JP2001334131A - 中空糸膜及び中空糸膜の加工方法及び中空糸膜モジュール及び中空糸膜モジュールの使用方法及び中空糸膜モジュールの製造方法 - Google Patents

中空糸膜及び中空糸膜の加工方法及び中空糸膜モジュール及び中空糸膜モジュールの使用方法及び中空糸膜モジュールの製造方法

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JP2001334131A
JP2001334131A JP2000155022A JP2000155022A JP2001334131A JP 2001334131 A JP2001334131 A JP 2001334131A JP 2000155022 A JP2000155022 A JP 2000155022A JP 2000155022 A JP2000155022 A JP 2000155022A JP 2001334131 A JP2001334131 A JP 2001334131A
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JP
Japan
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hollow fiber
fiber membrane
fibrous material
membrane module
wound
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JP2000155022A
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English (en)
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Toshihiro Nakayama
智弘 中山
Masaharu Saito
昌晴 齋藤
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Nok Corp
Original Assignee
Nok Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中空糸膜強度の向上を図り、かつ、モジュー
ルとして使用された場合にモジュール効率の向上を可能
とする中空糸膜及び中空糸膜の加工方法及び中空糸膜モ
ジュール及び中空糸膜モジュールの使用方法及び中空糸
膜モジュールの製造方法を提供する。 【解決手段】 中空糸膜3の外周表面に繊維状物4を巻
き付ける構成とすることによって、中空糸膜3を繊維状
物4によって補強し、強度を向上させ、かつ、ケース部
材2内に流入され、中空糸膜3の膜外を流れる流体に乱
流を形成させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、混合気体
の分離濃縮,混合液体(有機溶媒)の分離濃縮,有機蒸
気や空気中の窒素や酸素の分離濃縮の他、気体の加湿や
除湿のために用いられる、中空糸膜及び中空糸膜の加工
方法及び中空糸膜モジュール及び中空糸膜モジュールの
使用方法及び中空糸膜モジュールの製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の中空糸膜モジュールは、
気体分離の他、気体の加湿や除湿のために用いられてい
る。このような従来技術に係る中空糸膜モジュールにつ
いて、図5および図6を参照して説明する。
【0003】図5は従来技術に係る中空糸膜モジュール
の一部破断模式図であり、図6は従来技術に係る中空糸
膜モジュールの内部の様子を示す模式的断面図である。
【0004】まず、図5に示すように、従来技術に係る
中空糸膜モジュール100は、概略、内部中空のケース
部材101と、このケース部材101内に装填される複
数の中空糸膜102と、この中空糸膜102の両端付近
において、それぞれ各中空糸膜102の外壁面間とケー
ス部材101の内壁面との隙間を封止するように接着剤
によって固定される封止固定部103,104と、から
構成される。
【0005】また、ケース部材101には、その一端側
に流入口101aが設けられており、その他端側には流
出口101bが設けられている。
【0006】以上のような構成によって、気体分離用途
で中空糸膜モジュール100を用いる場合には、流入口
101aより図中矢印p0方向に混合気体を流入させ、
流出口101bの絞りを行う等によって、流入させた気
体の圧力を高めることによって、混合気体のうち膜を分
離しやすいものを優先的に中空糸膜102の中空内部に
透過させて、図中q1方向に流出させる。
【0007】このようにして、膜を透過しやすいものの
濃度を高くした気体をq1から流出させると共に、膜を
透過しやすいものの濃度を低くした気体を流出口101
bから図中p1方向に流出させることで気体分離を行
う。
【0008】また、加湿を行う場合には、中空糸膜10
2内に通水を行いつつ(q0からq1方向)、流入口1
01aより図中矢印p0方向に気体を流入させて、流出
口101bから図中p1方向に流出させれば、中空糸膜
102の外周表面付近で気体が水分を含むため流出口1
01bから流出される気体は湿度が向上している。
【0009】一方、除湿を行う場合には、中空糸膜10
2内に乾燥気体を流すことによって、気体中の水分を中
空糸膜102の内部に逃がすことによって、流出口10
1bから流出される気体の除湿を行うことができる。
【0010】いずれの用途の場合にあっても、従来技術
の構成の場合には、図6に示すように、流入口101a
から流入し、流出口101bから流出される流体(気
体)は、中空糸膜102に沿って層状の流れを形成す
る。
【0011】なお、中空糸膜の製造方法としては、熱誘
起相分離法と溶融紡糸法とに大別され、特に、熱誘起相
分離法は幅広い孔径制御が可能であり、種々の素材にて
実施の形態され、製品化されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来技術の場合には、下記のような問題が生じて
いた。
【0013】一般的に中空糸膜モジュールの抱える問題
点として、膜自体の強度が低い点が挙げられる。従っ
て、中空糸膜はその両端がポッティング材にて固定され
て用いられるため、揺動した場合に固定付近で切れやす
く、例えば、モジュール運転開始時の流体圧力の変動や
運転中のモジュールの圧力変動、揺動洗浄や熱等による
中空糸膜の収縮、逆圧および揺動等に対して中空糸膜切
れなどの不具合が発生することがある。また、ケース部
材に挿入する前に、中空糸膜を編む場合などの中空糸膜
の取り扱いにおいても、中空糸膜切れなどの不具合が発
生することがある。
【0014】また、上述したように、膜の外側の流体は
層状に流れが形成されるため、中空糸膜の膜の内外で物
質の交換もしくは移動等が十分発揮されず、膜面での境
膜抵抗による効率の低下も問題となる。
【0015】本発明は上記の従来技術の課題を解決する
ためになされたもので、その目的とするところは、中空
糸膜強度(折り曲げや引っ張り強度)の向上を図り、か
つ、モジュールとして使用された場合にモジュール効率
(物質分離効率や膜透過効率)の向上を可能とする中空
糸膜(中空糸膜束)及び中空糸膜(中空糸膜束)の加工
方法及び中空糸膜モジュール及び中空糸膜モジュールの
使用方法及び中空糸膜モジュールの製造方法を提供する
ことにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の中空糸膜にあっては、外周表面(一本一本の
外周表面あるいは複数本束ねた状態での外周表面)に繊
維状物が螺旋状に巻き付けられていることを特徴とす
る。
【0017】従って、中空糸膜の強度が向上する。
【0018】前記繊維状物はクロス状かつ2重に螺旋状
に巻き付けられているとよい。
【0019】外周表面に、高融点の芯材の外周に低融点
材が被覆された素材で構成された繊維状物が螺旋状に巻
き付けられ、前記低融点材が加熱溶解処理されること
で、該繊維状物が溶着されていることを特徴とする。
【0020】従って、中空糸膜の強度が向上する。
【0021】前記繊維状物はクロス状かつ2重に螺旋状
に巻き付けられており、各繊維状物の交点付近で該繊維
状物同士も溶着されているとよい。
【0022】これにより、さらに中空糸膜の強度が向上
する。
【0023】また、本発明の中空糸膜の加工方法にあっ
ては、高融点の芯材の外周に低融点材が被覆された素材
で構成された繊維状物が巻回されたボビンを支持する筒
状の回転体と、該回転体を回転させるモーターと、納糸
機から繰り出される一本あるいは複数本の中空糸膜を前
記回転体の筒内部を通しつつ巻き取る巻取装置と、を設
け、該巻取装置によって中空糸膜を巻き取りながら前記
モーターによって回転体を回転させて、一本の中空糸膜
の外周あるいは複数束になった中空糸膜の外周に前記繊
維状物を螺旋状に巻き付ける工程を有することを特徴と
する。
【0024】前記繊維状物を一重に巻き付けた後に、再
び、繊維状物を巻き付けることで、クロス状かつ2重に
繊維状物を巻き付けるとよい。
【0025】前記回転体を2つ併設し、それぞれ逆に回
転させながら繊維状物を巻き付けることで、クロス状か
つ2重に繊維状物を巻き付けるとよい。
【0026】前記繊維状物を巻き付ける工程の後に、加
熱処理を施して、前記低融点材を溶解した後に、冷却し
て該低融点材の溶着処理を行う工程を有するとよい。
【0027】また、本発明の中空糸膜モジュールにあっ
ては、外周表面に螺旋状に繊維状物が巻き付けられた中
空糸膜と、該中空糸膜を複数充填される内部中空のケー
ス部材と、前記中空糸膜の両端付近で、該中空糸膜の外
壁面間とケース部材内壁面との隙間を封止固定する封止
固定部と、を備えることを特徴とする。
【0028】従って、螺旋状に巻き付けられた繊維状物
によって、膜の外部を流れる流体が乱流となる。また、
螺旋状に巻き付けられた繊維状物によって、膜が保護さ
れるため、膜の引っ張りや折り曲げの強度が向上する。
また、巻き付けられた繊維状物によって、相隣り合う膜
あるいは膜束表面が密着しなくなるため、有効な膜面積
の確保ができる。
【0029】前記繊維状物は単一素材からなるとよい。
繊維状物としては、例えば、絹糸、木綿糸などの天然素
材やセルロース繊維その他ポリエチレンテレフタレー
ト、ナイロンなどの合成繊維の使用が可能である。勿論
その他の素材でも良い。
【0030】好適には、前記繊維状物は高融点の芯材の
外周に低融点材が被覆された素材で構成されると共に、
該素材が中空糸膜の外周表面に巻き付けられた状態で、
前記低融点材が加熱融解されることによって、繊維状物
が中空糸膜の外周表面及び又は繊維状物同士の接触部位
で溶着されるのもよい。なお、低融点材としては、中空
糸膜素材の融点以下の例えばポリエチレン等が使用可能
である。
【0031】これにより、中空糸膜と繊維状物とが固定
される。
【0032】前記素材を中空糸膜に対して2重に螺旋状
に巻き付けられた後に、前記低融点材が加熱融解されて
(中空糸膜表面の他、各々の繊維状物同士の接触部位
が)溶着されるとよい。
【0033】これにより、繊維状物同士も固定される。
【0034】また、本発明の中空糸膜モジュールの使用
方法にあっては、上記の中空糸膜モジュールの中空糸膜
の中空部に水蒸気あるいは水を通しつつ、ケース部材内
部であって中空糸膜の外部に加湿対象気体を通すこと
で、加湿対象気体の加湿を行うことを特徴とする。
【0035】また、本発明の中空糸膜モジュールの使用
方法にあっては、上記の中空糸膜モジュールの中空糸膜
の中空部に乾燥気体を通しつつ、ケース部材内部であっ
て中空糸膜の外部に除湿対象気体を通すことで、除湿対
象気体の除湿を行うことを特徴とする。
【0036】また、本発明の中空糸膜モジュールの使用
方法にあっては、上記の中空糸膜モジュールのケース部
材内部であって中空糸膜の外部に混合気体を加圧しなが
ら導入させて、混合気体のうち中空糸膜を透過しやすい
ものを優先的に中空糸膜の中空部に透過させることで混
合気体の分離を行うことを特徴とする。
【0037】また、本発明の中空糸膜モジュールの製造
方法にあっては、繊維状物が巻回されたボビンを回転さ
せながら、中空糸膜の外周表面に対して前記繊維状物を
巻き付ける工程を有することを特徴とする。
【0038】前記繊維状物を高融点の芯材の外周に低融
点材が被覆された素材で構成すると共に、該素材を中空
糸膜の外周表面に対して巻き付けた後に、乾燥後加熱し
て前記低融点材を溶解し、その後冷却して繊維状物同士
あるいは中空糸膜表面に溶着する工程を有するとよい。
【0039】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、この発明
の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただ
し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、
材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載が
ない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣
旨のものではない。
【0040】図1〜図4を参照して、本発明の実施の形
態に係る中空糸膜(中空糸膜束)、中空糸膜モジュール
及び中空糸膜モジュールの使用方法及び中空糸膜モジュ
ールの製造方法について説明する。
【0041】図1は本発明の実施の形態に係る中空糸膜
モジュールの一部破断模式図であり、図2は本発明の実
施の形態に係る中空糸膜モジュールの内部の様子を示す
模式的断面図である。
【0042】図1に示すように、本発明の実施の形態に
係る中空糸膜モジュール1は、概略、内部中空のケース
部材2と、このケース部材2内に装填される複数の中空
糸膜3と、中空糸膜3の外周表面に螺旋状に巻き付けら
れる繊維状物4と、中空糸膜3の両端付近で、それぞれ
各中空糸膜3の外壁面間とケース部材2の内壁面との隙
間を封止するように接着剤(ポッティング剤)によって
封止固定された封止固定部(ポッティング部)51,5
2と、から構成される。
【0043】ケース部材2は内部中空の円筒状の部材で
あり、その両端にそれぞれ上述した封止固定部51,5
2が設けられており、また、このケース部材2には、封
止固定部51付近に流入口21が形成されており、か
つ、封止固定部52付近に流出口22が形成されてい
る。
【0044】中空糸膜3は、その両端において、それぞ
れ封止固定部51,52によって中空内部のみが外部に
開放されている。
【0045】そして、本発明の実施の形態においては、
この中空糸膜3の外周表面に繊維状物4が巻き付けられ
ている。なお、封止固定部51,52によって固定され
ている部分についても繊維状物4が巻き付けられてい
る。
【0046】これにより、中空糸膜3が繊維状物4によ
って補強されるため、強度が向上する。従って、揺動
(揺動洗浄や圧力変動等による)や熱等による中空糸膜
3の収縮や逆圧に対して中空糸膜3の切れ,中空糸膜モ
ジュールのケース部材2への挿入前の編み加工における
中空糸膜3の切れ等の不具合を低減することが可能とな
る。
【0047】また、図2に示すように、ケース部材2内
に流入され、中空糸膜3の膜外を流れる流体は、繊維状
物4が巻き付けられていることによって、従来のように
層状ではなく、乱流を形成する。このため、中空糸膜表
面に絶えず新しい流体が接するため、中空糸膜3を横切
る物質透過が促進される。また、中空糸膜表面上に存在
する繊維状物4によって隣り合う中空糸膜同士が密接に
接触しないため、有効に使用される膜表面の減少を抑え
ることができる。
【0048】次に、中空糸膜3の外周表面への繊維状物
4の巻き付け方法(巻き付け工程)について、図4を参
照して説明する。図4は本発明の実施の形態に係る中空
糸膜モジュールの製造工程の一部(巻き付け工程)を行
う装置を模式的に示した模式的斜視図である。
【0049】図4中、6は巻き付け工程を行うための主
要装置であり、概略、支持体61と、支持体61に固定
されたモーター62と、モーター62によって回転駆動
される略円筒状の回転体63と、回転体63に固定され
て回転体63と共に回転され、かつ、繊維状物4が巻き
付けられたボビン64と、ボビン64から繰り出される
繊維状物4をガイドするガイド65と、から構成され
る。また、図中、7は繊維状物4の巻き付けが終了した
中空糸膜3を巻き取る巻取装置である。
【0050】以上のような構成により、不図示の納糸機
から供給される中空糸膜3は、回転体63の円筒内部を
通り、巻取装置7によって巻き取られる。この際、回転
体63はモーター62によって回転されており、回転体
に固定されたボビン64に巻き付けられた繊維状物4が
ガイド65によってガイドされつつ繰り出される。
【0051】従って、中空糸膜3の外周表面に繊維状物
4が巻き付けられる。
【0052】なお、図示の例では、1本の中空糸膜3に
対して繊維状物4を巻き付ける構成の場合について説明
したが2,3本(あるいはそれ以上)まとめて繊維状物
4を巻き付けるようにしても良い。
【0053】ただし、中空糸膜を束にして繊維状物4を
巻き付ける場合には、2本とするのが好適である。なぜ
なら、3本以上とすると隣り合う中空糸膜表面が互いに
接触し、有効な膜表面の面積が少なくなってくるからで
ある。
【0054】しかしながら、3本以上の複数本を束ねる
ようにしても繊維状物を巻き付けることで強度の向上と
乱流の発生により所定の効果を得ることができ、有効な
膜面積の確保には何らかの手段を用いればよいので、3
本以上の複数本を束ねるようにしても良いことは言うま
でもない。
【0055】このように複数本まとめて繊維状物4を巻
き付けることで、より一層の強度の向上を図ることが可
能となる。
【0056】また、これまでの説明では、中空糸膜3に
対して繊維状物4を一重に巻き付ける構成について示し
たが、図3に示すように、クロス状かつ2重に螺旋状に
巻きつける構成として、更なる強度向上を図るようにし
ても良い。この場合でも、勿論、中空糸膜3を複数本ま
とめて繊維状物4を巻き付けるようにしても良いことは
言うまでもない。
【0057】このようにクロスかつ2重とする場合に
は、上述した図4に示す装置で、一通りの工程を終えて
繊維状物41を巻き付けた後に、今度は最初の工程の場
合とは中空糸膜3の反対側の端部から再び同様の工程を
経ることによってクロス状かつ2重に巻き付けることが
可能である。また、同方向から巻きつける場合において
も、主要装置6を反対に向けて設置するか、あるいは回
転体63を逆回転させrことによっても可能である。
【0058】また、図4に示す巻き付け工程の主要装置
6を2台並べて設置して、(あるいは回転体のみが2つ
併設されるようにして)回転体63の回転方向をそれぞ
れ逆向きにしながら1台の巻取装置7によって中空糸膜
3を巻き取ることによっても可能である。
【0059】また、巻き付け工程における主要装置6を
複数台並べて設定して、回転体63の回転方向をそれぞ
れ同方向にすると、中空糸膜の搬送スピードを増加して
も、繊維状物の巻き付け数を同じにすることができる。
【0060】次に、繊維状物4について、更に詳しく説
明する。
【0061】繊維状物4は、単一素材で構成しても所定
の効果を得ることが可能である。しかし、以下に示すよ
うな構成とすることによって、更なる強度向上を図るこ
とが可能となる。
【0062】すなわち、高融点の芯材の外周に低融点材
を被覆した素材を用いる。そして、この素材を中空糸膜
3の外周表面に巻き付けた後に加熱する。これにより、
被覆された低融点材が溶融し、その後、冷却することに
よって、溶融した低融点材が固化して繊維状物4が中空
糸膜3の外周表面に溶着される(溶着工程)。
【0063】従って、中空糸膜3と繊維状物4との一体
化を図ることができ、より強度向上を図ることが可能と
なる。
【0064】ここで、上述した図3に示すように、上記
の素材をクロス状かつ2重に螺旋状に巻き付けた後に溶
着工程を施せば、各繊維状物41と繊維状物42同士
も、その交点付近で溶着固定されるため、更に強度向上
を図ることができる。
【0065】また、繊維状物を同方向に複数回巻き付け
た場合には、やはりそれぞれの繊維状物の接触部位を溶
着固定できる。
【0066】次に本実施の形態に係る中空糸膜モジュー
ルの使用方法について、特に図1を参照して、いくつか
説明する。
【0067】まず、気体分離用途に用いる場合について
説明する。
【0068】この場合には、流入口21より図中矢印P
0方向に混合気体を流入させ、流出口22の絞りを行う
等によって、流入させた気体の圧力を高めることによっ
て、混合気体のうち膜を透過しやすいものを優先的に中
空糸膜3の中空内部に透過させて、図中Q1方向に流出
させる。
【0069】このようにして、膜を透過しやすいものの
濃度を高くした気体をQ1から流出させると共に、膜を
透過しやすいものの濃度を低くした気体を流出口22か
ら図中P1方向に流出させることで気体分離を行う。
【0070】ここで、本発明の実施の形態では、中空糸
膜3の外周表面に繊維状物4を巻き付ける構成としたこ
とによって、上述のように流入口21より流入した混合
気体は図2に示すように乱流を形成するため、中空糸膜
3の外周表面に突き当たる量が、従来のように層流とな
る場合に比べて大きくなる(抵抗が大きくなる)ため、
中空糸膜3の中空内部に透過する率が大きくなる。
【0071】また、繊維状物4の存在により、隣り合う
中空糸膜表面同士が過度に接触することが妨げられるた
め、有効に作用する膜面積を確保できる。
【0072】すなわち、分離効率の向上を図ることが可
能となる。
【0073】また、加湿を行う場合には、中空糸膜3の
中空内に通水を行いつつ(Q0からQ1方向)、流入口
21より図中矢印P0方向に気体(加湿対象気体)を流
入させて、流出口22から図中P1方向に流出させれ
ば、中空糸膜3の外周表面付近で気体が水分を含むため
流出口22から流出される気体は湿度が向上している。
【0074】ここで、本発明の実施の形態では、上述の
ように流入口21より流入した気体は乱流を形成するた
め、中空糸膜3の外周表面に突き当たる量が、従来のよ
うに層流となる場合に比べて大きくなる(抵抗が大きく
なる)ため、中空糸膜3の表面上での水分を吸収する率
が大きくなる。
【0075】すなわち、加湿効率の向上を図ることがで
きる。
【0076】また、除湿を行う場合には、中空糸膜3の
中空内に乾燥気体を流しつつ(Q0からQ1方向)、流
入口21より図中矢印P0方向に気体(除湿対象気体)
を流入させて、流出口22から図中P1方向に流出させ
れば、中空糸膜3の外周表面付近で気体中の水分が中空
糸膜3内部に奪われるため流出口22から流出される気
体は湿度が減少している。
【0077】ここで、本発明の実施の形態では、上述の
ように流入口21より流入した気体は乱流を形成するた
め、中空糸膜3の外周表面に突き当たる量が、従来のよ
うに層流となる場合に比べて大きくなるため、中空糸膜
3の表面上での水分の奪われる率が大きくなる。
【0078】すなわち、除湿効率の向上を図ることがで
きる。
【0079】以上が中空糸膜モジュールの適用例の代表
的なものであるが、勿論、このような用途に限定される
ものではない。
【0080】このように、いずれの用途に用いる場合で
あっても、膜外を流れる流体に乱流を形成させることが
できるため、膜表面に突き当たる量が増え、流体(上記
例では分子の小さい気体)の膜内への透過率あるいは流
体中の物質(上記例では水分)の移動率が向上し、モジ
ュールとしての効率が向上する。
【0081】(実施例)次に、上記実施の形態の基づく
より具体的な例を説明する。
【0082】湿式紡糸にて水洗が終了した中空糸膜の外
側を、繊維が巻き付けられたボビンを回転させながら、
繊維を中空糸膜に絡ませることにより、螺旋状に巻き付
ける。
【0083】また、クロスかつ2重の螺旋とするために
は、同様のボビンを2段に連ねて各々の回転を反対方向
にさせることによって行う。
【0084】ここで、繊維状物としては、芯材としてポ
リエチレンテレフタレートを用い、その外周にポリエチ
レンを被覆した素材を用いた。
【0085】そして、巻付工程が終了した中空糸膜をオ
ーブンにて乾燥した後に、ポリエチレンの融点異常の温
度である120℃に保持することによってポリエチレン
を溶融し、その後冷却して繊維状物の交点を溶着し、ま
た、中空糸膜と繊維状物を一体化した。
【0086】これを所定本数束ねてケース部材内に充填
した後に両端をポッティングし、中空糸膜モジュールを
形成した。
【0087】これにより、中空糸膜強度が強く、効率の
良い中空糸膜モジュールが得られた。
【0088】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、中空糸
膜の外周表面に螺旋状に繊維状物を巻き付ける構成とし
たことで、中空糸膜の強度向上を図ることができると共
に、モジュールとした場合に、膜の外部を流れる流体が
乱流となるため、モジュール効率の向上を図ることがで
きる。
【0089】また、隣り合う中空糸膜表面同士の過度の
接触を防止できるため、有効に機能する膜表面の有効面
積を確保できる。
【0090】繊維状物は単一素材で構成することもで
き、また、高融点の芯材の外周に低融点材が被覆された
素材で構成することも可能であり、この場合には、低融
点材を加熱融解して溶着させることで、中空糸膜の一層
の強度向上を図ることができる。
【0091】高融点の芯材の外周に低融点材が被覆され
た素材を中空糸膜に対してクロスかつ2重に螺旋状に巻
き付けられた後に、低融点材を加熱融解して溶着すれ
ば、繊維状物同士も固定でき、一層強度向上を図ること
ができる。
【0092】中空糸膜モジュールの使用方法として、加
湿を行うために用いれば、加湿効率が向上し、除湿を行
うために用いれば、除湿効率が向上し、気体分離のため
に用いれば分離効率が向上する。本発明の中空糸膜モジ
ュールは、一般の中空糸膜モジュールとして応用される
物質の分離(気体、液体、蒸気あるいは流体中に浮遊す
る固体の分離)、濃縮等の用途にも好適に使用可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る中空糸膜モジュール
の一部破断模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る中空糸膜モジュール
の内部の様子を示す模式的断面図である。
【図3】中空糸膜の外周表面に繊維状物をクロスかつ2
重に螺旋状に巻き付けた様子を示す概略構成図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る中空糸膜モジュール
における巻き付け工程を行う装置を模式的に示した模式
的斜視図である。
【図5】従来技術に係る中空糸膜モジュールの一部破断
模式図である。
【図6】従来技術に係る中空糸膜モジュールの内部の様
子を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
1 中空糸膜モジュール 2 ケース部材 3 中空糸膜 4 繊維状物 6 主要装置 7 巻取装置 21 流入口 22 流出口 41 繊維状物 42 繊維状物 51,52 封止固定部 61 支持体 62 モーター 63 回転体 64 ボビン 65 ガイド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3L055 BA02 4D006 GA01 GA41 HA02 JA10A JA10C JB01 MA01 MB16 4D052 EA01

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外周表面に繊維状物が螺旋状に巻き付けら
    れていることを特徴とする中空糸膜。
  2. 【請求項2】前記繊維状物はクロス状かつ2重に螺旋状
    に巻き付けられていることを特徴とする請求項1に記載
    の中空糸膜。
  3. 【請求項3】外周表面に、高融点の芯材の外周に低融点
    材が被覆された素材で構成された繊維状物が螺旋状に巻
    き付けられ、前記低融点材が加熱溶解処理されること
    で、該繊維状物が溶着されていることを特徴とする中空
    糸膜。
  4. 【請求項4】前記繊維状物はクロス状かつ2重に螺旋状
    に巻き付けられており、各繊維状物の交点付近で該繊維
    状物同士も溶着されていることを特徴とする請求項3に
    記載の中空糸膜。
  5. 【請求項5】高融点の芯材の外周に低融点材が被覆され
    た素材で構成された繊維状物が巻回されたボビンを支持
    する筒状の回転体と、 該回転体を回転させるモーターと、 納糸機から繰り出される一本あるいは複数本の中空糸膜
    を前記回転体の筒内部を通しつつ巻き取る巻取装置と、
    を設け、 該巻取装置によって中空糸膜を巻き取りながら前記モー
    ターによって回転体を回転させて、一本の中空糸膜の外
    周あるいは複数束になった中空糸膜の外周に前記繊維状
    物を螺旋状に巻き付ける工程を有することを特徴とする
    中空糸膜の加工方法。
  6. 【請求項6】前記繊維状物を一度巻き付けた後に、再
    び、繊維状物を巻き付けることで、クロス状かつ2重に
    繊維状物を巻き付けることを特徴とする請求項5に記載
    の中空糸膜の加工方法。
  7. 【請求項7】前記回転体を2つ併設し、それぞれ逆に回
    転させながら繊維状物を巻き付けることで、クロス状か
    つ2重に繊維状物を巻き付けることを特徴とする請求項
    5に記載の中空糸膜の加工方法。
  8. 【請求項8】前記繊維状物を巻き付ける工程の後に、加
    熱処理を施して、前記低融点材を溶解した後に、冷却し
    て該低融点材の溶着処理を行う工程を有することを特徴
    とする5,6または7に記載の中空糸膜の加工方法。
  9. 【請求項9】外周表面に螺旋状に繊維状物が巻き付けら
    れた中空糸膜と、 該中空糸膜が複数充填される内部中空のケース部材と、 前記中空糸膜の両端付近で、該中空糸膜の外壁面間とケ
    ース部材内壁面との隙間を封止固定する封止固定部と、
    を備えることを特徴とする中空糸膜モジュール。
  10. 【請求項10】前記繊維状物は単一素材からなることを
    特徴とする請求項9に記載の中空糸膜モジュール。
  11. 【請求項11】前記繊維状物は高融点の芯材の外周に低
    融点材が被覆された素材で構成されると共に、 該素材が中空糸膜の外周表面に巻き付けられた状態で、
    前記低融点材が加熱融解されることによって、繊維状物
    が中空糸膜の外周表面及び又は繊維状物同士の接触部位
    で溶着されることを特徴とする請求項9に記載の中空糸
    膜モジュール。
  12. 【請求項12】前記素材を中空糸膜に対して2重に螺旋
    状に巻き付けられた後に、前記低融点材が加熱融解され
    て溶着されることを特徴とする請求項11に記載の中空
    糸膜モジュール。
  13. 【請求項13】物質の分離濃縮あるいは成分の調整に使
    用されることを特徴とする請求項9,10,11または
    12に記載の中空糸膜モジュール。
  14. 【請求項14】請求項9〜13のいずれか一つに記載の
    中空糸膜モジュールの中空糸膜の中空部に水蒸気あるい
    は水を通しつつ、ケース部材内部であって中空糸膜の外
    部に加湿対象気体を通すことで、加湿対象気体の加湿を
    行うことを特徴とする中空糸膜モジュールの使用方法。
  15. 【請求項15】請求項9〜13のいずれか一つに記載の
    中空糸膜モジュールの中空糸膜の中空部に乾燥気体を通
    しつつ、ケース部材内部であって中空糸膜の外部に除湿
    対象気体を通すことで、除湿対象気体の除湿を行うこと
    を特徴とする中空糸膜モジュールの使用方法。
  16. 【請求項16】請求項9〜13のいずれか一つ1に記載
    の中空糸膜モジュールのケース部材内部であって中空糸
    膜の外部に混合気体を加圧しながら導入させて、混合気
    体のうち膜を透過しやすいものを優先的に中空糸膜の中
    空部に透過させることで混合気体の分離を行うことを特
    徴とする中空糸膜モジュールの使用方法。
  17. 【請求項17】繊維状物が巻回されたボビンを回転させ
    ながら、中空糸膜の外周表面に対して前記繊維状物を巻
    き付ける工程を有することを特徴とする中空糸膜モジュ
    ールの製造方法。
  18. 【請求項18】前記繊維状物を高融点の芯材の外周に低
    融点材が被覆された素材で構成すると共に、 該素材を中空糸膜の外周表面に対して巻き付けた後に、
    乾燥後加熱して前記低融点材を溶解し、その後冷却して
    繊維状物を中空糸膜表面及び又は前記繊維状物同士の接
    触部位で溶着する工程を有することを特徴とする請求項
    17に記載の中空糸膜モジュールの製造方法。
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