JP2001311930A - 可逆記録媒体、該可逆記録媒体を使用した記録方法および可逆記録装置 - Google Patents

可逆記録媒体、該可逆記録媒体を使用した記録方法および可逆記録装置

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JP2001311930A
JP2001311930A JP2000050257A JP2000050257A JP2001311930A JP 2001311930 A JP2001311930 A JP 2001311930A JP 2000050257 A JP2000050257 A JP 2000050257A JP 2000050257 A JP2000050257 A JP 2000050257A JP 2001311930 A JP2001311930 A JP 2001311930A
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浩之 杉本
Yoshirou Futamura
恵朗 二村
Kyoji Tsutsui
恭治 筒井
Nobuyuki Tamaoki
信之 玉置
Hiroo Matsuda
宏雄 松田
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 コレステリック選択反射色の画像表示と下地
の白色化が両立できる感熱可逆記録媒体、感熱可逆記録
媒体を使用した可逆的記録方法および可逆記録装置の提
供。 【解決手段】 支持基体1上にコレステリック液晶相の
螺旋状分子配列に起因する選択反射現象を可逆的に示す
ことができる可逆的コレステリック反射層3が設けら
れ、かつ支持基体1と可逆的コレステリック反射層3の
間に、可逆的光吸収層2を有して構成されたものである
ことを特徴とする可逆記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコレステリック液晶
性材料を用いた書き換えが可能な可逆記録媒体、該可逆
記録媒体を使用した可逆記録方法および可逆記録装置に
関し、特に多色表示の場合のコントラストが大きく、か
つ白色度の高い表示が可能な可逆記録媒体に関する。前
記記録材料は、書き換え可能なフルカラー記録や、多値
記録メディアへの応用が可能である。
【0002】
【従来技術】本発明の技術分野に関連した従来技術とし
ては、例えば以下のようなものが挙げられる。 1.特開平6−92016(ロイコ色素の多彩色化構造
体) ロイコ色素、顕色剤、減感剤からなる感温インクの塗布
面上に、光の干渉作用をおこす液晶を重ねて形成し、ロ
イコ色素の発色消色と光干渉性紅彩色を組み合せる。た
だし、メモリー性は無い。 2.特開平6−313880(書き換え可能型表示媒
体) 基体表面に、鱗片状磁性粉が液体中に分散されたマイク
ロカプセル層と、選択反射を示す高分子液晶層とがこの
順に設けられている。単色の選択反射色の可逆表示が可
能。 3.特開平6−273707 コレステリック高分子液晶は、昇温により出現した液晶
状態をガラス転移温度(Tg)以下に急冷することによ
り、そのコレステリック反射色を室温で固定化すること
が可能である。このコレステリック高分子液晶を等方相
転移温度以上に加熱し、記録層を透明状態にして急冷す
ることで記録像が消去でき、可逆記録が可能である。
【0003】4.N.Tamaoki,A.V.Par
fenov,A.Masaki,H.Matsuda,
Adv.Mater.1997,9,1 102−11
0410,12−ドコサジインジオン酸ジコレステリル
はコレステリック相を示す87−115℃の温度から0
℃まで急冷するとコレステリック反射色を示す固体状態
に固定される。急冷を開始する温度を変化させることで
固定されるコレステリック反射色は連続的に青から赤ま
で変化し、その色は室温で半年以上安定であった。ま
た、119℃以上に加熱することでコレステリック反射
色は消え、さらに別のコレステリック液晶温度から急冷
することで別のコレステリック反射色を固定することも
可能であった。この記録材料は、書き換え可能なフルカ
ラー記録が可能である。
【0004】5.高分子,47巻,10月号,760 分子量が2000以下で、ガラス転移温度が35℃以上
のコレステリック液晶化合物または該化合物を含む材料
からなる記録材料は、コレステリック液晶相状態より急
冷することにより、コレステリック液晶相状態の反射色
を常温で長時間保存でき、また、再加熱して液晶相状態
に戻せば繰り返し書き込むことができる記録媒体が知ら
れている。前記3〜4の記録材料は、前述のように書き
換え可能なフルカラー記録や、多値記録メディアの記録
材料として有望な特徴をもつものではあるが、選択反射
を利用するため、表示コントラストが小さいという課題
がある。たとえば透過型の記録媒体の場合、記録媒体の
白濁化などにより透過率を低下させるには限界があり、
黒色表示の改善が求められる。また、前記記録材料を用
いた反射型の記録媒体では、記録層の背面に余分な光を
吸収する黒色層が必要であり、記録媒体の白濁化で白色
表示を得るには限界があった。このため、コレステリッ
ク液晶系記録材料では、紙のように白色度が高く、高コ
ントラストの表示をすることが困難であるという課題が
ある。
【0005】6.特開平6−79970 ロイコ色素などの発色剤と顕色剤を用いた可逆的記録媒
体においても多色の画像を得ることができる可逆的多色
感熱記録媒体及び表示媒体が提案されている。この発明
の記録媒体は。支持体上に発色剤と顕色剤を含有する記
録層又は画像形成層を備え、加熱・溶融により発色して
画像形成状態となり、発色温度よりも低温に加熱するこ
とで画像の消えた消色状態を形成する可逆的感熱記録媒
体又は表示媒体において、該記録層又は画像形成層が発
色色調及び消色開始温度の異なる複数層又は複数種のマ
イクロカプセルから成ることを特徴としている。この材
料系は、染料の発色状態と透明状態をとるので、白色の
支持体を用いることで、カラーハードコピーのような画
像を得ることが可能である。しかし、フルカラー画像を
得るためには、三原色を示す三種類の材料の発色特性及
び消色特性をマッチングさせる必要があるが、最適な材
料特性を実現することは困難である。さらに、上述の特
開平6−79970の発明においては、多色画像を得る
ためには、多色を示す種類の材料の発色特性および消色
特性をマッチングさせることが必要であり、この問題を
解決することは困難であるので、この材料特性のマッチ
ングが容易に実現できる多色画像表示記録媒体の提供と
言う課題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、コレステリ
ック液晶性化合物を用いた可逆記録媒体において、選択
反射を利用しただけでは表示が困難な黒色や白色を表示
することができ、表示コントラストが向上し、かつ材料
特性のマッチングが容易に実現できる多色表示が可能な
可逆記録媒体、可逆記録方法、および可逆記録装置の提
供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第1は、支持基
体上にコレステリック液晶相の螺旋状分子配列に起因す
る選択反射現象を可逆的に示すことができる可逆的コレ
ステリック反射層が設けられ、かつ前記支持基体と可逆
的コレステリック反射層の間に、可逆的光吸収層を有し
て構成されたものであることを特徴とする可逆記録媒体
にある。本発明の第2は、可逆的光吸収層が可逆的熱発
色層であることを特徴とする前記第1の可逆記録媒体に
ある。
【0008】本発明の第3は、可逆的熱発色層は、少な
くとも電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物を含有
する常温で無色の固体組成物で構成され、該無色の固体
組成物は、その溶融温度以上に加熱されることによって
電子供与性呈色化合物と電子受容性化合物の発色状態の
発色体を形成し、該発色状態の発色体を急冷すると発色
状態を維持したまま常温で固体組成物となり、また、該
固体組成物を溶融発色温度より低い温度への再加熱によ
って電子受容性化合物が発色体から分離して消色状態の
固体組成物となり、該消色状態固体組成物はさらに冷却
されると無色の固体組成物となり、また、溶融温度以上
に再加熱されることによって発色体となるものである前
記第2の可逆記録媒体にある。
【0009】本発明の第4は、可逆的コレステリック反
射層が、該層の一部、あるいは全部の領域を等方相ある
いは高温でのコレステリック液晶相を示す温度まで加熱
させた後、等方相からガラス転移温度Tg以下まで急冷
すると、常温で透明状態の非晶質相に固定化され、高温
の等方相からコレステリック液晶相の温度領域に徐冷す
ると、温度に応じた選択反射色を示し、この状態からガ
ラス転移温度Tg以下まで急冷すると、室温で前記選択
反射状態が固定化されたコレステリックガラス相が得ら
れ、さらに、前記選択反射状態が固定化されたコレステ
リックガラス相は結晶化温度まで再加熱することによ
り、結晶相に固定できるものである前記第1〜3の多色
表示が可能な可逆記録媒体にある。
【0010】本発明の第5は、可逆的コレステリック反
射層を構成するコレステリック液晶化合物が、分子量が
2000以下で、ガラス転移温度が30℃以上のコレス
テリック液晶化合物である前記第1〜4の可逆記録媒体
にある。
【0011】本発明の第6は、可逆的コレステリック反
射層がコレステリック液晶化合物、バインダー成分のプ
レポリマーおよび重合開始剤を混合して、バインダー成
分を重合させて形成させたものである前記第1〜5の可
逆記録媒体にある。
【0012】本発明の第7は、可逆的コレステリック反
射層を構成するコレステリック液晶化合物が、高分子コ
レステリック液晶化合物である前記第1〜4の可逆記録
媒体にある。
【0013】本発明の第8は、コレステリック液晶化合
物が、下記式(I)で示される少なくとも1種の化合物
および/または下記式(II)で示される少なくとも1種
の化合物である前記第5または6の可逆記録媒体にあ
る。
【化4】 (式中、n=5、6、7、R=H、CH
【化5】 (式中、n=2、3、4、5、6、7、8、9、10) 本発明の第9は、前式(II)のコレステリック液晶化合
物がジコレステリル−10,12−ドコサジインジオエ
ートである前記第8の可逆記録媒体。
【0014】本発明の第10は、コレステリック液晶化
合物が、下記式(III)で示される少なくとも1種の化
合物である前記第5または6の可逆記録媒体にある。
【化6】 Z′−O−CO−(CH)m−C≡C−C≡C−(CH)n− −CO−O−Y′ ……(III) (式中Z′、Y′は各々独立してジハイドロコレステリ
ル基、水素原子又はアルキル基、式中m、nは各々独立
して1以上の整数、Z′およびY′の少なくともいずれ
か一方はジハイドロコレステリル基を表す。)
【0015】本発明の第11は、可逆的コレステリック
反射層側の表面から記録画像に対応して部分的に加熱し
て画像を記録した場合に、記録媒体の選択反射部を透過
した光を可逆的光吸収層で吸収して、選択反射した光の
みを観察できるよう設定することができる構成のもので
あることを特徴とする前記第1〜10の可逆記録媒体に
ある。
【0016】本発明の第12は、可逆的光吸収層の発色
状態が黒色である前記第1〜11の可逆記録媒体にあ
る。本発明の第13は、支持体が白色または透明である
前記第1〜12の可逆記録媒体にある。本発明の第14
は、可逆的光吸収層が無色状態、可逆的コレステリック
反射層が透明状態であるペーパーライクな前記第13の
可逆記録媒体にある。
【0017】本発明の第15は、可逆的熱発色層の発色
開始温度をT3、前記可逆的コレステリック反射層中の
液晶性化合物の結晶化温度をT5とした場合に、T3>
T5の関係を満たすものである前記第2〜14の可逆記
録媒体にある。本発明の第16は、可逆的熱発色層の発
色開始温度をT3、前記可逆的コレステリック反射層中
の液晶性化合物の等方相転移温度をT6とした場合に、
T3≧T6の関係を満たすものである前記第2〜15の
可逆記録媒体にある。
【0018】本発明の第17は、前記第2〜16のいず
れかに記載の可逆記録媒体の可逆的コレステリック反射
層側の表面から、記録画像に対応して部分的に加熱し
て、加熱部直下の可逆的コレステリック反射層および可
逆的光吸収層に、それぞれ記録画像を重ねて形成し、か
つ記録媒体の構成および/または加熱・冷却条件を選定
し、前記の記録画像の形成を、可逆的コレステリック反
射層を透過した光を光吸収層で吸収して、可逆的コレス
テリック反射層で選択反射した光のみを観察できるよう
設定することを特徴とする可逆記録方法にある。本発明
の第18は、発色部の記録画像を黒色画像とすることを
特徴とする前記第17の可逆記録方法にある。本発明の
第19は、選択反射部の記録画像を多色画像とすること
を特徴とする前記第17または18の可逆記録方法にあ
る。
【0019】本発明の第20は、可逆的コレステリック
反射層の記録画像よりも、それに対応した可逆的熱発色
層の記録画像を小さく形成することを特徴とする前記第
17〜19の可逆記録方法にある。
【0020】本発明の第21は、前記第2〜16のいず
れかに記載の可逆記録媒体の可逆的コレステリック反射
層側の表面から記録画像に対応して部分的に加熱して、
加熱部直下の可逆的コレステリック反射層および光吸収
層に、それぞれ、記録画像を重ねて形成できる加熱手段
を有し、かつ可逆的コレステリック反射層を透過した光
を光吸収層で吸収して、選択反射した光のみを観察でき
るよう構成されたことを特徴とする可逆記録装置にあ
る。本発明の第22は、可逆的コレステリック反射層の
記録画像よりも、それに対応した可逆的熱発色層の記録
画像を小さく形成できる手段を有する前記第2〜16の
可逆記録装置にある。
【0021】以下、本発明の可逆記録媒体、該可逆記録
媒体を使用した可逆的書き換え方法および可逆記録装置
を図面に基づいて説明する。 1.本発明の可逆記録媒体の基本構成 図1に本発明の可逆記録媒体の基本的構成を示す。支持
体1上に可逆的光吸収層、例えば電子供与性呈色性化合
物(以下、発色剤とも言う)と電子受容性化合物(以
下、顕色剤とも言う)を含む組成物から成る可逆的熱発
色層を形成してある。更にその上に、コレステリック液
晶相あるいは等方相を形成するサーモトロピック液晶性
化合物を含む可逆的コレステリック反射層3(以下、コ
レステリック反射層と略す)を形成する。必要に応じ
て、光吸収層2とコレステリック反射層3の間に中間層
4を、コレステリック反射層3の表面に表面保護層5
を、支持体1と可逆的光吸収層2の間に下地層6などを
設けても良い。
【0022】支持体1としては、たとえば、紙、合成
紙、PES、PET、ポリエーテールサルフォン、ポリ
エーテールイミドなどのプラスチックフィルムあるいは
これらの複合体、ガラス板などを用いることが出来る。
支持体1は透明でも良いが、反射型でペーパーライクな
可逆記録媒体とする場合は白色が好ましい。ペーパーラ
イクな媒体とする場合の支持体1の厚さは通常、50〜
500μm、好ましくは100〜300μm程度とす
る。その他のディスプレイ装置とする場合は板状の剛体
でも良く、支持体の厚さは特に限定されない。
【0023】表面保護層としては、ガラス基板や、透明
性と耐熱性に優れるポリエーテルサアルフォン、ポリエ
ーテルイミドなどのプラスチックフィルムが好ましい
が、これらに限定されない。コレステリック反射層の上
に光硬化性樹脂などを塗布した後、硬化処理を行ない、
表面保態層を形成しても良い。光硬化性樹脂としては、
透明性が高く、機械強度に優れる紫外線硬化樹脂が好ま
しい。また、紫外線硬化樹脂中にシリカ微粒子などのフ
イラーを添加し、さらに機械的強度を向上させることも
出来る。記録媒体の表面側からサーマルヘッドのような
接触式加熱装置記録する場合、表面保護層の厚さは1μ
mから30μm程度が好ましい。これ以下の薄さである
と、機械的強度が不足して表面保護層の破損が生じ、ま
た、これ以上に厚いとコレステリック反射層と光吸収層
への熱伝達効率が悪化し好ましくない。
【0024】この可逆記録媒体にサーマルヘッドなどで
表面側から熱書込みを行なうと、コレステリック反射層
3はコレステリック相で固定化され選択反射画像を形成
する。また、下層の光吸収層2も熱書込みによる加熱に
より発色温度に到達した場合には、上層の選択反射画像
とほぼ相似形の発色画像を形成する。この発色画像が、
コレステリック反射色を観測するために必要な光吸収層
として作用する。
【0025】図中に光を矢印で示したように、熱書込み
部では、コレステリック反射層3で特定の波長光(但
し、右または左旋光性の一方)が反射され、残りの波長
成分は光吸収層2に入射する。発色が黒色の場合、入射
した波長成分は全て吸収されるため、コレステリック反
射層3での反射光のみが観察され、鮮やかな選択反射色
の画像が得られる。発色が黒では無く青色など着色して
いる場合には、光吸収層2からの反射光とコレステリッ
ク反射層3での反射光の加法混色による色の画像が観察
される。また、熱書込み条件を適宜設定してコレステリ
ック反射層3を透明状態に記録し、光吸収層2に発色画
像を形成することで、黒色や青色などの発色画像がその
まま観察される。このように、選択反射画像の可逆記録
と同時に、それに対応した部分に光吸収画像を可逆的に
形成することで、下地部とのコントラストが大きな多色
画像を可逆的に記録出来る。
【0026】2.可逆的コレステリック反射層の詳細 可逆的コレステリック反射層としては、メモリー性があ
り、ガラス転移温度以上に加熱し、この加熱の加熱温度
に応じて現れたコレステリック液晶相の選択反射状態あ
るいは等方相の透明状態をガラス転移温度以下に固定で
きるサーモトロピック液晶化合物を有して構成されるも
のであればいずれも使用が可能である。前記のような可
逆的コレステリック反射層を構成するサーモトロピック
液晶化合物の一例として高分子コレステリック液晶化合
物が挙げられる。
【0027】高分子コレステリック液晶化合物 本発明で使用する高分子コレステリック液晶化合物とし
ては、側鎖型高分子コレステリック液晶が好ましく、特
に、ネマティックモノマーとコレステリックモノマーと
の共重合体が好ましい。この他、例えば特開平4−17
4415号公報や特開平6−273707号公報などに
記載されているような選択反射を示す高分子液晶であれ
ばいずれも使用可能である。
【0028】高分子コレステリック液晶は、ガラス転移
温度(Tg)以上かつ等方相転移温度(Tc)未満の温
度でコレステリック配向の液晶相を示し、このとき選択
反射を示す。そして、コレステリック配向の液晶相を示
しているものをTg未満に冷却することにより、コレス
テリック配向の液晶状態を固定化することができる。下
式(IV)に高分子コレステリック液晶化合物の1例を示
すが、本発明で使用し得る高分子コレステリック液晶化
合物は、この化合物に限定されない。高分子コレステリ
ック液晶化合物の重量平均分子量は、1万から50万の
範囲が好ましい。1万より小さいと記録状態の保存安定
性が悪くなり、50万より大きいと記録や消去に数時間
を要してしまうため好ましくない。
【化7】
【0029】一般に、高分子コレステリック液晶系では
記録時間や消去時間が比較的長くなるという問題があ
る。また、Tgが低い場合は記録された固定状態の保存
安定性が悪化し、室温程度の温度下での保存により固定
状態が消えてしまう場合がある。そのため、Tgは、少
なくとも30℃以上であることが好ましい。但し、本発
明の記録媒体及び装置を低温環境下のみで取り扱う場合
には、Tgは特に限定されず、取り扱う環境の温度以上
であれば良い。
【0030】そこで、記録速度向上と安定性向上のため
に、本発明では、分子量が900以上1万以下、好まし
くは1000以上2000以下、で分子量分布を持たな
いコレステリック液晶性化合物あるいはその混合物(以
後、中分子コレステリック液晶とも記す)を用いること
が好ましい。該中分子コレステリック液晶化合物は、等
方相あるいは高温でのコレステリック液晶相とした後、
ガラス転移温度以下、あるいは常温まで急冷すると、前
記加熱状態のコレステリック化合物はその分子配列を保
持したままガラス状固体(以下、コレステリックガラス
相と呼ぶ。)になり、選択反射色が観測されるものであ
る。
【0031】中分子コレステリック液晶化合物の分子量
が900より小さいと急冷により結晶化が起こってコレ
ステリックガラス相が固定されない。これは、急冷に伴
う分子の再配向が早いためと考えられる。また、分子量
が1万より大きいと1画素が数百ミリ秒程度以下での実
用的な記録や消去が困難になる。前記中分子コレステリ
ック液晶化合物は、等方相を示す温度まで到達させた
後、次に該層をコレステリック反射色を示す温度まで冷
却して前記コレステリック反射色を固定させた後、再び
加熱し少なくともその一部を結晶化させるか、あるい
は、等方相を示す温度まで到達させた後、急冷して少な
くとも一部を非晶質状態とすることにより、白色表示が
できる。
【0032】中分子コレステリック液晶性化合物として
は、前式(I)および(II)に示されるものが好まし
い。また、前式(I)および(II)で示される化合物と
も、それぞれnの数が異なる混合物であってもよく、さ
らに前式(I)と(II)の混合物であってもよい。前式
(I)および(II)で示される液晶記録材料として用い
るコレステリック液晶化合物は、その分子量が2000
以下で、ガラス転移温度が30℃以上で、ガラス転移温
度以上でコレステリック液晶相を示し、さらにそれ以上
の温度で等方相を示すものである。特に前式(II)のn
が8である下式(V)で示されるコレステリック液晶化
合物(Dicholesteryl 10,12−Do
cosadiynedioat)が固定化されたコレス
テリックピッチ反射色による安定性が高いので好まし
い。
【0033】
【化8】
【0034】本発明で使用するコレステリック液晶化合
物としては、さらに前式(III)で示される液晶記録材
料コレステリック液晶化合物があげられるが、該コレス
テリック液晶化合物を用いた可逆的コレステリック反射
層は、コレステリックガラス相を高温下に放置した時の
保存安定性が向上する。具体的にはコレステリックガラ
ス相の結晶化が抑制される。これは、記録媒体を夏季の
車内など高温になる場所に放置した場合などに画像が劣
化するのを防止することができる。本発明で使用する前
記コレステリック液晶化合物は、その複数種類を混合し
て用いても良い。
【0035】なお、コレステリック反射層は、選択反射
を示す液晶性化合物だけで構成することが好ましいが、
バインダー樹脂やスペーサー粒子を含有するものであっ
てもよい。バインダー樹脂としては、例えばポリ塩化ビ
ニル、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、フェノキシ樹
脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリエステルなどが
挙げられる。バインダー樹脂と、例えば液晶性化合物を
適当な溶媒に溶かして塗布した後、溶媒を蒸発させて反
射層を形成させることができる。また、コレステリック
反射層は、コレステリック液晶化合物、バインダー成分
のモノマー成分あるいはプレポリマーおよび重合開始剤
を混合して、重合、例えば光重合あるいは熱重合により
バインダー成分を重合させてを形成しても良い。スペー
サー粒子としては、一般的な液晶ディスプレイ用に用い
られている球状粒子や円柱状粒子などが使用できるが、
これらに限定されない。
【0036】前記等方相を得るための加熱手段は、特に
その種類は制限されるものではないが、必要とする加熱
速度に応じて、適宜、適当な加熱手段および加熱条件を
選択できるが、加熱手段としては、例えばホットプレー
ト、レーザー光、サーマルへッドなどを使用することが
出来る。ただし、加熱手段はこれらに限定されるもので
はない。
【0037】前記コレステリック反射色を固定する急冷
手段も、特にその種類は制限されるものではないが、例
えば所望するコレステリック反射色に応じて必要とする
冷却速度に応じて、適宜、適当な冷却手段および冷却条
件を選択できる。冷却手段としては、例えば水冷、空
冷、金属板、ガラス板等などを使用することが出来る。
ただし、冷却手段はこれらに限定されるものではない。
【0038】選択反射波長は、通常、400〜700n
m程度の可視光領域に存在することが好ましく、この場
合、人間が視認することができる。ただし、機械により
読み取る場合などは、紫外領域や赤外領域に選択反射波
長が存在していてもよい。コレステリック反射層の厚さ
は、0.5〜50μm、好ましくは1〜20μmの範囲
から適宜選択すればよい。コレステリック反射層が薄す
ぎると最大反射が得られる波長における反射率が低くな
るため表示画像のコントラストが低下し、厚すぎるとコ
レステリック反射層内での光吸収が多くなって表示画像
のコントラストが低下する。また、厚すぎると下層の光
吸収層2への熱伝達が悪くなる。
【0039】3.可逆的光吸収層 可逆的光吸収層2は、何らかの外部刺激によって、コレ
スリテック反射層を透過してきた光を吸収する機能を有
するものであればすべて用いることが出来る。例えば加
熱温度や冷却速度によって発色と消色を繰り適すことが
出来る感熱記録材料、電界や熱の有無によって二色性色
素分子の配向を切り替えるゲストホスト型液晶材料(特
開平10−183117)、磁界の方向によって平板状
の磁性粒子の向きを切り替えて光シャッターとする磁気
記録材料(特開平9−090887)などを用いること
が出来る。コレステリック反射層と光吸収層のそれぞれ
の記録原理が異なる場合は、それぞれの層の記録動作が
確実に行なわれるように記録層の構成を最適化する必要
がある。また、いずれも材料でも光吸収(発色)状態と
透過(無色)状態をエネルギー無しで保持できるメモリ
ー性を有することが好ましい。
【0040】コレステリック反射層の記録動作が感熱記
録の場合は光吸収層も感熱記録であることが好ましい。
感熱記録装置により光吸収(発色)状態と透過(無色)
状態を可逆的に保持出来、エネルギー無しで保持できる
メモリー性を有する方式としては、顕色剤と発色剤の混
合物を用いることが出来る。可逆的光吸収層2は、顕色
剤と発色剤の組合せだけによって達成されるものが好ま
しいが、顕色剤と発色剤の組合せによる方式だけに限ら
ない。発色と消色が熱的に可逆変化する材料系ならば用
いることが出来る。ここで用いられる顕色剤は、その分
子内に顕色能を持つ構造と長鎖の脂肪族基(以下、長鎖
構造と言う)を持つものである。可逆的熱発色性の組成
物では、顕色剤に対し、適当な発色剤の組合せが用いら
れる。たとえば、この組合せは、両者を加熱溶融し急冷
して得た発色状態試料を示差走査熱量分析または示差熱
分析したとき昇温過程において発熱現象を示すか否かに
よって選択され、発熱現象を示すものであれば本発明に
適用可能なものである。この可逆的熱発色性の組成物
は、顕色剤と発色剤を混合溶融し発色する温度以上に加
熱し、急冷することにより発色状態をとることができ
る。これを再び昇温していくと、発色温度より低いある
温度ですみやかにその発色体の消色が起きる。このよう
な発色、消色現象を起こす可逆的熱発色性の組成物に対
して消色促進剤を添加しても良い。
【0041】可逆的光吸収層に含まれる顕色剤は、基本
的に分子内に発色剤を発色させることができる顕色能を
示す構造と、分子間の凝集力をコントロールする長い脂
肪族鎖構造部分を合わせ持つ化合物であり、炭素数12
以上の脂肪族基を持つ有機リン酸化合物、芳香族または
脂肪族カルボン酸化合物あるいはフェノール化合物等で
ある。脂肪族基は、直鎖状または分枝状のアルキル基、
アルケニル基が包含され、ハロゲン、アルコキシ基、エ
ステル基等の置換基を持っていてもよい。具体的には特
開平10−151859号公報に記載される化合物が例
示できるが、これらの化合物には限定されない。
【0042】また、可逆的光吸収層に含まれる発色剤は
電子供与性を示すものであり、それ自体無色あるいは淡
色の染料前駆体であり、特に限定されず、従来公知のも
の、たとえば、フルオラン系化合物、フェノチアジン系
化合物、ロイコオーラミン系化合物、フタリド系化合
物、アザフタリド系化合物などが用いられる。具体的に
は特開平10−95175号公報に記載される化合物が
例示できるが、これらの化合物には限定されない。
【0043】更に、可逆的光吸収層には、消色促進剤と
して低融点化合物または高融点化合物などを添加するこ
とができる。その例として次のような物質が挙げられ
る。脂肪酸、脂肪酸誘導体または脂肪酸金属塩、ワック
スおよび油脂、高級アルコール類、リン酸エステル類、
安息香酸エステル類、フタル酸エステル類、オキシ酸エ
ステル類、シリコーンオイル、液晶化合物、界面活性剤
など長鎖炭化水素基をもつ化合物を用いることができ
る。
【0044】可逆的光吸収層を構成する発色剤と顕色剤
の割合は、使用する化合物の物性によって適切な比率を
選択する必要がある。その範囲はおおむね、モル比で発
色剤1に対し顕色剤が1から20の範囲であり、好まし
くは2から10の範囲である。顕色剤がこの範囲より少
ないと消色性が不十分となり、また、多すぎると発色濃
度が不十分となる。
【0045】光吸収層2は、層としての形態をとらせる
ために、必要に応じてバインダー樹脂を用いて顕色剤と
発色剤を保持することができる。バインダーとしては、
たとえばポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレン系共重
合体、フェノキシ樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエス
テル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアクリル
酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、アクリル
酸共重合体、マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコー
ルなどがある。
【0046】顕色剤および発色剤は、マイクロカプセル
中に内包して用いることもできる。顕色剤、発色剤のマ
イクロカプセル化は、コアセルベーション法、界面重合
法、インサイチュ重合法など公知の方法によって行うこ
とができる。光吸収層2の形成は、従来公知の方法に従
い、発色剤および顕色剤をバインダーと共に水または有
機溶剤により均一に分散もしくは溶解して、これを支持
体上に塗布・乾燥することによって行う。またバインダ
ーを用いない場合、顕色剤と発色剤を混合・溶融して膜
とし、冷却して光吸収層2とすることができる。光吸収
層のバインダー樹脂の役割は、発色・消色の繰り返しに
よって可逆的熱発色性の組成物を均一に分散させた状態
を保持することにある。特に、発色時の熱印加で組成物
が集合して不均一化することが多いから、バインダー樹
脂は耐熱性の高いものが好ましい。
【0047】4.可逆記録特性 本発明の可逆記録媒体を用いて着色画像を形成させるた
めには、いったんコレステリック反射層と光吸収層2を
記録温度以上に加熱したのち急冷されるようにすればよ
い。具体的には、たとえばサーマルヘッドやレーザー光
で短時間加熱すると記録媒体が局部的に加熱されるた
め、直ちに熱が拡散し急激な冷却が起こり、着色状態が
固定できる。一方、消色させるためには適当な熱源を用
いて比較的長時間加熱し冷却するか、消色温度に一時的
に加熱すればよい。長時間加熱すると記録媒体の広い範
囲が昇温し、その後の冷却は遅くなるため、その過程で
消色が起きる。この場合の加熱方法には、熱ローラ、熱
スタンプ、熱風などを用いてもよいし、サーマルヘッド
を用いて長時間加熱してもよい。また、レーザー装置を
用いることも出来る。高出力の炭酸ガスレーザーなどを
用いれば、可視光の吸収層を用いること無く発熱させる
ことが出来る。コレステリック反射層および光吸収層を
消色温度域に加熱するためには、例えばサーマルヘッド
への印加電圧やパルス幅を調節することによって、印加
エネルギーを記録時よりやや低下させればよい。この方
法を用いれば、サーマルヘッドだけで記録・消去がで
き、いわゆるオーバーライトが可能になる。もちろん、
熱ローラ、熱スタンプによって消色温度域に加熱して消
去することもできる。また、消色時にも光源装置を用い
ることが出来る。この場合、着色部は特に光を吸収し易
いため、効率よく発熱させることが出来る。
【0048】まず、光吸収層2の発色・消色現象につい
て説明する。図2は前記した可逆的熱発色性組成物の発
色濃度と温度の関係を示す。この図の横軸は温度を示
し、縦軸は濃度を示している。図中Aは常温で消色状態
にある組成物を示し、Bは加熱・溶融状態にあり発色し
た状態の組成物を示す。また、Cは常温で発色状態にあ
る組成物を示す。組成物Aを昇温していく場合、発色開
始温度T3で発色し始め、発色状態濃度が飽和する温度
T4(以後、発色飽和温度T4と記す)で組成物Bとな
る。この組成物Bを急冷すると、発色状態を維持したま
ま、常温に戻り組成物Cに変化する(図中の実線の経
路)。発色状態の組成物Cを再び昇温していくと、消色
開始温度T1で濃度が低下し始める組成物Dとなり、つ
いには消色温度T2でほぼ消色状態となり組成物Eに変
化する。組成物Eを冷却し降温するとそのまま消色状態
の組成物Aに戻る(図中の鎖線の経路)。ここで、消色
温度T2から発色開始温度T3までの温度が組成物の消
色温度領域となる。本組成物が示す発色・消色現象の特
徴は、溶融して発色する温度より低い温度領域に消色温
度範囲があり、組成物を常温発色状態からこの範囲に加
熱すると消色することである。また、発色と消色の現象
は繰り返しが可能である。なお、図2は本発明の組成物
の代表的な発色と消色の仕方を示したものであり、各温
度は用いる材料の組合せで異なる。また、溶融して発色
している状態の組成物Bの濃度と、その状態から冷却し
て得た発色状態の組成物Cの濃度は必らずしも一致する
ものではなく、異なる場合もある。
【0049】次に、コレステリック反射層の反射・透過
現象について説明する。図3に、中分子コレステリック
液晶性化合物を用いた場合の可逆的コレステリック反射
層の選択反射色と温度の関係を示す。この図の横軸は温
度を示し、縦軸は選択反射色を示している。図中で、常
温での結晶状態aを昇温していくと、等方相転移温度T
6以上で溶融状態の等方相bに変化する。この等方相b
からガラス転移温度Tg(図示せず)以下まで急冷する
と、常温で透明状態の非晶質相cに固定化される。高温
の等方相bからコレステリック液晶相eの温度領域に徐
冷すると、温度に応じた選択反射色(e、e
)を示す。前式(V)で示される10,12−ドコ
サジインジカルボン酸ジコレステリルエステル(分子
量:1099.8、ガラス転移温度:80℃、以下ch
ol−8−diyne−8−cholと記す)では、1
15℃程度で430nmの青色、87℃程度で610n
mの赤色を示す。この状態からガラス転移温度Tg(図
示せず)以下まで急冷すると、室温で選択反射状態が固
定化されたコレステリックガラス相(f、f
)が得られる。あるいは、等方相bでの急冷開始温
度や急冷速度を変えることで、一段階的に非晶質相cや
コレステリックガラス相(f、f、f)を得るこ
とも出来る。
【0050】非晶質相cあるいはコレステリックガラス
相fを再度加熱していくと、結晶化温度T5で結晶化が
始まり白濁状態dとなる。ここで冷却すると結晶状態a
に戻る。また、コレステリック液晶相eから徐々に冷却
すると、結晶化状態aが得られる場合と、透明状態(図
示せず)が得られる場合がある。この原因は明らかでは
ないが、ガラス相の再加熱による液晶化と、液晶相から
の徐冷による液晶化では、液晶構造が異なり光散乱能力
が異なるためと考えられる。なお、図3は本発明の液晶
性組成物の代表的な記録特性を示したものであり、等方
相転移温度T6や結晶化温度T5などは用いる材料で異
なる。
【0051】可逆記録媒体全体としての初期化あるいは
記録消去プロセスは、支持基体1が白色の場合は、光吸
収層2を消色温度T2以上に加熱した後冷却する。これ
は、コレステリック反射層が選択反射状態を示していて
も、光吸収層2が確実に消色していれば、選択反射色は
観察されず白色表示が得られるためである。支持基体1
が透明の場合は、コレステリック反射層を結晶化温度T
5以上、かつ、光吸収層2を消色温度T2以上に加熱し
た後冷却する。これは、透過型の場合は、コレステリッ
ク反射層も透明あるいは僅かな白濁状態にする必要があ
るためである。ここで、コレステリック反射層の結晶化
温度T5が光吸収層の発色開始温度T3よりも大きい場
合、記録画像を消去するためにコレステリック反射層を
結晶化温度T5以上まで加熱すると、光吸収層が再発色
してしまう場合がある。したがって、T3>T5となる
ように材料を組み合わせる必要がある。
【0052】サーマルヘッドなどの加熱装置によって画
像を熱書込みした場合、画像エッジ部(輪郭部)の加熱
温度と冷却速度にムラが発生する場合がある。したがっ
て、コレステリック反射層の下層全面に光吸収層がある
ような場合には、記録した画像の輪郭部の選択反射色が
異なって観察される場合がある。この輪郭部の色違いを
防止するためには、輪郭部の選択反射色を観察出来ない
ようにすれば良い。すなわち、コレステリック反射層の
記録画像よりも、光吸収層の記録画像を一回り小さく形
成すれば、画像輪郭部の選択反射色は観察されず、均一
な色の部分の画像のみが観察される。
【0053】このように、コレステリック反射層の記録
画像よりも光吸収層の記録画像を小さく形成するために
は、発色開始温度T3が等方相転移温度T6以上(T3
≧T6)である必要がある。本発明の可逆記録媒体を表
面側からサーマルヘッドなどで加熱した場合、上層のコ
レステリック反射層内の温度よりも、下層の光吸収層内
の温度の方が低くなる傾向がある。図4および5の
(a)に可逆記録媒体断面の温度分布のモデル図を示
す。図中の点線は比較的高温部の分布を、実線の曲線は
T6の分布を、破線の曲線は比較的低温部の分布を示し
ている。コレステリック反射層ではT6以上に加熱・急
冷された部分がコレステリックガラス相として固定化さ
れるが、輪郭部では温度分布による色ムラが発生し易
い。ここで、光吸収層の発色開始温度T3が比較的低い
T3<T6の場合、図4の(a)のように光吸収層は破
線曲線部まで発色し、発色部の面積が比較的大きくな
る。特に発色開始温度T3と発色飽和温度T4の差が小
さい場合、高濃度に発色した部分の面積も大きくなる。
すると選択反射色の輪郭部も観察され易くなるため、図
4の(b)のように画像輪郭部の色ムラが発生してしま
う。そこで、T3≧T6の条件にすれば、図5の(a)
のようにコレステリック反射層内の記録部面積よりも、
光吸収層内の発色面積の方が確実に小さく出来る。した
がって、輪郭部の色ムラの部分には光吸収層が無いため
選択反射光は観察されず、図5の(b)のように輪郭部
の色ムラの無い均一な画像のみが観察される。
【0054】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。
【0055】実施例1 顕色剤として、下式(VI)で示されるK1を用いた。
【化9】 発色剤として2−アニリノ−3−メチル−6−n−ジブ
チルアミノフルオランを用い、これら顕色剤と発色剤を
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とともにメチルエチル
ケトン中で分散混合し、透明PETフィルム上に塗布乾
燥して膜厚約6μmの光吸収層を形成した。このフィル
ム上に、前式(V)で示されるコレステリック液晶(c
hol−8−diyne−8−chol)系化合物を適
量載せて130℃に加熱したホットプレート上に30秒
間載せて充分に加熱溶融させた。
【0056】溶融状態で厚さ25μmのPESフィルム
を被せ、130℃に加熱した対向ホットプレートを載せ
て1kg/cmの圧力で均一に加圧しながら膜厚約1
0μmに伸ばした後、5℃/minの速度で徐々に冷却
し、選択反射層を形成した。その結果、光吸収層の記録
特性が消色開始温度T1=55℃、消色温度T2=90
℃、発色開始温度T3=130℃、発色温度T4=15
0℃で、選択反射層の記録特性が結晶化温度T5=97
℃、等方相転移温度T6=120℃の透過型の可逆記録
媒体を得た。初期化時の冷却条件として徐冷しているた
め、光吸収層は無色状態、選択反射層も透明状態で固定
化された。
【0057】サーマルヘッド装置で記録媒体の保護層表
面に画像情報を熱書込みした。ドット密度6dot/m
m、印加電力0.2W/dot、書込み速度5mm/s
ecの条件で使用し、駆動パルス幅を数msecから数
十msecの範囲で変化させて、単位面積当たりの記録
エネルギーを制御した。常温環境下で、画像状に65m
J/mmのエネルギーで記録し、サーマルヘッド出口
に冷風を送風して強制的に冷却したところ、光吸収層は
ほぼ無色のままで、コレステリック反射層にはコレステ
リックガラス相が得られた。このコレステリックガラス
相は赤色波長の選択反射を示しており、透過光としては
補色のシアン光が目視観測された。同様に画像状に85
mJ/mmエネルギーで記録し、サーマルヘッド出口
にファンで送風して冷却したところ、今度は光吸収層も
黒色に発色し、コレステリック反射層にはコレステリッ
クガラス相が得られた。このコレステリックガラス相は
緑色波長の選択反射を示しており、光吸収層での補色光
の光吸収により、反射光では目視で緑色の記録画像が観
察された。この部分は光吸収層で透過光が吸収されるた
め、透過光では黒色が観察される。記録後のシートをO
HPで投影したところ、白色表示の下地の中にシアン色
と黒色の画像が表示され、コントラストが高い多色表示
が得られた。また、このシート全体をホットプレート上
で125℃まで加熱して、5℃/minの速度で徐々に
冷却したところ、光吸収層は消色し、コレステリック反
射層は透明状態になった。OHPで投影したところ全面
白色表示が得られ、記録画像が消去できた。
【0058】実施例2 顕色剤として下式(VII)の化合物を用い、また、発色
剤として2−(o−クロロフェニル)アニリノ−6−ジ
ブチルアミノフルオランを用い、これら顕色剤と発色剤
を塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体とともにメチルエチ
ルケトン中で分散混合し、白色PETフィルム上に膜厚
約6μmの光吸収層を実施例1と同様形成した。
【化10】
【0059】このフィルム上に実施例1で使用したコレ
ステリック系液晶化合物を適量載せて130℃で加熱溶
融させた。実施例1と同様に、溶融状態で厚さ25μm
のPESフィルムを被せて均一に加圧し、膜厚約10μ
mに伸ばして冷却し、コレステリック反射層を形成し
た。その結果、光吸収層の記録特性が消色開始温度T1
=62℃、消色温度T2=80℃、発色開始温度T3=
92℃、発色温度T4=100℃で、コレステリック反
射層の記録特性が結晶化温度T5=97℃、等方相転移
温度T6=120℃の反射型の可逆記録媒体を得た。初
期化時の冷却条件として徐冷しているため、光吸収層は
最初の発色状態から無色状態に変化し、コレステリック
反射層も透明状態で固定化された。
【0060】実施例1と同じサーマルヘッド装置で記録
媒体の保護層表面を画像状に65mJ/mmエネルギ
ーで記録したところ、光吸収層は黒色が固定化され、コ
レステリック反射層には赤色波長の選択反射を示すコレ
ステリックガラス相が固定化された。光吸収層の黒色部
が光吸収層として働くため、白色の下地の中に目視で赤
色の記録画像が観察された。同様に画像状に85mJ/
mmエネルギーで記録しサーマルヘッド出口にファン
で送風して冷却したところ、光吸収層は黒色が固定化さ
れ、コレステリック反射層には緑色波長の選択反射を示
す液晶ガラス相が固定化された。同様に画像状に100
mJ/mmエネルギーで記録し、サーマルヘッド出口
にファンで送風して強制的に冷却したところ、光吸収層
は黒色が固定化され、コレステリック反射層には青色波
長の選択反射を示すコレステリックガラス相が固定化さ
れた。同様に画像上に110mJ/mmエネルギーで
記録した、サーマルヘッド出口にファンで送風して強制
的に冷却したところ、光吸収層は黒色が固定化され,コ
レステリック反射層には透明状態の非晶質相が固定化さ
れた。以上のようにして、ペーパーライクな白色表示の
下地の中に赤、緑、青、黒の多色画像が表示できた。な
お、サーマルヘッド出口での送風強度や空気温度などの
冷却条件は,記録条件に応じて適宜変化させた。ここ
で,緑色画像の輪郭部を拡大観察したところ、赤色が記
録されている部分もあった。これは、T4<T6で発色
温度T4が比較的低いため、発色部の画像面積が比較的
大きくなり、コレステリックガラス部の輪郭部に発生し
た固定化状態のムラの選択反射色をそのまま表示してい
るためである。しかし,この輪郭部の色ムラは実用上問
題無いレベルであった。次に,ホットプレート上で、シ
ート全体を結晶化温度T5より僅かに高い100℃まで
加熱して急冷したところ、コレステリック反射層は結晶
化して僅かに白濁化したが、T3<T5であるため、画
像は一度消色したものの全面が再発色してしまった。そ
こで,再度ホットプレート上で130℃まで加熱して徐
々に冷却したところ、光吸収層は消色し、コレステリッ
ク反射層は透明状態になった。
【0061】実施例3 顕色剤として下式(VIII)の化合物を用い、発色剤とし
て2−アニリノ−3−メチル−6−n−ジブチルアミノ
フルオランを用いた以外は、実施例2と同様にした。そ
の結果、光吸収層の記録特性が消色開始温度T1=70
℃、消色温度T2=90℃、発色開始温度T3=140
℃、発色温度T4=150℃で、選択反射層の記録特性
が結晶化温度T5=97℃、等方相転移温度T6=12
0℃の反射型の可逆記録媒体を得た。T3>T5および
T4≧T6の条件を満たしている。
【化11】
【0062】実施例2と同様な方法で熱記録したとこ
ろ、良好な多色画像を形成することが出来た。緑色画像
の輪郭部を拡大観察したが、輪郭部に赤色は観察されな
かった。これは、等方相転移温度T6が発色温度T4よ
りも小さいため、コレステリック反射層の記録面積より
も光吸収層の発色面積の方が一回り小さくなり、コレス
テリックガラス部の輪郭部の選択反射色を表示できなく
なったためである。但し、発色画像の面積が僅かに小さ
くなるため線が細くなったが、実用上問題無いレベルで
あった。次に、サーマルヘッド装置を用いて、シート表
面をT5以上の110℃になるように55mJ/mm
のエネルギーで加熱したところ、光吸収層内部はT2ま
で達成し消色した。ここでは、T3>T5で発色開始温
度T3が十分に大きいため光吸収層の再発色は発生しな
かった。また、コレステリック反射層もT5で結晶化し
て僅かに白濁化したため、全面白色表示が得られ、記録
画像の消去ができた。
【0063】比較例1 可逆的熱光吸収層を設けず、黒色PETフィルム上に実
施例1のコレステリック系液晶化合物を適量載せて13
0℃で加熱溶融させた。溶融状態で厚さ25μmのPE
Sフィルムを被せて均一に加圧し、膜厚約10μmに伸
ばして冷却し、コレステリック反射層のみを形成した。
コレステリック反射層の記録特性が結晶化温度T5=9
7℃、等方相転移温度T6=120℃の反射型の可逆記
録媒体を得た。初期化時の冷却条件として徐冷している
ため、コレステリック反射層は透明状態で固定化され
た。実施例2と同様な方法で熱記録したところ、黒色の
下地の中に赤、緑、青の多色画像が表示できた。また、
黒色の下地の中に白色の画像を記録するために、画像状
に45mJ/mmのエネルギーで記録したところ、結
晶化により白濁したが、膜厚が薄いため十分な白色表示
は得られなかった。
【0064】実施例4 実施例2で得られた記録画像を55℃下で24時間放置
したところ、コレステリックガラス相が部分的に結晶化
した。光吸収層の黒色濃度には変化がなく、画像として
は黒点状の部分が発生した。そこで、コレステリックガ
ラス相の高温下での保存安定性を向上させるために、コ
レステリック反射層として実施例1で用いた前式(V)
で示される化合物と、前式(III)においてm=n=
8、Z′=Y′=ジハイドロコレステリル基で示される
化合物とを9:1の重量比で混合したコレステリック系
液晶系化合物を用いた。それ以外はすべて実施例2と同
様にして画像記録を行った。コレステリック反射層の材
料組成が変化したものの、記録エネルギーに対する記録
色の特性はほぼ同様であり、ペーパーライクな白色表示
の下地の中に赤、緑、青、黒の多色画像表示できた。記
録画像を55℃以下で24時間放置してもコレステリッ
クガラス相の結晶化は発生せず、コレステリックガラス
相の保存安定性が向上していることが確認された。
【0065】
【効果】1.請求項1、2、3、4、5、6、7 支持基体と可逆的コレステリック反射層の間に可逆的光
吸収層を設けているので、選択反射現象だけでは表示が
困難な色を表示することができ、かつ、非画像部とのコ
ントラストが向上した可逆記録媒体が得られる。 2.請求項8〜10 中分子コレステリック液晶化合物を用いているので、高
速に記録・消去ができ、かつ多色表示が可能な可逆記録
媒体が得られる。 3.請求項11 支持基体と可逆的コレステリック反射層の間に可逆的光
吸収層を設けているので、選択反射現象だけでは表示が
困難な色を表示することができ、かつ、非画像部とのコ
ントラストが向上した可逆記録装置が得られる。 4.請求項12 可逆的光吸収層の発色状態が黒色であるので、選択反射
現象だけでは表示が困難な黒色を表示することができ、
かつ、鮮やかな選択反射色を得ることが出来る可逆記録
媒体が得られる。 5.請求項13〜14 選択反射現象だけでは表示が困難な白色を表示すること
ができ、かつ、ペーパーライクで多色表示が可能な可逆
記録媒体が得られる。 6.請求項15 熱光吸収層の発色開始温度とコレステリック反射層中の
結晶化温度の関係を最適化しているので、確実に記録画
像が消去できる可逆記録媒体が得られる。 7.請求項16 熱光吸収層の発色開始温度とコレステリック反射層中の
等方相転移温度の関係を最適化しているので、画像輪郭
の色ムラが少なくなり、シャープな多色画像の形成が可
能な可逆記録媒体が得られる。 8.請求項17〜19 選択反射現象だけでは表示が困難な黒色や白色も表示で
きる多色記録が可能な可逆記録方法が得られる。 9.請求項20 画像輪郭の色ムラが少なくなり、シャープな多色画像の
形成が可能な可逆記録方法が得られる。 10.請求項21 選択反射現象だけでは表示が困難な色を表示することが
でき、かつ、非画像部とのコントラストが向上した可逆
記録媒体が得られる可逆記録装置が提供される。 11.請求項22 画像輪郭の色ムラが少なくなり、シャープな多色画像の
形成が可能な可逆記録媒体が得られる可逆記録装置が提
供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可逆記録媒体の基本的構成を示す模式
的断面図である。
【図2】本発明の可逆記録媒体の発色性組成物の発色濃
度と温度の関係を示す図である。
【図3】中分子コレステリック液晶性化合物を用いた場
合の可逆的コレステリック反射層と温度の関係を示す図
である。
【図4】T6>T3の場合の可逆記録媒体断面の温度分
布のモデル図(a)および該媒体の輪郭部の色ムラの発
生状態を示す図(b)である。
【図5】T3≧T6の場合の可逆記録媒体断面の温度分
布のモデル図(a)および該媒体の輪郭部の色ムラの発
生状態を示す図(b)である。
【符号の説明】
1 支持基体 2 可逆的光吸収層 3 可逆的コレステリック反射層 4 中間層 5 保護層 6 下地層 A 常温で消色状態にある組成物 B 加熱・溶融状態にあり発色した組成物 C 常温で発色状態にある組成物 D 加熱により消色し始めた状態にある組成物 E Cの再加熱によって形成された消色状態の固体組成
物 a 常温での結晶状態 b 等方相 c 常温で透明状態の非晶質相 d 白濁状態 e 青色の選択反射色を示すコレステリック液晶層 e 緑色の選択反射色を示すコレステリック液晶層 e 赤色の選択反射色を示すコレステリック液晶層 f 青色のコレステリックガラス相 f 緑色のコレステリックガラス相 f 赤色のコレステリックガラス相 T1 消色開始温度 T2 消色温度 T3 発色開始温度 T4 発色状態濃度が飽和する温度 T5 結晶化温度 T6 等方相転移温度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B41M 5/26 102 (71)出願人 000006747 株式会社リコー 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 (74)上記3名の代理人 100094466 弁理士 友松 英爾 (外1名) (72)発明者 杉本 浩之 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 二村 恵朗 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 筒井 恭治 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 玉置 信之 茨城県つくば市東1−1 工業技術院物質 工学工業技術研究所内 (72)発明者 松田 宏雄 茨城県つくば市東1−1 工業技術院物質 工学工業技術研究所内 Fターム(参考) 2H026 AA07 AA09 AA28 BB01 FF02 FF11 2H088 EA62 GA03 HA21 MA02 2H111 HA07 HA18 HA23 HA35 4H027 BA02 BD08 BD20 DM01

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持基体上にコレステリック液晶相の螺
    旋状分子配列に起因する選択反射現象を可逆的に示すこ
    とができる可逆的コレステリック反射層が設けられ、か
    つ前記支持基体と可逆的コレステリック反射層の間に、
    可逆的光吸収層を有して構成されたものであることを特
    徴とする可逆記録媒体。
  2. 【請求項2】 可逆的光吸収層が可逆的熱発色層である
    ことを特徴とする請求項1記載の可逆記録媒体。
  3. 【請求項3】 可逆的光吸収層は、少なくとも電子供与
    性呈色化合物と電子受容性化合物を含有する常温で無色
    の固体組成物で構成され、該無色の固体組成物は、その
    溶融温度以上に加熱されることによって電子供与性呈色
    化合物と電子受容性化合物の発色状態の発色体を形成
    し、該発色状態の発色体を急冷すると発色状態を維持し
    たまま常温で固体組成物となり、また、該固体組成物を
    溶融発色温度より低い温度への再加熱によって電子受容
    性化合物が発色体から分離して消色状態の固体組成物と
    なり、該消色状態固体組成物はさらに冷却されると無色
    の固体組成物となり、また、溶融温度以上に再加熱され
    ることによって発色体となるものである請求項2記載の
    可逆記録媒体。
  4. 【請求項4】 可逆的コレステリック反射層が、該層の
    一部、あるいは全部の領域を等方相あるいは高温でのコ
    レステリック液晶相を示す温度まで加熱させた後、等方
    相からガラス転移温度Tg以下まで急冷すると、常温で
    透明状態の非晶質相に固定化され、高温の等方相からコ
    レステリック液晶相の温度領域に徐冷すると、温度に応
    じた選択反射色を示し、この状態からガラス転移温度T
    g以下まで急冷すると、室温で前記選択反射状態が固定
    化されたコレステリックガラス相が得られ、さらに、前
    記選択反射状態が固定化されたコレステリックガラス相
    は結晶化温度まで再加熱することにより、結晶相に固定
    できるものである請求項1〜3のいずれかに記載の多色
    表示が可能な可逆記録媒体。
  5. 【請求項5】 可逆的コレステリック反射層を構成する
    コレステリック液晶化合物が、分子量が2000以下
    で、ガラス転移温度が30℃以上のコレステリック液晶
    化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の可逆記録
    媒体。
  6. 【請求項6】 可逆的コレステリック反射層がコレステ
    リック液晶化合物、バインダー成分のプレポリマーおよ
    び重合開始剤を混合して、バインダー成分を重合させて
    形成させたものである請求項1〜5に記載の可逆記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 可逆的コレステリック反射層を構成する
    コレステリック液晶化合物が、高分子コレステリック液
    晶化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の可逆記
    録媒体。
  8. 【請求項8】 コレステリック液晶化合物が、下記式
    (I)で示される少なくとも1種の化合物および/また
    は下記式(II)で示される少なくとも1種の化合物であ
    る請求項5または6記載の可逆記録媒体。 【化1】 (式中、n=5、6、7、R=H、CH) 【化2】 (式中、n=2、3、4、5、6、7、8、9、10)
  9. 【請求項9】 前式(II)のコレステリック液晶化合物
    がジコレステリル−10,12−ドコサジインジオエー
    トである請求項8記載の可逆記録媒体。
  10. 【請求項10】 コレステリック液晶化合物が、下記式
    (III)で示される少なくとも1種の化合物である請求
    項5または6記載の可逆記録媒体。 【化3】 Z′−O−CO−(CH)m−C≡C−C≡C−(CH)n− −CO−O−Y′ ……(III) (式中Z′、Y′は各々独立してジハイドロコレステリ
    ル基、水素原子又はアルキル基、式中m、nは各々独立
    して1以上の整数、Z′およびY′の少なくともいずれ
    か一方はジハイドロコレステリル基を表す。)
  11. 【請求項11】 可逆的コレステリック反射層側の表面
    から記録画像に対応して部分的に加熱して画像を記録し
    た場合に、記録媒体の選択反射部を透過した光を可逆的
    光吸収層で吸収して、選択反射した光のみを観察できる
    よう設定することができる構成のものであることを特徴
    とする請求項1〜10のいずれかに記載の可逆記録媒
    体。
  12. 【請求項12】 可逆的光吸収層の発色状態が黒色であ
    る請求項1〜11のいずれかに記載の可逆記録媒体。
  13. 【請求項13】 支持体が白色または透明である請求項
    1〜12のいずれかに記載の可逆記録媒体。
  14. 【請求項14】 可逆的光吸収層が無色状態、可逆的コ
    レステリック反射層が透明状態であるペーパーライクな
    請求項13記載の可逆記録媒体。
  15. 【請求項15】 可逆的光吸収層の発色開始温度をT
    3、前記可逆的コレステリック反射層中の液晶性化合物
    の結晶化温度をT5とした場合に、T3>T5の関係を
    満たすものである請求項2〜14のいずれかに記載の可
    逆記録媒体。
  16. 【請求項16】 可逆的光吸収層の発色開始温度をT
    3、前記可逆的コレステリック反射層中の液晶性化合物
    の等方相転移温度をT6とした場合に、T3≧T6の関
    係を満たすものである請求項2〜15のいずれかに記載
    の可逆記録媒体。
  17. 【請求項17】 請求項2〜16のいずれかに記載の可
    逆記録媒体の可逆的コレステリック反射層側の表面か
    ら、記録画像に対応して部分的に加熱して、加熱部直下
    の可逆的コレステリック反射層および可逆的光吸収層
    に、それぞれ記録画像を重ねて形成し、かつ記録媒体の
    構成および/または加熱・冷却条件を選定し、前記の記
    録画像の形成を、可逆的コレステリック反射層を透過し
    た光を光吸収層で吸収して、可逆的コレステリック反射
    層で選択反射した光のみを観察できるよう設定すること
    を特徴とする可逆記録方法。
  18. 【請求項18】 光吸収層の記録画像を黒色画像とする
    ことを特徴とする請求項17記載の可逆記録方法。
  19. 【請求項19】 選択反射部の記録画像を多色画像とす
    ることを特徴とする請求項17または18記載の可逆記
    録方法。
  20. 【請求項20】 可逆的コレステリック反射層の記録画
    像よりも、それに対応した可逆的光吸収層の記録画像を
    小さく形成することを特徴とする請求項17〜19のい
    ずれかに記載の可逆記録方法。
  21. 【請求項21】 請求項2〜16のいずれかに記載の可
    逆記録媒体の可逆的コレステリック反射層側の表面から
    記録画像に対応して部分的に加熱して、加熱部直下の可
    逆的コレステリック反射層および光吸収層に、それぞ
    れ、記録画像を重ねて形成できる加熱手段を有し、かつ
    可逆的コレステリック反射層を透過した光を光吸収層で
    吸収して、選択反射した光のみを観察できるよう構成さ
    れたことを特徴とする可逆記録装置。
  22. 【請求項22】 可逆的コレステリック反射層の記録画
    像よりも、それに対応した可逆的熱発色層の記録画像を
    小さく形成できる手段を有する請求項2〜16記載の可
    逆記録装置。
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