JP2001323092A - 複合多孔質フィルム、その製造法並びにそれを用いたプリプレグ及び耐熱性ベース絶縁基材 - Google Patents

複合多孔質フィルム、その製造法並びにそれを用いたプリプレグ及び耐熱性ベース絶縁基材

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JP2001323092A
JP2001323092A JP2000144737A JP2000144737A JP2001323092A JP 2001323092 A JP2001323092 A JP 2001323092A JP 2000144737 A JP2000144737 A JP 2000144737A JP 2000144737 A JP2000144737 A JP 2000144737A JP 2001323092 A JP2001323092 A JP 2001323092A
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polyarylate
composite porous
polyimide
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JP2000144737A
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Inventor
Susumu Honda
勧 本多
Jirou Sadanobu
治朗 定延
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 新規なポリアリレート/ポリイミド複合多孔
質フィルムを提供する。 【解決手段】 下記式(1)で表わされる繰り返し単位
を主たる構成成分とする芳香族ポリイミド(a)、 [上記式(1)中、R1は4価の芳香族基であり、R2
下記式(1-a)で表わされる芳香族基である。] [上記式(1-a)中、Bは、直接結合(単結合)または
−O−、−S−、−CO−、−SO2−及び−CH2−か
らなる群から選ばれる少なくとも一種の基である。]
と、下記式(2)で表わされる繰り返し単位を主たる構
成成分とするポリアリレート(b) [上記式(2)中、Ar1は、炭素数6〜18の芳香族
炭化水素基であり、Ar2は炭素数6〜30の芳香族炭
化水素基もしくはそれと炭素数2〜10脂肪族炭化水素
基との組み合わせからなる基である。]とからなる特定
の多孔構造を有する複合多孔質フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリイミド/ポリ
アリレート組成物からなる複合多孔質フィルム(以下、
複合多孔膜ということがある)及びその製造法、並びに
その用途に関するものである。さらに詳しくは、電子積
層基板用途における耐熱ベース素材としての耐熱性、表
面性、均質性、寸法安定性及び含浸性等に優れた新規な
芳香族ポリイミド/ポリアリレート複合多孔膜及び該複
合多孔膜の製造法、並びに、それを用いたプリプレグ、
更には、該プリプレグからなる電子積層基板用途におけ
る耐熱性ベース絶縁基材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子積層基板に使用されるベース基材に
は、耐熱性や熱寸法安定性、耐湿寸法安定性、電器絶縁
性、軽量性等の諸特性が要求される。最近では、耐熱
性、電気絶縁性、熱寸法安定性、軽量性に優れている耐
熱性繊維紙が電子積層基板用のベース基材に活用されつ
つある。
【0003】例えば、コポリ(パラフェニレン・3,4'-
オキシジフェニレン・テレフタルアミド)繊維[帝人
(株)製「テクノーラ」(登録商標)]と有機系樹脂バ
インダーとからなる耐熱性繊維紙(特開平1−9223
3号、特開平2−47392号)や、バインダー成分と
してメタ型芳香族ポリアミドのフィブリッドを用い、パ
ラ型芳香族ポリアミド短繊維[デュポン(株)製「ケブ
ラー」(登録商標)]とフィブリル化されたパラ型芳香
族ポリアミドの微小繊維(「ケブラー」パルプ)とを、
フィブリッドの絡合作用により機械的に結合せしめた紙
(特開昭61−160500号、特公平5−65640
号)等が提案されている。しかし、これらの耐熱性繊維
紙は、吸水率の大きい芳香族ポリアミドを主材として用
いているため、高湿度下で長時間通電した場合に電気絶
縁不良が発生するといった欠点を有する。また、配合ワ
ニスの含浸性が低いため、紙の厚み方向の均一性が不充
分であり、表面性が悪く層間の接着性が低いという問題
がある。さらに、近年、電子機器の高機能化や高速化に
伴い小型化が要求されているが、繊維紙では薄膜化に限
界がある。
【0004】そこで、芳香族ポリアミドよりも吸水性が
低い素材の一つとして芳香族ポリイミドが考えられる。
芳香族ポリイミドは、耐熱性に優れており電子分野をは
じめとする広い範囲で工業的に利用されている。しか
し、電子基板用途として考えた場合、芳香族ポリイミド
の吸水・吸湿による寸法安定性は未だ満足のできるもの
ではなく、寸法安定性の改善が望まれている。また、ポ
リイミドは一般的に銅箔やガラス繊維との接着性が低
く、電子基板用途においては長期信頼性を維持するため
ポリイミドの接着性の改善が試みられている。電子基板
の小型化及び接着性の改善といった問題を解決する方法
の一つとして多孔薄膜の利用が考えられている。
【0005】一方、吸水性に関する寸法安定性に優れた
耐熱素材としてポリアリレートやポリカーボネートが挙
げられるが、これらの素材のガラス転移温度は高々20
0℃であるため耐熱性には限界があり、例えば半田耐性
等は期待できない。
【0006】このことから、ポリイミドとアリレートの
特性を複合する試みとして、ポリアリレートとポリエー
テルイミドとのブレンド(特開昭59−174644
号、特公昭61−58091号)、ポリアリレートと芳
香族ポリカルボミドの相溶性ブレンド(特開昭63−7
2755号)、ポリエステルカーボネート及び/又はポ
リアリレートとポリエーテルイミドとのブレンド(特開
平6−200128号)、ポリアリレートとポリエーテ
ルイミドと、ポリアリレートとポリエーテルイミド混合
物との融和性を有する熱可塑性重合体からなる三元共重
合体(特開昭59−174643号)等が提案され、ま
た、液晶ポリアリレートとポリイミドとのブレンドに関
する研究(Polymer,1995,36,259〜
266)が報告されている。
【0007】しかし、このようなポリアリレートとポリ
イミドとのブレンドは、いずれも溶融ブレンド法による
もので、このようなブレンドからなる複合多孔膜につい
ては検討されておらず、その製造法についても全く知ら
れていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の1つの目的
は、耐熱性、含浸性、表面性、寸法安定性に優れた、ポ
リイミド/ポリアリレート組成物からなる新規な複合多
孔質フィルム(複合多孔膜)を提供することにある。本
発明のもう1つの目的は、特定の芳香族ポリイミド/ポ
リアリレート組成物から上記の複合多孔質フィルムを工
業的に製造する方法を提供することにある。本発明の他
の目的は、上記の複合多孔質フィルムの特性を生かした
用途を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、特定の芳香族ポリイミ
ド/ポリアリレート溶液組成物にあっては、それを製膜
し乾燥したフィルムを延伸するだけで、おのずから多孔
化し良好な多孔質フィルム(複合多孔膜)となし得るこ
と、そして、該多孔質フィルムは、プリプレグとして電
子積層基板用途における耐熱性ベース素材として用いる
と、きわめて有効であることを見出し、かかる知見に基
づいて、さらに研究を重ね、次のような本発明を完成し
た。
【0010】すなわち、本発明は、下記の多孔質フィル
ム、その製造方法、そして下記の用途に係るものであ
る。 1.下記式(1)で表わされる繰り返し単位を主たる構
成成分とする芳香族ポリイミド(a);
【0011】
【化6】
【0012】
【化7】
【0013】及び、下記式(2)で表わされる繰り返し
単位を主たる構成成分とするポリアリレート(b);
【0014】
【化8】
【0015】から実質的になり、芳香族ポリイミド
(a)とポリアリレート(b)との重量比が80/20
〜20/80重量である複合多孔膜であって、該多孔膜
における、多孔度が30〜80%、多孔膜のフィルム表
面の開孔率が20〜80%、通気性が0〜100秒/1
00ml、であることを特徴とする複合多孔質フィル
ム。
【0016】2.上記1の複合多孔質フィルムにおい
て、芳香族ポリイミド(a)を構成する上記(1)式中
の4価の芳香族R1が、下記式(1−b)
【0017】
【化9】
【0018】で示される芳香族テトラカルボン酸二無水
物残基であることを特徴とする複合多孔質フィルム。
【0019】3.ポリアリレート(b)を構成する上記
(2)式中の芳香族残基Ar1が、置換基を有してもよ
いフェニレン基又は置換基を有してもよいナフタレン基
であること特徴とする複合多孔質フィルム。
【0020】4.上記1〜3の複合多孔質フィルムにお
いて、ポリアリレート(b)を構成する上記(2)式中
の芳香族残基Ar2が、置換基を有してもよいフェニレ
ン基又は下記式(2-a)で表わされる残基;
【0021】
【化10】
【0022】であること特徴とする複合多孔質フィル
ム。
【0023】5.上記式(1)で示される繰り返し単位
から主としてなる芳香族ポリイミドと上記式(2)で示
される繰り返し単位から主としてなるポリアリレートと
を、有機溶剤に溶解した、芳香族ポリイミド(a)とポ
リアリレート(b)との重量比が20/80〜80/2
0でかつポリマー濃度が3〜30重量%である溶液組成
物を製膜した後、有機溶剤を除去してポリイミド/ポリ
アリレート・ブレンドフィルムを形成し、さらに、この
ブレンドドフィルムを延伸することを特徴とする複合多
孔質フィルムの製造法。
【0024】6.上記5の製造法において、芳香族ポリ
イミド(a)とポリアリレート(b)とを溶解する有機
溶剤(c)が、フェノール系溶剤であること特徴とする
複合多孔質フィルムの製造法。
【0025】7.上記5,6の製造法において、ポリイ
ミド/ポリアリレート・ブレンドフィルムを加熱乾燥過
程において相分離させること特徴とする多孔質フィルム
の製造法。
【0026】8.上記の複合多孔質フィルムに熱可塑性
樹脂及び/又は熱硬化性樹脂を含浸してなること特徴と
するプリプレグ。
【0027】9.上記のプリプレグからなることを特徴
とする電子積層基板用の耐熱性ベース絶縁基材。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明のポリイミド/ポリ
アリレート複合多孔質フィルムについて、該フィルムを
構成する芳香族ポリイミド(a)及びポリアリレート
(b)、該フィルム製造時にこれらのポリマー成分
(a)(b)を溶解する有機溶媒(c)並びに、その溶
液組成物であるドープ、該ドープからの複合多孔質フィ
ルムの製造、そして該フィルムの特性、さらには、その
用途について、順次、具体的に説明する。
【0029】<芳香族ポリイミド>本発明の複合多孔質
フィルムを構成する芳香族ポリイミド(a)は、下記式
(1)で表わされる繰り返し単位を有する実質的に線状
の高分子重合体である。
【0030】
【化11】
【0031】上記式(1)中のR1は、4価の芳香族基
であり、好ましくは、下記式(1−a)
【0032】
【化12】
【0033】から選択される少なくとも1種の芳香族テ
トラカルボン酸二無水物残基である。なお、上記式(1
−b)中のAは、直接結合(単結合)、又は、−O−、−
SO2−、−CO−、−C(CH3)2−もしくは−C(CF
3)2−である。これらの残基は、1種のみで、あるいは
2種以上一緒にポリマー鎖中に存在していてもよい。こ
れらの中でも特に好ましいものは以下の構造を有する基
である。
【0034】
【化13】
【0035】また、上記式(1)中のR2は、
【0036】
【化14】
【0037】で表わされる少なくとも一種の2価の芳香
族基である。なお、上記式(1-a)中、R3及びR
4は、炭素数1〜6の低級アルキル基、炭素数1〜6の
低級アルコキシ等の置換基であり、これらは互いに同一
でも相異なるものでもよい。n及びmは、それぞれ独立
に、0(無置換)又は1〜4の整数である。そして、B
は、直接結合(単結合)、又は、−O−、−S−、−CO
−、−SO2−もしくは−CH2−である。上記のような
2価の芳香族基は1種のみで、あるいは2種以上一緒に
ポリマー鎖中に存在していてもよい。
【0038】これらの芳香族基の中でも特に好ましいの
は、
【0039】
【化15】
【0040】で表わされる芳香族基から選ばれる基であ
る。
【0041】本発明では、上記の芳香族ポリイミド
(a)において、該ポリマーの性質を本質的に損なわな
い範囲で上記以外の成分を共重合することもできる。例
えば、上記式(1-a)の一部(例えば5モル%以下)
を他の芳香族基や脂肪族基、脂肪環族基に置き換えるこ
とも許容される。また、該芳香族ポリイミド(a)に
は、安定剤等の添加剤を含んでもよい。
【0042】一般に、芳香族ポリイミドは、不融不溶の
ものが多いが、上記の芳香族ポリイミド(a)は、有機
溶媒に良好な溶解性を示し、安定な溶液を形成し得る。
【0043】上記の芳香族ポリイミド(a)はどのよう
な方法で製造したものであってよいが、一般的な製造方
法としては、(イ)上記R1を誘導することのできる原料
の芳香族テトラカルボン酸の二無水物と上記R2を誘導
することのできる芳香族ジアミンとからポリアミド酸を
得、次いで、加熱閉環するか、又は、酸無水物とピリジ
ン、カルボジイミド、亜リン酸トリフェニル等の化学閉
環剤を用いて化学閉環する方法、(ロ)上記R1を誘導
することのできる原料の芳香族テトラカルボン酸の二無
水物と上記R2を誘導することのできる芳香族ジイソシ
アネートとを加熱して脱炭酸を行って重合する方法、等
を例示することができる。
【0044】上記方法で用いられる芳香族テトラカルボ
ン酸の二無水物としては、例えば、3,3',4,4'-ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3,3'-ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフ
ェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ベン
ゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3',4'-
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,
4'-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、
3,3',4,4'-ビフェニルメタンテトラカルボン酸二無
水物、3,3',4,4'-ビフェニルスルホンテトラカルボ
ン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルプロパンテト
ラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルヘキ
サフルオロプロパンテトラカルボン酸二無水物を例示で
きる。
【0045】また、これと反応させる芳香族ジアミンと
しては、ベンチジン、3,3'-ジメチルベンチジン、3,
3'-ジメトキシベンチジン、4,4'-ジアミノジフェニ
ルエーテル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジフェ
ニルエーテル、3,3'-ジメトキシ-ジアミノジフェニル
エーテル、3,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,
4'-ジアミノベンゾフェノン、3,3'‐ジアミノベンゾ
フェノン、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,
3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、
4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジメトキシ
-4,4'-ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジメチル-
ジアミノジフェニルメタン、3,3'-ジアミノジフェニ
ルメタン等を挙げることができる。
【0046】また、芳香族ジイソシアネート成分として
は、4,4'-ジイソシアノジフェニル、3,3'-ジメチル
-4,4'-ジイソシアノジフェニル、3,3'-ジメトキシ-
4,4'-ジイソシアノジフェニル、4,4'-ジイソシアノ
ジフェニルエーテル、3,3'-ジメチル-4,4'-ジイソ
シアノジフェニルエーテル、3,3'-ジメトキシ-ジイソ
シアノジフェニルエーテル、3,4'-ジイソシアノジフ
ェニルエーテル、4,4'-ジイソシアノベンゾフェノ
ン、3,3'-ジイソシアノベンゾフェノン、4,4'-ジイ
ソシアノジフェニルスルホン、3,3'-ジメチル-4,4'
-ジイソシアノジフェニルスルホン、4,4'-ジイソシア
ノジフェニルメタン、3,3'-ジメトキシ-4,4'-ジイ
ソシアノジフェニルメタン、3,3'-ジメチル-ジイソシ
アノジフェニルメタン、3,3'-ジイソシアノジフェニ
ルメタン等を挙げることができる。
【0047】本発明の多孔質フィルムを構成する芳香族
ポリイミド(a)の分子量は特に制限されないが、一般
に、該芳香族ポリイミドがパラクロロフェノール/オル
トクロロフェノール混合溶媒(容量比4/1)に溶解す
る場合は、この溶液にて温度30℃、濃度0.5g/1
00ml溶媒で測定した還元粘度(ηsp/C)が0.
3以上のもの、より好ましくは0.5以上のものが適当
である。還元粘度の上限は、実用的観点から7.0以下
が好ましい。
【0048】<ポリアリレート>本発明の複合多孔質フ
ィルム構成するもう一方の成分であるポリアリレート
(b)は、下記式(2)で表わされる繰り返し単位を有
する実質的に線状の高分子化合物である。
【0049】
【化16】
【0050】ここで、上記(2)式中のAr1は、炭素
数6〜18の芳香族炭化水素基である。かかるAr1
芳香族基としては、例えば、下記式
【0051】
【化17】
【0052】で表わされる、置換基を有してもよいフェ
ニレン基、又は、下記式
【0053】
【化18】
【0054】で表わされる、置換基を有してもよいナフ
タレン基を挙げることができる。
【0055】なお、上記各式中においてY1が脂肪族炭
化水素基である場合は、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素
基であり、好ましくは、例えば、メチル、エチル、プロ
ピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルのごとき炭素数1〜
6の低級アルキル基である。これらのアルキル基は直鎖
状であっても分岐鎖状(例えばネオペンチル基)であっ
てもよい。また、Y1が脂環族炭化水素基の場合は、炭
素数6〜12を有する脂環族炭化水素基であって、例え
ば、シクロヘキシル、デカリル、シクロヘキシルシクロ
ヘキシル(ドデカヒドロキシビフェニル)等を挙げるこ
とができる。さらに、Y1がハロゲン原子である場合
は、例えば、フッ素、塩素、臭素を好ましいものとして
挙げることができる。各式中のyは0又は1〜4の整数
である。但し、yが2〜4のとき、複数のY1は同一で
も異なっていてもよい。また、後者のナフタレン基の式
においては、2つのyの合計は6を超すことはない。
【0056】Ar1の炭素数6〜18の芳香族炭化水素
基の具体例としては、1,4-フェニレン、1,3-フェニ
レン、2,6-ナフタレン、2,7-ナフタレン及び2,3-
ナフタレンを好ましいものとして挙げることができる。
これらのうち、1,4-フェニレン及び1,3-フェニレン
がさらに好ましい。
【0057】また、Ar1は、上記のごとき芳香族基の
単独あるいは2種以上の組み合わせからなることができ
る。特に好ましい組み合わせは1,4-フェニレンと1,
3-フェニレンとの組み合わせである。
【0058】一方、上記式(2)中のAr2は、炭素数
6〜30の芳香族炭化水素基であるか又はそれと炭素数
2〜10脂肪族炭化水素基との組み合わせである。Ar
2の具体例としては、炭素数6〜30の芳香族炭化水素
基として、例えば、下記式
【0059】
【化19】
【0060】で表わされる、置換基を有してもよいフェ
ニレン基、あるいは、下記式
【0061】
【化20】
【0062】で表わされる、置換基を有してもよい2個
のフェニレン基を含む芳香族基を挙げることができる。
【0063】前者の置換基を有してもよいフェニレン基
としては、さきにAr1について例示したものと同じも
のを挙げることができる。
【0064】後者の置換基を有してもよい2個のフェニ
レン基を含む芳香族基の式において、Z及びY1、Y2
表わす炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基及び6〜10
の脂環族炭化水素基としては、Ar1中のY1について例
示した基に相当する2価の炭化水素基、例えば、1,2-
エチレン基、1,4-シクロヘキシレン基等を挙げること
ができる。また、炭素数1〜10のハロ脂肪族炭化水素
基及び炭素数6〜12のハロ脂環族炭化水素基として
は、例えば、前記脂肪族炭化水素基及び脂環族炭化水素
基それぞれのハロ置換体を挙げることができる。かかる
ハロ置換体及びY 1、Y2のハロゲン原子としては、フッ
素、塩素及び臭素を好ましいものとして挙げることがで
きる。また、式中の2個のw、xは、互いに独立に、0
又は1〜4の整数である。
【0065】また、Ar2に含まれてもよい炭素数2〜
10の脂肪族炭化水素基としては、3級炭素原子を有さ
ない基が好ましく、例えば、メチレン、エチレン、トリ
メチレン、テトラメチレン、ヘキサメチレン、デカメチ
レン、ネオペンチレン等の基を挙げることができる。こ
れらの脂肪族炭化水素基は炭素数6〜30の前記芳香族
炭化水素基と組み合わせて用いられる。
【0066】なかでも、本発明で複合多孔質フィルムを
構成するポリアリレートは、下記式で表わされる繰り返
し単位からなるものが、溶媒への溶解性、組成物の成形
性、成形物の特性等で優れており、特に好適である。
【0067】
【化21】
【0068】ここで、Ar1の定義は上記式(2)に同
じであり、上記式(2-b)においてAr1が1,4-フェ
ニレン基及び/又は1,3-フェニレン基であるのが特に
好ましい。
【0069】このようなポリアリレート(b)も、該ポ
リマーの性質を本質的に損なわない範囲(例えば5モル
%以下)で、他の成分を共重合することができる。ま
た、安定剤等の添加剤を含んでも差し支えない。
【0070】本発明におけるポリアリレート(b)は、
従来公知の重合法で製造することができる。例えば、ジ
カルボン酸から誘導される酸クロリドと2価フェノール
類との重縮合を塩化メチレン溶媒下で行う方法、ジカル
ボン酸から誘導されるジフェニルエステルと2価フェノ
ール類との反応を触媒の存在下溶融重合する方法等を挙
げることができる。
【0071】上記ジカルボン酸としては、例えばテレフ
タル酸、イソフタル酸、2-メチルテレフタル酸、4-メ
チルイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、
2,7-ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族ジカルボ
ン酸を挙げることができる。
【0072】また、2価フェノールとしては、2,2-ビ
ス-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス-(4-ヒ
ドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス-(4-ヒドロキ
シフェニル)エタン、1,2-ビス-(4-ヒドロキシフェ
ニル)エタン、1,3-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)
プロパン、ビス-(2-ヒドロキシフェニル)メタン、
1,1-ビス-(2-ヒドロキシフェニル)エタン、1,2-
ビス-(2-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス-
(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,3-ビス-(2
-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス-(4-ヒドロキ
シ-2,6-ジメチル-3-メトキシフェニル)メタン、1,
1-ビス-(4-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-3-メトキシ
フェニル)エタン、1,2-ビス-(4-ヒドロキシ-2,6
-ジメチル-3-メトキシフェニル)エタン、2,2-ビス-
(4-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-3-メトキシフェニ
ル)プロパン、1,3-プロパン、ビス-(4-ヒドロキシ
-2-クロロフェニル)メタン、1,1-ビス-(4-ヒドロ
キシ-2-クロロフェニル)エタン、1,2-ビス-(4-ヒ
ドロキシ-2-クロロフェニル)エタン、2,2-ビス-
(4-ヒドロキシ-2-クロロフェニル)プロパン、1,3
-ビス-(4-ヒドロキシ-2-クロロフェニル)プロパ
ン、ビス-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)メタ
ン、1,1-ビス-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)
エタン、1,2-ビス-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニ
ル)エタン、2,2-ビス-(3-メチル-4-ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、1,3-ビス-(3-メチル-4-ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2-ビス-(3-イソプロピ
ル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス-
(2-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、p-ジヒドロキシベンゼン等を挙げることができ
る。
【0073】本発明の多孔質フィルムを構成するポリア
リレート(b)の分子量は特に制限されないが、一般に
は、フェノール/テトラクロロエタン混合溶媒(重量比
6/4)中、温度35℃、濃度1.2g/100mlで
測定した還元粘度(ηsp/C)が0.15以上、より
好ましくは0.25以上のものが適当である。還元粘度
の上限は実用的観点から7.0以下が好ましい。
【0074】<有機溶媒及び溶液組成物(ドープ)の調
製>本発明の多孔質フィルムの製造においては、上記の
ポリマー(a)(b)は、両者を溶解し得る有機溶媒に
溶解してポリイミド/ポリアリレート溶液組成物(ドー
プ)とされる。
【0075】ここで使用する有機溶剤としては、上記の
両ポリマー(a)(b)を実質的に溶解し得るものが用
いられる。かかる有機溶媒としては、例えば、N-メチ
ル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,
N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤;ジメチル
スルホキシド等のスルホキシド系溶剤;フェノール、m
-クレゾール、o-クロロフェノール、p-クロロフェノ
ール、o-ジクロロフェノール、2,4,6-トリクロロフ
ェノール等のフェノール系溶剤を挙げることができる。
これらは1種のみで用いてもよく、あるいは2種以上一
緒にして混合溶剤として用いてもよい。上記の有機溶剤
の中でもフェノール系溶剤が好適であり、p-クロロフ
ェノールが溶解性の点で特に好ましい。
【0076】上記の溶液組成物(ドープ)において、芳
香族ポリイミド(a)とポリアリレート(b)は、両ポ
リマー(a)(b)の合計量に基づいて、芳香族ポリイ
ミド(a)20〜80重量%、好ましくは25〜75重
量%、より好ましくは30〜70重量%を占め、したが
って、ポリアリレート(b)は80〜20重量%、好ま
しくは75〜25重量%、さらに好ましくは70〜30
重量%を占める。
【0077】芳香族ポリイミド(a)が20重量%より
少ない場合、この組成物を用いて最終的に得られるポリ
イミド/ポリアリレート複合多孔質フィルムの通気性が
改善されず充分な物質透過性が得られない可能性がある
ので好ましくない。逆に、芳香族ポリイミド(a)が8
0重量%より多い場合も、この組成物を用いて最終的に
得られるポリイミド/ポリアリレート複合体の通気性が
改善されず充分な物質透過性が得られない可能性がある
ので好ましくない。
【0078】本発明における溶液組成物(ドープ)は、
見かけ上均一な安定溶液となっているが芳香族ポリイミ
ド(a)とポリアリレート(b)とは完全相溶ではなく
部分相溶状態になっている。
【0079】この溶液中で、芳香族ポリイミド(a)と
ポリアリレート(b)との合計量の割合(ポリマー濃
度)は、溶液重量を基準にして3〜30重量%の範囲内
とすることが必要であり、5〜30重量%とするのが好
ましい。ポリマー濃度が3重量%未満の場合は、溶液粘
度が低く製膜ドープとして扱い難いので好ましくなく、
ポリマー濃度が30重量%よりも高い場合は、組成物の
粘度が高く成形が困難であったり、均一に溶解した組成
物を得ることができない可能性があるので好ましくな
い。
【0080】本発明におけるポリイミド/ポリアリレー
ト溶液組成物の製造法としては、例えば、ポリアリレー
ト単体とポリイミド単体とを上記有機溶剤に溶解する方
法、あらかじめ有機溶剤に溶解させておいたポリイミド
溶液とポリアリレート溶液とを混合する方法等を例示す
ることができる。
【0081】この溶液には、必要に応じ、添加剤として
着色剤、安定剤等を含んでもよく、フィラーとして、無
機微粒子、ミルドファイバー、ウイスカーや上記有機溶
媒(c)に可能な他のポリマーを含んでもよい。
【0082】<多孔質フィルムの製造>本発明における
ポリアリレート/ポリイミド複合多孔膜は、上記のごと
き芳香族ポリイミド(a)とポリアリレート(b)とが
有機溶剤に溶解しているポリマー組成物を用いて製膜し
た後、有機溶剤を除去してポリイミド/ポリアリレート
・ブレンドフィルムを形成し、該ブレンドフィルムを延
伸することにより製造することができる。
【0083】本発明における有機溶媒としては、すでに
述べたとおり、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホル
ムアミド等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等の
スルホキシド系溶剤;フェノール、m−クレゾール、o
−クロロフェノール、p−クロロフェノール、o−ジク
ロロフェノール、2,4,6−トリクロロフェノール等の
フェノール系溶剤を用いることができる。
【0084】芳香族ポリイミド(a)とポリアリレート
(b)とが溶解しているポリマー組成物のポリマー濃度
は3重量%以上、より好ましくは5重量%以上が好まし
い。ポリマー濃度が3重量%より少ない場合は、溶液粘
度が低く製膜ドープとして扱い難いので好ましくない。
【0085】本発明におけるポリイミド/ポリアリレー
ト・ブレンドフィルムの製造法としては、上記ポリイミ
ドとポリアリレートが溶解した有機溶媒ドープを使用
し、公知の乾式法、半乾半湿式法によって得ることがで
きる。例えば、上記のドープを表面が平滑な面を有する
基板表面上にキャストし、80〜300℃で乾燥して有
機溶媒を除去し、ブレンドフィルムを製造することがで
きる。この際使用する表面が平滑な面を有する基板とし
ては、例えば、金属箔、金属板、ガラス板、プラスチッ
クフィルム等が挙げられ、金属の材質としては、金、
銀、銅、白金、アルミニウム等が挙げられる。
【0086】本発明において、ポリイミド/ポリアリレ
ート・ブレンドフィルムは、キャスト後の加熱乾燥過程
において上記両ポリマーが相分離することが好ましい。
この際、相分離が不充分であったり、まったく相分離し
ない場合、多孔膜の通気性が充分に得られず含浸性が向
上しない可能性があるので好ましくない。
【0087】本発明においては、ポリイミド/ポリアリ
レート・ブレンドフィルムを、乾燥後、延伸することに
より多孔膜が製造される。延伸方法については一軸延
伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸等のいずれの方法でも
構わない。また、延伸温度についてはポリイミド/ポリ
アリレート・ブレンドフィルムのガラス転移温度以上の
温度で延伸することが好ましい。
【0088】この延伸操作により、延伸倍率を適宜調節
することで、最終的に得られるポリアリレート/ポリイ
ミド複合多孔膜の通気性、多孔度やフィルム表面の開孔
率をコントロールすることが可能である。通常の場合、
延伸温度200〜450℃、縦方向の延伸倍率1.3〜
5.0倍が好ましい。また、延伸後のフィルムの厚み
は、0.001〜1.0mm程度が好ましい。
【0089】<多孔質フィルムの特性>本発明における
ポリイミド/ポリアリレート複合多孔質フィル(複合多
孔膜)は、上述のように芳香族ポリイミド(a)とポリ
アリレート(b)との合計量に対しポリイミドが20〜
80重量%、好ましくは25〜75重量%、より好まし
くは30〜70重量%を占める。ポリイミド成分が20
重量%より少ない場合、多孔膜の通気性が改善されず充
分な物質透過性が得られない可能性があるので好ましく
ない。ポリイミドが80重量%より多い場合も、多孔膜
の通気性が改善されず充分な物質透過性が得られない可
能性があり、好ましくない。
【0090】本発明における複合多孔質フィルムの多孔
度は、30〜80%、好ましくは40〜70%の範囲に
あり、かつ、フィルム表面の開孔率が20〜80%、好
ましくは30〜70%の範囲にある。
【0091】ここで、「多孔度」は、多孔質のフィルム
の見掛け密度と真密度との差を表示するもので、次のよ
うにして求められる。すなわち、乾燥後の多孔質フィル
ムA(mm)×B(mm)の大きさにカットし、厚みC
(mm)、重量D(g)を測定する(A,B,C,Dは
適宜選択する)。これらの値より以下の式で見かけ密度
Eを求める。 見かけ密度E=D/(A×B×C)×1000(g/c
3
【0092】続いて、使用したポリマーの真密度Fを求
め、以下の式から多孔度を算出する。 多孔度=(F−E)/E×100(%) また、「開孔率」とは、フィルム表面において全表面積
に対して孔が占める面積の割合のことを言い。後述のよ
うに走査型電子顕微鏡(SEM)写真から求められる。
【0093】多孔度が30%未満又は開孔率が20%未
満の場合は、通気性が充分に得られず含浸性が向上しな
かったり、多孔度が80%より大きく、開孔率が80%
より大きい場合は、強度が十分でなくフィルムとしての
自己支持性が充分に得られない等の問題があり、好まし
くない。
【0094】また、本発明の多孔質フィルム(複合多孔
膜)では、通気性が0〜100秒/100mlの範囲に
あることが好ましく、0.1〜50秒/100mlの範
囲にあることがより好ましい。ここで「通気性」とは、
「JIS L1096−1990 6.27 通気性」の
方法により求められる空気量100ml当たりの空気透
過時間で表示される。この通気性が100秒/100m
l以上のものは、本発明の目的とする十分な物質透過性
が実現されないため、好ましくない。
【0095】<用途>このような構造を有する本発明の
ポリイミド/ポリアリレート複合多孔質フィルム(複合
多孔膜)は、物質透過性に優れ、プリプレグとして用い
た場合、熱硬化性樹脂の含浸が迅速に行うことができ、
積層体の耐熱性ベース絶縁基材として用いる場合、接着
面におけるアンカー効果が発現するために好ましい。
【0096】そして、本発明におけるポリイミド/ポリ
アリレート複合多孔質フィルム(複合多孔膜)は、耐熱
性、表面性、均質性及び高い含浸性を有するため、プリ
ント回路用基板及びプリント回路用積層基板用のプリプ
レグの耐熱性ベース絶縁基材として有効に用いることが
できる。
【0097】本発明のポリイミド/ポリアリレート複合
多孔質フィルム(複合多孔膜)に熱可塑性樹脂及び/又
は熱硬化性樹脂を含浸させてプリプレグを製造する方法
は特に限定されず、従来知られている紙又はガラスクロ
スへ熱硬化性樹脂を含浸させる方法等を挙げることがで
きる。例えば、本発明のポリイミド/ポリアリレート複
合多孔質フィルムに熱可塑性樹脂又は熱硬化製樹脂から
なる組成物を溶剤に溶解したワニスを調製し、該複合多
孔膜に塗布して含浸させた後、溶剤を蒸発させてプリプ
レグを製造することができる。
【0098】ここで使用する熱可塑性樹脂としては、例
えば、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエー
テルイミド、ポリスルフィドスルホン、ポリカーボネー
ト等が挙げられ、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポ
キシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド−
トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ジアリルフタレート
樹脂、シアネート樹脂、アリール変性ポリフェニレンエ
ーテル樹脂等が挙げられる。
【0099】
【発明の効果】本発明によれば、耐熱性、表面性、均質
性、吸湿寸法安定性及び含浸性に優れる新規ポリイミド
/ポリアリレート複合多孔質フィルム(複合多孔膜)を
提供することができる。この本発明の複合多孔質フィル
ムは、上述した優れた特性を利用して、プリント回路用
基板及びプリント回路用積層基板用のプリプレグの耐熱
性ベース絶縁基材として有効に用いることができる。こ
の基板は、従来用いられている耐熱繊維紙を用いた積層
基板よりも薄化が可能であり、表面性にも優れる。
【0100】また、本発明の方法によれば、ポリイミド
/ポリアリレート・ブレンドフィルムを延伸すること
で、延伸倍率を調節することにより、得られる複合多孔
質フィルムの通気性、多孔度、開孔率及びフィルム厚み
等を変化させることができ、該フィルムの多孔構造の設
計・調整等が可能である。
【0101】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の好ましい態様
について記載するが、本発明は実施例のみに限定される
ものではないことは言うまでもない。なお、本発明で
は、各物性値は下記の方法で求めた。
【0102】[還元粘度]還元粘度(ηsp/C)はパ
ラクロロフェノール/オルトクロロフェノール混合溶媒
(容量比4/1)中、温度30℃、濃度0.5g/10
0ml溶媒で測定した。
【0103】[通気性評価]「JIS L1096−1
990 6.27 通気性」の方法により空気透過時間を
求めた。
【0104】[多孔度]乾燥後の多孔膜をA(mm)×
B(mm)の大きさにカットし、厚みC(mm)、重量
D(g)を測定する(A,B,C,Dは適宜選択す
る)。そして、これらの測定値より見かけ密度Eを以下
の式; 見かけ密度E=D/(A×B×C)×1000(g/c
3) で求め、続いて、使用したポリマー類の真密度からフィ
ルムの真密度Fを求め、以下の式; 多孔度=(F−E)/E×100(%) から多孔度を算出した。
【0105】[複合多孔膜開孔率]SEM観察した多孔
膜の表面写真より、孔が表面全体に占める割合をコンピ
ューターソフトを用いて算出し、開孔率とした。但し、
用いたSEM写真は、孔数が100〜500の範囲に納
まる倍率で測定を行った。
【0106】[実施例1]攪拌装置、窒素導入管を備え
たセパラブルフラスコ中で3,3',4,4'−ビフェニル
テトラカルボン酸二無水物37.2g(0.13mo
l)と4,4'−ジアミノジフェニルエーテル25.3g
(0.13mol)とをp−クロロフェノール400m
lに溶解させ、1時間で180℃まで昇温した。180
℃で6時間反応させて均一透明な芳香族ポリイミド溶液
を得た。(ポリマー濃度10重量%、ηsp/C=2.
8dl/g)
【0107】上記のポリイミド溶液40g、芳香族ポリ
アリレート(ユニチカ(株)製、商品名「U−ポリマ
ー」)溶液(ポリマー濃度10重量%、溶媒p−クロロ
フェノール)60g及びp−クロロフェノール66g
を、80℃で攪拌して、ポリイミド/ポリアリレート
(重量比)=4/6組成のポリマー濃度6重量%のp−
クロロフェノール溶液(ドープ)を調製した。次に、ド
クターナイフ(クリアランス600μm)を用いて該ド
ープをガラス板上でキャスティング後、100℃で2時
間、200℃で2時間乾燥して、ガラス板上に形成され
たフィルムをガラス板から剥離し、枠で固定して250
℃で1時間乾燥させ、不透明の相分離ブレンドフィルム
を得た。
【0108】得られたフィルムを横拘束型一軸延伸機を
用いて290℃で1.5倍に延伸することによりポリア
リレート/ポリイミド複合多孔質フィルム(複合多孔
膜)を得た。
【0109】この複合多孔質フィルムの多孔度は33
%、表面の開孔率は40%、通気性は<1秒/100m
lであった。このようにして得られた複合多孔質フィル
ムは液体の透過性、含浸性に優れ、エポキシ樹脂を含浸
させたものはプリプレグとして良好な銅箔との接着性を
有するものであった。
【0110】そして、このプリプレグは、電子部品積層
基板用の耐熱性ベース基材として有効に使用することが
できた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 79/08 C08L 79/08 Z H05K 3/46 H05K 3/46 G T // B29K 77:00 B29K 77:00 Fターム(参考) 4F072 AA07 AB05 AB07 AB27 AD24 AG03 AH21 AL12 AL13 4F074 AA67 AA74 CA02 CA03 CC02Y CC29X CC42 DA24 DA47 DA54 DA59 4J002 CF16X CM04W GF00 GQ01 GQ05 5E346 CC10 EE09 HH18

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1)で表わされる繰り返し単位
    を主たる構成成分とする芳香族ポリイミド(a); 【化1】 [上記式(1)中、R1は4価の芳香族基であり、R2
    下記式(1-a)で表わされる2価の芳香族基であ
    る。] 【化2】 [上記式(1-a)中、R3及びR4は、互いに独立に、
    炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜12の脂
    環族炭化水素基又はハロゲン原子であり、n及びmは、
    互いに独立に、0又は1〜4の整数である。Bは、直接
    結合(単結合)、又は、−O−、−S−、−CO−、−S
    2−及び−CH2−からなる群から選ばれる少なくとも
    一種の基である。]及び、下記式(2)で表わされる繰
    り返し単位を主たる構成成分とするポリアリレート
    (b); 【化3】 [上記式(2)中、Ar1は、炭素数6〜18の芳香族
    炭化水素基であり、Ar2は炭素数6〜30の芳香族炭
    化水素基もしくはそれと炭素数2〜10脂肪族炭化水素
    基との組み合わせからなる基である。]から実質的にな
    り、かつ、芳香族ポリイミド(a)とポリアリレート
    (b)との合計に対する芳香族ポリイミド(a)の比率
    が20〜80重量%、ポリアリレート(b)の比率が8
    0〜20重量%である複合多孔膜であり、該多孔膜にお
    ける多孔度が30〜80%、多孔膜のフィルム表面の開
    孔率が20〜80%、通気性が0〜100秒/100m
    l、であることを特徴とする複合多孔質フィルム。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリイミド(a)を構成する上記
    (1)式中の4価の芳香族基R1が、下記式(1−b) 【化4】 [上記式(1−b)中、Aは、直接結合(単結合)、又
    は、−O−、−SO2−、−CO−、−C(CH32
    及び−C(CF32−からなる群から選ばれる少なくと
    も一種の基である。]で示される芳香族テトラカルボン
    酸二無水物残基であることを特徴とする請求項1に記載
    の複合多孔質フィルム。
  3. 【請求項3】 ポリアリレート(b)を構成する上記
    (2)式中の芳香族残基Ar1が、置換基を有してもよ
    いフェニレン基又は置換基を有してもよいナフタレン基
    である請求項1〜請求項2のいずれかに記載の複合多孔
    質フィルム。
  4. 【請求項4】 ポリアリレート(b)を構成する上記
    (2)式中の芳香族残基Ar2が、置換基を有してもよ
    いフェニレン基又は下記式(2-a)で表わされる残基 【化5】 [上記式(2-a)中、Zは、直接結合(単結合)、又
    は、−O−、−CO−、SO2−、炭素数1〜10の脂
    肪族炭化水素基、炭素数1〜10のハロ脂肪族炭化水素
    基、炭素数6〜10の脂環族炭化水素基及び炭素数6〜
    10のハロ脂環族炭化水素基よりなる群から選ばれる基
    であり、Y1,Y2は、互いに独立に、炭素数1〜6の脂
    肪族炭化水素基、炭素数6〜12の脂環族炭化水素基又
    はハロゲン原子であり、w,xは、互いに独立に、0又
    は1〜4の整数である。]である請求項1〜請求項3の
    いずれかに記載の複合多孔質フィルム。
  5. 【請求項5】 上記式(1)で示される繰り返し単位か
    ら主としてなる芳香族ポリイミドと上記式(2)で示さ
    れる繰り返し単位から主としてなるポリアリレートと
    を、有機溶剤に溶解した、芳香族ポリイミド(a)とポ
    リアリレート(b)との重量比が20/80〜80/2
    0でかつポリマー濃度3〜30重量%である溶液組成物
    を製膜した後、有機溶剤を除去してポリイミド/ポリア
    リレート・ブレンドフィルムを形成し、さらにこのブレ
    ンドフィルムを延伸することを特徴とする複合多孔質フ
    ィルムの製造法。
  6. 【請求項6】 芳香族ポリイミド(a)とポリアリレー
    ト(b)とを溶解する有機溶剤(c)が、フェノール系
    溶剤であることを特徴とする請求項5に記載の複合多孔
    質フィルムの製造法。
  7. 【請求項7】 ポリイミド/ポリアリレート・ブレンド
    フィルムを加熱乾燥過程において相分離させ、しかる
    後、延伸することを特徴とする請求項5又は請求項6に
    記載の複合多孔質フィルムの製造法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の
    複合多孔質フィルムに、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化
    性樹脂を含浸してなること特徴とするプリプレグ。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載のプリプレグからなるこ
    とを特徴とする電子積層基板用の耐熱性ベース絶縁基
    材。
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