JP2001351596A - アルカリ蓄電池用セパレータおよびアルカリ蓄電池 - Google Patents

アルカリ蓄電池用セパレータおよびアルカリ蓄電池

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JP2001351596A
JP2001351596A JP2000169144A JP2000169144A JP2001351596A JP 2001351596 A JP2001351596 A JP 2001351596A JP 2000169144 A JP2000169144 A JP 2000169144A JP 2000169144 A JP2000169144 A JP 2000169144A JP 2001351596 A JP2001351596 A JP 2001351596A
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alkaline storage
polymer
fluorine
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Koichi Onoe
上 浩 一 尾
Keiichi Bessho
所 啓 一 別
Makoto Higami
上 誠 樋
Katsuhiro Ishikawa
川 克 廣 石
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明に係るアルカリ蓄電池用セパレー
タは、正極と、負極と、セパレータと、アルカリ電解液
とからなるアルカリ蓄電池に用いられるセパレータが、
セパレータ基材とフッ素系界面活性剤とを含有すること
を特徴としており、好ましくは前記アルカリ蓄電池用セ
パレータは、セパレータ基材にフッ素系界面活性剤を含
有する樹脂組成物がコーティングされている。また、本
発明に係るアルカリ蓄電池は、前記アルカリ蓄電池用セ
パレータと、正極と、負極と、アルカリ電解液とからな
る。 【効果】 本発明に係るアルカリ蓄電池用セパレータ
は、スルホン化ポリプロピレンセパレータなどと比較し
て低コストであり、しかも十分な親水性、保液性に優れ
ることから、自己放電特性やサイクル寿命特性に優れた
アルカリ蓄電池を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、アルカリ蓄電池用セパレ
ータおよびアルカリ蓄電池に関する。さらに詳しくは、
フッ素系系面活性剤を含有する樹脂組成物でコーティン
グされたアルカリ蓄電池用セパレータ、およびこのアル
カリ蓄電池用セパレータを含む保存特性、寿命特性に優
れたアルカリ蓄電池に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、自動車始動用(SLI用)バッテ
リーなどの大型蓄電池として主に鉛酸蓄電池が用いられ
ている。また、小型民生機器用の電源としては、ニッケ
ル−カドミウム蓄電池、あるいはエネルギー密度の点で
より優れたニッケル−水素蓄電池などのアルカリ蓄電池
が広く用いられている。
【0003】一方、近年、環境問題へ適切に対処してい
くため、自動車の排出ガスの抑制に対する取組みが様々
な角度からなされており、その一環として、たとえば、
電気自動車の開発が進められているが、電気自動車の実
用化に向けては、保存特性、寿命特性等に優れた電源電
池の開発が望まれている。これらの電気自動車の駆動用
電源として、現在は主に鉛酸蓄電池が使われているが、
鉛酸蓄電池は、活物質として鉛を使用しているため重量
が重く、エネルギー密度も低いという問題点があった。
このため、鉛酸蓄電池よりも高出力、高エネルギー密
度、さらには長寿命で大型、高容量を可能とするよう
な、ニッケル−カドミウム蓄電池あるいはニッケル−水
素蓄電池などのアルカリ蓄電池の開発が進められてい
た。また、さらに、安全性の確保、保守の観点からは、
電池内部で発生したガスを電池系外へ放出しない密閉型
のアルカリ蓄電池の出現が望まれていた。
【0004】従来、このようなアルカリ蓄電池用のセパ
レータとしては、一般にポリアミドやポリプロピレン製
の繊維からなる不織布が用いられていた。しかしポリア
ミド製のセパレータは、高温下や充放電サイクルによ
り、アルカリ電解液中で分解し、親水性が低下すること
があった。このため、セパレータ中に保持される電解液
量が減少し、電池の内部抵抗が増大して放電容量が減少
するという問題点があった。さらに、ポリアミドがアル
カリ電解液中で分解されるとアンモニアが生成し、これ
が自己放電を引き起こすことがあった。
【0005】このため、耐アルカリ性に優れたポリプロ
ピレン製セパレータを、さらに界面活性剤により処理し
て親水性を付与したセパレータが用いられていた。しか
しながら、これらのセパレータには、親水性を付与する
ためノニオン系界面活性剤、例えばポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテルが用いられているが、これらの
界面活性剤が電解液中に溶解し、電極で酸化還元され自
己放電を引き起こすという問題点があった。
【0006】このような問題を解決するために、特開昭
62−115657号公報および特開昭64−5756
8号公報において、セパレータの基材として用いられる
多孔体であるポリオレフィン系セパレータにスルホン化
処理を施すという試みがなされていた。しかし、ポリオ
レフィン基材にスルホン化処理を施したポリオレフィン
系セパレータは、たとえば、次のような問題があった。
【0007】(1)上記スルホン化処理工程では、濃硫酸
にセパレータを浸漬した後、中和し、大量の水で水洗し
乾燥を行うため、処理が煩雑となるとともに、長時間を
要すことがあり、また、コストも高い。 (2)スルホン化処理により、ポリオレフィンの炭素−炭
素結合が切れ、セパレータの強度が低下することがあ
る。
【0008】(3)セパレータ繊維の内部まで十分にスル
ホン化されず、またセパレータの保液量が小さいため、
電池のサイクル寿命特性や高率放電特性が劣ることがあ
る。また、さらに、ポリオレフィン基材をスルホン化処
理したポリオレフィン系セパレータを用いたアルカリ蓄
電池では、電池内に電解液を注入する場合にも、次のよ
うな問題があった。
【0009】(4)高エネルギ−密度を実現するため、一
定体積の電池ケ−ス内には高密度に正、負極板が挿入さ
れるが、電解液を正極板、負極板あるいはセパレータ全
体に分散させるのに長時間を要する。 (5)長時間を要して電解液を電池ケース内に注入して
も、極板やセパレータ中に電解液を均一に分散させるこ
とは困難であり、その結果、充放電反応が不均一となっ
てサイクル寿命特性が低下することがある。
【0010】(6)電池内の電解液分布において正極に電
解液が片寄り易いため、正極、負極に均一に電解液が分
布しにくく、サイクル寿命特性が低下することがある。
そこで、本願発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意研
究し、セパレータ基材をスルホン化するのではなく、ア
ルカリ蓄電池のセパレータとして、たとえば、スルホン
化されていないセパレータ基材に、フッ素系界面活性剤
を含有させてなるセパレータを用いると、セパレータと
電解液との親水性、およびセパレータによる電解液の保
液性に優れるとともに、電池の自己放電特性、保存特
性、寿命特性に優れ、しかも低コストかつ簡便にアルカ
リ蓄電池を得ることができること見出し、本願発明を完
成するに至った。
【0011】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題を解決しようとするものであって、低コストかつ簡
便に、十分な親水性、保液性、強度を有するセパレータ
を提供するとともに、このセパレータを用いて形成され
た自己放電特性、保存特性、寿命特性などに優れたアル
カリ蓄電池を提供することを目的としている。
【0012】
【発明の概要】本発明に係るアルカリ蓄電池用セパレー
タは、正極と、負極と、セパレータと、アルカリ電解液
とからなるアルカリ蓄電池に用いられるセパレータが、
セパレータ基材とフッ素系界面活性剤とを含有すること
を特徴としている。前記アルカリ蓄電池用セパレータ
は、フッ素系界面活性剤を含有する樹脂組成物がセパレ
ータ基材にコーティングされたものであることが好まし
い。前記フッ素系界面活性剤を含有する樹脂組成物は、
親水基を有する重合体とフッ素系界面活性剤とからなる
ことが好ましい。また、前記親水基を有する重合体は、
スルホン酸基を有するジエン系(共)重合体であって、
水性媒体中に乳化分散または溶解していることが好まし
い。さらに、前記ジエン系(共)重合体は、ジエン系化
合物に由来する構成単位および芳香族系化合物に由来す
る構成単位を含むことが好ましい。前記フッ素系界面活
性剤を含有する樹脂組成物は、フッ素系界面活性剤を、
前記親水基を有する重合体100g当たり0.01〜2
0gの量で含有することが好ましい。
【0013】前記フッ素系界面活性剤は、パーフルオロ
アルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン
酸塩、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアルキ
ルポリオキシエチレンエタノール、パーフルオロアルキ
ルアルコキシレートから選ばれるいずれか1種以上の化
合物であることが好ましい。前記アルカリ蓄電池用セパ
レータのセパレータ基材は、ポリオレフィン系(共)重
合体を含む不織布からなることが好ましく、この不織布
は、平均繊維径が0.1〜40μm、目付重量が10〜
300g/m2であることが好ましい。
【0014】本発明にかかるアルカリ蓄電池は、前記ア
ルカリ蓄電池用セパレータと、正極と、負極と、アルカ
リ電解液とからなることを特徴としている。また、本発
明に係るアルカリ蓄電池は、アルカリ電池における正
極、負極、セパレータまたはアルカリ電解液の少なくと
もいずれか1つに、フッ素系界面活性剤が含まれている
ことを特徴としている。
【0015】
【発明の具体的説明】本発明に係るアルカリ蓄電池用セ
パレータは、正極と、負極と、セパレータと、アルカリ
電解液とからなるアルカリ電池に用いられるセパレータ
が、セパレータ基材とフッ素系界面活性剤とを含有する
ことを特徴としている。このようなフッ素系界面活性剤
を含有したセパレータとしては、フッ素系界面活性剤を
含む溶液にセパレータ基材を浸漬させてなる該フッ素系
界面活性剤が含浸されたセパレータ、フッ素系界面活性
剤を含む樹脂組成物でセパレータ基材をコーティングし
たセパレータなどが挙げられる。このうち、本発明にお
いては、セパレータ基材をフッ素系界面活性剤を含む樹
脂組成物でコーティングしたセパレータが好ましい。ま
た、本発明においては、前記フッ素系界面活性剤を含有
する樹脂組成物は、親水基を有する重合体とフッ素系界
面活性剤とからなることが好ましい。
【0016】以下に、さらにフッ素系界面活性剤を含む
樹脂組成物について詳細に説明する。[フッ素系界面活性剤] 本発明に係るフッ素系界面活性
剤は特に限定されないが、パーフルオロアルキル基、あ
るいはフッ素化アルキル基を有する界面活性剤が挙げら
れる。
【0017】パーフルオロアルキル基としては、具体的
にはCn2n+1で表され、好ましくは炭素原子数が1〜
30、さらに好ましくは炭素原子数が5〜20のパーフ
ルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基が挙
げられ、直鎖状、分岐状、環状またはこれらを組み合わ
せたもののいずれでもよい。フッ素化アルキル基として
は、具体的には、Cnm2n+1-mで表され、好ましくは
炭素原子数nが1〜30、さらに好ましくは炭素原子数
5〜20のフッ素化アルキル基またはフッ素化アルケニ
ル基が挙げられ、直鎖状、分岐状、環状またはこれらを
組み合わせたもののいずれでもよい。また、フッ素原子
の数mは、好ましくは1〜60、さらに好ましくは10
〜40であることが望ましい。
【0018】このようなフッ素系界面活性剤としては、
このようなパーフルオロアルキル基またはフッ素化アル
キル基が、親水基と結合したものであればよい。このよ
うな親水基としては、界面活性剤に使用される親水基で
あればよく、たとえば、スルホン酸、カルボン酸、硫酸
エステル、ポリエーテルサルフェート、亜リン酸、リン
酸、ホスホン酸もしくはポリエーテルリン酸、またはこ
ららの塩、また、アミン、第4級アンモニウム、ヒドロ
キシル基、あるいはアルコキシドなども挙げられ、さら
に、エーテル結合および活性水素を有する基を有するフ
ッ素系界面活性剤も好ましく用いることができる。
【0019】また、前記パーフルオロアルキル基あるい
はフッ素化アルキル基には、エステル、エーテル、アミ
ド、チオエーテル、チオアミド、スルホアミド、尿素結
合、ウレタン結合などの結合基、アシル基、アルコキシ
基、複素環などが導入されていてもよい。このようなフ
ッ素系界面活性剤としては、具体的には、パーフルオロ
アルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン
酸塩、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアルキ
ルポリオキシエチレンエタノール、パーフルオロアルキ
ルアルコキシレートなどが挙げられる。
【0020】パーフルオロアルキルスルホン酸塩は、具
体的には、Cn2n+1SO31で表され、nは1〜3
0、好ましくは5〜20の整数であるものが望ましく、
1は、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、マ
グネシウムなどのアルカリ土類金属、アンモニウム、ア
ミン類などが好ましい。パーフルオロアルキルカルボン
酸塩は、具体的には、Cn2n+1COOX2で表され、n
は1〜30、好ましくは5〜20の整数であるものが望
ましく、X2は、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ
金属、カルシウムなどのアルカリ土類金属、アンモニウ
ム、アミン類などが好ましい。
【0021】フッ素化アルキルエステルは、具体的に
は、Cnm2n+1-mCOORで表され、nは1〜30、
好ましくは5〜20の整数であり、mは1〜2nの整数で
あるものが望ましく、Rは、炭素数1〜10のアルキル
基である。パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエ
タノールは、具体的には、Cn2 n+1(C25O)m2
5OHで表され、nは1〜30、好ましくは3〜20
であり、mは1〜20、好ましくは1〜10で表される
ものが望ましい。
【0022】パーフルオロアルキルアルコシキレート
は、具体的には、Cn2n+1OX3で表され、nは1〜3
0、好ましくは5〜20であるこのが望ましく、X
3は、ナトリウム、カリウム、アンモニウムなどが挙げ
られる。本発明に係るフッ素系界面活性剤は、前記フッ
素系界面活性剤から選ばれるいずれか1種または2種以
上であることが好ましい。
【0023】親水性ポリマー組成物に含有されるフッ素
系界面活性剤の量は、前記親水基を有する重合体100
g当たり、好ましくは0.01〜20g、さらに好まし
くは0.1〜10g、特に好ましくは0.5〜5gであ
ることが望ましい。親水性ポリマー組成物に含有される
フッ素系界面活性剤の量が0.01g未満では期待され
る効果が得られないことがあり、また20gよりも多い
とコーティングした親水性ポリマー組成物の脱落が多く
なり性能に悪影響を及ぼすことがある。
【0024】[親水基を有する重合体]本発明に係るセ
パレータにコーティングする樹脂組成物は、フッ素系界
面活性剤と、樹脂とを含有し、樹脂としては親水基を有
する重合体であることが好ましい。このような親水基を
有する重合体としては、親水基を有するとともに、炭化
水素系化合物に由来する構成単位を有する(共)重合体
が好ましい。
【0025】このような炭化水素系化合物に由来する重
合体としては、ジエン系化合物に由来する(共)重合
体、芳香族ビニル化合物またはオレフィンなどのオレフ
ィン系化合物に由来する(共)重合体、これらの(共)
重合体を水素添加した(共)重合体が挙げられる。ま
た、このような重合体に含まれる親水基としては、具体
的には、スルホン酸基、カルボン酸基(カルボキシル酸
基)、リン酸基、アミン基、アミド基、水酸基等が挙げ
られる。これらの中では、スルホン酸基およびカルボン
酸基(カルボキシル基)が好ましく、さらに好ましくは
スルホン酸基が望ましい。
【0026】これらのうち、本発明においては、ジエン
系化合物に由来する構成単位を含有し、親水基としてス
ルホン酸基を有する重合体(スルホン酸基を有するジエ
ン系(共)重合体)が好ましく用いられる。以下に、こ
のスルホン酸基を有するジエン系(共)重合体につい
て、さらに詳細に説明する。
【0027】<スルホン酸基を有するジエン系(共)重
合体>本発明に係る前記ジエン系(共)重合体(以下
「ベースポリマー」ということがある。)は、ジエン系
化合物(以下「ジエンモノマー」ということがある。)
に由来する構成単位を有し、必要に応じ、前記ジエンモ
ノマーと異なる他のモノマーに由来する構成単位を含有
する(共)重合体である。また、本発明に係る前記ジエ
ン系(共)重合体は、必要に応じ、これらの(共)重合
体に含まれる不飽和二重結合の一部または全部を水添し
た(共)重合体であってもよい。
【0028】本発明に係るスルホン酸基を有するジエン
系(共)重合体は、このようなジエン系(共)重合体の
スルホン化物である。なお、前記ジエン系(共)重合体
のスルホン化物は、ジエンモノマーを必須成分とするジ
エン系(共)重合体をスルホン化するか、あるいは、該
ジエン系(共)重合体の重合において、スルホン酸基を
含有する単量体を共重合することによって得ることがで
きる。
【0029】(ジエン系化合物(ジエンモノマー))
のような、本発明に係るジエン系(共)重合体を誘導し
うるジエンモノマーとしては、例えば、1,3−ブタジ
エン、1,2−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、
1,3−ペンタジエン、2,3−ペンタジエン、イソプ
レン、1,2−ヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、
1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,3
−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメ
チル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタ
ジエン、1,2−ヘプタジエン、1,3−ヘプタジエ
ン、1,4−ヘプタジエン、1,5−ヘプタジエン、
1,6−ヘプタジエン、2,3−ヘプタジエン、2,5
−ヘプタジエン、3,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプ
タジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエ
ン、エチリデンノルボルネンなどが挙げられ、さらに、
炭素原子数4〜7の分岐した、各種脂肪族あるいは脂環
族ジエン類も挙げられる。これらは1種単独でまたは2
種以上を併用して用いることができる。本発明において
は、これらのうち、1,3−ブタジエン、イソプレン、
1,3−ペンタジエンを好ましく用いることができる。
【0030】(他のモノマー)本発明に係るジエン系
(共)重合体は、これらのジエンモノマー以外に、他の
モノマーに由来する構成単位を含有することもできる。
このような他のモノマーとしては、例えば、スチレン、
α―メチルスチレン、o−メチルスチレン、p―メチル
スチレン、m―メチルスチレン、ビニルナフタレンなど
の芳香族系化合物、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなど
の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アク
リル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸などのモノあるいはジカルボン酸またはジカルボン酸
の無水物、(メタ)アクリロニトリルなどのビニルシア
ン化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルメチル
エチルケトン、酢酸ビニル、(メタ)アクリルアミド、
(メタ)アクリル酸グリシジルなどの不飽和化合物など
が挙げられる。これら他のモノマーは、1種単独でまた
は2種以上を併用して用いることができる。
【0031】このうち、本発明に係るジエン系(共)重
合体としては、ジエンモノマーに由来する構成単位と、
芳香族系化合物に由来する構成単位とを有するものが好
ましい。これら他のモノマーを併用する場合には、その
使用量は、好ましくは99.5重量%以下、さらに好ま
しくは99重量%以下、特に好ましくは95重量%以下
であることが望ましい。併用する他のモノマーの量が9
9.5重量%を超えると、ジエンモノマーの含有量が
0.5重量%未満となり、スルホン化して得られるスル
ホン化物中に導入されるスルホン酸(塩)基含量が低く
なるためである。
【0032】(ジエン系(共)重合体(ベースポリマ
ー))本発明に係るジエン系(共)重合体は、公知の重
合方法により得ることができ、得られる共重合体は、ラ
ンダム共重合体でもよいし、またAB型あるいはABA
型などのブロック共重合体でもよく、特に制限はない。
このようなジエン系(共)重合体としては、例えば、イ
ソプレン単独重合体、ブタジエン単独重合体、イソプレ
ン−スチレンランダム共重合体、イソプレン−スチレン
ブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン三
元ブロック共重合体、ブタジエン−スチレンランダム共
重合体、ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチ
レン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、および
これら(共)重合体の水添物、エチレン−プロピレン−
ジエン三元共重合体などが挙げられ、好ましくは芳香族
系化合物−共役ジエンブロック共重合体、さらに好まし
くはスチレン−イソプレン系ブロック共重合体が挙げら
れる。
【0033】このような、ジエンモノマーを必須成分と
するジエン系(共)重合体のポリスチレン換算の重量平
均分子量(以下「Mw」ともいう)は、3,000〜
1,000,000であることが好ましく、さらに好ま
しくは5,000〜500,000、特に好ましくは1
0,000〜400,000である。Mwが3,000
未満であると、引っ張り強度が低くなることがあり、一
方、1,000,000を超えると、有機溶剤への溶解
性が劣ることがある。
【0034】(スルホン基を有するジエン系(共)重合
体)炭化水素系単量体に由来する成分を主成分とする
(共)重合体にスルホン酸基を含有させるには、これら
(共)重合体をスルホン化するなど親水基を付加させる
方法、スルホン酸基などの親水基を含有する単量体を共
重合する方法が挙げられる。本発明においては、(共)
重合体に親水基を付加する方法が好ましく、具体的に
は、ジエンモノマーに由来する構成単位を有するジエン
系(共)重合体にスルホン酸基などを親水基として付加
して、スルホン酸基を有するジエン系(共)重合体を得
ることができる。
【0035】前記スルホン酸基を含有する単量体を共重
合して、スルホン酸基を有するジエン系(共)重合体を
製造するために使用されるスルホン酸基を有する単量体
としては、前記ジエンモノマーまたはオレフィン系化合
物にスルホン酸基が付加している化合物が挙げられる。
このような化合物としては、たとえば、スルホン酸基含
有ブタジエン、スルホン酸基含有イソプレン、スルホン
酸基含有エチレン、スルホン酸基含有プロピレンなどが
挙げられる。これらのうちでは、スルホン酸基含有イソ
プレン、スルホン酸基含有スチレンが好ましい。
【0036】また、前記ジエン系(共)重合体をスルホ
ン化する方法としては、公知の方法、例えば日本科学会
編集、新実験講座(14巻 III、1773頁)、あるい
は、特開平2−227403号公報などに記載された方
法でスルホン化することができる。このようなスルホン
基を有するジエン系(共)重合体(以下「ジエン系
(共)重合体スルホン化物」ということがある。)のス
ルホン酸(塩)基含量は、好ましくは0.1〜5.5m
mol/g、さらに好ましくは0.2〜5mmol/
g、特に好ましくは0.3〜4.5mmol/gであ
る。0.1mmol/g未満では、基材に対する密着
性、親水性、イオン捕捉性などが低下し、一方、5.5
mmol/gを超えると、コーティング膜そのものの強
度が低下することがある。
【0037】本発明のジエン系(共)重合体スルホン化
物の構造は、赤外線吸収スペクトルによってスルホン基
の吸収より確認でき、これらの組成比は、元素分析など
により確認することができる。また、核磁気共鳴スペク
トルにより、その構造を確認することができる。なお、
本発明のジエン系(共)重合体スルホン化物は、該重合
体が共重合体の場合、ジエンモノマー以外の他の単量体
を導入することにより、基材に対する相互作用が高ま
り、密着性などを改良することができる。
【0038】このような親水基を有する重合体は、フッ
素系界面活性剤と混合する際に、水性媒体中に乳化分散
もしくは溶解した状態で使用することができる。特に、
ジエン系(共)重合体スルホン化物は、水性媒体中に乳
化分散もしくは溶解した状態で使用することが好まし
い。このようなジエン系(共)重合体スルホン化物を水
中に乳化させる方法(以下、この過程を「乳化」ともい
う)としては、公知の方法が採用でき、特に制限はな
い。このような乳化工程としては、具体的には、スルホ
ン化物の有機溶剤溶液中に攪拌しながら水を添加する方
法、攪拌しながらスルホン化物の有機溶剤溶液を水中に
添加する方法、水とスルホン化物の有機溶剤溶液を同時
に添加して攪拌する方法などが挙げられる。
【0039】このような乳化工程に使用する有機溶剤と
しては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶
媒、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族系溶剤、アセト
ン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサンなのエーテル系溶剤、酢酸エチ
ル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、メタノール、エ
タノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系
溶剤などを用いることができる。これら溶剤は、1種単
独で、または2種以上を併用して使用してもよい。
【0040】乳化の際に用いられる上記有機溶剤の使用
量は、スルホン化物100重量部に対し、好ましくは、
20〜5,000重量部、さらに好ましくは50〜2,
000重量部であることが望ましい。また、乳化の際に
用いられる水の使用量は、スルホン化物100重量部に
対し、好ましくは、50〜10,000重量部、さらに
好ましくは100〜5,000重量部であることが望ま
しい。
【0041】なお、前記乳化に際しては、非フッ素系界
面活性剤を併用することもできる。この界面活性剤とし
ては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シソルビタンエステル、ポリオキシエチレンアルキルア
ミンエーテルなどの非イオン系界面活性剤、オレイン酸
塩、ラウリン酸塩、ロジン酸塩、ドデシルベンゼンスル
ホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エ
ステル塩などのアニオン系界面活性剤、オクチルトリメ
チルアンモニウムブロマイド、ジオクチルジメチルアン
モニウムクロライド、ドデシルピリジジニウムクロライ
ドなどのカチオン系界面活性剤などが挙げられる。な
お、乳化の段階で本発明のフッ素系界面活性剤を使用す
ることもできる。これらの界面活性剤は、1種単独で、
または2種以上を混合して用いてもよい。
【0042】上記界面活性剤は、スルホン化物の有機溶
剤溶液中に溶解あるいは分散させて使用しても、水中に
溶解あるいは分散させて使用してもよい。上記界面活性
剤の使用量は、ジエン系(共)重合体スルホン化物10
0重量部に対し、通常、15重量部以下、好ましくは1
0重量部以下であることが望ましい。
【0043】また、スルホン化の際、系内のpHを調整
するために、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの
アルカリ化合物、塩酸、硫酸などの無機酸を添加するこ
ともできる。また、少量であれば、水以外の有機溶剤な
どを併用することもできる。このようにして得られるス
ルホン化物の乳化されたエマルジョンの粒径は、通常、
10〜1,000nm、好ましくは20〜500nmで
ある。
【0044】また、得られるスルホン化物エマルジョン
の固形分濃度は、通常、5〜50重量%、好ましくは1
0〜40重量%であり、これは、使用条件、保存条件な
どにより、適宜選択することができる。本発明に用いら
れるジエン系(共)重合体スルホン化物は2種以上を併
用してもよい。この場合のジエン系(共)重合体の好ま
しい構造の組み合わせは特に制限されず、ランダム型と
ABブロック型、ABブロック型とABAブロック型、
ABAブロック型とABAブロック型など種々の組み合
わせを採用することができる。
【0045】また、本発明に用いられるジエン系(共)
重合体スルホン化物は親水基を有しない(共)重合体と
混合して使用することもできる。発明に用いられるジエ
ン系(共)重合体スルホン化物を2種以上を混合、ある
いは親水基を有しない(共)重合体と混合して使用する
場合、スルホン化前、スルホン化中、スルホン化後、乳
化中、乳化後等いずれの段階で混合して用いてもよい。
【0046】[アルカリ蓄電池用セパレータ]本発明に
係るアルカリ蓄電池用セパレータは、セパレータ基材
と、前記フッ素系界面活性剤とを含有することを特徴と
し、さらに、このセパレータ基材は、フッ素系界面活性
剤を含有する樹脂組成物でコーティングされているもの
が好ましい。
【0047】このような本発明に係るセパレータ基材と
しては、電池の正極と負極とを分離し、電解液を保持す
るとともに、短絡電流を通さなければ特に限定されない
が、セパレータ基材としては、不織布が好ましい。本発
明において用いられる不織布の材質としては、公知の
(共)重合体を用いることができ、特に限定されない。
このような(共)重合体としては、たとえば、エチレ
ン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン
−1、4―メチルペンテン−1などのオレフィン単独重
合体のほか、これらオレフィンのランダムあるいはブロ
ック共重合体、ポリアミド、ポリエステル、アクリル重
合体、エチレンービニルアルコール共重合体などが挙げ
られる。これらは、1種単独で、または2種以上を混合
して使用することができる。このうち、本発明に係るセ
パレータとしては、エチレン、プロピレンなどのオレフ
ィン系の(共)重合体からなるものが好ましい。
【0048】2種以上のポリマーの併用法としては、両
者をブレンド溶融して繊維とする方法、各々の繊維を混
ぜてもしくは撚合わせて繊維とする方法、両繊維を混紡
する方法、各々の繊維を貼り合わせて使用する方法、両
繊維からなる分割繊維とする方法などが挙げられる。な
お、セパレータ基材としては、本発明に係るセパレータ
の有する特性を損なわない範囲で、前記セパレータ基材
がスルホン化などにより処理されたものも用いることが
できる。
【0049】不織布を調製する方法としては特に制限が
なく、公知の方法を採用できるが、特にスパンレース
法、メルトブロー法、湿式抄造法などで製造したものを
好ましく使用できる。不織布は、熱ロール方式、ピンテ
ンター方式など任意の方法で延伸処理を実施して使用し
てもよい。不織布の目付量は、好ましくは10〜300
g/m2、さらに好ましくは20〜150g/m2であ
り、特に40〜80g/m2が好ましい。なお、目付量
とは、単位面積当たりの不織布の重量をいう。平均繊維
径は0.1〜40μmが好ましく、さらに好ましくは1
〜30μm、特に3〜20μmのものが好ましい。ま
た、不織布の厚さとしては、通常、10〜5000μm
が好ましく、さらに好ましくは20〜2000μm、特
に好ましくは50〜1000μmであることが望まし
い。
【0050】このような本発明のセパレーターに用いる
不織布は、公知の酸化防止剤、老化防止剤、滑剤、紫外
線吸収剤等の添加剤を含んだものを使用してもよい。本
発明に用いられる、前記フッ素系界面活性剤を含有する
樹脂組成物として、たとえば、前記フッ素系界面活性剤
を含有するジエン系(共)重合体スルホン化物は、通
常、そのままで、あるいは水性媒体中に乳化分散または
溶解した状態で、セパレータ基材にコーティングして使
用される。コーティング方法には特に制限はなく、刷毛
塗り、スプレー、ロールコーター、フローコーター、バ
ーコーター、ディッピング処理などを使用することがで
きる。
【0051】不織布等のセパレータ基材に対する、前記
フッ素系界面活性剤を含有する樹脂組成物のコーティン
グ量は、セパレータの材質、孔径等によって異なり一概
に定義できないが、通常、0.1〜50g/m2であ
り、好ましくは0.5〜30g/m2であり 、さらに好
ましくは1〜10g/m2 であることが望ましい。0.
1g/m2 未満では、電池用電解質との親和性の向上や
電解液の保液性向上などが発現しにくく、自己放電性な
どの電池性能向上がみられないことがある。一方、50
g/m2 を超えると、コーティングした不織布などの基
材の目詰まり等を起こし電池性能が低下することがあ
る。
【0052】塗布膜厚は、乾燥膜厚で、通常、0.01
〜1,000ミクロン、好ましくは0.05〜500ミ
クロンであることが望ましい。[アルカリ蓄電池] 本発明に係るアルカリ蓄電池は、ア
ルカリ蓄電池における正極と、負極と、セパレータと、
アルカリ電解液の少なくともいずれか1つに、フッ素系
界面活性剤が含まれているアルカリ蓄電池である。具体
的には、フッ素系界面活性剤がアルカリ電池系内に含有
されている電池であり、フッ素系界面活性剤を含浸処理
したセパレータを用いるもの、フッ素系界面活性剤を含
む樹脂組成物でコーティングしたセパレータを用いるも
のが挙げられ、さらに、本発明に係るアルカリ蓄電池と
しては、フッ素系界面活性剤がアルカリ電解液に含有さ
れているもの、フッ素系界面活性剤で正極、負極がコー
ティングされているものも挙げられる。これらは、単独
で、または複数が組み合わせられていてもよい。
【0053】このうち、本発明に係るアルカリ蓄電池と
しては、前記フッ素系界面活性剤を含有するセパレータ
と、正極と、負極と、アルカリ電解液からなるものが好
ましく、特に、前記フッ素系界面活性剤を含む樹脂組成
物で、セパレータ基材をコーティングしたセパレータを
用いたアルカリ蓄電池が好ましい。本発明のアルカリ蓄
電池に係るアルカリ電解液の種類、量は特に限定されな
いが、水酸化カリウムおよび/または水酸化ナトリウム
と、水酸化リチウムとを含有し、その電解液量が、電池
容量1Ah当たり1〜5cm3であるのが好ましく、さら
に1.3〜2cm3であることが好ましい。また、電極も
特に限定されないが、正極はニッケル酸化物、負極が電
気化学的に水素の吸蔵・放出が可能な水素吸蔵合金粉末
を用いることが好ましい。
【0054】なお、前記フッ素系界面活性剤を含有する
セパレータから、電解液中にフッ素系界面活性剤が微量
溶出することもあり、本発明に係るアルカリ蓄電池に
は、アルカリ電解液中に前記フッ素系界面活性剤が含有
されていてもかまわない。前記本発明に係るフッ素系界
面活性剤を含有するセパレータのうち、フッ素系界面活
性剤を含有するジエン系(共)重合体のスルホン化物を
セパレータ基材にコーティングしたセパレータは、電池
用電解質との親和性の向上のためアルカリ蓄電池系内に
界面活性剤を添加した場合とは異なり、親水性基成分が
セパレータに固定されているため、正極、負極に親水基
成分が集まって酸化還元反応を引き起こすことを抑制で
きる。このため、高温雰囲気下に放置しても自己放電は
加速されず、スルホン化セパレータを用いた場合と同等
あるいは同等以上の自己放電特性を保つことができる。
【0055】また、本発明のフッ素系界面活性剤を含有
するジエン系(共)重合体のスルホン化物をセパレータ
基材にコーティングしたセパレータは、電解液の保持力
が強いため、充放電サイクルを繰り返してもセパレータ
の液枯れが生じにくく、電池としての内部抵抗が増大し
ないため、寿命特性を向上させることが可能となる。さ
らに、セパレータ中に電解液を十分に保持させ、電流−
電圧特性の向上が可能となるばかりでなく、液枯れを起
こしにくくなることから、サイクル寿命特性に優れたア
ルカリ蓄電池の提供が可能となる。さらに、フッ素系界
面活性剤を含有させる方法は、フッ素系界面活性剤を含
有するジエン系(共)重合体のスルホン化物をディッピ
ング処理等によりセパレータに塗布するだけであり、ス
ルホン化処理のような繁雑な工程を除去できるためコス
ト的に安価である。
【0056】このように、本発明によれば、寿命特性、
保存特性等の諸特性に優れたアルカリ蓄電池を提供する
ことができる。
【0057】
【発明の効果】本発明に係るアルカリ蓄電池用セパレー
タは、スルホン化ポリプロピレンセパレータなどと比較
して低コストであり、しかも十分な親水性、保液性に優
れることから、自己放電特性やサイクル寿命特性に優れ
たアルカリ蓄電池を提供することができる。
【0058】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
本発明がこれらによって限定されるものではない。な
お、実施例中、部および%は、特に断らない限り、重量
基準である。また、実施例における各種の、評価、測定
は、下記方法により実施した。 (1) スルホン酸基の総含量 合成したスルホン化物を80℃で一晩真空乾燥した。乾
燥物をトルエン/イソプロピルアルコール(95/5重
量比)溶液に溶解した。溶解後、硫酸塩、水酸化物など
の不溶物をフィルターで除去したのち、溶剤を除去して
スルホン酸含量測定サンプルを得た。サンプル中のイオ
ウ含量を元素分析から求め、共重合体中のスルホン酸基
の量を算出した。 (2) 重量平均分子量(Mw) ベースポリマーの重量平均分子量(Mw)を、ゲルパー
ミエションクロマトグラフィー(GPC)により、標準
サンプルとしてポリスチレンを用いて測定した。 (3) 吸液率測定 得られたジエン系(共)重合体スルホン化物の乳化物、
および溶液に所定量のフッ素系界面活性剤をブレンド
し、固形分濃度3重量%に調整した。この溶液中に10
cm角の不織布(ポリプロピレン製)をディッピング処
理した。その後、100℃で1時間、恒温槽で乾燥し評
価サンプルを調製した。なお、コーティング量は、ディ
ッピングによるコーティング前後の重量増加から算出
し、いずれも5g/m3であった。コーティング処理し
た5cm角の不織布を30%KOH水溶液に10分間浸
漬した後の重量増加率を測定し、次式により吸液率を算
出した。
【0059】吸液率(%)=(浸漬後不織布重量−浸漬
前不織布重量)/(浸漬前不織布重量)×100 (4) 加重後の保液性測定 前記フッ素系界面活性剤を含有したジエン系(共)重合
体スルホン化物でコーティング処理した5cm角の不織
布を30%KOH水溶液に2時間浸漬し、不織布に十分
にKOH水溶液を吸液させた後、5cm角の不織布全体
に均一になるように5Kgの加重を10分間かけた後の
KOH水溶液の保液率を測定し、次式により保液率を算
出した。
【0060】加重後の保液率(%)=(浸漬・加重後不
織布重量−浸漬前不織布重量)/(浸漬前不織布重量)×
100 (5)セパレータ不織布の引張強度 前記フッ素系界面活性剤を含有したジエン系(共)重合
体スルホン化物でコーティング処理した不織布を、日本
工業規格(JIS)のL1096に準じて引張強度試験
をおこなった。
【0061】
【調製例1】[乳化物A〜Cの調製] (1)ガラス製反応容器にジオキサン500gを入れ、こ
れに規定量の無水硫酸(乳化物Aについて15.0g、
乳化物Bについて6.5g、乳化物Cについて39.0
g)を内温を25℃に保ちながら添加し、2時間攪拌し
て、無水硫酸−ジオキサン錯体を得た。 (2)別のガラス製反応容器に、表1に示すベースポリマ
ー(100g)をジオキサン400gに溶解させた。こ
の中に上記(1)で得られた錯体全量を、内温を25℃に
保ちながら添加し、さらに2時間攪拌を続けた。
【0062】撹拌後、規定量の水酸化ナトリウム(乳化
物Aについて8.3g、乳化物Bについて3.6g、乳
化物Cについて21.6g)を200ccの水の溶解し
た溶液および、メタノール300gを添加し、80℃で
還流下、1時間撹拌した。撹拌後、減圧下で溶剤を除去
して、スルホン化ポリマーを得た。スルホン酸基の含量
の測定結果を表1に示す。 (3)次に、上記で合成したスルホン化ポリマー50gを
テトラヒドロフラン/イソプロピルアルコール(90/
10重量比)450gに溶解した。
【0063】フラスコに、水500g、アニオン/ノニ
オン系界面活性剤〔三洋化成(株)製、サンデットE
N〕1gを入れ、さらに1時間攪拌した。その後、10
00gの水を加え、全溶剤および水の一部を共沸により
除去することにより、乳化物を得た。この乳化物の固形
分濃度は、20%であった。
【0064】
【表1】
【0065】
【実施例1】[フッ素系界面活性剤をコーティングした
セパレータ(A)の調製]乳化物A100g、フッ素系
界面活性剤(フロラード FC−129(住友スリーエ
ム株式会社製))2gをブレンドして得た乳化物を、ポ
リプロピレン製不織布(平均繊維径10μm、目付重量
48g/m2、厚み200μm)に、前述の方法でディ
ッピングにより塗布して電池用セパレーターAを得た。
得られたセパレータAについて、前記の方法に従って、
吸液性、加重後保液性、引張強度を測定した。評価結果
を表2に示す。
【0066】
【実施例2】[フッ素系界面活性剤をコーティングした
セパレータ(B)の調製]乳化物B50g、乳化物C5
0g、フッ素系界面活性剤(フロラード FC−129
(住友スリーエム(株)製))2gをブレンドして得た
乳化物を、実施例1と同様のポリプロピレン製不織布
に、前述の方法でディッピングにより塗布して電池用セ
パレーターBを得た。得られたセパレータBについて、
前記の方法に従って、吸液性、加重後保液性、引張強度
を測定した。評価結果を表2に示す。
【0067】
【実施例3】[フッ素系界面活性剤をコーティングした
セパレータ(C)の調製]乳化物C20g、SBRラテ
ックス(JSR0561、JSR(株)製、スチレン/
ブタジエン=25/75)80g、フッ素系界面活性剤
(フロラードFC−129(住友スリーエム(株)
製))2gをブレンドして得た乳化物を、実施例1と同
様のポリプロピレン製不織布に、実施例1と同様の方法
で塗布して電池用セパレーターCを得た。得られたセパ
レータCについて、前記の方法に従って、吸液性、加重
後保液性、引張強度を測定した。評価結果を表2に示
す。
【0068】
【比較例1】[スルホン化ポリプロピレン製セパレータ
の調製]実施例1と同様のポリプロピレン製不織布を、
発煙硫酸中に室温で10分間浸漬させる方法によりスル
ホン化処理し、洗浄後、スルホン化ポリプロピレン製セ
パレータを得た。得られたセパレータについて、前記の
方法に従って、吸液性、加重後保液性、引張強度を測定
した。評価結果を表2に示す。
【0069】
【比較例2】[ポリプロピレン製セパレータ]実施例1
と同様のポリプロピレン製不織布をセパレータとし、そ
のパレータについて、前記の方法に従って、吸液性、加
重後保液性、引張強度を測定した。評価結果を表2に示
す。
【0070】
【表2】
【0071】表2に示すように、本発明のフッ素系界面
活性剤を含有したジエン系(共)重合体のスルホン化物
をコーティングしたセパレータA〜Cを用いた場合、吸
液率および加重後の保液率が、スルホン化ポリプロピレ
ン製セパレータよりも優れた値を示している。また、引
張強度試験については、スルホン化ポリプロピレン製セ
パレータは9.9Kg/5cm幅であり、スルホン化する以
前の基布よりも強度が約30%低下するのに対し、本発
明のフッ素系界面活性剤を含有したジエン系(共)重合
体のスルホン化物をコーティングしたセパレータA〜C
は、基布とほぼ同等の優れた引張強度を示した。なお、
引張強度は、電池の組立工程においてセパレータの切れ
やショート防止のためには、高い値を示すものが好まし
い。
【0072】
【実施例4〜6、比較例3】実施例1〜3、比較例1で
調製したセパレータを用いて電池を構成した。正極は芯
材である発泡状ニッケルに活物質である水酸化ニッケル
粉末とコバルト硫化物を主成分としたペーストを充填
し、プレス後に所定寸法に切断して調製した。
【0073】負極は電気化学的に水素の吸蔵・放出が可
能な、MmNi3.6Mn0.4Al0.3Co0.7の組成をもつ
水素吸蔵合金粉末のペーストをパンチングメタルに塗着
し、乾燥してプレスした後、所定寸法に切断して調製し
た。これらの正極板、負極板を用い、ポリプロピレン製
のセパレータを介して、公称電池容量100Ahの密閉
式ニッケル−水素蓄電池を構成した。
【0074】電解液としては、40g/lの割合で水酸
化リチウムを含有する濃度27重量%の水酸化カリウム
水溶液を用い、その液量は170cm3とした。なお、こ
の電解液量は、サイクル寿命、内圧および電流−電圧特
性を総合的に考慮した場合、電池容量1Ah当たり1.
3〜2.0cm3が適切である。この密閉式ニッケル−水
素蓄電池を用いて、45℃雰囲気下で10日間保存した
ときの容量維持率とサイクル寿命特性を調べた。その結
果を表3に示す。
【0075】容量維持率は次式から求めた。 容量維持率(%)=45℃で充電状態で10日間保存
後、0.2CmAで25℃雰囲気下における放電容量/
標準容量×100 なお、標準容量は、充電深度110%まで0.1CmA
で充電を行い、0.2CmAで1Vまで放電を行ったも
のである。
【0076】サイクル寿命特性の試験は、0.3CmA
の充電電流で充電深度90%まで充電し、0.3CmA
で1Vまで放電することにより行った。
【0077】
【表3】
【0078】実施例4〜6に示すように、本発明のフッ
素系界面活性剤を含有したジエン系(共)重合体のスル
ホン化物をコーティングしたセパレータA〜Cを用いる
と、比較例3に示すようなスルホン化ポリプロピレン製
セパレータを用いる場合に比べて優れたサイクル寿命特
性を示した。これは、表2に示したように、フッ素系界
面活性剤を含有したジエン系(共)重合体のスルホン化
物をコーティングしたセパレータA〜Cを用いることに
より、セパレータが保液性に優れたものとなるためと考
えられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樋 上 誠 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 (72)発明者 石 川 克 廣 東京都中央区築地二丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内 Fターム(参考) 5H021 BB12 CC02 EE04 EE16 EE34 HH00 HH01 HH03 5H028 AA05 AA06 EE06 EE09 EE10 FF04 FF05 HH01 HH05 5H050 EA24

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極と、負極と、セパレータと、アルカ
    リ電解液とからなるアルカリ蓄電池に用いられるセパレ
    ータが、セパレータ基材とフッ素系界面活性剤とを含有
    することを特徴とするアルカリ蓄電池用セパレータ。
  2. 【請求項2】 前記アルカリ蓄電池用セパレータが、フ
    ッ素系界面活性剤を含有する樹脂組成物がセパレータ基
    材にコーティングされたものであることを特徴とする請
    求項1に記載のアルカリ蓄電池用セパレータ。
  3. 【請求項3】 前記フッ素系界面活性剤を含有する樹脂
    組成物が、親水基を有する重合体とフッ素系界面活性剤
    とからなることを特徴とする請求項2に記載のアルカリ
    蓄電池用セパレータ。
  4. 【請求項4】 前記親水基を有する重合体が、スルホン
    酸基を有するジエン系(共)重合体であって、水性媒体
    中に乳化分散または溶解していることを特徴とする請求
    項3に記載のアルカリ蓄電池用セパレータ。
  5. 【請求項5】 前記ジエン系(共)重合体が、ジエン系
    化合物に由来する構成単位および芳香族系化合物に由来
    する構成単位を含むことを特徴とする請求項4に記載の
    アルカリ蓄電池用セパレータ。
  6. 【請求項6】 前記フッ素系界面活性剤を含有する樹脂
    組成物が、フッ素系界面活性剤を、前記親水基を有する
    重合体100g当たり0.01〜20gの量で含有する
    ことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のアル
    カリ蓄電池用セパレータ。
  7. 【請求項7】 前記フッ素系界面活性剤が、パーフルオ
    ロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボ
    ン酸塩、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアル
    キルポリオキシエチレンエタノール、パーフルオロアル
    キルアルコキシレートから選ばれるいずれか1種以上の
    化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    に記載のアルカリ蓄電池用セパレータ。
  8. 【請求項8】 前記アルカリ蓄電池用セパレータのセパ
    レータ基材が、ポリオレフィン系(共)重合体を含む不
    織布からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか
    に記載のアルカリ蓄電池用セパレータ。
  9. 【請求項9】 前記不織布が、平均繊維径が0.1〜4
    0μm、目付重量が10〜300g/m2であることを
    特徴とする請求項8に記載のアルカリ蓄電池用セパレー
    タ。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載のアル
    カリ蓄電池用セパレータと、正極と、負極と、アルカリ
    電解液とからなるアルカリ蓄電池。
  11. 【請求項11】 アルカリ電池における正極、負極、セ
    パレータまたはアルカリ電解液の少なくともいずれか1
    つに、フッ素系界面活性剤が含まれていることを特徴と
    するアルカリ蓄電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020038818A (ja) * 2018-03-23 2020-03-12 株式会社東芝 二次電池、電池パック、車両及び定置用電源

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