JP2001333636A - 生分解性植生マット - Google Patents
生分解性植生マットInfo
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Abstract
時の取り扱い性が良好でかつ生分解性を有する育苗用の
植生マットを提供する。 【解決手段】 植物性粒状物と、高融点ポリ乳酸系重合
体と該高融点ポリ乳酸系重合体の融点より20℃以上低
い融点を有する低融点ポリ乳酸系重合体からなる複合繊
維とからなり、複合繊維の表面の少なくとも一部を低融
点ポリ乳酸系重合体が占めており、低融点ポリ乳酸系重
合体の溶融または軟化により植物性粒状物同士を接着
し、全体として一体化している生分解性植生マット。
Description
苗を育苗する苗床、あるいは緑化用植物を植生する時に
用いられる生分解性植生マットに関するものである。
を緑化するための植物の苗を育苗する際、苗床を使用す
ることが多く、苗床の床土としては一般的には土壌培土
が用いられていた。ところがこのような土壌培土には良
質の土が必要であり、比較的高価で入手が困難であっ
た。
プチップ、オガクズなどを堆肥化したバーク堆肥、ある
いはこれらに類似の堆肥物、もみがら、切断わらなどの
ような植物質培土材を親水性ウレタンプレポリマーある
いはポリビニルアルコール、デンプンなどで結合させ蒸
発乾固させた苗床が提案されている(特公昭56−18
165号公報)。しかしながら、このような樹脂結合剤
等を使用した苗床は、蒸発乾固に時間がかかるためコス
トが高いという問題があった。さらに、乾固した苗床
は、硬質であるため衝撃に弱く破損しやすいため、取り
扱いが困難であり、また、実際の使用においては、逆
に、育苗のために水分を含ませるともろくなりすぎて、
保型性に劣るという欠点があった。
が提案されている。例えば、水槽の底に長尺の不織布
(当業界では「ロングマット」と称呼されている。)を
敷設し、不織布上に種籾を播種するという方法、あるい
は土壌の上に不織布を敷設し、この不織布上に種籾を播
種するという方法が提案されている。これらの方法によ
れば、不織布上で苗が生育し、不織布付き苗となるた
め、土付き苗に比べて重量が軽く、田に植え代える際の
搬送が楽になるという利点がある。なお、不織布付き苗
は長尺物となっているため、巻回してロール状とし、こ
れを田植機に載せて、所定の寸法に破断しながら田に苗
を移植するのである。
下のような技術的問題点が指摘されている。(1)種籾
を播種した後に覆土しないため、育苗時に根上がりが生
じる。すなわち、不織布中又は不織布の裏面に根が張ら
ずに、不織布表面に根が持ち上がった状態になる。従っ
て、田植機によって不織布付き苗を掻き取りながら(即
ち不織布を裁断しながら)、移植する際に苗を痛めてし
まうということがある。(2)田植機によって苗を掻き
取る際、不織布も一緒に破断されるが、不織布が田植機
の掻き取りによって裁断されない場合があり、移植作業
が連続して行えないということがある。
は、不織布として、例えば、繊維径の大きい繊維が交絡
してなる構成繊維相互間の間隙の大きい粗目のものを採
用すれば良いと考えられる。このような不織布であれ
ば、構成繊維相互間の間隙に根が侵入し、不織布中又は
不織布裏面に根が張ると考えられるからである。しかし
ながら、繊維径の大きい繊維は、交絡性に劣るため、不
織布自体の形態安定性が低下する。従って、不織布付き
苗をロール状に巻回しにくくなったり、或いは巻回でき
たとしても田植機に載せる際に、その形態が崩れたりし
て、田植機による移植作業が行いにくいという憾みがあ
った。また、(2)の問題点を解決するためには、不織
布として引張強力の弱いものを採用すれば良いと考えら
れる。しかし、引張強力の弱いものは、一般的に不織布
自体の形態安定性にも劣り、前記したように、田植機に
よる移植作業が行いにくいということになる。
解決しようとするもので、安価で簡単に製造でき、運搬
時あるいは作業時の取り扱い性が良好で、かつ良好な生
分解性を有する育苗用の植生マットを提供することを目
的とするものである。
成するものであって、以下の構成をその要旨とするもの
である。すなわち、本発明は、植物性粒状物と、高融点
ポリ乳酸系重合体と該高融点ポリ乳酸系重合体の融点よ
り20℃以上低い融点を有する低融点ポリ乳酸系重合体
からなる複合繊維とからなり、複合繊維の表面の少なく
とも一部を低融点ポリ乳酸系重合体が占めており、低融
点ポリ乳酸系重合体の溶融または軟化により植物性粒状
物同士を接着し、全体として一体化していることを特徴
とする生分解性植生マットを要旨とするものである。
成する植物性粒状物としては、籾殻、樹皮、パルプチッ
プ、オガクズ、裁断わらなど植物由来の粒状物であれば
特に限定されるものではない。
酸系重合体と、該高融点ポリ乳酸系重合体の融点より2
0℃以上低い融点を有する低融点ポリ乳酸系重合体とか
らなり、繊維の表面の少なくとも一部を低融点ポリ乳酸
系重合体が占めている。このような複合形態としては、
低融点重合体を鞘部、高融点重合体を芯部に配した芯鞘
型、低融点重合体と高融点重合体を貼り合わしてなるサ
イドバイサイド型、高融点重合体が多数の島部に、低融
点重合体が海部に配してなる海島型、また、放射型や多
葉型等の割繊型等が挙げられる。本発明では、植物性粒
状物との接着性や得られる植生マットの強力等を考慮し
て、芯鞘型複合形態を有する複合繊維を用いることが好
ましい。
乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共
重合体、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合
体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、D
−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体
との群から選ばれる重合体が挙げられる。ポリ乳酸のホ
モポリマーであるポリ(L−乳酸)やポリ(D−乳酸)
の融点は約180℃であるが、ポリ乳酸系重合体として
前記コポリマーを用いる場合には、実用性と融点等を考
慮してポリマー成分の共重合量比を決定することが好ま
しく、D体/L体(共重合モル比)は、100未満/0
を超える〜82/18、18/82〜0を超える/10
0未満であることが好ましい。
明する。ポリ乳酸を構成する乳酸モノマーは光学活性の
炭素を有しており、D体とL体の光学異性体が存在す
る。L体にD体を1モル%共重合させると融点170℃
以上、L体に2モル%未満のD体を共重合させると融点
165℃以上、D体を8モル%共重合させると融点13
0℃程度、D体を12モル%共重合させると融点110
℃といった具合に融点のコントロールが可能である。D
体よりもL体の共重合量が多く、かつD体が18モル%
以上(ただし、L体の共重合量を超えない範囲)となる
と明確な結晶融点は観察されず、軟化温度90℃未満の
非晶性の強いポリマーとなる。また、一方が融点110
℃以上のポリ乳酸系重合体、他方が軟化点90℃未満の
非晶性の強いポリ乳酸系重合体といった組み合わせでも
差し支えない。なお、このような非晶性の強いポリ乳酸
の場合は便宜上、目視での軟化温度を融点とする。
体としては、融点170℃以上のポリ乳酸(L体98モ
ル%以上、D体2モル%未満)、低融点ポリ乳酸系重合
体としては、融点155〜110℃のポリ乳酸(L体8
2〜95モル%、D体5〜18モル%)の組み合わせか
らなる複合繊維を用いることが好ましい。
である場合におけるヒドロキシカルボン酸としては、グ
リコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒド
ロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ
ヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸等が挙げられる。こ
れらの中でも特に、ヒドロキシカプロン酸またはグリコ
ール酸を用いることが低コストの点から好ましい。
低融点ポリ乳酸系重合体との融点(融点を有しないもの
については軟化点を融点とみなす。)差が15℃以上で
ある。両者の融点差が15℃未満であると、熱処理工程
において高融点ポリ乳酸系重合体までが軟化または分解
変性して繊維形態を維持できないものとなり、その結
果、得られる植生マットは、柔軟性・耐衝撃性に乏しい
ものとなるため、運搬あるいは作業時に破損したりする
という問題が生じる。両者の融点差を20℃以上に設定
することにより、熱処理により低融点ポリ乳酸系重合体
のみを溶融させて、植物性粒状物同士を接着させ、一
方、高融点ポリ乳酸系重合体は、熱による影響を受ける
ことなく繊維形態を維持させているため、乾燥状態およ
び湿潤状態の両方において、植生マットの保型性、機械
的強力、柔軟性を向上させることができる。
限定されるものではないが、1%〜50%(質量比)程
度の範囲が好ましい。1%未満であると、植物性粒状物
同士が十分に接着されず、形態保持性に劣るものとな
り、一方、混合比率が50%を超えると、植生マットが
固くなりすぎ、マットの空隙内に根が入りにくくなり、
根上がりの現象が発生しやすく、苗の育成が悪くなる。
に限定されるものではないが、1〜20デシテックス程
度の範囲が好ましい。1デシテックス未満になると植物
性粒状物とが均一に混合できず、植生マットの強度が弱
くなることがある。一方、単糸繊度が20デシテックス
を超えると、複合繊維と植物性粒状物との接触面積が相
対的に減少するため、場合によっては十分な接着強力が
発揮できなくなることがある。
状物と複合繊維とを所定の割合で攪拌混合し堆積させ、
低融点ポリ乳酸系重合体のみが溶融または軟化する温度
で熱処理することで、容易に得ることができる。
るが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。なお、実施例に記述した諸物性の評価法は、次のと
おりである。 (1)植生マットの作業・運搬性(湿潤状態) 1:良好(両手で植生マットを把持しても崩れない。) 2:やや不良(かなり慎重に取り扱わないと崩れる。) 3:不良(支持体を用いないと崩れる。)
ない)。
のポリ乳酸からなる芯鞘型複合繊維(芯部:融点170
℃、D体/L体(共重合モル比)=2/98、鞘部:融
点130℃、D体/L体(共重合モル比)=8/92、
芯/鞘(質量比)=1/1)2.2デシテックス(以
下、dtexと記す。)×5mmを2質量%の割合で攪
拌混合し、堆積させてエアスルー型熱処理装置により1
40℃×2分間の条件で熱処理を行ない、目付5kg/
m2の実施例1の植生マットを得た。
(株)製ポリエステルバインダー繊維「メルティ」2.
2dtex×5mmを用い、160℃×2分間の条件で
熱処理したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1
の植生マットを得た。
親水性ウレタンプレポリマーを用い、70℃で乾燥処理
を行った以外は実施例1と同様にして、比較例2の植生
マットを得た。
分ポリマー(融点170℃、D体/L体(共重合モル
比)=2/98)からなる繊維1.7dtex×5mm
を用い、180℃×2分間の条件で熱処理を行った以外
は、実施例1と同様にして比較例3の植生マットを得
た。
る2種のポリ乳酸からなる芯鞘型複合繊維(芯部:融点
170℃、D体/L体(共重合モル比)=2/98、鞘
部:融点130℃、D体/L体(共重合モル比)=8/
92、芯/鞘(質量比)=1/1)4.4dtex×5
1mmを10質量%の割合で攪拌混合し、堆積させてエ
アスルー型熱処理装置により140℃×2分間の条件で
熱処理を行ない目付5kg/m2の実施例2の植生マッ
トを得た。
ポリビニルアルコール樹脂を用い、70℃で乾燥処理を
行った以外は実施例2と同様にして、比較例4の植生マ
ットを得た。
のポリ乳酸からなる芯鞘型複合繊維(芯部:融点170
℃、D体/L体(共重合モル比)=2/98、鞘部:融
点165℃、D体/L体(共重合モル比)=3/97、
芯/鞘(質量比)=1/1)2.2dtex×5mmを
用い、170℃×2分間の条件で熱処理をを行った以外
は、実施例2と同様にして比較例5の植生マットを得
た。
得られたいずれの植生マットも、乾燥時および湿潤時の
両者において、適度な強力を有しており、運搬時・作業
時においても型くずれすることなく、かつ土中埋設によ
る生分解性が良好であった。
れ、乾燥時および湿潤時の運搬性・作業性は良好である
が、複合繊維が生分解性を有しないものであったため、
土中で微生物により分解されるものではなかった。
湿潤時の保型性が悪く、運搬性・作業性に劣り、また接
着樹脂が生分解性を有しないものであったため、土中で
微生物により分解されるものではなかった。
ち、180℃×2分の熱処理条件では、ポリ乳酸単一ポ
リマーからなる繊維は、籾殻を接着するのに十分に溶融
せず、また、溶融させるために、より高温で熱処理を行
うと、籾殻が熱による影響を受けて焦げ付いてしまう等
の問題が発生するものであった。
湿潤時の保型性が悪く、運搬性・作業性に劣るものであ
った。
湿潤時の運搬・作業において、かなり慎重に取り扱わな
いと型くずれが起こすものであり、作業効率が悪いもの
であった。
粒状物とポリ乳酸系重合体からなる複合繊維とから構成
されており、複合繊維を表面の少なくとも一部を構成す
る低融点ポリ乳酸系重合体が溶融することにより、植物
性粒状物同士を接着し、高融点ポリ乳酸系重合体は、熱
の影響を受けずに、繊維形態を維持しているため、植生
マットは、乾燥時および湿潤時の両者において、適度な
保型性・機械的強力・柔軟性を有しているため、運搬時
に型くずれせず、作業する際に、何ら差し支えなく、作
業効率を向上させるものである。
低融点ポリ乳酸系重合体によって接着されているもの
の、植物性粒状物は粒状のものであり、絡みあっている
ものではなく、単に堆積された状態で、接着されている
ため、苗の根は粒状物間に入りこむため、育苗時に根上
り等の問題が発生することなく、良好に苗の育成が可能
である。
構成されているため、嫌気状態および好気状態の両方に
おいて、微生物によって良好に生分解が可能である。ま
た、ポリ乳酸系重合体は、抗菌・抗黴性を有しているこ
とから、育苗時に、マットに黴等が生えて苗の育成に影
響を与えたり、見栄えを損なうという問題がない。
Claims (3)
- 【請求項1】 植物性粒状物と、高融点ポリ乳酸系重合
体と該高融点ポリ乳酸系重合体の融点より15℃以上低
い融点を有する低融点ポリ乳酸系重合体からなる複合繊
維とからなり、複合繊維の表面の少なくとも一部を低融
点ポリ乳酸系重合体が占めており、低融点ポリ乳酸系重
合体の溶融または軟化により植物性粒状物同士を接着
し、全体として一体化していることを特徴とする生分解
性植生マット。 - 【請求項2】 高融点ポリ乳酸系重合体が、L体98モ
ル%以上、D体2モル%以下からなるポリ乳酸共重合体
からなり、低融点ポリ乳酸系重合体が、L体82〜95
モル%、D体5〜18モル%からなるポリ乳酸共重合体
からなることを特徴とする請求項1記載の生分解性植生
マット。 - 【請求項3】 複合繊維が、芯鞘型複合繊維であること
を特徴とする請求項1または2に記載の生分解性植生マ
ット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000158406A JP2001333636A (ja) | 2000-05-29 | 2000-05-29 | 生分解性植生マット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000158406A JP2001333636A (ja) | 2000-05-29 | 2000-05-29 | 生分解性植生マット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001333636A true JP2001333636A (ja) | 2001-12-04 |
Family
ID=18662881
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000158406A Pending JP2001333636A (ja) | 2000-05-29 | 2000-05-29 | 生分解性植生マット |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2001333636A (ja) |
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