JP6043117B2 - 新規トマト多本仕立接木苗及びその作成方法 - Google Patents

新規トマト多本仕立接木苗及びその作成方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規トマト多本仕立接木苗及びその作成方法に関する。
ナス科トマト属(Lycopersicon esculentum; Solanum lycopersicum)の原産は、アンデス高原一帯である。トマトの栽培は、中央アメリカからメキシコへ、さらに欧州へと伝播した。トマトが観賞用から食用されるようになったのは、欧州では18世紀からである。その後、米国には19世紀以降、日本には明治以降に伝わったといわれている。
わが国で育成されるトマト品種は、導入以降長らく固定種であった。1940年代後半には、一代雑種(F1)品種が発表され、1970年代以降は複数の病害虫抵抗性をもつ良食味品種が育成されるようになった。国内における2002年のトマト生産額1899億円は、農業生産統計によると、コメに次ぐ2位、野菜では1位を占めている(非特許文献1)。
接木は、野菜又は果樹等において植物体の一部を他の植物体と切断面同士で接触させ、新しい個体を作出する方法である。国内の野菜栽培においては、昭和初期に奈良県のスイカのつる割病対策として利用されたのが最初といわれる。
従来から接木方法として、挿し接ぎ、呼び接ぎ及び割り接ぎなどが知られている。このうち、トマト及びナス等のナス科野菜では、割り接ぎが行われてきた。接木において、枝を生長させ収穫物を着果させる植物体を穂木(接ぎ穂)、その植物体を支持する地植えの部分を台木という。主にトマト栽培では、青果生産用品種を穂木に、土壌病害抵抗性品種を台木にして、一つの接木された植物体とする。
接木栽培は、穂木品種の遺伝的特性を保持しつつ、台木の遺伝的特性を利用できるという利点がある。また、従来の農業生産者による接木育苗に加え、最近では育苗の分業化により育苗苗の利用が促進され、接木栽培は広く利用されている。例えば、1989年産のスイカ、キュウリ、メロン、トマト及びナスについて行った野菜・茶業試験場の調査によると、接木栽培の占める割合は、調査対象面積(全国の栽培面積の84.2%、64,741 ha)の59%に達している。
トマト栽培における接木の主な目的は、青枯病及びネコブ線虫等の土壌病虫害対策である。土壌病虫害抵抗性台木品種を穂木品種に接木することにより、根から侵入する土壌病虫害を防ぐことができる。また、台木部分が穂木部分の樹勢に影響を及ぼすことから、樹勢のコントロールを目的とした接木も見られる。
トマト生産地の大規模化及び/又は連作等によって多様な土壌病害が発生し、それに対する抵抗性を持たない従来品種は、作付けができなくなる傾向がある。そのため、複合抵抗性を持つ台木品種を利用した接木栽培は増加傾向にあり、品種育成の重要性が増している。
トマトの場合、近年の接木作業は、幼苗期に育苗トレイ上で行われることも多い。例えば、穂木及び台木の胚軸をそれぞれ斜めに切断し、両切断面を合せて固定する斜め合せ接ぎが行われる。一般的には、本葉2葉期の苗を子葉と本葉との間で斜めにカットし、接木キャップで穂木と台木とを接続する(図1)。
一般的に、穂木と台木には相性がある。通常、穂木と台木との植物が近縁であるほど、この接木親和性が高い傾向が見られる。穂木と同種の植物を台木に用いることを共台といい、この場合に最も接木親和性が高い。国内のトマト栽培は、共台接木が一般的である。トマト接木苗の作成方法として、例えば特許文献1は、穂木と台木との接合部を支持具によって保持し、次いで温度、湿度及び光量等を制御する活着促進装置内で養生させる苗の接木方法を記載する。
前記のように、接木栽培は土壌病虫害防除の観点から有用である。しかしながら、それぞれの苗について接木作業をする必要があるため、作業労力及び生産コストが増大するという問題点が存在した。
これに対し、接木苗の主茎部を摘心処理することによって複数の側枝を生長させ、主枝に仕立てる多本仕立栽培法が開発された。多本仕立苗の場合、一本の苗で通常の苗の数本分に相当する主枝を有する。このため、一本仕立苗と比較して、より少ない育苗本数で同一本数の主枝を生育させることができる。それ故、接木作業を要する育苗本数を削減できるだけでなく、接木苗の運搬及び定植の作業労力を削減できる。
例えば非特許文献2は、トマトの接木苗の接木時又は直後に本葉3枚を残して摘心し、早めに生育の揃った二本の側枝を選定して主枝として、定植する方法を記載する。
また、非特許文献3は、トマトの一本仕立接木苗を作成するために、本葉2〜3葉期で茎径が2.3 mm程度の穂木苗から穂木部分を切除した残りの穂木苗を育苗し続け、子葉直上部分から側枝が2本発生したものをさらに生育させて、側枝の葉枚数が2枚程度となった苗を子葉直下1〜2 cmで切断して穂木として接木し、二本仕立接木苗を作成する方法を記載する。
特許文献2は、野菜の二品種側枝二本仕立苗を記載する。当該文献に記載の二本仕立苗は、二品種の幼苗切断部を交換し、接木して二本の接木苗を作成し、いずれの接木苗も下段部は一つの葉の付け根一箇所から側枝を発生させて他の葉の付け根の側枝は摘除し、上段部は一つの葉の付け根から側枝を発生させて、該接木苗の下段部と上段部からそれぞれ側枝を一本ずつ伸張させるものである。
多本仕立接木苗の作成における摘心処理と収穫量との関係について、摘心処理の時期が遅い苗の方が、収穫量が多いとの報告がある(非特許文献4)。当該文献は、夏秋どりミニトマトの二本仕立栽培において、接木苗のi)6〜7葉期、ii)4〜5葉期又はiii)定植時に、第3又は4葉上で摘心した後、生育揃いのよい2本を主枝として利用し、二本仕立苗を作成する方法を記載する。その結果、二本仕立により種苗費を半減しコスト削減ができ、特に6〜7葉期に摘心した区で収穫量が多い結果となった。
また、非特許文献5は、トマトの幼苗接木苗の育苗時に子葉上で摘心し、子葉上から生育の揃った二本の側枝を発生させた後、定植する方法を記載する。当該文献によれば、前記方法によって育苗及び定植作業の省力化を図ることができる。一方、接木苗は根量が少なく、根傷みに注意する必要があり、さらに、所得減(13.5万円/10a)が見られるとの問題点が指摘されている。
特開平5-95733号公報 特開2001-128550号公報
最新農業技術事典 第1版 2006 社団法人 農山漁村文化協会 「1苗で2本分をカバーする省力育苗抑制トマトの摘心二本仕立栽培法」島根県農業技術センター・センターだより、1989年2月 農業および園芸71(4),489-494, 1996-04養賢堂 「夏秋どりミニトマトの二本仕立栽培」石川県農業総合研究センター研究報告、第27巻、p. 43-46(2006) 「トマトのセル成型苗直接定植における接木二本仕立苗の利用法」農業成果情報、No. 57、熊本県農政部(平成13年7月)
前記のように、多本仕立栽培法は、従来の一本仕立栽培法と比較して育苗本数及び定植本数が少なくて済むため、生産コスト並びに接木作業に起因する作業労力及び作業時間を削減することができる。
しかしながら、従来の接木苗における多本仕立栽培法は、いくつかの問題点が存在した。第一に、接木後に摘心する方法の場合、接木から摘心可能な状態まで養生する期間と、側枝を生長させるための一定の生育期間とが必要となる。このため、従来の一本仕立栽培法と比較して、定植までの育苗期間が例えば10〜14日程度長くなり、結果として収穫期が10日程度遅れるという問題点が存在した。接木前の穂木苗を摘心する非特許文献3に記載の方法の場合、従来の一本仕立栽培法の接木時期である本葉2〜3葉期に、穂木苗から穂木部分を切除することによって腋芽を形成させて、側枝を生長させる。このため、前記と同様に、側枝を生長させるための生育期間が必要となる。このような収穫期の遅れは、初期収穫量を減少させることにもなる。第二に、人為的に側枝の生長を揃えることが困難であるという問題点が存在した。このため、生長の揃った複数の側枝を主枝に仕立てるため、生長揃いのよい側枝を有する苗を選抜する作業が必要であり、且つ生育不揃いによる接木苗のロスが発生することとなる。接木苗のロスは、接木作業に要した作業時間及び作業労力のロスを意味するため、育苗作業全体の作業時間及び作業労力に及ぼす影響は大きい。
それ故、本発明は、接木苗の多本仕立栽培法において、従来の一本仕立栽培法との育苗期間の差を可能な限り短縮し、且つ生育揃いのよい複数の側枝を有する接木苗を作成する手段を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するための手段を種々検討して、接木前のトマトの穂木の幼苗において、子葉の付け根部の直上部で主茎部を摘心し、二枚の子葉の付け根部のそれぞれから生長の揃った側枝を伸長させた後で、この二本の側枝を有する穂木を台木に接木した。その結果、得られたトマト二本仕立苗は、二本の側枝の生育揃いがよく、また従来技術のトマト二本仕立苗と比較して、定植までの育苗期間が短縮されるだけでなく、開花までの期間も短縮されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 二枚の子葉の付け根部のそれぞれに少なくとも一本の側枝を有する穂木と、台木とを接木した、トマトの多本仕立接木苗を作成する方法であって、
二枚の子葉が展開した本葉1葉期以降且つ2葉期未満の幼苗において、子葉の付け根部と第一本葉との間で主茎部を摘心する摘心工程;
前記摘心工程で得られた幼苗を育苗して、二枚の子葉の付け根部のそれぞれから、0.1〜40 mmの長さを有する少なくとも一本の側枝を生長させる側枝生長工程;
前記側枝生長工程で得られた側枝を有する幼苗を穂木として、台木に接木する接木工程;
を含む前記方法。
(2) 二枚の子葉の付け根部のそれぞれに少なくとも一本の側枝を有する穂木と、台木とを接木した、トマトの多本仕立接木苗を作成する方法であって、
二枚の子葉が展開した本葉1葉期以降且つ2葉期未満の幼苗において、子葉の付け根部と第一本葉との間で主茎部を摘心する摘心工程;
前記摘心工程で得られた幼苗を3〜10日間育苗して、二枚の子葉の付け根部のそれぞれから少なくとも一本の側枝を生長させる側枝生長工程;
前記側枝生長工程で得られた側枝を有する幼苗を穂木として、台木に接木する接木工程;
を含む前記方法。
(3) 前記(1)又は(2)記載の方法で得られたトマトの多本仕立接木苗。
本発明により、接木苗の多本仕立栽培法において、従来の一本仕立栽培法との育苗期間の差を可能な限り短縮し、且つ生育揃いのよい複数の側枝を有する接木苗を作成する手段を提供することが可能となる。
図1は、接木キャップを用いて従来のトマト一本仕立接木苗を作成する様子を示す写真である。 図2は、トマトの幼苗の一形態(草姿)を示す模式図である。 図3は、本発明のトマト二本仕立接木苗(左側2株)及び従来技術のトマト一本仕立苗(右側1株)の写真である。いずれの接木苗も、接木後10日目(播種後38日目)の株である。 図4は、本発明のトマト二本仕立接木苗の写真である。前記接木苗は、接木後27日目(播種後55日目)の株である。 図5は、本発明の方法の一実施形態を示す工程図である。 図6は、比較例1-1及び1-2、並びに実施例1-1のトマト接木苗の栽培結果を示す図である。 図7は、比較例1-1(左側)及び比較例1-2(右側)、並びに実施例1-1(中央)のトマト接木苗の写真である。いずれの接木苗も、接木後27日目(播種後55日目)の株である。
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の植物の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。
<1. 多本仕立接木苗>
本発明は、二枚の子葉の付け根部のそれぞれに少なくとも一本の側枝を有する穂木と台木とを接木した、多本仕立接木苗を作成する方法に関する。
[1-1. 多本仕立接木苗の形態]
図2は、トマトの幼苗の一形態(草姿)示す模式図である。図3は、本発明のトマト二本仕立接木苗(左側2株)及び従来技術のトマト一本仕立苗(右側1株)の写真である。図4は、本発明のトマト二本仕立接木苗の写真である。以下、図2〜4に基づき、本発明の多本仕立接木苗の形態を詳細に説明する。
本明細書において、「子葉」とは、発芽直後に胚軸から展開し、幼苗の初期生育の段階の光合成を行う葉を意味し、「本葉」とは、子葉の展開後に茎から展開し、初期生育後の栄養生長期の光合成を行う葉を意味する。例えば、トマトのような双子葉植物の場合、まず2枚の子葉が胚軸から展開し、その後、子葉の付け根部の生長点から茎(主茎部)が伸長する。主茎部の伸長に従い、頂芽から第一本葉、第二本葉が順次展開する(図2)。本葉が展開すると、子葉はその役割を終え、徐々に老化し、主茎部から脱離する。
本明細書において、「子葉の付け根部」とは、主茎部に子葉が着生している部分を意味する。「腋芽」とは、子葉又は本葉が着生している主茎部の部分(葉腋)に形成される側芽を意味する。「側枝」とは、腋芽のような側芽が生長して形成される枝を意味する。また、「主枝」とは、収穫物を着果させるために仕立てられた枝を意味する。
本発明の多本仕立接木苗は、二枚の子葉の付け根部のそれぞれに少なくとも一本の側枝を有する(図4)。側枝の本数は、二枚の子葉の付け根部のそれぞれについて、1本以上の範囲であることが好ましく、それぞれについて1本であることがより好ましい。本明細書において、「n本仕立接木苗」(nは1以上の整数である)は、n本の側枝を有する穂木と台木とを接木した苗を意味する。例えば、「二本仕立接木苗」は、二枚の子葉の付け根部のそれぞれに一本ずつの側枝を有する穂木と台木とを接木した苗を意味し、この場合、該接木苗全体としては、2本の主枝を有する(図4)。
本発明の多本仕立接木苗の作成方法は、接木栽培が可能なトマト植物に適用可能である。トマト植物に本発明の方法を適用することにより、従来の一本仕立栽培法との栽培期間の差、例えば開花時期の差を可能な限り短縮しつつ、生育揃いのよい複数の側枝を有する接木苗を作成することが可能となる。
本発明の多本仕立接木苗の作成方法は、トマト植物と同様に接木栽培が可能な様々な植物、例えばナス(Solanum melongena L.)若しくはピーマン(Capsicum annuum L.)のようなナス科野菜、又はキュウリ(Cucumis sativus L.)のようなウリ科野菜に適用してもよい。前記植物に本発明の方法を適用することにより、トマト植物と同様に栽培期間を短縮しつつ、生育揃いのよい複数の側枝を有する接木苗を作成することが可能となる。
本発明の多本仕立接木苗に使用する穂木植物としては、収穫物の着果数量及び/又は糖度等の収穫特性に関する有用形質を1以上有するトマトの品種が好ましい。
本発明の多本仕立接木苗を適用し得る台木植物は、穂木植物であるトマトと近縁植物であることが好ましく、穂木植物であるトマトと同一種の植物(共台)であることがより好ましい。接木栽培の特性に鑑みれば、台木植物としては、1以上の土壌病害抵抗性を有するトマトの品種が好ましい。或いは、イモ葉形質を有するトマトのように、接木作業における穂木との見分け性のようなさらなる有用形質を1以上有するトマトの品種が好ましい。前記植物を台木とすることにより、本発明の多本仕立接木苗の土壌病害抵抗性を向上させることが可能となる。
<2. 多本仕立接木苗を作成する方法>
従来技術の多本仕立接木苗の作成方法では、通常、第一本葉及び第二本葉が完全に展開した時期(2葉期)又はそれ以降の時期まで生育させた穂木幼苗を台木に接木し、該接木苗を数日間程度養生した後で摘心する。このため、従来の一本仕立接木苗の栽培と比較して、前記養生期間の分だけ、栽培期間が長くなる。また、接木後に摘心して複数の側枝を生長させるため、側枝の生育揃いが悪い商品価値のない苗が形成された場合、該苗の作成に要した接木作業は無駄になる。
接木苗の栽培分野において、子葉の付け根部の直上部で主茎部を摘心すると、二枚の子葉の付け根部のそれぞれから少なくとも一本(典型的には一本ずつ、計二本)の側枝が生長することが知られていた(例えば、非特許文献3及び5)。子葉の付け根部の腋芽から側枝を生長させると、二本の側枝の生育が揃いやすいため、本葉の付け根部の腋芽から側枝を生長させる方法と比較して生育の揃った二本仕立接木苗を作成しやすい。しかしながら、非特許文献5に記載の方法で作成された二本仕立接木苗は、定植直後の根量が少ない、開花時期が遅れる、及び着果位置が高くなる等の問題点が存在した。この現象は、前記文献に記載の方法では接木後に摘心処理して側枝を生長させるため、接木苗にかかる傷害ストレスが大きく、生育速度が低下することに起因すると考えられる。
これに対し、本発明者は、接木前のトマトの穂木幼苗を接木適期より早い時期に摘心処理を行い、二枚の子葉の付け根部のそれぞれの腋芽から側枝が生長した幼苗のみを穂木に選抜し、トマトの台木に接木することにより、接木後の養生期間を従来の一本仕立接木苗と同程度まで短縮でき、且つ生育揃いが悪い接木苗の発生を抑制できることを見出した。
前記の発見に基づき、本発明は、トマトの多本仕立接木苗を作成する方法を提供する。本方法の場合、接木前に摘心処理を行うため、接木苗にさらなる傷害ストレスを与えずに済む。このため、従来技術の二本仕立接木苗の栽培方法のように、生育速度の低下を回避することができる。加えて、本方法の場合、側枝の生育揃いの悪い苗は穂木幼苗の栽培段階で取り除くことができるため、接木作業の無駄を削減することができる。
図5は、本発明のトマトの多本仕立接木苗を作成する方法の一実施形態を示す工程図である。以下、図5に基づき、本発明の方法の好ましい実施形態について詳細に説明する。
[2-1. 摘心工程]
本発明の方法は、二枚の子葉が展開した幼苗において、子葉の付け根部と第一本葉との間で主茎部を摘心する摘心工程(工程S1)を含む。
本工程において使用する幼苗は、前記で説明した穂木植物の幼苗である。穂木植物の幼苗は、本工程の摘心処理に適した生育段階のものを購入等してもよく、本工程の前に(好ましくは台木幼苗とともに)、好ましい生育段階まで栽培したものを予め準備しておいてもよい。穂木植物を栽培する場合、当該技術分野で通常使用されるセルトレイ又は育苗ポットのような育苗容器を用いて栽培することが好ましく、セルトレイを用いて栽培することがより好ましい。セルトレイを用いて穂木幼苗を栽培することにより、多数の幼苗を同時に栽培することが可能となる。
本明細書において、「摘心」は、幼苗の茎(例えば主茎部)を特定の位置で切断して、切断位置の直下部の葉の付け根部に存在する腋芽(以下「生長点」とも記載する)から側枝を生長させる処理を意味する。通常、植物は、主茎部の最上部に位置する頂芽の生長が優先され、腋芽の生長は抑制される(以下「頂芽優勢」とも記載する)。頂芽優勢は、頂芽を含む茎を切断することによって解除され、切断位置の直下部の葉の付け根部に存在する腋芽の生長が開始する。このため、特定の位置で摘心することにより、所望の位置の腋芽を側枝に仕立てることができる。
本工程では、二枚の子葉が展開した幼苗において、子葉の付け根部と第一本葉との間で主茎部を摘心することが必要である。摘心する位置は、主茎部の生長点を除去できればよく、子葉の付け根部の直上部、例えば、子葉の付け根部から0.1〜2 mm上部の主茎部であることが好ましく、0.1〜1.5 mm上部の主茎部であることが好ましい。前記範囲の位置で摘心することにより、本葉の付け根部の腋芽からではなく、二枚の子葉の付け根部のそれぞれの腋芽から確実に側枝を生長させることが可能となる。
本工程において、摘心する手段は特に限定されない。当該技術分野で通常用いられる摘心手段を採用することができる。例えば、はさみ及びカミソリ刃を挙げることができる。多数の幼苗の生長点を効率的に摘心できる刃物であることが好ましい。
摘心する時期は、第一本葉が完全に展開した時期(本葉1葉期)以降且つ第二本葉が完全に展開する時期(本葉2葉期)未満であることが必要である。前記摘心時期は、第一本葉が完全に展開し且つ第二本葉が展開しはじめる時期(本葉1.5葉期)以降且つ第二本葉が完全に展開する時期(本葉2葉期)未満が好ましく、本葉1.5葉期であることがより好ましい。例えば好適条件におけるトマトの場合、本葉1葉期以降且つ2葉期未満の時期は播種後12〜24日目に相当し、本葉1.5葉期以降且つ2葉期未満の時期は播種後14〜24日目に相当する。本葉1葉期以降の時期に摘心することにより、摘心作業を効率的に行うことができるだけでなく、穂木幼苗に過度の傷害ストレスをかけないようにすることができる。また、本葉2葉期未満の時期に摘心することにより、本葉2〜4葉期の穂木を接木する従来技術の一本仕立接木苗と略同程度の時期に接木することができる。
前記の条件で本工程を実施することにより、傷害ストレスによって穂木幼苗の生育を過度に遅らせることなく主茎部を摘心することが可能となる。
[2-2. 側枝生長工程]
本発明の方法は、前記摘心工程で得られた幼苗を育苗して、二枚の子葉の付け根部のそれぞれから少なくとも一本の側枝を生長させる側枝生長工程(工程S2)を含む。
本工程において、二枚の子葉の付け根部のそれぞれから、少なくとも一本の側枝を生長させる。n本(nは1以上の整数である)の側枝がそれぞれ0.1〜40 mmの長さに生長するまで、摘心後の幼苗を育苗する。前記側枝の長さは、1〜12 mmの範囲であることが好ましい。0.1 mm以上の長さに側枝を生長させることにより、所望の数の側枝を確実に形成させることができる。また、側枝の長さを40 mm以下とすることにより、接木後の側枝の生育揃いを向上させることができる。
前記の長さに側枝を生長させるためには、摘心後の幼苗を例えば3〜10日間育苗する。前記育苗期間は、3〜8日間であることが好ましい。3日間以上育苗することにより、摘心処理による傷害ストレスを回復させて、以下で説明する接木工程の活着率を向上させることができる。また、前記育苗期間を8日以下とすることにより、従来技術の二本仕立接木苗と比較して、栽培期間、例えば開花時期を7〜12日間程度短縮することができる。なお、前記育苗期間は、トマトを好適条件において栽培した場合の期間である。当業者であれば、前記で説明した側枝の長さに基づき、実際の栽培条件における適切な育苗期間を適宜設定することができる。
本工程において、摘心した穂木幼苗を育苗する条件は特に限定されない。使用される穂木植物に基づき、当該技術分野で用いられる通常の育苗条件を適宜選択すればよい。また、幼苗の生育状態により、適宜施肥等してもよい。
前記の条件で本工程を実施することにより、二枚の子葉の付け根部のそれぞれから少なくとも一本の側枝が伸長した穂木幼苗を得ることが可能となる。
[2-3. 接木工程]
本発明の方法は、前記側枝生長工程で得られた側枝を有する幼苗を穂木として、台木に接木する接木工程(工程S3)を含む。
本工程において使用する台木は、前記で説明した台木植物である。台木植物の幼苗は、本工程の接木に適した生育段階のものを購入等してもよく、本工程の前に(好ましくは穂木幼苗とともに)、好ましい生育段階まで栽培したものを予め準備しておいてもよい。台木植物を栽培する場合、前記で説明した穂木植物と同様の方法で栽培すればよい。
接木する時期は、前記で説明した側枝生長工程の育苗期間経過後、すなわち、n本(nは1以上の整数である)の側枝がそれぞれ0.1〜40 mmの長さに生長するまで、摘心後の幼苗を育苗した後(例えば、摘心後3〜10日間)である。前記接木時期は、摘心後3〜8日間であることが好ましい。前記のように、摘心から3日後以降であれば、腋芽から側枝が生長して好適な長さとなっている。このため、摘心から3日後以降に接木することにより、所望の本数及び長さの側枝が形成されている幼苗を接木として選抜して台木と接木することができる。さらに、摘心から3日後以降に接木する場合、穂木が傷害ストレスから回復しているため、穂木と台木との活着率を向上させることができる。また、摘心から8日後までに接木することにより、従来技術の二本仕立接木苗と比較して、栽培期間、例えば開花時期を7〜12日間程度短縮することができる。
本工程において、穂木と台木とを接木する方法は特に限定されず、当該技術分野で通常使用される接木方法を用いることができる。例えば、斜め合わせ接ぎ、割り接ぎ、挿し接ぎ又は呼び接ぎなどを用いることができる。穂木と台木とを斜め合わせ接ぎし、支持体チューブ又は接木キャップ等で接続することが好ましい。前記方法で接木することにより、簡便な操作で効率よく接木苗を作成することが可能となる。
本工程により得られた接木苗は、接木面が接着するまで養生させる。その後、通常の栽培条件で、定植適期まで生育させる。定植適期まで生育させた接木苗は、圃場に移植してさらに生育させる。前記養生条件及び栽培条件は、使用される植物に基づき、当該技術分野で用いられる通常の育苗条件を適宜選択すればよい。また、幼苗の生育状態により、適宜施肥等してもよい。
本発明の方法により作成されたトマトの多本仕立接木苗は、従来技術の二本仕立接木苗と比較して、開花時期が7〜12日間程度早くなる。また、従来技術の一本仕立接木苗との栽培期間の差を、例えば開花時期の差として7日間程度に抑えることができる。それ故、本発明の方法を用いることにより、従来技術のトマトの二本仕立接木苗と比較して収穫時期を早め、従来の一本仕立接木苗との差を縮小することが可能となる。
本発明の方法により作成されたトマトの多本仕立接木苗は、従来技術の二本仕立接木苗と比較して、着果位置が低くなり、従来技術の一本仕立接木苗と同程度となる。また、本発明の方法により作成されたトマトの多本仕立接木苗の収穫量は、従来技術の二本仕立接木苗と比較して高く、特に初期収穫量が高い。それ故、本発明の方法を用いることにより、従来技術の二本仕立接木苗と比較して収穫量を向上させることが可能となる。
次に、前記本発明の実施例について記載するが、本発明の範囲は以下に示す作成方法により制限されるものではない。
<栽培試験1:トマト接木苗の開花期及び着果位置の比較>
[実施例1-1:本発明のトマト二本仕立接木苗]
掛川市吉岡のガラス温室(温度:最低9℃〜最高26℃)において、市販の72穴プラントプラグ(登録商標)(製造者:Jiffy Preforma Production株式会社、販売者:株式会社サカタのタネ)に、台木用トマト種子(品種名:ブロック)を直播した。また、市販の72穴プラントプラグ(登録商標)(製造者:Jiffy Preforma Production株式会社、販売者:株式会社サカタのタネ)に、穂木用トマト種子(品種名:麗容)を直播した。播種は、穂木及び台木とも同日(2011年12月20日)に行った。
播種後23日目(2012年1月12日)に、穂木幼苗の栽培群から第一本葉が完全に展開し、且つ第二本葉が展開しはじめた幼苗(1.5葉期)を選抜し、子葉の付け根部の直上部(約1 mm上部)の位置で、はさみを用いて主茎部を摘心した。
摘心後4日目(播種後27日目;2012年1月16日)に、二枚の子葉の付け根部のそれぞれから同程度に側枝が生長している幼苗を選抜した。選抜した穂木幼苗(32株)を、子葉の付け根部の直下部(約5〜10 mm下部)の位置で、カミソリ刃を用いて胚軸に対して約30°の鋭角に切断した。台木幼苗(32株)を、穂木幼苗と同様の方法で、子葉の付け根部の直上部(約5〜10 mm下部)で且つ地上から3 cm以上の位置で切断した。得られた台木の切断部位に、市販の接木キャップ(スーパーウイズ23号、ナスニック)を挿入した。前記の穂木を、穂木及び台木の切断面が密着するように台木上の接木キャップに挿入した。
接木後、馴化室(温度:25℃;湿度:80%;日長周期:14時間)で3日間養生した。その後、接木苗をガラス温室(温度:最低9℃〜最高26℃)に移してさらに生育させた。接木後11日目(播種後38日目;2012年1月27日)に、二本の側枝の生育が揃った接木苗を10.5 cmポットに移植し、ガラス温室でさらに生育させた。第1花房の第1花開花頃の苗を、定植適期の苗と評価した。定植適期の苗をガラス温室(温度:最低9℃〜最高26℃)に定植した。
[比較例1-1:従来のトマト一本仕立接木苗]
実施例1-1と同様の方法により、穂木用及び台木用のトマト種子を播種した。播種後27日目(2012年1月16日)に、穂木幼苗の栽培群から第一本葉及び第二本葉が完全に展開した幼苗(2葉期)を選抜し、子葉の付け根部の直上部(約4〜5 mm上部)の位置で、カミソリ刃を用いて主茎部に対して約30°の鋭角に切断した。台木幼苗(32株)を、穂木幼苗と同様の方法で、子葉の付け根部の直上部(約4〜5 mm上部)の位置で切断した。得られた台木の切断部位に、市販の接木キャップ(スーパーウイズ23号、ナスニック)を挿入した。前記の穂木を、穂木及び台木の切断面が密着するように台木上の接木キャップに挿入した。
接木後、馴化室(温度:25℃;湿度:80%;日長周期:14時間)で3日間養生した。その後、接木苗をガラス温室に移してさらに生育させた。接木後11日目(播種後38日目;2012年1月27日)に、接木苗を10.5 cmポットに移植し、ガラス温室でさらに生育させた。第1花房の第1花開花頃の苗を、定植適期の苗と評価した。定植適期の苗をガラス温室(温度:最低9℃〜最高26℃)に定植した。
[比較例1-2:従来技術のトマト二本仕立接木苗]
比較例1-1と同様の方法により、播種後27日目(2012年1月16日)に、穂木と台木とを接木した。
接木後、馴化室(温度:25℃;湿度:80%;日長周期:14時間)で10日間養生した。播種後34日目(2012年1月23日)に、接木苗の栽培群から第四本葉が完全に展開し、且つ第五本葉が展開しはじめた幼苗(4.5葉期)を選抜し、子葉の付け根部の直上部(約1 mm上部)の位置で、はさみを用いて主茎部を摘心した。
摘心後、接木苗を馴化室で10日間養生した。その後、接木苗をガラス温室(温度:最低9℃〜最高26℃)に移してさらに生育させた。接木後11日目(播種後38日目;2012年1月27日)に、二本の側枝の生育が揃った接木苗を10.5 cmポットに移植し、ガラス温室でさらに生育させた。第1花房の第1花開花頃の苗を、定植適期の苗と評価した。定植適期の苗をガラス温室(温度:最低9℃〜最高26℃)に定植した。
[栽培試験の結果]
比較例1-1及び1-2、並びに実施例1-1のトマト接木苗の栽培結果を図6に、比較例1-1(左側)及び比較例1-2(右側)、並びに実施例1-1(中央)のトマト接木苗(接木後27日目(播種後55日目)の株)の写真を図7に、それぞれ示す。実施例1-1、並びに比較例1-1及び1-2の接木苗について、地表から一段目に形成された第一花房の開花日、第一花房基部の地表からの高さ及び着果節位を記録した。結果を表1に示す。表中、接木日、摘心日及び開花日は、播種日からの日数である。また、着果節位は、全試験株の平均値である。
Figure 0006043117
表1に示すように、実施例1-1の二本仕立接木苗の開花日は、比較例1-1の一本仕立接木苗の開花日に対して7日間遅くなったが、比較例1-2の二本仕立接木苗の開花日に対して12日間早くなった。また、実施例1-1の二本仕立接木苗の第一花房基部の高さは、比較例1-1の一本仕立接木苗の場合より8 cm上昇したが、比較例1-2の二本仕立接木苗の場合より9 cm低下した。以上の結果より、実施例1-1の二本仕立接木苗は、従来技術の二本仕立接木苗と比較して、収穫期が早くなり且つ着果位置が低下することが明らかとなった。
<栽培試験2:トマト接木苗の摘心及び接木時期の検討>
[実施例2-1:本発明のトマト二本仕立接木苗]
掛川市吉岡のガラス温室(温度:最低10℃〜最高28℃)において、市販の72穴プラントプラグ(登録商標)(製造者:Jiffy Preforma Production株式会社、販売者:株式会社サカタのタネ)に、台木用トマト種子(品種名:ブロック)、及び穂木用トマト種子(品種名:りんか409)を直播した。播種は、穂木及び台木とも同日(2012年3月29日)に行った。
播種後17日目(2012年4月15日)に、1.5葉期の幼苗を選抜し、実施例1-1と同様の方法で摘心した。摘心後1、3、5、8又は10日目(播種後18、20、22、25又は27日目)に、実施例1-1と同様の方法で接木した。接木後、実施例1-1と同様の方法で接木苗を栽培した。各区について、それぞれ64株を栽培し、接木時期の活着率及び側枝の生育揃いを比較した。表中、接木時期は、摘心後の日数である。
Figure 0006043117
表2に示すように、活着率は、摘心後1〜8日目に接木した接木苗において93.7〜100%と高くなった。なかでも、摘心後3又は5日目に接木した接木苗において、それぞれ100%と極めて高い活着率となった。側枝の生育は、摘心後3〜10日目に接木した接木苗において良好であり、摘心後3又は8日目に接木した接木苗において特に良好であった。
<栽培試験3:トマト接木苗の開花時期及び着果節位の比較>
[実施例3-1:本発明のトマト二本仕立接木苗]
掛川市吉岡のガラス温室(温度:最低10℃〜最高28℃)において、市販の72穴プラントプラグ(登録商標)(製造者:Jiffy Preforma Production株式会社、販売者:株式会社サカタのタネ)に、台木用トマト種子(品種名:ブロック)、及び穂木用トマト種子(品種名:麗容)を直播した。播種は、穂木及び台木とも同日(2012年3月7日)に行った。
播種後15日目(2012年3月22日)に、1.5葉期の幼苗を選抜し、実施例1-1と同様の方法で摘心した。摘心後4日目(播種後19日目;2012年3月26日)に、実施例1-1と同様の方法で接木した。接木後、実施例1-1と同様の方法で接木苗を栽培した。ガラス温室への定植日は、播種後51日目(2012年4月27日)だった。前記の方法で15株を2連で栽培した。
[比較例3-1:従来のトマト一本仕立接木苗]
実施例3-1と同様の種子及び資材を用いて、比較例1-1と同様の方法により従来のトマト一本仕立接木苗を作成した。播種は、穂木及び台木とも同日(2012年3月7日)に行った。接木は、播種後19日目(2012年3月26日)に行った。ガラス温室への定植日は、播種後44日目(2012年4月20日)だった。実施例3-1と同様に15株を栽培した。
[比較例3-2:従来技術のトマト二本仕立接木苗]
実施例3-1と同様の種子及び資材を用いて、比較例1-1と同様の方法により従来のトマト一本仕立接木苗を作成した。播種は、穂木及び台木とも同日(2012年3月7日)に行った。接木は、播種後19日目(2012年3月26日)に行った。摘心は、播種後30日目(2012年4月6日)に行った。ガラス温室への定植日は、播種後58日目(2012年5月4日)だった。実施例3-1と同様に15株を2連で栽培した。
[栽培試験の結果]
実施例3-1、並びに比較例3-1及び3-2の接木苗について、地表から一段目(第一花房)、二段目(第二花房)及び三段目(第三花房)の開花日及び着果節位を記録した。結果を表3〜5に示す。表中、「95% CI」は95%信頼区間の平均値に対する上限値及び下限値の幅(±)であり、「n」は各試験区の株数であり、「SD」は標準偏差であり、「SE」は標準誤差である。
Figure 0006043117
Figure 0006043117
Figure 0006043117
表3〜5に示すように、比較例3-2の二本仕立接木苗と比較例3-1の一本仕立接木苗とを比較すると、定植時期の差は14日間であるのに対し、第一花房の開花時期の差は11.6又は12.3日間と短くなったが、第二及び第三花房の開花時期の差はそれぞれ15.4又は17.1日間及び18.2又は16.8日間と長くなった。一方、実施例3-1の二本仕立接木苗と比較例3-1の一本仕立接木苗とを比較すると、定植時期の差は7日間であるのに対し、第一、第二及び第三花房の開花時期の差はそれぞれ7.5又は7.6日間、8.3又は8.0日間及び6.6又は5.9日間であり、定植時期の差と同程度又はやや短くなった。以上の結果から、本発明の方法によって作成された二本仕立接木苗は、従来技術の二本仕立接木苗と比較して開花時期が早くなることが明らかとなった。
また、実施例3-1の二本仕立接木苗は、第二及び第三花房の着果節位が約3で一定となり、安定的な着果を示したのに対し、比較例3-2の二本仕立接木苗は、第三花房の着果節位が約3.3〜4.6となり、不安定な着果を示した。
<栽培試験4:トマト接木苗の収穫量の比較>
栽培試験3で作成した実施例3-1、並びに比較例3-1及び3-2の接木苗の栽培を継続して、2012年6月19日から2012年7月4日までの間に収穫された青果物を比較した。結果を表6に示す。
Figure 0006043117
表6に示すように、実施例3-1の二本仕立接木苗は、比較例3-2の二本仕立接木苗と比較して初期収穫量が高くなった。

Claims (3)

  1. 二枚の子葉の付け根部のそれぞれに少なくとも一本の側枝を有する穂木と、台木とを接木した、トマトの多本仕立接木苗を作成する方法であって、
    二枚の子葉が展開した本葉1葉期以降且つ2葉期未満の幼苗において、子葉の付け根部と第一本葉との間で主茎部を摘心する摘心工程;
    前記摘心工程で得られた幼苗を育苗して、二枚の子葉の付け根部のそれぞれから、0.1〜40 mmの長さを有する少なくとも一本の側枝を生長させる側枝生長工程;
    前記側枝生長工程で得られた側枝を有する幼苗を穂木として、台木に接木する接木工程;
    を含む前記方法。
  2. 二枚の子葉の付け根部のそれぞれに少なくとも一本の側枝を有する穂木と、台木とを接木した、トマトの多本仕立接木苗を作成する方法であって、
    二枚の子葉が展開した本葉1葉期以降且つ2葉期未満の幼苗において、子葉の付け根部と第一本葉との間で主茎部を摘心する摘心工程;
    前記摘心工程で得られた幼苗を3〜10日間育苗して、二枚の子葉の付け根部のそれぞれから少なくとも一本の側枝を生長させる側枝生長工程;
    前記側枝生長工程で得られた側枝を有する幼苗を穂木として、台木に接木する接木工程;
    を含む前記方法。
  3. 側枝生長工程において、摘心工程で得られた幼苗を3〜10日間育苗する、請求項1記載の方法。
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