JP2001506263A - 電気輸送放出装置用のポリマーフォーム貯蔵槽 - Google Patents

電気輸送放出装置用のポリマーフォーム貯蔵槽

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、電気輸送医薬放出システムと組み合わせて使用するための新規な治療剤含有貯蔵槽(26,28)の製造方法を提供する。ポリマーマトリックスを選択された雰囲気中で発泡させ、次いで架橋させ、ポリマー独立気泡フォームマトリックス貯蔵槽(26,28)を形成する。この方法は、電気輸送システムへの比較的少量の治療剤の添加を可能にし、そして比較的高価な医薬、例えば遺伝子工学細胞系から生成された蛋白質およびペプチドおよび(または)少量で有効な高効力の医薬に特に有用である。この方法によって製造される貯蔵槽(26,28)およびこのような貯蔵槽を備えた電気輸送デバイス(10)がまた、提供される。

Description

【発明の詳細な説明】 電気輸送放出装置用のポリマーフォーム貯蔵槽技術分野 本発明は一般に、電気輸送医薬放出(ドラッグデリバリー)に関する。さらに 特に、本発明は、電気輸送医薬放出システムに組み入れる、新式の医薬貯蔵槽の 製造方法に関する。本発明はまた、新規医薬貯蔵槽およびこれらの貯蔵槽を備え た電気輸送医薬放出システムに関する。背景技術 皮膚を通過する医薬の放出は、多くの利点を有する:主として、このような放 出手段は、快適であり、使いやすく、かつまた非侵略的な医薬投与方法である。 経口処置で遭遇する、吸収および代謝速度の変化が回避され、その他の固有の不 都合、例えば胃腸刺激などがまた排除される。経皮医薬放出はまた、いずれか特 定の医薬の血液濃度の高度な制御を可能にする。 しかしながら、かなり多くの医薬は、それらの大きさ、イオン電荷特性および 親水性により、受動的経皮医薬放出に適していない。このような医薬の経皮投与 を達成するために、この制限を克服する方法の一つは、電流を使用して完全皮膚 を通して身体に医薬を能動的に輸送する方法である。本発明は、このような投与 技術、すなわち「電気輸送」または「イオン浸透」(iontophoreti c)医薬放出に関する。 本明細書において、「電気輸送」(electrotransport)、「 イオン導入」(iontophoresis)および「イオン浸透」(iont ophoretic)の用語は、薬剤含有貯蔵槽に電動力を適用することによっ て医薬活性剤を経皮放出することを表わす用語として使用されている。 薬剤は、電気移動(electromigration)、電気孔形成(el ectroporation)、電気浸透(electroosmosis)あ るいはこれらいずれかの組み合わせにより放出することができる。電気浸透はま た、電気流体運動 (electrohydrokinesis)、電気運搬(electro−c onvection)および電気的に誘発された浸透圧(electrical ly induced osmosis)とも称されている。一般に、組織への 薬剤の電気浸透は、治療剤貯蔵槽に電動力が適用された結果として当該薬剤が含 有されている溶剤の移動がもたらされる、すなわち、別種のイオン分子の電気移 動により、溶剤流が誘発される。この電気輸送プロセス中では、皮膚のある種の 変性または変化、例えば皮膚における一時的に存在する孔の形成が生じることが ある。この現象はまた、「電気孔形成」とも称される。変性または変化(例えば 、皮膚における孔の形成)により促進される分子の身体表面への電気により助け られる輸送はいずれも、本明細書で使用されるものとして、「電気輸送」の用語 に包含される。従って、本明細書で使用されるものとして、「電気輸送」、「イ オン導入」および「イオン浸透」の用語は、(1)帯電医薬または作用剤(ag ents)の電気移動による放出、(2)非帯電医薬または作用剤の電気浸透プ ロセスによる放出、(3)帯電医薬または非帯電医薬の電気孔形成による放出、 (4)帯電医薬または作用剤の電気移動および電気浸透プロセス組合わせによる 放出、および(または)(5)帯電医薬または作用剤と非帯電医薬または作用剤 との混合物の電気移動および電気浸透プロセス組合わせによる放出、を表わす。 皮膚を経由するイオン化した医薬の放出システムは、以前から公知であった。 英国特許明細書No.410,009(1934)は、それ以前のデバイスの欠 点の一つ、すなわち電流の近くに患者を固定する必要があるという欠点を克服す るイオン浸透放出デバイスを開示している。このデバイスは、電極および放出さ れる医薬を含有する材料から、それ自体がイオン浸透放出に必要な電流を生成す る化学電池を形成することによって製造されている。このデバイスは、医薬放出 期間中、患者が動きまわることを可能にし、これにより患者の日常の活動に対す る影響は、それ以前のイオン浸透放出システムに比較して、実質的に少なくされ た。 現在の電気輸送デバイスは、少なくとも2個の電極を使用する。これらの電極 の両方は、身体の皮膚の或る場所と緊密に電気的に接触させて配置される。能動 電極またはドナー電極と称される一方の電極は、医薬を身体中に放出する電極で ある。対向電極または戻り電極と称されるもう一方の電極は、身体を通る電気回 路を閉鎖する働きをする。患者の皮膚に結合させると、電気エネルギーの供給源 、例えば電池および通常当該デバイスを通過する電流を制御することができる回 路に、これらの電極が連結され、これにより回路は完成される。身体に放出され るイオン性物質が正に帯電している場合、正の電極(アノード)は、能動的電極 であり、そして負の電極(カソード)は、対向電極として作用し、回路が完成さ れる。身体に放出されるイオン性物質が負に帯電している場合、カソード電極は 、能動的電極であり、そしてアノード電極は、対向電極として作用する。 現存の電気輸送デバイスは、身体に放出または導入する医薬活性薬剤の貯蔵槽 または供給源をさらに必要とする。このような医薬貯蔵槽を、電気輸送デバイス のアノードまたはカソードに連結し、1種または2種以上の所望の分子または薬 剤の固定したまたは取り換えられる供給源を形成する。 このようなドナー電極および対向電極を備えた電気輸送デバイスまたはシステ ムは、2個の電極を備え各電極が関係する半電池反応を行いその間を電流が流れ る、電気化学電池であると考えることができる。回路の電導部分(例えば、金属 )を通って流れる電流は、電子(電気伝導)により運ばれ、一方、当該デバイス の液体含有部分(すなわち、ドナー電極の医薬貯蔵槽、対向電極の電解質貯蔵槽 、および患者の身体)を通って流れる電流は、イオン(イオン伝導)によって運 ばれる。電流は、金属部分(例えば、金属電極)と液体相(例えば、医薬溶液) との間の界面で典型的に生じる酸化および還元電荷輸送反応によって、金属部分 から液体相に輸送される。電気的に組み合わされている医薬輸送に包含されるタ イプの電気化学的酸化および還元電荷輸送反応は、J.S.NewmanによるElectrochemical Systems (Prentice Hal l,1973)およびA.J.BardおよびL.R.FaulknerによるElectrochemical Methods,Fundamentals and Applications (John Wiley & Sons, 1980)などの電気化学学術書に見出すことができる。 本発明は、電気輸送医薬放出システムと組み合わせて使用される新規ポリマー マトリックス医薬貯蔵槽およびこれらの新規貯蔵槽の製造方法に関する。このよ うなシステムに使用するための従来の医薬貯蔵槽の製造方法に反して、また従来 の医薬貯蔵槽に反して、本発明による方法は、当該システム中に配合される医薬 の量を少なくすることができる貯蔵槽を提供する。このことは、高価な医薬、例 えば遺伝子工学細胞系から製造されるペプチド類および蛋白質類、および(また は)少ない用量で有効である高効力の医薬の場合に考慮される重要な点である。 このような医薬の場合、貯蔵槽中に装填する医薬の量を減少させることが望まし い。 代表的に、経皮医薬放出デバイスを用いて医薬を放出させる場合、医薬流動率 が貯蔵槽中の医薬の濃度とは独立していると好ましい。装填する医薬の量が減少 すると、貯蔵槽中の医薬の濃度は、医薬流動率が貯蔵槽中の医薬濃度に依存する 点にまで減少する。従って、医薬貯蔵槽中の医薬濃度を維持することが望ましい 。 医薬装填量および貯蔵槽容積の両方を減少し、これにより医薬濃度を濃度−独 立した医薬流動率に必要なレベル以上に維持することはできるが、医薬貯蔵槽を どのようにして小さくするかに限界がある。例えば、ドナー貯蔵槽の容積を、皮 膚と接触する領域を減少することによって減少させた場合、皮膚刺激、すなわち 適用された電流および(または)放出される医薬により生じる刺激が生じる可能 性が増加する。ドナー貯蔵槽の容積を、貯蔵槽の厚みを減じることによって減少 させる場合、電極と皮膚との間の電気ショートが生じる可能性が増大する。さら にまた、薄い貯蔵槽は本質的に正確に均一性を備えて製造することが、さらに困 難である。 従って、貯蔵槽の大きさまたは容積を減少させることなく、電気輸送ドナー貯 蔵槽の医薬装填量を減少させる方法が必要である。発明の説明 従って、本発明の第一の態様は、当技術における上記制限を克服する、電気輸 送医薬放出システムと連結して使用するための新規医薬貯蔵槽の製造方法を提供 することにある。 本発明のもう一つの態様は、電気輸送医薬放出に使用するための予め定められ た容積を有する新規な治療剤含有ポリマーフォーム貯蔵槽の製造方法を提供し、 この方法は、架橋可能なポリマーを含有するポリマーマトリックスの形成を包含 する。 本発明のさらにもう一つの態様は、治療剤と架橋可能なポリマーを含有するポ リマーマトリックスとの混合物を発泡させることを包含する、このような方法を 提供することにある。 本発明のもう一つの態様は、空気、二酸化炭素、酸素、窒素、貴ガス、または その他の気体を、ポリマーマトリックス中に配合することを包含する、このよう な方法を提供する。形成された治療剤含有ポリマー貯蔵槽は、使用されるポリマ ーマトリックスの量に対して比較的大きい表面積を有する。 本発明のさらにもう一つの態様は、ペプチド類、蛋白質類またはその断片を経 皮放出することができる治療剤含有ポリマーフォーム貯蔵槽の製造方法を提供す ることにある。 本発明のさらにもう一つの態様は、ペプチド類、蛋白質類またはその断片を経 済的に放出することができる電気輸送医薬放出デバイスを提供することにある。 本発明の追加の態様、利点および新規特徴は、下記の説明に部分的に記載され ており、また一部は、下記の記載を検討することによって当業者に明白であると 見做され、あるいは本発明を実施することにより学ぶことができる。 本発明の態様の一つにおいて、動物身体表面を通過する電気輸送により、治療 剤を放出させるのに適する電気輸送薬剤放出システムに組み入れるための予め定 められた容積を有する治療剤含有ポリマー貯蔵槽の製造方法が提供される。この 方法は、予め定められた量の治療剤をポリマーマトリックス中に入れ、医薬含有 ポリマーマトリックスを生成し、このポリマーマトリックスを気体により発泡さ せ、次いでこの発泡したマトリックスを架橋させ、予め定められた孔容積を有す るポリマー独立気泡フォームマトリックス貯蔵槽(a polymeric c losed cell foam matrix reservoir)を生成 することを包含する。発泡したマトリックスを治療剤の溶解に使用される液状溶 剤により水和した場合、フォーム独立気泡は気体を含有し、そして治療剤および 液体溶剤を実質的に含有しない。 本発明の好適態様において、電気輸送薬剤放出デバイスに組み入れる医薬貯蔵 槽の製造方法が提供され、この方法は、ポリビニルアルコールのポリマー混合物 を、選択された雰囲気中で急速撹拌し、ポリマーフォームを生成することによっ て、この混合物を発泡させることを包含する。このポリマーフォームに治療剤を 添加し、この医薬含有フォームを凍結させ、次いで室温まで温める。別法として 、ポリマーフォームを凍結させ、解凍し、その後、電気輸送薬剤放出デバイスと 連結して使用する前に、このポリマーフォームに治療剤を添加することもできる 。 本発明のもう一つの態様において、予め定められた容積を有する治療剤含有ポ リマー貯蔵槽が提供され、この貯蔵槽は、予め定められた量の治療剤および予め 定められた容積率のフォーム独立気泡を有する化学的に架橋したポリマーの独立 気泡フォームマトリックスから構成されている。 本発明のさらにもう一つの態様において、予め定められた容積を有する治療剤 含有ポリマー貯蔵槽が提供され、この貯蔵槽は、活性照射線に露光することによ って架橋させたポリマーの独立気泡フォームマトリックスを含有し、また予め定 められた量の治療剤を含有し、そしてまた予め定められた容積率の独立気泡フォ ームを有する。 本発明のさらにもう一つの態様において、上記ポリマーフォーム貯蔵槽を組み 合わせる電気輸送薬剤放出システムが提供される。このシステムは、ドナー電極 、対向電極、電力供給源、および代表的にドナー電極の一部として存在する、放 出されるべき治療剤を含有するポリマー貯蔵槽を備えている。図面の簡単な説明 図1は、本発明の方法を用いて形成される医薬組成物と組み合わせて使用する ことができる電気輸送薬剤放出システムの態様の一つの透視分解図である。発明の実施方法 本発明を詳細に説明する前に、本発明が特定の医薬、担体、電気輸送放出シス テムなどに制限されず、変更することができるものと理解されるべきである。 本明細書および請求の範囲で使用されているものとして、単称形態の用語(“ a”、“an”および“the”が付けられている用語)は、明細書に明確な別段 の指示がなされていないかぎり、複数の場合も包含することに留意される べきである。従って、例えば単称形の「医薬」または「治療剤」は、2種または 3種以上の医薬または治療剤の混合物を包含し、単称形の「ポリマー」は、2種 または3種以上のポリマーを包含する。 別段の定義がなされていないかぎり、本明細書で使用されている全部の技術用 語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者により共通して理解されてい る意味と同一の意味を有するものとする。本明細書に記載されている方法および 材料に類似するか、またはこれらと均等な方法および材料の全部を、本発明の実 施または試験に使用することができるが、好適材料および方法をここで説明する 。 本発明の説明および特許請求に際して、下記の特定の技術用語は、下記の定義 に従い使用するものとする。 本明細書で使用されているものとして、「治療剤」、「医薬」または「医薬活 性薬剤」の用語は、所望の局所的または全身的治療効果を誘発し、電気輸送によ り放出することができる、全部の化学物質または化合物を意味する。このような 物質の例を下記に示す。 「溶剤含有ポリマー」の用語は、電気輸送医薬放出デバイスに組み入れられて いる、このようなポリマーを含有する医薬貯蔵槽に電流が適用されている間、イ オンを通過させるのに充分な量で、対象の治療剤および(または)塩形態の治療 剤を溶解させることができる量のいずれかの液体溶剤を、吸収および(または) 吸着によって含有することができるポリマーを意味する。好ましくは、このポリ マーは少なくとも約20重量%の溶剤を含有することができる。特に好適な溶剤 は、少なくとも部分的に、その優れた生体適応性によって、水である。「ヒドロ ゲル」は、少なくとも約20重量%の水を吸収することができる溶剤含有ポリマ ーである。 「ポリマーマトリックス」は、適当な溶剤中のポリマーの溶液;溶剤の吸収ま たは吸着により膨潤した溶剤含有ポリマー;連続溶剤相と組み合わされている、 分散溶剤含有ポリマー相を含有し、粘性のコロイド状組成物を形成する組成物; あるいはそこから発泡したポリマーマトリックスを形成することができる化学的 および(または)物理的特徴、例えば粘度、界面活性物性などを有するその他の 形態のポリマーマトリックスを表わす。 「ポリマーマトリックスを発泡させる」の用語は、複数の気体含有ポケットま たは気泡が、ポリマーマトリックス全体に導入され、これにより「発泡したポリ マーマトリックス」が生成されるプロセスを意味するものとする。「独立気泡ポ リマーフォーム」は、各気体含有泡が分離されており、各気泡の気体相が別の気 泡の気体相とは独立している、発泡ポリマーマトリックスを表わす。 本発明の方法は、治療剤含有ポリマーマトリックスの発泡および発泡マトリッ クスの架橋を包含する。ポリマーマトリックスは、必須ではないが、代表的に、 好ましくは約1重量%〜50重量%ポリマーを含有する水性溶液である。比較的 少量、すなわち総混合物の約0.001重量%〜約10重量%、好ましくは0. 01重量%〜約3重量%、さらに好ましくは約0.1重量%〜約2重量%の治療 剤が、代表的に要求される全部である。別の態様では、治療剤は、発泡プロセス が完了した後に、発泡したポリマーマトリックス中に配合することもできる。 発泡したポリマーマトリックスの製造に使用することができ、架橋して、発泡 した貯蔵槽を得ることができる適当なポリマーには、ポリビニルアルコール、ポ リビニルポリピロリドン、セルロース系ポリマー、例えばヒドロキシエチルセル ロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース 、カルボキシメチルセルロースなど、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、 ポリ酸無水物、ポリビニルポリピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、これ らのポリマーの混合物およびコポリマーなどが包含される。好適ポリマーの一つ は、ポリビニルアルコールである。 ポリマーマトリックスの発泡は、当技術で公知の全部の化学的または物理的方 法により達成することができる。代表的には、気泡状ポリマーは、押出し、噴霧 、フロッシング(frothing)、圧縮成型、射出成型、シンタリング、漏 出などにより形成することができる。フォーム形成は、ポリマー溶液を高速、高 剪断混合装置で撹拌し、および(または)ポリマー溶液中に気体を注入する装置 によって達成することができる。フォーム形成装置の図解図については、Per kins等による(1983)National Technical Con ference,Am.Assoc.Textile Chemists a nd Colorists,147〜151頁を参照することができる。 好適方法の一つにおいて、発泡は、空気、二酸化炭素、酸素、窒素、貴ガス、 その他の気体(1種または2種以上)、あるいはその混合物の選択された雰囲気 中で、ポリマーの溶液を急速撹拌することによって達成される。この撹拌は、選 択された雰囲気からマトリックス中に気体を導入し、マトリックス内で気泡を形 成させる。この気泡は、不活性充填体として作用し、ガラスビーズ、二酸化チタ ン、石英粉末、ポリマー粉末などの慣用の「不活性」充填剤の欠点を持ち込むこ となく、治療活性剤を結合させることができるマトリックスの表面積を増大させ る。 発泡ポリマーマトリックスを製造するためのもう一つの好適方法は、減圧膨張 による方法である。この方法では、溶融したポリマー中の揮発性発泡剤の溶液を 、加圧下に押出し成型機で形成する。溶液を、大気温度および圧力においてオリ フィスを通して、受取り基体上に強制的に押出す。揮発性発泡剤を蒸発させ、次 いでポリマーを膨張させる。以下で説明する冷却法または架橋法により、寸法安 定性が得られる。 ポリマーマトリックスを発泡させるためのさらにもう一つの好適方法は(この 方法は、ポリマーマトリックスがポリビニルアルコールを含有する場合に好適で ある)、フロッシング法であり、この方法は大気温度で行うことができることか ら好ましい。フロッシング法は、フォーム生成に適する表面物性を有する液体中 に気体を分散させることを包含する。このフォームは、以下で説明する架橋によ って永久的に安定化することができる。 所望により、発泡操作以前に、フォーム形成促進添加剤をポリマーマトリック スに添加することができる。このような添加剤の例には、アニオン性界面活性剤 、例えばラウリル硫酸ナトリウム、非イオン性界面活性剤、例えばエトキシル化 直鎖アルコールおよびエトキシル化アルキルフェノール、および石鹸、例えばス テアリン酸アンモニウムが包含される。 発泡操作で技術的に考慮すべき点は、フォームが加工できる粘度を有するべき であるという点にある。高粘度のポリマーマトリックスは一般に、発泡し難く、 高粘度を有するフォームを生成する。低粘度のポリマーマトリックスから製造さ れたフォームの粘度は、膨張率に依存する。 発泡ポリマーマトリックスの容積はまた、膨張率およびまた発泡マトリックス の気泡の大きさの関数である。この膨張率は、ポリマーマトリックスの容積に対 する生成された最終フォームの容積の比である。すなわち、1の膨張率は、容積 が二倍(比=1:1)になることを示しており、この場合の気泡の総容積は、ポ リマーマトリックスの約50容積%である。他方、7の膨張率は、容積が8倍に 増加することを表わし、この場合の気泡の総容積は、ポリマーマトリックスの8 7.5%である。総気泡容積、すなわち発泡したポリマーマトリックスの気体成 分が占める容積が約25容積%〜約90容積%であるポリマーマトリックスを適 宜調製できる。 この医薬含有ポリマーフォームを次いで、架橋させ、治療剤含有独立気泡ポリ マーフォームを形成する。この架橋は、当技術で公知の方法により行うことがで きる。特に、架橋は、マトリックスを凍結させ、次いで解凍することによって、 マトリックスを電磁照射線にさらすことによって、またはマトリックス中に化学 架橋剤を配合することによって行うことができる。 好ましくは、ポリマーマトリックスをポリビニルアルコールから製造する場合 、発泡したポリマーマトリックスを、凍結させ、次いでこのマトリックスを解凍 することによって架橋させる。発泡したポリマーマトリックスは、−10℃〜− 35℃の範囲、代表的には、−20℃の温度において、少なくとも約15秒間な いし約24時間、好ましくは約30秒間ないし約12時間、さらに好ましくは約 30秒間ないし約2時間の保持時間で凍結させる。このフォームを次いで、約− 5℃〜約25℃の範囲の解凍温度、すなわち室温、好ましくは−5℃〜約5℃、 さらに好ましくは−5℃〜約0℃に温める。この時点で、電気輸送医薬放出シス テム中に直接に導入することができる。解凍温度範囲に保持する時間は、長くて も24時間であり、好ましくは約1〜12時間、さらに好ましくは約1時間〜6 時間である。一般に、架橋の程度は、解凍温度およびこの温度における保持時間 に直接に比例して増加する。所望により、この凍結/解凍サイクルを少なくとも もう一度、そして10回程度、あるいはそれ以上、反復することができる。好ま しくは、この凍結/解凍サイクルを、約1〜5回、反復する。この凍結/解凍サ イクルによれば、皮膚刺激剤であることが知られており、発泡したポリマーマト リ ックスからの除去が困難である化学架橋剤、例えばホルムアルデヒド、グリオキ ザルおよびブチルアルデヒドを必要とすることなく、ポリマーマトリックスを物 理的に発泡させることができる。凍結/解凍サイクルの追加は代表的に、密度が 高く、かつまた構造的に剛性を有するフォームをもたらす。凍結/解凍サイクル によるポリビニルアルコールマトリックスの製造は、例えばNambuに対する 米国特許No.4,524,064、同No.4,664,857および同No .4,925,603;Tanabe等に対する同No.4,734,097; Nambu等に対する同No.4,808,353;Ikada等に対する同N o.4,988,771;およびKobayashi等に対する同No.5,1 41,973に記載されている。 別法として、発泡したポリマーマトリックスは、電磁照射線、例えば電子ビー ム照射線、ガンマ線照射線、紫外線照射線などにさらすことによって、架橋させ ることもできる。代表的には、ポリマー溶液を調製し、次いで上記のとおりに発 泡させ、次いで当技術で公知の方法によって電磁照射線にさらし、ポリマーを架 橋させ、次いで独立気泡構造内に気泡を捕獲させる。多くの医薬は、大部分の電 磁照射線にさらすことによって分解することがあるから、この架橋プロセスが完 了した後に、ポリマーマトリックスに治療剤を添加すると好ましい。治療剤は、 含浸、吸収などにより架橋したポリマーマトリックス中に配合することができる 。 発泡したポリマーマトリックスを架橋させるためのもう一つの手段は、マトリ ックス中に化学架橋剤を配合することによる手段である。架橋剤の例には、アル デヒド類、エポキシド類、ボラックス、ジイソシアネート類などおよびその混合 物が包含され、特定の架橋剤は、発泡したポリマーマトリックスの製造に使用さ れるポリマーに依存する。例えば、セルロース系ポリマーは、強酸の存在下に、 ホルムアルデヒドまたは種々のN−メチル化化合物、例えばヒダントイン類、ト リアゾン類などを使用して、強酸の存在下に、ジエポキシド類、例えばビニルシ クロヘキセンジオキサイド、ブタジエンジオキサイド、ジグリシジルエーテルな どを使用して、およびまたアジリジン化合物、例えばトリス(1−アジリジニル )ホスフィンオキサイドおよびトリス(アジリジニル)トリアジンを使用して、 架橋させることができる。ポリウレタン類は、芳香族イソシアネート類、例えば トルエンジイソシアネートおよび4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート 、ならびに脂肪族イソシアネート類、例えばイソホロンジイソシアネート、水素 添加した4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、三量体化ヘキサメチレ ンジイソシアネートを用いて架橋させることができる。所望の程度に発泡したポ リマーマトリックスの架橋および密度を得るのに充分な量を使用するが、好まし くは、未消費の材料が生じるよりも少ない量の架橋剤を使用する。しかしながら 、発泡したポリマーマトリックスが形成された後に、過剰の架橋剤が存在する場 合、簡単な洗浄工程を用いて除去すると好ましい。 本発明は別法として、放出させる治療剤を使用しないでポリマーマトリックス の発泡させる方法を含むことができる。一例として、空気、二酸化炭素、酸素、 窒素、貴ガス、その他の1種または2種以上の気体、あるいはその混合物の選択 された雰囲気中で、混合物(代表的にはまた、水性溶液)を急速撹拌し、ポリマ ーフォームを生成する方法を使用することもできる。次いで、このポリマーフォ ームに、含浸、吸着などにより治療剤を添加し、この治療剤含有フォームを上記 のとおりに架橋させ、架橋したポリマーマトリックスを生成する。 別法として、治療剤はまた、架橋したポリマーマトリックス中に含浸、吸着な どにより配合することができる。生成する治療剤含有マトリックスは次いで、電 気輸送医薬放出システムの医薬貯蔵槽として使用することができる。 上記したように、本発明に関連して有用な医薬、治療剤または活性剤は、電気 輸送により放出させることができる全部の医薬化合物または化学物質を包含する 。一般に、これらには、これらに制限されないものとして、抗生物質および抗ウ イルス剤などの抗感染薬、フェンタニル(fentanyl)、スフェンタニル (sufentanil)、バプレノルフィン(buprenorphine) を包含する鎮痛薬、および鎮痛薬組合わせ、麻酔薬、食欲減退薬、抗関節炎薬、 抗喘息薬、例えば、テルブタリン(terbutaline)、抗けいれん薬、 抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗下痢薬、抗炎症薬、抗偏頭痛薬、抗動揺薬、例えば、 スコポラミン(scopolamine)およびオンダンセトロン(ondan setron)、抗嘔吐薬、抗新生物薬、抗パーキンソン病薬、抗かゆみ薬、抗 精神病薬、解熱薬、鎮痙薬(胃腸および子宮抗コリン作用性薬を包 含する)、交感神経刺激薬、キサンチン誘導体、心臓血管系医薬[ニフェジピン (nifedipineなどのカルシウムチャンネル遮断薬、ベータ遮断薬、ド ブタミン(dobutamine)およびリトドリン(ritodrine)な どのベータ拮抗薬を包含する]、抗不整脈薬、抗高血圧薬、例えば、アテノロー ル(atnolol)、ACE抑制薬、例えば、リニチジン(rinitidi ne)、利尿薬、血管拡張薬(一般、冠状、末梢および脳を包含する)、中枢神 経系刺激薬、咳および風邪薬、充血緩和薬、診断薬、ホルモン類、例えば、副甲 状腺ホルモン、ビスホスホリエート類、催眠薬、免疫抑制薬、筋肉弛緩薬、副交 感神経破壊薬、副交感神経刺激薬、プロスタグランジン類、精神刺激薬、鎮静薬 およびトランキライザーを包含する主要治療分野の全部の薬剤が包含される。本 発明は特に、天然産出、化学合成または組換え生成に関係なく、蛋白質、ペプチ ド類およびその断片の電気輸送放出に関連して有用である。 ペプチド類、ポリペプチド類、蛋白質およびその他のこのような種類の物質を 放出させる場合、これらの物質は典型的に、少なくとも約300ダルトン、さら に典型的に、少なくとも約300〜40,000ダルトンの分子量を有する。こ のサイズ範囲のペプチド類および蛋白質の特定の例には、これらに制限されない ものとして、GHRH、GHRF、インシュリン、インサルトロピン(insu ltropin)、カルシトニン(calcitonin)、オクトレオチド( octreotide)、エンドルフィン(endorphin)、TRH、N T−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニ ル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン(liprecin )、下垂体ホルモン類(例えば、HGH、HMG、デスモプレッションアセテー ト等)、卵胞ルテオイド類(luteoids)、αANF、成長因子放出因子 (GFRF)などの成長因子、βMSH、ソマトスタチン(somatosta tin)、ブラディキニン(bradykinin)、ソマトトロピン(som atotropin)、血小板−由来成長因子、アスパラギナーゼ、ブレオマイ シン(bleomycin)硫酸塩、チモパパイン(chymopapain) 、コレサイストキニン(cholecystokinin)、絨毛性ゴナドトロ ピン、コルチコトロピ ン(ACTH)、エリスロポイエチン(erythropoietin)、エポ プロステノール(epoprostenol)(血小板凝集抑制剤)、グルカゴ ン(glucagon)、HCG、ヒルログ(hirulog)、ヒアルロニダ ーゼ、インターフェロン、インターロイキン、メノトロピン[ウロホリトロピン (urofollitropin)(FSH)およびLH]、オキシトシン(o xytocin)、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター 、ウロキナーゼ、バソプレシン(vasopressin)、デスモプレシン( desmopressin)、ACTH類縁体、ANP、ANPクリアランスイ ンヒビター、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、抗利尿性ホルモンアゴニス ト、ブラディキニンアンタゴニスト、CD4、セレダーゼ、CSI’s、エンケ ファリン類(enkephalins)、FABフラグメント、IgEペプチド 抑制体、IGF−1、神経組織栄養因子(neurotrophic fact ors)、コロニイ刺激因子、副甲状腺ホルモンおよび作用薬、副甲状腺ホルモ ン拮抗体、パラチロイドアンタゴニスト、プロスタグランジンアンタゴニスト、 ペンチゲチド(pentigetide)、蛋白質C、蛋白質S、レニンインヒ ビター、チロシン アルファ−1、血栓溶解物質、TNF、ワクチン類、バソプ レッシンアンタゴニスト類縁物質、アルファ−1 アンチトリプシン(組換え体 )およびTGF−ベータが包含される。 黄体ホルモン放出性ホルモン(“LHRH”)およびLHRH類縁物質、例え ばゴセレリン(goserelin)、バセレリン(buserelin)、ゴ ナドレリン(gonadorelin)、ナファレリン(napharelin )およびロイプロライド(leuprolide)は、本発明に関連して有用で ある、この大きさ範囲のペプチド類および蛋白質のもう一つの種類の代表例であ る。好適LHRH類縁物質の一つは、ゴセレリンである。ゴセレリンは、pyr o−Glu−His−Trp−Ser−Tyr−D−Ser(But)−Leu −Arg−Pro−Azgly−NH2の化学構造を有するLHRHの合成デカ ペプチド類縁物質である。この医薬は、前立腺および乳癌ならびに或る種の生殖 器疾患の処置に有用である。 本発明は、広く種々の電気輸送医薬放出システムと組み合わせて使用すること ができることは当業者により認識されるものと見做され、本発明の方法は、この 観点でいずれかの方法に制限されるものではない。電気輸送医薬放出システムの 例としては、Theeuwes等に対する米国特許No.5,147,296、 Theeuwes等に対する同5,080,646、Theeuwes等に対す る同5,169,382およびGyory等に対する同5,169,383を挙 げることができ、これらの記載を引用して、ここに組み入れる。 図1は、本発明による医薬貯蔵槽を組み合わせて使用することができる電気輸 送医薬放出システムを示している。デバイス10は、上方外被16、回路板集成 部品18、下方外被20、アノード電極22、カソード電極24、アノード貯蔵 槽26、カソード貯蔵槽28、および皮膚適応性接着剤30を備えている。上方 外被16は、患者の皮膚にデバイス10を保持することを補助する横方向羽根部 分15を有する。上方外被16は好ましくは、射出成型可能なエラストマー(例 えば、エチレンビニルアセテート)からなる。印刷回路板集成部品18は、分離 している部品40とバッテリイ32とを連結する集積回路19を備えている。回 路板集成部品18は、開口部13aおよび13bを通過しているポスト(図示さ れていない)により、外被16に取り付けられており、このポストの末端を加熱 /溶融して、回路板集成部品18を外被16に熱固定する。下方外被20は、接 着剤30により上方外被16に取り付けられており、この接着剤30の上方表面 は、羽根部分15の底部表面を包含して、下方外被20および上方外被16の両 方に接着されている。 回路板集成部品18の下側上には、ボタン型電池バッテリイ32が示されてい る(部分的に)。動力デバイス10にはまた、別のタイプのバッテリイを使用す ることもできる。 デバイス10は一般に、バッテリイ32、電気回路19,40、電極22,2 4およびポリマーフォームマトリックス医薬貯蔵槽26,28から構成されてお り、これら全部が自己含有ユニットに集積されている。回路板集成部品18のア ウトプット(図1には示されていない)は、下方外被20に形成されている凹部 25,25’に存在する開口部23,23’を通して電導性接着ストリップ42 ,42’により、電極24および22と接触している。代わりに、これらの電極 2 2および24を直接に、医薬貯蔵槽26および28の上方面44,44’と機械 的および電気的に接触させてもよい。医薬貯蔵槽26,28の底面46’,46 を、接着剤30に存在する開口部29,29’を経て、患者の皮膚と接触させる 。 デバイス10は所望により、投与量の医薬を電気輸送により患者者が申己投与 することを可能にする特徴を有する。押ボタンスイッチ12を押すことによって 、回路板集成部品18上の電気回路が、電極/貯蔵槽22,26および24,2 8に予め定められたDC電流を予め定められた長さの放出期間にわたり供給する 。押ボタンスイッチ12は、好ましくはデバイス10の上方面上に位置しており 、衣服の上から容易に作動させることができる。押ボタンスイッチ12を短時間 、例えば3秒間、2回押して、デバイスを作動させ、医薬を放出させると好まし く、これによりデバイス10の不注意による作動の可能性が最低にされる。好ま しくは、デバイスは、医薬放出期間の開始を、例えば「ビーパー」からの光およ び(または)音声信号になる、光発射ダイオード(“LED”)14により、使 用者に視覚および(または)音声確認手段で伝える。医薬は、予め定められた放 出期間にわたり、電気輸送によって患者の皮膚、例えば腕皮膚を経て放出される 。 アノード電極22は好ましくは、銀を含有し、そしてカソード電極24は好ま しくは、塩化銀を含有する。貯蔵槽26および28は両方ともに、上記のとおり の発泡したポリマー材料からなる。電極22,24および貯蔵槽26,28は、 下方外被20により保有されている。 ポリマーフォームマトリックス貯蔵槽26および28は、少なくとも1個の貯 蔵槽26および28中に均一に分散されている医薬溶液を含有する。約1×10-6 M〜1.0Mの範囲またはそれ以上の医薬濃度を使用することができ、この範 囲の少ない方の医薬濃度が好適である。 押ボタンスイッチ12、回路板集成部品18上の電気回路およびバッテリイ3 2は、上方外被16と下方外被20との間に接着してシールされる。上方外被1 6は好ましくは、ゴムまたはその他のエラストマー状物質からなる。下方外被2 0は好ましくは、凹部25,25’が形成されるように容易に成型することがで き、また開口部23,23’を形成するために切ることができるプラスティック またはエラストマーシート材料(例えば、ポリエチレン)からなる。この集成デ バイス10は好ましくは、耐水性(すなわち、撥水性)であり、また最も好まし くは、防水性である。このシステムは、身体に容易に順応する薄い輪郭を有し、 従って装着場所およびその付近を自由に移動することができる。貯蔵槽26およ び28は、デバイス10の皮膚−接触面上に位置しており、通常の取り扱いおよ び使用期間中、偶然の電気ショートを防止するのに充分にはなれている。 デバイス10は、上面34および身体接触面36を有する、周辺接着剤30に より患者の身体表面(例えば、皮膚)に接着する。この接着剤面36は、通常の 使用者の活動中、デバイスを身体上の位置に保持することを確実にし、しかも予 め定められた装着期間(例えば、24時間)の後に、無理なく取り除くことがで きる接着性を有する。接着剤上面34は、下方外被20に接着しており、そして 外被凹部25,25’内に電極およびポリマーフォームマトリックス医薬貯蔵槽 を保持し、また上方外被16に取り付けられた下方外被20を保持している。 本発明をその特定の好適態様にかかわり説明したが、前記記載および例は、本 発明を説明しようとするものであって、本発明の範囲を制限するものではないも のと理解されるべきである。本発明の範囲内の別の態様、利点および修正は、本 発明が属する分野の当業者にとって明白である。 例1 10重量%ポリビニルアルコールポリマーフォーム貯蔵槽の製造 市販品質のポリビニルアルコール(平均重合度=5100;平均分子量=22 4kDa;加水分解度=99.7モル%)を、脱イオン水3部およびイソプロピ ルアルコール1部で抽出することによって精製した。脱イオン水90.0グラム 中の精製したポリビニルアルコール10.0グラムの混合物を、90℃で約70 分間加熱することによって、ポリビニルアルコールの10重量%溶液を製造した 。このポリビニルアルコール溶液を、室温まで冷却させ、次いでこの溶液を20 .0グラムづつ、ビーカー中に移した。この溶液を、勾配をつけたタービンブレ ード[カフラモミキサー(Caframo mixer)]により、約2000 rpmの速度で激しく撹拌した。約1時間の撹拌の後に、白色フォーム約50m lが得られた。 このフォームを、8cm2×0.16cmの寸法を有する円柱状エチレンビニ ルアセテート鋳型中に注入し、環境室内で約−20℃において約24時間、凍結 させた。この凍結したフォームを次いで、環境室から取り出し、室温にした。生 成する架橋したポリマーマトリックスは、柔らかく、スポンジ状であり、室温に おいて少なくとも2週間、許容される構造一体性を維持した。 例2 凍結−解凍サイクルを用いて架橋させた10重量%ポリビニルアルコールポリ マーフォーム貯蔵槽の製造 例1に記載のとおりに、製造し、鋳型中に注入したポリビニルアルコールフォ ームを、−20℃における2時間の凍結および5℃における30分間の加温から なるサイクルに3回さらすことによって架橋させた。このポリビニルアルコール フォームは架橋され、例1に記載のとおりに、1回、−20℃に24時間さらし た場合に比較して、大きい架橋密度を有しており、さらに構造的に硬質のフォー ムが得られた。 例3 クエン酸塩−緩衝した15重量%ポリビニルアルコールポリマーフォーム貯蔵 槽の製造 例1および2に記載の方法を使用し、15重量%ポリビニルアルコール、0. 24重量%クエン酸、0.37重量%クエン酸三ナトリウムおよび0.1重量% 塩化ナトリウムを含有する溶液を、ポリビニルアルコールの10重量%溶液の代 わりに使用して、ポリマーフォーム貯蔵槽を形成する。 例4 ゴーセレリンアセテートを含有する15重量%ポリビニルアルコールポリマー フォーム貯蔵槽の製造 例1および2に記載の方法を使用し、15重量%ポリビニルアルコールおよび 1.5mMゴーセレリン(goserelin)を含有する溶液を、ポリビニル アルコールの10重量%溶液の代わりに使用して、ポリマーフォーム貯蔵槽を形 成する。 例5 フェンタニル塩酸塩を含有する15重量%ポリビニルアルコールポリマーフォ ーム貯蔵槽の製造 例1および2に記載の方法を使用し、15重量%ポリビニルアルコール、1. 74重量%フェンタニル塩酸塩および0.17重量%ウロカニン酸を含有する溶 液を、ポリビニルアルコールの10重量%溶液の代わりに使用して、ポリマーフ ォーム貯蔵槽を形成する。 例6 ゴーセレリンを含有するポリマーフォーム貯蔵槽を用いる電気輸送試験 浸透セルの組立て: 医薬を同量含有する発泡ポリマーマトリックスにデザインされている2区分室 式ポリカーボネート浸透セル(permeation cell)を用いて、電 気輸送試験を行うことができる。塩化銀押出しラミネートを、電極支持体上に被 せ、両面接着テープを用いて、レセプター区分室にシールする。このレセプター セル上のグリッド支持体に、ドナー区分室と対面している層状コルネウムを有す る接着テープを用いて、ヒト死体の表皮(約2cm2)を接着させる。 例4に記載のとおりに製造したゴーセレリンを含有する医薬含有ポリマーフォ ーム貯蔵槽を、銀電極およびフォーム成型物からなるアノード外被中にシールす る。この組立てられたドナー区分室を、表皮上に装着し、次いで電極支持体を固 定して、浸透セルを完成させる。 ヒト表皮の調製: 加熱−剥離したヒト表皮を、電気輸送試験に使用する。この組織を水中に60 ℃で90秒間浸すことによって、皮膚から表皮を分離する。 溶液の製造: レセプター溶液は、完全濃度、0.15Mダルベコー(Dulbecco’s )のリン酸塩緩衝した塩類溶液(“DPBS”)、pH7.4からなる。 分析方法: インビトロ放出試料を次のとおりにして評価する。試料1mlをポリプロピレ ンシンチレーションバイアルに移し、次いでこのバイアルに、レディ セーフ( Ready Safe)(登録商標名)シンチレーションカクテル10mlを 添加する。このバイアルを穏やかに振り混ぜ、次いで液体シンチレーション計量 器に入れる。 例7 フェンタニル塩酸塩を含有するポリマーフォーム貯蔵槽を用いる電気輸送試験 例6の方法において、例5に記載のフェンタニル塩酸塩を含有するポリマーフ ォーム貯蔵槽を代わりに使用し、フェンタニル塩酸塩の電気輸送放出を試験する 。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP ,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR, LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,M W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD ,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR, TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZW

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.動物身体表面を通過する電気輸送により治療剤を放出させるのに適する電 気輸送薬剤放出システムに組み入れるための予め定められた容積を有する治療剤 含有ポリマー貯蔵槽の製造方法であって、 (a)予め定められた量の治療剤をポリマーマトリックス中に入れ、薬剤含有 ポリマーマトリックスを生成し、 (b)このポリマーマトリックスを気体により発泡させ、ポリマーフォームマ トリックスを生成し、次いで (c)このポリマーフォームマトリックスを架橋させ、予め定められた孔容積 を有するポリマー独立気泡フォームマトリックス貯蔵槽を生成し、このマトリッ クスは、治療剤の溶解に使用される液体溶剤により水和されると、気体を含有し 、そしてまた治療剤および液体溶剤を実質的に含有していない独立した発泡気泡 を有するものである、 ことを包含する、上記製造方法。 2.独立気泡が、ポリマーフォームマトリックスの25〜90容積%を構成す る、請求項1に記載の方法。 3.電磁照射線、化学架橋剤および(または)凍結/解凍を用いて、ポリマー フォームマトリックスを架橋させる、請求項1に記載の方法。 4.ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース 系ポリマー、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリ酸無水物、ポリビニ ルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーおよびその混合物からなる群から選 択される、請求項3に記載の方法。 5.発泡したポリマーマトリックスの架橋を、マトリックスの凍結および解凍 により行う、請求項1に記載の方法。 6.ポリマーが、ポリビニルアルコールを含有する、請求項5に記載の方法。 7.架橋を、化学架橋剤を用いて行う、請求項3に記載の方法。 8.化学架橋剤が、アルデヒド類、エポキシド類、ボラックス、ジイソシアネ ート類およびその混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の方法。 9.治療剤が、蛋白質、ペプチド類またはその断片である、請求項1に記載の 方法。 10.気体が、空気、二酸化炭素、酸素、窒素、貴ガスおよびその混合物から なる群から選択される、請求項1に記載の方法。 11.ポリマーマトリックスの発泡前、発泡中または発泡後に、ポリマーマト リックスに治療剤を添加する、請求項1に記載の方法。 12.電気輸送治療剤放出システムのための治療剤含有ポリマー貯蔵槽であっ て、予め定められた容積を有し、予め定められた量の治療剤を含有し、そして予 め定められた容積率の独立気泡を有する架橋したポリマー独立気泡フォームマト リックスから構成されており、このマトリックスは、治療剤の溶解に使用される 液体溶剤により水和されると、気体を含有し、また治療剤および液体溶剤を実質 的に含有していない、独立した発泡気泡を有するものである、上記貯蔵槽。 13.独立気泡が、ポリマーフォームマトリックスの25〜90容積%を構成 する、請求項12に記載の貯蔵槽。 14.ポリマーマトリックスが、電磁照射線架橋、化学架橋剤架橋および(ま たは)凍結/解凍により架橋されている、請求項12に記載の貯蔵槽。 15.ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロー ス系ポリマー、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリ酸無水物、ポリビ ニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーおよびその混合物からなる群から 選択される、電子ビーム架橋したポリマーである、請求項12に記載の貯蔵槽。 16.ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロー ス系ポリマー、ポリウレタン、ポリエチレンオキサイド、ポリ酸無水物、ポリビ ニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーおよびその混合物からなる群から 選択される、化学的に架橋されたポリマーである、請求項12に記載の貯蔵槽。 17.ポリマーが、凍結/解凍により架橋されたポリビニルアルコールである 、請求項12に記載の貯蔵槽。 18.治療剤が、医薬である、請求項12に記載の貯蔵槽。 19.治療剤が、蛋白質、ペプチド類またはその断片である、請求項12に記 載の貯蔵槽。 20.気体が、空気、二酸化炭素、酸素、窒素、貴ガスおよびその混合物から なる群から選択される、請求項12に記載の貯蔵槽。 21.請求項12に記載の貯蔵槽を備えた電気輸送放出デバイス。 22.動物身体表面を経て治療剤を放出する電気輸送デバイスであって、ドナ ー電極、対向電極およびドナー電極および対向電極に電気的に連結するのに適す る電力源を備えており、このドナー電極が、請求項12に記載の治療剤含有貯蔵 槽に電気的に連結されている電気輸送デバイス。
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