JP4397084B2 - 新規脂環基含有化合物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な脂環基含有化合物及びその製造法に関する。さらに詳しくは、炭素−炭素不飽和2重結合やオキシラン環を脂環基内に有する反応性脂環基を分子内に含有し、耐熱性の改善された硬化物を与える、各種硬化性組成物における架橋構造形成性化合物として有用な新規な脂環基含有化合物とその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電気絶縁材、各種注型成型材、塗料等に用いられる架橋構造形成性化合物として、熱や光で架橋反応を起こす反応性官能基を有する化合物が広く用いられており、その種類及び用途は近年、さらに拡大の傾向にある。例えば電気分野等においては、より高いガラス転移点が求められる等、硬化物の耐熱性や長期にわたる耐熱安定性等の熱的性能の向上が望まれており、そのような硬化物を得るための高性能な架橋構造形成剤が強く望まれている。
【0003】
一般に、これら硬化性化合物として用いられる化合物は、硬化剤等との架橋時に副成物がでない付加反応を行い、且つその使用前においては保存安定性に優れるアリル基やグリシジル基を架橋に関わる反応性官能基として有している。
【0004】
例えば、アリル基を有する架橋構造形成性化合物としては、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられ、またグリシジル基を有し架橋構造形成性化合物に用いられる化合物としては、ビスフェノールAから誘導されるグリシジルエーテルやトリグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ化合物が一般的に広く用いられている。アリル基を含有する化合物は、例えば過酸化物等の反応開始剤や触媒を用いて、それ自体又は他の不飽和結合を有する化合物と反応させることにより硬化反応が行われており、また、グリシジル基を含有する化合物は、カチオン系触媒等の特定の触媒を用いてそれ自体を架橋させたり、アミン系化合物、カルボン酸基含有化合物や酸無水物、フェノール系化合物等と配合し熱硬化させることにより、各種硬化物に成形される。
【0005】
これらアリル基やグリシジル基を有する化合物は、一般に高い熱変形温度等の優れた耐熱性や、硬度や曲げ弾性率が高い等の優れた機械的特性を有しているが、これらの性能は、通常その化合物の該官能基以外の骨格の違いに大きく依存する。
【0006】
例えば、グリシジル基含有化合物としては、ビスフェノールAから誘導されるグリシジルエーテルが最も一般的に使用されており、実際、その原料であるビスフェノールAが工業的に最も容易に入手でき且つ安価である。しかし、ビスフェノールAを原料とするグリシジルエーテルは、一般的なアミンや酸無水物等の硬化剤と硬化させた場合、その熱変形温度は通常120〜140℃であり、それ以上の熱変形温度を得ようとすると、非常に特殊で入手が困難であり且つ高価である硬化剤を用いなければならない。
【0007】
また、一般的なアミンや酸無水物と硬化することにより、150℃を越えるような熱変形温度となる硬化物を与えるようなグリシジルエーテル系化合物も多く提案されているが、このような化合物を得るためには非常に特殊で工業的に入手が困難であり、且つ、高価なフェノール系化合物を原料として用い、グリシジルエーテル化を行わなければならない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐熱性の改善された、電気絶縁材、注型成形材、接着剤、塗料等に架橋構造形成剤として好適に使用できる、反応性脂環基を有した、新規な構造を有する脂環基含有化合物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高耐熱性の硬化物を与える架橋性化合物を得るべく、幅広く各種構造の架橋性化合物の構造とその硬化物の特性について鋭意検討した。その結果、環内に炭素−炭素2重結合やオキシラン環を有する脂環基を反応性官能基として、例えばビスフェノールA等の化合物に導入することにより、得られる硬化物の熱変形温度が、アリル基やグリシジル基を有する化合物に対し、著しく向上することを見出した。さらに、該反応性官能基を導入した化合物を用いることにより、得られる硬化物の機械的特性、耐水性、さらには耐候性も向上する傾向にあることを見出し、本発明に至った。
【0010】
1.下記一般式(1)で表される脂環基含有化合物。
【化1】
(式中、Rは、ビスフェノール、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノンからなる群より選択されるフェノール性水酸基を2個以上有する化合物のフェノール性水酸基を除く残基を表す。)
2.前記フェノール性水酸基を2個以上有する有機化合物がビスフェノールAまたはハイドロキノンである上記1.に記載の脂環基含有化合物。
3.上記1.または2に記載の脂環基含有化合物と、硬化剤とを含む硬化性組成物。
4.上記3.に記載の硬化性組成物を硬化せしめて得られる硬化体。
【0036】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0037】
本発明でいう活性水素とは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子に結合する水素原子を意味する。これら活性水素を有する活性水素含有基は、例えば、芳香環に結合する水酸基であるフェノール性水酸基、芳香環以外の炭素原子に結合する水酸基であるアルコール性水酸基、アミノ基、イミノ基、カルボキシル基、チオール基等があげられ、本発明で表現される活性水素とはこれら官能基に存在する水素原子を意味する。
【0038】
本発明において、上記一般式(1)中のRは、上記活性水素を少なくとも2個以上有し、且つフェノール性水酸基及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種以上の活性水素含有基を1つ以上有する有機化合物の該活性水素を除く残基表す。
【0039】
本発明の該残基の前駆体である有機化合物は、分子内に活性水素含有基を有する官能基としてフェノール性水酸基、及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有することを必須とし、さらに、これらの官能基のみ、又はこれらの官能基と他の活性水素含有基とを同時に有することにより、分子内に活性水素を少なくとも2個以上有する構造となることを必須とする。
【0040】
このような有機化合物としては、例えば、フェノール性水酸基を2個以上有する有機化合物、アミノ基を1個以上有する化合物、フェノール性水酸基と他の活性水素含有基を同時に有する化合物、アミノ基と他の活性水素含有基を同時に有する化合物、等があげられる。具体的にこれらの有機化合物の例を挙げると、例えばフェノール水酸基を2個以上有する有機化合物としては、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、臭素化ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等のビスフェノール類、カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフタレンジオール、カルドール、フェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂、さらには末端がヒドロキシフェニル型の芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、芳香族ポリスルホン等がある。
【0041】
また、アミノ基を1個以上有する化合物としては、アリルアミン、イソプロピルアミン、3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、メチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N−メチル−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、3−メトキシプロピルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノメチルヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレングリコール・ビスプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、N−アミノエチルピペラジン、メタキシレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルメタン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビスメチルアミノジフェニルアミン、ジアミノジフェニルアミン、ジアミノジベンジルアミン、トリアミノトリベンジルアミン、ジアミノキシレン、キシリレンジアミン、ジアミノメシチレン、テトラヒドロナフチレンジアミン、ナフチレンジアミン、メチルベンジジン、ジアミノジベンジル、ジアミノメチルジフェニルメタン、ジアミノジメチルジフェニル、ジアミノフルオレン、ジアミノスチルベン、ビスアミノフェニルアセチレン、ジアミノアントラセン、ジアミノジナフチル、テトラフェニル−ビスアミノフェニルキシロール、エチレングリコール−ビスアミノフェニルエーテル、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルフィド、ジアミノジフェニルジスルフィド、ハイドロキノン−ビスアミノフェニルエーテル、ジアミノジベンジルスルフィド、ジアミノナフトール、オキシベンジジン、ジアミノジフェニルカルビノール、ジアミノトリフェニルカルビノール、ジアミノカテコール、ジアミノジオキシフェナントレン、ジアミノピロガロール、ジアミノフルオログルシンモノメチルアミン、モノエチルアミン、プロピルアミン、モノブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、トルエンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アニリン、フェニレンジアミン、ジエチレントリアミン等が挙げられる。
【0042】
また、フェノール性水酸基と他の活性水素含有官能基を有する有機化合物としては、ヒドロキシ安息香酸、アミノフェノール、ヒドロキシベンジルアルコール等が挙げられる。
【0043】
本発明においては、工業的に入手が非常に容易であり、且つ十分な耐熱性を硬化物に与えることができる点で、該残基の前駆体である有機化合物としてハイドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノール類、トリフェノール類、アニリン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタンが好適に使用でき、特にビスフェノール類が好ましい。
【0044】
本発明の脂環基含有化合物は一般式(1)で表されるように、上記前駆体の活性水素を除く残基に、不飽和脂環基であるX、脂環式エポキシ基であるY、アリル基及びグリシジル基が結合している。本発明においては、該式中x、y、a、bは0を含む正の整数であり、且つ(x+y+a+b)が2以上であり、さらに(x+y)が1以上の整数であることが必須である。
【0045】
本発明においては、(x+y+a+b)は通常、2〜3000の範囲であり、望ましくは2〜2000、さらに望ましくは2〜500である。(x+y+a+b)が2未満の時は、各種架橋構造形成剤として用いた場合、得られる硬化物のガラス転移点が低い等の熱的性能が低いばかりでなく、架橋点密度が低く、硬度や衝撃強度等の力学強度が十分に得られない傾向にあるため望ましくない。また、(x+y+a+b)が3000を越える場合は、本発明の脂環基含有化合物の溶融する温度が高くなる傾向にあり、また、溶融時の粘度も高いため成形が困難となる傾向にある。さらに、(x+y+a+b)が3000を越える場合には、各種溶剤にも溶解しにくい傾向にあり、例えば溶剤系塗料としても用いることが困難となる傾向にあるため望ましくない。
【0046】
本発明の脂環基含有化合物においては、一般式(1)において、a=0であり且つb=0である場合である、一般式(2)で表される場合が好ましい。一般式(2)で表される脂環基含有化合物の場合、アリル基やグリシジル基が反応性官能基として含まれている場合よりも、得られる硬化物がより高いガラス転移点を有する。
【0047】
本発明の一般式(2)で表される脂環基含有化合物は、分子内にXで表される不飽和脂環基とYで表される脂環式エポキシ基を同時に含んでいてもよいし、いずれか一方の反応性脂環基のみを有していてもよい。特に本発明においては、同一分子中においてXとYのいずれかの反応性脂環基の存在比が高い場合が好ましい。さらには、いずれか一方の反応性脂環基のみを有している場合、つまり、一般式(2)中において、x=0の場合か又はy=0の場合が好ましい。分子内に反応性脂環基として上記不飽和脂環基と脂環式エポキシ基を同時に含む場合には、それぞれの反応性脂環基に適した硬化剤や硬化触媒を同時に用いる必要があり、さらに場合によっては硬化反応を各々の場合に分けて2段階で行う必要がある。
【0048】
一般式(2)においてx=0の場合には、架橋性反応基として分子内に脂環式エポキシ基のみを有するため、エポキシ化合物に対して一般的に用いられる硬化剤のみで架橋反応をさせることができる。また、一般式(2)においてy=0の場合は、不飽和2重結合に対して、一般に用いられる反応触媒や反応開始剤のみを用いて架橋反応をさせることができる。
【0049】
さらに、一般式(2)においてy=0の場合の本発明の脂環基含有化合物は、該脂環基に含まれる不飽和2重結合に対し各種官能基を導入することにより、多くの有用な化合物へ誘導できたり、また、該不飽和2重結合をエポキシ化反応を行うことにより、本発明の一般式(2)においてy=1以上又はx=0の脂環式エポキシ基を含有する脂環基含有化合物を得ることができる。
【0050】
本発明では、一般式(1−1)、(1−2)、(2−1)、及び(2−2)中で示されるn及びmは1又は2であり、同一分子中にn及びmが1と2の場合の置換基が同時に存在してもよい。nおよびmが、0の場合及び2を越える場合は、架橋剤として用いた場合、硬化物のガラス転移温度が低下する傾向にある。本発明ではn及びmがともに2である場合がガラス転移点や耐水性が高くなる傾向にあり望ましい。
【0051】
また、該式中で表されるPは水素原子であり、Qは不飽和2重結合を有してもよい炭素数15以下の炭化水素基、ハロゲン基、水酸基、アミノ基、グリシジル基を表す。該ハロゲンとはフッ素、塩素、臭素、沃素を意味する。また、同式中、p及びqは0〜9の整数でありn及びmが1の場合はp+qが7、また、n及びmが2の場合はp+qが9を表す。本発明においては、q=0である化合物が、耐水性、耐候性さらには電気特性が向上する点で望ましい。
【0052】
本発明の脂環基含有化合物は、上記残基の構造にその性状が左右され、室温で液状の場合、さらにはワックス状、非晶質固形状、結晶性固体状等の場合がある。
【0053】
以上、本発明の脂環基含有化合物の構造を説明したが、下記にそれらの代表的な構造を例示する。
【0054】
【化13】
【0055】
また、本発明の脂環基含有化合物は、上記要件を満たしていれば、例えば下記に例示した構造のように、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アリル基、グリシジル基、又は脂環式エポキシ基を上記残基構造部位に同時に含有していても構わない。
【0056】
【化14】
【0057】
以下、本発明の脂環基含有化合物の製造法について述べる。
まず、上式(1)においてy=0であり且つb=0で示される脂環基含有化合物の製造法について述べる。
【0058】
本発明の上式(1)において、y=0であり且つb=0で示される脂環基含有化合物は、上記活性水素を少なくとも2個以上有する有機化合物と、該活性水素を有する官能基と反応しうる官能基を有するシクロアルケニル化合物やアリル化合物とを反応させることにより得ることができる。
【0059】
例えば、3−ヒドロキシシクロヘキセン(以下、シクロヘキセノールという)、3−ヒドロキシシクロペンテン(以下、シクロペンテノールという)、及びアリルアルコールを該有機化合物の活性水素と反応させる方法や、ハロゲン化シクロヘキセン、ハロゲン化シクロペンテン及びハロゲン化アリルを該有機化合物の活性水素と脱ハロゲン化水素反応により結合させる方法等がある。さらには、本発明においては、結果として得られる脂環基含有化合物が上記本発明の脂環基含有化合物の構造をなしていれば、上記一般式(1)においてRで示される残基の前駆体となる有機化合物が酸クロライドを反応性官能基として有していてもよい。この場合は例えばシクロヘキセノールやシクロペンテノールを用いて、該酸クロライド部位と脱塩化水素反応をさせることにより、本発明の脂環基含有化合物を得てもよい。
【0060】
また、上記一般式(1)のRで示される残基の前駆体である有機化合物に、下式(3)で示されるような水酸基やハロゲン基の結合したシクロペンチル基又はシクロヘキシル基を結合させておいて、後工程として分子内脱水や分子内脱ハロゲン化水素反応をさせることにより、化式(1−1)で示される構造となるように不飽和結合を生じさせる方法を用いてもよい。
【0061】
【化15】
【0062】
本発明では、一般式(2)においてy=0である脂環基含有化合物の製造法として、上記ハロゲン化シクロヘキセンやハロゲン化シクロペンテンを用いて、フェノール性水酸基やアミノ基と反応させる方法が、選択性及び収率の高い点で好ましく、特にハロゲンとして工業的に入手が容易な塩素を用いて誘導された、3−クロルシクロヘキセン(以後3−CHEと記す)及び3−クロルシクロペンテン(以後3−CPEと記す)を用いる場合が好ましい。
【0063】
3−CHEは、例えば、シクロヘキセノールを塩化チオニルにより水酸基を塩素に置換する方法、シクロヘキセンを塩素ガスにより液相や気相において塩素化する方法、シクロヘキサジエンに塩化水素を付加することにより得る方法等により容易に得ることができる。また、3−CPEは、例えばシクロペンタジエンに塩化水素を付加させることにより容易に得ることができる。
【0064】
本発明においては、これら、3−CHEや3−CPEとフェノール性水酸基やアミノ基と反応させることにより、本発明の一般式(2)においてy=0である脂環基含有化合物を得ることができる。
【0065】
例えばフェノール性水酸基との反応の場合は、通常、アルカリの存在下で、3−CHEや3−CPEとの脱塩化水素又は脱アルカリ塩反応を行うことが適当である。用いる該アルカリとしては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩基性塩が好適に使用でき、具体的には例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水素化物、水酸化物及び炭酸塩が好適に用いられる。特に、産業上容易に入手できる点で、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムが望ましい。
【0066】
これらアルカリは、反応系に直接添加してもよく、また適当な溶媒に溶解した溶液状態で添加してもかまわない。さらには、あらかじめ、反応させるべきフェノール水酸基等の活性水素を有する有機化合物と上記アルカリと用いて、該有機化合物のアルカリ塩を予め準備しておき、ついで3−CHE等と反応させてもよい。
【0067】
用いる3−CHEや3−CPEは、通常、フェノール性水酸基に対して1〜10当量、さらに望ましくは1〜5当量、特に望ましくは1〜1.2当量の範囲で使用される。10当量を越える場合は、経済性及び副反応の問題の点で望ましくない。
【0068】
上記反応は、溶媒を用いてもよく、その場合には例えばジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等の極性溶媒を用いることが反応速度を増大させる点で望ましい。また、特に該溶媒は活性水素を有さない溶媒であることが副反応を抑制し且つ精製を容易にする点で望ましい。
【0069】
反応温度は、通常、−10〜250℃の範囲で行われ、特に0〜200℃の範囲、さらには10〜180℃の範囲であることが十分な反応速度が得られ、生成物に不必要な着色が無く、さらに副成物が少なくなる傾向にあり望ましい。該反応時の圧力は特に制限はなく、大気圧下であっても、加圧下や減圧下であってもかまわない。
【0070】
また、反応時間は、用いるフェノール性水酸基を有する化合物の種類、アルカリ、溶媒、さらには反応温度等にも左右されるが、通常、10分〜100時間の範囲で行われる。
【0071】
上記反応は、反応に関与する上記各化合物を同時に反応器に仕込むことにより反応を行ってもよいし、一方の反応基質を徐々に添加する方法で反応させてもよい。該反応は通常発熱反応であるため、後者の方法が反応温度を精密に制御できる傾向にある。
さらに、上記反応で反応の選択性や反応速度を向上させる目的で、触媒作用のある化合物を反応系に添加して用いてもかまわない。
【0072】
また、3−CHEや3−CPEを用いる上記反応においては、反応系に水が必要以上に存在しない状態において反応させることが望ましく、特に水の無い状態がより望ましい。反応系に水が多量に存在する場合は、例えば3−CHEを原料として用いた場合は、水により3−CHEが加水分解されシクロヘキセノールに変化する傾向にあるため、収率や選択性が低下する。
【0073】
また、本発明者らは、1,2−ジハロゲノシクロヘキサン及び/又は1,2−ジハロゲノシクロペンタンと、フェノール性水酸基等の活性水素含有基とを反応させることにより、上記一般式(1)及び(2)において、xが少なくとも1以上である本発明の脂環基含有化合物が得られることを見出した。例えば、ビスフェノールAと1,2−ジハロゲノシクロヘキサンを用いて下式(4)、また、下式(5)の化合物と1,2−ジハロゲノシクロヘキサンから下式(6)で示される本発明の脂環基含有化合物が合成できる。
【0074】
【化16】
【0075】
【化17】
【0076】
【化18】
【0077】
該ハロゲンとしては、塩素、臭素の場合が好適に使用できる。該反応は、アルカリ条件下が好ましく、該アルカリとしてはアルカリ金属、アルカリ土類金属、ランタノイド金属の水酸化物、水素化物、炭酸塩が好適に使用できる。具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の水酸化物、水素化ナトリウム、水素化カルシウム等の水素化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等の炭酸塩等が挙げられる。
これら用いるアルカリは、通常、活性水素に対し1.5〜50当量、特に望ましくは2〜8当量で用いられる。
【0078】
また、上記反応においては、予め活性水素含有基の水素をアルカリ金属で置換することにより得た、該前駆体のアルカリ金属塩を1,2−ジハロゲノシクロヘキサンや1,2−ジハロゲノシクロペンテンと反応させてもよい。この場合は、さらなる活性水素含有基と同当量以上のアルカリの添加が必要であり、通常1〜10当量、望ましくは1〜4当量用いられる。
【0079】
これらの反応温度は通常50〜250℃の範囲であり、反応時間は温度、反応物のモル比等にも左右されるが、通常10分〜200時間の範囲である。また、該反応は溶媒を用いて行ってもよく、該溶媒は溶媒は活性水素を有さないものが望ましく、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が好適に使用できる。
【0080】
以上説明した合成法により得られる一般式(2)においてy=0である脂環基含有化合物は、濾過、溶媒抽出法、水洗浄、カラム分離法、蒸留法、再結晶法(結晶性の場合)等の一般に周知の手段を組み合わせることにより容易に精製できる。
次に、上記一般式(1)においてyが少なくとも1である化合物の製造法について述べる。
【0081】
上式(1)においてyが少なくとも1である化合物は、
▲1▼上記の方法により得た一般式(1)においてy=0であり且つb=0である化合物、又は一般式(2)においてy=0である化合物の、脂環基内及びアリル基の炭素−炭素2重結合を、酸化剤を用いてエポキシ化する方法、
▲2▼フェノール性水酸基等に3−クロル−1,2−シクロヘキセンオキサイド及び又は3−クロル−1,2−シクロペンテンオキサイドを反応させることにより得る方法、
▲3▼該2重結合を次亜塩素酸等によりハロヒドリン構造とし、ついで苛性ソーダ等のアルカリを用いて脱塩酸させることによりエポキシ化するハロヒドリン法、等が採用できる。
【0082】
本発明においては、選択性及びハロゲン性廃棄物が低減できる点で、▲1▼又は▲2▼の製造法が好ましい。前記▲3▼の方法の場合には、後段のアルカリによるエポキシ化の工程で、精製除去が困難な未反応のハロヒドリン構造の化合物が残留してしまう傾向にあり、製品の純度が低下する傾向にある。
【0083】
まず、前記▲1▼の製造法について説明する。
前記▲1▼の反応において、用いられる酸化剤としては、該2重結合をエポキシ化できるものであれば特に制限はなく、過蟻酸、過酢酸、過プロピオン酸、トリフルオロ過酢酸、m−クロロ過安息香酸等の過カルボン酸類、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、過酸化水素及び分子状酸素等が挙げられる。
中でも、反応性、選択性、精製が容易等の点で、酸化剤は過酸化水素、又は過カルボン酸類であることが好ましい。
【0084】
以下、該酸化剤が過酸化水素の場合の説明をする。
酸化剤が過酸化水素の場合は、通常、各種エポキシ化触媒が併用して用いられる。該エポキシ化触媒としては、上記2重結合に対するエポキシ化が十分に進行するものであれば、本発明では公知のものが使用でき、特に制限はない。例えばチタノシリカライト等のチタン系化合物(例えば、当業者であれば周知である、チタンをシリカに担持させた市販触媒TS−1)、タングステン酸やその塩、燐タングステン酸やその塩等のタングステン含有化合物、モリブデン酸やその塩、燐モリブデン酸やその塩等のモリブデン含有化合物、ヘテロポリ酸、バナジウム含有化合物、レニウム含有化合物、コバルト含有化合物、砒素系化合物、硼素系化合物、アンチモン系化合物、遷移金属ポルフィリン錯体等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。また、タングステン酸やモリブデン酸又はそれらの塩をエポキシ化触媒として用いる場合は、燐酸等を併用することにより該触媒が存在する過酸化水素相のpHを調整してもよい。
【0085】
これら触媒の使用量は、通常、本発明の脂環基含有化合物100重量部に対し、0.001〜10重量部、望ましくは0.01〜5重量部の範囲とすることが適当である。
【0086】
過酸化水素と上記触媒とを用いたエポキシ化の場合は、無溶媒系であっても溶媒を用いてもかまわないが、用いるエポキシ化前の2重結合を有する前駆体や得られるエポキシ化合物が固体であったり、高粘性の液状の場合は溶媒を用いた場合の方が、反応速度が速く、且つ反応液の取り扱いが容易である点で望ましい。この際、用いる溶媒は、該前駆体や得られるエポキシ化物に対し、通常約0.1重量%以上の溶解度があり、副成物を発生させないものであれば特に制限はなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素化合物、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素化合物、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類が使用できる。これら溶媒の使用量は特に制限はないが、通常、本発明の脂環基含有化合物1gあたり、0.5〜20mlの範囲である。
【0087】
また、用いる過酸化水素は、濃度が0.01〜100%の状態のものが好適に用いられるが、通常、5〜80%、望ましくは25〜70%の水溶液の状態のものを使用することが、工業的に容易に入手でき、また特殊な設備等を必要としない点で最も好適に使用できる。該過酸化水素の使用量は、所望の本発明の脂環基含有化合物の構造にも左右されるが、例えば、一般式(2)においてx=0の化合物を得る場合には、その前駆体であるy=0の化合物の炭素−炭素2重結合に対し、理論的にはモル比で1:1ではあるが、通常1:1.01〜1:10、望ましくは1:1.01〜1:2の範囲で使用される。
【0088】
上記触媒、溶媒、及び過酸化水素の水溶液を用いてエポキシ化反応を行うことにより本発明の脂環基含有化合物を得る上記反応は、通常、油相−水相からなる2相系の反応であるため、攪拌効率がエポキシ化反応速度に大きく影響する。本発明では、攪拌速度を速めたり、バッフル付き反応器を用いる等により攪拌効率を高めエポキシ化反応速度を速めることが有用である。
【0089】
また、上記触媒として、タングステン酸ナトリウム等のタングステン含有化合物や、モリブデン含有化合物を燐酸と併用し用いた場合には、エポキシ化の反応速度を速める目的でオニウム塩等の相間移動触媒を併用してもかまわない。本発明において、該オニウム塩は直接反応系に添加してもよく、また、前もって該オニウム塩とタングステン含有化合物やモリブデン化合物とで塩を生成させておき、該塩を反応系に添加してもかまわない。該オニウム塩としては、例えば、一般式R1R2R3R4M+Q-(R1〜R2は炭素数1〜50の水酸基を有していても良いアルキル基であり、それぞれ同一又は異なっていてもよい。Mは窒素又は燐を表し、Q-はハロゲンイオン又は無機アニオンを示す。)で表される4級アンモニウム塩や4級ホスホニウム塩が挙げられる。該オニウム塩中のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また該ハロゲンイオンとしては、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等を、さらに該無機イオンとしては水酸イオン、亜硫酸イオン等が挙げられる。該4級アンモニウム塩の具体例としては、セチルピリジニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、テトラヘキシルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、アルキルピコリニウムアンモニウム塩、アルキルイミダゾリン塩等が挙げられる。また、4級ホスホニウム塩の具体例としては、テトラブチルホスホニウム塩、テトラプロピルホスホニウム塩、トリオクチルメチルホスホニウム塩、トリオクチルエチルホスホニウム塩、テトラヘキシルホスホニウム塩等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上で用いられる。これらオニウム塩は、用いる脂環基含有化合物に対し、通常0.001〜30重量%、望ましくは0.01〜15重量%で用いられる。
【0090】
上記、油相−水相からなる2相系においてエポキシ化反応を行う場合、過酸化水素が含まれる水相側は、pHが0.3〜6、さらには1〜5、特に1.5〜4の範囲であることが望ましい。pHが6以上の場合はエポキシ化反応速度が遅く、また、pHが0.3以下の場合は、生成したエポキシ基が反応系内で開裂する傾向にあるため望ましくない。
【0091】
上記過酸化水素を用いる反応は、過酸化水素の自己分解速度が低く抑えられる温度範囲であれば特に制限はないが、例えば、5〜80℃、さらには15〜70℃の範囲が望ましい。また、該反応は常圧で行ってもよいし、例えばオートクレーブ中で加圧下で行ってもよい。反応時間は、用いる本発明の脂環基含有化合物や触媒量、過酸化水素濃度及び温度等の反応条件によっても左右されるが、通常、0.5〜200時間、望ましくは0.5〜80時間の範囲が適当である。
【0092】
また、本発明の一般式(1)及び(2)においてyが少なくとも1である本発明の脂環基含有化合物の製法として、上記▲2▼の方法について説明する。
【0093】
本発明者らは、下式(7)で示される3−クロロ−1,2−シクロヘキセンオキサイド又は3−クロロ−1,2−シクロペンテンオキサイドのような3−ハロゲノ−1,2−シクロヘキセンオキサイドや3−ハロゲノ−1,2−シクロペンテンオキサイドと、例えばフェノール性水酸基等の活性水素含有基とを反応させることにより、1段で本発明の一般式(1)及び(2)においてyが少なくとも1である化合物が得られることを見出した。該ハロゲンとしては塩素、臭素、沃素が挙げられ、中でも塩素の場合が、塩等の副成物に対する工業的処理が容易である点で好ましい。
【0094】
【化19】
【0095】
該反応は、好ましくはアルカリ存在下でし、該アルカリはアルカリ金属やアルカリ度類金属の水酸化物、水素化物、及び炭酸塩等が挙げられる。例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物等が好適に使用できる。中でも、水酸化カリウムが反応速度が速く、収率が高くなる傾向にあり好ましい。これらアルカリ化合物は、活性水素含有化合物の該活性水素に対し、通常1〜3当量、望ましくは1〜1.5当量用いられる。また、3−クロロ−1,2−シクロヘキセンオキサイドや3−クロロ−1,2−シクロペンテンオキサイドは、該活性水素に対し通常1〜20当量、好ましくは1〜5当量の範囲で用いられる。
【0096】
上記アルカリ化合物は、固形状でまたは水溶液等の溶液状で反応系に直接添加してもよく、また、本発明の脂環基含有化合物の前駆体となるフェノール性水酸基を含有する有機化合物と予め反応させることにより該有機化合物のアルカリ金属塩を合成しておき、ついで3−クロロ−1,2−シクロヘキセンオキサイドを添加させることにより反応させてもよい。
【0097】
上記アルカリを反応系に添加する場合は、該アルカリが水酸化物の場合、反応時に水が副成するため、例えば減圧にすることにより該水を反応系から除去することが適当である。減圧にする場合は、反応温度等にも左右されるが、通常、1〜700torrの範囲である。
【0098】
また、本発明は常圧下や加圧下で行っても構わない。この場合には、特に制限はないが、窒素等の不活性ガスの雰囲気下で反応を行った場合、不要な着色や副成物の精製をさけることができる傾向にある。
【0099】
反応温度は通常40〜250℃、望ましくは70〜180℃の範囲である。反応温度が40℃以下の場合ではほとんど反応は進行しない。又250℃を越える場合には同定はできていないが副成物が発生するため収率が低下し、且つ激しい着色が起こる傾向にある。
【0100】
該反応には溶媒を用いても構わないし、無溶媒下で反応しても構わない。
反応時間は通常0.1〜100時間、望ましくは0.5〜20時間である。
また、後工程として、得られた化合物のエポキシ基含有量を増加させる目的で下記精製後に、上記アルカリの存在下で40〜250℃の範囲で加熱処理を行ってもよい。
【0101】
以上説明した合成法により得られる反応生成物は、濾過、溶媒抽出法、水洗浄、カラム分離法、蒸留法、再結晶法(結晶性の場合)等の一般に周知の手段を組み合わせることにより容易に精製できる。
【0102】
本発明の脂環基含有化合物は、該化合物が有する反応性官能基が互いに反応するような触媒や、該官能基と反応しうる官能基を有する化合物等の硬化剤との組み合わせにより、硬化性組成物を形成することができる。
【0103】
例えば、一般式(1)及び(2)において、x及びaが少なくとも1である化合物の場合には、硬化剤として炭素−炭素不飽和2重結合に対して反応性を有する化合物を用いることができる。
【0104】
また、一般式(1)や(2)においてyやbが少なくとも1である化合物の場合は、通常のエポキシ化合物の硬化に用いられる硬化剤を配合することにより、硬化性組成物を得ることができる。
【0105】
本発明では、一般式(2)においてy=0である化合物と硬化剤からなる硬化性組成物、及び一般式(2)においてx=0である化合物と硬化剤からなる硬化性組成物が、得られる硬化体が耐熱性や耐水性が向上する傾向にある点で、さらには炭素−炭素不飽和2重結合かエポキシ基いずれかに作用する硬化剤のみを用いることができる点で好ましい。
【0106】
上記炭素−炭素不飽和2重結合に対して反応性を有する化合物としては、例えば有機酸化合物や、ケトンパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、パーカーボネート類等の有機過酸化物が挙げられる。
【0107】
また、上記エポキシ化合物の硬化に用いられる硬化剤としては、熱や光によりエポキシ基と反応して架橋構造を形成できるものであって、エポキシ基に付加する酸性又は塩基性の活性化水素を複数個含む化合物や、又はエポキシ基を触媒的に重合させる酸性又は塩基性化合物を意味する。これらの硬化剤として用いられる化合物としては、酸又は酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、多価カルボン酸とポリアルキレンポリアミンとの反応により得られポリアミノアミド系硬化剤、イミダゾール類、ポリメルカプタン系硬化剤、ルイス酸、ブロンステッド酸、フェノール系化合物又はこれらの混合物である。
【0108】
酸又は酸無水物系硬化剤としては、例えば、ポリアゼライン酸無水物、ポリアジピン酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、ポリセバシン酸無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物等の脂肪族カルボン酸無水物とそのカルボン酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等の脂環式カルボン酸無水物とそのカルボン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート等の芳香族カルボン酸無水物とそのカルボン酸、等が挙げられる。
【0109】
また、アミン系硬化剤としては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、トリ(メチルアミノ)ヘキサン、メチルイミノビスプロピルアミン、ジプロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン等の脂肪族アミン、シクロヘキサンジアミン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、等の環状アミン、2,4−ジアミノトルエン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン等の単環式芳香族アミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等のジアミノジフェニルスルホン類、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等のジアミノジフェニルメタン類、ジメチルジフェニルエーテル類、ジアミノジフェニルケトン類、ジアミノジフェニルプロパン類、等の芳香族アミン、または3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等のスピロ環系アミン等、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0110】
また、塩基性活性水素を含む化合物として、例えば、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジド等の有機酸ジヒドラジド化合物が挙げられる。
【0111】
イミダゾール類としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等が挙げられる。
【0112】
また、フェノール系化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ジヒドロキシベンゼン、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0113】
本発明の硬化性組成物では、上記硬化剤は単独で用いてもよいし、二種以上を所望の割合で混ぜ合わせた混合物として用いても良い。
【0114】
本発明においては、上記硬化剤はその用途に応じて選択できる。例えば、可撓性を要求される場合には脂肪族系硬化剤を用いることができ、高いガラス転移点を必要とする場合は芳香族系の硬化剤を用いることが望ましい。
【0115】
本発明の硬化性組成物において、硬化剤の含有量は該組成物に用いた脂環基含有含有化合物のエポキシ基の当量、及び硬化剤の構造や官能基の数に応じて適当に選択できる。本発明においては、例えば、該エポキシ基に対する硬化剤の官能基の当量比が、0.3〜1.8、好ましくは0.5〜1.2の範囲である。該当量比が0.3より低いかまたは1.8よりも大きい場合は、得られる硬化物中に未反応物質や低分子量オリゴマー物質が多く含有される傾向にあり、機械的物性が低下する。
【0116】
本発明の硬化性組成物は、本発明の脂環基含有化合物とその他のエポキシ樹脂との混合物も使用することができる。ここで、その他のエポキシ樹脂とは、本発明の脂環基含有化合物を除き、分子中にエポキシ基を平均1個より多く含有する化合物を意味し、例えば、アルコール類やフェノール類から誘導されるグリシジルエーテル系化合物、アミン類からグリシジルアミン系化合物、酸や酸無水物から誘導されるグリシジルエステル系化合物、及び脂環式エポキシ樹脂系化合物等が挙げられる。
【0117】
上記アルコール類としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロドデカンジオール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールAD、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等、またフェノール類としてはヒドロキノン、メチルヒドロキノン、ジメチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、テトラメチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、ジエチルヒドロキノン、ビニルヒドロキノン、プロピルヒドロキノン、ブチルヒドロキノン、ヘキシルヒドロキノン、シクロヘキシルヒドロキノン、オクチルヒドロキノン、4−フェニルメチルヒドロキノン、4−メチルペンチルヒドロキノン、ニトロヒドロキノン、レゾルシノール、メトキシレゾルシノール、ジメトキシレゾルシノール、エトキシレゾルシノール、メチルレゾルシノール、ジメチルレゾルシノール、トリメチルレゾルシノール、エチルレゾルシノール、ジエチルレゾルシノール、プロピルレゾルシノール、ブチルレゾルシノール、ペンチルレゾルシノール、ヘキシルレゾルシノール、フェニルレゾルシノール、ヘプチルレゾルシノール、オクチルレゾルシノール、ノニルレゾルシノール、エチルメチルレゾルシノール、エチルペンチルレゾルシノール、ニトロレゾルシノール、ジニトロレゾルシノール、カテコール、メチルカテコール、エチルカテコール、プロピルカテコール、ブチルカテコール、3−(1,1−ジメチルエチル)カテコール、ペンチルカテコール、4−(1,1−ジメチルプロピル)カテコール、ヘキシルカテコール、シクロヘキシルカテコール、ノニルカテコール、ジメチルカテコール、ニトロカテコール、ジニトリルカテコール、メトキシカテコール、プロピオキシカテコール、ジメチルカテコール、ジニトロカテコール、トリメトキシカテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS、トリヒドロキシジフェニルジメチルメタン、オキシビスフェノール、チオビスフェノール、4,4’−スルフィニルビスフェノール、4,4’−イソビチリデンビスフェノール、メチリデンビスカテコール、ジヒドロキシジフェニル、ピロガロール、フルオログリシン、サリチル酸、アナカルド酸、ノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等、およびこれらのハロゲン化物が挙げられる。
【0118】
またアミン類としては、アリルアミン、イソプロピルアミン、3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、メチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N−メチル−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、3−メトキシプロピルアミン、イソシアヌレート、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、1,3,6−トリスアミノメチルヘキサン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジエチレングリコール・ビスプロピレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、メンセンジアミン、イソフォロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、N−アミノエチルピペラジン、メタキシレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルメタン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビスメチルアミノジフェニルアミン、ジアミノジフェニルアミン、ジアミノジベンジルアミン、トリアミノトリベンジルアミン、ジアミノキシレン、キシリレンジアミン、ジアミノメシチレン、テトラヒドロナフチレンジアミン、ナフチレンジアミン、メチルベンジジン、ジアミノジベンジル、ジアミノメチルジフェニルメタン、ジアミノジメチルジフェニル、ジアミノフルオレン、ジアミノスチルベン、ビスアミノフェニルアセチレン、ジアミノアントラセン、ジアミノジナフチル、テトラフェニル−ビスアミノフェニルキシロール、エチレングリコール−ビスアミノフェニルエーテル、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルフィド、ジアミノジフェニルジスルフィド、ハイドロキノン−ビスアミノフェニルエーテル、ジアミノジベンジルスルフィド、ジアミノナフトール、オキシベンジジン、ジアミノジフェニルカルビノール、ジアミノトリフェニルカルビノール、ジアミノカテコール、ジアミノジオキシフェナントレン、ジアミノピロガロール、ジアミノフルオログルシンなどが挙げられる。
【0119】
さらに、多塩基酸類や酸無水物とは、酸無水物環を一個以上またはカルボキシル基を2個以上有する化合物であり、例えば無水フタル酸、無水マレイン酸、フタル酸、マレイン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、メチルテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、4,4’−カルボニル二安息香酸、4,4’−オキシ二安息香酸、4,4’−スルホニル二安息香酸、フェニレン二安息香酸、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−(2−ノルボルネン)ジカルボン酸、2,3−ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボン酸及びその無水物、シクロヘキサン二酢酸及びその無水物、1,3−アダマンタンジカルボン酸、アジピン酸等が挙げられる。
【0120】
本発明では、上記アルコール類やフェノール類、アミン類、多塩基酸類、酸無水物の中から選ばれた単一組成のエポキシ樹脂であっても良いし、2種以上の共重合体、または混合物であっても良い。
【0121】
また、該脂環式エポキシ樹脂系とは、分子内にエポキシシクロヘキシル環を有する環式脂肪族の化合物であり、例えばビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)オキサレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)ピメレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチル−シクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、ジペンテンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサンメタン等が挙げられる。
【0122】
本発明で用いられる上記エポキシ樹脂のエポキシ当量は、その分子量にも左右されるが、通常、100〜10000g/当量のものが好適に用いられる。また、本発明で用いられる上記エポキシ樹脂は、室温(25℃)において、液状であっても固体状であってもよい。
【0123】
本発明の脂環基含有化合物と他のエポキシ樹脂を併用して用いる場合は、用途分野などに応じて左右されるが、両者の混合比が重量比で、(本発明の脂環基含有化合物:その他のエポキシ樹脂)=(1〜99:99〜1)の範囲で用いられる。
【0124】
本発明の脂環基含有化合物からなる硬化性組成物は、必要に応じて反応促進剤、反応希釈剤、充填剤や強化剤、三酸化アンチモン、ブロム化合物、水酸化アルミニウムなどの難燃剤、染料や顔料、離型剤や流動調整剤、可塑剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、着色剤、二酸化チタン、溶剤などを添加することができ、その適用量は本発明の効果を損なわない範囲で任意に適用することができる。
【0125】
反応促進剤としては、例えば2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類、ジメチルシクロヘキシルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジアミノメチル)フェノールなどの第3級アミン類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などのジアザビシクロアルケン類およびそれらの塩類、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫やアルミニウムアセチルアセトン錯体などの有機金属化合物、トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニルなどの有機リン系化合物、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ピペリジン錯体、トリフェニルボレートなどの硼素系化合物、塩化亜鉛、塩化第二錫などの金属ハロゲン化物、第4級アンモニウム化合物、2,4−ジヒドロキシ−3−ヒドロキシメチルペンタンのナトリウムアルコレートなどのアルカリ金属アルコレート類、アナカルド酸及びその塩、カルドール、カルダノール、フェノール、ノニルフェノール、クレゾールなどのフェノール類などが挙げられる。
【0126】
反応希釈剤としては、ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、3級カルボン酸グリシジルエステル、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0127】
充填剤や強化剤としては、例えばコールタール、瀝青、織布、ガラス繊維、アスベスト繊維、硼素繊維、炭素繊維、アラミド繊維、鉱物シリケート、雲母、石英粉、水酸化アルミニウム、ベントナイト、カオリン、珪酸エアロゲル、アルミニウム粉や鉄粉などの金属粉などが挙げられる。
【0128】
また、離型剤や流動調整剤としては、例えばシリコーン、エアロジル、コロイド性含水珪酸アルミニウム、ワックス、ステアリン酸塩、炭酸カルシウム、タルクなどが挙げられる。
【0129】
さらに、可塑剤としてはパイン油、低粘度液状高分子、ゴム状物、タール、ポリサルファイド、ウレタンプレポリマー、ポリオール、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、エピクロルヒドリンの重合物、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、トリクレジルホスフェートなどが挙げられる。
これらの添加剤を本発明の脂環基含有化合物に配合する方法としては、特に制限はなく、慣用の配合方法が適用できる。
【0130】
以上のようにして配合された、本発明の脂環基含有化合物からなる硬化性組成物は、加熱することにより、又は紫外線等の光エネルギーにより硬化させることにより、耐熱性の良好な硬化体を得ることができる。
【0131】
例えば、加熱により硬化させる場合は、通常室温〜300℃、望ましくは80〜250℃の範囲で硬化反応を行うことができる。硬化時間は、該組成にも左右させるが、通常、数秒〜200時間の範囲である。
【0132】
本発明により得られる硬化体は、グリシジルエーテル化合物に対し、高いガラス点を有する。さらには、機械的特性、耐水性、耐候性も向上する傾向にある。
以下、実施例により本発明を説明する。
【0133】
【実施例】
<測定法>
1.核磁気共鳴スペクトル
反応生成物の核磁気共鳴スペクトルは、テトラメチルシランを基準物質とし、重クロロホルムを溶媒として用いて、日本電子製JNM−α400(400MHz)で1H−NMRスペクトルのデータを得た。
【0134】
2.赤外吸収スペクトルの測定(IR)
反応生成物を臭化カリウム板に塗布し、Nicolet Instrument Corporation社製FT−IRスペクトロメーター、Impact400Dで測定した。
【0135】
3.エポキシ当量の測定
エポキシ化合物0.5000g、n−プロピルアルコールを50ml、ベンジルアルコール3ml、及びヨウ化カリウム0.2gを蒸留水10gに溶解した溶液を混合し、加熱することにより還流させ、ついで、指示薬としてBTB溶液を添加し、0.1Nの塩酸を用いて滴定を行うことで当量点を求める指示薬滴定法により測定した。
【0136】
4.液体クロマトグラフィー
各化合物をメタノール/ジメチルホルムアミド混合溶液(体積比5:1)に溶解した溶液を下記の条件で展開・検出することにより分析を行った。
【0137】
検出器 :島津製作所社製SPD−6A
検出波長 :280nm
展開液 :メタノール/水=8/2(体積比)
展開液流速:1ml/分
カラム :日本分光社製Finepak SIL C18S
カラム温度:40℃
【0138】
実施例1
攪拌装置、及び温度計の付いた500ml丸底フラスコに、水素化ナトリウム11.54g(油分40重量%含有品)を入れ、20gの脱水n−ヘキサン添加し、20分攪拌し該ヘキサンを除去する操作を3回行うことにより、該水素化ナトリウム付着の油分を洗浄除去した。ついで、脱水ジメチルホルムアミド260gを添加し、その後、該フラスコを水で冷却しながらゆっくりビスフェノールA23.5g(0.103モル)を添加し、その後2時間攪拌した。ビスフェノールAの添加中、水素からなる気泡が発生し、ビスフェノールAのナトリウム塩が形成されるにつれ、液は黄色を呈した。
【0139】
2時間後、上記溶液を攪拌しながら、滴下ロートを用いて、3−クロロシクロヘキセン26.50g(0.227モル)を1時間かけて滴下し、その後攪拌を続けた。滴下中、及び滴下終了後の攪拌中、該フラスコ外部は水冷し、反応液の温度24〜45℃の範囲に保った。
【0140】
滴下終了20時間後、反応液を液体クロマトグラフィーにより分析した結果、ビスフェノールA(又はそのナトリウム塩)のピークは検出されず、ビスフェノールAの転化率は100%であった。
【0141】
上記反応終了後、反応液に水を3ml添加し、過剰の水素化ナトリウムを失活させた。ついで、反応液にn−ヘキサン100mlを添加し、激しく攪拌することにより、生成物をヘキサン相へ抽出する操作を3回行った。得られたn−ヘキサン溶液を200mlの蒸留水で5回洗浄し、ついで無水硫酸マグネシウムで乾燥操作を行った。さらに、濾過処理後、得られたn−ヘキサン溶液をエバポレートすることにより、薄黄色の粘性透明液体38.63gを得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、主生成物の純度は96%であった。
【0142】
得られた粘性液体の元素分析結果を表1に示した。また、IR測定結果を図1に示した。さらに核磁気共鳴スペクトルの分析を行い、下記の結果を得た。また、得られたスペクトルを図2に示した。
【0143】
<1H−NMRスペクトル>
δppm:6.80〜7.15(8H、フェニル基のプロトン)
δppm:5.87〜5.94(4H、脂環基中の不飽和炭素−炭素2重結合部のプロトン)
δppm:4.74〜4.80(2H、酸素原子が結合する脂環基中の炭素原子上のプロトン)
δppm:0.80〜2.20(18H、メチル基及び脂環基中の上記以外の炭素原子上のプロトン)
以上の結果から、本実施例で得られた粘性液体は下式で表される脂環基含有化合物である。
【0144】
【化20】
【0145】
実施例2
ビスフェノールAの代わりにビスフェノールF20.60g(0.103モル)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、薄黄色の透明粘性液体を34.41g得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、主生成物の純度は97%であった。
【0146】
得られた粘性液体の元素分析結果を表1に示した。また、核磁気共鳴スペクトルの分析を行い、下記の結果を得た。得られた核磁気共鳴スペクトルを図3に示した。
【0147】
<1H−NMRスペクトル>
δ(ppm):6.83〜7.20(8H、フェニル基のプロトン)
δ(ppm):5.83〜5.97(4H、脂環基中の不飽和炭素−炭素2重結合部のプロトン)
δ(ppm):4.74〜4.80(2H、酸素原子が結合する脂環基中の炭素原子上のプロトン)
δ(ppm):3.80〜3.90(2H、芳香環に挟まれるメチレン基のプロトン)
δ(ppm):0.80〜2.20(12H、脂環基中の上記以外の炭素原子上のプロトン)
以上の結果から、本実施例で得られた粘性液体は下式で表される脂環基含有化合物である。
【0148】
【化21】
【0149】
実施例3
ビスフェノールAの代わりにビスフェノールAD22.04g(0.103モル)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、黄褐色の透明粘性液体を34.41g得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、主生成物の純度は97%であった。
【0150】
得られた粘性液体の元素分析結果を表1に示した。また、IR測定結果を図4に示した。さらに核磁気共鳴スペクトルの分析を行い、下記の結果を得た。得られた核磁気共鳴スペクトル測定チャートを図5に示した。
【0151】
<1H−NMRスペクトル>
δ(ppm):6.83〜7.20(8H、フェニル基のプロトン)
δ(ppm):5.84〜5.96(4H、脂環基中の不飽和炭素−炭素2重結合部のプロトン)
δ(ppm):4.74〜4.80(2H、酸素原子が結合する脂環基中の炭素原子上のプロトン)
δ(ppm):3.80〜3.90(1H、2つの芳香環に結合するアルキレン基中の炭素原子上のプロトン)
δ(ppm):1.00〜2.20(15H、メチル基及び脂環基中の上記以外の炭素原子上のプロトン)
以上の結果から、本実施例で得られた粘性液体は下式で表される脂環基含有化合物である。
【0152】
【化22】
【0153】
実施例4
ビスフェノールAの代わりにハイドロキノン11.34g(0.103モル)を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行い、低粘性の赤褐色透明液体を26.42g得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、主生成物の純度は98%であった。
【0154】
得られた粘性液体の元素分析結果を表1に示した。また、IR測定結果を図6に示した。さらに核磁気共鳴スペクトルの分析を行い、下記の結果を得た。
【0155】
<1H−NMRスペクトル>
δ(ppm):6.70〜7.10(4H、フェニル基のプロトン)
δ(ppm):5.80〜6.00(4H、脂環基中の不飽和炭素−炭素2重結合部のプロトン)
δ(ppm):4.60〜4.70(2H、酸素原子が結合する脂環基中の炭素原子上のプロトン)
δ(ppm):1.00〜2.20(12H、脂環基中の上記以外の炭素原子上のプロトン)
以上の結果から、本実施例で得られた粘性液体は下式で表される脂環基含有化合物である。
【0156】
【化23】
【0157】
実施例5
攪拌装置、温度計、冷却管のついた200mlの三口フラスコに、トランス−1,2−ジクロロシクロヘキサン15.30g(0.1モル)、ビスフェノールA11.40g(0.05g)、水酸化カリウム22.4g(0.4モル)、トリエチレングリコールジメチルエーテル50.00gを仕込み、攪拌しながらオイルバスにより反応液の温度を150℃に昇温した。反応中、反応液はスラリー状となり、冷却管を通じて発生する水が流出した。
150℃で5時間攪拌した後、攪拌を停止し、反応液を室温に戻した。
【0158】
得られた反応液を濾過した後、ヘキサン100ml及び水100ml添加し、ゆっくり攪拌することにより、反応物をヘキサン層へ抽出した。ヘキサン層を分離し、100mlの水で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートを行うことにより、黄色の粘性液体が13.58g得られた。
【0159】
得られた粘性液体の元素分析の結果を表1に示した。また、液体クロマトグラフィーにより分析した結果、実施例1で得られた化合物と全く同じ保持時間に主生成物のピークが得られた。さらに、NMRの測定の結果、実施例1で得られた化合物と同一の脂環基含有化合物であった。
【0160】
実施例6
500mlのフラスコにビスフェノールA22.80g(0.1モル)、水100ml、メタノール40ml、水酸化ナトリウム40.05gを入れ、室温で攪拌し、均一溶液とした。ついで、エバポレートにより水及びメタノールを除去し、さらに80℃において真空乾燥を6時間行うことにより、ビスフェノールAのナトリウム塩である白色固体27.1gを得た。
【0161】
攪拌装置、温度計を付した300mlの三口フラスコに上記で得られた白色固体13.6g、ジメチルホルムアミド140g仕込み、80℃で攪拌し、ついで滴下ロートを用いて3−クロルシクロヘキセン12.8g(0.11モル)を1時間かけて滴下した。
【0162】
6時間80℃で攪拌後、該フラスコを室温に戻し、ヘキサン200mlを加え、反応液をヘキサン層に抽出した。分液ロートを用いてヘキサン層を分液し、該ヘキサン溶液を200mlの水で5回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートすることにより、淡い黄色の粘性液体18.7gを得た。
【0163】
得られた化合物は、IR、NMR、元素分析の結果、実施例1で得られた化合物と同じであった。また、液体クロマトグラフィーで分析した結果、純度は98.7%であった。
【0164】
実施例7
攪拌装置、温度計を付した300mlの三口フラスコに、タングステン酸ナトリウム(Na2WO4・2H2O)を0.33g(1ミリモル)、31%過酸化水素水8.17g、85%燐酸水溶液0.12gをいれ、氷水で該フラスコを冷却しながら攪拌し、これをA液とした。このように調整した液のpHは1.8であった。
【0165】
一方、トルエン10.0g、CH3N[(CH2)7CH3]3Cl(アルドリチ社製、Aliquat336)0.30g、及び実施例1で得られた脂環基含有化合物7.00gからなる均一溶液を調整し、これをB液とした。
【0166】
上記A液を水冷下で激しく攪拌している中へ、B液を滴下ロートを用いて約20分かけてゆっくり滴下し、滴下終了後、40時間攪拌した。
【0167】
反応終了後、分液ロートを用いてトルエン層を分離し、1Nのチオ硫酸ナトリウム水溶液20ml、蒸留水20ml、1Nの炭酸水素ナトリウム水溶液20ml、蒸留水20mlの順で該トルエン溶液を洗浄した。
【0168】
得られたトルエン溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過により無水硫酸マグネシウムを除去、該溶液に100mlのトルエンを加えて希釈し、さらに乾燥シリカゲルを100g加えた。1時間攪拌後、濾過により該シリカゲルを除去し、濾液として得られたトルエン溶液をエバポレートすることによりトルエンを除去し、ほぼ無色に近い淡い黄色の高粘性液状の化合物を7.51g得た。液体クロマトグラフィーの分析の結果、主生成物の純度は98.4%であった。また、エポキシ当量の測定結果、215g/当量であった。
【0169】
このようにして得られた化合物の元素分析結果を表1に、IR測定結果を図7に示した。また、核磁気共鳴スペクトルの分析を行い、下記の結果を得た。また、該核磁気共鳴スペクトル測定チャートを図8に示した。
【0170】
<1H−NMRスペクトル>
δ(ppm):6.80〜7.18(8H、フェニル基のプロトン)
δ(ppm):3.10〜3.35(4H、脂環基中のエポキシ基を形成する炭素原子上のプロトン)
δ(ppm):4.45〜4.50(2H、酸素原子が結合する脂環基中の炭素原子上のプロトン)
δ(ppm):1.00〜2.20(12H、メチル基及び脂環基中の上記以外の炭素原子上のプロトン)
以上の結果から、本実施例で得られた化合物は下式で表される脂環基含有化合物である。
【0171】
【化24】
【0172】
実施例8
実施例1で得られた化合物の代わりに、実施例4で得られた化合物を4.86g用いた以外は、実施例7と同様にA液及びB液を調整した。実施例7と同様の方法で反応させたところ、B液の滴下終了後12時間後に反応液の粘性が高くなったため、トルエンを10ml追加した。B液の滴下終了17時間後、攪拌を停止し、実施例7と同様の方法で精製を行い、5.45gの黄色固体を得た。さらに、該固体を50mlのトルエンに溶解させ、−30℃で冷却する再結晶操作を行うことにより、3.98gの白色固体を得た。液体クロマトグラフィーによる分析の結果、主生成物の純度は99.2%であり、エポキシ当量の測定結果、155g/当量であった。
【0173】
このようにして得られた化合物の元素分析結果を表1に、IR測定結果を図9に示した。また、核磁気共鳴スペクトルの分析を行い、下記の結果を得た。また、該核磁気共鳴スペクトル測定チャートを図10に示した。
【0174】
<1H−NMRスペクトル>
δ(ppm):6.80〜7.00(4H、フェニル基のプロトン)
δ(ppm):3.20〜3.40(4H、脂環基中のエポキシ基を形成する炭素原子上のプロトン)
δ(ppm):4.40〜4.44(2H、酸素原子が結合する脂環基中の炭素原子上のプロトン)
δ(ppm):1.00〜2.20(12H、メチル基及び脂環基中の上記以外の炭素原子上のプロトン)
以上の結果から、本実施例で得られた化合物は下式で表される脂環基含有化合物である。
【0175】
【化25】
【0176】
【表1】
【0177】
実施例9
攪拌装置、温度計を付した50mlの三口フラスコに、実施例1で得られた脂環基含有化合物3.88g(0.01モル)、クロロホルム100mlを加え、室温で攪拌することにより均一溶液とした。ついで、該フラスコを氷水で冷却し、攪拌しながら反応液温度が10℃以上にならない範囲で、ゆっくりと粉末状乾燥m−クロロ過安息香酸2.59g(0.015モル)を添加した。
【0178】
5時間後、反応液に水酸化カルシウム1.5gを添加し、1時間攪拌後に濾過し、エバポレートによりクロロホルムを除去し、褐色高粘性液体を4.12g得た。
【0179】
得られた粘性液体の元素分析、IR測定、及び核磁気共鳴スペクトルの分析を行った結果、実施例7で得た化合物と同一のものであった。
【0180】
実施例10
攪拌装置、温度計、冷却管を付した300mlの4つ口フラスコに、3−クロロ−1,2シクロヘキセンオキサイド(3−クロロシクロヘキセンとm−クロロ過安息香酸との反応により得られた化合物)132.5g、ビスフェノールA45.6g(0.2モル)を仕込み、100℃で激しく攪拌した。ついで、50%水酸化カリウム水溶液48.0gを滴下ロートで4時間かけて滴下すると同時に、冷却管上部からトラップを介して真空ポンプによりフラスコ内を200〜400torrの範囲に減圧した。該トラップ内に水及び3−クロロ−1,2−シクロヘキセンオキサイドが2相に分かれて滞留したが、3−クロロ−1,2−シクロヘキセンオキサイド層のみ、反応中に5回反応系に戻した。
滴下終了後、100℃でさらに3時間攪拌し、さらに2時間かけて真空度を10torrにまで徐々に下げた。
【0181】
反応終了後、フラスコを室温に戻し、トルエン200mlを加え、フラスコ底部にある反応生成物を溶解させ、得られたトルエン溶液を分液ロートを用いて150mlの蒸留水で5回洗浄した。ついでトルエン溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートによりトルエンを除去した。
【0182】
このようにして得られた反応生成物は81.2gであり、液体クロマトグラフィーにより分析した結果、主生成物の純度は93%であった。
【0183】
また、IR測定、核磁気共鳴スペクトルの測定結果、本実施例で得られた化合物は実施例7で得られた化合物と同一であった。
【0184】
実施例11
実施例7で得られた化合物2.10gに対し、メチルテトラヒドロ無水フタル酸1.64g、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.1gを配合し、液状硬化性組成物を作成した。該組成物の25℃における粘度は、約2700cPであった。
【0185】
この組成物を、窒素雰囲気下のオーブン中で80℃2時間、100℃2時間、120℃2時間、140℃2時間、160℃8時間の順で加熱し、3時間かけて室温に冷却したところ、強固な硬化物が得られた。
【0186】
この硬化物を示差熱分析計で、40℃から200℃まで10℃/分で昇温したところ、151℃にガラス転移点が認められた。
【0187】
耐候性評価として、ウエザオメーターXENOTEST 1200CPS(Heraeus社製)を用い、ブラックパネル63℃、60W/m2、降雨条件において、該硬化物に対しキセノンアーク照射を行った。その結果、300時間後の硬化物表面を目視で観察したところ、表面の光沢性及び表面平滑性を保持していた。
【0188】
実施例12
2−エチル−4−メチルイミダゾールの代わりに、三フッ化ホウ素ピペリジン錯体0.1gを用いた以外は、実施例11と同様の方法で硬化性組成物の作成及び加熱処理を行い、強固な硬化物を得た。
この硬化物を実施例11と同様の方法で示差熱分析を行ったところ、40〜200℃の間にガラス転移点は見いだせなかった。
【0189】
比較例1
エポキシ当量が186g/当量であるビスフェノールAグリシジルエーテル1.86gに対し、メチルテトラヒドロ無水フタル酸1.67g、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.1gを配合し、液状硬化性組成物を作成した。
この組成物を、実施例11と同様の方法で加熱処理を行い、強固な硬化物を得た。
【0190】
実施例11と同様の方法で示差熱分析を行ったところ、ガラス転移点は134℃であった。
また、実施例11と同様の耐候性評価を行ったところ、300時間後の硬化物の表面光沢性は低下しており、表面平滑性も失われていた。
【0191】
【発明の効果】
本発明は、耐熱性の改善された、電気絶縁材、注型成形材、接着剤、塗料等に架橋構造形成剤として好適に使用できる、反応性脂環基を有した、新規な構造を有する脂環基含有化合物を提供できる。
さらに、本発明の脂環基含有化合物は、得られる硬化物の十分な機械的特性、及び耐水性を有し、さらには耐候性の改善された硬化物を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図である。
【図2】実施例1で得られた化合物の核磁気共鳴スペクトル図である。
【図3】実施例2で得られた化合物の核磁気共鳴スペクトル図である。
【図4】実施例3で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図である。
【図5】実施例3で得られた化合物の核磁気共鳴スペクトル図である。
【図6】実施例4で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図である。
【図7】実施例7で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図である。
【図8】実施例7で得られた化合物の核磁気共鳴スペクトル図である。
【図9】実施例8で得られた化合物の赤外吸収スペクトル図である。
【図10】実施例8で得られた化合物の核磁気共鳴スペクトル図である。
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