JP2001329116A - トレッド用ゴム組成物 - Google Patents

トレッド用ゴム組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性を保ちつつ、ウェットグリップ性能
および氷上グリップ性能を向上させたトレッド用ゴム組
成物を提供する。 【解決手段】 ジエン系ゴム100重量部に対し、溶剤
可溶性シリコーン系高分子を2〜40重量部含むことを
特徴とするトレッド用ゴム組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トレッド用ゴム組
成物、とりわけ耐摩耗性、ウェットグリップ性能および
氷上グリップ性能のバランスを向上させたトレッド用ゴ
ム組成物にかかわる。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車の高速化にともない、タイ
ヤに要求される特性は年々厳しくなってきており、高速
走行時のウェット路面における諸性能もその1つとして
とりあげられている。
【0003】従来、タイヤ用ゴム組成物のウェットグリ
ップ性能を改善するために、ガラス転移温度(Tg)の
高いスチレン−ブタジエンゴム(SBR)やブチルゴム
などを入れて、低温(たとえば0℃)の損失正接(ta
nδ)を向上させることが行なわれてきた。また、水酸
化アルミニウムなどの無機紛体を使用することにより、
タイヤ用ゴム組成物のウェットグリップ性能が改善され
ることが知られている。
【0004】しかし、Tgの高いSBRやブチルゴムを
使用すると耐摩耗性が低下する、低温時のグリップ性能
と転がり抵抗が高くなるなどの問題があった。また、T
gを上げる手法にも限界がある。さらに、水酸化アルミ
ニウムなどの無機紛体を使用したタイヤトレッド用ゴム
組成物も、耐摩耗性に問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、トレッド用
ゴム組成物において、耐摩耗性を保ちつつウェットグリ
ップ性能および氷上グリップ性能を向上させることを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明では、ヒステリシ
スロスを大きくして摩擦力を改善することによってでは
なく、ゴムの撥水性を向上させて路面とゴムのあいだに
存在する水を除去することにより、ウェットグリップ特
性を高めることを検討し、溶剤可溶性シリコーン系高分
子などをゴムに配合することにより、ゴムの撥水性を高
めてウエットグリップの改善を図った。
【0007】すなわち、本発明は、ジエン系ゴム100
重量部に対し、溶剤可溶性シリコーン系高分子を2〜4
0重量部含むことを特徴とするトレッド用ゴム組成物に
関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のトレッド用ゴム組成物
は、ジエン系ゴムおよび溶剤可溶性シリコーン系高分子
を含む。
【0009】本発明で用いられるジエン系ゴムとして
は、とくに限定はないが、天然ゴム、スチレン−ブタジ
エンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプ
レンゴム(IR)、イソプレン−イソブチレンゴム(I
IR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)などをあ
げることができる。ジエン系ゴムは、単独で、または2
種類以上を使用することができる。
【0010】シリコーン系高分子は、有機珪素化合物の
重合体であり、つまり、シロキサン結合(−Si−O−
Si−O−)からなる骨格を有する高分子であり、この
骨格に、アルキル基、アリル基、アリール基などの有機
基が結合した分子構造を有する。
【0011】溶剤可溶性シリコーン系高分子は、たとえ
ば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセ
トン、メチルエチルケトン、クロロホルム、トルエン、
キシレン、ヘキサン、シリコーンオイルなどの溶剤に2
5℃の条件で溶解することができる。
【0012】溶剤可溶性シリコーン系高分子としては、
たとえば、SiOH基などの極性基を少量有するシリコ
ーン系高分子などをあげることができる。
【0013】溶剤可溶性シリコーン系高分子としては、
たとえば、溶剤可溶性シリコーン系高分子粒子を用いる
ことができる。本発明で用いられる溶剤可溶性シリコー
ン系高分子粒子は不定形である。
【0014】このような溶剤可溶性シリコーン系高分子
粒子としては、たとえば、東レ・ダウコーニング・シリ
コーン(株)製のトレフィルR−910などがあげられ
る。
【0015】トレフィルR−910は、−Si(C
32−O−で表わされる繰り返し単位を主体とし、S
iOH基を少量有する。トレフィルR−910は、25
℃で、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブ
チルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチ
ルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、クロロ
ホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、トリクロロエチ
レン、トルエン、キシレン、ベンゼン、ヘキサン、ヘプ
タン、リグロイン、ミネラルターペン、ゴム揮発油、ジ
メチルシリコーンオイル(SH200−100cs、S
H200−350cs、SH200−1000cs、S
H200−5000cs)、メチルハイドロジエンシリ
コーンオイル(SH1107)、アルコール変性シリコ
ーンオイル(SF8427、SF8428)に10重量
%以上の相溶性を有する。
【0016】前記溶剤可溶性シリコーン系高分子の配合
量は、ジエン系ゴム100重量部に対して、2〜40重
量部、好ましくは3〜30重量部、より好ましくは3〜
25重量部とすることができる。前記溶剤可溶性シリコ
ーン系高分子の配合量が2重量部未満では、撥水性の改
善効果が小さく、40重量部をこえると耐摩耗性が低下
する。
【0017】本発明のトレッド用ゴム組成物は、前記ジ
エン系ゴムおよび溶剤可溶性シリコーン系高分子を通常
の加工装置、たとえばロール、バンバリーミキサー、ニ
ーダーなどにより混練りすることにより得られる。本発
明のトレッド用ゴム組成物には、前記成分のほかにトレ
ッド用ゴム組成物の製造に一般に使用される成分、添加
剤を必要に応じて通常使用される量、配合・添加しても
よい。前記成分、添加剤の具体例としては、たとえば、
充填剤(カーボンブラック、シリカなど)、プロセスオ
イル(パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセ
スオイル、芳香族系プロセスオイルなど)、加硫剤(硫
黄、塩化硫黄化合物、有機硫黄化合物など)、加硫促進
剤(グアジニン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド
−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、
チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザン
デート系の化合物など)、架橋剤(有機パーオキサイド
化合物、アゾ化合物などのラジカル発生剤や、オキシム
化合物、ニトロソ化合物、ポリアミン化合物など)、補
強剤(ハイインパクトポリスチレン樹脂、フェノール−
ホルムアルデヒド樹脂など)、酸化防止剤ないし老化防
止剤(ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系
などのアミン誘導体、キノリン誘導体、ハイドロキノン
誘導体、モノフェノール類、ジフェノール類、チオビス
フェノール類、ヒンダードフェノール類、亜リン酸エス
テル類など)、ワックス、ステアリン酸、酸化亜鉛、軟
化剤、短繊維、可塑剤などがあげられる。
【0018】とくに限定するものではないが、通常、前
記充填剤は20〜150重量部配合することができ、前
記プロセスオイルは5〜180重量部配合することがで
きる。
【0019】
【実施例】以下に実施例にもとづいて本発明を具体的に
説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものでは
ない。
【0020】以下、実施例で用いた薬品、試験方法をま
とめて示す。
【0021】(薬品) 溶液重合SBR:日本ゼオン(株)製のNS210(結
合スチレン量25%、非油展) カーボンブラック:昭和キャボット(株)製のショウブ
ラックN220 アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製のJOMO
X140 溶剤可溶性シリコーン系高分子粒子:東レ・ダウコーニ
ング・シリコーン(株)製のトレフィルR−910 溶剤不溶性シリコーン系高分子粒子:東レ・ダウコーニ
ング・シリコーン(株)製のトレフィルE−500(−
Si(CH32−O−で表わされる繰り返し単位からな
る) 老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6
C(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)
−p−フェニレンジアミン) ステアリン酸:日本油脂(株)製 酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種 硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄 加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーC
Z(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフ
ェンアミド)
【0022】(試験方法) 1)ランボーン摩擦試験 測定温度40℃、負荷荷重2.5kgf、スリップ率4
0%、落差量20g/分、測定時間4分間の測定条件で
試験を行なった。各例の重量変化より容積損失を計算
し、比較例1の容積損失を100(基準)として下記計
算式で指数化(ランボーン指数)した。ランボーン指数
が大きいものほど耐摩耗性に優れる。 ランボーン指数(摩耗指数)= 基準配合の溶積損失÷
容積損失 × 100
【0023】2)ウェットスキッド試験 スタンレー製ポータブルスキッドテスターを用いてスキ
ッドレジスタンスを測定した。測定は、室温で、セーフ
ティーウォークの上に水膜1mmをはった路面で行なっ
た。比較例1のスキッドレジスタンスを100(基準)
として下記式で指数化した。指数が大きいものほどウェ
ットスキッド性能に優れる。 ウェットスキッド指数=基準配合(比較例1)のスキッ
ドレジスタンス÷スキッドレジスタンス × 100
【0024】3)氷上スキッド試験 路面の表面温度を−1℃とし、表面、測定温度(試験室
温度)を−3℃にした他は、2)と同様の方法で試験を
行ない、指数化(氷上スキッド指数)した。氷上スキッ
ド指数が大きいものほど氷上スキッド性能に優れる。
【0025】実施例1〜3および比較例1〜3 硫黄および加硫促進剤以外の表1に示す成分を、1.7
Lバンバリーミキサーで混練りした。そののち、硫黄お
よび加硫剤をロールで混入し、ゴムシートを作成した。
このゴムシートを170℃で20分間の条件で加硫し、
前述の物性試験を行なった。
【0026】
【表1】
【0027】結果を表2に示す。
【0028】
【表2】
【0029】シリコーン系高分子粒子を用いなかった比
較例1に対し、溶剤可溶性シリコーン系高分子をジエン
系ゴム100重量部に対して5〜40重量部配合した実
施例1〜3では、耐摩耗性を低下させずにウェットスキ
ッド性能および氷上スキッド性能を高めることができ
た。
【0030】溶剤可溶性シリコーン系高分子粒子の配合
量が多かった比較例2では、耐摩耗性が低下した。
【0031】なお、溶剤可溶性シリコーン系高分子粒子
の代わりに溶剤不溶性シリコーン系高分子粒子を用いた
比較例3では、ウェットスキッド性能および氷上スキッ
ド性能は改善されたが、耐摩耗性が大きく低下した。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、トレッド用ゴム組成物
の耐摩耗性を保ちつつ、ウェットグリップ性能および氷
上グリップ性能を向上させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AC011 AC031 AC061 AC081 BB181 BB241 CP032 CP142 FD010 FD020 FD070 FD140 FD150 GN01

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジエン系ゴム100重量部に対し、溶剤
    可溶性シリコーン系高分子を2〜40重量部含むことを
    特徴とするトレッド用ゴム組成物。
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