JP2706714C - - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は買物カード、預貯金カード、定期券、乗車券、回数券、プリペイドカ
ード、キャシュカード、クレジットカード、ポイントカード、身分証明書、診察
券等において、生産性が高く偽造し難い磁気記録媒体およびその製造方法を提供
するものである。 【0002】 【従来の技術】 近時、磁気記録を行なったカード類が前記のような利用分野で広く用いられ、
ますますその用途が拡大してきている。 その基本構造は非磁性体からなる基体の上に、磁性体の層を設け、これを磁化
したものである。かかる磁気記録媒体は、磁気情報の複製や改ざんにより不正使
用が発生するのを防止することが必要で、このため種々の不正使用防止策がとら
れている。 代表的な偽造変造防止法としては、磁気記録情報の記録、再生を困難にする第
1の方法と、磁気カードそのものに真偽判定情報を持たせる第2の方法とに大別
される。前者は記録された磁気情報を隠蔽し、情報の書込み、読み取りを難しく
することにより磁気情報の改ざんや複製を困難にする方法であり、後者は磁気カ
ードが正規のものか否かを判定するための光学バーコードや磁気バーコードの識 別情報をカードそのものに入れておくことにより偽造、変造を防ぐ方法である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 前記第1の方法、すなわち磁気記録情報の記録、再生を困難にすることによる
不正使用防止策として知られているものには、磁気記録部を多層化することによ
り、正規の情報を隠蔽して読み取り不能にしたり、ダミー情報を重畳して正規の
情報の解析を困難にするものがあるが、何分にも製造工程が複雑であり、かつ記
録の書き込み読み出し装置が複雑になる等の欠点があり、又、一旦情報の隠蔽す
る方法の詳細が判明してしまえば、磁気記録に詳しい者であれば、情報を読み出
し、解析することが可能であるので複製や変造を防ぎ切れない可能性がある。前
記第2の方法は、磁気カードそのものに真偽判定情報を施したカードは正しい判
定情報を持った正規のカードでなければ、例え磁気情報の偽造ができたとしても
実際に使用できないが、この方法も製造工程が複雑で、判定情報の読み出し装置
が複雑になるという欠点がある。又、正規のカードの磁気情報が変造された場合
は不正使用を防ぎ切れないと云う問題がある。本発明は前記第2の方法による不
正使用防止機能を有するものであって、従来の技術の有する課題を解決し、不正
使用が殆ど不可能な磁気記録媒体とその製造方法を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】 請求項1の発明は、非磁性基体上または非磁性基体上に形成した磁気記録層の
上に、保磁力が100エルステッド以下の低保磁力磁性体からなる磁性層を有し
、該磁性層は連続であり、かつ予め図形、文字、数字、バーコード等のパターン
が形成されており、該パターンは磁性層が乾燥する前に、外部から与えられた磁
場によって、低保磁力磁性体が寄り集まって部分的に盛り上がって形成された偽
造防止用の固定情報として設けられていることを特徴とする磁気記録媒体である
。 【0005】 以下これらを図面を参照しつつ説明する。 図1、図2および図3はそれぞれ本発明の磁気記録媒体で、図1では非磁性基 体1aの上に100エルステッド以下の低保磁力磁性層1bが設けられ磁化され
て、図形、文字、数字、バーコード等のパターンからなる低保磁力磁性体からな
る磁性体が寄り集まって部分的に盛り上がって形成された偽造防止用固定情報1
cが形成される。図2では非磁性基体1aの上に磁気記録層1dを設け、その上
には図1と同様に100エルステッド以下の低保磁力磁性層1bを設けられ電磁
石または固定磁石により磁化されて、図形、文字、数字、バーコード等のパター
ンからなる低保磁力磁性体からなる磁性体が寄り集まって部分的に盛り上がって
形成された偽造防止用固定情報1cが部分的に盛り上がって形成される。図3で
は図1と同様な構成の表面に磁気記録層1dを設けてある。すなわち、各図示の
ものは、いずれも低保磁力磁性層が連続であり、かつ部分的に盛り上がって偽造
防止用固定情報が形成されているものである。すなわち、該磁性層が乾燥する前
に、外部から磁気ヘッドまたは永久磁石により与えられた磁場によって、低保磁
力磁性体が集まって部分的に盛り上がって形成された偽造防止用の固定情報が構
成されているのである。 このような磁気記録媒体の製造方法の一例を示したものが図4で、例えば非磁
性体からなる基体シート11を送り出しリール12より送り出し、磁性層用塗料
の塗布装置13に導いて塗工し、ついでロール14を経て磁場配向装置15によ
り磁化した後、乾燥パート16、ロール17を経て巻取りリール18に原反とし
て巻き取られる。 上記に於て、基体表面の磁性層に磁化し、固定情報を形成する手段は図5に示
すように非磁性基体1aの上に100エルステッド以下の低保磁力磁性層1bを
設けた磁気記録用シート2の下面より電磁石3により低保磁力磁性層1bを磁化
して偽造防止用固定情報1cが形成される。図6、図7および図8は永久磁石、
電磁石を種々代えて磁気情報を書込みしている状態を示し、図6は通常の電磁石
3aを磁性層を設けた乾燥前の磁気記録用シート2の裏面(磁性層と反対面)に
設け、バーコード状の磁気情報4aを書込みしている状態を示し、図7は複数の
永久磁石をロール状に組合わせた永久磁石3bを用い、これによりバーコード状
の磁気情報4aを書込みしている状態を示し、図8は磁気情報を書き込むための
永久磁石の周囲に数字状の永久磁石を組み合せで張り付けたロール状の永久磁石 3cを用い数字状の磁気情報4bを書き込む状態を示している。なお数字状の永
久磁石を組み合せで張り付ける代わりに、図形や文字を設けた永久磁石を組み合
せで張り付けたロール状の磁石を用い、図形や文字を磁気磁気情報として書込み
できることは勿論である。この場合、電磁石には図9の(イ),(ロ)に示すよ
うなパルス電流を流すことにより容易に偽造防止用固定情報を形成することがで
きる。 電磁石の場合はパルス電流に応じたバーコード状のパターンが形成されるが、
ロール状に形成した永久磁石を用いれば、極性の反転部で磁場の最大となるため
、反転部の境界線に応じたバーコードパターンを形成できる。又、図形や文字又
は数字状の永久磁石を張り付けた非磁性のロールを用いれば、図示の如く、磁石
形状に対応したパターンを形成できる。 【0006】 このように形成されたパターンは、続いて低保磁力磁性層を乾燥させれば固定
される。このようにして低保磁力磁性層に形成されたパターン、即ち固定情報は
、外部から与えられた磁場により、低保磁力磁性塗料が部分的に寄り集まり固定
化されたことによる。この固定情報は通常の磁気ヘッドで再生を行おうとしても
、再生信号は得られない。またパターンは着磁しないためにマグネチックビュア
ーを用いても検出できない。しかし、磁気ヘッドでバイアス磁場を与えながら再
生を行えば、パターン状に応じた磁気出力を得ることができる。この磁気出力は
後から追加も消去もできない固定化された情報であり、これをカードの偽造防止
情報として用いれば、非常に効果的である。図4の様な方法を用い、磁気ヘッド
に加える信号パターンを、この(磁気)原反から得られるカードそれぞれに対応
した個別のパターンとすれば、低保磁力磁性層に形成される固定情報も個々のカ
ードに対応した識別情報となる。即ち、この方法で製造した磁気原反から得られ
る磁気カードは、個々のカードによって、そのカード固有の情報を付与されてお
り、これを指紋情報として使用すれば、偽造は実際上不可能となる。 【0007】 次に本発明の磁気記録媒体を構成する材料について述べる。先ず非磁性体から
なる基体としては、厚さ150μm〜1mmのポリエステルフィルム、塩化ビニ ルフィルム、合成紙、木材パルプ紙、ラミネート紙等のシート状の非磁性体が適
用できる。 磁気記録層に用いる磁性体としては、γ−酸化鉄、コバルトドープのγ−酸化
鉄、酸化クロム、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等が適用され
、これらの磁性体を塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体,塩化ビニル・酢酸ビニル
・ビニルアルコール共重合体,ポリウレタン樹脂,ポリエステル樹脂,エポキシ
樹脂,ポリイソシアネート樹脂等を結着剤として、これに顔料等他の添加剤を加
えて分散した塗液を基体上に塗布することによって磁性記録層を形成することが
できる。 又、100エルステッド以下の低保磁力磁性体からなる磁性層に用いる磁性体
としては、カルボニル鉄,マンガンジンクフェライト,ニッケル,四三酸化鉄,
パーマロイ,センダスト、アルパーム等磁性粉体が適用され、これらの磁性体を
前記磁気記録層に用いているのと同様の結着剤に顔料等他の添加剤とともに分散
した塗液を非磁性基体上又は該基体上の磁気記録層上に塗布することによって低
保磁力磁性体からなる磁性層を形成することができる。 【0008】 又、前記低保磁力磁性体からなる磁性層の上に必要に応じて被覆層を設けるこ
とができる。 該被覆層としては、 (a)前記磁性層の着色を隠蔽するためのアルミニウム粉末、白色顔料等を含
んだ着色層、 (b)ロイコ染料型感熱記録層,錫,アルミニウム等の金属蒸着層からなる放
電記録層等の印字記録層、 (c)紫外線硬化型樹脂からなる保護層、 のうちの1層もしくは複数層を順次積層して形成することができる。 【0009】 【実施例】 以下、実施例により本発明を記述する。なお、配合部は全て重量部を示すもの
とする。 実施例1 低保磁力磁性体からなる磁性層用の塗料を以下の配合で調製した。 ・カルボニル鉄粉 100部 (保磁力10エルステッド 比表面積1m2/g) ・カーボンブラック 3部 ・レシチン 1部 ・塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体 20部 ・ポリウレタン樹脂 20部 ・トルエン 60部 ・メチルエチルケトン 60部 ・メチルイソブチルケトン 60部 上記混合物をボールミルで8時間分散した後、ポリイソシアネート樹脂を5部
添加し、更に1時間分散を行い低保磁力磁性層用の磁気塗料を得た。 【0010】 次に図4に示す塗工方法を使用してポリエステルフィルムからなる基体の片面
に前記磁気塗料を塗布し、乾燥装置に入る前の15の位置で図6のような磁気ヘ
ッドを用いて磁場を加える。磁気ヘッドには例えば図9のようなパルス電流を印
加する。パルスの印加密度は、形成されるバーコードがFM記録方式に換算して
100BPIとなるようにした。低保磁力磁性層は塗工後まだ塗料が乾燥する前
であり、磁気ヘッドにより加えられた磁場によってバーコード状のパターンが形
成された。この後低保磁力磁性層を乾燥装置16で乾燥させると、バーコード状
のパターンが固定化された。この様にして得られた磁気原反から図1に示したよ
うな断面構造を持つJISサイズのカードを打ち抜き以下の評価を行った。 即ち、バーコード状パターンの形成された部分を再生用磁気ヘッドで500ガ
ウスの直流バイアス磁界をかけながら情報の読みだしを行ったところ、バーコー
ド状パターンに応じた再生信号を得ることができた。 【0011】 実施例2 磁性記録層用の塗料を以下の配合で調製した。 ・バリウムフェライト BaO・6Fe2O3 100部 (保磁力2750エルステッド 比表面積8m2/g) ・カーボンブラック 3部 ・レシチン 1部 ・塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体 20部 ・ポリウレタン樹脂 20部 ・トルエン 60部 ・メチルエチルケトン 60部 ・メチルイソブチルケトン 60部 上記混合物をボールミルで8時間分散した後、ポリイソシアネート樹脂を5部
添加し、更に1時間分散を行い磁性記録層用の塗料を得た。該塗料をポリエステ
ルフィルムからなる基体の上に、通常の磁気記録媒体の製造方法に従って塗布し
磁気記録を設けた。 【0012】 次いで、低磁力磁性体からなる磁性層用の塗料を以下の配合で調製した。 ・MnZnフェライト粉 100部 (保磁力25エルステッド 比表面積10m2/g)) ・カーボンブラック 3部 ・レシチン 1部 ・塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体 20部 ・ポリウレタン樹脂 20部 ・トルエン 60部 ・メチルエチルケトン 60部 ・メチルイソブチルケトン 60部 上記混合物をボールミルで8時間分散した後、ポリイソシアネート樹脂を5部
添加し、更に1時間分散を行い低磁力磁性体からなる磁性層用磁気塗料を得た。
次に、前記磁性記録層の表面に、図4に示す方法に準じて該低磁力磁性体からな
る磁性層の塗料を塗布した。 その際、15の位置で図7に示したような永久磁石のロールを用いバーコード 状のパターンを形成した。この後低保磁力磁性層を乾燥させるとバーコード状パ
ターンが固定された。このようにして製造した図2のような断面構造を持つJI
Sサイズの磁気カードを打ち抜き以下の評価を行った。 即ち、バーコード状パターンの形成された部分を再生用磁気ヘッドで500ガ
ウスの直流バイアス磁界をかけながら情報に読みだしを行ったところ、再生信号
を得ることができた。 また、この磁気カードの固定パターン以外の部分に3000エルステッドまで
の保磁力を持つ磁性層に記録、消去できる磁気ヘッドで、100BPIの記録密
度でFM記録を行ったところ、通常に記録・再生できた。即ち、通常の磁気カー
ドとして使用できた。 【0013】 実施例3 ・低保磁力磁性層用の塗料を以下の配合で調製した。 ・パーマロイ粉 100部 (保磁力0.006エルステッド 比表面積1m2/g) ・カーボンブラック 3部 ・レシチン 1部 ・塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体 20部 ・ポリウレタン樹脂 20部 ・トルエン 60部 ・メチルエチルケトン 60部 ・メチルイソブチルケトン 60部 上記混合物をボールミルで8時間分散した後、ポリイソシアネート樹脂を5部
添加し、更に1時間分散を行い低保磁力磁性層用の磁気塗料を得た。 次に図4に示す塗工装置を用いて、ポリエステルフィルムからなる基体の片面
に該塗料を塗布し、乾燥装置に入る前の15の位置で図8のよに塗工面の反対側
からアルミ製のロールに数字状に形成したゴム磁石を張り付けたものを用いて磁
場を与えた。 基体の反塗工面が上記ロールに接触することにより、低保磁力磁性層には数字 状のパターンが形成された。この後低保磁力磁性層を乾燥させると、数字状のパ
ターンは固定化された。 次に実施例2で使用した磁性記録層用の塗料を上記原反の低保磁力磁性層上に
塗布した。塗布は、前記のように通常の磁気記録媒体の製造方法に従って行なえ
ばよい。 【0014】 このようにして得られた磁気原反から図3に示した様な断面構造を持つJIS
サイズのカードを打ち抜き、以下のような評価を行なった。即ち、数字状のパタ
ーンが固定化された部分を、再生用磁気ヘッドで500ガウスの直流バイアス磁
界をかけながら読み出しを行なったところ、数字状パターンに応じた再生信号を
得ることができた。 またこの磁気カードの固定パターン以外の部分に3000エルステッドまでの
保磁力を持つ磁性層に記録・消去可能な磁気ヘッドで、100BPIの記録密度
でFM記録を行ったところ、通常に記録再生できた。即ち、通常の磁気カードと
して使用できた。 【0015】 【発明の効果】 本発明による磁気記録媒体は、後で追加したり消去したりできない判定情報を
磁性塗料塗布時にいれることができる。この方法により製造されたカードは、個
々のカードに固有の判定情報を付与することができるため、きわめて偽造、不正
使用が困難である。また、製造設備も通常の磁気記録媒体の製造設備に簡単な磁
気記録装置を追加するだけであり、特殊な技術も必要ないため、生産性も高い。
ード、キャシュカード、クレジットカード、ポイントカード、身分証明書、診察
券等において、生産性が高く偽造し難い磁気記録媒体およびその製造方法を提供
するものである。 【0002】 【従来の技術】 近時、磁気記録を行なったカード類が前記のような利用分野で広く用いられ、
ますますその用途が拡大してきている。 その基本構造は非磁性体からなる基体の上に、磁性体の層を設け、これを磁化
したものである。かかる磁気記録媒体は、磁気情報の複製や改ざんにより不正使
用が発生するのを防止することが必要で、このため種々の不正使用防止策がとら
れている。 代表的な偽造変造防止法としては、磁気記録情報の記録、再生を困難にする第
1の方法と、磁気カードそのものに真偽判定情報を持たせる第2の方法とに大別
される。前者は記録された磁気情報を隠蔽し、情報の書込み、読み取りを難しく
することにより磁気情報の改ざんや複製を困難にする方法であり、後者は磁気カ
ードが正規のものか否かを判定するための光学バーコードや磁気バーコードの識 別情報をカードそのものに入れておくことにより偽造、変造を防ぐ方法である。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 前記第1の方法、すなわち磁気記録情報の記録、再生を困難にすることによる
不正使用防止策として知られているものには、磁気記録部を多層化することによ
り、正規の情報を隠蔽して読み取り不能にしたり、ダミー情報を重畳して正規の
情報の解析を困難にするものがあるが、何分にも製造工程が複雑であり、かつ記
録の書き込み読み出し装置が複雑になる等の欠点があり、又、一旦情報の隠蔽す
る方法の詳細が判明してしまえば、磁気記録に詳しい者であれば、情報を読み出
し、解析することが可能であるので複製や変造を防ぎ切れない可能性がある。前
記第2の方法は、磁気カードそのものに真偽判定情報を施したカードは正しい判
定情報を持った正規のカードでなければ、例え磁気情報の偽造ができたとしても
実際に使用できないが、この方法も製造工程が複雑で、判定情報の読み出し装置
が複雑になるという欠点がある。又、正規のカードの磁気情報が変造された場合
は不正使用を防ぎ切れないと云う問題がある。本発明は前記第2の方法による不
正使用防止機能を有するものであって、従来の技術の有する課題を解決し、不正
使用が殆ど不可能な磁気記録媒体とその製造方法を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】 請求項1の発明は、非磁性基体上または非磁性基体上に形成した磁気記録層の
上に、保磁力が100エルステッド以下の低保磁力磁性体からなる磁性層を有し
、該磁性層は連続であり、かつ予め図形、文字、数字、バーコード等のパターン
が形成されており、該パターンは磁性層が乾燥する前に、外部から与えられた磁
場によって、低保磁力磁性体が寄り集まって部分的に盛り上がって形成された偽
造防止用の固定情報として設けられていることを特徴とする磁気記録媒体である
。 【0005】 以下これらを図面を参照しつつ説明する。 図1、図2および図3はそれぞれ本発明の磁気記録媒体で、図1では非磁性基 体1aの上に100エルステッド以下の低保磁力磁性層1bが設けられ磁化され
て、図形、文字、数字、バーコード等のパターンからなる低保磁力磁性体からな
る磁性体が寄り集まって部分的に盛り上がって形成された偽造防止用固定情報1
cが形成される。図2では非磁性基体1aの上に磁気記録層1dを設け、その上
には図1と同様に100エルステッド以下の低保磁力磁性層1bを設けられ電磁
石または固定磁石により磁化されて、図形、文字、数字、バーコード等のパター
ンからなる低保磁力磁性体からなる磁性体が寄り集まって部分的に盛り上がって
形成された偽造防止用固定情報1cが部分的に盛り上がって形成される。図3で
は図1と同様な構成の表面に磁気記録層1dを設けてある。すなわち、各図示の
ものは、いずれも低保磁力磁性層が連続であり、かつ部分的に盛り上がって偽造
防止用固定情報が形成されているものである。すなわち、該磁性層が乾燥する前
に、外部から磁気ヘッドまたは永久磁石により与えられた磁場によって、低保磁
力磁性体が集まって部分的に盛り上がって形成された偽造防止用の固定情報が構
成されているのである。 このような磁気記録媒体の製造方法の一例を示したものが図4で、例えば非磁
性体からなる基体シート11を送り出しリール12より送り出し、磁性層用塗料
の塗布装置13に導いて塗工し、ついでロール14を経て磁場配向装置15によ
り磁化した後、乾燥パート16、ロール17を経て巻取りリール18に原反とし
て巻き取られる。 上記に於て、基体表面の磁性層に磁化し、固定情報を形成する手段は図5に示
すように非磁性基体1aの上に100エルステッド以下の低保磁力磁性層1bを
設けた磁気記録用シート2の下面より電磁石3により低保磁力磁性層1bを磁化
して偽造防止用固定情報1cが形成される。図6、図7および図8は永久磁石、
電磁石を種々代えて磁気情報を書込みしている状態を示し、図6は通常の電磁石
3aを磁性層を設けた乾燥前の磁気記録用シート2の裏面(磁性層と反対面)に
設け、バーコード状の磁気情報4aを書込みしている状態を示し、図7は複数の
永久磁石をロール状に組合わせた永久磁石3bを用い、これによりバーコード状
の磁気情報4aを書込みしている状態を示し、図8は磁気情報を書き込むための
永久磁石の周囲に数字状の永久磁石を組み合せで張り付けたロール状の永久磁石 3cを用い数字状の磁気情報4bを書き込む状態を示している。なお数字状の永
久磁石を組み合せで張り付ける代わりに、図形や文字を設けた永久磁石を組み合
せで張り付けたロール状の磁石を用い、図形や文字を磁気磁気情報として書込み
できることは勿論である。この場合、電磁石には図9の(イ),(ロ)に示すよ
うなパルス電流を流すことにより容易に偽造防止用固定情報を形成することがで
きる。 電磁石の場合はパルス電流に応じたバーコード状のパターンが形成されるが、
ロール状に形成した永久磁石を用いれば、極性の反転部で磁場の最大となるため
、反転部の境界線に応じたバーコードパターンを形成できる。又、図形や文字又
は数字状の永久磁石を張り付けた非磁性のロールを用いれば、図示の如く、磁石
形状に対応したパターンを形成できる。 【0006】 このように形成されたパターンは、続いて低保磁力磁性層を乾燥させれば固定
される。このようにして低保磁力磁性層に形成されたパターン、即ち固定情報は
、外部から与えられた磁場により、低保磁力磁性塗料が部分的に寄り集まり固定
化されたことによる。この固定情報は通常の磁気ヘッドで再生を行おうとしても
、再生信号は得られない。またパターンは着磁しないためにマグネチックビュア
ーを用いても検出できない。しかし、磁気ヘッドでバイアス磁場を与えながら再
生を行えば、パターン状に応じた磁気出力を得ることができる。この磁気出力は
後から追加も消去もできない固定化された情報であり、これをカードの偽造防止
情報として用いれば、非常に効果的である。図4の様な方法を用い、磁気ヘッド
に加える信号パターンを、この(磁気)原反から得られるカードそれぞれに対応
した個別のパターンとすれば、低保磁力磁性層に形成される固定情報も個々のカ
ードに対応した識別情報となる。即ち、この方法で製造した磁気原反から得られ
る磁気カードは、個々のカードによって、そのカード固有の情報を付与されてお
り、これを指紋情報として使用すれば、偽造は実際上不可能となる。 【0007】 次に本発明の磁気記録媒体を構成する材料について述べる。先ず非磁性体から
なる基体としては、厚さ150μm〜1mmのポリエステルフィルム、塩化ビニ ルフィルム、合成紙、木材パルプ紙、ラミネート紙等のシート状の非磁性体が適
用できる。 磁気記録層に用いる磁性体としては、γ−酸化鉄、コバルトドープのγ−酸化
鉄、酸化クロム、バリウムフェライト、ストロンチウムフェライト等が適用され
、これらの磁性体を塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体,塩化ビニル・酢酸ビニル
・ビニルアルコール共重合体,ポリウレタン樹脂,ポリエステル樹脂,エポキシ
樹脂,ポリイソシアネート樹脂等を結着剤として、これに顔料等他の添加剤を加
えて分散した塗液を基体上に塗布することによって磁性記録層を形成することが
できる。 又、100エルステッド以下の低保磁力磁性体からなる磁性層に用いる磁性体
としては、カルボニル鉄,マンガンジンクフェライト,ニッケル,四三酸化鉄,
パーマロイ,センダスト、アルパーム等磁性粉体が適用され、これらの磁性体を
前記磁気記録層に用いているのと同様の結着剤に顔料等他の添加剤とともに分散
した塗液を非磁性基体上又は該基体上の磁気記録層上に塗布することによって低
保磁力磁性体からなる磁性層を形成することができる。 【0008】 又、前記低保磁力磁性体からなる磁性層の上に必要に応じて被覆層を設けるこ
とができる。 該被覆層としては、 (a)前記磁性層の着色を隠蔽するためのアルミニウム粉末、白色顔料等を含
んだ着色層、 (b)ロイコ染料型感熱記録層,錫,アルミニウム等の金属蒸着層からなる放
電記録層等の印字記録層、 (c)紫外線硬化型樹脂からなる保護層、 のうちの1層もしくは複数層を順次積層して形成することができる。 【0009】 【実施例】 以下、実施例により本発明を記述する。なお、配合部は全て重量部を示すもの
とする。 実施例1 低保磁力磁性体からなる磁性層用の塗料を以下の配合で調製した。 ・カルボニル鉄粉 100部 (保磁力10エルステッド 比表面積1m2/g) ・カーボンブラック 3部 ・レシチン 1部 ・塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体 20部 ・ポリウレタン樹脂 20部 ・トルエン 60部 ・メチルエチルケトン 60部 ・メチルイソブチルケトン 60部 上記混合物をボールミルで8時間分散した後、ポリイソシアネート樹脂を5部
添加し、更に1時間分散を行い低保磁力磁性層用の磁気塗料を得た。 【0010】 次に図4に示す塗工方法を使用してポリエステルフィルムからなる基体の片面
に前記磁気塗料を塗布し、乾燥装置に入る前の15の位置で図6のような磁気ヘ
ッドを用いて磁場を加える。磁気ヘッドには例えば図9のようなパルス電流を印
加する。パルスの印加密度は、形成されるバーコードがFM記録方式に換算して
100BPIとなるようにした。低保磁力磁性層は塗工後まだ塗料が乾燥する前
であり、磁気ヘッドにより加えられた磁場によってバーコード状のパターンが形
成された。この後低保磁力磁性層を乾燥装置16で乾燥させると、バーコード状
のパターンが固定化された。この様にして得られた磁気原反から図1に示したよ
うな断面構造を持つJISサイズのカードを打ち抜き以下の評価を行った。 即ち、バーコード状パターンの形成された部分を再生用磁気ヘッドで500ガ
ウスの直流バイアス磁界をかけながら情報の読みだしを行ったところ、バーコー
ド状パターンに応じた再生信号を得ることができた。 【0011】 実施例2 磁性記録層用の塗料を以下の配合で調製した。 ・バリウムフェライト BaO・6Fe2O3 100部 (保磁力2750エルステッド 比表面積8m2/g) ・カーボンブラック 3部 ・レシチン 1部 ・塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体 20部 ・ポリウレタン樹脂 20部 ・トルエン 60部 ・メチルエチルケトン 60部 ・メチルイソブチルケトン 60部 上記混合物をボールミルで8時間分散した後、ポリイソシアネート樹脂を5部
添加し、更に1時間分散を行い磁性記録層用の塗料を得た。該塗料をポリエステ
ルフィルムからなる基体の上に、通常の磁気記録媒体の製造方法に従って塗布し
磁気記録を設けた。 【0012】 次いで、低磁力磁性体からなる磁性層用の塗料を以下の配合で調製した。 ・MnZnフェライト粉 100部 (保磁力25エルステッド 比表面積10m2/g)) ・カーボンブラック 3部 ・レシチン 1部 ・塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体 20部 ・ポリウレタン樹脂 20部 ・トルエン 60部 ・メチルエチルケトン 60部 ・メチルイソブチルケトン 60部 上記混合物をボールミルで8時間分散した後、ポリイソシアネート樹脂を5部
添加し、更に1時間分散を行い低磁力磁性体からなる磁性層用磁気塗料を得た。
次に、前記磁性記録層の表面に、図4に示す方法に準じて該低磁力磁性体からな
る磁性層の塗料を塗布した。 その際、15の位置で図7に示したような永久磁石のロールを用いバーコード 状のパターンを形成した。この後低保磁力磁性層を乾燥させるとバーコード状パ
ターンが固定された。このようにして製造した図2のような断面構造を持つJI
Sサイズの磁気カードを打ち抜き以下の評価を行った。 即ち、バーコード状パターンの形成された部分を再生用磁気ヘッドで500ガ
ウスの直流バイアス磁界をかけながら情報に読みだしを行ったところ、再生信号
を得ることができた。 また、この磁気カードの固定パターン以外の部分に3000エルステッドまで
の保磁力を持つ磁性層に記録、消去できる磁気ヘッドで、100BPIの記録密
度でFM記録を行ったところ、通常に記録・再生できた。即ち、通常の磁気カー
ドとして使用できた。 【0013】 実施例3 ・低保磁力磁性層用の塗料を以下の配合で調製した。 ・パーマロイ粉 100部 (保磁力0.006エルステッド 比表面積1m2/g) ・カーボンブラック 3部 ・レシチン 1部 ・塩化ビニル・酢酸ビニル・ビニルアルコール共重合体 20部 ・ポリウレタン樹脂 20部 ・トルエン 60部 ・メチルエチルケトン 60部 ・メチルイソブチルケトン 60部 上記混合物をボールミルで8時間分散した後、ポリイソシアネート樹脂を5部
添加し、更に1時間分散を行い低保磁力磁性層用の磁気塗料を得た。 次に図4に示す塗工装置を用いて、ポリエステルフィルムからなる基体の片面
に該塗料を塗布し、乾燥装置に入る前の15の位置で図8のよに塗工面の反対側
からアルミ製のロールに数字状に形成したゴム磁石を張り付けたものを用いて磁
場を与えた。 基体の反塗工面が上記ロールに接触することにより、低保磁力磁性層には数字 状のパターンが形成された。この後低保磁力磁性層を乾燥させると、数字状のパ
ターンは固定化された。 次に実施例2で使用した磁性記録層用の塗料を上記原反の低保磁力磁性層上に
塗布した。塗布は、前記のように通常の磁気記録媒体の製造方法に従って行なえ
ばよい。 【0014】 このようにして得られた磁気原反から図3に示した様な断面構造を持つJIS
サイズのカードを打ち抜き、以下のような評価を行なった。即ち、数字状のパタ
ーンが固定化された部分を、再生用磁気ヘッドで500ガウスの直流バイアス磁
界をかけながら読み出しを行なったところ、数字状パターンに応じた再生信号を
得ることができた。 またこの磁気カードの固定パターン以外の部分に3000エルステッドまでの
保磁力を持つ磁性層に記録・消去可能な磁気ヘッドで、100BPIの記録密度
でFM記録を行ったところ、通常に記録再生できた。即ち、通常の磁気カードと
して使用できた。 【0015】 【発明の効果】 本発明による磁気記録媒体は、後で追加したり消去したりできない判定情報を
磁性塗料塗布時にいれることができる。この方法により製造されたカードは、個
々のカードに固有の判定情報を付与することができるため、きわめて偽造、不正
使用が困難である。また、製造設備も通常の磁気記録媒体の製造設備に簡単な磁
気記録装置を追加するだけであり、特殊な技術も必要ないため、生産性も高い。
【図面の簡単な説明】
図1、図2、図3 本発明の磁気記録媒体の断面図。
図4 本発明の磁気記録媒体を製造する方法の基本パターンを示す説明図。
図5 磁気記録媒体に磁気ヘッドで記録する状態の断面図。
図6、図7、図8 磁気記録媒体に磁気ヘッドで記録する状態の斜視図。
図9 磁気ヘッドに加えるパルス電流
【符号の説明】
1a 非磁性基体
1b 低保磁力磁性層
1c 低保磁力磁性層上に形成された固定情報
1d 磁気記録層
2 磁気記録用シート
3 電磁石
3a 電磁石
3b 永久磁石
3c 永久磁石
4a バーコード状の磁気情報
4b 数字状の磁気情報
11 基体シート
12 送り出しリール
13 塗工装置
14 ロール
15 磁場配向装置
16 乾燥パート
17 ロール
18 巻き取りリール
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 非磁性基体上または非磁性基体上に形成した磁気記録層の上に
、保磁力が100エルステッド以下の低保磁力磁性体からなる磁性層を有し、該
磁性層は連続であり、かつ予め図形、文字、数字、バーコード等のパターンが形
成されており、該パターンは磁性層が乾燥する前に、外部から与えられた磁場に
よって、低保磁力磁性体が寄り集まって部分的に盛り上がって形成された偽造防
止用の固定情報として設けられていることを特徴とする磁気記録媒体。
Family
ID=
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