JP2001318202A - 低複屈折グラフト変性ノルボルネン系樹脂からなる光学フィルム - Google Patents

低複屈折グラフト変性ノルボルネン系樹脂からなる光学フィルム

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JP2001318202A JP2000137403A JP2000137403A JP2001318202A JP 2001318202 A JP2001318202 A JP 2001318202A JP 2000137403 A JP2000137403 A JP 2000137403A JP 2000137403 A JP2000137403 A JP 2000137403A JP 2001318202 A JP2001318202 A JP 2001318202A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】配向複屈折性が低く、透明性に優れたノルボル
ネン系樹脂からなる光学フィルムを提供する。 【解決手段】ノルボルネン系樹脂をノルボルネン系樹脂
の示す固有複屈折値の正負符号と反対の正負符号の固有
複屈折値を示す重合体を与えるグラフト単量体でグラフ
ト変性させた低複屈折グラフト変性ノルボルネン系樹脂
を含む光学フィルム材料からなる光学フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学フィルムに関
し、さらに詳しくは、複屈折性の低いグラフト変性ノル
ボルネン系樹脂からなる光学フィルムに関する。本発明
の光学フィルムは、例えば、偏光子保護フィルムとし
て、透明導電フィルムのフィルム基体として、液晶表示
装置やタッチパネルの電極基板のフィルム基体として有
用である。
【0002】
【従来の技術】従来、光学用プラスチック材料として、
ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等が知ら
れているが、ポリメチルメタクリレートは複屈折値が小
さいものの、吸水性が大きく、耐熱性も不十分である。
また、ポリカーボネートは耐熱性に優れ、吸水性も低い
が、複屈折値が大きいという問題がある。
【0003】これに対し、ノルボルネン系樹脂は、複屈
折値が小さいばかりでなく、透明性、耐熱性、耐湿性、
耐薬品性に優れている。従って、ノルボルネン系樹脂
は、光学用プラスチック材料として有望視されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らがノルボルネン系樹脂の複屈折について詳細に検討
したところ、ノルボルネン系樹脂は、応力複屈折値は十
分小さいものの、延伸加工、押し出し成形加工、射出成
形加工等のように樹脂が配向を受けるような加工に供さ
れたとき、無視できない程大きな複屈折(配向複屈折)
が発生し、応力複屈折のみならず配向複屈折においても
低複屈折性が要求される光学材料として好ましくないこ
とが判明した。
【0005】従って、本発明の課題は、ノルボルネン系
樹脂の本来有する優れた特性、特に、高い透明性と低い
応力複屈折性を損なうことなく、低配向複屈折性を示す
ノルボルネン系樹脂を用いた光学フィルムを提供するこ
とである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、通常のノルボルネン系
樹脂をある種の単量体でグラフト変性することにより、
ノルボルネン系樹脂の有する高い透明性と小さい応力複
屈折を保持したまま、配向複屈折性を低減させることが
でき、もって優れた光学フィルム材料を提供することが
できることを見いだした。
【0007】すなわち、本発明によれば、ノルボルネン
系樹脂を該ノルボルネン系樹脂の示す固有複屈折値の正
負符号と反対の正負符号の固有複屈折値を示す重合体を
与えるグラフト単量体でグラフト変性させた低複屈折グ
ラフト変性ノルボルネン系樹脂を含む光学フィルム材料
からなる光学フィルムが提供される。
【0008】本発明において、しばしば、ノルボルネン
系樹脂は正の固有複屈折値を示し、グラフト単量体によ
り与えられる重合体は負の固有複屈折値を示す。
【0009】グラフト単量体は、シクロヘキシルメタク
リレート、シクロヘキシルアクリレートおよびスチレン
からなる群の中から選ばれる1種または2種以上である
ことが好ましい。
【0010】また、本発明のグラフト変性ノルボルネン
系樹脂は、これをフィルムとし、このフィルムを1.5
倍に延伸した後の配向複屈折値の絶対値が4×10−3
未満であることが特に好ましい。
【0011】本発明の光学フィルムは、延伸された形態
にあることができる。また、本発明の光学フィルムは、
20×10−13cm/dyne以下の光弾性係数を
示すこと、および/または20nm以下のリターデーシ
ョン値を示すことが好ましい。
【0012】本発明の光学フィルムは、偏光子保護フィ
ルムとして有用であり、そのような偏光子保護フィルム
で保護された偏光子からなる偏光板も本発明により提供
される。さらに、本発明の光学フィルムは、透明電極フ
ィルムのフィルム基体として有用であり、そのようなフ
ィルム基体の少なくとも一方の表面に透明電極層を設け
た透明導電フィルム、該透明導電フィルムを電極基板と
して用いた液晶表示装置またはタッチパネルも本発明に
より提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の光学フィルム材料を構成
するグラフト変性ノルボルネン系樹脂は、幹重合体がノ
ルボルネン系樹脂により構成され、枝重合体が特定の単
量体単位により構成されるグラフト共重合体である。幹
重合体を構成するノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン
系単量体から誘導される単位(ノルボルネン系単量体単
位)を有する熱可塑性樹脂であり、ノルボルネン系単量
体の単独重合体またはその共重合体を含む。ここで、単
独重合体は、ノルボルネン系単量体同士の重合から得ら
れる重合体をいう。すなわち、この単独重合体は、1種
またはそれ以上のノルボルネン系単量体の重合体を指
す。また、共重合体は、1種またはそれ以上のノルボル
ネン系単量体と他の共重合性単量体とから製造される重
合体をいう。ノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系単
量体単位を30モル%以上含有することが好ましく、5
0モル%以上含有することがさらに好ましい。また、本
発明に用いるノルボルネン系樹脂は、ノルボルネン系単
量体の単独重合体またはその共重合体の水素化物も含
む。本発明に用いられるノルボルネン系樹脂は、例え
ば、ノルボルネン特開平3−14882号や特開平3−
122137号に記載されている。
【0014】本発明で使用されるノルボルネン系樹脂
は、ノルボルネン系単量体同士を、またはノルボルネン
系単量体を他の共重合性単量体(特に、後述する開環共
重合性シクロオレフィン)とともに、開環重合または付
加重合させることにより製造することができる。開環重
合および付加重合は、それ自体既知の方法により行うこ
とができる。
【0015】本発明で使用されるノルボルネン系樹脂を
提供するノルボルネン系単量体は、ノルボルネン(ビシ
クロ[2.2.1]ヘプテン)構造を有する化合物であ
り、上記公報や特開平2−227424号、特開平2−
276842号等に記載されている。
【0016】そのようなノルボルネン系単量体として
は、ノルボルネン、そのアルキル、アルキリデン、アリ
ール置換誘導体およびこれら置換または非置換のノルボ
ルネン化合物のハロゲン、水酸基、エステル基、アルコ
キシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基等の
極性基置換体、例えば、2−ノルボルネン、5−メチル
−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボル
ネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2
−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、
5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−シア
ノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカル
ボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボ
ルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン
等;ノルボルネンに1つ以上のシクロペンタジエンが付
加した単量体、その上記と同様の誘導体や置換体、例え
ば、1,4:5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4
a,5,8,8a−2,3−シクロペンタジエノナフタ
レン、6−メチル−1,4:5,8−ジメタノ−1,
4,4a,5,6,7,8,8a−オクタヒドロナフタ
レン、1,4:5,10:6,9−トリメタノ−1,
2,3,4,4a,5,5a,6,9,9a,10,1
0a−ドデカヒドロ−2,3−シクロペンタジエノアン
トラセン等;シクロペンタジエンの多量体(二量体以
上)である多環構造の単量体、その上記と同様の誘導体
や置換体、例えば、ジシクロペンタジエン、2,3−ジ
ヒドロジシクロペンタジエン等;シクロペンタジエンと
テトラヒドロインデン等との付加物、その上記と同様の
誘導体や置換体、例えば、1,4−メタノ−1,4,4
a,4b,5,8,8a,9a−オクタヒドロフルオレ
ン、5,8−メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,
8a−オクタヒドロ−2,3−シクロペンタジエノナフ
タレン等を例示することができる。
【0017】ノルボルネン系単量体を開環重合させる場
合には、本発明の効果を実質的に妨げない量的範囲にお
いて開環共重合性の他のシクロオレフィン類を併用する
ことができる。このようなシクロオレフィンとしては、
シクロペンテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロジ
シクロペンタジエン等の重合反応性二重結合を1個以上
有するシクロオレフィン化合物を例示することができ
る。通常、シクロオレフィンは、得られる共重合体の5
モル%ないし30モル%を構成し得る。
【0018】ノルボルネン系樹脂(重合体)は、付加重
合法により得られる場合は不飽和結合を含まない飽和重
合体を構成し、開環重合法により得られる場合は不飽和
結合を有する重合体を構成する。後者の開環重合により
得られる不飽和ノルボルネン系重合体は、水素添加によ
り、飽和重合体に変換することができる。その場合、水
素添加率は、得られる樹脂の耐熱劣化性、耐光劣化性等
の観点から、90%以上であることが好ましく、より好
ましくは95%以上、さらに好ましくは99%以上であ
る。
【0019】本発明で使用するノルボルネン系樹脂は、
飽和された状態で(すなわち、重合により飽和重合体が
得られる場合には、そのままの状態で、重合により不飽
和重合体が得られる場合には、実質的に完全に水素化し
て飽和重合体に変換した状態で)、好ましくは10,0
00〜200,000、より好ましくは20,000〜
150,000の数平均分子量を有することが望まし
い。その数平均分子量が10,000より小さいと機械
的強度が劣り、200,000より大きいと成形性が悪
くなる傾向にある。
【0020】なお、本発明に用いられるノルボルネン系
樹脂は、商業的に入手することもでき、例えば、ゼオノ
アという商品名やゼオネックスという商品名で日本ゼオ
ン社から市販されている。
【0021】本発明のグラフト変性ノルボルネン系樹脂
において、幹重合体であるノルボルネン系重合体にグラ
フト化される枝重合体は、原料ノルボルネン系樹脂の示
す固有複屈折値の正負符号と反対の正負符号の固有複屈
折値を示す重合体を与えるグラフト単量体から誘導され
る。すなわち、原料ノルボルネン系樹脂が正の固有複屈
折値を示す場合には、負の固有複屈折値を示す重合体を
与えるグラフト単量体が使用され、他方、原料ノルボル
ネン系樹脂が負の固有複屈折値を示す場合には、正の固
有複屈折値を示す重合体を与えるグラフト単量体が使用
される。負の固有複屈折値を示す重合体を与えるグラフ
ト単量体としては、シクロヘキシルメタクリレート、シ
クロヘキシルアクリレート、スチレンまたはそれら2種
以上の混合物を用いることが好ましい。なお、上述の市
販のゼオノアやゼオネックスは正の固有複屈折値を示
す。
【0022】グラフト単量体の使用量は、グラフト変性
ノルボルネン系樹脂からフィルムを作製し、これを1.
5倍に延伸した後の配向複屈折値の絶対値が4×10
−3未満になるような量とすることが好ましい。
【0023】より詳しくは、本発明のグラフト変性ノル
ボルネン系樹脂は、好ましくは約10,000〜40
0,000、より好ましくは20,000〜300,0
00の数平均分子量を有することが望ましい。また、本
発明のグラフト変性ノルボルネン系樹脂は、2〜100
%のグラフト変性量を有することが好ましい。グラフト
変性量が2%未満では、グラフト変性量が不足し、配向
複屈折値が低下しないという傾向にある。他方、グラフ
ト変性量が100%を越えると、グラフト変性量が飽和
値に達するとともに、グラフト単量体自体の重合量(グ
ラフト単量体の遊離単独重合体の量)が増大し、不経済
となる傾向にある。グラフト変性量は、は5〜50%で
あることがより好ましい。
【0024】本明細書において、グラフト変性量は、ノ
ルボルネン系樹脂100重量部に対するグラフト変性後
のノルボルネン系樹脂の重量増分(%)(すなわち、
(グラフト変性ノルボルネン系樹脂の重量−原料ノルボ
ルネン系樹脂の重量)×100/原料ノルボルネン系樹
脂の重量)として定義される。また、複屈折値は、以後
既述する実施例において示すように、樹脂から作られた
フィルムのリターデーションをフィルムの厚みで除した
値である。フィルムがキャスト法により作られたままの
状態で測定された複屈折値が固有複屈折値に相当する。
また、キャスト法により作られたフィルムを延伸加工等
配向が生じる加工を施した後に測定して得られる複屈折
値が配向複屈折値に相当する。
【0025】さて、本発明のグラフト変性ノルボルネン
系樹脂は、ラジカル重合開始剤の存在下にノルボルネン
系樹脂をグラフト単量体でグラフト化させることにより
製造することができ、そのグラフト重合の手法として
は、溶液重合法、溶融混練重合法または含浸重合法を採
用することができる。
【0026】本発明において、グラフト単量体は、ノル
ボルネン系樹脂100重量部に対して2〜100重量部
の割合で使用することが好ましい。グラフト変性量につ
いて述べた理由と同様、グラフト単量体の割合が2重量
部未満では、グラフト変性量が不足し、配向複屈折値が
低下しないという傾向にある。他方、グラフト単量体の
割合が100重量部を越えると、グラフト変性量が飽和
値に達するとともに、グラフト単量体自体の重合量(グ
ラフト単量体の遊離単独重合体の量)が増大し、不経済
となる傾向にある。グラフト単量体は、ノルボルネン系
樹脂100重量部に対して5〜50重量部の割合で使用
することがより好ましい。
【0027】本発明に使用するラジカル重合開始剤は、
10時間半減期分解温度が好ましくは40〜170℃、
より好ましくは60〜130℃のものである。ここで、
10時間半減期分解温度とは、ラジカル重合開始剤をト
ルエンまたはベンゼン1L中にラジカル重合開始剤を
0.05または0.1mol/Lの濃度で溶解したトル
エンまたはベンゼン溶液を一定温度で加熱して10時間
経過した時のラジカル重合開始剤の分解率が50%とな
るその温度である。
【0028】そのようなラジカル重合開始剤としては、
ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プ
ロピルパーオキシジカーボネート、ジミリスチルパーオ
キシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオ
キシジカーボネート、ジ(メトキシイソプロピル)パー
オキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パー
オキシジカーボネート、t−ヘキシルパーオキシネオデ
カノエート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パ
ーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデ
カノエート、t−ヘキシルパーオキシネオヘキサノエー
ト、t−ブチルパーオキシネオヘキサノエート、2,4
−ジクロロベンゾイルパーオキシド、t−ヘキシルパー
オキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、
3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、オ
クタノイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ク
ミルパーオキシオクトエート、アセチルパーオキシド、
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、m
−トルオイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、
t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス
(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシ
クロヘキサンを好ましく例示することができる。
【0029】本発明において、ラジカル重合開始剤は、
グラフト単量体に対して、0.01〜5重量%の割合で
用いることが好ましい。グラフト単量体の割合が0.0
1重量%未満ではグラフト変性量が十分でなく、他方、
30重量%を越えるとゲル分(架橋生成物)が増大し、
好ましくない。ラジカル重合開始剤は、グラフト単量体
に対して0.05〜1重量%の割合で用いることがより
好ましい。
【0030】本発明において、グラフト化に際し、グラ
フト単量体から作られる枝重合体の分子量調節剤を用い
ることができる。好適な分子量調節剤としては、有機硫
黄化合物を挙げることができる。そのような有機硫黄化
合物の例を挙げると、n−オクチルメルカプタン、n−
ドデシルメルカプタン等の脂肪族メルカプタン、芳香族
メルカプタン、チオグリコール酸およびそのエステル、
エチレンチオグリコール酸およびそのエステル、エチレ
ンチオグリコール等である。これら有機硫黄化合物は単
独で、または2種以上組み合わせて用いることができ
る。分子量調節剤は、ノルボルネン系樹脂100重量部
に対して好ましくは0.001〜5重量部、より好まし
くは0.01〜1重量部の割合で用いることが望まし
い。
【0031】既述のように、本発明のグラフト化は、溶
液重合法、溶融混練重合法または含浸重合法により行う
ことができる。
【0032】まず、溶液重合法は、基本的には、ノルボ
ルネン系樹脂、グラフト単量体およびラジカル重合開始
剤を反応溶媒中に含有する反応溶液をラジカル重合開始
剤の分解開始温度(ラジカル重合開始剤の分解が開始す
る温度)以上の温度で加熱することを含む。
【0033】反応溶液は、反応溶媒中のノルボルネン系
樹脂の溶液にラジカル重合開始剤を添加し、この混合物
をラジカル重合開始剤の分解が実質的に生じない温度で
好ましくは10分〜2時間、より好ましくは10分から
1時間攪拌した後、得られた溶液にグラフト単量体とラ
ジカル重合開始剤の混合物または必要に応じてこれを反
応溶媒に溶かしたものを30分〜5時間かけて、好まし
くは1時間〜3時間かけて添加することにより調製する
ことができる。あるいは、反応溶液は、反応溶媒中にノ
ルボルネン系樹脂、単量体およびラジカル重合開始剤を
加え、この混合物をラジカル重合開始剤の分解が実質的
に生じない温度で攪拌することによっても調製すること
ができる。
【0034】いずれの場合にも、反応溶媒としては、ノ
ルボルネン系樹脂とグラフト単量体を溶解し、かつ所望
のラジカル反応を妨げない溶媒が使用される。そのよう
な反応溶媒の例を挙げると、クロロベンゼン、トルエ
ン、キシレンまたはそれらの2種以上の組み合わせであ
る。また、反応溶液におけるノルボルネン系樹脂の溶媒
に対する濃度は5〜40(w/v)%であることが好ま
しい。ノルボルネン系樹脂の濃度が5(w/v)%未満
では反応速度が低下し、他方、40(w/v)%を越え
ると副生成物であるグラフト単量体の遊離重合体量が増
大する傾向にある。反応溶液におけるノルボルネン系樹
脂の溶媒に対する濃度は、10〜35(w/v)%であ
ることがより好ましい。
【0035】このように反応溶液を調製した後、引き続
き反応溶液を所定の反応温度で、好ましくは3時間〜1
2時間、より好ましくは5時間〜10時間加熱すること
によって所望のグラフト変性ノルボルネン系樹脂を製造
することができる。その場合、グラフト単量体の残存量
に応じてラジカル重合開始剤を追加することもできる。
【0036】溶液重合法におけるグラフト化反応は、好
ましくは、ラジカル重合開始剤の10時間半減期分解温
度よりも5〜40℃高い温度、より好ましくは10〜3
0℃高い温度で行うことが望ましい。反応終了後、反応
液を濃縮するか、またはメタノール、ヘキサン等の貧溶
媒に投入した後、ろ過することにより、目的の樹脂を固
体として取得できる。この樹脂は必要に応じて、室温あ
るいは加温条件下、メタノール、アセトン等の溶媒で洗
浄することにより、未反応グラフト単量体やグラフト単
量体の遊離単独重合体を除去することができる。
【0037】反応溶液の調製、グラフト化反応等の操作
は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ま
しい。
【0038】次に、溶融混練重合法は、無溶媒重合法で
あり、ノルボルネン系樹脂とグラフト単量体とラジカル
重合開始剤とを含む反応混合物を調製し、これをラジカ
ル重合開始剤の分解開始温度以上の温度において溶融混
練することにより行うことができる。反応混合物の調製
は、ラジカル重合開始剤の分解が進行しない温度におい
て、ノルボルネン系樹脂にグラフト単量体とラジカル重
合開始剤を混合することにより行うことが好ましい。溶
融混練重合法における反応時間(溶融混練時間)は、好
ましくは3分〜20分であり、より好ましくは5分〜1
5分である。得られた樹脂は、必要に応じて、室温ある
いは加温条件下、メタノール、アセトン等の溶媒で洗浄
することにより、未反応グラフト単量体やグラフト単量
体の遊離単独重合体を除去することができる。
【0039】最後に、含浸重合法は、ノルボルネン系樹
脂とグラフト単量体とラジカル重合開始剤とを含む水性
懸濁液をラジカル重合開始剤の分解が実質的に起こらな
い条件で加熱してグラフト単量体およびラジカル重合開
始剤をノルボルネン系樹脂に含浸させた後、その水性懸
濁液をラジカル重合開始剤の分解開始温度以上の温度に
供することによって行うことができる。
【0040】上記水性懸濁液は、ノルボルネン系樹脂の
水懸濁液にグラフト単量体とラジカル重合開始剤を加え
ることによって調製することができる。他方、ノルボル
ネン系樹脂の水懸濁液は、水にノルボルネン系樹脂を添
加し、懸濁させることにより調製することができる。な
お、懸濁剤として、例えばポリビニルアルコール、ポリ
ビニルピロリドン、メチルセルロース等の水溶性ポリマ
ー、リン酸カルシウム、酸化マグネシウム等の難水溶性
無機塩を使用することができる。
【0041】水性懸濁液中の反応性成分(ノルボルネン
系樹脂、グラフト単量体およびラジカル重合開始剤)の
総濃度は、水100重量部に対して2〜100重量部で
あることが好ましい。反応性成分の割合が2重量部未満
では反応速度が低下するか又は生産効率が低下する傾向
にあり、他方、反応性成分の割合が100重量部を越え
ると攪拌不良となる傾向にある。水性懸濁液中の反応性
成分の総濃度は、水100重量部に対して10〜100
重量部であることがより好ましい。
【0042】含浸法により得られた樹脂は、必要に応じ
て、室温あるいは加温条件下、メタノール、アセトン等
の溶媒で洗浄することにより、未反応グラフト単量体や
グラフト単量体の遊離単独重合体を除去することができ
る。
【0043】上記含浸操作およびグラフト反応は、窒素
ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0044】なお、水中で安定なグラフト単量体を用い
る場合は、前記の含浸操作の後、溶融混練してもよい。
また、前記の含浸重合を行った後、溶融混してもよい
し、前記の溶液重合を行った後、溶融混練を行ってもよ
い。
【0045】本発明の光学フィルム材料は、上記グラフ
ト変性ノルボルネン系樹脂単独で構成されていてもよい
が、光学フィルム材料の加工温度や用途等の観点から、
光学フィルム材料のガラス転移温度(Tg)を調節する
ために、可塑剤を含むことができる。可塑剤の添加量は
グラフト変性ノルボルネン系樹脂の0.1〜30重量
%、好ましくは1〜20重量%である。可塑剤の例を挙
げると、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル
酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル
酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、
フタル酸n−オクチル、フタル酸ジ−n−デシル、フタ
ル酸ジイソデシル、フタル酸ジ−n−ドデシル、フタル
酸ジイソトリドデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フ
タル酸ブチルベンジル、イソフタル酸ジ2−エチルヘキ
シル等のフタル酸系可塑剤;アジピン酸2−エチルヘキ
シル、アジピン酸ジ−n−デシル、アジピン酸ジイソデ
シル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン
酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等の脂
肪族二塩基酸系可塑剤;リン酸トリブチル、リン酸トリ
−2−エチルヘキシル、リン酸2エチルヘキシル、リン
酸トリクレジル等のリン酸エステル系可塑剤;エポキシ
化大豆油、エポキシ化トール油脂肪酸2−エチルヘキシ
ル等のエポキシ系可塑剤;ステアリン酸ブチル、オレイ
ン酸ブチル等の脂肪酸エステル系可塑剤;エステル基を
含有する高分子可塑剤(例えば、アジピン酸、セバシン
酸、フタル酸等の二塩基酸と1,2−プロピレングリコ
ール、1,3−ブチレングリコール等のグリコールとの
重縮合物)、エーテル基を含有する高分子可塑剤(ポリ
エチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレング
リコールジ安息香酸エステル)、数平均分子量300〜
10000の低分子量ポリスチレン、低分子量ポリ(ス
チレン−アクリロニトリル)、低分子量ポリ(スチレン
−α−メチルスチレン)等の高分子可塑剤等であり、こ
れらは単独あるいは2種以上を混合して使用してもよ
い。
【0046】本発明の光学フィルム材料は、一般に、溶
液キャスト法や溶融成形法によりフィルムに加工するこ
とができる。
【0047】溶液キャスト法は、本発明の光学フィルム
材料を溶解した溶液(キャスト溶液)を剥離性の支持体
上にキャストし、キャストフィルムを乾燥することを含
む。
【0048】本発明の光学フィルム材料を溶解する溶媒
としては、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジ
クロロエタン等のハロアルカン類、テトラヒドロフラ
ン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン等の環
状エーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、シクロヘキサ
ン、エチルシクロヘキサン、シクロペンタン等の環状脂
肪族炭化水素類、トルエン、キシレン、クロロベンゼン
等の芳香族溶媒を用いることができる。このうち、溶解
性とドープ安定性の面から、シクロヘキサノン、シクロ
ヘキサン、トルエン、キシレン等が特に好ましい。溶媒
は、単独で使用してもよいし、2種以上混合して用いて
もよい。
【0049】キャスト溶液中のグラフト変性ノルボルネ
ン系樹脂(以下、単に、樹脂という)の濃度が低すぎる
と、キャスト溶液の粘度が低下し、フィルムの厚みの調
整が困難となる。他方、樹脂濃度が高すぎると、キャス
ト溶液の粘度が増大し過ぎる結果、成膜性が悪くなり、
また、外観のよいフィルムが得られない。樹脂濃度は、
好ましくは10〜50重量%、より好ましくは20〜4
5重量%である。
【0050】キャスト溶液をキャストする手法は、特に
限定されず、一般の溶液キャスト法を用いることができ
る。具体的には、キャスト溶液をバーコーター、Tダ
イ、バー付きTダイ、ドクターナイフ、メイア・バー、
ロール・コート、ダイ・コート等を用いて、ポリエチレ
ンテレフタレート等の耐熱材料、スチールベルト、金属
箔等の平板またはロール上にキャストする方法を採用す
ることができる。
【0051】溶液キャスト法により作製したフィルム
は、残留溶媒濃度ができるだけ低いことが望ましい。残
留溶媒濃度が高すぎるとフィルムの耐熱性が低下するば
かりでなく、高温環境下での使用において、残留溶媒が
蒸発し、周囲に悪影響を与えたり、フィルム変形の原因
となったりすることがある。溶液キャスト法により作製
したフィルムは、残留溶媒濃度が2重量%以下となるま
で乾燥することが好ましい。
【0052】溶液キャスト法により得られたフィルム
は、2段階で乾燥することが好ましい。まず、第1段階
の乾燥として、平板またはロール上で作製されたままの
フィルムを残留溶媒濃度が10重量%以下、好ましくは
5重量%以下になるまで乾燥する。この場合、乾燥温度
が高すぎると、溶媒の揮発に際し、フィルムが発泡する
恐れがある。この第1段階の乾燥は、好ましくは30〜
100℃、より好ましくは40〜80℃の温度範囲で行
うことが望ましい。
【0053】次いで、平板またはロールからフィルムを
剥離し、第2段階の乾燥として、残留溶媒濃度が2重量
%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.
5重量%以下になるまで乾燥する。この場合、乾燥温度
が低すぎると乾燥が進まず、温度が高すぎると、フィル
ムが発泡する恐れがある。この第2段階の乾燥は、第1
段階の乾燥が終了したフィルムを好ましくは室温から6
0℃以上、より好ましくは70℃から光学フィルム材料
のガラス転移温度(Tg)までの温度範囲に昇温させて
行うことが望ましい。
【0054】なお、第1段階の乾燥を行った後、フィル
ムを平板またはロールから剥離する前に、フィルムを一
旦冷却してもよい。
【0055】次に、溶融成形法でフィルムを作製する場
合は、Tダイを用いた方法やインフレーション法等の溶
融押出法、カレンダー法、熱プレス法、射出成形法等そ
れ自体既知の方法を採用することができる。とりわけ、
フィルムの厚みムラが小さく、10〜500μm程度の
フィルム厚に加工し易く、かつ、フィルムのリターデー
ションの絶対値およびそのバラツキを小さくできるTダ
イを用いた溶融押出法が好ましい。
【0056】溶融成形法の条件としては、同程度のガラ
ス転移温度(Tg)を有する光学材料に用いられる一般
的な条件と同様の条件を用いることができる。例えば、
Tダイを用いる溶融押出法では、光学フィルム材料の温
度を240〜300℃程度に設定し、引き取りロールの
温度を100〜150℃程度の比較的高温に設定する
等、フィルムを徐冷できる条件を選択することが好まし
い。また、ダイライン等の表面の欠陥を小さくするため
には、ダイには滞留部が極力少なくなるような構造が必
要であり、ダイの内部やリップにキズ等が極力無いもの
を用いることが好ましい。
【0057】本発明の光学フィルムは、その厚みが薄す
ぎると、強度が低下し、逆に、その厚みが厚すぎると、
透明性が劣り、外観性が低下し、さらに溶液キャスト法
でフィルムを作製した場合には乾燥が困難となる恐れが
ある。本発明の光学フィルムは、通常5〜500μm、
好ましくは10〜150μm、さらに好ましくは20〜
100μmの厚みを有することが望ましい。
【0058】また、本発明の光学フィルムは、その厚み
ムラが大きいと、液晶ディスプレイ用の光学フィルムと
して用いた場合、画像の歪み等の原因となり、好ましく
ない。本発明の光学フィルムの厚みムラは、全面におい
て平均厚みの±5%以内、好ましくは±3%以内、より
好ましくは±2%以内であることが望ましい。
【0059】本発明の光学フィルムは、通常80%以
上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上
の光線透過率を示すことが望ましい。
【0060】さらに、本発明の光学フィルムの耐熱性
は、溶液キャスト法で作製した場合には、グラフト変性
ノルボルネン系樹脂の種類と用いたグラフト単量体の種
類、溶媒の種類、残留溶媒濃度によって決定される。既
述のように、残留溶媒濃度が高いほど、耐熱性は低下す
る。本発明のグラフト変性ノルボルネン系樹脂は、ガラ
ス転移温度(Tg)が通常90℃以上、好ましくは11
0℃以上、特に好ましくは120℃以上であることが望
ましい。
【0061】溶液キャスト法や溶融成形法で得られた光
学フィルム(原反フィルム)は、これを延伸加工して延
伸フィルムとすることができる。一般的には、原反フィ
ルムを一軸あるいは二軸に加熱延伸することができる。
本発明の原反フィルムは配向複屈折性が十分小さいた
め、延伸加工しても問題となるようなリターデーション
の発生を抑制できるため、延伸加工によりフィルムの厚
みムラを低減できることに加え、生産性を大幅に向上す
ることが可能になる。
【0062】一軸延伸法としては、テンター法による横
一軸延伸、ロール間による縦一軸延伸、ロール間圧延法
等の任意の方法を用いることができる。その他、必要に
より湿式延伸法を採用することもできる。
【0063】延伸温度は、光学フィルム材料のガラス転
移温度(Tg)に依存し、好ましくは(Tg−30)℃
〜(Tg+30)℃の温度範囲が採用される。延伸温度
がこの範囲より低いと透明性が低下し、この範囲より高
いと均一な厚み制御が困難になる傾向となる。延伸温度
は、(Tg−20)℃〜(Tg+20)℃の範囲である
ことがより好ましい。
【0064】本発明の原反フィルムは配向複屈折性が十
分小さいので、延伸加工してもリターデーションの発生
を抑制できる。従って、延伸倍率は、延伸フィルムの所
望のリターデーション値に応じて選択することができ
る。延伸倍率は、0.2倍の低倍率から5倍の高倍率ま
で、好ましくは0.5倍から3倍までであることが望ま
しい。
【0065】本発明の光学フィルムの好ましいリターデ
ーションの範囲は、用途により適宜選択することができ
る。一般には、偏光子保護フィルム、透明導電フィルム
のフィルム基体、液晶表示装置用基板として用いる場合
は、20nm以下、好ましくは10nm以下、より好ま
しくは5nm以下のリターデーション値が選択される。
必要とされるリターデーション値は、延伸温度や延伸倍
率を調節することにより得ることができる。
【0066】さらに、本発明の光学フィルムは、20×
10−13cm/dyne以下の光弾性係数を示すこ
とが応力複屈折値を小さくするために好ましい。光弾性
係数がこの値を超えると、液晶ディスプレイに組み込ん
だ場合、応力による応力複屈折が発生し、コントラスト
の低下や表示ムラとなり、好ましくない傾向となる。
【0067】本発明の光学フィルムは、液晶ディスプレ
イ用偏光子保護フィルムとして好適に用いることができ
る。偏光板は、偏光子の少なくとも片面に保護フィルム
を保護層として積層したものである。偏光子は、通常、
ヨウ素を吸着させたポリビニルアルコールフィルムから
なる。保護フィルムを偏光子の片面のみに積層する場合
は、液晶ディスプレイの周囲の湿度から偏光子を保護す
るため、保護フィルムが偏光子より外側になるように液
晶ディスプレイに配置する必要がある。液晶ディスプレ
イの製造前の偏光フィルムの品質維持や、製造工程にお
ける偏光子の吸湿防止、加熱等による偏光度低下の防
止、傷からの保護のために、保護層を偏光子の両面に積
層することが好ましい。なお、両面に積層する場合、両
方の保護フィルムが本発明の光学フィルムからなること
が好ましいが、一方の面には、従来公知の材料からなる
保護フィルムを設けてもよい。
【0068】本発明の光学フィルムの偏光子への積層
は、通常、粘着剤や接着剤を用い、その粘着剤や接着剤
に適した接着方法で行うことができる。
【0069】粘着剤としては、透明性に優れ、複屈折性
等が小さく、薄い層として用いても充分に粘着力を発揮
できるものが好ましい。例えば、天然ゴム、合成ゴム/
エラストマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ
ビニルアルキルエーテル、ポリアクリレート、変性ポリ
オレフィン系樹脂系粘着剤等や、これらにイソシアネー
ト等の硬化剤を添加した硬化型粘着剤が挙げられる。特
に、ポリオレフィンフォームやポリエステルフィルムの
接着等に用いられる粘着剤の内で硬化型粘着剤が好まし
い。
【0070】また、接着剤としては、ポリエチレンやポ
リプロピレン等の接着に用いられる接着剤を用いること
ができる。例えば、ポリウレタン系樹脂溶液とポリイソ
シアネート樹脂溶液を混合するドライラミネート用接着
剤、スチレン−ブタジエンゴム系接着剤、エポキシ系二
液硬化型接着剤、例えば、エポキシ樹脂とポリチオール
の二液からなるもの、エポキシ樹脂とポリアミドの二液
からなるもの等を用いることができ、特に溶媒型接着
剤、エポキシ系二液硬化型接着剤が好ましい。接着剤に
よっては、適当な接着用プライマーを用いることで接着
力を向上させることができるものがあり、そのような接
着剤を用いる場合は接着プライマーを用いることが好ま
しい。
【0071】また、本発明の光学フィルムは液晶表示装
置用基板やタッチパネルの可撓性基板としても好適に用
いることができる。
【0072】本発明の光学フィルムを基板として用いた
液晶表示装置は、使用環境下での偏光板の収縮により基
板に応力がかかっても、リターデーションを生じること
がないため、表示品位を損なうことがないという特徴を
有する。そのような基板として用いる場合、フィルム基
板のリターデーションは、好ましくは20nm以下、よ
り好ましくは10nm以下であり、そのリターデーショ
ンのバラツキは10%以下が好ましく、また、その吸収
軸の方向のバラツキは±5°の範囲にあることが望まし
い。また、表示像が視野角度により変化することを防ぐ
ため、光学フィルムの二軸性は小さく保つことが好まし
い。フィルムの面方向から測定したリターデーションR
(0)と、光軸に対して直交方向へ45°傾けて測定し
たリターデーション(R(45))の比(R(45)/
R(0))によりフィルムの二軸性を表すことができ
る。液晶表示装置用基板として用いる本発明の光学フィ
ルムのR(45)/R(0)は、好ましくは5以下、よ
り好ましくは3以下、さらに好ましくは1.5以下であ
る。
【0073】液晶表示装置用基板として用いる場合、一
般には、本発明の光学フィルムには透明電極層が形成さ
れる。透明電極層は、本発明の光学フィルム基板上に直
接または少なくとも一方の表面に、酸素や水蒸気に対す
るバリヤー性を付与するためのガスバリヤー層等を介し
て本発明の光学フィルムに設けることができる。ガスバ
リヤー層としては、有機系や無機系等各種ガスバリヤー
層を用いることができる。
【0074】有機系ガスバリヤー層としては、ポリビニ
ルアルコール、ビニールアルコール−エチレン共重合体
等のビニールアルコール系重合体、ポリアクリロニトリ
ル、アクリロニトリルーアクリル酸メチル共重合体やア
クリロニトリル−スチレン共重合体等のアクリロニトリ
ル系重合体、あるいはポリ塩化ビニリデン等の有機高分
子材料からなる層を用いることができる。これらの材料
は、本発明の光学フィルム上にグラビアコーターやリバ
ースコーターを用いて湿式コーティング法により成膜を
行いガスバリヤー層とすることができる。ポリビニルア
ルコール系のバリヤー層を用いる場合、吸湿により酸素
バリヤー特性が急激に低下するため、その上に水蒸気バ
リヤー層を形成することが好ましい。
【0075】無機系ガスバリヤー層としては、二酸化ケ
イ素、または二酸化ケイ素を主成分として含み、かつ一
酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の他の金属酸化物の1
種以上を含む化合物、および/または、窒化ケイ素、ま
たは窒化ケイ素を主成分として含み、かつ窒化アルミニ
ウム等の他の金属窒化物の1種以上を含む化合物を用い
ることができ、この化合物の具体例としては、例えばS
iO、SiAlN等が挙げられる。前記無機系バリヤ
ー薄膜、すなわちケイ素酸化物を主体とした金属酸化物
やケイ素窒化物を主体とした金属窒化物のうちでもSi
、特にxの値が1.3〜1.8、好ましくは1.5
となるものが、酸素ガスおよび水蒸気バリヤー性の点か
ら好ましい。これら無機系バリヤー層は、スパッタや電
子ビーム蒸着法のような物理的気相堆積法(PVD)の
ほか、化学的気相堆積法(CVD)によって成膜するこ
ともできる。また、ポリシラザン等の有機金属化合物層
を本発明の光学フィルム上に形成させた後、これを熱分
解することにより形成させることもできる。
【0076】これらバリヤー層は、単層であっても、複
数層であってもよい。特に、有機系バリヤー層と無機系
バリヤー層との併用は、バリヤー層のクラックピンホー
ルに対する有機系バリヤー層の優れた耐性と、特に水蒸
気に対する無機バリヤー層の優れた耐性が相乗効果を発
揮するため、特に好ましい組み合わせである。なかで
も、ポリビニルアルコール系のバリヤー層と、電子ビー
ム蒸着法により成膜したシリカまたはアルミナのバリヤ
ー層との組み合わせが特性上最も好ましい。この場合、
各層の密着性を向上する目的でそれぞれの層の間に、ア
ンカーコート層を設けることができる。アンカーコート
層として、ポリジメチルシロキサン等のシロキサン系硬
化物や、ウレタン系、エポキシ系の硬化物層が好適に用
いられる。これら硬化物層を形成させる方法は特に限定
されず、熱硬化法、紫外線硬化法、電子ビーム硬化法を
用いることができる。有機バリヤー層上に硬化物層上を
形成し、その上に無機系バリヤー層を形成することは、
有機バリヤー層を外界から保護するという点で好まし
い。このように硬化物上に無機バリヤー層を形成する場
合、無機バリヤー層は、その成膜中に該層を形成させる
基材からの低分子量物が揮発すると形成される膜質が好
ましくない変化を受け、所望する特性が得られない場合
がある。硬化物を硬化させる方法として、電子ビーム硬
化法は、高温に加熱することなく未硬化物を少なくする
ことができるという特徴を有しており、好ましい硬化方
法である。
【0077】なお、ガスバリヤー層を形成する前に、本
発明の光学フィルム基板との密着性を向上させるため
に、フィルム基板上に上記のようなアンカーコート層を
設けることができる。
【0078】透明電極層は、透明電極材料、特に透明導
電性酸化物から形成される。透明電極層は、目的によ
り、本発明の光学フィルムに直接形成されることもあれ
ば、前記バリヤー層上に形成されることもあり、また、
バリヤー層上に密着性改善のための中間層を設けその上
に形成されることもある。透明導電層は、液晶表示装置
の電極として用いる場合、厚み20〜400nm程度、
好ましくは50〜200nm程度、さらに好ましくは8
0〜150nm、光線透過率80%以上、好ましくは8
5%以上、フィルム抵抗100Ω/□以下、好ましくは
50Ω/□以下の透明導電性薄膜からなることが望まし
い。透明導電性薄膜の厚みが60〜150nm程度の範
囲内の場合には、フィルム抵抗および光線透過率の双方
を目的の範囲内に設定することが容易となる。また、透
明導電性薄膜の光線透過率が85%程度以上の場合に
は、透明導電性フィルムの透明性も良好となる。
【0079】このような観点から、透明電極層は、イン
ジウム酸化物を主体とする金属酸化物により形成するこ
とが特に好ましい。このインジウム酸化物を主体とする
金属酸化物とは、酸化インジウム、または酸化インジウ
ムを主成分(具体的には80%(重量%、以下同様)以
上、さらに好ましくは90〜95%)として含み、かつ
酸化スズ、酸化カドミウム等の他の金属酸化物の1種以
上を20%以下、さらに好ましくは5〜10%含む化合
物である。この化合物の具体例としては、例えばIT
O、CdIn等を挙げることができる。このイン
ジウム酸化物を主体とした金属酸化物のうちでもITO
(インジウムスズ酸化物)、とくに金属換算でスズが1
0%以下、好ましくは5〜10%のものが、高い透明性
を維持しつつフィルム抵抗を下げる点から好ましい。
【0080】これら透明電極層は、無機系ガスバリヤー
と同じく、PVDやCVDの他、有機金属の熱分解法に
よっても形成させることができる。
【0081】また、上記ガスバリヤー層、透明導電層に
加えて、液晶表示装置のカラー化を目的として、色素等
を用いたカラーフィルター層を設けることもできる。
【0082】このようにして得られた透明導電フィルム
を液晶表示装置用の電極基板として用い、公知の方法に
より、液晶表示装置を組み立てることができる。
【0083】さらに、本発明の光学フィルムは抵抗膜式
タッチパネル用基板としても、好適に用いることができ
る。特開平3−121523号公報や、月刊ディスプレ
ィ1999年1月号67頁((株)テクノタイムズ社
刊)にみられるような、インナータイプ型のタッチパネ
ルには、光学的特性の制御されたフィルムが必要とさ
れ、ビスフェノールAタイプのポリカーボネートを用い
ることが試みられている。このようなタッチパネルの場
合、偏光板とタッチパネル用基板が貼合されて用いられ
るが、偏光板の収縮による応力で基板の光学的特性が変
化し、表示像に好ましくない影響を与える。しかし、本
発明の光学フィルムを用いることにより、光学的特性の
安定したタッチパネル用基板を得ることができる。
【0084】タッチパネル用基板用途においても、本発
明の光学フィルムは液晶表示装置用基板と同様に透明導
電層を表面に形成する。タッチパネル用基板には、必要
により、液晶表示装置用と同様の水蒸気バリヤー層を形
成することも、タッチパネル内での好ましくない結露を
防止するためには有効である。
【0085】タッチパネル用基板に形成する透明導電層
のフィルム抵抗値は、好ましくは200〜2000Ω/
□、より好ましくは、300〜1000Ω/□である。
また、対向する表面との接触による好ましくない光干渉
模様(ニュートンリング)を防止する目的で、透明導電
層を設ける表面は、フィラーを含有するコーティング処
理や磨耗処理により予め粗面化しておくことも可能であ
る。タチパネル用基板の光線透過率を向上させるため、
透明導電層での光反射を防止する目的で、透明導電層の
下に屈折率の異なる層を多層設けて反射率を低減するこ
ともできる。酸化インジウムを主体とした透明導電層の
下層に、シリコンの酸化物を主体とした低屈折率の層を
形成させ、さらに、その下層に、チタンやジルコニウム
の酸化物を主体とした高屈折率層を設けた、三層からな
る薄膜は、好ましい組み合わせである。
【0086】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。
【0087】以下の例において、グラフト変性ノルボル
ネン系樹脂や光学フィルムの各物性値は以下のようにし
て測定した。 グラフト変性量:グラフト変性量は次式によって求め
た。
【0088】グラフト変性量(%)=(反応後の乾燥樹
脂重量−原料樹脂重量)×100/原料樹脂重量。
【0089】厚み(D):フィルムから10mm×1
50mmのサイズで試験片を切り出した。温度20℃±
2℃、湿度60%±5%において、試験片の5ヶ所をミ
ツトヨ製デジマティックインジケーターを用いて測定
し、その平均値をフィルムの厚みとした。
【0090】リターデーション:温度20℃±2℃、
湿度60%±5%において、王子計測製KOBRA 2
1−SDHを用いて、の試験片についてリターデーシ
ョンRを測定した。
【0091】複屈折値:リターデーション(R)を厚
み(D)で割った値。すなわち、複屈折値=R/D 光弾性係数:における各試験片について、温度20
℃±2℃、湿度60%±5%において、王子計測製KO
BRA 21−SDHを用いて、0.5kgの荷重をか
けてリターデーションR(w)を測定し、次式より光弾
性係数を算出した。
【0092】光弾性係数(cm/dyne)=(R
(w)−R/D)×(0.5×9.8×10/(50
×10−1×D)。
【0093】全光線透過率(TT)とヘイズ(H):
フィルムから50mm×50mmのサイズで試験片を切
り出し、日本電色工業製濁度計300Aを用いて、温度
20℃±2℃、湿度60%±5%において測定した。
【0094】樹脂の製造例1:シクロヘキシルメタクリ
レートグラフト変性ノルボルネン系樹脂(溶液重合法) キシレン(156g)にゼオノア1420R(70
g)、シクロヘキシルメタクリレート(14g)および
パーヘキサ3M(日本油脂製1,1−ビス(t−ブチル
パーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン;0.84g)を溶解し、オートクレーブ中150℃
で3時間反応させて所望のシクロヘキシルメタクリレー
トグラフト変性ノルボルネン系樹脂を得た。この樹脂の
グラフト変性量は20%であった。
【0095】樹脂の製造例2:シクロヘキシルメタクリ
レートグラフト変性ノルボルネン系樹脂(溶融混練法) ゼオノア1420R(日本ゼオン製、30g)にシクロ
ヘキシルメタクリレート(2.5g)およびパーヘキサ
3M(0.325g)をドライブレンドし、プラストミ
ルを用いて50rpmの回転速度の下、200℃で、5
分間混練して所望のシクロヘキシルメタクリレートグラ
フト変性ノルボルネン系樹脂を得た。得られた樹脂のグ
ラフト変性量は6%であった。
【0096】樹脂の製造例3:シクロヘキシルメタクリ
レートグラフト変性ノルボルネン系樹脂(溶融混練法) ゼオノア1420R(日本ゼオン製、30g)にシクロ
ヘキシルメタクリレート(5.0g)およびパーヘキサ
3M(0.350g)をドライブレンドし、プラストミ
ルを用いて50rpmの回転速度の下、200℃で、5
分間混練して所望のシクロヘキシルメタクリレートグラ
フト変性ノルボルネン系樹脂を得た。得られた樹脂のグ
ラフト変性量は14%であった。
【0097】樹脂の製造例4:スチレングラフト変性ノ
ルボルネン系樹脂(溶融混練法) ゼオノア1420R(日本ゼオン製、30g)にスチレ
ン(5.0g)およびパーヘキサ3M(0.350g)
をドライブレンドし、プラストミルを用いて50rpm
の回転速度の下、200℃で、5分間混練して所望のス
チレングラフト変性ノルボルネン系樹脂を得た。得られ
た樹脂のグラフト変性量は12%であった。
【0098】比較例1 ゼオノア1420R(日本ゼオン製)を35重量%の濃
度でキシレンに溶解し、キシレン溶液を調製した。この
キシレン溶液をバーコーターを用いてPET(ポリエチ
レンテレフタレート)基板上にキャストした後、20℃
で5分、90℃で15分、175℃で20分乾燥して厚
み50μmの未延伸フィルムを得た。この未延伸フィル
ムの物性値を下記表1に示す。
【0099】比較例2 比較例1で得た未延伸フィルムを130℃で1.5倍に
1軸延伸して延伸フィルムを得た。得られたフィルムの
物性値を下記表1に示す。
【0100】比較例3 比較例1で得た未延伸フィルムを140℃で1.5倍に
1軸延伸して延伸フィルムを得た。得られたフィルムの
物性値を下記表1に示す。
【0101】実施例1 製造例1で得た樹脂を35重量%の濃度でキシレンに溶
解した。このキシレン溶液をバーコーターを用いてPE
T基板上にキャストした後、20℃で5分、90℃で1
5分、175℃で20分乾燥して未延伸フィルムを得
た。このフィルムの物性値を表1に示す。
【0102】実施例2 実施例1で得た未延伸フィルムを130℃で1.5倍に
1軸延伸して延伸フィルムを得た。得られたフィルムの
物性値を下記表1に示す。
【0103】実施例3 実施例1で得た未延伸フィルムを140℃で1.5倍に
1軸延伸して延伸フィルムを得た。得られたフィルムの
物性値を下記表1に示す。
【0104】実施例4 製造例2で得た樹脂を35重量%の濃度でキシレンに溶
解した。このキシレン溶液をバーコーターを用いてPE
T基板上にキャストした後、20℃で5分、90℃で1
5分、175℃で20分乾燥して未延伸フィルムを得
た。
【0105】実施例5 実施例4で得た未延伸フィルムを130℃で1.5倍に
1軸延伸して延伸フィルムを得た。得られたフィルムの
物性値を下記表1に示す。
【0106】実施例6 実施例4で得た未延伸フィルムを140℃で1.5倍に
1軸延伸して延伸フィルムを得た。得られたフィルムの
物性値を下記表1に示す。
【0107】実施例7 製造例3で得た樹脂を35重量%の濃度でキシレンに溶
解した。このキシレン溶液をバーコーターを用いてPE
T基板上にキャストした後、20℃で5分、90℃で1
5分、175℃で20分乾燥して未延伸フィルムを得
た。得られたフィルムの物性値を下記表1に示す。
【0108】実施例8 実施例7で得た未延伸フィルムを130℃で1.5倍に
1軸延伸して延伸フィルムを得た。得られたフィルムの
物性値を下記表1に示す。
【0109】実施例9 実施例7で得た未延伸フィルムを140℃で1.5倍に
1軸延伸して延伸フィルムを得た。得られたフィルムの
物性値を下記表1に示す。
【0110】実施例10 製造例4で得た樹脂を35重量%の濃度でキシレンに溶
解した。このキシレン溶液をバーコーターを用いてPE
T基板上にキャストした後20℃で5分、90℃で15
分、175℃で20分乾燥して未延伸フィルムを得た。
【0111】実施例11 実施例10で得た未延伸フィルムを130℃で1.5倍
に1軸延伸して延伸フィルムを得た。得られたフィルム
の物性値を下記表1に示す。
【0112】実施例12 実施例10で得た未延伸フィルムを140℃で1.5倍
に1軸延伸して延伸フィルムを得た。得られたフィルム
の物性値を下記表1に示す。
【0113】
【表1】
【0114】実施例13 ヨウ素を吸着させて延伸したPVA(ポリビニルアルコ
ール)製偏光子(厚み約100μm)の両面に、スチレ
ン−ブタジエンゴム系接着剤(Scotch3M用途別
接着剤プラスチック、住友スリーエム株式会社)を用い
て実施例4で得た未延伸フィルムを保護層として積層し
た。得られた偏光板を一方の保護層に厚み約8μmの粘
着剤(ダイアボンドDA753、ノガワケミカル製)を
塗布して、厚み1.2mmのガラス基板に積層した。こ
の試料を湿度90%、温度80℃において500時間放
置したが、偏光度に異常は認められなかった。
【0115】比較例4 実施例13で用いたのと同じ偏光子の両面にドライラミ
ネート用接着剤(AD−329A/B、ノガワケミカル
製)を用いて厚み80μmのTACフィルムを保護層と
して積層した。得られた偏光板をその片面に厚み約8μ
mの粘着剤(ダイアボンドDA753)を介して、厚み
1.2mmのガラス基板に積層した。この試料を湿度9
0%、温度80℃において500時間放置したところ、
偏光度が50%以下に低下した。
【0116】実施例14 製造例3で得た樹脂を用いて連続的な溶剤キャスティン
グ法によりリターデーション5nm、遅相軸のバラツキ
±5°以下のロールフィルムを作製した。このフィルム
上にアクリル系UV硬化型ハードコートをコーティング
した後、200×660mmのターゲットを3台備えた
マグネトロンスパッタ装置を用いて、以下の条件で、初
めにフィルムの片面にガスバリヤー層を成膜した後、フ
ィルムの他方の面にガスバリヤー層と透明導電層を順次
形成した。
【0117】<ガスバリヤー層の形成条件> ターゲット:SiO スパッタガス:アルゴン(流量100sccm)+酸素
(流量1sccm)総ガス圧2.0mTorr パワー:RF3kW(2.27W/cm) スパッタ処理時間:3分 膜厚:45nm <透明導電層の形成条件> ターゲット:酸化スズ含有率10%のITO スパッタガス:アルゴン(流量350sccm)+酸素
(流量3.5sccm)総ガス圧5mTorr パワー:DC5.0A、250V(0.96W/cm) スパッタ処理時間:3分 膜厚:100nm。
【0118】得られた透明導電フィルムは、シート抵抗
50Ω/□、光線透過率80%、酸素ガスバリヤー性
0.5cc/m/日、水蒸気バリヤー性0.1g/m
/日を示した。この透明導電フィルムを2枚用いて、透
明電極層同士が離間対向するように配置し、公知の方法
にて液晶表示装置を組み立てた。
【0119】実施例15 実施例4で得た未延伸フィルム上にアクリル系UV硬化
型ハードコートをコーティングした後、DCマグネトロ
ンスパッター法により、ITOの成膜を行った。ITO
の膜厚は約20nm、シート抵抗は450±10Ω/□
であった。この透明導電膜付きフィルム(位相差板)に
電極として端部に銀電極を印刷した。この電極付き位相
差板と別に用意した銀電極を印刷した透明導電ガラスと
を導電膜同士が離間対向するように5mmピッチのスペ
ーサーを用いて配置し、両基板の周囲に絶縁性接着材を
塗布して接着して透明タッチパネルを作製した。バック
ライト付のTFTカラーTN液晶表示装置のバックライ
トと反対側(観察側)の偏光板と液晶セルの間に、この
タッチパネルを配置し、ペンによる押圧が液晶セルに伝
搬しないようこのタッチパネルと液晶表示装置の間に
0.5mm程度の空隙を存在させて周囲にギャップ剤入
りの粘着剤を塗布し接着し、透明タッチパネル付液晶表
示装置を作製した。
【0120】
【発明の効果】本発明によれば、低複屈折、透明性にす
ぐれた光学フィルムが提供される。本発明の光学フィル
ムは、配向(延伸)後でもリターデーションが発生しに
くいので、延伸加工や溶融成形加工により工業的に有利
に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/1333 500 G02F 1/1333 500 4J026 1/1335 510 1/1335 510 // B29K 45:00 B29K 45:00 B29L 7:00 B29L 7:00 11:00 11:00 C08L 51:00 C08L 51:00 (72)発明者 下川 稔 兵庫県神戸市兵庫区吉田町1−2−80 鐘 淵化学工業株式会社内 (72)発明者 田中 克幸 兵庫県神戸市兵庫区吉田町1−2−80 鐘 淵化学工業株式会社内 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA25 BA27 BB11 BB22 BB43 BB51 BC03 BC22 2H090 JA07 JB03 JD05 JD11 JD12 KA05 LA01 LA09 LA15 2H091 FA08X FA08Z FB02 FB12 FC08 FC09 FD15 GA01 GA02 GA16 HA07 KA02 LA15 4F071 AA39 AA69 AF35Y AH16 BA02 BB02 BB07 BC01 4F210 AA12G AA13G AA21G AG01 AH73 QC01 QG01 QG18 4J026 AA64 AB46 BA27 DB02 DB05 DB13 GA01

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノルボルネン系樹脂を該ノルボルネン系
    樹脂の示す固有複屈折値の正負符号と反対の正負符号の
    固有複屈折値を示す重合体を与えるグラフト単量体でグ
    ラフト変性させた低複屈折グラフト変性ノルボルネン系
    樹脂を含む光学フィルム材料からなる光学フィルム。
  2. 【請求項2】 ノルボルネン系樹脂が正の固有複屈折値
    を示し、グラフト単量体により与えられる重合体が負の
    固有複屈折値を示す請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 【請求項3】 グラフト単量体が、シクロヘキシルメタ
    クリレート、シクロヘキシルアクリレートおよびスチレ
    ンからなる群の中から選ばれる1種または2種以上であ
    る請求項2に記載の光学フィルム。
  4. 【請求項4】 グラフト変性ノルボルネン系樹脂が、こ
    れをフィルムとし、該フィルムを1.5倍に延伸した後
    に絶対値として4×10−3未満の配向複屈折値を示す
    請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光学フィル
    ム。
  5. 【請求項5】 延伸された形態にある請求項1ないし4
    のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  6. 【請求項6】 20×10−13cm/dyne以下
    の光弾性係数を示す請求項1ないし5のいずれか1項に
    記載の光学フィルム。
  7. 【請求項7】 20nm以下のリターデーション値を示
    す請求項1ないし6のいずれか1項に記載の光学フィル
    ム。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7記載の光学フィルムからな
    る偏光子保護フィルム。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の偏光子保護フィルムに
    より保護された偏光子からなる偏光板。
  10. 【請求項10】 請求項1〜7記載の光学フィルムの少
    なくとも一方の表面に透明電極層を設けたことを特徴と
    する透明導電フィルム。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の透明導電フィルムを
    電極基板として用いた液晶表示装置。
  12. 【請求項12】 請求項10記載の透明導電フィルムを
    電極基板として用いたタッチパネル。
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