JP2001324799A - 直描型水なし平版印刷版原版 - Google Patents

直描型水なし平版印刷版原版

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JP2001324799A
JP2001324799A JP2000142347A JP2000142347A JP2001324799A JP 2001324799 A JP2001324799 A JP 2001324799A JP 2000142347 A JP2000142347 A JP 2000142347A JP 2000142347 A JP2000142347 A JP 2000142347A JP 2001324799 A JP2001324799 A JP 2001324799A
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JP
Japan
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printing plate
compound
ink receiving
receiving layer
metal
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Application number
JP2000142347A
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English (en)
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Kunitaka Fujiyoshi
国孝 藤吉
Kazuoki Goto
一起 後藤
Koichi Nagase
公一 長瀬
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41CPROCESSES FOR THE MANUFACTURE OR REPRODUCTION OF PRINTING SURFACES
    • B41C2210/00Preparation or type or constituents of the imaging layers, in relation to lithographic printing forme preparation
    • B41C2210/16Waterless working, i.e. ink repelling exposed (imaged) or non-exposed (non-imaged) areas, not requiring fountain solution or water, e.g. dry lithography or driography

Landscapes

  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】水または水に界面活性剤を添加した現像液で画
像再現性の良好な印刷版を得ることができる、直描型水
なし平版印刷版原版を提供する。 【解決手段】支持体上に、少なくとも、インキ受容層、
シリコーンゴム層をこの順に積層してなる直描型水なし
平版印刷版原版において、該印刷版原版をヘリウム気流
下で10℃/分の昇温速度で加熱した時の発生気体を測
定(TG−GC/MS測定)した場合、100℃〜20
0℃の範囲で分解物ガスが発生し、その発生量が0.0
1g/m2〜1g/m2であり、レーザー光照射後、水ま
たは水に界面活性剤を添加した水溶液で現像することを
特徴とする直描型水なし平版印刷版原版。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光で直接
製版できる直描型水なし平版印刷版原版に関するもので
あり、特に有機溶剤を含む現像液を使用せずに現像可能
な画像再現性に優れた直描型水なし平版印刷版原版に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】製版用フィルムを使用しないで、原稿か
ら直接オフセット印刷版を作製する、いわゆる直描型製
版は、熟練度を必要としない簡易性、短時間で印刷版が
得られる迅速性、多様なシステムから品質とコストに応
じて選択可能である合理性などの特徴を生かして、軽印
刷業界のみでなく、一般オフセット印刷、フレキソ印刷
の分野にも進出し始めている。
【0003】特に最近では、プリプレスシステムやイメ
ージセッター、レーザープリンタなどの出力システムの
急激な進歩によって新しいタイプの各種直描型平版印刷
版が開発されている。
【0004】これらの直描型平版印刷版を製版方法から
分類すると、レーザー光を照射する方法、サーマルヘッ
ドで書き込む方法、ピン電極で電圧を部分的に印加する
方法、インクジェットでインキ反発層またはインキ着肉
層を形成する方法などが挙げられる。なかでも、レーザ
ー光を用いる方法は解像度、および製版速度の面で他の
方式よりも優れており、その種類も多い。
【0005】このレーザー光を用いる印刷版はさらに、
光反応によるフォトンモードのものと、光熱変換を行っ
て熱反応を起こさせるヒートモードの2つのタイプに分
けられる。特にヒートモードの方式は、明室で取り扱え
るといった利点があり、また光源となる半導体レーザー
の急激な進歩によって、最近その有用性が見直されてき
ている。
【0006】例えば、米国特許第5339737号明細
書、米国特許第5353705号明細書、特開平6−5
5723号公報、米国特許第5378580号明細書、
特開平7−164773号公報、特開平6−18675
0号公報、特開平7−309001号公報、特開平9−
104182号公報、特開平9−146264号公報、
特開平9−146265号公報、特開平9−23692
7号公報、特開平9−244228号公報および米国特
許第5487338号明細書、米国特許第538509
2号明細書、米国特許第5649486号明細書、米国
特許第5704291号明細書、米国特許第55706
36号明細書にはレーザー光を光源として用いる直描型
水なし平版印刷版原版およびその製版方法などが記載さ
れている。
【0007】この熱破壊方式の印刷版原版の感熱層は、
レーザー光吸収化合物として主としてカーボンブラック
を用い、熱分解化合物としてニトロセルロースを使用し
ている。そしてこのカーボンブラックがレーザー光を吸
収することによって熱エネルギーに変換され、その熱で
感熱層が破壊される。そして最終的に、現像によってこ
の部分を除去することによって、表面のシリコーンゴム
層が同時に剥離され、インキ着肉部となる。
【0008】しかしながらこの印刷版は、感熱層を破壊
して画像を形成することから画線部のセルの深さが深く
なり、微少網点でのインキ着肉性が悪く、インキマイレ
ージが悪いという問題点があった。更に、感熱層を熱破
壊させ易くするために、架橋構造を形成しており印刷版
の耐刷性が悪いという問題もあった。更にこの印刷版は
感度が低く、感熱層を破壊させるために高いレーザー光
の強度が必要という問題点もあった。
【0009】このような欠点を改良するために、特開平
11−221977号公報、特開平11−227353
号公報、特開平11−352673号公報などでは、レ
ーザー光を熱に変換することによりシリコーンゴム層と
の密着性が低下することによって画像が形成できるヒー
トモードの湿し水不要平版印刷原版が提案されている。
【0010】しかしながら、これらの提案では、良好な
画像再現性を得るためには、有機溶剤を使用して現像す
る必要があった。有機溶剤を含有する液は、古くなった
場合、処分するのにコストが高くなるといった問題があ
った。かといって、これらの提案の印刷版原版を、レー
ザー光照射後、水または水に界面活性剤を添加した水溶
液の存在下で摩擦処理を行って現像を行うと、部分的に
現像不良が発生し、画像再現性が不充分であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の問題点の解決を図るために、水または水に界面活性剤
を添加した現像液で画像再現性の良好な印刷版を得るこ
とができる、直描型水なし平版印刷版を提供することで
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は主として次の構成を有する。すなわち、
「支持体上に、少なくとも、インキ受容層、シリコーン
ゴム層をこの順に積層してなる直描型水なし平版印刷版
原版において、該印刷版原版をヘリウム気流下で10℃
/分の昇温速度で加熱した時の発生気体を測定(TG−
GC/MS測定)した場合、100℃〜200℃の範囲
で分解物ガスが発生し、その発生量が0.01g/m2
〜1g/m2であり、レーザー光照射後、水または水に
界面活性剤を添加した水溶液で現像することを特徴とす
る直描型水なし平版印刷版原版」である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において直描型とは、露光
時にネガあるいはポジフィルムを用いずに、印刷版上に
直接記録ヘッドから画像形成を行うことを意味する。
【0014】以下、本発明を詳述する。
【0015】[基板]本発明の直描型水なし印刷版原版
に使用する基板としては、寸法的に安定な板状物であれ
ば、金属、フイルム等のいずれも使用することができ
る。この様な寸法的に安定な板状物としては、従来印刷
版の基板として使用されたもの等が好ましく挙げられ
る。かかる基板としては、紙、プラスチック(ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネート
された紙、アルミニウム、亜鉛、銅などの金属の板、セ
ルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、
ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポ
リビニルアセタール等のプラスチックのフイルム、金属
がラミネートもしくは蒸着された紙もしくはプラスチッ
クフイルム等が挙げられる。
【0016】これらの内、アルミニウム板は寸法的に著
しく安定であり、しかも安価であるので特に好ましい。
また、軽印刷用の基板として用いられているポリエチレ
ンテレフタレートフイルムも好ましく使用される。 [インキ受容層]本発明の直描型水なし印刷版原版は、
レーザー光を照射することにより画像を形成させるた
め、(a)光熱変換物質を含有することが好ましい。光
熱変換物質はレーザー光を吸収することで、熱を発生
し、そのもの自体が分解し、分解物を発生するか、ある
いは他の物質に熱エネルギーを与えて他の物質を分解
し、分解物を発生させることができる。
【0017】(a)光熱変換物質としてはレーザー光を
吸収するものであればよく、例えばカーボンブラック、
アニリンブラック、シアニンブラックなどの黒色顔料、
フタロシアニン、ナフタロシアニン系の緑色顔料、カー
ボングラファイト、鉄粉、ジアミン系金属錯体、ジチオ
ール系金属錯体、フェノールチオール系金属錯体、メル
カプトフェノール系金属錯体、結晶水含有無機化合物、
硫酸銅、硫化クロム、珪酸塩化合物や、酸化チタン、酸
化バナジウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化コバルト、
酸化タングステンなどの金属酸化物、これらの金属の水
酸化物、硫酸塩、さらにビスマス、鉄、マグネシウム、
アルミの金属粉などの添加剤を用いることができる。
【0018】これらのなかでも、光熱変換率、経済性お
よび取り扱い性の面から、カーボンブラックが好まし
い。
【0019】また上記の物質以外に、赤外線または近赤
外線を吸収する染料も、(a)光熱変換物質として好ま
しく使用される。
【0020】これら染料としては400nm〜1200
nmの範囲に極大吸収波長を有する全ての染料が使用で
きる。好ましい染料としては、エレクトロニクス用、記
録用色素であるシアニン系、フタロシアニン系、フタロ
シアニン金属錯体系、ナフタロシアニン系、ナフタロシ
アニン金属錯体系、ジチオール金属錯体系、ナフトキノ
ン系、アントラキノン系、インドフェノール系、インド
アニリン系、ピリリウム系、チオピリリウム系、スクワ
リリウム系、クロコニウム系、ジフェニルメタン系、ト
リフェニルメタン系、トリフェニルメタンフタリド系、
トリアリルメタン系、フェノチアジン系、フェノキサジ
ン系、フルオラン系、チオフルオラン系、キサンテン
系、インドリルフタリド系、スピロピラン系、アザフタ
リド系、クロメノピラゾール系、ロイコオーラミン系、
ローダミンラクタム系、キナゾリン系、ジアザキサンテ
ン系、ビスラクトン系、フルオレノン系、モノアゾ系、
ケトンイミン系、ジズアゾ系、ポリメチン系、オキサジ
ン系、ニグロシン系、ビスアゾ系、ビスアゾスチルベン
系、ビスアゾオキサジアゾール系、ビスアゾフルオレノ
ン系、ビスアゾヒドロキシペリノン系、アゾクロム錯塩
系、トリスアゾトリフェニルアミン系、チオインジゴ
系、ペリレン系、ニトロソ系、1:2型金属錯塩系、分
子間型CT系、キノリン系、キノフタロン系、フルギド
系の酸性染料、塩基性染料、色素、油溶性染料や、トリ
フェニルメタン系ロイコ色素、カチオン染料、アゾ系分
散染料、ベンゾチオピラン系スピロピラン、3,9−ジ
ブロモアントアントロン、インダンスロン、フェノール
フタレイン、スルホフタレイン、エチルバイオレット、
メチルオレンジ、フルオレッセイン、メチルビオロゲ
ン、メチレンブルー、ジムロスベタインなどが挙げられ
る。
【0021】これらのなかでも、エレクトロニクス用や
記録用の染料で、最大吸収波長が700nm〜900n
mの範囲にある、シアニン系染料、アズレニウム系染
料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、アゾ
系分散染料、ビスアゾスチルベン系染料、ナフトキノン
系染料、アントラキノン系染料、ペリレン系染料、フタ
ロシアニン系染料、ナフタロシアニン金属錯体系染料、
ポリメチン系染料、ジチオールニッケル錯体系染料、イ
ンドアニリン金属錯体染料、分子間型CT染料、ベンゾ
チオピラン系スピロピラン、ニグロシン染料などが好ま
しく使用される。
【0022】上述した染料のなかでも、モル吸光度係数
の大きなものが好ましく使用される。具体的にはε=1
×104以上が好ましく、より好ましくは1×105以上
である。εが1×104以上であれば、感度の向上効果
が十分に発現するためである。
【0023】これらの光熱変換物質は単独でも感度の向
上効果はあるが、2種以上を併用して用いることによっ
て、さらに感度を向上させることも可能である。
【0024】また、吸収波長の異なる2種以上の光熱変
換物質を併用することにより、2種以上の発信波長の異
なるレーザーに対応できるようにすることも可能であ
る。
【0025】これら(a)光熱変換物質の含有量は、全
インキ受容層組成物に対して1〜40重量%が好まし
く、より好ましくは5〜25重量%である。1重量%以
上であればレーザー光に対する感度の向上効果が十分に
得られ、40重量%以下であれば印刷版の耐刷性が低下
しにくい。
【0026】本発明の直描型水なし印刷版原版のインキ
受容層は、(b)熱分解性化合物を含有することが好ま
しい。このような化合物としては、金属含有有機化合
物、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウ
ム、炭酸エステル化合物、ニトロセルロース等のニトロ
化合物や、有機過酸化物、無機過酸化物、ポリビニルピ
ロリドン、アゾ化合物、ジアゾ化合物、テトラゾール系
化合物あるいはヒドラジン誘導体が好ましく使用され
る。
【0027】特に好ましくは金属含有有機化合物、有機
過酸化物、アゾ化合物、ジアゾ化合物が挙げられる。
【0028】本発明でいう金属含有有機化合物とは、
「中心金属」と有機置換基である「配位子」からなり、
金属に対して有機配位子が配位結合している錯体化合物
か、有機官能基と共有結合している有機金属化合物のこ
とをいう。有機置換基である配位子としては、一座配位
子、多座配位子に分類されるが、多座配位子、特に二座
配位子を有することが好ましい。
【0029】また、金属酸化物のような無機化合物はそ
の範疇ではない。これら金属含有有機化合物は、活性水
素基を含有する化合物と架橋反応をおこすことが特徴で
ある。
【0030】「中心金属」としては周期表の第2周期か
ら第6周期の金属が挙げられ、なかでも第3周期から第
5周期の金属が好ましく、第3周期金属のAl、第4周
期金属のTi、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、
Ge、第5周期金属のIn、Snが特に好ましい。
【0031】以上のような金属を中心にして有機化合物
との間で「金属含有有機化合物」が形成されるわけであ
るが、それらの形態としては例えば以下の様な具体例が
挙げられる。
【0032】(1)金属ジケテネート ジケトンのエノール水酸基の水酸基が金属原子とが置換
したもので、中心金属は酸素原子を介して結合してい
る。ジケトンのカルボニルがさらに金属に対して配位結
合することができるため、比較的安定な化合物である。
【0033】具体的には、キレート部が、2,4−ペン
タジオネート(アセチルアセトネート)、フルオロペン
タジオネート、2,2,6,6−テトラメチル−3,5
−ヘプタンジオネート、ベンゾイルアセトネート、テノ
イルトリフルオロアセトネートや1,3−ジフェニル−
1,3−プロパンジオネートなどである金属ペンタンジ
オネート(金属アセトネート)類や、メチルアセトアセ
テート、エチルアセトアセテート、メタクリルオキシエ
チルアセトアセテートやアリルアセトアセテートなどで
ある金属アセトアセテート類、サリチルアルデヒド錯塩
が挙げられる。
【0034】(2)金属アルコキサイド 中心金属に対して、酸素原子を介してアルキル基が結合
している化合物である。メトキサイド、エトキサイド、
プロポキサイド、ブトキサイド、フェノキサイド、アリ
ルオキサイド、メトキシエトキサイド、アミノエトキサ
イドなどの金属アルコキサイドが挙げられる。
【0035】(3)アルキル金属 中心金属が直接アルキル基の炭素原子と結合している化
合物である。キレート部化合物がジケトンであっても、
金属が炭素原子で結合していればこちらに分類される。
なかでもアセチルアセトン金属が好ましく用いられる。
【0036】(4)金属カルボン酸塩類 酢酸金属塩、乳酸金属塩、アクリル酸金属塩、メタクリ
ル酸金属塩、ステアリン酸金属塩などが挙げられる。
【0037】(5)その他 エチレンジアミンなどのアミン類との金属含有有機化合
物、チタンオキサイドアセトネートのような酸化金属含
有有機化合物、チタノセンフェノキサイドのような金属
錯体や、2種以上の金属原子を1分子中に有するヘテロ
金属含有有機化合物が挙げられる。
【0038】以上のような金属含有有機化合物のうち好
ましく用いられる金属含有有機化合物の具体例として
は、例えば、以下のような化合物が挙げられる。
【0039】アルミニウム含有有機化合物の具体例とし
ては、アルミニウムイソプロピレート、モノsec−ブ
トキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム
sec−ブチレート、エチルアセテートアルミニウムジ
イソプロピレート、プロピルアセテートアルミニウムジ
イソプロピレート、ブチルアセテートアルミニウムジイ
ソプロピレート、ヘプチルアセテートアルミニウムジイ
ソプロピレート、ヘキシルアセテートアルミニウムジイ
ソプロピレート、オクチルアセテートアルミニウムジイ
ソプロピレート、ノニルアセテートアルミニウムジイソ
プロピレート、エチルアセテートアルミニウムジエチレ
ート、エチルアセテートアルミニウムジブチレート、エ
チルアセテートアルミニウムジヘプチレート、エチルア
セテートアルミニウムジノニレート、ジエチルアセテー
トアルミニウムイソプロピレート、アルミニウムトリス
(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(プ
ロピルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(ブチ
ルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(ヘキシル
アセトアセテート)、アルミニウムトリス(ノニルアセ
トアセテート)、アルミニウムトリスアセチルアセトネ
ート、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノア
セチルアセトネート、アルミニウムジアセチルアセトネ
ートエチルアセトアセテート、アルミニウムモノアセチ
ルアセトネートビスプロピルアセトアセテート、アルミ
ニウムモノアセチルアセトネートビスブチルアセトアセ
テート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスヘ
キシルアセトアセテート、アルミニウムモノエチルアセ
トアセテートビスプロピルアセトセトネート、アルミニ
ウムモノエチルアセトアセテートビスブチルアセトアセ
トネート、アルミニウムモノエチルアセトアセテートビ
スヘキシルアセトアセトネート、アルミニウムモノエチ
ルアセトアセテートビスノニルアセトアセトネート、ア
ルミニウムジブトキシドモノアセトアセテート、アルミ
ニウムジプロポキシドモノアセトアセテート、アルミニ
ウムジブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミ
ニウムオキシドアクリレート、アルミニウムオキシドオ
クテート、アルミニウムオキシドステアレイト、トリス
アリザリンアルミニウム、アルミニウム−s−ブトキシ
ドビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムジ−
s−ブトキシドエチルアセトアセテート、アルミニウム
−9−オクタデセニルアセトアセテートジイソプロポキ
シド、アルミニウムフェノキシド、アクリル酸アルミニ
ウム、メタクリル酸アルミニウムなど。
【0040】チタン含有有機化合物の具体例としては、
イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプ
ロピルトリn−ステアロイルチタネート、イソプロピル
トリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシ
ルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス
(ジオクチルパイロホスファイト)チタネート、テトラ
イソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネー
ト、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)
チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−
1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタ
ネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシ
アセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフ
ェート)エチレンチタネート、トリス(ジオクチルパイ
ロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルジ
メタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピル
イソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピル
トリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロ
ピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ
(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート、ジクミ
ルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステア
ロイルエチレンチタネート、イソプロピルジイソステア
ロイルクミルフェニルチタネート、イソプロピルジステ
アロイルメタクリルチタネート、イソプロピルジイソス
テアロイルアクリルチタネート、イソプロピル4−アミ
ノベンゼンスルホニルジ(ドデシルベンゼンスルホニ
ル)チタネート、イソプロピルトリメタクリルチタネー
ト、イソプロピルジ(4−アミノベンゾイル)イソステ
アロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルパ
イロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリアク
リルチタネート、イソプロピルトリ(N,N−ジメチル
エチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリアントラ
ニルチタネート、イソプロピルオクチル,ブチルパイロ
ホスフェートチタネート、イソプロピルジ(ブチル,メ
チルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロ
ピルジ(ジラウロイルホスファイト)チタネート、ジイ
ソプロピルオキシアセテートチタネート、イソステアロ
イルメタクリルオキシアセテートチタネート、イソステ
アロイルアクリルオキシアセテートチタネート、ジ(ジ
オクチルホスフェート)オキシアセテートチタネート、
4−アミノベンゼンスルホニルドデシルベンゼンスルホ
ニルオキシアセテートチタネート、ジメタクリルオキシ
アセテートチタネート、ジクミルフェノレートオキシア
セテートチタネート、4−アミノベンゾイルイソステア
ロイルオキシアセテートチタネート、ジアクリルオキシ
アセテートチタネート、ジ(オクチル,ブチルパイロホ
スフェート)オキシアセテートチタネート、イソステア
ロイルメタクリルエチレンチタネート、ジ(ジオクチル
ホスフェート)エチレンチタネート、4−アミノベンゼ
ンスルホニルドデシルベンゼンスルホニルエチレンチタ
ネート、ジメタクリルエチレンチタネート、4−アミノ
ベンゾイルイソステアロイルエチレンチタネート、ジア
クリルエチレンチタネート、ジアントラニルエチレンチ
タネート、ジ(ブチル,メチルパイロホスフェート)エ
チレンチタネート、チタンアリルアセトアセテートトリ
イソプロポキサイド、チタンビス(トリエタノールアミ
ン)ジイソプロポキサイド、チタンジ−n−ブトキサイ
ド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイ
ソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネー
ト)、チタンジイソプロポキサイドビス(エチルアセト
アセテート)、チタンメタクリルオキシエチルアセトア
セテートトリイソプロポキサイド、チタンメチルフェノ
キサイド、チタンオキシドビス(ペンタンジオネート)
など。
【0041】鉄(III )アセチルアセトネート、ジベン
ゾイルメタン鉄(II)、トロポロン鉄、トリストロポロ
ノ鉄(III )、ヒノキチオール鉄、トリスヒノキチオロ
鉄(III )、アセト酢酸エステル鉄(III )、鉄(III
)ベンゾイルアセトネート、鉄(III )トリフルオロ
ペンタンジオネート、サリチルアルデヒド銅(II)、銅
(II)アセチルアセトネート、サリチルアルデヒドイミ
ン銅、コウジ酸銅、ビスコウジャト銅(II)、トロポロ
ン銅、ビストロポロノ銅(II)、ビス(5−オキシナフ
トキノン−1,4)銅、ビス(1−オキシアントラキノ
ン)ニッケル、アセト酢酸エステル銅、サリチルアミン
銅、o−オキシアゾベンゼン銅、銅(II)ベンゾイルア
セテート、銅(II)エチルアセトアセテート、銅(II)
メタクリルオキシエチルアセトアセテート、銅(II)メ
トキシエトキシエトキサイド、銅(II)2,4−ペンタ
ンジオネート、銅(II)2,2,6,6−テトラメチル
−3,5−ヘプタンジオネート、亜鉛N,N−ジメチル
アミノエトキサイド、亜鉛2,4−ペンタンジオネー
ト、亜鉛2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプ
タンジオネートなども本発明に好ましく用いられる。
【0042】その他、サリチルアルデヒドコバルト、o
−オキシアセトフェノンニッケル、ビス(1−オキシキ
サントン)ニッケル、ピロメコン酸ニッケル、サリチル
アルデヒドニッケル、アリルトリエチルゲルマン、アリ
ルトリメチルゲルマン、アンモニウムトリス(オキザレ
ート)ゲルマネート、ビス[ビス(トリメチルシリル)
アミノ]ゲルマニウム(II)、カルボキシエチルゲルマ
ニウムセスキオキサイド、シクロペンタジエニルトリメ
チルゲルマン、ジ−n−ブチルジアセトキシゲルマン、
ジ−n−ブチルジクロロゲルマン、ジメチルアミノトリ
メチルゲルマン、ジフェニルゲルマン、ヘキサアリルジ
ゲルマノキサン、ヘキサエチルジゲルマノキサン、ヘキ
サメチルジゲルマン、ヒドロキシゲルマトラン1水和
物、メタクリルオキシメチルトリメチルゲルマン、メタ
クリルオキシトリエチルゲルマン、テトラアリルゲルマ
ン、テトラ−n−ブチルゲルマン、テトライソプロポキ
シゲルマン、トリ−n−ブチルゲルマン、トリメチルク
ロロゲルマン、トリフェニルゲルマン、ビニルトリエチ
ルゲルマン、ビス(2,4−ペンタンジオネート)ジク
ロロスズ、ジ−n−ブチルビス(2,4−ペンタンジオ
ネート)スズ、カルシウム2,4−ペンタンジオネー
ト、セリウム(III )2,4−ペンタンジオネート、コ
バルト(II)2,4−ペンタンジオネート、コバルト
(III )2,4−ペンタンジオネート、ユーロピウム
2,4−ペンタンジオネート、ユーロピウム(III )テ
ノイルトリフルオロアセトネート、インジウム2、4−
ペンタンジオネート、マンガン(II)2,4−ペンタン
ジオネート、マンガン(III )2,4−ペンタンジオネ
ートなども本発明に用いられる。
【0043】これらの具体例のうち、特に好ましく用い
られる金属含有有機化合物としては、二座配位子を有す
る金属キレート化合物であり、特にアセチルアセトネー
ト(ペンタンジオネート)、エチルアセトアセトネート
(ヘキサンジオネート)、プロピルアセトアセトネート
(ヘプタンジオネート)、テトラメチルヘプタンジオネ
ート、ベンゾイルアセトネートを配位子として有するも
のが好ましい。
【0044】さらに、アルミニウム、鉄(III )、チタ
ンのアセチルアセトネート(ペンタンジオネート)、エ
チルアセトアセトネート(ヘキサンジオネート)、プロ
ピルアセトアセトネート(ヘプタンジオネート)、テト
ラメチルヘプタンジオネート、ベンゾイルアセトネート
類などが好ましい化合物として挙げられる。
【0045】これら(b)熱分解性化合物は単独でも使
用できるし、2種以上を混合して使用することもでき
る。その含有量は、全インキ受容層組成物に対して1.
6〜70重量%が好ましく、6〜70重量%がより好ま
しい。
【0046】分解物の発生量は、インキ受容層の作製時
に加えられる熱量の他、主に(b)熱分解性化合物の添
加量に左右される。よって、(b)熱分解性化合物の含
有量を、全インキ受容層組成物に対して1.6〜70重
量%とすることで、分解物の発生量を0.01g/m2
〜1g/m2の範囲に調整することができる。また、含
有量を6〜70重量%とすることで、さらに画像再現性
や耐刷性が良好になる。
【0047】本発明の直描型水なし印刷版原版のインキ
受容層は、現像性の向上という観点から、さらに、
(c)熱硬化性化合物を含むことが好ましい。
【0048】(c)熱硬化性化合物としては、フェノー
ル樹脂、フェノール・フルフラール樹脂、フラン樹脂、
エポキシ樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹
脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル
樹脂、ポリイミド前駆体などが挙げられる。水酸基含有
化合物としての機能も持たせる意味で、ノボラック樹脂
やレゾール樹脂等のフェノール樹脂が好ましい。
【0049】また、熱反応性の架橋剤を添加した組成物
も使用することができる。架橋剤としては架橋性を有す
る多官能性化合物が挙げられ、多官能ブロックドイソシ
アネート、多官能エポキシ化合物、多官能アクリレート
化合物、金属キレート化合物、多官能アルデヒド、多官
能メルカプト化合物、多官能アルコキシシリル化合物、
多官能アミン化合物、多官能カルボン酸、多官能ビニル
化合物、多官能ジアゾニウム塩、多官能アジド化合物、
ヒドラジンなどが挙げられる。これらの架橋剤は単独ま
たは2種以上を混合して使用することも可能である。
【0050】また、上記架橋剤の反応を促進するために
触媒を添加してもよい。
【0051】また、(c)熱硬化性化合物としてフェノ
ール樹脂を用い、(b)熱分解性化合物として金属含有
有機化合物を用いる場合、金属含有有機化合物は、イン
キ受容層の内部においては熱硬化性化合物の架橋剤とし
ても働くので、特に好ましい。
【0052】これら(c)熱硬化性化合物はそれぞれ単
独でも使用できるし、2種以上を混合して使用すること
もでき、その含有量は、全インキ受容層組成物に対して
5〜80重量%が好ましく、より好ましくは20〜60
重量%である。含有量が5重量%以下だと印刷版の現像
性が低下せず、逆に80重量%以下だと印刷版の感度が
低下しにくい。
【0053】この(c)熱硬化性化合物の役割は、レー
ザー露光時インキ受容層表層では、高温となり一部化合
物の分解が生じ、発泡するが、その下部の比較的温度が
低い中間層では熱硬化がすすむ。このため、露光後の画
線部は硬いインキ受容層の上に接着性が低下したシリコ
ーンゴム層が積層された構造が生じる。このため、ブラ
シ現像時にブラシの力が界面部に集中するために現像性
が改良されるものと考える。
【0054】本発明の直描型水なし印刷版原版のインキ
受容層は、シリコーンゴム層との接着性の向上という観
点から、さらに、活性水素基含有化合物を含むことが好
ましい。活性水素基含有化合物としては、水酸基含有化
合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合
物、チオール基含有化合物などが挙げられるが、水酸基
含有化合物が好ましい。
【0055】さらに、水酸基含有化合物としてはフェノ
ール性水酸基含有化合物、アルコール性水酸基含有化合
物のいずれも本発明に使用できる。
【0056】フェノール性水酸基含有化合物の具体例と
しては、例えば以下のような化合物を挙げることができ
る。
【0057】ヒドロキノン、カテコール、グアヤコー
ル、クレゾール、キシレノール、ナフトール、ジヒドロ
キシアントラキノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、ト
リヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾ
フェノン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、フェ
ノールホルムアルデヒドノボラック樹脂、レゾール樹
脂、レゾルシンベンズアルデヒド樹脂、ピロガロールア
セトン樹脂、ヒドロキシスチレンの重合体および共重合
体、ロジン変性フェノール樹脂、エポキシ変性フェノー
ル樹脂、リグニン変性フェノール樹脂、アニリン変性フ
ェノール樹脂、メラミン変性フェノール樹脂、ビスフェ
ノール類などが挙げられる。
【0058】また、アルコール性水酸基含有化合物とし
ては、例えば以下のような化合物を挙げることができ
る。
【0059】エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、
1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオー
ル、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオー
ル、2−ブテン−1,4−ジオール、5−ヘキセン−
1,2−ジオール、7−オクテン−1,2−ジオール、
3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリ
ン、ジグリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,
4−ブタントリオール、ペンタエリスリトール、ジペン
タエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリビ
ニルアルコール、セルロースおよびその誘導体、ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレートの重合体および共重合
体など。
【0060】また、エポキシアクリレート、エポキシメ
タクリレート、ポリビニルブチラール樹脂、およびその
他の水酸基を導入したポリマーなども本発明の活性水素
基含有化合物に使用可能である。
【0061】これら活性水酸基含有化合物としては、シ
リコーンゴム層との接着性の向上という観点から特にフ
ェノール性水酸基含有化合物が好ましく用いられる。
【0062】これら活性水素基含有化合物はそれぞれ単
独でも使用できるし、2種以上を混合して使用すること
もでき、その含有量は、全インキ受容層組成物に対して
5〜80重量%が好ましく、より好ましくは20〜60
重量%である。含有量が5重量%以上だとシリコーンゴ
ム層との接着性が低下による現像時のシリコーンゴム層
の剥がれなどの現象が起こりにくく、逆に80重量%以
下だと印刷版の溶剤耐性が低下しにくい。
【0063】さらに本発明において、インキ受容層に
は、バインダーポリマー、レベリング剤、界面活性剤、
分散剤、可塑剤等を必要に応じて任意に添加してもよ
い。
【0064】バインダーポリマーの具体例としては、ポ
リメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートな
どのアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの単独
重合体および共重合体、ポリスチレン、α−メチルスチ
レン、ヒドロキシスチレンなどのスチレン系モノマーの
単独重合体および共重合体、イソプレン、スチレン−ブ
タジエンなどの各種合成ゴム類、ポリ酢酸ビニル、塩化
ビニルなどのビニルエステル類の単独重合体および共重
合体、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサ
イドなどのポリオキサイド類(エーテル類)、ポリエス
テル類、ポリウレタン類、ポリアミド類、エチルセルロ
ース、セルロースアセテートなどのセルロース誘導体
類、フェノキシ樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリパラキ
シリレン樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂などが
挙げられる。
【0065】これらのバインダーポリマーの含有量は、
全インキ受容層組成物に対して70重量%以下が好まし
く、1〜50重量%がより好ましい。含有量をかかる量
とすることにより、耐刷性や塗液の塗工性や画像再現性
が良好となる。
【0066】下層の基板や断熱層との接着性を高めるた
めにシランカップリング剤などの各種カップリング剤を
添加する事は極めて好ましく行われる。
【0067】また、上層のシリコーンゴム層との接着性
を高めるために、シランカップリング剤や不飽和基含有
化合物を添加することも好ましく行われる。
【0068】上記のインキ受容層を形成するための組成
物は、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブタノー
ル、アセチルアセトン等の適当な有機溶媒に溶解させる
ことによって、組成物溶液として調製される。
【0069】かかる組成物溶液を、基板上もしくは基板
上に設けた断熱層上に均一に塗布し、必要な温度で必要
な時間加熱することにより有機溶媒が揮発し、さらに該
組成物が熱硬化し、インキ受容層が形成される。
【0070】このようにして得られるインキ受容層の物
性に関しては、得られる印刷版の印刷特性の観点から、
その物性が特定の範囲にあることが好ましい。この様な
物性としては引張特性、その中でも引張時の初期弾性率
を代表として挙げることができる。具体的には、印刷版
におけるインキ受容層の引張時の初期弾性率が6.8×
107Pa〜7.7×108Paの範囲、さらには9.8
×107Pa〜6.4×108Paの範囲にあることが好
ましい。
【0071】インキ受容層の初期弾性率を以上のような
範囲に設定することにより、印刷版としての特性、特に
耐刷性を向上させることができる。逆に、初期弾性率が
6.8×107Pa未満である場合には画線部を形成す
るインキ受容層がベタ着き易くなるため印刷時にヒッキ
ーが発生し易くなる。また、初期弾性率が7.7×10
8Pa以上である場合には、印刷時に加わる繰り返し応
力により感熱層とシリコーンゴム層との接着界面で破壊
が起こりやすくなり、耐刷性低下の原因となるためであ
る。
【0072】インキ受容層の厚さは、被覆層にして0.
1〜10g/m2 であると、印刷版の耐刷性や、希釈
溶剤を揮散し易く生産性に優れる点で好ましく、より好
ましくは1〜7g/m2である。
【0073】[シリコーンゴム層]シリコーンゴム層と
しては、付加重合型のもの、縮合重合型のものいずれで
も用いることができる。
【0074】付加重合型のシリコーンゴム層は、ビニル
基含有ポリジメチルシロキサン、SiH基含有ポリシロ
キサン、さらには硬化速度を制御する目的で反応抑制
剤、および硬化触媒を含む。
【0075】ビニル基含有ポリジメチルシロキサンは、
下記一般式(I)で表される構造を有し、分子末端およ
び/もしくは主鎖中にビニル基を有するものである。
【0076】
【化1】 (式中、nは2以上の整数、R1、R2は炭素数1〜50
の置換あるいは非置換のアルキル基、炭素数2〜50の
置換あるいは非置換のアルケニル基、炭素数4〜50の
置換あるいは非置換のアリール基の群から選ばれる少な
くとも1種であり、それぞれ同一であっても異なってい
てもよい。) 式中のR1、R2の全体の50%以上がメチル基であるこ
とが、印刷版のインキ反発性の面で好ましい。
【0077】また、分子量としては数千〜数十万のもの
が使用できるが、その取扱い性や得られた印刷版のイン
キ反発性、耐傷性などの観点から重量平均分子量1万〜
20万、さらには3万〜15万のものを用いることが好
ましい。
【0078】SiH基含有ポリシロキサンとしては、分
子鎖中、または末端にSiH基を有するポリシロキサン
を挙げることができ、例えば下記一般式で表されるよう
な化合物を挙げることができる。
【0079】
【化2】
【0080】
【化3】
【0081】
【化4】 (式(II)〜(IV)中、nは1以上の整数。mは1以上
の整数である。)
【0082】
【化5】 SiH基を有する化合物中におけるSiH基の量として
は、2個以上、さらには3個以上であることが好まし
い。
【0083】SiH基を有する化合物の添加量として
は、シリコーンゴム層全組成物の3〜20重量%である
ことが好ましく、さらに好ましくは5〜15重量%であ
る。
【0084】ポリジメチルシロキサンとの量比というこ
とで言えば、SiH基/ポリジメチルシロキサンの炭素
炭素二重結合のモル比が1.5〜30であることが好ま
しく、さらに好ましくは10〜20である。このモル比
が1.5以上である場合には、シリコーンゴム層の硬化
が不足することがなく、逆に30以下である場合にはゴ
ムの物性がもろくなって印刷版の耐傷性などに悪影響を
与えることがない。
【0085】反応抑制剤としては、含窒素化合物、リン
系化合物、不飽和アルコールなどが挙げられるが、アセ
チレン基含有のアルコール、含窒素化合物などが好まし
く用いられる。
【0086】反応抑制剤の好ましい添加量としては、シ
リコーンゴム組成物中の0.01〜10重量%、さらに
は1〜5重量%である。
【0087】硬化触媒としては、III族遷移金属化合
物、好ましくは、白金化合物であり、具体的には白金単
体、塩化白金、塩化白金酸、オレフィン配位白金、白金
のアルコール変性錯体、白金のメチルビニルポリシロキ
サン錯体などを例として挙げることができる。
【0088】このような硬化触媒の量は、シリコーンゴ
ム層中に固形分として0.01〜20重量%が好まし
く、0.1〜10重量%であることがより好ましい。添
加する触媒量が0.01重量%未満である場合にはシリ
コーンゴム層の硬化が不充分となり、さらにインキ受容
層との接着性に問題を生じる場合があるためである。他
方20重量%より多い場合にはシリコーンゴム層溶液の
ポットライフに悪影響をもたらす恐れがあるためであ
る。シリコーンゴム層組成物中における白金などの金属
の量で言えば、10〜1000ppm、好ましくは10
0〜500ppmであることが好ましい。
【0089】また、これらの組成物の他に、縮合型シリ
コーンゴム層の組成物である水酸基含有オルガノポリシ
ロキサンや加水分解性官能基含有シラン(もしくはシロ
キサン)、ゴム強度を向上させる目的でシリカなどの充
填剤、接着性を向上させる目的でシランカップリング
剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カッ
プリング剤などを含有してもよい。シランカップリング
剤としては、アルコキシシラン類、アセトキシシラン
類、ケトキシミンシラン類などが好ましく、特にビニル
基を有するものや、ケトキシミンシラン類が好ましい。
【0090】また、縮合重合型のシリコーンゴム層を構
成する成分としては、水酸基含有ポリジメチルシロキサ
ン、架橋剤(脱酢酸型、脱オキシム型、脱アルコール
型、脱アミン型、脱アセトン型、脱アミド型、脱アミノ
キシ型など)、および硬化触媒を含む。
【0091】水酸基含有ポリジメチルシロキサンも、上
記一般式(I)で表される構造を有する。水酸基は分子
末端および/もしくは主鎖中に位置することができる
が、好ましく用いられるものは分子末端に水酸基を有す
るものである。
【0092】一般式中のR1、R2については、同様に全
体の50%以上がメチル基であることが、印刷版のイン
キ反発性の面で好ましい。分子量としては数千〜数十万
のものが使用できるが、その取扱い性や得られた印刷版
のインキ反発性、耐傷性などの観点から重量平均分子量
1万〜20万、さらには3万〜15万のものを用いるこ
とが好ましい。
【0093】縮合重合型のシリコーンゴム層で用いられ
る架橋剤としては、下記一般式(VI)で表される、アセ
トキシシラン類、アルコキシシラン類、ケトキシミンシ
ラン類、アリロキシシラン類などを挙げることができ
る。 (R34-nSiXn (VI) (式中、nは2〜4の整数。R3は炭素数1以上の置換
もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール
基、またはこれらの組み合わされた基を示す。Xはハロ
ゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシミ
ン基、アミノオキシ基、アミド基、アルケニルオキシ基
から選ばれる官能基である。) また、加水分解性基の数nは3または4であることが好
ましい。
【0094】具体的な化合物としては、メチルトリアセ
トキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルト
リアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチ
ルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エ
チルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テト
ラプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリフェノキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、
アリルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシ
シラン、ビニルトリスイソプロペノキシシラン、ビニル
メチルビス(メチルエチルケトキシミン)シラン、メチ
ルトリ(メチルエチルケトキシミン)シラン、ビニルト
リ(メチルエチルケトキシミン)シラン、テトラ(メチ
ルエチルケトキシミン)シラン、ジイソプロペノキシジ
メチルシラン、トリイソプロペノキシメチルシラン、テ
トラアリロキシシラン、などが挙げられる。
【0095】これらの中では、シリコーンゴム層の硬化
速度、取扱い性などの観点から、アセトキシシラン類、
ケトキシミンシラン類が好ましい。
【0096】一般式(VI)で表される架橋剤の添加量と
しては、シリコーンゴム層全組成物の1.5〜20重量
%であることが好ましく、さらに好ましくは3〜10重
量%である。
【0097】ポリジメチルシロキサンとの量比というこ
とで言えば、官能基X/ポリジメチルシロキサンの水酸
基のモル比が1.5〜10.0であることが好ましい。
このモル比が1.5以上である場合には、シリコーンゴ
ム層溶液のゲル化が起こりにくく、逆に10.0以下で
ある場合にはゴムの物性がもろくなって印刷版の耐傷性
などに悪影響を与えることがない。
【0098】硬化触媒としては、酢酸、プロピオン酸、
マレイン酸などの有機カルボン酸、トルエンスルホン
酸、ホウ酸等の酸類、水酸化カリウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化リチウム等のアルカリ、アミン、およびチタ
ンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシドなどの
金属アルコキシド、鉄アセチルアセトナート、チタンア
セチルアセトナートジプロポキシドなどの金属ジケテネ
ート、金属の有機酸塩などを挙げることができる。
【0099】これらの中では、金属の有機酸塩を添加す
ることが好ましく、特に錫、鉛、亜鉛、鉄、コバルト、
カルシウム、マンガンから選ばれる金属の有機酸塩であ
ることが好ましい。このような化合物の具体例の一部と
しては、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテ
ート、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸亜鉛、オク
チル酸鉄などを挙げることができる。
【0100】このような硬化触媒の量は、シリコーンゴ
ム層中に固形分として0.01〜20重量%、好ましく
は0.1〜10重量%であることが好ましい。添加する
触媒量が0.01重量%以上であればシリコーンゴム層
の硬化が十分となり、さらにインキ受容層との接着性に
問題を生じることがないためである。他方20重量%以
下であればシリコーンゴム層溶液のポットライフに悪影
響をもたらすことがない。
【0101】また、これらの組成物の他に、ゴム強度を
向上させる目的でシリカなどの充填剤、さらにはシラン
カップリング剤を含有してもよい。
【0102】これらシリコーンゴム層の膜厚は0.5〜
20g/m2が好ましく、さらに好ましくは1〜4g/
2である。膜厚が0.5g/m2以上である場合には印
刷版のインキ反発性や耐傷性、耐刷性が低下することが
ない、20g/m2以下である場合には経済的見地から
有利であるばかりでなく、現像性、インキマイレージが
悪くなるというデメリットがない。
【0103】[断熱層]本発明の直描型水なし印刷版原
版は、照射されたレーザー光による熱を基板に逃がすこ
とを防ぐ断熱層として、また基板とインキ受容層の接着
性を強固にするための接着層として、基板とインキ受容
層の間にプライマー層を設けても良い。
【0104】このような役割を果たすものとして、エポ
キシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノ−ル樹脂、アクリ
ル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミ
ド樹脂、尿素樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、カゼイ
ン、ゼラチン等を含むものが挙げられる。これらの中で
は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹
脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂等を単独で、あるいは2種
以上を混合して用いることが好ましい。
【0105】また、この断熱層中に顔料、染料等の添加
剤を含有させることにより、検版性を向上させることも
できる。
【0106】断熱層の厚さは、経済的見地から、被覆層
にして50g/m2 以下が好ましく、より好ましくは1
0g/m2以下である。
【0107】[カバーフィルム]以上説明されたように
構成された直描型水なし平版印刷版のシリコーンゴム層
を保護するなどの目的で、シリコーンゴム層の表面にプ
レーンまたは凹凸処理したカバーフィルムをラミネート
したり、現像溶媒に溶解するようなポリマー塗膜を形成
することも可能である。
【0108】このようなカバーフィルムの種類として
は、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、
ポリビニルアルコールフィルム、エチレン酢酸ビニル共
重合体ケン化物フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィル
ム、また各種金属を蒸着したフィルムなどが挙げられ
る。
【0109】[分解物ガス発生量]本発明の直描型水な
し平版印刷版原版にレーザー光が照射されると、インキ
受容層表面においては、(a)光熱変換物質の働きで
(b)熱分解性化合物が分解し、その際、低分子化合物
のガスを発生する。(a)光熱変換物質や(b)熱分解
性化合物自体がレーザー光の作用で分解する場合もあ
り、その際にも、低分子化合物のガスを発生する。この
ような化合物の分解、さらには発生したガスの作用で、
シリコーンゴム層とインキ受容層間の接着力が弱められ
る。発生したガスは、TG−GC/MS測定の結果か
ら、CO、CO2、H2O、残存溶媒、(b)熱分解性化
合物の分解物(インキ受容層に使用する材料によって異
なるが、熱分解性化合物として金属キレート化合物を用
いた場合にはその配位子、ニトロ化合物を用いた場合に
はNOx、過酸化物を用いた場合にはO2やメタノールな
ど、アゾ化合物やジアゾ化合物を用いた場合にはN2
ど)などが発生すると考えられる。
【0110】よって、これらの分解物ガスの発生量は、
画像再現性と密接な関係があり、またこれらの分解物ガ
スの発生量をTG−GC/MS測定により測定可能であ
る。
【0111】本発明の直描型水なし平版印刷版原版は、
ヘリウム気流下で10℃/分の昇温速度で加熱した場
合、レーザー光が照射された時にインキ受容層が到達す
ると考えられる100℃〜200℃の範囲で分解物ガス
を発生する。その発生量は、印刷原版の単位面積当たり
の重量として0.01g/m2〜1g/m2であることが
必要であり、好ましくは0.02g/m2〜0.8g/
2、更に好ましくは0.05g/m2〜0.5g/m2
である。
【0112】ガス発生量が0.01g/m2未満である
とシリコーンゴム層とインキ受容層間の接着を弱めるの
に十分な作用が得られないため、現像によってシリコー
ンゴム層が十分に除去できず画像再現性が不良となる。
また、ガス発生量が1g/m 2を越えるとインキ受容層
への影響が大きく、現像時にインキ受容層までもが剥が
れることがある。さらに、インキ受容層作製時に加えら
れた熱量が小さいとガス発生量が多くなることがあり、
その場合には、インキ受容層の熱架橋反応が十分に進行
していないため、現像時にインキ受容層が剥がれると考
えられる。
【0113】一方、レーザー光照射部のインキ受容層内
部においては、(a)光熱変換物質の働きで(c)熱硬
化性の化合物の硬化が進行する。その結果、レーザー光
照射部のインキ受容層の耐溶剤性が高められ、その後の
現像処理によりレーザー光照射部のインキ受容層の極表
面とシリコーンゴム層のみが剥離された印刷版が得られ
る。
【0114】このようにして得られた印刷版において
は、画線部インキ受容層の耐溶剤性は高く、残存してい
るため、微小網点の再現性やインキマイレージが良好で
あるというメリットを有する。
【0115】[製造方法]本発明の直描型水なし平版印
刷版原版は、例えば次のようにして製造される。まず基
板の上に、リバースロールコーター、エアナイフコータ
ー、メーヤバーコーターなどの通常のコーター、あるい
はホエラのような回転塗布装置を用い、インキ受容層組
成物溶液を塗布、熱キュアし、インキ受容層を作製す
る。
【0116】なお、前述のように分解物ガスは、(a)
光熱変換物質や(b)熱分解性化合物が分解して生じ、
その発生量は、主に(b)熱分解性化合物の添加量に左
右される。よって、(b)熱分解性化合物の含有量の種
類にもよるが、(b)熱分解性化合物の含有量を、全イ
ンキ受容層組成物に対して通常1.6〜70重量%の範
囲内で調整することで、分解ガスの発生量を0.01g
/m2〜1g/m2の範囲とすることができる。
【0117】また、分解物ガスは、インキ受容層の熱キ
ュア時の条件によっても若干変動する。つまり、インキ
受容層の熱キュア時に熱量をかけすぎると(a)光熱変
換物質や(b)熱分解性化合物が熱分解し、分解物ガス
の発生量が0.01g/m2未満となることがある。1
00℃以上に熱せられる時間を420秒以下とすること
で、分解物ガスの発生量を0.01g/m2以上とする
ことができる。
【0118】必要ならば、基板とインキ受容層の間に、
同様な方法でプライマー層を作製しても良い。このイン
キ受容層の上に、シリコーンゴム組成物溶液を、同様の
方法で塗布、熱キュアし、シリコーンゴム層を作製す
る。最後に必要ならば保護フィルムを設ける。
【0119】[TG−GC/MS測定法]本発明の直描
型水なし平版印刷版原版を、10℃/分で加熱したとき
に生じる分解物ガスの発生量と、ガス発生温度範囲を測
定する方法(TG−GC/MS測定)を以下に述べる。
【0120】熱重量−ガスクロ質量同時分析(TG−G
C/MS)法は、加熱時の試料の重量変化と同時に、試
料から発生する気体の濃度変化を温度の関数として追跡
する手法である。
【0121】TG−MS装置は、熱重量分析計(Thermo
gravimeter;TG)、質量分析計(Mass Spectromete
r;MS)、それらをつなぐインターフェース、さらに
データ処理システムから構成されている。TGは、試料
の加熱時の重量変化を測定する手法である。試料から発
生した気体は保温された連結パイプを通して、質量分析
計(Mass Spectrometer;MS)に導入される。一方、
TG測定時の発生気体の一部を吸着剤でトラップして、
その吸着剤を再加熱することにより発生した気体をガス
クロマトグラフ/質量分析計(Gas Chromatograph/Mas
s Spectrometer;GC/MS)で分析を行い、先のTG
−MS測定の際に発生した気体の同定を行う手法がTG
−GC/MS法である。
【0122】TG−GC/MS法は、発生気体を高感度
(検出限界数ppb程度)で検出可能であり、各温度に
おける気体の発生速度と発生量を定量することができ、
しかもその妥当性をTGの結果と比較することもでき
る。また、加熱装置は汎用の熱分析装置であるTGを用
いているため、温度精度、温度制御、温度範囲の点で優
れている。
【0123】TG測定は、ヘリウム等の不活性気流下、
ヘリウム/酸素混合気流下、空気中などで行うことがで
きるが、本発明ではヘリウム気流下にて行う。また試料
の昇温速度は、TG測定が可能な範囲であればいずれで
も良く、通常1℃/分〜50℃/分程度で測定される
が、本発明では10℃/分で測定を行う。
【0124】また、通常TG測定は、室温から昇温を開
始するが、本発明では、ガス発生量はレーザー光が照射
された時にインキ受容層が到達すると考えられる100
℃〜200℃の範囲で測定を行うので、100℃以下の
任意の温度から測定を開始して良い。
【0125】本発明の直描型水なし平版印刷版原版のT
G−GC/MS測定を行うことにより、レーザー光が照
射された場合に生じる分解物ガスの発生量を測定するこ
とができる。
【0126】[レーザー光照射]このようにして得られ
た直描型水なし平版印刷版原版を、保護フィルムを剥離
してから、あるいは保護フィルム上からレーザー光で画
像状に露光する。
【0127】本発明の製版露光工程で用いられるレーザ
ー光源としては、発信波長領域が300nm〜1500
nmの範囲にあるものが用いられる。すなわち、アルゴ
ンイオン、クリプトンイオン、ヘリウム-ネオン、ヘリ
ウム-カドミウム、ルビー、ガラス、YAG、チタンサ
ファイア、色素、窒素、金属蒸気、エキシマ、自由電
子、半導体などの各種レーザーが使用される。
【0128】これらの中でも本発明の印刷版原版を製版
する目的から、近赤外領域付近に発光波長領域が存在す
る半導体レーザーが好ましく、特に高出力半導体レーザ
ーが好ましく用いられる。また、レーザーの強度は、1
00mJ/cm2〜1000mJ/cm2が好ましく用い
られる。
【0129】[現像方法]現像方法としては、水または
水に界面活性剤を添加した水溶液存在下での摩擦処理に
より行われる。すなわち、現像液としては、水や水に界
面活性剤を添加した水溶液を用いる。
【0130】現像液として用いる水は、水道水でもかま
わない。また、界面活性剤としては公知のものを使用で
きるが、安全性、廃棄する際のコストなどの点から、水
溶液にしたときにpHが5〜8になるものがより好まし
い。界面活性剤の含有量としては、10重量%以下のも
のが好ましく用いられる。
【0131】また、これらの現像液にはクリスタルバイ
オレット、ビクトリアピュアブルー、アストラゾンレッ
ドなどの染料を添加して現像と同時に画像部のインキ受
容層の染色を行うことは任意である。
【0132】また、現像は、特開昭63−163357
号公報に記載されているような自動現像機を用い、上記
の現像液でシャワーしながら回転ブラシで版面を擦るこ
とによって行うことも好ましい。
【0133】これらの現像液の温度としては特に限定さ
れない。
【0134】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。
【0135】[実施例1]厚さ0.24mmの脱脂した
アルミ板上に下記のインキ受容層組成物溶液をバーコー
ターを用いて塗布し、140℃で、90秒間熱処理し、
1.5g/m2のインキ受容層を設けた。 (a)“KAYASORB”IR−820B(赤外光吸
収色素、日本化薬(株)製):10重量部 (b)“ナーセムチタン”(金属キレート化合物、日本
化学産業(株)製):10重量部 (c)“スミライトレジン”PR50622(フェノー
ルノボラック樹脂、住友デュレズ(株)製):70重量
部 (d)テトラヒドロフラン:550重量部 (e)ジメチルホルムアミド:350重量部 次いで、下記シリコーンゴム層組成物溶液を、乾燥後膜
厚2.0μm、乾燥条件は120℃×1分間として塗設
した。 (a)α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン(分子
量約60,000):100重量部 (b)HMS−501(チッソ(株)製 両末端メチル
(メチルハイドロジェンシロキサン)(ジメチルシロキ
サン)共重合体 SiH基数/分子量=0.69mol/
g):7重量部 (c)“BY24−808”(東レダウコーニングシリ
コーン(株)製、反応抑制剤):3重量部 (d)“SRX−212”(東レダウコーニングシリコ
ーン(株)製、白金触媒):5重量部 (e)ビニルトリ(メチルエチルケトオキシム)シラ
ン:3重量部 (f)“アイソパー”E(エッソ化学(株)製):10
00重量部 上記のようにして得られた積層板に、厚さ8μmのポリ
プロピレンフィルム“トレファン”BO(東レ(株)
製)をカレンダーローラーを用いてラミネートし、直描
型水なし平版印刷版原版を得た。
【0136】<TG−GC/MS測定>保護フィルムを
剥離後、この印刷版原版を、TG−GC/MS装置(島
津製作所製)を用い、昇温速度10℃/分、ヘリウム気
流下で100℃〜200℃の範囲での発生ガス量を測定
したところ、版面積当たり0.06g/m2であった。
【0137】<画像再現性評価>保護フィルムを剥離
後、この印刷版原版を“GX−3600”(プレートセ
ッタ製版機、松下電送システム(株)製)に装着し、半
導体レーザー(波長830nm)を用いて照射エネルギ
ー300mJ/cm2で露光を行った。
【0138】続いて、“TWU−860K”(自動水洗
機、東レ(株)製)により水で現像を行ったところ、1
%〜99%の網点が忠実に再現された水なし平版が得ら
れた。この際、水としては水道水を使用した。
【0139】[実施例2]実施例1において“ナーセム
チタン”の代わりに、鉄アセチルアセトナートを使用し
た以外は、実施例1と同様な方法で印刷版原版を作製し
た。
【0140】実施例1と同様に100℃〜200℃の範
囲での発生ガス量を測定したところ、版面積当たり0.
2g/m2であった。
【0141】続いて、実施例1と同様に画像再現性評価
を行ったところ、1%〜99%の網点が忠実に再現され
た水なし平版が得られた。
【0142】[比較例1]実施例1において“ナーセム
チタン”を除いた以外は、実施例1と同様な方法で印刷
版原版を作製した。
【0143】実施例1と同様に100℃〜200℃の範
囲での発生ガス量を測定したところ、版面積当たり0.
0001g/m2であった。
【0144】続いて、実施例1と同様に画像再現性評価
を行ったところ、2%〜99%の網点が忠実に再現され
ていたが、1%の網点は約半分しか再現されていなかっ
た。
【0145】[比較例2]実施例1においてインキ受容
層の熱処理条件を、200℃×10分とした以外は、実
施例1と同様な方法で印刷版原版を作製した。
【0146】実施例1と同様に100℃〜200℃の範
囲での発生ガス量を測定したところ、版面積当たり0.
0003g/m2であった。
【0147】続いて、実施例1と同様に画像再現性評価
を行ったところ、2%〜99%の網点が忠実に再現され
ていたが、1%の網点は約半分しか再現されていなかっ
た。
【0148】[比較例3]インキ受容層の作製条件を下
記に変更した以外は、実施例1と同様な方法で印 <熱処理条件>100℃×30秒 <膜厚>20g/m2 実施例1と同様に100℃〜200℃の範囲での発生ガ
ス量を測定したところ、版面積当たり1.2g/m2
あった。
【0149】続いて、実施例1と同様に画像再現性評価
を行ったところ、全面インキ受容層から剥がれた。
【0150】実施例1〜2、比較例1〜3の結果と使用
した金属キレート化合物を表1に示す。
【0151】
【表1】
【0152】
【発明の効果】本発明は、支持体上に、少なくとも、イ
ンキ受容層、シリコーンゴム層をこの順に積層してなる
直描型水なし平版印刷版原版において、該印刷版原版を
ヘリウム気流下で10℃/分の昇温速度で加熱した時の
発生気体を測定(TG−GC/MS測定)した場合、1
00℃〜200℃の範囲で分解物ガスが発生し、その発
生量が版面積当たり0.01g/m2〜1g/m2とする
ことで、水または水に界面活性剤を添加した現像液で画
像再現性の良好な印刷版を得ることができる、直描型水
なし平版印刷版原版が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/26 501 G03F 7/26 501 Fターム(参考) 2H025 AA04 AB04 AC08 AD01 AD03 CC20 FA03 FA17 2H084 AA14 AE05 CC06 2H096 AA13 BA16 BA20 EA04 GA08 GA11 LA16 2H114 AA05 AA24 AA27 AA30 BA01 BA10 DA03 DA04 DA05 DA08 DA09 DA34 DA39 DA43 DA52 DA53 DA55 DA56 DA59 DA62 EA01 EA02 EA04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】支持体上に、少なくとも、インキ受容層、
    シリコーンゴム層をこの順に積層してなる直描型水なし
    平版印刷版原版において、該印刷版原版をヘリウム気流
    下で10℃/分の昇温速度で加熱した時の発生気体を測
    定(TG−GC/MS測定)した場合、100℃〜20
    0℃の範囲で分解物ガスが発生し、その発生量が0.0
    1g/m2〜1g/m2であり、水または水に界面活性剤
    を添加した水溶液で現像することを特徴とする直描型水
    なし平版印刷版原版。
  2. 【請求項2】インキ受容層が、少なくとも、(a)光熱
    変換物質および(b)熱分解性化合物および(c)熱硬
    化性化合物を含有することを特徴とする請求項1に記載
    の直描型水なし平版印刷版原版。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020004227A1 (ja) 2018-06-27 2020-01-02 東レ株式会社 平版印刷版原版、平版印刷版の製造方法、およびそれを用いた印刷物の製造方法

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