JP2001302716A - オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン重合体の製造方法

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JP2001302716A
JP2001302716A JP2000124611A JP2000124611A JP2001302716A JP 2001302716 A JP2001302716 A JP 2001302716A JP 2000124611 A JP2000124611 A JP 2000124611A JP 2000124611 A JP2000124611 A JP 2000124611A JP 2001302716 A JP2001302716 A JP 2001302716A
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olefin
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Tatsuya Koike
達也 小池
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、メタロセン触媒を用いたオレフィ
ンの重合・共重合を、塊状のポリマーを生成することな
く安定して行える点で有用であり、ポリマーの抜き取り
配管がそのような塊状のポリマーで閉塞するのを防止で
き、従って、商業規模でのオレフィンの重合体又は共重
合体の連続生産が可能となる。 【解決手段】 重合反応器に、連続的に該オレフィン又
は連続的に該オレフィン及び該単量体を該重合反応器に
供給しながら、該触媒を該重合反応器に移送し、導入し
てする方法であって、該オレフィンの重合又は共重合達
成すべく、ここで、該触媒が重合反応器中のオレフィン
を重合又はオレフィン及び該オレフィンと共重合可能な
単量体を共重合する前に、触媒を水素と接触させる水素
処理をするオレフィン重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オレフィン重合体
又は共重合体製造方法に関する。さらに詳しくは、メタ
ロセン系触媒の存在下におけるオレフィンの連続式スラ
リー重合方法または連続式気相重合法メタロセン系触媒
を用いるオレフィンの連続式スラリー重合法または連続
式気相重合法によるオレフィンの重合又は、オレフィン
と共重合可能な少なくとの1種の単量体との共重合の製
造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、オレフィン重合又は共重合(以
下、単にオレフィン重合体と称することがある)用触媒
として、チタン化合物と有機アルミニウム化合物とから
なるチタン系触媒、あるいはバナジウム触媒と有機アル
ミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒、さらには
クロム系触媒を用いて製造されてきた。
【0003】近年、新たにオレフィン重合用触媒として
遷移金属のメタロセン化合物を用いるいわゆるメタロセ
ン系触媒が提案されている。メタロセン系触媒を用いて
オレフィン重合体を製造すると、高触媒活性で、分子量
分布が狭く、かつ構成分子の組成分布が均一(即ち、共
重合体を構成する異なる成分モノマー単位の割合につい
て分布を均質にすること)なオレフィン重合体を得るこ
とができることが知られている。係る性質を有する高分
子量オレフィン重合体は、剛性、耐衝撃性、ESCR特
性等の機械的特性に優れており、種種の成型品、例え
ば、ボトル容器、パイプ材料、フィルム材料等として極
めて有望である。従って、メタロセン触媒を使用した方
法による高分子量オレフィン重合体の製造が求められて
いた。
【0004】遷移金属を含むメタロセン触媒を用いてオ
レフィンを重合する代表的プロセスとしては、目的のオ
レフィン重合体を得るために反応溶媒を使用するが故
に、当該オレフィン重合体が溶媒に溶解した形態で得ら
れる溶液重合法と、いわゆる粒子形態型、即ち、粒子形
状でオレフィン重合体が製造される製法がある。粒子形
態型重合の例としては、スラリー重合法、気相重合法が
ある。溶液重合法は、ポリマーの分子量の上昇とともに
溶液粘度が著しく上昇する問題点を有し、高分子量のポ
リマーの製造が困難である。従って、メタロセン触媒を
用いて高分子量オレフィン重合体を製造するためには粒
子形態型重合法を採用することが不可欠である。
【0005】一方、メタロセン系触媒は、次にような問
題を有する傾向にある。一般に、メタロセン系触媒は、
初期の重合速度の速い。従って、メタロセン触媒を粒子
形態型重合で使用した場合、重合の初期段階で急激な重
合反応を起こし、重合熱が急激に発生する。その熱の発
生率は、重合系の除熱率を越える。従って、重合ポリマ
ーに重合熱による局所的な発熱部位(ヒートスポット)
が発生し、その結果、その温度は粒子状のポリマーの融
点又はそれ以上となり、ポリマー同士が融着して塊状の
ポリマーが生成する。連続系のプロセスの場合、このよ
うな塊状のポリマーが発生すると、重合反応器からのポ
リマーの抜き取り配管が閉塞し、ポリマーの抜き取りが
不能となり、連続運転が阻害されてしまい、生産効率は
低く、その結果、商業規模の製造の実施は困難である。
【0006】又、上記問題を解決するためメタロセン系
触媒そのものの合成方法においても様々な技術開発がな
されているが、提案されたメタロセン系触媒の合成方法
はメタロセン系触媒の重合挙動の再現性に乏しく、たと
え同一方法でメタロセン触媒を合成したとしても、合成
毎に触媒活性や上述の問題の抑制能力(即ち、塊状のポ
リマーの発生しやすさ)が異なるのが現状である。従っ
て、たとえ従来のメタロセン触媒を使用しても、塊状重
合体発生の問題を確実に解決でき、商業生産規模のオレ
フィン重合体の連続生産をを可能とする、優れたオレフ
ィン重合体の粒子形態型重合方法の開発が望まれてい
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、メ
タロセン触媒系存在下での連続式スラリー重合法または
連続式気相重合法によるポリオレフィンの重合体又は共
重合体の製造法において、塊状のポリマーを生成するこ
となく、また重合反応器からのポリマーの抜き取り配管
が閉塞、ポリマーの抜き取りが不能となることがなく、
商業規模でのオレフィン重合体・共重合体の連続生産を
可能にする点で優れた改良されたポリオレフィンの重合
体又は共重合体の製造法の提供を主たる目的とする。本
発明の前述の目的及び他の目的、特徴及び利点は、添付
のクレームとの関連で次に述べられる詳細な説明から当
業者が容易に理解できるように、明らかにされる。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる状況下、本発明者
は、メタロセン触媒存在下でのオレフィン重合体・共重
合体の安定した改善された製造方法について鋭意研究を
重ねた結果、メタロセン触媒系を用いた連続式スラリー
重合法または連続式気相重合法によるポリオレフィンの
重合体又は共重合体の製造法において、上述の目的を達
成するために、ここで、該触媒が重合反応器中のオレフ
ィンを重合又はオレフィン及び該オレフィンと共重合可
能な単量体を共重合する前に、触媒を水素と接触させる
水素処理をすることが効果的であることを驚くべきこと
に見いだした。本発明は、この新しい発見に基づいて完
成された。
【0009】即ち、本発明は、メタロセン系触媒を用い
た連続式スラリー重合法または連続式気相重合法によっ
てオレフィンまたはオレフィン及び該オレフィンと共重
合可能な単量体を重合するオレフィン重合体又はオレフ
ィン共重合体の製造方法であって、該触媒を水素と接触
させることを特徴とするオレフィンの製造法である。該
触媒の例としては、環状η結合性アニオン配位子を有す
る遷移金属を含有する遷移金属化合物、カチオン及び遷
移金属と反応して触媒活性を発現する錯体を生成可能な
相溶性の非配位性アニオンからなる活性化化合物及び有
機金属からなる混合物、固体成分、及び必要に応じて有
機アルミニウムからなり、(1)重合反応器に、(2)
連続的に該オレフィン又は連続的に該オレフィン及び該
単量体を該重合反応器に供給しながら、該触媒を該重合
反応器に移送し、導入して、該オレフィンの重合又は共
重合を行い、ここで、該触媒が重合反応器中のオレフィ
ンを重合又はオレフィン及び該オレフィンと共重合可能
な単量体を共重合する前に、該触媒を水素と接触させる
水素処理をすることを特徴とするオレフィン重合体の製
造方法である。
【0010】本発明は、メタロセン触媒系存在下での連
続式スラリー重合法または連続式気相重合法によるポリ
オレフィンの重合体又は共重合体の製造が、塊状のポリ
マーを生成することなくなく安定に実行できる点で有用
である。即ち、本発明の製造方法によれば、重合反応器
からのポリマーの抜き取り配管が閉塞、ポリマーの抜き
取りが不能となることが防止され、商業規模のプラント
の連続運転によって、オレフィンの重合体又は共重合体
が、安定に効率的に製造できる。
【0011】本発明によれば、メタロセン系触媒を用い
た連続式スラリー重合法または連続式気相重合法による
オレフィンまたはオレフィン及び該オレフィンと共重合
可能な単量体の重合体の製造方法が提供される。その発
明とは、メタロセン系触媒を用いた連続式スラリー重合
法または連続式気相重合法によってオレフィンまたはオ
レフィン及び該オレフィンと共重合可能な単量体を重合
するオレフィン重合体又はオレフィン共重合体の製造方
法であって、該触媒を水素と接触させる水素処理をする
ことを特徴とするオレフィンの製造方法である。
【0012】該触媒の1例としては、 (A)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属を
含有する遷移金属化合物 (B)(B−1)カチオン及び、遷移金属(A)と反応
して触媒活性を発現する錯体を生成可能な相溶性の非配
位性アニオンからなる活性化化合物 必要に応じて、 (B−2)有機金属からなる混合物 (C)固体成分 (D)有機アルミニウム からなり、
【0013】(1)重合反応器に、(2)連続的に該オ
レフィン又は連続的に該オレフィン及び該単量体を該重
合反応器に供給しながら、該触媒を該重合反応器に移送
し、導入して、該オレフィンの重合又は共重合を行い、
ここで、該触媒が重合反応器中のオレフィンを重合又は
オレフィン及び該オレフィンと共重合可能な単量体を共
重合する前に、又は同時に、触媒を水素と接触させる水
素処理をすることを特徴とするオレフィン重合体の製造
方法である。
【0014】尚、連続式スラリー重合に於いては、
(C)固体成分を用いたほうが好ましい。理解を容易に
するために、下記に、本発明の特徴及び好ましい態様を
列挙する。
【0015】1.メタロセン系触媒を用いた連続式スラ
リー重合法または連続式気相重合法によってオレフィン
またはオレフィン及び該オレフィンと共重合可能な単量
体を重合するオレフィン重合体又はオレフィン共重合体
の製造方法であって、 該触媒を水素と接触させる水素
処理をすることを特徴とするオレフィン重合体の製造方
法。
【0016】2.メタロセン系触媒を用いた連続式スラ
リー重合法または連続式気相重合法によってオレフィン
またはオレフィン及び該オレフィンと共重合可能な単量
体を重合するオレフィン重合体又はオレフィン共重合体
の製造方法であって、触媒が、 (A)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属を
含有する遷移金属化合物 (B)(B−1)カチオン及び、遷移金属(A)と反応
して触媒活性を発現する錯体を生成可能な相溶性の非配
位性アニオンからなる活性化化合物 必要に応じて、 (B−2)有機金属からなる混合物 (C)固体成分 (D)有機アルミニウム からなり、
【0017】(1)重合反応器に、(2)連続的に該オ
レフィン又は連続的に該オレフィン及び該単量体を該重
合反応器に供給しながら、該触媒を該重合反応器に移送
し、導入して、該オレフィンの重合又は共重合を行い、
ここで、該触媒が重合反応器中のオレフィンを重合又は
オレフィン及び該オレフィンと共重合可能な単量体を共
重合する前に、又は同時に、触媒を水素と接触させる水
素処理をすることを特徴とする上記1.記載のオレフィ
ン重合体の製造方法。
【0018】3.上記1.または2.において、該触媒
を重合反応器へ導入する前に、触媒を水素と接触させる
水素処理をすることを特徴とするオレフィン重合体の製
造方法。 4.上記1.または2.において、該触媒を重合反応器
へ導入しながら、触媒を水素と接触させる水素処理をす
ることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
【0019】5.上記1.または2.において、該触媒
の水素処理における触媒と接触させる水素の量が、該触
媒に含まれる遷移金属化合物(A)の0.5倍モル以上
且つ50000倍モル以下であることを特徴とするオレ
フィン重合体の製造方法。 6.上記3.において、重合反応器に触媒移送パイプが
繋がれており、工程(2)で、該触媒は該触媒移送パイ
プ中を流れる触媒移送媒体と共に移送され、且つ、該触
媒の水素処理は、該触媒移送パイプ中を通して該触媒を
移送する間に水素を触媒移送媒体に供給して触媒を水素
に接触させることによってなされるオレフィン重合体の
製造方法。
【0020】7.上記6.において、触媒移送パイプが
その側壁に繋がれた水素を触媒移送パイプに供給するた
めの導管を有し、且つ、水素ガスの触媒移送媒体への供
給が、水素ガスを当該導管を通して触媒移送パイプに供
給されることによってなされるオレフィン重合体の製造
方法。 8.上記7.において、水素を触媒移送パイプに供給す
るための導管が該触媒移送パイプと該重合反応器の内部
で結合しているオレフィン重合体の製造方法。
【0021】9.上記4.において、触媒移送パイプが
重合反応器が繋がれており、該触媒を重合反応器へ導入
しながら、触媒近傍に水素を導入して、触媒を水素と接
触させる水素処理をすることを特徴とするオレフィン重
合体の製造方法。 10.上記9.において、該触媒及び水素ガスを内管ノ
ズル及び外管ノズルを有する多重管を通して重合反応器
へ導入し、該触媒の水素処理が多重管の内管ノズルから
該触媒を重合反応器へ供給し、水素を多重管の外管ノズ
ルから供給することによりことによってなされるオレフ
ィン重合体の製造方法。
【0022】11.上記9.において、重合反応器内部
の触媒移送パイプの先端近傍に、水素を供給するための
ノズルを設け、当該ノズルを通して水素を供給すること
により水素の導入を行うオレフィン重合体の製造方法。 12.水素の純度が99.99モル%以上であることを
特徴とする上記1.乃至4.のオレフィン重合体の製造
方法。 13.オレフィンがエチレン、炭素数3〜20のα−オ
レフィンの中から選ばれるオレフィンであることを特徴
とする上記1.乃至4.のオレフィン重合体の製造方
法。
【0023】また、本発明の一つの態様において、上記
(1)〜(13)において水素の代わりに、窒素あるい
はルイス酸を用いても良い。以下、本発明の発明を更に
詳細に説明する。尚、本発明において「重合」という語
は単独重合のみならず共重合を包含した意味で用いられ
る。
【0024】触媒移送媒体中へ水素を含有させるあるい
は触媒供給口近傍に水素を供給することにより、上述の
ような高い連続運転性能が得られるのは何故か未だ解明
されいないが、例えば、 (1)該触媒が重合反応器中のオレフィンを重合又はオ
レフィン及び該オレフィンと共重合可能な単量体を共重
合する前の該触媒の水素処理により、重合初期段階での
該触媒の重合活性が適度に低められ、その結果、重合の
初期段階における急激な重合反応熱の急激な発生を抑制
することができる。
【0025】(2)メタロセン触媒の水素処理に使用さ
れた水素の存在によって、重合反応器に供給されるた該
触媒周囲のオレフィン分圧の低下が一時的に起こり、そ
の結果、重合の初期段階における重合率が適度に低めら
れ、急激な重合反応熱の急激な発生を抑制する、等の理
由が考えられる。本発明においてオレフィンを重合する
方法としては、連続式スラリー重合法または連続式気相
重合法である。本発明に於いては、最も好ましくは連続
式スラリー重合法が用いられる。
【0026】一般に連続式スラリー重合法においては、
重合媒体中に、触媒、オレフィン、さらには分子量調整
剤(水素、ジエニル亜鉛等)を添加して重合を行う。この
際、固体粒状ポリマーの懸濁液が形成される。このよう
な連続式スラリー重合では、重合媒体と共に、触媒、オ
レフィン又はオレフィンと共重合可能な少なくとも一つ
のモノマーとの混合物、分子量調整剤(水素、ジエニル
亜鉛等)が連続で、あるいは断続的に供給されるととも
に、固体粒状ポリマーの懸濁液は連続的にあるいは断続
的に重合反応器から抜き取られ分離乾燥等の次の工程に
移送される。
【0027】連続スラリー重合法に於ける重合の際に用
いられる重合媒体は、重合条件下で液体でなくてはなら
ず、且つ触媒活性を低下させない等実質的に重合に影響
を与えない不活性な液体でなくてはならない。
【0028】そのような重合媒体としては、不活性炭化
水素媒体を用いることができ、さらにはオレフィン自身
を媒体として用いることもできる。かかる不活性炭化水
素媒体としては、例えば、プロパン、n−ブタン、イソ
ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デ
カン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペン
タン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環
族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族
炭化水素;及びエチルクロライド、クロルベンゼン、ジ
クロロメタン等のハロゲン化炭化水素あるいはこれらの
混合物等を挙げることができる。
【0029】本発明に於いては、好ましくはヘキサン、
ペンタンまたはイソブタンが好適である。一方、連続式
気相重合法においては、1種以上のオレフィンを含有す
るガス流れを反応条件下に触媒の存在下で流動床を通し
て連続的に循環させる。ガス流れは、流動床から取り出
され、重合反応器から取り出し、新しい新鮮なオレフィ
ンを添加し重合されたオレフィンと置き換える。更に、
連続式気相重合法において、消費された触媒に関して
は、新鮮な触媒を連続的又は断続的に重合反応器に供給
しながら、消費された触媒は、連続的又は断続的に重合
反応器から抜き取られる。
【0030】本発明において、重合反応器はそれに接続
された触媒移送パイプを有しており、工程(2)におい
て、該触媒は触媒移送パイプを流れる触媒移送媒体と共
に移送されるのが好ましい。そのような触媒移送用媒体
としては、不活性炭化水素媒体が好適である。
【0031】そのような不活性炭化水素媒体としては、
例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカ
ン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロ
ヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;及
びエチルクロライド、クロルベンゼン、ジクロロメタン
等のハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物等を挙
げることが出来る。また、本発明に於いては、重合に用
いるオレフィン自体を該媒体として用いることも可能で
ある。
【0032】このような触媒移送用媒体は、連続スラリ
ー重合法に於いては重合媒体と同じであってもよく、ま
た異なったものであっても良い。例えば、重合媒体にヘ
キサンを用い、触媒移送媒体にトルエンを用いても良
い。本発明の方法において、オレフィンホモポリマーは
オレフィンから製造され、また、オレフィン共重合体は
オレフィン及び少なくとも一つのオレフィンと共重合可
能なコモノマーから製造させる。
【0033】本発明のオレフィンは、例えば、エチレ
ン、炭素数3〜20のα−オレフィンの中から選ばれ
る。炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、例え
ば、プロピレン、1ーブテン、1ーヘキセン、4ーメチ
ル−1−ペンテン、1−オクテン、1ーデセン等が挙げ
られる。これらは単独重合させてもよく、或いは異なる
2つ以上のオレフィンを共重合させてもよい。
【0034】またオレフィンとともに必要に応じて他の
重合性モノマーを共重合させてもよい。他の重合性モノ
マーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メ
チルスチレン等の芳香族ビニルモノマー、塩化ビニル、
アクリロニトリル等の極性ビニル、ブタジエン、イソプ
レン等のジオレフィン、シクロヘキセン、ノルボルネン
等の脂環式ジオレフィン、アセチレン等のアルキン、2
−プロペナル等のアルデヒドモノマー等が挙げられる。
【0035】本発明に於いて、重合は、好ましくはエチ
レンの単独重合あるいはエチレンと1種類以上の炭素数
3〜20のα−オレフィンの共重合であり、さらに好ま
しくはエチレンの単独重合あるいはエチレンと1種類以
上の炭素数3〜8のα−オレフィンの共重合である。本
発明における重合は、常圧〜50気圧及び40℃〜12
0℃好ましくは60℃〜120℃の温度を用いる。
【0036】連続スラリー重合法に於ける重合反応器内
部の重合媒体中のポリマーの平均重量%即ちスラリー濃
度は、60重量%以下、好ましくは40重量%以下であ
る。本発明に於いては、該触媒が重合反応器中のオレフ
ィンを重合又はオレフィン及び該オレフィンと共重合可
能な単量体を共重合する前に、又は同時に、該触媒を水
素と接触させる水素処理をすることが必要であり、好ま
しくは、該触媒が重合反応器中のオレフィン又は、オレ
フィンと共重合可能なコモノマーと接触する前に、該触
媒を水素と接触させる水素処理をすることが好ましい。
該水素処理の例としては、(i)該触媒を重合反応器へ
導入する前に、触媒を水素と接触させる水素処理をする
こと、又は(ii)該触媒を重合反応器へ導入しながら、
触媒を水素と接触させる水素処理をすること、が挙げら
れる。
【0037】上記(i)において触媒を重合反応器に導
入する前に触媒と水素とを接触させる方法としては、例
えば I)本発明の工程(2)において、触媒を触媒移送媒体
と共に移送し、触媒移送媒体に水素を含有させ、触媒を
重合反応器に移送中に触媒と水素とを接触させる方法、 II)本発明の工程(2)の前(即ち、触媒の重合反応器
への移送を開始する前)に、例えば触媒貯槽等に水素を
保有し、水素を触媒貯槽に導入し触媒と水素とを接触さ
せる方法、等が挙げられる。
【0038】触媒移送媒体に水素を含有させる方法
(i)としては、例えば、重合反応器に触媒を導入する
ために設けられた触媒移送パイプに、水素の供給枝管を
接続し、本発明の工程(2)において、該触媒を触媒移
送パイプを流れる触媒移送媒体共に移送し、触媒を重合
反応器に移送中に水素を該移送媒体に供給して、触媒と
水素が接触するように水素処理を行う方法等によって効
果的に行うことができる。上述の触媒を重合反応器に移
送中に触媒と水素が接触するように水素処理を行う方法
に関しては、触媒移送パイプが、その側壁に触媒移送パ
イプへ水素を供給するための導管を有し、そして、水素
を該導管を通して触媒移送パイプへ供給すことにより、
水素を触媒移送媒体に供給する方法等が好ましい。該導
管は、該触媒移送パイプと、重合反応器の内側、外側の
いずれで結合していても良い。
【0039】本発明における水素処理の更なる具体例と
しては、工程(2)の前に、該触媒と水素を含有する触
媒移送媒体を混合して該触媒と水素が接触するように水
素処理をし、そして、工程(2)において、触媒を触媒
移送媒体と共に移送する方法等が挙げられる。本発明の
上記(ii)の水素処理の方法の例としては、該触媒及び
水素ガスを内管ノズル及び外管ノズルを有する多重管を
通して重合反応器へ導入し、該触媒の水素処理が多重管
の内管ノズルから該触媒を重合反応器へ供給し、水素を
多重管の外管ノズルから供給する方法、或いは、重合反
応器内部の触媒移送パイプの先端近傍に、水素を供給す
るためのノズルを設け、当該ノズルを通して水素を供給
することにより水素の導入を行う方法等が挙げられる。
【0040】重合反応器内部の触媒供給口近傍に、水素
を水素供給ノズルを通して供給する場合、水素供給ノズ
ルの先端は、触媒供給ノズルの先端から、重合反応器の
内径(D)の1/5以内に位置していることが好まし
い。より好ましくは、内径の1/10以内であり、最も
好ましくは内径の1/20以内である。本発明で、触媒
と接触させる水素の量は、該触媒に含まれる遷移金属化
合物(A)の0.5倍モル以上且つ50000倍モル以
下である。水素の量が0.5倍モル未満であると、塊状
のポリマーの抑制効果は発現しない。また、水素の量が
50000倍モルよりも多ければ、触媒活性の低下を招
く。本発明に於いて、触媒と接触させる水素の量は、遷
移金属化合物(A)の好ましくは10倍モル以上且つ3
0000倍モル以下であり、より好ましくは100倍モ
ル以上且つ10000倍モル以下である。
【0041】本発明で、触媒を触媒移送媒体を用いて反
応器に供給する場合、触媒が反応器に供給される際の触
媒の移送媒体中のピーク濃度は、0.005g/L以上
5g/L以下、好ましくは0.005g/L以上3g/
L以下、更に好ましくは0.005g/L以上1g/L
以下、最も好ましくは0.005g/L以上0.5g/
L以下である。
【0042】尚、触媒の移送媒体中のピーク濃度とは、
該触媒を反応器に連続供給する際の触媒供給量を触媒移
送媒体量で除した(割った)ものの内、最大の値のもの
を示す。ここで言う該触媒の重量とは、(A)環状η結
合性アニオン配位子を有する遷移金属を含有する遷移金
属化合物、(B)(B−1)カチオン及び、遷移金属
(A)と反応して触媒活性を発現する錯体を生成可能な
相溶性の非配位性アニオンからなる活性化化合物及び、
(B−2)有機金属からなる混合物、(C)固体成分、
(D)有機アルミニウムの総重量を意味する。
【0043】又、触媒を反応器に供給する際の触媒供給
線速度は、0.01m/s以上5m/s以下、好ましく
は0.01m/s以上3m/s以下、最も好ましくは、
0.01m/s以上1m/s以下である。尚、触媒供給
線速度とは、触媒移送媒体量を触媒供給口の断面積で除
した(割った)ものである。
【0044】本発明で、水素を分子量調整剤として用い
る場合、該メタロセン触媒の水素処理に使用される水素
の一部又は全量を分子量調整剤としての水素として用い
てもよい。具体的には、例えば、触媒と共に重合反応器
に移送される触媒移送媒体に水素を供給して、分子量調
整剤として用いる水素の一部又は全量を触媒の水素処理
に使用しても良い(ここで、該水素が移送され、触媒及
び触媒移送媒体と共に重合反応器に供給された後は、該
水素は重合反応器中で、分子量調整剤として機能す
る)。この場合、触媒の水素処理に使用される水素が分
子量調整剤として使用される水素の一部である場合、分
子量調整剤として使用される残りの水素は、例えば、重
合反応器に水素供給パイプを通して、直接重合反応器に
供給される。
【0045】水素と触媒とを予め接触させる場合、該接
触時間は特に限定されるものではないが、好ましくは1
0分以内、より好ましくは5分以内、さらに好ましくは
1分以内、さらにまた好ましくは30秒以内、最も好ま
しくは20秒以内である。又、該接触時間は0.01秒
以上が好ましく、更に好ましくは0.1秒以上である。
【0046】本発明の目的を達成するために用いられる
水素の純度は99.99モル%以上であり、好ましくは
99.999モル%以上さらに好ましくは99.999
9モル%以上である。このような純度の高い水素は、水
素をモレキュラーシーブス、活性アルミナ、酸化銅等の
吸着剤と接触させて、水、酸素、硫黄、一酸化炭素、二
酸化炭素、窒素酸化物等の不純物を除去することによ
り、容易に得ることができる。水素の純度は、ガスクロ
マトグラフィー(例えば、島津製作所製(日本)モデル
GC 8Aを使用して)を用いて測定することができ
る。
【0047】本発明では、オレフィン重合用触媒とし
て、メタロセン系触媒を用いる。本明細書中で説明され
る種種の式で使用される参照文字、サフィックスは、そ
の参照文字、サフィックス等が使用されている式におい
てのみ、それぞれ独立に、具体的な要素、置換基、数字
等を特定するために使用される。従って、異なる式中で
使用されている同じ参照文字、サフィックスは、それぞ
れ同じ要素、置換基、数字等を意味するとは限らない。
【0048】本明細書中で言及される周期律表は、CR
C Press,Inc.,が著作権を有し、同社が1
989年に発行するものである。又、「基(Group,Grou
ps)」は同周期律表及び、基の番号付けのためのIUP
ACに対応するものである。明細書中用いられる用語
「ヒドロカルビル基」は、脂肪族、脂環式、芳香族又は
これらの複合基のいずれかを意味する。明細書中用いら
れる用語「ヒドロカルビルオキシ基」は、ヒドロカルビ
ル基であって、酸素結合を介して金属元素、メタロイ
ド、炭素、窒素、リンと結合する酸素を有するものを意
味する。
【0049】明細書中用いられる用語「シリル基」は、
シリコン結合を介して金属元素、メタロイド、炭素、窒
素、リンと結合するシリコンを含有する基を意味する。
明細書中用いられる用語「ゲルミル基」は、ゲルマニウ
ム結合を介して金属元素、メタロイド、炭素、窒素、リ
ンと結合するゲルマニウムを含有する基を意味する。
【0050】本発明の方法で使用されるオレフィン重合
触媒は、 (A)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属を
含有する遷移金属化合物 (B)(B−1)カチオン及び、遷移金属(A)と反応
して触媒活性を発現する錯体を生成可能な相溶性の非配
位性アニオンからなる活性化化合物 必要に応じて、 (B−2)有機金属からなる混合物 (C)固体成分 (D)有機アルミニウム からなる。
【0051】次に、(A)環状η結合性アニオン配位子
を有する遷移金属を含有する遷移金属化合物(以下、単
に「要素(A)」と称することがある。)。本発明のメ
タロセン系触媒は、環状η結合性アニオン配位子を有す
る遷移金属化合物(本発明に於いて、以下単に『遷移金
属化合物』と称することがある)を含む。本発明の遷移
金属化合物(A)の例としては、例えば以下の一般式
(2)で表すことができる。
【0052】LjWkMXpX’q (2) Lは各々独立に、シクロペンタジエニル基、インデニル
基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テト
ラヒドロフルオレニル基、またはオクタヒドロフルオレ
ニル基から選ばれる環状η結合性アニオン配位子を表
し、ここで環状η結合性アニオン配位子は、20個まで
の非水素原子を含み、炭素数1〜20の炭化水素基、ハ
ロゲン、炭素数1〜12のハロゲン置換炭化水素基、炭
素数1〜12のアミノヒドロカルビル基、炭素数1〜1
2のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜12のジヒド
ロカルビルアミノ基、炭素数1〜12のヒドロカルビル
フォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、炭素数1
〜12のヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル
基から各々独立に選ばれる1乃至8の置換基を任意に有
していてもよい。
【0053】式中Mは1つ以上の配位子Lとη5結合を
している酸化数+2、+3又は+4の周期律表第4族遷
移金属である。Wは、L、Mと1価で結合し、W、L、
Mが共にメタロセンを形成する、50までの非水素性原
子を有する2価の置換基を表す。Xは各々独立に、60
までの非水素性原子を有する、1価のアニオン性σ結合
型配位子、Mと2価で結合する2価のアニオン性σ結合
型配位子、又はM及びLに各々1価ずつの価数で結合す
る2価のアニオン性σ結合型配位子である。
【0054】X’は各々独立に、40までの非水素性原
子を有する、中性ルイス塩基配位性化合物である。ま
た、jは1又は2の整数である。但し、jが2の場合
は、2つのL配位子は任意に、炭素数1〜12のヒドロ
カルバジイル、炭素数1〜12のハロヒドロカルバジイ
ル、炭素数1〜12のヒドロカルビレンオキシ、炭素数
1〜12のヒドロカルビレンアミノ、シラジイル、ハロ
シラジイル、アミノシランから選ばれる20までの非水
素性原子を有する2価の置換基により結合されていても
よい。
【0055】kは0又は1である。pは0、1又は2の
整数であり、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子また
はM及びLに各々1価ずつの価数で結合する2価のアニ
オン性σ結合型配位子である時pはMの形式酸化数より
l以上少なく、またXがMと2価で結合する2価のアニ
オン性σ結合型配位子である時pはMの形式酸化数より
j+1以上少ない。またqは0、1または2である。
【0056】上記式(2)の化合物で使用されるX配位
子の例としては、ハロゲン、炭素数1〜60の炭化水素
基、炭素数1〜60のヒドロカルビルオキシ基、炭素数
1〜60のヒドロカルビルアミド基、炭素数1〜60の
ヒドロカルビルフォスフィド基、炭素数1〜60のヒド
ロカルビルサルファイド基、シリル基、またはこれらの
複合機等が挙げられる。上記式(2)の化合物で使用さ
れるX' 中性ルイス塩基の例としては、ホスフィン類、
アミン類、炭素数2〜40のオレフィン類、炭素数1〜
40のジエン類等、及びこれらの化合物から誘導される
2価基等が挙げられる。本発明において、要素(A)は
上の式(2)で表される遷移金属化合物で、jが1のも
のが好ましい。
【0057】例えば、化学式(2)の遷移金属化合物の
好適な例は、以下の一般式(3)で表される。
【化1】
【0058】式中Mは形式酸化数+2、+3または+4
のチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムである。ま
た、R3は各々独立に、水素、炭素数1〜8の炭化水素
基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、また
はこれらの複合基から選ばれる置換基であり、各々20
までの非水素原子を有することができる。但し、R3
炭素数1〜8の炭化水素基シリル基、ゲルミル基の場合
は、近接するR3同士が互いに結合して2価の基を形成
して、その結果、それぞれ、隣接する2つのR3に結合
するシクロペンタジエニル上の2つの炭素原子の結合と
相俟って環状を形成しても良い。
【0059】X”は各々独立にハロゲン、炭素数1〜2
0の炭化水素基、炭素数1〜18のヒドロカルビルオキ
シ基、炭素数1〜18のヒドロカルビルアミノ基、シリ
ル基、炭素数1〜18のヒドロカルビルアミド基、炭素
数1〜18のヒドロカルビルフォスフィド、若しくはは
炭素数1〜18のヒドロカルビルサルファイド基、又は
これらので複合基であり、各々20までの非水素原子を
有しており、また2つのX”が炭素数4乃至30の中性
の共役ジエン若しくは2価の誘導体を形成してもよい。
【0060】Yは−O−、−S−、−NR*−、−PR*
−であり、ZはSiR* 2、CR* 2、SiR* 2SiR* 2
CR* 2CR* 2、CR*=CR*、CR* 2SiR* 2またはG
eR * 2であり、ここでR*は各々独立に水素、炭素数1
乃至12の炭化水素基、炭素数1〜8のヒドロカルビル
アミノ基、シリル基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキ
ル基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基又は、こ
れらの複合基である。また、nは1乃至3の整数であ
る。
【0061】さらに、化学式(2)の遷移金属化合物と
してより好適な例は、以下の一般式(4)及び(5)で
表される。
【化2】
【0062】
【化3】
【0063】また、Mは、それぞれ独立に、形式酸化数
+2,+3又は+4を有するチタニウム、ジルコニウム
またはハフニウムである。また、R3は各々独立に、水
素、炭素数1〜8の炭化水素基、シリル基、ゲルミル
基、シアノ基、ハロゲン、またはこれらの複合基から選
ばれる置換基であり、各々20までの非水素原子を有す
ることができる。但し、R3が炭素数1〜8の炭化水素
基シリル基、ゲルミル基の場合は、近接するR3同士が
互いに結合して2価の基を形成して、その結果、それぞ
れ、隣接する2つのR3に結合するシクロペンタジエニ
ル上の2つの炭素原子の結合と相俟って環状を形成して
も良い。
【0064】Xは各々独立に、ハロゲン、炭素数1〜2
0の炭化水素基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキ
シ基、炭素数2〜12のジ(ヒドロカルビル)アミド
基、炭素数2〜12のジ(ヒドロカルビル)フォスフィ
ド、若しくは炭素数1〜12のヒドロカルビルサルファ
イド基、シリル基、又はこれらので複合基から選ばれる
20までの非水素原子を有する置換基、アリル基、a 2-
(N,N-ジメチルアミノメチル)フェニル基、2-(N,N-ジメ
チルアミノ)ベンジル基から選ばれる安定化アニオン配
位子、または、炭素数4乃至30の中性の共役ジエンか
ら誘導される2価基を示す。但し、XとMは共にメタロ
シクロペンテンを形成しても良い。
【0065】X’はそれぞれ独立に、40までの炭素原
子を有する中性の共役あるいは非共役ジエンであって、
置換されていない、若しくは、任意に1つ以上の炭素数
1〜12の炭化水素基で置換されていてもよく、又はM
とπ型錯体を形成してもよい。Yは−O−、−S−、−
NR*−、−PR*−であり、ZはSiR* 2、CR* 2、S
iR* 2SiR* 2、CR* 2CR* 2、CR*=CR*、CR* 2
SiR* 2またはGeR * 2であり、ここでR*は各々独立
に水素、炭素数1乃至12の炭化水素基、炭素数1〜8
のヒドロカルビルアミノ基、シリル基、炭素数1〜8の
ハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のハロゲン化ア
リール基又は、これらの複合基である。
【0066】pは0、1または2であり、またqは0ま
たは1である。但し、pが2でqが0の時、Mの酸化数
は+4であり且つXは、それぞれ独立にハロゲン、炭素
数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜12のヒドロカル
ビルオキシ基、炭素数2〜12のジヒドロカルビルアミ
ド基、炭素数1〜12のジヒドロカルビルフォスフィド
基、炭素数1〜12のヒドロカルビルスルフィド基、シ
リル基またはこれらの複合基あり、20までの非水素原
子を有している。
【0067】また、pが1でqが0の時、Mの酸化数が
+3であり且つXがアリル基、2−(N,N−ジメチル
アミノメチル)フェニル基または2−(N,N−ジメチ
ル)−アミノベンジル基から選ばれる安定化アニオン配
位子であるか、若しくはMの酸化数が+4であり且つX
が2価の炭素数4〜30の共役ジエンの誘導体である
か、あるいはMとXが共にメタロシクロペンテン基を形
成している。また、pが0でqが1の時、Mの酸化数は
+2であり且つX’は40までの炭素原子を有する中性
の共役あるいは非共役ジエンであって、置換されていな
い、若しくは、任意に1つ以上の炭素数1〜12の炭化
水素基で置換されていてもよく、また、Mとπ型錯体を
形成していてもよい。
【0068】本発明で使用される要素(A)の具体例と
しては、 [(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5―シ
クロペンタジエニル)―1,2エタンジイル]チタン
ジメチル、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル
−η5―シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタ
ン ジメチル、[(N−メチルアミド)(テトラメチル
−η5―シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタ
ン ジメチル、[(N−フェニルアミド)(テトラメチ
ル−η5―シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チ
タン ジメチル、[(N−ベンジルアミド)(テトラメ
チル−η5―シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]
チタン ジメチル、[(N−t−ブチルアミド)(η5
―シクロペンタジエニル)―1,2エタンジイル]チタ
ン ジメチル、[(N−t−ブチルアミド)(η5―シ
クロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタン ジメチ
ル、[(N−メチルアミド)(η5―シクロペンタジエ
ニル)―1,2エタンジイル]チタン ジメチル、
[(N−メチルアミド)(η5―シクロペンタジエニ
ル)ジメチルシラン]チタン ジメチル、[(N−t−
ブチルアミド)(η5―インジニル)ジメチルシラン]
チタン ジメチル、及び[(N−ベンジルアミド)(η
5―インジニル)ジメチルシラン]チタン ジメチル等
が挙げられる。
【0069】更に、本発明で使用される要素(A)の具
体例には、命名法の「チタン」に続く最後の用語で、上
記式(3)におけるX''に対応する「ジメチル」が下記
のいずれかの用語で置き換えられる以外は、上記要素
(A)の具体例と同様の命名法を有する化合物も含まれ
る。
【0070】「ジベンジル」、「2−(N,Nジメチル
アミノ)ベンジル」、「2−ブテン−1,4ジイル」、
「S−トランス−η4―1,4−ジフェニル−1,3−
ブタジエン」、「S−トランス−η4―3−メチル−
1,3−ペンタジエン」、「S−トランス−η4−1,
4−ベンジル−1,3−ブタジエン」、「S−トランス
−η4―2,4−ヘキサジエン」、「S−トランス−η4
―1,3−ペンタジエン」、「S−トランス−η4
1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン」、「S−トラ
ンス−η4―1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,
3−ブタジエン」、「S−シス−η4―1,4−ジフェ
ニル−1,3−ブタジエン」、「S−シス−η4―3−
メチル−1,3−ペンタジエン」、「S−シス−η4
1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン」、「S−シ
ス−η4―2,4−ヘキサジエン」、「S−シス−η4
1,3−ペンタジエン」、「S−シス−η4―1,4−
ジトリル−1,3−ブタジエン」、及ぶ、「S−シス−
η4―1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブ
タジエン」。
【0071】以下、本発明で使用される混合物(B)
(以下、要素(B)と称することがある)に関して説明
する。要素(B)は、好ましくは遷移金属(A)の0.
5〜10倍モル存在する活性化合物(B−1)(以下、
要素(B―1)と称することがある)と好ましくは活性
化合物(B−1)の0.05〜20倍モル存在する活性
化合物(B−2)(以下、要素(B―2)と称すること
がある)との混合物である。
【0072】ここで、活性化合物(B―1)は、カチオ
ン及び相溶性の非配位性アニオンからなり、遷移金属
(A)と反応し触媒活性を有する金属錯体を形成するこ
とができる。次式(1)で表される有機金属化合物(B
−2)が好ましい。 MRnXm-n (1) ただし、Mは周期律表第1族乃至第15族から選ばれる
要素である。
【0073】Rは各々独立に炭素数1乃至12の直鎖
状、分岐状若しくは環状のアルキル基又は炭素数6乃至
20のアリル基ある。Xは各々独立にハロゲン、水素、
炭素数1乃至10のアルコキシ基ある。mはMの形式酸
化数を示し、nは1〜mの価数を示す。mの定義は上述
の通りである。本発明の方法で使用される触媒におい
て、金属錯体は要素(A)、(B−1)間の反応によっ
て形成され、当該金属錯体は高いオレフィン重合活性を
示す触媒活性種を提供する。
【0074】本発明の方法で使用される触媒において、
要素(C)はキャリアとして上述の触媒活性種(即ち、
要素(A)、(B−1)間の反応によって形成される金
属錯体)の担持の役割を果たす。本発明の方法で使用さ
れる触媒において、要素(B−2)は活性種と要素
(C)とを結合する役割を果たす。要素(C)として使
用される固体成分は、実質的に水酸基を有さないことが
好ましい。
【0075】「相溶性の非配位性アニオン」の用語に関
しては次のように説明される。「非配位性」とは、アニ
オンが要素(A)の遷移金属と配位結合しない、また、
当該遷移金属と弱い配位結合をするだけであり、α―オ
レフィンのような中性ルイス酸塩基によって容易に置換
されることを意味する。更に、本発明において、「非配
位性」アニオンとは、アニオンであって、遷移金属(係
る場合、本発明の方法の触媒における電荷バランシング
アニオンとしてのアニオン機能と配位結合しない場合に
分解しないものであり、活性種としての上述の錯体中の
要素(A)の中和やアニオンの分解による中性副生成物
の生成を避けることができる。「相溶性」の用語は、た
とえ活性化合物(B−1)が分解したときでも、アニオ
ンが中性に崩壊せず、且つ、アニオンが、本発明におい
て触媒を使用する重合に悪影響を及ぼさないことを意味
する。
【0076】本発明の遷移金属化合物(A)は、一般に
公知の方法で合成できる。該遷移金属化合物(A)の好
ましい合成方法は、US Patent No.5491246において、開
示されている。また、本発明のメタロセン系触媒は、遷
移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成
可能な活性化剤(本発明において以下単に『活性化剤』
と称することがある)を含む。
【0077】通常、メタロセン系触媒に於いては、遷移
金属化合物と上記活性化剤により形成される錯体が、触
媒活性種として高いオレフィン重合活性を示す。本発明
において、(B−1)要素(活性化剤)としては、例え
ば以下の一般式(7)で定義される化合物が挙げられ
る。 [L−H]d+[Mm+pd- (7) 但し、式中[L−H]d+はプロトン付与性のブレンステ
ッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。dは1〜7
の整数である。
【0078】また、式中[MmQp]d-は相溶性の非配
位性アニオンであり、Mは周期律表第5族乃至第15族
から選ばれる金属又はメタロイドであり、Qは各々独立
にヒドリド、ハロゲン、炭素数2〜20のジヒドロカル
ビルアミド基、炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ
基、炭素数1〜30の炭化水素基、炭素数1〜40まで
の置換炭化水素基であり、また一つのQはハライドであ
ってもよい。また、mは1乃至7の整数であり、pは2
乃至14の整数であり、dは上記で定義の通りであり、
p−m=dである。
【0079】本発明で、(B−1)要素(活性化剤)の
より好ましい例は以下の一般式(8)で定義される化合
物である。 [L−H]d+[Mm+n{Gq(T−H)rzd- (8) 但し、式中[L−H]+はプロトン付与性のブレンステ
ッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。dは1乃至
7の整数である。
【0080】また、式中[Mm+Qn(Gq(T−H)
r)z]d-は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周
期律表第5族乃至第15族から選ばれる金属又はメタロ
イドであり、Qは各々独立にヒドリド、炭素数2〜20
のジアルキルアミド基、ハライド、炭素数1〜20のア
ルコキサイド基、炭素数6〜30のアリロキサイド基、
炭素数1〜30の炭化水素基、若しくは、炭素数1〜4
0ハロゲン置換炭化水素基、又は、炭素数1〜40のヒ
ドロカルビル若しくは炭素数1〜40のハロゲン化ヒド
ロカルビルで置換された有機メタロイドである。また一
つのQはハライドであってもよい。
【0081】また、Gはr+1の価数を持つ炭素数1〜
30の多価炭化水素基である。Tは−O−、−S−、−
NR−、又は−PR−であり、ここでRは炭素数1〜1
2のヒドロカルビル、炭素数1〜8のトリヒドロカルビ
ルシリル基、炭素数1〜8のトリヒドロカルビルゲルマ
ニウム基、若しくは水素である。また、mは1乃至7の
整数であり、nは0乃至7の整数であり、qは0又は1
の整数であり、rは1乃至3の整数であり、zは1乃至
8の整数であり、dは上記で定義の通りであり、n+z
−m=dである。
【0082】化学式(8)におけるG(グループ)に関
しては、G(グループ)が2価(グループ)の場合、G
(グループ)は、M及びTの双方と結合するのが好まし
い。本発明で使用される(B−1)要素(活性化剤)の
さらに好ましい例は、以下の一般式(9)で表される。 [L−H]+[BQ3Q’]- (9) 但し、式中[L−H]+はプロトン付与性のブレンステ
ッド酸であり、Lは炭素、窒素、リン又はイオウを含む
中性ルイス塩基である。
【0083】また、式中[BQ3Q']-は相溶性の非配
位性アニオンであり、Qはそれぞれ独立に、炭素数6〜
20のアリル基であって、それは置換されていない、若
しくは、任意に1つ以上の炭素数6〜20の炭化水素基
又はハロゲンで置換されていてもよい。Q'は置換基と
してOH基を1つ有する炭素数6乃至20の置換アリー
ル基である。
【0084】上記化学式(9)において、Lが下式で表
される化合物が好ましい。MRnここで、Mは窒素、炭
素、リン又はイオウを意味する。Rはそれぞれ独立に、
水素、炭素数1〜30の直鎖状、分岐状若しくは環状の
アルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基又は炭素数
6〜20のアリル基を示す。但し、2つのR基が任意に
結合してMと共に環を形成してもよい。
【0085】又、nが2の場合、Mは炭素又はイオウを
表し、nが3の場合、Mは窒素又はリンを表す。また、
本発明で使用されるプロトン付与性のブレンステッド酸
の具体例としては、例えば、トリエチルアンモニウム、
トリプロピルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモ
ニウム、トリメチルアンモニウム、トリブチルアンモニ
ウム及びトリ(n−オクチル)アンモニウム、ジエチル
メチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウム、ジ
ブチルエチルアンモニウム、ジヘキシルメチルアンモニ
ウム、ジオクチルメチルアンモニウム、ジデシルメチル
アンモニウム、ジドデシルメチルアンモニウム、ジテト
ラデシルメチルアンモニウム、ジヘキサデシルメチルア
ンモニウム、ジオクタデシルメチルアンモニウム、ジイ
コシルメチルアンモニウム、ビス(水素化タロウアルキ
ル)メチルアンモニウム等のようなトリアルキル基置換
型アンモニウムカチオンが挙げられ、また、N,N−ジ
メチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、
N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウム、N,
N−ジメチルベンジルアニリニウム等のようなN,N−
ジアルキルアニリニウムカチオンも好適である。さら
に、ジ−(i−プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキ
シルアンモニウム等のようなジアルキルアンモニウムカ
チオンも好適であり、トリフェニルフォスフォニウム、
トリ(メチルフェニル)フォスフォニウム、トリ(ジメ
チルフェニル)フォスフォニウム等のようなトリアリー
ルフォスフォニウムカチオン、或いはジメチルスルフォ
ニウム、ジエチルスルフォニウムまたはジフェニルスル
フォニウム等も好適である。
【0086】本発明の相溶性の非配位性アニオンの具体
例としては、例えば、トリフェニル(ヒドロキシフェニ
ル)ボレート、ジフェニル−ジ(ヒドロキシフェニル)
ボレート、トリフェニル(2,4−ジヒドロキシフェニ
ル)ボレート、トリ(p−トリル)(ヒドロキシフェニ
ル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒ
ドロキシフェニル)ボレート、トリス(2,4−ジメチ
ルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス
(3,5−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)
ボレート、トリス(3,5−ジ−トリフルオリメチルフ
ェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペ
ンタフルオロフェニル)(2−ヒドロキシエチル)ボレ
ート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロ
キシブチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニ
ル)(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)ボレート、ト
リス(ペンタフルオロフェニル)(4−(4´−ヒドロ
キシフェニル)フェニル)ボレート、トリス(ペンタフ
ルオロフェニル)(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ボ
レート等が挙げられ、最も好ましくはトリス(ペンタフ
ルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレートが挙
げられる。
【0087】本発明で使用できる他の好ましい相溶性の
非配位性アニオンの例としては、上記例示のボレートの
ヒドロキシ基がNHR基で置き換えられたボレートが挙
げられる。ここで、Rは好ましくは、メチル基、エチル
基またはtert−ブチル基である。本発明において、
(B−1)要素は、モル比で(A)要素の0.5〜10
倍使用されるのが好ましく、更に好ましくは、0.8〜
5倍、特に好ましくは1〜2倍である。
【0088】また本発明において、次の式(1)で表さ
れるユニットを有する有機金属化合物(B−2)(以
下、要素(B−2)と称することがある)が好ましい。 MRnXm-n (1) ただし、Mは周期律表第1族乃至第15族から選ばれる
要素であり、Rは各々独立に炭素数1乃至12の直鎖
状、分岐状若しくは環状のアルキル基又は炭素数6乃至
20のアリル基ある。 Xは各々独立にハロゲン、水
素、炭素数1乃至10のアルコキシ基ある。mはMの形
式酸化数を示し、nは1〜mの価数を示す。mの定義は
上述の通りである。
【0089】本発明で使用される任意要素(B−2)に
関して、式(1)において、Mが周期律表第2族、又は
第13族乃至第15族から選ばれた要素であって且つ、
R、X、m及びnが上記式(1)で定義されている通り
の場合がより好ましい。要素(B−2)は、式(1)で
表される化合物の複数タイプの混合物でもよい。本発明
の要素(B−2)の最も好ましい例として、下式(1
0)で表される有機アルミニウム化合物とは、例えば次
式で表される化合物である。
【0090】AlRnX3-nRはそれぞれ独立であっ
て、炭素数1乃至12までの直鎖状、分岐状若しくは環
状のアルキル基又は炭素数6乃至20のアリール基あ
り、Xはそれぞれ独立であってハロゲン、水素または炭
素数1乃至10アルコキシル基であり、nは1乃至3の
整数である。要素(B−2)の好ましい形態を示す上記
一般式(10)において、Rとしては、メチル基、エチ
ル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、
フェニル基、トリル基等が挙げられ、またXとしては、
メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、クロル等が挙げ
られる。
【0091】本発明の要素(B−2)の具体例として、
例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウ
ム、トリオオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニ
ウム等のトリアルキルアルミニウム、或いはこれらのト
リアルキルアルミニウムとメチルアルコール、エチルア
ルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘ
キシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコ
ール等のアルコール類との反応生成物、例えばジメチル
メトキシアルミニウム、ジエチルエトキシアルミニウ
ム、ジブチルブトキシアルミニウム等が挙げられる。こ
のような反応生成物において、トリアルキルアルミニウ
ムとアルコールの好ましい混合比は、Al/OH比にお
いて、0.3〜20の範囲であり、より好ましくは0.
5〜5の範囲であり、更に好ましくは0.8〜3の範囲
である。トリアルキルアルミニウムとアルコールの混合
モル比1で得られる典型的な反応生成物の例は、ジメチ
ルメトキシアルミニウム、ジエチルエトキシアルミニウ
ム、ジブチルブトキシアルミニウム等が挙げられる。本
発明において、要素(B−2)の好ましい例としては、
トリメチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム等が
挙げられる。
【0092】本発明において、要素(B−2)のモル数
は、要素(B−1)のモル数の0.05〜20倍が好ま
しく、更に好ましくは0.07〜2倍、特に好ましくは
0.1〜1倍、最も好ましくは0.2〜0.8倍であ
る。本発明において、要素(B)[(B)は(B−1)
と(B−2)とを相互に混合・接触させることによって
得られる]は、確実に要素(C)に担持(carry out)さ
れることができる。要素(B)を要素(C)により確実
に担持させるためには、要素(B)は、単なる要素(B
−1)と要素(B−2)の混合物であることよりも、
(B−1)と要素(B−2)との相互の反応によって得
られた反応混合物であることが望まれる。特に、要素
(B−1)が上記式(8)によって表される化合物であ
る場合、要素(B−1)1〜3のT−H基(式(9)の
水酸化基のような)を有し、それ故に要素(B−2)の
好ましい例である有機アルミニウム化合物(例えばトリ
アルキルアルミニウム)と反応することができ、これに
よって、要素(B−1)の一部又は全部が要素(B−
2)が反応した反応混合物が生成される。要素(B−
2)と反応する要素(B−1)の比率は、要素(B−
1)と要素(B−2)の混合割合を変えることで容易に
制御できる。例えば、要素(B−1)が1つのT−H基
(水酸化基のような)を有する場合、要素(B−1)と
要素(B−2)は相互に、要素(B−2)の反応性の有
機基の数に応じて、1又はそれ以上の[(B−1)/
(B−2)]モル比で反応しうる。要素(B−1)のモ
ル数が、要素(B−2)の全ての反応性の有機基が要素
(B−1)との反応によって消費されるような臨界値又
はそれ以下の場合、全ての要素(B−1)は要素(B−
2)と反応する。また、要素(B−1)のモル数が、要
素(B−2)の全ての反応性の有機基が要素(B−1)
との反応によって消費されるような臨界値より大きい場
合、一部の要素(B−1)は要素(B−2)と反応せず
に残存する。要素(B)が、一部又は全部の要素(B−
2)が要素(B−1)と反応して得られた反応混合物で
ある場合、要素(B)は非常に確実に要素(C)に担持
されることができる。
【0093】本発明の方法で使用される触媒の製造にお
いて、要素(B)は確実に要素(C)に担持され、それ
から、要素(A)は、要素(B)を介して要素(C)に担
持させるこのができる。また、先ず始めに要素(A)を
要素(B)と結合させて、要素(A)と要素(B)との
錯体を形成させて、そして、該錯体を要素(C)に結合
させ、これによって、要素(A)を要素(B)を介して
要素(C)に確実に担持させることもできる。
【0094】本発明において、任意要素(C)(即ち、
好ましくは実質的に水酸基を有していない固体要素)は
共に触媒活性種を形成する(A)及び(B)を担持する
ために使用される。実質的に水酸基を有していない要素
(C)は、固体(以下、「要素(C)の前駆体」ともい
う)を要素(C)の前駆体の表面から水酸基を除去する
ために、下記記載の処理がなされる。
【0095】要素(C)の前駆体の具体例としては、例
えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはスチレンジ
ビニルベンゼンのコポリマー等の多孔質高分子材料、或
いは例えばシリカ、アルミナ、マグネシア、塩化マグネ
シウム、ジルコニア、チタニア、酸化硼素、酸化カルシ
ウム、酸化亜鉛、酸化バリウム、五酸化バナジウム、酸
化クロム及び酸化トリウム等のような周期律表第2、
3、4、13及び14族元素の無機固体酸化材料、及び
それらの混合物、並びにそれらの複酸化物から選ばれる
少なくとも1種の無機固体材料が挙げられる。シリカの
複酸化物としては、例えばシリカマグネシア、シリカア
ルミナ等のようなシリカと周期律表第2族または第13
族元素との複酸化物が挙げられる。要素(C)の前駆体
の好ましい具体例としては、シリカ、アルミニウム、又
はシリカと周期律表第2若しくは13族元素の複酸化物
が挙げられる。これらの無機固体酸化物の中で、シリカ
が特に好ましい。要素(C)の前駆体として使用される
シリカ製品のモロホロジーに関しては特に制限がなく、
シリカは粒状、球状、塊状又は煙霧状等であっても良
い。要素(C)の前駆体として使用しうる好ましい工業
製品としては、SD3216.30、SP−9−100
46、Davision SyloidTM 245、
Davision 948、Davision 952
(Grace Davision(以上すべて a d
ivision of W.R.Grace & C
o., USA製)、Aerosil 812(Deg
gusa AG(独国)製)、ES70X(Cross
field(米国)製)、P−6,又はP−10(共に
Fuji Siliysia(日本)製)が挙げられ
る。
【0096】本発明で使用される要素(C)比表面積
は、Brunauer−Emmett−Teller
(B.E.T)法の使用による窒素ポロシメーターの定
義で10〜1000m2/gが好ましく、より好ましくは
100〜600m2/gである。このような高比表面積を
有する要素(C)の代表例は、多数の孔を有する多孔質
材料である。本発明において、多孔性は一般に窒素ポロ
シメーターの定義で5cm3/g又はそれ以下であり、好ま
しくは0.1〜3cm3/g、より好ましくは0.2〜2cm
3/gである。
【0097】本発明に使用される要素(C)の粒子径は
特に制限はないが、一般には0.5〜500μmであ
り、好ましくは1〜200μm、より好ましくは5〜1
00μmである。本発明において、実質的に水酸基を有
していない要素(C)は、要素(C)の前駆体を要素
(C)の前駆体の表面から水酸基を除去する化学処理を
することによってえることができる。
【0098】更に、本発明において、水分(結晶水(c
rystal water)や吸収された水分のよう
な)を除去するために、要素(C)の前駆体を熱処理す
ることが好ましい。前駆体を熱処理は、例えば、150
〜1000℃、好ましくは250〜800℃で、不活性
雰囲気下又は減圧下、1〜50時間行うことができる。
本発明において、脱水のための熱処理の後に、要素
(C)の前駆体は更に、要素(C)を得るために要素
(C)の前駆体の表面から水酸基を除去するような化学
処理をされるのが好ましい。
【0099】要素(C)の前駆体の表面から水酸基を除
去するような化学処理に関しては、要素(C)の前駆体
が有機金属化合物と接触する化学処理が推奨される。化
学処理のために使用される有機金属化合物の例として
は、周期律表第2〜第13族の元素の化合物が挙げられ
る。これらの化合物の中で、有機アルミニウム化合物又
は有機マグネシウム化合物が特に好ましい。要素(C)
の前駆体の化学処理に使用される有機アルミニウム化合
物の好ましい例は下記式(10)で表される。
【0100】AlRn3-n (10) Rはそれぞれ独立であって、炭素数1乃至12までの直
鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又は炭素数6乃
至20のアリール基あり、Xはそれぞれ独立であってハ
ロゲン、水素または炭素数1乃至10アルコキシル基で
あり、nは1乃至3の整数である。本発明の上記一般式
(10)で表される有機アルミニウム化合物は、単独で
あっても混合物であっても構わない。
【0101】式(10)(要素(C)の前駆体の化学処
理に使用される有機アルミニウム化合物の好ましい態様
としての式(10))のRとしては、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、
デシル基、フェニル基、トリル基等が挙げられ、またX
としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、水
素、クロル等が挙げられる。
【0102】前駆体の化学処理に使用される有機アルミ
ニウム化合物の具体例としては、例えばトリメチルアル
ミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミ
ニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオオクチルア
ルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキル
アルミニウム、或いはこれらのトリアルキルアルミニウ
ムとメチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアル
コール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オ
クチルアルコール、デシルアルコール等のアルコール類
との反応生成物、例えばジメチルメトキシアルミニウ
ム、ジエチルエトキシアルミニウム、ジブチルブトキシ
アルミニウム等が挙げられる。このような反応生成物に
おいて、トリアルキルアルミニウムとアルコールの好ま
しい混合比は、Al/OHモル比において、0.3〜2
0の範囲であり、より好ましくは0.5〜5の範囲であ
り、更に好ましくは0.8〜3の範囲である。
【0103】要素(C)の前駆体の化学処理に使用され
る有機マグネシウム化合物の好ましい例は下記式(1
1)で表される。 MgRn2-n (11) Rはそれぞれ独立であって、炭素数1乃至12までの直
鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又は炭素数6乃
至20のアリール基あり、Xはそれぞれ独立であってハ
ロゲン、水素または炭素数1乃至10アルコキシル基で
あり、nは1又は2である。
【0104】上記一般式(11)で表される有機マグネ
シウム化合物は、単独であっても混合物であっても構わ
ない。式(11)(要素(C)の前駆体の化学処理に使
用される有機マグネシウム化合物の好ましい態様として
の式(11))のRとしては、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、フェニル基、トリル基等が挙げられ、またXとして
は、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、水素、クロ
ル等が挙げられる。
【0105】前駆体の化学処理に使用される有機マグネ
シウム化合物の具体例としては、ジエチルマグネシウ
ム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウ
ム、ブチルオクチルマグネシウム等が挙げられる。要素
(C)の前駆体の化学処理において、上述の有機アルミ
ニウム化合物と有機マグネシウム化合物とはこれらの混
合物の形態で使用することもできる。また本発明では、
上記二つの触媒成分の他に、必要に応じて有機アルミニ
ウム化合物(D)(以下、任意要素(D)と称すること
がある)を触媒成分として用いることができる。
【0106】本発明の方法で触媒成分として使用される
任意要素(D)の使用において、要素(A)及び(B)
からなる触媒活性種は物理的吸着によって、より確実に
要素(C)に担持されることができる。要素(B)が未
反応の要素(B−1)を含む場合、任意要素(D)の使
用が特に好ましい。このような場合、任意要素(D)を
使用することによって、触媒活性種が化学結合によって
要素(C)と結合するのを確実に防ぐことができる。
【0107】任意要素(D)の好ましい例は下記式(1
0)で表される。 AlRn3-n (10) Rはそれぞれ独立であって、炭素数1乃至12までの直
鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基又は炭素数6乃
至20のアリール基あり、Xはそれぞれ独立であってハ
ロゲン、水素または炭素数1乃至10アルコキシル基で
あり、nは1乃至3の整数である。
【0108】任意要素(D)は、上記一般式(10)で
表される複数の化合物の混合物であっても構わない。要
素(D)の好ましい態様を示す式(10))のRの例と
しては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、水
素、トリル基等が挙げられ、またXとしては、メトキシ
基、エトキシ基、ブトキシ基、水素、クロル等が挙げら
れる。
【0109】要素(D)の具体例としては、例えばトリ
メチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブ
チルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオ
オクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のト
リアルキルアルミニウム、或いはこれらのトリアルキル
アルミニウムとメチルアルコール、エチルアルコール、
ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアル
コール、オクチルアルコール、デシルアルコール等のア
ルコール類との反応生成物、例えばジメチルメトキシア
ルミニウム、ジエチルエトキシアルミニウム、ジブチル
ブトキシアルミニウム等が挙げられる。このような反応
生成物において、トリアルキルアルミニウムとアルコー
ルの好ましい混合比は、Al/OHモル比において、
0.3〜20の範囲であり、より好ましくは0.5〜5
の範囲であり、更に好ましくは0.8〜3の範囲であ
る。
【0110】本発明において、任意要素(D)を使用す
る場合、任意要素(D)のモル数は、要素(B−1)の
モル数の0.01〜1000倍が好ましく、更に好まし
くは0.1〜100倍、特に好ましくは1〜10倍であ
る。本発明の方法で使用される触媒の製造方法に関し、
当該触媒は、要素(A)(B−1)、任意要素(B−
2)(C)(D)を接触させることによって得ることが
できる。
【0111】本発明の方法で使用される触媒の具体的な
製造方法に関し、特に制限はない。当該触媒の具体的な
製造方法の具体例としては、 (a)以下の工程からなる製造方法: (i)要素(B−1)と要素(B−2)を互いに均質に
混合・接触させ、要素(B)を生成する工程 (ii)要素(A)と要素(B)を互いに均質に混合・
接触させ、要素(A)と(B)との混合物をえる工程、
そして (iii)得られた要素(A)と要素(B)との混合物
と要素(C)を互いに均質に混合・接触させる工程、こ
こで、要素(D)は、工程(i)の後であれば、何時添
加しても良い。
【0112】又は、 (b)以下の工程からなる製造方法: (i)要素(B−1)と要素(B−2)を互いに均質に
混合・接触させ、要素(B)を生成する工程 (ii)要素(B)と要素(C)を互いに均質に混合・
接触させ、要素(B)と(C)との混合物をえる工程、
そして (iii)要素(A)と得られた要素(B)と要素
(C)の混合物を互いに均質に混合・接触させる工程、 ここで、要素(D)は、工程(i)の後であれば、何時
添加しても良い。等が挙げられる。
【0113】本発明で水素の代わりに用いられる、触媒
と予め接触させるルイス酸は、例えば一酸化炭素、二酸
化炭素、酸素、窒素酸化物、水、アルデヒド、ケトン、
カルボン酸、アミン、アミド、ニトリル等が挙げられ
る。なお、本発明では、メタロセン触媒の上述の要素に
加えて、オレフィン重合に有用な他の要素が当該触媒に
含まれていても良い。当該触媒の他の要素の例として
は、エチルベンゾエートのような芳香族エステル化合物
が挙げられる。以下、実施例に基づき、本発明をさらに
具体的に説明する。
【0114】
【発明の実施の形態】以下、実施例により詳細に説明す
る。但し、当該実施例によって、本発明が制限されるわ
けではない。
【0115】
【実施例1】次のようにエチレンを1−ブテンと連続ス
ラリー重合によって共重合した。触媒移送パイプ、モノ
マー混合物フィードパイプ、及び、スラリー抜き取りパ
イプを有する、200リットルの撹拌器付きベッセル型
重合反応器を用いる。重合反応器の側壁の接続された触
媒移送パイプは、水素を触媒移送パイプにフィードする
ための枝管を有している。触媒として、[(N−t−ブ
チルアミド)(テトラメチル−η5―シクロペンタジエ
ン)ジメチルシラン]チタニウム1,3―ペンタジエ
ン、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウ
ム、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキ
シフェニル)ボレード及びメチルアルモキサンの混合物
からなる触媒活性種を有するメタロセン系触媒をトリエ
チルアルミニウムで処理されたシリカに担持したものを
用いた。
【0116】エチレン及び1−ブテンのモノマー混合
物、ヘキサン(重合反応溶媒)、水素(純度99.99
モル%以上)、及び上記メタロセン系触媒を連続的にた
ベッセル型重合反応器に供給し、所望のポリエチレン
(即ち、エチレン・1−ブテンコポリマー)を10kg
/Hrの速度で連続製造した。より詳細には、次のよう
に重合反応を行った。当該メタロセン触媒と水素ガスを
互いに混合して、当該混合物は触媒移送パイプを通して
重合反応器に導入される。即ち、ヘキサン(重合反応溶
媒)は触媒移送媒体としても使用された。ヘキサンの供
給量は、60L/hrに保たれた。
【0117】水素は、流量18NL/hr(NLは常温
常圧(0℃、1気圧)におけるL(リットル)を意味す
る)で、触媒移送パイプの側壁に接続された水素供給枝
管に供給される。この水素の流量は、プロダクトのMI
(メルトインデクッス)で定義される目標の分子量を有
するエチレン・1−ブテンコポリマーを得るためにに必
要な量に一致する。水素供給枝管に供給された水素は、
メタロセン触媒とヘキサンとの混合物が重合反応器に移
送される触媒移送パイプに流れ込んだ。従って、触媒
は、該触媒が重合反応器に移送される間、水素と接触し
た。
【0118】エチレンと1−ブテンコポリマーとの混合
物は、モノマー混合物供給パイプを通して供給される。
共重合中、反応温度は、70℃、反応圧力は10kg/
cm2−Gに保たれた。1ーブテン流量は、重合反応器
内の気相中の1−ブテンは、エチレン及び1ーブテンの
全体とのモル比が0.1%の組成に維持されるように調
節した。尚、気相中のエチレンの濃度及び1ーブテンの
濃度はオンラインガスクロマトグラフにより測定した。
重合スラリー(液相)は、重合反応器のレベルが一定に
保たれるように連続的に抜き取られ、抜き取られたスラ
リーは、連続的に次の乾燥工程へ送られた。
【0119】スラリー抜き取り配管も閉塞することな
く、安定して連続運転ができた。連続共重合終了後、重
合反応器内を点検したが、塊状のポリマーの存在はなか
った。反応状態、共重合の結果を表1に示した。
【0120】
【比較例1】実施例1で、水素を触媒移送パイプの側壁
に接続された水素供給枝管に供給する代わりに、水素全
量18NL/Hrの水素をを重合反応器の気相部へ直接
供給する他は全て実施例1と実質的に同様に操作した。
即ち、触媒は、重合反応器に導入される前に、水素と接
触されていなかった。重合開始開始後、スラリー抜き取
り配管が閉塞し、重合反応器内のスラリー量がコントロ
ール不能となりS/D(シャットダウン)した。また、
反応終了後、重合反応器から乾燥工程へのスラリー抜き
取り配管を調べてみると、配管内壁に大量の塊状のポリ
マーの付着が存在した。反応状態、共重合の結果を表1
に示した。
【0121】
【実施例2】実施例1と同じメタロセン系触媒とベッセ
ル型重合反応器を使用して、連続的スラリー重合でエチ
レン、1−ブテンの共重合を以下のように行った。エチ
レン及び1−ブテンのモノマー混合物、ヘキサン(重合
反応溶媒)、水素(純度99.99モル%以上)、及び
上記メタロセン系触媒を連続的にたベッセル型重合反応
器に供給し、所望のポリエチレン(即ち、エチレン・1
−ブテンコポリマー)を10kg/Hrの速度で連続製
造した。
【0122】より詳細には、次のように重合反応を行っ
た。当該メタロセン触媒と水素ガスを互いに混合して、
当該混合物は触媒移送パイプを通して重合反応器に導入
された。即ち、ヘキサン(重合反応溶媒)は触媒移送媒
体としても使用された。ヘキサンの供給量は、60L/
hrに保たれた。水素は、流量20NL/hrで、触媒
移送パイプの側壁に接続された水素供給枝管に供給され
た。この水素の流量は、プロダクトのメルトインデクッ
スで定義される目標の分子量を有するエチレン・1−ブ
テンコポリマーを得るために必要な量に一致する。水素
供給枝管に供給された水素は、メタロセン触媒とヘキサ
ンとの混合物が重合反応器に移送される触媒移送パイプ
に流れ込んだ。従って、触媒は、該触媒が重合反応器に
移送される間、水素と接触した。
【0123】エチレンと1−ブテンコポリマーとの混合
物は、モノマー混合物供給パイプを通して供給された。
共重合中、反応温度は、70℃、反応圧力は10kg/
cm2−Gに保たれた。1ーブテン流量は、重合反応器
内の気相中の1−ブテンは、エチレン及び1ーブテンの
全体とのモル比が0.3%の組成に維持されるように調
節した。尚、気相中のエチレンの濃度及び1ーブテンの
濃度はオンラインガスクロマトグラフにより測定した。
重合スラリー(液相)は、重合反応器のレベルが一定に
保たれるようにスラリー抜き取りパイプを通して連続的
に抜き取られ、抜き取られたスラリーは、連続的に次の
乾燥工程へ送られた。
【0124】スラリー抜き取り配管も閉塞することな
く、安定して連続運転ができた。連続共重合終了後、重
合反応器内を点検したが、塊状のポリマーの存在はなか
った。反応状態、共重合の結果を表1に示した。
【0125】
【比較例2】実施例2で、水素を触媒移送パイプの側壁
に接続された水素供給枝管に供給する代わりに、水素全
量20NL/Hrの水素をを重合反応器の気相部へ直接
供給する他は全て実施例2と実質的に同様に操作した。
即ち、触媒は、重合反応器に導入される前に、水素と接
触されていなかった。重合開始開始後、スラリー抜き取
り配管が閉塞し、重合反応器内のスラリー量がコントロ
ール不能となりS/D(シャットダウン)した。また、
反応終了後、重合反応器から乾燥工程へのスラリー抜き
取り配管を調べてみると、配管内壁に大量の塊状のポリ
マーの付着が存在した。反応状態、共重合の結果を表1
に示した。
【0126】
【実施例3】実施例2で水素供給枝管(触媒移送パイプ
の側壁の結合されている)への水素供給量を10NL/
Hrに変更し、また、MIを調整するのに必要な残る9
NL/Hrの水素を重合反応器の気相部へ直接供給する
他は全て実施例2と実質的に同様に共重合を行った。全
水素量(19NL/hr)は、プロダクトのメルトイン
デクッスで定義される目標の分子量を有するエチレン・
1−ブテンコポリマーを得るために必要な量に一致す
る。
【0127】重合スラリー(液相)は、重合反応器のレ
ベルが一定に保たれるようにスラリー抜き取りパイプを
通して連続的に抜き取られ、抜き取られたスラリーは、
連続的に次の乾燥工程へ送られた。スラリー抜き取り配
管も閉塞することなく、安定して連続運転ができた。連
続共重合終了後、重合反応器内を点検したが、塊状のポ
リマーの存在はなかった。反応状態、共重合の結果を表
1に示した。
【0128】
【実施例4】実施例1で水素供給枝管(触媒移送パイプ
の側壁の結合されている)への水素供給量を4NL/H
rに変更し、また、MIを調整するのに必要な残る10
NL/Hrの水素を重合反応器の気相部へ直接供給する
他は全て実施例1と実質的に同様に共重合を行った。全
水素量(14NL/hr)は、プロダクトのメルトイン
デクッスで定義される目標の分子量を有するエチレン・
1−ブテンコポリマーを得るために必要な量に一致す
る。
【0129】重合スラリー(液相)は、重合反応器のレ
ベルが一定に保たれるようにスラリー抜き取りパイプを
通して連続的に抜き取られ、抜き取られたスラリーは、
連続的に次の乾燥工程へ送られた。スラリー抜き取り配
管も閉塞することなく、安定して連続運転ができた。連
続共重合終了後、重合反応器内を点検したが、塊状のポ
リマーの存在はなかった。反応状態、共重合の結果を表
1に示した。
【0130】
【実施例5】実施例1で水素供給枝管(触媒移送パイプ
の側壁の結合されている)への水素供給量を1.5NL
/Hrに変更し、また、MIを調整するのに必要な残る
13NL/Hrの水素を重合反応器の気相部へ直接供給
する他は全て実施例1と実質的に同様に共重合を行っ
た。全水素量(14.5NL/hr)は、プロダクトの
メルトインデクッスで定義される目標の分子量を有する
エチレン・1−ブテンコポリマーを得るために必要な量
に一致する。
【0131】重合スラリー(液相)は、重合反応器のレ
ベルが一定に保たれるようにスラリー抜き取りパイプを
通して連続的に抜き取られ、抜き取られたスラリーは、
連続的に次の乾燥工程へ送られた。スラリー抜き取り配
管も閉塞することなく、安定して連続運転ができた。連
続共重合終了後、重合反応器内を点検したが、塊状のポ
リマーの存在はなかった。反応状態、共重合の結果を表
1に示した。
【0132】
【表1】
【0133】
【発明の効果】本発明は、メタロセン系触媒の存在下の
連続的スラリー重合方法及び連続的気相重合方法による
オレフィンの重合・共重合を、塊状のポリマーを生成す
ることなく安定して行える点で有用である。即ち、本願
発明の方法によって、重合反応器からのポリマーの抜き
取り配管が閉塞、ポリマーの抜き取りが不能となること
が防止され、商業規模のプラントの連続運転によって、
オレフィンの重合体又は共重合体が、安定に効率的に製
造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明請求項3に係る触媒供給方法を用いる重
合反応器の一態様を示す。
【図2】本発明請求項4に係る触媒供給方法を用いる重
合反応器の一態様を示す。
【図3】本発明請求項10で使用される二重パイプの一
態様を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 4/643 C08F 4/643 // C08F 10/00 10/00 Fターム(参考) 4J011 BA01 BA06 BB02 BB04 BB09 BB10 DA04 DA06 DB27 HA03 HB06 HB10 HB11 HB12 HB14 HB22 MA02 MA03 MA19 MB00 4J028 AA01A AB00A AB01A AC01A AC20A AC27A BA00A BA01A BA01B BA02B BA03B BB00A BB01A BB01B BB02B BC06A BC12B BC15A BC15B BC24A BC24B CA16A CA16B CA24A CA24B CA25A CA25B CA26A CA26B CA27A CA27B CA28A CA28B CA29A CA29B CB09A CB09B DB10A DB10B DB10C EA01 EB01 EB03 EB04 EB05 EB09 EB10 EB18 EB21 EB22 EB23 EB25 EB26 EB27 EC01 EC02 FA02 FA04

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタロセン系触媒を用いた連続式スラリ
    ー重合法または連続式気相重合法によってオレフィンま
    たはオレフィン及び該オレフィンと共重合可能な単量体
    を重合するオレフィン重合体又はオレフィン共重合体の
    製造方法であって、該触媒を水素と接触させる水素処理
    をすることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 メタロセン系触媒を用いた連続式スラリ
    ー重合法または連続式気相重合法によってオレフィンま
    たはオレフィン及び該オレフィンと共重合可能な単量体
    を重合するオレフィン重合体又はオレフィン共重合体の
    製造方法であって、該触媒が、 (A)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属を
    含有する遷移金属化合物 (B)(B−1)カチオン及び、遷移金属(A)と反応
    して触媒活性を発現する錯体を生成可能な相溶性の非配
    位性アニオンからなる活性化化合物必要に応じて、 (B−2)有機金属からなる混合物 (C)固体成分 (D)有機アルミニウム からなり、 (1)重合反応器に、(2)連続的に該オレフィン又は
    連続的に該オレフィン及び該単量体を該重合反応器に供
    給しながら、該触媒を該重合反応器に移送し、導入し
    て、該オレフィンの重合又は共重合を行い、ここで、該
    触媒が重合反応器中のオレフィンを重合又はオレフィン
    及び該オレフィンと共重合可能な単量体を共重合する前
    に、又は同時に、該触媒を水素と接触させる水素処理を
    することを特徴とする請求項1記載のオレフィン重合体
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2において、該触
    媒を重合反応器へ導入する前に、触媒を水素と接触させ
    る水素処理をすることを特徴とするオレフィン重合体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2において、該触
    媒を重合反応器へ導入しながら、触媒を水素と接触させ
    る水素処理をすることを特徴とするオレフィン重合体の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項2において、該触
    媒の水素処理における触媒と接触させる水素の量が、該
    触媒に含まれる遷移金属化合物(A)の0.5倍モル以
    上且つ50000倍モル以下であることを特徴とするオ
    レフィン重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項3において、重合反応器に触媒移
    送パイプが繋がれており、工程(2)で、該触媒は該触
    媒移送パイプ中を流れる触媒移送媒体と共に移送され、
    且つ、該触媒の水素処理は、該触媒移送パイプ中を通し
    て該触媒を移送する間に水素を触媒移送媒体に供給して
    触媒を水素に接触させることによってなされるオレフィ
    ン重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6において、触媒移送パイプがそ
    の側壁に繋がれた水素を触媒移送パイプに供給するため
    の導管を有し、且つ、水素ガスの触媒移送媒体への供給
    が、水素ガスを当該導管を通して触媒移送パイプに供給
    されることによってなされるオレフィン重合体の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項7において、水素を触媒移送パイ
    プに供給するための導管が該触媒移送パイプと該重合反
    応器の内部で結合しているオレフィン重合体の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項4において、触媒移送パイプが重
    合反応器が繋がれており、該触媒を重合反応器へ導入し
    ながら、触媒近傍に水素を導入して、触媒を水素と接触
    させる水素処理をすることを特徴とするオレフィン重合
    体の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9において、該触媒及び水素ガ
    スを内管ノズル及び外管ノズルを有する多重管を通して
    重合反応器へ導入し、該触媒の水素処理が多重管の内管
    ノズルから該触媒を重合反応器へ供給し、水素を多重管
    の外管ノズルから供給することによりことによってなさ
    れるオレフィン重合体の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項9において、重合反応器内部の
    触媒移送パイプの先端近傍に、水素を供給するためのノ
    ズルを設け、当該ノズルを通して水素を供給することに
    より水素の導入を行うオレフィン重合体の製造方法。
  12. 【請求項12】 水素の純度が99.99モル%以上で
    あることを特徴とする請求項1乃至請求項4のオレフィ
    ン重合体の製造方法。
  13. 【請求項13】 オレフィンがエチレン、炭素数3〜2
    0のα−オレフィンの中から選ばれるオレフィンである
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のオレフィン重
    合体の製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004018531A1 (en) * 2002-08-20 2004-03-04 Bp Chemicals Limited Supported polymerisation catalysts
WO2004020488A1 (en) * 2002-08-29 2004-03-11 Bp Chemicals Limited Olefin polymerisation process
JP2006509868A (ja) * 2002-12-17 2006-03-23 イノビーン ヨーロッパ リミテッド 担持オレフィン重合触媒
JP2008542515A (ja) * 2005-06-09 2008-11-27 イネオス ユーロープ リミテッド 担持型重合触媒
JP2008542516A (ja) * 2005-06-09 2008-11-27 イネオス ユーロープ リミテッド 担持型重合触媒

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