JP2001341453A - 感熱孔版印刷用マスタ及びその製造方法 - Google Patents

感熱孔版印刷用マスタ及びその製造方法

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JP2001341453A
JP2001341453A JP2000165016A JP2000165016A JP2001341453A JP 2001341453 A JP2001341453 A JP 2001341453A JP 2000165016 A JP2000165016 A JP 2000165016A JP 2000165016 A JP2000165016 A JP 2000165016A JP 2001341453 A JP2001341453 A JP 2001341453A
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porous layer
resin
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Fumiaki Arai
文明 新井
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Tohoku Ricoh Co Ltd
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Ricoh Co Ltd
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 延伸された熱可塑性樹脂フィルム上にインク
透過性多孔層を有する感熱孔版印刷用マスタにおいて、
インク透過性多孔層が前記フィルム上にガラス転移温度
(Tg)が80℃以上の樹脂流動体を塗布乾燥させて形
成させたものであることを特徴とする感熱孔版印刷用マ
スタ及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 延伸された熱可塑性樹脂フィルム上に、
ガラス転移温度(Tg)が80℃以上の樹脂流動体を塗
布乾燥させて形成させたインク透過性多孔層を有するこ
とを特徴とする感熱孔版印刷用マスタ。溶剤中にTgが
80℃以上の樹脂が溶解している油中水滴(W/O)型
エマルジョンを、延伸された熱可塑性樹脂フィルム上、
又は機能性薄膜を設けた延伸された熱可塑性樹脂フィル
ム上に塗布乾燥させてインク透過性多孔層を形成するこ
とを特徴とする感熱孔版印刷用マスタの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、延伸された熱可塑
性樹脂フィルム(フィルム)上にインク透過性の多孔層
を形成し、フィルムに画像信号に従った熱穿孔を施し、
穿孔よりインクを浸出させて紙に画像を設けるための感
熱孔版印刷用マスタ及びその製造方法に関する。さらに
詳しくは、上記インク透過性の多孔層が流動体を塗布乾
燥させて形成されたものであることを特徴とする。
【0002】
【従来の技術】フィルムにインキ透過性支持体として多
孔性薄葉紙、不織シートなどを接着剤で貼り合わせ、且
つフィルム表面にサーマルヘッドとのステイック防止の
ためのステイック防止層を設けたマスタが知られてい
る。実際上、多孔性支持体として麻繊維、合成繊維、木
材繊維などを混抄したものにフィルムを接着剤で貼り合
わせ且つフィルム表面にシリコンオイル等からなるステ
イック防止層を設けたマスタが広く用いられている。し
かしこうした従来のマスタには次のような問題点があっ
た。 (1)繊維の重なった部分とフィルムが接する部分に接
着剤が大量に、鳥の水掻き状に集積し、その部分のサー
マルヘッドによる穿孔が行われにくくなる。またその部
分がインクの通過を妨げ、印刷ムラが発生する。 (2)繊維自体がインクの通過を妨げ、印刷ムラが発生
する。 (3)多孔性支持体などが高価であり、またラミネート
加工によるロスも大きく、マスタが高価となる。 (4)印刷された紙が重なると、インクがその上に重な
った紙の裏面に付着する、裏移りが発生する。
【0003】こうした点を配慮して幾つかのマスタが提
案されている。例えば、特開平3−193445号公報
には、繊度1デニール以下の極細繊維を用いたインキ透
過性支持体が開示されている。これによれば前記
(2)、(4)の問題点は解決されるが(1)、(3)
の問題点は残されている。特開昭54−33117号公
報には、支持体を用いない、実質的にフィルムのみから
なるマスタが開示されており、これによれば前記の問題
点は全て解決されるが、その一方でマスタのコシの弱さ
からくる搬送性の不具合という新たな問題が生じてい
る。これらの問題の解決手段として、本願発明者等によ
る特開平10−24667号公報には、樹脂、その良溶
媒、貧溶媒を含む流動体をフィルムに塗布、乾燥し多孔
層を形成したマスタが開示されている。この混合液は乾
燥過程においてその良溶媒の蒸発による相対的な貧溶媒
の増加、液の濃縮などにより樹脂が析出し、乾燥して糸
瓜状の三次元網状構造体よりなる多孔膜がフィルム上に
形成される。同じく本願発明者等による平成9年12月
4日出願の明細書に記載の発明にはW/O(油中水滴)
型エマルジョンを主体とした流動体をフィルム上に塗
布、乾燥して水滴部分が孔となった多孔層を形成したマ
スタが開示されている。これら流動体を塗布、乾燥し多
孔層を形成したマスタはそれまで知られたマスタより優
れており、問題はほとんど発生しないが、大面積のベタ
製版などがおこなわれた場合、たるみシワが発生し、印
刷画像が変形したり、収縮したりして異常画像が発生し
たりすることを完全には防ぐことはできなかった。
【0004】たるみシワが発生する大きな要因は、フィ
ルムに熱感度をもたせるための2軸延伸にある。勿論延
伸のないフィルムではたるみシワは発生しにくいが、熱
感度が小さく、実用性がない。延伸されているフィルム
の熱穿孔近傍部分において製版の熱の影響により2軸延
伸で発生した潜在応力が一部解放されて応力が発生し、
穿孔部分と、熱の影響を受けない非穿孔部分の力学的バ
ランスがくずれて穿孔部分付近にのみ縮みを生じるた
め、たるみシワが発生するものと推定される。たるみシ
ワは上述のごとく製版部分と非製版部分の寸法差により
発生し、その境界付近が特に著しく、伸縮し波状のたる
みシワとなる。フィルムに接して和紙様の公知の支持体
がある場合は支持体がフィルムの縮みの発生を押さえて
いた。しかしながらフィルム上に流動体を塗布乾燥させ
てインク透過性多孔層を形成させてなるマスタではその
能力が不十分であり、一方、該能力を持たせるほど多孔
層の付着量を大きくするとインク通過が阻害されて画質
が低下した。
【0005】フィルムのみからなるマスタのたるみシワ
の解決のために、特開平6−198833号公報では、
製版時点でフィルムに対しその搬送方向に一定の張力を
与える提案が開示されているが、適正範囲は狭く、穿孔
面積、穿孔の位置、雰囲気温度によって適正な張力は変
化し、効果はやや不十分である。例えばある条件で適当
な張力では、雰囲気温度が上がると穿孔部分は非穿孔部
分より伸びてしまい、たるみシワが発生した。また、特
許第2856632号掲載公報では、製版直後のマスタ
をプラテンローラに押し付ける押圧ローラを有する製版
装置が提案されているが、製版面積が小さかったり、ベ
タ画像のない文字だけの製版ではある程度の効果を示し
たが完全なものではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の実情に鑑みてなされたもので、熱可塑性樹
脂の流動体を塗布、乾燥し多孔層を形成したマスタをレ
ーザ光、サーマルヘッド等を用いて熱製版する場合に生
起するたるみシワ発生の問題を解決し、優れた画質の印
刷画像が得られ、熱製版時にたるみシワの発生しない感
熱孔版印刷用マスタ(マスタ)及び感熱孔版印刷用マス
タ(マスタ)の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、延伸され
たフィルム上に流動体を塗布乾燥させて多孔層を形成し
たマスタの熱穿孔時点の収縮により発生するたるみ、シ
ワ等について検討した結果、多孔層を構成する樹脂のガ
ラス転移温度(Tg)が80℃以上であればこのたるみ
シワが発生しないことを確認した。そのメカニズムは明
確でないが、穿孔に際しフィルムの多孔層と反対側に印
加される熱が多孔層に影響し、Tgが80℃以下の樹脂
は軟化してフィルムの変形を抑えきれなくなるものと推
定される。本発明は、上記技術的知見を基に、上記課題
を解決するために、下記の感熱孔版印刷用マスタ、及び
その製造方法を提供しようとするものである。本発明の
第1は、延伸された熱可塑性樹脂フィルム上にインク透
過性多孔層を有する感熱孔版印刷用マスタにおいて、イ
ンク透過性多孔層が前記フィルム上にガラス転移温度
(Tg)が80℃以上の樹脂流動体を塗布乾燥させて形
成させたものであることを特徴とする感熱孔版印刷用マ
スタにある。本発明の第2は、インク透過性多孔層を構
成する樹脂が、ポリビニルアセタール及び/又はポリビ
ニルホルマールであることを特徴とする上記第1の感熱
孔版印刷用マスタにある。本発明の第3は、ガラス転移
温度(Tg)が80℃以上の樹脂流動体が架橋剤を含有
するものである上記1〜2の感熱孔版印刷用マスタにあ
る。本発明の第4は、延伸された熱可塑性樹脂フィルム
とインク透過性多孔層の間に機能性薄膜を設けたことを
特徴とする上記1〜3の感熱孔版印刷用マスタにある。
本発明の第5は、溶剤中にTgが80℃以上の樹脂が溶
解している油中水滴(W/O)型エマルジョンを、延伸
された熱可塑性樹脂フィルム上、又は機能性薄膜を設け
た延伸された熱可塑性樹脂フィルム上に塗布乾燥させて
インク透過性多孔層を形成することを特徴とする感熱孔
版印刷用マスタの製造方法にある。本発明の第6は、T
gが80℃以上の樹脂を該樹脂に対する良溶媒に溶解
し、さらに該樹脂溶液に該樹脂の貧溶媒を添加してなる
流動体を、延伸された熱可塑性樹脂フィルム上、又は機
能性薄膜を設けた熱可塑性樹脂フィルム上に塗布乾燥さ
せてインク透過性多孔層を形成することを特徴とする感
熱孔版印刷用マスタの製造方法にある。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施形態を示し、
本発明を具体的に説明する。本発明の感熱孔版印刷用マ
スタは、熱製版時の製版部分と非製版部分の寸法差は当
然ながら小さいほうが望ましく、好ましくは1%以下、
更に好ましくは0.5%以下が望ましい。そのために本
発明の構成要件以外に公知の技術を採用しても良い。例
えば、特開平6−198833号公報に開示されている
ように、原版フィルムに対してその副走査方向に一定の
引張り力を与えるとか、引張り力を原版フィルムの製版
前方方向、あるいは前記の引張り力が原版フィルムの製
版後方方向にも与えるとかの手段を併用することが望ま
しい。
【0009】本発明の感熱孔版印刷用マスタのインク透
過性多孔層は各種樹脂溶液、エマルジョン等をフィルム
に塗布、乾燥することにより設けることができる。イン
ク透過性多孔層を形成する樹脂としては、Tg(ガラス
転移温度)が80℃以上のものであることが必要であ
る。Tgが80℃以下ではたるみシワをなくすために付
着量が大きくなり、画質、コスト、環境保全の点で好ま
しくない。多孔層のTgが80℃以上の樹脂としては、
例えばポリスチレン及びその共重合体(以下同じ)、誘
導体(以下同じ)、ポリビニルベンゼン、ポリビニルピ
ロリドン、ポリビニルカルバゾル、ポリアリルベンゼ
ン、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポ
リビニルアセテート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセ
タール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリ
アクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチル
メタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリイ
ソプロピルメタクリレート、ポリターシャリーブチルメ
タクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカー
ボネート、ポリアミド、エチルセルロース、セルロース
アセテート、シリコン樹脂等であり、これらは2種以上
を混合して用いてもよい。特にポリビニルホルマール、
ポリビニルアセタールが画質、塗布のし易さ、フィルム
との接着性などの点で特に好ましい。ただし、本発明に
適用されるのは同じ名称の樹脂でも分子量、構造の面か
らTg(ガラス転移温度)が80℃以上のものに限られ
る。本願発明者等による特開平10−24667号公報
等に記載されている樹脂はすべてTgが80℃未満のも
のである。また、各種架橋剤を多孔層形成用塗布液に混
合したものを塗布乾燥し、架橋してもよい。架橋剤とし
ては、メラミン化合物、尿素化合物、フェノール化合
物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物(ポリイソ
シアネートとしては2、4−tolylene dii
socyanate,2,6−tolylene di
isocyanate, Diphenylmetha
ne−4,4’−diisocyanate, Pol
ymethylene polyphenylpoly
isocyanate, Hexamethylene
diisocyanate,及びこれらの変性体、混
合物など)、アルデヒド化合物などが用いられる。架橋
促進剤(例:メラミン化合物に塩化アンモニュウム、塩
化第二スズなど)も添加できる。
【0010】多孔層の特性を変えるために各種無機、有
機顔料を加えることが出来る。特に好ましいのは、円に
換算した場合の直径が0.1〜5μm且つ長さが直径の
3倍以上1mm以下の繊維状物質又は板状物質である。
直径が0.1μmより小さいと分散や取り扱いが面倒で
あり、価格も高い。また5μmより大きいとフィルム面
の平滑度が悪くなる。長さが直径の3倍より小さいとた
るみシワを防ぐ効果が小さく、1mmより大きいと分散
し難くなる。例えばタルク、カオリン、シリカ、シリカ
ゲル、コロイダルシリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム、水酸化カルシウム、酸化亜鉛、二酸化チタン、
硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウ
ム、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ゼオライト、アルミナ、アル
ミナゾル、カーボンブラック、セピオライト(ケイ酸マ
グネシウム)、水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミニウ
ム、チタン酸カリウム、ウオラストナイト、ゾノライ
ト、石膏繊維、非酸化物系針状ウイスカ、酸化物系ウイ
スカ、複酸化物系ウイスカ、カーボンファイバー、ガラ
ス繊維、等の無機顔料、ポリメチルメタクリレート、ポ
リスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、アミノ樹脂、スチレン−メタ
クリル酸樹脂、ポリエステル繊維、アクリル繊維、等の
有機顔料などから条件に合うものを選択する。顔料の樹
脂に対する添加量には特に制約はない。樹脂1重量部に
対し顔料10部を超えると塗布面から顔料が脱落してサ
ーマルヘッドの発熱体に接しフィルムに非穿孔のスジと
なって現れることがあるので顔料が脱落することの無い
ように注意が必要である。ただし、以上の例示材料は例
示にすぎず、これ以外の材料であっても所期の効果を奏
しえるものであれば任意の材料を使用することができ
る。
【0011】本発明によるW/Oエマルジョンでは沸点
が130℃以下の溶剤を50重量%以上含む溶剤を用い
ないと望ましい多孔膜の形成が困難となる。本発明にお
いて、W/Oエマルジョンの形成に好適に用いられる溶
剤の例として、塩化メチレン、クロロホルム、酢酸エチ
ル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、四塩化炭素、シク
ロヘキサン、ヘキサン、ペンタン、ベンゼン、MEK,
トルエン等あげられる。エマルジョンの水系を純水より
も増粘させるとエマルジョンが安定し、壊れにくくな
る。粘度は塗布時の液温で、10〜500センチポアズ
である。10センチポアズより小さいとエマルジョン安
定化の効果が小さく、500センチポアズを越えると乾
燥が遅くなり、生産効率が悪くなる。この増粘手段とし
ては、水溶性化合物の添加が好適に用いられる。上記水
溶性化合物の例としては、ポリビニルアルコール、カル
ボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸、
ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン等が用
いられる。W/Oエマルジョン塗布液の調整は、まず油
相として溶剤に顔料、樹脂、界面活性剤を溶解、分散し
これを撹袢しながら水に必要に応じて所定量の前記増粘
剤を溶解した水相を添加する。帯電防止剤、ステイック
防止剤(多孔層の塗布面はサーマルヘッドの接する面と
反対側にあるが、ロールにした場合両面が接してステイ
ック防止剤がフィルム面に移行して機能する場合があ
る。またサーマルヘッドの接する面からの移行を防ぐ効
果もある)、防腐剤、消泡剤、改質剤などを併用するこ
とができる。
【0012】本発明のエマルジョンにより形成される多
孔膜は、W/O型エマルジョンを主体とする流動体をフ
ィルム上に直接又はフィルム上に塗布、乾燥して形成さ
れるものであり、主として水の部分が乾燥後にインクが
通過する孔(顔料などが存在する場合もある)となり、
溶剤中の樹脂(フィラー、乳化剤等の添加物が含まれて
いてもよい)が構造体となる。本発明の流動体をフィル
ムに塗布すると、フィルムと多孔層の境界面に塗布液に
含まれる樹脂の薄膜が形成される場合がある。サーマル
ヘッド等による穿孔熱感度への悪影響が懸念されるが、
実際はほとんど影響しないことが判明している。これは
薄膜の厚さがフィルムの厚さに比べて小さいことが主な
る理由と推定される。該薄膜がいかなるメカニズムによ
って形成されるのかは不明であるが、乾燥時に樹脂の溶
剤及び水が表面から蒸発するに従い、フィルム面を一様
に濡らしていた連続相を形成する樹脂溶液から溶剤が次
第に減少してそのまま樹脂薄膜を形成するものと推定さ
れる。フィルムへの塗布は、公知のダイ、ロール、ブレ
ード、ワイヤバ、グラビア、等のヘッドを有するコータ
で行われる。付着量は、通常、厚さ2μmの2軸延伸ポ
リエステルの場合、実用上、乾燥後で1〜15g/
2、より多く適用される場合の範囲は3〜10g/m2
である。1g/m2より小さいと効果が小さく、15g
/m2より大きいと画質、コスト等の面で好ましくな
い。前記塗布量は、Tgの高い「硬い」材料では「柔ら
かい」材料より小さい付着量でたるみシワ防止に有効で
ある。
【0013】フィルムに塗布する流動体としてエマルジ
ョンの例を上げたが、流動体の性状を有するものであれ
ば、本発明では別に上述のようなエマルジョンに限定さ
れない。例えば、特開平10−24667号公報には、
樹脂、その良溶媒、貧溶媒を含む流動体をフィルムに塗
布、乾燥し多孔層を形成したマスタが開示されている
が、本発明のマスタの多孔層は、この製造方法によって
も形成することができる。この製造方法においては、前
記の混合液は乾燥過程においてその良溶媒の蒸発による
相対的な貧溶媒の増加、液の濃縮などにより樹脂が析出
し、乾燥して三次元の網状構造体よりなる多孔膜がフィ
ルム上に形成される(析出法)。この析出法に使用され
る良溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコー
ルイソプロピルアルコール、メチルエチルケトン等の沸
点が100℃以下のものが好適に用いることが出来る。
又、この製造方法で使用される貧溶媒としては、樹脂に
対する溶解性が低く、前記良溶媒より沸点が高いもので
あれば特に限定されるものではないが、水がもっとも好
適である。
【0014】熱可塑性樹脂フィルムとしては延伸された
厚さ0.5〜5μmのポリエステルが好適に用いられ
る。0.5μmより小さいと多孔層加工、印刷機での搬
送が困難であり面積当たりのコストも高くなる。5μm
を越えると熱感度が小さくなる。また、環境保全の立場
から各種生分解性高分子、例えばセルロース、タンパク
質、天然ゴム、微生物ポリエステル、微生物多糖類、脂
肪族ポリエステル、ポリグルコール酸、ポリ乳酸、環状
エーテルポリエステル、メタクリル酸エステル樹脂、ポ
リエーテル、ポリビニルアルコール等が用いられても良
い。
【0015】穿孔手段としてはサーマルヘッド、レーザ
の熱エネルギが用いられる。サーマルヘッドの場合、サ
ーマルヘッドの接するフィルム面に公知のシリコン化合
物、ふっ素化合物、ワックス、脂肪酸等のステイック防
止剤が、必要に応じて帯電防止剤等と共に加工されてい
ることが望ましい。レーザの場合、フィルムがレーザエ
ネルギを効率よく熱に変換するするためにその波長域に
吸収を有する物質でフィルムのレーザ照射面側及び/又
は反対面側が加工されていることが望ましい。波長が6
00〜1200nmのレーザの場合、シアニン色素、フ
タロシアニン色素、スチリル色素、等の色素、カーボン
ブラック、グラファイト、金属炭化物、酸化鉄、チタン
ブラック、磁性体粉末、等を必要に応じて樹脂などのバ
インダとともに用いることが出来る。特にカーボンブラ
ックが効果的である。
【0016】本発明は、フィルムとインク透過性多孔層
の間に接着性及び剛度の改良等を目的として、機能性薄
層を設けても良い。フィルム上に設けられる機能性薄層
の樹脂材料としては、例えばポリエステル樹脂、ポリー
テル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビ
ニルブチラール、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、
塩化ビニル−塩化ビニリデンコポリマー、塩化ビニル−
アクリロニトリルコポリマー、スチレン−アクリロニト
リルコポリマー、等のようなビニル系樹脂、ポリブチレ
ン、ナイロン等のポリアミド、ポリフェニレンオキサイ
ド、(メタ)アクリル酸エステル、ポリカーボネート、
これらの共重合体、混合物、変性体などが用いられる。
これらの樹脂の中でも特にポリエステルポリオール、ポ
リエーテルポリオールが好ましい。さらに好ましくは軟
化点が60℃〜150℃のポリエステルポリオール、ポ
リエーテルポリオールとポリイソシアネートとの混合物
である。ここでOH/NCOは1/0.1〜1/20の
範囲であるが、必要特性に応じて自由に選択すれば良
い。更に本発明の効果を阻害しない範囲で、前記機能性
薄層中には、各種フィラー、帯電防止剤、ステイック防
止剤、界面活性剤、防腐剤、消泡剤、改質剤などを併用
することができる。機能性薄層の乾燥後の厚さは0.0
1μm以上、0.8μm以下が好ましく、さらには0.
03μm以上、0.2μm以下がより好ましい。薄層の
乾燥後の厚さが0.01μmより小さいと接着性、コ
シ、カールに対する改善効果が小さく、0.8μmを越
えると熱穿孔感度に悪影響を及ぼす。薄層の材料、乾燥
後の厚さは、いくつかの実験で決定する。すなわち、目
的とする接着性、画質等を考慮して適切な薄層の乾燥付
着量(厚み)にする。厚さの測定が直接には困難な場合
には重量と比重から計算によりもとめる。
【0017】製版、印刷品質はPRIPORT VT
3820システムを用いて試験した。 製版寸法差異:20×20cmのベタ画像を製版し寸法
を測定した。 たるみシワ:認められないもの○、軽度に認められるも
の△、ひどいもの×で示す。 穿孔感度:マスタのフィルム部分がサーマルヘッドによ
って、全く正常に穿孔されるものを○、穿孔されるが部
分的に穿孔径が小さくなるものを△、部分的に穿孔され
ない物を×で示す。 印刷濃度:20枚目の印刷画像をマクベス濃度計にて測
定。 画質:印刷物を肉眼で観察し、現行マスタ(リコー社
製、VT−2マスタ)よりも優れるものを〇、現行マス
タと同等のものを△、現行マスタよりも劣るものを×、
で示す。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を示す。なお、下記各
実施例の成分量は重畳部である。
【0019】 実施例1 油相 ポリビニルアセタール(電気化学工業社製,5000−A.Tg93℃) 2.5重量部 タルク 1.0 酢酸エチル 30.0 ソルビタンモノオレエート(東邦化学社製、ソルボンS80) 0.15 水相 ヒドロキシエチルセルロース 0.2 水 18.0 上記水相を油相に添加して高速ホモミキサを用いて更に
分散、W/O型のエマルジョンを作成した。これを25
℃50%RHの雰囲気中で、厚さ2.0μmの2軸延伸
ポリエステルフィルム上にダイコーターにて乾燥後付着
量が6.0g/m2となるように塗布乾燥し、多孔層を
形成した。塗布速度は10m/分、乾燥温度は60℃で
あった。フィルムの多孔層を形成したのと反対面に、シ
リコンとノニオン系帯電防止剤の混合物を、乾燥後の付
着量が0.05g/m2になるように塗布し、マスタを
得た。
【0020】実施例2 実施例1においてポリビニルアセタールとして積水化学
工業社製エスレックKS−1(Tg110℃以上)1.
25重量部、エスレックKS−3Z(Tg110℃以
上)1.25重量部の混合物を用いた他は実施例1と同
様にして、多孔層の乾燥後付着量が5.7g/m2のマ
スタを得た。
【0021】実施例3 実施例1においてタルクの代わりにセピオライトを用い
た。乾燥後付着量が5.4g/m2。他は実施例1と同
じである。
【0022】実施例4 厚さ2.0μmの2軸延伸ポリエステルフィルム上に、
以下に示す多孔層形成用W/O型エマルジョンを塗布乾
燥した他は実施例1と同様にして多孔層の乾燥後付着量
が6.2g/m2のマスタを得た。 油相1 ポリビニルアセタール樹脂 エスレックKS−1(積水化学工業社製,Tg110℃以上) 1.0重量部 エスレックKS−3Z(積水化学工業社製,Tg110℃以上)1.0 タルク 1.0 酢酸エチル 15.0 ポリイソシアネート 0.125 油相2 ポリビニルアセタール樹脂 エスレックKS−1(積水化学工業社製,Tg110℃以上)0.25重量部 エスレックKS−3Z(積水化学工業社製,Tg110℃以上)0.25 酢酸エチル 15.0 ソルビタンセスキオレエート 0.1 エーテル変性シリコーンオイル 0.1 水相 ヒドロキシエチルセルロース1%水溶液 20.0 油相1、油相2を各々分散溶解し、油相2へ攪拌しなが
ら水相を少しずつ添加して乳化する。この乳化液を油相
1へ攪拌しながら添加し、多孔層形成用W/O型エマル
ジョンを得た。
【0023】実施例5 厚さ2.0μmの2軸延伸ポリエステルフィルム上に、
以下に示す乾燥後の付着量が0.02g/m2の機能性
薄層を設けた他は実施例2と同様にして多孔層の乾燥後
付着量が5.7g/m2のマスタを得た。 機能性薄層処方 ポリエステルポリオール30%酢酸エチル溶液 (東洋紡社製、バイロン50AS) 3.0重量部 ポリイソシアネート75%酢酸エチル溶液 0.3 酢酸エチル 10 トルエン 102.7
【0024】実施例6 実施例5と同じ機能性薄層を有する、厚さ2.0μmの
2軸延伸ポリエステルフィルムの機能性薄層上に、以下
に示す多孔層を設けた他は実施例1と同様にして、多孔
層の乾燥後の付着量が6.2g/m2のマスタを得た。 多孔層処方 ポリビニルアセタール樹脂 エスレックKS−1(積水化学工業社製,Tg110℃以上)1.25重量部 エスレックKS−3Z(積水化学工業社製,Tg110℃以上)1.25 チタン酸カリウム(大塚製薬社製、ティスモD) 1.25 エチルアルコール 19.1 水 2.1
【0025】比較例1 実施例1においてポリビニルアセタールとして電気化学
工業社製,3000−K.Tg67℃を用いた。乾燥後
付着量が7.9g/m2、他は実施例1と同じ。 比較例2 比較例1とおなじ。ただし乾燥後付着量が18.4g/
2
【0026】
【表1】 以上の如く、比較例1ではTgが低いことに起因するた
るみシワが発生し画像に歪みが生じた。比較例2では多
孔層の付着量を大きくしたが、インク通過が阻害され画
像に白点が多く発生した。また、比較例2では沸点の1
40℃のキシレンをもちいたところ、良好な多孔膜が形
成されなかった。実施例1〜6ではたるみシワも生じる
ことなく、画質、裏移りもよかった。
【0027】
【発明の効果】本発明によると、すぐれた画質、少ない
裏移り特性を保持しつつ、かつ目的とするたるみシワの
発生し難いマスタ、及び該マスタの製造方法が提供され
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H114 AB23 AB25 BA01 BA06 BA10 DA43 DA49 DA51 DA61 DA79 EA02 EA04 EA08 FA08 GA34 GA38 4D075 CA35 DA04 DA06 DB31 DC16 DC27 EA13 EB19

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 延伸された熱可塑性樹脂フィルム上にイ
    ンク透過性多孔層を有する感熱孔版印刷用マスタにおい
    て、インク透過性多孔層が前記フィルム上にガラス転移
    温度(Tg)が80℃以上の樹脂流動体を塗布乾燥させ
    て形成させたものであることを特徴とする感熱孔版印刷
    用マスタ。
  2. 【請求項2】 インク透過性多孔層を構成する樹脂が、
    ポリビニルアセタール及び/又はポリビニルホルマール
    であることを特徴とする請求項1記載の感熱孔版印刷用
    マスタ。
  3. 【請求項3】 ガラス転移温度(Tg)が80℃以上の
    樹脂流動体が架橋剤を含有するものである請求項1又は
    2に記載の感熱孔版印刷用マスタ。
  4. 【請求項4】 延伸された熱可塑性樹脂フィルムとイン
    ク透過性多孔層の間に機能性薄膜を設けたことを特徴と
    する請求項1〜3のいずれかに記載の感熱孔版印刷用マ
    スタ。
  5. 【請求項5】 溶剤中にTgが80℃以上の樹脂が溶解
    している油中水滴(W/O)型エマルジョンを、延伸さ
    れた熱可塑性樹脂フィルム上、又は機能性薄膜を設けた
    延伸された熱可塑性樹脂フィルム上に塗布乾燥させてイ
    ンク透過性多孔層を形成することを特徴とする請求項1
    〜4のいずれかに記載の感熱孔版印刷用マスタの製造方
    法。
  6. 【請求項6】 Tgが80℃以上の樹脂を該樹脂に対す
    る良溶媒に溶解し、さらに該樹脂溶液に該樹脂の貧溶媒
    を添加してなる流動体を、延伸された熱可塑性樹脂フィ
    ルム上、又は機能性薄膜を設けた熱可塑性樹脂フィルム
    上に塗布乾燥させてインク透過性多孔層を形成すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の感熱孔版
    印刷用マスタの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006188034A (ja) * 2004-12-09 2006-07-20 Tohoku Ricoh Co Ltd 感熱孔版印刷用マスター及びその製造方法
JP2006312296A (ja) * 2005-04-04 2006-11-16 Tohoku Ricoh Co Ltd 感熱孔版印刷用マスター及びその製造方法

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