JP2001335862A - 耐熱特性に優れた白金材料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐熱特性に優れた白金材料を提供すること。 【解決手段】 ストロンチウムおよび／またはバリウを
10〜10000ppmの範囲内の量で含有することを特徴とする
白金材料。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱特性に優れた
白金材料、特に、高温で使用されるルツボや器具および
装置、熱電対、センサ材料等の構成材料として有用な高
温での特性に優れた白金材料に関する。

【０００２】

【従来の技術と課題】高温で使用されるルツボや器具お
よび装置、熱電対、センサ材料等を構成する材料とし
て、白金が広い産業分野で用いられている。白金が広い
分野で用いられている理由としては、優れた耐食性及び
耐酸化性を有すること、高い融点を有すること、非反応
性で高温下においても酸化物等の溶融物や固形物との反
応が少ないこと、高温下においても電気的特性の変化が
少なく電気特性の安定性に優れていること、各種形状へ
の機械加工や溶接加工が容易であること等が挙げられ
る。

【０００３】しかしながら、白金は高温下での機械的特
性が充分ではなく、従来から、白金がもつ上記の如き優
れた特性を低下させることなく、高温下での機械的特性
を向上させるための方策がいくつか提案されている。

【０００４】例えば、白金に酸化ジルコニウムや酸化イ
ットリウムの微粒子を分散させた、いわゆる酸化物分散
型白金が提案されており（特公昭52-12125号公報や特公
昭55-47336号公報）、これにより白金の高温下での機械
的特性は或る程度改善されるが、酸化物分散型白金は、
高温下での伸びが小さく、予兆なく割れ等の破壊現象を
生じるため、酸化物等の溶融用るつぼとして使用した場
合、溶融物のもれ事故が発生し電気炉等の装置類を損傷
させるという問題があり、また、酸化物分散型白金の製
造には、多数の複雑な工程を必要とし、製品コストが高
くなる等の問題がある。

【０００５】さらに、特公平3-4611号公報および特開平
6-212321号公報には、それぞれ、高純度の白金に微量の
Ｃａ又はＢとＣａを含有せしめることにより、高温特
性、特に高温クリープ強度が向上した白金材料が開示さ
れている。

【０００６】しかしながら、最近の産業技術の高度化に
伴い、白金材料に要求される特性もますます厳しくなっ
てきており、高温特性に優れた材料を安価に提供できる
手段の開発が強く求められている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の如
き要望に応えるべく鋭意検討を行った結果、今回、白金
に微量のストロンチウムおよび／またはバリウムを含有
させるだけで、白金の高温における機械的特性、特にク
リープ特性が著しく向上することを見出し、本発明を完
成するに至った。

【０００８】かくして、本発明によれば、ストロンチウ
ムおよび／またはバリウムを１０〜１００００ｐｐｍの
範囲内の量で含有することを特徴とする白金材料が提供
される。

【０００９】本発明においてストロンチウムおよび／ま
たはバリウムが添加される白金としては、高純度のもの
が使用されるが、Ａｕ，Ｃｕ，Ｐｄ，Ｒｈ，Ｉｒ，Ｒ
ｕ，Ｏｓ等の不可避元素を不純物として含有していても
よく、その際の白金の純度は一般に99.95重量％以上で
あることが好ましい。

【００１０】本発明の白金材料におけるストロンチウム
および／またはバリウムの含有量は、１０〜１００００
ppm、好ましくは１０〜５０００ｐpm、さらに好ましく
は５０〜１０００ppmの範囲内とすることができる。ス
トロンチウムの含有量が１０ppm未満ではその添加効果
が得られず、逆に１００００ppmを越えると白金材料の
加工性が低下する傾向が見られる。

【００１１】ストロンチウムおよびバリウムはそれぞれ
単独で白金に添加することができ、あるいはストロンチ
ウムとバリウムの両者を併用して白金に添加することも
できる。併用する場合、両者の合計含有量が上記の範囲
内になるようにすることが望ましい。また、両者の併用
割合には特に制限はなく、任意の割合で併用することが
できる。

【００１２】ストロンチウムおよび／またはバリウムを
上記濃度で含有する白金材料は、例えば、原材料として
の白金に所定量のストロンチウムおよび／またはバリウ
ムを添加し、例えば高周波溶解炉等の加熱溶解炉の中で
不活性ガス雰囲気下に溶融することにより製造すること
ができる。

【００１３】以下、実施例により本発明をさらに具体的
に説明する。

【００１４】

【実施例】実施例１〜７および比較例１〜３ 純度99.97％の白金100gに純度99.9％のストロンチウム
および／または純度99.9％のバリウムを下記表１に示す
量加え、アーク溶解炉でアルゴン雰囲気下に溶解して試
験用インゴットを製造した。

【００１５】得られたインゴットについてＩＣＰ分析に
よりストロンチウムおよびバリウムの定量分析を行っ
た。その結果を下記表１に示す。

【００１６】また、得られたインゴットを線引き加工
し、線径φ1.5mmの線材としたが、実施例１〜７及び比
較例１〜３のいずれのインゴットも断線等は起こらず良
好な加工性を示した。

【００１７】この線材を高温クリープ試験機にかけ、大
気中、応力1.96MPa、試験温度1650℃での破断時間を測
定した。その結果も下記表１に示す。

【００１８】

【表１】

【００１９】実施例８ 純度99.97％の白金2kgに真空雰囲気中（1×10^-1Pa）で
高周波溶解炉にて溶解し、鋳造した。その際、溶解中に
ストロンチウムを0.2g添加した。得られたインゴットを
ＩＣＰ分析した結果、ストロンチウムの含有量は86ppm
であり、特にストロンチウムの顕著なロス等も見られず
良好な溶解性を有していた。このインゴットを5mmまで
圧延加工し、1000℃×30min焼鈍したが膨れ等は発生し
なかった。さらに、0.5mmまで圧延加工したが、特にク
ラック等の欠陥も発生せず、良好な加工性を示した。

【００２０】実施例９ 純度99.97％の白金2kgに真空雰囲気中（1×10^-1Pa）で
高周波溶解炉にて溶解し、鋳造した。その際、溶解中に
バリウムを0.2g添加した。得られたインゴットをＩＣＰ
分析した結果、バリウムの含有量は７８ppmであり、良
好な溶解性を有していた。このインゴットを5mmまで圧
延加工し、1000℃×30min焼鈍したが膨れ等は発生しな
かった。さらに、0.5mmまで圧延加工したが、特にクラ
ック等の欠陥も発生せず、良好な加工性を示した。

【００２１】

【発明の効果】以上の結果から明らかなように、本発明
の白金材料は、一般的な製造方法で容易に製造すること
ができ、良好な加工性を有しながら、優れた耐熱特性を
有するものである。かくして、本発明の白金材料は、ル
ツボや器具および装置、熱電対、センサ材料等の構成材
料として優れた効果を有するものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ストロンチウムおよび／またはバリウム
   を１０〜１００００ｐｐｍの範囲内の量で含有すること
   を特徴とする白金。