JP2001332773A - 熱電モジュール用多層基板およびその製造方法ならびにこの多層基板を用いた熱電モジュール - Google Patents

熱電モジュール用多層基板およびその製造方法ならびにこの多層基板を用いた熱電モジュール

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JP2001332773A
JP2001332773A JP2000147880A JP2000147880A JP2001332773A JP 2001332773 A JP2001332773 A JP 2001332773A JP 2000147880 A JP2000147880 A JP 2000147880A JP 2000147880 A JP2000147880 A JP 2000147880A JP 2001332773 A JP2001332773 A JP 2001332773A
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thermoelectric
thermoelectric module
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Seiya Nishimura
清矢 西村
Koushirou Takeda
光資郎 武田
Nanayuki Takeuchi
七幸 竹内
Kazuyuki Kobayashi
和幸 小林
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Yamaha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 絶縁性が良好で機械的強度に優れ、かつ靭性
が高くて熱伝導性に優れさらに熱膨張係数が熱電素子に
近い基板を提供する。 【解決手段】 本発明の熱電モジュールは、相対向して
配置された一対の多層基板10,10の間に複数個のP
型半導体よりなる熱電素子21とN型半導体よりなる熱
電素子22とからなるペルチェ素子20が配置され、各
基板10,10の対向面に形成された電極13,14に
よりP,N,P,Nの順に電気的に直列に接続されてい
る。多層基板10は、アルミナにより形成された第1基
板11と第2基板12とから構成されるが、第2基板1
2内には複数の貫通孔12aが形成されていて、この貫
通孔12a内に銀もしくは銅などの熱伝導性が良好な金
属が充填されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱電発電あるいは
熱電冷却などに使用される半導体からなる複数の熱電素
子を配列させた熱電モジュールに係り、特に、この熱電
モジュールに用いられる多層基板およびその製造方法、
ならびにこの多層基板を用いた熱電モジュールに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱電モジュールはP型半導体
からなる熱電素子とN型半導体からなる熱電素子を隣り
合わせて交互に配列し、これらの各熱電素子を直列に導
電接続して構成している。例えば、図7に示されるよう
な熱電モジュール50は、放熱側絶縁基板51と吸熱側
絶縁基板52との間に、複数個のP型熱電素子53aと
N型熱電素子53bとを相隣接して交互に配置し、各基
板51,52の対向面に膜の接合もしくは印刷により、
それぞれ放熱側電極54と吸熱側電極55とを設けて、
これらのP型熱電素子53aとN型熱電素子53bとを
直列に導電接続することにより形成されている。
【0003】このような熱電モジュールに使用される絶
縁基板の材料としては、現在のところ、酸化アルミニウ
ム(Al23:以下ではアルミナという)あるいはアル
ミニウム合金が主に用いられるが、特に、アルミナは低
コストの材料であり、かつ機械的強度に優れていること
から、熱電モジュール用基板として多く使用されてい
る。一方、アルミニウム合金においては、表面にアルマ
イト処理を施して、電気的絶縁性を保有させるようにし
て使用しているが、熱伝導率が極めて高く、かつ安価で
あることから熱電モジュール用基板として好適である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した熱
電モジュールに用いられる絶縁基板においては、以下の
ような条件を満足する必要がある。即ち、 この基板上に導電パターン(電極)が形成されるた
め、絶縁性が良好で機械的強度に優れていること。 熱電素子(例えば、ペルチェ素子)で発生した熱が基
板に直接伝わるため、熱膨張差に起因する接合部での歪
みが生じないように、熱電素子の熱膨張係数に近い熱膨
張係数を有すること。 この基板に半導体チップなどが配置されたり、あるい
はこの基板が装置に取り付けられるため、靭性が高く、
かつ欠けにくいこと。 熱電素子で発生した熱を速やかに半導体チップなどか
ら外部に放出する必要があるため、熱伝導性が良好であ
ること。
【0005】しかしながら、上述した熱電モジュール用
基板にあっては、アルミナは絶縁性が良好で、機械的強
度が高いものの、熱伝導率が極めて低いため、熱電素子
で発生した熱を速やかに外部に伝えることができなく、
熱電モジュールの熱損失が大きいという問題を生じた。
また、靭性が低くて脆いため、衝撃受けた場合には比較
的容易に損傷するという問題も生じた。一方、アルミニ
ウム合金にあっては、アルミナに比較して熱伝導性が優
れているが、機械的強度が著しく低いため、衝撃を受け
ると容易に変形するという問題を生じた。また、熱電素
子を1つの基板で保持するようにしたスケルトンタイプ
の熱電モジュールも知られているが、熱電素子の一方の
端部が固定されていないため、取り扱いが面倒であると
いう問題がある。
【0006】そこで、本発明は上記の如き問題点を解決
するためになされたものであって、絶縁性が良好で機械
的強度に優れ、かつ靭性が高くて熱伝導性に優れさらに
熱膨張係数が熱電素子に近い基板を提供するとともに、
このような基板の製造方法ならびにこのような基板を用
いた熱電モジュールを提供することを目的とするもので
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記目的を達成するため、本発明の熱電モジュール用基板
は、絶縁性が良好で機械的強度に優れたかつ熱膨張係数
が熱電素子に近い基板と、靭性が高くかつ熱伝導性に優
れた基板とを多層構造にしている。具体的には、所定の
強度を有して熱膨張率が熱電素子とほぼ等しい絶縁材料
のシート状体から構成される第1基板と、所定の強度を
有して熱膨張率が熱電素子とほぼ等しい絶縁材料のシー
ト状体に複数の貫通孔を有して、この貫通孔内に熱伝導
性が良好な材料が充填された第2基板とを備え、第1基
板と第2基板とが焼結により一体的に形成されている。
【0008】複数の貫通孔を有した第2基板の貫通孔内
に熱伝導性が良好な材料が充填されていると、貫通孔内
に充填された熱伝導性が良好な材料の高い熱伝導性によ
り、基板全体としての熱伝導性が向上する。この結果、
第1基板および第2基板により熱膨張率が熱電素子の熱
膨張率にほぼ等しくなり、第2基板により熱伝導性が高
くなるため、熱膨張係数が熱電素子に近く、かつ所定の
強度を有して靭性が高いとともに、熱伝導性が向上した
熱電モジュール用多層基板が得られるようになる。
【0009】そして、アルミナあるいはガラスセラミッ
クは絶縁性が良好で、機械的強度が高く、かつ熱膨張係
数が半導体からなる熱電素子に近い特性を有している。
一方、銅、銀、タングステンなどの金属は熱伝導性が良
好で靭性が高い特性を有している。このため、第1基板
および第2基板はアルミナあるいはガラスセラミックに
より形成され、かつ第2基板の貫通孔内に銅、銀あるい
はタングステンよりなる金属が充填されていると、絶縁
性が良好で機械的強度に優れ、かつ靭性が高くて熱伝導
性に優れ、さらに熱膨張係数が熱電素子に近い基板が得
られるようになる。そして、第2基板の両面に第1基板
が配置された3層構造とすると、熱伝導性が若干低下す
るものの、さらに絶縁性が良好で機械的強度に優れ、か
つ靭性が高くて熱膨張係数が熱電素子に近い基板を得る
ことができる。
【0010】また、本発明の熱電モジュール用多層基板
の製造方法は、所定の強度を有して熱膨張率が熱電素子
とほぼ等しい絶縁材料をシート状に形成する第1基板形
成工程と、所定の強度を有して熱膨張率が熱電素子とほ
ぼ等しい絶縁材料をシート状に形成する第2基板形成工
程と、第2基板形成工程により形成されたシート状体に
複数の貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、貫通孔形成
工程により形成された貫通孔内に熱伝導性が良好な材料
を充填する充填工程と、第1基板と第2基板とを焼結に
より一体化する焼結工程と、焼結により第2基板と一体
化された第1基板の表面に熱電素子を接続するための一
対の電極の一方を形成する電極形成工程とを備えるよう
にしている。
【0011】このように、第2基板に形成された複数の
貫通孔内に熱伝導性が良好な材料を充填した後、第1基
板と第2基板とを焼結により一体化すると、第1基板に
より熱膨張率がほぼ熱電素子の熱膨張率に等しくなり、
第2基板により熱伝導性が高くなるため、熱膨張係数が
熱電素子に近く、かつ所定の強度を有して靭性が高いと
ともに、熱伝導性が向上した多層基板が得られるように
なる。そして、この多層基板の第1基板の表面に電極を
形成することにより、この電極は絶縁性に優れた第1基
板上に形成されるため、多層基板の絶縁性が向上する。
【0012】この場合、第1基板および第2基板はアル
ミナあるいはガラスセラミック(このガラスセラミック
はガラスよりも焼結温度が低い)により形成し、第2基
板の貫通孔内に銅、銀、タングステンなどの金属を充填
することが好ましい。また、第2基板の両面に第1基板
を配置して3層構造にすると、熱伝導性が若干低下する
ものの、さらに絶縁性が良好で機械的強度に優れ、かつ
靭性が高くて熱膨張係数が熱電素子に近い基板を得るこ
とができる。
【0013】そして、本発明の熱電モジュールは、所定
の強度を有して熱膨張率が熱電素子とほぼ等しい絶縁材
料のシート状体から構成される第1基板と、所定の強度
を有して熱膨張率が熱電素子とほぼ等しい絶縁材料によ
り形成されたシート状体に複数の貫通孔を有して同貫通
孔内に熱伝導性が良好な材料が充填された第2基板とが
焼結により一体的に形成された多層基板を備えるととも
に、一対の多層基板の一方の第1基板の表面に形成され
た第1電極と、一対の多層基板の他方の第1基板の表面
に形成された第2電極との間に複数の熱電素子が配置さ
れて各熱電素子が直列に導電接続されている。
【0014】このように、多層基板の互いに対向する第
1基板の表面に第1電極(導電パターン)と第2電極
(導電パターン)とが形成され、これらの電極の間にP
型あるいはN型の半導体からなる熱電素子が配置されて
直列接続されていると、絶縁性を有して熱膨張率が熱電
素子にほぼ等しい材料よりなる第1基板と、熱伝導性が
良好な材料が貫通孔内に充填された第2基板により、熱
膨張係数が熱電素子に近く、かつ所定の強度を有して靭
性が高いとともに、熱伝導性が向上した熱電モジュール
となる。これにより、熱負荷の小さい熱電モジュールが
得られるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】ついで、本発明の実施の形態を図
1〜図5に基づいて説明する。なお、図1は本発明の熱
電モジュールを模式的に示す断面図であり、図2は本発
明の熱電モジュール用多層基板の製造工程を模式的に示
す斜示図である。また、図3は図2の製造工程を経て形
成された熱電モジュール用多層基板を模式的に示す図で
あり、図3(a)はその縦断面を示す断面図であり、図
3(b)はその下面図であり、図3(c)は多層基板の
他の例を示す断面図である。また、図4は第2基板に充
填された金属(銅)粉末の充填割合に対する第2基板の
熱伝導率および曲率の関係をシミュレーションした結果
を示す図である。さらに、図5は本発明の熱電モジュー
ル用多層基板の第2基板の変形例を模式的に示す平面図
である。
【0016】1.熱電モジュール 本発明の熱電モジュールは、図1に示すように、互いに
相対向して配置された一対の絶縁性多層基板10,10
の間に複数個のP型半導体よりなる熱電素子21,2
1,21・・・とN型半導体よりなる熱電素子22,2
2,22・・・とからなるペルチェ素子20を挟み込
み、各絶縁性基板10,10の対向面にそれぞれ形成さ
れた導電パターン(電極)13,14により複数のP型
素子21と複数のN型素子22とがP,N,P,Nの順
に電気的に直列に接続され、更に端部のP型素子及びN
型素子を接合した電極(図示せず)にそれぞれリード線
(図示せず)を接続して熱電モジュールを構成してい
る。
【0017】各絶縁性多層基板10は、第1基板11と
第2基板12とから構成されるが、第2基板12内には
複数の貫通孔12aが形成されていて、この貫通孔12
a内に銀もしくは銅などの熱伝導性が良好な金属が充填
されている。電極パターン13,14は、銅メッキによ
り形成され、この電極パターン13,14に各熱電素子
21,22が固着されている。なお、各絶縁性基板1
0,10の互いに対向しない面にはそれぞれ銅パッド1
5,16がそれぞれ形成されている。また、各絶縁性多
層基板10はアルミナ(Al23)により形成されてお
り、このアルミナ(Al23)は絶縁性に優れて所定の
強度を有するとともに、各熱電素子21,22の熱膨張
率とほぼ等しい熱膨張率を有している。
【0018】2.絶縁性多層基板の製造方法 ついで、上述した絶縁性多層基板10の製造方法を説明
する。まず、アルミナ(Al23)粉末とポリビニルブ
チラール樹脂、アクリル樹脂等のバインダーに有機溶媒
を添加混合してアルミナスラリーとし、このアルミナス
ラリーをシート状に成形した後、乾燥してシート状体
(第1基板)11とした。同様に、アルミナ(Al
23)粉末とポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂
等のバインダーに有機溶媒を添加混合してアルミナスラ
リーとし、このアルミナスラリーをシート状に成形した
後、乾燥してシート状体12(第2基板)とした後、こ
の第2基板12にパンチング装置あるいはレーザ照射装
置を用いて多数のスルーホール(貫通孔)12aを形成
した。なお、第2基板12は軟質であるため、パンチン
グ装置あるいはレーザ照射装置を用いてのスルーホール
(貫通孔)12aの形成は容易となる。
【0019】ついで、銀粉末あるいは銅粉末もしくはタ
ングステン粉末を主成分とするペースト(銀粉末あるい
は銅粉末もしくはタングステン粉末にバインダー(例え
ば、アクリル樹脂)を混合したもの)12bを用意し、
このペースト12bをドクターブレード等を用いてスル
ーホール(貫通孔)12a内に充填した。これより、多
数の貫通孔12a内にペースト12bが充填された第2
基板12が形成される。ついで、第1基板11と第2基
板12とを重ね合わせた後、これらを焼結炉内に配置
し、所定の温度(例えば、1800℃)で焼結して、第
1基板11と第2基板12とが一体化した絶縁多層基板
10とした。ついで、得られた絶縁多層基板10の第1
基板11の表面に導電パターンを形成して電極13ある
いは電極14とした。なお、多層基板10としては、図
3(c)に示すように、2つの第1基板11,11の間
に第2基板12を配置するようにしてもよい。
【0020】ここで、スルーホール(貫通孔)12aの
配置個数を均等に変化させて、このスルーホール(貫通
孔)12a内に銅粉末のペースト12bを充填した場合
の第2基板12の熱伝導率(W/(mm・K))と、こ
の第2基板12の反り、即ち曲率(1/mm)をシミュ
レーションすると、図4に示すような結果となった。図
4の結果から明らかなように、銅の充填比率(第2基板
の表面積と銅の表面積との比率)が大きくなるに伴っ
て、第2基板12の熱伝導率(W/(mm・K))およ
び曲率(1/mm)は大きくなることが分かる。
【0021】このことから、基板の反りが無視できる用
途に使用する場合は熱伝導率が大きくなるように銅の充
填比率を大きくした方が良い。また、基板の反りが無視
できない用途に使用する場合は基板の曲率が小さくなる
ように銅の充填比率を小さくした方が良いということが
できる。この場合、例えば、銅の充填比率を30%にし
た場合であっても熱伝導率は10%程度向上することと
なる。なお、スルーホール(貫通孔)12a内に充填す
る金属粉末を銀あるいはタングステンとしても図4とほ
ぼ同様な傾向が認められた。したがって、以上のことを
考慮すると第2基板の貫通孔の形状および配置構造に関
しては種々の変形が考えられるので、以下に説明する。
【0022】3.第2基板の貫通孔の形状および配置構
造等 上述した第2基板12においては、スルーホール(貫通
孔)12aを円形に形成する例について説明したが、ス
ルーホール(貫通孔)12aは円形以外に、楕円形状、
四角形状、三角形状、菱形形状、台形状などの種々の形
状を採用することができる。また、スルーホール(貫通
孔)12aの分布密度(ペースト12bの分布密度)に
関しては、図5(a)に示すように密に分布させたり、
あるいは図5(b)に示すように粗に分布させたりして
もよく、熱電モジュールが使用される用途に応じて適宜
選択すればよい。
【0023】また、スルーホール(貫通孔)12aの配
置構造(ペースト12bの配置構造)としては、図5
(c)に示すように均一に配置させたり、図5(d)に
示すように必要部分のみに配置させたりして、あるいは
図5(e)に示すように第2基板12の中心部のみに配
置させたりしてもよく、要するに、熱電モジュールが使
用される用途に応じて適宜選択すればよい。
【0024】4.熱電モジュールの使用例 ついで、上述のように構成される熱電モジュールの一適
用例を、図6に基づいて説明する。なお、図6は本発明
の熱電モジュールを用いた半導体レーザモジュールを模
式的に示す断面図である。ここで、半導体レーザモジュ
ールは半導体レーザ素子とレンズ等をパッケージ内に一
体的に収容して構成され、この半導体レーザモジュール
に光ファイバを結合して光増幅器が構成されるものであ
る。
【0025】このような半導体レーザモジュールにおい
て、レーザ光源として用いられる半導体レーザ素子は非
常に高出力が要求され、数百mAの駆動電流を必要とす
るため、半導体レーザ素子の発熱による光出力の低下や
寿命の低下を招くおそれがある。また、半導体レーザ素
子はその雰囲気温度が変化すると波長が変化するなどの
光特性が変わるため、光ファイバと結合する半導体レー
ザモジュールの構成体内に上述した熱電モジュールを備
えるようにして、半導体レーザ素子を冷却するようにし
ている。
【0026】このような半導体レーザモジュールは、例
えば、図6に示すように、金属製パッケージ本体(枠
体)30を備えており、この枠体30の1つの側壁31
に光取り出し窓31aを設けている。また、枠体30の
下部に金属製底板32が蝋付けにより枠体30の下部に
固着されており、枠体30の上部には気密用のカバー3
3が取り付けられている。ここで、枠体30内には、一
対の多層基板10,10の間に複数個のP型熱電素子と
N型熱電素子とからなるペルチェ素子20を挟み込み、
導電パターン(電極)13,14(図1参照)により複
数のP型熱電素子とN型熱電素子とがP,N,P,Nの
順に電気的に直列に導電接続され、更に端部のP型熱電
素子及びN型熱電素子を接合した電極にそれぞれ図示し
ないリード線を接続して構成される熱電モジュールが配
置されている。
【0027】一方の基板10の上部には半導体レーザ素
子35、レンズLおよび受光素子38等を搭載したベー
ス板39が固定され、他方の基板10の下部に設けられ
た銅パッド15と底板32の上面とをハンダ付けするこ
とにより、他方の基板10は底板32上に固定される。
ベース板39は銅パッド16にハンダ付けされて固定さ
れる。半導体レーザ素子35はヒートシンク36に搭載
されており、このヒートシンク36は半導体レーザ素子
35の放熱を行うと共に、半導体レーザ素子35とほぼ
同じ膨張係数を有する材料(例えばダイヤモンド,Si
C,シリコンなど)を使用して熱応力による故障を防止
している。
【0028】また、ヒートシンク36はヘッダ37に搭
載され、このヘッダ37は半導体レーザ素子35の電極
用の端子を有している。ヘッダ37の後部にはモニタ用
の受光素子38が設けられており、この受光素子38は
半導体レーザ素子35の温度変化等による光出力の変化
を監視し、その光出力が常に一定になるように駆動回路
にフィードバックをかけている。レンズLはレンズホル
ダ34により固定されている。
【0029】なお、レンズホルダ34は、半導体レーザ
素子35から出射され広がったレーザ光がレンズLによ
り平行光になるように光軸調整後、ベース39にYAG
レーザで固定されるようになされている。これは、光学
調整後の半導体レーザ素子35とレンズLの軸ずれ感度
が1μm以下と厳しいため固定安定度の高いYAGレー
ザ溶接を用いるものである。これにより、半導体レーザ
素子35から出射されたレーザ光はレンズLで平行光に
変換され、この平行光が光取り出し窓31aを通過する
ようになる。
【0030】レンズLの前方には、スリーブ42が配置
され、このスリーブ42にフェルール45を介してレン
ズ41が固定されている。ここで、半導体レーザ素子3
5から出射され光取り出し窓31aを通過したレーザ光
がレンズ41で光ファイバ44に効率よく入射するよう
に光軸調整した後、スリーブ42のA,B部でYAGレ
ーザ溶接固定している。これにより、半導体レーザ素子
35から出射された光はレンズLと41とによって光フ
ァイバ44に効率良く結合される。このような半導体レ
ーザモジュールが高出力可能なのはペルチェ素子20で
半導体レーザ素子35を常時冷却し、半導体レーザ素子
35の発熱を低減しているためである。なお、半導体レ
ーザ素子35とペルチェ素子20の発熱は底板32の下
面に取り付けたヒートシンク(図示せず)で外部に放熱
される。
【0031】上述したように、本発明の基板10は、絶
縁性が良好で機械的強度に優れたかつ熱膨張係数が熱電
素子(ペルチェ素子)20に近い第1基板11と、貫通
孔12a内に熱伝導性が良好な銅、銀などの充填材を充
填されて、靭性が高くかつ熱伝導性に優れた第2基板1
2とで多層構造の基板としているので、熱膨張係数が熱
電素子に近く、かつ所定の強度を有して靭性が高いとと
もに、熱伝導性が向上して、熱電モジュール用に最適な
多層基板が得られる。
【0032】また、多層基板10の絶縁性に優れた第1
基板11の表面に電極(導電パターン)13,14を形
成しているので、絶縁性が向上した多層基板10が得ら
れるようになる。このため、このような多層基板を用い
た熱電モジュールの絶縁性が向上して、この種の熱電モ
ジュールの信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の熱電モジュールを模式的に示す断面
図である。
【図2】 本発明の熱電モジュール用多層基板の製造工
程を模式的に示す斜示図である。
【図3】 図2の製造工程を経て形成された熱電モジュ
ール用多層基板を模式的に示す図であり、図3(a)は
その縦断面を示す断面図であり、図3(b)はその下面
図であり、図3(c)は多層基板の他の例を示す断面図
である。
【図4】 第2基板に充填された金属(銅)粉末の充填
割合に対する第2基板の熱伝導率および曲率の関係をシ
ミュレーションした結果を示す図である。
【図5】 本発明の熱電モジュール用多層基板の第2基
板の変形例を模式的に示す平面図である。
【図6】 本発明の熱電モジュールを用いた半導体レー
ザモジュールを模式的に示す断面図である。
【図7】 従来例の熱電モジュールを模式的に示す断面
図である。
【符号の説明】
10…多層基板、11…第1基板、12…第2基板、1
2a…貫通孔(スルーホール)、12b…熱伝導性が良
好な充填材、13,14…電極(導電パターン)、1
5,16…銅パッド、20…ペルチェ素子、21…P型
熱電素子、22…N型熱電素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 七幸 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式 会社内 (72)発明者 小林 和幸 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株式 会社内 Fターム(参考) 5F073 FA13 FA15 FA21 FA25 GA01 GA12

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体からなる複数の熱電素子が一対の
    電極を介して導電接続された熱電モジュールの構成材と
    なり、かつ前記一対の電極の一方がその表面に形成され
    た熱電モジュール用多層基板であって、 所定の強度を有して熱膨張率が前記熱電素子とほぼ等し
    い絶縁材料のシート状体から構成される第1基板と、 所定の強度を有して熱膨張率が前記熱電素子とほぼ等し
    い絶縁材料のシート状体に複数の貫通孔を有して、同貫
    通孔内に熱伝導性が良好な材料が充填された第2基板と
    を備え、 前記第1基板と前記第2基板とが焼結により一体的に形
    成されていることを特徴とする熱電モジュール用多層基
    板。
  2. 【請求項2】 前記第1基板および前記第2基板の前記
    シート状体はアルミナあるいはガラスセラミックから選
    択される少なくとも1種のセラミックにより形成され、 前記第2基板の前記貫通孔内に金属が充填されているこ
    とを特徴とする請求項1に記載の熱電モジュール用多層
    基板。
  3. 【請求項3】 前記金属は銅、銀またはタングステンか
    ら選択される少なくとも1種の金属を含有していること
    を特徴とする請求項2に記載の熱電モジュール用多層基
    板。
  4. 【請求項4】 前記第2基板の両面に前記第1基板が配
    置されて3層構造となっていることを特徴とする請求項
    1から請求項3のいずれかに記載の熱電モジュール用多
    層基板。
  5. 【請求項5】 半導体からなる複数の熱電素子を一対の
    電極を介して導電接続して熱電モジュールを形成すると
    ともに、前記一対の電極の一方をその表面に形成する熱
    電モジュール用多層基板の製造方法であって、 所定の強度を有して熱膨張率が前記熱電素子とほぼ等し
    い絶縁材料をシート状に形成する第1基板形成工程と、 所定の強度を有して熱膨張率が前記熱電素子とほぼ等し
    い絶縁材料をシート状に形成する第2基板形成工程と、 前記第2基板形成工程により形成されたシート状体に複
    数の貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、 前記貫通孔形成工程により形成された貫通孔内に熱伝導
    性が良好な材料を充填する充填工程と、 前記第1基板と前記第2基板とを焼結により一体化する
    焼結工程と、 焼結により前記第2基板と一体化された前記第1基板の
    表面に前記熱電素子を接続するための一対の電極の一方
    を形成する電極形成工程とを備えたことを特徴とする熱
    電モジュール用多層基板の製造方法。
  6. 【請求項6】 一対の多層基板の相対向する表面に形成
    された一対の電極を介して半導体からなる複数の熱電素
    子が導電接続された熱電モジュールであって、 請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱電モジュー
    ル用多層基板を備えるとともに、 前記一対の多層基板の一方の前記第1基板の表面に形成
    された第1電極と、前記一対の多層基板の他方の前記第
    1基板の表面に形成された第2電極との間に前記複数の
    熱電素子が配置されて各熱電素子が直列に導電接続され
    ていることを特徴とする熱電モジュール。
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