JP2001302626A - 高純度ピロリドン類の製造方法 - Google Patents

高純度ピロリドン類の製造方法

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JP2001302626A
JP2001302626A JP2000121531A JP2000121531A JP2001302626A JP 2001302626 A JP2001302626 A JP 2001302626A JP 2000121531 A JP2000121531 A JP 2000121531A JP 2000121531 A JP2000121531 A JP 2000121531A JP 2001302626 A JP2001302626 A JP 2001302626A
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JP2000121531A
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Mitsuhiro Nishida
光宏 西田
Sadakatsu Suzuki
貞勝 鈴木
Tomohiro Kuraki
伴弘 椋木
Katsuharu Maruhara
克治 丸原
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Tonen Chemical Corp
Original Assignee
Tonen Sekiyu Kagaku KK
Tonen Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩基性不純物の含有量が極めて少なく、かつ
超高純度のピロリドン類を得ることができる方法を提供
する。 【解決手段】 γ‐ブチロラクトンとアミン類とを水の
存在下に反応させてピロリドン類を製造する方法におい
て、γ‐ブチロラクトンとアミン類とを水の存在下に加
熱して得た反応混合物を第一蒸留塔に供給して、塔頂か
ら水及び未反応のアミン類を留出させ、かつ第一蒸留塔
への供給物中に含まれていたピロリドン類の1〜15重
量%に相当する量のピロリドン類を塔底から抜き出し、
更に、ピロリドン類を含む側流を得て、次いで、該側流
を第二蒸留塔に供給し、水及び/又は未反応のアミン類
を含む低沸点成分及び/又はピロリドン類の一部を塔頂
から留出させ、かつ第二蒸留塔への供給液中に含まれて
いたピロリドン類の1〜10重量%に相当する量のピロ
リドン類を塔底から抜き出し、一方、残部のピロリドン
類を側流として抜き出すことを特徴とする方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ピロリドン類を製
造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】N‐メチル‐2‐ピロリドンに代表され
るピロリドン類は、優れた物質溶解性を示すことから、
各種溶媒/溶剤として使用され、近年は電子・電気用
途、例えば電気基盤洗浄、レジスト剥離剤又はLi電池
製造等にも利用されており、極めて高い純度のピロリド
ン類が要求されてきている。
【0003】N‐メチル‐2‐ピロリドンは、工業的に
は、γ‐ブチロラクトンと過剰量のモノメチルアミンと
を反応させて製造するのが一般的である。特公昭47-214
20号公報には、上記の反応において、反応系に水を添加
すると反応速度が上昇して、N‐メチル‐2‐ピロリド
ンを高収率かつ短時間で製造し得ることが記載されてい
る。特開平1-190667号公報には、上記反応の副生成物で
あるジメチルアミン及びトリメチルアミンを過剰のモノ
メチルアミンと共に反応系に再循環し、かつ反応系にγ
‐ブチロラクトンの3〜5倍のモル比で水を添加して2
30〜265℃で反応を行うことにより、N‐メチル‐
2‐ピロリドンの収率を低下させずに着色の少ない製品
が得られることが記載されている。また、特開平10-158
238号公報には、同じくγ‐ブチロラクトンと過剰量の
モノメチルアミンとを反応させてN‐メチル‐2‐ピロ
リドンを製造する方法において、γ‐ブチロラクトンに
対するモノメチルアミンのモル比が1.03〜1.50
であり、反応系にγ‐ブチロラクトンの1.0〜2.9
倍モル量の水を存在させて、250〜300℃で反応さ
せれば、収率及び生産効率を低下させずに着色の少ない
製品が得られること、並びに該反応において副生するジ
メチルアミン及びトリメチルアミンを、未反応のモノメ
チルアミンと共に反応混合物より分離し、これをそのま
ま、又は反応混合物中の水の一部と共に上記の反応系に
再循環させることにより、収率を低下させずに着色の少
ない製品が得られることが開示されている。
【0004】しかし、上記いずれの方法で得られた反応
混合物においても、従来から行われている精製法、即
ち、第一蒸留塔の塔頂からアミン類を除去した後、塔底
液を第二蒸留塔に供給して、第二蒸留塔の塔頂から水及
び低沸点成分を除去し、次いで、塔底液を第三蒸留塔に
供給して、第三蒸留塔の塔底から高沸点成分を除去し、
塔頂からN‐メチル‐2‐ピロリドンを回収する方法を
使用すると、第三蒸留塔の塔底において反応中間体であ
るγ‐ヒドロキシブチルアルキルアミド等の高沸点成分
が分解して、それにより生成したγ‐ブチロラクトン及
び低沸点の塩基性物質が製品であるN‐メチル‐2‐ピ
ロリドンに混入し、従って、製品N‐メチル‐2‐ピロ
リドンの電気伝導度が高くなって電子用途に使用でき
ず、更にはpHが高くなると言う問題があった。
【0005】特開平6−228088号公報には、反応
帯域から抜出した反応生成物を第一蒸留塔に供給して、
塔頂から未反応のアンモニア又はアミンと水の一部とを
留出させて反応帯域に循環し、塔底から水を含有するピ
ロリドン類を回収して第二蒸留塔に供給すること、第二
蒸留塔の塔頂から水と共にピロリドン類を留出させて第
三蒸留塔に供給し、塔底から高沸点成分を抜出すこと、
第三蒸留塔の塔頂から水を含む軽沸成分を留出させ、塔
底から高沸成分を抜出し、製品のピロリドン類を側流と
して回収するピロリドン類の製造法が開示されている。
また、特開平6−228089号公報には、上記と同じ
く第一蒸留塔の塔底から水を含有するピロリドン類を回
収して第二蒸留塔に供給すること、第二蒸留塔の塔頂か
ら水を含む軽沸点成分を留出させ、塔底からピロリドン
類を回収して第三蒸留塔に供給すること、第三蒸留塔の
塔頂留出液は第二蒸留塔に供給し、塔底から高沸点成分
を抜出し、製品のピロリドン類を側流として回収するピ
ロリドン類の製造方法が開示されている。しかし、上記
いずれの方法においても、塩基性不純物の含有量を十分
に低減することができず、かつ回収したピロリドン類の
純度を極めて高くできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、塩基性不純
物の含有量が極めて少なく、かつ超高純度のピロリドン
又はN‐アルキルピロリドンを得ることができる方法を
提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の特
開平6−228088号公報及び特開平6−22808
9号公報に記載の方法では、何故、塩基性不純物の混入
を完全には防止し得ないかを検討した。その結果、これ
は、前者では第二蒸留塔、そして後者では第三蒸留塔の
塔底で、加熱中に塔底液中に含まれるγ‐ヒドロキシブ
チルアルキルアミド類が分解して塩基性物質等の分解成
分が生じ、これが製品ピロリドン類中に混入しているこ
とが明らかとなり、かつ電気伝導度及びpHに影響を及
ぼす程の極微量の塩基性物質の製品ピロリドン類中への
混入を回避するには上記公報記載の蒸留分離では限界が
あることを見出した。該知見に基き、γ‐ヒドロキシブ
チルアルキルアミド類の分解を極力低減し、更に分解し
て生成した塩基性不純物を製品に混入させない精製方法
を採用すれば上記の問題を回避し得るとの結論を得て、
γ‐ヒドロキシブチルアルキルアミド類の分解挙動及び
精製系内での挙動を詳細に検討した結果、本発明者ら
は、二本の蒸留塔を使用して、第一蒸留塔及び第二蒸留
塔の塔底からのピロリドン又はN‐アルキルピロリドン
の抜出量を工夫し、かつ第一蒸留塔及び第二蒸留塔の側
流としてピロリドン又はN‐アルキルピロリドンの主流
を抜き出すところの下記所定の蒸留方法を用いることに
より、γ‐ヒドロキシブチルアルキルアミド類の分解を
殆ど回避することができて、極めて高純度であり、かつ
塩基性物質を殆ど含まないピロリドン又はN‐アルキル
ピロリドンを得ることができることを見出した。
【0008】即ち、本発明は、(1)γ‐ブチロラクト
ンとアンモニア又は第一級アルキルアミンとを水の存在
下に反応させてピロリドン又はN‐アルキルピロリドン
を製造する方法において、γ‐ブチロラクトンとアンモ
ニア又は第一級アルキルアミンとを水の存在下に加熱し
て反応させ、得た反応混合物を第一蒸留塔に供給して、
塔頂から水及び未反応のアンモニア又は第一級アルキル
アミンを含む低沸点成分を留出させ、かつ第一蒸留塔へ
の供給物中に含まれていたピロリドン又はN‐アルキル
ピロリドンの1〜15重量%に相当する量のピロリドン
又はN‐アルキルピロリドンを塔底から抜き出し、更
に、ピロリドン又はN‐アルキルピロリドンを含む側流
を得て、次いで、該側流を第二蒸留塔に供給し、水及び
/又は未反応のアンモニア若しくは第一級アルキルアミ
ンを含む低沸点成分及び/又はピロリドン若しくはN‐
アルキルピロリドンの一部を塔頂から留出させ、かつ第
二蒸留塔への供給液中に含まれていたピロリドン又はN
‐アルキルピロリドンの1〜10重量%に相当する量の
ピロリドン又はN‐アルキルピロリドンを塔底から抜き
出し、一方、残部のピロリドン又はN‐アルキルピロリ
ドンを側流として抜き出すことを特徴とする方法であ
る。
【0009】本発明によれば、第一蒸留塔の塔頂から
は、水、未反応のアンモニア又は第一級アルキルアミ
ン、及び極微量のγ‐ヒドロキシブチルアルキルアミド
類の分解により生じた塩基性物質、例えばアンモニア又
は第一級アルキルアミンを含む低沸点成分が除去され、
塔底からは反応により生成した殆どのγ‐ヒドロキシブ
チルアルキルアミド類を含む高沸点成分及び所定量のピ
ロリドン又はN‐アルキルピロリドンが抜き出され、か
つ側流として残りのピロリドン又はN‐アルキルピロリ
ドンが抜き出される。この側流として得られたピロリド
ン又はN‐アルキルピロリドンは高い純度を有するもの
である。本願発明では、該ピロリドン又はN‐アルキル
ピロリドンを更に第二蒸留塔により精製して超高純度で
あり、かつ超微量の塩基性物質しか含まないピロリドン
又はN‐アルキルピロリドンを得るものである。第一蒸
留塔の側流から得られた高純度のピロリドン又はN‐ア
ルキルピロリドンは、続いて第二蒸留塔に供給される。
第二蒸留塔の塔頂からは、第一蒸留塔において除去し得
ずに残存し得る極微量の水、及び/又は未反応のアンモ
ニア若しくは第一級アルキルアミン、及び/又は極微量
のγ‐ヒドロキシブチルアルキルアミド類の分解により
生じた塩基性物質を含む低沸点成分、及び/又はピロリ
ドン又はN‐アルキルピロリドンの一部が除去され、塔
底からは第一蒸留塔において除去し得ずに残存していた
極微量のγ‐ヒドロキシブチルアルキルアミド類を含む
高沸点成分及び所定量のピロリドン又はN‐アルキルピ
ロリドンが抜き出される。そして、側流として製品であ
る、塩基性不純物の含有量が極めて少なく、かつ超高純
度のピロリドン又はN‐アルキルピロリドンが抜き出さ
れるのである。
【0010】好ましい態様として、(2)第一蒸留塔の
塔底から抜き出されるピロリドン又はN‐アルキルピロ
リドン量が、第一蒸留塔への供給液中に含まれていたピ
ロリドン又はN‐アルキルピロリドンの量の2〜10重
量%に相当する量である上記(1)記載の方法、
【0011】(3)第二蒸留塔の塔底から抜き出される
ピロリドン又はN‐アルキルピロリドン量が、第二蒸留
塔への供給液中に含まれていたピロリドン又はN‐アル
キルピロリドンの量の2〜5重量%に相当する量である
上記(1)又は(2)のいずれか一つに記載の方法、
【0012】(4)第二蒸留塔の塔頂から抜き出される
ピロリドン又はN‐アルキルピロリドン量が、第二蒸留
塔への供給液中に含まれていたピロリドン又はN‐アル
キルピロリドンの量の0〜2重量%に相当する量である
上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の方法、
【0013】(5)第二蒸留塔の塔頂留出液を第一蒸留
塔の供給物にリサイクルするところの上記(1)〜
(4)のいずれか一つに記載の方法、
【0014】(6)第二蒸留塔の塔底抜出液を第一蒸留
塔の供給位置と塔底との間の任意の位置にリサイクルす
るところの上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の
方法、
【0015】(7)第一蒸留塔における塔底液の平均滞
留時間が10分間〜8時間である上記(1)〜(6)のい
ずれか一つに記載の方法、
【0016】(8)第一蒸留塔における塔底液の平均滞
留時間が0.5〜5時間である上記(1)〜(6)のいずれ
か一つに記載の方法、
【0017】(9)第一蒸留塔における塔底液の温度が
100〜150℃である上記(1)〜(8)のいずれか
一つに記載の方法、
【0018】(10)第二蒸留塔における塔底液の平均
滞留時間が10分間〜8時間である上記(1)〜(9)の
いずれか一つに記載の方法、
【0019】(11)第二蒸留塔における塔底液の平均
滞留時間が0.5〜5時間である上記(1)〜(9)のいず
れか一つに記載の方法、
【0020】(12)第二蒸留塔における塔底液の温度
が90〜150℃である上記(1)〜(11)のいずれ
か一つに記載の方法、
【0021】(13)γ‐ブチロラクトンとアンモニア
又は第一級アルキルアミンとを水の存在下に加熱して得
た反応混合物が、γ‐ブチロラクトンとアンモニア又は
第一級アルキルアミンとを反応させてγ‐ヒドロキシブ
チルアミド又はγ‐ヒドロキシブチルアルキルアミドを
得て、次いで、該γ‐ヒドロキシブチルアミド又はγ‐
ヒドロキシブチルアルキルアミドを、反応器内を流れる
流体の温度を独立して制御し得る複数個の温度制御手段
を該流体の流れ方向に沿って備えているところの管型反
応器を通して得られたものであるところの上記(1)〜
(12)のいずれか一つに記載の方法、
【0022】(14)複数個の温度制御手段が、昇温手
段とそれに続く温度保持手段とから成るところの上記
(13)記載の方法、
【0023】(15)少なくとも一つの昇温手段領域の
内部にインラインミキサーを備えているところの上記
(14)記載の方法、
【0024】(16)少なくとも一つの温度保手段領域
の内部にインラインミキサーを備えているところの上記
(14)又は(15)記載の方法、
【0025】(17)全ての昇温手段及び温度保持手段
領域の内部に、インラインミキサーが備えられていると
ころの上記(14)記載の方法、
【0026】(18)γ‐ブチロラクトンと、γ‐ブチ
ロラクトン1モルに対して1.01〜1.20モルのア
ンモニア又は第一級アルキルアミンとを、γ‐ブチロラ
クトン1モルに対して1.0〜2.9モルの水の存在下
に250〜300℃で加熱して得た反応混合物を第一蒸
留塔に供給する上記(1)〜(17)のいずれか一つに
記載の方法、
【0027】(19)γ‐ブチロラクトン1モルに対し
て1.01〜1.10モルのアンモニア又は第一級アル
キルアミンを使用する上記(18)記載の方法、
【0028】(20)γ‐ブチロラクトン1モルに対し
て1.02〜1.05モルのアンモニア又は第一級アル
キルアミンを使用する上記(18)記載の方法を挙げる
ことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明において、γ‐ブチロラク
トンとアンモニア又は第一級アルキルアミンとを水の存
在下に加熱して反応混合物を得る方法に特に制限はな
い。例えば、特公昭47‐21420号公報記載の方法、好ま
しくは特開平10‐158238号公報記載の方法を使用するこ
とができる。
【0030】とりわけ好ましくは、γ‐ブチロラクトン
とアンモニア又は第一級アルキルアミンとを水の存在下
に反応させてピロリドン又はN‐アルキルピロリドンを
製造する方法において、アンモニア又は第一級アルキル
アミンを、γ‐ブチロラクトン1モルに対して、上限が
好ましくは1.20モル、より好ましくは1.10モ
ル、特に好ましくは1.05モル未満、そして下限が好
ましくは1.01モル、より好ましくは1.02モルで
存在せしめて、γ‐ブチロラクトンと反応させる方法で
ある。アンモニア又は第一級アルキルアミンを上記の範
囲にすることにより、蒸留工程で分解して低沸点の塩基
性物質を生成する反応中間体であるγ‐ヒドロキシブチ
ルアルキルアミド類等の高沸点成分の生成量を極めて微
量にすることができる。ここで、水は、γ‐ブチロラク
トン1モルに対して、上限が好ましくは2.9モル、そ
して下限が好ましくは1.0モルで存在される。また、
反応温度は、上限が好ましくは300℃、下限が好まし
くは250℃である。
【0031】該反応混合物は、通常、水、γ‐ヒドロキ
シブチルアミド又はγ‐ヒドロキシブチルアルキルアミ
ド、ピロリドン又はN‐アルキルピロリドン、未反応の
アンモニア又は第一級アルキルアミン例えばモノメチル
アミン、低沸点の副生成物、及び高沸点の副生成物を含
んでおり、また、任意的に極少量の未反応のγ‐ブチロ
ラクトンを含んでいてもよい。本明細書において、低沸
点成分とは、その沸点がピロリドン又はN‐アルキルピ
ロリドンの沸点より低い物質を言い、例えば、ジメチル
アミン、トリメチルアミン等の低沸点の副生成物、未反
応のアンモニア又は第一級アルキルアミン例えばモノメ
チルアミン等が挙げられ、高沸点成分とは、その沸点が
ピロリドン又はN‐アルキルピロリドンの沸点より高い
物質を言い、例えば、γ‐ヒドロキシブチルアミド又は
γ‐ヒドロキシブチルアルキルアミド等が挙げられる。
【0032】上記のピロリドン又はN‐アルキルピロリ
ドンを製造する方法においては、γ‐ブチロラクトンと
アンモニア又は第一級アルキルアミンとを反応させて得
たγ‐ヒドロキシブチルアミド又はγ‐ヒドロキシブチ
ルアルキルアミドを、反応器内を流れる流体の温度を独
立して制御し得る複数個の温度制御手段を該流体の流れ
方向に沿って備えているところの管型反応器を通すこと
により反応せしめて、ピロリドン又はN‐アルキルピロ
リドンを含む反応混合物を得ることができる。
【0033】該管型反応器の温度制御手段は、好ましく
は昇温手段とそれに続く温度保持手段とから成る。ここ
で、昇温手段とは、γ‐ブチロラクトンとアンモニア又
は第一級アルキルアミンとを反応させて得たγ‐ヒドロ
キシブチルアミド又はγ‐ヒドロキシブチルアルキルア
ミドを、ピロリドン又はN‐アルキルピロリドンに転換
するための所望の反応温度まで昇温し得る手段を言い、
温度保持手段とは、γ‐ヒドロキシブチルアミド又はγ
‐ヒドロキシブチルアルキルアミドからピロリドン又は
N‐アルキルピロリドンへの適切な転換率を得るため
に、昇温手段により昇温された流体の温度を所望の反応
時間保持し得る手段を言う。
【0034】該管型反応器の複数個の温度制御手段、即
ち各昇温手段及び温度保持手段は、反応器内を流れる流
体の温度を夫々独立して制御し得る。これにより、γ‐
ヒドロキシブチルアミド又はγ‐ヒドロキシブチルアル
キルアミドからピロリドン又はN‐アルキルピロリドン
への高い転換率、とりわけ昇温手段を備えた領域におけ
るγ‐ヒドロキシブチルアミド又はγ‐ヒドロキシブチ
ルアルキルアミドからピロリドン又はN‐アルキルピロ
リドンへの適切な転換率、及び管型反応器中の流体の温
度制御、とりわけ温度保持手段を備えた領域全体に亘っ
て均一な流体の温度分布を容易に達成することができ
て、その結果として、短くかつ適切な全長を持つ管型反
応器を可能にする。温度制御の手段は特に制限されず、
公知のいずれの手段をも使用することができる。例え
ば、管型反応器を二重管として外管側に熱媒体を通し
て、この流量を制御することにより温度制御する手段、
管型反応器の外部表面にトレース配管を沿わせて、該配
管に熱媒体を通して、この流量を制御することにより温
度制御する手段、管型反応器の外部表面に電気ヒーター
を沿わせて、ヒーターに流れる電流を制御することによ
り温度制御する手段、あるいはこれらの組合せ等が挙げ
られる。この場合、反応熱を昇温のためのエネルギーの
一部として使用すれば有効な熱利用を図ることができ、
その結果、例えば、昇温に必要な電気ヒーターの出力を
抑えることができて、省エネルギーが可能となるため好
ましい。
【0035】該管型反応器において、昇温手段は1〜3
個、好ましくは1〜2個、特に好ましくは1個であり、
温度保持手段は1〜10個、好ましくは1〜5個、特に
好ましくは1〜2個である。管型反応器が昇温手段を有
しない場合には、γ‐ヒドロキシブチルアミド又はγ‐
ヒドロキシブチルアルキルアミドが温度保持手段を備え
た反応器に入るや否や急激に昇温されるため、γ‐ヒド
ロキシブチルアミド又はγ‐ヒドロキシブチルアルキル
アミドからピロリドン又はN‐アルキルピロリドンへの
転換が急激に進行して急激な発熱を生じ、従って、流体
が保持温度を超えて副生成物が生成する。昇温手段が3
個を超えては、管型反応器の製造コストが増大するため
好ましくない。温度保持手段を有しない管型反応器で
は、γ‐ヒドロキシブチルアミド又はγ‐ヒドロキシブ
チルアルキルアミドからピロリドン又はN‐アルキルピ
ロリドンへの十分な転換が図れない。温度保持手段が1
0個を超えては、上記と同様に管型反応器の製造コスト
が増大するため好ましくない。
【0036】該管型反応器は、上記の温度制御手段を備
えた領域、好ましくは昇温手段を備えた領域の少なくと
も一つの反応器内部にインラインミキサーが備えられて
いる。例えば、昇温手段が1個であり、かつ温度保持手
段が1〜2個である管型反応器においては、昇温手段を
備えた領域の反応器内部にのみインラインミキサーが備
えられていてもよいし、あるいは昇温手段及び温度保持
手段を備えた領域の全てにインラインミキサーが備えら
れていてもよい。インラインミキサーを設置することに
より、γ‐ヒドロキシブチルアミド又はγ‐ヒドロキシ
ブチルアルキルアミドからピロリドン又はN‐アルキル
ピロリドンへの高い転換率、とりわけ昇温手段を備えた
領域におけるγ‐ヒドロキシブチルアミド又はγ‐ヒド
ロキシブチルアルキルアミドからピロリドン又はN‐ア
ルキルピロリドンへの下記の適切な転換率、及び管型反
応器中の流体の温度制御、とりわけ温度保持手段を備え
た領域全体に亘って均一な流体の温度分布をより一層容
易に達成することができて、その結果として、著しく短
くかつ適切な全長を持つ管型反応器を可能にする。ここ
で、インラインミキサーとしては、公知のいずれのもの
をも使用することができる。例えば、NORITAKE
STATIC MIXER(商標、株式会社ノリタケカ
ンパニーリミテド製)等のスタティックミキサー又はオ
リフィスミキサー等が挙げられる。スタティックミキサ
ーにおいては、分割数を多くするほど良好なミキシング
効果を得ることができ、オリフィスミキサーにおいて
は、オリフィス径を変化することによりミキシング効果
を変えることができる。但し、いずれもの場合も、発生
する圧損、及び流体の粘性、密度、並びに流速等を考慮
し決定することが必要である。
【0037】該管型反応器は、その昇温手段を備えた領
域において、γ‐ブチロラクトンとアンモニア又は第一
級アルキルアミンとを反応させて得たγ‐ヒドロキシブ
チルアミド又はγ‐ヒドロキシブチルアルキルアミドの
50〜98モル%、好ましくは55〜97モル%、特に
好ましくは60〜95モル%をピロリドン又はN‐アル
キルピロリドンに転換できることが好ましい。上記範囲
に転換することにより、昇温手段を備えた領域での反応
熱を有効に昇温に利用することができると共に、続く温
度保持手段を備えた領域での流体の均一な温度分布を容
易に可能とし、並びに短くかつ適切な全長を持つ管型反
応器にすることができる。上記下限未満では、続く温度
保持手段を備えた領域において、γ‐ヒドロキシブチル
アミド又はγ‐ヒドロキシブチルアルキルアミドの転換
が激しく生じて該領域での均一な温度分布が保てない。
上記上限を超えて反応させるためには、昇温手段を備え
た領域での滞留時間を長くとる必要が生じて、該領域を
長くせざるを得なくなる。
【0038】該管型反応器は、上記の全ての要件を備え
得るものであればよい。例えば、一本の管型反応器を流
体の流れ方向に沿って複数個の領域に分けて、夫々の領
域に反応器内を流れる流体の温度を独立して制御し得る
温度制御手段を設けて、これを昇温手段及び温度保持手
段としたもの、あるいは昇温手段として従来の二重管式
又は多重管式の熱交換器を用い、続く温度保持手段とし
て一本の管型反応器を流体の流れ方向に沿って複数個の
領域に分け又は分けずして、夫々の領域に反応器内を流
れる流体の温度を独立して制御し得る温度制御手段を設
けたもの等を使用することができる。
【0039】該管型反応器の寸法は、原料としてのγ‐
ブチロラクトン及びアンモニア又は第一級アルキルアミ
ンの供給量及びγ‐ヒドロキシブチルアミド又はγ‐ヒ
ドロキシブチルアルキルアミドからピロリドン又はN‐
アルキルピロリドンへの転換率、反応流体の粘度変化及
び比熱変化等に依存する。例えば、γ‐ブチロラクトン
31〜125kg/時間、モノメチルアミン10〜60
kg/時間及び水6〜80kg/時間の供給量におい
て、γ‐ヒドロキシブチルメチルアミドからN‐メチル
‐2‐ピロリドンへの転換率60〜約100モル%を達
成するには、1個の昇温手段及び2個の温度保持手段を
有し、かつ昇温手段を備えた領域の全長に亘ってインラ
インミキサーを備えた管型反応器において、昇温手段を
備えた領域が呼び径2〜4インチ×長さ5〜25mであ
り、かつ温度保持手段を備えた領域が夫々呼び径3〜6
インチ×長さ30〜100mである。上記供給量及び管
型反応器を用いて、かつ昇温手段を備えた領域の出口に
おける流体温度を200〜320℃、好ましくは250
〜300℃に制御すれば、昇温手段を備えた領域におけ
るγ‐ヒドロキシブチルアミド又はγ‐ヒドロキシブチ
ルメチルアミドの転換率を50〜98モル%とすること
ができて、続く温度保持手段を備えた領域の温度を20
0〜320℃、好ましくは250〜300℃にほぼ一定
に制御し得る。
【0040】上記の管型反応器を使用する方法におい
て、γ‐ブチロラクトンとアンモニア又は第一級アルキ
ルアミンとを反応させてγ‐ヒドロキシブチルアミド又
はγ‐ヒドロキシブチルアルキルアミドを得る工程の態
様に特に制限はない。好ましくはγ‐ブチロラクトンと
アンモニア又は第一級アルキルアミンとを水の存在下に
常温〜200℃で反応させて得られる。例えば、γ‐ブ
チロラクトン、アンモニア又は第一級アルキルアミン及
び水を、上記の管型反応器の上流に接続して設置された
インラインミキサーを内蔵する配管(処理量により異な
るが、例えば、上記の具体例に示したγ‐ブチロラクト
ン、モノメチルアミン及び水の供給量においては、呼び
径3〜5インチ×長さ5〜20m程度である)に常温〜
100℃で供給することにより容易に達成し得る。イン
ラインミキサーとしては、上記と同じものを使用するこ
とができる。
【0041】上記のようにして得られた反応混合物はま
ず、第一蒸留塔に供給される。第一蒸留塔では、水の全
量又は一部分、未反応のアンモニア又は第一級アルキル
アミン例えばモノメチルアミンの全量又は一部分、及び
その他の低沸点成分がその塔頂から留出される。このよ
うにして分離された水及び未反応のアンモニア又は第一
級アルキルアミンは、ピロリドン又はN‐アルキルピロ
リドンの反応工程にリサイクルすることができる。該リ
サイクルに際して、ピロリドン又はN‐アルキルピロリ
ドンの反応工程におけるアンモニア又は第一級アルキル
アミンと水との所定の比率に、該未反応のアンモニア又
は第一級アルキルアミンと水との比率を実質的に同等に
するために、該留出液を蒸留することができる。また、
第一蒸留塔で水の一部を留出させることにより、所定の
比率にすることもできる。
【0042】第一蒸留塔の塔底からは、高沸点成分と一
緒に第一蒸留塔への供給液中に含まれていたピロリドン
又はN‐アルキルピロリドンの一部を抜出す。該抜出し
量の上限は、第一蒸留塔への供給液中に含まれていたピ
ロリドン又はN‐アルキルピロリドン量の、好ましくは
15重量%、より好ましくは10重量%、特に好ましく
は5重量%に相当する量であり、下限は、好ましくは1
重量%、より好ましくは2重量%、特に好ましくは3重
量%に相当する量である。これにより、第一蒸留塔の塔
底においてγ‐ヒドロキシブチルアルキルアミド類の分
解を極力回避することができて、高純度のピロリドン又
はN‐アルキルピロリドンを得ることができる。ピロリ
ドン又はN‐アルキルピロリドンの抜出量が、上記下限
未満では、高純度のピロリドン又はN‐アルキルピロリ
ドンを得ることができず、上記上限を超えては、生産効
率が低下する。該塔底抜出液は反応工程へリサイクルす
ることができる。反応工程へリサイクルする場合には、
該塔底抜出液から、高沸点成分の一部を除去することが
好ましい。該高沸点成分の除去は、第一蒸留塔底抜出液
に含まれるピロリドン又はN‐アルキルピロリドンの好
ましくは1〜20重量%、特に好ましくは5〜10重量
%を高沸点留分と共に除去するように行う。これによ
り、高沸点留分がピロリドン又はN‐アルキルピロリド
ンの反応工程又は精製工程に濃縮することを防止し得
る。
【0043】第一蒸留塔の側流として、残りのピロリド
ン又はN‐アルキルピロリドンが抜き出される。
【0044】第一蒸留塔では、塔底における塔底液の平
均滞留時間の上限が好ましくは8時間、より好ましくは5
時間、特に好ましくは4時間であり、かつ下限は好まし
くは10分間、より好ましくは30分間である。該平均滞留
時間が上記上限を超えては、供給液中に含まれるγ‐ヒ
ドロキシブチルアミド又はγ‐ヒドロキシブチルアルキ
ルアミドの分解を十分に抑制できず、回収されたピロリ
ドン又はN‐アルキルピロリドンの純度が低下する。上
記下限未満では、蒸留塔の塔底液位の制御が困難となり
好ましくない。
【0045】第一蒸留塔における塔底液の温度は、上限
が好ましくは150℃、より好ましくは140℃であ
り、下限が好ましくは100℃、より好ましくは110
℃である。上記上限を超えては、回収されたピロリドン
又はN‐アルキルピロリドンの純度が低下する。上記下
限未満では、蒸留塔内を減圧にするためのユーティリテ
ィーコストが著しく増大し好ましくない。第一蒸留塔の
圧力は、上記の塔底液温度及び塔頂温度等に依存する
が、好ましくは5〜300mmHg、更に好ましくは1
0〜200mmHg、特に好ましくは15〜150mm
Hgである。第一蒸留塔の塔頂温度は圧力及び塔頂留分
の組成に依存して決定されるが、好ましくは30〜75
℃である。上記下限未満では、特別の冷却装置が必要と
なり装置コストが高くなる。
【0046】第一蒸留塔の側流として抜出されたピロリ
ドン又はN‐アルキルピロリドンを含む留出液は次い
で、第二蒸留塔に供給される。第二蒸留塔においては、
第一蒸留塔で除去されなかった水及び/又は未反応のア
ンモニア若しくは第一級アルキルアミンが存在していれ
ば、それらの水及び/又は未反応のアンモニア若しくは
第一級アルキルアミンの全量又は一部分、及びその他の
低沸点成分が存在していればその全量又は一部分、更に
ピロリドン又はN‐アルキルピロリドンの一部分が塔頂
から留出される。ここで、塔頂から留出されるピロリド
ン又はN‐アルキルピロリドン量の上限は、第二蒸留塔
への供給液中に含まれていたピロリドン又はN‐アルキ
ルピロリドンの量の好ましくは2重量%、より好ましく
は1重量%に相当する量である。上記上限を超えては、
生産効率が低下する。該塔頂留出液は第一蒸留塔、好ま
しくは第一蒸留塔の供給物にリサイクルすることができ
る。これにより、ピロリドン又はN‐アルキルピロリド
ンの損失を低減することができる。
【0047】第二蒸留塔の塔底からは、微量の高沸点成
分と一緒に第二蒸留塔への供給液中に含まれていたピロ
リドン又はN‐アルキルピロリドンの一部を抜出す。該
抜出し量の上限は、第二蒸留塔への供給液中に含まれて
いたピロリドン又はN‐アルキルピロリドン量の、好ま
しくは10重量%、より好ましくは5重量%に相当する
量であり、下限は、好ましくは1重量%、より好ましく
は2重量%に相当する量である。これにより、第二蒸留
塔の塔底においてγ‐ヒドロキシブチルアルキルアミド
類の分解を極力回避することができて、塩基性不純物の
含有量が極めて少なく、かつ超高純度のピロリドン又は
N‐アルキルピロリドンを得ることができる。ピロリド
ン又はN‐アルキルピロリドンの抜出量が、上記下限未
満では、塩基性不純物の含有量が増加し、かつ高純度の
ピロリドン又はN‐アルキルピロリドンを得ることがで
きない。上記上限を超えては、生産効率が低下する。該
塔底抜出液は第一蒸留塔、好ましくは第一蒸留塔の供給
位置と塔底との間の任意の位置、より好ましくは第一蒸
留塔の供給位置と塔底との中間にリサイクルすることが
できる。これにより、ピロリドン又はN‐アルキルピロ
リドンの損失を低減することができる。
【0048】そして、第二蒸留塔の側流から、製品とし
て、塩基性不純物の含有量が極めて少なく、かつ高純度
のピロリドン又はN‐アルキルピロリドンが得られる。
【0049】第二蒸留塔では、塔底における塔底液の平
均滞留時間の上限が好ましくは8時間、より好ましくは5
時間、特に好ましくは4時間であり、かつ下限は好まし
くは10分間、より好ましくは30分間である。該平均滞留
時間が上記上限を超えては、供給液中に含まれるγ‐ヒ
ドロキシブチルアミド又はγ‐ヒドロキシブチルアルキ
ルアミドの分解を抑制できず、回収されたピロリドン又
はN‐アルキルピロリドンの純度が低下すると共に、塩
基性物質の増加を招く。上記下限未満では、蒸留塔の塔
底液位の制御が困難となり好ましくない。
【0050】第二蒸留塔における塔底液の温度は、上限
が好ましくは150℃、より好ましくは130℃、特に
好ましくは120℃であり、下限が好ましくは90℃、
より好ましくは100℃である。上記上限を超えては、
回収されたピロリドン又はN‐アルキルピロリドンの純
度が低下する。上記下限未満では、蒸留塔内を減圧にす
るためのユーティリティーコストが著しく増大し好まし
くない。第二蒸留塔の圧力は、上記の塔底液温度及び塔
頂温度等に依存するが、好ましくは5〜300mmH
g、更に好ましくは10〜200mmHg、特に好まし
くは15〜100mmHgである。第二蒸留塔の塔頂温
度は圧力及び塔頂留分の組成に依存して決定されるが、
好ましくは80〜150℃である。このようにして得ら
れた製品としてのピロリドン又はN‐アルキルピロリド
ンに含まれるγ‐ブチロラクトン量は極めて少なく、製
品の全重量に対して0.01重量%以下である。また、
塩基性物質、例えば、モノメチルアミン、トリメチルア
ミン等の量は、製品の全重量に対して、好ましくは2重
量ppm以下、特に好ましくは1重量ppm以下であ
る。該製品ピロリドン又はN‐アルキルピロリドンの経
時着色(APHA経時変化)は、製造後7日間で全くな
い。
【0051】第一蒸留塔及び第二蒸留塔としては、上記
の各条件を達成し得るものであれば公知のいずれの蒸留
塔をも使用することができる。好ましくは、塔底液の平
均滞留時間を短くし得る形状等を有するもの、例えば、
塔底部分の直径が他の部分より小さい形状を有する蒸留
塔、塔底部分にイナートボール等の充填物を備える蒸留
塔等が使用される。更に、リボイラーとして、フォーリ
ングフィルムタイプのリボイラー、スパイラルタイプの
リボイラー等を使用することにより、塔底液の平均滞留
時間を短くすることができる。
【0052】以下、本発明を実施例により更に詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。
【0053】
【実施例】実施例及び比較例において、ガスクロマトグ
ラフィー分析は下記の条件により実施した。 型式:GC−14B 株式会社 島津製作所製 カラム:DB−1キャピラリー(J&W社製) GC感度:101 検出器:FID
【0054】
【実施例1】γ‐ブチロラクトン/モノメチルアミン/
水のモル比が1.00/1.02/2.64である原料液を、管型反
応器へと続く供給配管にポンプにより送液した。該配管
を18分間かけて通過せしめてγ‐ヒドロキシブチルメ
チルアミドの生成反応を行った。次いで、このγ‐ヒド
ロキシブチルメチルアミドに転換された流体を、1個の
昇温手段と1個の温度保持手段を有し、かつ該昇温手段
を備えた領域の反応器内部の全長に亘ってインラインミ
キサーを備えた管型反応器に導入した。管型反応器の前
半部分の昇温手段を備えた領域において、反応器に沿わ
せて設置した電気ヒーターにより、滞留時間15分で該
流体を300℃まで昇温した。続いて管型反応器の後半
部分の温度保持手段を備えた領域を、反応器に沿わせて
設置した電気ヒーターで加熱して流体温度を300℃一
定に温度を保持し、2時間10分滞留させた。反応によ
りγ‐ヒドロキシブチルメチルアミドからN−メチルー
2−ピロリドンへの全体の転換率は99.5モル%以上
であり、反応混合物中の高沸点成分は0.03重量%で
あった。
【0055】該反応混合物を第一蒸留塔に供給した。第
一蒸留塔における蒸留条件は、70mmHgの減圧下、
塔頂温度約38℃、塔底温度約128℃、還流比4とし
た。第一蒸留塔の塔底における塔底液の平均滞留時間は
約1時間とした。第一蒸留塔の供給液中に含まれていた
N−メチル−2−ピロリドンの5重量%に相当する量の
N−メチル−2−ピロリドンと共に高沸点成分を塔底よ
り抜出し、塔頂より水及び低沸点成分を除去した。第一
蒸留塔の側流からは、1重量%の水を含むN−メチル−
2−ピロリドンを抜出した。
【0056】次いで、得られた第一蒸留塔の側流を第二
蒸留塔に供給した。第二蒸留塔における蒸留条件は、2
0mmHgの減圧下、塔頂温度約90℃、塔底温度約1
01℃、還流比2とした。第二蒸留塔の塔底における塔
底液の平均滞留時間は約3時間とした。第二蒸留塔の供
給液中に含まれていたN−メチル−2−ピロリドンの1
重量%に相当する量のN−メチル−2−ピロリドンを含
む留出液を塔頂より抜出し、第一蒸留塔の供給液に再循
環した。また、第二蒸留塔の供給液中に含まれていたN
−メチル−2−ピロリドンの3重量%に相当する量のN
−メチル−2−ピロリドンを含む塔底液を抜出し、第一
蒸留塔の供給位置と塔底との中間に再循環した。残部の
N−メチル−2−ピロリドンは側流より製品として抜出
した。
【0057】この製品はガスクロマトグラフィーによる
分析の結果、N−メチル−2−ピロリドンの純度は99.9
96重量%であり、塩酸による滴定の結果、0.8重量ppmの
塩基性不純物が含まれていた。
【0058】
【実施例2】管型反応器の前半部分の昇温手段を備えた
領域において、反応器に沿わせて設置した電気ヒーター
により、滞留時間18分で該流体を250℃まで昇温
し、続いて管型反応器の後半部分の温度保持手段を備え
た領域を、反応器に沿わせて設置した電気ヒーターで加
熱して流体温度を250℃一定に温度を保持し、2時間
36分滞留させた以外は実施例1と同様にして実施し
た。反応によりγ‐ヒドロキシブチルメチルアミドから
N−メチル−2−ピロリドンへの全体の転換率は99.5モ
ル%以上であり、反応混合物中の高沸点成分は0.04重量
%であった。
【0059】蒸留により精製した後の製品純度は、ガス
クロマトグラフィーによる分析の結果、99.994重量%で
あり、塩酸による滴定の結果、0.9重量ppmの塩基性不純
物が含まれていた。
【0060】
【実施例3】実施例1と同一にして反応せしめて、N−
メチルー2−ピロリドンを含む反応混合物を得た。
【0061】第一蒸留塔の塔底における塔底液の平均滞
留時間を30分間とし、第一蒸留塔の供給液中に含まれ
ていたN−メチルー2−ピロリドンの10重量%に相当
する量のN−メチルー2−ピロリドンと共に高沸点成分
を塔底より抜き出した以外は実施例1と同様にして実施
した。
【0062】蒸留により精製した後の製品純度は、ガス
クロマトグラフによる分析の結果、99.997重量%であ
り、塩酸による滴定の結果、0.6重量ppmの塩基性不純物
が含まれていた。
【0063】
【実施例4】実施例1と同一にして反応せしめて、N−
メチルー2−ピロリドンを含む反応混合物を得た。
【0064】第二蒸留塔の塔底における塔底液の平均滞
留時間を1.5時間とし、第二蒸留塔の供給液中に含ま
れていたN−メチルー2−ピロリドンの5重量%に相当
する量のN−メチルー2−ピロリドンと共に高沸点成分
を塔底より抜き出した以外は実施例1と同様にして実施
した。
【0065】蒸留により精製した後の製品純度は、ガス
クロマトグラフによる分析の結果、99.997重量%であ
り、塩酸による滴定の結果、0.7重量ppmの塩基性不純物
が含まれていた。
【0066】
【比較例1】実施例1と同一にして反応せしめて、N−
メチルー2−ピロリドンを含む反応混合物を得た。
【0067】該反応混合物を第一蒸留塔に供給し、常圧
下、塔頂温度約53℃、塔底温度約107℃で蒸留し、
塔頂よりメチルアミン等の軽質成分を抜出し、塔底より
N−メチル−2−ピロリドンを含む塔底液を回収して、
これを第二蒸留塔に供給した。第二蒸留塔における蒸留
条件は、70mmHgの減圧下、塔頂温度約45℃、塔底温
度約128℃、還流比4とした。塔頂より水及び軽質成
分を抜出し、塔底よりN−メチル−2−ピロリドンを含
む塔底液を回収して、これを第三蒸留塔に供給した。第
三蒸留塔における蒸留条件は、20mmHgの減圧下、塔頂
温度約95℃、塔底温度約104℃、還流比2とした。
第三蒸留塔の供給液中に含まれていたN−メチル−2−
ピロリドンの5重量%に相当する量のN−メチル−2−
ピロリドンと共に高沸点成分を塔底より抜出し、塔頂よ
りN−メチル−2−ピロリドンを製品として抜出した。
【0068】この製品はガスクロマトグラフによる分析
の結果、純度は99.983重量%であり、塩酸による滴定の
結果、23重量ppmの塩基性不純物が含まれていた。
【0069】
【比較例2】実施例1と同一にして反応せしめて、N−
メチルー2−ピロリドンを含む反応混合物を得た。
【0070】該反応混合物を第一蒸留塔に供給し、常圧
下、塔頂温度約53℃、塔底温度約107℃で蒸留し、
塔頂よりメチルアミン等の軽質成分を抜出し、塔底より
N−メチル−2−ピロリドンを含む塔底液を回収して、
これを第二蒸留塔に供給した。第二蒸留塔における蒸留
条件は、70mmHgの減圧下、塔頂温度約44℃、塔底温
度約126℃、還流比4とした。塔頂より水及び軽質成
分を抜出し、塔底より1重量%の水を含むN−メチル−
2−ピロリドンを回収して、これを第三蒸留塔に供給し
た。第三蒸留塔における蒸留条件は、20mmHgの減圧
下、塔頂温度約34℃、塔底温度約104℃、還流比2
とした。第三蒸留塔の供給液中に含まれていたN−メチ
ル−2−ピロリドンの1重量%に相当する量のN−メチ
ル−2−ピロリドンを含む留出液を塔頂より抜出し、、
第二蒸留塔の供給液に再循環し、また第三蒸留塔の供給
液中に含まれていたN−メチル−2−ピロリドンの5重
量%に相当する量のN−メチル−2−ピロリドンと共に
高沸点成分を塔底より抜出し、残部のN−メチル−2−
ピロリドンを原料供給位置と塔頂との中間の側流より製
品として抜出した。
【0071】この製品はガスクロマトグラフによる分析
の結果、純度は99.985重量%であり、また、塩酸による
滴定の結果、8重量ppmの塩基性不純物が含まれていた。
【0072】
【比較例3】実施例1と同一にして反応せしめて、N−
メチルー2−ピロリドンを含む反応混合物を得た。
【0073】該反応混合物を第一蒸留塔に供給し、常圧
下、塔頂温度約53℃、塔底温度約107℃で蒸留し、
塔頂よりメチルアミン等の軽質成分を抜出し、塔底より
N−メチル−2−ピロリドンを含む塔底液を回収して、
これを第二蒸留塔に供給した。第二蒸留塔における蒸留
条件は、70mmHgの減圧下、塔頂温度約91℃、塔底温
度約128℃、還流比2とした。第二蒸留塔の供給液中
に含まれていたN−メチル−2−ピロリドンの5重量%
に相当する量のN−メチル−2−ピロリドンと共に高沸
点成分を塔底より抜出し、塔頂より水及び残部のN−メ
チル−2−ピロリドンを回収し、これを第三蒸留塔に供
給した。第三蒸留塔における蒸留条件は、20mmHgの減
圧下、塔頂温度約25℃、塔底温度約106℃、還流比
4とした。塔頂より水などの低沸点成分を抜出し、第三
蒸留塔の供給液中に含まれていたN−メチル−2−ピロ
リドンの1重量%に相当する量のN−メチル−2−ピロ
リドンと共に高沸点成分を塔底より抜出し、残部のN−
メチル−2−ピロリドンを原料供給位置と塔底との中間
の側流より製品として抜出した。この製品はガスクロマ
トグラフによる分析の結果、純度は99.988重量%であ
り、また、塩酸による滴定の結果、5 mass ppm の塩基
性不純物が含まれていた。
【0074】
【比較例4】実施例1と同一にして反応せしめて、N−
メチルー2−ピロリドンを含む反応混合物を得た。
【0075】第一蒸留塔の塔底における塔底液の平均滞
留時間を24時間とし、第一蒸留塔の供給液中に含まれ
ていたN−メチルー2−ピロリドンの0.2重量%に相
当する量のN−メチルー2−ピロリドンと共に高沸点成
分を塔底より抜き出し、第二蒸留塔の塔底における塔底
液の平均滞留時間を18時間とし、第二蒸留塔の供給液
中に含まれていたN−メチルー2−ピロリドンの0.5重
量%に相当する量のN−メチルー2−ピロリドンと共に
高沸点成分を塔底より抜き出した以外は実施例1と同様
にして実施した。
【0076】蒸留により精製した後の製品純度は、ガス
クロマトグラフによる分析の結果、99.997重量%であ
り、塩酸による滴定の結果、4重量ppmの塩基性不純物が
含まれていた。
【0077】実施例1は、本発明の方法によりN−メチ
ルー2−ピロリドンを製造したものである。N−メチル
ー2−ピロリドンの純度は極めて高く、かつ塩基性不純
物含有量も極めて低いものであった。実施例2は、γ‐
ブチロラクトンとモノメチルアミンとの反応温度を本発
明の好ましい反応温度の範囲内で下げたものである。反
応混合物中の高沸点成分の量は若干増加したが、得られ
たN−メチルー2−ピロリドンの純度は極めて高く、か
つ塩基性不純物含有量も極めて低いものであった。実施
例3は、第一蒸留塔の塔底からのN−メチル−2−ピロ
リドンの抜き出し量を本発明の範囲内で増加させたもの
である。N−メチル−2−ピロリドンの純度は増加し、
かつ塩基性不純物含有量は減少した。実施例4は、第二
蒸留塔の塔底からのN−メチル−2−ピロリドンの抜き
出し量を本発明の範囲内で増加させたものである。実施
例3と同様にN−メチル−2−ピロリドンの純度は増加
し、かつ塩基性不純物含有量は減少した。
【0078】一方、比較例1は、従来から行われている
蒸留方法を使用して、第三蒸留塔の塔頂からN−メチル
ー2−ピロリドンを回収したものである。実施例1と同
一の反応混合物を使用したにもかかわらず、得られたN
−メチルー2−ピロリドンの純度はかなり低く、かつ塩
基性不純物含有量も著しく多いものであった。比較例2
は、特開平6−228089号公報記載の方法と同様に
して実施したものである。ここでは実施例1との比較を
明確にするため、第三蒸留塔へ供給されるN−メチルー
2−ピロリドンの水の含有量を1重量%とし、かつ第三
蒸留塔の塔頂からN−メチルー2−ピロリドンの一部を
抜き出したものである。実施例1と同一の反応混合物を
使用したにもかかわらず、得られたN−メチルー2−ピ
ロリドンの純度はかなり低く、かつ塩基性不純物含有量
も著しく多いものであった。比較例3は、特開平6−2
28088号公報記載の方法と同様にして実施したもの
である。実施例1と同一の反応混合物を使用したにもか
かわらず、得られたN−メチルー2−ピロリドンの純度
はかなり低く、かつ塩基性不純物含有量も著しく多いも
のであった。比較例4は、実施例1と同一の反応混合物
を使用して、第一蒸留塔及び第二蒸留塔の塔底からのN
−メチル−2−ピロリドンの抜き出し量を本発明の範囲
未満にしたものである。N−メチル−2−ピロリドンの
純度は実施例1とほぼ同じであったが、塩基性不純物の
含有量は著しく高いものであった。
【0079】
【実施例5】γ‐ブチロラクトン/モノメチルアミン/
水のモル比が1.00/1.50/3.88である原料液を、管型反
応器へと続く供給配管にポンプにより送液した以外は実
施例1と同様にして実施した。反応によりγ‐ヒドロキ
シブチルメチルアミドからN−メチル−2−ピロリドン
への全体の転換率は99.5モル%以上であり、反応混
合物中の高沸点成分は0.20重量%であった。蒸留に
より精製した後の製品純度は、ガスクロマトグラフによ
る分析の結果、99.972重量%であり、塩酸による滴定の
結果、7重量ppmの塩基性不純物が含まれていた。
【0080】
【実施例6】γ‐ブチロラクトン/モノメチルアミン/
水のモル比が1.00/1.50/2.64である原料液を、管型反
応器へと続く供給配管にポンプにより送液した以外は実
施例1と同様にして実施した。反応によりγ‐ヒドロキ
シブチルメチルアミドからN−メチル−2−ピロリドン
への全体の転換率は99.5モル%以上であり、反応混
合物中の高沸点成分は0.24重量%であった。蒸留に
より精製した後の製品純度は、ガスクロマトグラフによ
る分析の結果、99.969重量%であり、塩酸による滴定の
結果、11 重量ppm の塩基性不純物が含まれていた。
【0081】
【実施例7】γ‐ブチロラクトン/モノメチルアミン/
水のモル比が1.00/1.02/5.00である原料液を、管型反
応器へと続く供給配管にポンプにより送液した以外は実
施例1と同様にして実施した。反応によりγ‐ヒドロキ
シブチルメチルアミドからN−メチル−2−ピロリドン
への全体の転換率は99.5モル%以上であり、反応混
合物中の高沸点成分は0.12重量%であった。蒸留に
より精製した後の製品純度は、ガスクロマトグラフによ
る分析の結果、99.985重量%であり、塩酸による滴定の
結果、6重量ppmの塩基性不純物が含まれていた。
【0082】
【実施例8】管型反応器の前半部分の昇温手段を備えた
領域において、反応器に沿わせて設置した電気ヒーター
により、滞留時間19分で該流体を240℃まで昇温
し、続いて管型反応器の後半部分の温度保持手段を備え
た領域を、反応器に沿わせて設置した電気ヒーターで加
熱して流体温度を240℃一定に温度を保持し、2時間
42分滞留させた以外は実施例1と同様にして実施し
た。反応によりγ−ヒドロキシブチルメチルアミドから
N−メチルー2−ピロリドンへの全体の転換率は98.7モ
ル%であり、反応混合物中の高沸点成分は1.12重量%で
あった。蒸留により精製した後の製品純度は、ガスクロ
マトグラフによる分析の結果、99.843重量%であり、塩
酸による滴定の結果、5 重量ppm の塩基性不純物が含ま
れていた。
【0083】
【比較例5】実施例6と同一にして反応せしめて、N−
メチル−2−ピロリドンを含む反応混合物を得た。第一
蒸留塔の塔底温度を103℃とした以外は比較例1と同
一にしてN−メチル−2−ピロリドンを精製した。蒸留
により精製した後の製品純度は、ガスクロマトグラフに
よる分析の結果、99.917重量%であり、塩酸による滴定
の結果、72重量ppmの塩基性不純物が含まれていた。
【0084】
【比較例6】実施例6と同一にして反応せしめて、N−
メチル−2−ピロリドンを含む反応混合物を得た。第一
蒸留塔の塔底温度を103℃とした以外は比較例2と同
一にしてN−メチル−2−ピロリドンを精製した。蒸留
により精製した後の製品純度は、ガスクロマトグラフに
よる分析の結果、99.934重量%であり、塩酸による滴定
の結果、25重量ppmの塩基性不純物が含まれていた。
【0085】
【比較例7】実施例6と同一にして反応せしめて、N−
メチル−2−ピロリドンを含む反応混合物を得た。第一
蒸留塔の塔底温度を103℃とした以外は比較例3と同
一にしてN−メチル−2−ピロリドンを精製した。
【0086】蒸留により精製した後の製品純度は、ガス
クロマトグラフによる分析の結果、99.947重量%であ
り、塩酸による滴定の結果、16重量pmの塩基性不純物が
含まれていた。
【0087】実施例5は、γ‐ブチロラクトンに対する
モノメチルアミンのモル比及び水のモル比の両者を、本
発明の好ましい反応条件の範囲外にしたものである。得
られた反応混合物中の高沸点成分の量は著しく増加した
が、本発明の方法により蒸留すると公知の蒸留法と比較
してN−メチルー2−ピロリドンの純度を高くでき、か
つ塩基性不純物含有量を低減できることが分かった。実
施例6は、γ‐ブチロラクトンに対するモノメチルアミ
ンのモル比のみを、本発明の好ましい反応条件の範囲外
にしたものであり、実施例7は、γ‐ブチロラクトンに
対する水のモル比のみを、本発明の好ましい反応条件の
範囲外にしたものである。いずれも実施例5と同様の結
果が得られた。実施例8は、γ‐ブチロラクトンとモノ
メチルアミンとの反応温度を本発明の好ましい反応温度
の範囲外まで下げたものである。得られた反応混合物中
の高沸点成分の量は著しく増加したが、本発明の方法に
より蒸留するとN−メチルー2−ピロリドンの純度を高
くでき、かつ塩基性不純物含有量を低減できることが分
かった。
【0088】一方、比較例5は、γ‐ブチロラクトンに
対するモノメチルアミンのモル比のみを、本発明の好ま
しい反応条件の範囲外にして製造した実施例6の反応混
合物を使用し、かつ従来から行われている蒸留方法を使
用して、第三蒸留塔の塔頂からN−メチルー2−ピロリ
ドンを回収したものである。実施例6に比べて、得られ
たN−メチルー2−ピロリドンの純度は低く、かつ塩基
性不純物含有量は著しく多いものであった。比較例6
は、同様に実施例6の反応混合物を使用して、特開平6
−228089号公報記載の方法と同様にして実施した
ものである。やはり、得られたN−メチルー2−ピロリ
ドンの純度は低く、かつ塩基性不純物含有量は著しく多
いものであった。比較例7は、同様に実施例6の反応混
合物を使用して、特開平6−228088号公報記載の
方法と同様にして実施したものである。得られたN−メ
チルー2−ピロリドンの純度は低く、かつ塩基性不純物
含有量は多いものであり許容できる範囲のものではなか
った。このように、本発明の方法を使用すれば、比較的
不純物を多く含むN−メチルー2−ピロリドンであって
も、従来法に比べて、N−メチルー2−ピロリドンの純
度をかなり高くでき、かつ塩基性不純物含有量をより少
なくすることができる。
【0089】
【発明の効果】本発明は、蒸留中にγ‐ヒドロキシブチ
ルアミド又はγ‐ヒドロキシブチルアルキルアミドの分
解が殆どなく、従って、塩基性不純物の含有量が極めて
少なく、かつ超高純度のピロリドン又はN‐アルキルピ
ロリドンを得ることができる方法を提供するものであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸原 克治 神奈川県横浜市港南区芹が谷5−25−1− 143 Fターム(参考) 4C069 AB11 AB12

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 γ‐ブチロラクトンとアンモニア又は第
    一級アルキルアミンとを水の存在下に反応させてピロリ
    ドン又はN‐アルキルピロリドンを製造する方法におい
    て、γ‐ブチロラクトンとアンモニア又は第一級アルキ
    ルアミンとを水の存在下に加熱して反応させ、得た反応
    混合物を第一蒸留塔に供給して、塔頂から水及び未反応
    のアンモニア又は第一級アルキルアミンを含む低沸点成
    分を留出させ、かつ第一蒸留塔への供給物中に含まれて
    いたピロリドン又はN‐アルキルピロリドンの1〜15
    重量%に相当する量のピロリドン又はN‐アルキルピロ
    リドンを塔底から抜き出し、更に、ピロリドン又はN‐
    アルキルピロリドンを含む側流を得て、次いで、該側流
    を第二蒸留塔に供給し、水及び/又は未反応のアンモニ
    ア若しくは第一級アルキルアミンを含む低沸点成分及び
    /又はピロリドン若しくはN‐アルキルピロリドンの一
    部を塔頂から留出させ、かつ第二蒸留塔への供給液中に
    含まれていたピロリドン又はN‐アルキルピロリドンの
    1〜10重量%に相当する量のピロリドン又はN‐アル
    キルピロリドンを塔底から抜き出し、一方、残部のピロ
    リドン又はN‐アルキルピロリドンを側流として抜き出
    すことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 γ‐ブチロラクトンとアンモニア又は第
    一級アルキルアミンとを水の存在下に加熱して得た反応
    混合物が、γ‐ブチロラクトンとアンモニア又は第一級
    アルキルアミンとを反応させてγ‐ヒドロキシブチルア
    ミド又はγ‐ヒドロキシブチルアルキルアミドを得て、
    次いで該γ‐ヒドロキシブチルアミド又はγ‐ヒドロキ
    シブチルアルキルアミドを、反応器内を流れる流体の温
    度を独立して制御し得る複数個の温度制御手段を該流体
    流れ方向に沿って備えているところの管型反応器を通し
    て得られたものであるところの請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 γ‐ブチロラクトンとアンモニア又は第
    一級アルキルアミンとを水の存在下に加熱して得た反応
    混合物が、γ‐ブチロラクトンと、γ‐ブチロラクトン
    1モルに対して1.01〜1.20モルのアンモニア又
    は第一級アルキルアミンとを、γ‐ブチロラクトン1モ
    ルに対して1.0〜2.9モルの水の存在下に250〜
    300℃で加熱して得た反応混合物である請求項1又は
    2記載の方法。
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