JP2001513544A - 脂質含有組成物及びこれらの使用 - Google Patents

脂質含有組成物及びこれらの使用

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トンジュ、ステファン、ロナルド
タイ、ブライアン、ジョン
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Abstract

(57)【要約】 医療、生化学、及びその他の産業において有用な界面活性剤及び可溶化剤を提供する脂質含有組成物が開示されている。これらの組成物は、膜形成極性脂質と、好ましくは線状主鎖に沿って均一に配列されている、疎水基及びアニオン性親水基を含む合成両親媒性ポリマーとを含んでいる。いくつかの実施態様において、このポリマーは、第一及び第二モノマー単位がその長さに沿って交互関係に配列されているコポリマー、例えばポリ(マレイン酸スチレン)(PMAS)である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、主として生化学及び医学の分野に関する。より詳しくは、これは次
のような脂質含有組成物に関する。すなわち、本発明の1つの側面において、あ
るいくつかの物質に有用な界面活性剤又は可溶化剤、特に薬物又はその他の生物
活性物質を提供し、特に脂質可溶性であるが、低水溶性を有する物質の水溶液を
生成するために有用になりうるものである。従ってこれらは、哺乳類の治療(又
は化粧品)処理と関連した薬物又はその他の生物活性物質の配合及び/又は送出
し、できれば部位特異的送出し用の配合剤又は送出し薬剤として用いることがで
きる。これらの脂質含有組成物はまた、医療において、例えば肺界面活性剤とし
て、又は眼科配合物に含ませるための潤滑界面活性剤物質又はその他の医療用潤
滑配合物として有用な治療用の用途を有する人工界面活性剤をも提供する。しか
しながらこれらの組成物は、生化学又はバイオテクノロジーの様々な分野におい
て、及び例えば食品産業において、特に可溶化剤としてのその他の使用及び用途
を有しうる。
【0002】 (背景技術) 特に例えば低水溶性を有する活性薬物の投与と関連して、新規又は改良された
薬物配合物及び/又は送出し薬剤への絶え間ないニーズが存在する。改良された
薬品送出し方法はまた、遺伝子治療の発達に関連しても同様に重要である。この
ような場合、投与されるか又は送出される薬物は、治療用遺伝子DNA又はRN
A又はDNA/RNA断片であり、これらには、保護のため及び標的細胞による
取込み(take−up)の促進のためのキャリヤービヒクルが必要である。同
様に、その他の感受性の高い、又は不安定な薬物の効率的送出しのため、並びに
低水溶性の薬物の効果的送出しを得るために、改良送出し薬剤に対するニーズが
ある。さらには多くの場合、その他の分野において、例えば食品及び化粧品産業
において、効率的な非毒性可溶化剤に対するニーズがある場合も多い。
【0003】 同様にタンパク質、特に例えばリン脂質膜内の薬物受容体タンパク質を可溶化
して、その本来のコンホーメーションを保持するようにし、これによってこれら
の構造が、例えばNMR分光法によって測定されうるようにするために用いうる
可溶化剤へのニーズも確認されている。このようにしてこれらの構造を解明する
ことによって、より効率的な薬剤が、このような受容体と相互作用し、かつ強力
な薬物として作用するように設計されうる。この発明のいくつかの実施態様は、
これらの様々なニーズに合わせるのに役立つ。
【0004】 よく知られているように、肺界面活性剤に関して、適切な呼吸機能と気体交換
を達成するために、すべての哺乳類は、呼気及び吸気の間、肺胞の内側を覆う上
皮呼吸器表面を覆っている液体フィルムの表面張力を制御するために界面活性剤
を肺に分泌する。肺胞は、実際には液体/空気界面において気体交換のための表
面積を最大限にするように配列された、一連の微小な相互連結液体裏打ち嚢(s
ack)を形成している。しかしながらこの配列は、次の点において体に対して
潜在的な物理化学的問題を示す。すなわち、肺胞嚢は、形態においてはラプラス
の法則に従う小気泡に近く、これによって気泡内の気体圧は、半径又は直径に反
比例しており、境界膜において液体の表面張力に正比例している。従って呼気の
間は肺胞嚢の直径が減少するので、その中の圧力は増加する傾向があり、これは
圧力不均衡を生じることがある。しかしながら肺胞間の圧力不均衡は、比較的小
さい肺胞嚢から比較的大きいものの方へ空気を無理に入れる傾向があり、その結
果比較的小さい肺胞嚢が圧潰する。もしもこの状況が生体内で生じるならば、肺
のその後の膨張は、はるかに難しくなり、肺全体が圧潰することさえある。
【0005】 これらの問題を避けるために、哺乳類は、呼気の間に表面積が収縮した時に、
肺胞表面の液体膜の表面張力を低下させるために自然の界面活性剤を生成する。
逆に肺を膨らませるのに必要な力もまた均一に分配される。どちらの場合も、肺
は異なる肺胞の末端サイズにおける変化と共に均一に収縮及び膨張しうる。この
ような程度の機能的制御は、表面積における減少に正比例して表面張力を減少さ
せることによって得られ、これ自体は、表面における単位面積あたりの界面活性
剤の濃度の増加によって得られる。このメカニズムは、ラングミュア溝(tro
ugh)において用いられるものと同様であり、これによって、不溶性単層の収
縮は、界面から水を絞り取り、従って表面を共に「引張る」ように作用する水分
子間の凝集力を最小限にする。
【0006】 ヒト新生児において、肺界面活性剤は、出産予定日の約2ヶ月前に合成され、
これによって、出生時に肺は膨張することができ、正常な呼吸を開始させること
ができる。しかしながら2ヶ月以上も早産の乳児において、肺界面活性剤の量は
大幅に減少しているか、あるいは完全に無いことがあり、この状態によって肺は
膨張が妨げられ、その結果新生児呼吸困難症候群(RDS)の発生が起こり、こ
れはいまだに新生児死亡の最も普通の原因である。
【0007】 内生的肺界面活性剤は一般に、10%タンパク質と組合わされた90%(重量
/容積)脂質から成る。リポイドフラクションは、90%リン脂質から構成され
ており、これの80%は、ホスファチジルコリン(PC)であり、約40〜45
%がジパルミトイルエステル(DPPC)の形態にあり、残りはモノエノンPC
としてのものである。脂質は通常また、10〜15%ホスファチジルグリセロー
ル(PG)と、7〜8%のコレステロールとを含んでいる。
【0008】 リン脂質のみを用いて、あるいは本来の肺界面活性剤の脂質組成物を模したリ
ポイド混合物を用いて、人工リン脂質ベースの界面活性剤を開発しようとする初
期の試みにおいて、このような人工界面活性剤は、RDSを処理する時の天然物
質よりも有意に効果が低いことが分かった。特に、用いられているリン脂質は、
肺胞空気/液体界面において、いくつかのアポタンパク質の不存在下には、界面
活性剤タンパク質と呼ばれているものを完全に吸着して広げるのに失敗すること
が多いことが分かった。これらの界面活性剤タンパク質は、内生界面活性剤中に
発生するものである。これらの界面活性剤タンパク質は、リン脂質の集合を変更
する作用を行ない、水性サブ相(subphase)において各肺胞の内側を覆
っているT細胞からこれを運び、空気界面において脂質単層を形成すると考えら
れている。
【0009】 この問題は、動物由来アポタンパク質抽出物をベースとしたRDS治療用人工
肺界面活性剤の臨床的実施への最近の導入によって、部分的には解決された(次
の商用界面活性剤の表、及び本明細書の最後にある表2参照)。しかしながらこ
の開発は、この障害の治療を革命的に変えたが、その結果、これらの既知の人工
肺界面活性剤が一般に非常に高価であるので、ヘルスケア提供者に劇的なコスト
増加が課されることがあり、またこれらはヒト新生児の治療に動物タンパク質の
使用が適しているかどうかについて重大な疑問をも提起する。
【0010】 表1に、商品として入手しうる既存の人工肺界面活性剤の表を示す。表中、*
印を付す部分については、これらの特定の人工肺界面活性剤は特別に効率的なわ
けではなく、タンパク質を含んでいない。
【0011】 従って合成材料から安価に製造しうる効果的な人工肺界面活性剤に対するニー
ズがあり、このような人工界面活性剤を提供することが、本発明の1つの目的で
ある。効果的で安価な人工肺界面活性剤の開発へのこの研究の関わりは、利益を
受ける個人の人数の点でははるかに目標に達する結果を有しうることが分かるで
あろう。呼吸困難症候群(RDS)から生じる死亡率を控え目に評価しても、公
開されている統計に基づいた場合(米国健康及び人的サービス部1992年(U
S Dept.Health and Human Services)発行の
「乳幼児死亡率(Infant mortality rates)」)、主に
発展途上国において全体として1年あたり約100,000件があることが示さ
れるであろう。従って安価に入手しうる肺界面活性剤は、世界中のかなりの数の
子供の生存率及びその後の健康の両方に有意な影響を与えうる。
【0012】 人工肺界面活性剤に対するニーズとは別に、製薬的に許容しうる界面活性剤は
また、膜表面又は粘膜表面に影響を与えるその他の医学的状態の治療にも必要と
される。例えば「ドライアイ」症候群として知られている状態の治療における眼
科使用のための涙膜界面活性剤、及び関節炎状態に関連した関節表面を潤滑又は
治療するための界面活性剤である。同様に、医療器具及び人工器官、例えば人体
又は動物の体に嵌め込まれる人工関節及びコンタクトレンズの表面を潤滑させる
ための潤滑用界面活性剤に対するニーズも存在する。
【0013】 (発明の概要) 本発明は1つの側面からは、膜形成極性脂質と合成両親媒性ポリマーとを含む
、実質的に澄んだ水溶液から構成される脂質含有組成物であって、前記ポリマー
が、疎水基とアニオン性親水基とを含み、水性媒質中で脂質と相互作用し、かつ
これを可溶化する脂質可溶化剤として作用する組成物を提供する。多くの実施態
様において、この発明の脂質含有組成物は、治療に使用されるか、あるいは治療
における使用のために配合されている。
【0014】 このようにしてもう1つの側面からは、本発明はまた、医薬調製物の製造への
脂質含有組成物の使用にも属しており、前記組成物は、膜形成極性脂質と合成両
親媒性ポリマーとを含む実質的に澄んだ水溶液から成り、前記ポリマーは、疎水
基とアニオン性親水基との両方を含んでおり、水性媒質中で脂質と相互作用を行
ない、これを可溶化する脂質可溶化剤として作用する。
【0015】 もう1つの側面から、本発明はまた、合成両親媒性ポリマーと共に膜形成極性
脂質を含む実質的に澄んだ水溶液と、低水溶性の脂質可溶性標的物質とから成る
脂質含有組成物であって、前記ポリマーが、アニオン性親水基と疎水基との両方
を含み、前記水性媒質中において前記標的物質と共に脂質と相互作用し、かつこ
れを可溶化する脂質可溶化剤として作用する組成物を提供する。この場合、追加
の脂質可溶性標的物質は、次のことのために存在してもよい。すなわち、送出さ
れるため(例えば薬物送出し)、あるいは脂質可溶性タンパク質の場合、体内の
特別な組織への脂質/ポリマーの組合わせの標的決定を助けるため、あるいはい
くつかの場合には、分析について正確な確認ができるようにタンパク質を保持す
るためである。
【0016】 好ましい実施態様において、脂質は通常、リン脂質を含んでおり、これが組合
わされている合成両親媒性ポリマーは、線状主鎖に沿って均一に配列された疎水
基とアニオン性親水基との平衡を有するものである。
【0017】 本発明を実施する上で用いうる疎水基とアニオン性親水基との両方を含む、1
つの脂質可溶化合成両親媒性ポリマーの例は、ホモポリマーポリ(2−エチルア
クリル酸)(PEAA)であり、これは、水溶液中でpH>7において、ホスフ
ァチジルコリン、例えばジラウロイルホスファチジルコリン(DLPC)及びジ
パルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)と相互作用し、pHが約6.5
の臨界値以下に低下した時に澄むような多層ベシクルの懸濁液を生じるとして以
前に報告されている。例えばK.Sekiらの(1984年)「ポリ(アクリル
酸)誘導体とリン脂質ベシクル膜とのpH依存性錯体化(pH−Depende
nt Complexation of Poly(acrylic acid
)Derivatives with Phospholipid Vesic
le Membranes)」、Macromolecules、第17巻、1
692〜1698頁、D.A.Tirrellら(1985年)の「合成ポリ(
カルボン酸)との錯体化によるリン脂質ベシクルのpH増感(pH Sensi
tisation of Phospholipid Vesicles vi
a Complexation with Synthetic Poly(c
arboxylic acid)s)」、Ann.N.Y.Acad.Sci.
第446巻、237〜248頁、及びK.A.Bordenら(1987年)「
高分子電解質吸着は、ジパルミトイルホスファチジルコリンの水性分散液中での
ベシクルのミセルへの転移を誘発する(Polyelectrolyte ad
sorption induces a vesicle−to−micell
e transition in aqueous dispersions
of dipalmitoylphosphatidylcholine)」、
Polymer Preprints,第28巻、284〜285頁参照。
【0018】 参照されている文献に記載された可溶化作用は、ベシクル構造の崩壊及び再編
成によるものであるとされた。これは、pHが低下した時にポリマーに生じるコ
ンホーメーションの変化を伴なうものであり、脂質/ポリマー錯体の形成を生じ
、これは小さいミセル円盤状粒子又は集合体を生成する。前記論文において次の
ような提案も行なわれた。すなわち、記載されている物質は、治療物質がベシク
ル内に捕らえられるように調製されるならば、有用な医療用の用途をも有しうる
であろうが、その理由は、医学的治療の間にこのような調製物を投与した時、リ
ポソームとして知られているこれらのベシクルは、低いpHの標的部位に入った
時それらの内容物を崩壊させて素早く放出するであろうからであるということで
ある。しかしながらこれらの提案は、その内部に水溶性薬物又はその他の治療薬
剤が捕えられている無傷なベシクル又はリポソームを含む組成物の使用にのみ関
連しており、ベシクル又はリポソーム自体は、単に機械的容器としてのみ用いら
れていることに注目すべきであろう。リポソームの崩壊後に生じたミセル粒子又
は集合体の脂質/ポリマー錯体の治療目的あるいは他のもののための価値が認め
られているとは表現されていない。しかしながら今や、このような脂質/ポリマ
ー錯体はそれ自体で、有利な小サイズ特徴と組合わされた、有利な界面活性及び
/又は可溶化特徴を顧慮した有用な組成物を提供しうることが分かった。本発明
において開発されたのは、これまで認められていなかった特性及びこれの実際的
用途である。
【0019】 「膜形成極性脂質」という用語は、ここでは一般的に一対の比較的長い炭化水
素鎖から構成されている、非極性疎水性尾部に接着された高度に極性の頭部分を
有し、従って水性媒質中において、脂質分子は会合する傾向があり、界面におい
ておそらくは脂質単層又は二層として膜構造を形成する脂質のことを意味するた
めに用いられている。
【0020】 好ましい実施態様において、本発明に関連して用いられているこれらの極性脂
質は、通常、非極性アシルエステル基が8〜25個の炭素原子を含んでいるホス
ファチジン酸誘導体の形態でのグリセロールをベースとしたリン脂質であろう。
しかしながらこれらのアシルエステル基は、好ましくはラウリル、パルミトイル
、及びミリストイルから選ばれ、この分子の極性頭部は、コリン置換基を有する
ホスフェート基によって供給される。すなわちこの脂質はホスファチジルコリン
であろう。それにもかかわらずいくつかの実施態様においては、異なる構造をベ
ースとするその他の極性脂質、特にリン脂質、例えばスフィンゴシン、又はリン
脂質スフィンゴミエリンが誘導されるセラミドを用いることもできる。
【0021】 これらの極性脂質の多くのもの、特にリン脂質、例えばホスファチジルコリン
は、水性媒質中において、予め決められた温度において相転移変化を受けること
を指摘すべきであろう。これらの予め決められた温度においては、これらは比較
的秩序のある状態から、比較的無秩序な状態に変わりうる。例えばジパルミトイ
ルホスファチジルコリン(DPPC)は、約42℃の主要熱相転移温度(Tm)
を有する。但し、ジラウロイルホスファチジルコリン(DLPC)については、
主要熱相転移温度は、約−2℃であり、従ってこれは室温において無秩序二層又
は液体結晶相状態にある。
【0022】 本発明を実施する場合、PEAAの代りに、疎水性側鎖を有するアクリル酸誘
導体、例えば2−プロピルアクリル酸のホモポリマー、又はアニオン性親水基に
加えて垂れ下がった(pendant)疎水側基を有するその他のポリ(カルボ
ン酸)ポリマーも用いることができる。しかしながら好ましい実施態様において
、選択される合成脂質可溶化両親媒性ポリマーは、線状交互ビニルコポリマーで
あろう。このコポリマーは、不飽和ジカルボン酸、又は前記ジカルボン酸の無水
物又はモノエステルと、交互関係にある1つ又は複数のモノエンビニルモノマー
との遊離基添加重合によって形成されたものである。
【0023】 従って別の側面からは、本発明は、膜形成極性脂質と合成両親媒性ポリマーと
を含む実質的に澄んだ水溶液から成る脂質含有組成物であって、前記ポリマーが
、アニオン性親水基と疎水基との両方を含み、水性媒質において脂質と相互作用
し、かつこれを可溶化する脂質−可溶化剤として作用する組成物において、合成
両親媒性ポリマーが、不飽和ジカルボン酸又はその無水物又はモノエステルであ
る第一モノマーと、モノエン化合物、例えばビニル化合物又は例えばインデン又
はナフタレンのような化合物である第二モノマーとのコポリマーであり、前記第
一及び第二モノマーが、交互関係に配列されて線状主鎖を形成することを特徴と
する組成物を提供する。
【0024】 1つ又は複数のモノエンモノマーは一般に、インデン又はナフタレン、及び式
R−CH=CH2(ここにおいてRは水素、C1〜C8アルキル又はアルコキシ、 又は場合によってはアルキル又はその他の疎水基で置換されていてもよいフェニ
ル又はベンジルである)の化合物から選ばれるが、但しRがアルコキシであるな
らば、すなわちこの化合物がアルキルビニルエーテルであるならば、C3〜C6ア
ルコキシが好ましいという条件がある。前記第一モノマーを供給するジカルボン
酸に関しては、これは一般に化学式1
【化1】 の化合物であり、ここにおいてR1及びR2は、各々独立して水素又はC1〜C9ア
ルキルであり、R3及びR4の少なくとも1つは水素であり、もう一方は水素又は
C2〜C9アルキルであり、このコポリマー構造は、第二モノマー単位がジカルボ
ン酸又はエステル単位と交互になっており、線状主鎖に沿って交互の垂れ下がっ
たアニオン性親水性側基と疎水性側基との規則的配列を生じるようなものであり
、もしも前記モノエンビニルモノマーにおいてRが水素であるか、又はメトキシ
又はエトキシ(C1又はC2アルコキシ)であるならば、その場合R3及びR4はど
ちらも水素であるべきではないという条件に従う。通常、好ましい実施態様にお
いて、R1及びR2はどちらも水素であり、同様に7個以上の炭素原子よりも長い
アルキル基を有するアルキルビニルエーテルモノマー含有コポリマーは、低水溶
性によって適切ではないであろう。示されているように、ジカルボン酸は、その
無水物の形態であってもよいであろう。
【0025】 同様に、少なくとも好ましい実施態様において、ポリマー又はコポリマーの疎
水側基における炭素原子数は、通常、ポリマーの主鎖における炭素原子数に等し
いか又はこれより大きく、イオン化された時、1主鎖炭素あたりの平均電荷比は
、1(unity)又はこれより小さい。
【0026】 特に適したポリマーは、マレイン酸(又はその無水物)と、スチレン、インデ
ン、又はC1〜C4アルキル、例えばメチル、置換スチレン又はインデンとの、又
はプロピル(又はイソプロピル)又はブチルビニルエーテルとの交互コポリマー
として形成されてもよい。同様に、スチレン、又はインデン、又はアルキル化ス
チレン又はインデン、及びアルキルビニルエーテル成分の混合物を用いることも
できる。使用しうるいくつかの適切なコポリマーは、オルドリッチ・ケミカル社
(Aldrich Chemical Co.)から、オルドリッチ・ケミカル
社カタログ番号第43,529−5号(CAS登録番号第25736−61−2
号)という商品として入手しうる。使用しうる製薬グレードポリマー又はコポリ
マーは、日本国のクラレ株式会社から入手しうる。
【0027】 好ましい実施態様において、このポリマーは生理学的又は製薬的に許容しうる
非毒性を有するものであり、ポリマーの分子量(数平均)又は相対質量は、一般
に2,000〜20,000ダルトンの範囲内にある。しかしながらいくつかの
場合、組成物が非経口注入用に配合されるわけでなければ、分子量はこれより高
くてもよく、例えば500,000ダルトンまでであってもよい。但し通常、分
子量は100,000ダルトンより大きくなく、好ましくはほぼ43kDaに等 しい数平均分子量を有するポリ(無水マレイン酸−ブチルビニルエーエル)の場
合のように、50,000ダルトンより大きくないものであろう。しかしながら
ポリマーは、「ブロックコポリマー」の形態であってはならない。
【0028】 この発明を実施する上で、特に可溶化薬物用に用いられるポリマーの典型的な
数平均分子量の例は、次のとおりである: ポリ(無水マレイン酸−スチレン) 7,000 ポリ(無水マレイン酸−プロピルビニルエーテル) 5,500 ポリ(無水マレイン酸−ブチルビニルエーテル) 43,300
【0029】 ここに記載されている無水マレイン酸スチレンコポリマーを合成する時に用い
られる特別な合成方法は、ある間隔をあけた後で反応混合物を急冷する工程を含
んでおり、この方法は、1面(facet)が疎水性であり、1つが親水性であ
るような、両親媒性を有するコイルの形成における本質的特徴である交互ポリマ
ーの形成に有利である。これは一般に、「ブロッキー」であるか、あるいはその
他の手段によって製造されたコポリマー、例えばミズーリ州セントルイスのシグ
マ・ケミカル社(Sigma Chemical Co.)によって供給され、
50%スチレン(数平均分子量350,000)として販売されているポリ(無
水マレイン酸−スチレン)コポリマー、あるいはニューヨーク州オンタリオのサ
イエンティフィック・ポリマー・プロダクツ社(Scientific Pol
ymer Products Inc.)によって分子量50,000の50/
50無水マレイン酸−スチレンコポリマーとして販売されているものにおいては
得られない。
【0030】 多くの場合、特に製薬用の使用のためには、ポリ(無水マレイン酸−スチレン
)(PMAS)が好ましいポリマーであろう。分子量14,000ダルトンのこ
のポリマーは、米国特許第4,732,933号(山之内)に開示されており、
タンパク質(proteinaceous)抗がん剤ネオカルチノスタチンに共
役された、認可されている医薬配合物にすでに用いられており、ここでこのポリ
マーは、分子量と疎水性との両方を上昇させるように作用し、従っていくつかの
標的組織においてこの薬物の蓄積を生じる。このポリマー薬物共役物は、SMA
NCSとして知られている。薬物の送出しのためには、非分解性(non−de
gradable)ビニルベースポリマー例えばPMASが、次の点において、
アポタンパク質に類似又は同一の構造の合成ポリペプチドよりも優れた潜在的な
利点を与える。すなわち、これらは、血液血漿において素早く加水分解されず、
このためミセルの分解前及びその内容物を失う前に、標的部位まであらゆる薬物
を送出す可能性が高いという点である。さらにはこれらは非天然ペプチド又はタ
ンパク質のアレルギー性又は薬理学的潜在性を有していない。
【0031】 少なくとも特定のpH範囲以上の水性媒質において、特定された可溶化合成両
親媒性ポリマーは一般に、疎水性側基が1つの面に沿って示され、かつアニオン
性親水基が反対側の面に沿って示されている螺旋コイルを採用し、これらは水性
媒質中で脂質と相互作用し、円盤状ミセル粒子、又はその中で脂質が二層コアを
形成しているサブリポソームサイズの集合体を形成すると考えられる。いずれに
しても、本発明の組成物におけるこれらのミセル粒子又は集合体は、少なくとも
新たに調製された時、温度及びpHの生理学的条件下において50nm未満の最
大直径又は横断面サイズを有することが分かった。円盤状ミセル集合体のサイズ
は通常、直径10〜40nm、典型的には20nm、及び厚さ5〜7nmの範囲
にあるようである。これは自然界に見られるリポタンパク質ミセル集合体の大き
さと比べて優るとも劣らない。例えばアポリポフォリンIIIと、昆虫において
同定されているジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)との間で十分
に特徴決定された系であり、ここにおいてこれらのミセルは、直径18.5+/
−2.0nm、厚さ4.8+/−0.8mを有すると報告されている(Wien
tzek,M.、Kay,C.M.、Oikawa,K.及びRyan,R.O
(1994年)、「昆虫アポリポフォリンIIIのジミリストイルホスファチジ
ルコリンベシクルへの結合(Binding of Insect Apoli
pophorin III to Dimyristoylphosphati
dylcholine Vesicles)」、J.Biological C
hem.第269巻(6)、4605〜4612頁参照)。比較すると、薬物送
出し系に現在用いられている典型的なリン脂質含有リポソームは、一層(uni
lamellar)ベシクルの場合は、直径50〜1000nm、多層ベシクル
の場合は400〜3500nmである。
【0032】 本発明による組成物は一般に、水性媒質中でポリマーと極性脂質とを混合し、
pHを調節して可溶化を実施することによって調製されるものである。ついで特
に哺乳類への投与及び医療のための使用に必要ならば、pHは通常さらに、生理
学的に許容しうる値に調節される。
【0033】 従ってさらにもう1つの側面から、本発明は上に特定されている脂質含有組成
物の調製方法であって、臨界可溶化値以上のpHで水性媒質中において成分を互
いに混合し、これによって曇っているか又は濁っている水性分散液を形成し、つ
いで温度がこの脂質に特徴的な予め決められている相転移温度以上にある間に、
この混合物を酸性化剤で処理してpHを前記臨界可溶化値以下に下げ、これによ
って合成両親媒性ポリマーが可溶化剤としてのその機能を果たすことができるよ
うにし、分散液を清澄化させる工程を含んでいる。
【0034】 本発明はまた、水性媒質中において、低水溶性を有する脂質可溶性標的物質を
可溶化させる方法であって、前記方法は、前記水性媒質中において前記標的物質
、膜形成極性脂質、及び合成両親媒性ポリマーを、臨界可溶化値以上のpHで互
いに混合し、これによって曇っているか又は濁っている水性分散液を形成し、つ
いで温度がこの脂質に特徴的な予め決められている相転移温度以上にある間に、
この混合物を酸性化剤で処理してpHを前記臨界可溶化値以下まで低下させ、こ
れによって、アニオン性親水基と疎水基との両方を含む前記合成両親媒性ポリマ
ーが、水性媒質中において前記標的物質と共に前記脂質と相互作用してこれを可
溶化する工程を含む方法をも提供する。
【0035】 同様に本発明によれば、脂質含有組成物の調製方法は、水性媒質中において、
膜形成極性脂質と合成両親媒性ポリマーとを、臨界脂質可溶化値以上のpHで互
いに混合し、これによって曇っているか又は濁っている水性分散液を形成し、つ
いで温度がこの脂質に特徴的な予め決められている相転移温度以上、例えば25
℃より高い温度である間に、この混合物を酸性化剤で処理してpHを前記臨界脂
質可溶化値以下まで低下させ、これによって、前記合成両親媒性ポリマーが前記
脂質と相互作用してこれを可溶化し、この分散液を清澄化にする方法において、
分散液が澄んだ後、温度が前記相転移温度以下まで下げられて溶液を安定化し、
次にこの溶液をアルカリ試薬で処理して、pHを上昇させ、これを前記臨界脂質
可溶化値以上の最終値になるまでこれを調節する工程を実施することを特徴とす
る工程を含んでいる。
【0036】 一般に使用前、本発明の脂質含有組成物は、特別な目的及び使用方法、又は製
薬用の用途の場合は投与方法に合わせて構成された配合物に組込まれる。製薬使
用のための配合物を作るために、この脂質含有組成物を、1つ又はそれ以上の製
薬的に許容しうるキャリヤー、添加剤、希釈剤、又は賦形剤と混合してもよく、
場合によってはその他のあらゆる所望の治療成分と混合してもよい。このような
配合物は、製薬技術でよく知られている方法のどれによって調製してもよく、例
えば吸入、局所的、又は非経口(静脈内、動脈内、筋肉内、及び皮下を含む)投
与用に設計されていてもよい。非経口投与に適した配合物は、都合よくは滅菌水
性調製物を含んでおり、これらは静脈内注射のためには、好ましくは受容者の血
液と等張性である。従って本発明はまた、ここに開示されているような脂質/ポ
リマー錯体の組成物を含む医薬配合物を含んでいる。
【0037】 同様に、本発明の脂質含有組成物は、例えば保存及び輸送のためにこれに代る
形態に転換されてもよいと理解され、特にこれらの組成物は、医薬又はその他の
配合物に組込まれる前又は後のどちらかに凍結乾燥状態に転換されてもよく、必
要であれば使用に必要な場合、これからもとに戻すことができる。このような代
替形態はすべて、本発明の範囲内に入ると見做すことができる。
【0038】 既に指摘されているように、記載されている脂質含有組成物の有利な界面活性
特徴に関連した本発明の特に重要な用途は、呼吸困難症候群(RDS)の治療に
おける使用のための肺界面活性剤配合物の提供、及び例えばドライアイ症候群の
治療のための眼科配合物を提供することにある。
【0039】 脂質/ポリマー錯体の有利な可溶化特性に関連した本発明のその他の重要な用
途には、薬剤送出しを目的とした組成物の使用が含まれる。この場合、極性脂質
成分は、好ましくはリン脂質であり、脂質可溶性薬物、例えばステロイド又はそ
の他の生物活性治療薬、例えば遺伝子治療のためのDNA−含有ベクター又はプ
ラスミドを含んでおり、これによってポリマー/リン脂質錯体は、薬物送出しビ
ヒクルとしての使用に適合する。
【0040】 肺界面活性剤としての組成物の提案されている使用に関して、次のことに注目
することができる。すなわち、しばらくの間、本来の肺界面活性剤アポタンパク
質のものに似た第二構造を有する合成ポリマーが求められていたが、これはこの
本来のものの場合に見られる脂質/タンパク質相互作用を真似るためである。し
かしながら同様な構造要素を有するいくつかのポリマーが合成されているが、こ
れらは本来の標的アポタンパク質のものに似た機能的挙動を示すことに失敗して
いる。しかしながら他方で、本発明に関連して記載され、かつ明白な構造的類似
性を有していないいくつかの相対的に単純なコポリマーは、本来のアポタンパク
質のものに非常に似た方法で、機能的に働くことが分かった。
【0041】 最近、本来の肺界面活性剤の巨大分子に関してかなり明瞭な見解が現われ、こ
れらの活性成分は、空気/液体界面において脂質を広げることに関わっているよ
うに見える、SP−BとSP−Cと呼ばれている2つの主要なアポタンパク質と
組合わされた、主としてリン脂質、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DP
PC)から成る二層構造として同定された。
【0042】 これらの2つのアポタンパク質のうち、多次元NMR分析は、SP−Cが、経
膜(transmembrane)コイルの形態にある第二構造を有することを
明らかにした。これは一端がジパルミトイル化されており、表面を疎水性にする
ように、外側に突出しているジパルミトイル鎖でリン脂質二層にまたがっている
。他方、アポタンパクSP−B形態は、血清リポタンパク質に見られるコイル構
造に似た両親媒性コイルを形成し、親水性環の形態にあるリン脂質二層の円盤状
セグメント又はミセルの周りを取囲んでいる。考えられている配列は、添付図面
の図1に示されているいくつかの血漿リポタンパク質と関連した、Ryan,R
.O.の「リポタンパク質及びこれらのアポリポタンパク質成分の構造的研究(
Structural studies of lipoproteins a
nd their apolipoprotein components)」
、Biochem.Cell Biol.第74巻、155〜164頁(199
6年)によって記載されている、いまでは十分に確立された配列に似ている。
【0043】 肺界面活性剤として用いるための本発明の組成物を開発する上で、極性脂質、
一般にリン脂質は、有利にはまた、追加の合成ポリマー、合成両親媒性ポリアミ
ドポリマーと組合わされていてもよい。このポリマーは、天然の内生肺界面活性
剤のSP−Cとして知られている経膜アポタンパク質を模すのに適合しているも
のである。このような追加のポリアミドポリマーは、極性媒質中にあるか、非極
性媒質中にあるかによって変わる、コイル形状を有するポリ(リシンエチルエス
テルアジパミド)(PLETESA)であってもよい。
【0044】 これらの組成物が肺界面活性剤としての使用のためのものである時、天然の肺
界面活性剤のSP−Cアポタンパク質に幾分似た方法で脂質二層を通ってまたが
るか又は延びるように設計されている追加の疎水性エステルを含めることは、こ
れらの組成物の脂質/ポリマー錯体の空気/液体界面における配向を補助するの
に有利であろう。脂肪酸エステル、例えばラウリン酸ラウリルエステルを、この
目的のために用いることができる。
【0045】 (例証実施例の説明) 下記実施例及びポリマー/リン脂質錯体を含む様々な組成物例の調製及び使用
における段階についての記載は、さらによく本発明を例証するのに役立ち、これ
によって、当業者は本発明の本質をより容易に評価することができ、かつこれを
実際に実施することができるようになるであろう。しかしながらこれらは、まっ
たくこれを限定するものとして考えられるべきではない。
【0046】 実施例1−ポリマー合成 1.無水マレイン酸と、スチレンあるいはアルキルビニルエーテルのどちらかと
のビニルコポリマーの調製 典型的な手順において、無水マレイン酸と、スチレンあるいはアルキルビニル
エーテルのどちらかとのビニルコポリマーが、樹脂フラスコにおいて窒素雰囲気
下、80℃での環流によって合成される。各モノマー0.125モルを、試薬グ
レードのトルエンと酢酸エチルとの等モル混合物225ml中に溶解し、この混
合物(450ml)中に、開始剤、例えばジ−(4−第三−ブチルシクロヘキシ
ル)ペルオキシジカルボネート(0.25g)又はベンゾイルペルオキシド(0
.4g)約1重量%又はそれ以下を添加する。反応溶液は、ポリ(無水マレイン
酸スチレン)の場合にポリマーが形成した時に曇る。その理由は、このポリマー
が、用いられている溶媒系中に不溶だからである。この反応は、沈殿ポリマーの
最初の出現後10分間続行され、氷浴中での急冷によって停止される。ついで結
果として生じたポリマーを濾過によって除去し、過剰溶媒と共に環流し、あらゆ
る未反応モノマーを除去し、最後に再濾過し、メタノールで洗浄して真空乾燥す
る。
【0047】 ポリマーが、アルキルビニルエーテルを含むコポリマー中においての場合のよ
うに、溶媒混合物中に可溶である場合、反応を30分間〜2時間続行する。つい
でポリマーを、過冷却ジエチルエーテル中への沈殿によって回収し、濾過によっ
て収集して真空乾燥する。
【0048】 本発明を実施する上で、無水マレイン酸とメチルスチレンとの交互コポリマー
、又はその他のアルキルスチレン化合物又はインデンを、無水マレイン酸/スチ
レンの代りに用いてもよい。
【0049】 実施例2 ミセルポリマー/脂質錯体の形成 実施例1からのマレイン酸ベースコポリマーのサンプルを、適切な濃度で、水
か又は等張塩水でpH7.0以上で水和し、機械的攪拌を用いて、選択されたリ
ン脂質の水和サンプル、すなわちDPPCあるいはDLPCのどちらかとこれと
を、均質懸濁液が生じるまで混合することによって、ミセルポリマー/脂質錯体
組成物が形成される。DPPCを用いた場合、当然ながらこの混合物を、主要相
転移温度以上の高温、例えば約50℃にこの段階で維持する必要があろう。つい
でpHが3〜5になるまでpHを低下させる。この時点において、懸濁液は自然
に澄むが、これは可視光線の波長のものよりも小さいサイズのミセル構造の形成
を示している。
【0050】 結果として生じた澄んだ透明な無色溶液を、必要であれば、例えばDPPCが
存在するならば冷却することができ、水酸化ナトリウム(0.1M)又は塩酸(
0.1M)のどちらかの添加によって、所望のpHまで調節することができる。
所望のpHがひとたび得られたら、この溶液を保存のために凍結乾燥することが
できる。
【0051】 3成分系でも同様な手順が取られる。この系においては、脂肪酸エステル、又
は別のポリマー例えばPLETESA、又はミセル錯体の脂質成分中で可溶化さ
れるか及び/又は輸送される物質も、pHを低下させる前に混合物に添加されて
いる。
【0052】 テスト 本発明によるポリマー/リン脂質錯体の組成物の特性をチェック及びテストす
るために、いくつかの実施例を調製し、これらのいくつかのために実施された界
面活性特徴の様々なテストの結果を、下記表に示す。高温ではなく室温での実験
の実施を容易にするため、調製及びテストされた錯体の大部分は、ジパルミトイ
ルホスファチジルコリン(DPPC)ではなく膜形成リン脂質としてのジラウリ
ルホスファチジルコリン(DLPC)の使用をベースとしたものである。その理
由は、室温においてDLPCは、液体結晶状態においてその相転移温度以上であ
るからである。従ってDLPCの分子は、両親媒性ポリマーと混合した時に二層
に集合しやすい。既に記載されているように、DPPCを用いた場合、一般に反
応及びテストが、これよりはるかに高い温度において、約42℃のその相転移温
度以上で実施される必要がある。但し最終生成物において、DPPCは、よりよ
い界面活性又は安定性特徴のために好ましいであろう。
【0053】 調製及びテストされた錯体は、DPPC又はDLPCと、ポリ(マレイン酸ス
チレン)(PMAS)、ポリ(マレイン酸ブチルビニルエーテル)(PMBE)
、又はポリ(マレイン酸プロピルビニルエーテル)(PMPE)とから形成され
たいくつかの錯体を含む。
【0054】 特に人工肺界面活性剤としての使用のための、本発明によるポリマー/リン脂
質錯体の最も重要な特性の1つは、表面張力が表面積における反復的変化と共に
様々に変わる変わり方であり、用いられた1つのテスト方法は、サンプル室、脈
動装置、及び圧力記録器具から成る脈動気泡表面計(pulsating bu
bble surfactometer)を用いた脈動気泡技術である。特別な
例として、サンプル室は、より幅が大きい直径の管(ID 1.5mm)の中に
挿入された毛管(ID 0.5mm)からできている。幅が大きい直径の管は、
サンプル液で満たされており、これは脈動装置及び圧力変換器に連結されている
。空気は、気道としての働きをする毛管を通して引き込まれ、サンプル室に気泡
を形成する。この気泡はモデル肺胞として用いられる。サンプル室内の液体カラ
ムは、同期電動機に連結された小さい直径のピストンによって上昇及び下降され
る。この電動機によって、表面積は、そのもとの容積の50%まで反復的に減ら
されうる。各脈動サイクルの間、気泡内の圧力変化は、この変換器によって測定
され、気泡容積の値と組合わされて表面張力における変化が計算される。
【0055】 この脈動気泡技術は、ある程度肺の中の肺胞嚢の伸縮を模したものであり、最
少及び最大気泡容積において表面張力を評価することができ、界面活性成分の吸
着時の反復膨張・圧縮サイクルの効果を観察及び定量化することができる。この
技術は、合成肺界面活性剤の効果をテストするためのモデル試験管内系として用
いられていた。本発明に従って調製された錯体に対してのみならず、用いられた
膜形成リン脂質とポリマーそれ自体に対して、並びに商品として入手しうる肺界
面活性剤に対して実施されたテストのいくつかの結果を、本明細書の末尾の表に
要約する。
【0056】 脈動気泡表面計対照実験は、まず表3に列挙されている組成物それ自体を用い
て実施された。これらの対照実験に用いられているポリマーのどれも、水溶液中
でテストされた時、有意な界面活性はまったく示さなかった。これに対して、動
物由来のアポタンパク質を含む商用界面活性剤クロサーフ(CurosurfTM
)及びサーバンタ(SurvantaTM)は、表2に示されているように比較的
短時間の脈動(5分)後、過度に低い表面張力を急速に現わすことが分かった。
【0057】 PMASが2成分系におけるリン脂質DLPCと組合わされた時、低い表面張
力値は、pH4.9で5分の脈動後に記録された(表4参照)。同様の低い表面
張力値はまた、DLPC/PMBE錯体を用いて得られ、5分の脈動後の最低値
は、2.5%DLPCを用いてpH4.17において脂質/ポリマー比10:1
でテストされた時に記録された。低い表面張力はまた、これも表4に示されてい
るように、pH4.30において1:1比で2.5%でテストされた時に、DL
PC/PMBE界面活性剤錯体を用いて観察された。但し、幾分長い脈動時間が
必要であった。3成分界面活性剤錯体で得られた同様な結果を、表5に示す。そ
のほかの結果は、表6に示す。
【0058】 表4、5、及び6におけるこれらの結果は、人工肺界面活性剤としての使用へ
の高い適性を示している。これらの合成集合体は、潜在的にアレルギー性の長期
間応答がいまだに確定されていない、動物由来タンパク質をベースとする商用肺
界面活性剤と対照をなすことを強調してもよいであろう。
【0059】 薬物送出しに関する用途 記載されている合成界面活性剤はまた、通常の薬物、DNA又はRNA又は遺
伝子ベースの医薬を局部的に肺へ、あるいは肺深部の内側を覆っている高度に浸
透性のある膜を経て全身循環中に送出す能力をも有する。従って記載されている
円盤状ミセル集合体を含む脂質含有組成物は、肺疾患の治療又は全身疾患の治療
における使用のための全身循環への輸送のために、薬物を送出すために用いうる
【0060】 あるいはまた、サブリポソームサイズのミセル系を含む、記載されている組成
物の適切な配合物は、二層コア内に含まれている薬物の送出し又は活性標的化の
ために全身循環へ直接注入しうるであろう。これらの組成物が、次に記載される
比較的低い分子量のコポリマーPMASを用いて作られるならば、これは指摘さ
れているように非分解性ではあるが、これは以前に医療に用いられていたもので
あり、腎臓を通って容易に排出されそうである。リン脂質DPPCに関しては、
これは人体に内生的なものであり、いずれにしても重要な問題を起こさずに体内
でかなり容易に分解されそうである。
【0061】 既に本発明による組成物を用いて、いくつかの水性不溶性薬物体(entit
ies)が、ミセル集合体に組込まれ、可溶化されて成功している。部位特異的
標的化を可能にするために、これに加えて生物学的リガンド(例えば抗体、受容
体)をミセル集合体内に組込むことも可能である。本発明の組成物のリン脂質ミ
セル集合体への組込み、可溶化、及び送出し用として可能性のある候補である、
低水溶性を有するその他の薬物には、タキソール(taxol)及びケルセチン
が含まれる。同様に遺伝子治療への使用のために、ミセル集合体のコア内にDN
Aプラスミドを組込むことも可能であろうし、さらには調製中にCD4受容体を
組込むこともまったく実行可能なことである。このようなCD4受容体は、ミセ
ル集合体の二層膜の平面から上に突出して、特定の細胞部位への活性的標的化を
可能にすることもありうる。
【0062】 実施例3 特定の体の区域を標的化する潜在能力を有する薬物送出しのための、本発明に
従って製造された組成物における、リン脂質と両親媒性会合ポリマーとの錯体の
使用例は、1%レベルにおいてDLPC/PMAS錯体への抗がん剤CB195
4の可溶化の成功によって示される。
【0063】 この実施例において、水不溶性細胞毒性薬物CB1954:5−(アジリジン
−1−イル)−2,4−ジニトロベンズアミドをDLPC/PMASミセル中に
可溶化するための配合物は、次のようにして作られる:
【0064】 2%DLPC(20mg)1mlを、HPLCグレード水中で水和し、この溶
液に1mgのCB1954を添加する。ついでこの混合物を、pH6.2でPM
AS(20mg)の2%溶液1mlと混合すると、2ml中1%DLPC、0.
05%CB1954、及び1%PMASの最終重量濃度を生じ、これは濁った溶
液を形成する。この溶液のpHを、pH3になるように低下させ、ついでpH5
.8まで上げ、この後この溶液は澄むが、これをpH7.0まで調節する。
【0065】 実施例4 薬物を肺又は全身循環へ標的を定めて送出すための、本発明に従って作られた
組成物の配合例を、次のドーティコステロイド(dorticosteroid
)配合物によって示す: DLPC 2.5% PMAS 0.25% デキサメタソン 0.25% (Desamethason) メチルヒドロキシベンゾエート 0.3% プロピルヒドロキシベンゾエート 0.3% 塩化ナトリウム 0.8% 精製水 q.s. pH 5.5
【0066】 実施例5 医療用あるいは非医療用の用途において、抗かび剤の送出し用の、本発明に従
って製造された組成物の可能性のある配合例を、次の抗かび剤配合物によって示
す。 DLPC 2.5% PMAS 0.25% アンフォテリシンB 0.25% メチルヒドロキシベンゾエート 0.3% プロピルヒドロキシベンゾエート 0.3% 塩化ナトリウム 0.8% 精製水 q.s. pH 5.5
【0067】 その他の用途 薬物の送出しとは別に、本発明による組成物の製薬的に許容しうる配合物はま
た、損傷を受けた、又は疾患のある関節の表面を、例えば関節内注入によって治
療又は潤滑させるために用いることができ、同様に医療器具及び人工器官、例え
ば人工関節又はコンタクトレンズの表面を被覆又は処理するために用いてもよい
【0068】 この他の例として、ドライアイ症候群の治療、コンタクトレンズの被覆、又は
コンタクトレンズケア製品への組込みのための典型的な眼病又は眼科用配合物を
次に示す。
【0069】 実施例6 DLPC 2.5% PMAS 0.25% メチルヒドロキシベンゾエート 0.3% プロピルヒドロキシベンゾエート 0.3% 塩化ナトリウム 0.8% 精製水 q.s. pH 5.5
【0070】 本発明による組成物の可溶化特性に関するその他の実施例を以下に参照する。
【0071】 ポリマー/脂質ミセル系の可溶化能力は、さらに追加の界面活性剤を組込んで
強化することができる。これは、PMASの可溶化能力が、安定水溶液を形成す
るのに不十分である場合、過度に疎水性材料を可溶化する時に特に有用となりう
る。この場合、界面活性剤、例えば毒物学的に許容しうる酸化ポリエチレン/酸
化ポリプロピレンブロックコポリマー(BASF社から入手しうるもので、プル
ロニック(Pluronic)及びテトロニック(Tetronic)という商
品名で販売されているもの)を組込んだ結果、得られる可溶化に顕著な改良が生
じることがある。
【0072】 実施例7 ここでは前記種類の配合物の一例を示すが、これは次のものから成る: (a)インターナショナル・スペシャリティ・プロダクツ(Internati
onal Speciality Products)ISP(米国)から入手
しうるもので、商品名プロリピド(ProLipid)141(この混合物もま
た、レシチンに加えて、ベヘニルアルコール、C12〜C16アルコール、ステアリ
ン酸、及びパルミチン酸、及びステアリン酸グリセリルを含んでいる)として販
売されているレシチン(ジアシルホスファチジルコリン)を含む脂質混合物であ
って、0.1%重量/重量で用いられるもの; (b)オルドリッチ・ケミカル社(米国)からカタログ番号第43,529−5
号として得られるPMASであって、0.5%重量/重量で用いられるもの; (c)プルロニックグレードL64(BASF社)であって、0.25%重量/
重量で用いられるもの。
【0073】 この配合物は、pH7以上の限定された可溶化能力を示すが、pHが臨界pH
3〜4以下に低下する時、ここでPMAS内でコンホーメーションの変化が生じ
、ついで疎水性材料の可溶化が生じる。プルロニックコポリマーの存在はまた、
pHがPMASのなんらかの乳化を示すpH3以下に低下する時、PMASの沈
殿をも妨げる。
【0074】 膜形成極性脂質、界面活性剤、及び合成両親媒性ポリマー、例えばポリ(マレ
イン酸−スチレン)(PMAS)を含むこの発明の組成物はまた、有利には、そ
の重合前にヒドロゲル形成に用いられるモノマーミックスに組込まれ、これによ
って半相互貫入高分子網目構造又はSIPNを形成することができる。このよう
なPMAS含有疎水性物質は、ミセル疎水性物質と接触した時に、その表面特徴
に変化を示す。その理由は、表面における両親媒性ポリマーが、分子の疎水部分
を暴露するように再配向されるらしいからである。この効果によって、表面成分
が選択的に吸着されうる。例えば、単一界面活性剤、ポリマー界面活性剤、及び
疎水性物質/界面活性剤混合物である。後者の場合、表面成分は、膜形成剤とし
てのリン脂質に一部取って代わることに注目することができる。
【0075】 前記のように、本発明による組成物はまた、特に低水溶性を有する脂質可溶性
物質の可溶化に関連して、その他の多くの有用な用途をも有しうる。本発明はこ
の点に関して、特に化粧品産業、及びまた食品産業においても利用することがで
きる。このような産業においては、レシチンリン脂質又はその他の両親媒性脂質
及び水不溶性物質を溶解する上で、例えばローション、クリーム、ソース、及び
コロイド形態の同様な物質の製造において問題に出会うことが多い。
【0076】 ここに記載されているポリマー/脂質ミセル集合体はまた、タンパク質を生理
学的に有効なリン脂質二層環境内に維持するために、膜、受容体、又はリポイド
タンパク質の組込みのためのプラットホームとして用いうる。ここにおいて、こ
れらはその本来のコンホーメーションを保持する一方で、同時にこれらを水性環
境において可溶化する。この環境において、このようなタンパク質の構造は、分
光法、例えばプロトンNMR分光法によって決定することができる。これは、か
なり感受性が低い現存する固体相技術よりも優れた顕著な利点を与え、これによ
って改良された構造解像度、及び可能性のある薬物分子のより効果的な設計、又
は薬物結合の評価が可能になる。
【0077】 本発明は、いくつかの様々な側面を示していることが分かるであろうし、また
本発明は、ここに開示されているすべての新規かつ発明性のある特徴及び側面を
、明確にあるいは暗黙のうちに、単独又は互いに組合わせて、その範囲内に包含
するものと理解すべきである。同様に多くの詳細の修正も可能であり、特に本発
明の範囲は、例証実施例又は単に記述的又は説明的な意味でここに用いられてい
るにすぎない用語及び表現によって限定されると考えるべきではない。
【0078】 脈動気泡表面計−結果 得られた最少表面張力(ST)値及びこのレベルに達する時間を示す。 別の言い方がなされていなければ、パルス率(PR)=34、温度=室温、及
びpH=7.0である。
【0079】 略語表 DLPC=ジラウリルホスファチジルコリン PMAS=ポリ(マレイン酸スチレン) PMBE=ポリ(マレイン酸ブチルビニルエーテル) PMPE=ポリ(マレイン酸プロピルビニルエーテル) PMEE=ポリ(マレイン酸エチルビニルエーテル) PAAEA=ポリ(アクリル酸エチルアクリレート) LALE=ラウリン酸ラウリルエステル PLETESA−P=ポリ(リシンエチルエステルアジパミド)−パルミタミド
【0080】 表2に、商品として入手しうる人工肺界面活性剤の表面特性を示す。表2のデ
ータは、得られた最少表面張力(ST)値及びこのレベルに達するのに要した時
間を示す。20分又はそれ以下の脈動(pulsing)で、表面張力を5ダイ
ン/cm未満まで低下させる能力を有する溶液は、効果的な界面活性剤と考えら
れる。 表中、+は商標−セロノ社(Serono Inc.)であり、 表中、*は商標−アボット・ラボラトリーズ社(Abbott Laborat
ories)である。
【0081】 表4に、リン脂質/ポリマー錯体 2成分系におけるDLPC−PMAS/P
MBE/PMPEを示す。
【0082】 表5に、リン脂質/ポリマー錯体 3成分系におけるDLPC−PMAS/L
ALE/PLETESA−パルミタミド(PP)を示す。
【0083】 表6に対照リン脂質及びDLPC−ジラウリルホスファチジルコリン組換え体
を示す。
【0084】 表7に、表6の続き、すなわち、DLPC−ジラウリルホスファチジルコリン
以外の脂質を示す。 表6中、略語は以下の意味を示す。 DLPC − ジラウリルホスファチジルコリン DPPC − ジパルミトイルホスファチジルコリン Lino.A − リノレン酸 PMA−IH − 社内で合成されたポリ(マレイン酸/スチレン) PMA−ald − オルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chem.
Co)製のポリ(マレイン酸/スチレン) SDS − ナトリウムドデシルスルフェート ST − 表面張力 mN/m Stearic − ステアリン酸 パルス率=別の言い方がなされていなければ30/分
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【手続補正書】
【提出日】平成12年3月1日(2000.3.1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【化1】 の化合物であり、ここにおいてR1及びR2は、各々独立して水素又はC1〜C9
ルキルであり、R3及びR4の少なくとも1つは水素であり、もう一方が水素又は
2〜C9アルキルであり、このコポリマー構造は、第二モノマー単位がジカルボ
ン酸又はエステル単位と交互になっており、線状主鎖に沿って、交互の垂れ下が
ったアニオン性親水性側基と疎水性側基との規則的配列を生じるようなものであ
り、もしも第二ビニルモノマーにおいてRが水素であるか、あるいはメトキシ又
はエトキシ(C1又はC2アルコキシ)であるならば、R3及びR4はどちらも水素
ではないという条件に従う、請求項12又は13に記載の脂質含有組成物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GE,GH,GM,HR ,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP, KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,L V,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,U S,UZ,VN,YU,ZW Fターム(参考) 4C076 AA17 CC10 CC15 DD63F EE09A EE09E FF15 FF16

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜形成極性脂質と合成両親媒性ポリマーとを含む実質的に澄んだ水溶液から成
    る脂質含有組成物であって、前記ポリマーが、疎水基とアニオン性親水基とを含
    み、水性媒質中で脂質と相互作用を行ない、かつこれを可溶化する脂質可溶化剤
    として作用する組成物。
  2. 【請求項2】 合成両親媒性ポリマーと共に膜形成極性脂質を含んでいる実質的に澄んだ水溶
    液と、低水溶性の脂質可溶性標的物質とから成る脂質含有組成物であって、前記
    ポリマーがアニオン性親水基と疎水基との両方を含み、前記水性媒質中において
    前記標的物質と共に脂質と相互作用を行ない、かつこれを可溶化する脂質可溶化
    剤として作用する組成物。
  3. 【請求項3】 前記合成両親媒性ポリマーが、線状主鎖に沿って均一に配列された疎水基とア
    ニオン性親水基との平衡を有する、請求項1又は2に記載の脂質含有組成物。
  4. 【請求項4】 前記組成物が治療に用いるためのものである、先行請求項のうちのいずれかに
    記載の脂質含有組成物。
  5. 【請求項5】 前記脂質がリン脂質を含んでいる、先行請求項のうちのいずれかに記載の脂質
    含有組成物。
  6. 【請求項6】 リン脂質は、非極性アシルエステル基が、8〜25個の炭素原子を含んでいる
    ホスファチジン酸誘導体である、請求項5に記載の脂質含有組成物。
  7. 【請求項7】 リン脂質がホスファチジルコリンである、請求項6に記載の脂質含有組成物。
  8. 【請求項8】 リン脂質が、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジラウロイ
    ルホスファチジルコリン(DLPC)、及びジミリストイルホスファチジルコリ
    ン(DMPC)から選ばれる、請求項6に記載の脂質含有組成物。
  9. 【請求項9】 前記合成両親媒性ポリマーが、疎水側鎖を有するアクリル酸誘導体のホモポリ
    マーであるか、あるいは垂れ下がった(pendant)疎水側基とアニオン性
    親水基とを有するもう1つのポリ(カルボン酸)ポリマーである、先行請求項の
    うちのいずれかに記載の脂質含有組成物。
  10. 【請求項10】 前記合成両親媒性ポリマーが、ポリ(2−エチルアクリル)酸(PEAA)と
    ポリ(2−プロピルアクリル)酸(PPAA)とから選ばれるホモポリマーであ
    る、請求項9に記載の脂質含有組成物。
  11. 【請求項11】 合成両親媒性ポリマーが、不飽和ジカルボン酸又はその無水物である第一モノ
    マーと、モノエン化合物である第二モノマーとのコポリマーであり、前記第一及
    び第二モノマーが、交互関係に配列されて線状主鎖を形成することを特徴とする
    、請求項1〜8のうちのいずれかに記載の脂質含有組成物。
  12. 【請求項12】 前記第二モノマーが、式R−CH1=CH2の化合物であり、ここにおいてRは
    、水素、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、フェニル、ベンジルとフェニ
    ル、又はアルキル又はその他の疎水基で置換されているベンジルから選ばれる、
    請求項11に記載の脂質含有組成物。
  13. 【請求項13】 RがC3〜C6アルコキシである、請求項12に記載の脂質含有組成物。
  14. 【請求項14】 前記ジカルボン酸が、化1 【化1】 の化合物であり、ここにおいてR1及びR2は、各々独立して水素又はC1〜C9ア
    ルキルであり、R3及びR4の少なくとも1つは水素であり、もう一方が水素又は
    C2〜C9アルキルであり、このコポリマー構造は、第二モノマー単位がジカルボ
    ン酸又はエステル単位と交互になっており、線状主鎖に沿って、交互の垂れ下が
    ったアニオン性親水性側基と疎水性側基との規則的配列を生じるようなものであ
    り、もしも第二ビニルモノマーにおいてRが水素であるか、あるいはメトキシ又
    はエトキシ(C1又はC2アルコキシ)であるならば、R3及びR4はどちらも水素
    ではないという条件に従う、請求項12又は13に記載の脂質含有組成物。
  15. 【請求項15】 R1及びR2が、両方とも水素であり、Rがアルキルであるならば8個未満の炭
    素原子を含んでいる、請求項14に記載の脂質含有組成物。
  16. 【請求項16】 両親媒性ポリマー又はコポリマーの疎水性側鎖が、ポリマーの主鎖における炭
    素原子数と等しいか又はこれより大きく、イオン化されている時、1つの主鎖炭
    素あたり平均電荷比は1(unity)又はそれ以下である、請求項9〜15の
    うちのいずれかに記載の脂質含有組成物。
  17. 【請求項17】 前記合成両親媒性ポリマーが、マレイン酸(又はその無水物)と、スチレン、
    インデン、C1〜C4アルキル置換スチレン又はインデンとの、あるいはプロピル
    、イソプロピル、及びブチルビニルエーテルから選ばれるアルキルビニルエーテ
    ルとの交互コポリマーである、請求項11〜16のうちのいずれかに記載の脂質
    含有組成物。
  18. 【請求項18】 前記合成ポリマーが、哺乳類への投与にとって生理学的及び製薬的に許容しう
    る非毒性を有する、先行請求項のいずれかに記載の脂質含有組成物。
  19. 【請求項19】 合成ポリマーの分子量(数平均)又は相対質量は、2,000〜500,00
    0ダルトンの範囲内にある、先行請求項のいずれかに記載の脂質含有組成物。
  20. 【請求項20】 合成ポリマーの分子量(数平均)又は相対質量は、50,000ダルトン未満
    である、先行請求項19に記載の脂質含有組成物。
  21. 【請求項21】 前記合成ポリマーが、ポリ(マレイン酸−スチレン)コポリマー(PMAS)
    である、請求項17〜20のうちのいずれかに記載の脂質含有組成物。
  22. 【請求項22】 可溶化合成両親媒性ポリマーが、温度及びpHの生理学的条件下に50nm未
    満の最大直径又は横断面サイズを有する、水性媒質中におけるミセル粒子又は集
    合体(assemblies)をその中に形成する、先行請求項のいずれかに記
    載の脂質含有組成物。
  23. 【請求項23】 可溶化特性を強化させる1つ又は複数の追加界面活性剤を含む、先行請求項の
    いずれかに記載の脂質含有組成物。
  24. 【請求項24】 医療用調製物の製造のための、先行請求項のいずれかに記載の脂質含有組成物
    の使用。
  25. 【請求項25】 半相互貫入高分子網目構造(SIPN)を形成するための、ヒドロゲルの重合
    化の前のヒドロゲルの製造における、請求項1〜23のうちのいずれかに記載の
    脂質含有組成物の使用。
  26. 【請求項26】 請求項1〜23のうちのいずれかに記載の脂質含有組成物の使用によって生成
    された半相互貫入高分子網目構造を含むヒドロゲル。
  27. 【請求項27】 臨界的可溶化値以上のpHにおいて水性媒質中で成分を互いに混合し、これに
    よって曇っているか又は濁っている水性分散液を形成し、ついで温度がこの脂質
    に特徴的な予め決められている相転移温度以上にある間に、この混合物を酸性化
    剤で処理して、pHを前記臨界可溶化値以下まで低下させ、これによって合成両
    親媒性ポリマーが可溶化剤としてのその機能を果たすようにさせ、この分散液が
    清澄化されるようにする工程を含む、請求項1〜21のうちのいずれかに記載の
    脂質含有組成物の調製方法。
  28. 【請求項28】 これが、1つ又はそれ以上の製薬的に許容しうるキャリヤー、添加剤、希釈剤
    、又は賦形剤と混合されている、製薬使用のための配合物に組込まれている、請
    求項1〜23のうちのいずれかに記載の脂質含有組成物。
  29. 【請求項29】 非経口投与に適した滅菌水性調製物を含んでいる、請求項28に記載の製薬使
    用のための配合物。
  30. 【請求項30】 請求項1〜23のうちのいずれかに記載の脂質含有組成物を含むことを特徴と
    する、呼吸困難症候群(RDS)の治療への使用のための肺界面活性剤配合物。
  31. 【請求項31】 請求項1〜23のうちのいずれかに記載の脂質含有組成物を含んでいることを
    特徴とする、眼科用製薬配合物。
  32. 【請求項32】 極性脂質成分が、脂質可溶性生物活性治療薬を含んでおり、これによって前記
    組成物が薬品送出し(delivery)ビヒクルとして用いるのに適している
    、請求項1〜23のうちのいずれかに記載の脂質含有組成物。
  33. 【請求項33】 臨界的可溶化値以上のpHにおいて水性媒質中で、膜形成極性脂質と合成両親
    媒性ポリマーとを互いに混合し、これによって曇っているか又は濁っている水性
    分散液を形成し、ついで温度がこの脂質に特徴的な予め決められている相転移温
    度以上にある間に、この混合物を酸性化剤で処理して、pHを前記臨界脂質可溶
    化値以下まで低下させ、これによって前記合成両親媒性ポリマーが前記脂質と相
    互作用してこれを可溶化して、分散液を清澄化するようにする工程を含む脂質含
    有組成物の調製方法において、分散液が澄んだ後、温度を前記相転移温度以下ま
    で低下させてこの溶液を安定化させ、ついでアルカリ性試薬でこの溶液を処理し
    てpHを上昇させ、これを前記臨界脂質可溶化値以上の最終値まで調節すること
    を特徴とする方法。
  34. 【請求項34】 前記相転移温度が25℃よりも高い、請求項33に記載の脂質含有組成物の調
    製方法。
  35. 【請求項35】 低水溶性を有する脂質可溶性標的物質を水性媒質中において可溶化させる方法
    であって、前記方法は、前記水性媒質中において前記標的物質、膜形成極性脂質
    、及び合成両親媒性ポリマーを、臨界可溶化値以上のpHで互いに混合し、これ
    によって曇っているか又は濁っている水性分散液を形成し、ついで温度がこの脂
    質に特徴的な予め決められている相転移温度以上にある間に、この混合物を酸性
    化剤で処理して、pHを前記臨界可溶化値以下まで低下させ、これによって、ア
    ニオン性親水基と疎水基との両方を含む前記合成両親媒性ポリマーが、水性媒質
    中において前記標的物質と共に前記脂質と相互作用を行なってこれを可溶化する
    工程を含む方法。
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