JP2001340020A - ピ−マンの二品種側枝多本仕立苗 - Google Patents

ピ−マンの二品種側枝多本仕立苗

Info

Publication number
JP2001340020A
JP2001340020A JP2000163990A JP2000163990A JP2001340020A JP 2001340020 A JP2001340020 A JP 2001340020A JP 2000163990 A JP2000163990 A JP 2000163990A JP 2000163990 A JP2000163990 A JP 2000163990A JP 2001340020 A JP2001340020 A JP 2001340020A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seedlings
seedling
cotyledons
grafted
grafting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000163990A
Other languages
English (en)
Inventor
Sadaichi Sato
貞一 佐藤
Eiji Ichihashi
映二 市橋
Eiji Takaoka
英治 高岡
Haruki Sayama
春樹 佐山
Eiji Ishimura
英二 石村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Del Monte Corp
Original Assignee
Nippon Del Monte Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Del Monte Corp filed Critical Nippon Del Monte Corp
Priority to JP2000163990A priority Critical patent/JP2001340020A/ja
Publication of JP2001340020A publication Critical patent/JP2001340020A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cultivation Of Plants (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】容積の小さいサイズのポットを用い、少ない培
養土、少ない床面積で、短い育苗時間で、大量に作出す
ることができ、また接木活着率の高いピ−マンの二品種
側枝多本仕立苗を得る。 【解決手段】子葉及び複数の本葉を有する二品種の穂木
苗を使用し、それぞれ子葉と第一本葉の間の茎を1箇所
切断し、下段部と上段部に分け、その一方の品種の下段
部に他方の品種の上段部を接木し、その接木で残った一
方の品種の上段部を他方の品種の下段部に接木して、接
木苗を作成し、いずれの接木苗も上段部の第二本葉より
上側を摘芯し、下段部及び上段部のそれぞれの子葉及び
本葉の付根から側枝を発生させ伸長させてピ−マンの二
品種側枝多本仕立苗を得る。また、子葉及び複数の本葉
を有する二品種の穂木苗と、台木苗を使用し、該穂木苗
の子葉と第一本葉の間及び子葉の直下をそれぞれ切断し
て、子葉を有する穂木を品種毎に作成し、これらを台木
苗に直列に接木し、それぞれの品種の子葉の付根から側
枝を発生させ伸長させてピ−マンの二品種側枝多本仕立
苗を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、一株で色や、形状
の異なる二種類の果実を多量に収穫できる接木苗、とく
に容積の小さいサイズのポットを用い、少ない培養土、
少ない床面積で、短い育苗時間で、大量に作出すること
ができ、また接木活着率の高いピ−マンの二品種側枝多
本仕立苗に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、図3に示す如く、かなり成長した
台木苗を用い、この成長点を摘芯し、葉の付根から出る
腋芽をとり葉腋にツマ楊枝で穴をあけ、いろいろな品種
の苗を胚軸の先を尖らせてさし込み、一株に橙、桃、黄
のトマトを成らせることのできるトマト苗の作出法が知
られている(森俊人著「まるごと楽しむトマト百科」社
団法人、農山漁村文化協会、’96年9月20日発行、
第28〜29頁参照)。しかし、一株に異なる品種の果
実を成らせることのできるピ−マン苗の作出法は知られ
ていない。
【0003】一方、図3に示すトマト苗の作出法におい
て、トマトに代えてピ−マンを用いようと努力しても、
台木として、かなり成長した苗を使用するので、大苗に
するための大きなサイズのポットを必要とし、それに伴
い培土量が多くなり、床面積のスペースが広く、育苗期
間も長くかかり、また穂木を台木苗の葉の付根に設けた
穴に差し込む場合、差込穴の幅、深さ加減で台木苗と穂
木の密着具合が左右され、接木活着率が悪い問題を有す
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、容積の小さ
いサイズのポットを用い、少ない培養土、少ない床面積
で、短い育苗時間で、大量に作出することができ、また
接木活着率の高いピ−マンの二品種側枝多本仕立苗を得
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、赤ピ−マ
ン又は黄色ピ−マンを収穫できるピ−マン苗(穂木苗)
を、それぞれ容積の小さなセルを碁盤の目状に並んで有
する育苗トレイで別々に大量に育て、そのまま育苗トレ
イ上で、子葉及び複数の本葉を有する苗に育苗した。そ
して、それぞれ子葉と第一本葉の間の茎を1箇所切断
し、下段部(台木苗)と上段部(穂木)に分け、その赤
ピ−マンの品種の下段部(台木苗)に黄色ピ−マンの品
種の上段部(穂木)を接木し、その接木で残った赤ピ−
マンの品種の上段部(穂木)を黄色ピ−マンの品種の下
段部(台木苗)に接木して、接木苗を作成し、いずれの
接木苗も上段部(穂木)の第二本葉より上側の茎を摘芯
し、下段部(台木苗)及び上段部(穂木)のそれぞれの
子葉、第一本葉及び第二本葉の付根から側枝を発生させ
て伸長させた。また子葉及び複数の本葉を有する赤ピ−
マンの穂木苗及び黄色ピ−マンの穂木苗と、台木苗を育
苗し、該穂木苗の子葉と第一本葉の間及び子葉の直下を
それぞれ切断して、子葉を有する、赤ピ−マンの穂木及
び黄色ピ−マンの穂木を作成し、これらを台木苗に直列
に接木し、それぞれの穂木の子葉の付根から側枝を発生
させて伸長させた。そして、このように処理することに
より、一株のピ−マン苗で二品種の果実、例えば赤ピ−
マンと黄色ピ−マンが成るピ−マン苗が簡便に、効率良
く、しかも大量生産できることを知った。また育苗トレ
イ上で接木ができるので接木の効率が高く、またキュウ
リモザイクウイルスの弱毒ウイルスを接種しようとする
場合、穂木苗及び台木苗のうち一つの苗に接種するだけ
でよいので、通常の接木苗作成の1/2、又は1/3の
使用量で済み、さらに狭いガーデンでの菜園であっても
一株の苗で二品種の果実、例えば赤色果実、黄色果実を
得ることができ、さらに菜園の彩りを鮮やかにすること
ができるピ−マンの二品種側枝多本仕立苗を提供できる
ことを知った。
【0006】本発明は、これらの知見に基づいて完成し
たものであって、即ち、本発明は子葉及び複数の本葉を
有する二品種のピ−マン苗を使用し、それぞれの子葉と
第一本葉の間の茎を1箇所切断し、下段部と上段部に分
け、その一方の品種の下段部に他方の品種の上段部を接
木し、その接木で残った一方の品種の上段部を他方の品
種の下段部に接木して、接木苗を作成し、いずれの接木
苗も上段部の第二本葉より上側を摘芯し、下段部及び上
段部のそれぞれの子葉及び本葉の付根から側枝を発生さ
せて伸長させてなるピ−マンの二品種側枝多本仕立苗で
ある。また本発明は、子葉及び複数の本葉を有する二品
種の穂木苗と、台木苗を使用し、該穂木苗の子葉と第一
本葉の間及び子葉の直下をそれぞれ切断して、子葉を有
する穂木を品種毎に作成し、これらを台木苗に直列に接
木し、それぞれの品種の子葉の付根から側枝を発生させ
て伸長させてなるピ−マンの二品種側枝多本仕立苗であ
る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、添付した図面に基づき本発
明のピ−マンの二品種側枝多本仕立苗の作出法を具体的
に説明する。
【0008】図1は、本発明のピ−マンの二品種側枝多
本仕立苗の作出法を示す概略説明図である。本発明にお
ける二品種側枝多本仕立苗の品種の組合せとしては、熟
した果実の色の違い、果実の形状の違い、果実の熟する
時期の違いなどが考えられ、例えば熟した果実の色の異
なる組合せとして、サカタのタネ社のソニア・ゴ−ルド
とソニア・レッド、タキイ種苗社のワンダ−ベルとゴ−
ルデンベル、日本デルモンテ社のオレンジキッスとレッ
ドキッスなどのカラ−ピ−マンの組合せなどが挙げら
れ、また果実の形状の異なる組合せとして、唐辛子とピ
−マン、バナナピ−マンとピ−マンなどが挙げられる。
【0009】(播種、接木苗の育成操作)図1におい
て、赤色ピ−マン及び黄色ピ−マンのそれぞれの種A,
Bを、床土を充填したセル状の穴を有するそれぞれの育
苗トレイ(a,b)に播種して、赤色ピ−マン穂木苗A
及び黄色ピ−マン穂木苗Bを育成した。育苗トレイ
(a,b)は38穴〜288穴の規格でよいが、128
穴〜200穴規格のトレイが苗の生育、育苗スペース、
接木の作業効率などの面から好ましい。育苗トレイ
(a,b) は二品種とも同じ規格のものを用いること
がそれぞれの苗の生育を均等にする上で望ましい。二品
種の穂木苗(A,B)の生育ステージが本葉2.0〜
4.0枚期で、第一本葉(A2,B2)上の茎径が1〜
3mmで、第二本葉(A3,B3)と第三本葉(A4,
B4)との節間長が0.5〜2.0cmになったら接木
を行う。接木支持具Cはチューブ(スリーブ)及びピン
などが上げられるが、これらの支持具を用いた接木の仕
方にこだわるものではない。
【0010】(弱毒ウイルスの接種操作)苗の生育ステ
ージが本葉0.5枚以上の生育期になったら、どちらか
一方の品種の穂木苗(例えばA)の葉面に、キユウリモ
ザイクウイルスの弱毒ウイルス液(ワクチン)(J)を
噴霧器(K)などを用いて付着させ、その上からローラ
ー(図面簡略のため図示せず)で擦り、該弱毒ウイルス
を接種する(特許第2908594号参照)。あるいは
その他の方法により、Aの穂木苗に弱毒ウイルスを接種
する。Aの穂木苗のみに接種しても、接木後弱毒ウイル
スは苗全体に移行し、弱毒ウイルス感染苗となる。した
がって、Bの穂木苗へ予め弱毒ウイルスを接種する操作
は不要となる利点を有する。
【0011】(接木操作)赤色ピ−マン穂木苗Aの子葉
A1と第一本葉A2の間において、子葉A1の少し上の
部分の茎を、破線で示す部位dで切断して苗を二つに分
け、切断面から自根部までを下段部(A−1)とし、切
断面から上側先端までを上段部(A−2)とした。そし
て他方、黄色ピ−マン穂木苗Bの子葉B1と第一本葉B
2の間において、子葉B1の少し上の茎を、破線で示す
部位dで切断して苗を二つに分け、切断面から自根部ま
でを下段部(B−1)とし、切断面から上側先端までを
上段部(B−2)とした。そして、一方の赤色ピ−マン
穂木苗Aの下段部(A−1)に他方の黄色ピ−マン穂木
苗Bの上段部(B−2)を接木し、その接木で残った一
方の赤色ピ−マン穂木苗Aの上段部(A−2)を他方の
黄色ピ−マン穂木苗Bの下段部(B−1)に接木する。
そして、二本の接木苗D及びEを作成した。
【0012】(接木後の養生)接木が完了したら直ちに
その接木苗D及びEを育苗トレイごと、湿度93〜98
%、温度27℃〜30℃、薄曇り条件のもと三〜五日間
養生する。その後直接日光の当たらない場所に育苗トレ
イを移して徐々に外気に馴らす操作、順化処理(詳細は
特開平10−323124参照)を約1週間行う。
【0013】(上段部の摘芯)その順化の時期に、接木
苗の第一本葉(A2,B2)と第二本葉(A3,B3)
の付根を残し、該第二本葉(A3,B3)より上側の茎
を摘芯する。例えば、第二本葉(A3,B3)と第三本
葉(A4,B4)の間を一点鎖線eで示す如く切断して
芯を除く操作、摘芯を行なう。なお、上段部の摘芯は、
順化の時期ばかりでなく、接木前、接木中におこなって
もよい。しかし、順化の時期を過ぎて摘芯を行うとき
は、上段部(A−2),(B−2)の第一本葉及び第二
本葉の付根からの側枝(F,G)、及び子葉の付根から
の側枝(H,I)の発生が遅れ、生育のバランスが悪く
なるので好ましくない。
【0014】(下段部A−1,B−1の子葉付根からの
側枝の伸長)このように、摘芯を行なうと、いずれの接
木苗も下段部(A−1,B−1)の二枚の子葉(A1、
B1)、第一本葉(A2、B2)及び第二本葉(A3,
B3)の付根から側枝が発生するので、各側枝を伸長さ
せる。
【0015】本発明においてこの摘芯は、重要であっ
て、摘芯を行わないときは、子葉の付根から側枝が発生
しないか、又は発生してもこの側枝は十分に成長するこ
とはない。したがってここから発生する側枝からは品質
の良好な果実を収量よく収穫することは期待できない。
従来、本発明に似た方法としてトマトの主枝1本仕立接
木苗の作出法が知られている。この方法は、図4に示す
如く、二枚の子葉(イ,ロ)及び第一本葉(ハ)を有す
る穂木苗(ニ)の該子葉と第一本葉(ハ)の途中を摘芯
(切断)して、第一本葉(ハ)を有する穂木(ホ)と二
枚の子葉(イ,ロ)を有する摘芯苗(ヘ)とに分け、該
穂木(ホ)を、二枚の子葉(チ,リ)を有する台木苗
(ヌ)に接木し、トマトの主枝1本仕立接木苗(ル)を
得る方法である(特開平10−262452における図
3「対照」参照)。しかし、この方法は、穂木(ホ)に
ついて摘芯操作を行わない方法であって、台木苗に残っ
ている二枚の子葉(チ,リ)の付根からは側枝を発生さ
せない方法であり、台木苗由来の果実の収穫を期待した
方法ではない。これに対し本発明は、穂木の摘芯操作に
より子葉の付根から側枝を発生させ、伸長させてこの側
枝から高品質の果実を収量よく収穫することを目的とす
るもので、前記の方法とは大きく異なる。
【0016】(通常の育苗管理)このように播種、穂木
苗の育成、弱毒ウイルスの接種、接木、養生及び摘芯な
どを行い通常の育苗管理を行って生育させ、接木から約
10〜20日後、育苗トレイの穴に根鉢を形成したら、
床土を詰めたポリポットなどの移植鉢に植え換える。な
お、鉢上げ用ポリポットは9〜12cmサイズが一般的
である。鉢上げ後通常の温度、水管理などを行い鉢上げ
苗を育苗管理するにつれて、下段部及び上段部のそれぞ
れの子葉、第一本葉及び第二本葉の付根からそれぞれ側
枝(H、I)、(F、G)が伸張し、ピ−マンの二品種
側枝多本仕立苗を得る。
【0017】
【実施例】
【0018】実施例1 (穂木苗の育成)図1において、Aを赤色ピ−マンであ
るレッドキッス(日本デルモンテ社製)とし、Bをオレ
ンジ色ピ−マンであるオレンジキッス(同社製)とし、
a,bを床土を充填した128のセル状の孔を有する育
苗トレイ(a,b)として、前記本発明の方法に従い、
播種後35日育成して、接木に好適な、子葉及び複数の
本葉を有し、接木に適したレッドキッス及びオレンジキ
ッスの穂木苗を育成した。この穂木苗の生育状況を表1
に示す。
【0019】表1:穂木苗の生育状況
【0020】表1の結果から、いずれの穂木苗も本葉2
枚で、第二本葉A3,B3の茎径が1.6〜1.7mm
で、第二本葉A3,B3と、第三本葉A4,B4との節
間長が1.2〜1.3cmであり、通常の接木支持具を
用いて接木を行なう場合、切断する茎径が2mm内外で
節間長は1〜1.5cmは必要とされるが、いずれの穂
木苗も接木を行えるまでに生育したことが判る。
【0021】(弱毒ウイルスの接種)苗の生育ステ−ジ
が、本葉1.5枚(播種後25日)の時期に、レッドキ
ッスの葉面にキユウリモザイクウイルス弱毒ウイルス液
(ワクチン)(J)を噴霧器(K)により付着させ、そ
の上からロ−ラ−で擦り、該弱毒ウイルスを接種した
(特許第2908594号参照)。
【0022】(接木操作)本発明の接木は、先ず赤色ピ
−マン穂木苗Aについて、子葉A1と第一本葉A2の間
において、子葉A1の少し上の茎部分を、破線で示す部
位dをカミソリで斜めに切断し、苗を二つに分け、切断
面から自根部までを下段部(A−1)とし、切断面から
上側先端までを上段部(A−2)とした。また他方、オ
レンジ色ピ−マン穂木苗Bについて、同様に子葉B1と
第一本葉B2の間において、子葉B1の少し上の茎を、
破線で示す部位dをカミソリで斜めに切断し、苗を二つ
に分け、切断面から自根部までを下段部(B−1)と
し、切断面から上側先端までを上段部(B−2)とし
た。そして、一方の穂木苗Aの下段部(A−1)に他方
の穂木苗Bの上段部(B−2)を接木し、その接木で残
った一方の穂木苗Aの上段部(A−2)を、他方の穂木
苗Bの下段部(B−1)に接木し、2本の接木苗D,E
を作成した。接木支持具は、チュ−ブ型のナスニックス
社製のス−パ−ウイズ17を用いた。
【0023】(接木後の養成、馴化処理)接木が完了し
たら直ちにその接木苗を育苗トレイごと湿度95%、温
度27〜32℃、薄曇りの条件のもと、5日間養成し
た。その後直射日光の当たらない場所に育苗トレイを移
して除々に外気に馴らす操作、馴化処理(特開平10−
323124参照)を約一週間行い、接木活着率を調べ
た。その結果を表2に示す。
【0024】表2:接木活着率
【0025】(上段部の摘芯)馴化処理の時期に、育苗
トレイ上の接木苗の第一本葉(A2,B2)と第二本葉
(A3,B3)の付根を残し、図1の一点鎖線eで示す
如く、第二本葉(A3,B3)より上側の茎を切断し
て、芯を除く操作である摘芯を行った。その摘芯前の接
木苗の節間長を調べた。結果を表3に示す。
【0026】表3:接木苗における節間長の比較
【0027】表3の結果から、接木苗の第一本葉と第二
本葉の節間は0.02〜0.04cmと極端に短く、こ
の間での摘芯は容易ではない。しかし、第二本葉と第三
本葉の節間は0.3〜0.4cmと長く、容易に行える
ことが判明した。本発明は、トマトには見られないピ−
マンに特有のものであることを利用して初めて可能な、
ピ−マンの二品種側枝多本仕立苗である。
【0028】(通常の育苗管理)摘芯してから、育苗ト
レイで栽培管理した。しばらくすると、苗が根鉢を形成
したので、床土を詰めた9cmポリポットに苗を移し換
えた。摘芯から7日目について、本発明の二品種側枝多
本仕立苗と、通常の主枝一本仕立苗(台木がレッドキッ
ス、穂木がオレンジキッス)との側枝発生を比較した。
結果を表4に示す。
【0029】表4:接木苗の側枝発生比較 注)側枝長は、葉の付根から発生している側枝のみの平
均値を示し、葉の付根から発生してないものを含めな
い。
【0030】表4の結果より、従来の接木苗は、主枝が
伸びるので、草丈、本葉の生育が本発明の接木苗より生
育が旺盛であるが、接木苗の上段部、下段部のいずれか
らも、側枝の発生率が低く、また殆ど成長しない。これ
に対し、本発明の摘芯した接木苗は、苗の先端が成長で
きないので、一本の苗で側枝多本苗となることが判る。
本発明の接木苗における側枝発生は、台木と穂木が異な
る場合においても差はないことが判る。
【0031】次に、本実施例のピ−マンの二品種側枝多
本仕立苗の作成法の特徴を、従来法と比較して表5に示
す。
【0032】 表5:本発明と従来法との比較 本発明 比較例(従来法)※ 接木方法 実施例1により得られたピ− 芯止め大苗台木の葉の付根の腋 マンの二品種側枝多本仕立苗 芽を除去し、切断した幼苗穂木を 差し込む。 品種 台木 穂木 台木 穂木 レッドキッス オレンジキッス スケットK レッドキッス オレンジキッス 育苗トレイ 128穴 128穴 128穴 128穴 接木まで なし なし 15cm なし鉢上げ有無 ポリポット 接木時の 2.5枚 2.5枚 8.5〜9.0枚 2.5枚本葉数 接木までの 20日 20日 70日 20日育苗期間 育苗箱当り 128本 10本接木苗数 接木活着率 95% 70%
【0033】※:比較例1 表1に示す如く、かなり成長したピ−マンの台木苗、
「スケットK(南国種苗社製)」を用い、この成長点を
摘芯し、葉の付根から出る腋芽を4箇所とり葉腋にツマ
楊枝で穴をあけ、この4箇所の穴にレッドキッス、オレ
ンジキッスの品種の苗を胚軸の先を尖らせて2本づつさ
し込み、一株に赤色、橙色のピ−マンを成らせることの
できるピ−マン苗を作出した(以下従来法という)(森
俊人著「まるごと楽しむトマト百科」社団法人、農山漁
村文化協会、1996年9月20日発行、第28〜29
頁参照)。
【0034】表5の結果から、従来法によれば、台木は
播種後30日目に15cmポリポットに鉢上げし、大苗
に育てなければならず、接木までの育苗期間が約70日
もかかり、短期間に生産できない。また育苗箱トレイ当
り、約10株しか生産できず、また大苗なので接木活着
率が約70%と極端に悪い問題を有する。また台木1株
と穂木2株から得られる接木は1株と少ない問題点を有
することが判る。これに対し本発明によれば、接木まで
の育苗期間が20日と短く、接木方法が簡単で、30c
m×60cmの育苗箱当り128本の接木苗を得ること
が可能で、接木活着率も95%と非常に高く、また台木
1株と穂木1株とから2株の接木苗を得ることができる
ことが判る。
【0035】実施例2 (ピ−マンの二品種側枝多本仕立苗の作成例、その2) (穂木苗の育成)実施例1と同様にして、子葉及び複数
の本葉を有し、接木に適した赤色ピ−マン穂木苗及び黄
色ピ−マン穂木苗を育成した。また常法に従いピ−マン
の台木苗を育成した。
【0036】(接木)図2において、子葉及び第一本葉
を有する赤色ピ−マン穂木苗Aについて、子葉A1と第
一本葉A2の間において、子葉A1の少し上の部分の茎
と、子葉A1の直下の茎を、それぞれ破線で示す部位d
で切断して苗を上段、中段、下段の三つの区分に分け、
その中央の区分、すなわち子葉を有する赤色ピ−マン穂
木(A−3)を得た。また、同様にして、黄色ピ−マン
穂木(B−3)を得た。一方、台木苗の地際部の茎を切
断して台木Nを作成し、これに前記二品種の穂木(A−
3,B−3)を直列に接木し、接木苗Lを得た。
【0037】(接木後の養生、馴化)接木が完了したら
直ちにその接木苗Lを育苗トレイごと、湿度95%程
度、温度27℃〜30℃、薄曇り条件のもと三日間養生
する。その後直接日光の当たらない場所に育苗トレイを
移して徐々に外気に馴らす操作、順化処理(詳細は特開
平10−323124参照)を約1週間行う。
【0038】(通常の育苗管理)このように穂木苗、台
木苗の育成、接木、養生、馴化及び通常の育苗管理を行
って生育させ、接木から約10日後、育苗トレイの穴に
根鉢を形成したら、床土を詰めた鉢上げ用ポリポット
(9cmサイズ)移植鉢に植え換え、育苗管理を行っ
た。その結果、それぞれの品種の二枚の子葉(A1,B
1)の付根から側枝(M,O)が発生(合計4本)し、
それぞれ伸長させて、ピ−マンの二品種側枝多本仕立苗
を得た。
【0039】
【本発明の効果】本発明は、容積の小さいサイズのポッ
トを用い、少ない培養土、少ない床面積で、幼苗期に育
苗トレイ上で短い育苗時間で作出することができ、また
接木活着率の高いピ−マンの二品種側枝多本仕立苗を得
ることができる。また一株で二種類の果実が収穫でき
る、例えば一株で赤ピ−マン、黄色ピ−マンが収穫でき
るピ−マン苗が簡便に、効率良く、しかも大量生産でき
る。また二種類の品種の苗で二株の接木苗ができる。ま
た育苗トレイ上で接木ができるので接木の効率が高く、
キュウリモザイクウイルスの弱毒ウイルスは一方の種類
の苗のみに接種するので、通常の接木苗作成の半分の使
用量で済みコストが軽減される利点を有する。また狭い
菜園であっても、一株の苗で二品種のカラーピ−マンが
多量に収穫できるので、菜園の彩りを鮮やかにすること
ができる。最近、ガーデニングブームを反映し、黄色、
赤色のピ−マンを栽培して食用することと、ガーデンの
彩りを楽しむ、家庭菜園愛好家が増えているが、本発明
はこれらの愛好家の期待に十分応えるものと思われる。
また、一般に普及している育苗トレイ幼苗接木方法の接
木支持具、育苗トレイをそのまま用いて本発明の二品種
側枝多本仕立苗を得ることができる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のピ−マンの二品種側枝多本仕立苗の作
出方法を示す概略説明図である(実施例1)。
【図2】本発明の別のピ−マンの二品種側枝多本仕立苗
の作出方法を示す概略説明図である(実施例2)。
【図3】1株で三種類のトマトが収穫できる従来のトマ
ト苗の作出方法を示す概略説明図である。
【図4】従来のトマトの主枝一本仕立接木苗の作出方法
を示す概略説明図である。
【符号の説明】
a…赤色ピ−マン育苗トレイ A…赤色ピ−マン穂木苗 A1…子葉 A2…第一本葉 A3…第二本葉 A4…第三本葉 A−1…下段部 A−2…上段部 A−3…穂木 b…黄色ピ−マン育苗トレイ B…黄色ピ−マン穂木苗 B1…子葉 B2…第一本葉 B3…第二本葉 B4…第三本葉 B−1…下段部 B−2…上段部 B−3…穂木 C…接木支持具 D、E…ピ−マンの二品種側枝多本仕立苗(実施例1) J…キユウリモザイクウイルス弱毒ウイルス液 K…噴霧器 L…ピ−マンの二品種側枝多本仕立苗(実施例2) d…切断部 e…摘芯部 F…側枝 G…側枝 H…側枝 I…側枝 M…側枝 O…側枝 N…台木
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐山 春樹 東京都中央区日本橋小網町4番13号 日本 デルモンテ株式会社内 (72)発明者 石村 英二 東京都中央区日本橋小網町4番13号 日本 デルモンテ株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】子葉及び複数の本葉を有する二品種の穂木
    苗を使用し、それぞれ子葉と第一本葉の間の茎を1箇所
    切断し、下段部と上段部とに分け、その一方の品種の下
    段部に他方の品種の上段部を接木し、その接木で残った
    一方の品種の上段部を他方の品種の下段部に接木して、
    接木苗を作成し、いずれの接木苗も上段部の第二本葉よ
    り上側を摘芯し、下段部及び上段部のそれぞれの子葉及
    び本葉の付根から側枝を発生させて伸長させてなるピ−
    マンの二品種側枝多本仕立苗。
  2. 【請求項2】子葉及び複数の本葉を有する二品種の穂木
    苗と、台木苗を使用し、該穂木苗の子葉と第一本葉の間
    及び子葉の直下をそれぞれ切断して、子葉を有する穂木
    を品種毎に作成し、これらを台木苗に直列に接木し、そ
    れぞれの品種の子葉の付根から側枝を発生させて伸長さ
    せてなるピ−マンの二品種側枝多本仕立苗。
  3. 【請求項3】使用する穂木苗が、本葉2〜4枚期の幼苗
    であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の
    ピ−マンの二品種側枝多本仕立苗。
  4. 【請求項4】二品種の穂木苗が、一つの果実色を有する
    収穫物が得られる品種の穂木苗と、これとは異なる果実
    色を有する収穫物が得られる品種の穂木苗との組合せで
    ある請求項1〜請求項3のいずれかに記載のピ−マンの
    二品種側枝多本仕立苗。
  5. 【請求項5】上段部の摘芯を接木前、接木中又は順化の
    時期に行って得られる請求項1〜請求項4のいずれかに
    記載のピ−マンの二品種側枝多本仕立苗。
  6. 【請求項6】二品種の穂木苗及び台木苗のうち少なくと
    も一種が、キユウリモザイクウイルスの弱毒ウイルスを
    接種したものである請求項1〜請求項5のいずれかに記
    載のピ−マンの二品種側枝多本仕立苗。
JP2000163990A 2000-06-01 2000-06-01 ピ−マンの二品種側枝多本仕立苗 Pending JP2001340020A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000163990A JP2001340020A (ja) 2000-06-01 2000-06-01 ピ−マンの二品種側枝多本仕立苗

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000163990A JP2001340020A (ja) 2000-06-01 2000-06-01 ピ−マンの二品種側枝多本仕立苗

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001340020A true JP2001340020A (ja) 2001-12-11

Family

ID=18667665

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000163990A Pending JP2001340020A (ja) 2000-06-01 2000-06-01 ピ−マンの二品種側枝多本仕立苗

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001340020A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015037385A (ja) * 2013-08-18 2015-02-26 国立大学法人島根大学 サツマイモの栽培方法
CN106069097A (zh) * 2016-06-29 2016-11-09 安徽省固镇县谷阳有机蔬菜专业合作社 一种辣椒的育苗方法
CN106386245A (zh) * 2016-08-31 2017-02-15 韦永梁 辣椒的高产种植方法
CN107231937A (zh) * 2017-07-31 2017-10-10 周碧华 一种辣椒育苗的方法
CN108293459A (zh) * 2015-08-28 2018-07-20 寿光市新世纪种苗有限公司 一种培育彩椒健康嫁接苗的方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015037385A (ja) * 2013-08-18 2015-02-26 国立大学法人島根大学 サツマイモの栽培方法
CN108293459A (zh) * 2015-08-28 2018-07-20 寿光市新世纪种苗有限公司 一种培育彩椒健康嫁接苗的方法
CN106069097A (zh) * 2016-06-29 2016-11-09 安徽省固镇县谷阳有机蔬菜专业合作社 一种辣椒的育苗方法
CN106386245A (zh) * 2016-08-31 2017-02-15 韦永梁 辣椒的高产种植方法
CN107231937A (zh) * 2017-07-31 2017-10-10 周碧华 一种辣椒育苗的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20170238470A1 (en) Watermelon double grafting methods
JP6043117B2 (ja) 新規トマト多本仕立接木苗及びその作成方法
CN101558742B (zh) 一种茶花愈伤组织再生植株的方法
CN111657143B (zh) 一种百香果脱毒快繁方法
CN101884294B (zh) 一种缩短杂交柑橘童期的方法
JP6359439B2 (ja) トマト二本仕立て苗及びその作成方法
JP2011078395A (ja) 数種類の果実が実るナス科野菜苗。
JP3774865B2 (ja) 甘蔗の苗用枝茎の栽培生産法
CN111972288A (zh) 一种百香果离体保存及增殖再生方法
CN104620993B (zh) 一种退化非洲菊更新复壮的方法
JP2001340020A (ja) ピ−マンの二品種側枝多本仕立苗
CN105580729A (zh) 一种兰属杂交兰的创制方法
CN102257965A (zh) 以幼叶为外植体花生再生体系的建立方法
JP6976928B2 (ja) 新規の無限型ヘリアンツス植物
CN114793903A (zh) 一种脱毒草莓种苗的繁育方法
JP2001340021A (ja) 野菜の多品種側枝多本仕立苗
WO1996025030A1 (fr) Procede de production de tubercules de pommes de terre par greffage
ES2732843T3 (es) Métodos y composiciones para la producción de frutos de sandía
JP3737657B2 (ja) 野菜の二品種側枝二本仕立て苗の作成方法
Jakubowski Breeding of plum cultivars in Poland
KR101390396B1 (ko) 엽병 제거 및 저온처리에 의한 외떡잎식물 증식방법
JP2002335760A (ja) オウトウの花芽の沢山付いた太枝接木法
JP2001340022A (ja) トマトの三品種側枝三本仕立苗
EP3827657A1 (en) Method for prevention and/or reduction of pathogen borne infections, in particular by the tobrf virus, and for advancing and increasing fruit production in crop plants
JP2004533207A (ja) ユーフォルビア(Euphorbia)属種間交雑植物