JP2001339192A - 電波遮蔽体、およびこの電波遮蔽体を用いた電磁波シールドルーム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】オフィス内部において反射電波による画面の揺
らぎや誤動作などが起こる不都合を解決することを目的
としたものである。即ち、特定周波数の電波のみを遮
蔽、吸収する電波遮蔽体と電磁波シールドルームを提供
することを目的とする。 【解決手段】室内の特定の周波数のみを吸収、室外から
の特定の周波数は反射、その他の周波数の電波は透過す
る周波数選択性を有する電波遮蔽体、特に抵抗体皮膜と
遮蔽しようとする電波の周波数に対応した特定の長さを
有する金属線素子が配設された電波反射面とを該電波波
長の約４分の１（但し、該電波波長は誘電体中での波
長）の厚さを持つ誘電体を挟んで配置したことを特徴と
する周波数選択性を有する電波遮蔽体と電磁波シールド
ルームを提供するを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、特定の電磁波を吸
収、遮蔽できる電波遮蔽体、およびこの電波遮蔽体を用
いた良好な電磁環境を保つ、電磁波シールドルームに関
する。

【０００２】

【従来の技術】近年、事業所内ＰＨＳや無線ＬＡＮの利
用が広がりを見せるなか、情報の漏洩防止や外部からの
侵入電波による誤動作やノイズ防止といった点から、オ
フィス内での電波環境を整えることが不可欠になってお
り、そのような電波環境の整備用部材として、既に種々
のタイプの電磁波シールドルームものが提案されてい
る。

【０００３】例えば、特公平６−９９９７２号公報に
は、金属やフェライトなどの電磁シ−ルド部材をビルの
躯体に付加することで、広い周波数帯域で任意の周波数
の電波を使って情報通信が出来る電磁シ−ルド・インテ
ルジェントビルを提供する発明が述べられている。

【０００４】しかし、前述の発明において室内壁面は電
波吸収特性を有していないために、一つの部屋で複数の
無線機器を使用する場合には、反射波によるフェージン
グ等の問題が発生するおそれがある。また、電磁波シー
ルド部材として、このような鉄板、金属網、金属メッシ
ュ、金属箔などの電波反射体やフェライトなどの電波吸
収体を用いている。これらのシールド部材は、電磁シ−
ルド性に周波数選択性が無いため、遮蔽しようとする周
波数以外の電波まで遮蔽してしまい、外部からの携帯電
話等の電波は完全に遮断してしまうため電波の有効利用
という観点から考えると好ましくない。

【０００５】また、特開平１０−１６９０３９号公報
は、このような問題点を解消するもので、線状のアンテ
ナ素子を定期的に配列させる電磁シールド部材を用いる
ことにより遮蔽しようとする特定周波数の電波のみを遮
蔽する電磁波シールドルームを提供する発明である。

【０００６】しかし、前述の発明の構成では、その遮蔽
は反射損失によるものが大部分であるため、オフィス内
部において反射電波による画面の揺らぎや誤動作などが
起こる場合があるのが問題である。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来の電磁波シールドルームがもつオフィス内部にお
いて反射電波による画面の揺らぎや誤動作などが起こる
不都合を解決することを目的としたものである。即ち、
特定周波数の電波のみを遮蔽、吸収する電波遮蔽体、お
よびこの電波遮蔽体を用いた電磁波シールドルームを提
供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するためのものであって、請求項１記載の発明は、内部
の特定の周波数のみを吸収、外部からの特定の周波数の
みを遮蔽し、前記特定の周波数以外の周波数は透過する
周波数選択性を有する電波遮蔽体を提供するものであ
る。

【０００９】請求項２記載の発明は、抵抗体皮膜と、遮
蔽しようとする電波の周波数に対応した特定の長さを有
する導電性素子が配設された電波反射面とを、誘電体を
挟んで配置したことを特徴とする請求項１記載の周波数
選択性を有する電波遮蔽体を提供するものである。

【００１０】請求項３記載の発明は、前記誘電体の厚さ
が、前記吸収、遮蔽する電波の該誘電体中の波長の約４
分の１とすることを特徴とする請求項２記載の周波数選
択性を有する電波遮蔽体を提供するものである。請求項
４記載の発明は、導電性素子が開放末端を有し、前記吸
収、遮蔽する電波の波長の半分の長さを持つことを特徴
とする周波数選択性を有する請求項２または３記載の電
波遮蔽体を提供するものである。

【００１１】請求項５記載の発明は、導電性素子が環状
であり、前記吸収、遮蔽する電波の波長の半分の長さを
持つことを特徴とする周波数選択性を有する請求項２ま
たは３記載の電波遮蔽体を提供するものである。

【００１２】請求項６記載の発明は、請求項１ないし５
何れか記載の電波遮蔽体が透明である透明電波遮蔽体を
提供するものである。

【００１３】請求項７記載の発明は、導電性素子ＩＴＯ
であることを特徴とする請求項６記載の周波数選択性を
有する透明電波遮蔽体を提供するものである。

【００１４】請求項８記載の発明は、請求項１ないし７
何れかに記載の電波遮蔽体を用いた電磁波シールドルー
ムを提供するものである。

【００１５】請求項９記載の発明は、電波遮蔽体の抵抗
体皮膜を室内側、電波反射面を室外側に設けた請求項８
記載の電磁波シールドルームを提供するものである。請
求項１０記載の発明は、請求項６または７記載の透明電
波遮蔽体を窓材として用いた事を特徴とする電磁波シー
ルドルームを提供するものである。

【００１６】本発明の電波遮蔽体は特定の周波数の電波
のみを吸収、遮蔽できるため電波の有効利用という面か
ら優れている。この電波遮蔽体を用いたシールドルーム
は、、室内に同一周波数を用いる例えば無線機器（無線
ＬＡＮ等）が複数あった場合にも壁面等に設置した電波
吸収体により反射波による通信の遅延や混信等の問題を
避けることが出来る。また、外部からの放送波や携帯電
話、ＰＨＳ等の電波は目的とする周波数と一致していな
ければ透過するために外部との通信等に影響を与えな
い。

【００１７】本発明の電波遮蔽体およびこの電波遮蔽体
を用いた電磁波シールドルームは、前述の様に無線ＬＡ
Ｎの電波のみを吸収、遮蔽し、他の携帯電話、ＰＨＳ等
の電波は透過すると言うような電磁波シールドルームも
可能となる。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態を詳細に説
明する。抵抗体皮膜と、遮蔽しようとする電波の周波数
に対応した特定の長さを有する金属線素子が配設された
電波反射面とを、誘電体を挟んで配置したことを特徴と
する周波数選択性を有する電波遮蔽体であり、この電波
遮蔽体を壁、床、天井に貼り付けることにより電磁波シ
ールドルームとするが、上記電波遮蔽体に金属箔等の通
常の電波遮蔽体を組み合わせることも可能である。

【００１９】ここで、前記誘電体の厚さは、誘電体中で
の電波波長の約４分の１とすることが好ましい。ただ
し、この場合には電波の伝搬を考慮し、特定の周波数の
電波を吸収し、他の周波数の電波を透過させたい部位に
は、抵抗体皮膜と、遮蔽しようとする電波の周波数に対
応した特定の長さを有する金属線素子が配設された電波
反射面とを、該電波波長の約４分の１（但し、該電波波
長は誘電体中での波長）の厚さを持つ誘電体を挟んで配
置したことを特徴とする電波遮蔽体のような周波数選択
性を有する電波遮蔽体を用いる必要がある。

【００２０】また、窓等の採光部には抵抗皮膜、誘電体
層を透明にした、抵抗体皮膜と、遮蔽しようとする電波
の周波数に対応した特定の長さを有する金属線素子が配
設された電波反射面とを、該電波波長の約４分の１（但
し、該電波波長は誘電体中での波長）の厚さを持つ誘電
体を挟んで配置したことを特徴とする周波数選択性を有
する電波遮蔽体や、特開平１０−１６９０３９号公報記
載の、線状のアンテナ素子を定期的に配列させることで
遮蔽しようとする特定周波数の電波のみを遮蔽する電磁
波シールド材を用いることが好ましいが、その位置にお
いて周波数選択性を有する電波シールド性を必要としな
い場合には、透光性を有する他の電磁波シールド材、電
波吸収体を用いてもかまわないものとする。

【００２１】

【実施例】図１には、電波遮蔽体の一例を示す断面図
で、抵抗体皮膜１と、遮蔽しようとする電波の周波数に
対応した特定の長さを有する金属線素子が配設された電
波反射面２とを、誘電体３を挟んで配置したことを特徴
とする周波数選択性を有する電波遮蔽体１０を示す。こ
の際、誘電体３の厚さは、誘電体３中での電波波長の約
４分の１とすることが好ましい。

【００２２】この様に抵抗体皮膜１と、遮蔽しようとす
る電波の周波数に対応した特定の長さを有する金属線素
子が配設された電波反射面２とを、誘電体３を挟んで配
置したことを特徴とする周波数選択性を有する電波遮蔽
体１０を用いた電磁波シールドルームの１実施形態を図
２に示す。

【００２３】この図２はビル等に電磁波シールドオフィ
スを作製した例であり、上面から見た図となっている。
また、この図は、無線ＬＡＮ２０に用いられる２．４５
ＧＨｚにおいて、電波を遮蔽、吸収する吸収体を用い電
磁波シールドオフィス２１を作製した例である。室内で
無線ＬＡＮ２０を使用した場合に、本発明の電磁波シー
ルドルームでは、壁等に設けた電波遮蔽体１０が電波を
吸収するために不要な干渉波が発生せず、快適な無線Ｌ
ＡＮ環境を作り出す。

【００２４】また、このフロアーには廊下に一つだけ構
内用ＰＨＳ（１．９ＧＨｚ）のアンテナ３０が設けられ
ており、それを用いてすべての部屋で構内用ＰＨＳを使
用する環境となっている。しかし通常の電磁波シールド
ルームではＰＨＳの周波数も遮蔽してしまうため室内で
は構内用ＰＨＳの使用が不可能になってしまう。

【００２５】しかし、図１に示した電波遮蔽体１０を用
いたシールドルームでは無線ＬＡＮの電波については吸
収、遮蔽するが、ＰＨＳの電波は透過するため、室内で
も構内用ＰＨＳの使用が可能となる。ここに示したよう
に特定の周波数の電波を吸収、シールドする事により電
波を有効に利用することが可能となる。また、吸収、遮
蔽する周波数を複数選択することにより、さらに有効な
電磁波シールドルームを作製することが出来る。

【００２６】

【発明の効果】以上の詳述したように、本発明によれば
電波を周波数ごとに有効に利用できる電波遮蔽体とする
ことができ、この電波遮蔽体を用いることで電磁波シー
ルドルームを提供することが出来る。これにより、特定
周波数の電磁波のみをシールド、吸収する電磁波シール
ドルームをえることが出来る。

【００２７】これにより、電磁波シールドルームは特定
の周波数の電波のみを吸収、遮蔽するため電波の有効利
用という面から優れている。例えば、室内に同一周波数
を用いる無線機器（無線ＬＡＮ等）が複数あった場合に
も壁面等に設置した電波吸収体により反射波による通信
の遅延や混信等の問題を避けることが出来る。

【００２８】また、外部からの放送波や携帯電話、ＰＨ
Ｓ等の電波は目的とする周波数と一致していなければ透
過するために外部との通信等に影響を与えない。

【００２９】さらに、無線ＬＡＮの電波のみを吸収、遮
蔽し、他の携帯電話、ＰＨＳ等の電波は透過すると言う
ような電磁波シールドルームも可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の１実施例を示す電波遮蔽体の断面図で
ある。

【図２】本発明の１実施例を示す電磁波シールドルーム
およびその動作の説明図である。

【符号の説明】

１ 抵抗体皮膜 ２ 電波反射面 ３ 誘電体 １０ 電波遮蔽体 ２０ 無線ＬＡＮ ２１ 電磁波シールドオフィス

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 2E001 DH01 FA03 FA11 FA14 GA12 HA20 HB01 MA01 5E321 AA42 AA46 BB23 GG05 GG11 GH01

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内部の特定の周波数のみを吸収、外部から
   の特定の周波数のみを遮蔽し、前記特定の周波数以外の
   周波数は透過する周波数選択性を有する電波遮蔽体。
2. 【請求項２】抵抗体皮膜と、遮蔽しようとする電波の周
   波数に対応した特定の長さを有する導電性素子が配設さ
   れた電波反射面とを、誘電体を挟んで配置したことを特
   徴とする請求項１記載の周波数選択性を有する電波遮蔽
   体。
3. 【請求項３】前記誘電体の厚さが、前記吸収、遮蔽する
   電波の該誘電体中の波長の約４分の１とすることを特徴
   とする請求項２記載の周波数選択性を有する電波遮蔽
   体。
4. 【請求項４】導電性素子が開放末端を有し、前記吸収、
   遮蔽する電波の波長の半分の長さを持つことを特徴とす
   る周波数選択性を有する請求項２または３記載の電波遮
   蔽体。
5. 【請求項５】導電性素子が環状であり、前記吸収、遮蔽
   する電波の波長の半分の長さを持つことを特徴とする周
   波数選択性を有する請求項２または３記載の電波遮蔽
   体。
6. 【請求項６】請求項１ないし５何れか記載の電波遮蔽体
   が透明である透明電波遮蔽体。。
7. 【請求項７】導電性素子ＩＴＯであることを特徴とする
   請求項６記載の周波数選択性を有する透明電波遮蔽体。
8. 【請求項８】請求項１ないし７何れかに記載の電波遮蔽
   体を用いた電磁波シールドルーム。
9. 【請求項９】電波遮蔽体の抵抗体皮膜を室内側、電波反
   射面を室外側に設けた請求項８記載の電磁波シールドル
   ーム。
10. 【請求項１０】請求項６または７記載の透明電波遮蔽体
    を窓材として用いた事を特徴とする電磁波シールドルー
    ム。