JP2001511235A - 熱補償挿入体を有するころがり軸受および熱補償挿入体を有するころがり軸受を適用したシャフト取付け構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 第１のレース（１）が第１のころがり軌道（１１）を有し、第２のレース（２）が第２のころがり軌道（２１）を有し、一連のアンギュラコンタクトころがり物体（３）が第１のころがり軌道（１１）と第２のころがり軌道（２１）とに接触して配置され、熱補償挿入体（５）が第１または第２のレースに接して止められた、熱補償挿入体を有するころがり軸受において、ころがり軸受の、薄板で作られ、熱補償挿入体（５）に当接する第１または第２のレースの内の一方のレース（２）が、熱補償挿入体（５）を軸方向および半径方向に固定するための、半径方向の延長部（２２）によって半径方向に延伸されている支持面（６ｃ）を有することを特徴とする、熱補償挿入体を有するころがり軸受。

Description

【発明の詳細な説明】 熱補償挿入体を有するころがり軸受および熱補償挿入体を有する ころがり軸受を適用したシャフト取付け構造 本発明は、第１のころがり軌道を有する第１のレースと、第２のころがり軌道 を有する第２のレースと、第１、第２のころがり軌道に接触して配置された一連 のアンギュラコンタクトころがり物体とからなり、第１または第２のレースに接 して止められた、熱膨張の差を補償するための、熱補償挿入体を有するころがり 軸受および熱補償挿入体を有するころがり軸受を適用したシャフト取付け構造に 関する。 ヨーロッパ特許公報EP-A-0448239には、熱補償挿入体が、例えば膨張係数が異 なる回転シャフトと軸受取付け外箱との間の膨張または収縮の差を補償する、高 熱膨張係数を有する材料からなる、ころがり軸受が記載されている。 スイス国特許公報CH-A-318272には、熱補償挿入体が外レースの周囲に配設さ れたスロート部に注入または射出される、ころがり軸受が記載されている。 このような熱補償挿入体を有するころがり軸受においては、予めレースに加工 を施す必要があり、ころがり軸受の軸方向と半径方向の少なくとも一方の占有体 積を増加させる必要がある。 フランス国特許公報FR-A-2135903および1537570には、レースが薄板で形成さ れ、断面形状が中空の箱形をなし、レースの側方の縁がころがり物体の位置決め に用いられるころがり軸受が記載されている。 本発明においては、熱補償挿入体を支持する一方のレースは薄板で形成され、 熱補償挿入体を半径方向および軸方向に固定するするための、軸方向のストッパ である半径方向に延伸された延長部を有する、円錐面をなす支持面を有している 。 薄板で作られた、ころがり軌道を含むレースをころがり軸受へ取り付けること により、ころがり軸受に大きな寸法上の変更を施すことなく、従来のころがり軸 受を改造して、熱膨張の差の補償を可能にする挿入体を有するころがり軸受を経 済的に製造することが可能となる。このような挿入体を以下に「熱補償挿入体」 と呼ぶのは適切である。 本発明のその他の特徴および利点は、本発明に係る以下の熱補償挿入体を有す るころがり軸受および熱補償挿入体を有するころがり軸受を適用したシャフト取 付け構造の実施の形態を、添付図面をを参照して読むことにより明らかとなるで あろう。図において、 図１は、本発明に係る熱補償挿入体を有する円錐ころ軸受を示す半径方向断面 図であり、 図２は、本発明に係る熱補償挿入体を有するアンギュラ玉軸受を示す半径方向 断面図であり、 図３、図４は、図１に示す熱補償挿入体を有するころがり軸受の二つの異なっ た実施の形態を示す半径方向断面図であり、 図５は、図１に示す熱補償挿入体を有する円錐ころ軸受を適用したシャフト取 付け構造を示す軸方向断面図である。 図１は、第１のころがり軌道１１を有する第１のレースである内レース１と、 第２のころがり軌道２１を有する第２のレースである外レース２と、保持器４の 中に取り付けられ、第１、第２のころがり軌道１１、２１に接触して配置された 一連の円錐ころ３とによって構成された、熱補償挿入体を有する円錐ころ軸受の 半径方向断面図である。 この場合、熱補償挿入体５は、円錐面をなす薄板のソケット６によって構成さ れる外レース２を半径方向に延伸して設けた延長部２２の内側の面に当接して軸 方向に止められている。ソケット６の内周面はころがり軌道２１を構成し、ソケ ット６の外周面は円錐面をなす支持面６ｃを構成しており、熱補償挿入体５を半 径方向および軸方向に止めるための半径方向の延長部２２が支持面６ｃから半径 方向へ延伸されている。 図２は、一連のアンギュラボール１０が内レース１とソケット６とによって支 持された第１、第２のころがり軌道１１、２１に接触してころがる、熱補償挿入 体を有するアンギュラ玉軸受を示す。 熱補償挿入体を有するアンギュラ玉軸受の機能上のその他の部材は、図１に示 す熱補償挿入体を有する円錐ころ軸受の諸部材と同様に形成されているので、説 明を省略する。 図３、図４は、図１に示す熱補償挿入体を有するころがり軸受の、二つの異な った実施の形態を示す図である。 この場合、熱補償挿入体５は、熱補償挿入体５を挟んで互いに軸方向に結合さ れた、内側の第１のソケット６と外側の第２のソケット７とによって構成された 、断面形状が箱型をなす中空の枠の中に位置している。ここでは、熱補償挿入体 ５は第１のソケット６と第２のソケット７との両ソケットに固定されている。 図３に示す例においては、外側の第２のソケット７は、円錐ころ軸受の内レー ス１の回転軸に向かって半径方向に折り曲げられた底７ａを有しており、熱補償 挿入体５は、底７ａに対して軸方向に当接している。ここでは、底７ａは、円錐 ころ軸受の一方の側平面内に実質上位置している。 図４に示す例においては、外側の第２のソケット７は、円錐ころ軸受の他方の 側平面内に実質上向けられた、半径方向へ延伸して設けられた延長部７ｂを有し ている。この場合、ソケット７は、それぞれ熱補償挿入体５の固定と、円錐ころ 軸受の外箱の横の仕切りへの固定とを可能にする、実質上半径方向に伸びた底７ ａと延長部７ｂとを有する、Ｓ字形の断面を有する。 図５は、図１に示す熱補償挿入体を有する円錐ころ軸受を適用したシャフト取 付け構造を示す軸方向断面図である。 固定の外箱３０は、アルミニューム合金のような軽合金を鋳造して製作された 調節板３１によって閉じられている。 例えば鋼製のシャフト３２は外箱３０の中で回転し、二つの円錐ころ軸受３３ 、３４によって支持されている。 円錐ころ軸受３３、３４は、シャフト３２の対応する二つの支持面に挿嵌され た、それぞれ１筒の内レース１を有しており、シャフト３２の肩ｅに当接してい る。 肩ｅは、それぞれ軸方向に互いに間隔をおいて設けられた円錐ころ軸受３３、 ３４の方に向けられている。円錐ころ軸受３３、３４は、それぞれ外箱３０に設 けられた衝止壁３５と、外箱３０の調節板３１に設けられた衝止壁３６とに当接 して取り付けられている。 円錐ころ軸受３４の外レース２は、図１に示す例のように、薄板で作られ、熱 補償挿入体５の方に向けて曲げられた、衝止面を持った半径方向延長部２２を有 している。熱補償挿入体５は、延長部２２の衝止面と、外箱３０によって支持さ れた軸方向の衝止壁３６との間にあって、実質上円錐面をなす支持面上に取り付 けられている。 熱補償挿入体は、好ましくは、ポリオキシエチレン、ポリフェニレンサルファ イド、ポリエーテルイミドまたはポリアミドのような熱可塑性重合体材料から形 成する。 しかしながら、熱可塑性重合体材料に代えて、金属粒子を添加したエラストマ を使用してもよい。この場合、金属粒子を添加することにより、エラストマに、 熱可塑性重合体の特性と比肩し得る物理的特性を持たせることが可能である。 例として、熱膨張係数が５０×１０^-6と１５０×１０^-6の間にあり、弾性率が ７０００Ｎ／ｍｍ²以下、圧縮に対する弾性限界が５０Ｎ／ｍｍ²以上である合成 材料を使用する。 上記実施の形態においては熱補償挿入体をころがり軸受の外レースに取り付け た場合について説明したが、本発明の枠を越えることなしに、ころがり軸受の外 レースへも内レースへも固定し得ることはいうまでもない。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．第１のレース（１）が第１のころがり軌道（１１）を有し、第２のレース （２）が第２のころがり軌道（２１）を有し、一連のアンギュラコンタクトこ ろがり物体（３）が上記第１のころがり軌道（１１）と上記第２のころがり軌 道（２１）とに接触して配置され、熱補償挿入体（５）が上記第１または第２ のレースに接して止められた、熱補償挿入体を有するころがり軸受において、 上記ころがり軸受の、薄板で作られ、上記熱補償挿入体（５）に当接する上記 第１のレースまたは上記第２のレースの一方のレース（２）が、上記熱補償挿 入体（５）を軸方向および半径方向に固定するための、半径方向の延長部 （２２）によって半径方向に延伸されている支持面（６ｃ）を有することを特 徴とする、熱補償挿入体を有するころがり軸受。 ２．上記第１のレースまたは上記第２のレースの一方のレース（２）の周囲に位 置する上記熱補償挿入体（５）の周囲が、薄板で作られたソケット（７）に固 定され、上記ソケットは他方のレース（１）の回転軸に向かって半径方向に折 り曲げられた底（７ａ）を有し、上記底（７ａ）に対して上記熱補償挿入体 （５）が軸方向に当接していることを特徴とする、請求項１記載の熱補償挿入 体を有するころがり軸受。 ３．上記熱補償挿入体（５）の薄板で作られた上記ソケット（７）が外に向けら れた半径方向の延長部（７ｂ）を有することを特徴とする、請求項２記載の熱 補償挿入体を有するころがり軸受。 ４．上記熱補償挿入体（５）は、熱膨張係数が５０×１０^-6と１５０×１０^-6の 間にあり、弾性率が７０００Ｎ／ｍｍ²以下であり、圧縮についての弾性限界 が５０Ｎ／ｍｍ²以上である合成材料からなることを特徴とする、請求項１か ら請求項３までのいずれか一つに記載の熱補償挿入体を有するころがり軸受。 ５．上記熱補償挿入体（５）は、金属粒子を添加したエラストマからなることを 特徴とする、請求項１から請求項４までのいずれか一つに記載の熱補償挿入体 を有するころがり軸受。 ６．上記熱補償挿入体（５）は、ポリオキシエチレン、ポリフェニレンサルファ イド、ポリエーテルイミドまたはポリアミドのような熱可塑性重合体材料から なることを特徴とする、請求項１から請求項４までのいずれか一つに記載の熱 補償挿入体を有するころがり軸受。 ７．上記熱補償挿入体（５）は、外側のソケット（７）が実質上半径方向に伸び た底（７ａ）と延長部（７ｂ）とを有するＳ字形の断面を有し、内側のソケッ ト（６）は内周面にころがり軸受の一つのレース（２）のころがり軌道を有し 、内側のソケット（６）と外側のソケット（７）とを組み合わせて構成された 、断面形状が箱形をなす中空の枠の中に位置することを特徴とする、請求項１ から請求項６までのいずれか一つに記載の熱補償挿入体を有するころがり軸受 。 ８．固定の外箱（３０）と、互いに軸方向に間隔をおいた二つの肩（ｅ）が設け られ、上記肩（ｅ）が、それぞれ上記外箱（３０）内に設けられた二つの衝止 壁（３５、３６）にそれぞれ当接して上記外箱（３０）内に取り付けられた請 求項１から請求項７までのいずれか一つに記載の熱補償挿入体を有する二つの ころがり軸受（３３、３４）の方にそれぞれ向けられた回転シャフト（３２） とを含み、上記ころがり軸受の内レース（１）が上記肩（ｅ）に当接して上記 回転シャフト（３２）に挿嵌されている、熱補償挿入体を有するころがり軸受 を適用したシャフト取付け構造において、上記ころがり軸受の一つ（３４）の 外レース（２）は、薄板で作られ、上記熱補償挿入体（５）の方向に向かって 上記衝止壁に面して延伸された半径方向の延長部（２２）と、上記半径方向の 延長部（２２）と上記外箱（３０）の軸方向の上記衝止壁（３６）との間に位 置する上記熱補償挿入体（５）を取り付ける実質上円錐面をなす支持面と、を 有することを特徴とする、熱補償挿入体を有するころがり軸受を適用したシャ フト取付け構造。