpVACl.aNIP.TCRζ(引用文献11に記載
)から誘導される1342bpのEcoR I−Xba Iフラグメントは、ヒ トVH1リーダー配列およびキメラNIP特異的TCRζ分子を含むものであり
、これをpLAV5のEcoR I−Xba Iポリリンカー部位へクローン化 した。ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター部分配列を含む91bpのE
coR I−Hind IIIフラグメントを、EcoRIおよびHindIIIで消 化することによりpLAV6から取出し、クレノウ補填および平滑末端連結を行
って、プラスミドpLAV7を得た。ベクター構築物、Hind III−Bgl I
I−EcoRV−Cla Iに固有の制限部位を含むポリリンカー(5826:5
’−CATCGATCGAACTGATATCAGCAGATCTCAGAAG
CTTAAT−3’配列ID No.1)および5827:5’−ATTAAG
CTTCTGAGATCTGCTGATATCAGTTCGATCGATGAC
GT−3’配列ID No.2)を、pLAV7のSsp I−AatII部位 中に連結し、pLAV8を得た。TRPの制御下で、tTAトランスアクチベー
ター遺伝子とキメラNIP特異的scFv−TCRζ遺伝子の両方を有する単体
プラスミドをアンチセンス配向(tTA転写ユニットに対して)で構築するため
に、プラスミドpCRAZYをXmnIで消化し、この部位にBgl IIリンカ ー(New England Biolabs, Inc., Beverly, MA)を導入した。Bgl IIおよび Hind IIIでの消化後、9386bpのフラグメントをpLAV8のBgl I
I−Hind III部位に挿入した。得られたプラスミドをpLAV12と呼んだ (図1A)。
【0047】 細胞培養およびトランスフェクション: JurkatT細胞系(クローンE6−1
)を、10%のウシ胎児血清(FCS)、2mMのL−グルタミン、100U/
mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシンおよび25mMのH
EPES緩衝液(すべてGIBCO−BRL(Gaitersburg, MD)からのもの) で補足されたRPMI1640(完全培地(CM)と呼ぶ)中に維持した。安定
な細胞系を生成させるため、前述のように(12)、Jurkat細胞を、電気穿孔法
により、250mVおよび960μFで、線状にされたプラスミドDNA(10
μg)で形質転換した。形質導入体を、0.4mg/mlのハイグロマイシンB
(Calbiochem, San Diego, CA)で補足されたCM中において選択した。安定な 細胞系は、3〜4週間後に樹立され、FACSによってchTCRの発現につい
て分析された。chTCRζ発現細胞の個体群を選択するため、線状化pLAV
12AまたはpCEP4.aNIP.TCRζにより誘導されたプラスミドフラ
グメントで形質転換された安定なJurkat細胞を、FACS分類した(下記参照)
。得られた個体群を、限界希釈により2回クローン化し、フローサイトメトリー
によってタンパク質の発現についてスクリーニングした。
【0048】 フローサイトメトリーおよびセルソート: 細胞表面タンパク質の発現を、(
13)に記載の標準直接免疫蛍光によってFITC抱合抗体の飽和量を用いて行
った。死んだ細胞は、ヨウ化プロピジウムと前方光散乱の組合せを用い、分析か
ら排除した。すべての実験において、適当なFITCアイソタイプに合致する、
関連性のないAbを用いた。試料は、FACScan(登録商標)装置(Becton Dickinson, Mountain View, CA)を用いて分析した。各試料について最低20 ,000の細胞を分析した。その後、CELLQuestソフトウェア(バージ
ョン1.2)(Becton Dickinson)を用いてデータの再解析を行なった。さらに
、マウスλ光鎖に対するFITC抱合ヤギ抗血清で染色した細胞を、セルソータ
ー(FACScalibur,Becton Dickinson)において無菌条件下で分類した。
【0049】 IL−2放出アッセイ: 細胞を、5×105/mlの濃度でCM中48時間 、指定された濃度のテトラサイクリンまたはドキシサイクリンの不在下もしくは
存在下で予め培養した。その後、細胞を洗浄し、計数し、プラスチック固定化N
IP10−BSA抱合体(iNIP10−BSA)またはプラスチック固定化抗
CD3ε mAb(ianti-CD3)を用いて、新鮮なCM単独において、または
薬剤(11)の存在下において、3連で刺激した(105/ウェル)。プレート は、5%のCO2中、37℃でインキュベートした。20時間後、上澄み液を採 取し、ELISAキット(Genzyme Diagnostics, Cambridge, MA)を用いてIL
−2活性について検定した。
【0050】 結果 tet調節可能なベクターの設計 キメラで潜在的に免疫原性のTCRの発現がT細胞において薬理学的に調節さ
れ得るかどうかを判断するため、本発明者らはプラスミドpLAV12およびp
CEP4.aNIP.TCRζ(図1)を構築した。図1Aおよび1Bは、実験
に用いられる典型的なプラスミドフラグメントの概略地図であり、宿主ゲノムへ
の統合の後予測される構造、それぞれ(A)pLAV12および(B)pCEP
4.aNIP.TCRζを示す。転写の方向は矢印で示す。
【0051】 両者の構造物とも、すでに説明された(11)キメラ(ch)TCR分子をコ
ードし、これは、ヒトTCRζ鎖(15)の細胞質領域およびトランスメンブラ
ンに融合されるハプテン特異的(NIP)mAb B1.8(14)の抗原結合
部位を含む。pLAV12(図1A)は、テトラサイクリンにより調節可能な構
造物であり、構造的CMV IEプロモーターの制御下にあるtTA遺伝子およ
びtTA応答プロモーターの制御下で挿入されたchTCRをコードする遺伝子
とともに、TRSのすべての要素を含む。TRP活性の潜在的なシス調節の増強
を減じるための試みにおいて、ベクターに存在する他のエンハンサーおよびプロ
モーター要素の接近のため、tTA応答カセットを、pUC誘導ColE1複製
起点およびβ−ラクタマーゼ遺伝子を含む2500bpのフラグメントによって
他の転写ユニットから分離した(図1A)。対照構造物において、pCEP4.
aNIP.TCRζ、chTCR分子は、構造的CMV IEプロモーター(図
1B)の制御下に置かれた。
【0052】 これらの構造物は両者とも、構成的プロモーターによって転写されるハイグロ
マイシン耐性マーカー遺伝子をコードする。形質転換T細胞においてこれらのD
NA構築物が設計された構成で安定に統合されるのを促進するため、プラスミド
pLAV12からの線状化Avr II-Sap I 9975bpDNAフラグメント(図 1A)およびプラスミドpCEP4.aNIP.TCRζから誘導された線状化
Avr II-EcoRV7551bpフラグメント(図1B)(両者ともEBV複製起点お
よびEBNA−1遺伝子(図1)を欠く)が、Jurkat細胞を形質転換するために
用いられた。
【0053】 キメラscFv遺伝子構造物のtTA依存性発現 pLAV12およびpCEP4.aNIP.TCRζの線状化フラグメントで
JurkatE6−1細胞を形質転換した。chTCRのより高い発現について選択す
るために、安定に形質転換されたハイグロマイシン耐性細胞を、 FITC標識 ヤギ抗マウスλ軽鎖抗血清で染色した後、FACS分類した。分離されたpLA
V12形質導入体(JLAV12S)およびpCEP4.aNIP.TCRζ形
質導入体(JN3S細胞)のほとんどは、chTCRを発現したが、発現の絶対
レベルにおいてかなりの不均一性が見られた(図2A、2B)。
【0054】 図2は、テトラサイクリン類似体によるchTCR遺伝子発現の調節を確認す
る典型的結果を示す。図2Aでは、安定な形質転換された非クローン化JLAV
12S(左手側)およびJN3SJurkat(右手側)細胞の個体群を、テトラサイ
クリンのない培地中で(CM、パネルの上列)または1μg/mlのTet(破
線)もしくはDox(実線)の存在下で(パネルの下列)48時間培養し、マウ
スλ軽鎖に対するFITC抱合ヤギ抗血清での染色後、chTCRの表面発現を
調べた。図2Bは、4つのパネルからなり、Doxを1μg/mlで添加した後
のJLAV12S細胞におけるchTCR遺伝子発現の不活性化の時間経過を、
0時間(左上)、8時間(右上)、12時間(左下)または24時間(右下)に
ついて示している。図2Aおよび2Bの両方において、陰性の対照(マウスIg
Gに対するFITC抱合ヤギ抗血清)は重ね合わせている(塗りつぶした部分)
。蛍光チャンネル数がx軸に沿ってプロットされ、y軸は対応の細胞数を表わす
【0055】 pLAV12形質導入体(JLAV12S)の選択された個体群をその後限界
希釈によってクローン化し、chTCRを低いレベル(2E11)および中間レ
ベル(IF5)で発現する2つのサブクローン(図3)を、さらなる研究のため
に選択した。
【0056】 キメラscFv−TCRζ遺伝子発現の調節 chTCRの発現がテトラサイクリンによって抑制され得るかどうかを判断す
るため、JLAV12SおよびJN3S細胞(5×105/ml)を1μg/m lのテトラサイクリン(Tet)またはその類似体ドキシサイクリン(Dox)
の存在下で48時間インキュベートした。この濃度で、表面chTCRの大部分
(90%)がJLAV12S細胞においてダウンレギュレーションされたが、J
N3S細胞においては影響を受けなかった(図2A)。また、抗CD3ε mA
bを用いる表面染色によって、TCR/CD3複合体の量が両方の細胞個体群に
おいて一定なままであることがわかった(図示せず)。トリパンブルー染色を用
いて検定したこの濃度では、細胞生存能力における変化は観察されなかった(デ
ータは示さず)。
【0057】 遺伝子発現の不活性化の時間経過を研究するため、1μg/mlで抗生物質を
添加した後、JLAV12S細胞を異なる時間において分析した(図2B)。薬
剤にさらして8時間以内でわずかな減少が観察され、24時間以内で最大の抑制
が達成され、このときchTCRの発現は、テトラサイクリンの不在下において
同時点で観察されるレベルの10パーセント未満に落ちた(図2B)。1E5ク
ローンおよび2E11クローンにおいても同様の結果が見られ、chTCRのレ
ベルは、その最大発現の約10%(1E5)および20%(2E11)まで減少
した(図3)。遺伝子抑制の時間経過は、すべての分析された個体群において両
方の抗生物質(TetまたはDox)に対し非常に類似していた。留意すべき重
要なことは、テトラサイクリンがchTCRの発現をダウンレギュレーションし
なかった細胞の百分率は<0.5%であり、JLAV12S細胞の全個体群にお
ける全体の調節には影響を与えなかった(図2A)ことである。
【0058】 遺伝子抑制の用量−応答曲線を、異なる濃度のTetまたはDoxを用いて測
定した。48時間の処理後、細胞を採取し、chTCRの発現をFACS分析に
よって研究した。典型的結果を図3に示す。
【0059】 安定的に形質転換されたクローン化されていない(JLAV2S(左手欄))
およびクローン化された(1F5(中央欄)および2E11(右手欄))Jurkat
細胞個体群を、異なる濃度(上列0ng/ml、2番目の列0.1ng/ml、
3番目の列1ng/ml、および1番下の列10ng/ml)のTet(破線)
またはDox(実線)の存在下で48時間培養し、scFv−TCRζ分子の表
面発現を調べた。陰性の対照(マウスIgGに対するFITC抱合ヤギ抗血清)
は重ね合わせている(塗りつぶした部分)。蛍光チャンネル数はx軸に沿ってプ
ロットされ、y軸は対応の細胞数を表わす。
【0060】 図3を参照して、両方のクローン個体群(1E5および2E11)において、
chTCRの発現は100pg/ml(0.1ng/ml)のDoxで最大に抑
制され、より高い濃度において抑制レベルにさらなる増加は見られなかった。T
RPの部分活性を1pg/mlから100pg/mlの濃度範囲のDoxにおい
て観察した(データは図示せず)。JLAV12S細胞においては、1ng/m
lに等しいかそれより高いDox濃度で最大抑制が観察された。テトラサイクリ
ンについては、分析した細胞系のすべてにおいて10ng/mlに等しいかそれ
より高い濃度で最大抑制が起こった。chTCR遺伝子の誘発は100pg/m
lから1ng/mlのテトラサイクリン濃度で部分的にのみ抑制された。
【0061】 テトラサイクリンの投与を中止した後の、TRP駆動遺伝子発現回復の動力学
を研究するため、安定的な形質転換されたクローン化されていないJLAV12
S細胞を、異なる濃度のDox(1ng/mlから1μg/ml)の存在下で4
8時間培養した。3回の洗浄後、細胞を新しいプレートでテトラサイクリンのな
いCM中においてインキュベート(5×105/ml)し、chTCRの表面発 現を、マウスλ軽鎖に対するFITC抱合ヤギ抗血清での染色後、24〜48時
間毎に調べた。その結果を図4に示す。また、同様の実験を1F5細胞を用いて
行なった(データは示さず)。
【0062】 100%の値は、マウス軽鎖に対するFITC抱合ヤギ抗血清での染色後にお
ける、対照未処理細胞の蛍光のメジアンに対応する。数値は、各細胞個体群から
のテトラサイクリンで処理された細胞に発現したキメラTCRζ分子を、対照未
処理細胞におけるキメラTCRζ分子の量(100%とする)と比較した百分率
である。図4を参照して、細胞を1μg/mlのDoxで処理した後(黒丸)、
薬剤除去後192時間ではchTCR発現の回復ははっきりせず、216時間後
に細胞表面上で初めて検出され、発現が完全に回復したのは288時間後であっ
た。一方、TRPは薬剤の除去後24時間だけ抑制を維持し、細胞を1μg/m
lのTetで予め処理したとき、72時間後にchTCR発現は最高レベルに到
達した(データは図示せず)。より低い濃度のTet(図示せず)またはDox
(1ng/ml−白四角、10ng/ml−黒四角、100ng/ml−白丸)
で細胞を処理した結果、TRPの活性はより早く回復した。
【0063】 例2 機能研究 この研究に使用されるchTCRが、可溶性のまたはプラスチック固定化され
たそのコグネイト抗原(BSAに抱合されたNIP)の特異的認識を媒介でき、
形質転換されたT細胞によるIL−2の生産をもたらすということは以前から示
されている(11)。本研究において、本発明者らは、chTCR発現細胞(J
N3S、JLAV12S、1F5および2E11)をプラスチック固定化NIP 10 −BSA抱合体で刺激すると、IL−2分泌(データは図示せず)が誘発され
ることを一貫して見出した。IL−2の生産レベルは、形質導入細胞の種々の個
体群間で変化するが、概して、マイクロタイターウェルに固定化された抗CD3
ε mAbによる標準化刺激に応答して同じ細胞個体群で観察されるものと同様
であった(図示せず)。
【0064】 高濃度のテトラサイクリンがT細胞活性化のプロセスを妨害することは示され
ている(16)として、本発明者らは、TetおよびDoxの濃度を増していく
ことが、抗CD3εにより誘発されるJurkat細胞のIL−2の分泌に与える効果
を研究した。IL−2の分泌は、100ng/mlまたはそれより低いドキシサ
イクリン濃度では影響を受けなかったが、1μg/mlのドキシサイクリン濃度
では25%阻害された(図示せず)。1μg/mlに等しいかそれより低い濃度
のテトラサイクリンは、抗CD3εにより誘発されるIL−2の分泌に影響を与
えなかったが、これは未処理の細胞において観察されたものと同様であった(図
示せず)。これらの結果は、ヒトT細胞に対する免疫調節効果が最初に現れるし
きい値より1000倍以上低い濃度のドキシサイクリンで、最大のTRP抑制を
誘発することが可能であることを示している。
【0065】 本発明者らは次に、テトラサイクリンによって媒介されるchTCRの抑制が
、形質転換されたJurkat細胞において抗原非応答性の可逆的状態を誘発し得るか
どうか検討した。JLAV12S細胞およびJN3S細胞を、DoxおよびTe
tの濃度を増加させて48時間予めインキュベートし、次いで固定化NIP−B
SAで刺激し、それに続いてそれらのIL−2生産を測定した。完全なTRP抑
制の状態において、JLAV12S細胞は、表面chTCRの90%がダウンレ
ギュレーションされ(図3参照)、iNIP10−BSA抱合体での刺激に対し
て完全に非応答性であった(図5A参照)。
【0066】 図5Aおよび5Bは、TetまたはDoxの不在下または存在下において、i
NIP10−BSAで刺激された形質転換JLAV12S細胞(5A)またはJ
N3S細胞(5B)によるIL−2生産を(pg/mlで)示す棒グラフである
。細胞は、薬剤の不在下または存在下(示された濃度(ng/ml))で48時
間予めインキュベートされ、洗浄され、新鮮なCM単独(塗りつぶした棒)中に
おいて、または示された濃度のTet(影をつけた棒)もしくはDox(白い棒
)の存在下で、プラスチック固定化NIP10−BSA抱合体(50μg/ml
)で刺激された(105/ウェル)。2つの同様の実験のうち1つを示す。
【0067】 chTCRの約75%のダウンレギュレーションに伴ってIL−2の生産は低
くなる一方、chTCR発現レベルがテトラサイクリンの不在下で観察されるも
のの約50%であった場合、阻害作用は見られなかった(図5A)。これらの結
果は、完全TRP抑制の状況にあるJLAV12S細胞によって発現される表面
chTCR分子の数が、最適なT細胞機能に必要な活性化しきい値に到達するに
は十分でないことを示している。一方、JN3S細胞がiNIP10−BSA抱
合体で刺激されると、1μg/ml未満の濃度のテトラサイクリンおよびドキシ
サイクリンの阻害作用は見られなかった(図5B)。
【0068】 考察 本発明者らは、ヒトT細胞系に発現する外来遺伝子の薬理学的調節のため、T
RSの要素すべてを含む単一のベクターを用いてきた。TRSは、通常構成的プ
ロモーターによって駆動されるtTA遺伝子と、tTA応答性プロモーター(8
)のすぐ下流にある必要な遺伝子とを含む。TRSをT細胞へ適用しやすくする
ために、本発明者らは、構成的プロモーターの制御下で、ハイグロマイシン選択
可能マーカー遺伝子とともにTRSの両要素をコードする自己充足型プラスミド
ベクターを構築した。この新規なベクターは、本来の2プラスミドに基づくTR
S系(8)での協働トランスフェクションにつきものである効率の損失を克服し
、等しい複製数のtTAおよびレポーター遺伝子ユニットを、同じ染色体の遺伝
子座に直接的なシス立体配置で組込むことを確実にする。
【0069】 この安定した発現系を組込み遺伝子治療法のためのモデルとして用い、本発明
者らは、scFv−TCRζキメラ分子がヒトT細胞系において機能的に発現さ
れ得ること、および、その発現が薬理学的に下方に調節され得ることを実証した
。テトラサイクリンの不在下において、chTCRの発現レベルは、キメラ遺伝
子が強いCMV IEエンハンサー/プロモーターによって駆動されるときに観
察されるものに匹敵するものであった。遺伝子発現の効率的なテトラサイクリン
依存的抑制は、研究されたT細胞形質導入体すべてにおいて見られた。使用され
る用量および類似体に応じて、chTCRの発現は、より大きいまたはより小さ
い程度に抑制できた。このことは、TRSが、T細胞に適用可能であり、VP1
6ドメインの明らかに有害な押え込み作用を伴うことなく、トランスアクチベー
ター発現の機能的レベルを達成するということを示している。
【0070】 テトラサイクリンより100倍高い効力を示すドキシサイクリンを用いたTR
Sに関する従来の研究では、種々のテトラサイクリン類似体について効力が変化
することが示されている(17)。本発明の系においては、10ng/mlの濃
度のテトラサイクリンで最大の抑制が起こった一方、ドキシサイクリンは100
pg/mlから1ng/mlの範囲にわたってTRPの完全な抑制を引起こした
【0071】 TetまたはDoxにさらされたときのchTCR発現の低下に対する時間経
過は短く、このことは、野生型TCRζ鎖のように、キメラTCRζ鎖が急速な
代謝回転を示すということを示唆している(18)。この点に関し、Jurkat細胞
におけるζ鎖の代謝回転は本来のT細胞におけるものと同様であることに注目す
ると興味深い(18)。遺伝子発現の急速な抑制とは対照的に、ドキシサイクリ
ン除去後のその回復は非常に遅かった。chTCR遺伝子発現の回復の開始まで
の遅延は、抑制に用いられるドキシサイクリンの濃度に直接比例して変化した。
このように持続される抑制、およびテトラサイクリン類似体の除去時に起こる遺
伝子発現の比較的遅い回復は、他の細胞型においても見られ、新たなT細胞免疫
治療法および新たな免疫回避戦略の開発において重要となり得る。
【0072】 キメラTCRの発現は、抗原への暴露に対するIL−2分泌によって明らかに
されるとおり、NIP−BSA抱合体に応答性を与えた。ドキシサイクリンは、
ヒトT細胞に対して他の免疫調節作用を有さない濃度において、さらに感染症の
治療(19)にドキシサイクリンを用いるとき臨床的にもたらされる組織での濃
度よりずっと低い濃度において、この抗原応答性を完全に排除することがわかっ
た。このように、工作されたT細胞をそれらの投与前にドキシサイクリンで処理
することにより、所定の時間の間、導入遺伝子の発現を消すことが可能になり、
これによって、低いレベルの標的抗原を発現し得る正常な組織に対して付帯的損
傷を限定することができる。
【0073】 トランス遺伝子発現の完全な抑制は、本研究において完全には達成されなかっ
た。使用されるベクターおよび/または細胞型特異的因子の特性は、非誘発状態
において見られる転写の基底レベルに寄与し得る(21、22)。さらに、tT
Aタンパク質の潜在的な免疫原性も考慮する必要がある。本発明者らが使用した
ベクターにおいて、トランスアクチベーターは、テトラサイクリンの存在と関係
なく一定の発現を確実にする構成的プロモーターによって駆動されており、した
がって抑制状態においても、遺伝子修飾されたT細胞に対する免疫応答を誘導す
る可能性がある。しかしながら、エンハンサーのないテトラサイクリン応答性ベ
クターの新世代についてはこの限りではなく、その場合、テトラサイクリンはt
TAタンパク質がTRPに結合するのを防ぎ、よって、自動調節回路によりそれ
自体の発現およびレポーター遺伝子の発現を抑制する(17、22)。この構成
は、トランス遺伝子発現の抑制を向上させ(予備実験において無視できるレベル
まで)、多量のtTAタンパク質が完全抑制状態において顕著に減少するのを確
実にする(22)。
【0074】
【引用文献】
本明細書中で引用されたすべての刊行物をここに引用により援用する。 1. Mule et al, 1984 Science 225:1487. 2. Rosenberg et al, 1986 Science 233:1318. 3. Eshhar et al, 1993 Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 90: 720. 4. Hwu et al, 1993 J. Exp. Med. 178. 361. 5. Stancovski et al. 1993 J. Immunol. 151: 6577. 6. Brocker et al. 1996 Eur. J. Immunol. 26:1770. 7. Yarranton 1992 Curr. Opin. Biotechnol. 3:506. 8. Gossen & Bujard 1992 Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 89:5547. 9. Gossen et al. 1993 Trends Biol. Sci. 18:471. 10. Spits et al. 1985 Eur. J. Immunol. 15:88. 11. Alvarez-Vallina & Hawkins 1996 Eur. J. Immunol. 26: 2304. 12. Patten et al. 1992 J. Immunol. 150:2281. 13. Alvarez-Vallina et al. 1993 J. Immunol.l50: 8. 14. Hawkins et al. 1992 J. Mol. Biol. 226: 889. 15. Weissman et al. 1988 Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 85: 9709. 16. Kloppenburg et al. 1995 Clin. Exp. Immunol. 102:635-641, 17. Hofmann et al. 1996 Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 93: 5185-5190. 18. Ono et al. 1995 immunity 2:639-644. 19. Houin et al. 1983 Br. J. Clin. Pharmac. 16:245. 20. Shockett & Schatz 1996 Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 93:5173. 21. Ackland-Berlund & Leib 1995 BioTechniques. 18:196. 22. Shockett et al. 1995 Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 92:6522
【0075】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 AおよびBは、前掲の例で述べられた核酸構造の概略図である。
【図2A】 典型的なFACSデータを表わす図である。
【図2B】 典型的なFACSデータを表わす図である。
【図3の1】 典型的なFACSデータを表わす図である。
【図3の2】 典型的なFACSデータを表わす図である。
【図4】 時間に対するキメラポリペプチドの発現を(対照細胞における発
現の百分率として)示すグラフである。
【図5】 AおよびBは、さまざまな濃度のテトラサイクリンまたはテトラ
サイクリン類似体、ドキシサイクリンにさらされたTリンパ球によるIL−2生
産(ピコグラム/ml)のレベルを示す棒グラフである。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年3月2日(2000.3.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12N 5/00 B (31)優先権主張番号 60/076,448 (32)優先日 平成10年3月2日(1998.3.2) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),AU,CA,J P,US (72)発明者 アガ−モハマディ,シャマク イギリス、シィ・ビィ・2 2・エス・エ イ ケンブリッジ、ロング・ロード、エイ ドリアン・ウェイ、アビントン・ハウス、 42 (72)発明者 ラッセル,スティーブン・ジェイムズ アメリカ合衆国、55902 ミネソタ州、ロ チェスター、セイレム・ロード・エス・ダ ブリュ、2701 (72)発明者 ホーキンス,ロバート イギリス、エス・ケイ・10 4・ワイ・ジ ィ チェシャー、プレストベリ、マックル ズフィールド・ロード、スクウォーレル ズ・チェイス、3 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 AA20 BA31 CA02 CA10 DA03 EA04 FA02 FA06 GA14 GA18 GA27 HA17 4B065 AA93Y AA94X AB01 AC14 AC20 BA02 BA03 BA25 BB01 BC01 BD50 CA24 CA45 CA46 4C084 AA13 BA03 CA26 DA39 NA14 ZB072 ZB262 ZB332 ZC552 4C087 AA02 AA03 BB43 NA14 ZB07 ZB26 ZB33 ZC55

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒトまたは動物の対象において免疫原性であるポリペプチド
    をコードする核酸配列の前記対象における発現を調節する方法であって、 前記免疫原性ポリペプチドをコードし、薬剤により調節可能なプロモーターに
    作動可能に結合されている核酸配列を含む細胞を、前記対象に導入すること、お
    よび 前記細胞がさらされる調節薬剤の濃度を変化させること を含む、方法。
  2. 【請求項2】 前記細胞が白血球である、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記細胞がBリンパ球、Tリンパ球、単球またはマクロファ
    ージである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記対象は、免疫原性ポリペプチドに対して免疫応答を形成
    しているものである、請求項1、2または3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記対象は、免疫原性ポリペプチドと反応する循環抗体を有
    する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記対象は、免疫原性ポリペプチドに特異的である免疫コン
    ピテント記憶細胞を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記免疫原性ポリペプチドの発現は、前記細胞を前記対象に
    導入するに先立って、インビトロで実質的に阻害され、そして、前記免疫原性ポ
    リペプチドの発現は、遅延インターバル後、前記対象において最大レベルに達す
    る、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記免疫原性ポリペプチドの発現は、前記細胞を調節薬剤に
    さらすことによりインビトロで阻害され、そして、前記対象における発現は、遅
    延インターバル後に誘発され、前記対象は調節薬剤を実質的に有さない、請求項
    7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記免疫原性ポリペプチドの発現は、前記調節薬剤の実質的
    な不在によりインビトロで阻害され、そして、前記対象における発現は、前記調
    節薬剤の前記対象への投与によって遅延インターバル後に誘発される、請求項7
    に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記調節薬剤が、テトラサイクリンまたはその類似体(本
    明細書中に定義される)、グルココルチコイドステロイド類、性ホルモンステロ
    イド類、リポ多糖類(LPS)、およびイソプロピルチオガラクトシド(IPT
    G))よりなる群から選ばれる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記免疫原性ポリペプチドは前記対象において治療作用を
    及ぼす、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記免疫原性ポリペプチドは前記対象において抗腫瘍作用
    を及ぼす、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記核酸配列は、複製可能なウイルスゲノムまたはウイル
    スベクターをコードする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 【請求項14】 正常なヒトの対象に対して免疫原性であるポリペプチドを
    コードする核酸配列で形質転換された細胞であって、前記核酸配列は、薬剤によ
    り調節可能なプロモーターに作動可能に結合されており、それによって、前記細
    胞による免疫原性ポリペプチドの発現は、前記細胞がさらされる調節薬剤の濃度
    を変化させることによって制御できるものである、細胞。
  15. 【請求項15】 白血球である、請求項14に記載の細胞。
  16. 【請求項16】 請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法において使用
    するためのものである、請求項14または15に記載の細胞。
  17. 【請求項17】 請求項14、15または16のいずれか1項に記載の複数
    の細胞、および生理学的に許容される希釈剤を含む、請求項1〜13のいずれか
    1項に記載の方法において使用するための組成物。
  18. 【請求項18】 請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法を実施するた
    めに使用される組成物の製造における、請求項14に記載の細胞の使用。
  19. 【請求項19】 遺伝子治療において使用するための組成物を製造する方法
    であって、 哺乳類の対象から細胞の試料を得ること、 異種免疫原性ポリペプチドをコードし、薬剤により調節可能なプロモーターに
    作動可能に結合されている核酸配列によって、前記細胞を形質転換すること、 うまく形質転換された細胞を選択すること、および 選択された細胞を生理学的に許容される希釈剤と混合すること を含む、方法。
  20. 【請求項20】 前記方法の実行によって、請求項1〜13のいずれか1項
    に記載の方法で使用するのに適当な組成物を製造する、請求項19に記載の方法
  21. 【請求項21】 白血球において異種ポリペプチドをコードする核酸配列の
    発現を調節する方法であって、 テトラサイクリン−オペレーター配列に作動可能に結合された核酸コード配列
    およびテトラサイクリン感受性DNA結合発現調節ポリペプチドをコードする配
    列を前記白血球に導入すること、および 前記白血球がさらされるテトラサイクリン(またはその類似体)の濃度を変化
    させて前記コード配列の発現を調節すること を含む、方法。
JP2000510471A 1997-09-06 1998-09-07 免疫原性物質の発現におけるまたはそれに関する改良 Withdrawn JP2001515709A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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