JP2001331925A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

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JP2001331925A JP2000144536A JP2000144536A JP2001331925A JP 2001331925 A JP2001331925 A JP 2001331925A JP 2000144536 A JP2000144536 A JP 2000144536A JP 2000144536 A JP2000144536 A JP 2000144536A JP 2001331925 A JP2001331925 A JP 2001331925A
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Masayasu Suzuki
雅康 鈴木
Hiroshi Kawashima
浩志 川島
Nobuhiko Sato
伸彦 佐藤
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Tomoegawa Co Ltd
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Tomoegawa Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 磁気カード、磁気シート、磁気ロール紙等に
於て良好な磁気記録特性を損なうことなく、優れた再生
出力特性を有する偽造、変造等不正使用を防止する固定
情報を付与したものを提供する。 【構成】 少なくとも2つの磁性層を有する磁気記録媒
体において、第1の磁性層が1500〜5000エルス
テッドの保磁力を有し、第2の磁性層が200〜100
0エルステッドの保磁力を有し、更に第2の磁性層には
後から追加も消去もできない固定情報が記録されてお
り、第2の磁性層の固定情報以外の部分は磁性塗布方向
に対して45°以上に偏倚して配向されていることを特
徴とする磁気記録媒体及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、プリペイドカー
ド、IDカード、キャッシュカード、ポイントカード、
乗車券(定期券、切符、回数券)、通行券などに使用さ
れる磁気カード、磁気シート、磁気ロール紙等の磁気記
録媒体とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、プリペイドカード、IDカード、
キャッシュカード、ポイントカード、乗車券(定期券、
切符、回数券)、通行券等に使用される磁気カード、磁
気シート、磁気ロール紙等の用途に供される磁気記録媒
体の分野では、偽造、変造等の不正使用をいかに防止す
るかが大きなテーマになっている。従来この種の磁気記
録媒体の基本構造は、非磁性体からなる基体の上に磁性
体の層を設け、これを磁化して構成されているが、磁気
情報の複製や改ざんにより不正使用を防止することが必
要で、このため多く提案がなされているがそれらの方法
は何れも下記の2種類に大別される。
【0003】先ず、第1の種類の方法としては、磁気記
録情報の記録、再生を困難にするため、正規の磁気情報
を隠蔽し、通常の方法では読み取れないようにする方法
である。第2の種類の方法は、磁気記録媒体が正規のも
のか否かを判定するための識別情報を磁気記録媒体その
ものに付与しておく方法である。前記第1の方法の一つ
としては、磁気記録層を多層化し、正規の情報とダミー
情報をそれぞれ別の磁気記録層に記録する方法が知られ
ている。この方法に於いて、正規情報とダミー情報を同
一トラック上に記録するならば、情報の読み取り時に正
規情報にダミー情報が重畳されるために、通常の方法で
は正規情報を読みとることができない。よって不正使用
を防止することができる。また、前記第2の種類の方法
の一つとして、磁気記録媒体に磁気的に読みとり可能な
バーコードを設ける方法が知られている。この方法で
は、バーコード情報により、その磁気記録媒体が正規の
ものかどうかを判断することができ、これにより不正使
用を防止することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の技術による不正使用防止方法は、それぞれに欠点
があり、十分な方法とは言い難い問題がある。即ち、先
ず、第1の種類の方法による不正使用防止方法は、一旦
正規情報の読み取り方法が明らかになってしまった後
は、磁気記録媒体を大量に複製することが可能になって
しまうという問題がある。また、前記第2の種類の不正
使用防止機能を付与した磁気記録媒体は、磁気記録媒体
が正規のものかどうかを判断する情報を磁気記録媒体自
身が持っているために、大量に磁気記録媒体を複製した
り、使用することは困難であるが、正規の媒体の情報を
書き換えるなどの変造による不正使用には対処できない
問題がある。
【0005】これらに対処するために特許第26497
56号等により発明者らは後から追加も消去もできない
固定情報を、一枚一枚のカードそれぞれに個別識別情報
(指紋情報)として付与する方法を提案した。
【0006】
【課題を解決するための手段】発明者らは更に不正使用
防止手段について鋭意検討を行い、上記固定情報を付与
した磁気記録媒体に於いて、より優れた磁気記録特性と
固定情報を有するべく改良を図った結果、以下の発明を
生みだした。すなわち、請求項1の発明は、複数の磁性
層のうち、第1の磁性層が通常の磁気記録のできる範囲
の保磁力、即ち1500〜5000エルステッドの範囲
にある磁性層からなり、第2の磁性層は200〜100
0エルステッドの層に後から追加も消去もできない固定
情報を形成され、かつ第2の磁性層の固定情報以外の部
分は磁性塗料の塗布方向に対して45°以上に偏倚して
配向されていることを特徴とする磁気記録媒体である。
【0007】又、請求項2の発明は、非磁性の基体上に
第1の磁性層用の磁気塗料を塗布し、磁場配向処理、乾
燥の順による工程を経て第1の磁性層を形成し、続いて
該磁性層に磁気記録を行い、更に第1の磁性層に重ね
て、第2の磁性層用の磁気塗料を塗布、磁場配向処理、
乾燥の順による工程を経て第2の磁性層を形成する磁気
記録媒体の製造方法であって、第2の磁性層用の磁気塗
料を塗布、磁場配向処理、乾燥の順による工程におい
て、磁場配向処理は第1の磁性層に予め行った磁気記録
が80%以上維持される磁場強度で、かつ、配向方向を
磁気塗料の塗布方向に対して45°以上とすることを特
徴とする磁気記録媒体の製造方法である。
【0008】本発明で、第1の磁性層を1500〜50
00エルステッドの範囲にある磁性層とし、第2の磁性
層は200〜1000エルステッドの層とするのは、第
1の磁性層は磁気記録の安定性の点から選択され、第2
の磁性層は第1の磁性層よりも低保磁力とすることによ
り、磁性体としての信号の出力を得やすいためである。
すなわち、第1の磁性層に於いて1500エルステッド
未満では、通常の磁気記録の保持安定性が十分得られ
ず、逆に5000エルステッドを超えても該磁性体に記
録を施すことが可能な磁気ヘッドが必要となり、それに
応じた効果も特に得られず、装置的、コスト的にメリッ
トが無い。又、第2の磁性層に於いては、200エルス
テッド未満では固定情報としての良好な出力が得られ
ず、逆に1000エルステッドを超えると、再生時に高
いバイアス磁界の印加が必要とされたりして、再生が困
難となる問題を生じることとなる。
【0009】又、第2の磁性層の固定情報以外の部分を
磁性塗料の塗布方向に対して45°以上(90°未満で
あればよく、塗布方向に対して90〜135°でも、
又、逆側に45℃以上でもよい)に偏倚して配向したの
は、配向方向をパターン状に大きく変化させることによ
り、確実に信号を取り出すことのできる固定情報が形成
されるためであり、45°より大きく配向し、部分的に
磁場を変えれば、確実に信号を取り出すことができるた
めである。本発明では、より優れた上記の作用が得られ
ることから、配向方向は60〜70°が好ましい。な
お、70°を超えて大きくすることは、配向機の中は磁
性層を塗布した基体をサポート無しの状態で走行させな
ければならず、配向用磁石を大きく傾けることになるの
で、大きな磁石が必要とされたり、塗布幅を確保するこ
とが困難である等の製造上の問題を生じるためである。
【0010】更に、非磁性の基体としては、従来は18
0μm以上の厚手の基材に磁性層を塗布して裏面から信
号を加えて、固定情報としてデータを書き込むには磁場
をシャープに印加できないために磁気塗料の塗布スピー
ドが上げられず、記録密度も上げられないが、本発明で
は基体の厚さに関係なく固定情報としての信号を形成で
き、磁性層をコーティングにより構成できるので、トラ
ック上に部分的に情報を記録したり、全幅にわたり記録
することも可能である。従って、第1の磁性層の磁気記
録は従来どおりとし、第2の磁性層の磁気記録は高速で
書込み、固定情報も高密度で記録することが可能とな
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明による磁気記録媒体は請求
項2に記載の手順により製造されるが、以下図面を参照
しつつその詳細を説明する。本発明による磁気記録媒体
は、図1、2に示した塗工工程図により製造される。図
1に於いて先ず紙、合成紙、PVCフィルム、ポリエス
テルフィルム等の非磁性の基体を巻いたロール1から基
体を繰り出し、その基体の一方の面(図では下側の面)
に、塗工ヘッド2で、保磁力1500〜5000エルス
テッドの範囲に入る磁気塗料を一定厚さに塗布し、塗料
が未乾燥の間に磁場配向装置3を用いて磁場配向処理を
行い、その後乾燥装置4内で塗料を乾燥させることによ
り第1の磁性層を形成した磁気原反ロール5を得る。な
お図1および2に於いて6は送りロールを示す。磁気塗
料は水系のバインダーに磁性粉を分散したもの又は溶剤
系のバインダーに磁性粉を分散したもの、更には無溶剤
系のバインダーに磁性粉を分散したものが用いられる。
磁場配向処理には電磁石又は永久磁石が用いられる。磁
場の強度は、塗料の粘度と塗布スピードにもよるが、磁
気塗料中の磁性体が一定方向に十分に配向し、第1の磁
性層が形成された後の磁気特性としては角形比が0.8
以上となるレベルであれば良い。配向は塗布方向に行
う。磁性層の乾燥には、自然乾燥、加熱乾燥、紫外線乾
燥、電子線乾燥等あらゆる乾燥方法が適用できる。
【0012】続いて、第1の磁性層に磁気記録を行う。
磁気記録とは第1の磁性層に磁化反転による情報を記録
することであり、記録は通常の磁気ヘッドを用いて行っ
ても良いし、接触方式または非接触方式のあらゆる磁化
手段を適用することができる。
【0013】磁気記録は例えば、図2に示した塗工装置
で、第1の磁性層を形成した磁気原反ロール5を繰り出
し、続いて磁気ヘッド7を用いて行えばよい。その後、
塗工ヘッド2で第1の磁性層上に重ねて第2の磁性層を
塗布して形成する。第2の磁性層は保磁力200〜10
00エルステッドの範囲に入る磁気塗料を第1の磁性層
と同様に一定厚さに塗布し、塗料が未乾燥の間に磁場配
向装置9を用いて磁場配向処理を行い、その後乾燥装置
4内で塗料を乾燥させロールに巻取ることにより磁気原
反ロール8を得る。磁気塗料は水系のバインダーに磁性
粉を分散したものまたは溶剤系のバインダーに磁性粉を
分散したもの、更には無溶剤系のバインダーに磁性粉を
分散したものが用いられる。磁性層の乾燥には、自然乾
燥、加熱乾燥、紫外線乾燥、電子線乾燥等あらゆる乾燥
方法が適用できる。但し、第2の磁性層を形成する際の
配向磁場強度は、第1の磁性層に行った磁気記録が80
%以上維持される強さ、具体的には第1の磁性層の保磁
力以下のレベルに調整して行うことにより優れた固定情
報を有する第2の磁性層を形成することができる。
【0014】又、第2の磁性層の配向方向は塗布方向に
対し45°以上とする必要があるが、その理由は、45
°未満では、部分的に磁場を加えて配向を乱すことによ
り信号を取り出すのが不充分になってしまうものであ
る。すなわち、45°以上に偏倚して配向することによ
り、固定情報の出力が増大し、出力波形の対称性が良く
なって信号再生能力が向上する。更に、通常の記録・再
生に於いて、第2の磁性層の出力が第1の磁性層の出力
と比べてより小さくすることができて好ましい。
【0015】第2の磁性層用の塗料を第1の磁性層に重
ねて塗布する際、第1の磁性層には磁気記録がなされて
いる。図3はその磁気記録方法を説明するための一部破
断斜視図で、基体を矢印方向に進行させ、磁気記録を磁
気ヘッドを用いて行う場合を示した。11は非磁性の基
体であり、12は第1の磁性層である。磁気ヘッド13
により第1の磁性層12には磁気記録15が行われる。
磁気ヘッド13による磁気記録は、最終製品として得ら
れる磁気カードや、磁気シート、磁気ロールにおいて、
固定情報を形成したい部分に行えばよい。磁気記録の手
段としては、原反全幅にわたる長い磁気ヘッドを用いて
も良いし、非接触でパルス状に強力な磁場を加えること
のできるような装置を用いても良い。
【0016】図4は本発明の過程で得られる第1の磁性
層を積層した磁気記録媒体の磁気記録部の断面説明図
で、矢印方向に進行する媒体の第1の磁性層12には第
1の磁性層塗布時の磁場配向処理による磁化成分14が
残っているが、磁気ヘッド13による磁気記録により磁
場反転パターン15が記録される。即ち、第1の磁性層
12には磁気記録に対応した磁化が残っている。続い
て、図2で説明したように第2の磁性層用の磁気塗料を
塗布し、第2の磁性層に行う配向方向は塗布方向に対し
45°以上とし、第1の磁性層に行った磁気記録が80
%以上維持できるレベルの配向磁場により配向処理を行
い、その後乾燥処理を行う。
【0017】第2の磁性層用の塗料は、配向磁場によ
り、塗料中の磁性体の磁化容易軸は配向方向に揃うが、
その後乾燥処理が行われるまでの間、第2の磁性層用の
塗料中の磁性体は、第1の磁性層に行われた磁気記録に
より形成された磁化反転部界面から漏洩する磁場の影響
を受けることになる。その結果、第2の磁性層用の塗料
中の磁性体は、配向磁場の影響を受けずに第1の磁性層
に行われた磁気記録情報のパターンに対応して(磁化反
転部界面に対応して)配向が乱されて形成される。この
第2の磁性層用塗料に生じた物理的変化は、その後の乾
燥処理により固定される。
【0018】図5は第2の磁性層を形成した後の断面状
態を示す断面説明図である。図中、符号15は前述のと
おり非磁性の基体11上に設けた第1の磁性層12に行
った磁気記録による磁化反転による磁化成分を磁場反転
パターンとして示したものである。又符号17は、第1
の磁性層に行った磁気記録の磁場反転界面に形成された
固定情報である。すなわち、第2の磁性層16には、第
1の磁性層の磁化反転の界面に対応する部分17で配向
が乱される。18は第2の磁性層の形成に際して行った
磁場配向処理による磁化成分である。
【0019】符号17の物理的変化部分は例えば磁気ヘ
ッドや磁気抵抗素子などの磁気的手段により、これに対
応する信号を取り出すことができるため、後から追加も
消去もできない固定情報として使用することができる。
この固定情報は、第1の磁性層に行う磁気記録パターン
に対応しており、記録パターンを選ぶことにより、同じ
内容を繰り返すこともできるし、連続番号、ランダム情
報等を選択したり、これらを自由に組み合わせたりでき
る。即ち、例えば最終製品として磁気カードを得た場
合、個々の磁気カードに個別の固定情報(指紋情報)を
与えることができる。
【0020】磁気記録媒体に固定情報を付与する場合、
例えば印刷方式で行うことも可能であるが、この場合固
定情報は版で繰り返し印刷するため、数多くの種類の固
定情報を付与することはできない。本発明では、固定情
報は第1の磁性層に行う磁気記録に対応して形成される
ため、版を作成する必要はなく、該磁気記録の情報を次
々に変えることにより、どのようなパターンの情報でも
形成することが可能となる。
【0021】第2の磁性層上または第2の磁性層に重ね
て設けられた1層または複数層の磁性層の上には、白色
層、銀色の着色層、磁気ヘッドのクリーニングを目的と
した層、透明の保護層、金属蒸着層、感熱記録層等の層
を、単独で、または適宜組み合わせて設けても良い。
【0022】図6は本発明の方式により製造された磁気
原反をカード状に打ち抜くことにより得られた磁気カー
ド斜視図である。19は非磁性の基体であり、例えば1
88μの白色ポリエステルフィルムが適用される。20
は第一の磁性層であり、21は第2の磁性層である。2
2は第1の磁性層に行った磁気記録パターンに対応して
第2の磁性層に形成された固定情報を示す。
【0023】上記の図6の磁気カードは、第2の磁性層
が第1の磁性層上の全面に設けられている構成を有する
ものであり、通常の塗布装置で製造することができる。
なお、本発明に於いては、このように必ずしも非磁性の
基体上の全面に第1及び/又は第2の磁性層が形成され
ている必要はなく、少なくとも固定情報が設けられる第
2の磁性層の部分が第1の磁性層上に、例えばストライ
ブ状等の形態で形成されていれば良い。
【0024】本発明の磁気記録媒体に於いては、第1の
磁性層に通常の磁気記録が行われるが、良好な磁気特性
を得るためには第2の磁性層は出来る限り薄く形成され
ることが望ましい。磁気記録媒体の実際の用途から考え
ると、本発明における第2の磁性層上には磁気隠蔽層
(白色、銀色などの着色層)、保護層、感熱記録層など
が形成されることも想定されることから、第2の磁性層
の厚さは10μm以下、好ましくは5μm以下である。
第2の磁性層はこのように薄層として形成される必要が
あることからも、該層に形成される固定情報の再生出力
及びその波形と共に、優れた分解能を得るためには、磁
性体の配向方向が塗布方向に対して45°以上、好まし
くは60°以上であることが必要である。
【0025】又、第2の磁性層は通常の磁気記録を行う
には保磁力が低く、磁石等による周囲の磁場によって影
響(ダメージ)を受け易いので、通常の磁気記録は第1
の磁性層に行われるが、第1の磁性層に積層して形成さ
れている第2の磁性層も同時に磁気記録されるので、、
再生出力はこれらの二つの磁性層からの出力が重畳した
形で再生される。しかしながら、上記のように第2の磁
性層の記録はダメージを受けて、再生出力の低下を生じ
易く、これは磁気記録媒体としての再生出力の低下とな
ってしまう。従って、通常の磁気記録を行った時に、第
2の磁性層の出力はできるだけ小さくしておくことが必
要である。本発明に於いては第2の磁性層の配向方向を
45°以上としておくことにより、通常の磁気記録の再
生特性を良好に維持できるとの効果も有するものであ
る。
【0026】更に、磁気記録媒体に於いては、再生出力
を経時で影響を受けても、80%以上の出力を確保する
ことが望ましく、このためには記録時に第2の磁性層の
出力を第1の磁性層の25%以下にしておく必要があ
り、本発明に於いては上記のように配向角度を大きくし
ておくと共に、磁性体の種類や、磁性層の厚さを適宜調
整することによって、優れた磁気記録の再生特性を得る
ことができる。又、第2の磁性層の配向方向を45°以
上とすることによって、出力保持率が向上し通常の磁気
記録の出力を更に下げることも可能となり、特性的、装
置的な効果も発揮されるものである。
【0027】
【実施例】以下に実施例に基づいて詳細を説明する。 実施例1 以下の配合割合で第1の磁性層用塗料を調製した。 バリウムフェライト(BaO・6Fe2 O3 ) (保磁力2750エルステッド,比表面積6m2 /g) 100重量部 カーボンブラック 3重量部 レシチン 1重量部 塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体樹脂 20重量部 ポリウレタン樹脂 20重量部 トルエン 60重量部 メチルエチルケトン 60重量部 メチルイソブチルケトン 60重量部
【0028】前記配合組成の混合物の塗料をボールミル
で8時間分散した後、ポリイソシアネート系硬化剤を5
重量部添加、十分撹拌することにより第1の磁性層用塗
料を得た。該塗料は粘度を2500cps(B形粘度
計、30rpm、25℃で測定)に調整した。このよう
にして得た第1の磁性層用塗料を188μ厚さの白色ポ
リエステルフィルム上に塗布した。塗布作業は通常の磁
気記録媒体の製造方法に従って行った。即ち、図1の原
反ロール1から前記フィルムを繰り出し、塗工ヘッド2
で、メイヤーバー方式により磁気塗料を一定厚さで塗布
し、その後磁場配向装置3により、塗布方向に磁場配向
処理を行い、更に乾燥装置4で乾燥処理を行うことによ
り第1の磁性層を形成した磁気原反ロール5を得た。こ
の場合、配向には磁場強度5000エルステッド(50
00ガウス)の永久磁石方式の磁場配向装置3を用い
た。
【0029】形成された第1の磁性層の磁気静特性をV
SM(振動試料型磁力計)で測定磁場10キロエルステ
ッドにて行ったところ Hc:2700エルステッド φr:1.2マクセル/cm 角形比:0.89 であった。
【0030】続いて以下の配合で第2の磁性層用塗料を
調製した。 γ酸化鉄(Fe2 O3 ) 保磁力300エルステッド,比表面積20m2 /g) 100重量部 カーボンブラック 3重量部 レシチン 1重量部 塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール三元共重合体樹脂 20重量部 ポリウレタン樹脂 20重量部 トルエン 60重量部 メチルエチルケトン 60重量部 メチルイソブチルケトン 60重量部
【0031】前記配合組成の混合物をボールミルで8時
間分散した後、ポリイソシアネート系硬化剤を5重量部
添加、十分撹拌することにより第2の磁性層用塗料を得
た。該塗料は、更にトルエン、メチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、1:1:1の組成の混合溶剤を
適宜添加、撹拌することにより、粘度を500cps
(B形粘度計、30rpm、25℃で測定)に調整し
た。
【0032】第1の磁性層を塗布した磁気原反ロール5
は、図2に於いて、繰り出し側で磁気ヘッド7により磁
気記録が行われ、その後グラビア方式の塗工ヘッド2で
上記の第2の磁性層用塗料を塗布し、続いて磁場配向処
理、乾燥処理を行い本発明の磁気記録媒体を得た。この
場合、第1の磁性層には105FClのF2F記録方式
で1と0を交互に記録した。又、第2の磁性層の磁場配
向処理は磁場強度1500エルステッド(1500ガウ
ス)の永久磁石方式の磁場配向装置9を用いて、配向方
向は塗布方向に対して60°で行った。
【0033】なお、磁場の印加方法は、永久磁石を用い
たN・N対向磁極型を使用して、第1の磁性層の配向に
よるN側から配向装置を通し、これによって再生可能な
固定情報を形成することが出来る。(この場合、S側か
ら通すと、固定情報は形成されるが、再生出力は殆ど得
られない固定情報しか形成できない。)
【0034】このようにして得られた磁気原反ロール
は、第1の磁性層に行った磁気記録に対応した固定情報
が第2の磁性層に固定されていた。配向方向に対する磁
気静特性を測定磁場5000エルステッドにて行ったと
ころ Hc:290エルステッド φr:0.8マクセル/cm 角形比:0.85 である。
【0035】実施例2 実施例1に於いて第2の磁性層用塗料のγ酸化鉄に代え
て、バリウムフェライト(保磁力950エルステッド、
比表面積8m2 /g)を使用し、配向方向を70°と
した以外は、実施例1と同様にして本発明の磁気記録媒
体を得た。なお、第2の磁性層の磁気静特性を、実施例
1と同様に測定したところ、 Hc:920エルステッド φr:0.9マクセル/cm 角形比:0.84 であった。
【0036】実施例3 実施例1に於いて第1の磁性層用塗料のバリウムフェラ
イトに代えて、ストロンチウムフェライトト(保磁力4
800エルステッド、比表面積4m2 /g)を使用
し、第2の磁性層用塗料のγ酸化鉄に代えて、バリウム
フェライト(保磁力950エルステッド、比表面積8m
2 /g)を使用し、配向方向を70°とした以外は、
実施例1と同様にして本発明の磁気記録媒体を得た。
【0037】なお、第1の及び第2の磁性層の磁気静特
性を、実施例1と同様に測定したところ、 第1の磁性層 Hc:4750エルステッド φr:1.3マクセル/cm 角形比:0.90 第2の磁性層 Hc:920エルステッド φr:0.9マクセル/cm 角形比:0.83 であった。
【0038】実施例4 実施例1に於いて第1の磁性層用塗料のバリウムフェラ
イトに代えて、ストロンチウムフェライトト(保磁力4
800エルステッド、比表面積4m2 /g)を使用
し、第2の磁性層用塗料のγ酸化鉄に代えて、コバルト
ドープγ酸化鉄(保磁力650エルステッド、比表面積
25m2 /g)を使用した以外は、実施例1と同様に
して本発明の磁気記録媒体を得た。
【0039】なお、第1の及び第2の磁性層の磁気静特
性を、実施例1と同様に測定したところ、 第1の磁性層 Hc:4750エルステッド φr:1.3マクセル/cm 角形比:0.90 第2の磁性層 Hc:630エルステッド φr:0.9マクセル/cm 角形比:0.83 であった。
【0040】実施例5 実施例1に於いて第1の磁性層用塗料のバリウムフェラ
イトとして、保磁力1750エルステッドのものを使用
し、第2の磁性層用塗料のγ酸化鉄として、保磁力20
0エルステッド、比表面積20m2 /gのものを使用
した以外は、実施例1と同様にして本発明の磁気記録媒
体を得た。
【0041】なお、第1の及び第2の磁性層の磁気静特
性を、実施例1と同様に測定したところ、 第1の磁性層 Hc:1750エルステッド φr:1.2マクセル/cm 角形比:0.89 第2の磁性層 Hc:200エルステッド φr:0.8マクセル/cm 角形比:0.81 であった。
【0042】実施例6 実施例1に於いて第1の磁性層用塗料のバリウムフェラ
イトとして、保磁力1750エルステッドのものを使用
し、第2の磁性層用塗料のγ酸化鉄として、保磁力20
0エルステッド、比表面積20m2 /gのものを使用
し、配向方向を45°とした以外は実施例1と同様にし
て本発明の磁気記録媒体を得た。
【0043】なお、第1の及び第2の磁性層の磁気静特
性を、実施例1と同様に測定したところ、 第1の磁性層 Hc:1750エルステッド φr:1.2マクセル/cm 角形比:0.88 第2の磁性層 Hc:200エルステッド φr:0.8マクセル/cm 角形比:0.82 であった。
【0044】比較例1 実施例1に於いて第2の磁性層の配向方向を0°とした
以外は、実施例1と同様にして、比較用の磁気記録媒体
を得た。
【0045】比較例2 実施例1に於いて第2の磁性層の配向方向を30°とし
た以外は、実施例1と同様にして、比較用の磁気記録媒
体を得た。を得た。
【0046】比較例3 実施例1に於いて第1の磁性層用塗料のバリウムフェラ
イトとして、保磁力950エルステッド、比表面積8m
2 /gのものを使用した以外は、実施例と同様にして
比較用の磁気記録媒体を得た。
【0047】なお、第1の磁性層の磁気静特性を実施例
1と同様にして測定したところ、 Hc:920エルステッド φr:0.9マクセル/cm 角形比:0.83 であった。
【0048】以上の実施例1〜6及び比較例1〜3の磁
気記録媒体から、図6に示したようにJISサイズで磁
気カードを打ち抜き、第2の磁性層に形成された固定情
報22のトラックを、磁気ヘッドを用いて、第1の磁性
層を十分に飽和磁化できる程度の直流電流を流しながら
直流消磁を行ったところ、比較例3を除いて第1の磁性
層に行った磁気記録情報を消去することができた。しか
し、第2の磁性層に形成された固定情報は消去すること
ができなかった。
【0049】なお、比較例3の磁気記録媒体は、固定情
報が形成されていなっかた。これは、第1の磁性層の磁
性体の保磁力が小さいために、第2の磁性層を配向処理
する際に、固定情報を形成するための第1の磁性層の磁
気記録が直流消磁されてしまったからである。
【0050】次に、固定情報を図7に示した再生用磁気
ヘッドを用いて直流バイアス磁界を印加して読み取りを
行った結果、実施例1〜5では図8(a)に示したよう
な対称性の良い出力波形が得られた。又、実施例6はや
や劣るが良好な対称性が得られて、優れた読取り性を有
するものであった。これに対して比較例1では、図8
(b)に示したような全く対称性のない再生出力波形で
あり、比較例2もこれに近似した対称性のない波形であ
り、固定情報は形成されているが、読み取り性に劣るも
のであった。なお、比較例3は固定情報が形成されては
いるが、読み取り性に劣るものであった。なお、比較例
3は固定情報が形成されていないため、再生出力は得ら
れなかった。
【0051】又、第1の磁性層に通常の磁気記録を行
い、その読み取りを行ったところ、実施例1〜5と比較
例3では良好な読み取り性を有するものであり、実施例
6では僅かに固定情報が混在するものの、実用上は全く
問題ないレベルであった。一方、比較例1及び2では固
定情報が混在し、読み取り性に劣るものであった。
【0052】以上のことから明らかなように、本発明に
おける固定情報はあとから追加も消去もできない固定情
報であり、通常の磁気記録特性を損なうことなく、良好
な読み取り性を有するものであり、優れた偽造防止情報
として用いることができた。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、第1の磁性層として磁
気記録特性のよい1500〜5000エルステッドの保
磁力を有し、第2の磁性層として信号出力の得やすい2
00〜1000エルステッドの保磁力を有するものと
し、更に第2の磁性層の配向を塗布方向に対して45°
以上とし、ここに固定情報を記録しているので、良好な
磁気記録特性を有するとともに、再生時の良好な固定情
報が形成され、極めて優れた偽造しがたい磁気記録媒体
を提供することができる。又、本発明の製造方法は通常
の磁気記録媒体の製造に使用する塗工装置を用いて、上
記の如く優れた磁気記録媒体を得ることができ、特性
的、製造性等の製造上の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の磁性層を塗布した磁気原反ロー
ルの製造工程の説明図。
【図2】本発明の第2の磁性層を塗布した磁気原反ロー
ルの製造工程の説明図。
【図3】第1の磁性層に磁気ヘッドで磁気記録する状態
の一部破断斜視図。
【図4】磁気記録部の断面説明図。
【図5】磁気記録の磁場反転の状態の説明図。
【図6】磁気カードの構成を示す斜視図。
【図7】再生用磁気ヘッドの説明図。
【図8】再生出力波形で、(イ)は対称形の場合、
(ロ)は非対称形の場合を示す。
【符号の説明】
1 原反ロール 2 塗工ヘッド 3 磁場配向装置 4 乾燥装置 5 第1の磁性層を有する磁気原反ロール 6 送りロール 7 磁気ヘッド 8 磁気原反ロール 9 磁場配向装置 10 乾燥装置 11 非磁性の基体 12 第1の磁性層 13 磁気ヘッド 14 第1の磁性層塗布時の磁場配向処理による磁化成
分 15 磁場反転パターン 16 第2の磁性層 17 磁場反転界面に形成された固定情報 18 第2の磁性層の磁化成分(非反転部分) 19 非磁性の基体 20 第1の磁性層 21 第2の磁性層 22 固定情報 23 バイアス磁界用コイル 24 再生コイル 25 再生磁気ヘッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 伸彦 静岡県静岡市用宗巴町3番1号 株式会社 巴川製紙所情報メディア事業部内 Fターム(参考) 5D006 BA19 BA20 DA01 EA05 FA00 5D112 AA05 AA11 AA28 BB02 CC19 DD02 DD04 DD09

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性の基体上に少なくとも2つの磁性
    層を形成してなる磁気記録媒体において、第1の磁性層
    が1500〜5000エルステッドの保磁力を有し、第
    2の磁性層が200〜1000エルステッドの保磁力を
    有し、更に第2の磁性層には後から追加も消去もできな
    い固定情報が記録されており、第2の磁性層の固定情報
    以外の部分は磁気塗料の塗布方向に対して45°以上は
    偏倚して配向されていることを特徴とする磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 非磁性の基体上に第1の磁性層用の磁気
    塗料を塗布し、磁場配向処理、乾燥の順による工程を経
    て第1の磁性層を形成し、続いて該磁性層に磁気記録を
    行い、更に第1の磁性層に重ねて、第2の磁性層用の磁
    気塗料を塗布、磁場配向処理、乾燥の順による工程を経
    て第2の磁性層を形成する磁気記録媒体の製造方法であ
    って、第2の磁性層用の磁気塗料を塗布、磁場配向処
    理、乾燥の順による工程において、磁場配向処理は第1
    の磁性層に予め行った磁気記録が80%以上維持される
    磁場強度で、かつ、配向方向を磁気塗料の塗布方向に対
    して45°以上とすることを特徴とする磁気記録媒体の
    製造方法。
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