JP2001304231A

JP2001304231A - 合成樹脂製ナス環

Info

Publication number: JP2001304231A
Application number: JP2000128091A
Authority: JP
Inventors: Hirotsugu Matoba; 博嗣的場; Ryoichiro Uehara; 亮一郎上原
Original assignee: YKK Corp
Current assignee: YKK Corp
Priority date: 2000-04-27
Filing date: 2000-04-27
Publication date: 2001-10-31
Also published as: US6574839B2; US20010037543A1; KR100435823B1; KR20010098835A; CN1204349C; EP1150026A2; HK1038337A1; TW568983B; EP1150026A3; CN1321601A

Abstract

(57)【要約】【課題】フック体の長さや奥行きを従来と同様に設定で
き、しかも抜止片の先端外側係着面とフック体の先端内
側係着面とを当接状態で成形が可能な合成樹脂製のナス
環を提供することを目的とする。【解決手段】フック体(11b) と抜止片(11c) とを有して
なるナス環(1) にあって、前記フック体(11b) 又は前記
抜止片(11c) の先端内側係着面(11b″) 又は先端外側係
着面(11c′) に一体に成形に成形され、相手方の係着面
(11c′,11b″)に向けて突出する突出高さが微少な突起
(11f,11g) を有している。そして、好適には前記突起(1
1f,11g) の突端の僅かな部分を相手方の係着面(11c′,1
1b″) に連結させて一体に成形する。これにより、抜止
片（11c)の先端外側係着面(11c′) をフック体(11b) の
先端内側係着面(11b″) に対して接近させて成形させる
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明が属する技術分野】本発明は、各種のバッグやリ
ュックサック等の袋物に適用される合成樹脂製のナス環
に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種のナス環にあって、従来は主流を
なしていた金属製ナス環は、構成部品点数が多く、従っ
て組立工程数が多くなり、それだけ高価となるばかり
か、耐久性ある着色が難しいためファッション性にも欠
け、旅行カバンや肩かけカバン等には不向きであるとの
理由から、高級品に装着されるなどその使用が限定され
るようになりつつある。こうした金属製ナス環に代わ
り、近年では部品点数が少なく生産性にも優れ、廉価で
軽量である合成樹脂製のナス環が多用されるようになっ
てきている。

【０００３】かかる合成樹脂製ナス環の一例が、例えば
特開平５−２１５１１７号公報に開示されており、その
構成はベルト等の端部が装着されるベルト連結環と、基
部を挟んで上部に首部を介して膨出する係合頭部が突設
され、下部にフック形状のフック体及びその開口部に沿
って延在する抜止片を有するナス環本体とからなり、前
記膨出部がベルト連結環の中央係止孔部に回転可能に係
止されて一体化されている。

【０００４】この公報に開示されたナス環によれば、ベ
ルト連結環の門型の主体部と、その両脚部間を連結する
と共に中心線を中心に回動可能に連結バーとは、同公報
中にも開示されているように、１組の金型を用いて１回
の工程で連結バーの両端軸部が両脚部の各嵌入に嵌入し
た状態で一体に成形される。こうしてベルト連結環が一
工程で成形さるため、ナス環本体の膨出頭部を連結バー
の中央部に成形時に形成される係着孔部に押し込むだけ
の簡単な作業でナス環を組み立てることができ、それだ
け組立作業が容易となり廉価になる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかして、上記公報に
開示されたナス環にあっては、例えば上記公報にも開示
されているように、抜止片はフック体の先端の外面と僅
かに離間した状態で成形され、成形後に抜止片を弾性変
形させてフック体先端の内面側係着面に係着させるべく
変位させている。そのための作業量は無視できず、コス
トにも少なからず影響を与えている。

【０００６】一方、例えば特公平４−３５１６１号公報
に開示されているように、抜止片をフック体先端の内面
側係着面に係着させるべく変位させることを排除すべ
く、ナス環本体の成形にあたって、抜止片の先端外側係
着面とフック体の先端内側面との間に僅かに隙間をもた
せて成形している。しかして、抜止片の先端外側係着面
とフック体の先端内側面とを接近させて成形すると、対
向する係着面同志が融着して一体化されるため、前記隙
間もこのような融着が発生しないに十分な隙間とする必
要がある。この隙間はフック体に掛けられた他方の環状
部材を簡単に抜脱しやすくする。これを避けるべく、上
記公報では前記抜止片の先端に対向するフック体の内面
にリブ状突起を成形している。

【０００７】フック体の奥行き寸法は、その内部に引っ
掛けられる環状部材に見合った許される寸法内で可能な
限り小さく設計されることが望ましい。しかしながら、
抜止片の先端外側面とフック体の先端内側面との間に形
成される隙間を最小に止めるとしても、成形時にあって
係着面同志の融着が発生しない程度の隙間を設ける以上
は、フック体の奥行き寸法もそれだけ大きくなり、ファ
ッション性などの点からも決して好ましものではない。

【０００８】本発明は、前述のような従来の課題を解決
すべくなされたものであり、具体的にはフック体の長さ
や奥行きを従来と同様に設定でき、しかも抜止片の先端
外側係着面とフック体の先端内側係着面とが当接状態で
成形が可能な合成樹脂製のナス環を提供することを目的
としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段及び作用効果】かかる目的
は、本件特許請求の範囲に記載された請求項１〜７に係
る発明により効果的に達成される。請求項１に係る第１
の発明は、基部からフック状に延びるフック体と、先端
に同フック体の湾曲部の先端内側係着面と係着する外側
係着面を有し、同先端外側係着面が前記先端内側係着面
まで延出すると共にその基端を中心として弾性変形する
抜止片とを備えてなるナス環であって、前記湾曲部の先
端内側係着面には前記抜止片の先端外側係着面に向けて
突出する突出高さが微少な突起を有してなることを特徴
とする合成樹脂製ナス環にある。

【００１０】抜止片の前記基端部は直接は弾性変形には
関与せず、しかもある程度の強力な外力が作用しても、
その基端において折損しない形態を採用することが好ま
しい。一方、上記フック体及びベルト連結環は、意匠的
には異なるものの、その構成及び作用効果は従来と格別
に変わるところがない。

【００１１】従来では、既述したとおりナス環の成形時
には抜止片の先端がフック体の先端から外側に位置する
ようにして成形し、成形後に改めて抜止片を弾性変形さ
せて、その先端をフック体の内面にある前記先端係着面
に弾性的に係着させているが、本発明によれば、かかる
操作は不要となり、生産性の向上とコストの低減に繋が
る。

【００１２】本発明の特徴部は、フック体の前記先端内
側係着面に抜止片の先端外側係着面に向けて突出高さが
微少な突起を一体に突出させることにあり、従ってナス
環本体の成形時にフック体の先端内側係着面上に微少突
起が一体に成形されるため、相手方の抜止片の先端外側
係着面を接近させて成形したとしても、各係着面同志は
融着することがない。従って、抜止片の先端外側係着面
をよりフック体の先端内側係着面に接近させて成形する
ことができ、フック体の奥行き寸法を従来と殆ど変わら
ない寸法とすることができる。

【００１３】成形型において、前記突起用の成形キャビ
ティを前記フック体の先端内側係着面用の成形キャビテ
ィに連通させて形成すると共に、抜止片の先端成形用キ
ャビティとの間を微少に離間させるには、金型の高精度
の加工と強度及び靱性に優れた材質が要求され、製造コ
ストに大きな影響を与えかねない。そこで、請求項２に
係る第２発明にあっては、前記突起の突端の微小部分を
前記舌片部の対向面に成形により一体化するものであ
る。

【００１４】すなわち、成形型において前記フック体の
内側係着面用の成形キャビティと前記抜止片の先端成形
用キャビティとを前記突起の成形用キャビティを介して
連通させて形成する。このとき、突起の成形用キャビテ
ィと抜止片の先端成形用キャビティとの間の連通路をピ
ンホール程度の極めて微小なものにする。こうすること
により、成形後の前記突起の突端と舌片部の先端とが微
小な連結形態で連結されることになる。そして、前記連
結は微小であるがため、成形後の最初の使用で簡単に裂
断され、舌片部の先端も突起の突端にしっかりと当接す
るか、或いはナス環としての機能を損なわない微小な隙
間がもつに止まる。

【００１５】上記第１発明では突出高さが微少な突起を
フック体の先端内側係着面に突出させ、上記第２発明で
は前記突起の先端を抜止片の先端外側係着面にピンホー
ル程度の微小部分で成形時に連結一体化しているが、請
求項３に係る第３発明は、抜止片の先端外側係着面に前
記湾曲部の先端内側係着面に向けて突出する突出高さが
微少な突起を成形し、第４発明では前記突起の突端の微
小部分を前記湾曲部の先端内側係着面に成形により連結
一体化している。その作用効果は、第１及び第２発明と
実質的に変わるところはない。

【００１６】請求項５に係る第５発明にあっては、フッ
ク体の前記湾曲部の先端内側係着面の下方には、前記抜
止片の先端内側面の延出方向延長線上に内側端面を有す
るリブ状突起が有している。

【００１７】微少であるとはいえ、フック体の先端内側
係着面に突起が突出していると、フック体に掛けられた
環状部材をフック体から外そうとするとき、僅かな引っ
掛かり感が生じ、使用者に不快感を与える。また、その
リブ状突起の内側端面が抜止片の先端内側面の延出方向
延長線上から内側方向に延びていると、前記環状部材が
フック体の底面から浮き上がり、同環状部材をフック体
から外そうとして抜止片を内側に押し込もうとしても、
環状部材が抜止片と干渉し容易に外すことが出来ない場
合が生じる。

【００１８】請求項６に係る第６発明は、前記リブ状突
起の高さが前記抜止片の先端とフック体の底面との間の
間隙より僅かに短い寸法に設定される。フック体に掛け
られる前記環状部材の断面は多様である。例えば、円形
断面、正方形断面、或いは細長い矩形断面など任意であ
る。例えば、断面が細長い矩形である場合、すなわち板
状である場合に、前記リブ状突起の高さが低い場合に
は、同突起と抜止片の先端との間に連結部材が侵入し、
抜止片の押圧による弾性変形をしずらくし、或いは抜止
片の先端に引っ掛かるようなことが起こり得る。

【００１９】請求項７に係る発明は、前記リブ状突起が
前記湾曲端の内側係着面から突出する突出高さが微少な
前記突起に連結されていることを規定するものである。
このように、リブ状突起と突出高さが微少な突起とが連
結されていると、上記環状部材をフック体に引っ掛けた
り、外したりするときに、環状部材が円滑にフック体の
内外に移動できる。

【００２０】

【発明の実施形態】以下、本件の発明の好適な実施形態
を図面に従って具体的に説明する。なお、図示例による
ナス環１は、例えば上記特開平５−２１５１１７号公報
や欧州特許第００９９５７７Ａ１号公開公報に開示さ
れているように、ベルト連結環とナス環本体とを個別に
成形して、それぞれを成形後に一体に組み付ける以外に
も、例えば上記特公平４−３５１６１号公報や米国特許
第５，５６６，４２８号明細書にも開示されているよう
に、ベルトなどとナス環本体とを連結するためのベルト
連結環とナス環本体とを長手方向の中心線回りに回動自
在に連結した状態で同時に成形することもできる。

【００２１】図１〜図３は本発明の第１実施形態を示し
ており、図１はナス環１の正面図、図２は同側面図、図
３は同上面図である。これらの図において、ナス環本体
１１は円盤状の基部１１ａと、同基部１１ａの一表面か
ら鉤状に突出する断面が略Ｔ字状のフック体１１ｂと、
前記フック体１１ｂの基端内面と対向する前記基部１１
ａの同じ表面からフック体１１ｂの湾曲部１１ｂ′の先
端内側係着面１１ｂ″まで延設する抜止片１１ｃとを有
すると共に、前記基部１１ａの他表面には細径首部１１
ｄを介して膨出する小円盤状の係合頭部１１ｅを有して
いる。この首部１１ｄ及び係合頭部１１ｅは、図３に示
すように平面視で十字状に４分割されており、拡径及び
縮径方向に弾性変形する。

【００２２】一方、前記係合頭部１１ｅが係合するベル
ト連結環１２は、ベルト挿通孔１２ａ’を有する全体が
門型のベルト連結部１２ａと、両端軸部１２ｂ′が同ベ
ルト連結部１２ａの左右脚部に回動自在に支持され、そ
の中央部にナス環本体１１の前記係合頭部１１ｅが係合
する大径の孔と小径の孔が段差をもって形成された被係
合部１２ｂ″を有する支持杆１２ｂと備えている。本実
施形態にあっては、前記フック体本体１１とベルト連結
環１２とは個別に成形される。この成形方法は、既述し
た特開平５−２１５１１７号公報に開示されている成形
方法と実質的に変わるところはないので、その説明は同
公報の記載に譲ることにする。

【００２３】上記ベルト連結環１２は、意匠的には異な
るものではあっても、その構成及び作用効果は従来と格
別に変わるところがない。また、上記フック体１１ｂの
全体構成も従来と格別に変わるところはないが、このフ
ック体１１ｂの一部に本発明の特徴的な構成を備えてい
る。従って、以下の説明ではベルト連結環１２に関する
説明は省略し、専らナス環本体１１についての特徴的な
構成とその作用効果について詳しく説明する。

【００２４】本実施形態におけるフック体１１ｂの特徴
的構成は、図１及び図２から容易に理解できるように、
フック体１１ｂの湾曲部１１ｂ′の開放端に形成され、
上記抜止片１１ｃの先端外側係着面１１ｃ′に係着する
先端内側係着面１１ｂ″には、突出高さの微少な突起１
１ｆが成形と同時に一体に突出成形されることにある。
本実施形態による前記突起１１ｆの形態は、図４に示す
ように略半球体状として、その球面の一部を抜止片１１
ｃの平坦面からなる先端外側係着面１１ｃ′に対向させ
る。

【００２５】成形にあたって抜止片１１ｃの先端外側係
着面１１ｃ′とフック体１１ｂの先端内側係着面１１
ｂ″とを、従来のごとくそれぞれのキャビティ間が可能
な限り接近するようにキャビティを形成する場合に、互
いの係着面１１ｂ″，１１ｃの全域にわたってごく薄肉
の隔壁をもって仕切る必要があるため、金型の材質を高
剛性で靱性にも優れた金属を採用する必要があり、材質
的に高価になるばかりでなく、加工費も嵩み、実施化す
るには耐えがたいものである。

【００２６】また、前述の金型が得られたとしても、成
形終了時の型開時に未だ完全に冷却固化されていない互
いの係着面１１ｂ″，１１ｃ同志が融着してしまい、ナ
ス環本体１１としての機能が失われかねない。この融着
を回避するため、互いの係着面１１ｂ″，１１ｃ同志を
従来のごとく十分に離間させて成形すれば、その離間分
だけフック体１１ｃの奥行き寸法を増加させなければな
らず、外観的に大型化してしまい、ファッション性など
の点から商品価値を失う。

【００２７】これに対して、本実施形態のごとく突出高
さが微少な突起１１ｆを前記先端内側係着面１１ｂ″か
ら突出させることにより、抜止片１１ｃの先端と突出高
さが微少な突起１１ｆとの間に形成される間隙を極めて
微少にして、互いの係着面１１ｂ″，１１ｃの間の隙間
を上記融着しない最小の寸法とすることができるため、
従来以上に接近させることができるようになり、抜止片
１１ｃの十分な弾性変形量が確保される。しかも、成形
終了時には互いの係着面１１ｂ″，１１ｃ同志が突起１
１ｆを介して確実に離間されるため、上記融着が確実に
回避できる。従って、成形金型の加工も容易となるばか
りでなく、材質に格別のものを使用しなくてもよい。

【００２８】また、本実施形態のごとく突出高さが微少
な突起１１ｆを前記先端内側係着面１１ｂ″から突出さ
せることにより、相手方の抜止片１１ｃの先端がフック
体１１ｂの先端から内側に位置するように成形しても、
フック体１１ｂの奥行き寸方は従来と殆ど変えずに、抜
止片１１ｃの十分な弾性変形量を確保できる。

【００２９】図５及び図６は本発明の第２実施形態を示
しており、上記実施形態の突起１１ｆが半球体から構成
され、しかもその突起１１ｆと抜止片１１ｃの先端外側
係着面１１ｃ′とが分離しているのに対して、この実施
形態にあってはその突起１１ｆが三角柱片からなり、更
にその頂点の稜線部分、すなわち微小部分１１ｆ′が抜
止片１１ｃの先端外側係着面１１ｃ′に対して、成形時
に一体的に連結して成形されている。

【００３０】その結果、例えば成形時の収縮などによ
り、前記突起１１ｆと抜止片１１ｃとが離間して、その
間の隙間が大きくなるようなことがなく、成形固化後の
製品の形態、特にフック体１１ｂと抜止片１１ｃの先端
部分の位置関係が変化することがなく、安定した形態の
ナス環本体１１が得られる。しかも、突起１１ｆと抜止
片１１ｃの先端外側係着面１１ｃ′との間は、極めて微
少な部分で連結されているに過ぎないため、図示せぬ環
状部材を最初にフック体１１ｂに掛けるとき、抜止片１
１ｃを前面から押すだけで、その連結部分は容易に裂断
され、環状部材の通常の掛け操作によってフック体１１
ｂに簡単に掛けることができ、またその裂断痕も外観的
には無視できる程度のものとなる。

【００３１】なお、この連結成形は上記第１実施形態の
突起１１ｆと抜止片１１ｃとの間にも適用することがで
き、また突起の形態も上述のごとき半球状、三角柱状に
限定されず、例えば円錐、四角錐などの基端から突端に
向けて断面が漸減する形態であれば任意に選択できる。

【００３２】図７は本発明の第３実施形態を示してお
り、この実施形態にあって上記第１及び第２の実施形態
と異なるところは、フック体１１ｂの湾曲部１１ｂ′の
内側面にあって、上記突起１１ｆの下方位置にリブ状突
起１１ｈが突設されている点にある。本実施形態では、
前記リブ状突起１１ｈの形態はヒレ状を呈しており、そ
の内側端面が前記抜止片１１ｃの先端内側面の延出方向
延長線上に位置するようにされ、更にその高さは前記抜
止片１１ｃと前記フック体１１ｂの底面との間の間隙に
略等しく設定される。前記リブ状突起１１ｈの形態は、
図示例に限定されるものでない。

【００３３】ところで、微少であるとはいえ、フック体
１１ｂの先端内側係着面１１ｂ″に突起１１ｆが突出し
ていると、フック体１１ｂに掛けられた図示せぬ環状部
材をフック体から外そうとするとき、僅かな引っ掛かり
感が生じ、使用者に不快感を与える。本実施形態では、
前記リブ状突起１１ｈを設けることにより、そのような
不快感を感じることなく、環状部材の円滑な挿脱が可能
となる。

【００３４】すなわち、前記フック体１１ｂの湾曲端部
１１ｂ′であって前記突起１１ｆに隣接する内面側に、
上述の形態を有するリブ状突起１１ｈを突設しておけ
ば、相手方の図示せぬ環状部材を本実施形態に係るナス
環から外すときに、前記環状部材は前記突出リブ１１ｈ
によって前記リブ状突起１１ｆの高さにまで案内される
ため、同環状部材を容易にナス環１１から外すことがで
きるようになる。このことは、環状部材をフック体１１
ｂの内部に挿入するときにも同様のことが言える。

【００３５】一方、前記リブ状突起１１ｈの内側端面、
つまり湾曲部１１ｂ′の底面側の端面が抜止片１１ｃの
先端内側面の延出方向延長線上よりも更に内側方向に延
びていると、前記環状部材がフック体１１ｂの底面から
浮き上がり、同環状部材をフック体１１ｂから外そうと
して抜止片１１ｃを内側に押し込もうとしても、環状部
材が抜止片１１ｃと干渉して容易には外すことができな
いような状況が生じやすい。本実施形態では、リブ状突
起１１ｈの内側端面を抜止片１１ｃの先端内側面の延出
方向延長線上に位置するようにしているため、そのよう
な状況の発生が確実に防止できる。

【００３６】また、フック体１１ｂに掛けられる前記環
状部材の断面は、例えば円形断面、正方形断面、或いは
細長い矩形断面など様々である。いま仮に、その断面が
細長い矩形である場合、すなわち環状部材が細板材から
なる枠体である場合に、前記リブ状突起１１ｈの高さが
低すぎると、同突起１１ｈと抜止片１１ｃの先端との間
に同連結部材が入り込み、抜止片１１ｃと干渉し合っ
て、抜止片１１ｃをフック体１１ｂの内部に変形させよ
うとしても弾性変形がしずらく、弾性部材をフック体１
１ｂから外し難くする。或いは、環状部材の一部が抜止
片１１ｃの先端を越えて引っ掛かり、環状部材がフック
体１１ｂの湾曲部１１ｂ′の底面に納まらないことも起
こり得る。本実施形態では、その高さを抜止片１１ｃと
フック体１１ｂの底面との間の間隙より僅かに短い寸法
としているため、環状部材の断面が如何なる形状であっ
ても、前述の不具合は生じない。

【００３７】図８は前述のリブ状突起１１ｈと上記突起
１１ｆとを連結した本発明の第４実施形態を示してい
る。ところで、前記リブ状突起１１ｈは、上記実施形態
にあっても同様であるがリブ状突起１１ｈには相手方の
図示せぬ環状部材による荷重がかかることになる。従っ
て、このリブ状突起１１ｈは前記荷重に耐えられる剛性
を備えている必要がある。そのため、このリブ状突起１
１ｈの幅（フック体１１ｂの幅方向）は、上記突起１１
ｆの幅よりも格段に大きくなる。

【００３８】この実施形態では、前記リブ状突起１１ｈ
を突起１１ｆと連結一体化することにより、微少形態で
あるがため剛性が低く変形しやすい突起１１ｆを前記リ
ブ状突起１１ｈにより補完することができ、突起の耐久
性が向上する。

【００３９】また、この実施形態にあっては抜止片１１
ｃの中央部を外側に張り出すように弓状に湾曲させてい
る。抜止片１１ｃを、このような形態とすることによ
り、指先をもって抜止片１１ｃをフック体１１ｂの内部
に押し込むときの押込み操作がしやすくなる。

【００４０】図９は本発明の第５実施形態を示してい
る。上述の実施形態にあっては突起１１ｆをフック体１
１ｂの先端内側係着面１１ｂ″に突設しているが、本実
施形態では突起１１ｇを抜止片１１ｃの先端外側係着面
１１ｃ′に突出させている。この突起１１ｇ及びその頂
点の微小部分１１ｇ′の形態は既述した突起１１ｆ及び
微小部分１１ｆ′の形態と同じであってよい。また、そ
の作用効果も上述の第１〜第３の実施形態と実質的に変
わるところがない。

【００４１】図１０は本発明の第６実施形態を示してい
る。上述の実施形態にあっては突起１１ｆ，１１ｇをフ
ック体１１ｂの先端内側係着面１１ｂ″又は抜止片１１
ｃの先端外側係着面１１ｃ′に突出させているが、本実
施形態にあってはフック体１１ｂの先端内側係着面１１
ｂ″及び抜止片１１ｃの先端外側係着面１１ｃ′に突起
１１ｆ，１１ｇを突出させている。。この突起１１ｆ，
１１ｇの形態は既述した突起１１ｆの形態と同じであっ
てよい。また、その作用効果も上述の実施形態と実質的
に変わらない。

【００４２】以上の説明からも明らかなように、本発明
のナス環は多様な実施形態や変形が可能であり、上述の
実施形態に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本件発明の代表的な実施形態を示すナス環の正
面図である。

【図２】同ナス環の舌片部側から見た側面図である。

【図３】同ナス環の上面図である。

【図４】同ナス環の先端係着部の拡大正面図である。

【図５】本件発明の第２実施形態を示すナス環の先端係
着部の拡大正面図である。

【図６】同実施形態における係着部の拡大側面図であ
る。

【図７】本件発明の第３実施形態を示すナス環先端係着
部の拡大正面図である。

【図８】本件発明の第４実施形態を示すナス環本体の正
面図である。

【図９】本件発明の第５実施形態を示すナス環先端係着
部の拡大正面図である。

【図１０】本件発明の第６実施形態を示すナス環先端係
着部の拡大正面図である。

【符号の説明】

１ナス環１１ナス環本体１１ａ基部１１ｂフック体１１ｂ’ 湾曲部１１ｂ” 先端内側係着面１１ｃ抜止片１１ｃ′ 先端外側係着面１１ｄ細径首部１１ｅ係合頭部１１ｆ，１１ｇ突出高さが微少な突起 11f ′, 11g ′ 微小部分１１ｈリブ状突起１２ベルト連結環１２ａベルト連結部１２ａ’ ベルト挿通孔１２ｂ支持杆１２ｂ′ 両端軸部１２ｂ″ 被係合部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】基部(11a) からフック状に延びるフック
体(11b) と、先端に同フック体(11b) の湾曲部(11b’)
の先端内側係着面(11b″) と係着する外側係着面(11
c′) を有し、同先端外側係着面(11c′) が前記先端内
側係着面(11b″) まで延出すると共にその基端を中心と
して弾性変形する抜止片(11c) とを備えてなるナス環
(1) であって、少なくとも前記湾曲部の先端内側係着面(11b″) に前記
抜止片(11c) の先端外側係着面(11c′) に向けて突出す
る突出高さが微少な突起(11f) を有してなることを特徴
とする合成樹脂製ナス環。
【請求項２】前記突起(11f) の突端の微小部分(11
f′) が前記抜止片(11c)の先端外側係着面(11c′) に成
形により連結一体化されてなる請求項１記載の合成樹脂
製ナス環。
【請求項３】基部(11a) からフック状に延びるフック
体(11b) と、先端に同フック体(11b) の湾曲部(11b’)
の先端内側係着面(11b″) と係着する外側係着面(11
c′) を有し、同先端外側係着面(11c′) が前記先端内
側係着面(11b″) まで延出すると共にその基端を中心と
して弾性変形する抜止片(11c) とを備えてなるナス環
(1) であって、少なくとも前記抜止片(11c) の先端外側係着面(11c′)
に前記湾曲部(11b′)の先端内側係着面(11b″) に向け
て突出する突出高さが微少な突起(11g) を有してなるこ
とを特徴とする合成樹脂製ナス環。
【請求項４】前記突起(11g) の突端の微小部分(11
g′) が前記湾曲部(11b′) の先端内側係着面(11b″)
に成形により連結一体化されてなる請求項３記載の合成
樹脂製ナス環。
【請求項５】前記湾曲部(11b′) の先端内側係着面(1
1b″) の下方には、前記抜止片(11c) の先端内側面の延
出方向延長線上に内側端面を有するリブ状突起(11h) が
突設されてなる請求項１又は３記載の合成樹脂製ナス
環。
【請求項６】前記リブ状突起の高さが、前記抜止片(1
1c) と前記フック体(11b) の底面との間の間隙よりも僅
かに短い寸法に設定されてなる請求項５記載の合成樹脂
製ナス環。
【請求項７】前記リブ状突起(11h) が前記湾曲端(11
b′) の内側係着面(11b″) から突出する突出高さが微
少な前記突起(11f) に連結されてなる請求項５又は６記
載の合成樹脂製ナス環。