JP2001302794A - ポリコハク酸イミドの製造方法 - Google Patents

ポリコハク酸イミドの製造方法

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JP2001302794A
JP2001302794A JP2000125712A JP2000125712A JP2001302794A JP 2001302794 A JP2001302794 A JP 2001302794A JP 2000125712 A JP2000125712 A JP 2000125712A JP 2000125712 A JP2000125712 A JP 2000125712A JP 2001302794 A JP2001302794 A JP 2001302794A
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acid
polymer
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Yoshihiro Irisato
義広 入里
Chojiro Higuchi
長二郎 樋口
Takeshi Ishitoku
石徳  武
Hirosuke Takuma
啓輔 詫摩
Katsuhiko Machida
勝彦 町田
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生分解性ポリマーの中間体として有用な重合
体であるポリコハク酸イミドを、高い生産性で、安価に
製造できる方法を提供する。 【解決手段】 単量体と触媒とを含む原料混合物を、2
00〜500℃の流体中に噴霧し重合する工程を有する
ポリコハク酸イミドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリコハク酸イミ
ドの製造方法に関する。より詳細には、単量体と触媒と
を含む原料混合物を200〜500℃の流体中に噴霧し
重合する工程を有するポリコハク酸イミドの製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】[ポリコハク酸イミド及びその製造方法
の技術的背景]ポリアスパラギン酸は、生分解性を有す
るために地球環境にやさしく、また生体内に吸収されて
も生体内での抗原性を示さず、分解生成物も毒性がない
ことが明らかにされているので、哺乳類動物に対しても
やさしい素材である。ポリコハク酸イミドは、ポリアス
パラギン酸等のポリアスパラギン酸誘導体の製造におい
て、好適な前駆体又は中間体である。また、ポリコハク
酸イミドの誘導体である架橋ポリアスパラギン酸塩は、
生分解性とともに、吸水性を有する極めて有用なポリマ
ーである。アスパラギン酸を、酸性触媒の存在下で反応
させることにより、ポリコハク酸イミドを製造する技術
としては、例えば、以下〜に挙げるようなものがあ
る。
【0003】 米国特許5,142,062号 第1段階として、アスパラギン酸とリン酸類の混合物
を、温度100〜250℃、圧力1bar未満の真空系
で反応させ、重量平均分子量1万〜10万のポリコハク
酸イミドを含有する固体反応混合物を製造し、第2段階
として、第1段階で得た固体反応混合物を0.001〜
2mmの粒子サイズに粉砕し、さらに第1段階の温度・
圧力範囲から選択した条件下で重縮合を行うことによっ
て、重量平均分子量10万〜20万を有するポリコハク
酸イミドを製造する技術が開示されている。
【0004】実施例1では、アスパラギン酸50g
(0.38mol)と85%リン酸25g(リン酸
0.22mol)を混合し((リン酸/アスパラギン
酸)モル比=0.58)、真空系において200℃下、
4時間、重合を行い、ポリコハク酸イミドとリン酸から
なる粗生成物を製造している。この粗生成物の一部につ
いて、リン酸を洗浄後、分子量を評価し、重量平均分子
量(Mw)8.6万であることが開示されている。実施
例2では、実施例1の粗生成物について、さらに、粒子
サイズが0.001〜2.0mmとなるように粉砕後、
再度、真空系(1mbar)において200℃、4時
間、重合操作を行い、Mw12.4万を有するポリコハ
ク酸イミドを得ている。
【0005】実施例1及び実施例3より、反応物は、反
応の進行に伴い、流動体から固体へと性状が変化してい
くことが開示されている。この技術では、粉砕操作を行
うことで、高い重量平均分子量を有するポリコハク酸イ
ミドを製造できるという特徴があるが、通常、反応物の
固化を伴う反応に対応して、工業的に製造を実施しよう
とする場合には、特殊な反応装置が要求され、装置設計
が困難である。特に、反応物の性状が、反応の進行に伴
い、流動体から固体へと連続的に変化していくことに対
応して、連続式の反応装置を設計するのは困難である。
【0006】 米国特許第5,457,176号(特
開平7−216084号) アミノ酸と酸性触媒の混合物を加熱し、アミノ酸ポリマ
ーを製造する方法が開示されている。カラム2(15〜
16行)には、最大重量平均分子量6万以下を有するア
ミノ酸ポリマーを製造することが、この技術の目的の1
つであることが明らかにされている。
【0007】実施例3には、アスパラギン酸800g
(6.01モル)、85%オルトリン酸200g(リン
酸 1.73モル)を混合して得た湿潤粘着性白色粉末
の反応混合物を、ステンレス鋼パン上にて層状として加
熱した例が開示されている。実施例3において、湿潤粘
着性粉末の反応混合物は、240℃、1時間の加熱によ
って、外側が硬く、中心部が粘着性である、固体の塊へ
変化したことが開示されている。固体の塊については、
乳鉢と乳棒を用いて粉砕後、さらに240℃、6時間、
加熱を行い、Mw1.55万を有するポリコハク酸イミ
ドが得られている。粘着性を有する状態から固体の塊状
物へと変化していく過程に対応して、工業的に製造を実
施するには、特殊な反応装置が必要になり、装置設計が
極めて困難である。特に、リン酸存在下、かつ、高温下
において特殊な機構を有する反応装置を設計するのは困
難である。
【0008】 米国特許第5,688,903(特開
平8−231710号) 重合触媒としてのリン酸、五酸化リン又はポリリン酸の
存在下で、アミノ酸を塊状熱重縮合し、次いで随意に加
水分解することによる、アミノ酸の重縮合物又はそのポ
リペプチド加水分解物の製造方法が開示されている。こ
の技術は、アミノ酸1分子当たりに、0.005〜0.
25モルの触媒が均一に分散された微粉状の原料を製造
し、重縮合操作を実施することを特徴とする。また、重
縮合操作に付される均一に分散された触媒を含有する微
粉状反応媒体が、アミノ酸及び燐酸若しくはポリ燐酸を
水中に溶解させ、次いでこの溶液を噴霧することによっ
て、あるいは、燐酸若しくはポリ燐酸の水性溶液中のア
ミノ酸の懸濁液を噴霧することによって、得られ、これ
を上記の条件にて塊状重合することが開示されている。
【0009】実施例には、真空系、及び、常圧系での反
応例が開示されており、アスパラギン酸とリン酸を均一
に混合した原料を、微粉砕機によって粉砕して微粉状原
料とし、反応が実施されている。リン酸、五酸化リン又
はポリリン酸の使用量を前記範囲とし、微粉状原料を用
いて反応を行うことにより、重合過程での泡沫相形成、
重合後の凝集塊生成等の問題を解決している。しかし、
PSIをDMF溶液として評価した粘度指数値をMwに
換算すると、例4はMw約1.9万、例8はMw約2.
8万であり、得られたポリコハク酸イミドはMw3万未
満の低分子量に限られており、高分子量のポリコハク酸
イミドを製造する方法としては十分でない。
【0010】一方、リン酸量を、前記範囲を超える使用
量とした実施例の例10(比較例)では、Mw約7.6
万のポリコハク酸イミドが生成している。即ち、例10
(比較例)の方が、粘性相の形成、反応物の凝固は生じ
るものの、前記の例4、例9よりも高いMwを有するポ
リコハク酸イミドが得られることが明らかにされてい
る。
【0011】前記の従来の技術及びのように、反応
物の固化を生じ、粉砕操作を要する重合操作は、連続か
つ大量の製造を実施しようとする場合には装置設計が困
難である。特に、リン酸存在下、かつ、高温下において
特殊な機構を有する反応装置を設計するのは困難であ
る。一方、前記の従来技術では、リン酸量を所定の範
囲に設定した微粉状反応原料を使用することにより、粘
性相の形成、反応物の凝固塊生成は防止できるものの、
生成するポリコハク酸イミドの重量平均分子量は低い。
即ち、従来の技術では、高い重量平均分子量を有するポ
リコハク酸イミドの製造と、粘性相生成、泡沫形成およ
び反応物の凝固塊生成の防止は、両立することができな
かった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題の一つは、高い重量平均分子量を有するポリコ
ハク酸イミドを提供することである。本発明が解決しよ
うとする課題の一つは、操作性のよいポリコハク酸イミ
ドを製造する技術を提供することである。本発明の解決
しようとする課題の一つは、従来の技術による製造の過
程で生じていた、極めて高度の粘性相の生成、過度の泡
沫形成及び反応物の凝固塊生成等を解決し、高い重量平
均分子量を有するポリコハク酸イミドの連続かつ大量の
製造に好適な製造技術を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の問題点に鑑み、高分子量のポリコハク酸イミドの
製造方法について鋭意検討した結果、アスパラギン酸と
触媒とを含む原料混合物を200〜500℃の流体中に
噴霧し重合することにより、重量平均分子量3万以上を
有する高分子量のポリコハク酸イミドが製造できること
を見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、以下
の[1]〜[16]に記載した事項により特定される。
【0014】[1] 原料混合物を200〜500℃の
流体中に噴霧し重合する工程を有するポリコハク酸イミ
ドの製造方法。
【0015】[2] 原料混合物を調製する工程を有す
る[1]に記載したポリコハク酸イミドの製造方法。
【0016】[3] 原料混合物を加熱する工程を有す
るものである[1]乃至[2]の何れかに記載したポリ
コハク酸イミドの製造方法。
【0017】[4] 原料混合物を加熱しながら混合す
る工程を有するものである[1]乃至[2]の何れかに
記載したポリコハク酸イミドの製造方法。
【0018】[5] 流体が、不活性ガスである[1]
乃至[4]の何れかに記載したポリコハク酸イミドの製
造方法。
【0019】[6] 不活性ガスが、空気、窒素、アル
ゴン、ヘリウムからなる群から選ばれた少なくとも一種
である[5]に記載したポリコハク酸イミドの製造方
法。
【0020】[7] 噴霧する工程が、アトマイザーに
より噴霧するものである[1]乃至[6]の何れかに記
載したポリコハク酸イミドの製造方法。
【0021】[8] アトマイザーが回転するノズルを
有するものである[7]に記載したポリコハク酸イミド
の製造方法。
【0022】[9] 原料混合物がポリアスパラギン酸
と触媒とを含むものである[1]乃至[8]の何れかに
記載したポリコハク酸イミドの製造方法。
【0023】[10] 原料混合物が希釈剤を含むもの
である[9]に記載したポリコハク酸イミドの製造方
法。
【0024】[11] 希釈剤が、水、メタノール、及
びエタノールからなる群から選ばれた少なくとも一種で
ある[10]に記載したポリコハク酸イミドの製造方
法。
【0025】[12] 触媒がリン酸素酸である[9]
乃至[11]の何れかに記載したポリコハク酸イミドの
製造方法。
【0026】[13] リン酸素酸がリン酸又はポリリ
ン酸である[12]に記載したポリコハク酸イミドの製
造方法。
【0027】[14] 触媒の重量が単量体の重量に対
して、20〜300重量%である[12]乃至[13]
の何れかに記載したポリコハク酸イミドの製造方法。
【0028】[15] 重合する工程で得られた重合体
と触媒との混合物を、さらに100〜300℃にて固相
で後重合することを特徴とする、[1]乃至[14]の
何れかに記載したポリコハク酸イミドの製造方法。
【0029】[16] ポリコハク酸イミドの重量平均
分子量が3万〜20万である、[1]乃至[15]の何
れかに記載したポリコハク酸イミドの製造方法。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な態様につい
て説明する。
【0031】[1]ポリコハク酸イミド 本発明の製造方法により、ポリコハク酸イミド(単独重
合体)及び2官能以上の単量体の一種又は2種以上に由
来する単位を含むポリコハク酸イミド(共重合体)を製
造することができる。本発明の製造方法によって得られ
る重合体の構造は、線状構造であっても、分岐状構造を
有するものであってもよい。
【0032】本発明における『重合』なる語は、アスパ
ラギン酸及び/又はアスパラギン酸以外の2官能以上の
単量体から水分子が脱離してコハク酸イミドの単独重合
体又は共重合体を生成する重縮合を意味するが、それ以
外の副反応や中間物製造反応を含んでいても構わない。
例えば、閉環してイミド環を形成する前の、アスパラギ
ン酸から水分子1分子が脱水して生成したアミド化反
応、アスパラギン酸からの脱アンモニア反応などが挙げ
られる。
【0033】すなわち、本発明の製造方法により製造さ
れる重合体はコハク酸イミドを繰り返し単位とする単独
重合体又は共重合体であるが、製造工程上含まれる単量
体単位を含んでいても何ら問題としない。
【0034】[2]単量体 本発明で使用する単量体としてはアスパラギン酸の他
に、アスパラギン、アスパラギン酸エステル、アスパラ
ギン酸ジエステル、マレアミド、マレイミド、マレイン
酸とアンモニア、マレイン酸アンモニウム塩、フマル酸
アミド、フマル酸とアンモニア、フマル酸アンモニウム
塩等を挙げることができる。本発明で使用するアスパラ
ギン酸は、L体、D体、DL体の何れであってもよい。
これらの原料は、単独で、又は、二種類以上を組み合わ
せて使用することができる。
【0035】上記以外の単量体として、上記単量体と共
重合可能な2官能以上の単量体を使用することができ
る。共重合可能な2官能以上の単量体としては、例え
ば、α−アミノ酸、β−アミノ酸、γ−アミノ酸等のア
ミノ酸、アミノ酸誘導体及びその他の単量体を挙げるこ
とができる。
【0036】α−アミノ酸の具体例としては、アラニ
ン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、ト
リプトファン、フェニルアラニン、プロリン、グリシ
ン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アス
パラギン、グルタミン、リジン、ヒスチジン、アルギニ
ン、グルタミン酸、L−オルニチン等を挙げることがで
きる。α−アミノ酸は、光学活性体(L体、D体)であ
っても、ラセミ体であってもよい。
【0037】β−アミノ酸としてはβ−アラニンを、γ
−アミノ酸としてγ−アミノ酪酸を挙げることができ
る。アミノ酸誘導体としては、酸性アミノ酸のω−エス
テル、塩基性アミノ酸のN置換体、アスパラギン酸−L
−フェニルアラニン2量体(アスパルテーム)等のアミ
ノ酸誘導体、L−システイン酸等のアミノスルホン酸を
挙げることができる。
【0038】その他の単量体の例としては、アミノカル
ボン酸、アミノスルホン酸、アミノホスホン酸、ヒドロ
キシカルボン酸、メルカプトカルボン酸、メルカプトス
ルホン酸、メルカプトホスホン酸等を挙げることができ
る。
【0039】また、多価アミン、多価アルコール、多価
チオール、多価カルボン酸、多価スルホン酸、多価ホス
ホン酸、多価ヒドラジン化合物、多価カルバモイル化合
物、多価スルホンアミド化合物、多価ホスホンアミド化
合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアナート化合
物、多価イソチオシアナート化合物、多価アジリジン化
合物、多価カーバメイト化合物、多価カルバミン酸化合
物、多価オキサゾリン化合物、多価反応性不飽和結合化
合物、多価金属等も使用することができる。共重合可能
な2官能以上の単量体は、使用する場合は、全単量体の
0.5〜10モル%に相当する量を使用することができ
る。
【0040】[3]触媒 本発明で使用する触媒は、特に限定されるものではない
が、リン酸素酸、硫酸、亜硫酸、アルキルスルホン酸、
アリールスルホン酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、
臭素酸、亜臭素酸、次亜臭素酸、ヨウ素酸、亜ヨウ素
酸、次亜ヨウ素酸、塩酸、臭化水素、モリブデン酸、タ
ングステン酸、硫化水素、重硫酸ナトリウム、重硫酸カ
リウム、重硫酸アンモニウム、フルオロ硫酸等が挙げら
れる。
【0041】触媒の具体例としては、例えば、リン酸、
ピロリン酸、ポリリン酸、五酸化リン、p−トルエンス
ルフォン酸、トリフルオロメタンスルフォン酸等のプロ
トン酸、周期率表第II、III、IV、V族の金属、
あるいはその塩が挙げられ、例えば、亜鉛末、スズ末、
アルミニウム、マグネシウム等の金属、又は、酸化亜
鉛、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化チタン等の金属
酸化物、又は塩化スズ、塩化マグネシウム、塩化アルミ
ニウム、塩化リチウム、塩化カルシウム等の金属ハロゲ
ン化物、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム等の金属炭酸塩、
オクタン酸スズ、酢酸スズ、酢酸亜鉛等の有機カルボン
酸塩、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、トリフ
ルオロメタンスルフォン酸スズ、トリフルオロメタンス
ルフォン酸亜鉛、メタンスルフォン酸スズ、p−トルエ
ンスルフォン酸亜鉛等の有機スルフォン酸塩が挙げられ
る。
【0042】他の具体例としては、例えば、ジブチルチ
ンオキサイド等の有機金属酸化物、チタニウムイソプロ
ポキサイド等の金属アルコキサイド又はダウエックス、
アンバーライト等のイオン交換樹脂等が挙げられる。こ
れらの中でリン酸素酸が好ましい。リン酸素酸の具体例
としては、例えば、オルトリン酸(分子量98.0
0)、ピロリン酸、ポリリン酸、及び、五酸化リン等が
挙げられ、これらからなる群から選択された少なくとも
一種を使用することが好ましい。これらの中で反応条件
下で液状であるオルトリン酸、ポリリン酸が特に好まし
い。
【0043】上記の触媒は希釈剤(例えば、水、アルコ
ール、ケトン等の極性溶媒)で希釈して使用することが
できる。希釈剤で希釈した触媒を使用する場合は、触媒
の濃度が通常は10重量%以上、より好ましくは50重
量%、特に好ましくは70重量%以上、最も好ましくは
85重量%以上のものを使用する。
【0044】本発明の製造方法において、最も重要な因
子として触媒の量が挙げられる。本発明においては、特
に断らない限り、触媒の量は添加した状態での添加量で
表わす。触媒の種類によっては元の構造とは異なるもの
に変化することがあるがこのような場合においても添加
した時点における状態で添加量相当の触媒が存在するも
のとして表わす。
【0045】例えば、リン酸を触媒に用いる場合には、
反応過程でリン酸自体の縮合が生じ、二量化、三量化し
て、リン酸の分子量が変化する場合があるが、この場合
においても添加した状態での添加量相当のリン酸が存在
するものとして触媒量を表す。そこで、リン酸を触媒と
して用いる場合は、リンのモル数にて評価する。触媒の
重量濃度は、特に断らない限り、使用した単量体の重量
に対する触媒の重量比で表す。触媒の濃度をモル量で表
す場合は、単量体が重合体に転化した場合でも、使用し
た単量体のモル量に対する触媒のモル量の比で表す。
【0046】使用する触媒の量は、目的とするポリコハ
ク酸イミドの重量平均分子量によって変わってくるが、
使用した単量体の重量に対して、20〜300重量%使
用するのが好ましく、25〜100重量%使用するのが
より好ましく、30〜60重量%使用するのが特に好ま
しい。
【0047】[4]本発明の製造方法の概要 本発明の製造方法は、高分子量のポリコハク酸イミドを
製造するところに目的があり、原料混合物を200〜5
00℃の流体中に噴霧し重合する工程を有する。
【0048】[4−1]原料混合物の調製 原料混合物の調製において重要なことは、原料混合物を
噴霧し重合する工程で使用するに充分な流動性を保った
原料混合物を調製することである。原料混合物は単量体
及び触媒を含み、必要に応じて、単量体と触媒との混合
を容易にするため液状の希釈剤を添加することができ
る。単量体としては[2]で説明したものが、触媒として
は[3]で説明したものが用いられる。
【0049】希釈剤としては、単量体、触媒、生成する
重合体と反応しないものか、重合を阻害しないもの、あ
るいは、反応しても容易に元の形に戻るものであれば特
に限定されない。さらに製品中に残存しにくく、回収が
容易であるものが好ましい。希釈剤として用いることの
できるものとしては、例えば、水、アルコール、ケトン
等の極性溶媒を挙げることができる。アルコールの具体
例としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、イソプロパノール、ブタノール等を挙げること
ができる。ケトンの具体例としては、例えば、アセト
ン、メチルエチルケトン等を挙げることができる。
【0050】また、単量体と触媒とを混合すると、単量
体の縮合重合反応により水が生成する場合がある。この
生成する水も希釈剤として利用し、単量体と触媒とを混
合する操作をより効率的に実施することができる。単量
体と触媒との混合方法は特に限定されないが、均一に混
合できる方法が好ましい。通常、固体状の単量体と触媒
とを直接混合する方法が取られるが、これ以外の方法と
しては、希釈剤に、単量体及び/又は触媒を溶解若しく
は分散させて混合する方法をとることができる。例え
ば、固体状の単量体と触媒とを希釈剤を用いて混合する
方法、単量体を希釈剤に溶かしこれを触媒と混合する方
法を挙げることができる。触媒が液状であって、触媒が
希釈剤としても作用する場合には、単量体を触媒に溶解
する方法等を取ることができる。これらの中では、液状
の触媒に単量体を溶解する方法が好ましい。特にリン
酸、ポリリン酸等の液状の触媒は単量体の溶解力が高い
ので好ましい。
【0051】混合時の温度は特に限定されないが、単量
体と触媒とを十分に混合した後重合を行う場合は室温等
の低温にて混合する方法でも構わない。しかし、重合が
急激に進行しない程度の温度で混合を行うことは有効な
混合方法である。その理由は温度を上げることにより単
量体の希釈剤への溶解度が上がるためであり、また、一
部が重合体となることにより希釈剤への溶解度が上がる
ために均一に混合できる場合があるからである。
【0052】原料混合物の混合は低温にて行なうことが
できる。一般的には、高い温度で行なう方が好ましい。
好ましい温度は20〜160℃であり、さらに50〜1
50℃が好ましく、特に100〜140℃が好ましい。
触媒の添加量とも関係するが、混合温度を高くすると重
合度が上がり原料混合物の流動性が低下することがある
が、このようなときは低温で混合するのが好ましい。原
料混合物の混合は攪拌しながら行うのが好ましい。攪拌
は、一般的には、攪拌羽を有する攪拌機を用いて行なう
ことができるが、この他の方法にても実施することがで
きる。
【0053】例えば、希釈剤の使用量が少なく原料混合
物の流動性が低い場合は、高粘度物質用の攪拌装置を用
いるのが好ましい。多量の原料混合物を混合するには機
械混合を行う方が好ましい。機械混合の方法は特に限定
されないが、工業的には、混合装置を用いて混合するの
が好ましい。
【0054】混合装置としては、特に限定されないが、
回分ミキサー及び連続ミキサーが挙げられる。回分ミキ
サーとしては、例えば、二重遊星形ミキサー、ダブルア
ーム混錬機、又は、ゲートミキサー、シェアーバーミキ
サー、ヘリカルブレードミキサー等のステーショナリー
タンクミキサー等が挙げられる。また、リボン配合機等
のバルク配合機、コーン及びスクリューミキサー、パン
マラーミキサー、プラウミキサー等が挙げられる。連続
ミキサーとしては、一軸及び二軸スクリューミキサー、
パッグミル等が挙げられる。
【0055】原料混合物を噴霧し重合する工程におい
て、混合機能を有する噴霧装置、例えば、回転円盤式、
加圧ノズル式、2流体ノズル式等の噴霧装置を用いると
きは、触媒、単量体及び必要に応じて希釈剤の各々を個
別に又はこれらを適宜組み合わせてあらかじめ混合した
ものを噴霧装置に供給し噴霧装置に設けられたアトマイ
ザー(デイスク、ノズル)部において混合を行い原料混
合物の調製を行うことができる。
【0056】[4−2]原料混合物を噴霧し重合する工
程 本工程は、原料混合物を200〜500℃の流体中に噴
霧する工程及び重合する工程の2つの工程を有する(本
工程を噴霧・重合工程と略記する。)。原料混合物は、
移送装置を経由して本工程に移送され噴霧装置から重合
機中に噴霧され、生成した原料混合物の液滴は重合機中
の流体により加熱され原料混合物液滴中の単量体が重合
される。
【0057】[噴霧装置]本発明に使用する噴霧装置は
特に限定されないが、回転円板式、加圧ノズル式、2流
体ノズル式の噴霧装置、気流により分散する方式の噴霧
装置、分散機、解砕機等を使用することができるが、粒
度分布が均一になる噴霧装置が好ましい。噴霧装置は公
知のものを使用することができ、噴霧装置の種類は特に
限定されない。本発明に使用することができる噴霧装置
の例としては、例えば、加圧ノズル型噴霧装置、椀型回
転円盤、多翼羽型円盤、回転ノズル等を有する回転円盤
型噴霧装置、内部混合型、傾斜型、並行型、直角型等の
液柱を微粒化する2流体ノズル、旋回液流式、衝突式等
の液流を気流で微粒化する2流体ノズル、その他、液膜
を気流で微粒化する等の2流体ノズルを挙げることがで
きる。
【0058】また、その他の噴霧装置として、液流と液
流を衝突させて微粒化する方法、静電気力による微粒化
する方法、超音波により微粒化する方法等の原理を用い
る噴霧装置を挙げることができる。解砕機としては、デ
ィスインテグレーター等の衝撃式粉砕機を挙げることが
できる。噴霧装置により生成する原料混合物の液滴の平
均粒子径は、特に限定されない。
【0059】[重合機]重合機として、通常の乾燥機と
同じ原理のものが使用できる。重合機は公知のものを使
用することができ、特に限定されないが、噴霧装置と乾
燥装置が一体となった噴霧乾燥装置(スプレードライヤ
ー)、気流乾燥装置、噴流層スラリー乾燥装置等を重合
機として用いることが好ましい。重合機として用いるこ
とができる噴霧乾燥装置としては、例えば、Merre
ll Soul型、ジェットドライヤー等の水平並流型
乾燥装置、Kestner型、Swenson型、Co
ulterドライヤー、MDドライヤー等の垂直下降並
流型乾燥装置、Lurgi型等の垂直上昇向流型乾燥装
置、Swenson型、芦沢鉄工噴水式、Niro型等
の垂直下降混合型噴霧乾燥装置、多段噴霧乾燥装置等を
挙げることができる。これらの装置は生成した重合体が
付着しにくいように樹脂を内張りすることができる。
【0060】[流体]本発明に使用する流体としては、
不活性ガスが好ましい。不活性ガスの組成は、特に限定
されない。反応に悪影響を与えないガスが好ましく、具
体的には、例えば、窒素、二酸化炭素、アルゴン等が好
ましく使用される。なお、不活性ガスは、1種類のガス
を用いても、複数種類のガスを混合して用いてもかまわ
ない。また、原料混合物又は重合体が酸化分解をしない
温度においては乾燥空気を用いることができる。
【0061】本発明の製造方法においては、重合機中の
流体の温度が重要である。重合機中の流体の入口温度
は、好ましくは、200〜500℃であり、より好まし
くは、280〜350℃、特に300〜400℃が好ま
しい。
【0062】反応時間は、特に限定されないが、好まし
くは、1秒〜20時間、さらに好ましくは、10秒〜5
時間、より好ましくは、1分〜3時間、特に好ましく
は、5分〜2時間、最も好ましくは、10分〜80分で
ある。反応時間は、適度な時間とすることで、顕著な着
色や変性が生じていない重合体が得られる。
【0063】流体は、通常、再生処理を経て、再使用さ
れることが好ましい。再生処理は、一般に、流体に含有
される、重合反応によって生成した水分、揮散した希釈
剤又は不純物(反応副生成物、固体状低分子量重合体の
一部等)の濃度を低減するために実施される。
【0064】具体的操作として、通常、吸着操作、吸収
操作、冷却操作、加熱操作、集塵操作等から選択される
少なくとも一つ以上の操作を実施し、水分、希釈剤及び
/又は不純物の濃度を低減することが好ましい。ここで
吸着操作においては、ゼオライト類や、親水性架橋樹脂
類等(例えば、イオン交換樹脂等)を吸着剤に用いるこ
とができる。
【0065】流体中の水分濃度が高いと、通常、得られ
る重合体の重量平均分子量が低くなる傾向が見られ、逆
に、水分濃度が低い場合には、重合体の重量平均分子量
は高くなる傾向が見られるが、一般に、流体の再生処理
に関係するコストが高くなる傾向が見られるので、目的
とする重合体の製品設計等を勘案して適切な条件を選定
するのが好ましい。
【0066】また、不純物濃度が高いと、場合により、
重合体の着色、変性等が生じることがあり、逆に、不純
物濃度が低い場合には、着色、変性等が生じることが無
くなる傾向が見られるが、一般に、流体の再生処理に関
係するコストが高くなる傾向が見られるので、目的とす
る重合体の製品設計等を勘案して適切な条件を選定する
のが好ましい。
【0067】本発明で使用する流体は、伝熱用媒体とし
ても利用する。連続かつ大量の製造を実施する場合にお
いても、伝熱用媒体として反応混合物を効率よく均一に
加熱することが可能であり、品質(例えば重量平均分子
量等)のばらつきが少ない重合体を製造することができ
る。
【0068】[5]噴霧・重合工程で製造される重合体 噴霧・重合工程で製造される重合体の重量平均分子量
は、1.0×103〜1.0×105である。より好まし
くは5.0×103〜5.0×104、特に、1.0×1
4〜5.0×104が好ましい。ただし、噴霧・重合工
程で製造される重合体の重量平均分子量は最終的に目的
とする重合体の重量平均分子量と、後処理工程で後重合
を行う場合は、後重合との兼ね合いにて決まる。後重合
との兼ね合いは工業的見地からはより安価に製造するた
めに負荷が小さい方法にて行う方が好ましく、噴霧・重
合工程と後重合工程での分子量増加率は製造コストを見
越して決定すればよい。
【0069】生成した重合体の回収方法は特に限定され
ない。上記、重合機の下部に蓄積させ回収するのが一般
的である。あるいは、流体にて回収しても構わない。
【0070】[6]後処理工程 噴霧・重合工程で回収された重合体は触媒を含んでい
る。必要により触媒を含んだままさらなる重合を施して
も構わない。また、重合体をポリアスパラギン酸誘導体
へ誘導する等のため触媒を除去しても構わない。以下
に、後処理工程にて実施することのできる後重合方法と
触媒除去方法について説明する。
【0071】[後重合方法]噴霧・重合工程で製造され
た重合体は触媒を含んだまま、あるいは触媒の一部ある
いは全部を除去後、後重合を施して分子量を増加するこ
とができる。後重合方法は特に限定されないが、噴霧・
重合工程で得られた状態のまま固相状態にて重合する方
法が好ましい。
【0072】後重合は、減圧下、あるいは[4−2 ]
に記載した流体の気流下で行なう方が好ましい。
【0073】後重合の重合温度は、一般的には、100
〜300℃であり、好ましくは、150〜250℃であ
り、特に好ましくは170〜230℃である。減圧下で
行なう場合、5×10[Pa]〜9×104[Pa]の
圧力下にて後重合を行なうのが好ましく、1×10
2[Pa]〜1×104[Pa]がより好ましく、特に、
5×102[Pa]〜1×103[Pa]が好ましい。
【0074】後重合時間は目的とする重合度に見合った
時間を適宜選択すればよい。後重合の反応装置は限定さ
れず、連続式又は回分式操作で実施することができる。
後重合を固相で行う場合、固相重合を実施する反応条件
(温度・圧力条件等)により、適切な反応装置を選択す
ることができる。
【0075】具体的には、例えば、熱風移送型乾燥器、
材料攪拌型乾燥器(流動層乾燥機等)、材料搬送及び静
置型乾燥器、円筒乾燥器、赤外線乾燥器、マイクロ波乾
燥器、過熱蒸気乾燥器からなる群より選択される、少な
くとも一つの乾燥器を反応装置として用いて、連続式又
は回分式の固相重合操作を行うことができる。また、後
重合の固相重合工程は、流動層反応器、移動層反応器、
固定層反応器、撹拌乾燥機型反応機等から選択される少
なくとも一つの装置を用いて、連続式あるいは回分式操
作で実施することもできる。後重合の固相重合工程で
は、固体状低分子量重合体と触媒とを含む混合物を、直
接、及び/又は、間接的に加熱用媒体と接触させて実施
することができる。
【0076】[触媒除去方法]本発明の製造方法で得ら
れた重合体は、重合後、重合体中に含有される触媒を、
重合体に対しての貧溶媒であって触媒に対しての良溶媒
(メタノール、イソプロパノール、アセトン、水等)を
用い10〜300℃において洗浄操作を実施し、除去し
てもよい。触媒を含有した洗浄液は、必要に応じ精製操
作を行った後、又は、精製操作を経ることなく、原料混
合物の調製において希釈剤として使用することもでき
る。
【0077】また、本発明の製造方法で得られた重合体
は、重合後、重合体中に含有される触媒を、重合体に対
しての良溶媒(ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメ
チルスルホキシド等)に一旦溶解後、重合体に対しての
貧溶媒であって触媒に対しての良溶媒(メタノール、イ
ソプロパノール、アセトン、水等)で再沈し、濾過を行
い、さらに必要があればでリンスを行って、洗浄、除去
してもよい。
【0078】触媒除去操作は、重合体中に含有される触
媒濃度が、好ましくは、5重量%以下、より好ましく
は、1重量%以下、さらに好ましくは、0.5重量%以
下、特に好ましくは0.2重量%以下、最も好ましく
は、0.1重量%以下、まで低減されるように実施する
ことが好ましい。具体的には、触媒除去操作を繰り返し
実施することにより、あるいは、洗浄操作に用いる溶媒
量を増加させて精製操作を行う。洗浄操作に用いた溶媒
は回収、リサイクルして用いても構わない。回収後、原
料混合物の調製や触媒除去操作で再使用しても構わな
い。
【0079】[7]重合体の使用方法 本発明の製造方法によって得られた重合体の使用方法は
特に限定されない。そのまま、ポリコハク酸イミドとし
て使用しても構わず、誘導化してポリアスパラギン酸誘
導体として使用しても構わない。ポリアスパラギン酸誘
導体としては、本発明の製造方法によって得られた重合
体をアルカリ、アミン等によって加水分解したポリアス
パラギン酸塩、一部に架橋構造を有する吸水性ポリマー
である架橋ポリアスパラギン酸、疎水基と親水基を導入
した界面活性能を有するポリアスパラギン酸誘導体等が
挙げられる。
【0080】
【実施例】以下、実施例によって本発明をより具体的に
説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものでは
ない。以下の実施例及び比較例において「部」とは「重
量部」を意味する。「分子量」とは「重量平均分子量」
を意味する。
【0081】分子量の測定 本実施例及び比較例の重合体の重量平均分子量(Mw)
は、ポリスチレンを標準とし、GPC(ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー)により測定した。 装置 :Shodex GPC SYSTEM−11 検出器:Shodex RI SE−61 カラム:Shodex KD−806M 溶媒 :0.1M−LiBr DMF溶液 濃度 :0.5% 注入量:20μl 流速 :0.7ml/min 生成物の分析 以下の実施例で得られた重合体は、1H−NMR、13
−NMRより、ポリコハク酸イミドであることの確認を
行なった。
【0082】[実施例1]L−アスパラギン酸772部
と触媒のポリリン酸(105%)386部を混合し、1
20℃にて1時間攪拌し、アスパラギン酸とポリリン酸
とを含む原料混合物(スラリー状)を製造した。供給ラ
インを120℃に加熱下、この原料混合物をポンプを用
いて塔径800mmの回転円盤型(アトマイザー)を有
する噴霧乾燥機中に噴霧した。噴霧乾燥器中の流体(乾
燥空気)の、入口温度は300℃であり、このときの出
口温度は180℃であった。得られた重合体と触媒とを
含む混合物は粉末状であり、塊状とはならず操作性に優
れていた。
【0083】この重合体と触媒とを含む混合物を800
0部のDMFに溶解し、40000部のメタノールに排
出した。この重合体と触媒とを含む混合物のDMFに対
する溶解性は非常に優れていた。得られた沈殿物を吸引
ろ過にて集め、蒸留水を用いて濾液のpHが6以上にな
るまで洗浄し、60℃にて乾燥すると546部の重合体
が得られた。この重合体はNMRの測定よりポリコハク
酸イミドであることが確認され、その分子量は5.2万
であった。
【0084】[実施例2]L−アスパラギン酸700部
と触媒のポリリン酸(105%)350部と蒸留水30
0部を混合し、130℃にて1時間攪拌し、原料混合物
(スラリー状)を製造した。供給ラインを130℃に加
熱下、実施例1と同一の装置を用い、入口温度300℃
の流体(乾燥空気)中に噴霧した。このときの出口温度
は180℃であった。得られた重合体と触媒とを含む混
合物は粉末状であり、塊状とはならず操作性に優れてい
た。また、この重合体と触媒とを含む混合物のDMFに
対する溶解性は非常に優れていた。この重合体と触媒と
を含む混合物を実施例1と同様に処理すると、543部
のポリコハク酸イミドが得られた。この重合体の分子量
は4.9万であった。
【0085】[実施例3]実施例1において入口温度を
350℃に変え、実施例1と同様に行なったところ、5
50部のポリコハク酸イミドが得られた。この重合体の
分子量は8.5万であった。この場合も得られた重合体
と触媒とを含む混合物は粉末状であり、塊状とはならず
操作性に優れていた。また、この重合体と触媒とを含む
混合物のDMFに対する溶解性は非常に優れていた。
【0086】[実施例4]実施例1において触媒のポリ
リン酸の代わりにリン酸(85%)を用いて実施例1と
同様に行なったところ、540部のポリコハク酸イミド
が得られた。この重合体の分子量は5.0万であった。
この場合も得られた重合体と触媒とを含む混合物は粉末
状であり、塊状とはならず操作性に優れていた。また、
この重合体と触媒とを含む混合物のDMFに対する溶解
性は非常に優れていた。
【0087】[実施例5]実施例1で得られた、重合体
と触媒とを含む混合物の50部を、SUS316製管型
反応器(内径1cm)に仕込み、空気恒温槽中に設置し
た。反応管出口側の流路が大気圧下に開放された状態
で、流量0.5[Nl/分]で、窒素を流通させた。恒
温槽を昇温し、220℃下で、4時間、常圧系固定層型
の固相重合操作を行った。
【0088】得られた重合体と触媒とを含む混合物は粉
末状であり、塊状とはならず操作性に優れていた。得ら
れた重合体と触媒とを含む混合物を500部のDMFに
溶解し、2000部のメタノールに排出した。この重合
体と触媒とを含む混合物のDMFに対する溶解性は非常
に優れていた。得られた沈殿物を吸引ろ過にて集め、蒸
留水を用いて濾液のpHが6以上になるまで洗浄し、6
0℃にて乾燥すると28.9部の重合体が得られた。こ
の重合体の分子量は10.2万であった。
【0089】[実施例6]実施例1で得られた、重合体
と触媒とを含む混合物の50部を、減圧乾燥器中で20
0℃、1.33×103Paにて4時間、固相重合を行
った。得られた重合体と触媒とを含む混合物は粉末状で
あり、塊状とはならず操作性に優れていた。得られた重
合体と触媒とを含む混合物を500部のDMFに溶解
し、2000部のメタノールに排出した。得られた沈殿
物を吸引ろ過にて集め、蒸留水を用いて濾液のpHが6
以上になるまで洗浄し、60℃にて乾燥すると28.8
部の重合体が得られた。この重合体の分子量は15.5
万であった。
【0090】[比較例1]ロータリー・エバポレーター
に接続したナス型フラスコ中に、L−アスパラギン酸5
0部と触媒のポリリン酸20部を仕込み、200℃、
1.33×103Paにて回転しながら4時間反応し
た。反応中は発泡が著しく、また得られた重合体と触媒
とを含む混合物は塊状となり、操作性に著しく劣ってい
た。この混合物にDMF500部を入れて回転させた
が、溶解するのに20時間を要した。溶液をメタノール
2000部に排出した。得られた沈殿物を吸引ろ過にて
集め、蒸留水を用いて濾液のpHが6以上になるまで洗
浄し、60℃にて乾燥すると35.0部の重合体が得ら
れた。この重合体の分子量は10.1万であった。
【0091】[比較例2]500mlフラスコ中に、L
−アスパラギン酸50部を仕込み、窒素雰囲気の常圧
下、240℃、1.33×103Paにて4時間反応し
た。加熱の間、反応物は、粉状のまま変化がなく、また
得られた反応物は粉状であり、操作性には優れていた。
室温まで冷却後、反応物をフラスコから取り出し、DM
F500部に溶解させようとしたが、不溶分が10重量
%存在した。溶解した部分の重量平均分子量は、0.9
万と低かった。
【0092】[実施例1〜6と比較例1〜2の比較・考
察]比較例1では、触媒存在下に反応操作を行ったが、
得られた重合体の分子量は高いけれど、反応中の発泡が
著しく、また重合体と触媒とを含む混合物が塊状とな
り、操作性に劣っていた。さらに溶媒への溶解性も著し
く劣っていた。比較例2では、触媒不存在下に反応操作
を行ったが、得られた重合体は粉状であり、塊状となら
ず、操作性に優れていたが、溶媒への不溶物が多量に発
生し、また、得られた重合体の分子量が低かった。対照
的に、実施例1〜4においては、アスパラギン酸と触媒
を含有する原料混合物を200〜500℃の流体(乾燥
空気)中に噴霧することで、得られた重合体と触媒とを
含む混合物は粉末状で、塊状とならず、操作性に優れて
おり、また、溶媒への溶解性に優れ、不溶物もなく、さ
らに、高分子量のポリコハク酸イミドが安定して生産で
きた。
【0093】実施例5では、後重合をして得られた重合
体と触媒とを含む混合物は、粉末状であり、塊状となら
ず、操作性に優れた方法である、アスパラギン酸と触媒
を含有する原料混合物を200〜500℃の流体(乾燥
空気)中に噴霧して得られた重合体と触媒とを含む混合
物をさらに、窒素気流下に固相で後重合することによ
り、さらなる高分子量のポリコハク酸イミドが安定的に
生産できることが確認できた。
【0094】また、溶媒への溶解性に優れ、不溶物もな
く、さらに、高分子量のポリコハク酸イミドが安定して
生産できることが確認できた。実施例6では、重合体と
触媒とを含む混合物が粉末状で、塊状とならず、操作性
に優れた方法である、アスパラギン酸と触媒を含有する
原料混合物を200〜500℃の流体(乾燥空気)中に
噴霧して得られた重合体と触媒とを含む混合物をさら
に、減圧下に固相で後重合することにより、さらなる高
分子量のポリコハク酸イミドが安定的に生産できること
が確認できた。
【0095】
【発明の効果】本発明によって、高い重量平均分子量を
有するポリコハク酸イミドを製造する技術を提供するこ
とができる。本発明によって、より簡便な装置によりポ
リコハク酸イミドを製造する技術を提供することができ
る。本発明の方法により、従来の技術による重合操作の
過程で生じていた、極めて高度の粘性相生成、過度の泡
沫形成、及び、反応物の凝固塊生成等の課題を、特定の
反応状態にて行なうことで解決し、連続かつ大量の製造
に好適な、高い重量平均分子量を有するポリコハク酸イ
ミドの製造技術を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 詫摩 啓輔 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二号580番地32 三井化学株式会社内 (72)発明者 町田 勝彦 千葉県袖ヶ浦市長浦字拓二号580番地32 三井化学株式会社内 Fターム(参考) 4J001 DA01 DB01 DB04 DC12 EA36 EE16D GA05 GA15 GB01 GB02 JB01 4J043 PA02 PA08 QA02 QB06 RA05 RA34 SA05 TA12 UA341 UA342 UB011 UB012 XA03 XA07 XA08 XB26 YA06

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料混合物を200〜500℃の流体中
    に噴霧し重合する工程を有するポリコハク酸イミドの製
    造方法。
  2. 【請求項2】 原料混合物を調製する工程を有する請求
    項1に記載したポリコハク酸イミドの製造方法。
  3. 【請求項3】 原料混合物を加熱する工程を有するもの
    である請求項1乃至2の何れかに記載したポリコハク酸
    イミドの製造方法。
  4. 【請求項4】 原料混合物を加熱しながら混合する工程
    を有するものである請求項1乃至2の何れかに記載した
    ポリコハク酸イミドの製造方法。
  5. 【請求項5】 流体が、不活性ガスである請求項1乃至
    4の何れかに記載したポリコハク酸イミドの製造方法。
  6. 【請求項6】 不活性ガスが、空気、窒素、アルゴン、
    ヘリウムからなる群から選ばれた少なくとも一種である
    請求項5に記載したポリコハク酸イミドの製造方法。
  7. 【請求項7】 噴霧する工程が、アトマイザーにより噴
    霧するものである請求項1乃至6の何れかに記載したポ
    リコハク酸イミドの製造方法。
  8. 【請求項8】 アトマイザーが回転するノズルを有する
    ものである請求項7に記載したポリコハク酸イミドの製
    造方法。
  9. 【請求項9】 原料混合物がポリアスパラギン酸と触媒
    とを含むものである請求項1乃至8の何れかに記載した
    ポリコハク酸イミドの製造方法。
  10. 【請求項10】 原料混合物が希釈剤を含むものである
    請求項9に記載したポリコハク酸イミドの製造方法。
  11. 【請求項11】 希釈剤が、水、メタノール、及びエタ
    ノールからなる群から選ばれた少なくとも一種である請
    求項10に記載したポリコハク酸イミドの製造方法。
  12. 【請求項12】 触媒がリン酸素酸である請求項9乃至
    11の何れかに記載したポリコハク酸イミドの製造方
    法。
  13. 【請求項13】 リン酸素酸がリン酸又はポリリン酸で
    ある請求項12に記載したポリコハク酸イミドの製造方
    法。
  14. 【請求項14】 触媒の重量が単量体の重量に対して、
    20〜300重量%である請求項12乃至13の何れか
    に記載したポリコハク酸イミドの製造方法。
  15. 【請求項15】 重合する工程で得られた重合体と触媒
    との混合物を、さらに100〜300℃にて固相で後重
    合することを特徴とする、請求項1乃至14の何れかに
    記載したポリコハク酸イミドの製造方法。
  16. 【請求項16】 ポリコハク酸イミドの重量平均分子量
    が3万〜20万である、請求項1乃至15の何れかに記
    載したポリコハク酸イミドの製造方法。
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