JP2001509065A - 装身石 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 人工的な装身石は特に平板状の支持体または基質を備え、この支持体または基質の上面が少なくとも１つの角錐状の凹部を備え、かつ化学気相成長によって得られた宝石層（１）を支持している。

Description

【発明の詳細な説明】 装身石 本発明は、人工的な装身石に関する。 装身石、特に宝石は、装身細工品の金属本体に嵌め込む前に、入射する光をス ペクトル的に分光または反射させるために、研磨されるかまたは研磨によって形 が付与される。それによって、宝石の輝きまたは光輝が生じる。しかし、これは 宝石の最小大きさや純度が前提である。採掘されたダイヤモンドの約３分の２は 研磨による宝石の製造には適していない。なぜなら、物体または奥行きが小さす ぎるかまたはその色または含有物のために、工業的（技術的目的のため）にしか 活用できないからである。 ダイヤモンドは特に、宝石に入射する光の大部分がその入射方向に散乱して戻 ることによって、輝きまたは光輝を得る。これは、上側のカット面を通ってダイ ヤモンド結晶内に入射する光が、下側のブリリアントカット面範囲において反射 し、上側のカット面を通って再び出ることによって達成される。その際、光は少 なくとも２回の反射によって全部で約（１８０°±ｘ°）だけ反射する。その際 、カット面の相互の角度の配置は、ダイヤモンドと空気の界面の光学的特性を考 慮しなければならないので、全反射の角度を決して超えない。 ダイヤモンド内の光路では、後側カット面、すなわちダイヤモンドの下側部分 において、光路の角度が全反射角度よりも常に大きいことが重要である。すなわ ち、光は上側のカット面と平板から出ることができるようにこのカット面と平板 に当たらなければならない。ダイヤモンドブリリアントカット面は、光が（キャ ッツアイのように）その入射方向と全く同じ方向に反射するように研磨されない 。入射光線と出射光線の間には、目の中に入って反射を生じるような開放角度が 設けられている。出射角度は拡散に基づいていろいろな波長に関して異なってい る。 ブリリアントカット面の輝きのためには、ダイヤモンド内の光の拡散が重要で ある。それによって、光はプリズムの中のように分光し、スペクトルカラーとし て目に見える。 ブリリアントカット面を考察する際に生じる他の作用は、ブリリアントを回転 するときに、カット面から目に入る多くの反射である。これは、カット面が満た すべき重要な課題である。 ＣＶＤ法によって人工的に作られたダイヤモンド層は、それを研磨して宝石、 ブリリアントカット宝石を作るためには、高価すぎるかまたは薄すぎる。この宝 石はその価値に基づいて印象を与える輝きを有する。輝きにとっては、入射する 光のできるだけ大部分を入射方向に反射させるために、正確な幾何学的形状を維 持することが重要である。 本発明の課題は、化学気相成長によって得られる大きな面積の宝石層から、人 工的な装身石を作ることである。この宝石層は不所望な外形寸法にもかかわらず 、すなわこの層の厚さが制限されるにもかかわらず、魅力的な外観を得ることが できる宝石層である。 この課題は本発明に従い、特に平板状の支持体または基質を備え、この支持体 または基質の上面が少なくとも１つの角錐状の凹部を備え、かつ化学気相成長法 、特にＣＶＤ法またはＰＶＤ法によって得られた宝石層を支持している装身石に よって解決される。 本発明による装身石の宝石層、特にダイヤモンド層が輝きを有するようにする ためには、単結晶の自然のブリリアント宝石の場合のように、入射する光の大部 分が反射するように、支持体、例えはシリコンウェハ上に載る宝石層の下面を適 切に形成しなければならない。これは、コーティングすべきシリコンウェハの上 面を適切に前処理することによって達成可能である。この前処理の後で、シリコ ンウェハは窪んだ形（負の形）としての必要な形を有する。従って、形成される ダイヤモンド層の背面すなわち下面は、突出した形（正の形）を得る。このよう に人工的に作られたダイヤモンド層のための支持体または基礎としては、シリコ ンウェハのほかに、貴金属、タングステン、モリブデンまたはダイヤモンドを良 好にコーティングすることができ、表面に適当な構造（組織）を加工することが できる硬質金属のような材料が適している。 コーティングすべき支持体における構造の加工は、その材料に依存して、例え ば所定の形状を研磨形成することによって機械的に行われるかあるいはシリコン ウェハの場合にはエッチングによって化学的またはプラズマ技術的に行われる。 ここで等方性または異方性の方法を使用することができる。異方性のエッチング 剤としては、例えばＫＯＨが考えられる。このベースは単結晶のウェハに角錐状 のエッチング穴を形成することになる。エッチングマスクを使用する場合には、 等方性エッチング剤によって、角錐状の構造が基礎にエッチングされる。エッチ ング溶液の適切な組成は角錐の必要な角度を生じる。上述のように、約１８０° ±ｘ°だけ徐々に反射させるときには、角錐の角度を適合させなければならない 。 宝石層の支持体のエッジ範囲には、中央範囲と異なる角錐角度を生じることが できる。しかし、層の下側の反射面（カット面）を異なる角度で配向することが できる。これにより、輝きや光輝が互いに無関係に調節することができる。その 際、カット面の角度は、光が宝石層内で何回も往復反射するように選択すること ができる。それによって、スペクトルカラーをはっきりと分けることができる。 最も簡単な場合には、１回のエッチング作用によって、支持体の全表面に同じ 角度が付けられる。この角度は例えば約１０９°の角錐開放角度を有する。この 角度はエッチング法によって容易に得られる。所望の幾何学的形状を容易に得る ために、エッチングプロセスの前に、支持体の表面にレーザで傷つけることがで きる。 （１００）または（１１１）ウェハと異なる配向を用いることができる。最適 な光学的作用を達成するためには、宝石層の結晶方向とエッチング作用の方向と の適切に調節された相互作用が重要である。例えばＣＶＤ法で作られた多結晶の 人工的なダイヤモンド層では、ダイヤモンド単結晶と異なり、粒界が存在する。 この粒界は屈折する付加的な範囲と異なる屈折率によって考慮すべきである。そ の結果、輝きや光輝に対して積極的に作用させるためには、好ましくは粒界の組 織を柱状に配向させなければならない。あらゆる場合、光学的な作用のときに粒 界の影響を考慮しなければならない。 簡単な角柱形状の場合には、気相宝石、特にＣＶＤダイヤモンドの背面すなわ ち下面を例えば金またはチタンによって付加的に金属被覆することによって、光 を散乱させて戻すことができる。そして、反射は金−チタン表面を鏡面化するこ とによって簡単に達成される。 単結晶のブリリアント宝石の輝きと光輝にできるだけ近づけるために、人工ダ イヤモンド層の表面は八角形の形状が有利である。この形状は後からこのダイヤ モンド層に研磨形成される。その際、下面の角度は変更された出射状態に適合さ れる。 化学気相成長によって得られるこの宝石層を備えた支持体は、慣用のように装 身石として、例えば宝石細工品の金属体内に嵌め込むことができる。 付着した宝石層を支持する支持体または基質の面は、平らでなくてもよい。カ ボションまたはボタンの形をした人工的な装身石を得るために、この面は例えば 凸形であってもよい。 本発明により、輝きや光輝のような特別な光学的特性を有するだけでなく、天 然の石ではほとんど得られないないようなおよび他の合成方法、特に高温高圧技 術では経済的技術系理由から得られないような、例えば複数倍の採寸による表面 寸法を有する人工的な装身石、特にダイヤモンドを製造することができる。本発 明による宝石は製作時に、気相の組成によって、固有の体色（例えば硼素による 青または窒素による黄色）が失なわれる。これは、考えられるすべての宝石細工 品または宝石を備えた考えられるすべての装飾品でのその使用を可能にする。本 発明による装身石の実施の形態を図に基づいて説明する。 図１は装身石の宝石層の概略側面図、 図２は図１の範囲Ｙの拡大概略図、 図３は図１の宝石層の概略平面図、 図４は図１の宝石層の概略底面図、 図５は図４の範囲Ｘの概略拡大図である。 図に、簡単化するためにおよび明瞭に示すために、支持体を持たない宝石層１ だけが示してある。宝石層１に接する支持体の側は左右対称に形成されている。 宝石層１は下面に、角度“Ａ”を有する角錐状の多数の隆起２を備え、上面に 八角形研磨小面を備えている。 図示していない支持体に固着され研磨された宝石層１は本発明に従って、宝石 細工品、例えばリングに嵌め込むことができる装身石を形成している。 宝石層を取り付ける支持体は、後の装身石の外形寸法を有している必要はない 。宝石層を備えた大きな面積の支持体から一部が分離され、装身石に処理または 加工される。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マッテー・トーアステン ドイツ連邦共和国、Ｄ―38527マイネ、パ ペルヴェーク、19

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．特に平板状の支持体を備え、この支持体の上面が少なくとも１つの角錐状の 凹部を備え、かつ化学気相成長によって得られた宝石層（１）を支持している ことを特徴とする装身石。 ２．支持体がシリコンウェハであることを特徴とする請求項１記載の装身石。 ３．支持体が（１００）または（１１１）ウェハであることを特徴とする請求項 ２記載の装身石。 ４．支持体が貴金属からなっていることを特徴とする請求項１記載の装身石。 ５．支持体が硬質金属からなっていることを特徴とする請求項１記載の装身石。 ６．支持体がタングステンまたはモリブデンのような耐熱金属からなっているこ とを特徴とする請求項１記載の装身石。 ７．角錐状の凹部が機械的に、例えば研磨または型付けによって形成されている ことを特徴とする請求項１〜６のいずれか一つに記載の装身石。 ８．角錐状の凹部がエッチングによって形成されていることを特徴とする請求項 １〜６のいずれか一つに記載の装身石。 ９．支持体の凹部の角錐の角度が異なっていることを特徴とする請求項１〜８の いずれか一つに記載の装身石。 10．凹部の角錐の角度が約１０９°であることを特徴とする請求項１〜９のいず れか一つに記載の装身石。 11．宝石層（１）の粒界が柱状に配向されていることを特徴とする請求項１〜１ ０のいずれか一つに記載の装身石。 12．角錐状の凹部が金属被覆されていることを特徴とする請求項１〜１１のいず れか一つに記載の装身石。 13．宝石層（１）の表面が研磨されていることを特徴とする請求項１〜１２のい ずれか一つに記載の装身石。 14．宝石層（１）がドーピングによって不透明色を有することを特徴とする請求 項１〜１３のいずれか一つに記載の装身石。 15．宝石層（１）を支持する支持体の面が湾曲していることを特徴とする請求項 １〜１４のいずれか一つに記載の装身石。