JP2002198088A - リチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池

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JP2002198088A
JP2002198088A JP2000395318A JP2000395318A JP2002198088A JP 2002198088 A JP2002198088 A JP 2002198088A JP 2000395318 A JP2000395318 A JP 2000395318A JP 2000395318 A JP2000395318 A JP 2000395318A JP 2002198088 A JP2002198088 A JP 2002198088A
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Ritsu Yo
立 楊
Masanobu Kito
賢信 鬼頭
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 初期の電池性能が高く、長期的に電池性能が
維持できるリチウム二次電池を提供する。 【解決手段】 リチウム化合物を電解質として含む非水
電解液を用いるリチウム二次電池である。電池反応阻害
物質を除去することが可能な除去物質を含有した担体を
リチウム二次電池の系内に配設し、予め設定した条件下
で担体から除去物質を放出させることによって電池反応
阻害物質を除去させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、初期の電池性能
が高く、長期的に電池性能が維持できるリチウム二次電
池に関する。
【0002】
【従来の技術】 リチウム二次電池は、一般的に、正極
活物質として、マンガン酸リチウム(LiMn24)等
のリチウム遷移金属複合酸化物が、負極活物質としてハ
ードカーボンや黒鉛といった炭素質材料がそれぞれ用い
られる。また、リチウム二次電池の非水電解液として
は、有機溶媒にリチウムイオン(Li+)電解質たるリ
チウム化合物を溶解した非水電解液が用いられる。
【0003】 例えば電解質として、六フッ化リン酸リ
チウム(LiPF6)を用いた場合には、非水電解液中
に水分が存在するとフッ化水素酸(HF)が発生する。
このHFは、電池容器や集電体等の金属材料を溶解、腐
食させ、また正極活物質を溶解して遷移金属を溶出させ
る。更に負極活物質材料表面にSEI(Solid Electrol
yte Interface)層を形成してLi+の作用を阻害する等
して、電池劣化の原因となることが知られている。この
ような電池特性の劣化は、充放電を繰り返すサイクル運
転において顕著に現れ、リチウム二次電池としての致命
的な欠点となる。
【0004】 このようなリチウム二次電池(以下、単
に「電池」ともいう)は、その電池性能を改善する為
に、水、HF等の電池反応阻害物質を除去することが可
能な除去物質を含有させている。具体的には、非水電解
液に該除去物質としてホウ素化合物やゼオライト等を含
有させる方法や、非水電解液に該除去物質として無水酢
酸等の酸無水物を添加する方法(特開平9−13923
2号公報、特開平7−122297号公報などを参照)
が知られている。
【0005】 これらの方法は、電池性能を改善するこ
とは可能であるが、該除去物質を直接的に電池系内に配
設しているため除去物質自体もまた電池反応阻害物質と
なり、初期の電池性能が低下するという問題がある。ま
た、阻害物質の一部は経時的に量が増大するため、初期
に一定量を添加するだけでは長期間の使用に対応でき
ず、電池性能が低下するという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】 本発明はかかる従来
の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とする
ところは、初期の電池性能が高く、長期的に電池性能が
維持できるリチウム二次電池を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】 即ち、本発明によれ
ば、リチウム化合物を電解質として含む非水電解液を用
いるリチウム二次電池であって、電池反応阻害物質を除
去することが可能な除去物質を含有した担体を前記リチ
ウム二次電池の系内に配設し、予め設定した条件下で前
記担体から前記除去物質を放出させることによって前記
電池反応阻害物質を除去することを特徴とするリチウム
二次電池が提供される。
【0008】 本発明のリチウム二次電池においては、
阻害物質としては、水、及び/又は、フッ化水素酸が挙
げられ、設定条件は、温度、及び/又は、水素イオン濃
度であることが好ましい。また、担体は、マイクロカプ
セル又はゲル物質であることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】 以下、本発明をより詳しく説明
するが、本発明が以下の実施形態に限定されないことは
いうまでもない。
【0010】 本発明に係るリチウム二次電池は、リチ
ウム化合物を電解質として含む非水電解液を用いるもの
で、かつ電池反応阻害物質を除去することが可能な除去
物質を含有した担体を前記リチウム二次電池の系内に配
設し、予め設定した条件下で前記担体から前記除去物質
を放出させることによって前記電池反応阻害物質を除去
するものである。このような構成を有するリチウム二次
電池は、初期の電池性能が高く、長期的に電池性能が維
持され、性能が安定していることから、電子機器や電気
自動車(ハイブリッド電気自動車も含む)等に極めて好
適に用いることができる。また、本発明によって改善さ
れる初期の電池性能及び長期的に維持される性能に特に
制限はないが、例えば電池の高温特性、低温特性、保存
特性、充放電特性、過充放電特性、安全性等が挙げられ
る。
【0011】 電池反応阻害物質を除去することが可能
な除去物質とは、電池を作製する際に混入した不純物や
電池の使用中に発生する物質等のうちで電池反応を阻害
することのある全ての物質を除去(失効させ、又は排
除)することが可能なあらゆる物質を意味する。
【0012】 除去物質を含有した担体とは、除去物質
を分散又は内包して含有した、かつ予め設定した条件下
で除去物質を放出させることのできるものを意味する。
【0013】 除去物質を含有した担体をリチウム二次
電池の系内に配設するとは、除去物質を含有した担体を
非水電解液に添加し、非水電解液が電極板やセパレータ
に含浸されることにより、除去物質を含有した担体が電
極板やセパレータに配設されることとなる場合や、電極
板やセパレータに予め塗布された除去物質を含有した担
体が、非水電解液を充填した際に非水電解液中に移動し
て非水電解液にも配設されることを意味する。
【0014】 予め設定した条件とは、上述した阻害物
質が電池系内にて示すあらゆる刺激に応答して、電池性
能を低下させないように計算されたあらゆる条件設定を
意味する。ここで、刺激としては、例えば水素イオン濃
度、金属イオン濃度、高分子膜の濃度等の化学的刺激や
温度、電磁場、光等の物理的刺激を挙げることができ
る。
【0015】 本発明におけるリチウム二次電池は、阻
害物質として、水分、及び/又は、フッ化水素酸(H
F)が挙げられる。本発明において電池反応阻害物質を
除去することが可能な除去物質を含有した担体を電池系
内に配設するのは、これらの除去物質は電気化学反応に
とっては不必要なものであり、その量が増大すると電池
性能は低下するからである。図2は、それぞれ水分、H
F、マンガンイオンをトラップ可能な除去物質である、
ピリジン、フタロシアニンを非水電化液に直接配設した
ときの電池性能に対する除去物質の濃度を示すグラフで
ある。このグラフに示されるように、非水電解液中の除
去物質の濃度が増大していくと、充放電サイクル特性
(充放電の繰り返しによる電池容量変化特性を指す。以
下、「サイクル特性」という。)は大きく低下する。こ
の場合には電池寿命が短くなるという問題が生ずる。な
お、非水電解液は、エチレンカーボネート(EC)とジ
エチルカーボネート(DEC)の等容量混合溶媒に六フ
ッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1mol/lの濃
度になるように溶解させたものを用いている。また、各
実験条件は図2に示す通りであり、グラフの横軸の「反
応阻害物質」とは、添加剤がピリジン(水トラップ剤)
の場合には水を、添加剤がフタロシアニン(Mnトラッ
プ剤)の場合にはMnを、添加剤がフタロシアニン(H
Fトラップ剤)の場合にはHFを、意味している。
【0016】 また、電池反応阻害物質の一部は、電池
の使用状況あるいは使用環境により経時的に増大する。
その阻害物質に対しては、電池を作製する際にそのとき
存在する阻害物質に対処できる以上の除去物質を電池系
内に配設する必要がある。その場合には、長期的には電
池性能は改善するが、初期の電池性能は低下し、その性
能を保持することはできない。図3は、微量水分が混入
した非水電解液を加熱したときの温度に対するHFの発
生量を示すグラフである。このグラフに示されるよう
に、非水電解液を加熱していくと、発生するHFの量は
しだいに増大していく。特に60℃より高温では急激に
その量が増大している。なお、非水電解液は、エチレン
カーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DE
C)の等容量混合溶媒に六フッ化リン酸リチウム(Li
PF6)を1mol/lの濃度になるように溶解させた
ものを用いている。また、HFの量は、アルゴン雰囲気
下で非水電解液を各温度の高温槽に400時間載置した
後、中和滴定によって測定している。
【0017】 即ち、非水電解液を加熱していくと、発
生するHFの量は増大していき、非水電解液の水素イオ
ン濃度は高くなっていく。よって、本発明のリチウム二
次電池においては、温度、及び/又は、水素イオン濃度
を除去物質の放出条件とすることが好ましく、予め設定
したこれらの条件によって放出できる担体で除去物質を
包含させることが好ましい。
【0018】 リチウム二次電池の正極活物質として
は、マンガン酸リチウム(LiMn24)やコバルト酸
リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(Li
NiO2)等が用いられるが、立方晶スピネル構造を有
するマンガン酸リチウムを用いると、他の正極活物質を
用いた場合と比較して、電極体の抵抗を小さくでき電池
のサイクル特性の向上が図れることから、特によく用い
られる。
【0019】 図4は、マンガン酸リチウムを溶解させ
た非水電解液を25℃、40℃、65℃、85℃の高温
槽に載置したとき、非水電解液中に解離するマンガンイ
オン量の経時的変化を示すグラフである。このグラフに
示されるように、25℃、40℃の場合は、マンガンイ
オンは非水電解液中にほとんど解離せず、65℃、85
℃の高温の場合は、経時的にその溶出量が増大してい
る。なお、非水電解液は、エチレンカーボネート(E
C)とジエチルカーボネート(DEC)の等容量混合溶
媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1mol
/lの濃度になるように溶解させたものを用い、マンガ
ンイオンの量はICP分光分析(誘導結合高周波プラズ
マ分光分析)によって測定している。また、図4の測定
はアルゴン雰囲気下で行っている。
【0020】 よって、本発明のリチウム二次電池にお
いて、正極活物質としてマンガン酸リチウムを用いる場
合は、マンガンイオンを除去可能な除去物質を配設する
ことが好ましく、マンガンイオンを除去可能な除去物質
を含有した担体を電池系内に配設することが好ましい。
また、本発明のリチウム二次電池において、正極活物質
としてマンガン酸リチウムを用いる場合は、温度を除去
物質の放出条件とすることが好ましく、予め設定したこ
の条件によって放出できる担体で除去物質を包含させる
ことが好ましい。
【0021】 リチウム二次電池は、例えば電気自動車
に車載してエンジン起動用若しくは走行用のバッテリー
として使用される。電気自動車用のバッテリーとして使
用される場合、自動車の耐用年数を考えれば、電池の耐
用年数は3、4年から10年程度を想定しなければなら
ない。この間には夏の暑い時期を経ることになる。ま
た、電気自動車の使用範囲は世界各地であり、南極大陸
等の極寒の地からアフリカ等の猛暑の地など様々であ
る。
【0022】 これらの使用状況において、HF、マン
ガンイオンのように阻害物質の一部は、温度の上昇とと
もに発生量は増加し、それに伴って非水電解液の水素イ
オン濃度は上昇する。この変化に応じ、除去物質に阻害
物質を除去させることが電池性能の保持の重要なポイン
トとなる。
【0023】 また、本発明のリチウム二次電池におい
ては、担体は、マイクロカプセル、及び/又は、ゲル物
質であることが好ましい。これらは除去物質の放出を制
御することに適しており、その担体に応じて除去物質を
放出する条件及び量を適宜設定できることから、除去物
質を含有させる担体として好適に用いることができる。
【0024】 マイクロカプセルは、例えば高分子物
質、無機物質を用いて構成することができる。具体的に
は高分子物質では、ゼラチン、ポリメチルメタクリレー
ト、ナイロン(登録商標)、塩化ビニリデン−アクリロ
ニトリルコポリマー、寒天、ペクチン、メチルセルロー
ス、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、
フィブリノーゲン、スチレン−マレイン酸共重体、アラ
ビアゴム、ポリスチレン、ポリ4−ビニルピリジン、ポ
リアクリル酸、ポリエチレン、ブチラール、ビニル樹
脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩
化ビニル、ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリプ
ロピオン酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリブテ
ン、カルナウバワックス、エポキシ樹脂、ポリウレタ
ン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシ
メチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセル
ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、デンプン、デキストリン、トラ
ガント、デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン等
が、無機物質では、シリカ、炭酸カルシウム、酸化鉄、
二酸化チタン、窒化チタン、フッ化グラファイト、炭化
珪素、銅、ニッケル等が挙げられる。
【0025】 マイクロカプセル化は、化学的方法、物
理化学的方法、物理的方法によって行うとよい。具体的
には、化学的方法としては、界面重合法、insitu
重合法、及び液中硬化被膜法が、物理化学的方法として
は、相分離法、液中乾燥法、融解分散冷却法、内包物交
換法、及び粉末法が、物理的方法としては、気中懸濁被
膜法、噴霧乾燥法、真空蒸着被膜法、及び静電的合成法
が挙げられる。
【0026】 マイクロカプセルの調整手順は、(1)
適切な溶液中に除去物質を微粒子状に分散し、(2)こ
の液中に隔壁となる物質を導入する。そして(3)隔壁
物質を除去物質粒子の周囲に集合、沈積、包囲させてカ
プセル壁を整形し、(4)化学的、物理化学的、或いは
物理的にこれを強化し、安定な隔壁を形成させることに
よって行うとよい。
【0027】 例えばポリ4−ビニルピリジンとポリメ
タクリル酸をナイロン(登録商標)−2,12にグラフ
トさせたマイクロカプセルは、水素イオン濃度により除
去物質の放出をコントロールすることができる。図5に
示すように、ピリジン基は水素イオン濃度によって変化
し、水素イオン濃度が高いときは親水基となり、液中に
手を広げたマイクロカプセルとして除去物質を放出し、
PHが8を越えると疎水基となり、膜の細孔をふさぎ、
除去物質を放出しなくなる。
【0028】 ゲル物質は、例えば溶液組成や温度変化
によるヒドロゲルの膨潤−収縮相転移現象や電気化学的
エネルギーが力学的エネルギーに転化するメカノケミカ
ル反応を利用したゲル物質を用いることができる。ゲル
の相転移特性を応用すると、水素イオン濃度、金属イオ
ン濃度、高分子膜の濃度等の化学的刺激、及び温度、電
磁場、光等の物理的刺激の条件に応じて除去物質を放出
させることができる。
【0029】 ゲル物質に用いられる担体としては、ポ
リアクリルアミド系高分子、ポリビニルメチルエーテ
ル、ポリN−エチルアクリルアミド、ポリN−エチルメ
タクリルアミド、ポリN−イソプロピルアクリルアミ
ド、ポリN−メチル−N−イソプロピルアクリルアミ
ド、ポリN−アクリロイルピペリジン、アクリロイル−
L−プロリンメチルエステル等が挙げられる。
【0030】 本発明のリチウム二次電池は、溶解して
リチウムイオン(Li+)を生ずるリチウム化合物を電
解質として含む非水電解液を用いたものである。従っ
て、その他の材料や電池構造には何ら制限はない。以
下、電池を構成する主要部材並びにその構造について概
説する。
【0031】 リチウム二次電池の電極体の1つは、容
量の大きい電池に用いられる捲回型の電極体である。図
1の斜視図に示されるように、捲回型電極体1は、正極
板2と負極板3とを、多孔性ポリマーからなるセパレー
タ4を介して正極板2と負極板3とが直接に接触しない
ように巻芯7の外周に捲回して構成される。正極板2及
び負極板3(以下、「電極板2・3」と記す。)に取り
付けられている電極リード5・6の数は最低1本あれば
よく、複数の電極リード5・6を設けて集電抵抗を小さ
くすることもできる。
【0032】 正極板2は集電基板の両面に正極活物質
を塗工することによって作製される。集電基板として
は、アルミニウム箔やチタン箔等の正極電気化学反応に
対する耐蝕性が良好である金属箔が用いられるが、箔以
外にパンチングメタル或いはメッシュ(網)を用いるこ
ともできる。また、正極活物質としては、マンガン酸リ
チウム(LiMn24)やコバルト酸リチウム(LiC
oO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)等のリチ
ウム遷移金属複合酸化物が好適に用いられ、これらにア
セチレンブラック等の炭素微粉末が導電助剤として加え
ることが好ましい。
【0033】 正極活物質の塗工は、正極活物質粉末に
溶剤や結着剤等を添加して作製したスラリー或いはペー
ストを、ロールコータ法等を用いて、集電基板に塗布・
乾燥することで行われ、その後に必要に応じてプレス処
理等が施される。
【0034】 負極板3は、正極板2と同様にして作製
することができる。負極板3の集電基板としては、銅箔
若しくはニッケル箔等の負極電気化学反応に対する耐蝕
性が良好な金属箔が好適に用いられる。負極活物質とし
ては、ソフトカーボンやハードカーボンといったアモル
ファス系炭素質材料や人造黒鉛や天然黒鉛等の高黒鉛化
炭素質粉末が用いられる。
【0035】 セパレータ4としては、マイクロポアを
有するLi+透過性のポリエチレンフィルム(PEフィ
ルム)を、多孔性のLi+透過性のポリプロピレンフィ
ルム(PPフィルム)で挟んだ三層構造としたものが好
適に用いられる。これは、電極体の温度が上昇した場合
に、PEフィルムが約130℃で軟化してマイクロポア
が潰れ、Li+の移動即ち電池反応を抑制する安全機構
を兼ねたものである。そして、このPEフィルムをより
軟化温度の高いPPフィルムで挟持することによって、
PEフィルムが軟化した場合においても、PPフィルム
が形状を保持して正極板2と負極板3の接触・短絡を防
止し、電池反応の確実な抑制と安全性の確保が可能とな
る。
【0036】 この電極板2・3とセパレータ4の捲回
作業時に、電極板2・3において電極活物質の塗工され
ていない集電基板が露出した部分に、電極リード5・6
がそれぞれ取り付けられる。電極リード5・6として
は、それぞれの電極板2・3の集電基板と同じ材質から
なる箔状のものが好適に用いられる。電極リード5・6
の電極板2・3への取り付けは、超音波溶接やスポット
溶接等を用いて行うことができる。
【0037】 非水電解液に用いられる有機溶媒として
は、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネ
ート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プ
ロピレンカーボネート(PC)といった炭酸エステル系
溶媒や、γ―ブチロラクチン、テトラヒドロフラン、ア
セトニトリル等の単独溶媒若しくは混合溶媒が好適に用
いられる。
【0038】 電解質としては、六フッ化リン酸リチウ
ム(LiPF6)やホウフッ化リチウム(LiBF4)等
のリチウム錯体フッ素化合物、或いは過塩素酸リチウム
(LiClO4)といったリチウムハロゲン化物が挙げ
られ、1種類若しくは2種類以上を前記溶媒に溶解して
用いる。特に、酸化分解が起こり難く、非水電解液の導
電性の高いLiPF6を用いることが好ましい。
【0039】
【実施例】(実施例1〜4、比較例1)実施例1〜4の
除去物質を含有した担体は下記の方法により作製した。
まず、ゼラチン(分子量55000〜1000000
g)10質量%濃度相当量の水溶液78gを60℃から
70℃の間で温め、フタロシアニン2gを添加し、40
℃まで冷却した。次ぎに、その溶液にコラーゲン(平均
分子量8000g、ポリオキシエチレンノニルフェニル
エーテルとイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の
5:1混合物)20質量%濃度相当量の水溶液20gを
加え、3時間撹拌した。そして、これを更に25℃まで
冷却し、2時間固化させたものを破砕して除去物質を含
有した担体とした。図6は、その除去物質を含有した担
体を添加した非水電解液を25℃(実施例1)、40℃
(実施例2)、65℃(実施例3)、85℃(実施例
4)の高温槽に載置したとき、非水電解液中に溶出した
フタロシアニン量の経時的変化を示すグラフである。こ
のとき、非水電解液は、エチレンカーボネート(EC)
とジエチルカーボネート(DEC)の等容量混合溶媒に
六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1mol/l
の濃度になるように溶解させたものを用いている。ま
た、溶出したフタロシアニンの量は、非水電解液を濃硫
酸に溶解させて、水中に再析出したフタロシアニン量を
秤量することによって測定している。尚、比較例1は、
フタロシアニンを直接的に非水電解液に配設したもので
あり、図6の測定はアルゴン雰囲気下で行った。
【0040】(評価)図6から明らかなように、除去物
質を直接配設した比較例1の電池は、初めから除去物質
の全量が非水電解液中に配設されていた。それに対し
て、コラーゲン・ゼラチンゲルによって除去物質を含有
させた実施例1〜4の電池は、非水電解液の温度によっ
て経時的に除去物質が放出された。
【0041】(実施例5〜10、比較例2〜8)実施例
5〜10及び比較例2〜8の電池は、LiMn24スピ
ネルを正極活物質とし、これに導電助剤としてアセチレ
ンブラックを外比で4質量%相当量ほど添加したもの
に、更に溶剤、バインダを加えて作製した正極剤スラリ
ーを、厚さ20μmのアルミニウム箔の両面にそれぞれ
約100μmの厚みとなるように塗工して作製した正極
板2と、これと同様の方法に加え、カーボン粉末を負極
活物質として、厚さ10μmの銅箔の両面にそれぞれ約
80μmの厚みとなるように塗工して作製した負極板3
とを用いて捲回型電極体を作製し、電池ケースに収容
後、非水電解液を充填して作製したものである。ここ
で、非水電解液は、エチレンカーボネート(EC)とジ
エチルカーボネート(DEC)の等容量混合溶媒に六フ
ッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1mol/lの濃
度になるように溶解させた溶液に、表1に示すようにし
て除去物質を含有した担体を添加させたものを用いた。
これら各種電池の初回充電後の電池容量は、全て約10
Ahであった。
【0042】 実施例5〜7の除去物質を含有した担体
は、実施例1〜4と同様の方法によりビニルピリジン、
ポリ4−ビニルピリジンとポリメタクリル酸をナイロン
(登録商標)−2,12にグラフトさせたマイクロカプ
セルであり、水素イオン濃度により除去物質の放出をコ
ントロールすることができる担体である。また、実施例
8〜10の除去物質を含有した担体は、フタロシアニン
を含むキトサンーPVAゲル物質であり、温度により除
去物質の放出をコントロールすることができる担体であ
る。
【0043】
【表1】
【0044】 また、サイクル試験は、図7に示される
充放電サイクルを1サイクルとして、これを繰り返すこ
とにより行った。即ち、1サイクルは放電深度50%の
充電状態の電池を10C(放電レート)相当の電流10
0Aにて9秒間放電した後18秒間休止し、その後70
Aで6秒間充電後、続いて18Aで27秒間充電し、再
び50%の充電状態とするパターンに設定した。なお、
充電の2回目(18A)の電流値を微調整することによ
り、各サイクルにおける放電深度のずれを最小限に止め
た。また、この耐久試験中の電池容量の変化を知るため
に、適宜、0.2Cの電流強さで充電停止電圧4.1
V、放電停止電圧2.5Vとした容量測定を行い、所定
のサイクル数における電池容量を初回の電池容量で除し
た値により相対放電容量を求めた。
【0045】(評価)表1から分かるように、本発明に
係る実施例5〜10の電池は、2000回のサイクル試
験において、80から90%の容量保持率を達成し、除
去物質を直接添加させた比較例2〜8の電池よりも良好
なサイクル特性を発揮した。このとき、マイクロカプセ
ル化或いはゲル化した実施例では、除去物質を含有した
担体の濃度を大きくすると、容量保持率は高くなり、直
接除去物質を添加させた比較例では、その濃度を大きく
すると、容量保持率は大きく低下した。このことから、
本発明のリチウム二次電池によれば、初期から長期まで
良好かつ安定的に、その性能を発揮できることが分か
る。
【0046】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明のリチウ
ム二次電池は、電池反応阻害物質を除去することが可能
な除去物質を含有した担体を電池系内に配設し、予め設
定した条件下でその除去物質を放出させることによって
電池反応阻害物質を除去するので、初期の電池性能が高
く、長期的に電池性能が維持できるという効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 捲回型電極体の構造を示す斜視図である。
【図2】 リチウム二次電池系内に除去物質を直接配設
した場合における除去物質の濃度のサイクル特性に及ぼ
す影響を示すグラフである。
【図3】 微量水分が混入した非水電解液を加熱した場
合におけるHFの発生量を示すグラフである。
【図4】 マンガン酸リチウムを非水電解液に溶解させ
たときの各温度におけるマンガンイオン解離量の経時的
変化を示すグラフである。
【図5】 除去物質を含有したナイロン(登録商標)−
2,12からなるマイクロカプセルが水素イオン濃度の
条件により除去物質を放出する仕組みの一例を示す模式
図である。
【図6】 フタロシアニンを含有したゲル物質を非水電
解液に配設したときの各温度における除去物質の放出量
の経時的変化を示すグラフである。
【図7】 捲回型電極体を用いた電池のサイクル試験に
おける充放電パターンを示すグラフである。
【符号の説明】
1…捲回型電極体、2…正極板、3…負極板、4…セパ
レータ、5…電極リード、6…電極リード、7…巻芯。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H029 AJ02 AJ04 AJ05 AJ13 AK03 AL08 AM03 AM05 AM07 BJ02 BJ14 DJ08 DJ10 DJ11 EJ01 EJ03 EJ05 EJ07 EJ11 EJ12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リチウム化合物を電解質として含む非水
    電解液を用いるリチウム二次電池であって、 電池反応阻害物質を除去することが可能な除去物質を含
    有した担体を前記リチウム二次電池の系内に配設し、 予め設定した条件下で前記担体から前記除去物質を放出
    させることによって前記電池反応阻害物質を除去するこ
    とを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 【請求項2】 前記阻害物質は、水、及び/又は、フッ
    化水素酸である請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 【請求項3】 前記設定条件は、温度、及び/又は、水
    素イオン濃度である請求項1又は2に記載のリチウム二
    次電池。
  4. 【請求項4】 前記担体は、マイクロカプセル又はゲル
    物質である請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウ
    ム二次電池。
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