JP2001328868A - 六方晶窒化ホウ素焼結体 - Google Patents
六方晶窒化ホウ素焼結体Info
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- JP2001328868A JP2001328868A JP2001059485A JP2001059485A JP2001328868A JP 2001328868 A JP2001328868 A JP 2001328868A JP 2001059485 A JP2001059485 A JP 2001059485A JP 2001059485 A JP2001059485 A JP 2001059485A JP 2001328868 A JP2001328868 A JP 2001328868A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 六方晶窒化ホウ素をマトリックスとする焼結
体において、六方晶窒化ホウ素が本来備える特性を阻害
しない範囲の量を添加するだけで前記焼結体を充分に緻
密化でき、更に高温でも六方晶窒化ホウ素のマトリック
スと添加された材料との界面で過度に強固な結合を生じ
させない焼結助剤を用いる六方晶窒化ホウ素焼結体を提
供することを目的とする。 【解決手段】 総量が100%となるように六方晶窒化
ホウ素が75〜96.5質量%と、ホウ素が3〜20質
量%と、炭素が0.5〜5質量%とを有する粉体混合
物、または、総量が100%となるように六方晶窒化ホ
ウ素が75〜97質量%と、ホウ素が3〜25質量%と
を有する粉体混合物を窒素雰囲気中、またはアルゴン、
クリプトンおよびキセノンからなる群の中から選ばれた
1種の不活性ガスの雰囲気中で加圧焼結法によって焼結
する。
体において、六方晶窒化ホウ素が本来備える特性を阻害
しない範囲の量を添加するだけで前記焼結体を充分に緻
密化でき、更に高温でも六方晶窒化ホウ素のマトリック
スと添加された材料との界面で過度に強固な結合を生じ
させない焼結助剤を用いる六方晶窒化ホウ素焼結体を提
供することを目的とする。 【解決手段】 総量が100%となるように六方晶窒化
ホウ素が75〜96.5質量%と、ホウ素が3〜20質
量%と、炭素が0.5〜5質量%とを有する粉体混合
物、または、総量が100%となるように六方晶窒化ホ
ウ素が75〜97質量%と、ホウ素が3〜25質量%と
を有する粉体混合物を窒素雰囲気中、またはアルゴン、
クリプトンおよびキセノンからなる群の中から選ばれた
1種の不活性ガスの雰囲気中で加圧焼結法によって焼結
する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は焼結助剤を添加した
六方晶窒化ホウ素を焼結して得られる六方晶窒化ホウ素
焼結体に係り、特に相対密度と力学的強度を高めたもの
に関する。
六方晶窒化ホウ素を焼結して得られる六方晶窒化ホウ素
焼結体に係り、特に相対密度と力学的強度を高めたもの
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、六方晶窒化ホウ素(以下、「hB
N」という。)をマトリックスとする焼結体は、機械的
加工性、耐熱性、耐酸化性、耐熱衝撃性、電気絶縁性、
潤滑性、放熱性、離型性等の多くの力学的、電気的およ
び化学的特性に優れているため、種々の用途に適用され
ている。
N」という。)をマトリックスとする焼結体は、機械的
加工性、耐熱性、耐酸化性、耐熱衝撃性、電気絶縁性、
潤滑性、放熱性、離型性等の多くの力学的、電気的およ
び化学的特性に優れているため、種々の用途に適用され
ている。
【0003】このhBNをマトリックスとする焼結体に
備わる種々の特性の中で、hBNが黒鉛に類似した結晶
構造を有し、しかも黒鉛に比べて高い耐酸化性を有して
いることから、従来の高温構造用材料向けの繊維強化複
合材料である炭素繊維強化炭素複合材料(C/C材料)
に置き換わる材料として、炭素繊維強化hBN複合材料
が注目され、その適用が種々試みられている。
備わる種々の特性の中で、hBNが黒鉛に類似した結晶
構造を有し、しかも黒鉛に比べて高い耐酸化性を有して
いることから、従来の高温構造用材料向けの繊維強化複
合材料である炭素繊維強化炭素複合材料(C/C材料)
に置き換わる材料として、炭素繊維強化hBN複合材料
が注目され、その適用が種々試みられている。
【0004】このようなhBNをマトリックスとする焼
結体と炭素繊維等の強化材料とを複合させてなる複合材
料は、一般に、hBNのマトリックス中に炭素繊維等の
強化材料を添加したものを焼結することによって所要の
力学的強度を付与した六方晶窒化ホウ素焼結体を作製
し、その後、所定の形状を有する焼結体に加工されて実
用に供される。
結体と炭素繊維等の強化材料とを複合させてなる複合材
料は、一般に、hBNのマトリックス中に炭素繊維等の
強化材料を添加したものを焼結することによって所要の
力学的強度を付与した六方晶窒化ホウ素焼結体を作製
し、その後、所定の形状を有する焼結体に加工されて実
用に供される。
【0005】なお、以下の説明では、セラミックスの力
学的強度を高めるために添加される炭素繊維、セラミッ
クスの繊維、セラミックスの粒子、およびセラミックス
ウィスカー等を総称して「強化材料」という。そして、
この強化材料によって形成された相を「強化相」とい
う。また、この強化材料を含まないものを「単味」とい
う。
学的強度を高めるために添加される炭素繊維、セラミッ
クスの繊維、セラミックスの粒子、およびセラミックス
ウィスカー等を総称して「強化材料」という。そして、
この強化材料によって形成された相を「強化相」とい
う。また、この強化材料を含まないものを「単味」とい
う。
【0006】しかしながら、hBNはそれ自体が化学的
に非常に安定なことにより、hBN同士が化学結合を形
成し難く、例えば、hBNの単味、または、hBNのマ
トリックスに前記強化材料を添加したものを、ホットプ
レス装置等を用いる加圧焼結法で焼結しても、通常、実
用的に充分な力学的強度を備えるhBNの焼結体は得ら
れない。
に非常に安定なことにより、hBN同士が化学結合を形
成し難く、例えば、hBNの単味、または、hBNのマ
トリックスに前記強化材料を添加したものを、ホットプ
レス装置等を用いる加圧焼結法で焼結しても、通常、実
用的に充分な力学的強度を備えるhBNの焼結体は得ら
れない。
【0007】そこで、hBN(六方晶窒化ホウ素)のマ
トリックスを有する焼結体を製造する際には、hBNの
マトリックス中にhBNの粉体の粒子同士を結合させる
ための焼結助剤を添加して前記加圧焼結法を施し、hB
Nのマトリックスを緻密化することによって、六方晶窒
化ホウ素焼結体に所要の力学的強度が付与されている。
トリックスを有する焼結体を製造する際には、hBNの
マトリックス中にhBNの粉体の粒子同士を結合させる
ための焼結助剤を添加して前記加圧焼結法を施し、hB
Nのマトリックスを緻密化することによって、六方晶窒
化ホウ素焼結体に所要の力学的強度が付与されている。
【0008】前記hBNの粉体の粒子同士を結合させる
ための焼結助剤としては、例えば、金属の酸化物、窒化
物、酸窒化物、炭化物、または、焼結によってこれらに
変化し得る化合物、もしくは焼結によってこれらに変化
し得る化合物前駆体ポリマー等が挙げられる。前記前駆
体ポリマーとしては、例えば、焼結により窒化ケイ素に
変化し得る前駆体ポリマーとしてのポリシラザン等が挙
げられる(例えば、学術論文であるD.Launay
and F.Thevenot、Science of
Ceramics、11、p251−256(198
1)、T.Hagio、K.Kobayashi an
d H.Yoshida、J.Am.Ceram.So
c.、72[8]、p1482−1484(198
9)、L.Maya and Angelini、J.
Am.Ceram.Soc.、73[2]、p297−
302(1990)に記載されている)。
ための焼結助剤としては、例えば、金属の酸化物、窒化
物、酸窒化物、炭化物、または、焼結によってこれらに
変化し得る化合物、もしくは焼結によってこれらに変化
し得る化合物前駆体ポリマー等が挙げられる。前記前駆
体ポリマーとしては、例えば、焼結により窒化ケイ素に
変化し得る前駆体ポリマーとしてのポリシラザン等が挙
げられる(例えば、学術論文であるD.Launay
and F.Thevenot、Science of
Ceramics、11、p251−256(198
1)、T.Hagio、K.Kobayashi an
d H.Yoshida、J.Am.Ceram.So
c.、72[8]、p1482−1484(198
9)、L.Maya and Angelini、J.
Am.Ceram.Soc.、73[2]、p297−
302(1990)に記載されている)。
【0009】しかしながら、このようにしてhBNをマ
トリックスとする六方晶窒化ホウ素焼結体を充分に緻密
化し、より高い力学的強度を有する六方晶窒化ホウ素焼
結体を作製するにあたって、前記焼結助剤の添加量を必
要に応じて増加させねばならず、場合によってはこの六
方晶窒化ホウ素焼結体の主要構成物である窒化ホウ素の
含有量よりもこの焼結助剤の含有量の方が多くなってし
まうことがある。その場合には、六方晶窒化ホウ素焼結
体が本来備える力学的、電気的および化学的特性のう
ち、例えば、耐酸化性や高温安定性が損なわれてしまう
という問題があった。
トリックスとする六方晶窒化ホウ素焼結体を充分に緻密
化し、より高い力学的強度を有する六方晶窒化ホウ素焼
結体を作製するにあたって、前記焼結助剤の添加量を必
要に応じて増加させねばならず、場合によってはこの六
方晶窒化ホウ素焼結体の主要構成物である窒化ホウ素の
含有量よりもこの焼結助剤の含有量の方が多くなってし
まうことがある。その場合には、六方晶窒化ホウ素焼結
体が本来備える力学的、電気的および化学的特性のう
ち、例えば、耐酸化性や高温安定性が損なわれてしまう
という問題があった。
【0010】また、六方晶窒化ホウ素焼結体に所要の強
度を付与するべく、hBNのマトリックスに前記焼結助
剤と強化材料とを添加して強化複合材料を作製する場合
に、この焼結助剤と強化材料とが反応して化合物を生成
すると、前記マトリックスと強化材料との結合が過度に
強固となることがある。その結果、このようにマトリッ
クスと強化材料との結合が過度に強固となった六方晶窒
化ホウ素焼結体では、力学的負荷が繰返し作用するなど
してこの焼結体が元来有している欠陥部から亀裂が進展
する場合に、強化材料の繊維の引き抜けが適切に起こら
ないことによりエネルギ吸収能が阻害されて強度が低下
し、強化材料を添加した効果が充分に活かされなくなる
という問題が発生するおそれがある。
度を付与するべく、hBNのマトリックスに前記焼結助
剤と強化材料とを添加して強化複合材料を作製する場合
に、この焼結助剤と強化材料とが反応して化合物を生成
すると、前記マトリックスと強化材料との結合が過度に
強固となることがある。その結果、このようにマトリッ
クスと強化材料との結合が過度に強固となった六方晶窒
化ホウ素焼結体では、力学的負荷が繰返し作用するなど
してこの焼結体が元来有している欠陥部から亀裂が進展
する場合に、強化材料の繊維の引き抜けが適切に起こら
ないことによりエネルギ吸収能が阻害されて強度が低下
し、強化材料を添加した効果が充分に活かされなくなる
という問題が発生するおそれがある。
【0011】例えば、hBN(六方晶窒化ホウ素)の粉
体と、焼結助剤たるSiO2 の粉体と強化材料たる炭素
繊維とを加圧焼結して炭素繊維強化hBN複合材料を作
製する際に、この複合材料のマトリックス中でSiO2
と炭素繊維とが反応してSiCが過剰に生成すると、前
記したような問題が発生し易くなる。すなわち、このよ
うな炭素繊維強化hBN複合材料では、hBNのマトリ
ックスと炭素繊維との結合が過度に強固となって力学的
負荷が繰返し作用した場合などに、強度が低下し易くな
る。このようなhBNのマトリックスと強化材料との間
で形成される過度に強固な結合は、特に、高温下で原料
を焼結する際に促進されることが知られている。
体と、焼結助剤たるSiO2 の粉体と強化材料たる炭素
繊維とを加圧焼結して炭素繊維強化hBN複合材料を作
製する際に、この複合材料のマトリックス中でSiO2
と炭素繊維とが反応してSiCが過剰に生成すると、前
記したような問題が発生し易くなる。すなわち、このよ
うな炭素繊維強化hBN複合材料では、hBNのマトリ
ックスと炭素繊維との結合が過度に強固となって力学的
負荷が繰返し作用した場合などに、強度が低下し易くな
る。このようなhBNのマトリックスと強化材料との間
で形成される過度に強固な結合は、特に、高温下で原料
を焼結する際に促進されることが知られている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記課題を解
決するためになされたものであって、六方晶窒化ホウ素
をマトリックスとするセラミックスの焼結体において、
六方晶窒化ホウ素が本来備える特性を阻害しない範囲の
量を添加するのみで前記焼結体を充分に緻密化すること
ができ、さらに、高温下でも六方晶窒化ホウ素のマトリ
ックスと添加された材料との界面で過度に強固な結合を
生じさせないような焼結助剤を用いた六方晶窒化ホウ素
焼結体を提供することを目的とする。
決するためになされたものであって、六方晶窒化ホウ素
をマトリックスとするセラミックスの焼結体において、
六方晶窒化ホウ素が本来備える特性を阻害しない範囲の
量を添加するのみで前記焼結体を充分に緻密化すること
ができ、さらに、高温下でも六方晶窒化ホウ素のマトリ
ックスと添加された材料との界面で過度に強固な結合を
生じさせないような焼結助剤を用いた六方晶窒化ホウ素
焼結体を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、六方晶窒
化ホウ素焼結体の製造に使用する焼結助剤の種類および
添加量と、得られた六方晶窒化ホウ素焼結体の緻密性お
よび機械的強度との関係について鋭意検討を重ねた結
果、焼結助剤としてホウ素および炭素の両方、またはホ
ウ素を用い、前記焼結助剤の六方晶窒化ホウ素への添加
量を最適化して、窒素(N2)ガス雰囲気中、またはア
ルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)およびキセノン
(Xe)からなる群の中から選択された1種の不活性ガ
ス雰囲気中で加圧焼結法によって焼結することで、前記
課題を解決できることを見いだし、本発明を創作するに
至った。
化ホウ素焼結体の製造に使用する焼結助剤の種類および
添加量と、得られた六方晶窒化ホウ素焼結体の緻密性お
よび機械的強度との関係について鋭意検討を重ねた結
果、焼結助剤としてホウ素および炭素の両方、またはホ
ウ素を用い、前記焼結助剤の六方晶窒化ホウ素への添加
量を最適化して、窒素(N2)ガス雰囲気中、またはア
ルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)およびキセノン
(Xe)からなる群の中から選択された1種の不活性ガ
ス雰囲気中で加圧焼結法によって焼結することで、前記
課題を解決できることを見いだし、本発明を創作するに
至った。
【0014】すなわち、本発明の第1の態様は、総量が
100%となるように六方晶窒化ホウ素が75〜96.
5質量%と、ホウ素が3〜20質量%と、炭素が0.5
〜5質量%とで構成される粉体の混合物を、窒素
(N2)ガス雰囲気中、またはアルゴン(Ar)、クリ
プトン(Kr)およびキセノン(Xe)からなる群の中
から選択された1種の不活性ガス雰囲気中で加圧焼結法
によって焼結する構成とした。
100%となるように六方晶窒化ホウ素が75〜96.
5質量%と、ホウ素が3〜20質量%と、炭素が0.5
〜5質量%とで構成される粉体の混合物を、窒素
(N2)ガス雰囲気中、またはアルゴン(Ar)、クリ
プトン(Kr)およびキセノン(Xe)からなる群の中
から選択された1種の不活性ガス雰囲気中で加圧焼結法
によって焼結する構成とした。
【0015】このように構成すれば、前記N2ガス雰囲
気中で前記加圧焼結を行なう過程では、添加したホウ素
は主に窒化ホウ素に変化して六方晶窒化ホウ素中に元々
存在する窒化ホウ素と結合する。その結果、このホウ素
は六方晶窒化ホウ素の粉体の粒子同士を充分な強度で結
合させて、より高い強度を有する六方晶窒化ホウ素焼結
体を具現化することができる。
気中で前記加圧焼結を行なう過程では、添加したホウ素
は主に窒化ホウ素に変化して六方晶窒化ホウ素中に元々
存在する窒化ホウ素と結合する。その結果、このホウ素
は六方晶窒化ホウ素の粉体の粒子同士を充分な強度で結
合させて、より高い強度を有する六方晶窒化ホウ素焼結
体を具現化することができる。
【0016】また、前記Ar、KrおよびXeからなる
群の中から選択された1種の不活性ガス雰囲気中で前記
加圧焼結を行なう過程では、添加したホウ素は主に炭化
ホウ素に変化して六方晶窒化ホウ素中に元々存在する窒
化ホウ素と結合する。その結果、六方晶窒化ホウ素の粉
体の粒子同士を充分な強度で結合させて、より高い強度
を有する六方晶窒化ホウ素焼結体を具現化することがで
きる。すなわち、炭素(前記加圧焼結の際に黒鉛からな
る型である「黒鉛型」を用いる場合には、この黒鉛型か
ら供給される炭素を含む)とホウ素のそれぞれの一部同
士が反応することによって生じる炭化ホウ素が分散強化
粒子として作用し、前記六方晶窒化ホウ素のマトリック
スをより安定的に強化させる効果が得られる。
群の中から選択された1種の不活性ガス雰囲気中で前記
加圧焼結を行なう過程では、添加したホウ素は主に炭化
ホウ素に変化して六方晶窒化ホウ素中に元々存在する窒
化ホウ素と結合する。その結果、六方晶窒化ホウ素の粉
体の粒子同士を充分な強度で結合させて、より高い強度
を有する六方晶窒化ホウ素焼結体を具現化することがで
きる。すなわち、炭素(前記加圧焼結の際に黒鉛からな
る型である「黒鉛型」を用いる場合には、この黒鉛型か
ら供給される炭素を含む)とホウ素のそれぞれの一部同
士が反応することによって生じる炭化ホウ素が分散強化
粒子として作用し、前記六方晶窒化ホウ素のマトリック
スをより安定的に強化させる効果が得られる。
【0017】さらに、前記炭素の一部が六方晶窒化ホウ
素のマトリックス中に存在するホウ素または窒化ホウ素
から生成したホウ素の酸化物(B2O3等)と反応して炭
化物を形成することにより、前記ホウ素の酸化物の生成
によって生じる発泡現象を抑制して前記マトリックスの
強化相における界面の層間剥離を防ぐ効果が得られる可
能性がある。
素のマトリックス中に存在するホウ素または窒化ホウ素
から生成したホウ素の酸化物(B2O3等)と反応して炭
化物を形成することにより、前記ホウ素の酸化物の生成
によって生じる発泡現象を抑制して前記マトリックスの
強化相における界面の層間剥離を防ぐ効果が得られる可
能性がある。
【0018】また、本発明の第2の態様は、総量が10
0%となるように六方晶窒化ホウ素が75〜97質量%
と、ホウ素が3〜25質量%とで構成される粉体の混合
物を、N2ガス雰囲気中、またはAr、KrおよびXe
からなる群の中から選択された1種の不活性ガス雰囲気
中で加圧焼結法によって焼結する構成とした。
0%となるように六方晶窒化ホウ素が75〜97質量%
と、ホウ素が3〜25質量%とで構成される粉体の混合
物を、N2ガス雰囲気中、またはAr、KrおよびXe
からなる群の中から選択された1種の不活性ガス雰囲気
中で加圧焼結法によって焼結する構成とした。
【0019】このように構成すれば、前記第1の態様と
同様に、前記N2ガス雰囲気中で加圧焼結を行なう過程
では、添加したホウ素は主に窒化ホウ素に変化して六方
晶窒化ホウ素中に元々存在する窒化ホウ素と結合するこ
とによって、より高い強度を有する六方晶窒化ホウ素焼
結体を具現化することができる。また、このように構成
される六方晶窒化ホウ素焼結体には炭素が含有されない
ため、炭素の混入を嫌う用途にも前記六方晶窒化ホウ素
焼結体を適用させることができる。
同様に、前記N2ガス雰囲気中で加圧焼結を行なう過程
では、添加したホウ素は主に窒化ホウ素に変化して六方
晶窒化ホウ素中に元々存在する窒化ホウ素と結合するこ
とによって、より高い強度を有する六方晶窒化ホウ素焼
結体を具現化することができる。また、このように構成
される六方晶窒化ホウ素焼結体には炭素が含有されない
ため、炭素の混入を嫌う用途にも前記六方晶窒化ホウ素
焼結体を適用させることができる。
【0020】また、前記Ar、KrおよびXeからなる
群の中から選択された1種の不活性ガス雰囲気中で加圧
焼結を行なう過程では、添加したホウ素は主に炭化ホウ
素に変化して、六方晶窒化ホウ素中に元々存在する窒化
ホウ素と結合することによって、より高い強度を有する
六方晶窒化ホウ素焼結体を具現化することができる。
群の中から選択された1種の不活性ガス雰囲気中で加圧
焼結を行なう過程では、添加したホウ素は主に炭化ホウ
素に変化して、六方晶窒化ホウ素中に元々存在する窒化
ホウ素と結合することによって、より高い強度を有する
六方晶窒化ホウ素焼結体を具現化することができる。
【0021】また、本発明の第3の態様は、前記第1ま
たは第2の態様において、前記粉体の混合物中に、粒子
状のセラミックス、繊維状のセラミックス、セラミック
スウィスカーおよび炭素繊維の中から選択された少なく
とも1種を添加することが好ましい。
たは第2の態様において、前記粉体の混合物中に、粒子
状のセラミックス、繊維状のセラミックス、セラミック
スウィスカーおよび炭素繊維の中から選択された少なく
とも1種を添加することが好ましい。
【0022】このように構成すれば、前記第1または第
2の態様における粉体の混合物中に、粒子状のセラミッ
クス、繊維状のセラミックス、セラミックスウィスカー
および炭素繊維の中から選択された少なくとも1種を加
えることによって、本発明に係る六方晶窒化ホウ素焼結
体のマトリックス中に強化相を形成することができるの
で、前記第1または第2の態様の効果に加えてより一層
高い強度を備える六方晶窒化ホウ素焼結体を具現化する
ことができる。
2の態様における粉体の混合物中に、粒子状のセラミッ
クス、繊維状のセラミックス、セラミックスウィスカー
および炭素繊維の中から選択された少なくとも1種を加
えることによって、本発明に係る六方晶窒化ホウ素焼結
体のマトリックス中に強化相を形成することができるの
で、前記第1または第2の態様の効果に加えてより一層
高い強度を備える六方晶窒化ホウ素焼結体を具現化する
ことができる。
【0023】そして、本発明の第4の態様は、前記第1
または第2の態様において、相対密度が80%以上およ
び曲げ強度が50MPa以上である六方晶窒化ホウ素焼
結体として構成した。このように構成すれば、六方晶窒
化ホウ素焼結体が窒化ホウ素の単味(強化材料を含まな
いもの)で前記相対密度と曲げ強度とを有するので、六
方晶窒化ホウ素の単味からなる六方晶窒化ホウ素焼結体
の適用分野を拡大することができる。
または第2の態様において、相対密度が80%以上およ
び曲げ強度が50MPa以上である六方晶窒化ホウ素焼
結体として構成した。このように構成すれば、六方晶窒
化ホウ素焼結体が窒化ホウ素の単味(強化材料を含まな
いもの)で前記相対密度と曲げ強度とを有するので、六
方晶窒化ホウ素の単味からなる六方晶窒化ホウ素焼結体
の適用分野を拡大することができる。
【0024】ここで、「相対密度」とは、多孔質体の密
度(多孔質体のかさ密度)と、この多孔質体と同一組成
の材料で気孔のない状態における密度(多孔質体の真の
密度)との比(ここでは百分率で表した比率)を意味し
(JIS Z2500を参照)、ここでは下記式
(1)、式(2)および式(3)を用いて算出した値を
いう。 db=W/V …(1) dt=[(W2−W1)/{(W4−W1)−(W3−W2)}]×S …(2) dr=(db/dt)×100 …(3)
度(多孔質体のかさ密度)と、この多孔質体と同一組成
の材料で気孔のない状態における密度(多孔質体の真の
密度)との比(ここでは百分率で表した比率)を意味し
(JIS Z2500を参照)、ここでは下記式
(1)、式(2)および式(3)を用いて算出した値を
いう。 db=W/V …(1) dt=[(W2−W1)/{(W4−W1)−(W3−W2)}]×S …(2) dr=(db/dt)×100 …(3)
【0025】上記式(1)中、dbは試料のかさ密度
(g/cm3)であり、Wは試料の乾燥質量(g)であ
り、Vは試料の実測体積(cm3)である。また、上記
式(2)中、dtは試料の真の密度(g/cm3)であ
り、W1は試料が充填される比重ビンの質量(g)であ
り、W2は微粉砕された試料と前記比重ビンとの合計の
質量(g)であり、W3は微粉砕された試料が充填され
た比重ビンにブチルアルコールを満たしたときの質量で
あり、W4は比重ビンにブチルアルコールのみを満たし
たときの質量(g)であり、Sは測定時の温度における
ブチルアルコールの密度である。さらに、上記式(3)
中、drは相対密度(%)である。
(g/cm3)であり、Wは試料の乾燥質量(g)であ
り、Vは試料の実測体積(cm3)である。また、上記
式(2)中、dtは試料の真の密度(g/cm3)であ
り、W1は試料が充填される比重ビンの質量(g)であ
り、W2は微粉砕された試料と前記比重ビンとの合計の
質量(g)であり、W3は微粉砕された試料が充填され
た比重ビンにブチルアルコールを満たしたときの質量で
あり、W4は比重ビンにブチルアルコールのみを満たし
たときの質量(g)であり、Sは測定時の温度における
ブチルアルコールの密度である。さらに、上記式(3)
中、drは相対密度(%)である。
【0026】そして、本発明の第5の態様は、前記第3
の態様において、相対密度が80%以上、および曲げ強
度が100MPa以上である六方晶窒化ホウ素焼結体と
して構成した。このように構成すれば、六方晶窒化ホウ
素焼結体が窒化ホウ素のマトリックス中に強化相を形成
することで前記相対密度と曲げ強度とが実現されるの
で、六方晶窒化ホウ素をマトリックスとする複合材料の
適用分野をさらに拡大することができる。なお、添加し
たホウ素から生成する炭化ホウ素は強化相として作用す
る。
の態様において、相対密度が80%以上、および曲げ強
度が100MPa以上である六方晶窒化ホウ素焼結体と
して構成した。このように構成すれば、六方晶窒化ホウ
素焼結体が窒化ホウ素のマトリックス中に強化相を形成
することで前記相対密度と曲げ強度とが実現されるの
で、六方晶窒化ホウ素をマトリックスとする複合材料の
適用分野をさらに拡大することができる。なお、添加し
たホウ素から生成する炭化ホウ素は強化相として作用す
る。
【0027】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態につ
いて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明
はこの実施の形態のみに限定されるものではなく、本発
明の技術的思想に基づく限りにおいて適宜に変更するこ
とが可能である。本発明に係る六方晶窒化ホウ素焼結体
は、総量が100%となるように六方晶窒化ホウ素と、
ホウ素と、炭素とを各々所定の量含有してなる粉体の混
合物、または総量が100%となるように六方晶窒化ホ
ウ素と、ホウ素とを各々所定の量含有してなる粉体の混
合物を、N2ガス雰囲気中、またはAr、KrおよびX
eからなる群の中から選択された1種の不活性ガス雰囲
気中で加圧焼結法によって焼結し、また強化層を形成す
るための添加物を添加して所定の強度を有するように形
成されるものである。以下、本発明に係る六方晶窒化ホ
ウ素焼結体で化学組成を規制した理由、前記添加物およ
び焼結法について説明する。
いて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明
はこの実施の形態のみに限定されるものではなく、本発
明の技術的思想に基づく限りにおいて適宜に変更するこ
とが可能である。本発明に係る六方晶窒化ホウ素焼結体
は、総量が100%となるように六方晶窒化ホウ素と、
ホウ素と、炭素とを各々所定の量含有してなる粉体の混
合物、または総量が100%となるように六方晶窒化ホ
ウ素と、ホウ素とを各々所定の量含有してなる粉体の混
合物を、N2ガス雰囲気中、またはAr、KrおよびX
eからなる群の中から選択された1種の不活性ガス雰囲
気中で加圧焼結法によって焼結し、また強化層を形成す
るための添加物を添加して所定の強度を有するように形
成されるものである。以下、本発明に係る六方晶窒化ホ
ウ素焼結体で化学組成を規制した理由、前記添加物およ
び焼結法について説明する。
【0028】《六方晶窒化ホウ素》本発明に係る六方晶
称窒化ホウ素焼結体に用いられる六方晶窒化ホウ素(以
下、「hBN」という。)は、六方晶窒化ホウ素焼結体
のマトリックスを形成するものである。このようなhB
Nは、焼結助剤として添加するホウ素および炭素の反応
を阻害しないような純度、結晶性、および粒度分布を備
える粉体であればよい。
称窒化ホウ素焼結体に用いられる六方晶窒化ホウ素(以
下、「hBN」という。)は、六方晶窒化ホウ素焼結体
のマトリックスを形成するものである。このようなhB
Nは、焼結助剤として添加するホウ素および炭素の反応
を阻害しないような純度、結晶性、および粒度分布を備
える粉体であればよい。
【0029】したがって、hBNの純度と結晶性は高け
れば高い程好ましいが、実用的な面から純度は少なくと
も98質量%であることが好ましく、結晶性はX線回折
法によって得られる回折パターンで27度近傍の位置に
hBNの(002)面のKα線による明確なピークが出
現する程度の結晶性を有することが望ましい。また、粒
度については、前記反応焼結性を一定以上に確保するた
めに、平均粒径が10μm程度以下であると都合がよ
い。また、前記反応焼結性を一層促進させるために、平
均粒径が5μm程度以下であるとさらに好ましい。
れば高い程好ましいが、実用的な面から純度は少なくと
も98質量%であることが好ましく、結晶性はX線回折
法によって得られる回折パターンで27度近傍の位置に
hBNの(002)面のKα線による明確なピークが出
現する程度の結晶性を有することが望ましい。また、粒
度については、前記反応焼結性を一定以上に確保するた
めに、平均粒径が10μm程度以下であると都合がよ
い。また、前記反応焼結性を一層促進させるために、平
均粒径が5μm程度以下であるとさらに好ましい。
【0030】《ホウ素》本発明に係る六方晶窒化ホウ素
焼結体に用いられるホウ素は、前記hBNを焼結する際
に焼結助剤としての役割を演ずるものである。すなわ
ち、添加されたホウ素は、前記N2ガス雰囲気中で加圧
焼結を行なう過程では主に窒化ホウ素に変化してhBN
中に元々存在する窒化ホウ素と結合し、また、Ar、K
rおよびXeからなる群の中から選択された1種の不活
性ガス雰囲気中で加圧焼結を行なう過程では主に炭化ホ
ウ素に変化してhBN中に元々存在する窒化ホウ素と結
合することによって、hBNの粉体の粒子同士を充分な
強度で結合させて所要の強度を有する六方晶窒化ホウ素
焼結体を具現化するものである。
焼結体に用いられるホウ素は、前記hBNを焼結する際
に焼結助剤としての役割を演ずるものである。すなわ
ち、添加されたホウ素は、前記N2ガス雰囲気中で加圧
焼結を行なう過程では主に窒化ホウ素に変化してhBN
中に元々存在する窒化ホウ素と結合し、また、Ar、K
rおよびXeからなる群の中から選択された1種の不活
性ガス雰囲気中で加圧焼結を行なう過程では主に炭化ホ
ウ素に変化してhBN中に元々存在する窒化ホウ素と結
合することによって、hBNの粉体の粒子同士を充分な
強度で結合させて所要の強度を有する六方晶窒化ホウ素
焼結体を具現化するものである。
【0031】このようなホウ素としては、hBNの生成
反応を阻害しないような純度と、粒度分布とを備える粉
体であればよい。したがって、純度は高ければ高いほど
好ましいが、実用面から純度は少なくとも95質量%で
あることが好ましい。また、粒度については、前記反応
焼結性を所要の程度以上に保持するために、平均粒径が
1μm以下であることが好ましい。また、前記反応焼結
性を一層促進させるためには、平均粒径が0.1μm以
下であることがさらに好ましい。
反応を阻害しないような純度と、粒度分布とを備える粉
体であればよい。したがって、純度は高ければ高いほど
好ましいが、実用面から純度は少なくとも95質量%で
あることが好ましい。また、粒度については、前記反応
焼結性を所要の程度以上に保持するために、平均粒径が
1μm以下であることが好ましい。また、前記反応焼結
性を一層促進させるためには、平均粒径が0.1μm以
下であることがさらに好ましい。
【0032】《炭素》本発明に係る六方晶窒化ホウ素焼
結体に用いられる炭素は、前記ホウ素と同様に、hBN
を加圧焼結する際に焼結助剤としての役割を演ずるもの
である。すなわち、添加された炭素(前記加圧焼結の際
に黒鉛からなる型である「黒鉛型」を用いる場合には、
この黒鉛型から供給される炭素を含む)とホウ素のそれ
ぞれの一部同士が反応することによって生成される炭化
ホウ素が分散強化粒子として作用して前記hBNのマト
リックスをより安定的に強化させるものである。
結体に用いられる炭素は、前記ホウ素と同様に、hBN
を加圧焼結する際に焼結助剤としての役割を演ずるもの
である。すなわち、添加された炭素(前記加圧焼結の際
に黒鉛からなる型である「黒鉛型」を用いる場合には、
この黒鉛型から供給される炭素を含む)とホウ素のそれ
ぞれの一部同士が反応することによって生成される炭化
ホウ素が分散強化粒子として作用して前記hBNのマト
リックスをより安定的に強化させるものである。
【0033】このような炭素としては、hBNの生成反
応を阻害しないような純度を備えるものであればよい。
このような炭素は、炭素を主組成とする粉体であって
も、加熱処理によって所定の純度を有する炭素を供給す
ることができる化合物であってもよい。このように炭素
を供給することができる化合物としては、例えば、レゾ
ール型フェノール樹脂を挙げることができる。
応を阻害しないような純度を備えるものであればよい。
このような炭素は、炭素を主組成とする粉体であって
も、加熱処理によって所定の純度を有する炭素を供給す
ることができる化合物であってもよい。このように炭素
を供給することができる化合物としては、例えば、レゾ
ール型フェノール樹脂を挙げることができる。
【0034】なお、本発明に係る六方晶窒化ホウ素焼結
体に用いられるホウ素または炭素の供給源としては、前
記したようにそれぞれの成分が所要の純度以上に含まれ
る単味(強化材料を含まないもの)で構成しても、ある
いはホウ素と炭素とを含む化合物を用いてもよい。ホウ
素と炭素とを含む化合物としては、例えば、炭化ホウ素
(化学式:B4 C)が挙げられる。炭化ホウ素を用いる
場合には、純度が95%以上、かつ、平均粒径が1μm
以下であることが好ましい。さらに好ましくは、平均粒
径が0.1μm以下である。そして、結晶性はX線回折
パターンで22.2度、23.6度、35.0度、3
7.9度近傍の位置にピークが出現する程度の結晶性を
有することが望ましい。
体に用いられるホウ素または炭素の供給源としては、前
記したようにそれぞれの成分が所要の純度以上に含まれ
る単味(強化材料を含まないもの)で構成しても、ある
いはホウ素と炭素とを含む化合物を用いてもよい。ホウ
素と炭素とを含む化合物としては、例えば、炭化ホウ素
(化学式:B4 C)が挙げられる。炭化ホウ素を用いる
場合には、純度が95%以上、かつ、平均粒径が1μm
以下であることが好ましい。さらに好ましくは、平均粒
径が0.1μm以下である。そして、結晶性はX線回折
パターンで22.2度、23.6度、35.0度、3
7.9度近傍の位置にピークが出現する程度の結晶性を
有することが望ましい。
【0035】さらに、六方晶窒化ホウ素焼結体の強度を
より一層高めたい場合には、前記原料にセラミックス粒
子、セラミックス繊維、セラミックスウィスカーおよび
炭素繊維の中から選択された少なくとも1種を添加する
と都合がよい。
より一層高めたい場合には、前記原料にセラミックス粒
子、セラミックス繊維、セラミックスウィスカーおよび
炭素繊維の中から選択された少なくとも1種を添加する
と都合がよい。
【0036】《焼結時の雰囲気を構成するガス》本発明
に係る六方晶窒化ホウ素焼結体を形成する際の雰囲気を
構成するガスは、前記hBNの焼結が行なわれる際に、
酸化反応を抑えて所要の強度を有する六方晶窒化ホウ素
焼結体を形成させるものである。このようなガスとして
は、前記したようにN2ガス雰囲気中、またはAr、K
rおよびXeからなる群の中から選択された1種の不活
性ガスを必要に応じて用いることができる。これらのガ
スの純度は高ければ高い程好ましいが、実用的な面から
少なくとも98%であることが好ましい。
に係る六方晶窒化ホウ素焼結体を形成する際の雰囲気を
構成するガスは、前記hBNの焼結が行なわれる際に、
酸化反応を抑えて所要の強度を有する六方晶窒化ホウ素
焼結体を形成させるものである。このようなガスとして
は、前記したようにN2ガス雰囲気中、またはAr、K
rおよびXeからなる群の中から選択された1種の不活
性ガスを必要に応じて用いることができる。これらのガ
スの純度は高ければ高い程好ましいが、実用的な面から
少なくとも98%であることが好ましい。
【0037】これらの焼結時の雰囲気を構成するガスで
ある窒素ガス、または不活性ガスは、前記したようにh
BNの焼結助剤として添加されたホウ素の反応を選択的
に生じさせてhBNを強固に焼結させ、所要の強度を有
する六方晶窒化ホウ素焼結体の生成に寄与するものであ
る。すなわち、hBNの焼結助剤として添加されたホウ
素は、前記N2ガス雰囲気中で加圧焼結を行なう過程で
は主に窒化ホウ素に変化してhBN中に元々存在する窒
化ホウ素と結合し、また、Ar、KrおよびXeからな
る群の中から選択された1種の不活性ガス雰囲気中で加
圧焼結を行なう過程では主に炭化ホウ素に変化してhB
N中に元々存在する窒化ホウ素と結合することによっ
て、hBNの粉体の粒子同士を充分な強度で結合させて
所要の強度を有する六方晶窒化ホウ素焼結体を具現化す
ることができる。
ある窒素ガス、または不活性ガスは、前記したようにh
BNの焼結助剤として添加されたホウ素の反応を選択的
に生じさせてhBNを強固に焼結させ、所要の強度を有
する六方晶窒化ホウ素焼結体の生成に寄与するものであ
る。すなわち、hBNの焼結助剤として添加されたホウ
素は、前記N2ガス雰囲気中で加圧焼結を行なう過程で
は主に窒化ホウ素に変化してhBN中に元々存在する窒
化ホウ素と結合し、また、Ar、KrおよびXeからな
る群の中から選択された1種の不活性ガス雰囲気中で加
圧焼結を行なう過程では主に炭化ホウ素に変化してhB
N中に元々存在する窒化ホウ素と結合することによっ
て、hBNの粉体の粒子同士を充分な強度で結合させて
所要の強度を有する六方晶窒化ホウ素焼結体を具現化す
ることができる。
【0038】本発明にあっては、六方晶窒化ホウ素焼結
体のマトリックス中に強化相を形成して、より大きな強
度を備える六方晶窒化ホウ素焼結体を具現化するため
に、セラミックス粒子、セラミックス繊維、セラミック
スウィスカーおよび炭素繊維からなる群の中から選択さ
れた少なくとも1種の強化材料を添加することができ
る。以下、これらのセラミックス粒子、セラミックス繊
維、セラミックスウィスカーおよび炭素繊維の各々につ
いて説明する。
体のマトリックス中に強化相を形成して、より大きな強
度を備える六方晶窒化ホウ素焼結体を具現化するため
に、セラミックス粒子、セラミックス繊維、セラミック
スウィスカーおよび炭素繊維からなる群の中から選択さ
れた少なくとも1種の強化材料を添加することができ
る。以下、これらのセラミックス粒子、セラミックス繊
維、セラミックスウィスカーおよび炭素繊維の各々につ
いて説明する。
【0039】《セラミックス粒子》本発明に係る六方晶
窒化ホウ素焼結体に用いられるセラミックス粒子は、特
に限定されるものではなく、六方晶窒化ホウ素、ホウ素
および炭素と反応することなく化学的に安定であり、か
つ、所要の強度を付与することができるものであればよ
い。このようなセラミックス粒子としては、例えば、B
4C、Al2 O3 、SiCおよびSi3 N4 の中から選
択された1種または2種以上を含むセラミックス粒子を
用いることができる。このようなセラミックス粒子は、
平均粒径が0.1μm以下であることが望ましい。
窒化ホウ素焼結体に用いられるセラミックス粒子は、特
に限定されるものではなく、六方晶窒化ホウ素、ホウ素
および炭素と反応することなく化学的に安定であり、か
つ、所要の強度を付与することができるものであればよ
い。このようなセラミックス粒子としては、例えば、B
4C、Al2 O3 、SiCおよびSi3 N4 の中から選
択された1種または2種以上を含むセラミックス粒子を
用いることができる。このようなセラミックス粒子は、
平均粒径が0.1μm以下であることが望ましい。
【0040】《セラミックス繊維》本発明に係る六方晶
窒化ホウ素焼結体に用いられるセラミックス繊維は、特
に限定されるものではなく、六方晶窒化ホウ素、ホウ素
および炭素と反応することなく化学的に安定であり、か
つ、所要の強度を付与することができるものであればよ
い。このようなセラミックス繊維としては、例えば、S
iC、Si3 N4 のうちのいずれかで構成される繊維を
用いることができる。さらに、このようなセラミックス
繊維は、繊維断面の平均直径が10μm以下であると都
合がよい。
窒化ホウ素焼結体に用いられるセラミックス繊維は、特
に限定されるものではなく、六方晶窒化ホウ素、ホウ素
および炭素と反応することなく化学的に安定であり、か
つ、所要の強度を付与することができるものであればよ
い。このようなセラミックス繊維としては、例えば、S
iC、Si3 N4 のうちのいずれかで構成される繊維を
用いることができる。さらに、このようなセラミックス
繊維は、繊維断面の平均直径が10μm以下であると都
合がよい。
【0041】《セラミックスウィスカー》本発明に係る
六方晶窒化ホウ素焼結体に用いられるセラミックスウィ
スカーは、特に限定されるものではなく、六方晶窒化ホ
ウ素、ホウ素および炭素と反応することなく化学的に安
定であり、かつ、所要の強度を付与することができるも
のであればよい。このような本発明の必要条件を備える
セラミックスウィスカーとしては、例えば、Al
2 O3 、SiC、AlNのうちのいずれかで構成される
セラミックスウィスカーを用いることができる。さら
に、このようなセラミックスウィスカーは、ウィスカー
断面の平均直径が5μm以下で、かつ、そのアスペクト
比が2〜50であることが好ましい。
六方晶窒化ホウ素焼結体に用いられるセラミックスウィ
スカーは、特に限定されるものではなく、六方晶窒化ホ
ウ素、ホウ素および炭素と反応することなく化学的に安
定であり、かつ、所要の強度を付与することができるも
のであればよい。このような本発明の必要条件を備える
セラミックスウィスカーとしては、例えば、Al
2 O3 、SiC、AlNのうちのいずれかで構成される
セラミックスウィスカーを用いることができる。さら
に、このようなセラミックスウィスカーは、ウィスカー
断面の平均直径が5μm以下で、かつ、そのアスペクト
比が2〜50であることが好ましい。
【0042】《炭素繊維》本発明に係る六方晶窒化ホウ
素焼結体に炭素繊維を適用すれば、前記したhBNの焼
結を行なう際に、その中の炭素の一部がホウ素と反応し
て炭化ホウ素を形成することができ、より高い強度を得
ることが可能となる。このような炭素繊維は特に限定さ
れるものではなく、hBNが本来備える特性を阻害しな
いものであればよい。このような炭素繊維としては、従
来公知のピッチ系の炭素繊維やポリアクリロニトリル
(PAN)系の炭素繊維を用いることができる。さら
に、このような炭素繊維は、繊維断面の平均直径が10
μm以下であると都合がよい。
素焼結体に炭素繊維を適用すれば、前記したhBNの焼
結を行なう際に、その中の炭素の一部がホウ素と反応し
て炭化ホウ素を形成することができ、より高い強度を得
ることが可能となる。このような炭素繊維は特に限定さ
れるものではなく、hBNが本来備える特性を阻害しな
いものであればよい。このような炭素繊維としては、従
来公知のピッチ系の炭素繊維やポリアクリロニトリル
(PAN)系の炭素繊維を用いることができる。さら
に、このような炭素繊維は、繊維断面の平均直径が10
μm以下であると都合がよい。
【0043】以上説明したように、本発明にあっては、
セラミックス粒子、セラミックス繊維またはセラミック
スウィスカーは、必要に応じてこれらの中から選択され
た少なくとも1種を用いることができる。
セラミックス粒子、セラミックス繊維またはセラミック
スウィスカーは、必要に応じてこれらの中から選択され
た少なくとも1種を用いることができる。
【0044】《加圧焼結法》本発明に係る六方晶窒化ホ
ウ素焼結体を得るために施される加圧焼結法は、通常の
ホットプレス装置によって行なうことができる。すなわ
ち、六方晶窒化ホウ素とホウ素と炭素とを含む混合セラ
ミックス粉体、あるいはこの混合セラミックス粉体に前
記強化材料を含むものは、所要の形状に作製したプリプ
レグを、ホットプレス装置に充填してN2ガス雰囲気
中、またはAr、KrおよびXeからなる群の中から選
択された1種の不活性ガス雰囲気中で加圧焼結する。
ウ素焼結体を得るために施される加圧焼結法は、通常の
ホットプレス装置によって行なうことができる。すなわ
ち、六方晶窒化ホウ素とホウ素と炭素とを含む混合セラ
ミックス粉体、あるいはこの混合セラミックス粉体に前
記強化材料を含むものは、所要の形状に作製したプリプ
レグを、ホットプレス装置に充填してN2ガス雰囲気
中、またはAr、KrおよびXeからなる群の中から選
択された1種の不活性ガス雰囲気中で加圧焼結する。
【0045】《製造方法》以上のような条件を満たす各
構成物を用い、例えば、図1に示すような工程フローに
よって六方晶窒化ホウ素焼結体を製造することができ
る。以下、図1を参照しながら六方晶窒化ホウ素焼結体
の製造法について説明する。
構成物を用い、例えば、図1に示すような工程フローに
よって六方晶窒化ホウ素焼結体を製造することができ
る。以下、図1を参照しながら六方晶窒化ホウ素焼結体
の製造法について説明する。
【0046】まず、原料の調製として、hBNが75〜
96.5質量%と、ホウ素が3〜20質量%と、炭素が
0〜5質量%とを有機溶媒中でボールミルにて混合し、
温度を所定の温度に保持してロータリーエバポレータ等
を用いて前記有機溶媒を除去し、hBNとホウ素と炭素
とを含む混合物を作製する。続いて、前記混合物を、乳
鉢等を用いて粉砕した後、所定の目開きを有する篩で所
要の粒度分布を有する粉体の混合物を作製する(S
1)。
96.5質量%と、ホウ素が3〜20質量%と、炭素が
0〜5質量%とを有機溶媒中でボールミルにて混合し、
温度を所定の温度に保持してロータリーエバポレータ等
を用いて前記有機溶媒を除去し、hBNとホウ素と炭素
とを含む混合物を作製する。続いて、前記混合物を、乳
鉢等を用いて粉砕した後、所定の目開きを有する篩で所
要の粒度分布を有する粉体の混合物を作製する(S
1)。
【0047】つぎに、前記強化材料を含む六方晶窒化ホ
ウ素焼結体を作製する場合には、ポリビニルアルコール
等の有機溶媒を含む水溶液に、前記粉体の混合物を加え
てスラリを調製した後、強化材料を前記スラリ中に分散
させて所定のサイズに成形する以下に示すようなフィラ
メントワインディング法を用いてプリプレグを作製する
(S2)。
ウ素焼結体を作製する場合には、ポリビニルアルコール
等の有機溶媒を含む水溶液に、前記粉体の混合物を加え
てスラリを調製した後、強化材料を前記スラリ中に分散
させて所定のサイズに成形する以下に示すようなフィラ
メントワインディング法を用いてプリプレグを作製する
(S2)。
【0048】このフィラメントワインディング法の概要
を図2に示す。図2に示すように、フィラメントワイン
ディング法は、コイル2に巻き取られた繊維状のセラミ
ックスおよび炭素繊維を有する強化材料1を巻き出し
て、スラリ貯槽4内に貯留される前記スラリ3中に含浸
させた後、箱型のマンドレル5に巻き取ることによって
プリプレグを作製するものである。
を図2に示す。図2に示すように、フィラメントワイン
ディング法は、コイル2に巻き取られた繊維状のセラミ
ックスおよび炭素繊維を有する強化材料1を巻き出し
て、スラリ貯槽4内に貯留される前記スラリ3中に含浸
させた後、箱型のマンドレル5に巻き取ることによって
プリプレグを作製するものである。
【0049】その後、このプリプレグを室温で24時間
乾燥させた後、ホットプレスの黒鉛型に合わせて所定の
形状に切り出す(S3)。そして、前記プリプレグ中の
ポリビニルアルコール等を除去するために、所定の条件
にて予備焼成を行なう(S4)。
乾燥させた後、ホットプレスの黒鉛型に合わせて所定の
形状に切り出す(S3)。そして、前記プリプレグ中の
ポリビニルアルコール等を除去するために、所定の条件
にて予備焼成を行なう(S4)。
【0050】そして、ホットプレス装置の黒鉛型の中に
前記プリプレグを積層し、N2ガス雰囲気中、またはA
r、KrおよびXeからなる群の中から選択された1種
の不活性ガス雰囲気中で行なう加圧焼結法によって焼結
すれば、相対密度と曲げ強度とが一層高められた六方晶
窒化ホウ素焼結体が得られる(S5)。なお、単味(強
化材料を含まないもの)の六方晶窒化ホウ素焼結体を作
製する場合には、予備焼成を施した粉体を、ホットプレ
ス装置の黒鉛型の中に封入して加圧焼結すればよい。
前記プリプレグを積層し、N2ガス雰囲気中、またはA
r、KrおよびXeからなる群の中から選択された1種
の不活性ガス雰囲気中で行なう加圧焼結法によって焼結
すれば、相対密度と曲げ強度とが一層高められた六方晶
窒化ホウ素焼結体が得られる(S5)。なお、単味(強
化材料を含まないもの)の六方晶窒化ホウ素焼結体を作
製する場合には、予備焼成を施した粉体を、ホットプレ
ス装置の黒鉛型の中に封入して加圧焼結すればよい。
【0051】また、本発明で行なわれる予備焼成は、前
記プリプレグ中のポリビニルアルコールを除去し、さら
に、フェノール樹脂を炭化させて炭素を供給する場合に
は、酸化反応を抑えるために所定のガス雰囲気中で、昇
温または降温の速度、および最高到達温度、最高到達温
度の保持時間を焼成中の熱膨張または熱収縮によるプリ
プレグの損傷が生じない程度の範囲内に適宜に設定して
行なうことができる。例えば、N2ガス雰囲気中、また
はAr、KrおよびXeからなる群の中から選択された
1種の不活性ガス雰囲気中で、昇温および降温の速度を
5℃/min程度、最高到達温度を1000℃、さら
に、この最高到達温度の保持時間を1時間として、予備
焼成を行なうことができる。
記プリプレグ中のポリビニルアルコールを除去し、さら
に、フェノール樹脂を炭化させて炭素を供給する場合に
は、酸化反応を抑えるために所定のガス雰囲気中で、昇
温または降温の速度、および最高到達温度、最高到達温
度の保持時間を焼成中の熱膨張または熱収縮によるプリ
プレグの損傷が生じない程度の範囲内に適宜に設定して
行なうことができる。例えば、N2ガス雰囲気中、また
はAr、KrおよびXeからなる群の中から選択された
1種の不活性ガス雰囲気中で、昇温および降温の速度を
5℃/min程度、最高到達温度を1000℃、さら
に、この最高到達温度の保持時間を1時間として、予備
焼成を行なうことができる。
【0052】さらに、六方晶窒化ホウ素焼結体は切断、
研磨等によって所望の形状に加工することができる(S
6)。以上のようにして六方晶窒化ホウ素焼結体を製造
すれば、強化相を含まない六方晶窒化ホウ素焼結体にあ
っては、80%以上の相対密度、および50MPa以上
の曲げ強度を有するものを得ることができる。
研磨等によって所望の形状に加工することができる(S
6)。以上のようにして六方晶窒化ホウ素焼結体を製造
すれば、強化相を含まない六方晶窒化ホウ素焼結体にあ
っては、80%以上の相対密度、および50MPa以上
の曲げ強度を有するものを得ることができる。
【0053】また、強化相を有するhBN(六方晶窒化
ホウ素)をマトリックスとする六方晶窒化ホウ素焼結体
にあっては、80%以上の相対密度、および100MP
a以上の曲げ強度を有するものを得ることができる。
ホウ素)をマトリックスとする六方晶窒化ホウ素焼結体
にあっては、80%以上の相対密度、および100MP
a以上の曲げ強度を有するものを得ることができる。
【0054】
【実施例】《実施例1》つぎに、本発明に係る実施例に
ついて、比較例と対比させて説明する。以下に原料粉末
の調製法について示す。 (原料粉末の構成) hBN粉末:電気化学工業社製 GP ホウ素:H.C.Stark社製 Boron amo
rphous GradeI 炭素供給源:レゾール型フェノール樹脂溶液(大日本イ
ンキ化学工業社製 フェノライト J−325)
ついて、比較例と対比させて説明する。以下に原料粉末
の調製法について示す。 (原料粉末の構成) hBN粉末:電気化学工業社製 GP ホウ素:H.C.Stark社製 Boron amo
rphous GradeI 炭素供給源:レゾール型フェノール樹脂溶液(大日本イ
ンキ化学工業社製 フェノライト J−325)
【0055】表1〜表5にそれぞれ、本発明の必要条件
を満たす実施例No.1〜30および本発明の必要条件
を満たさない比較例No.31〜35で用いた原料であ
るhBN、ホウ素、炭素の供給源としてのレゾール型フ
ェノール樹脂(実施例No.1〜4、実施例No.9〜
13、比較例No.32〜35)、炭化ホウ素(実施例
No.20、実施例No.27〜30)および強化材料
として用いた炭素繊維の各特性を示す。
を満たす実施例No.1〜30および本発明の必要条件
を満たさない比較例No.31〜35で用いた原料であ
るhBN、ホウ素、炭素の供給源としてのレゾール型フ
ェノール樹脂(実施例No.1〜4、実施例No.9〜
13、比較例No.32〜35)、炭化ホウ素(実施例
No.20、実施例No.27〜30)および強化材料
として用いた炭素繊維の各特性を示す。
【0056】また、表6に、本発明の必要条件を満たす
実施例No.1〜30として、N2ガス雰囲気記中で作
製した単味(炭素繊維無し)の六方晶窒化ホウ素焼結体
の試験片(実施例No.1〜8)と、前記hBN(六方
晶窒化ホウ素)のマトリックスに前記炭素繊維を複合さ
せた試験片(実施例No.9〜20)と、Arの不活性
ガス雰囲気記中で作製した前記hBNのマトリックスに
前記炭素繊維を複合させた試験片(実施例No.21〜
30)の各構成およびそれらの各試験片について相対密
度と曲げ強度とを測定した結果を示す。さらに、本発明
の必要条件を満たさない比較例No.31〜35とし
て、N2ガス雰囲気記中で作製した、単味の六方晶窒化
ホウ素焼結体の試験片(比較例No.31、32)並び
に前記hBNのマトリックスに強化材料を複合させた試
験片(比較例No.33〜35)の各構成およびそれら
の各試験片について相対密度と曲げ強度とを測定した結
果を示す。
実施例No.1〜30として、N2ガス雰囲気記中で作
製した単味(炭素繊維無し)の六方晶窒化ホウ素焼結体
の試験片(実施例No.1〜8)と、前記hBN(六方
晶窒化ホウ素)のマトリックスに前記炭素繊維を複合さ
せた試験片(実施例No.9〜20)と、Arの不活性
ガス雰囲気記中で作製した前記hBNのマトリックスに
前記炭素繊維を複合させた試験片(実施例No.21〜
30)の各構成およびそれらの各試験片について相対密
度と曲げ強度とを測定した結果を示す。さらに、本発明
の必要条件を満たさない比較例No.31〜35とし
て、N2ガス雰囲気記中で作製した、単味の六方晶窒化
ホウ素焼結体の試験片(比較例No.31、32)並び
に前記hBNのマトリックスに強化材料を複合させた試
験片(比較例No.33〜35)の各構成およびそれら
の各試験片について相対密度と曲げ強度とを測定した結
果を示す。
【0057】表6に示すように、本発明の必要条件を満
たす実施例No.1〜4、9〜13ではホウ素と炭素の
添加量の合計を25質量%以下として、ホウ素と炭素の
各含有量をそれぞれ3〜20質量%、0.5〜5質量%
の範囲で水準振りした試験片を作製した。また、本発明
の必要条件を満たさない比較例No.31〜35とし
て、ホウ素と炭素との添加量の合計を3質量%以下とし
て、ホウ素と炭素の各含有量をそれぞれ0、1、2質量
%、0、1質量%で水準振りした試験片を作製した。
たす実施例No.1〜4、9〜13ではホウ素と炭素の
添加量の合計を25質量%以下として、ホウ素と炭素の
各含有量をそれぞれ3〜20質量%、0.5〜5質量%
の範囲で水準振りした試験片を作製した。また、本発明
の必要条件を満たさない比較例No.31〜35とし
て、ホウ素と炭素との添加量の合計を3質量%以下とし
て、ホウ素と炭素の各含有量をそれぞれ0、1、2質量
%、0、1質量%で水準振りした試験片を作製した。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】表6に示す六方晶窒化ホウ素焼結体の試験
片は、図1に示す工程フローに従って作製した。このう
ち、実施例No.1〜4、9〜13および比較例No.
32〜34は、表1、2に示すようなhBNとホウ素の
各粉体と、表3に示すような炭素供給源としてのフェノ
ール樹脂とをメタノール溶媒中で24時間ボールミルで
混合した後、温度を30〜35℃に保持してロータリー
エバポレータで前記メタノール溶媒を除去しhBNとホ
ウ素とからなる粉体混合物を作製した(S1)。
片は、図1に示す工程フローに従って作製した。このう
ち、実施例No.1〜4、9〜13および比較例No.
32〜34は、表1、2に示すようなhBNとホウ素の
各粉体と、表3に示すような炭素供給源としてのフェノ
ール樹脂とをメタノール溶媒中で24時間ボールミルで
混合した後、温度を30〜35℃に保持してロータリー
エバポレータで前記メタノール溶媒を除去しhBNとホ
ウ素とからなる粉体混合物を作製した(S1)。
【0065】また、前記試験片のうち、実施例No.2
0および実施例No.27〜30は、表1、2、6に各
々示すようなhBN、ホウ素および炭化ホウ素の各粉体
を、24時間ボールミルで混合した後、hBN、ホウ素
および炭化ホウ素からなる粉体混合物を作製した(S
1)。
0および実施例No.27〜30は、表1、2、6に各
々示すようなhBN、ホウ素および炭化ホウ素の各粉体
を、24時間ボールミルで混合した後、hBN、ホウ素
および炭化ホウ素からなる粉体混合物を作製した(S
1)。
【0066】つぎに、前記セラミックス混合物を、乳鉢
を用いて粉砕した後、目開き500μmの篩で所要の粒
度分布を有するセラミックス混合粉体を作製した。続い
て、ポリビニルアルコールの水溶液(濃度:3質量%)
130gに、前記セラミックス混合粉体65〜70gを
加えてスラリを調製した。
を用いて粉砕した後、目開き500μmの篩で所要の粒
度分布を有するセラミックス混合粉体を作製した。続い
て、ポリビニルアルコールの水溶液(濃度:3質量%)
130gに、前記セラミックス混合粉体65〜70gを
加えてスラリを調製した。
【0067】また、前記スラリを図2に示すようなフィ
ラメントワインディング法によって、表4に示す炭素繊
維と複合させ、プリプレグ(実施例No.9〜30およ
び比較例No.33〜35の炭素繊維有り)を作製し
た。なお、このようにして行なうフィラメントワインデ
ィング法において、炭素繊維に付着するスラリの量をよ
り均一にするために刷毛を用いてスラリを塗布した(S
2)。
ラメントワインディング法によって、表4に示す炭素繊
維と複合させ、プリプレグ(実施例No.9〜30およ
び比較例No.33〜35の炭素繊維有り)を作製し
た。なお、このようにして行なうフィラメントワインデ
ィング法において、炭素繊維に付着するスラリの量をよ
り均一にするために刷毛を用いてスラリを塗布した(S
2)。
【0068】その後、このようにして作製した前記プリ
プレグを、常温、常圧で24時間乾燥させてポリビニル
アルコールを充分に除去した後、ホットプレス装置の黒
鉛型に合わせて所定の形状(幅40mm×長さ50m
m)に切断した(S3)。
プレグを、常温、常圧で24時間乾燥させてポリビニル
アルコールを充分に除去した後、ホットプレス装置の黒
鉛型に合わせて所定の形状(幅40mm×長さ50m
m)に切断した(S3)。
【0069】そして、前記炭素の供給源たるフェノール
樹脂を炭化させるために、フェノール樹脂をN2ガス雰
囲気中、またはArの不活性ガス雰囲気中で、昇温速度
を5℃/minとして1000℃の最高到達温度まで加
熱して1時間保持した後、降温速度を5℃/minとし
て常温になるまで冷却して行なう予備焼成を施した(S
4)。なお、単味(強化材料を含まないもの)のセラミ
ックス焼結体を作製するには、前記混合粉体を同様の条
件で予備焼成した。
樹脂を炭化させるために、フェノール樹脂をN2ガス雰
囲気中、またはArの不活性ガス雰囲気中で、昇温速度
を5℃/minとして1000℃の最高到達温度まで加
熱して1時間保持した後、降温速度を5℃/minとし
て常温になるまで冷却して行なう予備焼成を施した(S
4)。なお、単味(強化材料を含まないもの)のセラミ
ックス焼結体を作製するには、前記混合粉体を同様の条
件で予備焼成した。
【0070】つぎに、このようにして予備焼成を施した
混合粉体およびプリプレグを前記ホットプレス装置の型
に挿入し、特にプリプレグは32層に積層して、加圧焼
結法によってN2ガス雰囲気中、またはAr、Krおよ
びXeからなる群の中から選択された1種の不活性ガス
雰囲気中で、30MPaの圧力、1900℃の加熱温度
で、1時間、焼結を施して六方晶窒化ホウ素焼結体を作
製した(S5)。なお、このようにして作製した六方晶
窒化ホウ素焼結体の板厚を測定したところ、3mmであ
った。さらに、六方晶窒化ホウ素焼結体に研磨処理を施
して所望の表面性状に整形した(S6)。
混合粉体およびプリプレグを前記ホットプレス装置の型
に挿入し、特にプリプレグは32層に積層して、加圧焼
結法によってN2ガス雰囲気中、またはAr、Krおよ
びXeからなる群の中から選択された1種の不活性ガス
雰囲気中で、30MPaの圧力、1900℃の加熱温度
で、1時間、焼結を施して六方晶窒化ホウ素焼結体を作
製した(S5)。なお、このようにして作製した六方晶
窒化ホウ素焼結体の板厚を測定したところ、3mmであ
った。さらに、六方晶窒化ホウ素焼結体に研磨処理を施
して所望の表面性状に整形した(S6)。
【0071】(特性評価)このようにして作製した六方
晶窒化ホウ素焼結体に対して、以下に示すような特性評
価を行った。 相対密度測定:JIS C2141の方法に準ずる。 三点曲げ試験:JIS R1601の方法に準ずる。測
定には島津製作所製材料試験機(オートグラフ DCS
−R−10TS)を用いた。荷重の測定には、4903
N(500kgf)のロードセルを用いて、スパン30
mm、クロスヘッドスピード0.1mm/minの条件
で測定した。
晶窒化ホウ素焼結体に対して、以下に示すような特性評
価を行った。 相対密度測定:JIS C2141の方法に準ずる。 三点曲げ試験:JIS R1601の方法に準ずる。測
定には島津製作所製材料試験機(オートグラフ DCS
−R−10TS)を用いた。荷重の測定には、4903
N(500kgf)のロードセルを用いて、スパン30
mm、クロスヘッドスピード0.1mm/minの条件
で測定した。
【0072】なお、前記強化材料を複合させたもの(炭
素繊維有り)では、板厚1mmで実施した。また、X線
回折よる結晶相の同定は、フィリップス社製PW170
0の測定装置を用い、CuKα線、加速電圧40kV、
電流30mA、ステップサイズ0.0020度、走査範
囲2〜70度の条件で測定した。
素繊維有り)では、板厚1mmで実施した。また、X線
回折よる結晶相の同定は、フィリップス社製PW170
0の測定装置を用い、CuKα線、加速電圧40kV、
電流30mA、ステップサイズ0.0020度、走査範
囲2〜70度の条件で測定した。
【0073】表6に示すように、実施例No.1〜30
および比較例No.31〜35のいずれも、炭素繊維を
複合させたもの(炭素繊維有り)の方が単味のもの(炭
素繊維無し)に比べて曲げ強度が大きくなっている。そ
して、本発明に係る実施例No.1〜30は、いずれも
相対密度が80%以上であり、かつ、単味のもの(実施
例No.1〜8)の曲げ強度が50MPa以上、炭素繊
維と複合化したもの(実施例No.9〜30)の曲げ強
度が100MPa以上となっており、本発明の必要条件
を満たしている。それに対して、本発明の構成上の条件
を満足しない表6に示す比較例No.31〜35では、
いずれも本発明の特性上の必要条件を満たしていないこ
とがわかる。
および比較例No.31〜35のいずれも、炭素繊維を
複合させたもの(炭素繊維有り)の方が単味のもの(炭
素繊維無し)に比べて曲げ強度が大きくなっている。そ
して、本発明に係る実施例No.1〜30は、いずれも
相対密度が80%以上であり、かつ、単味のもの(実施
例No.1〜8)の曲げ強度が50MPa以上、炭素繊
維と複合化したもの(実施例No.9〜30)の曲げ強
度が100MPa以上となっており、本発明の必要条件
を満たしている。それに対して、本発明の構成上の条件
を満足しない表6に示す比較例No.31〜35では、
いずれも本発明の特性上の必要条件を満たしていないこ
とがわかる。
【0074】また、表6に示すように、実施例No.1
〜30では、ホウ素の添加量が増加するにつれ、焼結体
の相対密度が増加している。さらに、実施例No.1〜
30中、hBNとホウ素と炭素のすべてを含むもの(実
施例No.1〜4、9〜13)と、hBNとホウ素を含
み炭素を含まないもの(実施例No.5〜8、14〜3
0)とを比べると、N2ガス雰囲気中で作製された焼結
体では後者の方が前者に比べて相対密度が高くなってい
ることがわかる。
〜30では、ホウ素の添加量が増加するにつれ、焼結体
の相対密度が増加している。さらに、実施例No.1〜
30中、hBNとホウ素と炭素のすべてを含むもの(実
施例No.1〜4、9〜13)と、hBNとホウ素を含
み炭素を含まないもの(実施例No.5〜8、14〜3
0)とを比べると、N2ガス雰囲気中で作製された焼結
体では後者の方が前者に比べて相対密度が高くなってい
ることがわかる。
【0075】例えば、hBNの含有量(質量%)が同じ
もので、炭素を含有するものと炭素を含有しないものと
を比較した場合、炭素を含有するものの六方晶窒化ホウ
素焼結体の相対密度が82.1%(実施例No.2、h
BN:90質量%、ホウ素:7質量%、炭素:3質量
%、炭素繊維無し)、80.2%(実施例No.11、
hBN:90質量%、ホウ素:7質量%、炭素:3質量
%、炭素繊維有り)であるのに対して、炭素を含有しな
いものの六方晶窒化ホウ素焼結体の相対密度は84.3
%(実施例No.6、hBN:90質量%、ホウ素:1
0質量%、炭素:0質量%、炭素繊維無し)、83.7
%(実施例No.17、hBN:90質量%、ホウ素:
10質量%、炭素:0質量%、炭素繊維有り)となって
いる。
もので、炭素を含有するものと炭素を含有しないものと
を比較した場合、炭素を含有するものの六方晶窒化ホウ
素焼結体の相対密度が82.1%(実施例No.2、h
BN:90質量%、ホウ素:7質量%、炭素:3質量
%、炭素繊維無し)、80.2%(実施例No.11、
hBN:90質量%、ホウ素:7質量%、炭素:3質量
%、炭素繊維有り)であるのに対して、炭素を含有しな
いものの六方晶窒化ホウ素焼結体の相対密度は84.3
%(実施例No.6、hBN:90質量%、ホウ素:1
0質量%、炭素:0質量%、炭素繊維無し)、83.7
%(実施例No.17、hBN:90質量%、ホウ素:
10質量%、炭素:0質量%、炭素繊維有り)となって
いる。
【0076】この理由として、本発明者等が行なった熱
力学的計算によれば、添加されたホウ素はN2ガス雰囲
気中では炭化ホウ素(B4 C)よりもhBNを生成する
割合の方が多いという結果が得られており、このように
して後者は前者に比べてより多くのhBNが生成したこ
とによって相対密度が高くなっていると考えられる。
力学的計算によれば、添加されたホウ素はN2ガス雰囲
気中では炭化ホウ素(B4 C)よりもhBNを生成する
割合の方が多いという結果が得られており、このように
して後者は前者に比べてより多くのhBNが生成したこ
とによって相対密度が高くなっていると考えられる。
【0077】図3に炭化ホウ素(B4 C)および窒化ホ
ウ素(BN)が生成される化学反応における標準自由エ
ネルギの温度依存性のグラフを示す。図3に示すよう
に、ホウ素(B)が窒素(N)や炭素(C)と反応して
窒化ホウ素(BN)や炭化ホウ素(B4 C)を生成する
化学反応の標準生成自由エネルギ(以下、「ΔG」とい
う。)は、1800℃〜2050℃の温度範囲ではマイ
ナスとなっている。
ウ素(BN)が生成される化学反応における標準自由エ
ネルギの温度依存性のグラフを示す。図3に示すよう
に、ホウ素(B)が窒素(N)や炭素(C)と反応して
窒化ホウ素(BN)や炭化ホウ素(B4 C)を生成する
化学反応の標準生成自由エネルギ(以下、「ΔG」とい
う。)は、1800℃〜2050℃の温度範囲ではマイ
ナスとなっている。
【0078】図3では、BNの生成反応におけるΔGの
方がB4 Cの生成反応のΔGよりもマイナス側に大きな
値となっている。したがって、添加したBは主にBNの
生成に消費され、その一部がB4 Cとなると考えられ
る。
方がB4 Cの生成反応のΔGよりもマイナス側に大きな
値となっている。したがって、添加したBは主にBNの
生成に消費され、その一部がB4 Cとなると考えられ
る。
【0079】そして、表6を参照すると、炭化ホウ素が
添加されている六方晶窒化ホウ素焼結体(実施例No.
20、27〜30)は、これと類似した構成を有し、か
つ、炭化ホウ素が添加されていない六方晶窒化ホウ素焼
結体(実施例No.18、24)と比較して相対密度が
さらに高くなっていることがわかる。この理由として、
添加された炭化ホウ素が主に反応焼結する際の骨材とな
って焼結性に寄与するようになるため、炭化ホウ素が添
加されている六方晶窒化ホウ素焼結体(実施例No.2
0、27〜30)の相対密度は、炭化ホウ素が添加され
ていない六方晶窒化ホウ素焼結体(実施例No.18、
24)に比べて高くなることが考えられる。
添加されている六方晶窒化ホウ素焼結体(実施例No.
20、27〜30)は、これと類似した構成を有し、か
つ、炭化ホウ素が添加されていない六方晶窒化ホウ素焼
結体(実施例No.18、24)と比較して相対密度が
さらに高くなっていることがわかる。この理由として、
添加された炭化ホウ素が主に反応焼結する際の骨材とな
って焼結性に寄与するようになるため、炭化ホウ素が添
加されている六方晶窒化ホウ素焼結体(実施例No.2
0、27〜30)の相対密度は、炭化ホウ素が添加され
ていない六方晶窒化ホウ素焼結体(実施例No.18、
24)に比べて高くなることが考えられる。
【0080】また、曲げ強度に対する炭素添加の効果に
ついては不明であるが、本発明者等の研究によれば炭素
添加の有無は曲げ強度に特に大きく寄与しないという結
果(図示せず)が得られている。ただし、炭素添加の効
果としては、〔発明の実施の形態〕の《炭素》の項目で
述べたように、以下の事項が挙げられ、用途に応じて適
宜に適切な量の炭素を添加することができる。
ついては不明であるが、本発明者等の研究によれば炭素
添加の有無は曲げ強度に特に大きく寄与しないという結
果(図示せず)が得られている。ただし、炭素添加の効
果としては、〔発明の実施の形態〕の《炭素》の項目で
述べたように、以下の事項が挙げられ、用途に応じて適
宜に適切な量の炭素を添加することができる。
【0081】(1)BN焼結体のマトリックス中で炭素
と窒化ホウ素のそれぞれの一部同士が反応することによ
って生成される炭化ホウ素が分散強化粒子として作用し
て前記マトリックスをより安定的に強化させることが可
能となる。 (2)前記炭素の一部がマトリックス中に存在するホウ
素の酸化物(B2O3等)と反応して炭化物を形成するこ
とにより、ホウ素の酸化物の生成によって生じる発泡現
象を抑制してマトリックスの強化相における界面の層間
剥離を可及的に防ぐ効果が得られる可能性がある。
と窒化ホウ素のそれぞれの一部同士が反応することによ
って生成される炭化ホウ素が分散強化粒子として作用し
て前記マトリックスをより安定的に強化させることが可
能となる。 (2)前記炭素の一部がマトリックス中に存在するホウ
素の酸化物(B2O3等)と反応して炭化物を形成するこ
とにより、ホウ素の酸化物の生成によって生じる発泡現
象を抑制してマトリックスの強化相における界面の層間
剥離を可及的に防ぐ効果が得られる可能性がある。
【0082】《実施例2》つぎに、前記したように、図
1に示す工程フローに従って作製した本発明の必要条件
を満たす実施例No.100、実施例No.200、実
施例No.300の試験片を用いて、高温下で三点曲げ
試験(高温三点曲げ試験)および耐酸化性試験を行ない
評価した。なお、この高温三点曲げ試験と耐酸化性試験
は以下のようにして行った。
1に示す工程フローに従って作製した本発明の必要条件
を満たす実施例No.100、実施例No.200、実
施例No.300の試験片を用いて、高温下で三点曲げ
試験(高温三点曲げ試験)および耐酸化性試験を行ない
評価した。なお、この高温三点曲げ試験と耐酸化性試験
は以下のようにして行った。
【0083】高温三点曲げ試験:インストロン社製 I
nstron 1185を用いて、クロスヘッドスピー
ド0.1mm/min、スパン30mmの条件で、Ar
ガス中、1200℃、1400℃、1600℃の各温度
で測定した。なお、曲げ冶具にはSiCから構成された
ものを用いた。また、材料試験機によるたわみ変位の補
正は、ヤング率14GPaの黒鉛標準試験片を用いて行
った。試験は、各実施例のn数を5として行った。
nstron 1185を用いて、クロスヘッドスピー
ド0.1mm/min、スパン30mmの条件で、Ar
ガス中、1200℃、1400℃、1600℃の各温度
で測定した。なお、曲げ冶具にはSiCから構成された
ものを用いた。また、材料試験機によるたわみ変位の補
正は、ヤング率14GPaの黒鉛標準試験片を用いて行
った。試験は、各実施例のn数を5として行った。
【0084】耐酸化性試験:図4に示すような、円柱形
状(直径約3.5mm、高さ約3.0mm)の試験片を
作製し、この試験片を用いて流量が200ml/min
の空気フロー中で、昇温速度を10℃/minとして1
000℃まで昇温したときの質量変化率(%)を測定し
た。また、同時に熱質量測定装置(真空理工社製 熱質
量天秤(TGD 7000RH))を用いて熱質量分析
も行った。
状(直径約3.5mm、高さ約3.0mm)の試験片を
作製し、この試験片を用いて流量が200ml/min
の空気フロー中で、昇温速度を10℃/minとして1
000℃まで昇温したときの質量変化率(%)を測定し
た。また、同時に熱質量測定装置(真空理工社製 熱質
量天秤(TGD 7000RH))を用いて熱質量分析
も行った。
【0085】これらの試験片の構成を表7に示す。ま
た、前記高温三点曲げ試験から得られた荷重―荷重点変
位曲線より求めた曲げ強度の結果を図5に、前記耐酸化
性試験の結果を図6に示す。なお、図6には、比較のた
めに、2000℃の熱処理が施されてなるC/C(炭素
繊維強化炭素)複合材料を合わせて示す。
た、前記高温三点曲げ試験から得られた荷重―荷重点変
位曲線より求めた曲げ強度の結果を図5に、前記耐酸化
性試験の結果を図6に示す。なお、図6には、比較のた
めに、2000℃の熱処理が施されてなるC/C(炭素
繊維強化炭素)複合材料を合わせて示す。
【0086】
【表7】
【0087】(高温三点曲げ試験の結果)図5は、縦軸
に試験片の見掛けの曲げ強度、横軸に試験温度をとって
これら両者の示すグラフである。なお、室温で行った三
点曲げ試験では、各実施例の試験片5本中2本でせん断
破壊が発生し、1200℃以上の温度で行なった三点曲
げ試験ではこれよりも多くの割合の試験片で、層間でせ
ん断破壊が生じた。そこで、ここでは見掛けの曲げ強度
を求めて各試験片の評価を行なった。
に試験片の見掛けの曲げ強度、横軸に試験温度をとって
これら両者の示すグラフである。なお、室温で行った三
点曲げ試験では、各実施例の試験片5本中2本でせん断
破壊が発生し、1200℃以上の温度で行なった三点曲
げ試験ではこれよりも多くの割合の試験片で、層間でせ
ん断破壊が生じた。そこで、ここでは見掛けの曲げ強度
を求めて各試験片の評価を行なった。
【0088】ここで、「見掛けの曲げ強度」とは、元
来、試験片に作用させた荷重とそれによって生じたこの
試験片の変位との関係を示す荷重/変位曲線で、この試
験片が破壊しない最大荷重値を三点曲げ強度の算出式に
代入して得られた値そのものを意味するものである。し
かしながら、このような三点曲げ試験で生じる破壊に
は、通常厳密には、試験片の一部では引張り方向で生じ
る引張りモードの破壊のみならず、層間で生じるせん断
モードの破壊等も含まれていると考えられ、このような
三点曲げ試験の破壊の機構は複雑なものとなっている。
したがって、ここでは「見掛けの曲げ強度」として、前
記のような種々の破壊のモードには言及することなく、
単純に形式的な曲げ強度として求めた。なお、表6に示
す結果は、板厚1mmで試験したものであって、せん断
破壊モードは生じず、全て引張り型で得られた値であ
る。
来、試験片に作用させた荷重とそれによって生じたこの
試験片の変位との関係を示す荷重/変位曲線で、この試
験片が破壊しない最大荷重値を三点曲げ強度の算出式に
代入して得られた値そのものを意味するものである。し
かしながら、このような三点曲げ試験で生じる破壊に
は、通常厳密には、試験片の一部では引張り方向で生じ
る引張りモードの破壊のみならず、層間で生じるせん断
モードの破壊等も含まれていると考えられ、このような
三点曲げ試験の破壊の機構は複雑なものとなっている。
したがって、ここでは「見掛けの曲げ強度」として、前
記のような種々の破壊のモードには言及することなく、
単純に形式的な曲げ強度として求めた。なお、表6に示
す結果は、板厚1mmで試験したものであって、せん断
破壊モードは生じず、全て引張り型で得られた値であ
る。
【0089】このようにして求めた見掛けの曲げ強度
は、図5に示すように、実施例No.100では室温で
201MPa、1200℃で372MPa、1400℃
で377MPa、1600℃で402MPaであり、実
施例No.200では、室温、1200℃、1400
℃、1600℃における曲げ強度が、各々385MP
a、222MPa、213MPa、209MPaであ
り、実施例No.300では、室温、1200℃、14
00℃、1600℃における曲げ強度が、各々479M
Pa、430MPa、391MPa、448MPaとな
っている。このことから、高温強度に関しては実施例N
o.300が最も高い曲げ強度を備えていることがわか
る。
は、図5に示すように、実施例No.100では室温で
201MPa、1200℃で372MPa、1400℃
で377MPa、1600℃で402MPaであり、実
施例No.200では、室温、1200℃、1400
℃、1600℃における曲げ強度が、各々385MP
a、222MPa、213MPa、209MPaであ
り、実施例No.300では、室温、1200℃、14
00℃、1600℃における曲げ強度が、各々479M
Pa、430MPa、391MPa、448MPaとな
っている。このことから、高温強度に関しては実施例N
o.300が最も高い曲げ強度を備えていることがわか
る。
【0090】また、図5に示すように、実施例No.1
00の曲げ強度は試験温度の上昇に伴って向上する傾向
があることがわかる。これは、hBNに特有の現象であ
ると考えられている。すなわち、実施例No.100で
はマトリックスの組成がほとんどhBNからなり、しか
もホットプレスで作製しているがゆえに、このホットプ
レスのプレス軸に垂直な方向にhBN粒子が配向してい
ると考えられる。
00の曲げ強度は試験温度の上昇に伴って向上する傾向
があることがわかる。これは、hBNに特有の現象であ
ると考えられている。すなわち、実施例No.100で
はマトリックスの組成がほとんどhBNからなり、しか
もホットプレスで作製しているがゆえに、このホットプ
レスのプレス軸に垂直な方向にhBN粒子が配向してい
ると考えられる。
【0091】さらに、hBNのc軸方向の熱膨張率は4
0×10-6(1/℃)であり、a軸方向の熱膨張率に比
べて一桁大きい。したがって、1900℃でホットプレ
スしているときには比較的緻密な構造を有し曲げ強度が
比較的高かったものが、冷却の過程でc軸方向に大きく
収縮することで、前記マトリックスの層間に隙間がで
き、室温ではヤング率が低くなり、かつ、その隙間が破
壊の原因となって曲げ強度も低くなると考えられる。
0×10-6(1/℃)であり、a軸方向の熱膨張率に比
べて一桁大きい。したがって、1900℃でホットプレ
スしているときには比較的緻密な構造を有し曲げ強度が
比較的高かったものが、冷却の過程でc軸方向に大きく
収縮することで、前記マトリックスの層間に隙間がで
き、室温ではヤング率が低くなり、かつ、その隙間が破
壊の原因となって曲げ強度も低くなると考えられる。
【0092】一方、図5に示すように、実施例No.2
00および実施例No.300では、試験温度の上昇に
伴って、曲げ強度が低下する傾向があることがわかる。
この原因は、現段階では不明であるが、ホットプレスの
プレス軸と垂直な方向に配向してなるhBNマトリック
ス中に、hBNのc軸方向の熱膨張率40×10-6(1
/℃)よりも一桁小さい熱膨張率(8.3×10-6(1
/℃))を有するホウ素が存在していることが何らかの
影響を及ぼしている可能性も考えられる。
00および実施例No.300では、試験温度の上昇に
伴って、曲げ強度が低下する傾向があることがわかる。
この原因は、現段階では不明であるが、ホットプレスの
プレス軸と垂直な方向に配向してなるhBNマトリック
ス中に、hBNのc軸方向の熱膨張率40×10-6(1
/℃)よりも一桁小さい熱膨張率(8.3×10-6(1
/℃))を有するホウ素が存在していることが何らかの
影響を及ぼしている可能性も考えられる。
【0093】また、Arの不活性ガス雰囲気中で作製さ
れた実施例No.200と実施例No.300とを比較
すると、実施例No.300は実施例No.200に比
べて、温度の上昇に伴う曲げ強度の低下率が小さくなっ
ている。この詳細な原因についても現段階では不明であ
るが、炭化ホウ素がマトリックス中に比較的適切に分散
していることが、前記温度の上昇に伴う曲げ強度の低下
率を小さくすることに寄与しているのではないかと思わ
れる。
れた実施例No.200と実施例No.300とを比較
すると、実施例No.300は実施例No.200に比
べて、温度の上昇に伴う曲げ強度の低下率が小さくなっ
ている。この詳細な原因についても現段階では不明であ
るが、炭化ホウ素がマトリックス中に比較的適切に分散
していることが、前記温度の上昇に伴う曲げ強度の低下
率を小さくすることに寄与しているのではないかと思わ
れる。
【0094】(耐酸化性試験の結果)つぎに、実施例N
o.100、実施例No.200、実施例No.300
および2000℃の加熱処理を施してなる従来のC/C
(炭素繊維強化炭素)複合材料について前記したような
耐酸化性試験を行なった。各実施例の熱質量分析から求
めた温度と質量変化率の関係を示すグラフを図6に示
す。図6は、横軸が温度であり、縦軸が質量変化率を示
す。図6を参照すると、本発明に係る実施例No.10
0、200、300は、いずれもC/C複合材料に比べ
て温度の上昇に伴う質量減少の割合が低く、耐酸化性に
優れていることがわかる。
o.100、実施例No.200、実施例No.300
および2000℃の加熱処理を施してなる従来のC/C
(炭素繊維強化炭素)複合材料について前記したような
耐酸化性試験を行なった。各実施例の熱質量分析から求
めた温度と質量変化率の関係を示すグラフを図6に示
す。図6は、横軸が温度であり、縦軸が質量変化率を示
す。図6を参照すると、本発明に係る実施例No.10
0、200、300は、いずれもC/C複合材料に比べ
て温度の上昇に伴う質量減少の割合が低く、耐酸化性に
優れていることがわかる。
【0095】さらに、図6よりN2ガス雰囲気中で作製
された実施例No.100に比べてArの不活性ガス雰
囲気中で作製された実施例No.200および実施例N
o.300の方が、質量減少の割合が低くなっており、
N2ガス雰囲気中よりもArの不活性ガス雰囲気中で作
製する方がより有効であることがわかる。そして、図6
より、炭化ホウ素を添加することによって、耐酸化性を
さらに向上させることが可能となることがわかる。
された実施例No.100に比べてArの不活性ガス雰
囲気中で作製された実施例No.200および実施例N
o.300の方が、質量減少の割合が低くなっており、
N2ガス雰囲気中よりもArの不活性ガス雰囲気中で作
製する方がより有効であることがわかる。そして、図6
より、炭化ホウ素を添加することによって、耐酸化性を
さらに向上させることが可能となることがわかる。
【0096】なお、本発明はこの実施例のみに限定され
るものではなく、本発明の技術的思想に基づく限りにお
いて、適宜に変形することが可能である。例えば、本実
施例では炭素供給源として前記フェノール樹脂を用いた
が、炭素供給源としては従来公知のピッチ系のカーボン
やカーボンブラック等を用いてもよい。あるいは、高温
で分解して、ホウ素を生成する化合物をホウ素供給源と
して用いてもよい。
るものではなく、本発明の技術的思想に基づく限りにお
いて、適宜に変形することが可能である。例えば、本実
施例では炭素供給源として前記フェノール樹脂を用いた
が、炭素供給源としては従来公知のピッチ系のカーボン
やカーボンブラック等を用いてもよい。あるいは、高温
で分解して、ホウ素を生成する化合物をホウ素供給源と
して用いてもよい。
【0097】
【発明の効果】以上説明した通り本発明を構成したの
で、以下のような効果を奏する。本発明の請求項1に係
る発明によれば、N2ガス雰囲気中、またはAr、Kr
およびXeからなる群の中から選択された1種の不活性
ガス雰囲気中で前記加圧焼結する過程で、添加したホウ
素は主に窒化ホウ素あるいは炭化ホウ素に変化して六方
晶窒化ホウ素中に元々存在する窒化ホウ素と結合するこ
とによって、六方晶窒化ホウ素の粉体同士を充分な強度
で結合させて所要の強度を有する六方晶窒化ホウ素焼結
体を提供することができる。さらに、前記炭素とホウ素
のそれぞれの一部同士が反応することによって生成され
る炭化ホウ素が分散強化粒子として作用し、窒化ホウ素
のマトリックスをさらに充分に強化させることができ
る。
で、以下のような効果を奏する。本発明の請求項1に係
る発明によれば、N2ガス雰囲気中、またはAr、Kr
およびXeからなる群の中から選択された1種の不活性
ガス雰囲気中で前記加圧焼結する過程で、添加したホウ
素は主に窒化ホウ素あるいは炭化ホウ素に変化して六方
晶窒化ホウ素中に元々存在する窒化ホウ素と結合するこ
とによって、六方晶窒化ホウ素の粉体同士を充分な強度
で結合させて所要の強度を有する六方晶窒化ホウ素焼結
体を提供することができる。さらに、前記炭素とホウ素
のそれぞれの一部同士が反応することによって生成され
る炭化ホウ素が分散強化粒子として作用し、窒化ホウ素
のマトリックスをさらに充分に強化させることができ
る。
【0098】請求項2に係る発明によれば、N2ガス雰
囲気中で加圧焼結する過程で、添加したホウ素は主に窒
化ホウ素に変化し、六方晶窒化ホウ素中に元々存在する
窒化ホウ素と結合することによって、所要の強度を有す
る六方晶窒化ホウ素を提供することができる。また、こ
のように構成される六方晶窒化ホウ素には炭素が含有さ
れないため、炭素が混入されることを嫌う用途にも適用
できる六方晶窒化ホウ素焼結体を提供することができ
る。
囲気中で加圧焼結する過程で、添加したホウ素は主に窒
化ホウ素に変化し、六方晶窒化ホウ素中に元々存在する
窒化ホウ素と結合することによって、所要の強度を有す
る六方晶窒化ホウ素を提供することができる。また、こ
のように構成される六方晶窒化ホウ素には炭素が含有さ
れないため、炭素が混入されることを嫌う用途にも適用
できる六方晶窒化ホウ素焼結体を提供することができ
る。
【0099】請求項3に係る発明によれば、前記粉体混
合物中に、セラミックス粒子、繊維状のセラミックスも
しくはセラミックスウィスカー、および炭素繊維の中か
ら選択された少なくとも1種を加えることによって、窒
化ホウ素のマトリックス中に強化相が形成されて、前記
の請求項1または2の効果に加え、より高い強度を備え
る六方晶窒化ホウ素焼結体を提供することができる。
合物中に、セラミックス粒子、繊維状のセラミックスも
しくはセラミックスウィスカー、および炭素繊維の中か
ら選択された少なくとも1種を加えることによって、窒
化ホウ素のマトリックス中に強化相が形成されて、前記
の請求項1または2の効果に加え、より高い強度を備え
る六方晶窒化ホウ素焼結体を提供することができる。
【0100】請求項4に係る発明によれば、六方晶窒化
ホウ素焼結体が六方晶窒化ホウ素の単味(強化材料を含
まないもの)からなるもので、相対密度が80%以上、
かつ、曲げ強度が50MPa以上を有するように高い相
対密度と高い曲げ強度とを備えて構成されるので、六方
晶窒化ホウ素の単味で構成される六方晶窒化ホウ素焼結
体の適用分野を拡大することができる。例えば、高温炉
用電気絶縁部品、C/C(炭素繊維強化炭素)複合材料
の代替品、超高温炉用の断熱材、および高純度用ルツボ
等の高耐熱・高強度が要求される部材に適用することが
可能である。
ホウ素焼結体が六方晶窒化ホウ素の単味(強化材料を含
まないもの)からなるもので、相対密度が80%以上、
かつ、曲げ強度が50MPa以上を有するように高い相
対密度と高い曲げ強度とを備えて構成されるので、六方
晶窒化ホウ素の単味で構成される六方晶窒化ホウ素焼結
体の適用分野を拡大することができる。例えば、高温炉
用電気絶縁部品、C/C(炭素繊維強化炭素)複合材料
の代替品、超高温炉用の断熱材、および高純度用ルツボ
等の高耐熱・高強度が要求される部材に適用することが
可能である。
【0101】請求項5に係る発明によれば、六方晶窒化
ホウ素焼結体が窒化ホウ素のマトリックス中に強化相を
形成することによって、相対密度が80%以上、かつ、
曲げ強度が100MPa以上の高い相対密度と高い曲げ
強度とが実現されるので、六方晶窒化ホウ素焼結体の適
用分野を拡大することができる。例えば、単味(強化材
料を含まないもの)の六方晶窒化ホウ素焼結体よりもさ
らに高い強度が要求される場合に好適である。
ホウ素焼結体が窒化ホウ素のマトリックス中に強化相を
形成することによって、相対密度が80%以上、かつ、
曲げ強度が100MPa以上の高い相対密度と高い曲げ
強度とが実現されるので、六方晶窒化ホウ素焼結体の適
用分野を拡大することができる。例えば、単味(強化材
料を含まないもの)の六方晶窒化ホウ素焼結体よりもさ
らに高い強度が要求される場合に好適である。
【図1】本発明に係る六方晶窒化ホウ素焼結体の製造工
程の一例を示す工程フローである。
程の一例を示す工程フローである。
【図2】本発明に係る製造工程でプリプレグを作製する
一例の方法であるフィラメントワインディング法の概略
を示す図である。
一例の方法であるフィラメントワインディング法の概略
を示す図である。
【図3】炭化ホウ素(B4 C)および窒化ホウ素(B
N)が生成される化学反応の標準自由エネルギの温度依
存性を示すグラフである。
N)が生成される化学反応の標準自由エネルギの温度依
存性を示すグラフである。
【図4】耐酸化性試験に用いた試験片を模式的に示す斜
視図である。
視図である。
【図5】高温三点曲げ試験から得られた荷重―荷重点変
位曲線より求めた曲げ強度の結果を示すグラフである。
位曲線より求めた曲げ強度の結果を示すグラフである。
【図6】耐酸化性試験の結果を示すグラフである。
1 強化材料(繊維状のセラミックス、セラミックスウ
ィスカー、または炭素繊維)、2 コイル、3 スラ
リ、4 スラリ貯槽、5 マンドレル
ィスカー、または炭素繊維)、2 コイル、3 スラ
リ、4 スラリ貯槽、5 マンドレル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G001 BA23 BA35 BA60 BA68 BA86 BB23 BB35 BB60 BB86 BC21 BC42 BC54 BD14
Claims (5)
- 【請求項1】 総量が100%となるように、六方晶窒
化ホウ素が75〜96.5質量%と、ホウ素が3〜20
質量%と、炭素が0.5〜5質量%とで構成される粉体
の混合物を、窒素(N2)ガス雰囲気中、またはアルゴ
ン(Ar)、クリプトン(Kr)およびキセノン(X
e)からなる群の中から選択された1種の不活性ガス雰
囲気中で加圧焼結法によって焼結したことを特徴とする
六方晶窒化ホウ素焼結体。 - 【請求項2】 総量が100%となるように六方晶窒化
ホウ素が75〜97質量%と、ホウ素が3〜25質量%
とで構成される粉体の混合物を、窒素(N 2)ガス雰囲
気中、またはアルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)お
よびキセノン(Xe)からなる群の中から選択された1
種の不活性ガス雰囲気中で加圧焼結法によって焼結した
ことを特徴とする六方晶窒化ホウ素焼結体。 - 【請求項3】 前記粉体の混合物中に、粒子状のセラミ
ックス、繊維状のセラミックス、セラミックスウィスカ
ーおよび炭素繊維からなる群の中から選択された少なく
とも1種を添加したことを特徴とする請求項1または2
に記載の六方晶窒化ホウ素焼結体。 - 【請求項4】 相対密度が80%以上、かつ、曲げ強度
が50MPa以上であることを特徴とする請求項1また
は2に記載の六方晶窒化ホウ素焼結体。 - 【請求項5】 相対密度が80%以上、かつ、曲げ強度
が100MPa以上であることを特徴とする請求項3に
記載の六方晶窒化ホウ素焼結体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001059485A JP2001328868A (ja) | 2000-03-17 | 2001-03-05 | 六方晶窒化ホウ素焼結体 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000075980 | 2000-03-17 | ||
JP2000-75980 | 2000-03-17 | ||
JP2001059485A JP2001328868A (ja) | 2000-03-17 | 2001-03-05 | 六方晶窒化ホウ素焼結体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001328868A true JP2001328868A (ja) | 2001-11-27 |
Family
ID=26587789
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001059485A Pending JP2001328868A (ja) | 2000-03-17 | 2001-03-05 | 六方晶窒化ホウ素焼結体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001328868A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004250264A (ja) * | 2003-02-19 | 2004-09-09 | Rikogaku Shinkokai | 高強度窒化硼素焼結体とその製法 |
JP2007230994A (ja) * | 2006-03-02 | 2007-09-13 | General Electric Co <Ge> | 窒化ホウ素を含む局所塗布組成物 |
-
2001
- 2001-03-05 JP JP2001059485A patent/JP2001328868A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004250264A (ja) * | 2003-02-19 | 2004-09-09 | Rikogaku Shinkokai | 高強度窒化硼素焼結体とその製法 |
JP4542747B2 (ja) * | 2003-02-19 | 2010-09-15 | 国立大学法人東京工業大学 | 高強度六方晶窒化硼素焼結体の製法 |
JP2007230994A (ja) * | 2006-03-02 | 2007-09-13 | General Electric Co <Ge> | 窒化ホウ素を含む局所塗布組成物 |
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