JP2001323202A - ボールペン用フォトクロミック水性インキ組成物 - Google Patents

ボールペン用フォトクロミック水性インキ組成物

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JP2001323202A
JP2001323202A JP2000147244A JP2000147244A JP2001323202A JP 2001323202 A JP2001323202 A JP 2001323202A JP 2000147244 A JP2000147244 A JP 2000147244A JP 2000147244 A JP2000147244 A JP 2000147244A JP 2001323202 A JP2001323202 A JP 2001323202A
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ink composition
photochromic
water
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ink
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Yasuyuki Yoshimura
保幸 吉村
Naoyuki Murata
直之 村田
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Sakura Color Products Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分散安定性が優れているとともに、フォトク
ロミック性を有するボールペン用フォトクロミック水性
インキ組成物。 【解決手段】 必須成分として、水溶性樹脂、水溶性有
機溶剤及び水を含んでなる水性インキ組成物であって、
着色剤として少なくともフォトクロミック性色材を含ん
でなるボールペン用フォトクロミック水性インキ組成
物。さらに着色剤が含まれている。フォトクロミック性
色材の平均粒子径が、40μm以下である。フォトクロ
ミック性色材が、インキ組成物全量に対して1〜30重
量%含まれている。インキ組成物の粘度が、20℃にお
いて、1,000〜10,000(mPa・s)であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボールペン用フォ
トクロミック水性インキ組成物に関し、さらに詳細に
は、分散性が良好なボールペン用フォトクロミック水性
インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、紫外線などの光により、可逆的に
発色、消色又は変色するフォトクロミック性色材を含有
するインキ組成物が提供されている。例えば、特開昭6
3−196673号公報では、特定のスピロオキサジン
化合物とエポキシ樹脂とを含有するフォトクロミックイ
ンキが提案されている。当該フォトクロミックインキ
は、ボールペン用インキとして用いられているが、油性
インキのみが開示されている。
【0003】また、特開昭64−60671号公報で
は、特定の無機蛍光顔料と、樹脂と、分散助剤とを含有
する水性蛍光インキが提案されている。特開平2−20
575号公報では、フォトクロミック化合物を含有して
なるポリマー粒子と、分散安定剤と、水とから少なくと
もなる水分散性フォトクロミックペイント組成物が提案
されている。特開平2−20576号公報では、油溶性
スピロオキサジン化合物と、油溶性樹脂と、溶剤とから
少なくともなる油性フォトクロミックペン用インキが提
案されている。また、特開平7−188590号公報で
は、フォトクロミック性色材を含有する描画材が提案さ
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開昭63−1966
73号公報記載のフォトクロミックインキはボールペン
用インキとして用いられているが、油性インキであり、
そのため、フォトクロミック性を有するスピロオキサジ
ン化合物を分散させるために、エポキシ樹脂が用いられ
ている。
【0005】しかしながら、近年、人体や環境に対する
安全性等の観点から、水性インキが好適に利用されるよ
うになっている。特に、水性ボールペンが広く利用され
ており、フォトクロミック性を有するインキにおいて
も、水性ボールペン用インキが求められている。
【0006】なお、特開昭64−60671号公報記載
の水性蛍光インキは水性インキであるが、低粘度インキ
である。そのため、マーキングペンなどのペン先にフェ
ルトを利用したペンに用いられ、使用の際には振盪し
て、インキ中の無機蛍光顔料を分散させなければならな
い。また、特開平2−20575号公報記載のインキは
水性インキであるが、マーキングペン用インキである。
特開平2−20576号公報記載のインキは油性であ
り、しかもマーキングペン用インキである。さらに、特
開平7−188590号公報記載のものは、フォトクロ
ミック性色材を含有しているが、絵の具などの描画材で
ある。
【0007】本発明の目的は、フォトクロミック性を有
するボールペン用フォトクロミック水性インキ組成物を
提供することにある。本発明の他の目的は、水性であっ
ても、分散安定性が良好なボールペン用フォトクロミッ
ク水性インキ組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
鋭意検討した結果、本発明では、必須成分として、水溶
性樹脂、水溶性有機溶剤及び水を含んでなる水性インキ
組成物であって、着色剤として少なくともフォトクロミ
ック性色材を含んでなるボールペン用フォトクロミック
水性インキ組成物を採用した。
【0009】フォトクロミック性を発揮するフォトクロ
ミック性色材は、比重が大きいものが多く、例えば、2
〜5程度のものが一般的に市販されている。このような
フォトクロミック性色材は比重が大きいため、フォトク
ロミック性色材を含有するインキを静置させていると、
フォトクロミック性色材がインキ中で沈降する。しか
し、本発明では、フォトクロミック性色材と水溶性樹脂
とを組み合わせて用いているので、フォトクロミック性
色材の沈降を抑制又は防止することができる。当該水性
インキ組成物は、ボールペン用水性インキとして好適に
利用することができる。
【0010】従って、本発明のボールペン用フォトクロ
ミック水性インキ組成物は、フォトクロミック性を発揮
することができるだけでなく、分散安定性が優れてい
る。
【0011】本発明では、さらに着色剤が含まれている
ことが好ましい。
【0012】本発明の水性インキ組成物はボールペン用
として用いられるので、フォトクロミック性色材の平均
粒子径が、40μm以下であることが好ましい。
【0013】特に本発明では、インキ組成物の粘度が、
20℃において、1,000〜10,000(mPa・
s)であることが好適である。このような粘度である
と、インキ組成物の分散安定性を一層高めることができ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】(フォトクロミック性色材)本発
明で用いられるフォトクロミック性色材は、光(紫外線
など)で色が変わる現象であるフォトクロミズム現象を
利用した性質を有している。すなわち、フォトクロミッ
ク性色材は、紫外線などの光により、可逆的に、発色、
消色又は変色する色材である。例えば、フォトクロミッ
ク性色材は、紫外線の照射を受けると発色又は変色し、
紫外線の照射が取り除かれると消色又は元の色に戻る。
【0015】このようなフォトクロミック性色材は、結
晶母体(金属酸化物、金属硫化物など)と、付活剤(希
土類、金属等)と、必要に応じて共付活剤とで構成する
ことができる。結晶母体としては、YS、BaM
gAl1423などを用いることができる。付活剤と
しては、Eu、Mnなどが用いられる。
【0016】発光の原理としては、次のとおりである。
発光させるエネルギーである光(紫外線等)がフォトク
ロミック性色材に照射されると、フォトクロミック性色
材の結晶母体に光が吸収されると同時に反射され、そこ
に付活剤等の希土類等にも光が吸収され、一種の分散媒
となり結晶母体を刺激して、発熱しない状態で励起され
て、蛍光を発する。そして、発光させるエネルギーであ
る光(紫外線等)の照射が取り除かれると、励起状態か
ら元の状態(基底状態)に戻り、蛍光の発光が消失す
る。このようにして、可逆的に、発色、消色又は変色が
行われる。
【0017】本発明では、フォトクロミック性色材を発
色又は変色させる光としては、紫外線が好ましく用いら
れる。従って、このような光としては、波長が200〜
400nmである光が好適に用いられる。
【0018】本発明では、フォトクロミック性色材にお
いて、発色又は変色する前の色、すなわち、発光させる
エネルギーとしての光(紫外線等)を受けていない時の
色は、特に制限されない。また、フォトクロミック性色
材において、発色又は変色した後の色、すなわち、発光
させるエネルギーとしての光(紫外線等)を受けている
時の色は、特に制限されない。従って、フォトクロミッ
ク性色材において、発色、消色又は変色する前後の色は
特に制限されない。
【0019】このようなフォトクロミック性色材におい
て、具体的には、赤色発光のフォトクロミック性色材と
して、(Y:Eu)、(YS:Eu)、
(YVO:Eu)、((Y,Cd)BO:Eu)、
(3.5MgFGeO:Mn)などが挙げられる。
緑色発光のフォトクロミック性色材として、(Zn
:Mn)、(ZnS:Cu)、(ZnS:C
u,Al)、((Zn,Cd)S:Cu)、(Zn
iO:Mn)、(SrGa:Eu2+)、(Z
nS:Cu,Co)、(ZnS:Ag,Cu)、(3B
aMgO・8Al:Eu3+,Mn2+)、(B
aMgAl1423:Eu2+,Mn2+)などが挙
げられる。また、青色発光のフォトクロミック性色材と
して、(ZnS:Ag,CaWO)、(YSi
:Ge)、(ZnS:Ag,Ca)、(CaB
Cl:Eu2+)、(3BaMgO・8Al
Eu2+)、(BaMgAl1423:Eu2+)な
どが挙げられる。
【0020】フォトクロミック性色材としては、商品名
「ルミライトカラー」(シンロイヒ株式会社製)のシリ
ーズが好適に用いられる。具体的には、商品名「ルミラ
イトカラー ピグメント レッド」、商品名「ルミライ
トカラー ピグメント グリーン」、商品名「ルミライ
トカラー ピグメント ブルー」(以上、シンロイヒ株
式会社製)などが市販されている。
【0021】フォトクロミック性色材の平均粒子径は、
特に制限されないが、例えば、40μm以下(0.1〜
40μm)、好ましくは0.5〜30μmである。フォ
トクロミック性色材の平均粒子径が40μmより大きい
と、ボールペンのペン先からフォトクロミック性色材の
流出性が悪くなる。なお、フォトクロミック性色材の平
均粒子径が小さすぎると、発光の濃度が低下して、発光
色が明瞭でなくなり、視認し難くなる。
【0022】フォトクロミック性色材の使用量は、特に
制限されず、例えば、インキ組成物全量に対して1〜3
0重量%、好ましくは5〜25重量%である。フォトク
ロミック性色材の使用量がインキ組成物全量に対して3
0重量%より多いと、インキの粘度・流動性に影響が生
じ、インキとしては粘度が上がりすぎ、流動性が低下
し、筆記性が低下する場合がある。一方、フォトクロミ
ック性色材の使用量がインキ組成物全量に対して1重量
%より少ないと、蛍光を発光した時の色が明瞭でなくな
り、視認し難くなる。
【0023】(水溶性樹脂)水溶性樹脂としては、イン
キの粘度調整をするとともに、フォトクロミック性色材
の分散及び沈降防止を図ることが出来る樹脂を用いるこ
とが重要である。また、筆跡の皮膜形成機能を有してい
るものが好適に用いられる。水溶性樹脂としては、例え
ば、微生物産系多糖類及びその誘導体、水溶性植物系多
糖類およびその誘導体、水溶性動物系多糖類およびその
誘導体、アクリル系合成樹脂、ビニル系合成樹脂、セル
ロース系半合成樹脂などが挙げられる。
【0024】微生物産系多糖類及びその誘導体として
は、例えば、プルラン、ザンサンガム、ウェランガム、
ラムザンガム、サクシノグルカン、デキストラン等を例
示することができる。
【0025】水溶性植物系多糖類およびその誘導体とし
ては、例えば、トラガンシガム、グァ−ガム、タラガ
ム、ロ−カストビ−ンガム、ガティガム、アラビノガラ
クタンガム、アラビアガム、クイスシ−ドガム、ペクチ
ン、デンプン、サイリュ−ムシ−ドガム、ペクチン、カ
ラギ−ナン、アルギン酸、寒天等を例示することができ
る。
【0026】水溶性動物系多糖類およびその誘導体とし
ては、例えば、ゼラチン、カゼイン、アルブミンを例示
することができる。
【0027】また、アクリル系合成樹脂には、例えば、
ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸などのカルボキシル
基を有するビニルポリマーが含まれる。
【0028】ビニル系合成樹脂には、例えば、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエー
テル、ポリビニルアセトアミド、またはこれらの樹脂に
関するモノマーを用いた共重合体などが含まれる。
【0029】セルロース系半合成樹脂としては、例え
ば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセル
ロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、または
これらの塩(ナトリウム塩など)が挙げられる。
【0030】また、その他の水溶性樹脂として、エチレ
ン−マレイン酸共重合体、ポリエチレンオキシドなどが
挙げられる。
【0031】なお、水溶性樹脂としては、エマルジョン
(合成樹脂エマルジョンなど)の形態でも用いることが
できる。
【0032】本発明では、上述した水溶性樹脂の中でも
特に微生物産系多糖類及びその誘導体、ビニル系合成樹
脂を好適に用いることができる。水溶性樹脂は1種又は
2種以上を混合して用いることができる。
【0033】水溶性樹脂は、インキ組成物全量に対して
0.01〜40重量%含まれていることが好ましい。水
溶性樹脂がインキ組成物全量に対して0.01重量%未
満の場合は、水溶性樹脂の種類によって異なるが、フォ
トクロミック性色材の沈降防止効果が充分でない場合が
ある。水溶性樹脂がインキ組成物全量に対して40重量
%を超えると、水溶性樹脂の種類によって異なるが、イ
ンキとしては粘度が上がりすぎ、流動性が低下する場合
がある。水溶性樹脂の最適配合量は、水溶性樹脂の種類
によってやや異なるが、0.05〜20重量%である。
【0034】本発明では、後述のように、水性インキ組
成物の粘度を調整することにより、比重が大きいフォト
クロミック性色材の沈降を抑制又は防止して、水性イン
キ組成物の分散安定性を高めることができる。水性イン
キ組成物の粘度は、水溶性樹脂の種類およびその使用量
により調整することができる。従って、水溶性樹脂は、
後述するインキの好適な粘度範囲になるように、その種
類に応じて、その使用量を調整することが好ましい。こ
の場合、水溶性樹脂の使用量は、その種類に応じて、前
記使用量の範囲から適宜選択することができる。
【0035】なお、本発明では、水溶性樹脂の使用量が
少なく、その粘度が後述する好適な粘度範囲より低くて
も、インキを調製した直後は、インキの濃度分布が一定
であるインキを調製することができる。
【0036】(水溶性有機溶剤)水溶性有機溶剤は、ペ
ン先での乾燥防止とインキの凍結防止を図ることができ
るものを用いることが好ましい。水溶性有機溶剤として
は、例えば、メタノール、エタノール等の1価アルコー
ル類、エチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ト
リエチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ポリエ
チレングリコ−ル等のグリコ−ル類、グリセリン、トリ
メチロールプロパン等の多価アルコール類、エチレング
リコ−ルモノメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルモ
ノメチルエ−テル、ジプロピレングリコールモノメチル
エーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテ
ル等のグリコ−ルエ−テル類を例示することができる。
これらの水溶性有機溶剤は1種又は2種以上を混合して
用いることができる。
【0037】水溶性有機溶剤は、インキ組成物全量に対
して1〜40重量%含まれていることが好ましい。水溶
性有機溶剤がインキ組成物全量に対して1重量%未満の
場合はペン先が乾燥しやすく、またインキが凍結しやす
くなる。水溶性有機溶剤がインキ組成物全量に対して4
0重量%を超えると、水溶性樹脂の溶解性に影響を与え
ると共に、筆跡乃至塗膜が乾燥し難い。水溶性有機溶剤
の最適配合量は、水溶性有機溶剤の種類によってやや異
なるが、5〜20重量%である。
【0038】(着色剤)着色剤としては、溶解性及び分
散性が優れているものが好ましい。具体的には、酸性染
料、直接染料、塩基性染料などの水溶性染料、フタロシ
アニン、キナクリドン、カーボンブラックなどの有機顔
料又は無機顔料、或いは蛍光顔料、着色エマルジョン、
金属粉顔料、金属で被覆された無機顔料などを使用する
ことができる。また、顔料分散体として配合することも
できる。また、本発明で着色剤は1種又は2種以上を混
合して使用することができる。
【0039】本発明の水性インキ組成物では、着色剤は
必ずしも含まれていなくても差し支えない。しかし、着
色剤が含まれていると、着色剤の色相等によってその色
相等に応じた色を筆跡又は塗膜に与えることができる点
できわめて好ましい。
【0040】なお、着色剤は、インキ組成物全量中0.
05〜15.0重量%含まれていることが好ましい。上
記着色剤がインキ組成物全量中0.05重量%未満の場
合は当該着色剤の着色を視認し難い。着色剤がインキ組
成物全量中15重量%を超えると、インキとしては粘度
が上がりすぎ、流動性が低下する。着色剤の最適配合量
は、着色剤の種類によってやや異なるが、1〜10重量
%である。
【0041】(水)本発明の水性インキ組成物には、水
が含まれている。水としては、水性インキ用として慣用
的に用いられている水(例えば、イオン交換水など)で
あれば何ら問題なく用いることができる。水の使用量
は、特に制限されず、他の成分(フォトクロミック性色
材、水溶性樹脂、水溶性有機溶剤、着色剤など)の種類
や使用量、目的とする水性インキ組成物の粘度などに応
じて選択することができる。水の使用量は、広い範囲、
例えば、インキ組成物全量に対して1〜80重量%程度
の範囲から選択することができる。
【0042】(その他の添加物)なお、本発明において
はその他必要に応じて、ポリオキシエチレンアルカリ金
属塩、ジカルボン酸アミド、リン酸エステル、N−オレ
イルサルコシン塩等の潤滑剤、ベンゾトリアゾール、ト
リルトリアゾールジシクロヘキシルアンモニウムナイト
レート等の防錆剤、ベンゾイソチアゾリン系、ペンタク
ロロフェノール系、クレゾール等の防腐防黴剤、各種界
面活性剤などを添加することができる。
【0043】なお、本発明の水性インキ組成物の好適な
粘度範囲は1,000〜10,000(mPa・s)で
あり、特に最適な粘度範囲は2,000〜8,000
(mPa・s)である。本発明のインキ組成物はかかる
粘度範囲に調整されることが好ましい。水性インキ組成
物の粘度が1,000(mPa・s)未満であると、イ
ンキの分散安定性が低下し、経時でインキの濃度分布に
変化が生じ易くなり、また、筆記性も低下する。一方、
水性インキ組成物の粘度が10,000(mPa・s)
を越えると、インキとしての粘度が上がりすぎ、流動性
が低下し、ボールペン用インキとして適さなくなる。
【0044】このように、水性インキ組成物の粘度を調
整することにより、水性インキの分散安定性を高めるこ
とができる。特に、本発明の水性インキ組成物はボール
ペン用水性インキ組成物であり、使用前に振盪などによ
りインキの分散性を高める方法は用いられないので、高
い分散安定性を有していることが好ましい。本発明の水
性インキ組成物において、その粘度は、水溶性樹脂の種
類およびその使用量により調整することができる。すな
わち、水溶性樹脂の種類およびその使用量を調整するこ
とにより、水性インキ組成物の粘度を前記好適な粘度範
囲に調整することができる。
【0045】なお、本発明の水性インキ組成物の粘度は
ELD型粘度計(3゜R14コーン、回転数:0.5r
pm、20℃)における測定値である。
【0046】
【実施例】(実施例1〜6)表1に示す組成及び配合量
(重量部)で、フォトクロミック性色材、着色剤乃至顔
料ベース、水溶性有機溶剤、水等の各成分を混合攪拌し
分散させた後、水溶性樹脂を投入し、必要に応じて潤滑
剤、防腐防黴剤を投入して、これらを混合攪拌し分散さ
せた。これを濾過した後脱泡し、実施例1〜6に係るフ
ォトクロミック水性インキ組成物を得た。実施例1〜6
に係るフォトクロミック水性インキ組成物の粘度は表1
に併記している。
【0047】(比較例1〜3)また比較のため、表1に
示す組成及び配合量(重量部)で、フォトクロミック性
色材、着色剤乃至顔料ベース、水、水溶性有機溶剤等の
各成分を混合攪拌し分散させた後、水溶性樹脂を投入
し、必要に応じて潤滑剤、防腐防黴剤を投入して、これ
を濾過した後脱泡し、比較例1〜3に係る水性インキ組
成物を得た。比較例1〜3に係る水性インキ組成物の粘
度は表1に併記している。なお、比較例3に係る水性イ
ンキ組成物はフォトクロミック性色材を含有している。
【0048】いずれも、分散方法、脱泡方法、濾過等は
従来公知の方法を用いた。
【0049】なお、実施例1〜6および比較例1〜3に
係る水性インキ組成物の粘度は、ELD型粘度計(3゜
R14コーン、回転数:0.5rpm、20℃)におけ
る測定値である。
【0050】
【表1】
【0051】表1中、各原料組成は下記の通りである。
(フォトクロミック性色材) (1)商品名「ルミライトカラー ピグメント レッ
ド」、シンロイヒ株式会社製、平均粒径2.0〜3.5
μm、赤色発色 (2)商品名「ルミライトカラー ピグメント ブル
ー」、シンロイヒ株式会社製、平均粒径2.0〜3.5
μm、青色発色
【0052】(水溶性樹脂) (1)ウェランガム:商品名「K1C376」、三晶株
式会社製 (2)ラムザンガム:商品名「K7C233」、三晶株
式会社製 (3)ポリN−ビニルアセトアミド:商品名「GX−2
05」、昭和電工株式会社製、架橋型 (4)ポリアクリル酸:商品名「カーボポール94
0」、BF Goodrich社製
【0053】(水溶性有機溶剤) (1)グリセリン (2)プロピレングリコール
【0054】(着色剤) (1)青色顔料ベース:顔料ベースの顔料分散体は、上
記の青色顔料としてフタロシアニンブルーと、下記の顔
料分散用樹脂とを次の割合にて混合したものにトリエチ
ルアミンを加えて溶解した後、ボ−ルミルにて分散を行
い、平均粒子径0.08μm、固形分濃度10重量%の
顔料水分散体として得た。なお、顔料分散用樹脂として
スチレン−アクリル共重合体(商品名「ジョンクリル
J683」、ジョンソンポリマ−社製、重量平均分子
量:8000)を用いた。 フタロシアニンブルー 5重量部 顔料分散用樹脂 1重量部
【0055】(2)黄色顔料ベース:顔料ベースの顔料
分散体は、上記の黄色顔料としてアゾ系顔料と、下記の
顔料分散用樹脂とを次の割合にて混合したものにトリエ
チルアミンを加えて溶解した後、ボ−ルミルにて分散を
行い、平均粒子径0.07μm、固形分濃度10重量%
の顔料水分散体として得た。なお、顔料分散用樹脂とし
てスチレン−アクリル共重合体(商品名「ジョンクリル
J683」、ジョンソンポリマ−社製、重量平均分子
量:8000)を用いた。 アゾ系顔料 5重量部 顔料分散用樹脂 1重量部
【0056】(潤滑剤) (1)リン酸エステル系界面活性剤(商品名「PE−5
10」、東邦化学社製) (防腐防黴剤) (1)1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(商品
名「プロクセルXL−2」、ヘキスト合成株式会社製)
【0057】(試験サンプルの作成)次に、表1に示し
た実施例及び比較例の各インキ組成物を、ステンレス製
のボ−ルペンチップ(ボ−ル材質;炭化珪素)を一端に
連設したポリプロピレン製の中空軸筒よりなるインキ収
容部に充填し、このインキ収容部を装填した各試験サン
プルのボールペンを作成した。
【0058】(評価試験)前記試験サンプルのボールペ
ンを用いて、以下のとおり、実施例および比較例に係る
水性インキ組成物について蛍光感、分散安定性を評価し
た。
【0059】(蛍光感)これらのボールペンを用いて市
販のルーズリーフ用紙に筆記した後、筆跡乃至塗膜にブ
ラックライトランプを照射して、筆跡乃至塗膜の状態を
目視で観察して、下記の基準により、蛍光感を評価し
た。評価結果は表1に併記した。
【0060】 ・○:蛍光性あり。 ・×:蛍光性なし。
【0061】(分散安定性)インキの分散安定性試験と
して、以下の下向き静置による分散安定性試験、上向き
静置による分散安定性試験を行って、下向き静置による
分散安定性および上向き静置による分散安定性(インキ
の分散安定性)を評価した。評価結果は、表1に併記し
た。
【0062】(下向き静置による分散安定性試験)実施
例および比較例に係る試験サンプルのボールペンを、ボ
ールペンのペン先側を下側にして立てた状態で、30日
間、室温(20〜25℃程度)で静置させ、以下の評価
基準により、フォトクロミック性色材の沈降度合い(イ
ンキの分散性)を評価した。 ○:静置前後で、ボールペンのペン先側における固形分
(フォトクロミック性色材)の濃度に変化が全くみられ
ず、筆記性も静置前後で同等である。 △:静置前後で、ボールペンのペン先側における固形分
(フォトクロミック性色材)の濃度に変化が若干あり、
ペン先側におけるフォトクロミック性色材の濃度が若干
増えており、静置後、筆記性が若干低下している。 ×:静置前後で、ボールペンのペン先側における固形分
(フォトクロミック性色材)の濃度に著しい変化があ
り、ペン先側におけるフォトクロミック性色材の濃度が
かなり増えており、静置後、筆記性がかなり低下してい
る。
【0063】(上向き静置による分散安定性試験)実施
例および比較例に係る試験サンプルのボールペンを、ボ
ールペンのペン先側を上側にして立てた状態で、30日
間、室温(20〜25℃程度)で静置させ、以下の評価
基準により、フォトクロミック性色材の沈降度合い(イ
ンキの分散性)を評価した。 ○:静置前後で、ボールペンのペン先側における固形分
(フォトクロミック性色材)の濃度に変化が全くみられ
ず、筆記性も静置前後で同等である。 △:静置前後で、ボールペンのペン先側における固形分
(フォトクロミック性色材)の濃度に変化が若干あり、
ペン先側におけるフォトクロミック性色材の濃度が若干
減少しており、静置後筆記した後、その筆跡にブラック
ライトランプを照射すると、蛍光性が低下している。 ×:静置前後で、ボールペンのペン先側における固形分
(フォトクロミック性色材)の濃度に著しい変化があ
り、ペン先側におけるフォトクロミック性色材の濃度が
かなり減少しており、静置後筆記した後、その筆跡にブ
ラックライトランプを照射すると、蛍光性が極めて低下
しており、ほとんど蛍光性がみられない。
【0064】表1より、実施例に係る水性インキ組成物
を用いたボールペンでは、すべて蛍光感があった。ま
た、実施例に係る水性インキ組成物は、分散安定性が優
れ、長期間ボールペンを立てた状態で保持していても、
フォトクロミック性色材は沈殿しない。
【0065】具体的には、実施例1に係る水性インキ組
成物では、筆記後は、無色の筆跡であったが、ブラック
ライトランプを照射すると、赤色の筆跡が浮かび上が
り、照射を止めると無色の筆跡に戻った。また、粘度が
4200mPa・sであり、長期間保存してもインキ中
の濃度分布に変化がほとんど又は全くみられず、分散安
定性が優れており、筆記性も良好である。
【0066】実施例2に係る水性インキ組成物では、筆
記後は、青色の筆跡であったが、ブラックライトランプ
を照射すると、紫色の筆跡となり、照射を止めると青色
の筆跡に戻った。また、粘度が4700mPa・sであ
り、長期間保存してもインキ中の濃度分布に変化がほと
んど又は全くみられず、分散安定性が優れており、筆記
性も良好である。
【0067】実施例3に係る水性インキ組成物では、筆
記後は、無色の筆跡であったが、ブラックライトランプ
を照射すると、青色の筆跡が浮かび上がり、照射を止め
ると無色の筆跡に戻った。また、粘度が4500mPa
・sであり、長期間保存してもインキ中の濃度分布に変
化がほとんど又は全くみられず、分散安定性が優れてお
り、筆記性も良好である。
【0068】実施例4に係る水性インキ組成物では、筆
記後は、黄色の筆跡であったが、ブラックライトランプ
を照射すると、緑色の筆跡が浮かび上がり、照射を止め
ると黄色の筆跡に戻った。また、粘度が5200mPa
・sであり、長期間保存してもインキ中の濃度分布に変
化がほとんど又は全くみられず、分散安定性が優れてお
り、筆記性も良好である。
【0069】実施例5に係る水性インキ組成物では、筆
記後は、無色の筆跡であったが、ブラックライトランプ
を照射すると、赤色の筆跡が浮かび上がり、照射を止め
ると無色の筆跡に戻った。また、粘度が3000mPa
・sであり、長期間保存してもインキ中の濃度分布に変
化がほとんど又は全くみられず、分散安定性が優れてお
り、筆記性も良好である。
【0070】実施例6に係る水性インキ組成物では、筆
記後は、無色の筆跡であったが、ブラックライトランプ
を照射すると、青色の筆跡が浮かび上がり、照射を止め
ると無色の筆跡に戻った。また、粘度が3200mPa
・sであり、長期間保存してもインキ中の濃度分布に変
化がほとんど又は全くみられず、分散安定性が優れてお
り、筆記性も良好である。
【0071】一方、比較例1に係る水性インキ組成物で
は、筆記後は、青色の筆跡であり、ブラックライトラン
プを照射しても、青色の筆跡のままであった。また、比
較例2に係る水性インキ組成物では、筆記後は、黄色の
筆跡であり、ブラックライトランプを照射しても、黄色
の筆跡のままであった。なお、比較例1に係るインキの
粘度は5000mPa・sであり、比較例2に係るイン
キの粘度は5300mPa・sであり、分散安定性はよ
かった。
【0072】一方、比較例3に係る水性インキ組成物で
は、蛍光感がある筆跡が得られたが、粘度が650(m
Pa・s)であり、分散性が低い。そのため、水性ボー
ルペン用インキとして用いた場合、そのボールペンを長
期間保存すると、インキ中において濃度分布に著しい変
化が生じている。また、筆記性も低下している。従っ
て、ボールペン用水性インキ組成物として適していると
は言い難い。
【0073】
【発明の効果】本発明は、必須成分として、フォトクロ
ミック性色材、水溶性樹脂、水溶性有機溶剤及び水を含
んでなる水性インキ組成物であるので、ボールペン用フ
ォトクロミック水性インキ組成物として用いても、分散
安定性が優れているとともに、フォトクロミック性を有
する筆跡を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J039 AB02 AD06 AD08 AD10 AD14 AD20 BA04 BA06 BA12 BA18 BC07 BC10 BC12 BC13 BC60 BD02 BE01 BE03 BE04 BE05 BE33 CA06 EA27 EA29 EA41 GA27

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 必須成分として、水溶性樹脂、水溶性有
    機溶剤及び水を含んでなる水性インキ組成物であって、
    着色剤として少なくともフォトクロミック性色材を含ん
    でなるボールペン用フォトクロミック水性インキ組成
    物。
  2. 【請求項2】 さらに着色剤が含まれている請求項1記
    載のボールペン用フォトクロミック水性インキ組成物。
  3. 【請求項3】 フォトクロミック性色材の平均粒子径
    が、40μm以下である請求項1又は2記載のボールペ
    ン用フォトクロミック水性インキ組成物。
  4. 【請求項4】 フォトクロミック性色材が、インキ組成
    物全量に対して1〜30重量%含まれている請求項1乃
    至3のいずれかの項に記載のボールペン用フォトクロミ
    ック水性インキ組成物。
  5. 【請求項5】 インキ組成物の粘度が、20℃におい
    て、1,000〜10,000(mPa・s)である請
    求項1乃至4のいずれかの項に記載のボールペン用フォ
    トクロミック水性インキ組成物。
JP2000147244A 2000-05-19 2000-05-19 ボールペン用フォトクロミック水性インキ組成物 Pending JP2001323202A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020175245A1 (ja) * 2019-02-27 2020-09-03 学校法人立命館 フォトクロミック材料用ナノ粒子及びフォトクロミック材料用ナノ粒子水分散液
JP2023021452A (ja) * 2018-09-26 2023-02-10 三菱鉛筆株式会社 筆記具

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