JP2001327220A - ハタケシメジの人工栽培方法 - Google Patents

ハタケシメジの人工栽培方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハタケシメジの人工栽培に際して、培地の性
質を改善し、発生率を向上させる材料を提供する。 【解決手段】 アルミニウムを含有しないアルカリ土類
金属化合物(但し、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム
を除く)を必須成分とするハタケシメジの子実体の発生
率向上剤。該発生率向上剤を含有するハタケシメジの人
工栽培用培地、あるいは、人工栽培用培地。前記いずれ
かの材料を用いるハタケシメジの人工栽培方法、あるい
は、ハタケシメジの子実体の発生率向上方法。 【効果】 菌株、腐植性基材の品質、腐植性基材の使用
の有無を問わず、高品質のハタケシメジが高収率で得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食用きのことして
有用なハタケシメジ〔学名リオフィラム デカステス
(Lyophyllum decastes)〕の人工栽培方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ハタケシメジは、夏から秋にかけて人家
や、畑、林地等に広く発生するきのこで、形はホンシメ
ジに良く似ている。味は非常に良く、肉質はホンシメジ
より固くて歯切れのよいきのこであり、好んで食用とさ
れている。近年、エノキタケ、ヒラタケ、ブナシメジ、
ナメコ等において、主に鋸属と米糠を混合した培養基を
用いて行う菌床人工栽培方法が確立され、一年を通して
四季に関係なく、安定してきのこが収穫できるようにな
っている。ハタケシメジについても食用きのことして有
用なことから、栽培方法が種々検討されている。しかし
ながら、ハタケシメジは腐生性菌のために一般の原木利
用の栽培は困難であるといわれている。福島県林業試験
場ではパーク堆肥を培地素材の主体とし、それに栄養添
加剤として米糠やフスマを加えた培地を用いた袋栽培方
法や、培地を野外に埋込む自然栽培方法を検討してい
る。パーク堆肥と米糠を重量比で10:1.5とし、仕
込時含水率で65%の培地1kgを用いた袋栽培での試
験によれば、ハタケシメジ子実体の発生期間は長時間に
わたり、その集中的な発生もなく、発生割合で最も大き
な値となった期間を接種からの通算日数でみると、供試
菌株間で差のあるものの、180〜240日と栽培に長
時間を要している。また、栽培中の害菌の発生も多く、
本方法による栽培方法では効率が悪いと報告している
(福島県林業試験場研究報告No.19)。そこで次に、
培養培地を野外に埋込む自然栽培方法の検討を開始して
いる(福島県林業試験場研究報告No.20)。また、特
開昭63−169913号公報においては、鋸屑100
に対し、鶏ふん、腐葉土、灰、糠をそれぞれ0.5〜
0.6の重量比で混合した培地を用いた瓶栽培によるハ
タケシメジの栽培方法が記載されているが、該栽培方法
は通常のきのこの瓶栽培と異なり、菌かき、注水処理後
に瓶口を逆にして一週間程度栽培し、あと瓶口を土とす
る元の状態に戻し、再び栽培する工程を行っており、通
常のきのこの瓶栽培方法に比べ、操作が煩雑で、作業性
も悪い。きのこは一般に、同じ種に属する菌株でありな
がら、採集された場所の違いにより菌糸の生育速度及び
子実体形成能力が著しく異なることが知られている。本
発明者らは、通常の菌床人工栽培に適する菌株が、自然
界に必ず存在するはずであるとの考えに立ち、各地より
ハタケシメジの採集を行い鋭意検討した結果、通常の菌
床人工栽培方法で栽培を行っても、容易かつ高収量で良
好な子実体を形成する能力を有する菌株をスクリーニン
グすることに成功した(特開平4−211308号)。
該公報中に記載の通常の人工栽培に好適な、スクリーニ
ングされた菌株としては、例えばハタケシメジK−33
03株(FERM BP−4347)、同K−3304株
(FERM BP−4348)、同K−3305株(FERM
BP−4349)等があり、これらの株は、例えば次の
様に栽培することができる。PGY液体培地(組成:
グルコース2.0%、ペプトン0.2%、酵母エキス
0.2%、KH2PO40.05%及びMgSO4・7H2
O0.05%、pH6.0)100mlにハタケシメジ
各菌株を接種して、25℃で10日間培養し液体種菌と
する。ポリプロピレン製の広口培養瓶(850ml)
に、腐葉土50g、鋸屑50g、米糠100gに水35
0gを加えてよく混合し、湿潤状態にしたものを圧詰し
て、中央に直径1cm程度の穴を開け、打栓後120℃
60分間殺菌し、固形培養基を調製する。これに上記
の各液体種菌を20mlずつ接種し、まず暗所で、温
度25℃、湿度55%の条件下、培養基に見掛上菌糸が
回るまで培養し、更に30日間培養を続け熟成させる。
次に、菌かきをして培養基の上部から約1cmほどの菌
糸層を除いてから、水道水を瓶口まで加えて3時間放置
後排水し、照度20ルックス、温度15℃、湿度90%
の条件下で子実体原基が形成されるまで培養を続ける。
原基が形成された培養基は、次に照度500ルックス、
温度15℃、湿度90%の条件下で成熟子実体が得られ
るまで培養を続け、ハタケシメジの成熟子実体を収穫す
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述のようにハタケシ
メジは腐生性菌であり、その培地の構成成分として、腐
葉土、バーク堆肥、麦わら堆肥、廃オガの堆肥、コンポ
ストなどの腐植性基材を加えることが望ましい。しか
し、これらの成分の品質は常に一定ではなく、本発明者
らがスクリーニングした前記菌株を用いても、使用する
材料によってはハタケシメジの発生を見ることが無く、
常に使用材料の、ハタケシメジ栽培への使用の適合、不
適合を確認する必要がある。例えば、人工栽培に好適な
菌株を用い、前述の栽培条件でも、不適合の腐葉土を用
いた場合は、ハタケシメジの発生はほとんど認められ
ず、一方、適合の腐葉土を用いた場合は、成熟子実体の
発生率が顕著に向上する。
【0004】なお、本発明書においてハタケシメジの発
生とは、ハタケシメジ成熟子実体を得ることをいい、発
生率とは、栽培に供した瓶のうち、成熟子実体が得られ
た瓶の比率をいい、式(数1)で表される。
【0005】
【数1】
【0006】本発明の目的は、上記現状にかんがみて、
ハタケシメジの人工栽培に際し、培地の性質を改善し、
ハタケシメジの発生率を向上させる材料を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第1の発明は、ハタケシメジの子実体の発生率向
上剤に関する発明であって、アルミニウムを含有しない
アルカリ土類金属化合物(但し、硫酸マグネシウム、炭
酸カルシウムを除く)を必須成分とすることを特徴とす
る。本発明の第2の発明は、ハタケシメジの人工栽培用
基材に関する発明であって、第1の発明の発生率向上剤
を含有することを特徴とする。本発明の第3の発明は、
ハタケシメジの人工栽培用培地に関する発明であって、
第1の発明の発生率向上剤を含有することを特徴とす
る。本発明の第4の発明は、ハタケシメジの人工栽培方
法に関する発明であって、ハタケシメジの人工栽培にお
いて前記のいずれかの材料を用いることを特徴とする。
本発明の第5の発明は、ハタケシメジの子実体の発生率
向上方法に関する発明であって、前記のいずれかの材料
を用いることを特徴とする。なお、本発明の第1の発明
において、当該必須成分と併用する材料の例には、炭酸
カルシウム、バーミキュライト、鹿沼土、赤玉土、草木
灰、適合若しくは不適合腐植性基材よりなる群から選択
される1以上の材料が挙げられる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明で使用するハタケシメジの人工栽培方法と
は、例えば、エノキタケ、ヒラタケ、ブナシメジなどの
きのこの栽培に用いられている方法であって、瓶栽培、
袋栽培、箱栽培等であるが、ここで、一例として瓶栽培
について述べると、その方法とは通常、培地調製、瓶詰
め、殺菌、接種、培養、菌かき、芽だし、生育、収穫の
各工程からなる。
【0009】培地調製とは、人工栽培に用いる各種基材
を計量、かくはんし、加水して水分調整する工程を言
う。本発明に用いられるハタケシメジの人工培養基は、
通常、鋸屑、チップダスト、コーンコブ等の培地基材
と、米糠、フスマ、大麦粉砕物等の栄養源と、腐葉土、
バーク堆肥、麦わら堆肥、廃オガの堆肥、コンポスト等
の腐植性基材等の混合物に水を適当量加えて調製するの
が適当である。なお、腐植性基材は培地重量の5%以上
添加されるのが好ましく、培地の水分含量は60〜75
%、好ましくは65%付近が適当である。また、鋸屑と
しては、広葉樹鋸屑あるいは針葉樹鋸屑をそれぞれ単独
で用いてもよいが、混合して使用してもよい。瓶詰めと
は、800〜1000ml容、好ましくは850ml容
のポリプロピレン製広口瓶に、調製した培地を450〜
750g、好ましくは550g圧詰し、中央に1cm程
度の穴を開け、打栓する工程を言う。殺菌とは、蒸気に
より培地中のすべての微生物を死滅させる工程で、常圧
殺菌では98℃、4〜5時間、高圧殺菌では120℃、
30〜90分間行われる。接種とは、放冷された培地に
種菌を植えつける工程で、種菌としてはハタケシメジ菌
株をPGY液体培地で25℃、10〜15日間培養した
ものを用いることができ、1瓶当り20mlほど無菌的
に植えつける。また、ここまで説明した工程で得られる
液体種菌接種済みの培養基を、25℃で30〜40日間
培養し、培養基全体にハタケシメジの菌糸がまん延した
ものを固体種菌として用いることができ、1瓶当り15
gほど無菌的に植えつける。培養とは、接種済みの培養
基を温度20〜25℃、湿度40〜70%において菌糸
をまん延させ、更に熟成をさせる工程で、40〜120
日間、好ましくは80日間前後行われる。菌かきとは、
種菌部分と培養基表面をかき取り、原基形成を促す工程
で、菌かき後は、直ちに瓶口まで水を入れ3〜5時間後
排水する。芽だしとは、子実体原基を形成させる工程
で、温度10〜20℃、好ましくは15℃前後、湿度8
0%以上、好ましくは85〜95%前後、照度500ル
ックス以下、好ましくは50ルックス以下で10〜20
日間培養を続けると、ハタケシメジの原基が形成され
る。生育とは、子実体原基から成熟子実体を形成させる
工程で温度10〜20℃、好ましくは15℃前後、湿度
80%以上、好ましくは85〜95%前後、照度50ル
ックス以上、好ましくは20〜500ルックスで5〜1
5日間培養を続けると、ハタケシメジの成熟子実体を得
ることができ、収穫を行って栽培の全工程は終了する。
以上瓶栽培方法について詳細に説明したが、本発明で使
用する人工栽培は瓶栽培に限定されるものではない。
【0010】この人工栽培において前述の人工栽培に好
適なハタケシメジの例としてハタケシメジK−3304
株(FERM BP−4348)を用い、瓶栽培を行う
場合も、使用する腐植性基材の良否により、その栽培は
大きく影響される。例えば、腐植性基材として適合の腐
葉土又はバーク堆肥を用いた場合、K−3304株は良
好な発生を示すが、不適合の腐葉土又はバーク堆肥を使
用する場合は発生は認められない。また、腐植性基材の
一種として、腐植酸やニトロフミン酸を使用することも
可能であるが、これらにもやはり、適合、不適合があ
り、不適合の腐植酸やニトロフミン酸を用いた場合は、
ハタケシメジの発生は認められない。これら不適合の腐
植性基材を用いた場合、子実体原基形成以前の段階で分
化が停止し、子実体原基から成熟子実体への分化、すな
わち生育は認められない。
【0011】このような不適合腐植性基材を用いた場合
も、本発明の物質を使用すれば、ハタケシメジは良好な
発生を示し、成熟子実体への分化が進行する。また、適
合の腐植性基材を用いる場合に、本発明の物質を使用す
れば、本発明の物質は更に、増収効果を示す。例えば、
適合腐植性基材として(有)コトヒラ製の腐葉土又は
(株)北炭化成工業製のニトロフミン酸(商品名パール
フミン)、不適合腐植性基材として市販の腐葉土(腐葉
土A)又は市販のニトロフミン酸(ニトロフミン酸B)
を用い、本発明の物質として、メタケイ酸アルミン酸マ
グネシウム〔(株)富士化学工業製、商品名ノイシリ
ン〕5g/瓶を使用し、腐葉土の場合は、前述〜の
工程で、ニトロフミン酸の場合は、培地材料をニトロフ
ミン酸30g、鋸屑100g、米糠100gとして、前
述〜の工程に準じて、ハタケシメジK−3304株
を栽培した場合の例を表1に示す。
【0012】
【表1】
【0013】更に、本発明の物質を用いることにより、
従来ハタケシメジの栽培に必要とされていた腐植性基材
を用いずに、ハタケシメジを栽培することも可能とな
る。例えば、腐植性基材を含まない培地として、鋸屑1
00g、米糠100gを用い、本発明の物質として、メ
タケイ酸アルミン酸マグネシウム〔ノイシリン〕0、
1、3、5、7、10、15、又は20g/瓶を使用
し、前述〜の工程に準じて、ハタケシメジK−33
04株を栽培した場合の例を表2に示す。
【0014】
【表2】
【0015】このように、本発明の物質を用いることに
より、腐植性基材を使用せずにハタケシメジの栽培が可
能となるが、かかる条件では、腐植性基材を使用する場
合に比べて、より多量の物質が必要となる。そこで本発
明者らは、更に検討を続け、本発明の物質を組合せて使
用することにより、腐植性基材を用いずに、かつ、少量
の物質添加でハタケシメジの栽培が可能になることを見
出した。例えば、培地として、鋸屑100g、米糠10
0gを用い、本発明の物質として、メタケイ酸アルミン
酸マグネシウム〔ノイシリン〕2g/瓶と炭酸カルシウ
ム〔(株)ナカライテスク製、試薬特級〕3g/瓶を使
用し、前述〜の工程に準じて、ハタケシメジK−3
304株を栽培した場合の例を表3に示す。
【0016】
【表3】
【0017】更にまた、本発明の物質を用いることによ
り、従来、人工栽培には不適とされていたハタケシメジ
菌株の人工栽培も可能となる。前出特開平4−2113
08号公報に記載のハタケシメジ菌株IFO30161
株は、上記適合腐植性基材を用いた場合でも、極めて低
い確率でしか、成熟子実体の発生は認められず、発生率
が極めて低いが、培地に本発明の物質、例えば、前出の
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム5g/瓶を使用した
場合、表4に示す様に顕著な発生率の向上がある。ま
た、その平均収量も顕著な増加を示す。
【0018】
【表4】
【0019】次に、本発明の材料の主要基材への添加の
例を述べる。材料としてアルミニウムを使用する場合、
アルミニウムと主要基材(通常は、培地基材+腐植性基
材)との混合比率は、その形態によっても異なるが、例
えばアルミニウム粉末の場合は、好ましくは重量比で
0.3〜10.0:100、中でも0.3〜3.0:1
00が最もよい。
【0020】また、アルミニウム化合物の場合は、その
形態や、添加方法によって、更に大きく混合比率が異な
る。例えば、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの場合
は、好ましくは重量比で、0.3〜20.0:100、
中でも0.3〜10.0:100が最もよい。硝酸アル
ミニウムの場合は、好ましくは0.3〜15.0:10
0、中でも0.3〜7.0:100が最もよい。天然物
の場合は、概して多量を必要とし、例えば、バーミキュ
ライトでは、好ましくは10.0〜200.0:10
0、中でも50.0〜200.0:100が最もよい。
【0021】アルカリ土類金属化合物の場合も、主要基
材との混合比率は、その形態や、添加方法によって大き
く異なり、例えば、酸化マグネシウムの場合は好ましく
は0.3〜10.0:100、中でも0.3〜3.0:
100が最もよい。また、硝酸カルシウムの場合は、好
ましくは0.3〜20.0:100、中でも0.3〜1
5.0:100が最もよい。なお、本発明においてアル
カリ土類金属とは、広義のアルカリ土類金属をさし、ベ
リリウムとマグネシウムを含む。また、その形態は、必
ずしも純品である必要はなく、また、苦土石灰や骨粉の
様な天然の素材、過リン酸石灰と言った半天然の素材で
もよい。また、適合の腐植酸、ニトロフミン酸は、いず
れも石灰、あるいは苦土石灰等のアルカリ土類金属含有
物である。
【0022】オカラの場合は、その性質が栄養源として
のものが強いため、主要基材との混合比率は高目で、好
ましくは重量比で、5.0〜50.0:100、中でも
10.0〜30.0:100が最もよい。また、使用す
るオカラは、製造直後の湿ったものでもよいが、乾燥さ
せたものが更によい。
【0023】しかしながら、これらのアルミ金属、各化
合物及び天然物の添加量は、上記の数値によって特に制
約されるものではない。また、これら、(1)アルミニ
ウム、(2)アルミニウム化合物、(3)アルカリ土類
金属化合物、(4)オカラは、単独で用いてもよいが、
2種類以上を混合して用いてもよい。なお、本発明で使
用される化合物は、無水物でも、含水物でもよい。ま
た、不可避不純物を含有してもよい。
【0024】以上詳細に説明したように、(1)アルミ
ニウム、(2)アルミニウム化合物、(3)アルカリ土
類金属化合物、(4)オカラから選択される物質は、ハ
タケシメジの子実体原基形成から成熟子実体へ進行する
以前の段階に作用し、ハタケシメジの成熟子実体の発生
を導き、その発生率が顕著に向上する。更に増収効果も
認められ、従来ハタケシメジの人工栽培に不適であった
培養基材、菌株を用いてもハタケシメジの工業的人工栽
培が容易となる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例の範囲のみに限定され
るものではない。なお、本発明の実施例以外の例は、参
考例として示したものである。
【0026】実施例1 PGY液体培地(組成:グルコース2.0%、ペプトン
0.2%、酵母エキス0.2%、KH2 PO4 0.05
%及びMgSO4 ・7H2 O 0.05%、pH6.
0)100mlにハタケシメジK−3304株(FER
M BP−4348)を接種して、25℃で10日間培
養し液体種菌とした。一方、適合腐植性基材として
(有)コトヒラ製の腐葉土又は(株)北炭化成工業製の
ニトロフミン酸(商品名パールフミン)、不適合腐植性
基材として市販の腐葉土(腐葉土A)又は市販のニトロ
フミン酸(ニトロフミン酸B)を用意し、腐葉土の場合
は、腐葉土(腐葉土A)50g、鋸屑(スギ材)50
g、米糠100gの比率で、ニトロフミン酸の場合は、
ニトロフミン酸30g、鋸屑(スギ材)100g、米糠
100gの比率で、よく混合し、これに、メタケイ酸ア
ルミン酸マグネシウム〔(株)富士化学工業製、商品名
イノシリン〕を0又は5g/瓶添加し水分含有率を63
%に調整したものをポリプロピレン製の広口培養瓶(8
50ml)に、圧詰して、中央に直径1cm程度の穴を
開け、打栓後120℃60分間高圧殺菌を行い、放冷し
て固形培養基としたものを各区32本準備した。これに
上記の液体培養種菌を1瓶当り約20ml接種し、まず
暗所にて、温度25℃、湿度55%の条件下、培養基に
見掛上菌糸が回るまで35日間培養し、更に30日間培
養を続け熟成させた。次に、菌かきをして培養基の上部
から約1cmほどの菌糸層を除いてから、水道水を瓶口
まで加えて3時間放置後排水し、照度20ルックス、温
度15℃、湿度90%の条件下で11日間培養を続け、
子実体原基を形成させた。原基が形成された培養基は、
次に照度500ルックス、温度15℃、湿度90%の条
件下12日間培養を続け、成熟子実体を得られた瓶数及
び1瓶当りの子実体収量を測定し、適合腐植性基材又は
不適合腐植性基材使用時に、メタケイ酸アルミン酸マグ
ネシウムが、ハタケシメジK−3304株の発生率及び
収量に与える影響を調べた。結果は前出表1の通りであ
った。表1で明らかなように、人工培養基に、メタケイ
酸アルミン酸マグネシウムを添加することにより、不適
合腐植性基材使用時はハタケシメジK−3304株の発
生率が、無添加のコントロールと比べ飛躍的に向上し、
その結果平均収量も著しく向上した。また、適合腐植性
基材使用時は、無添加のコントロールと比べて、発生率
は変らなかったが、平均収量は顕著に増大した。
【0027】実施例2 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3303株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、メタケイ酸アルミン酸マ
グネシウム〔ノイシリン〕を0、0.3、0.6、1、
3、5、7、10、15、又は20g/瓶添加し水分含
有率を63%に調整した固形培養基を実施例1と同様に
して各区32本準備した。これに上記の液体培養種菌約
20mlを接種し、実施例1と同様にハタケシメジの人
工栽培を行い、成熟子実体を得られた瓶数を測定し、不
適合腐植性基材使用時に、メタケイ酸アルミン酸マグネ
シウムが、ハタケシメジK−3303株の発生率に与え
る影響を調べた。結果を表5に示す。
【0028】
【表5】
【0029】表5で明らかなように、不適合腐植性基材
を使用した人工培養基に、メタケイ酸アルミン酸マグネ
シウムを添加することにより、ハタケシメジK−330
3株の発生率が、無添加のコントロールと比べ、飛躍的
に増大した。
【0030】実施例3 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、鋸屑(ブナ材)100g、
米糠100gをよく混合し、これに、メタケイ酸アルミ
ン酸マグネシウム〔ノイシリン〕を0、1、3、5、
7、10、15、又は20g/瓶添加し水分含有率を6
3%に調整した固形培養基を各区32本準備した。これ
に上記の液体培養種菌を植菌し、培養基に見掛上菌糸が
回るまで培養し、その後、更に培養を続け熟成させた。
計100日間培養した後に、菌かきをして10日間培養
を続け、子実体原基を形成させた。原基が形成された培
養基は、更に12日間培養を続け、成熟子実体を得られ
た瓶数を測定し、腐植性基材を使用しない培地で、メタ
ケイ酸アルミン酸マグネシウムが、ハタケシメジK−3
304株の発生率に与える影響を調べた。結果は前出の
表2の通りであった。表2で明らかなように、人工培養
基に、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを多量に添加
することにより、従来人工培養には必要とされていた腐
植性基材を含まない培地でも、ハタケシメジK−330
4株の発生率が、無添加のコントロールと比べ飛躍的に
向上した。
【0031】実施例4 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、鋸屑(杉材)100g、米
糠100gをよく混合し、これに、メタケイ酸アルミン
酸マグネシウム〔ノイシリン〕を0又は2g/瓶及び炭
酸カルシウム〔(株)ナカライテスク製、試薬特級〕0
又は3g/瓶を添加し、水分含有率を63%に調整した
固形培養基を各区32本準備した。これに上記の液体培
養種菌を植菌し、培養基に見掛上菌糸が回るまで培養
し、その後、更に培養を続け熟成させた。計100間培
養した後に、菌かきをして10日間培養を続け、子実体
原基を形成させた。原基が形成された培養基は、更に1
2日間培養を続け、成熟子実体を得られた瓶数及び1瓶
当りの子実体収量を測定し、腐植性基材を使用しない培
地で、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム及び炭酸カル
シウムが、ハタケシメジK−3304株の発生率に与え
る影響を調べた。結果は前出表3の通りであった。表3
で明らかなように、人工培養基に、メタケイ酸アルミン
酸マグネシウム及び炭酸カルシウムを同時に添加するこ
とにより、従来人工培養には必要とされていた腐植性基
材を含まない培地でも、ハタケシメジK−3304株の
発生率が、無添加のコントロールと比べ飛躍的に向上
し、その際に必要なメタケイ酸アルミン酸マグネシウム
及び炭酸カルシウム量は、各々を単独で使用するよりも
少量であった。
【0032】実施例5 実施例1と同様にして、ハタケシメジIFO30161
株の液体種菌を準備した。一方、適合腐植性基材として
(有)コトヒラ製の腐葉土50g、鋸屑(スギ材)50
g、米糠100gをよく混合し、これに、メタケイ酸ア
ルミン酸マグネシウム〔ノイシリン〕を0又は5g/瓶
添加し水分含有率を63%に調整した固形培養基を、実
施例1と同様にして各区32本準備した。これに上記の
液体培養種菌を植菌し、培養基に見掛上菌糸が回るまで
70日間培養し、更に30日間培養を続け熟成させた。
次に、菌かきをして15日間培養を続け、子実体原基を
形成させた。原基が形成された培養基は、更に17日間
培養を続け、成熟子実体を得られた瓶数及び1瓶当りの
子実体収量を測定し、適合腐植性基材使用時に、メタケ
イ酸アルミン酸マグネシウムが、ハタケシメジIFO3
0161株の発生率及び収量に与える影響を調べた。結
果は前出表4の通りであった。表4で明らかなように、
人工培養基に、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを添
加することにより、従来人工栽培には不適とされていた
ハタケシメジIFO3061株の発生率が、無添加のコ
ントロールと比べ飛躍的に向上し、その結果平均収量も
著しく向上した。
【0033】実施例6 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3303株の
液体種菌を準備した。一方、実施例1と同様に、適合腐
植性基材として(有)コトヒラ製の腐葉土又は不適合腐
植性基材として市販の腐葉土(腐葉土A)50g、鋸屑
(スギ材)50g、米糠100gをよく混合し、これ
に、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム〔ノイシリン〕
を0又は5g/瓶添加し水分含有率を63%に調整した
固形培養基を各区32本準備した。これに上記の液体培
養種菌を植菌し、培養基に見掛上菌糸が回るまで35日
間培養し、更に30日間培養を続け熟成させた。次に、
菌かきをして10日間培養を続け、子実体原基を形成さ
せた。原基が形成された培養基は、更に12日間培養を
続け、成熟子実体を得られた瓶数及び1瓶当りの子実体
収量を測定し、適合腐植性基材又は不適合腐植性基材使
用時に、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムが、ハタケ
シメジK−3303株の発生率及び収量に与える影響を
調べた。結果を表6に示す。
【0034】
【表6】
【0035】表6で明らかなように、人工培養基に、メ
タケイ酸アルミン酸マグネシウムを添加することによ
り、不適合腐植性基材使用時はハタケシメジK−330
3株の発生率が、無添加のコントロールと比べ飛躍的に
向上し、その結果平均収量も著しく向上した。また、適
合腐植性基材使用時は、無添加のコントロールと比べ
て、発生率は変わらなかったが、平均収量は顕著に増大
した。
【0036】実施例7 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3305株の
液体種菌を準備した。一方、実施例1と同様に、適合腐
植性基材として(有)コトヒラ製の腐葉土又は不適合腐
植性基材として市販の腐葉土(腐葉土A)50g、鋸屑
(スギ材)50g、米糠100gをよく混合し、これ
に、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム〔ノイシリン〕
を0又は5g/瓶添加し水分含有率を63%に調整した
固形培養基を各区32本準備した。これに上記の液体培
養種菌を植菌し、培養基に見掛上菌糸が回るまで35日
間培養し、更に30日間培養を続け熟成させた。次に、
菌かきをして12日間培養を続け、子実体原基を形成さ
せた。原基が形成された培養基は、更に13日間培養を
続け、成熟子実体を得られた瓶数及び1瓶当りの子実体
収量を測定し、適合腐植性基材又は不適合腐植性基材使
用時に、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムが、ハタケ
シメジK−3305株の発生率及び収量に与える影響を
調べた。結果を表7に示す。
【0037】
【表7】
【0038】表7で明らかなように、人工培養基に、メ
タケイ酸アルミン酸マグネシウムを添加することによ
り、不適合腐植性基材使用時はハタケシメジK−330
5株の発生率が、無添加のコントロールと比べ飛躍的に
向上し、その結果平均収量も著しく向上した。また、適
合腐植性基材使用時は、無添加のコントロールと比べ
て、発生率は変わらなかったが、平均収量は顕著に増大
した。
【0039】実施例8 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、粉末アルミニウム
〔(株)ナカライテスク製、化学用〕を0、0.3、
0.6、1、3、5、7、又は10g添加し水分含有率
を63%に調整した固形培養基を実施例1と同様にして
各区32本準備した。これに上記の液体培養種菌を植菌
し、実施例1と同様にハタケシメジの人工栽培を行い、
成熟子実体を得られた瓶数を測定し、不適合腐植性基材
使用時に、粉末アルミニウムが、ハタケシメジK−33
04株の発生率に与える影響を調べた。結果を表8に示
す。
【0040】
【表8】
【0041】表8で明らかなように、不適合腐植性基材
を使用した人工培養基に、粉末アルミニウムを添加する
ことにより、ハタケシメジK−3304株の発生率が、
無添加のコントロールと比べ、飛躍的に増大した。
【0042】実施例9 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、ケイ酸アルミン酸ナトリ
ウム、ケイ酸アルミン酸カルシウム、又はケイ酸アルミ
ン酸バリウム〔(株)日本ビルダー製、合成ゼオライ
ト、Ca−A型ゼオライト、Ba−A型ゼオライト〕を
それぞれ0、0.3、0.6、1、3、5、7、10、
15、又は20g添加し水分含有率を63%に調整した
固形培養基を実施例1と同様にして各区32本準備し
た。これに上記の液体培養種菌を植菌し、実施例1と同
様にハタケシメジの人工栽培を行い、成熟子実体を得ら
れた瓶数を測定し、不適合腐植性基材使用時に、ケイ酸
アルミン酸ナトリウム、ケイ酸アルミン酸カルシウム、
又はケイ酸アルミン酸バリウムが、ハタケシメジK−3
304株の発生率に与える影響を調べた。結果を表9に
示す。
【0043】
【表9】
【0044】表9で明らかなように、不適合腐植性基材
を使用した人工培養基に、ケイ酸アルミン酸ナトリウ
ム、ケイ酸アルミン酸カルシウム、又はケイ酸アルミン
酸バリウムを添加することにより、ハタケシメジK−3
304株の発生率が、無添加のコントロールと比べ、飛
躍的に増大した。
【0045】実施例10 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、アルミン酸ナトリウム
〔(株)大阪曹達製、40%水溶液〕を0、0.3、
0.6、1、3、5、7、10、15、又は20g添加
し水分含有率を63%に調整した固形培養基を実施例1
と同様にして各区32本準備した。これに上記の液体培
養種菌を植菌し、実施例1と同様にハタケシメジの人工
栽培を行い、成熟子実体を得られた瓶数を測定し、不適
合腐植性基材使用時に、アルミン酸ナトリウムが、ハタ
ケシメジK−3304株の発生率に与える影響を調べ
た。結果を表10に示す。
【0046】
【表10】
【0047】表10で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、アルミン酸ナトリウムを添
加することにより、ハタケシメジK−3304株の発生
率が、無添加のコントロールと比べ、飛躍的に増大し
た。
【0048】実施例11 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、活性アルミナ〔(株)キ
シダ化学製、クロマトグラフ用酸化アルミニウム、活性
型〕、乾燥合成水酸化アルミニウム、又は擬ベーマイト
〔(株)協和化学工業製、キョーワード200S及びキ
ョーワード200B〕をそれぞれ0、0.3、0.6、
1、3、5、7、10、15、又は20g添加し水分含
有率を63%に調整した固形培養基を実施例1と同様に
して各区32本準備した。これに上記の液体培養種菌を
植菌し、実施例1と同様にハタケシメジの人工栽培を行
い、成熟子実体を得られた瓶数を測定し、不適合腐植性
基材使用時に、活性アルミナ、乾燥合成水酸化アルミニ
ウム、又は擬ベーマイトが、ハタケシメジK−3304
株の発生率に与える影響を調べた。結果を表11に示
す。
【0049】
【表11】
【0050】表11で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、活性アルミナ、乾燥合成水
酸化アルミニウム、又は擬ベーマイトを添加することに
より、ハタケシメジK−3304株の発生率が、無添加
のコントロールと比べ、飛躍的に増大した。
【0051】実施例12 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、合成ヒドロタルサイト
〔(株)協和化学工業製、キョーワード1000〕を
0、0.3、0.6、1、3、5、7、10、15、又
は20g添加し水分含有率を63%に調整した固形培養
基を実施例1と同様にして各区32本準備した。これに
上記の液体培養種菌を植菌し、実施例1と同様にハタケ
シメジの人工栽培を行い、成熟子実体が得られた瓶数を
測定し、不適合腐植性基材使用時に、合成ヒドロタルサ
イトが、ハタケシメジK−3304株の発生率に与える
影響を調べた。結果を表12に示す。
【0052】
【表12】
【0053】表12で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、合成ヒドロタルサイトを添
加することにより、ハタケシメジK−3304株の発生
率が、無添加のコントロールと比べ、飛躍的に増大し
た。
【0054】実施例13 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、モノステアリン酸アルミ
ニウム、ジステアリン酸アルミニウム、又はトリステア
リン酸アルミニウム〔(株)ナカライテスク製〕を0、
0.3、0.6、1、3、5、7、10、15、又は2
0g添加し水分含有率を63%に調整した固形培養基を
実施例1と同様にして各区32本準備した。これに上記
の液体培養種菌を植菌し、実施例1と同様にハタケシメ
ジの人工栽培を行い、成熟子実体を得られた瓶数を測定
し、不適合腐植性基材使用時に、モノステアリン酸アル
ミニウム、ジステアリン酸アルミニウム、又はトリステ
アリン酸アルミニウムが、ハタケシメジK−3304株
の発生率に与える影響を調べた。結果を表13に示す。
【0055】
【表13】
【0056】表13で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、モノステアリン酸アルミニ
ウム、ジステアリン酸アルミニウム、又はトリステアリ
ン酸アルミニウムを添加することにより、ハタケシメジ
K−3304株の発生率が、無添加のコントロールと比
べ、飛躍的に増大した。
【0057】実施例14 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、硝酸アルミニウム
〔(株)ナカライテスク製、試薬特級九水和物〕又は塩
化アルミニウム〔(株)ナカライテスク製、試薬特級六
水和物〕を水溶液状態で、0、0.3、0.6、1、
3、5、7、10、15、又は20g添加し水分含有率
を63%に調整した固形培養基を実施例1と同様にして
各区32本準備した。これに上記の液体培養種菌を植菌
し、実施例1と同様にハタケシメジの人工栽培を行い、
成熟子実体が得られた瓶数を測定し、不適合腐植性基材
使用時に、硝酸アルミニウム又は塩化アルミニウムが、
ハタケシメジK−3304株の発生率に与える影響を調
べた。結果を表14に示す。
【0058】
【表14】
【0059】表14で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、硝酸アルミニウム又は塩化
アルミニウムを添加することにより、ハタケシメジK−
3304株の発生率が、無添加のコントロールと比べ、
飛躍的に増大した。
【0060】実施例15 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、硫酸アルミニウム〔ナカ
ライテスク製、化学用(脱水物)〕、硫酸アンモニウム
アルミニウム(アンモニウムみょうばん)〔(株)ナカ
ライテスク製、試薬特級十二水和物〕、又は硫酸カリウ
ムアルミニウム(カリウムみょうばん)〔(株)ナカラ
イテスク製、試薬特級十二水和物〕を水溶液状態で、
0、0.3、0.6、1、3、5、7、10、15、又
は20g添加し水分含有率を63%に調整した固形培養
基を実施例1と同様にして各区32本準備した。これに
上記の液体培養種菌を植菌し、実施例1と同様にハタケ
シメジの人工栽培を行い、成熟子実体が得られた瓶数を
測定し、不適合腐植性基材使用時に、硫酸アルミニウ
ム、硫酸アンモニウムアルミニウム、又は硫酸カリウム
アルミニウムがハタケシメジK−3304株の発生率に
与える影響を調べた。結果を表15に示す。
【0061】
【表15】
【0062】表15で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、硫酸アルミニウム、硫酸ア
ンモニウムアルミニウム、又は硫酸カリウムアルミニウ
ムを添加することにより、ハタケシメジK−3304株
の発生率が、無添加のコントロールと比べ、飛躍的に増
大した。
【0063】実施例16 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、可溶性酢酸アルミニウム
〔(株)ナカライテスク製〕又は塩基性酢酸アルミニウ
ム〔(株)ナカライテスク製、化学用〕を水溶液状態
で、0、0.3、0.6、1、3、5、7、10、1
5、又は20g添加し水分含有率を63%に調整した固
形培養基を実施例1と同様にして各区32本準備した。
これに上記の液体培養種菌を植菌し、実施例1と同様に
ハタケシメジの人工栽培を行い、成熟子実体を得られた
瓶数を測定し、不適合腐植性基材使用時に、可溶性酢酸
アルミニウム又は塩基性酢酸アルミニウムがハタケシメ
ジK−3304株の発生率に与える影響を調べた。結果
を表16に示す。
【0064】
【表16】
【0065】表16で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、可溶性酢酸アルミニウム又
は塩基性酢酸アルミニウムを添加することにより、ハタ
ケシメジK−3304株の発生率が、無添加のコントロ
ールと比べ、飛躍的に増大した。
【0066】実施例17 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、アルミニウムトリイソプ
ロポキシド〔(株)ナカライテスク製、試薬特級〕を
0、0.3、0.6、1、3、5、7、10、15、又
は20g添加し水分含有率を63%に調整した固形培養
基を実施例1と同様にして各区32本準備した。これに
上記の液体培養種菌を植菌し、実施例1と同様にハタケ
シメジの人工栽培を行い、成熟子実体を得られた瓶数を
測定し、不適合腐植性基材使用時に、アルミニウムトリ
イソプロポキシドが、ハタケシメジK−3304株の発
生率に与える影響を調べた。結果を表17に示す。
【0067】
【表17】
【0068】表17で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、アルミニウムトリイソプロ
ポキシドを添加することにより、ハタケシメジK−33
04株の発生率が、無添加のコントロールと比べ、飛躍
的に増大した。
【0069】実施例18 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、第一リン酸アルミニウム
〔(株)ナカライテスク製、化学用〕又は第三リン酸ア
ルミニウム〔(株)キシダ化学製〕を、0、0.3、
0.6、1、3、5、7、10、15、又は20g添加
し水分含有率を63%に調整した固形培養基を実施例1
と同様にして各区32本準備した。これに上記の液体培
養種菌を植菌し、実施例1と同様にハタケシメジの人工
栽培を行い、成熟子実体を得られた瓶数を測定し、不適
合腐植性基材使用時に、第一リン酸アルミニウム又は第
三リン酸アルミニウムがハタケシメジK−3304株の
発生率に与える影響を調べた。結果を表18に示す。
【0070】
【表18】
【0071】表18で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、第一リン酸アルミニウム又
は第三リン酸アルミニウムを添加することにより、ハタ
ケシメジK−3304株の発生率が、無添加のコントロ
ールと比べ、飛躍的に増大した。
【0072】実施例19 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、市販のバーミキュライ
ト、鹿沼土、又は赤玉土の粉砕物を、0、10、30、
50、100、又は200g添加し(鹿沼土又は赤玉土
を100g添加した場合は、鋸屑、腐葉土それぞれを1
2g減らしている。200g添加した場合は、鋸屑、腐
葉土それぞれを24g減らしている。同様に、バーミキ
ュライトの場合は、100g添加で10g、200g添
加では20g、それぞれの鋸屑と、腐葉土量を減らして
いる。)添加し水分含有率を63%に調整した固形培養
基を実施例1と同様にして各区32本準備した。これに
上記の液体培養種菌を植菌し、実施例1と同様にハタケ
シメジの人工栽培を行い、成熟子実体を得られた瓶数を
測定し、不適合腐植性基材使用時に、バーミキュライ
ト、鹿沼土、又は赤玉土が、ハタケシメジK−3304
株の発生率に与える影響を調べた。結果を表19に示
す。
【0073】
【表19】
【0074】表19で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、バーミキュライト、鹿沼
土、又は赤玉土を添加することにより、ハタケシメジK
−3304株の発生率が、無添加のコントロールと比
べ、飛躍的に増大した。
【0075】実施例20 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、酸化マグネシウム
〔(株)ナカライテスク製、試薬一級〕、酸化カルシウ
ム〔(株)ナカライテスク製、試薬特級〕、酸化バリウ
ム〔(株)ナカライテスク製、試薬特級〕、又は酸化ス
トロンチウム〔(株)ナカライテスク製、試薬特級〕を
それぞれ0、0.3、0.6、1、3、5、7、又は1
0g添加し水分含有率を63%に調整した固形培養基を
実施例1と同様にして各区32本準備した。これに上記
の液体培養種菌を植菌し、実施例1と同様にハタケシメ
ジの人工栽培を行い、成熟子実体を得られた瓶数を測定
し、不適合腐植性基材使用時に、酸化マグネシウム、酸
化カルシウム、酸化バリウム、又は酸化ストロンチウム
が、ハタケシメジK−3304株の発生率に与える影響
を調べた。結果を表20に示す。
【0076】
【表20】
【0077】表20で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、酸化マグネシウム、酸化カ
ルシウム、酸化バリウム、又は酸化ストロンチウムを添
加することにより、ハタケシメジK−3304株の発生
率が、無添加のコントロールと比べ、飛躍的に増大し
た。
【0078】実施例21 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、水酸化カルシウム
〔(株)ナカライテスク製、試薬特級〕、水酸化マグネ
シウム〔(株)ナカライテスク製、化学用〕、水酸化バ
リウム〔(株)ナカライテスク製、試薬特級八水和
物〕、水酸化ストロンチウム〔(株)ナカライテスク
製、試薬一級八水和物〕、又は水酸化ベリリウム
〔(株)三津和化学薬品製〕をそれぞれ0、0.3、
0.6、1、3、5、7、10、15、又は20g添加
し水分含有率を63%に調整した固形培養基を実施例1
と同様にして各区32本準備した。これに上記の液体培
養種菌を植菌し、実施例1と同様にハタケシメジの人工
栽培を行い、成熟子実体を得られた瓶数を測定し、不適
合腐植性基材使用時に、水酸化カルシウム、水酸化マグ
ネシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、又
は水酸化ベリリウムが、ハタケシメジK−3304株の
発生率に与える影響を調べた。結果を表21に示す。
【0079】
【表21】
【0080】表21で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、水酸化カルシウム、水酸化
マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウ
ム、又は水酸化ベリリウムを添加することにより、ハタ
ケシメジK−3304株の発生率が、無添加のコントロ
ールと比べ、飛躍的に増大した。
【0081】実施例22 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、炭酸カルシウム〔(株)
ナカライテスク製、試薬特級〕、炭酸マグネシウム
〔(株)ナカライテスク製、化学用〕、炭酸バリウム
〔(株)ナカライテスク製、試薬特級〕、又は炭酸スト
ロンチウム〔(株)和光純薬工業製〕をそれぞれ0、
0.3、0.6、1、3、5、7、10、15、又は2
0g添加し水分含有率を63%に調整した固形培養基を
実施例1と同様にして各区32本準備した。これに上記
の液体培養種菌を植菌し、実施例1と同様にハタケシメ
ジの人工栽培を行い、成熟子実体を得られた瓶数を測定
し、不適合腐植性基材使用時に、炭酸カルシウム、炭酸
マグネシウム、炭酸バリウム、又は炭酸ストロンチウム
が、ハタケシメジK−3304株の発生率に与える影響
を調べた。結果を表22に示す。
【0082】
【表22】
【0083】表22で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、炭酸バリウム、又は炭酸ストロンチウムを添
加することにより、ハタケシメジK−3304株の発生
率が、無添加のコントロールと比べ、飛躍的に増大し
た。
【0084】実施例23 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、ステアリン酸カルシウム
〔(株)キシダ化学製〕又はステアリン酸マグネシウム
〔(株)淡南化学製〕をそれぞれ0、0.3、0.6、
1、3、5、7、10、15、又は20g添加し水分含
有率を63%に調整した固形培養基を実施例1と同様に
して各区32本準備した。これに上記の液体培養種菌を
植菌し、実施例1と同様にハタケシメジの人工栽培を行
い、成熟子実体を得られた瓶数を測定し、不適合腐植性
基材使用時に、ステアリン酸カルシウム又はステアリン
酸マグネシウムが、ハタケシメジK−3304株の発生
率に与える影響を調べた。結果を表23に示す。
【0085】
【表23】
【0086】表23で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、ステアリン酸カルシウム又
はステアリン酸マグネシウムを添加することにより、ハ
タケシメジK−3304株の発生率が、無添加のコント
ロールと比べ、飛躍的に増大した。
【0087】実施例24 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、硝酸カルシウム〔(株)
ナカライテスク製、試薬特級四水和物〕を水溶液状態
で、0、0.3、0.6、1、3、5、7、10、1
5、又は20g添加し水分含有率を63%に調整した固
形培養基を実施例1と同様にして各区32本準備した。
これに上記の液体培養種菌を植菌し、実施例1と同様に
ハタケシメジの人工栽培を行い、成熟子実体を得られた
瓶数を測定し、不適合腐植性基材使用時に、硝酸カルシ
ウムが、ハタケシメジK−3304株の発生率に与える
影響を調べた。結果を表24に示す。
【0088】
【表24】
【0089】表24で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、硝酸カルシウムを添加する
ことにより、ハタケシメジK−3304株の発生率が、
無添加のコントロールと比べ、飛躍的に増大した。
【0090】実施例25 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、硫酸ベリリウム〔(株)
三津和化学薬品製〕を、0、0.3、0.6、1、3、
5、7、10、15、又は20g添加し水分含有率を6
3%に調整した固形培養基を実施例1と同様にして各区
32本準備した。これに上記の液体培養種菌を植菌し、
実施例1と同様にハタケシメジの人工栽培を行い、成熟
子実体を得られた瓶数を測定し、不適合腐植性基材使用
時に、硫酸ベリリウムが、ハタケシメジK−3304株
の発生率に与える影響を調べた。結果を表25に示す。
【0091】
【表25】
【0092】表25で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、硫酸ベリリウムを添加する
ことにより、ハタケシメジK−3304株の発生率が、
無添加のコントロールと比べ、飛躍的に増大した。
【0093】実施例26 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、酢酸マグネシウム
〔(株)ナカライテスク製、試薬一級四水和物〕、又は
酢酸バリウム〔(株)ナカライテスク製、試薬一級〕を
それぞれ0、0.3、0.6、1、3、5、7、10、
15、又は20g添加し水分含有率を63%に調整した
固形培養基を実施例1と同様にして各区32本準備し
た。これに上記の液体培養種菌を植菌し、実施例1と同
様にハタケシメジの人工栽培を行い、成熟子実体を得ら
れた瓶数を測定し、不適合腐植性基材使用時に、酢酸マ
グネシウム又は酢酸バリウムが、ハタケシメジK−33
04株の発生率に与える影響を調べた。結果を表26に
示す。
【0094】
【表26】
【0095】表26で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、酢酸マグネシウム又は酢酸
バリウムを添加することにより、ハタケシメジK−33
04株の発生率が、無添加のコントロールと比べ、飛躍
的に増大した。
【0096】実施例27 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、乳酸カルシウム〔(株)
ナカライテスク製、試薬一級〕又はぎ酸バリウム
〔(株)関東化学製、試薬一級〕をそれぞれ0、1、
3、5、7、10、15、20、又は30g添加し水分
含有率を63%に調整した固形培養基を実施例1と同様
にして各区32本準備した。これに上記の液体培養種菌
を植菌し、実施例1と同様にハタケシメジの人工栽培を
行い、成熟子実体を得られた瓶数を測定し、不適合腐植
性基材使用時に、乳酸カルシウム又はぎ酸バリウムが、
ハタケシメジK−3304株の発生率に与える影響を調
べた。結果を表27に示す。
【0097】
【表27】
【0098】表27で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、乳酸カルシウム又はぎ酸バ
リウムを添加することにより、ハタケシメジK−330
4株の発生率が、無添加のコントロールと比べ、飛躍的
に増大した。
【0099】実施例28 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、くえん酸カルシウム
〔(株)ナカライテスク製、試薬一級〕又はくえん酸マ
グネシウム〔(株)ナカライテスク製、試薬一級〕をそ
れぞれ0、1、3、5、7、10、15、20、又は3
0g添加し水分含有率を63%に調整した固形培養基を
実施例1と同様にして各区32本準備した。これに上記
の液体培養種菌を植菌し、実施例1と同様にハタケシメ
ジの人工栽培を行い、成熟子実体を得られた瓶数を測定
し、不適合腐植性基材使用時に、くえん酸カルシウム又
はくえん酸マグネシウムが、ハタケシメジK−3304
株の発生率に与える影響を調べた。結果を表28に示
す。
【0100】
【表28】
【0101】表28で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、くえん酸カルシウム又はく
えん酸マグネシウムを添加することにより、ハタケシメ
ジK−3304株の発生率が、無添加のコントロールと
比べ、飛躍的に増大した。
【0102】実施例29 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、グルコン酸カルシウム
〔(株)ナカライテスク製、試薬特級〕又はグルコン酸
マグネシウム〔(株)富田製薬製〕をそれぞれ0、3、
5、7、10、15、20、30、又は40g添加し水
分含有率を63%に調整した固形培養基を実施例1と同
様にして各区32本準備した。これに上記の液体培養種
菌を植菌し、実施例1と同様にハタケシメジの人工栽培
を行い、成熟子実体を得られた瓶数を測定し、不適合腐
植性基材使用時に、グルコン酸カルシウム又はグルコン
酸マグネシウムが、ハタケシメジK−3304株の発生
率に与える影響を調べた。結果を表29に示す。
【0103】
【表29】
【0104】表29で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、グルコン酸カルシウム又は
グルコン酸マグネシウムを添加することにより、ハタケ
シメジK−3304株の発生率が、無添加のコントロー
ルと比べ、飛躍的に増大した。
【0105】実施例30 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、ニトロフミン酸の苦土石
灰中和沈殿物〔(株)北炭化成製、商品名パールフミ
ン、保証成分:アルカリ分(有効石灰)35%、く溶性
苦土6%〕又は腐植リン〔(株)日本重化学工業製、保
証成分:く溶性苦土8%、含有成分:可溶性石灰17
%〕を、0、1、5、10、30、50、又は100g
添加し水分含有率を63%に調整した固形培養基を実施
例1と同様にして各区32本準備した。これに上記の液
体培養種菌を植菌し、実施例1と同様にハタケシメジの
人工栽培を行い、成熟子実体を得られた瓶数を測定し、
不適合腐植性基材使用時に、ニトロフミン酸の苦土石灰
中和物又は腐植リンが、ハタケシメジK−3304株の
発生率に与える影響を調べた。結果を表30に示す。
【0106】
【表30】
【0107】表30で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、ニトロフミン酸の苦土石灰
中和物又は腐植リンを添加することにより、ハタケシメ
ジK−3304株の発生率が、無添加のコントロールと
比べ、飛躍的に増大した。
【0108】実施例31 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、骨粉〔(株)花ごころ
製、蒸製骨粉〕、苦土石灰〔(株)清水工業製、15炭
酸苦土石灰、保証成分:アルカリ分(有効石灰)53
%、苦土5%〕、過リン酸石灰〔(株)多木化学製〕、
又は石灰窒素〔(株)日本カーバイド工業製、商品名ク
ニ印石灰窒素50、保証成分:アルカリ分(有効石灰)
55%〕をそれぞれ0、1、5、10、15、20、3
0、又は40g添加し水分含有率を63%に調整した固
形培養基を実施例1と同様にして各区32本準備した。
これに上記の液体培養種菌を植菌し、実施例1と同様に
ハタケシメジの人工栽培を行い、成熟子実体を得られた
瓶数を測定し、不適合腐植性基材使用時に、骨粉、炭酸
苦土石灰、過リン酸石灰、又は石灰窒素が、ハタケシメ
ジK−3304株の発生率に与える影響を調べた。結果
を表31に示す。
【0109】
【表31】
【0110】表31で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、骨粉、炭酸苦土石灰、過リ
ン酸石灰、又は石灰窒素を添加することにより、ハタケ
シメジK−3304株の発生率が、無添加のコントロー
ルと比べ、飛躍的に増大した。
【0111】実施例32 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、炭酸カルシウム〔(株)
上田石灰製造製、商品名マル上印炭酸カルシウム、保証
成分:アルカリ分(有効石灰)53%〕、水酸化苦土
〔(株)ナイカイ塩業製、保証成分:く溶性苦土50
%〕、又はかき副産石灰〔(株)村田カルシウム製造所
製、商品名有機石灰カルエース、分析例:炭酸カルシウ
ム86%〕をそれぞれ0、1、5、10、15、20、
30、又は40g添加し水分含有率を63%に調整した
固形培養基を実施例1と同様にして各区32本準備し
た。これに上記の液体培養種菌を植菌し、実施例1と同
様にハタケシメジの人工栽培を行い、成熟子実体を得ら
れた瓶数を測定し、不適合腐植性基材使用時に、炭酸カ
ルシウム、水酸化苦土、又はかき副産石灰が、ハタケシ
メジK−3304株の発生率に与える影響を調べた。結
果を表32に示す。
【0112】
【表32】
【0113】表32で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、炭酸カルシウム、水酸化苦
土、又はかき副産石灰を添加することにより、ハタケシ
メジK−3304株の発生率が、無添加のコントロール
と比べ、飛躍的に増大した。
【0114】実施例33 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、苦土生石灰〔(株)上田
石灰製造製、保証成分:アルカリ分(有効石灰)100
%、可溶性苦土30%〕又は消石灰〔(株)ナイカイ塩
業製、保証成分:アルカリ分(有効石灰)65%〕をそ
れぞれ0、1、5、10、15、又は20g添加し水分
含有率を63%に調整した固形培養基を実施例1と同様
にして各区32本準備した。これに上記の液体培養種菌
を植菌し、実施例1と同様にハタケシメジの人工栽培を
行い、成熟子実体を得られた瓶数を測定し、不適合腐植
性基材使用時に、苦土生石灰又は消石灰が、ハタケシメ
ジK−3304株の発生率に与える影響を調べた。結果
を表33に示す。
【0115】
【表33】
【0116】表33で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、苦土生石灰又は消石灰を添
加することにより、ハタケシメジK−3304株の発生
率が、無添加のコントロールと比べ、飛躍的に増大し
た。
【0117】実施例34 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、草木灰〔市販品、分析
例:石灰全量11.7%〕、転炉滓〔(株)日本耕土産
業製、分析例:可溶性石灰35〜45%、可溶性苦土3
%〕、熔リン〔輸入元(株)松下電器産業、商品名20
0熔成リン肥、保証成分:アルカリ分(有効石灰)50
%、く溶性苦土12.0%〕、又はリンスター〔(株)
三菱化成製、商品名リンスター、保証成分:く溶性苦土
8%〕をそれぞれ0、1、5、10、15、20、3
0、又は40g添加し水分含有率を63%に調整した固
形培養基を実施例1と同様にして各区32本準備した。
これに上記の液体培養種菌を植菌し、実施例1と同様に
ハタケシメジの人工栽培を行い、成熟子実体を得られた
瓶数を測定し、不適合腐植性基材使用時に、草木灰、転
炉滓、熔リン、又はリンスターが、ハタケシメジK−3
304株の発生率に与える影響を調べた。結果を表34
に示す。
【0118】
【表34】
【0119】表34で明らからように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、草木灰、転炉滓、熔リン又
はリンスターを添加することにより、ハタケシメジK−
3304株の発生率が、無添加のコントロールと比べ、
飛躍的に増大した。
【0120】実施例35 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、MgO、Al2 3 、S
iO2 を下記式(化1):
【0121】
【化1】
【0122】で表される重量比で含有する化合物につい
て、表35〜36の組合せのものをそれぞれ0、0.
3、0.6、1、3、5、7、10、15、又は20g
添加し水分含有率を63%に調整した固形培養基を実施
例1と同様にして各区32本準備した。これに上記の液
体培養種菌を植菌し、実施例1と同様にハタケシメジの
人工栽培を行い、成熟子実体を得られた瓶数を測定し、
不適合腐植性基材使用時に、式(化1)で表される化合
物が、ハタケシメジK−3304株の発生率に与える影
響を調べた。結果を表37〜39に示す。
【0123】
【表35】
【0124】
【表36】
【0125】
【表37】
【0126】
【表38】
【0127】
【表39】
【0128】表37〜39で明らかなように、不適合腐
植性基材を使用した人工培養基に、式(化1)で表され
る重量比で含有する化合物を添加することにより、ハタ
ケシメジK−3304株の発生率が、無添加のコントロ
ールと比べ、飛躍的に増大した。
【0129】実施例36 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50g、米糠1
00gをよく混合し、これに、CaO、Al23 、S
iO2 を下記式(化2):
【0130】
【化2】
【0131】で表される重量比で含有する化合物につい
て、表40の組合せのものをそれぞれ0、0.3、0.
6、1、3、5、7、10、15、又は20g添加し水
分含有率を63%に調整した固形培養基を実施例1と同
様にして各区32本準備した。これに上記の液体培養種
菌を植菌し、実施例1と同様にハタケシメジの人工栽培
を行い、成熟子実体を得られた瓶数を測定し、不適合腐
植性基材使用時に、式(化2)で表される化合物が、ハ
タケシメジK−3304株の発生率に与える影響を調べ
た。結果を表41に示す。
【0132】
【表40】
【0133】
【表41】
【0134】表41で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、式(化2)で表される重量
比で含有する化合物を添加することにより、ハタケシメ
ジK−3304株の発生率が、無添加のコントロールと
比べ、飛躍的に増大した。
【0135】実施例37 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、ポリプロピレン製の広口培
養瓶(850ml)に、不適合腐植性基材として、市販
の腐葉土(腐葉土A)、鋸屑(スギ材)50gをよく混
合し、これに、オカラ〔(株)みすず豆腐製乾燥オカ
ラ、商品名マッシュパワー30〕を0、5、10、3
0、又は50g添加し更に、オカラとの合計が100g
となるように米糠を添加し、更によく混合する。これに
加水して水分含有率を63%に調整した固形培養基を実
施例1と同様にして各区32本準備した。これに上記の
液体培養種菌を植菌し、実施例1と同様にハタケシメジ
の人工栽培を行い、成熟子実体を得られた瓶数を測定
し、不適合腐植性基材使用時に、オカラが、ハタケシメ
ジK−3304株の発生率に与える影響を調べた。結果
を表42に示す。
【0136】
【表42】
【0137】表42で明らかなように、不適合腐植性基
材を使用した人工培養基に、オカラを添加することによ
り、ハタケシメジK−3304株の発生率が、無添加の
コントロールと比べ、飛躍的に増大した。
【0138】実施例38 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、鋸屑(杉材)100g、米
糠100gをよく混合し、これに、ニトロフミン酸の苦
土石灰中和物〔パールフミン〕を0又は10g/瓶及び
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム〔ノイシリン〕を0
又は3g/瓶を添加し、水分含有率を63%に調整した
固形培養基を各区32本準備した。これに上記の液体培
養種菌を植菌し、培養基に見掛上菌糸が回るまで培養
し、その後、更に培養を続け熟成させた。計100日間
培養した後に、菌かきをして10日間培養を続け、子実
体原基を形成させた。原基が形成された培養基は、更に
12日間培養を続け、成熟子実体を得られた瓶数を測定
し、腐植性基材を使用しない培地で、ニトロフミン酸の
苦土石灰中和物及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウム
が、ハタケシメジK−3304株の発生率に与える影響
を調べた。結果を表43に示す。
【0139】
【表43】
【0140】表43で明らかなように、人工培養基に、
ニトロフミン酸の苦土石灰中和物及びメタケイ酸アルミ
ン酸マグネシウムを同時に添加することにより、従来人
工培養には必要とされていた腐植性基材を含まない培地
でも、ハタケシメジK−3304株の発生率が、無添加
のコントロールと比べ飛躍的に向上し、その際に必要な
ニトロフミン酸の苦土石灰中和物及びメタケイ酸アルミ
ン酸マグネシウム量は、各々を単独で使用するよりも少
量であった。
【0141】実施例39 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、鋸屑(杉材)100g、米
糠100gをよく混合し、これに、ニトロフミン酸の苦
土石灰中和物〔パールフミン〕を0又は10g/瓶添加
した。更に、CaO、Al23 、SiO2 を約(Ca
O)1 (Al233 (SiO2 3〔(株)協和化
学工業製試作品〕で表される重量比で含有する化合物
(以下化合物Aと略す)又はMgO、Al23 、Si
2 を約(MgO)1 (Al233 (SiO23
〔(株)協和化学工業製試作品〕で表される重量比で含
有する化合物(以下化合物Bと略す)を0又は3g/瓶
添加し、水分含有率を63%に調整した固形培養基を各
区32本準備した。これに上記の液体培養種菌を植菌
し、培養基に見掛上菌糸が回るまで培養し、その後、更
に培養を続け熟成させた。計100日間培養した後に、
菌かきをして10日間培養を続け、子実体原基を形成さ
せた。原基が形成された培養基は、更に12日間培養を
続け、成熟子実体を得られた瓶数を測定し、腐植性基材
を使用しない培地で、ニトロフミン酸の苦土石灰中和物
及び化合物A又は化合物Bが、ハタケシメジK−330
4株の発生率に与える影響を調べた。結果を表44に示
す。
【0142】
【表44】
【0143】表44で明らかなように、ニトロフミン酸
の苦土石灰中和物を添加した人工培養基に、化合物A又
は化合物Bを添加することにより、従来人工培養には必
要とされていた腐植性基材を含まない培地でも、ハタケ
シメジK−3304株の発生率が、無添加のコントロー
ルと比べ飛躍的に向上し、その際に必要なニトロフミン
酸の苦土石灰中和物及び化合物A又は化合物Bの添加量
は、各々を単独で使用するよりも少量であった。
【0144】実施例40 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、鋸屑(ブナ材)100g、
米糠70g、オカラ〔(株)みすず豆腐製乾燥オカラ、
商品名マッシュパワー30〕をよく混合し、これに、メ
タケイ酸アルミン酸マグネシウム〔ノイシリン〕を0、
1、3、5、7、10、15、又は10g/瓶添加し水
分含有率を63%に調整した固形培養基を各区32本準
備した。これに上記の液体培養種菌を植菌し、培養基に
見掛上菌糸が回るまで培養し、その後、更に培養を続け
熟成させた。計100日間培養した後に、菌かきをして
10日間培養を続け、子実体原基を形成させた。原基が
形成された培養基は、更に12日間培養を続け、成熟子
実体を得られた瓶数を測定し、腐植性基材を使用しない
培地で、オカラ及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウム
が、ハタケシメジK−3304株の発生率に与える影響
を調べた。結果を表45に示す。
【0145】
【表45】
【0146】表45の結果と表2とを比較すると明らか
なように、人工培養基に、オカラとメタケイ酸アルミン
酸マグネシウムを同時に添加することにより、従来人工
培養には必要とされていた腐植性基材を含まない培地で
も、ハタケシメジK−3304株の発生率が、無添加の
コントロールと比べ飛躍的に向上し、その際に必要なメ
タケイ酸アルミン酸マグネシウム量は、単独で使用する
よりも少量であった。
【0147】実施例41 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、鋸屑(杉材)100g、米
糠100gをよく混合し、これにニトロフミン酸の苦土
石灰中和物〔パールフミン〕を0又は30g/瓶及びメ
タケイ酸アルミン酸マグネシウム〔ノイシリン〕を0又
は3g/瓶を添加し、更に硝酸カルシウム〔(株)ナカ
ライテスク製、試薬特級〕0、3、5、又は10g/瓶
を水溶液状態で添加し、水分含有率を63%に調整した
固形培養基を各区32本準備した。これに上記の液体培
養種菌を植菌し、培養基に見掛上菌糸が回るまで培養
し、菌糸が回るのに必要な日数(菌回り日数)を測定し
た。その後、更に培養を続け熟成させた。計100日間
培養した後に、菌かきをして10日間培養を続け、子実
体原基を形成させた。原基が形成された培養基は、更に
12日間培養を続け、成熟子実体を得られた瓶数を測定
し、腐植性基材を使用しない培地で、ニトロフミン酸の
苦土石灰中和物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、
及び硝酸カルシウムが、ハタケシメジK−3304株の
菌糸が回るのに必要な日数と、発生率に与える影響を調
べた。結果を表46に示す。
【0148】
【表46】
【0149】表46で明らかなように、人工培養基に、
ニトロフミン酸の苦土石灰中和物及びメタケイ酸アルミ
ン酸マグネシウムを同時に添加することにより、従来人
工培養には必要とされていた腐植性基材を含まない培地
でも、ハタケシメジK−3304株の発生率は、向上し
た。しかし、菌回りに必要な日数は、遅延した。しか
し、硝酸カルシウムを添加することにより、発生率を損
なうことなく菌回り日数が大幅に改善できた。
【0150】実施例42 実施例1と同様にして、ハタケシメジK−3304株の
液体種菌を準備した。一方、鋸屑(杉材)100g、米
糠100gをよく混合し、これにニトロフミン酸の苦土
石灰中和物〔パールフミン〕を0又は30g/瓶及びメ
タケイ酸アルミン酸マグネシウム〔ノイシリン〕を0又
は3g/瓶を添加し、更にくえん酸カルシウム〔(株)
ナカライテスク製、試薬一級〕を0、3、5、又は10
g/瓶添加し、水分含有率を63%に調整した固形培養
基を各区32本準備した。これに上記の液体培養種菌を
植菌し、培養基に見掛上菌糸が回るまで培養し、菌糸が
回るのに必要な日数(菌回り日数)を測定した。その
後、更に培養を続け熟成させた。計100日間培養した
後に、菌かきをして10日間培養を続け、子実体原基を
形成させた。原基が形成された培養基は、更に12日間
培養を続け、成熟子実体を得られた瓶数を測定し、腐植
性基材を使用しない培地で、ニトロフミン酸の苦土石灰
中和物、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、及びくえ
ん酸カルシウムが、ハタケシメジK−3304株の菌糸
が回るのに必要な日数と、発生率に与える影響を調べ
た。結果を表47に示す。
【0151】
【表47】
【0152】表47で明らかなように、人工培養基に、
ニトロフミン酸の苦土石灰中和物及びメタケイ酸アルミ
ン酸マグネシウムを同時に添加することにより、従来人
工培養には必要とされていた腐植性基材を含まない培地
でも、ハタケシメジK−3304株の発生率は、向上し
た。しかし、菌回りに必要な日数は、遅延した。しか
し、くえん酸カルシウムを添加することにより、発生率
を損なうことなく菌回り日数が大幅に改善できた。
【0153】
【発明の効果】以上本発明によれば、菌株、腐植性基材
の品質、腐植性基材の使用の有無を問わず、高品質のハ
タケシメジを、高収率で得ることが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松井 侑 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内 (72)発明者 森田 日出男 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒造 株式会社中央研究所内 Fターム(参考) 2B011 AA07 BA10 BA13 GA04

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムを含有しないアルカリ土類
    金属化合物(但し、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム
    を除く)を必須成分とすることを特徴とするハタケシメ
    ジの子実体の発生率向上剤。
  2. 【請求項2】 アルミニウムを含有しないアルカリ土類
    金属化合物が、アルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、
    無機酸塩(但し、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウムを
    除く)、脂肪族酸塩又はニトロフミン酸塩である請求項
    1に記載の発生率向上剤。
  3. 【請求項3】 酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸
    化バリウム、酸化ストロンチウム、水酸化カルシウム、
    水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロン
    チウム、水酸化ベリリウム、硝酸カルシウム、硫酸ベリ
    リウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸ストロ
    ンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグ
    ネシウム、酢酸マグネシウム、酢酸バリウム、乳酸カル
    シウム、ぎ酸バリウム、くえん酸カルシウム、くえん酸
    マグネシウム、グルコン酸カルシウム、グルコン酸マグ
    ネシウム、石灰、ニトロフミン酸の苦土石灰中和沈殿
    物、腐植リン、骨粉、苦土石灰、消石灰、石灰窒素、過
    リン酸石灰、水酸化苦土、かき副産石灰、転炉滓、熔リ
    ン、ケイ酸マグネシウム、及びケイ酸カルシウムから選
    択される材料である請求項1又は2に記載の発生率向上
    剤。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の必須成分と、炭酸カル
    シウム、バーミキュライト、鹿沼土、赤玉土、草木灰適
    合若しくは不適合腐植性基材よりなる群がら選択される
    1以上の材料を含有する請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の発生率向上剤。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の発
    生率向上剤を含有することを特徴とするハタケシメジの
    人工栽培用基材。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の発
    生率向上剤を含有することを特徴とするハタケシメジの
    人工栽培用培地。
  7. 【請求項7】 ハタケシメジの人工栽培において、請求
    項1〜6のいずれか1項に記載の材料を用いることを特
    徴とするハタケシメジの人工栽培方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の材
    料を用いることを特徴とするハタケシメジの子実体の発
    生率向上方法。
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