JP2001316335A - 脂環基含有エステル化合物及びその製造方法 - Google Patents

脂環基含有エステル化合物及びその製造方法

Info

Publication number
JP2001316335A
JP2001316335A JP2001089502A JP2001089502A JP2001316335A JP 2001316335 A JP2001316335 A JP 2001316335A JP 2001089502 A JP2001089502 A JP 2001089502A JP 2001089502 A JP2001089502 A JP 2001089502A JP 2001316335 A JP2001316335 A JP 2001316335A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
compound
alicyclic
reaction
acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001089502A
Other languages
English (en)
Inventor
Akiyoshi Shimoda
晃義 下田
Hideki Date
英城 伊達
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2001089502A priority Critical patent/JP2001316335A/ja
Publication of JP2001316335A publication Critical patent/JP2001316335A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、耐候性、耐熱性、及び耐水性
等に優れる硬化物を与える各種架橋剤として、また有機
リン化合物を難燃剤として有する樹脂の安定剤として用
いることがでる、新規な特定構造を有する脂環基含有エ
ステル化合物、及びその製造方法を提供することにあ
る。 【解決手段】 下記一般式(1)で表される脂環基含有
エステル化合物。 【化1】 (式中、xは1又は2から選ばれる整数を表す。また、
bは0又は1を表す。また、A、D及びEはそれぞれ独
立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数12以下の置換基
を有してもよいアルキル基、又はアルコキシル基を表
す。また、Xは下記一般式(2)で表される不飽和脂環
式エステル基を表す。また、Bは水素原子、ハロゲン原
子、炭素数12以下の置換基を有してもよいアルキル
基、アルコキシル基、またはアリルエステル基を表
す。) 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、不飽和脂環基を有
する脂環基含有エステル化合物に関する。さらに詳しく
は、耐候性、耐水性、及び耐熱性に優れた硬化物を与え
るための各種架橋構造形成剤や、樹脂安定剤として有用
な脂環式エポキシ化合物を与えるための原料として好適
に用いることができる。不飽和脂環基を有する脂環基含
有エステル化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電気絶縁材、接着剤、各種注
型成形材、塗料等に用いられる架橋構造形成剤として、
熱や光で架橋反応を起こす反応性官能基を有する化合物
が広く用いられており、近年、その種類及び用途はさら
に拡大の傾向にある。一般に、これら架橋構造形成剤
は、反応する硬化剤等との架橋反応時に副成物がでない
付加反応を行うものが好ましく、且つその使用前におい
ては一定の保存安定性を有する架橋構造形成剤が必要と
されている。これら架橋構造形成剤としては、例えば、
グリシジル基等のエポキシ基や、アリル基等を架橋に関
わる反応性官能基として有している化合物が好ましく、
特に、グリシジル基等のエポキシ基を反応性官能基とし
て有した化合物が広く利用されており、各分野において
さらなる高性能の化合物が望まれている。
【0003】例えば、塗料分野においては、高い耐候性
を有する硬化物を形成する架橋構造形成剤が強く望まれ
ており、また、電気絶縁材分野においては高い熱変形温
度と低い吸水率を有する硬化物を形成する架橋構造形成
剤が望まれている。
【0004】また、近年、グリシジル基等のエポキシ基
を有する化合物は、酸成分を本来含有するかまたは成型
時に酸性分を発生するような熱可塑性樹脂や、酸性分を
有する配合物を含有する熱可塑性樹脂に対して安定化さ
せるための添加剤としても提案されている。例えば、一
般に広く用いられている難燃性が付与されたポリカーボ
ネート樹脂/ABS樹脂からなるアロイは、難燃性を付
与するために難燃剤を配合している。該難燃剤として
は、通常、フェノール系化合物が結合してなる有機リン
化合物が広く用いられている。しかしながら、一般に該
有機リン化合物は、有機リン酸類や、フェノール系化合
物に由来するフェノール系水酸基等の酸性分が含まれて
おり、これら酸性分が前記ポリカーボネート樹脂/AB
S樹脂からなるアロイに対して、例えば、成形加工中に
変色させて外観を損ねる原因となる。また、該酸成分が
上記アロイからなる成形体に含有される場合には、高温
高湿環境下に長時間暴露した場合に、耐衝撃性や破断伸
びが低下する傾向にある。
【0005】上記難燃性ポリカーボネート/ABSアロ
イにグリシジル基等のエポキシ基を有する化合物を添加
剤として用いることにより、該酸性分を安定化させるこ
とができるが、用いられるグリシジル基等のエポキシ基
を有する化合物においても、高い耐候性、耐熱性、及び
耐水性を有している必要がある。さらには、難燃性ポリ
カーボネート/ABSアロイに対する相溶性が高く、且
つ成形体に高温高湿環境下における長時間信頼性を与え
る、エポキシ基を含有する化合物が強く求められてい
る。
【0006】グリシジル基等のエポキシ基を有する化合
物としては、例えばビスフェノールAから誘導されるジ
グリシジルエーテル等のフェノール系化合物から誘導さ
れるグリシジル基を有したエポキシ化合物が広く用いら
れている。しかしながら、ビスフェノールA等のフェノ
ール系化合物から誘導されるエポキシ樹脂は、紫外線に
より変色する等、耐候性に関して低いレベルにあり、屋
外での使用には制限がある。
【0007】また、脂肪族系化合物から誘導されるジグ
リシジルエーテル化合物を架橋構造形成剤として用いた
場合には、得られる硬化物の耐熱性や耐水性が一般的に
低い。また、難燃性ポリカーボネート/ABSアロイへ
の相溶性も低い傾向にある。
【0008】また、高い耐候性を有する硬化物を形成す
るグリシジル基等のエポキシ基を有する化合物として、
例えば、トリグリシジルイソシアヌレート、テレフタル
酸ジグリシジルエステル、さらにはトリメリット酸トリ
グリシジルエステル等、フェノール系化合物以外から誘
導されるグリシジル化合物も提案されている。これらの
硬化物は、耐候性が高く、塗料分野において広く用いら
れている。しかしながら、例えば耐水性に十分ではな
く、電気絶縁分野においては吸水性の点で十分ではな
い。
【0009】また、上記グリシジル基を有するエポキシ
化合物は、一般的にはエピクロルヒドリンを用いて製造
されており、得られるエポキシ化合物中にイオン性塩
素、有機結合性塩素、さらにはクロルヒドリン構造とな
った加水分解性塩素を含有しており、例えば電気絶縁材
分野等に用いる場合は制限がある。
【0010】また、脂環式エポキシ基を有した、耐候性
のある化合物として、下式(4)に示されるような脂環
式エポキシ化合物が一般的に用いられている。しかしな
がら、このようなモノエステル化合物では、ポリカーボ
ネート等に配合した場合は、分子量の低下が懸念されて
おり、成形時のモールドデポジット(MD)や機械物性
の低下となりうる。
【0011】
【化4】
【0012】さらに、Deposited Doc.
(1980)、VINITI 1479−80、13p
pでは、下式(5)で示される、テレフタル酸から誘導
される脂環基含有エポキシ化合物が記載されており、該
化合物は耐候性、耐熱性とともに、吸水性が低い等の高
い耐水性を有している。
【0013】
【化5】
【0014】しかしながら、該化合物は、結晶性固体で
且つ融点が高い傾向にあり、また溶媒への溶解性も低い
ため、例えば注型成形や、溶剤系塗料として使用する場
合には、その使用に制限がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐候性、耐
熱性、及び耐水性に優れた硬化物を与えるための架橋構
造形成剤や樹脂安定化のための添加剤として有用な、新
規な脂環基含有エポキシ化合物を製造するための新規な
脂環基含有エステル化合物、及びその製造方法を提供す
ることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、特定一群の脂環基含有エステル化合物が、前
記課題を解決するために有用であることを見出し本発明
に至った。
【0017】即ち、本発明は以下の通りである。 1.下記一般式(1)で表される脂環基含有エステル化
合物。
【0018】
【化6】
【0019】(式中、xは1又は2から選ばれる整数を
表す。また、bは0又は1を表す。また、A、D及びE
はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数12
以下の置換基を有してもよいアルキル基、又はアルコキ
シル基を表す。また、Xは下記一般式(2)で表される
不飽和脂環式エステル基を表す。また、Bは水素原子、
ハロゲン原子、炭素数12以下の置換基を有してもよい
アルキル基、アルコキシル基、またはアリルエステル基
を表す。)
【0020】
【化7】 (式中、mは1または2から選ばれる整数を表す。)
【0021】2.下記一般式(3)で表される脂環基含
有エステル化合物。
【化8】
【0022】(式中、Rは炭素数5以上の50以下の脂
肪族炭化水素基、又はナフタレン骨格を表す。また、r
は2以上の整数、qは0以上の整数を表す。また、Xは
上記一般式(2)で表される不飽和脂環式エステル基を
表す。)
【0023】3.有機エステル化合物と不飽和脂環式ア
ルコール化合物を用いてエステル交換反応させることを
特徴とする、前記1.又は2.記載の脂環基含有エステ
ル化合物の製造方法。
【0024】4.有機カルボン酸ハライドと不飽和脂環
式アルコール化合物とを反応させることを特徴とする前
記1.または2.記載の脂環基含有エステル化合物の製
造方法。
【0025】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
上記一般式(1)中のA、D及びEはそれぞれ独立に水
素原子、ハロゲン原子、炭素数12以下の置換基を有し
てもよいアルキル基、又はアルコキシル基である。該ハ
ロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、及び沃素であ
る。また、該アルキル基の炭素数が12を越える場合に
は、架橋剤として用いた場合に得られる硬化物の耐熱性
が低下する傾向にある。また、該アルキル基が有しても
よい置換基としては、得られる硬化物や樹脂成形体の耐
候性や耐水性に影響のないものであれば特に制限はな
く、例えばニトリル基、ニトロ基、アセチル基、ハロゲ
ン基等が挙げられる。また、アルコキシル基としては、
通常は炭素数12以下のアルコキシル基が耐熱性の点で
望ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられ
る。本発明においては、耐水性、架橋構造形成剤として
の成形性、さらにはポリカーボネート等の樹脂への相溶
性の点で、上記A、D及びEは水素原子である場合が好
ましい。
【0026】上記一般式(1)において、Xは、それぞ
れ独立に上記一般式(2)で表される不飽和脂環式エス
テル基である。一般式(2)中のmは1又は2から選ば
れる整数であり、特に2である場合が耐熱性及び耐水性
が向上する点で好ましい。
【0027】また、上記一般式(1)で表されるBは水
素原子、ハロゲン原子、炭素数12以下の置換基を有し
てもよいアルキル基、アルコキシル基、アリルエステル
基、又はグリシジルエステル基を表す。また、Bの結合
数bは0または1である。該ハロゲンとはフッ素、沃
素、臭素、塩素である。また、また、該アルキル基の炭
素数が12を越える場合には、架橋剤として用いた場合
に得られる硬化物の耐熱性が低下する傾向にある。ま
た、該アルキル基が有してもよい置換基としては、得ら
れる硬化物や樹脂成形体の耐候性や耐水性に影響のない
ものであれば特に制限はなく、例えばニトリル基、ニト
ロ基、ハロゲン基等が挙げられる。また、アルコキシル
基としては、通常は炭素数12以下のアルコキシル基が
耐熱性の点で望ましく、例えばメトキシ基、エトキシ基
等が挙げられる。本発明においては、Bは水素原子、ア
リルエステル基、グリシジルエステル基である場合が好
ましい。
【0028】また、本発明において、上記一般式(1)
で表される脂環基含有エステル化合物の他の好ましい構
造として、Xが上記不飽和脂環式エステル基であり、B
が水素原子またはアリルエステル基の場合である。これ
らの化合物は、構造中に含まれる不飽和炭素−炭素2重
結合をエポキシ化することにより上述したエポキシ化さ
れた脂環基含有エステル化合物を得ることができ、該エ
ポキシ化合物の有用な原料となりうる。下記に上記一般
式(1)において、不飽和脂環式エステル基のみを有す
る場合の、本発明における好ましい構造を示す。
【0029】
【化9】
【0030】以下、本発明の脂環基含有エステル化合物
の製造方法を説明する。まず、本発明の脂環基含有エス
テル化合物において、炭素−炭素不飽和2重結合のみを
有する化合物の製造方法について説明する。
【0031】本発明の脂環基含有エステル化合物におい
て、炭素−炭素不飽和2重結合のみを有する化合物は、
有機エステル化合物と不飽和脂環式アルコール化合物、
又は該不飽和脂環式アルコール化合物とアリルアルコー
ルを用いて、エステル交換反応させることにより得るこ
とができる。
【0032】本発明でいう不飽和脂環式アルコールとは
下式で表される、3−ヒドロキシシクロペンテン、及び
3−ヒドロキシシクロヘキセンを意味する。
【0033】
【化10】
【0034】また、また、上記本発明でいう有機エステ
ル化合物とは、2つ以上のアルキルエステル基を有する
有機化合物であり、下記一般式(6)及び下記一般式
(7)で表されるエステル化合物を意味する。
【0035】
【化11】
【0036】(式中、A1はアルキルエステル基であ
り、A2及びA3はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル
エステル基であり、且つA2及びA3は同時に水素原子で
はない。また、A、D、及びEは水素原子、ハロゲン原
子、炭素数12以下の置換基を有してもよいアルキル
基、又はアルコキシル基を表す。)
【0037】
【化12】
【0038】(式中、Rは炭素数5以上50以下の脂肪
族炭化水素基、及びナフタレン骨格である。また、Xは
アルキルエステル基であり、xは2以上の整数を表
す。)
【0039】上記一般式(6)及び(7)中のアルキル
エステル基に含有されるアルキル部位は、本発明におい
ては望ましくは炭素数12以下のアルキル基、さらに望
ましくは炭素数6以下、特に望ましくは炭素数4以下の
アルキル基である。該アルキル部位は不飽和脂環式アル
コールとエステル交換しアルキルアルコールとなるが、
炭素数が少ない場合、生成するアルキルアルコールを反
応系外へ除去しやすい傾向にあり、反応速度の向上およ
び脂環基含有エステル化合物の収率が向上する傾向にあ
るため望ましい。
【0040】また、上記一般式(6)及び(7)中のア
ルキルエステル基は、該アルキル部位の炭素数及び構造
は同一分子中で同一種類であっても異なった種類であっ
ても構わない。これは、例えば同一分子中でメチルエス
テル基とエチルエステル基が同時に存在するような場合
である。
【0041】上記一般式(6)で表され、本発明で好適
に用いられる有機エステル化合物としては、例えば、フ
タル酸エステル類、イソフタル酸エステル類が挙げられ
る。フタル酸エステル類としては、フタル酸ジメチルエ
ステル、フタル酸ジエチルエステル、フタル酸ジブチル
エステル、フタル酸ジオクチル等である。また、イソフ
タル酸エステル類としては、イソフタル酸ジメチル、イ
ソフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジブチル等である。
【0042】また、上記一般式(7)中のRは、炭素数
5以上50以下の脂肪族炭化水素基、又はナフタレン骨
格である。該脂肪族炭化水素基は、炭素−炭素不飽和2
重結合や、脂環基を含有していても構わない。これら、
本発明で好適に用いられる有機エステル化合物として
は、例えば、ピメリン酸ジアルキルエステル、スベリン
酸ジアルキルエステル、アゼライン酸ジアルキルエステ
ル、セバシン酸シ゛アルキルエステル、ウンデカン二酸ジ
アルキルエステル、ドデカン二酸ジアルキルエステル、
ホモピン酸ジアルキルエステル、シクロペンタンジカル
ボン酸ジアルキルエステル、シクロヘキサンジカルボン
酸ジアルキルエステル、シクロヘキサン二酢酸ジアルキ
ルエステル、ノルボルネンジカルボン酸ジアルキルエス
テル、ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボン酸ジ
アルキルエステル、アダマンタンジカルボン酸ジアルキ
ルエステル、スピロ[3.3]ヘプタンジカルボン酸ジ
アルキルエステル、テトラヒドロフタル酸ジアルキルエ
ステル等の脂肪族ジアルキルエステル類、シクロヘキサ
ントリカルボン酸トリアルキルエステル等の脂肪族トリ
アルキルエステル類、シクロヘキサンテトラカルボン酸
テトラアルキルエステル等の脂肪族テトラアルキルエス
テル類、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアルキルエ
ステル、1,6−ナフタレンジカルボン酸ジアルキルエ
ステル等のナフタレンジカルボン酸ジアルキルエステル
類、等が挙げられる。
【0043】本発明の上記脂環基含有エステル化合物の
製造方法において、上記原料となる不飽和脂環式アルコ
ールやアリルアルコールの等の原料アルコール類の使用
量は、例えば原料となる上記有機エステル化合物のアル
キルエステル基を全てエステル交換する場合には、量論
的には該エステル基に対して当量である。しかし、該反
応は平衡反応であり、生成系を有利にするため、通常、
原料アルコール類の使用量は当量以上100当量以下が
望ましく、さらには1.1当量以上20当量以下、特に
1.5当量以上6当量以下が望ましい。また、本発明の
脂環基含有エステル化合物が、例えばアリルエステル基
とシクロヘキセニルエステル基を同時に含有するような
場合には、アリルアルコール及び3−ヒドロキシシクロ
ヘキセノールを所望の比率となるように同時に仕込んで
もよいし一方の原料のみでエステル交換をしておき、後
工程としてもう一方の原料アルコールを用いてエステル
交換をすることにより製造してもい。このように2段以
上で反応させる場合には、所望の構造の本発明の脂環基
含有エステル化合物が得られれば、上記原料アルコール
類の使用量に限定されるものではない。
【0044】また、本発明の製造方法で原料として用い
られる上記一般式(6)及び(7)で表される有機エス
テル化合物は、酸価が0.05当量/100g以下であ
ることが好ましく、さらに好ましくは0.005当量/
100g以下、特に好ましくは0.001当量/100
g以下である。本発明では該酸価が0である場合が最も
好ましいが、上記一般式(6)や(7)で表される化合
物は、通常、未反応の残留カルボン酸基や加水分解して
生成したカルボン酸基を含有する化合物、さらには該原
料エステル化合物を合成する際に用いられた酸触媒等の
酸成分が不純物として含有されている場合があり、該酸
性分に由来する酸価を有している場合が殆どである。該
酸価が0.05当量/100gを越えるような高い値の
場合には、原料に用いる3−ヒドロキシシクロヘキセノ
ールや3−ヒドロキシシクロペンタノールが脱水反応を
起こす傾向にあり、シクロヘキサジエン等の脂環式ジエ
ン化合物や、互いにエーテル結合を介して縮合したジシ
クロヘキセニルエーテル等の脂環式エーテル化合物が生
成する傾向にあるため、これら原料の本発明の脂環基含
有エステル化合物に対する選択性が低下する傾向にあ
る。
【0045】上記本発明でいう酸価とは、化合物100
g中に含有される含有酸当量であり、「官能基別有機化
合物定量法の実際」(ヴァイス著、江島昭訳、廣川書店
発行、初版)第1部第5章記載の方法で定量される。具
体的には、本発明で用いられる酸価は、フェノールフタ
レインエタノール溶液を指示薬として用い、試料Wgを
2−プロパノール25mlに溶解し、氷水で冷却しなが
ら、予め規定度を求めたN規定の水酸化ナトリウムアル
コール性溶液(2−プロパノールの体積:水の体積=
1:1)により滴定を行い、終点における該水酸化ナト
リウムアルコール性溶液の滴定量Amlから、下式によ
り求める。 酸価(当量/100g)=(A×N)/(10×W))
【0046】本発明の脂環基含有エステル化合物の製造
方法においては、一般に使用される公知のエステル交換
触媒が好適に使用できる。
【0047】そのような触媒としては、例えばアルカリ
金属類の水素化物類、酸化物類、水酸化物類、アルコレ
ート類、アミド類又は塩類が挙げられる。該アルカリ金
属類としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビ
ジウム及びセシウムが挙げられ、特にリチウム、ナトリ
ウム、及びカリウムが好適に使用できる。本発明におい
ては、本発明でエステル交換に用いる不飽和脂環式アル
コール等のアルコール類によるアルコレート類を用いて
もよい。また、アルカリ金属類の塩類としては有機酸類
又は無機酸類のものであり、例えば、酢酸塩、プロピオ
ン酸塩、安息香酸塩、ステアリン酸塩、炭酸塩類、炭酸
水素塩類、リン酸塩、硼酸塩、C1〜C4の第一錫酸塩
類又はアンチモン酸塩類、第二錫酸塩等が挙げられる。
本発明においては、これらの中で、アルカリ金属類の水
酸化物類、酸化物類、アルコレート類、炭酸塩類、炭酸
水素塩類が特に好適に使用でき、アルコレート類、水酸
化物類、がさらに好適に使用できる。これら触媒は、本
発明においては、反応させる反応混合物に対し、通常、
0.0001〜20重量%、好適には0.001〜10
重量%、特に好適には0.005〜5重量%の量で使用
される。
【0048】また、クラウンエーテル類やポリエチレン
グリコール類等のアルカリ金属化合物を錯体にさせる物
質を加えて用いてもよい。このような錯体形成剤はアル
カリ金属化合物に対し、0.1〜200モル%の範囲で
使用できる。
【0049】また、本発明の製造方法において、チタ
ン、錫またはジルコニウムの塩類又は錯体類を触媒とし
て好適に使用することもできる。このような触媒系の例
としては、チタンアルコキシド類、酢酸チタン、アセチ
ルアセトン酸チタン、ブチル錫酸、錫アルコキシド類、
ジメチル錫、酸化ジブチル錫、ジラウリン酸ジブチル
錫、水素化トリブチル錫、塩化トリブチル錫、ジルコニ
ウムアルコキシド類、ジルコニウム(IV)ハライド類、
硝酸ジルコニウム類、アセチルアセトン酸ジルコニウ
ム、等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、又
は一種以上の混合物で用いても構わない。上記各アルコ
キシド類としては、メトキシド、エトキシド、プロポキ
シド、ブトキシド等が挙げられる。本発明においては、
チタンアルコキシド類、、錫アルコキシド類、酸化ジブ
チル錫、ジルコニウムアルコキシド、が特に好適に使用
でき、チタンアルコキシド類、酸化ジブチル錫がさらに
好適に使用できる。本発明においては、これら触媒の使
用量は反応混合物に対し、0.0001〜20重量%、
好適には0.001〜10重量%の範囲である。
【0050】また、本発明の製造方法で使用できる触媒
として、米国特許第4062884号に記載されている
ような、窒素含有塩類を使用しても良い。これらの例と
しては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、メチル
ベンジルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等であ
る。これらは、本発明においては、反応混合物に対し
0.0001〜10重量%の範囲で使用できる。
【0051】さらに、本発明の製造方法において使用で
きる触媒として、タリウム化合物、例えば、酸化物類、
水酸化物類、炭酸塩類、臭化物類、塩化物類、フッ化物
類、シアン酸塩類、ホスホン酸塩類、酢酸塩類、硝酸塩
類、タリウムメチレート、タリウムエチレート、等が使
用できる。これらの使用量は、一般的に反応混合物に対
し0.0001〜10重量%である。
【0052】さらに、本発明で使用できる触媒として、
第3級アミン類や第4級アンモニウム基を官能基として
有するイオン交換樹脂や、酸化アンチモン等のアンチモ
ン系化合物類、酢酸マンガン等のマンガン系化合物類、
トリブチルホスフィンやトリフェニルホスフィン等のホ
スフィン類、トリメチルアルシン、トリブチルアルシ
ン、トリフェニルアルシン等のアルシン類、トリフェニ
ルスチビン等のスチビン類、ジフェニルスルフィド、ジ
フェニルジスルフィド等の硫黄化合物類、ジフェニルセ
レニド等のセレン化合物類、トリフェニルホスホニウム
ハライド(塩素又は臭素)、テトラフェニルホスホニウ
ムハライド(塩素、臭素、又は沃素)、テトラフェニル
アルソニウムハライド(塩素、臭素、及び沃素)等のオ
ニウム塩が挙げられる。
【0053】本発明の脂環基含有エステル化合物の製造
方法において、上記エステル交換反応温度は、通常、5
0〜250℃の範囲である。好適な温度範囲は70〜2
00℃、特に好適には80〜180℃の範囲である。温
度が250℃を越える場合には、副反応が起こる傾向に
あり収率が低下する。また、50℃以下では反応速度が
遅く、工業的生産性が低い。該反応温度は、一定で行っ
ても構わないし、段階的又は連続的に温度を変化させる
方法で温度制御を行ってもよい。
【0054】また、本発明の反応系は加圧系、常圧系、
又は減圧系である。特に本発明の望ましい方法は常圧又
は減圧系であり、例えば常圧から徐々に減圧状態にする
ことにより、エステル交換により生成するアルキルアル
コール類を反応系から除去することにより平衡反応を生
成系に有利にする方法が望ましい。
【0055】また、常圧系で反応を行う際には、反応雰
囲気下や反応液中に窒素等の不活性ガスをバブリングし
たり、反応雰囲気下に対する液面積を増加させる等、公
知の方法により反応液中からエステル交換により生成す
るアルキルアルコール類を除去することが、反応生成速
度及び収率を向上させる点で望ましい。
【0056】また、減圧で反応を実施する際に、原料と
して用いるアルコール化合物も反応の結果生じるアルキ
ルアルコール類と同時に反応系から除去される傾向とな
る場合には、反応系内に原料アルコール化合物が不足し
ないようにする必要がある。
【0057】減圧時の真空度は、該エステル交換により
生成するアルキルアルコールの蒸気圧や原料として用い
るアルコール化合物、さらには反応温度にも左右される
が、通常、0.01torr〜常圧、の範囲であり、特
に0.1torr以上が好適である。該真空度は、段階
的又は連続的に変化させてもよく、例えば、反応後期も
しくは反応終了後に最も高真空にすることにより、原料
転化率を向上させ、さらに反応系に残留する原料に用い
た過剰のアルコール化合物の余剰分やエステル交換の結
果生じたアルキルアルコール類を反応系から除去しても
よい。
【0058】また、本発明においては上記エステル交換
反応時に、反応を阻害したり、生成物に影響を及ぼさな
い範囲で、溶媒を用いても構わない。このような溶媒と
しては、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン等
の炭化水素類やこれらのハロゲン化物等が挙げられるが
この限りでない。
【0059】本発明においては、上記エステル交換反応
において得られる本発明の脂環基含有エステル化合物が
その用途において悪影響を及ぼさない範囲で、原料アル
コール化合物やエステル交換で生じるアルキルアルコー
ル類、及び用いた触媒等が残留していても構わない。ま
た、触媒は水等の各種溶剤での洗浄、液−液抽出法、不
均一触媒の場合は濾過法、イオン交換樹脂法、シリカゲ
ル等による吸着法、等の公知の方法により除去すること
ができる。また、これら触媒の除去を行う際には、反応
生成物を溶媒で希釈して実施してもよい。該溶媒は、生
成物を変性させないものであれば特に制限はなく、ヘキ
サン、トルエン、キシレン等の炭化水素類や、アセトン
等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、塩化メチレ
ンやクロロホルム等のハロゲン化炭化水素等が好適に使
用できる。
【0060】また、本発明の脂環基含有エステル化合物
において、炭素−炭素不飽和2重結合のみを有する化合
物は、有機カルボン酸ハライドと上記不飽和脂環式アル
コール化合物、又は該不飽和脂環式アルコール化合物と
アリルアルコールからなるアルコール化合物を用いて反
応させることにより得ることができる。
【0061】上記本発明でいう有機カルボン酸ハライド
とは、2つ以上の酸ハライド基を有する有機化合物であ
り、下記一般式(8)及び下記一般式(9)で表される
化合物を意味する。
【0062】
【化13】
【0063】(式中、A1はハロゲン原子であり、A2
びA3はそれぞれ独立に水素原子又は酸ハロゲン基であ
り、且つA2及びA3は同時に水素原子ではない。また、
A、D、及びEは水素原子、ハロゲン原子、炭素数12
以下の置換基を有してもよいアルキル基、又はアルコキ
シル基を表す。)
【0064】
【化14】
【0065】(式中、Rは炭素数5以上50以下の脂肪
族炭化水素基、及びナフタレン骨格である。また、Xは
酸ハロゲン基であり、xは2以上の整数を表す。)
【0066】上記一般式(8)及び(9)において、ハ
ロゲンとは塩素、フッ素、臭素、沃素を意味する。一般
的には、塩素である化合物が容易に入手できるため望ま
しい。
【0067】上記製造方法において、原料として用いる
アルコール化合物の使用量は、例えば原料酸ハライド化
合物の酸ハライド部をすべてエステル化する場合には、
該酸ハライド部に対し1当量である。しかしながら、反
応を十分に完結させる目的で、該使用量は望ましくは1
当量以上100当量以下、望ましくは1.1当量以上3
0当量以下である。
【0068】本発明においては、上記酸ハライドを用い
る反応は、溶媒を用いることが望ましく、該溶媒として
は、該酸ハライド、原料として用いるアルコール化合
物、及び生成されるエステル化合物と反応しないもので
あれば特に制限はない。例えば、ヘキサン、トルエン、
キシレン等の炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム
等のハロゲン化物、ジメチルホルムアミド、N−メチル
ピロリドン等の含窒素有機溶媒、ジメチルスルホキシド
等の含硫黄有機溶媒等が挙げられるがこの限りではな
い。これら溶媒の使用量は特に制限はないが、通常、原
料として用いる上記一般式(4)で示される化合物1重
量部に対し、0.1〜200重量部の範囲である。
【0069】また、該反応は、該ハロゲンが塩素の場合
は脱塩酸反応であり、反応系内で発生する塩酸を捕捉す
る目的で塩酸捕捉剤を共存させることが望ましい。該塩
酸捕捉剤としては、塩酸捕捉能のあるピリジン、トリエ
チルアミン、等の塩酸と塩を形成できる一般的に公知の
化合物が好適に用いられる。これら塩酸捕捉剤の使用量
は、通常、反応系内で発生する塩酸量に対して当量以上
である。
【0070】本発明の上記製造方法において、上記有機
カルボン酸ハライド化合物、溶媒、及び塩酸捕捉剤から
なる系内に、原料アルコール化合物を添加する方法が望
ましい。原料に用いるアルコール化合物を2種以上用い
る場合は、混合物として同時に添加してもよく、さらに
は、別々に2段以上に分けて添加してもよい。
【0071】また、反応時は生成物に影響のない範囲で
冷却や加熱により温度制御をしてもよい。また、反応に
よる発熱を制御したり、副生物を抑制する目的で、上記
アルコール化合物の添加速度を制御してもよい。また、
反応速度を高める目的で、該アルコール化合物の添加中
は冷却し、添加後に加熱する方法も有効である。本発明
で実施される該反応温度は、通常、−10〜200℃、
望ましくは10〜150℃の範囲である。
【0072】また、上記反応は、オートクレーブ等を用
いて加圧下で行ってもよく、常圧下、さらには減圧下で
行ってもよい。
【0073】反応終了後は、例えば、減圧にすることに
より、未反応の原料に用いたアルコールや溶媒を除去で
きる。さらには、例えば水洗により、塩酸を捕捉した塩
酸捕捉剤の塩酸塩を除去できる。
【0074】以上説明した方法により得られる本発明の
脂環基含有エステル化合物は、酸化剤を用いて該化合物
中に含まれる炭素−炭素不飽和2重結合をエポキシ化す
ることにより、本発明の脂環基含有エステル化合物にお
いて、エポキシ化脂環式エステル基やグリシジル基を含
有する化合物を得ることができる。
【0075】本発明で用いられる該酸化剤としては、上
記で得られる脂環基含有エステル化合物に含有される不
飽和脂環基やアリル基中の炭素−炭素不飽和2重結合を
エポキシ化できるものであれば特に制限はない。これら
酸化剤としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキ
サイド、シクロヘキセンハイドロパーオキサイド、クメ
ンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、過蟻酸、
過酢酸、過プロピオン酸、トリフルオロ過酢酸、m−ク
ロロ過安息香酸等の過カルボン酸類、過酸化水素及び分
子状酸素等が挙げられる。中でも、反応性、選択性、精
製が容易等の点で、酸化剤は過酸化水素、又は過カルボ
ン酸類であることが好ましい。
【0076】炭素−炭素不飽和2重結合をエポキシ化す
る他の方法として、例えば、該2重結合部にクロロヒド
リン等を付加させたハロヒドリン化合物を一旦生成さ
せ、ついでアルカリで脱塩酸することによりエポキシ化
合物を得るハロヒドリン法が一般的に知られている。し
かしながら、該ハロヒドリン法の場合、例えば後段の脱
塩酸工程後に未反応のハロヒドリン構造が得られるエポ
キシ化合物中に残留し、加水分解性ハロゲンが生成物中
に残留する傾向にある。特に、本発明で得られる脂環基
含有エステル化合物において沸点が高く、通常の蒸留操
作が困難な場合には精製が困難となる。
【0077】以下、該酸化剤が過酸化水素の場合の説明
をする。酸化剤が過酸化水素の場合は、通常、各種エポ
キシ化触媒が併用して用いられる。該エポキシ化触媒と
しては、上記炭素−炭素不飽和2重結合に対するエポキ
シ化が過酸化水素の存在下で十分に進行するものであれ
ば、本発明では公知のものが使用でき、特に制限はな
い。例えばチタノシリカライト等のチタン系化合物(例
えば、当業者であれば周知である、チタンをシリカに担
持させた市販触媒TS−1)、タングステン酸やその
塩、燐タングステン酸やその塩等のタングステン含有化
合物、モリブデン酸やその塩、燐モリブデン酸やその塩
等のモリブデン含有化合物、ヘテロポリ酸、バナジウム
含有化合物、レニウム含有化合物、コバルト含有化合
物、砒素系化合物、硼素系化合物、アンチモン系化合
物、遷移金属ポルフィリン錯体等が挙げられる。これら
は単独で用いても2種以上を混合して用いてもよく、ま
た、タングステン酸やモリブデン酸又はそれらの塩をエ
ポキシ化触媒として用いる場合は、燐酸等の酸類を併用
して用いても良い。
【0078】これら触媒の使用量は、通常、本発明の脂
環基含有化合物100重量部に対し、0.001〜30
重量部、望ましくは0.01〜20重量部の範囲とする
ことが適当である。
【0079】本発明においては過酸化水素と上記触媒と
を用いたエポキシ化を行う際には、溶媒を用いること
が、反応速度が速く、且つ反応液の取り扱いが容易であ
る点で望ましい。この際、用いる溶媒は、原料として用
いる脂環基含有エステル化合物や得られるエポキシ化物
に対し、通常約0.1重量%以上の溶解度があり、副成
物を発生させないものであれば特に制限はなく、例え
ば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
化合物、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素
化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン等のケトン類、クロロホルム、塩化メチレ
ン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタ
ン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化
炭化水素化合物、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸
ブチル等の酢酸エステル類、エチレングリコールジメチ
ルエーテル等のエーテル類が使用できる。これら溶媒の
使用量は特に制限はないが、通常、本発明の脂環基含有
化合物1gあたり、0.1〜200mlの範囲である。
【0080】また、用いる過酸化水素は、濃度が0.0
1〜100%の状態のものが好適に用いられるが、通
常、5〜80%、望ましくは25〜70%の水溶液の状
態のものが、工業的に容易に入手でき、また特殊な設備
等を必要としない点で最も好適に使用できる。該過酸化
水素の使用量は、原料として用いる脂環基含有エステル
化合物中の炭素−炭素2重結合に対し、理論的には1当
量であるが、通常1.01〜1:10、望ましくは1:
1.01〜1:2の範囲で使用される。
【0081】上記触媒、溶媒、及び過酸化水素の水溶液
を用いてエポキシ化反応を行うことにより本発明の脂環
基含有エステル化合物を得る上記反応は、通常、油相−
水相からなる2相系の反応であるため、攪拌効率がエポ
キシ化反応速度に大きく影響する。本発明では、攪拌速
度を速めたり、バッフル付き反応器を用いる等により攪
拌効率を高めエポキシ化反応速度を速めることが有用で
ある。
【0082】また、上記触媒として、燐タングステン
酸、タングステン酸ナトリウム等のタングステン含有化
合物や、モリブデン含有化合物を用いた場合には、エポ
キシ化の反応速度を速める目的でオニウム塩等の相間移
動触媒を併用することが望ましい。該オニウム塩として
は、例えば一般式R1234+-(R1〜R4は炭素
数1〜50の水酸基を有していても良いアルキル基であ
り、それぞれ同一又は異なっていてもよい。Mは窒素又
は燐を表し、Q-はハロゲンイオン又は無機アニオンを
示す。)で表される4級アンモニウム塩や4級ホスホニ
ウム塩が挙げられる。該オニウム塩中のアルキル基とし
ては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチ
ル基、オクチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
また該ハロゲンイオンとしては、塩素イオン、臭素イオ
ン、沃素イオン等を、さらに該無機イオンとしては水酸
イオン、亜硫酸イオン等が挙げられる。該4級アンモニ
ウム塩の具体例としては、セチルピリジニウム塩、トリ
オクチルメチルアンモニウム塩、テトラヘキシルアンモ
ニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチ
ルアンモニウム塩、アルキルピコリニウムアンモニウム
塩、アルキルイミダゾリン塩等が挙げられる。また、4
級ホスホニウム塩の具体例としては、テトラブチルホス
ホニウム塩、テトラプロピルホスホニウム塩、トリオク
チルメチルホスホニウム塩、トリオクチルエチルホスホ
ニウム塩、テトラヘキシルホスホニウム塩等を挙げるこ
とができる。これらは1種又は2種以上で用いられる。
これらオニウム塩は、用いる脂環基含有化合物に対し、
通常0.001〜30重量%、望ましくは0.01〜1
5重量%で用いられる。
【0083】また、上記タングステン酸ナトリウムや燐
タングステン酸等のエポキシ化触媒と上記相関移動触媒
とを混合することによりタングステン酸オニウム塩等を
調整しておき、ついで、反応系に添加する方法を用いて
もよい。
【0084】上記、油−水相からなる2相系においてエ
ポキシ化反応を行う場合、過酸化水素が含まれる水相側
は、pHが0.3〜6、さらには0.5〜5、特に1.
0〜4の範囲であることが望ましい。pHが6以上の場
合はエポキシ化反応速度が遅く、また、pHが0.3以
下の場合は、生成したエポキシ基が反応系内で開裂する
傾向にあるため望ましくない。上記水相のpHは、例え
ば燐酸や塩酸により調整することができる。
【0085】上記過酸化水素を用いる反応は、過酸化水
素の自己分解速度が低く抑えられる温度範囲であれば特
に制限はないが、例えば、5〜80℃、特に10〜75
℃、さらには15〜70℃の範囲が望ましい。また、該
反応は常圧で行ってもよいし、例えばオートクレーブ中
で加圧下で行ってもよい。反応時間は、用いる本発明の
脂環式化合物や触媒量、過酸化水素濃度及び温度等の反
応条件によっても左右されるが、通常、0.5〜500
時間、望ましくは0.5〜100時間の範囲が適当であ
る。
【0086】以上説明した合成法により得られる反応生
成物は、濾過、溶媒抽出法、水洗浄、アルカリ水による
洗浄法、シリカゲル等を用いたカラム分離法、イオン交
換樹脂による精製法、冷却沈降法等の一般に周知の手段
を組み合わせることにより容易に精製でき、本発明のエ
ポキシ基を有する脂環基含有エステル化合物を得ること
ができる。
【0087】以下、本発明のエポキシ化脂環式エステル
基を含む脂環基含有エステル化合物の製造方法として、
脂環式エピノールを用いた製造方法を説明する。
【0088】本発明のエポキシ化脂環式エステル基を有
する脂環基含有エステル化合物は、上記一般式(6)ま
たは(7)で表される有機エステル化合物と、脂環式エ
ピノール化合物を用いてエステル交換反応させることに
より得ることができる。本発明の脂環基含有エステル化
合物が不飽和脂環式エステル基及びエポキシ化脂環式エ
ステル基を同時に有する場合には、前記不飽和脂環式ア
ルコールと脂環式エピノール化合物とを用いて、該有機
エステル化合物とエステル交換することにより得ること
ができる。さらに、アリルエステル基やグリシジルエス
テル基を含有させる場合には、アリルアルコールや2,
3−エポキシプロパノールを上記脂環式エピノールとと
もに用いることにより本発明の脂環基含有エステル化合
物を得ることができる。
【0089】本発明でいう脂環式エピノール化合物と
は、下式で表される2,3−エポキシシクロペンタン−
1−オール、または2,3−エポキシシクロヘキサン−
1−オールを意味する。
【0090】
【化15】
【0091】上記脂環式エピノール化合物を用いたエス
テル交換反応においては、原料として用いる脂環式エピ
ノールを含むアルコール化合物の使用量は、量論的には
原料有機エステル化合物に対し当量であるが、エステル
交換反応の平衡を生成系に有利にするため、通常当量以
上が望ましく、さらに望ましくは1.2当量以上、特に
望ましくは2当量以上20当量以下である。また、不飽
和脂環式エステル基やグリシジルエステル基も同時に含
むような本発明の脂環基含有エステル化合物のを上記エ
ステル交換法により得る場合には、各官能基が所望の比
率となるように不飽和脂環式アルコール化合物や2,3
−エポキシプロパノールを脂環式エピノール化合物と同
時に仕込んでもよいし、一方の原料のみでエステル交換
反応をしておき、後工程としてもう一方の原料を用いて
エステル交換をして製造してもよく、このように2段で
反応させる場合には、所望の構造の脂環式エポキシ化合
物が得られれば、上記脂環式エピノール化合物の使用量
に限定されるものではない。
【0092】また、本発明の脂環式エピノール化合物を
用いたエステル交換反応においても、原料として用いら
れる上記一般式(6)及び(7)で表される化合物の酸
価が0.05当量/100g以下であることが好まし
く、さらに好ましくは0.005当量/100g以下、
特に好ましくは0.001当量/100g以下である。
該酸価が0.05当量/100gを越えるような高い値
の場合には、原料に用いる脂環式エピノール化合物のエ
ポキシ環が、開裂、さらには重合し、分離困難な高沸物
が生成する傾向にある。
【0093】また、脂環式エピノール化合物を用いたエ
ステル交換反応においても、前記に記した、一般に公知
のエステル交換触媒が好適に使用できる。特に、アルカ
リ金属類の水素化物類、酸化物類、水酸化物類、アルコ
レート類、アミド類又は塩類が好適に使用できる。該ア
ルカリ金属類としては、リチウム、ナトリウム、カリウ
ム、ルビジウム及びセシウムが挙げられ、特にリチウ
ム、ナトリウム、及びカリウムが好適に使用できる。本
発明においては、本発明でエステル交換に用いる脂環式
エピノール化合物のアルコレート類を用いてもよい。
【0094】上記エステル交換による製造方法におい
て、反応温度は、通常、50〜200℃の範囲である。
好適な温度範囲は70〜170℃、特に好適には80〜
150℃の範囲である。温度が200℃を越える場合に
は、脂環式エピノール化合物のエポキシ環が開裂する等
の副反応が起こる傾向にあり収率が低下する。また、5
0℃以下では反応速度が遅く、工業的生産性が低い。該
反応温度は、一定で行っても構わないし、段階的又は連
続的に温度を変化させる方法で温度制御を行ってもよ
い。
【0095】また、本発明の反応系は加圧系、常圧系、
又は減圧系である。特に本発明の望ましい方法は常圧又
は減圧系であり、例えば常圧から徐々に減圧状態にする
ことにより、エステル交換により生成するアルキルアル
コール類を反応系から除去することにより平衡反応を生
成系に有利にする方法が望ましい。
【0096】また、常圧系で反応を行う際には、反応雰
囲気下や反応液中に窒素等の不活性ガスをバブリングし
たり、反応雰囲気下に対する液面積を増加させる等、公
知の方法により反応液中からエステル交換により生成す
るアルキルアルコール類を除去することが、反応生成速
度及び収率を向上させる点で望ましい。
【0097】また、減圧で反応を実施する際に、原料と
して用いるアルコール化合物も反応の結果生じるアルキ
ルアルコール類と同時に反応系から除去される傾向とな
る場合には、反応系内に原料脂環式エピノール化合物が
不足しないようにする必要がある。
【0098】減圧時の真空度は、該エステル交換により
生成するアルキルアルコールの蒸気圧や原料として用い
る脂環式エピノール化合物、さらには反応温度にも左右
されるが、通常、0.01torr〜常圧、の範囲であ
り、特に0.1torr以上が好適である。該真空度
は、段階的又は連続的に変化させてもよく、例えば、反
応後期もしくは反応終了後に最も高真空にすることによ
り、原料転化率を向上させ、さらに反応系に残留する原
料に用いた過剰の脂環式エピノール化合物等のアルコー
ル化合物の余剰分やエステル交換の結果生じたアルキル
アルコール類を反応系から除去してもよい。
【0099】また、本発明においては上記エステル交換
反応時に、反応を阻害したり、生成物に影響を及ぼさな
い範囲で、溶媒を用いても構わない。このような溶媒と
しては、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン等
の炭化水素類やこれらのハロゲン化物等が挙げられるが
この限りでない。
【0100】脂環式エピノールを用いた本発明の製造方
法において、上記エステル交換反応において得られる本
発明の脂環基含有エステル化合物がその用途において悪
影響を及ぼさない範囲で、原料脂環式エピノール化合物
やエステル交換で生じるアルキルアルコール類、及び用
いた触媒等が残留していても構わない。また、触媒は水
等の各種溶剤での洗浄、液−液抽出法、不均一触媒の場
合は濾過法、イオン交換樹脂法、シリカゲル等による吸
着法、等の公知の方法により除去することができる。ま
た、これら触媒の除去を行う際には、反応生成物を溶媒
で希釈して実施してもよい。該溶媒は、生成物を変性さ
せないものであれば特に制限はなく、ヘキサン、トルエ
ン、キシレン等の炭化水素類や、アセトン等のケトン
類、酢酸エチル等のエステル類、塩化メチレンやクロロ
ホルム等のハロゲン化炭化水素等が好適に使用できる。
【0101】また、本発明の脂環式エピノールを用いた
エステル交換による製造方法は、上記一般式(4)にお
いて、Rが炭素数4以上の脂肪族炭化水素基においても
好適に利用できる。
【0102】また、上記脂環式エピノールを用いて、上
記説明した有機ハライド化合物と反応させることによ
り、エポキシ化脂環式エステル基を有する本発明の脂環
式エステル化合物を得ることができる。該反応は、前記
酸ハライドとアルコール化合物との反応と同様の条件下
で実施することができる。
【0103】以上説明した方法により、本発明の新規構
造を有する、脂環基含有エステル化合物を高収率で得る
ことができる。
【0104】本発明の脂環基含有エステル化合物におい
て、エポキシ基を2個以上有する化合物は、通常のエポ
キシ化合物の硬化反応に使用される硬化剤が好適に使用
できる。該硬化剤は、光や熱によりエポキシ基と反応す
ることにより架橋構造を形成できるものであって、エポ
キシ基に付加する酸性又は塩基性の活性水素を複数個含
む化合物や、又はエポキシ基を触媒的に重合させる酸性
又は塩基性化合物である。これら硬化剤として用いられ
る化合物としては、酸又は酸無水物系硬化剤、アミン系
硬化剤、多価カルボン酸とポリアルキレンポリアミンと
の反応により得られポリアミノアミド系硬化剤、イミダ
ゾール類、ポリメルカプタン系硬化剤、ルイス酸、ブロ
ンステッド酸、フェノール系化合物又はこれらの混合物
である。
【0105】酸又は酸無水物系硬化剤としては、例え
ば、ポリアゼライン酸無水物、ポリアジピン酸無水物、
ドデセニル無水コハク酸、ポリセバシン酸無水物、ポリ
(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、ポリ(エチルオ
クタデカン二酸)無水物等の脂肪族カルボン酸無水物と
そのカルボン酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無
水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラ
ヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水
メチルハイミック酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル
酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の脂環式カルボ
ン酸無水物とそのカルボン酸、無水フタル酸、無水トリ
メリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテト
ラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリ
テート、グリセロールトリストリメリテート等の芳香族
カルボン酸無水物とそのカルボン酸、また、カルボン酸
を末端もしくは鎖中に有するポリエステルやポリアミド
等の樹脂、さらには(メタ)アクリル酸を共重合組成と
して有する樹脂等が挙げられる。
【0106】また、アミン系硬化剤としては、例えば、
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレ
ンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチ
レンヘキサミン、トリ(メチルアミノ)ヘキサン、メチ
ルイミノビスプロピルアミン、ジプロピレンジアミン、
ヘキサメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミ
ン等の脂肪族アミン、シクロヘキサンジアミン、イソホ
ロンジアミン、メンセンジアミン、ジアミノジシクロヘ
キシルメタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘ
キシル)メタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロ
ヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、等の環状アミ
ン、2,4−ジアミノトルエン、p−フェニレンジアミ
ン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミ
ン、m−キシリレンジアミン等の単環式芳香族アミン、
4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジ
メチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等のジ
アミノジフェニルスルホン類、4,4’−ジアミノジフ
ェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミ
ノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−
ジアミノジフェニルメタン等のジアミノジフェニルメタ
ン類、ジメチルジフェニルエーテル類、ジアミノジフェ
ニルケトン類、ジアミノジフェニルプロパン類、等の芳
香族アミン、または3,9−ビス(3−アミノプロピ
ル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)
ウンデカン等のスピロ環系アミン等、及びこれらの混合
物が挙げられる。
【0107】また、塩基性活性水素を含む化合物とし
て、例えば、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジ
ド等の有機酸ジヒドラジド化合物が挙げられる。
【0108】イミダゾール類としては、2−メチルイミ
ダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等が挙
げられる。
【0109】また、フェノール系化合物としては、例え
ば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノ
ールAD、ジヒドロキシベンゼン、フェノール樹脂等が
挙げられる。
【0110】上記硬化剤は単独で用いてもよいし、二種
以上を所望の割合で混ぜ合わせた混合物として用いても
良い。
【0111】本発明の脂環基含有エステル化合物に対し
て、上記硬化剤はその用途に応じて選択できる。例え
ば、可撓性を要求される場合には脂肪族系硬化剤を用い
ることができ、高いガラス転移点を必要とする場合は芳
香族系の硬化剤を用いることが望ましい。
【0112】上記硬化剤の使用量は脂環基含有エステル
化合物のエポキシ基の当量、及び硬化剤の構造や官能基
の数に応じて適当に選択できる。例えば、該エポキシ基
に対する硬化剤の官能基の当量比が、0.3〜1.8、
好ましくは0.5〜1.2の範囲である。該当量比が
0.3より低いかまたは1.8よりも大きい場合は、得
られる硬化物中に未反応物質や低分子量オリゴマー物質
が多く含有される傾向にあり、機械的物性が低下する。
【0113】本発明の脂環基含有エステル化合物をエポ
キシ化合物として、各種架橋構造形成剤や樹脂添加剤と
して用いる場合に、単独で用いてもよいし、2種以上の
本発明の脂環基含有エステル化合物を混合して用いても
よい。また、該混合して用いる場合は、その性状が25
℃で液状、軟化点が120℃以上の非晶性固体、さらに
は融点が160℃以下の結晶性固体であることが望まし
い。特に、25℃で液状もしくは融点が160℃以下の
結晶性固体である場合が、取り扱いが容易である点で好
ましい。融点が160℃を越える場合は、該温度が通常
の硬化温度又はその近傍であるため、硬化状態が不均一
な硬化物が用いられる傾向にある。又、結晶性である場
合は溶解した際の粘度が一般的に低く、非晶性固体と比
較し取り扱いが容易であり、硬化剤や樹脂等との混練が
容易である。
【0114】また、本発明の脂環基含有エステル化合物
は、他のエポキシ化合物と混合して用いても良い。ここ
で、他のエポキシ化合物とは、本発明の脂環基含有エス
テル化合物を除き、分子中にエポキシ基を平均1個より
多く含有する化合物を意味し、例えば、アルコール類や
フェノール類から誘導されるグリシジルエーテル系化合
物、アミン類から誘導されるグリシジルアミン系化合
物、酸や酸無水物から誘導されるグリシジルエステル系
化合物、及び脂環式エポキシ樹脂系化合物等が挙げられ
る。
【0115】上記アルコール類としては、例えばエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオー
ル、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロペン
タンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロド
デカンジオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェ
ノールF、水添ビスフェノールAD、グリセリン、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエ
チレングリコール等が挙げられる。
【0116】またフェノール類としてはヒドロキノン、
メチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、テトラ
メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、ジエチルヒ
ドロキノン、ビニルヒドロキノン、プロピルヒドロキノ
ン、ブチルヒドロキノン、ヘキシルヒドロキノン、シク
ロヘキシルヒドロキノン、オクチルヒドロキノン、4−
フェニルメチルヒドロキノン、4−メチルペンチルヒド
ロキノン、ニトロヒドロキノン、レゾルシノール、メト
キシレゾルシノール、ジメトキシレゾルシノール、エト
キシレゾルシノール、メチルレゾルシノール、ジメチル
レゾルシノール、トリメチルレゾルシノール、エチルレ
ゾルシノール、ジエチルレゾルシノール、プロピルレゾ
ルシノール、ブチルレゾルシノール、ペンチルレゾルシ
ノール、ヘキシルレゾルシノール、フェニルレゾルシノ
ール、ヘプチルレゾルシノール、オクチルレゾルシノー
ル、ノニルレゾルシノール、エチルメチルレゾルシノー
ル、エチルペンチルレゾルシノール、ニトロレゾルシノ
ール、ジニトロレゾルシノール、カテコール、メチルカ
テコール、エチルカテコール、プロピルカテコール、ブ
チルカテコール、3−(1,1−ジメチルエチル)カテ
コール、ペンチルカテコール、4−(1,1−ジメチル
プロピル)カテコール、ヘキシルカテコール、シクロヘ
キシルカテコール、ノニルカテコール、ジメチルカテコ
ール、ニトロカテコール、ジニトリルカテコール、メト
キシカテコール、プロピオキシカテコール、ジメチルカ
テコール、ジニトロカテコール、トリメトキシカテコー
ル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノ
ールAD、ビスフェノールS、トリヒドロキシジフェニ
ルジメチルメタン、オキシビスフェノール、チオビスフ
ェノール、4,4’−スルフィニルビスフェノール、
4,4’−イソビチリデンビスフェノール、メチリデン
ビスカテコール、ジヒドロキシジフェニル、ピロガロー
ル、フルオログリシン、サリチル酸、アナカルド酸、ノ
ボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等、およびこ
れらのハロゲン化物が挙げられる。
【0117】またアミン類としては、アリルアミン、イ
ソプロピルアミン、3,3’−イミノビス(プロピルア
ミン)、メチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3
−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3−
エトキシプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミ
ン、ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロ
ピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N−メチ
ル−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、3−メ
トキシプロピルアミン、イソシアヌレート、ジエチレン
トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレン
ペンタミン、ジプロピレントリアミン、ビス(ヘキサメ
チレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノメチル
ヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチ
レングリコール・ビスプロピレンジアミン、ジエチルア
ミノプロピルアミン、メンセンジアミン、イソフォロン
ジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシ
ル)メタン、N−アミノエチルピペラジン、メタキシレ
ンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェ
ニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジ
フェニルメタン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキ
サン、ビスメチルアミノジフェニルアミン、ジアミノジ
フェニルアミン、ジアミノジベンジルアミン、トリアミ
ノトリベンジルアミン、ジアミノキシレン、キシリレン
ジアミン、ジアミノメシチレン、テトラヒドロナフチレ
ンジアミン、ナフチレンジアミン、メチルベンジジン、
ジアミノジベンジル、ジアミノメチルジフェニルメタ
ン、ジアミノジメチルジフェニル、ジアミノフルオレ
ン、ジアミノスチルベン、ビスアミノフェニルアセチレ
ン、ジアミノアントラセン、ジアミノジナフチル、テト
ラフェニル−ビスアミノフェニルキシロール、エチレン
グリコール−ビスアミノフェニルエーテル、ジアミノジ
フェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルフィド、ジ
アミノジフェニルジスルフィド、ハイドロキノン−ビス
アミノフェニルエーテル、ジアミノジベンジルスルフィ
ド、ジアミノナフトール、オキシベンジジン、ジアミノ
ジフェニルカルビノール、ジアミノトリフェニルカルビ
ノール、ジアミノカテコール、ジアミノジオキシフェナ
ントレン、ジアミノピロガロール、ジアミノフルオログ
ルシンなどが挙げられる。
【0118】さらに、多塩基酸類や酸無水物とは、酸無
水物環を一個以上またはカルボキシル基を2個以上有す
る化合物であり、例えば無水フタル酸、無水マレイン
酸、フタル酸、マレイン酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、メチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビ
フェニルジカルボン酸、4,4’−カルボニル二安息香
酸、4,4’−オキシ二安息香酸、4,4’−スルホニ
ル二安息香酸、フェニレン二安息香酸、コハク酸、フマ
ル酸、グルタル酸、シクロプロパンジカルボン酸、シク
ロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、
シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−(2−ノルボル
ネン)ジカルボン酸、2,3−ビシクロ[2.2.2]
オクタンジカルボン酸及びその無水物、シクロヘキサン
二酢酸及びその無水物、1,3−アダマンタンジカルボ
ン酸、アジピン酸等が挙げられる。
【0119】本発明では、上記アルコール類やフェノー
ル類、アミン類、多塩基酸類、酸無水物の中から選ばれ
た単一組成のエポキシ樹脂であっても良いし、2種以上
の共重合体、または混合物であっても良い。
【0120】また、該脂環式エポキシ樹脂系とは、分子
内にエポキシシクロヘキシル環を有する環式脂肪族の化
合物であり、例えばビス(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキシルメ
チル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレー
ト、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)オ
キサレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシク
ロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキ
シシクロヘキシルメチル)ピメレート、6−メチル−
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−
3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシルメチル−
3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキサンカルボキ
シレート、3,4−エポキシ−5−メチル−シクロヘキ
シルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキ
サンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサ
イド、ジペンテンジオキサイド、2−(3,4−エポキ
シシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキ
シ)シクロヘキサンメタン等が挙げられる。
【0121】本発明で用いられる上記エポキシ化合物の
エポキシ当量は、その分子量にも左右されるが、通常、
80〜10000g/当量のものが好適に用いられる。
また、本発明で用いられる上記エポキシ樹脂は、室温
(25℃)において、液状であっても固体状であっても
よい。
【0122】本発明の脂環基含有エステル化合物と他の
エポキシ樹脂を併用して用いる場合は、用途分野などに
応じて左右されるが、両者の混合比が重量比で、(本発
明の脂環基含有化合物:その他のエポキシ樹脂)=(1
〜99:99〜1)の範囲で用いられる。
【0123】本発明の脂環基含有エステル化合物は、上
記に示した硬化剤や、他のエポキシ化合物の他に、必要
に応じて反応促進剤、反応希釈剤、充填剤や強化剤、三
酸化アンチモン、ブロム化合物、水酸化アルミニウムな
どの難燃剤、染料や顔料、離型剤や流動調整剤、可塑
剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベ
リング剤、着色剤、二酸化チタン、溶剤などを添加する
ことができ、その適用量は本発明の効果を損なわない範
囲で任意に適用することができる。
【0124】反応促進剤としては、例えば2−エチル−
4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1
−ベンジル−2−メチルイミダゾールなどのイミダゾー
ル類、ジメチルシクロヘキシルアミン、ベンジルジメチ
ルアミン、トリス(ジアミノメチル)フェノールなどの
第3級アミン類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,
0)ウンデセン−7などのジアザビシクロアルケン類お
よびそれらの塩類、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫やア
ルミニウムアセチルアセトン錯体などの有機金属化合
物、トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニルな
どの有機リン系化合物、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ
素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ピペリジン錯
体、トリフェニルボレートなどの硼素系化合物、塩化亜
鉛、塩化第二錫などの金属ハロゲン化物、第4級アンモ
ニウム化合物、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシ
メチルペンタンのナトリウムアルコレートなどのアルカ
リ金属アルコレート類、アナカルド酸及びその塩、カル
ドール、カルダノール、フェノール、ノニルフェノー
ル、クレゾールなどのフェノール類などが挙げられる。
【0125】反応希釈剤としては、ブチルグリシジルエ
ーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシ
ルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニル
グリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p
−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、グリシ
ジルメタクリレート、3級カルボン酸グリシジルエステ
ル、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリ
シジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジル
エーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、
ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルア
ニリン、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテ
ル、グリセリントリグリシジルエーテルなどが挙げられ
る。
【0126】充填剤や強化剤としては、例えばコールタ
ール、瀝青、織布、ガラス繊維、アスベスト繊維、硼素
繊維、炭素繊維、アラミド繊維、鉱物シリケート、雲
母、石英粉、水酸化アルミニウム、ベントナイト、カオ
リン、珪酸エアロゲル、アルミニウム粉や鉄粉などの金
属粉などが挙げられる。
【0127】また、離型剤や流動調整剤としては、例え
ばシリコーン、エアロジル、コロイド性含水珪酸アルミ
ニウム、ワックス、ステアリン酸塩、炭酸カルシウム、
タルクなどが挙げられる。
【0128】さらに、可塑剤としてはパイン油、低粘度
液状高分子、ゴム状物、タール、ポリサルファイド、ウ
レタンプレポリマー、ポリオール、ジエチルフタレー
ト、ジブチルフタレート、エピクロルヒドリンの重合
物、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ト
リクレジルホスフェートなどが挙げられる。
【0129】本発明の脂環基含有エステル化合物をこれ
ら他の成分と配合することにより硬化性組成物を製造す
る場合は、溶融混練等特に制限はなく、慣用の配合方法
が適用できる。
【0130】以上のようにして配合された、本発明の脂
環基含有エステル化合物からなる硬化性組成物は、加熱
することにより、又は紫外線等の光エネルギーにより硬
化させることにより、耐候性、耐熱性、及び耐水性の良
好な硬化体得ることができる。
【0131】例えば、加熱により硬化させる場合は、通
常室温〜300℃、望ましくは80〜250℃の範囲で
硬化反応を行うことができる。硬化時間は、該組成にも
左右させるが、通常、数秒〜200時間の範囲である。
【0132】また、本発明の脂環基含有エステル化合物
は、有機リン化合物を難燃剤として含有する熱可塑性樹
脂に配合することにより、含有される酸成分等を安定化
させることができる。該熱可塑性樹脂としては、ポリカ
ーボネート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂とABS樹
脂あるいはHIPS樹脂からなるポリマーアロイ、ポリ
フェニレン系樹脂及びこれにスチレン系樹脂がブレンド
された樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ
オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアセター
ル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリ塩化ビニ
ル樹脂等が挙げられる。中でもポリカーボネート系樹
脂、ポリカーボネート系樹脂とABS樹脂あるいはHI
PS樹脂からなるポリマーアロイ、ポリフェニレン系樹
脂及びこれにスチレン系樹脂がブレンドされた樹脂に好
適に使用できる。
【0133】また、本発明の脂環基含有エステル化合物
を上記難燃性熱可塑性樹脂に配合する場合の使用量は、
該脂環式エステル化合物のエポキシ当量や、用いる難燃
剤の種類やその酸価にも左右されるが、通常、該難燃剤
100重量部に対し、0.001〜30重量部である。
該使用量が0.001未満の場合は酸成分に対する安定
化効果が低く、また30重量部を越える場合は難燃効果
や樹脂の耐衝撃性が低下する傾向にある。
【0134】以下、本発明の新規な構造を有する脂環基
含有エステル化合物及びその製造方法を実施例により説
明する。
【0135】
【実施例】<測定法> 1.核磁気共鳴スペクトル 反応生成物の核磁気共鳴スペクトルは、テトラメチルシ
ランを基準物質とし、重クロロホルムを溶媒として用い
て、日本電子製JNM−α400(400MHz)で1
H−NMRスペクトル、及び13C−NMRのデータを得
た。
【0136】2.赤外吸収スペクトルの測定(IR) 反応生成物を臭化カリウム板に塗布し、Nicolet
Instrument Corporation社製
FT−IRスペクトロメーター、Impact400D
で測定した。
【0137】3.ガスクロマトグラフィーの測定 ガスクロマトグラフィーの測定は、以下の装置及び条件
で行った。 装置 :島津製作所社製GC−14B カラム:GL Science Inc.社製 キャピ
ラリーカラム TC−1(0.25mmI.D.、長さ30m) キャリアガス:He 検出:FID カラム温度条件:60℃で2分保持後、20℃/min
で300℃まで昇温し、300℃で15分保持 試料溶解溶媒:クロロホルム
【0138】4.液体クロマトグラフィーの測定 試料をメタノールに溶解した溶液を、下記条件で展開・
検出することにより分析を行った。 検出器 :島津製作所社製SPD−6A 検出波長 :254nm 展開液 :メタノール/水=8/2(体積比) 展開液流速:1ml/分 カラム :日本分光社製Finepak SIL C
18S カラム温度:40℃
【0139】5.エポキシ当量の測定 化合物0.5000g、n−プロピルアルコールを50
ml、ベンジルアルコール3ml、及びヨウ化カリウム
0.2gを蒸留水に溶解した溶液をを混合し、加熱する
ことにより還流させ、ついで、指示薬としてBTB溶液
を添加し、0.1Nの塩酸を用いて、滴定を行うことで
当量点を求める、指示薬滴定法によりエポキシ当量を測
定した。
【0140】実施例1 <エステル交換による不飽和脂環式エステル基を有する
脂環基含有エステル化合物の合成>攪拌装置、温度計、
窒素ガス導入管、及び蒸留用冷却管付きト字管を付した
1リットルの4つ口フラスコに、酸価0.00001当
量/100g以下であるであるイソフタル酸ジメチルを
194g(1モル)、3−ヒドロキシシクロヘキセンを
392g(4モル)、水酸化リチウムを2.4g(0.
1モル)を仕込んだ。ついで、上記窒素導入管の先端を
反応液内に入るように設定し、窒素ガスを流すことによ
り液をバブリングした。
【0141】攪拌しながら、反応液温度が95℃になる
ようにフラスコを加熱し、95℃において4時間、10
5℃で2時間、115℃で1時間反応させた。この間、
蒸留用冷却管を通じ、3−ヒドロキシシクロヘキセンを
含有するメタノールが留出した。ついで、窒素のバブリ
ングを停止し、蒸留用冷却管の先端からトラップを介
し、減圧ラインを設置し、温度を115℃に保持したま
ま、10torrまで約3時間かけて真空度を低下さ
せ、10torrにおいて2時間保持した。
【0142】反応終了後、フラスコ温度を室温に冷却
し、ヘキサン500mlを添加し、生成物を溶解後、2
リットルの分液ロートへ移し、さらにヘキサン250m
lを添加した。そして、蒸留水500mlで加えヘキサ
ン層を洗浄する操作を5回行った。得られたヘキサン層
を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレートするこ
とによりヘキサンを除去した結果、淡黄色の粘性液体を
324g得た。
【0143】ガスクロマトグラフィーの測定の結果、原
料のイソフタル酸ジメチルは全く観測されず、転化率は
100%であった。さらに、液体クロマトグラフィーに
よる測定の結果、検出されたピーク全体の面積に対する
主生成物ピークの面積比は98%であった。
【0144】また、得られた生成物の元素分析の結果を
表1に示した。また、IR測定結果を図1に示した。さ
らに、各磁気共鳴スペクトルの測定を行い、下記に示す
結果を得た。また、得られたスペクトルを図2に示し
た。
【0145】<1H−NMRスペクトル> δ(ppm):7.40〜8.80(4H、芳香環中の
炭素原子上にあるプロトン) δ(ppm):5.75〜6.15(4H、脂環基中の
炭素−炭素不飽和2重結合を形成する炭素上のプロト
ン) δ(ppm):5.45〜5.60(2H、脂環基中の
エステル酸素原子に結合する炭素上のプロトン) δ(ppm):1.20〜2.25(12H、脂環基中
の炭素−炭素不飽和2重結合を形成しておらず且つエス
テル酸素原子に結合していない炭素原子上のプロトン) δ(ppm):7.25〜7.30(測定時に用いた溶
媒クロロホルムに由来するプロトン)
【0146】以上の結果から、本実施例で得られた粘性
液体は下式(10)で得られる不飽和脂環式エステル基
を有した脂環基含有エステル化合物である。
【0147】
【化16】
【0148】実施例2 <エステル交換による不飽和脂環式エステル基を有する
脂環基含有エステル化合物の合成>スベリン酸ジメチル
を202g(1モル)用いた以外は実施例1と同様の操
作を行い、淡黄色液体333gを得た。ガスクロマトグ
ラフィーの測定の結果、原料のスベリン酸ジメチルは全
く観測されず、転化率は100%であり、検出されたピ
ーク全体の面積に対する主生成物ピークの面積比は98
%であった。
【0149】また、得られた生成物の元素分析の結果を
表1に示した。また、IR測定結果を図3に示した。さ
らに、各磁気共鳴スペクトルの測定を行い、下記に示す
結果を得た。また、得られたスペクトルを図4に示し
た。
【0150】<1H−NMRスペクトル> δ(ppm):5.65〜6.02(4H、脂環基中の
炭素−炭素不飽和2重結合を形成する炭素上のプロト
ン) δ(ppm):5.20〜5.35(2H、脂環基中の
エステル酸素原子に結合する炭素上のプロトン) δ(ppm):2.22〜2.40(4H、エステル基
中の炭素に結合するメチレン基中の炭素上のプロトン) δ(ppm):1.24〜2.20(20H、脂環基中
の炭素−炭素不飽和2重結合を形成しておらず且つエス
テル酸素原子に結合していない炭素原子上のプロトン、
及びエステル基中の炭素に結合していないメチレン基中
の炭素上のプロトン) δ(ppm):7.25〜7.30(測定時に用いた溶
媒クロロホルムに由来するプロトン)
【0151】以上の結果から、本実施例で得られた粘性
液体は下式(11)で得られる不飽和脂環式エステル基
を有した脂環基含有エステル化合物である。
【0152】
【化17】
【0153】実施例3 <エステル交換による不飽和脂環式エステル基を有する
脂環基含有エステル化合物の合成>攪拌装置、温度計、
窒素ガス導入管、及び蒸留用冷却管付きト字管を付した
1リットルの4つ口フラスコに、セバシン酸ジメチルを
230g(1モル)、3−ヒドロキシシクロヘキセンを
392g(4モル)、チタンテトライソプロポキシドを
2.84g(0.01モル)を仕込んだ。ついで、上記
窒素導入管の先端を反応液内に入るように設定し、窒素
ガスを流すことにより液をバブリングした。
【0154】攪拌しながら、反応液温度が120℃にな
るようにフラスコを加熱し、該温度において120℃に
おいて4時間、140℃で2時間、150℃で2時間反
応させた。この間、蒸留用冷却管を通じ、3−ヒドロキ
シシクロヘキセンを含有するメタノールが留出した。つ
いで、窒素のバブリングを停止し、蒸留用冷却管の先端
からトラップを介し、減圧ラインを設置し、温度を15
0℃に保持したまま、10torrまで約2時間かけて
真空度を低下させ、10torrにおいて2時間保持し
た。
【0155】反応終了後、フラスコ温度を室温に冷却
し、ヘキサン500mlを添加し、生成物を溶解後、2
リットルの分液ロートへ移し、さらにヘキサン250m
lを添加した。そして、蒸留水500mlで加えヘキサ
ン層を洗浄する操作を5回行った。得られたヘキサン層
を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレートするこ
とによりヘキサンを除去した結果、淡黄色の粘性液体を
361g得た。
【0156】ガスクロマトグラフィーの測定の結果、原
料のセバシン酸ジメチルは全く観測されず、転化率は1
00%であった。また、検出されたピーク全体の面積に
対する主生成物ピークの面積比は99%であった。
【0157】また、得られた生成物の元素分析の結果を
表1に示した。また、IR測定結果を図5に示した。さ
らに、各磁気共鳴スペクトルの測定を行い、下記に示す
結果を得た。また、得られたスペクトルを図6に示し
た。
【0158】<1H−NMRスペクトル> δ(ppm):5.65〜6.00(4H、脂環基中の
炭素−炭素不飽和2重結合を形成する炭素上のプロト
ン) δ(ppm):5.20〜5.35(2H、脂環基中の
エステル酸素原子に結合する炭素上のプロトン) δ(ppm):2.20〜2.35(4H、エステル基
中の炭素に結合するメチレン基中の炭素上のプロトン) δ(ppm):1.20〜2.20(24H、脂環基中
の炭素−炭素不飽和2重結合を形成しておらず且つエス
テル酸素原子に結合していない炭素原子上のプロトン、
及びエステル基中の炭素に結合していないメチレン基中
の炭素上のプロトン) δ(ppm):7.25〜7.30(測定時に用いた溶
媒クロロホルムに由来するプロトン)
【0159】以上の結果から、本実施例で得られた粘性
液体は下式(12)で得られる不飽和脂環式エステル基
を有した脂環基含有エステル化合物である。
【0160】
【化18】
【0161】実施例4 <酸ハライドを用いた、不飽和脂環式エステル基を有す
る脂環基含有エステル化合物の合成>攪拌装置、温度
計、滴下ロート、還流器を付した1リットルの4つ口フ
ラスコに、イソフタル酸ジクロライド20.3g(0.
1モル)、クロロホルム400ml、及びトリエチルア
ミン40.4gを仕込み、該フラスコを温度10℃の水
槽に入れ、激しく攪拌した。ついで、該滴下ロートを用
いて3−ヒドロキシシクロヘキセン23.52g(0.
24モル)を約30分かけて滴下した。滴下後、10℃
で1時間、ついで、該水槽の温度を約1時間書けて50
℃まで上昇させ、該温度で3時間攪拌し、さらに80℃
で6時間攪拌した。
【0162】そして、フラスコ室温に戻し、内容物を1
リットルの分液ロートに移し、300mlの蒸留水で該
クロロホルム溶液を洗浄する操作を5回繰り返した。そ
の後クロロホルム層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、
エバポレートすることにより溶媒であるクロロホルム及
び残留する3−ヒドロキシシクロヘキセンやトリエチル
アミンを除去した。その結果、淡黄色の粘性液体が3
2.5g得られた。
【0163】液体クロマトグラフィーの測定結果、検出
されたピーク全体の面積に対する主生成物ピークの面積
比は98%であった。
【0164】上記得られた生成物のIR測定、及び核磁
気共鳴スペクトルの測定の結果、実施例1で得た結果と
同等であり、本実施例で得られた化合物は実施例1で得
た化合物と同じ脂環基含有エステル化合物であった。
【0165】参考例1 <過酸化水素を用いたエポキシ化による、エポキシ化脂
環式エステル基を有する脂環基含有エステル化合物の合
成>攪拌装置、温度計を付した500mlの三口フラス
コに、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4・2H2
O)を1.649g(5ミリモル)、30%過酸化水素
水51.0gを入れ、黄色溶液を作成した。ついで、8
5%リン酸水溶液を添加し、該水溶液のpHを1.75
に調整した。
【0166】一方、トルエン400ml、CH3
[(CH2)7CH33Cl(アルドリッチ社製、Al
iquat336)1.617g(4ミリモル)、及び
実施例1で得られた脂環基含有エステル化合物32.6
g(0.1モル)からなる均一溶液を調整した。これを
上記水溶液に滴下ロートを用いて、約30分かけて滴下
した。滴下終了後、41℃の高温槽中で攪拌し、約40
時間かけて反応を終了させた。
【0167】反応終了後、分液ロートを用いてトルエン
槽を分離し、1Nのチオ硫酸ナトリウム水溶液100m
l、蒸留水300ml、1Nの炭酸水素ナトリウム水溶
液100ml、蒸留水400mlの順で該トルエン溶液
を洗浄した。
【0168】このようにして得られたトルエン溶液を無
水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過により無水硫酸マグ
ネシウムを除去し、該溶液に200mlのトルエンを加
えて希釈し、さらに乾燥シリカゲルを400g加えた。
1時間攪拌後、濾過により該シリカゲルを除去し、濾液
として得られたトルエン溶液をエバポレートすることに
よりトルエンを除去し、微かに黄色の透明な高粘性液状
の化合物を35.7g得た。液体クロマトグラフィーの
分析の結果、主生成物の純度は98.2%であった。ま
た、エポキシ当量の測定の結果、183g/当量であっ
た。
【0169】また、得られた生成物の元素分析の結果を
表1に示した。また、IR測定結果を図7に示した。さ
らに、各磁気共鳴スペクトルの測定を行い、下記に示す
結果を得た。また、得られたスペクトルを図8に示し
た。
【0170】<1H−NMRスペクトル> δ(ppm):7.50〜8.80(4H、芳香環中の
炭素原子上にあるプロトン) δ(ppm):3.20〜3.50(4H、脂環基中の
エポキシ酸素に結合する炭素上のプロトン) δ(ppm):5.30〜5.40(2H、脂環基中の
エステル酸素原子に結合する炭素上のプロトン) δ(ppm):1.20〜2.20(12H、脂環基中
の炭素−炭素不飽和2重結合を形成しておらず且つエス
テル酸素原子に結合していない炭素原子上のプロトン) δ(ppm):7.25〜7.30(測定時に用いた溶
媒クロロホルムに由来するプロトン)
【0171】以上の結果から、本実施例で得られた高粘
性液体は下式(13)で得られるエポキシ化脂環式エス
テル基を有した脂環基含有エステル化合物である。
【0172】
【化19】
【0173】参考例2 <過カルボン酸を用いたエポキシ化による、エポキシ化
脂環式エステル基を有する脂環基含有エステル化合物の
合成>実施例2で得られた化合物33.4g(0.1モ
ル)を600mlのクロロホルムに溶解し、該溶液を水
で冷却しながら、乾燥m−クロロ過安息香酸20.7g
(0.12モル)を添加し、室温中で、12時間攪拌し
た。
【0174】反応終了後、上記反応液に水酸化カルシウ
ム13.3gを添加し、1時間攪拌後、該溶液を濾過処
理し、ついでクロロホルムを減圧除去することにより、
微かに淡い黄色の透明な粘性液体36.5gを得た。
【0175】該化合物のエポキシ当量を測定したとこ
ろ、187g/当量であり、エポキシ化合物が生成して
いた。
【0176】また、得られた化合物の元素分析結果を表
1に示した。IR測定結果を図9に示した。さらに核磁
気共鳴スペクトルの測定を行い、以下の結果を得た。ま
た、得られたスペクトルを図10に示した。
【0177】<1H−NMRスペクトル> δ(ppm):5.00〜5.25(2H、脂環基中の
エステル酸素原子に結合する炭素上のプロトン) δ(ppm):3.00〜3.40(4H、脂環基中の
エポキシ酸素に結合する炭素上のプロトン) δ(ppm):2.25〜2.45(4H、エステル基
中の炭素に結合するメチレン基中の炭素上のプロトン) δ(ppm):1.20〜2.10(20H、脂環基中
のエポキシ酸素に結合しておらず且つエステル酸素原子
に結合していない炭素原子上のプロトン、及びエステル
基中の炭素に結合していないメチレン基中の炭素上のプ
ロトン) δ(ppm):7.25〜7.30(測定時に用いた溶
媒クロロホルムに由来するプロトン)
【0178】以上の結果から、上記反応で得られた粘性
液体は下式(14)で表されるエポキシ化脂環式エステ
ル基を有する脂環基含有エステル化合物である。
【0179】
【表1】
【0180】
【化20】
【0181】参考例3 <過カルボン酸を用いたエポキシ化による、エポキシ化
脂環式エステル基を有する脂環基含有エステル化合物の
合成>実施例3で得られた化合物を36.2g用いた以
外は、参考例2と同様の操作を行い、生成物39.2g
を得た。
【0182】得られた化合物のエポキシ当量を測定した
ところ、202g/当量であり、エポキシ化合物が生成
していた。
【0183】また、得られた化合物の元素分析結果を表
1に示した。また、IR測定結果を図11に示した。さ
らに核磁気共鳴スペクトルの測定を行い、以下の結果を
得た。また、得られたスペクトルを図12に示した。
【0184】<1H−NMRスペクトル> δ(ppm):5.00〜5.20(2H、脂環基中の
エステル酸素原子に結合する炭素上のプロトン) δ(ppm):3.00〜3.35(4H、脂環基中の
エポキシ酸素に結合する炭素上のプロトン) δ(ppm):2.25〜2.45(4H、エステル基
中の炭素に結合するメチレン基中の炭素上のプロトン) δ(ppm):1.22〜2.10(24H、脂環基中
のエポキシ酸素に結合しておらず且つエステル酸素原子
に結合していない炭素原子上のプロトン、及びエステル
基中の炭素に結合していないメチレン基中の炭素上のプ
ロトン) δ(ppm):7.25〜7.30(測定時に用いた溶
媒クロロホルムに由来するプロトン)
【0185】以上の結果から、上記反応で得られた化合
物は下式(15)で表されるエポキシ化脂環式エステル
基を有する脂環基含有エステル化合物である。
【0186】
【化21】
【0187】参考例4 <脂環式エピノール化合物を用いた脂環基含有エステル
化合物の合成>攪拌装置、温度計、窒素ガス導入管、及
び蒸留用冷却管付きト字管を付した100mlの4つ口
フラスコに、酸価0.00001当量/100g以下で
あるイソフタル酸ジメチルを19.4g(0.1モ
ル)、2,3−エポキシシクロヘキサン−1−オールを
45.6g(0.4モル)、水酸化リチウムを0.2g
(0.083モル)を仕込んだ。ついで、上記窒素導入
管の先端を反応液内に入るように設定し、窒素ガスを流
すことにより液をバブリングした。
【0188】攪拌しながら、反応液温度が90℃になる
ようにフラスコを加熱し、90℃において2時間、10
0℃で1時間、110℃で2時間反応させた。
【0189】ついで、窒素のバブリングを停止し、蒸留
用冷却管の先端からトラップを介し、減圧ラインを設置
し、温度を110℃に保持したまま、10torrまで
約1時間かけて真空度を低下させ、10torrにおい
て30時間保持した。
【0190】反応終了後、フラスコ温度を室温に冷却
し、トルエン300mlを用いて生成物を溶解させなが
ら1リットルの分液ロートへ移し、さらにトルエン15
0mlを添加した。そして、蒸留水300mlで加えト
ルエン層を洗浄する操作を5回行った。得られたトルエ
ン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレートす
ることによりトルエンを除去した結果、淡黄色の粘性液
体を32.5gを得た。
【0191】液体クロマトグラフィーの測定の結果、原
料のイソフタル酸ジメチルは全く観測されず、転化率は
100%であった。さらに、検出されたピーク全体の面
積に対する主生成物ピークの面積比は97%であった。
また、エポキシ当量の測定の結果、182g/当量であ
った。
【0192】また、得られた液体のIRスペクトルの測
定、及び核磁気共鳴スペクトルの測定結果、参考例1で
得られたエポキシ化合物と同様のスペクトルを示した。
【0193】参考例5 <脂環基含有エステル化合物の硬化物の作成と評価>参
考例5で得られた化合物10.0g、硬化剤としてヘキ
サヒドロ無水フタル酸8.4g、硬化促進剤として2−
エチル−4−メチルイミダゾール0.3gを配合し、5
0℃で混練することにより硬化性組成物を作成した。こ
の組成物を、窒素雰囲気下のオーブン中で80℃3時
間、100℃2時間、120℃2時間、140℃2時
間、160℃2時間、180℃2時間の順で加熱し、3
時間かけて冷却し、強固で且つ表面平滑性及び光沢性の
ある硬化物を得た。
【0194】また、該硬化物の耐候性評価として、ウエ
ザオメーターXENOTEST 1200CPS(He
raeus社製)を用い、ブラックパネル63℃、60
W/m2、降雨条件において、上記得られた硬化物に対
しキセノンアーク照射を行った。その結果、500時間
後の硬化物表面を目視で観察したところ、表面の光沢
性、色調、及び表面平滑性を保持していた。
【0195】比較例1 エポキシ当量が186g/当量であるビスフェノールA
グリシジルエーテル18.6gに対し、ヘキサヒドロ無
水フタル酸15.4g、2−エチル−4−メチルイミダ
ゾール0.1gを用いた以外は、参考例5と同様の方法
で硬化性組成物及び硬化物を作成し、強固で且つ表面平
滑性及び光沢性のある強固な硬化物を得た。
【0196】参考例6と同様の500時間の耐候性試験
の結果、硬化物を目視で観察したところ、色調が変化
し、表面の光沢性及び表面の平滑性が失われていた。
【0197】参考例6 <難燃性樹脂への配合及びその評価>下記に表す樹脂
(a)80重量部、樹脂(b)10重量部、樹脂(c)
10重量部、有機リン化合物(d)12重量部、及び、
参考例1で得られた脂環基含有エステル化合物0.1重
量部を、2軸押出機(ZSK−25、W&P社製)を用
いて250℃で溶融混練し、ペレタイズを行うことによ
り難燃性樹脂組成物を得た。ついで、得られた樹脂組成
物を乾燥し、シリンダー温度を樹脂導入部から吐出ノズ
ルにかけて240℃、260℃、280℃になるように
設定し、また、金型温度を80℃に設定し、射出成形を
行い、1/8インチ厚の短冊片を得た。
【0198】得られた短冊片において、下記に示す試験
法によりアイゾット衝撃試験、耐熱水性試験、耐高温高
湿性試験を行った。得られた試験結果を表2に示した。
【0199】(a)ビスフェノールAとジフェニルカー
ボネートから溶融エステル交換法により製造された重量
平均分子量が20,500であり、ヒドロキシ基末端量
が29%のビスフェノールA系ポリカーボネート
【0200】(b)アクリロニトリル単位25.0重量
%、スチレン単位75.0wt%からなる重量平均分子
量が140,000のアクリロニトリル・スチレン共重
合体
【0201】(c)10メッシュ残分が90%未満であ
るパウダー状ABS樹脂(三菱レイヨン(株)社製、商
品名RC)
【0202】(アイゾット衝撃試験)ASTM D25
6に準じて、1/8インチ厚、ノッチ付きで測定した
(単位:kgf・cm/cm)
【0203】(耐熱水性試験)1/8インチ厚短冊試験
片をオートクレーブ中で、120℃、2気圧飽和水蒸気
環境下で、96時間放置した後の黄変度を評価した。 ○:黄変が少ない ×:黄変が顕著である
【0204】(耐高温高湿性試験)1/8インチ厚短冊
片を60℃、85RH%の雰囲気中に、300時間放置
し、アイゾット衝撃試験を行った。
【0205】比較例2 脂環基含有エステル化合物を用いなかった以外は参考例
6と同様の操作を行うことにより難燃性樹脂成形体を作
成し、同様の評価を行った。結果を表2に示した。
【0206】
【表2】
【0207】
【発明の効果】本発明により得られる脂環基含有エステ
ル化合物は、耐候性、耐熱性、及び耐水性を有する硬化
物を与える架橋構造形成剤として好適に使用できる。ま
た、有機リン化合物等を含有する難燃性樹脂組成物の安
定剤として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた化合物の赤外吸収スペクト
ル図である。
【図2】実施例1で得られた化合物の1H−核磁気共鳴
スペクトル図である。
【図3】実施例2で得られた化合物の赤外吸収スペクト
ル図である。
【図4】実施例2で得られた化合物の1H−核磁気共鳴
スペクトル図である。
【図5】実施例3で得られた化合物の赤外吸収スペクト
ル図である。
【図6】実施例3で得られた化合物の1H−核磁気共鳴
スペクトル図である。
【図7】参考例1で得られた化合物の赤外吸収スペクト
ル図である。
【図8】参考例1で得られた化合物の1H−核磁気共鳴
スペクトル図である。
【図9】参考例2で得られた化合物の赤外吸収スペクト
ル図である。
【図10】参考例2で得られた化合物の1H−核磁気共
鳴スペクトル図である。
【図11】参考例3で得られた化合物の赤外吸収スペク
トル図である。
【図12】参考例3で得られた化合物の1H−核磁気共
鳴スペクトル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される脂環基含有
    エステル化合物。 【化1】 (式中、xは1又は2から選ばれる整数を表す。また、
    bは0又は1を表す。また、A、D及びEはそれぞれ独
    立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数12以下の置換基
    を有してもよいアルキル基、又はアルコキシル基を表
    す。また、Xは下記一般式(2)で表される不飽和脂環
    式エステル基を表す。また、Bは水素原子、ハロゲン原
    子、炭素数12以下の置換基を有してもよいアルキル
    基、アルコキシル基、またはアリルエステル基を表
    す。) 【化2】 (式中、mは1または2から選ばれる整数を表す。)
  2. 【請求項2】 下記一般式(3)で表される脂環基含有
    エステル化合物。 【化3】 (式中、Rは炭素数5以上の50以下の脂肪族炭化水素
    基、又はナフタレン骨格を表す。また、rは2以上の整
    数、qは0以上の整数を表す。また、Xは上記一般式
    (2)で表される不飽和脂環式エステル基を表す。)
  3. 【請求項3】 有機エステル化合物と不飽和脂環式アル
    コール化合物を用いてエステル交換反応させることを特
    徴とする、請求項1又は2記載の脂環基含有エステル化
    合物の製造方法。
  4. 【請求項4】 有機カルボン酸ハライドと不飽和脂環式
    アルコール化合物とを反応させることを特徴とする請求
    項1または2記載の脂環基含有エステル化合物の製造方
    法。
JP2001089502A 2001-03-27 2001-03-27 脂環基含有エステル化合物及びその製造方法 Pending JP2001316335A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001089502A JP2001316335A (ja) 2001-03-27 2001-03-27 脂環基含有エステル化合物及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001089502A JP2001316335A (ja) 2001-03-27 2001-03-27 脂環基含有エステル化合物及びその製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36884199A Division JP2001181238A (ja) 1999-12-27 1999-12-27 脂環基含有エステル化合物及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001316335A true JP2001316335A (ja) 2001-11-13

Family

ID=18944422

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001089502A Pending JP2001316335A (ja) 2001-03-27 2001-03-27 脂環基含有エステル化合物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001316335A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101952321B1 (ko) 에폭시 수지, 에폭시 수지 조성물 및 경화물
WO2008004504A1 (fr) Composé diépoxy alicyclique, composition de résine époxyde et produit durci
WO2020213526A1 (ja) 脂環式エポキシ化合物製品
WO2014181787A1 (ja) 硬化性エポキシ樹脂組成物及びその硬化物、ジオレフィン化合物及びその製造方法、並びにジエポキシ化合物の製造方法
JPH10218973A (ja) カルドール構造を有する新規エポキシ樹脂
WO2019138988A1 (ja) 脂環式エポキシ化合物製品
JP4762659B2 (ja) エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂組成物
JP4578188B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、光半導体封止剤及び光半導体装置
JP2001181238A (ja) 脂環基含有エステル化合物及びその製造方法
JP5213547B2 (ja) エポキシ基含有エステル化合物を含む硬化性組成物、該組成物の製造方法およびエポキシ基含有エステル化合物
WO2001047907A1 (fr) Ester contenant de l'epoxy alicyclique et procede de production de ce dernier
JP2013139527A (ja) イソシアヌレート化合物
KR910004902B1 (ko) 에폭시드기를 함유하는 페놀 에테르
JP2005097473A (ja) 新規エポキシ化合物、その製造方法、硬化性エポキシ樹脂組成物およびその硬化体
JP2001181268A (ja) 脂環式エポキシ化合物及びその組成物
JP2001316335A (ja) 脂環基含有エステル化合物及びその製造方法
JP6461721B2 (ja) エポキシ化合物及びその部分エステル化エポキシ化合物、その製造方法、並びにそれを含む硬化性組成物
JP4397084B2 (ja) 新規脂環基含有化合物及びその製造方法
JP6736051B2 (ja) エポキシ樹脂、完全変性エポキシ樹脂及びそれらを含む硬化性組成物
KR20160006199A (ko) 경화성 에폭시 수지 조성물 및 그의 경화물
JP2001181267A (ja) 脂環式化合物及びその製法
JP4553432B2 (ja) 新規脂環式エポキシ化合物の製造方法
JPH11106607A (ja) 硬化性エポキシ樹脂組成物
JP2001158792A (ja) エポキシ化合物
JP4605855B2 (ja) エポキシ樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Effective date: 20040301

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423