JP4233715B2 - オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタロセン系触媒の存在下におけるオレフィンの連続式スラリー重合方法または連続式気相重合法に関する。さらに詳しくはメタロセン系触媒を用いるオレフィンの連続式スラリー重合法または連続式気相重合法において塊状のポリマーの発生の無い重合方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、オレフィン重合用触媒として、チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなるチタン系触媒、あるいはバナジウム触媒と有機アルミニウム化合物とからなるバナジウム系触媒、さらにはクロム系触媒を用いて製造されてきたが、近年、新たにオレフィン重合用触媒として遷移金属のメタロセン化合物を用いるいわゆるメタロセン系触媒が提案されている。メタロセン系触媒を用いてオレフィン重合体を製造すると、高触媒活性で、分子量分布が狭く、かつ構成分子の組成分布が均一なオレフィン重合体を得ることができることが知られている。
【0003】
遷移金属を含む触媒系を用いてオレフィンを重合する代表的プロセスとしては、重合反応器内部でポリマーを融点以上で取り扱う溶液重合法とポリマー粒子が融点以下で液体溶媒中あるいは流動気体で取り扱われるいわゆる粒子形態型重合のスラリー重合法、気相重合法がある。
【0004】
溶液重合法は、ポリマーの分子量の上昇とともに溶液粘度が著しく上昇するので高分子量のポリマーの製造が困難である。従ってメタロセン触媒を用いて分子量分布が狭く、かつ構成分子の組成分布が均一な高分子量オレフィン重合体を製造するためには粒子形態型重合法を採用することが不可欠である。係る性質を有する高分子量オレフィン重合体は、剛性、耐衝撃性、ESCR特性等の機械的特性に優れており、具体的にはボトル容器、パイプ材料、フィルム材料等として極めて有望である。
【0005】
しかしながら、一般に初期の重合速度の速いメタロセン系触媒の場合、粒子形態型重合では触媒とオレフィンとが接触時に急激な重合反応を起こし、除熱が追いつかず、重合ポリマーに重合熱による局所的な発熱部位(ヒートスポット)が発生し、その結果粒子状のポリマーの一部が融点以上となり、ポリマー同士が融着して塊状のポリマーが生成するという問題点があった。連続系のプロセスの場合、このような塊状のポリマーが発生すると、重合反応器からのポリマーの抜き取り配管が閉塞し、ポリマーの抜き取りが不能となり、連続運転が阻害されてしまう。
【0006】
上記問題を解決するためメタロセン系触媒そのものの合成方法においても様々な技術開発がなされているが、本メタロセン触媒に対応した粒子形態型重合プロセスの出現も望まれていた。工業的に発展途上であるメタロセン系触媒の重合挙動は再現性に乏しく、合成毎に触媒活性や塊状のポリマーの発生しやすさが異なるのが現状である。従ってメタロセン触媒の触媒活性の不安定性や塊状のポリマーの発生のしやすさの変動にも対処し、連続的に商業規模でメタロセン系ポリマーを製造するという意味からも上記プロセスの出現には大きな期待が寄せられていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであり、メタロセン系触媒の存在下においても塊状のポリマーを生成することなく、また重合反応器からのポリマーの抜き取り配管が閉塞、ポリマーの抜き取りが不能となることがない、連続運転可能なオレフィンのスラリー重合方法及び気相重合方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、メタロセン触媒系を用いた連続式スラリー重合法または連続式気相重合法において、触媒を予め水素と接触させた後、該触媒を重合反応器へ導入するか、或いは重合反応器内部の触媒供給口近傍に水素を供給しながら該触媒を重合反応器へ導入することにより、驚くべきことに、塊状のポリマーの生成が防止でき、極めて高い連続運転性能が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、(1)メタロセン系触媒を用いて1種以上のオレフィンを重合する連続式スラリー重合法または連続式気相重合法において、触媒を予め水素と接触させた後、該触媒を重合反応器へ導入することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
【0010】
(2)該触媒と接触させる水素の量が、該触媒に含まれる遷移金属化合物の0.5倍モル以上且つ50000倍モル以下であることを特徴とする上記(1)に記載のオレフィン重合体の製造方法。
(3)該触媒と水素とを接触させる方法が、媒体を用いて触媒を重合反応器へ移送する際に、該媒体に水素を含有させることにより、触媒と水素を接触させる方法であることを特徴とするじょうき(1)あるいは(2)に記載のオレフィン重合体の製造方法。
【0011】
(4)該媒体に水素を含有させる方法が、重合反応器に該触媒を導入するために設けられた触媒移送ラインに、水素供給ラインを接続し、水素を該ラインに供給することにより該媒体に水素を含有させる方法であることを特徴とする上記(3)に記載のオレフィン重合体の製造方法。
(5)該媒体に水素を含有させる方法が、重合反応器に該触媒を導入するために設けられた重合反応器内部の触媒供給ノズルに、水素供給ラインを接続し、水素を該ラインに供給することにより該媒体に水素を含有させる方法であることを特徴とする上記(3)に記載のオレフィン重合体の製造方法。
【0012】
(6)メタロセン系触媒を用いて1種以上のオレフィンを重合する連続式スラリー重合法または連続式気相重合法において、重合反応器内部の触媒供給口近傍に水素を供給しながら、該触媒を重合反応器へ導入することを特徴とするするオレフィン重合体の製造方法。
(7)該触媒供給口近傍に供給される水素の量が、重合反応器に供給される該触媒に含まれる遷移金属化合物の0.5倍モル以上且つ50000倍モル以下であることを特徴とする上記(6)に記載のオレフィン重合体の製造方法。
【0013】
(8)多重管の内管ノズルから該触媒を重合反応器へ供給し、水素を多重管の外管ノズルから供給することにより、該触媒供給口近傍に水素を供給することを特徴とする上記(6)あるいは(7)に記載のオレフィン重合体の製造方法。
(9)重合反応器内部の該触媒供給口近傍に、水素を水素供給ノズルを通して供給することにより、該触媒供給口近傍に水素を供給することを特徴とする、上記(6)あるいは(7)に記載のオレフィン重合体の製造方法。
【0014】
(10)水素の純度が99.99モル%以上の水素であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
(11)オレフィンがエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンの中から選ばれるオレフィンであることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法である。
【0015】
尚、本発明において「重合」という語は単独重合のみならず共重合を包含した意味で用いられる。
本発明は、オレフィンがエチレン及びα−オレフィンの中から選ばれるオレフィンであることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法にも係わる。
触媒移送媒体中へ水素を含有させるあるいは触媒供給口近傍に水素を供給することにより、上述のような高い連続運転性能が得られるのは何故か未だ解明されいないが、例えば、
1)触媒と水素との事前接触あるいは重合初期段階での接触により初期活性が緩和される。
【0016】
2)触媒が重合反応器に供給される瞬間のオレフィン分圧を下げることにより初期の反応が抑制される。等の理由が考えられる。
(本発明の重合方法)
本発明においてオレフィンを重合する方法としては、連続式スラリー重合法または連続式気相重合法である。
本発明に於いては、最も好ましくは連続式スラリー重合法が用いられる。
【0017】
一般に連続式スラリー重合法においては、重合媒体中に、触媒、オレフィン、さらには分子量調整剤としての水素等を添加して重合を行う。この際、固体粒状ポリマーの懸濁液が形成される。このような連続式スラリー重合では、重合媒体と共に、触媒、オレフィン、水素等が連続で、あるいは断続的に供給されるとともに、固体粒状ポリマーの懸濁液は連続的にあるいは断続的に重合反応器から抜き取られ分離乾燥工程に移送される。
【0018】
連続スラリー重合法に於ける重合の際に用いられる媒体は、重合条件下で液体でなくてはならず、且つ触媒活性を低下させない等実質的に重合に影響を与えない不活性な液体でなくてはならない。
そのような重合の際に用いられる媒体としては、不活性炭化水素媒体を用いることができ、さらにはオレフィン自身を媒体として用いることもできる。
【0019】
かかる不活性炭化水素媒体としては、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;及びエチルクロライド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物等を挙げることができる。
【0020】
本発明に於いては、好ましくはヘキサン、ペンタンまたはイソブタンが好適である。
一方、連続式気相重合法においては、1種以上のオレフィンを含有するガス流れを反応条件下に触媒の存在下で流動床を通して連続的に循環させる。ガス流れは、流動床から取り出され、重合反応器から取り出し、新しい新鮮なオレフィンを添加し重合されたオレフィンと置き換える。
【0021】
連続式スラリー重合法及び連続気相重合法に於いて、通常、触媒は、媒体を用いて重合反応器へ移送される。
そのような触媒移送用の媒体としては、不活性炭化水素媒体が好適である。
【0022】
そのような不活性炭化水素媒体としては、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;及びエチルクロライド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素あるいはこれらの混合物等を挙げることが出来る。また、本発明に於いては、重合に用いるオレフィン自体を該媒体として用いることも可能である。
【0023】
このような触媒移送用の媒体は、連続スラリー重合法に於いては重合の際に用いられる媒体と同じであってもよく、また異なったものであっても良い。例えば、重合の際に用いられる媒体にヘキサンを用い、触媒移送用の媒体にトルエンを用いても良い。
本発明のオレフィンは、例えば、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンの中から選ばれる。炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1ーブテン、1ーヘキセン、4ーメチル−1−ペンテン、1−オクテン、1ーデセン等が挙げられる。
【0024】
これらは単独重合させてもよく、或いは異なる2つ以上のオレフィンを共重合させてもよい。
またオレフィンとともに必要に応じて他の重合性モノマーを共重合させてもよい。他の重合性モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニルモノマー、塩化ビニル、アクリロニトリル等の極性ビニル、ブタジエン、イソプレン等のジオレフィン、シクロヘキセン、ノルボルネン等の脂環式ジオレフィン、アセチレン等のアルキン、2−プロペナル等のアルデヒドモノマー等が挙げられる。
【0025】
本発明に於いて、重合は、好ましくはエチレンの単独重合あるいはエチレンと1種類以上の炭素数3〜20のα−オレフィンの共重合であり、さらに好ましくはエチレンの単独重合あるいはエチレンと1種類以上の炭素数3〜8のα−オレフィンの共重合である。
本発明における重合は、常圧〜50気圧及び40℃〜120℃好ましくは60℃〜120℃の温度を用いる。
【0026】
連続スラリー重合法に於ける重合反応器内部の重合の際に用いられる媒体中のポリマーの平均重量%即ちスラリー濃度は、60重量%以下、好ましくは40重量%以下である。
本発明に於いては、オレフィン重合用の触媒を、下記のようにして重合反応器へ導入する。
(1)触媒を予め水素と接触させ、該触媒を重合反応器へ導入する。
【0027】
(2)重合反応器内部の触媒供給口近傍に水素を供給しながら、該触媒を重合
反応器へ導入する。
上記(1)において触媒を重合反応器に導入する前に触媒と水素とを接触させる方法としては、例えば
1)触媒移送用の媒体に水素を含有させ、触媒を重合反応器に移送中に触媒と水素とを接触させる方法、
2)触媒を移送する前の段階、例えば触媒貯槽等に水素を導入し、触媒と水素とを接触させる方法、
等が挙げられる。
【0028】
触媒移送用の媒体に水素を含有させる方法としては、例えば、重合反応器に触媒を導入するために設けられた触媒移送ラインに、水素の供給ラインを接続し、水素を該ラインに供給することにより、該媒体に水素を含有させる方法、或いは重合反応器に触媒を導入するために設けられた重合反応器内部の触媒供給ノズルに、水素の供給ラインを接続し、水素を該ラインに供給することにより該媒体に水素を含有させる方法等が挙げられる。また、触媒を重合反応器へ移送する媒体に予め水素を含有させておき、触媒を該水素含有触媒移送用の媒体を用いて重合反応器へ移送する方法も挙げられる。
【0029】
水素と触媒とを予め接触させる場合、該接触時間は特に限定されるものではないが、好ましくは10分以内、より好ましくは5分以内、さらに好ましくは1分以内、さらにまた好ましくは30秒以内、最も好ましくは20秒以内である。
上記(2)において触媒供給口近傍に水素を供給する方法としては、多重管の内管ノズルから触媒を重合反応器へ供給し、水素を多重管の外管ノズルから供給する方法、或いは重合反応器内部の触媒供給口近傍に、水素を水素供給ノズルを通して供給する方法等が挙げられる。
【0030】
重合反応器内部の触媒供給口近傍に、水素を水素供給ノズルを通して供給する場合、水素供給ノズルの先端は、触媒供給ノズルの先端から、重合反応器の内径(D)の1/5以内に位置していることが好ましい。より好ましくは、内径の1/10以内であり、最も好ましくは内径の1/20以内である。
【0031】
本発明で、触媒と接触させる、或いは触媒供給口近傍に供給する水素の量は、該触媒に含まれる遷移金属化合物の0.5倍モル以上且つ50000倍モル以下である。水素の量が0.5倍モル未満であると、塊状のポリマーの抑制効果は発現しない。また、水素の量が50000倍モルよりも多ければ、触媒活性の低下を招く。本発明に於いて、触媒と接触させる水素の量は、好ましくは10倍モル以上且つ30000倍モル以下であり、より好ましくは100倍モル以上且つ10000倍モル以下である。
【0032】
本発明で、触媒と水素とを接触させる、或いは触媒供給口近傍に水素を供給する場合、該水素として重合の際に分子量調整剤として用いる水素を用いても良い。即ち、重合に於いて分子量調整剤として用いる水素の全量又は一部を、触媒との接触用水素或いは触媒供給口近傍に供給する水素として用いることができる。重合の際に分子量を調節するために必要な水素の一部を、例えば触媒移送媒体に含有させるなどの方法を用いて触媒と接触させる場合、目的の分子量のポリマーを得るために必要な残りの水素は、重合反応器へ繋がる別のラインを用いて重合系へ供給することにより、重合ポリマーの分子量調節という目的を達成することができる。
【0033】
本発明の目的を達成するために用いられる水素の純度は99.99モル%以上であり、好ましくは99.999モル%以上さらに好ましくは99.9999モル%以上である。このような純度の高い水素は、水素をモレキュラーシーブス、活性アルミナ、酸化銅等の吸着剤と接触させて、水、酸素、硫黄、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物等の不純物を除去することにより、容易に得ることができる。
(メタロセン系触媒)
本発明では、オレフィン重合用触媒として、メタロセン系触媒を用いる。
【0034】
本発明に於けるメタロセン系触媒は、少なくとも
a)環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物及び
b)該遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤の二つの触媒成分から構成される。
本発明のメタロセン系触媒は、環状η結合性アニオン配位子を有する遷移金属化合物(本発明に於いて、以下単に『遷移金属化合物』と称することがある)を含む。
本発明の遷移金属化合物は、例えば以下の一般式(1)で表すことができる。
【0035】
【化1】
Figure 0004233715
【0036】
式中Mは1つ以上の配位子Lとη5結合をしている酸化数+2、+3又は+4の周期律表第4族遷移金属である。
また、Lは環状η結合性アニオン配位子であり、各々独立に、シクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、またはオクタヒドロフルオレニル基であり、これらの基は20個までの非水素原子を含む炭化水素基、ハロゲン、ハロゲン置換炭化水素基、アミノヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカルビルアミノ基、ヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、ヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル基から各々独立に選ばれる1乃至8の置換基を任意に有していてもよく、さらには2つのLが20個までの非水素原子を含むヒドロカルバジイル、ハロヒドロカルバジイル、ヒドロカルビレンオキシ、ヒドロカルビレンアミノ、シラジイル、ハロシラジイル、アミノシラン等の2価の置換基 により結合されていてもよい。
【0037】
Xは各々独立に、60までの非水素性原子を有する、1価のアニオン性σ結合型配位子、Mと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子、又はM及びLに各々1価ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子である。
X’は各々独立に、炭素数4乃至40からなる、フォスフィン、エーテル、アミン、オレフィン、及び/又は共役ジエンから選ばれる中性ルイス塩基配位性化合物である。
【0038】
また、lは1又は2の整数である。
pは0、1又は2の整数であり、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子またはM及びLに各々1価ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子である時pはMの形式酸化数よりl以上少なく、またXがMと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子である時pはMの形式酸化数よりl+1以上少ない。またqは0、1または2である。遷移金属化合物としては、上記一般式(1)でl=1の場合が好ましい。
例えば、遷移金属化合物の好適な例は、以下の一般式(2)で表される。
【0039】
【化2】
Figure 0004233715
【0040】
式中Mは形式酸化数+2、+3または+4のチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムである。
また、R3は各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、またはこれらの複合基であり、各々20までの非水素原子を有することができ、また近接するR3同士が相俟ってヒドロカルバジイル、シラジイルまたはゲルマジイル等の2価の誘導体を形成して環状となっていてもよい。
【0041】
X”は各々独立にハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ヒドロカルビルアミノ基、またはシリル基であり、各々20までの非水素原子を有しており、また2つのX”が炭素数5乃至30の中性の共役ジエン若しくは2価の誘導体を形成してもよい。
【0042】
Yは−O−、−S−、−NR*−、−PR*−であり、ZはSiR*2、CR*2、SiR*2SiR*2、CR*2CR*2、CR*=CR*、CR*2SiR*2またはGeR*2であり、ここでR*は各々独立に炭素数1乃至12のアルキル基またはアリール基である。
また、nは1乃至3の整数である。
さらに、遷移金属化合物としてより好適な例は、以下の一般式(3)及び(4)で表される。
【0043】
【化3】
Figure 0004233715
【0044】
【化4】
Figure 0004233715
【0045】
式中R3は各々独立に、水素、炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン、またはこれらの複合基であり、各々20までの非水素原子を有することができる。
また、Mは、チタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムである。
Z、Y、X及びX*は前出の定義と同じである。pは0、1または2であり、またqは0または1である。
【0046】
但し、pが2でqが0の時、Mの酸化数は+4であり且つXはハロゲン、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、ジヒドロカルビルアミド基、ジヒドロカルビルフォスフィド基、ヒドロカルビルスルフィド基、シリル基またはこれらの複合基あり、20までの非水素原子を有している。
また、pが1でqが0の時、Mの酸化数が+3であり且つXがアリル基、2−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェニル基または2−(N,N−ジメチル)−アミノベンジル基から選ばれる安定化アニオン配位子であるか、若しくはMの酸化数が+4であり且つXが2価の共役ジエンの誘導体であるか、あるいはMとXが共にメタロシクロペンテン基を形成している。
【0047】
また、pが0でqが1の時、Mの酸化数は+2であり且つX’は中性の共役あるいは非共役ジエンであって任意に1つ以上の炭化水素基で置換されていてもよく、また該X’は40までの炭素原子を含み得、Mとπ型錯体を形成している。さらに、本発明において、遷移金属化合物として最も好適な例は、以下の一般式(5)及び(6)で表される。
【0048】
【化5】
Figure 0004233715
【0049】
【化6】
Figure 0004233715
【0050】
式中R3は各々独立に、水素または炭素数1乃至6のアルキル基である。また、Mはチタニウムであり、Yは−O−、−S−、−NR*−、−PR*−である。Z*はSiR*2、CR*2、SiR*2SiR*2、CR*2CR*2、CR*=CR*、CR*2SiR*2、またはGeR*2であり、R*は各々独立に水素、或いは、炭化水素基、ヒドロカルビルオキシ基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基またはこれらの複合基であり、該R*は20までの非水素原子を有することができ、また必要に応じてZ*中の2つのR*どうし、またはZ*中のR*とY中のR*とが相俟って環状となっていてもよい。
【0051】
pは0、1または2であり、qは0または1である。但し、pが2でqが0の時、Mの酸化数は+4であり且つXは各々独立にメチル基またはベンジル基である。また、pが1、qが0の時、Mの酸化数が+3であり且つXが2−(N,N−ジメチル)アミノベンジルであるか、あるいはMの酸化数が+4であり且つXが2−ブテン−1,4−ジイルである。また、pが0でqが1の時、Mの酸化数は+2であり且つX’は1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエンまたは1,3−ペンタジエンである。前記ジエン類は金属錯体を形成する非対称ジエン類を例示したものであり、実際には各幾何異性体の混合物である。
【0052】
本発明の遷移金属化合物は、一般に公知の方法で合成できる。該遷移金属化合物の好ましい合成方法は、1995年4月24日に登録されたUS Patent No.5491246において、開示されている。
また、本発明のメタロセン系触媒は、遷移金属化合物と反応して触媒活性を発現する錯体を形成可能な活性化剤(本発明において以下単に『活性化剤』と称することがある)を含む。
【0053】
通常、メタロセン系触媒に於いては、遷移金属化合物と上記活性化剤により形成される錯体が、触媒活性種として高いオレフィン重合活性を示す。
本発明において、活性化剤としては、例えば以下の一般式(7)で定義される化合物が挙げられる。
【0054】
【化7】
Figure 0004233715
【0055】
但し、式中[L−H]d+はプロトン付与性のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。
また、式中[MmQp]d−は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族乃至第15族から選ばれる金属又はメタロイドであり、Qは各々独立にヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキサイド基、アリロキサイド基、炭化水素基、炭素数20までの置換炭化水素基であり、またハライドであるQは1個以下である。
【0056】
また、mは1乃至7の整数であり、pは2乃至14の整数であり、dは1乃至7の整数であり、p−m=dである。
本発明で、活性化剤のより好ましい例は以下の一般式(8)で定義される化合物である。
【0057】
【化8】
Figure 0004233715
【0058】
但し、式中[L−H]+はプロトン付与性のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。
また、式中[MmQn(Gq(T−H)r)z]d−は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族乃至第15族から選ばれる金属又はメタロイドであり、Qは各々独立にヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキサイド基、アリロキサイド基、炭化水素基、炭素数20までの置換炭化水素基であり、またハライドであるQは1個以下である。
【0059】
また、Gは硼素及びTと結合するr+1の価数を持つ多価炭化水素基であり、TはO、S、NR、又はPRであり、ここでRはヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルゲルマニウム基、若しくは水素である。
また、mは1乃至7の整数であり、nは0乃至7の整数であり、qは0又は1の整数であり、rは1乃至3の整数であり、zは1乃至8の整数であり、dは1乃至7の整数であり、n+z−m=dである。
活性化剤のさらに好ましい例は、以下の一般式(9)で表される。
【0060】
【化9】
Figure 0004233715
【0061】
但し、式中[L−H]+はプロトン付与性のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。
また、式中[BQ3Q*]−は相溶性の非配位性アニオンであり、Bは硼素元素を表し、Qはペンタフルオロフェニル基であり、Q*は置換基としてOH基を1つ有する炭素数6乃至20の置換アリール基である。
【0062】
本発明の相溶性の非配位性アニオンの具体例としては、例えば、トリフェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、ジフェニル−ジ(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリフェニル(2,4−ジヒドロキシフェニル)ボレート、トリ(p−トリル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(2,4−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジ−トリフルオリメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、
【0063】
トリス(ペンタフルオロフェニル)(2−ヒドロキシエチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシブチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−(4´−ヒドロキシフェニル)フェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ボレート等が挙げられ、最も好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレートが挙げられる。
【0064】
他の好ましい相溶性の非配位性アニオンの例としては、上記例示のボレートのヒドロキシ基がNHR基で置き換えられたボレートが挙げられる。ここで、Rは好ましくは、メチル基、エチル基またはtert−ブチル基である。
また、プロトン付与性のブレンステッド酸の具体例としては、例えば、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム及びトリ(n−オクチル)アンモニウム、
【0065】
ジエチルメチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウム、ジブチルエチルアンモニウム、ジヘキシルメチルアンモニウム、ジオクチルメチルアンモニウム、ジデシルメチルアンモニウム、ジドデシルメチルアンモニウム、ジテトラデシルメチルアンモニウム、ジヘキサデシルメチルアンモニウム、ジオクタデシルメチルアンモニウム、ジイコシルメチルアンモニウム、ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム等のようなトリアルキル基置換型アンモニウムカチオンが挙げられ、
【0066】
また、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウム、N,N−ジメチルベンジルアニリニウム等のようなN,N−ジアルキルアニリニウムカチオンも好適である。さらに、ジ−(i−プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム等のようなジアルキルアンモニウムカチオンも好適であり、トリフェニルフォスフォニウム、トリ(メチルフェニル)フォスフォニウム、トリ(ジメチルフェニル)フォスフォニウム等のようなトリアリールフォスフォニウムカチオン、或いはジメチルスルフォニウム、ジエチルスルフォニウムまたはジフェニルスルフォニウム等も好適である。
また本発明において活性化剤として次の式(10)で表されるユニットを有する有機金属オキシ化合物も用いることができる。
【0067】
【化10】
Figure 0004233715
【0068】
ただし、M2は周期律表第13族乃至第15族の金属またはメタロイドであり、Rは各々独立に炭素数1乃至12の炭化水素基又は置換炭化水素基であり、nは金属M2の価数であり、mは2以上の整数である。
本発明の活性化剤の好ましい例は、例えば次式(11)で示されるユニットを含む有機アルミニウムオキシ化合物である。
【0069】
【化11】
Figure 0004233715
【0070】
但し、Rは炭素数1乃至8のアルキル基であり、mは2乃至60の整数である。 本発明の活性化剤の最も好ましい例は、例えば次式(12)で示されるユニットを含むメチルアルモキサンである。
【0071】
【化12】
Figure 0004233715
【0072】
但し、mは2乃至60の整数である。
本発明に於いて、これらの触媒成分は、固体成分に担持して担持型触媒としても用いることができる。
このような固体成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはスチレンジビニルベンゼンのコポリマー等の多孔質高分子材料、或いは例えばシリカ、アルミナ、マグネシア、塩化マグネシウム、ジルコニア、チタニア、酸化硼素、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化バリウム、五酸化バナジウム、酸化クロム及び酸化トリウム等のような周期律表第2、3、4、13及び14族元素の無機固体材料、及びそれらの混合物、並びにそれらの複酸化物から選ばれる少なくとも1種の無機固体材料が挙げられる。
【0073】
シリカの複酸化物としては、例えばシリカマグネシア、シリカアルミナ等のようなシリカと周期律表第2族または第13族元素との複酸化物が挙げられる。
また本発明では、上記二つの触媒成分の他に、必要に応じて有機アルミニウム化合物を触媒成分として用いることができる。
本発明の有機アルミニウム化合物とは、例えば次式で表される化合物である。
【0074】
【化13】
Figure 0004233715
【0075】
(但し、Rは炭素数1乃至12までのアルキル基、炭素数6乃至20のアリール基であり、Xはハロゲン、水素またはアルコキシル基であり、アルキル基は直鎖状、分岐状または環状であり、nは1乃至3の整数である。)
本発明の有機アルミニウム化合物は、上記一般式(10)で表される化合物の混合物であっても構わない。
本発明で有機アルミニウム化合物としては、例えば上記一般式で、Rがメチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基等が挙げられ、またXとしては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、クロル等が挙げられる。
【0076】
本発明の有機アルミニウム化合物としては、具体的には、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等、或いはこれらのアルキルアルミニウムとメチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール等のアルコール類との反応生成物、例えばジメチルメトキシアルミニウム、ジエチルエトキシアルミニウム、ジブチルブトキシアルミニウム等が挙げられる。
【0077】
なお、本発明では、オレフィン重合用触媒は、上記のような各成分以外にもオレフィン重合に有用な他の成分を含むことができる。
以下、実施例に基づき、本発明をさらに具体的に説明する。
【0078】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により詳細に説明する。
【0079】
【実施例1】
ヘキサン、エチレン、1−ブテン、水素、及びメタロセン系触媒を連続的に攪拌装置が付いたベッセル型重合反応器に供給し、ポリエチレン(エチレン・1−ブテンコポリマー)を10kg/Hrの速度で製造した。
水素は、モレキュラーシーブスとの接触により精製された99.99モル%以上のものを使用した。メタロセン系触媒としては、チタニウム(N−1、1−ジメチルエチル)ジメチル[1−(1、2、3、4、5−エタ)−2、3、4、5−テトラメチル−2,4−シクロペンタジエン−1−イル]シラナミナト[(2−)N]−(η4−1、3−ペンタジエン)とビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム−トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレード−メチルアルモキサン混合物をトリエチルアルミニウムで処理されたシリカに担持したものを用いた。
【0080】
溶媒としてのヘキサンは60L/Hr供給され、1ーブテン流量は、気相中の1−ブテンと(エチレン+1ーブテン)のモル比が0.1%の組成に維持されるように調節した。尚、気体の濃度はオンラインガスクロマトグラフにより測定した。触媒は、上記溶媒ヘキサンを移送液とし製造速度が10kg/Hrとなるように供給された。重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に抜き取られ、抜き取られたスラリーは、乾燥工程へ送られた。
目標のMI(メルトインデクッス)のプロダクトを得るのに必要な水素18NL/Hr(NLはNormal Liter)全量を触媒移送ラインに供給したところ塊状のポリマーの存在も無く、スラリー抜き取り配管も閉塞することなく、連続運転ができた。
【0081】
【比較例1】
実施例1で触媒移送ラインに供給した水素全量18NL/Hrを重合反応器の気相部へ直接供給する他は全て実施例1と同様に操作したところスラリー抜き取り配管が閉塞し、重合反応器の液面コントロール不能となりS/D(シャットダウン)した。また、反応終了後、重合反応器から乾燥工程へのスラリー抜き取り配管を調べてみると、配管内に大量の塊状のポリマーが存在した。
【0082】
【実施例2】
ヘキサン、エチレン、1−ブテン、水素、及び実施例1記載のメタロセン系触媒を連続的に攪拌装置が付いたベッセル型重合反応器に供給し、ポリエチレン(エチレン・1−ブテンコポリマー)を10kg/Hrの速度で製造した。
水素は、モレキュラーシーブスとの接触により精製された99.99モル%以上のものを使用した。
溶媒としてのヘキサンは60L/Hr供給され、1ーブテン流量は、気相中の1−ブテンと(エチレン+1ーブテン)のモル比が0.3%の組成に維持されるように調節した。尚、気体の濃度はオンラインガスクロマトグラフにより測定した。触媒は、上記溶媒ヘキサンを移送液とし製造速度が10kg/Hrとなるように供給された。
【0083】
重合スラリーは、重合反応器のレベルが一定に保たれるように連続的に抜き取られ、抜き取られたスラリーは、乾燥工程へ送られた。
目標のMIのプロダクトを得るのに必要な水素20NL/Hr全量を触媒移送ラインに供給したところ、塊状のポリマーの発生も無く、スラリー抜き取りラインも閉塞することもなく連続運転することができた。
【0084】
【比較例2】
実施例2で触媒移送ラインに供給した水素全量20NL/Hrを重合反応器の気相部へ直接供給する他は全て実施例2と同様に操作したところ、スラリー抜き取り配管が閉塞し、重合反応器の液面コントロール不能となりS/Dした。また、反応終了後、重合反応器から乾燥工程へのスラリー抜き取り配管内には大量の塊状のポリマーが存在した。
【0085】
【実施例3】
実施例2で水素10NL/Hrを触媒移送ラインに、MIを調整するのに必要な残る9NL/Hrを重合反応器の気相部へ直接供給する他は全て実施例2と同様に操作したところ、スラリー抜き取りラインが閉塞することなく連続運転することができた。塊状のポリマーの存在も無かった。
【0086】
【実施例4】
実施例1で水素4NL/Hrを触媒移送ラインに、MIを調整するのに必要な残る10NL/Hrを重合反応器の気相部へ直接供給する他は全て実施例1と同様に操作したところスラリー抜き取りラインが閉塞することもなく連続運転することができた。
また反応終了後、重合反応器から乾燥工程へのスラリー抜き取り配管内には全く塊状のポリマーの存在が見られなかった。
【0087】
【実施例5】
実施例1で水素1.5NL/Hrを触媒移送ラインに、MIを調整するのに必要な残る13NL/Hrを重合反応器の気相部へ直接供給する他は全て実施例1と同様に操作したところスラリー抜き取りラインが閉塞することもなく連続運転することができた。
また反応終了後、重合反応器から乾燥工程へのスラリー抜き取り配管内には全く塊状のポリマーの存在が見られなかった。
以上の結果を表1に示す。
【0088】
【表1】
Figure 0004233715
【0089】
【発明の効果】
本発明は、以上のように、メタロセン系触媒の存在下においても塊状のポリマーを生成することなく、また重合反応器からのポリマーの抜き取り配管が閉塞、ポリマーの抜き取りが不能となることがない、連続運転可能なオレフィンのスラリー重合方法及び気相重合方法を提供することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明請求項1に係る触媒供給方法を用いる重合反応器の一態様を示す。
【図2】本発明請求項6に係る触媒供給方法を用いる重合反応器の一態様を示す。
【図3】本発明請求項8に係る触媒の供給方法の一態様を示す。

Claims (11)

  1. メタロセン系触媒を用いて1種以上のオレフィンを重合する連続式スラリー重合法または連続式気相重合法において、触媒を予め水素と接触させた後、該触媒を重合反応器へ導入することを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
  2. 該触媒と接触させる水素の量が、該触媒に含まれる遷移金属化合物の0.5倍モル以上且つ50000倍モル以下であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  3. 該触媒と水素とを接触させる方法が、媒体を用いて触媒を重合反応器へ移送する際に、該媒体に水素を含有させることにより、触媒と水素を接触させる方法であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  4. 該媒体に水素を含有させる方法が、重合反応器に該触媒を導入するために設けられた触媒移送ラインに、水素供給ラインを接続し、水素を該ラインに供給することにより該媒体に水素を含有させる方法であることを特徴とする請求項3に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  5. 該媒体に水素を含有させる方法が、重合反応器に該触媒を導入するために設けられた重合反応器内部の触媒供給ノズルに、水素供給ラインを接続し、水素を該ラインに供給することにより該媒体に水素を含有させる方法であることを特徴とする請求項3に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  6. メタロセン系触媒を用いて1種以上のオレフィンを重合する連続式スラリー重合法または連続式気相重合法において、重合反応器内部の触媒供給口近傍に水素を供給しながら、該触媒を重合反応器へ導入することを特徴とするするオレフィン重合体の製造方法。
  7. 該触媒供給口近傍に供給される水素の量が、重合反応器に供給される該触媒に含まれる遷移金属化合物の0.5倍モル以上且つ50000倍モル以下であることを特徴とする請求項6に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  8. 多重管の内管ノズルから該触媒を重合反応器へ供給し、水素を多重管の外管ノズルから供給することにより、該触媒供給口近傍に水素を供給することを特徴とする請求項6あるいは請求項7に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  9. 重合反応器内部の該触媒供給口近傍に、水素を水素供給ノズルを通して供給することにより、該触媒供給口近傍に水素を供給することを特徴とする請求項6あるいは請求項7に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  10. 水素の純度が99.99モル%以上の水素であることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
  11. オレフィンがエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンの中から選ばれるオレフィンであることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載のオレフィン重合体の製造方法。
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