JP2001348028A - 紙容器 - Google Patents

紙容器

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JP2001348028A
JP2001348028A JP2000168861A JP2000168861A JP2001348028A JP 2001348028 A JP2001348028 A JP 2001348028A JP 2000168861 A JP2000168861 A JP 2000168861A JP 2000168861 A JP2000168861 A JP 2000168861A JP 2001348028 A JP2001348028 A JP 2001348028A
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Yoshinori Fukazawa
義則 深沢
Shinichiro Kanamori
進一郎 金森
Kazuo Tajima
一雄 田嶋
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Daiwa Can Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材となる紙に対して複数層の合成樹脂層を
ラミネートした積層材により容器本体が形成される紙容
器において、防臭効果の持続性を低下させることなく、
紙とポリエチレンによる複合的な不快臭を効果的に抑え
て、内容物のフレーバー性を低下させないようにする。 【解決手段】 基材となる紙11に対して複数層の合成
樹脂層をラミネートした積層材10により容器本体が形
成される紙容器1において、容器本体を形成する積層材
10の容器内面となる部位以外の何れかの合成樹脂層1
2中に、化学的吸着作用により臭気を除去又は緩和する
無機系イオン化学吸着型消臭剤を含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材となる紙に対
して複数層の合成樹脂層をラミネートした積層材により
容器本体が形成される紙容器に関し、特に、容器本体か
ら発生する不快臭を抑えるようにした紙容器に関する。
【0002】
【従来の技術】酒類や清涼飲料等の飲食物を収容するた
めの容器として、屋根型(ゲーブルトップ),四角型
(テトラパック),コップ型,円柱型(カートカン(登
録商標))等のような種々の形態の紙容器が従来から広
く使用されており、そのような紙容器の本体(密封用の
蓋を除く容器本体)を製造するための材料として、基材
となる紙に対して複数層の合成樹脂層をラミネートした
積層材が一般的に使用されていて、紙にラミネートされ
る合成樹脂については、成形時のヒートシール性や経済
性を考慮して、ポリエチレンやポリプロピレンのような
ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂が使用されている。
【0003】そのような紙容器用の積層材について、油
脂臭といわれる独特の臭気を持つポリオレフィン系の熱
可塑性樹脂を使用することで、積層材から製造された紙
容器本体にも合成樹脂による不快臭が存在することによ
り、紙容器に収容される飲食物の微妙な味覚や香り(フ
レーバー)が損なわれることのないように、ラミネート
される複数の合成樹脂層のうちの容器内面となる最外層
以外の層中に合成樹脂臭を吸着する脱臭剤を含有させ
る、ということが特許第2564644号公報(特開平
2−235740)により従来公知となっている。
【0004】なお、従来から一般的に使用されている防
臭手段については、不快臭を小孔に吸着して閉じ込める
という物理的作用により除去又は解除する脱臭剤と、不
快臭を化学的或いは生物的作用(薬剤などで化学反応さ
せて臭気成分を異なる物質に変えたり、酵素の働きで臭
気成分を分解したりする作用)により除去又は解除する
消臭剤と、空間に芳香成分を拡散させることで不快臭を
相殺して感じ難くする芳香剤とに大きく分類されるが、
上記の引用公報に記載の積層材は、物理的作用により不
快臭を除去又は解除する脱臭剤(実施例では活性炭)を
使用したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、紙容器本体
を製造するための積層材では、通常、内容物と接する側
(容器の内面側)にフレーバー性,ヒートシール性,密
封性などが容易に確保できる低臭グレードの低密度ポリ
エチレン層を配備することで、低臭性を考慮した構成と
しているものの、そのように低臭性が考慮された積層材
から容器本体が造られた紙容器であっても、程度の差こ
そあれ高温多湿下では不快臭の発生が認められ、容器内
に内容物を充填した後も不快臭が残って内容物のフレー
バー性を損なうことがある。
【0006】そのような紙容器の不快臭発生のメカニズ
ムについて、本発明者等が種々の調査をした結果、この
紙容器の不快臭は、高温多湿下において紙の臭いとポリ
エチレンの臭いとが重なった時に感じる不快臭(アミン
系類似不快臭)であるという知見が得られた。なお、紙
単独あるいはポリエチレン単独では、高温多湿下であっ
てもアミン系類似不快臭の発生は認められなかった。
【0007】そこで、そのような紙とポリエチレンの複
合によるアミン系類似不快臭に対処するために、上記の
引用公報に記載されている脱臭剤を含有させた従来公知
の紙容器用積層材について検討してみると、この積層材
に使用されている脱臭剤(活性炭等)は、合成樹脂自体
の臭い(ポリオレフィン系樹脂の油脂臭)の吸着を目的
とするものであって、臭気成分を小孔が物理的に吸着し
て閉じ込めるという物理的吸着作用により合成樹脂臭を
除去又は緩和するためのものである。
【0008】そのような脱臭剤では、アンモニア,硫化
水素等の低分子物質や高温での吸着が悪いために、紙と
ポリエチレンによる複合的な不快臭のように高温多湿下
で発生するアミン系類似不快臭を吸着させるのには効果
的でなく、また、温湿度変化により一旦吸着した臭気成
分が離脱して再放出されてしまうこともあり、しかも、
フレーバのある内容物を容器内に充填した場合、フレー
バーの香気成分を極性の有無に関係なく物理的に吸着し
てしまうことから、脱臭剤が早く飽和状態となって防臭
効果の持続性を低下させることになる。
【0009】本発明は、上記のような問題の解消を課題
とするもので、基材となる紙に対して複数層の合成樹脂
層をラミネートした積層材により容器本体が形成される
紙容器において、防臭効果の持続性を低下させることな
く、紙とポリエチレンによる複合的な不快臭を効果的に
抑えて、内容物のフレーバー性を低下させないようにす
ることを課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
課題を解決するために、基材となる紙に対して複数層の
合成樹脂層をラミネートした積層材により容器本体が形
成される紙容器において、容器本体を形成する積層材の
容器内面となる部位以外の何れかの合成樹脂層中に、化
学的吸着作用により臭気を除去又は緩和する無機系イオ
ン化学吸着型消臭剤を含有させることを特徴とするもの
である。
【0011】上記のような構成によれば、容器本体を形
成する積層材中に含有させる防臭手段として、物理的吸
着作用による脱臭剤ではなく、化学的吸着作用による消
臭剤を使用していることにより、紙とポリエチレンの複
合により高温多湿下で発生するアミン系類似不快臭を、
温湿度が変化しても再放出させるようなことなく効果的
に吸着させることができる。また、化学的吸着作用によ
る消臭剤では、香気成分の吸着についても極性が主要因
子となるため、選択的な吸着が可能となって防臭効果の
持続性が保たれる。例えば、香気成分の代表例としてよ
く用いられるリモネン等は、無極性に近いため、化学的
吸着作用による消臭剤には吸着され難く、そのため、消
臭剤による防臭効果の持続と共に、香気成分の保持を図
ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の紙容器の実施形態
について詳細に説明する。なお、図1は、本発明の一実
施形態に係る紙容器について、(A)容器本体の構造、
および(B)容器本体を形成する積層体の一実施例にお
ける積層構成をそれぞれ示すものであり、図2(A)〜
(D)は、容器本体を形成する積層材の他の実施例にお
ける積層構成をそれぞれを示すものである。
【0013】本実施形態の紙容器の容器本体(蓋が未装
着の状態の容器本体)は、図1(A)に示すように、従
来から一般的に使用されているコップ型の紙容器であっ
て、この容器本体(底部を含む)1を形成している積層
材10については、基材となる紙に対して、低臭性のポ
リエチレン樹脂による複数層の合成樹脂層をラミネート
すると共に、容器の内面となる部位(最内層)以外の何
れかの合成樹脂層中に、活性炭のような物理的吸着作用
による脱臭剤ではなく、化学的吸着作用により臭気成分
を吸着する無機系イオン化学吸着型の消臭剤(プラスイ
オン化する物質とマイナスイオン化する物質とからなる
化合物によりマイナスイオンやプラスイオンの臭気成分
を吸着するようにした消臭剤)を含有させたものであ
る。
【0014】そのような紙容器用の積層材の一実施例と
して、例えば、図1(B)に示すように、容器の内面側
から外面側に向けて、直鎖低密度ポリエチレン層(厚さ
40μm)/低密度ポリエチレン層(厚さ15μm)/
低密度ポリエチレン層(厚さ15μm)/アルミナ蒸着
PET層(厚さ12μm)/低密度ポリエチレン層(厚
さ15μm)/消臭剤含有低密度ポリエチレン層(厚さ
15μm)/酒用原紙(290g/m2 )/中密度ポリ
エチレン層(厚さ20μm)の順にラミネートした積層
材がある。
【0015】そのような酒用原紙11を基材とした紙容
器用の積層材10において、消臭剤含有低密度ポリエチ
レン層12の層中に含有されている無機系イオン化学吸
着型消臭剤については、フレーバー性,食品衛生性,耐
熱性,樹脂への練り込み性,ラミネート性,消臭効果持
続性,透明性,コスト等を考慮した結果、具体的には、
SiO2 ・ZnO化合物(二酸化珪素・酸化亜鉛化合
物)を使用しており、これを低密度ポリエチレン樹脂中
に練り込むことで消臭剤含有低密度ポリエチレンとして
いる。
【0016】上記のような積層材により容器本体が形成
される本実施形態の紙容器の開発に当たり、先ず、基材
となる紙に対して複数層の合成樹脂(低臭性ポリエチレ
ン)層をラミネートした積層材から容器本体が形成され
ている紙容器において発生するアミン系類似不快臭の発
生因子について検討した。
【0017】紙容器の容器本体に使用される積層材の素
材を、合成樹脂(低臭性ポリエチレン:東洋紡績〔株〕
製L2005直鎖低密度ポリエチレン)単独の場合と、
紙(酒用原紙)単独の場合と、それら両方を混在させた
場合とについて、以下の調査方法により不快臭発生の有
無を調査した結果、合成樹脂単独の場合と紙単独の場合
には、何れもアミン系類似不快臭の発生は認められなか
ったが、合成樹脂と紙を混在させた場合には、アミン系
類似不快臭の発生が明らかに認められた。
【0018】すなわち、合成樹脂単独の場合について
は、低臭性直鎖低密度ポリエチレン(厚さ40μm)を
15mm平方に裁断した物5gを共栓付き三角フラスコ
(容量200ml)に投入してから、高温多湿状態とす
るために純水0.2mlを入れて密栓し、38℃の恒温
室に5日間放置した後、共栓付き三角フラスコ内にこも
った臭気を鼻で嗅いで不快臭の有無を官能調査したが、
アミン系類似不快臭は認められなかった。
【0019】また、紙単独の場合については、酒用原紙
290g/m2 を15mm平方に裁断した物10gを共
栓付き三角フラスコ(容量200ml)に投入してか
ら、高温多湿状態とするために純水0.2mlを入れて
密栓し、38℃の恒温室に5日間放置した後、共栓付き
三角フラスコ内にこもった臭気を鼻で嗅いで不快臭の有
無を官能調査したが、アミン系類似不快臭は認められな
かった。
【0020】これに対して、合成樹脂と紙を混在させた
場合については、前記の低臭性直鎖低密度ポリエチレン
(厚さ40μm)を15mm平方に裁断した物5gと、
酒用原紙290g/m2 を15mm平方に裁断した物1
0gとを、共栓付き三角フラスコ(容量200ml)に
混在させて投入してから、高温多湿状態とするために純
水0.2mlを入れて密栓し、38℃の恒温室に5日間
放置した後、共栓付き三角フラスコ内にこもった臭気を
鼻で嗅いで不快臭の有無を官能調査した結果、アミン系
類似不快臭が明らかに認められた。
【0021】上記のような調査結果から、高温多湿状態
での合成樹脂と紙の混在によりアミン系類似不快臭が発
生するという新たな知見が得られ、この新たな知見に基
づいて、紙容器において高温多湿状態で発生するアミン
系類似不快臭を如何に抑えるかについてを検討した。
【0022】先ず、紙容器で従来公知となっている活性
炭等の物理的吸着作用による脱臭剤の使用を検討した
が、そのような脱臭剤では、アンモニア,硫化水素等の
低分子物質や高温での吸着が悪いために、紙とポリエチ
レンによる複合的な不快臭のように高温多湿下で発生す
るアミン系類似不快臭を吸着させるのに効果的であると
は考えられず、しかも、温湿度変化により一旦吸着した
臭気成分が離脱して再放出される可能性がある。
【0023】また、そのような脱臭剤では、アミン系類
似不快臭の臭気成分だけでなく、容器内に充填される内
容物のフレーバーの香気成分を、極性(プラスイオンや
マイナスイオン)の有無に関係なく吸着してしまうた
め、その分だけ脱臭剤が早く飽和状態となって防臭効果
の持続性が低下すると共に、内容物のフレーバー性を低
下させることにもなる。
【0024】そこで、そのような物理的吸着作用による
脱臭剤ではなく、化学的吸着作用による消臭剤につい
て、フレーバー性,食品衛生性,耐熱性,樹脂への練り
込み性,ラミネート性,消臭効果持続性,透明性,コス
ト等を考慮した上で、無機系イオン化学吸着型消臭剤で
具体的にはSiO2 ・ZnO化合物(二酸化珪素・酸化
亜鉛化合物)を可能性のありそうな材料として選択し、
このSiO2 ・ZnO化合物についてアミン系類似不快
臭の防止効果の有無を調査した。
【0025】すなわち、SiO2 ・ZnO化合物(商品
名 KD211 ラサ工業製)を直鎖低密度ポリエチレ
ン(商品名 KJ740 日本ポリケム製)に1重量%
練り込んで、厚さ3mm程度のシートに作製してから、
このシートを15mm平方に裁断した物5gを共栓付き
三角フラスコ(容量200ml)に投入すると共に、こ
の三角フラスコ内に、前記の低臭性直鎖低密度ポリエチ
レン(厚さ40μm)を15mm平方に裁断した物5g
と、酒用原紙290g/m2 を15mm平方に裁断した
物10gとを混在させて投入してから、高温多湿状態と
するために純水0.2mlを入れて密栓し、38℃の恒
温室に5日間放置した後、共栓付き三角フラスコ内にこ
もった臭気を鼻で嗅いで不快臭の有無を官能調査した結
果、アミン系類似不快臭は認められなかった。
【0026】この調査結果から、消臭剤のSiO2 ・Z
nO化合物は、ポリエチレンと紙の混在時に高温多湿状
態となっても、アミン系類似不快臭が発生するのを充分
に抑える効果のあることが認められた。なお、SiO2
・ZnO化合物を含有させた直鎖低密度ポリエチレンの
シートについては、SiO2 ・ZnO化合物の練り込み
量が3重量%のものと5重量%のものについて同様にテ
ストしたが、何れも同様に効果のあることが認められ
た。
【0027】前述の調査結果から高温多湿状態での合成
樹脂と紙の混在によるアミン系類似不快臭の発生の抑制
に効果的であると認められたSiO2 ・ZnO化合物に
ついて、これを練り込んだ直鎖低密度ポリエチレンのシ
ートを使用して、実際の紙容器用積層材によるアミン系
類似不快臭に対する抑制効果を調査した。
【0028】すなわち、紙容器用の積層材として、低臭
性直鎖低密度ポリエチレン層(厚さ40μm)/低密度
ポリエチレン層(厚さ15μm)/低密度ポリエチレン
層(厚さ15μm)/アルミナ蒸着PET層(厚さ12
μm)/低密度ポリエチレン層(厚さ15μm)/低密
度ポリエチレン層(厚さ15μm)/酒用原紙(290
g/m2 )/中密度ポリエチレン層(厚さ20μm)を
ラミネートした積層材を用意した。
【0029】そして、上記の積層材を15mm平方に裁
断した物10gと、消臭剤を練り込まない直鎖低密度ポ
リエチレン(商品名 KJ740 日本ポリケム製)の
厚さ3mm程度のシートの15mm平方に裁断した物5
gとを、共栓付き三角フラスコ(容量200ml)にそ
れぞれ投入してから、高温多湿状態とするために純水
0.2mlを入れて密栓し、38℃の恒温室に5日間放
置した後、共栓付き三角フラスコ内にこもった臭気を鼻
で嗅いで不快臭の有無を官能調査した結果、アミン系類
似不快臭が明らかに認められた。
【0030】これに対して、直鎖低密度ポリエチレン
(商品名 KJ740 日本ポリケム製)にSiO2
ZnO化合物(商品名 KD211 ラサ工業製)を1
重量%練り込んで厚さ3mm程度のシートに作製してか
ら、このシートを15mm平方に裁断した物5gと、上
記の積層材を15mm平方に裁断した物10gとを、共
栓付き三角フラスコ(容量200ml)にそれぞれ投入
してから、高温多湿状態とするために純水0.2mlを
入れて密栓し、38℃の恒温室に5日間放置した後、共
栓付き三角フラスコ内にこもった臭気を鼻で嗅いで不快
臭の有無を官能調査した結果、アミン系類似不快臭は認
められなかった。
【0031】この調査結果から、実際の紙容器用積層材
に対して消臭剤であるSiO2 ・ZnO化合物を関与さ
せることにより、アミン系類似不快臭の発生の防止に充
分な効果のあることが認められた。なお、SiO2 ・Z
nO化合物を含有させた直鎖低密度ポリエチレンのシー
トについては、SiO2 ・ZnO化合物の練り込み量が
3重量%のものと5重量%のものについても同様にテス
トしたが、何れも同様に効果のあることが認められた。
【0032】前述の調査結果から実際の積層材でのアミ
ン系類似不快臭の発生の抑制にも効果的であると認めら
れた消臭剤のSiO2 ・ZnO化合物を使用して、この
消臭剤を何れかの合成樹脂層中に含有させるように積層
材を製造し、そのように製造した積層材の各実施例につ
いて、消臭剤を何れの合成樹脂層中にも含まない積層材
の比較例と対比して、不快臭の抑制効果を調査した。
【0033】すなわち、本発明の紙容器の容器本体を形
成する積層材の実施例として、低臭性直鎖低密度ポリエ
チレン層(厚さ40μm)/低密度ポリエチレン層(厚
さ15μm)/低密度ポリエチレン層(厚さ15μm)
/アルミナ蒸着PET層(厚さ12μm)/低密度ポリ
エチレン層(厚さ15μm)/消臭剤含有低密度ポリエ
チレン層(厚さ15μm)/酒用原紙(290g/m
2 )/中密度ポリエチレン層(厚さ20μm)をラミネ
ートした積層材を用意する一方、これと同じ積層構成で
消臭剤含有低密度ポリエチレン層の部分だけを消臭剤を
含有しない低密度ポリエチレン層に替えたものを比較例
として用意した。
【0034】そして、実施例と比較例の積層材のそれぞ
れについて、15mm平方に裁断した物15gを共栓付
き三角フラスコ(容量200ml)に投入してから、高
温多湿状態とするために純水0.2mlを入れて密栓
し、38℃の恒温室に5日間放置した後、共栓付き三角
フラスコ内にこもった臭気を鼻で嗅いで不快臭の有無を
官能調査した結果、比較例の積層材ではアミン系類似不
快臭が認められたのに対して、実施例の積層材ではアミ
ン系類似不快臭が認められなかった。
【0035】なお、実施例の積層材におけるSiO2
ZnO化合物の低密度ポリエチレンに対する含有量につ
いては、SiO2 ・ZnO化合物の練り込み量が0.5
重量%,1.0重量%,3.0重量%の3品のそれぞれ
についてテストしたが、何れも同様にアミン系類似不快
臭が認められなかった。
【0036】更に、上記のような実施例と比較例のそれ
ぞれの積層材について、これにより容器本体を製造した
場合の容器の不快臭抑制効果を調査するために、それぞ
れの積層材を用いて、高さ103mm、上端部の外径が
70mm、下端部(底部)の外径が52mmであって底
部に巻締部を有するカップ状の紙容器(容器本体)をそ
れぞれ作製してから、それぞれの紙容器本体について、
高温多湿状態としてアミン系類似不快臭の有無を調査し
た。
【0037】すなわち、作製した紙容器を5個ずつ重ね
合わせた(スタックした)ものをサランラップ(旭化成
工業〔株〕登録商標)で包み、デシケーター中に入れ
て、温度が38℃で湿度が92%の雰囲気中で5日間保
管した後、デシケーターから紙容器を取り出して、スタ
ックした紙容器を分離して、それぞれの紙容器の臭いを
鼻で嗅いで不快臭の有無を官能調査した結果、比較例の
積層材による紙容器ではアミン系類似不快臭が認められ
たのに対して、実施例の積層材による紙容器では、Si
2 ・ZnO化合物の練り込み量が0.5重量%、1.
0重量%、3.0重量%の何れのものについても、アミ
ン系類似不快臭は認められなかった。
【0038】更にまた、実施例と比較例のそれぞれの積
層材により作製した上記のカップ状紙容器(容器本体)
について、その中に日本酒を入れて蓋で密閉し、室温
(25℃)で30日間保管した後、紙容器中の日本酒の
香りを官能調査した結果、実施例の積層材による紙容器
中の日本酒の方が、比較例の積層材による紙容器中の日
本酒よりもフレーバー性が良好であった。
【0039】上記のような本実施形態の紙容器によれ
ば、容器本体を形成している積層材中に含有させる防臭
手段として、活性炭のような物理的吸着作用による脱臭
剤を使用するのではなく、化学的吸着作用による消臭剤
であるSiO2 ・ZnO化合物を使用していることによ
り、高温多湿状態で紙とポリエチレンの複合により発生
するアミン系類似不快臭を、温湿度が変化しても再放出
させることなく、化学的作用により効果的に吸着させて
抑えることができる。
【0040】また、化学的吸着作用による消臭剤では、
香気成分の吸着についても極性が主要因子となるため、
紙容器の内容物が有する香気成分の選択的な吸着が可能
となり、その結果、消臭剤による防臭効果の持続性が保
たれることとなる。例えば、香気成分の代表例としてよ
く用いられるリモネン等は、無極性に近いため、化学的
吸着作用による消臭剤には吸着され難く、そのため、化
学的吸着作用による消臭剤によれば、消臭剤による防臭
効果の持続と共に、香気成分の保持を図ることができ
る。
【0041】以上、本発明の紙容器の一実施形態につい
て説明したが、本発明は、上記の実施形態に示したよう
な具体的な構造にのみ限定されるものではなく、例え
ば、紙容器の容器本体については、コップ型の紙容器に
限らず、その他の適宜の形状の紙容器として実施するこ
とも可能であり、また、容器本体の積層材の積層構成に
ついても、一実施例として図1(B)に示したような消
臭剤を積層体の一層に単独的に配置した構成に限らず、
少なくとも容器の内面(最内層)となる合成樹脂層を消
臭剤含有層としない限りにおいて、例えば、図2(A)
〜(D)に示すように、消臭剤含有層を複数層に配置す
るような適宜の積層構成として実施することも可能であ
る。
【0042】また、合成樹脂層中に含有させる無機系イ
オン化学吸着型消臭剤については、アミン系類似不快臭
を効果的に吸着できるような消臭剤であれば、実施形態
に示したSiO2 ・ZnO化合物に限らず、その他の無
機系イオン化学吸着型消臭剤、例えば、銅,銀,コバル
ト,ニッケル,チタン,バリウム,錫,鉄等から選ばれ
る金属酸化物と、SiO2 又はAl23 等との化合物
による消臭剤を使用することによっても実施可能である
等、適宜変更可能なものであることは言うまでもない。
【0043】
【発明の効果】以上説明したような本発明の紙容器によ
れば、容器本体を形成している積層材中に含有させる防
臭手段として、物理的吸着作用による脱臭剤を使用する
のではなく、化学的吸着作用による消臭剤を使用してい
ることで、防臭効果の持続性が保たれ、高温多湿状態で
紙とポリエチレンの複合により発生するアミン系類似不
快臭を効果的に抑えることができるため、紙容器の内容
物のフレーバー性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紙容器の一実施形態について、(A)
容器本体の構造を示す部分断面側面図、および(B)容
器本体を形成する積層体の積層構成を示す断面図。
【図2】本発明の紙容器の容器本体を形成する積層体に
ついて、他の各実施例(A)〜(D)のそれぞれについ
て積層構成を示す断面図。
【符号の説明】
1 紙容器の容器本体 10 容器本体を形成する積層体 11 紙 12 消臭剤を含有する合成樹脂層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E060 AA05 AA13 AB01 BA01 BC01 BC04 DA23 EA03 EA13 4F100 AA01B AA01H AA17 AA18 AA20B AA25B AB10 AK01B AK01C AK06B AK42 BA02 BA05 BA10A BA10C CA30B DA01 DG10A GB16 GB23 JC00 JC00B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材となる紙に対して複数層の合成樹脂
    層をラミネートした積層材により容器本体が形成される
    紙容器において、容器本体を形成する積層材の容器内面
    となる部位以外の何れかの合成樹脂層中に、化学的吸着
    作用により臭気を除去又は緩和する無機系イオン化学吸
    着型消臭剤が含有されていることを特徴とする紙容器。
  2. 【請求項2】 容器本体の積層材の合成樹脂層中に含有
    される消臭剤がSiO2 ・ZnO化合物であることを特
    徴とする請求項1に記載の紙容器。
  3. 【請求項3】 消臭剤を含有させる合成樹脂が低密度ポ
    リエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1又は2
    に記載の紙容器。
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