JP2001341765A - 脱栓キャップの液漏れ防止構造およびその製法 - Google Patents

脱栓キャップの液漏れ防止構造およびその製法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】キャップとしての高いシール機能を有し、廃棄
時に容器から容易に取り外すことができ、製造が容易な
脱栓キャップの提供。 【解決手段】注出口と、容器口に嵌合する外筒部5およ
び内筒部6とで形成する嵌合溝7を有する筒状の胴部4
と、該外筒部の一部を破断するために外筒部に設けた該
外筒部の下縁から上部に至る縦方向の弱化部8とを備え
た合成樹脂製の脱栓キャップ1において、前記外筒部の
内側に環状嵌合部9とその上部に環状シール部10を突
設形成し、前記環状シール部を除けた状態で前記弱化部
8を設けたことを特徴とする脱栓キャップの液漏れ防止
構造。金型により上記脱栓キャップを製造する際に、弱
化部8を上下方向から所定のピンを挿入することにより
形成する上記液漏れ構造の製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は脱栓キャップの液漏
れ防止構造およびその製法に関し、より詳しくは、廃棄
時に容器口から容易に取り外すことが可能な脱栓キャッ
プにおいて、容器と脱栓キャップの嵌合箇所の漏れを防
止した構造体に関する。
【0002】
【従来の技術】容器口から容易に分離可能にした、いわ
ゆる脱栓キャップは、容器包装リサイクル法の施行時期
との関係で最近多くの出願がなされている。その中で、
例えば特開平11−29166号公報に記載された合成
樹脂製キャップの構造は以下の通りである。図15およ
び図16に示すように、容器口部31と緊密に係合する
外筒部32と内筒部33を有する合成樹脂製キャップ3
0であって、中心角60度以内の2本の中心線C,Cと
交わる外筒部32の対向する下端から少なくとも上端の
近傍まで第1弱化ライン35,35が設けられたキャッ
プである。該第1弱化ライン35,35に加えて、外筒
部32の第1弱化ライン35,35間、例えば円周方向
ほぼ中心位置に、第1弱化ライン35,35と同様の第
2弱化ライン36を設けてもよい。第1弱化ライン3
5,35の位置は、キャップ30をほぼ二等分する位置
に設けることが好ましいが、前記2本の中心線C,Cが
外筒部32と交差する間の内・外周壁であればよい。各
弱化ライン35,36は、外筒部32の対向する下端か
ら上端まで設けてもよいが、容器口部31とキャップ3
0の係合力を考慮すると、外筒部32の対向する内周壁
34の下端から少なくとも上端の近傍までが好ましい範
囲であるとしている。そして、外筒部32の内周壁34
中間には、容器口部31に形成された周方向の突条40
に係合する、周方向の突条39が形成されている。従っ
て、各弱化ライン35,36は突条39を横断して形成
されることになる。内容物を使い果たした時、外筒部3
2の対向する内周壁34の下端から少なくとも上端の近
傍まで弱化ライン35,36が形成されているので、こ
の弱化ライン35,36を引き裂くことにより、外筒部
32を容器口部31から取り外すことができる。なお、
上記のようなキャップには通常、外蓋37がヒンジ38
を介して、またはネジ式等で設けら、外筒部32に嵌合
または螺合するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前掲公
報に記載されたキャップは外筒部32の内周壁34に形
成された突条39およびその上部に位置するシール部
(図示されていないが、もし設けられたとしても)を横
断して弱化ライン35,36が形成されることになるの
で、外筒部32と内筒部33とで構成する容器口嵌合溝
の内部は弱化ライン35,36の箇所で大気に連通する
ことになり、内容物の漏れを防止することができない。
一般に、キャップと容器口との間の液漏れ防止構造とし
ては、キャップの容器口嵌合溝に容器口の内壁面、頂
面、外壁面の3箇所に同時にそれぞれ接するシール部
(接触面に沿って連続する、断面形状が略三角形をした
突起)を突設することにより構成される。この場合、液
漏れ防止に大きく影響するシール部は、容器口の内壁面
と外壁面に接するシール部である。従って、上記シール
部を何らかの形でキャップの容器口嵌合溝の少なくとも
2箇所に存在せしめる必要がある。一方では、キャップ
を縦方向に引き裂き易くするためには、弱化ライン等が
嵌合溝の上部に達するような長さにすることが望ましい
わけであるから、液漏れ防止と脱栓のための外筒部の切
断容易化(上記弱化ライン等の形成)とは相反するもの
がある。従来の脱栓キャップは前掲公報に開示されたよ
うな外筒部の切断容易化を優先させたものがほとんどで
あった。従って、本発明は、キャップとしての高い液漏
れ防止機能を有すると共に、廃棄時に、キャップの容器
口からの取り外しが容易な脱栓キャップおよびその製
法、特に脱栓キャップの液漏れ構造およびその製法を提
供することを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の脱栓キャップの液漏れ防止構造は、注出口
と、容器口に嵌合する外筒部および内筒部とで形成する
嵌合溝を有する筒状の胴部と、該外筒部の一部を破断す
るために外筒部に設けた該外筒部の下縁から上部に至る
縦方向の弱化部とを備えた合成樹脂製の脱栓キャップに
おいて、前記外筒部の内側に環状嵌合部とその上部に環
状シール部を突設形成し、前記環状シール部を除けた状
態で前記弱化部を設けたことを特徴とする。本発明はま
た、前記脱栓キャップの液漏れ防止構造において、前記
弱化部は、複数の肉薄部により構成したことを特徴とす
る脱栓キャップの液漏れ防止構造に関する。さらに本発
明は、前記脱栓キャップの液漏れ防止構造において、前
記弱化部は、前記外筒部の下縁から前記環状嵌合部を横
切る第1の弱化部と、前記外筒部の外側または中実部側
から形成された、前記外筒部の上方から前記環状シール
部および前記環状嵌合部の上部の背面部に至る第2の弱
化部とで構成したことを特徴とする脱栓キャップの液漏
れ防止構造、そして該脱栓キャップの液漏れ防止構造に
おいて、前記弱化部は、前記外筒部の下縁から前記環状
嵌合部を横切る第1の弱化部と、前記外筒部の外側また
は中実部側から形成された、前記外筒部の上方から前記
環状シール部および前記環状嵌合部の上部の背面部に至
る第2の弱化部とで構成し、前記第1の弱化部の上端と
前記第2の弱化部の下端とは肉薄部を介して近接してい
ることを特徴とする脱栓キャップの液漏れ防止構造に関
する。また、本発明は、注出口と、容器口に嵌合する外
筒部および内筒部とで形成する嵌合溝を有する筒状の胴
部と、該外筒部の内側に形成された環状嵌合部およびそ
の上部に形成された環状シール部と、前記外筒部の一部
を破断するために前記外筒部に設けた前記外筒部の下縁
から上部に至る縦方向の弱化部とを備えた合成樹脂製の
脱栓キャップを金型にて製造するに際し、前記外筒部の
内側下縁から前記環状嵌合部を横切る第1の弱化部を金
型と下方から挿入されるピンとで形成し、第2の弱化部
を金型と上方から環状嵌合部の上部の背面部に至る付近
まで挿入されるピンとで形成し、外筒部に第1および第
2の弱化部を形成することを特徴とする脱栓キャップの
液漏れ防止構造を製造する方法に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の脱栓キャップの液漏れ防
止構造およびその製法を以下に、より具体的に説明す
る。本発明の脱栓キャップの液漏れ防止構造は容器口に
嵌合する外筒部の内側に形成した嵌合環状部の上部に環
状シール部を、脱栓の際に外筒部の一部を破断するため
の弱化部により中断されることなく(すなわち完全に環
状に)形成していることにより、容器口部の密閉性を高
め、容器内容物が嵌合部の隙間から漏出するのを確実に
防止し、しかも外筒部の一部の厚さを薄くした弱化部を
設けたことにより外筒部が容易に破断し、容器からキャ
ップを取り外すことが可能となる。なお、本発明におい
て「弱化部」とは該弱化部を破断することにより容易に
脱栓し得るような、ある幅を有する肉薄部を意味する。
ここで、上記弱化部の幅や厚さは一定であってもよい
が、それぞれ段階的または連続的に異なっていてもよ
い。また、段階的に異なる場合(例えば2段階に異なる
場合)、水平方向から見て、第1の弱化部(下側の弱化
部)と第2の弱化部(上側の弱化部)とは位置がずれて
いてもよい。この場合、両者の弱化部は肉薄部を介して
近接していることが好ましく、また、第1の弱化部が先
に分断されるような位置関係になっていることが、脱栓
を無理なく行えるので、特に好ましい。脱栓操作をより
簡単にするために、外筒部の外周に把手を取り付けてお
くことができる。該把手は、例えば弱化部を跨いだ位置
の外筒部上に延び、かつ弱化部近傍で外筒部に一体に結
合され、そしてその外筒部とは弱化部直前まで破断可能
な連結部により少なくとも部分的に結合される。このよ
うな把手を取り付けることにより、該把手を外方に引っ
張ることにより、弱化部を破断し、脱栓を容易に行うこ
とができるだけでなく、キャップを容器口に嵌合する打
栓工程の際に弱化部の分断が防止される。上記弱化部は
非常にシンプルな構造となっているため、通常の金型を
用い、該当位置に上下方向からピンを挿入することによ
って、本発明の脱栓キャップの液漏れ防止構造は極めて
容易に製造することができる。
【0006】
【実施例】本発明の脱栓キャップの液漏れ防止構造およ
びその製法の実施例を添付した図面を参照して説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明
の液漏れ防止構造を有する脱栓キャップの一実施例を図
1ないし図9に示す。この脱栓キャップ1は、蓋部2と
胴部4から概略構成され、両者はヒンジ3で一体化され
ている。胴部4は円筒状で、その外周面を形成する外筒
部5と、該外筒部5の内面に対して適宜間隔をおいて垂
下された環状の内筒部6とで形成する嵌合溝7を有す
る。この嵌合溝7に容器口を嵌合することにより、脱栓
キャップ1は容器に固定される。また、胴部4の上半分
には、直立した円弧状の注ぎ壁11がヒンジ3に近い部
分が切欠かれるように設けられている。さらに、胴部4
の外筒部5の外周面には、把手片15が外筒部5の円筒
側面に追随して屈曲するように一体に形成され、該把手
片15の基部である縦方向に延びた固定端15a近傍に
は、外筒部5上部から下縁まで狭幅の弱化部8が形成さ
れている。胴部4の嵌合溝7に容器口を嵌合固定した状
態で脱栓キャップ1がはずれることがないように、その
保持力をより大きくするために、嵌合環状部9が外筒部
5の内側に突出するように形成されており、該環状部9
の上側にはさらに環状シール部10が形成され、一方、
内筒部6の外方には環状凸部19が突出するように形成
され(本例では3カ所)、そして嵌合溝7の頂面にも環
状凸部20が突設されている(本例では2カ所)。上述
の弱化部8は、嵌合環状部9を横切るように形成された
極薄壁部である第1の弱化部81(図4,図6参照)
と、その上部に続く薄ないし極薄壁部である第2の弱化
部82(図4〜図6参照)とからなる。第1の弱化部8
1は同一幅で同一の厚さ(幅w1 ,厚さd1 ,図4,図
8および図9参照)を有し、第2の弱化部82は同一幅
ではあるが、厚さは均一ではなく、一部が特に薄くなっ
ている[幅w2 ,厚さはd2 の部分とd2 〜d3 の部分
を有する(d2 >d3 ),図4,図5,図7および図9
参照](それぞれの具体的な大きさについては後述す
る)。脱栓時、弱化部8を破断することになるが、第1
の弱化部81が破断された後、第2の弱化部82が破断
されるように、両者の位置を少しずらして設けてある。
これにより、無理なく破断操作が行えるようになってい
る。ここで、第2の弱化部82は外筒部5の外側ないし
は中実部側から、外筒部5の環状嵌合部9の上部背面部
に至るまで形成されていることにより、環状シール部1
0を横断することがない。これにより該シール部10は
欠けることなく完全に環状をなし、容器口部の外壁全周
に当接し、液漏れを確実に防止する。固定部15aから
弱化部8を跨いで延びる把手片15は、把持しやすい幅
および長さを確保して形成される。外筒部5の下部筒部
5aの直径をほぼ3cmとした場合には、把手片15の
幅を約1cm、その長さを約6cm程度とすると把持し
やすい。このような大きさのキャップの場合、上記
1 、d2 およびd3 の大きさは、例えばそれぞれ約
0.3mm、約1mmおよび約0.25mmに設定され
る。また、把手片15の幅を下部筒部5aの高さと同一
に形成すると把手片15が突出しないので外観もよい。
しかしながら、容器の口の大きさに応じて脱栓キャップ
の大きさは適宜に変更されるものであるから、把手片1
5の大きさおよび形状も把持しやすい範囲内で適宜決定
すればよい。把手片15の弱化部8を跨いで延びた部分
には、外筒部5との間に破断可能な連結部16によっ
て、把手片15が外筒部5の上縁に沿って一体形成され
ている。連結部16は、把手片15を除去して示した図
9から解るように、把手片15のめくり端部15bの近
傍から弱化部8に接する部分まで、中心角で220〜1
40度の範囲、特に約230度の範囲に渉って外筒部5
上端と把手部15上端とが接続される。このとき、めく
り端部15bから所定間隔Lのあきを確保するように形
成されているので連結部16の破断が容易になる。な
お、連結部16の位置は外筒部5の中央部や下部にあっ
てもよく、連続している必要もなく断続的であってもよ
いが、図示のように上記把手片上端部と上記外壁上端部
とを連結することにより、無理な力を負荷することなし
に、脱栓操作を行うことができるだけでなく、胴部上面
に埃等が入り込む隙間が生じないので使用時の清潔感が
維持される脱栓キャップとなり、好ましい。なお、キャ
ップの打栓時には外筒部5にかなり大きな力が負荷され
るが、上記のように把手片15を弱化部8を跨いで取り
付けておくことにより、打栓の際の弱化部8の分断を防
止することができる。また、めくり端部15bには、外
筒部5に対向する側に垂直方向に突出する引掛部(図示
せず)を形成しておくと、把手片15を剥す際に、指が
引っ掛かるので容易に連結部16を破断しやすい。ま
た、めくり端部15bの形状は、図10(A),(B)
に示すように、角を直角または面取りして形成してもよ
く、機能性およびデザイン等を考慮して適宜作成され得
る。さらに、把手片15はその基部に相当する固定端1
5aで外筒部5と結合されているが、該固定端15aの
めくり端部15b側には弱化部8が形成され、そのさら
にめくり端部15b側に設けた、外筒部5上端近傍から
下方に伸びる容易に切断し得る狭幅の連結部17によっ
ても弱く結合されている(図9参照)。また、把手片1
5は、図9に示すように、固定端15aが弱化部8の右
側に位置するように形成されているため、脱栓時には、
把手片15のめくり端部15bを反時計方向に引っ張る
が、これに限定されるものではなく、把手片15のめく
り端部15bを時計方向に引っ張るように、弱化部8の
左側に固定端15aを形成してもよい。上記したような
本発明の脱栓キャップ1を容器口に嵌合した場合、図1
1に示すように、容器口23が脱栓キャップ1の嵌合溝
7に嵌合され、容器口23の内壁面、頂面および外壁面
はそれぞれ内筒部6外側面の環状凸部19、嵌合溝7頂
面の環状凸部20および外筒部5の環状シール部10に
より確実にシールされている。環状シール部10および
各環状凸部19,20は完全に環状であるため、特に弱
化部を設ける必要のある外筒部5の環状シール部10は
弱化部により分断されていないため、図中のa、bおよ
びcのいずれにも隙間が生じることがなく、容器内容物
が外部に漏れ出ることはない。
【0007】なお、本実施例では胴部4と蓋部2がヒン
ジ3で一体化された脱栓キャップ1の例をを挙げ、これ
まで液漏れ構造を中心に説明したが、脱栓キャップのそ
の他の部分について次に概略説明する。注ぎ壁11で囲
まれた円状部分には、容器口を閉塞する密封底板部13
が形成されており、該密封底板部13には、他の部分よ
り周縁の厚さの薄い弱化線14が形成され、さらに、指
掛けリング12が外部上方に突出するように弱化線14
と一体に形成されている。該指掛けリング12を強く引
上げることによって弱化線14の周縁が密封底板部13
から切断され、弱化線14で囲まれた部分が除去され、
密封底板部13の一部が開口される。このように弱化線
14は、注ぎ口を形成するものであり、一般に円形、楕
円形、菱形、ひょうたん形等に形成される。一方、蓋部
2には、常時開口されている注ぎ壁11から液体が漏れ
ないように、外壁の内側面に所定間隔をあけて円筒状の
シール壁18が形成されている。シール壁18は、蓋部
2を胴部4に被冠した状態で、胴部4の注ぎ壁11の内
側に当接するように、その高さを対応させている。上述
した構成のキャップを固定した容器内の液体を注ぎ出す
場合には、容器を所定角度傾倒すれば自重により液体が
容器口へ流下し、弱化線14を除去することにより形成
される注ぎ口を介して注ぎ壁11から液体が注ぎ出され
る。さらに、元の状態に容器を戻すと、液体は注ぎ壁1
1および注ぎ口を逆流して容器内に流入する。そして、
液体を注ぎ出さないときには、蓋部2を胴部4に被冠す
ることにより、注ぎ壁11および注ぎ口からなる注出口
は閉塞される。
【0008】上記したような本発明の脱栓キャップの製
造について次に説明する。図12ないし図14に示すよ
うに、図中の矢印方向から従来慣用の金型を使用して脱
栓キャップはポリオレフィン例えばポリエチレン、ポリ
プロピレン等から一体に成形されるが、その際に、外筒
部5の弱化部8に相当する箇所に上下方向から所望形状
のピン21,22を挿入することにより、外筒部5の嵌
合環状部9に相当する部分に幅w1 で厚さd1 (図4お
よび図9参照)の第1の弱化部81と、その上部に連続
する幅w2 で厚さがd2 ないしd3 [d2 >d3 ,図示
の例では厚さd 3 となる近傍で厚さがd2 からd3 へ漸
減している(図4および図9参照)]の第2の弱化部8
2とからなる弱化部8を形成する。第2の弱化部82を
形成するための上側ピン21は、図13(B)に示すよ
うな、矩形に半円が結合された横断面形状を有する。こ
のようなピンを外筒部5の外側ないしは中実部に相当す
る箇所に挿入することにより、外筒部5の内面に形成さ
れる環状シール部10を中断することがなく、所望の厚
さの弱化部を成形することができる。なお、ここで、第
1の弱化部81および第2の弱化部82をそれぞれの厚
さとするために、上記ピン21,22とに適合した金型
部材が必要であることは容易に理解されるであろう。ま
た、説明の便宜のために、金型やピンの移動方向を上下
としたが、技術的に可能であれば、その方向は左右であ
っても、斜め方向であっても何ら差し支えない。
【0009】上述した構成の本発明の脱栓キャップを容
器口から取り外す作業を以下に説明する。最初に、把手
片15のめくり端部15bを固定端15a側に向かって
水平方向に引っ張ることによって把手片15の破断しや
すい上端の連結部16が破断される。連結部16が完全
に破断された後、更に外方に把手片15を引っ張ると、
縦方向の連結部17が容易に破断され、さらに把手片1
5を引っ張ると、まず第1の弱化部81が容易に破断さ
れ、次いで第2の弱化部82の極薄部82aが容易に破
断され、外筒部5自体が破断されて容易に容器口から外
れ、さらに引っ張ることにより、キャップ1全体を取り
外すことができる。これらの操作の際、特に強い力を要
することはない。以上詳述したように、本発明の脱栓キ
ャップの脱栓時には、把手片15を持って行うように説
明したが、連結部16,17および弱化部8を破断した
後、蓋部2を持って上方に引っ張ることにより脱栓キャ
ップを容器口から取り外してもよい。蓋部2は把手片1
5と比較して大きく握りやすいので、このような脱栓方
法にすると、より容易に脱栓キャップを容器口から取り
外しやすくなる。また、上記のように外筒部5外周に巻
回される把手片によらず、弱化部8近傍に適当形状の突
起を設けておき、該突起に力を負荷して、弱化部を破断
するようにすることもできる。このとき、該突起を打栓
時に弱化部を保護するように形成することは好ましい手
段である。なお、これまで蓋部2と胴部4とはヒンジ3
で連結されている例を示してきたが、本発明はこれに限
定されず、胴部4と蓋部2とが螺合されるものであって
よい。
【0010】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の脱栓キャッ
プの液漏れ防止構造は、容器口に嵌合する外筒部の内側
に形成した嵌合環状部の上部に環状シール部を、脱栓の
際に外筒部の一部を破断するための弱化部により分断さ
れることなく設けたことにより、容器口部の密閉性が向
上し、キャップと容器の隙間から容器内容物の漏出を確
実に防止する。また、外筒部の一部の厚さを薄くした弱
化部を、外筒部の下縁から上部に至る縦方向に設けたこ
とにより、外筒部の破断が容易となり、脱栓操作が極め
て簡単となった。上記弱化部は複数設けても、また単一
箇所であっても幅および/または厚さの異なるものを設
けたり、位置を少しずらして設けたりすることができ、
極めて多様な態様を採り得る。例えば外筒部下縁側の弱
化部を第1の弱化部、その上部を第2の弱化部とし(そ
れらの幅および/または厚さを異なるものとし)、左側
から右側方向に分断する力を負荷するならば、第2の弱
化部を第1の弱化部のわずかに左側にずらすことにより
(上記における左右はキャップの外部からみた場合の位
置関係を意味する)、外筒部の分断はより無理なく行う
ことができる。さらに、本発明の脱栓キャップの液漏れ
構造の製造は、上記弱化部に該当する箇所に上下方向か
ら適当なピンを挿入するだけで、従来慣用の金型を用い
て行うことができるので、極めて容易であり、設備投資
等をほとんどせずに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱栓キャップの一例を示す平面図であ
る。
【図2】図1に示す脱栓キャップの底面図である。
【図3】図1のIII−III線の断面図である。
【図4】図2のIV−IV線の断面図である。
【図5】図2のV−V線の断面図である。
【図6】図5のX方向からの矢視図(外筒部内面の正面
図)である。
【図7】図6のVII−VII線の断面図である。
【図8】図6のVIII−VIII線の断面図である。
【図9】図1に示す脱栓キャップの側面図である。
【図10】把手片の形状を示す概略図である。
【図11】容器口に嵌合された本発明の脱栓キャップを
示す断面図である。
【図12】本発明の脱栓キャップの製造工程を示す説明
図である。
【図13】本発明の脱栓キャップの要部である弱化部の
製造工程を示す説明図である。
【図14】本発明の脱栓キャップの要部である弱化部の
製造工程を示す図面であり、(A)は正面方向から示す
説明図であり、(B)は使用される上側ピンの横断面図
[(A)のB−B線の断面図]である。
【図15】脱栓機能を有する従来のキャップを示す断面
図である。
【図16】図15のキャップの一部を破断して示す平面
図である。
【符号の説明】
1 脱栓キャップ 2 蓋部 3 ヒンジ 4 胴部 5 外筒部 6 内筒部 7 嵌合溝 8 弱化部 81 第1の弱化部 82 第2の弱化部 82a 第2の弱化部の最薄部 9 環状嵌合部 10 環状シール部 11 注ぎ壁 19 環状凸部(内筒部の) 20 環状凸部(嵌合溝頂部の) 21 上側ピン 22 下側ピン 23 容器口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E084 AB01 BA03 CA01 CB01 CB02 CB04 CC04 CC05 DA01 DB01 DB13 DC04 DC05 FA09 FC07 GA06 GA08 GB06 GB08 GB17 HA03 HB02 HC03 HD03 HD04 KB01 LA03 LB02 4F202 AH13 AH57 CA11 CB01 CK11 CK41 CK81

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 注出口と、容器口に嵌合する外筒部およ
    び内筒部とで形成する嵌合溝を有する筒状の胴部と、該
    外筒部の一部を破断するために外筒部に設けた該外筒部
    の下縁から上部に至る縦方向の弱化部とを備えた合成樹
    脂製の脱栓キャップにおいて、 前記外筒部の内側に環状嵌合部とその上部に環状シール
    部を突設形成し、前記環状シール部を除けた状態で前記
    弱化部を設けたことを特徴とする脱栓キャップの液漏れ
    防止構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の脱栓キャップの液漏れ防
    止構造において、前記弱化部は、複数の肉薄部により構
    成したことを特徴とする脱栓キャップの液漏れ防止構
    造。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の脱栓キャップの液漏れ防
    止構造において、前記弱化部は、前記外筒部の下縁から
    前記環状嵌合部を横切る第1の弱化部と、前記外筒部の
    外側または中実部側から形成された、前記外筒部の上方
    から前記環状シール部および前記環状嵌合部の上部の背
    面部に至る第2の弱化部とで構成したことを特徴とする
    脱栓キャップの液漏れ防止構造。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の脱栓キャップの液漏れ防
    止構造において、前記弱化部は、前記外筒部の下縁から
    前記環状嵌合部を横切る第1の弱化部と、前記外筒部の
    外側または中実部側から形成された、前記外筒部の上方
    から前記環状シール部および前記環状嵌合部の上部の背
    面部に至る第2の弱化部とで構成し、前記第1の弱化部
    の上端と前記第2の弱化部の下端とは肉薄部を介して近
    接していることを特徴とする脱栓キャップの液漏れ防止
    構造。
  5. 【請求項5】 注出口と、容器口に嵌合する外筒部およ
    び内筒部とで形成する嵌合溝を有する筒状の胴部と、該
    外筒部の内側に形成された環状嵌合部およびその上部に
    形成された環状シール部と、前記外筒部の一部を破断す
    るために前記外筒部に設けた前記外筒部の下縁から上部
    に至る縦方向の弱化部とを備えた合成樹脂製の脱栓キャ
    ップを金型にて製造するに際し、 前記外筒部の内側下縁から前記環状嵌合部を横切る第1
    の弱化部を金型と下方から挿入されるピンとで形成し、
    第2の弱化部を金型と上方から環状嵌合部の上部の背面
    部に至る付近まで挿入されるピンとで形成し、外筒部に
    第1および第2の弱化部を形成することを特徴とする脱
    栓キャップの液漏れ防止構造を製造する方法。
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