JP2001331973A - 光学的情報記録用媒体およびその製造方法ならびにスパッタリング用ターゲット - Google Patents

光学的情報記録用媒体およびその製造方法ならびにスパッタリング用ターゲット

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Abstract

(57)【要約】 【課題】反射率の低下やノイズの増加を抑え、物質移動
を抑制し、繰返しオーバーライト特性に優れた光学的情
報記録用媒体およびその製造方法を提供する。 【解決手段】基板上に保護層と相変化型記録層とを有す
る光学的情報記録用媒体において、上記の保護層が金属
酸硫化物を含有する光学的情報記録用媒体、および、保
護層用ターゲットをスパッタして基板上に保護層を形成
する工程を含む光学的情報記録用媒体の製造方法におい
て、当該保護層用ターゲットとして、金属酸硫化物を使
用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学的情報記録用
媒体およびその製造方法に関し、詳しくは、レーザービ
ーム等の照射により、高速かつ高密度に情報を記録、消
去、再生することが可能な光学的情報記録用媒体および
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】結晶状態と非晶質状態との間などの様に
原子配列が変化する相変化によって情報の記録や再生が
行なわれる相変化型の光学的情報記録用媒体は公知であ
る。一般的な相変化型の光学的情報記録用媒体において
は、相変化によって記録再生が行なわれる記録層の上又
は下側に誘電体から成る保護層が設けられている。
【0003】一般に、書換え型の相変化記録媒体では、
相異なる結晶状態を実現するため、2つの異なるレーザ
ービームパワーを使用する。この方式を例にとって説明
すると、結晶化は、結晶化温度より十分高く、概ね融点
近傍の温度まで記録層を加熱することによって行われ、
非晶質化は、記録層を融点より高い温度まで加熱し、急
冷することによって行われる。この場合、上記の保護層
は、十分な冷却速度(過冷却速度)を得るための放熱層
としての機能を有する。また、非晶質マーク形成過程に
おける記録層の溶融・相変化に伴う体積変化および保護
層自身の熱膨張による変形を抑制したり、プラスチック
基板への熱的ダメージを防いだり、湿気による記録層の
劣化を防止するためにも、保護層は重要である。
【0004】上記の様な保護層の材質は、照射されるレ
ーザービームに対して光学的に透明であること、融点・
軟化点・分解温度が高いこと、形成が容易であること、
適度な熱伝導性を有する等の観点から選定される。ま
た、オーバーライト時の加熱・急冷却過程においては、
保護層内部には、記録層の溶融領域に接する面を最も高
温とし、基板または反射層に接する面を低温として、内
部に数百℃に及ぶ温度変化が100nsec未満の瞬時
に形成されるため、記録層を押しのけ様とする方向に急
激な熱膨張変形が生じる。この様な保護層自身の急激な
熱膨張変形に耐える必要もある。
【0005】上記の様に、化学的に安定であり、高温域
でも十分な耐熱性および機械的強度を有する保護層の材
料として、金属の酸化物や窒化物などの誘電体が知られ
ている。
【0006】しかしながら、一般に、誘電体薄膜とプラ
スチック基板とは熱膨張率や弾性的性質が大きく異なる
ため、記録・消去を繰り返すうちに、誘電体薄が膜基板
から剥がれてピンホールやクラックを生じる原因とな
る。代表的な非晶質誘電体である、ケイ素、タンタル、
希土類元素などの酸化物、窒化物、炭化物、弗化物など
は、静的な高温状態での耐熱性には優れるものの、硬度
が高く脆性を示すため上述の様な急激かつ局所的な温度
変化に対しては、微視的な欠陥がクラックとして成長し
バースト欠陥となり易いと言う欠点もある。また、プラ
スチック基板は湿度によって反りを生じ易いため、誘電
体保護層は基板や記録層との界面に応力を生じ易く剥が
れ易い。更に、誘電体保護層は相変化記録層として通常
使用されるカルコゲン系元素との密着性も良くないた
め、より剥がれ易い。
【0007】一方、単独の誘電体だけでは達成できない
ユニークな物性を発現させるため、複数の誘電体の混合
物から成る複合誘電体を保護層として使用することも知
られている。この様な複合誘電体としては、カルコゲナ
イド系元素を含む化合物である、ZnS、ZnSe、P
bS、CdS等と酸化物、窒化物、弗化物、炭化物など
の混合物が数多く提案されている。特に、主成分として
のZnSにSiO2やY23等を混合した複合誘電体
が、マーク位置記録で100万回に及ぶ繰返しオーバー
ライトを実現できる保護層として提案されている。
【0008】例えば、特開平5−174423号公報に
はZnSとY23の複合誘電体が記載されている。この
公知文献の実施例には、Y23単体の保護層およびY2
3をZnSで最大80mol%置換した保護層により
繰り返し特性が向上するとの記載がある。また、ZnS
とSiO2の複合誘電体は相変化媒体の保護層として実
用化されている。特にZnSとSiO2のモル比率が8
0対20のターゲットが広く使用されている。
【0009】上記の複合誘電体保護層は、GeTeS
b、AgInSbTe等のカルコゲナイド系合金薄膜に
対する密着性が純粋な酸化物または窒化物の誘電体保護
層に比べて優れている。また、単体のZnS自体の特徴
であるクラックの伝播によるバースト欠陥の成長も殆ど
ないため、媒体の繰返しオーバーライト特性が向上し、
加速試験における膜剥離も少なく、高い信頼性が得られ
る。
【0010】しかしながら、近年、媒体の繰り返しオー
バーライト特性や耐久性は、ますます優れたものが求め
られている。例えば、高密度化のため、マーク長記録が
採用され且つマーク長が0.5μm程度より短くなる
と、繰り返し耐久性は著しく悪化する。その理由は、マ
ーク位置記録では見逃された、僅かなノイズ増加や反射
率変化が許容されなくなるからである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、反射
率の低下やノイズの増加を抑え、物質移動を抑制し、繰
返しオーバーライト特性に優れた光学的情報記録用媒体
およびその製法ならびに新規なスパッタリング用ターゲ
ットを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意検討を
重ねた結果、次の様な知見を得た。すなわち、代表的な
ZnS(80):SiO2(20)から成る複合膜や上
記のZnSとY23の複合膜は、微視的な塑性変形が蓄
積してノイズが増加したり、反射率が低下したりする。
【0013】本発明者は、上記の知見を基にして、更に
検討を重ねた結果、Y22Sに例示される酸硫化物を含
む様な、特定組成の保護層を使用すれば反射率の低下や
ノイズの増加を抑え、物質移動を抑制することが出来る
との知見を得、本発明の完成に至った。
【0014】すなわち、本発明の第1の要旨は、基板上
に保護層と相変化型記録層とを有する光学的情報記録用
媒体において、上記の保護層が金属酸硫化物を含有する
ことを特徴とする光学的情報記録用媒体、に存する。
【0015】本発明の第2の要旨は、基板上に保護層と
相変化型記録層とを有する光学的情報記録用媒体におい
て、当該保護層が、イットリウムと酸素と硫黄またはセ
レンと、必要に応じてその他の成分を含み、但し亜鉛を
含有する場合には、硫黄およびセレンの合計量よりも少
ない原子数の亜鉛を含むことを特徴とする光学的情報記
録用媒体、に存する。
【0016】本発明の第3の要旨は、保護層用ターゲッ
トをスパッタして基板上に保護層を形成する工程を含む
光学的情報記録用媒体の製造方法において、当該保護層
用ターゲットとして、金属酸硫化物を使用することを特
徴とする光学的情報記録用媒体の製造方法、に存する。
【0017】更に、本発明の第4の要旨は、金属酸硫化
物を含有するスパッタリング用ターゲットに存する。
【0018】従来の保護層組成においては、Y23やY
23等が公知である。また、Y23とZnSとの混合組
成も公知である。しかしながら、これらの組成の保護層
では、上記の特性、特に繰り返しオーバーライト耐久性
は不十分であり、Y22S等の金属酸硫化物をスパッタ
リングターゲットとして使用すると十分な特性が得られ
る。金属酸硫化物をスパッタして得られた保護層は、一
見すると公知の保護層組成と類似する様にも見えるが、
スパッタリングターゲットが金属酸硫化物であることに
よって、その詳細な構造は大きく異なる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
先ず、本発明の光学的情報記録用媒体の一般的な構造に
ついて説明する。図1は本発明の媒体の層構成の一例を
示す模式的断面図、図2は本発明の媒体の層構成の他の
一例を示す模式的断面図である。図1は、基板上に、第
1保護層、相変化型記録層、第2保護層および反射層が
この順に設けられて成る光学的情報記録用媒体であり、
図2は、基板上に、反射層、第2保護層、相変化型記録
層および第1保護層がこの順に設けられて成る光学的情
報記録用媒体である。なお、本発明において、記録層か
ら視て非反射層側にある保護層を第1保護層、記録層か
ら視て反射層側にある保護層を第2保護層という。
【0020】基板(1)の材質としては、通常、ポリカ
ーボネート、アクリル、ポリオレフィン、光硬化性樹脂
などの透明樹脂やガラスが使用される。生産性の面から
は透明樹脂が好ましく、特にポリカーボネート樹脂は、
吸水性、光学特性、保護層との密着性などに優れており
好ましい。
【0021】相変化記録層(3)、保護層(2)及び
(4)、反射層(5)は、通常、スパッタリング法、蒸
着法などによって形成される。記録層用のターゲット、
保護層用のターゲット、反射層用のターゲットを同一真
空チャンバー内に設置したインライン装置で層形成を行
うことが各層間の酸化や汚染を防ぐ点で有利である。こ
の場合、それぞれの層に使用するターゲットは、複数の
ターゲットを使用してコスパッタを行なっても、複合材
料ターゲットを使用してもどちらでも構わない。保護コ
ート層(6)の材質としては、通常、硬度の高い紫外線
硬化性または熱硬化性の樹脂が使用される。
【0022】記録層の厚さは、通常1〜100nm、好
ましくは5〜50nmとされる。記録層の厚さが薄すぎ
る場合は、十分なコントラストが得られ難く、また、結
晶化速度が遅くなる傾向があり、短時間での記録消去が
困難となり易い。一方、記録層の厚さが厚すぎる場合
は、やはり光学的なコントラストが得られ難く、また、
クラックが生じ易くなる。特に、近年開発された書換え
型コンパクトディスク(CD−RW)の様にCDと互換
性がとれるコントラスト(例えば変調度50%以上)を
得るため、更には、今後現れる書き換え型DVDと互換
性がとれるコントラストを得るため、5〜30nmが好
ましい。記録層の厚さが薄すぎる場合は上記に加えて反
射率が低くなりすぎ、厚すぎる場合は熱容量が大きくな
り記録感度が悪くなる傾向にある。
【0023】記録層の材料としては、反射率などの各種
の光学特性の変化を伴う相変化(例えば結晶−非晶質変
化)が可能な各種の材料が使用できる。通常は合金が使
用されるが、好ましくは、GeSbTe、InSbT
e、AgSbTe、AgInSbTe等のカルコゲン元
素を含む合金が使用される。これらはオーバーライト可
能な材料である。具体的には、{(Sb2Te3
1-X(GeTe)X1-YSby合金(ただし、0.2≦X
≦0.9、0≦Y≦0.1)の他、この3元合金に10
mol%程度までの添加元素(In、Ga、Zn、S
n、Si、Cu、Au、Ag、Pd、Pt、Bi、P
b、Cr、Co、O、N、S、Se、Ta、Nb、V、
Wおよび希土類金属元素のうち少なくとも1種)を含む
合金が挙げられる。なお、Sb2Te3とGeTeとを結
んだ線上の組成においてGe2Sb2Te5金属間化合物
組成近傍とすれば、線速10m/s以上でもオーバーラ
イト可能となる。
【0024】また、Sb(70)Te(30)の共晶点
近傍のSbTe合金を主成分とするMSbTe合金(た
だし、MはIn、Ga、Zn、Ge、Sn、Si、C
u、Au、Ag、Pd、Pt、Bi、Pb、Cr、C
o、O、N、S、Se、Ta、Nb、V、Wおよび希土
類金属元素のうち少なくとも1種)も高速でのオーバー
ライトが可能な材料として好ましい。
【0025】より好ましくは、上記合金においてMw
(SbZTe1-Z1-W(ただし、0≦W≦0.20、
0.6≦Z≦0.9)の範囲である。斯かる組成の合金
は、線速1.2〜30m/s(CD線速の1倍速から2
4倍速)で最大線速と最小線速の比が2以上の広範囲の
線速において良好なオーバーライトが可能である。
【0026】なお、Sb(70)Te(30)の共晶点
近傍の合金薄膜では、Sb/Te比が大きいほど結晶化
速度が速くなる傾向があるためSb/Te比により線速
依存性が決まる。
【0027】成膜時の記録層は通常非晶質であり、記録
層全面を結晶化して初期化された状態(未記録状態)と
した後に使用する。初期化はフラッシュランプアニール
又は100μm程度に集光したレーザービームで、瞬間
的に記録層を結晶化温度以上に加熱することで達成され
る。初期化に要する時間を短縮し、確実に1回の光ビー
ムの照射で初期化するための一つの方法として溶融初期
化が有効である。
【0028】例えば、直径10〜数百μm程度に集束し
た光ビーム(ガスレーザー若しくは半導体レーザービー
ム)又は長軸50〜100μm、短軸1〜10μm程度
の楕円状に集光した光ビームで局所的に加熱することに
より、ビーム中心部に限定して溶融させる。このとき、
ビーム周辺部も同時に加熱されるため、溶融部が余熱さ
れ冷却速度が遅くなり、良好な再結晶化が行われる。こ
れにより、従来の固相結晶化に対して10分の1に初期
化時間を短縮でき、生産性が大幅に短縮できると共に、
オーバーライト後の消去時における結晶性の変化を防止
できる。
【0029】第1保護層および第2保護層は、記録時の
高温による基板や記録層の変形を防止するために設け
る。その少なくとも一方は、後述する特定の膜を使用す
るが、一方のみに使用した場合、他方の保護層の材料と
しては、下記の観点から選ぶことが出来る。
【0030】一般に、誘電体保護層の材料は、屈折率、
熱伝導率、化学的安定性、機械的強度、密着性などに留
意して決定されるが、通常、透明性が高く高融点である
金属や半導体の酸化物、硫化物、窒化物、炭化物の他、
Ca、Mg、Li等のフッ化物が使用される。また、オ
ーバーライト時には記録層が数百℃から1000℃程度
まで繰返し加熱されることから、融点または分解点は1
000℃以上であることが必要がある。更に、記録再生
に使用するレーザービーム波長に対して実質的に透明で
なければならない。使用波長は、通常600〜800n
mであるが、将来的には400nm程度まで短波長化さ
れると考えられる。
【0031】なお、当然ながら、400〜800nmの
範囲の全ての波長に対して透明である必要はなく、使用
するレーザービームに対して透明であればよい。実質的
に透明であるとは、その波長に対する複素屈折率の虚数
部分である吸収係数が約0.2未満であることを意味す
る。誘電体保護層の具体的な材料としては、金属や半導
体の酸化物、窒化物、硫化物、炭化物、フッ化物などの
各種の誘電体、これらの混合物、複合物などが挙げられ
る。具体的な化合物としては、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸
化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、希土類酸化
物、希土類硫化物、希土類フッ化物、フッ化マグネシウ
ム等が挙げられる。特に好ましい材料は、硫化亜鉛と酸
化ケイ素との混合物である。
【0032】反射層には、Au、Ag、Al、それらの
合金などが使用されるが、放熱効果が高く熱伝導率が高
い物質が好ましい。反射層の厚さは、生産コストの面か
ら通常1000nm以下とされるが、好ましく0.01
〜100nmである。
【0033】次に、本発明の光学的情報記録用媒体の特
徴について説明する。本発明の第1の態様においては、
上記保護層が金属酸硫化物を含有する。金属酸硫化物を
含有するとは、この構成元素が、金属酸硫化物の形態を
維持して存在することを意味する。金属酸硫化物に使用
する金属元素としては、LaやCeといったランタノイ
ド元素やイットリウム等の希土類金属元素、Sc、Ti
等の遷移金属元素などが挙げられる。これらの中では、
希土類金属元素が好ましく、イットリウム及びLa、C
e、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dyから成る群か
ら選択される希土類金属元素が特に好ましい。イットリ
ウムの酸硫化物は、1000℃程度までY23やY23
より熱化学的に安定なので、最も好ましい元素はイット
リウムである。
【0034】金属酸硫化物の保護層中の含有量は、好ま
しくは5mol%以上、更に好ましくは10mol%以
上、最も好ましくは15mol%以上とする。また、金
属酸化物を構成する金属元素の保護層中の含有量は、通
常10原子%以上、好ましくは20原子%以上、更に好
ましくは25原子%以上とする。金属酸硫化物の含有量
が少なすぎると、オーバーライト特性が低下することが
ある。金属酸硫化物を含有する保護層は、金属酸硫化物
を含有するターゲットを使用してスパッタリング法によ
って成膜することによって形成することが出来る。スパ
ッタリングの方法については後述する。
【0035】また、保護層は、金属酸硫化物と他の誘電
体との混合物を含有することも出来る。混合する誘電体
としては、前記一般的に保護層に使用することが出来る
各種のものを挙げることが出来る。具体的には、硫化亜
鉛、酸化亜鉛、酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニ
ウム、酸化アルミニウム、希土類酸化物、希土類硫化
物、希土類フッ化物、フッ化マグネシウム等に代表され
る、金属又は半導体の酸化物、硫化物、窒化物、炭化物
またはフッ化物を例示することが出来る。この中でも、
特に好ましいのは、記録層との密着性に優れる、硫化亜
鉛、酸化亜鉛等の亜鉛化合物である。その結果、より安
定で高い耐久性を得ることが出来る。亜鉛化合物の保護
層中の含有量は、通常99mol%以下、好ましくは9
0mol%以下とする。ただし、混合する亜鉛化合物の
種類によって、適切な含有量は変化する。例えば、硫化
亜鉛の場合は、その含有量は多量でも問題はなく、通
常、20mol%以上、好ましくは30mol%以上、
更に好ましくは50mol%以上、最も好ましくは60
mol%以上とする。一方、酸化亜鉛の場合、あまりに
多い含有量は好ましくない傾向にあり、通常30mol
%以下、好ましくは20mol%以下、更に好ましくは
10mol%以下とする。また、酸化亜鉛のモル含有量
は、金属酸硫化物のモル含有量の半分以下であるのがよ
り好ましい。
【0036】第1の態様においては、特に好ましい保護
層組成であるY22SとZnSとを含む混合組成の場
合、特に優れたオーバーライト特性を得ることが出来
る。この場合の、Y22Sに対するZnSとのモル比
は、通常1%以上、好ましくは5%以上、更に好ましく
は10%以上であり、また通常1000%以下、好まし
くは700%以下、更に好ましくは500%以下であ
る。
【0037】なお、保護層中に金属状の亜鉛を存在させ
ることも可能ではあるが、それよりも、上述の酸化亜鉛
や硫化亜鉛の様な亜鉛化合物の形態で含有するのがより
好ましい。また、この亜鉛含有比率と膜特性および耐久
性の関係を説明し得るメカニズムについては未だ明確で
はない。
【0038】次に、本発明の第2の態様について説明す
る。本発明の第2の態様においては、前記の様に構成さ
れる光学的情報記録用媒体において、特定の保護層、イ
ットリウムと酸素と硫黄またはセレンと、必要に応じて
その他の成分を含み、但し亜鉛を含有する場合には、硫
黄およびセレンの合計量よりも少ない原子数の亜鉛を含
む。すなわち、第2の態様においては、(1)イットリ
ウムと酸素と硫黄またはセレンとを含み、しかも、
(2)硫黄およびセレンの合計量よりも少ない原子数の
亜鉛を含む(亜鉛量が0の場合を含む)保護層を備え
る。
【0039】保護層中のイットリウム(Y)と酸素
(O)と硫黄(S)又はセレン(Se)と亜鉛(Zn)
との合計量に対するイットリウム原子数比の範囲は、通
常25〜50%、好ましくは30〜50%、更に好まし
くは35〜45%である。イットリウムの原子数比が小
さすぎる場合は、相対的オーバーライト特性が低下する
傾向があり、大きすぎる場合は、酸素および硫黄または
セレンの含有比率が低下し、誘電体と金属の混合物とな
り、光学的に不透明な膜となり易い。
【0040】保護層中のイットリウム(Y)と酸素
(O)と硫黄(S)又はセレン(Se)と亜鉛(Zn)
との合計量に対する酸素原子数比の範囲は、通常30〜
50%、好ましくは35〜45%である。酸素原子数比
が小さすぎる場合は、膜の光学吸収係数が大きくなりレ
ーザーパワーの感度が低下する傾向があり、大きすぎる
場合は、相対的に硫黄またはセレンの含有比率が低下
し、記録層との密着性が低下し易い。
【0041】保護層中の硫黄またはセレンは、記録層、
特にその中のカルコゲナイド元素との結合が強く、それ
により記録層と誘電体保護層との密着性がより強固に保
持される。ただし、特に硫黄またはセレンは、遊離した
状態では、誘電体保護層から記録層への拡散を起こし、
そのための偏析劣化を促す原因となり易いため、保護層
中のイットリウム(Y)と酸素(O)と硫黄(S)又は
セレン(Se)と亜鉛(Zn)との合計量に対する硫黄
またはセレンの原子数比の範囲は、通常5〜40%、好
ましくは10〜30%、更に好ましくは15〜25%で
ある。硫黄またはセレンの原子数比が小さすぎる場合
は、記録層との密着性の低下を引き起こし、初期化もし
くは繰り返しオーバーライトの際に、剥離を生じる傾向
があり、大きすぎる場合は、一部の硫黄またはセレン原
子が遊離し易い。保護層は、硫黄を含有するのが好まし
い。硫黄に加え、屈折率、硬度などの物性値の調節のた
め、セレンを含有させることも出来る。この場合、硫黄
とセレンの合計量に対するセレンの量は原子数比で50
%以下とするのが好ましい。
【0042】なお、硫黄やセレンは、酸硫化物や硫化亜
鉛の様な化合物の状態で存在するのが好ましい。硫黄や
セレンが遊離した状態で存在する場合は、これらが繰り
返しオーバーライトによって記録層に拡散し、相変化の
速度や光学定数が変化することがある。
【0043】保護層は亜鉛を含有していてもよい。ただ
し、保護層中の硫黄原子の量以上の亜鉛原子は、サイク
ル特性等の特性を悪化させることがある。保護層中の亜
鉛原子数比の範囲は、通常0〜20%、好ましくは0〜
10%である。亜鉛原子数比が大きすぎる場合は過剰と
なり耐久性を損ない易い。この亜鉛原子数が硫黄または
セレン原子数よりも少ないことが高い耐久性を有す膜を
得るための要因の一つである。すなわち、硫黄とセレン
との原子数の合計(S+Se)に対する亜鉛(Zn)の
原子数の比:Zn/(S+Se)は、好ましくは0.9
7以下であるが、0.95以下、0.90以下、0.8
0以下、0.50以下が順次に一層好ましい。この様な
条件下では、亜鉛やセレンは、通常、硫化亜鉛や硫化セ
レンの状態で存在し、金属の状態で存在する可能性は極
めて小さいと予想される。逆に、亜鉛やセレンが遊離し
ても、これを硫化亜鉛や硫化セレンとしてトラップ出来
ると考えられる。
【0044】本発明の第2の態様においては、保護層
は、好ましくはY22Sを含有する。Y22Sを含有す
るとは、イットリウムと硫黄と酸素とが、Y22Sの化
合物の形態を維持して存在することを意味する。Y22
Sを含む態様の具体的構成については、第1の態様の場
合と同様である。例えば、第2の態様において、保護層
は、Y22Sと、硫化亜鉛、酸化亜鉛等の他の誘電体と
の混合物を含有することも出来る。特に、酸化亜鉛を1
〜30mol%混合した場合、Y22Sから微量の硫黄
が遊離しても、Y22S+ZnO→Y23+ZnSなる
反応により、これをトラップして安定化できると考えら
れる。
【0045】本発明における保護層によるオーバーライ
ト時の劣化防止のメカニズムは、未だ明確ではないが、
熱伝導性および硬度が高いこと、構成元素の分布の均一
性が高いことに関係していると考えられる。すなわち、
本発明における保護層は、従来から一般的に使用されて
いるZnS−SiO2膜に代表される様にZnSを主成
分とする(ZnS含有量60mol%以上)複合誘電体
膜と比較し、熱伝導率および硬度が高い。一方、屈折率
は略同等であり、組成比にもよるが通常1.7〜2.2
程度である。
【0046】熱伝導率が高ければ熱膨張による変形は小
さくなると考える。すなわち、レーザーにより記録マー
クが形成される際に昇温された記録層の熱を少しでも早
く逃がすことにより、保護層の記録層に接している界面
領域と記録層から離れた領域との温度差、または、マー
ク形成領域とその周囲の温度差をいち早く解消できる。
その結果、温度差起因の膜剥離やクラックの発生時期を
遅らせることが出来る。すなわち、オーバーライト劣化
を遅らせることが出来ると考えられる。熱伝導率は作成
したディスクにおいて非晶質マークを形成する時のレー
ザーパワーの値から間接的に知ることが出来る。すなわ
ち、熱伝導率が大きいほど記録層の昇温に必要なレーザ
ーパワーは大きい傾向がある。少なくともZnS系保護
層との相対的比較は可能であり、マーク形成に必要なパ
ワーは、通常使用されるZnS(80)SiO2(2
0)(mol%)よりも高い。
【0047】そして、ZnS(80)SiO2(20)
(mol%)のJISヌープ硬度が280であるのに対
し、本発明における保護層、例えばY22Sのそれは5
20である。斯かる高い硬度を有する本発明における保
護層は、記録層の変形を防止する上で重要である。硬度
が低い場合は、記録・消去に伴う記録層の体積変化、す
なわち、非晶質−結晶間での体積差に起因する変形を適
切に抑えることが難しく、オーバーライト回数に伴い蓄
積され、やがては信号強度の低下をもたらす。
【0048】本発明における保護層の純度は90mol
%以上が好ましい。純度は高いほど好ましいが、10モ
ル%を下回る量の不純物の保護層特性に及ぼす影響は、
無視できるほど小さい。特に、不純物が安定な化合物で
ある場合には悪影響は小さいが、不純物が10モル%を
超えると膜の硬度や応力といった物性値が変わる可能性
が高く保護層の特性が劣化する恐れがある。
【0049】また、本発明における熱伝導性の高い保護
層は、記録層が多層化された媒体(現在まだ実用化され
ていない)にも有効である。すなわち、記録層が2層あ
る媒体の場合、光入射側の記録層に非晶質マークを形成
するためには、光を透過しない金属層は記録時の熱吸収
層として利用できない。これに対し、本発明における保
護層の場合、金属と同程度ではないにしても、熱伝導性
が非常に高いため、非晶質マーク形成時に十分な冷却速
度を得ることが可能である。
【0050】本発明の媒体の保護層は、通常、相変化記
録層に接して設けられるが、記録層の基板側とその反対
側の何れの側に設けてもよい。また、通常の相変化型光
記録用媒体の場合、保護層は記録層の両側に設けられ
る。この場合、上記の保護層はその一方または両方に設
けてもよい。保護層第1(又は第2)保護層として前記
の保護層を使用した場合、更に別の組成の第1(又は第
2)誘電体保護層を設けることも出来る。すなわち、本
発明においては、上記の特定組成の保護層に接して別の
組成の保護層積層することが出来る。この場合、第1
(又は第2)誘電体保護層は多層構造となる。
【0051】誘電体保護層を多層化する場合、多層化さ
れた保護層における本発明での保護層とは異なる保護層
の材料としては、金属や半導体の酸化物、窒化物、硫化
物、炭化物、フッ化物などの各種の誘電体、これらの混
合物、複合物などが挙げられる。具体的な化合物として
は、硫化亜鉛、酸化亜鉛、酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒
化アルミニウム、希土類酸化物、希土類硫化物、希土類
フッ化物、フッ化マグネシウム等が挙げられる。好まし
い材料は、金属または半導体の酸化物と硫化亜鉛との混
合物である。斯かる混合物は、通常、熱伝導率が相対的
に低いため、前記の特性の保護層と組み合わせた場合に
熱設計の自由度が増す利点がある。この場合、硫化亜鉛
の含有量は50mol%以上が好ましい。特に好ましい
材料は、硫化亜鉛と酸化ケイ素との混合物である。
【0052】前記の様に、本発明における保護層と他の
保護層とによって多層化する場合、他の保護層に本発明
における保護層よりも熱伝導率の低い材料(例えば硫化
亜鉛と酸化ケイ素との混合物)を使用するならば、感度
が向上し、しかも、本発明における保護層と他の保護層
との密着性が高くなり経時安定性が向上する。すなわ
ち、本発明に係る特定組成の保護層は、熱伝導率が高い
ので、これよりも低い熱伝導率の他の保護層と積層する
ことによって、熱伝導率を適当に制御することが可能と
なる。その結果、例えば、適切な感度と放熱特性とサイ
クル特性とを両立させることが出来る。
【0053】なお、上記の多層化の場合、本発明におけ
る保護層は、記録層に接していても接していなくてもよ
いが、本発明の効果が高められる点において、記録層に
接して設けるのが好ましい。この場合、本発明における
保護層の膜厚は通常0.1〜250nm、好ましくは5
〜25nm、更に好ましくは1〜10nmである。
【0054】図1又は図2における第1又は第2誘電体
保護層の膜厚としては次の通りである。すなわち、第1
保護層としてのの厚さは、通常10〜250nmであ
る。第1保護層の厚さが薄すぎる場合は、記録時の熱に
よる基板や保護コート層の変形を防止できず、厚すぎる
場合は、膜にクラックが入り易くなり、しかも、成膜時
間が長すぎて現実的でない。第2保護層としての厚さ
は、通常0.1〜50nm、好ましくは1〜100n
m、更に好ましくは5〜50nm、特に好ましくは10
〜50nmである。
【0055】特に、第1保護層として、カルコゲン化物
とSiO2含む膜を使用し、第2保護層として、第1保
護層より薄い、本発明で規定する保護層を使用すること
は極めて有効である。何故ならば、カルコゲン化物とS
iO2とから成る膜に比し、前記の膜は成膜レートが低
い傾向にあるため、上記の様な層構成は生産性に優れる
からである。本発明における上記の保護層は、通常、ス
パッタリングによって形成される。
【0056】保護層の組成は、スパッタリングに使用す
るターゲットの組成に大きく依存する。従って、本発明
においては、スパッタリングによって保護層を形成する
場合、ターゲットの選択が重要である。具体的には、保
護層での組成と略同一の組成のターゲットを使用するこ
とが重要である。
【0057】本発明の第1の態様においては、スパッタ
リング用のターゲットとして、金属酸硫化物を含有する
ものを使用する。金属酸硫化物を含むターゲットは、金
属原子が硫黄とも酸素とも結合しているので、硫黄と酸
素との混合性はZnS−SiO2の様な硫化物と酸化物
の混合物とは比較にならない程に高い。そのため、この
様なターゲットを使用して形成された保護膜は、硫黄や
セレン原子の分散性が従来のZnS−SiO2よりも高
いために、安定した高い特性を発揮していると考える。
ターゲットに使用する金属酸硫化物の金属元素の種類
は、保護層の組成に合わせて適宜選択される。
【0058】すなわち、LaやCeといったランタノイ
ド元素やイットリウム等の希土類金属元素、Sc、Ti
等の遷移金属元素などが挙げられ、特に希土類金属元素
が好ましい。更には、イットリウム及びLa、Ce、N
d、Sm、Eu、Gd、Tb、Dyから成る群から選択
される希土類金属元素が特に好ましい。最も好ましい元
素はイットリウムである。
【0059】また、保護層が金属酸硫化物と他の誘電体
とを含有する場合、使用する他の誘電体の組成に対応さ
せて、金属酸硫化物と上記他の誘電体との混合物のター
ゲットを使用することが出来る。また、金属酸硫化物の
ターゲットと前記他の誘電体のターゲットを別々に用意
し、これらを同時にスパッタすることも出来る。
【0060】なお、ZnS−SiO2の様な複合誘電体
膜の形成に使用される従来のターゲットは、通常、粒径
が数ミクロンの夫々の化合物粉体の混合物であり、その
スパッタ膜はターゲットよりも混合均一性が高いとは言
え、原子や分子のレベルで見れば局所的に不均一箇所が
存在すると考えられる。そういった不均一部では硬度な
どの物性値が本来の値から微妙にずれ、膜の耐久性に差
が生じる要因となり得ると考えられる。また、X線回折
などでは結晶性が確認できないほど微細に分散されてい
ても、粒界は存在し、斯かる粒界からクラックが発生し
得る。本発明の第2の態様においては、保護層用ターゲ
ットとして、(1)イットリウムと酸素と硫黄またはセ
レンとを含み、しかも、(2)必要に応じ、硫黄および
セレンの合計量よりも少ない原子数の亜鉛を含むターゲ
ットを使用する。
【0061】上記の保護層用ターゲットの材料として
は、前記の組成を実現できるものであれば各種のものを
使用できる。例えば、Y22S、YSX、YSeX、YO
X、ZnO、ZnSやこれらの混合物を適宜組み合わせ
て作成したターゲットを使用することが出来る。ターゲ
ットは、複数使用してもよいし、単体化合物のターゲッ
ト又は1つの複合誘電体ターゲットを使用してもよい。
単体化合物のターゲット又は1つの複合誘電体ターゲッ
トを使用した場合は、より安定した組成コントロールが
可能となる。
【0062】この場合、スパッタリングに使用される保
護層用ターゲットとしては、Y22S又はY22Se、
特にY22Sを主体とする物質で構成するのが好まし
い。Y 22Sの硫黄の一部をセレンに置き換えることも
出来るが、その場合の置換量は50mol%以下とする
のが好ましい。この様なターゲットは、硫黄またはセレ
ン原子と結合しているイットリウムは酸素原子とも結合
している。そのため、硫黄またはセレンと酸素原子との
混合性は、ZnS−SiO2の様な硫化物と酸化物の混
合物とは比較にならない程に高い。そのため、この様な
ターゲットを使用して形成された保護膜は、硫黄やセレ
ン原子の分散性が従来のZnS−SiO2よりも高いた
めに、安定した高い特性を発揮していると考える。
【0063】ターゲットの製造条件はスパッタによって
形成された膜の状態を決める上で重要である。複合誘電
体ターゲットの製造方法としては、カーボン製のポンチ
と、表面にターゲットが付着しない様にBN(窒化ホウ
素)を塗布したダイスとから成るプレス装置を使用した
次の様な方法が挙げられる。すなわち、ダイス中に所定
量秤量した粉体を入れてホットプレス法により焼結させ
る。その際、600℃から800℃程度に達するまで
は、カーボン中に付着していた不純物を除去するために
真空中で、それ以降の温度においては、槽内の温度を均
一化させ焼結効率を上げるためにアルゴン雰囲気に置換
して焼結させる。焼結温度は、粉体の融点以下に設定さ
れるが、可能な限り密度の高いターゲットが製造される
様に選択する。ターゲット密度はスパッタのレートに影
響し、密度の高いターゲットはスパッタレートが高くて
好ましい。
【0064】第1及び第2の態様において、前記のター
ゲットの原料粉体として、例えば、金属硫化物と金属酸
化物との混合物も使用できる。この場合、金属硫化物と
金属酸化物とが焼結時の熱によって固相反応を起こして
金属酸硫化物が生成する。つまり、出発原料が単体化合
物(希土酸硫化物)であっても上記の様な混合物であっ
てもホットプレス法における焼結過程によって同一のタ
ーゲットを得ることが出来る。従って、混合物を使用す
る方法は、金属酸硫化物のための別途の合成を必要とせ
ずに経済的に有利であり、また、焼結密度の高いターゲ
ットが得られる。特に、金属としてイッリウムを使用す
る場合、理論密度に対して90%以上の高密度のターゲ
ットが得られ易いため、Y23とY23とを2:1のモ
ル比で混合して焼成するのが好ましい。保護層が亜鉛を
含有する場合、亜鉛は酸化亜鉛または硫化亜鉛の形態で
上記ターゲットの原料粉体とするのが好ましい。ターゲ
ット中のY22Sの生成はX線回折によって確認するこ
とが出来る。
【0065】また、Y22S等の金属酸硫化物と酸化亜
鉛との混合物をターゲットの原料粉体として使用した場
合、焼結時の熱によって、硫化亜鉛や金属硫化物が生成
することもある。例えば、Y22Sと酸化亜鉛との混合
物を焼結させて、Y22Sと硫化亜鉛と酸化イットリウ
ムとの混合物のターゲットを製造することが出来る。こ
の製法は、高温での焼結時に微量の分子状または原子状
の酸素と反応して気体のSOXとして脱離し易い硫黄
を、固相中においてZnSの状態で安定的にトラップ出
来るので好ましい。ただし、この様なトラップのための
反応が進みすぎるのは好ましくないのでターゲット中の
酸化亜鉛含有量は通常30mol%以下とするのがよ
い。
【0066】上記の様にして製造されたターゲットは、
通常、研磨、プリスパッタ等してから、スパッタリング
に供される。膜組成は、同一ターゲットであってもスパ
ッタリング条件によって大きく異なるため、スパッタリ
ング条件は適宜選択する必要があるが、通常、次の様条
件が採用される。すなわち、ガスとしては、通常Ne、
Ar、Kr、Xe等の不活性ガスが使用される。これら
の中では、コスト等の関係からArを使用するのが好ま
しい。圧力は通常1Pa以下である。放電が安定に行え
る限り、低圧でスパッタする程に膜密度が高くなり好ま
しい。RFスパッタの周波数は通常10MHz以上あれ
ばよい。ターゲットと基板との距離は、成膜のロスを減
らしてスパッタ効率を上げるため、更には成膜分布の不
均一さを無くすために、短い方が良く、通常30cm以
下、好ましくは20cm以下である。また、現実的には
0.1cm以上である。
【0067】スパッタリング中、基板またはターゲット
は、自転(重心を中心に回転)及び/又は公転(重心が
所定の円周上を回転)させることが出来る。これらの回
転速度は通常1〜500rpm程度である。基板または
ターゲットを公転させた場合、基板とターゲットとの距
離が変化しながらスパッタリングは進行するが、この場
合でも、その最大距離は30cm以下、特に20cm以
下、最小距離は0.1cm以上とするのが好ましい。
【0068】焼結時にZnS等に転換されなかったZn
Oを含むターゲットをスパッタ成膜した場合、膜中での
Zn原子の殆どが安定なZnOの形態であると考えられ
る。一部の亜鉛原子が成膜中に硫黄またはセレンと結合
しZnSやZnSeを形成する可能性もあるが、全亜鉛
原子の僅か数%に満たないと考えられる。この程度であ
れば特性に影響の無い不純物とみなすことが出来る。
【0069】相変化型の光学的情報記録用媒体の場合、
一般に非晶質部分を記録状態(マーク)とし、結晶部分
を消去・未記録状態に対応させる。記録光の線速度(記
録光ビームに対する記録層の相対的な走査速度)が速く
なると、必然的に記録時の光照射によって局所的に昇温
された部分が短時間で冷却され易くなるので、この場
合、結晶化が起こり難く、すなわち、消去が行い難いこ
ととなる。そこで、高線速度記録に対応させるため、一
般には記録層の構成として結晶化の進行し易い材料や厚
さを選択するのが一般的である。その様な高線速記録用
媒体を低線速でも記録しようとすると、再結晶化が著し
く、非晶質マークの形成が阻害される。その様な用法
は、 CAV(constant angular v
elocity:等回転角速度)モードの記録を行う。
CAVモードでは最大と最小の記録線速度の比が2倍以
上になり得る。
【0070】一方、本発明の媒体は、その保護層として
熱伝導率の高い材料を使用しているため、記録層に光を
照射して加熱しても、冷却速度が速い。従って、高線速
度記録、特にCAV記録に対応し、結晶化し易い記録層
材料を使用して設計された媒体に対して上記保護層を使
用すると、結晶化し易いが故に形成し難くなった非晶質
マークの形成を、高い放熱速度によって容易ならしめる
ことが出来る。すなわち、本発明の媒体は、CAV記録
される媒体や高線速度で記録される媒体であるほど、そ
の効果が大きい。具体的には、本発明の媒体は、通常3
m/s以上、好ましくは5m/s以上、更に好ましくは
10m/s以上の線速度で記録される場合に特に有効で
ある。ただし、あまりに高い線速度での記録は媒体設計
が困難になることがあるので、記録線速度は通常50m
/s以下である。
【0071】また、本発明の媒体は、マーク長記録、特
に最短マーク長1.0μm以下、更には0.5μm以下
のマーク長記録に対して特に効果が大きいので、この様
な記録に使用するのが好ましい。
【0072】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実
施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例にお
いて各原子組成比はXPS(X−ray photoe
lectron spectroscopy)を使用し
て求めた。
【0073】XPSによる測定条件は次の通りである。
すなわち、XPS測定装置としてはファイ社製「ESC
A−550MC」を使用した。X線源はAlのKα線、
14KV、150Wであり、モノクロメータを使用し
た。試料の測定面積は0.8mmφである。試料を60
°傾けて光電子を取り出した。また。試料表面に帯電防
止のために電子線を照射した。更に、試料表面の汚染
(主として、炭素、及び空気中で酸化して余分に付着し
た酸素)を除去するため、3KeV、25mAでArビ
ームを1分間照射してエッチングを行なった。このエッ
チングにより、硫黄(S)は若干減少(10%程度)す
る様であるが、本発明の実施の態様2においては、それ
を考慮してもなお硫黄が亜鉛より多く含まれることを前
提とした。
【0074】イットリウム、硫黄、亜鉛、酸素、硅素の
定量には、それぞれ、Y3p、S2s、Zn2p、O1s、Si
2pの各ピークを使用した。組成比は、ピーク面積を補正
係数で除した値を使用して求めた。すなわち、元素の組
成(mol%)=[(その元素のピーク面積)/(補正
係数)]/Σ[ピーク面積)/(補正係数)]とした。
ピーク面積の和は、Y、S、Zn及びOについての和で
あり、Siを含む場合にはSiも合計した。Y3p
2s、Zn2p、O1s、Si2pの各ピークに対する補正係
数は、それぞれ順に、1.621、0.399、3.35
4、0.711、0.283とした。全般的に、スパッタ
により、YとOは略同じ組成比で膜中に取り込まれる
が、Sはターゲット組成に比し、10〜20%程度、Z
nは数分の一に減る傾向がある。
【0075】なお、以下の各実施例で使用した「記録パ
ワー」には、実際に使用した記録パワーPwと、反射率
で換算した実効的な記録パワーPweとがある。実効的
な記録パワーPweは、各例の媒体の反射率をR1(%)
としたときに、Pwe=Pw×(100−R1)/100
なる計算で得られるパワーである。これは、各例の保護
層の屈折率の微妙な差(1.9〜2.1)により、同じ
構成でも反射率が異なってくるために、実質的に記録層
に吸収される光エネルギー(入射記録パワーから反射率
を差し引いた分で近似できる)に差がでることを補正す
るためである。
【0076】実効的な記録パワーPweを比較すること
により、概略、保護層の熱伝導率の差によって熱が記録
層から失われる効果を見積もることが出来る。つまり、
実効的な記録パワーPweが高ければ保護層の伝熱性
(熱伝導率)が高いと推定できる。
【0077】実施例1 平均粒径が約8μmのY22Sを主体とする粉体(Y2
2S:94.3wt%Eu22S:5.6wt% S
22S:0.1wt%)をホットプレス法により、1
325℃、20トンで加圧した状態で2時間保持して焼
結させた。十分に研磨後、CuプレートにInハンダで
接着し第1及び第2保護層の作成のためのターゲットを
作成した。ターゲットの密度は理論密度の約75%であ
った。
【0078】1.2mm厚のポリカーボネート基板上に
第1保護層/記録層/第2保護層/反射層を順次下記の
様にスパッタリングによって積層して相変化型光ディス
クを作成した。各層の厚さは、第1保護層160nm、
記録層30nm、第2保護層30nm、反射層100n
mとした。記録層はGe22.2Sb22.2Te55.6とし、反
射層にはAl合金を使用した。また、それぞれの層のス
パッタリングの際は基板を所定の円周上を公転させ、タ
ーゲットを円周近傍に固定した。基板とターゲットとの
距離は最大で23cmであった。なお、反射層の上に
は、塗布により厚さ3〜5μmの紫外線硬化樹脂層を設
けた。
【0079】第1及び2保護層は、それぞれArガスを
50sccmで流し、圧力0.4Paの条件下、上記複
合ターゲットの高周波スパッタリング(13.56MH
z)により成膜した。膜組成は、イットリウム、酸素お
よび硫黄を含み、その原子数比は48/39/13%で
あった。膜密度は4.2g/cm3であり、理論密度の
84%であった。JISヌープ硬度は520であり、膜
応力は引張応力で5E+8dyn/cm2であった。こ
の膜の屈折率はエリプソメータの測定により波長780
nmにおいて2.1であった。記録層および反射層はA
rガス圧力0.4Paで直流スパッタリングにより成膜
した。更に、反射層の上に厚さ約5μmの紫外線硬化樹
脂を設けた。
【0080】上記ディスクを波長810nmのLDバル
クイレーザで初期化(記録層の結晶化処理)を行った
後、以下の条件でディスクの動特性を評価した。すなわ
ち、ディスクを10m/sの線速度で回転させながら、
レーザー記録パワーPwとベース(消去)パワーPeとの
間で4MHz、duty50%で変調し、波長780n
m、NA0.55のLDを記録再生光として使用し、記
録パワーPw16mW、ベース(消去)パワーPe12m
W、再生パワー0.8mWで繰返しオーバーライトを行
い、C/Nの測定を行った。この際のマーク長は2.5
μmであった。記録パワーは、2次高調波歪みが略最小
となるパワーとした。105 回繰返しオーバーライトを
行ったところ、初回に比べてC/Nが5.0%低下し、
ノイズ上昇は4.2%であった。また反射率を利用して
換算した実効的な記録パワーPweは12mWであっ
た。このディスクを80℃85%RH(相対湿度)高温
高湿度条件下に500時間放置したが、剥離なども生じ
ず、ディスク特性も変化しなかった。これらの結果を表
1に示す。
【0081】実施例2 実施例1において、ホットプレス法の原料に平均粒径が
それぞれ順に約8μm及び約1μmのY22S:ZnO
=90:10(mol%)混合粉体を使用した以外は、
実施例1と同様にして第1及び第2保護層の作成のため
のターゲットを作成した。このターゲットの結晶構造を
X線回折により調べた結果、Y22Sの回折ピークが観
察され、ZnSとZnOの回折ピークは観察されなかっ
た。すなわち、ZnOは結晶を形成せずに固溶している
と判断される。その後、実施例1と同様にして相変化型
光ディスクを作成した。第1及び2保護層の膜組成は、
イットリウム、酸素、硫黄および亜鉛を含み、その原子
数比は37/41/21/1%であった。膜密度は4.
5g/cm3であり、理論密度の91%であった。JI
Sヌープ硬度は530であり、膜応力は引張応力で0.
8E+9dyn/cm2であった。この膜の屈折率はエ
リプソメータの測定により波長780nmにおいて2.
1であった。
【0082】そして、ベースパワーを12.5mWとし
た以外は、実施例1と同一条件でディスクの動特性を評
価した。実効的な記録パワーPweは11.9mWであ
った。105 回繰返しオーバーライトを行ったところ、
初回に比べてC/Nが1.0%低下し、ノイズ上昇は
2.2%であった。このディスクを80℃85%RH高
温高湿度条件下に500時間放置したが、剥離なども生
じず、ディスク特性も変化しなかった。これらの結果を
表1に示す。
【0083】実施例3 実施例1において、ホットプレス法の原料に平均粒径が
それぞれ順に約8μm及び約1μmのY2O2S:ZnO
=50:50(mol%)混合粉体を使用した以外は、
実施例1と同様にして第1及び第2保護層の作成のため
のターゲットを作成した。その後、実施例1と同様にし
て相変化型光ディスクを作成した。第1及び2保護層の
膜組成は、イットリウム、酸素、硫黄および亜鉛を含
み、その原子数比は29/44/17/10%であっ
た。膜密度は4.5g/cm3であり、理論密度の89
%であった。JISヌープ硬度は490であり、膜応力
は引張応力で0.2E+9dyn/cm2であった。こ
の膜の屈折率はエリプソメータの測定により波長780
nmにおいて2.1であった。
【0084】そして、ベースパワーを10mWとした以
外は、実施例1と同一条件でディスクの動特性を評価し
た。実効的な記録パワーPweは12.3mWであっ
た。105 回繰返しオーバーライトを行ったところ、初
回に比べてC/Nが16%低下し、ノイズ上昇は10%
であった。このディスクを80℃85%RH高温高湿度
条件下に500時間放置したが、剥離なども生じず、デ
ィスク特性も変化しなかった。これらの結果を表1に示
す。
【0085】比較例1 実施例1において、ホットプレス法の原料に平均粒径が
それぞれ順に約8μm及び約1μmのY22S:ZnO
=20:80(mol%)混合粉体を使用した以外は、
実施例1と同様にして第1及び第2保護層の作成のため
のターゲットを作成した。その後、実施例1と同様にし
て相変化型光ディスクを作成した。第1及び2保護層の
膜組成は、イットリウム、酸素、硫黄および亜鉛を含
み、その原子数比は15/47/10/28%であっ
た。膜密度は4.7g/cm3であり、理論密度の88
%であった。JISヌープ硬度は480であり、膜応力
は圧縮応力で1.1E+9dyn/cm2であった。こ
の膜の屈折率はエリプソメータの測定により波長780
nmにおいて2.0であった。
【0086】そして、実施例1と同一条件でディスクの
動特性を評価した。実効的な記録パワーPweは12m
Wであった。105 回繰返しオーバーライトを行ったと
ころ、初回に比べてC/Nが29%低下し、ノイズ上昇
は20%であった。このディスクを80℃85%RH高
温高湿度条件下に500時間放置したが、剥離なども生
じず、ディスク特性も変化しなかった。これらの結果を
表1に示す。この例で使用したターゲットは、その出発
原料においてZnOがY22Sよりも過剰に含まれる。
その結果、焼結時に起こるY22S+ZnO→Y23
ZnSなる反応により、ターゲット中にはY22Sは実
質的に含まれていないこととなる。従って、保護層中に
はY22Sが実質的に含まれていない。
【0087】比較例1 実施例1において、ホットプレス法の原料に平均粒径が
それぞれ約4μmのZnS:SiO2=80:20(m
ol%)混合粉体を使用した以外は、実施例1と同様に
して第1及び第2保護層の作成のためのターゲットを作
成した。その後、実施例1と同様にして相変化型光ディ
スクを作成した。第1及び2保護層の膜組成は、亜鉛、
硫黄、硅素および酸素を含み、その原子数比は36/3
7/9/18%であった。膜密度は3.5g/cm3
あり、理論密度の91%であった。JISヌープ硬度は
280であり、膜応力は圧縮応力で1.1E+9dyn
/cm2であった。この膜の屈折率はエリプソメータの
測定により波長780nmにおいて2.1であった。
【0088】そして、実施例1と同一条件でディスクの
動特性を評価した。実効的な記録パワーPweは9.1
mWであった。105 回繰返しオーバーライトを行った
ところ、初回に比べてC/Nが22%低下し、ノイズ上
昇は11%であった。このディスクを80℃85%RH
高温高湿度条件下に500時間放置したが、剥離なども
生じず、ディスク特性も変化しなかった。これらの結果
を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】実施例4及び5並びに比較例3 案内溝(溝深さ:約38nm、溝幅:約550nm、溝
ピッチ:約1.6μm)を有する1.2mm厚さのポリ
カーボネート基板上に、ZnS(80):SiO2(2
0)保護層、Y22S保護層、Ge5Sb68Te27記録
層、Y22S保護層、ZnS(80):SiO2(2
0)保護層、Al合金反射層を順次下記の様にスパッタ
リングによって積層した後、反射層の上に厚さ約5μm
の紫外線硬化樹脂を設けて相変化型光ディスクを作成し
た。この際、表2に示す様に各層の厚さを変更し、実施
例4及び4並びに比較例3の3種類のディスクを作成し
た。
【0091】各層のスパッタリングの際は基板を所定の
円周上を公転させ、ターゲットを円周近傍に固定した。
基板とターゲットとの距離は最大で23cmであった。
各保護層は、それぞれArガスを50sccmで流し、
圧力0.4Paの条件下、ターゲットの高周波スパッタ
リング(13.56MHz)により成膜した。記録層お
よび反射層はArガス圧力0.4Paで直流スパッタリ
ングにより成膜した。
【0092】
【表2】
【0093】上記の3種類の各ディスクを初期化した
後、オレンジブックパート3(CD−RW規格)に定め
られたパルス分割法により、オーバーライト回数(DO
W cycle)と、3Tスペースジッタ、反射率、信
号変調度(modulation)との関係を測定し、
その結果を図3〜5に示した。図中、−△−は実施例
4、−□−は実施例5、−○−は比較例3を表す。な
お、信号は全て案内溝内に記録した。
【0094】上記の測定装置には、レーザー波長:78
0nm、NA:0.55の光学系を有する光ディスク評
価装置(パルステック社製「DDU1000」)を使用
し、測定条件は、線速度:2.4m/s、消去パワーP
eと記録パワーPwの比(Pe/Pw):0.5とし
た。最短マークである3Tマークのマーク長は約0.8
μmであり、EFM変調方式を使用した。
【0095】信号変調度は[(結晶部反射率)−(11
Tマークのボトム部反射率)]/(結晶部反射率)で定
義した。また、記録パワーPwは、実施例4及び4:1
6mW、比較例3:14mWとした。これらの記録パワ
ーの使用により、各ディスクの信号変調度は略同程度と
なる。
【0096】図3〜5によって明らかな様に、比較例3
のディスクは、10000回以内の記録回数(ダイレク
トオーバーライト回数)において、3Tスペースジッタ
が悪化し、反射率と信号変調度が低下した。一方、実施
例4及び5のディスクは、10000回の記録におい
て、Tスペースジッタ、反射率、信号変調度の変化は殆
ど見られない。また、実施例4のディスクは、実施例5
のディスクに比し、反射率が高いにも拘らず同じ記録パ
ワーで同程度の信号変調度が得られている。このことか
ら、Y22SとZnS−SiO2を積層することによ
り、記録感度が改善されることが分かる。
【0097】因に、基板上に、ZnS(80):SiO
2(20)保護層(110nm)、Ge5Sb68Te27
録層(17nm)、Y22S保護層(10nm)、Zn
S(80):SiO2(20)保護層(30nm)、A
l合金反射層(200nm)、を順次にスパッタリング
によって積層した後、反射層の上に厚さ約5μmの紫外
線硬化樹脂を設けて相変化型光ディスクを作成し、初期
化し、80℃85%RH高温高湿度条件下に500時間
放置した後、1000回までのオーバライト記録を行な
った結果、剥離なども生じず、ディスク特性も変化しな
かった。このことから、Y22SとZnS−SiO
2は、界面の密着性なども含めて十分に安定であり、耐
候性に優れていることが分かる。すなわち、Y22Sと
ZnS−SiO2との積層により、ダイレクトオーバー
ライト回数、記録感度、耐候性の全てに関して優れたデ
ィスクを得ることが出来る。
【0098】実施例6 実施例1において、Ce23(平均粒径:約5μm)と
CeO2(約1μm)とZnO(約1μm)とを18:
72:10(mol%)の割合で含む混合粉体を使用し
た、および、評価の際のベースパワーを10.3mWと
したこと以外は、実施例1と同様にしてディスクを製造
して評価した。
【0099】保護層の膜密度は5.8g/cm3であ
り、理論密度の92%であった。JISヌープ硬度は6
20であり、膜応力は圧縮応力で0.6E+8dyn/
cm2であった。この膜の屈折率はエリプソメータの測
定により波長780nmにおいて2.3であった。膜組
成は、セリウム、酸素、硫黄および亜鉛を含み、その原
子数比は33/47/17/3%程度となる。実効的な
記録パワーPweは12mWであった。105 回繰返し
オーバーライトを行ったところ、初回に比べてC/Nが
3.7%低下し、ノイズ上昇は1.3%であった。この
ディスクを80℃85%RH高温高湿度条件下に500
時間放置したが、剥離なども生じず、ディスク特性も変
化しなかった。
【0100】実施例7 実施例1において、ホットプレス法の原料に平均粒径が
それぞれ約3ミクロンのY23:Y23=66.7:3
3.3(mol%)混合粉体を使用した以外は、実施例
1と同様にして第1及び第2保護層の作成のためのター
ゲットを作成した。Y23やY23に由来するピークは
検出されず、Y22Sのピークが検出され、略純粋なY
22Sが生成していることがX線回折より推定された。
その後、実施例1と同様にして相変化型光ディスクを作
成した。第1及び2保護層の膜密度は4.4g/cm3
であり、理論密度の98%であった。その組成は実施例
1におけるのと略同じである。JISヌープ硬度は55
0であり、膜応力は引っ張り応力で5E+8dyn/c
2であった。この膜の屈折率はエリプソメータの測定
により波長780nmにおいて2.1であった。
【0101】そして、記録パワーを14mWとした以外
は、実施例1と同一条件でディスクの動特性を評価し
た。105 回以上繰返しオーバーライトを行ったとこ
ろ、初回に比べてC/Nが0.5%低下し、ノイズ上昇
は2.3%であった。また反射率を利用して換算した実
効的な記録パワーPweは12mWであった。このディ
スクを80℃85%RH高温高湿度条件下に500時間
放置したが、剥離なども生じず、ディスク特性も変化し
なかった。
【0102】比較例4 第1及び2保護層用のターゲット材料として、Y23
粉体を使用したこと以外は、実施例1と同様にして相変
化型媒体を作成した。なお、この媒体の第1及び2保護
層の膜密度は4.0g/cm3であり、理論密度の83
%であった。また、JISヌープ硬度は730であり、
膜応力は圧縮応力で1.3E+9dyn/cm2であっ
た。この膜の屈折率はエリプソメータの測定により波長
780nmにおいて1.9であった。バルクイレーザー
を使用して初期化を行ったところ、初期化エリア全体で
膜の剥離が観測された。記録再生繰り返し試験は実施で
きなかった。
【0103】比較例5 第1及び2保護層用のターゲット材料として、ZnSと
23のモル比率が80対20の混合粉体を使用したこ
と、記録パワーを11mWとしたこと以外は、実施例1
と同様にして相変化型媒体を作成して評価した。なお、
この媒体の第1及び2保護層の膜密度は4.1g/cm
3であり、理論密度の91%であった。また、JISヌ
ープ硬度は350であり、膜応力は圧縮応力で1.5E
+9dyn/cm2であった。この膜の屈折率はエリプ
ソメータの測定により波長780nmにおいて2.2で
あった。105 回以上繰返しオーバーライトを行ったと
ころ、初回に比べてC/Nが21%低下し、ノイズ上昇
は15%であった。
【0104】実施例8 実施例1において、ZnS(平均粒径:約4μm)とY
22S(平均粒径:約8μm)とを50:50(mol
%)の割合で含む混合粉体を使用し、評価の際に記録パ
ワーを17.3mW、ベースパワーを10.5mWとし
た以外は、実施例1と同様にしてデイスクを製造して評
価した。反射率で換算した実効的な記録パワーPwe
13mWである。
【0105】保護層の膜密度は4.2g/cm3であ
り、理論密度の90%であった。JISヌープ硬度は5
40であり、膜応力は引張応力で3.5E+8dyn/
cm2であった。この膜の屈折率は、エリプソメータの
測定により波長780nmにおいて2.1であった。膜
組成は、イットリウム、酸素、硫黄および亜鉛を含み、
その原子比は42/41/12/5程度となる。繰り返
しオーバーライトを10 5回行なったところ、初回に比
べてC/N比が3.1%低下し、ノイズ上昇は1.5%
であった。このディスクを80℃で85%RH高温高湿
度条件下に条件下に500時間放置したが、剥離なども
生じず、ディスク特性も変化しなかった。
【0106】
【発明の効果】本発明における保護層は熱伝導性が高
く、この保護層を設けた本発明の光学的情報記録用媒体
は極めて優れた繰返しオーバーライト特性を示し、デー
タ保存安定性に優れ信頼性を有する。また、本発明の光
学的情報記録用媒体は、層間の密着性や経時安定性に優
れる。更に、本発明によれば、この様な媒体を安定的に
生産性よく製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の媒体の層構成の一例を示す模式的断面
【図2】本発明の媒体の層構成の他の一例を示す模式的
断面図
【図3】実施例4及び5並びに比較例3の評価結果(3
Tスペースジッター)を示すグラフ
【図4】実施例4及び5並びに比較例3の評価結果(反
射率)を示すグラフ
【図5】実施例4及び5並びに比較例3の評価結果(信
号変調度)を示すグラフ
【符号の説明】
1:基板 2:第1保護層 3:相変化記録層 4:第2保護層 5:反射層 6:保護コート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 14/34 G11B 7/26 531 G11B 7/26 531 B41M 5/26 X Fターム(参考) 2H111 EA03 EA23 FA01 FA14 FA23 FA27 GA03 4K029 AA09 AA11 AA24 BA02 BA18 BA21 BA31 BA43 BA51 BB02 BD12 CA05 DC05 DC09 EA01 5D029 HA05 HA06 JA01 LA14 LA15 LB01 LB03 LB07 LB13 LC21 NA23 NA25 5D121 AA04 EE03 EE11 EE14

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に保護層と相変化型記録層とを有
    する光学的情報記録用媒体において、上記の保護層が金
    属酸硫化物を含有することを特徴とする光学的情報記録
    用媒体。
  2. 【請求項2】 金属酸硫化物中の金属元素が希土類金属
    を含有する請求項1に記載の光学的情報記録用媒体。
  3. 【請求項3】 希土類金属がイットリウムである請求項
    2に記載の光学的情報記録用媒体。
  4. 【請求項4】 基板上に保護層と相変化型記録層とを有
    する光学的情報記録用媒体において、上記の保護層が金
    属酸硫化物から成るターゲットを使用してスパッタリン
    グ法で成膜された保護層であることを特徴とする光学的
    情報記録用媒体。
  5. 【請求項5】 保護層が、更に亜鉛化合物を含有する請
    求項1乃至4の何れか1つに記載の光学的情報記録用媒
    体。
  6. 【請求項6】 亜鉛化合物が硫化亜鉛である請求項5に
    記載の光学的情報記録用媒体。
  7. 【請求項7】 保護層中の酸化亜鉛含有量が30mol
    %以下である請求項5又は6に記載の光学的情報記録用
    媒体。
  8. 【請求項8】 基板上に保護層と相変化型記録層とを有
    する光学的情報記録用媒体において、当該保護層が、イ
    ットリウムと酸素と硫黄またはセレンと、必要に応じて
    その他の成分を含み、但し亜鉛を含有する場合には、硫
    黄およびセレンの合計量よりも少ない原子数の亜鉛を含
    むことを特徴とする光学的情報記録用媒体。
  9. 【請求項9】 保護層におけるイットリウム(Y)と酸
    素(O)と硫黄(S)又はセレン(Se)と亜鉛(Z
    n)との原子数比(Y:O:S又はSe:Zn)が25
    〜50:30〜50:5〜40:0〜20(但し、原子
    数比の合計は100とする)である請求項8に記載の光
    学的情報記録用媒体。
  10. 【請求項10】硫黄とセレンとの原子数の合計(S+S
    e)に対する亜鉛(Zn)の原子数の比が0.5以下で
    ある請求項8又は9に記載の光学的情報記録用媒体。
  11. 【請求項11】保護層がY22Sを含有する請求項8乃
    至10の何れか1つに記載の光学的情報記録用媒体。
  12. 【請求項12】保護層が亜鉛化合物を含有する請求項8
    乃至11の何れか1つに記載の光学的情報記録用媒体。
  13. 【請求項13】亜鉛化合物が硫化亜鉛である請求項12
    に記載の光学的情報記録用媒体。
  14. 【請求項14】保護層中の酸化亜鉛含有量が30mol
    %以下である請求項12又は13に記載の光学的情報記
    録用媒体。
  15. 【請求項15】保護層が相変化型記録層の両面に設けら
    れて成り、当該保護層の少なくとも一方が請求項1〜1
    4の何れかに記載の保護層である光学的情報記録用媒
    体。
  16. 【請求項16】基板上に、第1保護層、相変化型記録
    層、第2保護層および反射層がこの順に設けられて成る
    か、または、基板上に、反射層、第2保護層、相変化型
    記録層および第1保護層がこの順に設けられて成る請求
    項15に記載の光学的情報記録用媒体。
  17. 【請求項17】第1保護層の厚さが10〜250nmで
    ある請求項16に記載の光学的情報記録用媒体。
  18. 【請求項18】第2保護層の厚さが0.1〜100nm
    である請求項16又は17に記載の光学的情報記録用媒
    体。
  19. 【請求項19】請求項1乃至17の記載の保護層に接し
    て、更にそれよりも熱伝導率の低い他の保護層を設けて
    多層保護層とした請求項1乃至17の何れか1つに記載
    の光学的情報記録用媒体。
  20. 【請求項20】他の保護層が、硫化亜鉛と酸化ケイ素と
    の混合物を含む請求項19に記載の光学的情報記録用媒
    体。
  21. 【請求項21】保護層用ターゲットをスパッタして基板
    上に保護層を形成する工程を含む光学的情報記録用媒体
    の製造方法において、当該保護層用ターゲットとして、
    金属酸硫化物を使用することを特徴とする光学的情報記
    録用媒体の製造方法。
  22. 【請求項22】金属酸硫化物中の金属元素が希土類金属
    を含有する請求項21に記載の光学的情報記録用媒体の
    製造方法。
  23. 【請求項23】金属酸硫化物から成るターゲットが、金
    属の酸化物と当該金属の硫化物との混合物を焼結するこ
    とによって得られたものである請求項21又は22に記
    載の製造方法。
  24. 【請求項24】金属酸硫化物を含有するスパッタリング
    用ターゲット。
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