JP7168931B2 - トマト果実糖度及び/又は耐ストレス性の向上に用いることができるトマト用台木 - Google Patents
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Description
マトの糖度を向上させる技術が記載されている。しかし、この技術も、遺伝子変異の導入等、煩雑な作業を要する。
織Bからなる群より選択される少なくとも1種を含む、項1に記載のトマト用台木。
なくとも1種である、項4に記載のトマト用台木。
られた植物体の溢泌液量を指標に、前記台木を、トマト果実糖度及び/又は耐ストレス性の向上に用いるためのトマト用台木として選択する工程、を含む、トマト果実糖度及び/又は耐ストレス性の向上に用いるためのトマト用台木をスクリーニングする方法。
植物をそれぞれ穂木、台木として、その切断部位で接ぎ木し、切断前と同じ構造の植物を得ることをいう。
本発明は、その一態様において、トマト穂木と接ぎ木した場合の溢泌液量が、前記トマト穂木の植物を自根栽培した場合の溢泌液量に対して80%以下である、トマト用台木(本明細書において、「本発明の台木」と示すこともある。)に係る。以下に、これについて説明する。
、突起状の凸状等、必要に応じて良好な接触が得られるような切断面が挙げられる。接ぎ木に適した部位の位置は、トマト穂木との接ぎ木が可能であり、且つ得られる接ぎ木体からトマト果実を得ることができる限り特に制限されず、任意の位置であり得るが、一態様として、子葉の付け根の下5cmから子葉の付け根の上5cmの間の部位であることが好ましい。
もよいし、2種以上の植物種の植物組織から構成されるものであってもよい。後者の場合
、各植物組織間は、通常、接ぎ木されている。
テラ属(Cyphanthera)、ドゥボイシア属(Duboisia)、グラムモソレン属(Grammosolen)、シモナンツス属(Symonanthus)、ペチュニア属、ベンタミエラ属(Benthamiella)
、ボウケティア属(Bouchetia)、バンマツリ属(Brunfelsia)、コムベラ属(Combera)、ファビアナ属(Fabiana)、フンジケリア属(Hunzikeria)、レプトグロッシス属(Leptoglossis)、アマモドキ属(Nierembergia)、パンタカンタ属(Pantacantha)、カリブラコア属(Calibrachoa)、プロウマニア属(Plowmania)、トウガラシ属、リキアンテス
属(Lycianthes)、ナス属、ヤルトマタ属(Jaltomata)、チョウセンアサガオ属、キダ
チチョウセンアサガオ属、ホオズキ属、イガホオズキ属、ハダカホオズキ属、ハシリドコロ属、ヒヨス属、ベラドンナ属、マンドラゴラ属、クコ属、カリブラコア属等に属する植物が挙げられる。これらの中でも、トマト穂木との接ぎ木和合性がより高いことから、ナス属植物が挙げられる。
葉付近(例えば、子葉の付け根の下5cmから子葉の付け根の上5cmの間の部位)である。
に採取される液量を測定する。
れない。植物組織Aには、通常、茎、幹等の地上部が含まれ、さらに根、地下茎等の地下
部も含まれることが好ましい。
来の茎頂端方向が、本発明の台木においては根側を向いている。これは、代表的には、逆さ接ぎ木(図7参照)により得ることができる。植物組織Bには、通常、茎、幹等の地上
部が含まれるものの、その方向性の性質上、通常は、根、地下茎等の地下部は含まれない。植物組織Bの植物種は、トマトであることが好ましい。
断面同士を接触させて栽培する工程(工程2)を含む方法によって行うことができる。
加工されることが好ましい。例えば、斜め切断を行うことや、一方の切断面中央部に1~2
cm程度の切れ込みを入れ、他方の切断面をV字型に切削すること等が挙げられる。これらの加工は、例えば片刃のカミソリを用いて行うことができる。
ダメージを与えぬように静かに行うことが望ましい。
ることが好ましい。固定は、例えば接触部位をパラフィルム等のシート状のもので巻くことにより行うことができる。
木等)全体を保湿状態に保つことが望ましい。保湿は、例えば水を霧吹きしたプラスチックバックで地上部側の接ぎ木材料を覆うことによって行うことができる。
ることが望ましい。4つ以上の接ぎ木材料を接ぎ木する場合も、これに準じた方法で接ぎ
木することが望ましい。
°以上、3°以上高い。また、本発明の植物体のトマト果実糖度(Brix値)は、例えば6°以上、6.5°以上、7°以上、7.5°以上である。なお、糖度の上昇の程度、及び糖度の絶
対値は、栽培時期や栽培環境によっても異なり得るものであるが、トマトの栽培に適した時期及び環境においては、糖度向上効果を高いレベルで発揮することができる。
本発明は、その一態様において、(A)トマト穂木と被検台木とを接ぎ木する工程、及
び(B)前記工程Aで得られた植物体の溢泌液量を指標に、前記台木を、トマト果実糖度及び/又は耐ストレス性の向上に用いるためのトマト用台木として選択する工程、を含む、トマト果実糖度及び/又は耐ストレス性の向上に用いるためのトマト用台木をスクリーニングする方法に係る。
の植物を自根栽培した場合の溢泌液量に対して80%以下である場合に、前記台木を、トマト果実糖度及び/又は耐ストレス性の向上に用いるためのトマト用台木として選択する工程である。
。
試験例1-1.材料および方法
供試株の栽培試験は埼玉県農業技術研究センター(埼玉県熊谷市須賀広784)において
行った。
上げした。
め切断接ぎ木により接ぎ木を行った。なお、セルフ接ぎ木は、2016年10月4日に播種した
‘CF桃太郎はるか’を子葉の下で切断し、同一個体で斜め切断接ぎ木を行った。
ラスチック鉢に鉢上げした。
、株間30cmの1条植えとした。肥料は全量元肥で緩効性肥料(N:P2O5:K2O=13:9:11、
ジェイカムアグリ社製)、緩効性肥料(N:CaO=12:23、ジェイカムアグリ社製)および
化成肥料(N:P2O5:K2O =15:15:12、ジェイカムアグリ社製)を64.5:6.5:29の割合
でよく混和し、N:P2O5:K2O:CaO =13.5:11:11:2g/鉢となるように施用した。かん
水はpF値が2.2以下となるように管理した。また、最低温度は14℃を維持するように加温
した。主枝1本仕立てとし、第3果房上に本葉を2枚残して摘心し、各花にトマトトーン(4-CPA、日産化学工業社製)100倍液を処理した。
‘マイクロトム’を台木に用いた場合、他の台木と比較して総収量が4割程度減少した
。果実糖度(Brix値)は、‘マイクロトム’を台木に用いた場合、他の台木と比較して第1果房で2.3~1.9°、第2果房で2.6~2°、第3果房で3.2~2.1°高い結果となった(表1
)。
続いて、穂木の主茎を切断した時に得られる溢泌液量と根の乾燥重量を調査した。その結果、果実糖度と根の乾燥重量の相関(r=0.6)よりも、果実糖度と溢泌液量が少ないこととの相関(r=0.77)が高く(図1)、果実糖度は、溢泌液量が少ないほど上昇する結果となった。
試験例2-1.材料および方法
供試株の栽培試験は埼玉県農業技術研究センター(埼玉県熊谷市須賀広784)において
行った。供試品種は、穂木に‘Moneymaker’ (NBRPトマトより分譲)を用い、台木にわ
い性品種の‘マイクロトム’を用いた。台木に用いた供試品種は2016年9月30日、穂木は
、2016年10月15日に播種した。2016年11月19日に穂木は子葉の下、台木は子葉の上で切断し、斜め切断接ぎ木により接ぎ木を行った。なお、セルフ接ぎ木は、2016年10月15日に播種した‘Moneymaker’を子葉の下で切断し、同一個体で斜め切断接ぎ木を行った。ガラスハウス(間口7.5m、奥行き21m)に2016年12月12日に直径30cm、深さ28cmの不織布の鉢(
グンゼ社製)に定植し、高糖度試験と同様の栽培管理を行った。
‘マイクロトム’を台木に用いた場合、セルフ接ぎ木と比較して総収量が2割程度減少
し、果実糖度(Brix値)は、第1果房で1.3°、第2果房で1.6°、第3果房で1.4°高い結果となった(表2)。果実糖度は、溢泌液量の少ない‘マイクロトム’を台木に用いることで高い結果となった(表2、図2)。穂木を変えても溢泌液量が少ない‘マイクロトム’を台木に用いることで果実糖度は高くなった。
試験例3-1.材料および方法
高糖度試験においてガラスハウスに定植したセルフ接ぎ木と‘マイクロトム’を台木に用いた植物体から2017年2月6日に小葉を採取し、実験室内で乾燥しないように三角フラスコに蒸留水を満たし小葉の元の部分を差し込み、ウドンコ病に罹病したトマトの周りにランダムに配置した。約2週間後に小葉の状態を調査した。三角フラスコの蒸留水は、適宜
補充した。
‘マイクロトム’を台木に用いた場合、セルフ接ぎ木よりもウドンコ病の病斑が少なく(図3)、ウドンコ病に対して抵抗性を示すことが分かった。
試験例4-1.材料および方法
供試株の栽培試験は埼玉県農業技術研究センター(埼玉県熊谷市須賀広784)において
行った。
直後と3日後に測定し、その差から無処理区の値を100として草丈の生育(%)を計算した
。
低温耐性の指標として、電解質の漏出と草丈の生育を調査した。‘マイクロトム’を台木に用いた場合、他の台木と比較して低温処理後、葉への低温障害はほとんど観察されず
(図4)、電解質の漏出が少なく(図5)、草丈の成長抑制も小さい(図6)結果が得られ、‘マイクロトム’を台木に用いることにより低温耐性が高まった。
試験例5-1.材料および方法
供試株の栽培試験は埼玉県農業技術研究センター(埼玉県熊谷市須賀広784)において
行った。供試品種は、‘CF桃太郎はるか’を用い、2018年2月1日に播種した。2018年2月20日に逆さ接ぎ木及び断根さし接ぎ(図7)、2018年2月20日にセルフ接ぎ木を行った。ガラスハウス(間口7.5m、奥行き21m)に2018年4月4日に直径30cm、深さ28cmの不織布の鉢
(グンゼ社製)に定植し、 高糖度試験と同様の栽培管理を行い、果実の収量性と栽培終
了後、溢泌液量を調査した。
溢泌液量を少なくする接ぎ木の方法として逆さ接ぎ木、その対照区として断根挿し接ぎを行った。逆さ接ぎ木の場合、断恨挿し接ぎよりも総収量は3割程度減少し、果実糖度は
、第4果房で0.6°高く、溢泌液量は、少ない結果となった(表3)。‘マイクロトム’を台木に用いること、あるいは逆さ接ぎ木を行うことで溢泌液量は少なくなり、果実糖度(Brix値)は上昇した。なお、本試験例においては、果実の収穫時期が夏季であり、トマト果実が高糖度化しにくい時期であった。
Claims (6)
- トマト穂木、及びトマト用台木を含む接ぎ木材料を接ぎ木する工程を含む、トマト果実糖度及び/又は耐ストレス性を向上させる方法であって、接ぎ木した場合の溢泌液量が、前記トマト穂木の植物を自根栽培した場合の溢泌液量に対して80%以下である、方法。
- 前記接ぎ木材料が、本来の茎頂端方向が茎頂端側に配置された植物組織、又は本来の茎頂端方向が根側に配置された植物組織であるトマト用台木を含む、請求項1に記載の方法。
- 前記トマト用台木が、マイクロトム及び/又はその変異体の植物組織である、請求項1又は2に記載の方法。
- 前記植物組織がトマトの植物組織である、請求項2に記載の方法。
- 前記耐ストレス性が、低温耐性、及び病害抵抗性からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
- (A)トマト穂木と被検台木とを接ぎ木する工程、及び
(B)前記工程Aで得られた植物体の溢泌液量が、前記トマト穂木の植物を自根栽培した場合の溢泌液量に対して80%以下であることを指標に、前記台木を、トマト果実糖度及び/又は耐ストレス性の向上に用いるためのトマト用台木として選択する工程、
を含む、トマト果実糖度及び/又は耐ストレス性の向上に用いるためのトマト用台木をスクリーニングする方法。
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