JP2001351618A - アルカリ二次電池負極用水素吸蔵合金成形体及びその製造方法 - Google Patents

アルカリ二次電池負極用水素吸蔵合金成形体及びその製造方法

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JP2001351618A
JP2001351618A JP2000224830A JP2000224830A JP2001351618A JP 2001351618 A JP2001351618 A JP 2001351618A JP 2000224830 A JP2000224830 A JP 2000224830A JP 2000224830 A JP2000224830 A JP 2000224830A JP 2001351618 A JP2001351618 A JP 2001351618A
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electrode
secondary battery
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JP2000224830A
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Noriaki Hamaya
典明 浜谷
Tama Nakano
瑞 中野
Satoshi Shima
聡 島
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 集電支持体を含有しない成形体を電極として
用いた場合でも、機械的強度が強く、充放電による成形
体電極の崩壊を防止することができ、かつ所定の放電容
量を得ることができるアルカリ二次電池負極用水素吸蔵
合金成形体を提供する。 【解決手段】 集電支持体を用いずに、水素吸蔵合金粉
末同士が接触して形成される空隙及び合金表面にバイン
ダーを分散して含有し、嵩密度が3.5〜6.5g/c
3であるアルカリ二次電池負極用水素吸蔵合金成形体
を提供する。また、角形の成形体としたものも提供す
る。また、バインダーを含有しない合金成形体にバイン
ダー溶液を含浸させてから、水分のみを乾燥除去するこ
ととした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルカリ二次電池負極
用の水素吸蔵合金成形体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水素吸蔵合金は、電気化学的に水素を吸
蔵・放出させることができる金属間化合物であり、主に
アルカリ蓄電池の負極用電極材料として利用されてい
る。この合金は、電極の充電の際に水素化され、放電の
際に脱水素化されるため、充放電時に体積の変動を伴
う。そのため合金単独では合金破壊に伴う電極破壊が生
じて、電極としての利用ができなかった。したがって、
一般的には、水素吸蔵合金塊を機械粉砕等により一定粒
径の粉末にし、発泡ニッケルやパンチングメタルなどの
集電支持体に塗布した電極が利用されている。このよう
な従来型の電極構造を図2に示す。従来型の電極では、
集電支持体1からの水素吸蔵合金粉末4の脱落防止のた
めにバインダー3を使用している。また、水素吸蔵合金
粉末4と集電支持体1との導電性を確保するためにカー
ボンやニッケル粉などの導電材料2を添加している。こ
のような従来型の電極は、水素吸蔵合金粉末を水溶液中
でバインダー及び導電材料と共によく混練してスラリー
化し、集電支持体に塗布・充填した後、成形加工するこ
とによって作製されている。
【0003】一方、負極の電極容量を高めるためには、
電極全体に対する水素吸蔵合金の占める割合を増加させ
ることが効果的である。最善の方法としては、水素吸蔵
合金のみで電極を作製することができれば、高容量のニ
ッケル水素蓄電池が作製可能となる。本発明者らは、そ
の方法として、集電支持体やバインダーなしで、特定の
粒径(水素吸蔵合金に水素化、脱水素化に伴う微粉化が
進行しない程度の粒子径)の水素吸蔵合金粉末を用いて
成形、焼結した多孔質体を作製した。この多孔質の焼結
体は、集電支持体やバインダー等の水素吸蔵放出に寄与
しない材料を含まないため、合金充填量が高く、高電極
容量密度を有することを報告した。しかし、このような
焼結体電極を製造する際には、焼結による寸法変化が伴
う。このため寸法精度の必要な電極等では、機械加工を
施さなければならず、加工しろ分の合金が無駄になる。
したがって、加工によって合金を無駄にしない、寸法変
化のない成形体を電極に使用することが要望されてい
る。
【0004】寸法変化のない成形体では、所定の電極を
寸法精度良く作製することも要望されて、合金粉末のみ
からなる成形体が考えられている。この方法では加工を
ほとんど施さなくてもよいため、合金ロスもほとんど発
生しない。しかし、合金粉末を成形加工したのみの成形
体電極は、電極として用いた場合、成形体の嵩密度が焼
結体の嵩密度より低くなるため、その分だけ電極の電極
容量密度が低下する。ここで、嵩密度とは、焼結体成形
体の気孔部を含めた体積密度を示す。但し、成形体の電
極容量密度を高める手段として、単位重量あたりの合金
容量(mAh/g)の高い合金を用いることや、粒度配
合法、成形圧力を高めて充填密度を上げることなどの対
応策が挙げられる。また、バインダーを含有しない成形
体は、機械的強度が弱く、必要最小限の加工(たとえば
高さ方向の微調整加工など)ができない。また、電極と
して用いた際、充放電に伴う電極崩壊が発生し、成形体
電極を構成する合金粉が脱落し、電極としての機能が果
たせなくなる。水素吸蔵合金粉末とバインダーを含有す
る加圧成形体については、特開平1−119501号、
特開平8−7891号、特開平9−31502号、特開
平4−181655号、特開昭59−147032号に
あるように、水素貯蔵用やアルカリ二次電池負極用につ
いて種々の検討がなされている。しかし、これらの先行
技術は、成形体作成に用いる水素吸蔵合金の粒径を数十
μmと大きくするか、成形体中のバインダー量を多くす
ることによって、水素吸蔵放出時の水素吸蔵合金の割れ
による成形体の崩壊を回避している。しかし、アルカリ
二次電池負極用として使用する場合は、バインダー量が
多いと水素吸蔵合金粒子間の接触を妨げ、電気抵抗を増
大させる。また、成形体中の水素吸蔵合金の量は減少
し、電極として用いた場合の電気容量を低下させる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記問
題点に鑑み、集電支持体(導電性芯材)を含有しない成
形体を電極として用いた場合でも、充放電による成形体
電極の崩壊を防止することができ、かつ所定の放電容量
を得ることができ、さらに導電材の添加時期について検
討することにより、より放電特性の改善されたアルカリ
二次電池負極用水素吸蔵合金成形体を開発すべく、鋭意
研究を行った。その結果、本発明者らは、水素吸蔵合金
粉末のみによって所定の嵩密度を有する多孔質体を成形
し、上記水素吸蔵合金粉末同士が接触して形成される空
隙及び合金表面にバインダーを分散して含有させること
によって、かかる問題点が解決されることを見い出し
た。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のアルカリ二次電池負極用水素吸蔵合金成
形体は、集電支持体を用いずに、水素吸蔵合金粉末同士
が接触して形成される空隙及び合金表面にバインダーを
分散して含有し、嵩密度が3.5〜6.5g/cm3
あることを特徴とする。
【0007】さらに、本発明では、上記水素吸蔵合金成
形体の気孔率を15〜55%にすることが好ましい。こ
こで、気孔率とは、真密度に対する成形体気孔部分の割
合を表わしたもの[{1―(成形体嵩密度/合金真密
度)}×100]をいう。嵩密度な材料の外形基準の幾
何学的体積に対する分量として表される不規則な形状の
場合は、水銀置換法、空気比較法等で測定される。ま
た、上記バインダーとしては、水溶性高分子を用いるこ
とが好ましく、上記バインダーは、上記合金粉末に対し
て0.01〜2.0wt(重量)%含有させることが好
ましい。使用する上記水素吸蔵合金粉末は、平均粒径を
20μm以下にすることが好ましく、また、その酸素濃
度を0.50wt%以下にすることが好ましい。また、
本発明は、不活性ガス中での水素吸蔵合金の粉砕時に導
電材を混合して含有させることが好ましい。
【0008】また、本発明の別の側面として、アルカリ
二次電池負極用水素吸蔵合金成形体の製造方法は、集電
支持体及びバインダーを用いずに水素吸蔵合金粉末のみ
又は水素吸蔵合金粉末に導電材を混合させた粉末を用い
て多孔質の成形体を作製する工程と、上記成形体中にバ
インダー水溶液又は溶液を含浸させる工程と、上記含浸
によって成形体に含まれた水分又は溶媒のみを蒸発させ
る工程とを含むことを特徴とする。また、本発明者ら
は、集電支持体(導電性芯材)を含有しない成形体を電
極として用いた場合の特に多角柱の成形体であると、成
形体強度を高め、導電性を保たせることで、充放電によ
る成形体電極の崩壊をなくし、所定の放電容量を得るこ
とに想到した。また、鋭意研究の結果、集電支持体や成
形材としてのバインダーを含有しない水素吸蔵合金多孔
質成形体にバインダー水溶液(バインダー溶液)を含浸
させてから水分(溶媒)だけを乾燥除去することで成形
体強度を高め、しかも合金粒子間の電気的コンタクトが
取れることに想到し、その結果新規な成形体電極を提供
するものである。また、これを用いたアルカリ二次電池
を提供する。本発明に係るバインダー水溶液による含浸
処理を行った水素吸蔵合金多孔質成形体電極は、機械的
強度が強く、充放電による試料崩壊のない電極を提供で
きる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に係るアルカリ二次電池負
極用水素吸蔵合金成形体(以下、単に成形体ということ
もある)及びその製造方法について、その実施の形態を
詳細に説明する。先ず、本発明で用いる水素吸蔵合金粉
末について説明する。水素吸蔵合金粉末に用いる水素吸
蔵合金塊の組成および製造方法については、特に限定さ
れるものではなく、ABn(nは1〜6の正数)の構造
を有する水素吸蔵合金を使用することができる。ここで
は例として、AB5系水素吸蔵合金組成の場合について
詳細に説明する。AB5系において、A側元素は、La
単独、または一種以上の希土類元素とLaとの混合物で
ある。具体的には、La、Mm(Mm:ミッシュメタ
ル:La,Ce,Pr,Nd)、Lm(Lm:Laリッチ
Mm)、又はこれらの混合物に他の希土類元素を添加し
た混合物が挙げられる。また、希土類元素混合物中にL
aを20モル%以上含むことが好ましい。B側元素とし
ては、(Ni)a(Co)b(Al)c(Mn)d(M)eからなる組
成が好ましい。ここでaは1.8〜6.0の正数であ
り、bは0または1.0以下の正数、cは0または0.
4以下の正数、dは0または0.6以下の正数、eは0
または0.2以下の正数である。Mは、Si、Fe、P
b、Ti、Ca、Mg、Cu、In、Zn、Cr及びZ
rからなる一群から選ばれた少なくとも一種の元素であ
る。
【0010】本発明では、上記水素吸蔵合金成形体の気
孔率を15〜55%にすることが好ましい。ここで、気
孔率とは、真密度に対する成形体気孔部分の割合を表わ
したもの[{1―(成形体嵩密度/合金真密度)}×1
00]をいう。気孔率が15%未満の場合は、電池に用
いたときの成形体中での電解液量が少なくなり、電極と
しての機能が低下するおそれがあり、55%を超える
と、成形体強度が低下し、さらに成形体の電気容量も低
下するおそれがあるため、好ましくない。本願では特に
25〜55%の気孔率をもつことが好ましい。
【0011】上記組成の各金属元素を混合した後、アル
ゴン等の不活性ガスの雰囲気中、1300〜1600℃
の温度で高周波溶解炉やアーク溶解炉等を用いて合金を
溶湯化させた後、冷却することによって水素吸蔵合金塊
を作製する。この場合、ロール急冷法等の急冷法により
得られた水素吸蔵合金薄帯を用いてもよい。また必要に
応じてAr等の不活性雰囲気中、1000℃前後の温度
で熱処理を行っても良い。
【0012】さらに、水素吸蔵合金塊を粉砕することに
よって水素吸蔵合金粉末を作製する。粉砕方法として
は、ジェットミル又はアトライターを用いて粉砕する。
また、この粉砕の前に、ジョークラッシャー、ローラー
ミル、ボールミル、ブラウンミル等を用いてアルゴンや
窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で平均粒径1000μ
m以下に粗粉砕することが好ましい。あるいは、水素化
粉砕により粗粉砕してもよい。本発明は、好ましくは、
粗粉砕して得られた水素吸蔵合金を更にジェットミルま
たはアトライターを用いて粉砕した合金粉末を成形体に
用いる。具体的に説明すると、ジェットミルを用いて水
素吸蔵合金粗粉をアルゴン、窒素ガス等の不活性ガス雰
囲気中、ガス圧力5.0〜6.5kgf/cm2で乾式
粉砕するか、またはアトライターを用いて水素吸蔵合金
を湿式粉砕することによって、平均粒径15μm以下に
粉砕することが好ましい。その中でも平均粒径10μm
以下に粉砕することが好ましく、さらに、平均粒径5〜
8μmの範囲の微粉末にすることがより好ましい。その
ため、本発明では使用する合金粉末の平均粒径を従来用
いられている合金を用いた場合の水素吸蔵放出サイクル
経過後の平均粒径と同程度か又は小さくすることによ
り、成形体中での水素吸蔵放出時に成形体を形成する水
素吸蔵合金の微粉化が起こらないようにする。したがっ
て、平均粒径15μm以下に粉砕することが、成形体の
強度や保形性の点から好ましい。特に本発明では、乾式
処理によるジェットミルで粉砕した水素吸蔵合金粉末を
用いることが好ましい。ジェットミルを使用する場合、
不活性ガス雰囲気下で粉砕するが、その際ガス中の酸素
濃度を0.5vol(体積)%以下、特に0.1vol
%以下で処理すると良い。この方法で粉砕した水素吸蔵
合金粉末は、平均粒径が10μm以下であるにもかかわ
らず、酸素濃度は0.50wt%以下になっている。合
金内部及び表面に存在する酸素量は0.50重量%以下
が望ましく、0.5重量%を超える場合、充放電特性が
低下する場合がある。更に好ましくは0.45wt%以
下がよい。更に、本発明では、合金の粉砕時に導電材を
含有させ、同時に粉砕混合することにより、合金に対す
る分散性が高くなり、より電池として用いた場合の高率
放電特性が高くなり好ましい。添加する導電材として
は、ニッケル、コバルト、銅の金属または一酸化コバル
ト等の該金属化合物、該複合酸化物あるいは炭素が挙げ
られる。導電材の添加量は、電池特性が高くなるように
適宜調整すればよいが、合金に対して0.1〜20wt
%が好ましい。導電材の添加は、粗粉砕の前であって
も、粗粉砕後で微粉砕前、微粉砕時であってもよい。従
って、添加する導電材の平均粒径は、その添加の時期に
より、粗粉砕前であれば、平均粒径は1mm以上であっ
てもよく、微粉砕時では1〜30μm程度となる。最終
的には、微粉砕後の導電材の平均粒径は、1〜10μm
であることが好ましい。この範囲では、水素吸蔵合金中
に均一に分散し、効果的に導電性を改善するからであ
る。
【0013】このようにして得られた合金微粉末を、所
望の形状になるように型に投入して加圧成形する。得ら
れる成形体の嵩密度は、3.5〜6.5g/cm3、更
に3.5〜6.0g/cm3の範囲が好ましく、4.0
〜6.0g/cm3の範囲がより好ましい。成形体の嵩
密度が3.5g/cm3未満の場合、気孔率が55%を
越えてしまい、成形体の強度が極端に弱くなる。また、
成形体の嵩密度が6.5g/cm3を越える場合、気孔
率は15%未満になり、後述するバインダー含浸工程に
おいてバインダー溶液が染み込む気孔部分が少なくな
り、成形体の強度が弱くなる。また、成形体を電極にし
た場合、電解液の染み込みが少なく、充放電の効率が低
下する。成型方法については特に限定しないが、例え
ば、金型成形法、ラバープレス法、押し出し成形法、射
出成形法等が挙げられる。スリット形成成形体において
も金型等を用い同様に成形することができる。スリット
としての形状は断面が円又は多角形(四角、六角、八角
等)でもよい。更に垂直方向に深さが長さの50%以下
貫通しない孔を有してもよい。ここで、縦押しでの金型
成形を行う場合、常温大気中あるいは不活性雰囲気中
で、成形圧力0.5ton/cm2以上で行うことが好
ましい。更に、生産性の点から20t/cm2以下で成
形することが好ましい。成形圧力が0.5ton/cm
2未満の場合、成形体の嵩密度が3.5g/cm3未満に
なり好ましくない。平均粒径20μm以下の微粉末を用
いて成形圧力を制御することで、合金の真密度を7.8
〜7.9g/cm3とした場合、嵩密度4g/cm3以上
を得ることができる。ここで、真密度とは、合金塊の水
中法で測定した体積密度をいう。
【0014】上記のようにして作製された水素吸蔵合金
の多孔質の成形体は、一定の気孔率を有し、集電支持体
や結合剤(バインダー)等を含んでいない。そのため、成
形体の機械的強度は弱く、乱暴な取り扱いですぐに破壊
してしまう。また、このような成形体を電極として使用
した場合、数サイクルの充放電で電極崩壊による合金粉
の脱落が起こり、成形前の水素吸蔵合金粉末に戻り、電
極としての機能が消失する。したがって、本発明では、
上記の水素吸蔵合金粉末のみからなる多孔質の成形体中
に、バインダー水溶液を浸透または含浸させることによ
って、成形体中の気孔部分(平均気孔直径1〜3μm)
にバインダーが存在する電極構造を得ることができる。
図1に本発明の電極構造を示す。本発明の電極構造は、
図2の従来型の電極構造に比べて水素吸蔵合金粉末4の
粒径が小さく、互いに接触して成形されているため、電
極全体に対して水素吸蔵合金の占める割合が大きい。ま
た、バインダー3の結着力により成形体の強度が向上
し、しかも合金粒子間の電気的コンタクトが確保されて
電極としての機能が保持できる。同様に、図3は、本発
明の導電材を混合させた電極構造を示す。図2の導電材
2を混合した従来型の電極構造に比べて水素吸蔵合金粉
末4の粒径が小さく、成形体中に導電材粒子が均一に分
散していて互いにバインダーと接触して成形されている
ことを示す。
【0015】バインダーを含浸する方法としては、先
ず、上記の水素吸蔵合金粉末のみ、あるいは導電材が分
散している水素吸蔵合金粉末からなる多孔質の成形体中
にバインダー水溶液又は溶液を含浸させる。これによ
り、毛細管現象を利用して、成形体中の気孔部にバイン
ダー水溶液又は溶液を充分に染み込ませる。次に、上記
含浸によって成形体に含まれた水分又は溶媒のみを蒸発
させる。これによって、水素吸蔵合金の粉末同士が接触
して形成される成形体あるいは導電材が水素吸蔵合金粉
末の表面に分散されて形成された成形体内部の空隙に面
する合金粒子の表面及び成形体の表面にバインダー(溶
質)を付着させることができ、この方法によれば、合金
粒子間の電気的コンタクトが損なわれることはなく、バ
インダーにより強固に合金粒子同士がガードされるため
成形体の強度を高めることが可能となる。
【0016】具体的に説明すると、この多孔質の成形体
をバインダー水溶液(濃度0.1〜10wt%)の中に
浸漬させて、成形体の内部にバインダー水溶液を充分に
浸透させる。この際、あらかじめ成形体の内部の空気を
真空処理により抜いた状態でバインダー水溶液を浸透さ
せた方が良い。一定時間(1〜48時間、好ましくは5
〜24時間)浸漬した後、バインダー水溶液から成形体
を取り出し、水切りを行う。そして、温度10〜80℃
で5〜48時間、真空乾燥させる。熱硬化性樹脂のバイ
ンダーを用いる場合は、樹脂の硬化温度で真空熱処理乾
燥しても良い。成形体に付着させるバインダー量(固形
分)としては、成形体重量に対して0.01〜2wt%
の範囲が好ましい。特に、0.15〜1wt%の範囲が
好ましい。バインダー量が0.01wt%未満では、成
形体強度が低下し、電極とした場合に充放電の繰り返し
により成形体電極が崩壊するおそれがあり、2.0wt
%を超えると、負極活物質の量が少なくなり成形体電極
の電気容量が低下するため好ましくない。
【0017】本発明で用いるバインダーとしては、水、
有機溶剤(アルコール、トルエン、ヘキサン、シンナー
等)系に溶けるバインダーであれば特に限定しない。例
えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、
ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、メ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチル
セルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、リグ
ニン、デキストリン、ヘミセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、ワックス類、アクリル系樹脂、ポリウ
レタン、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリエチレ
ンなどの熱可塑性樹脂、塩ビ酢ビ共重合体、合成ゴム、
導電性ポリマー等が挙げられる。好ましくは、水溶性高
分子がよく、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキ
サイド等の水に溶けて、アルカリ水溶液に溶けない被膜
形成バインダーが良い。また、溶液濃度としては特に限
定しないが、成形体内部に浸透するだけの粘性を有する
濃度であれば良い。但し、アルカリ蓄電池用の電極とし
て使用する場合には、成形体中に存在するバインダー被
膜がアルカリに強い方が電極性能の面でより好ましい。
【0018】ここで、成形体にバインダー水溶液を浸透
させる際、ニッケル、コバルト、銅、炭素等の導電材を
添加させてもよいが、特に電池として高率放電特性を上
げるためには、上記したように、合金の粉砕時に導電材
を含有させたほうが好ましい。バインダーに導電材を添
加する場合は、バインダー水溶液にあらかじめ導電材の
超微粉(1μm以下)を分散させた水溶液を浸透させた
り、バインダー含浸法を2回あるいは数回繰り返すな
ど、電極を作製する上での多岐に渡る応用が可能であ
る。さらにまた、本発明では、水素吸蔵合金粉末の表面
にあらかじめバインダーを付着させておくこともでき
る。例えば、水素吸蔵合金粉末の表面にバインダーを付
着させてスラリーを作製し、このスラリーを真空乾燥さ
せた後、解砕機を用いて平均粒径100μm前後の造粒
粉とする。このような造粒粉の微粉末を成形体の原料に
用いることもできる。
【0019】上述してきたこれらの方法によって得られ
た成形体は、集電支持体(導電芯材)を有さなく、機械
的強度が強く乾式による研削加工が可能である。しかも
リード線を設置するだけで、直接負極として用いること
ができ、電気的コンタクトも充分に取れているため、電
極として用いた場合、充放電サイクルによる試料崩壊が
なく所定の放電容量を取ることができる。また、ヒート
ポンプなど他の分野への適用も可能である。
【0020】次に、水素吸蔵合金角形成形体の製造方法
について述べる。水素吸蔵合金粉末を、所望の形状(多
角柱)になるように鋳型に投入し、加圧成形する。成型
方法については特に限定しない。金型成形法、ラバープ
レス法、押し出し成形法、射出成形法等が挙げられる。
スリット(孔)形成成形体においても金型等を用い同様
に成形できる。更に、本発明では、得られた成形体を研
削して多角柱成形体としてもよい。多角形としては四角
(直方体又は板状)、六角、八角柱等が挙げられる。こ
こで、縦押しでの金型成形を行うならば、常温大気中あ
るいは不活性雰囲気中で、成形圧力0.5ton/cm2
上で行うことが好ましい。さらに生産性の点から20t
/cm2以下で成形することが好ましい。成形圧力が
0.5ton/cm2未満だと成形体の嵩密度が4g/cm3
下(気孔率50%以上)になり、成形体強度が極端に弱
くなるため、あまり好ましくない。成形圧力を制御する
ことで角形で所望の成形体嵩密度(4g/cm3以上)を
得ることができる(合金の真密度を7.8〜7.9g/c
3とした場合)。本発明の水素吸蔵合金角形成形体
は、アルカリ二次電池負極としたときの電解液の電極内
部への浸透の点から気孔率15〜55%であることが好
ましい。更に好ましくは25〜55%である。ここで、
気孔率とは、真密度に対する成形体気孔部分の割合を示
したもの〔{1−(成形体嵩密度/合金真密度)}×10
0〕をいう。真密度とは、水素吸蔵合金塊の密度であ
る。成形体嵩密度は、成形体表面にパラフィン等で撥水
性被膜を作り水中法で求めた体積と重量に基づき求める
ことができる。本発明の水素吸蔵合金成形体は、電気容
量と気孔率の点から嵩密度3.5〜6.5g/cm3
有するものが好ましい。
【0021】このように作製された水素吸蔵合金多孔質
角形成形体は、一定の気孔率を有し、集電支持体、結合
剤等を含んでいない。そのため、成形体強度は弱く、乱
暴な取り扱いですぐに破壊するだけの機械的強度しか有
していない。また、このような成形体を電極として使用
した場合、数サイクルの充放電で電極崩壊による合金粉
の脱落が起こり、成形前の水素吸蔵合金粉に戻り、電極
としての機能が消失する。この問題を解決する手段とし
て、成形体強度の向上と電極としての機能保持方法を見
いだした。本発明の水素吸蔵合金粉末のみからなる角形
成形体中にバインダー水溶液を浸透(含浸)させること
で、成形体中の平均気孔直径1〜3μmの開気孔部分に
バインダーを存在させる。バインダーの結着力により成
形体強度の向上が計られ、しかも合金粒子間の電気的コ
ンタクトが確保された電極としての機能が保持できる。
本発明及び従来型の電極構造をそれぞれ図1と図2に示
す。
【0022】多角形成形体の製造に用いるバインダー含
浸法とは、集電支持体、バインダーを含有しない水素吸
蔵合金粉のみで、あるいは導電材を含んだ合金粉を用い
て成形体を作製した後、毛細管現象を利用して成形体中
の開気孔部にバインダー水溶液(溶液)を充分に染み込
ませ、その後水分(溶媒)だけを蒸発させて成形体内部
の気孔部に面する合金粒子表面部にバインダー(溶質)
を付着させる方法である。この方法により合金粒子間の
電気的コンタクトが損なわれることはなく、バインダー
により強固に合金粒子同士がガードされるため成形体強
度を高めることが出来る。具体的には、この多孔質角形
成形体をバインダー水溶液(濃度0.1〜10重量%)
の中に浸漬させて、成形体内部にバインダー溶液を充分
に浸透させる。この際、あらかじめ成形体内部の空気を
真空処理により抜いた状態でバインダー溶液を浸透させ
た方が良い。一定時間(1〜48時間、好ましくは5〜
24時間)浸漬した後、バインダー溶液から成形体を取
り出し、水切りを行った後、真空乾燥させる(10〜8
0℃において5〜48時間)。熱硬化性樹脂のバインダ
ーを用いる場合は、樹脂の硬化温度で真空熱処理乾燥し
ても良い。バインダーの種類としては、特に指定はな
い。バインダー量は、成形体の機械強度と導電性の点か
ら水素吸蔵合金に対して0.01〜2.0重量%含有さ
れることが好ましい。多角形成形体の製造に用いるバイ
ンダーは、既に述べたものと同様である。また、溶液濃
度としては特に限定しないが、成形体内部に浸透するだ
けの粘性を有する濃度であれば良い。但し、アルカリ蓄
電池用の電極として使用する場合には、成形体中に存在
するバインダー被膜がアルカリに強い方が電極性能の面
でより好ましい。また、成形体を作成する際、Ni、C
u、カーボン等の導電材を成形体に対し1〜10重量%
添加して高率放電等の特性を高めることができる。ま
た、バインダー水溶液にあらかじめ超微粉(1μm以
下)の導電材を分散させた水溶液を浸透させたり、2回
あるいは数回バインダー含浸法を繰り返すなどの電極作
製上の多岐に渡る応用が可能である。
【0023】こうして得られた成形体は多角形であり、
集電支持体(導電芯材)を有さなく、機械的強度が強く
乾式による研削加工が可能である。しかも電気的コンタ
クトも充分に取れているため、電極として用いた場合、
充放電サイクルによる試料崩壊がなく所定の放電容量を
取ることが出来る。また、ヒートポンプなど他の分野へ
の適用も可能である。ここで、角形の成形体としては、
直方体で三辺をa(長辺)、b(短辺)、c(高さ)と
した場合、スリットを設ける場合、b<a≦c、b<c
≦aが成立し、板状の場合は、b<a≦cが成り立つ条
件で成形体を作製する。その場合、成立条件としてa/
bが2以上であることが好ましい。本願では短辺bを含
む面のいずれかを底面とする。板状成形体では特にbを
2mm以下とすることが好ましい。図5に直方体の成形
体を示し、図6にスリット挿入角形成形体を示す。
【0024】最近の携帯電話、PDA等携帯機器は小型
軽量化してきている。しかし、小型化については面積的
に必要以上の小型化は、操作を困難にする等の実用上の
問題が発生しほぼ限界に達している。さらに小型軽量化
するには厚みを薄くする方法が有力であり、それに伴い
使用する電池に対しても薄くする要求が強い。本発明で
は、設置体積を小さくでき、電極用成形体を角形成形
体、具体的には直方体そのもの(板状)、または直方体
の内部に正極を設置するような形状にして、二次電池負
極用とすることができる。特に直方体として底面から垂
直に上面まで貫通するスリットを設け、スリット内にセ
パレーター、正極を挿入することにより高容量で厚みの
薄いニッケル水素二次電池を可能にする電極用成形体を
提供する。その直方体の底面の長辺aと短辺bの比(a
/b)が2以上であれば形状的には更に好適である。ス
リットの形状は正極およびセパレータを内蔵することが
できれば円筒形または角形のいずれの形状でもよい。ま
た、電極用成形体を長方形の板状(厚さ2mm以下(上
記bに相当))にしてセパレーターを介して正極と圧着
した構造にしても厚みの薄いニッケル水素二次電池の製
造を可能にする。また、このような角形成形体を重ね合
わせて(積み重ねて)充填密度を高めてもよい。このよ
うに、導電支持体を用いずに角形に成形した成形体を用
いることにより、電池内部に活物質を多く詰め込め、高
体積エネルギー密度を有する電池が作成でき、また合金
同士が介在物を通さずに接触しているため、導電率が大
きく、充放電特性が高くなる。本発明の成形体電極は、
成形体に合うNi正極を用いて電解液を共に密閉してア
ルカリ二次電池として用いることができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれに限定されるものではない。 1.多孔質成形体電極の作成 実施例1 高周波溶解炉にて製造された水素吸蔵合金インゴット
(La63重量%、Ce7重量%、Pr22重量%、N
d8重量%を原子比1.0に対し、Niを3.75、C
oを0.75、Mnを0.20、Alを0.30)をア
ルゴン中で熱処理し、均一な水素吸蔵合金インゴットを
準備した。その合金インゴットを窒素雰囲気中で粗粉砕
した。更に、ブラウンミルで1mm以下になるように粉
砕し、ジェットミル用の原料を得た。更に本発明では、
ジェットミルによりガス圧5.8kgf/cm2、窒素
ガス雰囲気下で水素吸蔵合金を乾式粉砕し、レーザー回
折法で測定して平均粒径6μm、粒度分布幅1〜30μ
mの水素吸蔵合金微粉末を得た。この水素吸蔵合金微粉
末の酸素濃度を不活性ガス融解赤外吸収法で測定したと
ころ0.37wt%であった。次に粉砕された微粉末約
2.6gを金型に入れ、圧力2.0ton/cm2で外
径11mm、内径7mm、長さ10mmの円筒状に成形
した。この水素吸蔵合金の多孔質成形体をポリビニルア
ルコール1wt%水溶液の中に入れ、脱気し、24時間
浸漬させて十分にバインダー水溶液が成形体内部に浸透
したことを確認した後、取り出して真空乾燥させた。成
形体の嵩密度は4.4g/cm3、気孔率は43%であ
った。バインダー含浸量(固形分)は成形体重量の約
0.1wt%である。この多孔質成形体電極を実施例1
とする。
【0026】実施例2 実施例1において、バインダー水溶液としてポリビニル
アルコール5wt%水溶液を使用したこと以外は、全く
同様の方法で多孔質成形体電極を作製した。バインダー
含浸量(固形分)は成形体重量の約0.5wt%であ
る。この多孔質成形体電極を実施例2とする。
【0027】実施例3 実施例1において、バインダー水溶液としてポリエチレ
ンオキサイド1wt%水溶液を使用したこと以外は、全
く同様の方法で多孔質成形体電極を作製した。バインダ
ー含浸量(固形分)は成形体重量の約0.1wt%であ
る。この多孔質成形体電極を実施例3とする。
【0028】比較例1 実施例1において、バインダー含浸前の水素吸蔵合金の
多孔質成形体電極を比較例1とする。
【0029】実施例4 実施例1の合金塊をブラウンミルで1mm以下になるよ
うに粉砕した後、導電材としてカルボニルニッケル(I
NCO、#255、平均粒径15μm)を水素吸蔵合金
に対して2wt%添加し、空気雰囲気にしたコニカルブ
レンダーで30分予備混合して、ジェットミル用の原料
を得た。更に、本発明では、ジェットミルによりガス圧
5.8kgf/cm2、窒素ガス雰囲気下で水素吸蔵合
金を乾式粉砕し、レーザー回折法で測定して平均粒径6
μm、粒度分布幅1〜30μmの水素吸蔵合金微粉末を
得た。この水素吸蔵合金微粉末の酸素濃度を不活性ガス
融解赤外吸収法で測定したところ0.37wt%であっ
た。実施例1と同様に多孔質成形体電極を作製した。こ
の多孔質成形体電極を実施例4とする。
【0030】実施例5 実施例4において、バインダー水溶液としてポリビニル
アルコール5wt%水溶液を使用したこと以外は、全く
同様の方法で多孔質成形体電極を作製した。バインダー
含浸量(固形分)は、成形体重量の約0.5wt%であ
る。この多孔質成形体電極を実施例5とする。
【0031】実施例6 実施例4において、添加する導電材を水素吸蔵合金に対
して10重量%としたこと以外は、全く同様の方法で多
孔質成形体電極を作製した。この多孔質成形体電極を実
施例6とする。
【0032】比較例2 実施例4において、バインダー含浸前の水素吸蔵合金の
多孔質成形体電極を比較例2とする。
【0033】2.合金容量の測定 電極容量とサイクル特性、さらには充放電試験後の試料
崩壊の有無を調べる目的で、水素吸蔵合金の多孔質成形
体電極による充放電試験を実施した。以下、方法と結果
を示す。実施例1〜6と比較例1〜2の水素吸蔵合金の
多孔質成形体電極を、線径0.07mmの100メッシ
ュのニッケルネットで包み込み、電極を作製した。負極
規制の開放型電池によりこれらの放電容量を測定した。
電解液には6規定の苛性カリを使用した。試験条件は、
20℃の一定温度下で導電材を除いた水素吸蔵合金のみ
の換算で60mA/gで3時間充電し(充電深度60
%)、30分休止後、60mA/gで電池電圧が0.8
Vに達するまでの放電を1サイクルとした。9サイクル
経過後放電レートを300mA/gに変更して10サイ
クルの充放電を行った後、電極を解体して、成形体の崩
壊をマイクロスコープにより確認した。その結果を表1
に示す。
【0034】
【表1】
【0035】実施例1、2、3のポリビニルアルコー
ル、ポリエチレンオキサイドを含浸させた電極は、9サ
イクルの充放電試験で所定の放電容量が取れ、しかも試
料崩壊のないことが確認できた。成形体内部に集電支持
体がなくとも電極としての機能を有することがわかっ
た。一方、比較例1のバインダーを全く使用しない成形
体電極では、数サイクルの充放電により、試料崩壊を招
き、成形体を構成する水素吸蔵合金粉末がばらばらにな
って脱落した。試料崩壊により電極としての機能がなく
なることが確認できた。また、試験条件を充電深度10
0%にしても、上記と同様な結果が確認できた。実施例
4、5、6の導電材を粉砕時に混合した導電材含有水素
吸蔵合金粉を成形し、ポリビニルアルコールを含浸させ
た電極は、9サイクルの充放電試験で所定の放電容量が
取れ、しかも10サイクル目の300mAh/g放電で
も50mAh/g以上の放電容量が取れていて試料崩壊
も起こっていない。比較例2のバインダーを全く使用し
ない成形体電極では、数サイクルの充放電により、試料
崩壊を招き、成形体を構成する水素吸蔵合金粉末がばら
ばらになって脱落した。試料崩壊により電極としての機
能がなくなることが確認できた。このことから、本発明
による導電材含有成形体電極は、成形体内部に集電支持
体がなくとも電極として機能し、特に導電材を粉砕時に
混合することにより粉砕されて派生した水素吸蔵合金の
新生面の表面エネルギーにより導電材が付着するため、
導電材同士の凝集がなく均一に成形体中に分散すること
により成形体電極の導電性が改善し、放電ルートが大き
くなっても高い放電容量を取り出せることが確認でき
た。また、試験条件を充電深度100%にしても、上記
と同様な結果が確認できた。
【0036】3.機械的強度の測定 バインダーを含浸させた試料の機械的強度を調べる目的
で、水素吸蔵合金の多孔質成形体電極の圧縮強度を測定
した。以下、方法と結果を示す。実施例1〜6と比較例
1〜2について、それぞれ円筒状の試料5を、図4のよ
うに可動ヘッド6とサンプル支持台7の間にセットし
た。そして、上部から圧縮荷重Pをかけて試料5の単位
長さあたりの破壊強度Pを測定した。その結果を表2に
示す。
【0037】
【表2】
【0038】実施例1〜6のバインダーを含浸させた試
料は、圧縮破壊強度が10N/cm以上であり、乾式加
工(外周研削や高さ方向の研削)が可能なことが確認で
きた。特に、バインダー含浸量の多い実施例2と5の試
料は、圧縮破壊強度が60N/cmであり、乾式加工が
容易にできる程度の機械的強度を有していた。一方、比
較例1〜2のバインダーのない試料は、圧縮破壊強度が
10N/cm未満であり、乾式加工に耐えることはでき
ない機械的強度であった。
【0039】実施例7 高周波溶解炉にて製造された水素吸蔵合金インゴット
(La63重量%、Ce7重量%、Pr22重量%、N
d8重量%を原子比1.0に対し、Niを3.75、C
oを0.75、Mnを0.20、Alを0.30)をア
ルゴン中で熱処理し、均一な水素吸蔵合金インゴットを
準備した。その合金インゴットを窒素雰囲気中で粗粉砕
した。更に、ブラウンミルで1mm以下になるように粉
砕し、ジェットミル用の原料を得た。更に本発明では、
ジェットミルによりガス圧5.8kgf/cm2、窒素ガス
雰囲気下で水素吸蔵合金を乾式粉砕し、平均粒径6μ
m、粒度分布幅1〜30μmの水素吸蔵合金微粉末を得
た。この水素吸蔵合金微粉末の酸素含有量を測定したと
ころ0.37重量%であった。次に粉砕された微粉末約
2.2gを金型に入れ、圧力2.0ton/cm2で縦15
mm、横5mm、高さ10mmの直方体で底面から垂直
に長さ13mm幅2mmのスリットを上面まで貫通した
成形体を成形した。この水素吸蔵合金多孔質成形体をポ
リビニルアルコール1重量%水溶液の中に入れ、一定時
間脱気し、24時間浸漬させて十分にバインダー水溶液
が成形体内部に浸透したことを確認した後、取り出して
真空乾燥させた。成形体の嵩密度は4.48g/c
3、気孔率は32%であった。バインダー含浸量(固
形分)は成形体重量の約0.1重量%である。この多孔
質成形体電極をAとする。
【0040】実施例8 実施例7において、バインダー水溶液としてポリビニル
アルコール5重量%水溶液を使用したこと以外は、全く
同様の方法で多孔質成形体電極を作製した。バインダー
含浸量(固形分)は成形体重量の約0.5重量%であ
る。この多孔質成形体電極をBとする。
【0041】実施例9 実施例7において、成形体の形状を縦30mm、横15
mm、厚さ1mmの平板状にした以外は実施例7と同様
にして成形体を成形した。この時の使用した微粉末の重
量は1.98gであり、成形体の嵩密度は4.4g/c
3、気孔率は31%、バインダー含浸量(固形分)は
成形体重量の約0.15重量%であった。この多孔質成
形体電極をCとする。
【0042】比較例3 実施例7において、バインダー含浸前の水素吸蔵合金多
孔質成形体電極をDとする。
【0043】〈合金容量の測定〉電極容量とサイクル特
性、さらには充放電試験後の試料崩壊の有無を調べる目
的で、水素吸蔵合金多孔質成形体電極による充放電試験
を実施した。以下、方法と結果を示す。実施例7〜9、
比較例3の水素吸蔵合金多孔質成形体電極A〜Dを、線
径0.07mmの100メッシュのニッケルネットで包
み込み電極を作製した。負極規制の開放型電池によりこ
れらの放電容量を測定した。電解液には6規定の苛性カ
リを使用した。試験条件は、20℃一定温度下で60m
A/gで3時間充電し(充電深度60%)、30分休止
後、60mA/gで電池電圧が0.8Vに達するまでの
放電を1サイクルとした。10サイクルの充放電を行っ
た後、電極を解体して、成形体の崩壊をマイクロスコー
プにより確認した。結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】実施例7、8、9のポリビニルアルコール
を含浸させた電極は10サイクルの充放電試験で所定の
放電容量が取れ、しかも試料崩壊のないことが確認でき
た。成形体内部に集電支持体がなくとも電極としての機
能を有することがわかった。比較例3のバインダーを全
く使用しない成形体電極では、数サイクルの充放電によ
り、試料崩壊を招き、成形体を構成する水素吸蔵合金粉
がばらばらになって脱落した。試料崩壊により電極とし
ての機能がなくなることが確認できた。また、充電深度
を100%にしても同様な効果が確認できた。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、集電支持体を含有しな
い成形体を電極として用いた場合でも、機械的強度が強
く、充放電による成形体電極の崩壊を防止することがで
き、かつ所定の放電容量を得ることができ、更に高率放
電特性の優れているアルカリ二次電池負極用水素吸蔵合
金成形体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアルカリ二次電池負極用水素吸蔵合金
成形体の電極構造を示す模式図である。
【図2】従来のアルカリ二次電池負極用水素吸蔵合金成
形体の電極構造を示す模式図である。
【図3】本発明のアルカリ二次電池負極用水素吸蔵合金
成形体の電極構造を示す模式図である。
【図4】電極の圧縮強度を測定する方法を説明する模式
図である。
【図5】本発明の直方体の成形体を示す図である。
【図6】本発明のスリット挿入角形成形体を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 集電支持体(導電芯材) 2 導電材 3 バインダー 4 水素吸蔵合金粉末 5 試料 6 可動ヘッド 7 サンプル支持台
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 島 聡 福井県武生市北府二丁目1番5号 信越化 学工業株式会社磁性材料研究所内 Fターム(参考) 5H028 EE01 EE06 HH01 HH05 5H050 AA08 AA14 BA14 CA03 CB17 DA03 DA10 DA11 EA23 FA17 GA05 GA08 GA10 GA12 GA23 GA27 HA01 HA04 HA05 HA09

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 集電支持体を用いずに、水素吸蔵合金粉
    末同士が接触して形成される空隙及び合金表面にバイン
    ダーを分散して含有し、嵩密度が3.5〜6.5g/c
    3であるアルカリ二次電池負極用水素吸蔵合金成形
    体。
  2. 【請求項2】 上記水素吸蔵合金成形体の気孔率が、1
    5〜55%である請求項1に記載のアルカリ二次電池負
    極用水素吸蔵合金成形体。
  3. 【請求項3】 上記バインダーが、水溶性高分子である
    請求項1又は2に記載のアルカリ二次電池負極用水素吸
    蔵合金成形体。
  4. 【請求項4】 上記水素吸蔵合金粉末の平均粒径が、2
    0μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載のアル
    カリ二次電池負極用水素吸蔵合金成形体。
  5. 【請求項5】 上記水素吸蔵合金粉末の酸素濃度が、
    0.50重量%以下である請求項1〜4のいずれかに記
    載のアルカリ二次電池負極用水素吸蔵合金成形体。
  6. 【請求項6】 上記バインダーが、上記成形体に対し
    0.01〜2.0重量%含有した請求項1〜5のいずれ
    かに記載のアルカリ二次電池負極用水素吸蔵合金成形
    体。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載の成形体が円柱又は多角
    形柱であることを特徴とするアルカリ二次電池負極用水
    素吸蔵合金成形体。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の成形体が直方体又は板状
    であることを特徴とするアルカリ二次電池負極用水素吸
    蔵合金成形体。
  9. 【請求項9】 上記直方体が底面の長辺aと短辺bの比
    (a/b)が2以上である請求項8に記載のアルカリ二
    次電池負極用水素吸蔵合金成形体。
  10. 【請求項10】 請求項7記載の成形体において、底面か
    ら垂直方向に上面まで貫通する孔を有することを特徴と
    するアルカリ二次電池負極用水素吸蔵合金成形体。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載の孔の断面の形状が円
    又は多角形であることを特徴とするアルカリ二次電池負
    極用水素吸蔵合金成形体。
  12. 【請求項12】 請求項10に記載の孔が垂直方向の長さ
    の50%以上で、底面まで貫通しないことを特徴とする
    アルカリ二次電池負極用水素吸蔵合金成形体。
  13. 【請求項13】 上記水素吸蔵合金粉末が、不活性ガス中
    での粉砕により得られたものであり、該粉砕の際に混合
    された導電材を含有する請求項1に記載のアルカリ二次
    電池負極用水素吸蔵合金成形体。
  14. 【請求項14】 集電支持体及びバインダーを用いずに水
    素吸蔵合金粉末のみ又は水素吸蔵合金粉末に導電材を混
    合させた粉末を用いて多孔質の成形体を作製する工程
    と、上記成形体中にバインダー水溶液又は溶液を含浸さ
    せる工程と、上記含浸によって成形体に含まれた水分又
    は溶媒のみを蒸発させる工程とを含んでなるアルカリ二
    次電池負極用水素吸蔵合金成形体の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項1に記載の水素吸蔵合金成形体を
    用いたアルカリ二次電池電極。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の電極を用いたアルカ
    リ二次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010518589A (ja) * 2007-02-16 2010-05-27 ヴァルタ マイクロバッテリー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 大容量を有する電気化学素子

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