JP2001300169A - 二重環縫いミシン - Google Patents

二重環縫いミシン

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JP2001300169A
JP2001300169A JP2000125183A JP2000125183A JP2001300169A JP 2001300169 A JP2001300169 A JP 2001300169A JP 2000125183 A JP2000125183 A JP 2000125183A JP 2000125183 A JP2000125183 A JP 2000125183A JP 2001300169 A JP2001300169 A JP 2001300169A
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JP
Japan
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thread
tension
needle
thread tension
looper
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JP2000125183A
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English (en)
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Katsuhiko Iwai
勝彦 岩井
Takashi Mizusaki
隆 水崎
Masato Okabe
正人 岡部
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Yamato Sewing Machine Mfg Co Ltd
Original Assignee
Yamato Sewing Machine Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低コストで、糸調子を切換えることができる
二重環縫いミシンを提供することである。 【解決手段】 二重環縫いミシン30の糸張力装置60
は、糸緩め板102を上下に移動可能であり、上方に移
動させると、針糸77の張力が緊張状態となり、ルーパ
糸79の張力が弛緩状態となる第1の糸調子となり、糸
緩め板102を下方に移動させると、針糸77が弛緩状
態となり、ルーパ糸79が緊張状態となる第2の糸調子
となる。押え37を上昇させると、これに連動して糸緩
め板102が上方に移動し、糸調子が第1の糸調子に切
換わる。操作レバー220を操作すると、糸緩め板10
2が下方に移動し、第2の糸調子に切換わる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二重環縫いミシン
に関し、特に、糸調子の変更可能な二重環縫いミシンに
関する。
【0002】
【従来の技術】二重環縫いミシンで複数枚の生地を連続
して縫製する場合、生地と生地との間に間隔をあけ、生
地と生地との間に空環(からかん)と呼ばれる縫い目の
連なりを形成して連続して縫製作業を行う場合がある。
【0003】縫製時には、針糸が緊張状態となり、ルー
パ糸が弛緩状態となる糸調子で縫製するが、空環形成時
には、針糸が弛緩状態となり、ルーパ糸が緊張状態とな
る糸調子とする。このように針糸とルーパ糸の糸調子の
切換えは、糸張力装置によって行われる。
【0004】糸張力装置は、針糸およびルーパ糸を挟持
する一対の糸調子皿、および一対の糸調子皿間で移動自
在に設けられ、一対の糸緩め爪を有する糸緩め板を有す
る。各糸は、糸調子皿に挟持されている状態では、緊張
状態となっており、糸緩め板の糸緩め爪が挿入される
と、弛緩状態となる。つまり、糸緩め板は2位置間で移
動可能に設けられ、一方側にあるときには、針糸側の糸
調子皿に一方の糸緩め爪が挿入されて針糸が弛緩状態と
なり、ルーパ糸側の糸調子皿には他方の糸緩め爪が挿入
されずルーパ糸が緊張状態となる。反対に、糸緩め板が
他方側にあるときには、針糸側の糸調子皿には一方の糸
緩め爪が挿入されず、針糸が緊張状態となり、ルーパ糸
側の糸調子皿には他方の糸緩め爪が挿入され、ルーパ糸
が弛緩状態となる。
【0005】したがって、糸緩め板を移動させることに
よって、糸調子を切換えることができる。この糸緩め板
はエアシリンダまたはソレノイドで駆動される。
【0006】また、このような糸調子の切換えは、生地
の縫製と空環形成とを行う場合に限らず、縫製時に、生
地の厚みが変わる場合などにも、糸調子を切換える場合
がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】糸調子の切換えは、縫
製のタイミングに合わせて行う必要があるため、高精度
の制御を行う必要があり、そのため、糸緩め板を駆動す
るエアシリンダまたはソレノイドを電子制御する必要が
ある。また、ミシンの運針のタイミングに合わせて糸調
子を切換えるためには、モータも電子制御可能な電子モ
ータを用いる必要がある。
【0008】しかしながら、このように電子モータを用
い、ミシン全体を電子制御すると、製造コストが高くな
るといった問題を有する。
【0009】本発明の目的は、低コストで、糸調子を切
換えることができる二重環縫いミシンを提供することで
ある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、針糸とルーパ糸とによって縫い目を形成する二重環
縫いミシンにおいて、針糸の張力を、緊張状態と弛緩状
態とに切換える針糸調子部と、ルーパ糸の張力を、緊張
状態と弛緩状態とに切換えるルーパ糸調子部と、針糸調
子部とルーパ糸調子部との間で往復動し、一方側にある
とき、針糸およびルーパ糸の張力の組み合わせである第
1の糸調子とし、他方側にあるとき、針糸およびルーパ
糸の張力の組み合わせである糸調子を、前記第1の糸調
子とは異なる第2の糸調子とする糸調子切換え部材と、
糸調子切換え部材を人力で往復動させる往復移動機構と
を有することを特徴とする二重環縫いミシンである。
【0011】本発明に従えば、糸調子切換え部材を移動
させることによって、針糸とルーパ糸の糸調子の状態を
第1の糸調子と第2の糸調子とに切換えることができ
る。この糸調子切換え部材は、人力で往復動させる往復
移動機構によって移動する構成となっているので、オペ
レータが任意のタイミングで糸調子を切換えることがで
きる。したがって、従来技術のように電子制御する必要
がないので、モータも安価なクラッチモータで済み、全
体のコストを大きく削減することができる。
【0012】請求項2記載の本発明は、縫製時に生地を
押さえる押えを人力で上昇させる機構を有し、前記糸調
子切換え部材は、押えの上昇に連動して移動し、第1ま
たは第2のいずれか一方の糸調子から他方の糸調子に切
換わることを特徴とする。
【0013】ミシンには、たとえば脚踏みペダルなど、
人力で押えを上昇させる機構を備える。この機構に連動
して、糸調子切換え部材が移動するように構成すること
によって、別途に装置を組み込むことなく、既存の機構
を利用して、糸調子切換え部材を人力で移動させること
ができる。
【0014】また、押えの上昇は、たとえば縫い始めな
ど、生地を送りこむときに上昇させる。つまり、空環形
成時から通常縫製時に切換わるときに押えを上昇させ
る。従って、この押えの上昇に連動して糸調子切換え部
材を移動させるように構成することによって、縫製開始
のタイミングに合わせて縫製時の糸調子に自動に切換え
ることができる。
【0015】請求項3記載の本発明は、押えの上昇に連
動して他方の糸調子に切換わった糸調子切換え部を、人
力で一方の糸調子に戻す機構を有することを特徴とす
る。
【0016】前述した請求項2の構成では、押えに連動
して糸調子切換え部材を移動させることによって、縫製
開始時に糸調子が切換わるように構成した。本発明で
は、人力で糸調子切換え部材を一方の状態に戻す機構を
設けたので、オペレータが目で生地縫製の終了を確認し
たとき、糸調子切換え部材を空環形成時の状態に切換え
ることができる。
【0017】請求項4記載の本発明は、糸調子切換え部
材を一方側および他方側に弾発的に保持するストッパを
有することを特徴とする。
【0018】本発明に従えば、糸調子切換え部材は2位
置に弾発的に保持されるので、作業時の振動などによっ
て、容易に糸調子切換え部材が移動することがない。ま
た、糸調子の切換えは、弾発力に抗して糸調子切換え部
材を移動させるだけであり、複雑な操作を要しない。
【0019】請求項5記載の本発明は、前記第1の糸調
子は、針糸を緊張状態とし、ルーパ糸を弛緩状態とする
状態であり、前記第2の糸調子は、針糸を弛緩状態と
し、ルーパ糸を緊張状態とする状態であることを特徴と
する。
【0020】本発明に従えば、たとえば第1の糸調子で
は生地縫製を行い、第2の糸調子では、空環形成を行う
ことによって、縄状の空環をスムーズに形成することが
できる。
【0021】糸調子の切換えは、このような形態にかか
わらず、たとえば縫製する生地の厚みが変化するときな
ど、第1の糸調子と第2の糸調子とを切換えるようにし
てもよい。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態であ
る二重環縫いミシン30を示す斜視図であり、図2はミ
シン30の針板32近傍を後方から拡大して示す斜視図
である。ミシン30は、ミシンベッド31と、ミシンベ
ッド31の上方に設けられるミシンアーム33とを有す
る。ミシンアーム33の基端部には複数の糸調子部材1
30を有する糸調子器39と、糸張力装置60が設けら
れ、ミシンアーム33の先端部には針棒61を介して針
35,36が取付けられる。針棒61は、ミシンアーム
33の先端部で鉛直に昇降変位可能に支持され、針棒6
1の下端部の針止め34に、2本の針35,36が左右
に間隔をあけて鉛直に固定される。針棒61の後方に
は、針棒61に平行に押え棒59が設けられる。この押
え棒59の下端部には押え37が取付けられる。押え棒
59は上下に変位自在に支持され、下方にばね付勢され
る。ミシンベッド31上には水平に針板32が配置さ
れ、押え37はこの針板32に弾発的に押し付けられ
る。
【0023】縫製作業は、生地をミシンベッド31上に
配置し、針板32と押え37とで生地を挟み、予め定め
る布送り方向A(図1において左斜め後方)に生地を送
り出しながら針35,36を上下に往復動させて生地は
縫製される。
【0024】このような2本針二重環縫いミシン30
は、たとえばTシャツなどの袖や裾まわりの縫製に用い
られ、縫製作業時には、複数の生地を、間隔をあけて連
続して送り、生地と生地との間に空環38を形成しなが
ら連続して縫製作業を行う。なお空環38は適宜カッテ
ィング装置によって切断される。
【0025】図3は、押え37の分解斜視図である。押
え37は押え本体40と押え基部41と補助押え金15
2とを含んで構成される。押え棒59の下端部に押え基
部41がねじ52によって固定され、この押え基部41
に押え本体40が取付けられる。押え本体40は板状で
あり、先端部(布送り方向A上流側端部)が上方に湾曲
しており、また左右方向に延びる角変位軸線L1まわり
に押え基部41に角変位自在に取付けられる。押え基部
41にはボルト62およびナット63が螺着され、ボル
ト62の下端部によって押え本体40の角変位量が制限
される。この押え本体40は布送り方向Aに延びる矩形
状の開口43が形成され、この開口43に補助押え金1
52が嵌まり込む。
【0026】補助押え金152は、矩形板状の押え板4
4と、押え板44に垂直に固定される支持軸45とから
構成される。押え板44の前端部(布送り方向A上流
側)に左右に間隔をあけて2つの針落ち孔48,49が
形成される。縫製作業時には、これらの針落ち孔48,
49に左右の針35,36が挿通される。
【0027】補助押え金152には、針落ち孔48,4
9よりも布送り方向A下流側に貫通孔153が形成され
る。この貫通孔153は、図4,5に示すように、針板
32の桟73よりも前方(布送り方向A上流側)となる
位置に形成される。
【0028】また押え板44の裏面55から後端部(布
送り方向A下流側端部)上面を覆って板ばね151が取
付けられる。板ばね151は、基端部が、補助押え金1
52の後端部(布送り方向A下流側端部)にまわり込ん
でねじ53で固定され、先端部(布送り方向A上流側端
部)には、上方に屈曲する屈曲部154が形成され、こ
の屈曲部154が、補助押え金152の前記貫通孔15
3に挿入される。
【0029】補助押え金152の支持軸45には圧縮コ
イルばね47が挿通される。支持軸45およびばね47
は、押え基部41に形成される挿通孔46に下方から垂
直に挿通される。挿通孔46の下方から挿通された支持
軸45には、挿通孔46の上方から挿通されるねじ64
が螺合され、これによって補助押え金152は、下方に
ばね付勢された状態で押え本体40に取付けられる。ま
た、このとき、補助押え金152の押え板44は押え本
体40の開口43に嵌まり込んでいる。
【0030】次に図4〜図6の図を参照して二重環縫い
ミシン30の縫製作業について説明する。図4および図
5は、空環形成時の押え37および針板32の状態を示
す断面図であり、図4は針35,36上昇時の状態であ
り、図5は針35,36下降時の状態であり、また図6
は生地縫製時における針糸77,78およびルーパ糸7
9による縫い目の形状を示す斜視図である。
【0031】針板32には布送り方向A上流側から下流
側に向かって前送り溝80、爪72および後送り溝81
が形成される。各送り溝80,81はそれ布送り方向A
に沿って延び、前送り溝80内には前送り歯70が設け
られ、後送り溝81内には後送り歯71が設けられる。
各送り歯70,71はそれぞれ送り溝80,81内で楕
円運動し、針板32上の生地を布送り方向A下流側に送
り出す。
【0032】前送り溝80と後送り溝81との間に形成
される爪72は、針板32がコ字状に切欠かかれること
によって形成され、このコ字状の切欠きの布送り方向A
上流側の両端部が、針35,36が挿通する針落ち部7
5となる。そしてこのコ字状の切欠きの布送り方向A下
流側と後送り溝81との間に左右方向(図4,5におけ
る紙面に垂直な方向)に延びる桟73が介在される。
【0033】また、押え37は、針板32の前記一対の
針落ち部75に対応して前記補助押え金152の一対の
針落ち孔48,49が配置され、針35,36はそれぞ
れ補助押え金152の針落ち孔48,49および針板3
2の針落ち部75に挿通される。また、針落ち部75の
下方では、ルーパ74が左右方向(図4,5の紙面に対
して垂直な方向)に往復動する。
【0034】次に二重環縫いミシン30による縫い目の
形成方法について説明する。右および左の針35,36
にはそれぞれ針糸77,78が挿通されて上下に往復動
する。針35,36が下死点まで下降し、上昇しはじめ
ると針糸ループ82,83が形成される。このときルー
パ74が右側から左側へ(図4,5における紙面奥側か
ら手前側、図6において右側から左側)に移動し、各針
糸ループ82,83に挿通される。このときの状態が図
4である。
【0035】このようにして各針糸77,78がルーパ
74に捕捉された状態で、図4、図6に示すように各針
35,36が上昇する。針35,36が上昇したとき、
前送り歯70および後送り歯71によって針板32上の
生地を布送り方向A下流側へ1針分送り出す。なお図
4、図5に示す図では、空環形成時の状態を示してある
ので、このとき後送り歯71によって形成された空環3
8が1針分後方へ送り出される。
【0036】また送り歯70,71による布送り動作と
同期して、針糸ループ82,83に挿通されたルーパ7
4は布送り方向A上流側に移動して退避動作を行う。こ
れによってルーパ糸79、各針糸77,78およびルー
パ74との間に2つの空間84,85が形成される。し
たがって、上死点の達した針35,36が再び下降した
とき、前記空間84,85に挿通され、その後ルーパ7
4は右側へ移動して各針糸ループ82,83から引出さ
れる。以下前述と同様に、下死点に達した針35,36
が再び上昇するときに形成される針糸ループ82,83
に右側からルーパ74が挿通されて針糸77,78を捕
捉する。このような動作を繰返すことによって、図6に
示すように縫い目が形成される。
【0037】前述したように補助押え金152には針落
ち孔48,49が形成され、この針落ち孔48,49よ
りも前方(布送り方向A上流側)側端部裏面には案内面
50が形成される。案内面50は、布送り方向A下流側
に向かうにつれて下方に傾斜して形成され、送り込まれ
た生地をスムーズに案内する。
【0038】また、前述したように、補助押え金152
には、コイルばね47および板ばね151が設けられ、
板ばね151は、針落ち孔48,49の直後から後端部
にわたって設けられる。コイルばね47は、補助押え金
152を針板32に弾発的に押しつける。
【0039】空環形成状態から、生地を再び送り始めて
縫製作業を開始すると、送られる生地先端が補助押え金
152の前端部下面の案内面50に挿入され、補助押え
金152が持ち上げられ、補助押え金152が浮き上が
る。板ばね151は、前端の屈曲部154が貫通孔15
3に挿通され、弾発的に大きく上下変位可能であるの
で、補助押え金152が浮き上がったとしても、確実に
桟73に押し付けられ、空環を保持することができる。
【0040】図7は、ミシン30の針糸77,78およ
びルーパ糸79の経路を示す斜視図である。巻き出され
た各糸77〜79は糸調子器39の対応する糸調子部材
130を介してそれぞれ針35,36またはルーパ74
まで導かれるが、針糸77,78のうち、右側の針糸7
7と、ルーパ糸79は、巻き出された後、糸張力装置6
0を介して糸調子器39に導かれる。つまり、左側の針
糸78のみ糸張力装置60による糸調子の切換えが行わ
れない。
【0041】図8は、押え昇降機構200の構成を示す
斜視図である。押え37は、押えばね204に下方にば
ね付勢されており、人力で、本実施形態ではオペレータ
がペダルを踏むことによって上昇させることができる。
【0042】押え37は、上下方向に延びる押え棒59
の下端部に固定されており、この押え棒59に押えばね
204が挿通されて、押え37を下方にばね付勢する。
ミシンアーム33内には、ミシンアーム33に沿って延
び、軸線まわりに回転可能に軸支される押え揚げ軸20
1が挿通され、この押え揚げ軸201の先端201aに
押え棒59が連結される。
【0043】押え昇降機構200の押え揚げレバー20
2は、ミシン本体の裏側で、ミシン本体に軸線L2まわ
りに揺動可能に連結されており、先端部が、チェーンや
ワイヤなどの機械的動力伝達機構によってペダルに連結
されている。また、押え揚げレバー202と押え揚げ軸
201の基端部とが連結されている。
【0044】従って、オペレータがペダルを踏んで押え
揚げレバー202の先端部を矢符F方向に押し下げる
と、押え揚げ軸201が矢符B方向に回転し、この回転
によって押え棒59が、押え棒ばね204のばね力に抗
して上昇し、これによって押え37が上昇する。
【0045】押え揚げレバー202には、ミシン本体の
裏側から表側わたって前後方向に延びる糸緩め軸203
が連結される。この糸緩め軸203は、軸線まわりに回
転可能に軸支されており、押え揚げレバー202を矢符
F方向に押し下げると、矢符D方向に角変位する。この
糸緩め軸203の先端に糸緩めブロック210を介して
糸緩め戻しレバー211が固定される。この糸緩め戻し
レバー211で糸張力装置60を操作し、針糸とルーパ
糸の糸調子の切換えを行う。
【0046】図9は、糸張力装置60の構成を示す分解
斜視図である。糸張力装置60は、糸調子台100、張
力調整部材である糸緩め板102および針糸調子部10
3およびルーパ糸調子部104とから構成される。糸調
子台100は、ねじ110によってミシンアーム33の
基端部に固定される。
【0047】糸緩め板102は長板状であり、糸調子台
100に移動可能に取付けられる。この糸緩め板102
には上下両端部に長孔107,108が形成され、上側
の長孔107には針糸調子部103の糸調子棒109が
挿通され、この糸調子棒109の基端部が糸調子台10
0に固定される。同様に下側の長孔108には、ルーパ
糸調子部104の糸調子棒109が挿通され、この糸調
子棒109の基端部が糸調子台100に固定される。こ
れによって、糸緩め板102は糸調子台100に対して
上下に移動可能に支持される。
【0048】糸調子台100に取付けられる糸調子棒1
09の基端部側には、針糸案内115が取付けられ、先
端側には針糸調子部103が取付けられる。針糸調子部
103は、一対の糸調子皿116,117、フェルト1
18、キャップ119およびばね120が糸調子棒10
9に挿通され、先端部に糸調子つまみ121が螺合す
る。糸調子皿116,117はばね120からのばね力
によって相互に弾発的に当接し、このばね力は糸調子つ
まみ121を螺進または螺合させることによって調整す
ることができる。したがって、一対の糸調子皿116,
117間に挟持される針糸82の緊張時の張力は、糸調
子つまみ121を螺進または螺合させることによって調
整することができる。このような構成はルーパ板調子部
104においても同様であるので、対応する構成には同
一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0049】前記糸緩め板102の長孔107の上部に
は糸緩め爪122が形成され、下方の長孔108の下端
部にはルーパ糸緩め爪123が形成される。糸緩め爪1
22は針糸調子部103の一対の糸調子皿116,11
7に臨んで配置され、同様にルーパ糸緩め爪123はル
ーパ糸調子部104の一対の糸調子皿116,117に
臨んで配置される。
【0050】また、糸緩め板102の下端部に、上位置
決め孔212および下位置決め孔213の2つの長孔が
形成される。糸緩め板102の最下端は前方に屈曲して
屈曲部216が形成される。糸調子台100の下端部に
は板ばねからなるストッパ214が取付けられ、このス
トッパ214には前記位置決め孔212,213に弾発
的に嵌まりこむ突出部215が形成される。したがっ
て、糸緩め板102が上方に移動したときには、下位置
決め孔213にストッパ214の突出部215が弾発的
に嵌まり込み、糸緩め板102が位置決めされる。逆
に、糸緩め板102が下方に移動したとき、ストッパ2
14の突出部215が上位置決め孔212に弾発的に嵌
まりこみ、位置決めされる。
【0051】前述したように、押え昇降機構200の糸
緩め軸210の前方側の先端部には、糸緩めブロック2
10を介して略L字状の糸緩めレバー211が固定され
る。この糸緩めレバー211は、糸緩め軸203の回転
によって先端部が上下に移動する。
【0052】糸緩め板102の中央部には、ピン217
が取付けられ、前記糸緩めレバー211が角変位し、レ
バー先端が上方に変位すると、レバー先端に糸緩め板1
02のピン217が引っ掛かり、糸緩め板102は上方
に移動する。
【0053】糸緩め板102の下端部の屈曲部216に
は、ワイヤ221の一端が取付けられる。このワイヤの
他端は、図1に示すように、ミシンアーム33の先端部
に取付けられる操作レバー220に連結される。操作レ
バー220は、ミシンアーム33の先端部で、オペレー
タによって容易に操作可能な位置に取付けられ、角変位
可能に取付けられる。
【0054】ワイヤ221は、自転車などで用いられる
ブレーキワイヤと同じ構造のものである。つまり、可撓
性のチューブ内部に、ワイヤが変位自在に挿入されて構
成される。このワイヤ221が操作レバー220から糸
張力装置60の糸緩め板102にわたって設けられ、操
作レバー220の下部を押して角変位させると、ワイヤ
221を介して糸緩め板102が下方に引っ張られ、糸
緩め板102が下方に移動する。
【0055】つまり、糸緩め戻しレバー211で、糸緩
め板102を上方に移動させ、操作レバー220で糸緩
め板102を下方に移動させることができる。
【0056】したがって、図10、図11に示すよう
に、ワイヤ221を介して操作レバー220によって糸
緩め板102を下方に配置させると、針糸緩め爪122
が針糸調子部103の糸調子皿116,117内に挿入
されるとともに、ルーパ糸緩め爪123が、ルーパ糸調
子部104の糸調子皿116,117から引き出され
る。従って、このときの糸調子は、針糸77が弛緩状態
となり、ルーパ糸79が緊張状態となる。
【0057】このときの糸緩め板102の位置決めは、
ストッパ214と上位置決め孔212とによってが行わ
れる。
【0058】逆に、図12、図13に示すように、糸緩
め戻しレバー211によって糸緩め板102を上方に移
動させると、針糸調子部103の糸調子皿116,11
7に挿入されていた針糸緩め爪122が引き出されると
ともに、ルーパ糸緩め爪123がルーパ糸調子部104
の糸調子皿116,117内に挿入される。このときの
糸調子は、針糸77が緊張状態となり、ルーパ糸79が
弛緩状態となる。
【0059】このときの糸緩め板102の位置決めは、
ストッパ214と下位置決め孔213とによって行われ
る。
【0060】図6で説明したように、生地縫製時には左
右の針糸77,78間をルーパ糸79が左右にわたって
巻掛けられて縫い目が形成される。したがって、生地縫
製時にはルーパ糸79が左右の針糸77,78間にスム
ーズに巻掛けられ、かつ左右の針糸77,78がルーパ
糸79に巻掛けられることによって弛むことがないよう
に、ルーパ糸79、針糸77,78の張力を設定する。
通常の縫製時はルーパ糸79より、針糸77,78の張
力が高いのが一般的である。
【0061】これに対して空環形成時には、形成された
空環が左右に開いた状態であると、ルーパ74に巻き込
まれる恐れがあるので、ルーパ糸79によって左右の針
糸77,78を絞り、空環38を縄目状とする必要があ
る。そのために、空環形成時には生地縫製時よりもルー
パ糸79の張力を高くする必要がある。
【0062】前述したように、ルーパ74は左右に往復
動し、針糸ループ82,83に対して右側から出入す
る。したがって、空環形成時においてルーパ74が、2
つの針糸ループ82,83から右側へ引抜かれると、ま
ず左側の針糸ループ85がルーパ74から外れる。この
とき、右側の針糸77と左側の針糸78の両方の張力が
高い場合には、右側の針糸77のループからルーパ74
が抜けていない状態で、ルーパ74から先に外れた左側
の針糸78が引張られることになり、縄目状の空環が形
成されない。
【0063】このような問題を防ぐためには、図14に
示されるように、空環形成時に、後にルーパ74から引
き抜かれる針糸、本実施形態では右側の針糸77の張力
を生地縫製時よりも低くする。すると、ルーパ74から
左側の針糸36が引き抜かれるとき、張力の低い右側の
針糸77も一緒にルーパ74から引き抜かれ、スムーズ
に縄目状の空環が形成される。
【0064】つまり、空環形成時には両方の針糸77,
78でなく、右側の針糸77のみを弛緩状態に切換え、
左側の針糸78は、図7で示したように、糸調子器39
の糸調子部材130によって常に緊張状態に保持してお
く。
【0065】次に、実際の縫製作業にしたがって針糸7
7,78とルーパ糸74の張力の切換えについて説明す
る。
【0066】縫製開始時には、オペレータは生地を針板
32と押え37との間に挿入するために、ペダルを踏ん
で押え37を上げる。すると、これに連動して糸戻しレ
バー211が角変位して糸緩め板102が押し上げら
れ、図12、13に示されるように、上方位置に配置さ
れる。このとき、ルーパ糸74は弛緩状態となり、右側
の針糸77は緊張状態となる。このときの糸調子を第1
の糸調子とする。
【0067】押え37を上げて生地を挿入した後、押え
37を下ろすと押え37と針板32との間で生地が挟持
される。押え37を下げたとき、糸緩め戻しレバー21
1も元に戻り、糸緩め板102は下方へ変位可能となる
が、レバー211で上方位置に押し上げられたとき、ス
トッパ214によって糸緩め板102は上方位置に弾発
的に保持される。
【0068】その後、生地を送りながら縫製作業を行
う。そして生地終端まで縫製作業が終わると、つぎは空
環を形成するので、生地終端に達したことをオペレータ
が目視確認すると、前記操作レバー220を押す。する
と、ワイヤ221を介して糸緩め板102が引き下げら
れ、図10、図11に示す状態となる。
【0069】つまり、右側の針糸77は弛緩状態とな
り、ルーパ糸79は緊張状態となる。このときの糸調子
を第2の糸調子とする。このようにして、第1の糸調子
から第2の糸調子に切換わることによって、縄状の空環
がスムーズに形成される。また、ストッパ214によっ
て、糸緩め板103は下方位置に弾発的に保持される。
【0070】引き続いて、つぎの生地を縫製するには、
再び押え37を上げて、生地を挿入する。このとき、前
述したように、押え昇降機構200に連動し、糸緩め戻
しレバー211によって糸調子装置60は自動的に第1
の糸調子に切換わる。
【0071】上述した実施形態では、針糸緩め板102
を下方位置(第2の糸調子)に移動させるのに、操作レ
バー220による手操作で移動させるように構成した
が、本発明はこのような構成に限らず、たとえば図15
に示すように、ペダル250または膝スイッチ260で
針糸緩め板102を下方に移動させるように構成しても
よい。ペダル250、膝スイッチ260はそれぞれ、ワ
イヤ231またはチェーンで糸緩め板102の屈曲部2
16に連結され、ワイヤ231を下方に引張ることによ
って、糸緩め板102を下方位置に移動させる。
【0072】さらに詳しく説明すると、図15の右上の
図示するペダル250は、オペレータの足で角変位操作
可能であり、ペダル先端にワイヤ231が連結され、オ
ペレータがペダルを踏むことによって、針糸緩め板10
2を下方位置に移動させることができる。
【0073】図15の右下に示す膝スイッチ260は、
テーブルの下に取付けられる膝受け台265と、膝受け
台265にピン263によって揺動可能に支持されるブ
ロック264と、L字状に屈曲する膝受け軸266と、
膝受け軸266の先端に固定される膝受け261と、ブ
ロック264に固定され、膝受け軸266に平行に延び
る連結軸262と、連結軸262の先端と糸緩め板10
2とを連結するワイヤ231とから構成される。
【0074】オペレータが膝受け261を膝で押すと、
膝受け261は矢符Eで示すように、ピン263を中心
として下方に揺動する。この膝受け261の揺動ととも
に、ブロック264およびブロック264に固定される
連結軸262が、ピン263まわりに揺動し、連結軸2
62に連結されるワイヤ231が引張られ、糸緩め板1
02が下方位置に移動する。このようにして、オペレー
タの膝の操作によっても、糸緩め板102を下方位置に
移動させることができる。
【0075】さらに他の実施形態として、図16に示す
ように、操作レバー220、ペダル250、膝スイッチ
260などの操作部を設けない構成であってもよい。つ
まり、図16に示すように、糸緩め板102の下端部
は、手前に屈曲する屈曲部216を設けるだけの構成と
し、このオペレータは、この屈曲部216を下方に押し
下げて糸緩め板102を下方位置に移動させるように構
成してもよい。
【0076】また、上述した実施形態では、糸の張力状
態の切換えは、生地縫製時と空環形成時とで切換えるよ
うに構成したが、本発明はこのような形態に限らず、た
とえば生地の状態が変わるときに張力状態を切換える場
合に適用するように構成してもよい。
【0077】たとえば、厚みが変化するような生地を縫
製するとき、生地の薄い部分は張力を低くし、生地の厚
い部分は張力を高くするように張力状態を切換える場合
に適用することができる。
【0078】また、針糸とルーパ糸との張力状態の組み
合わせは、一方が緊張状態で、他方が弛緩状態となる組
み合わせに限らず、両方が緊張状態となる第1の糸調子
と、両方が弛緩状態となる第2の糸調子との組み合わせ
などであってもよい。
【0079】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、糸調子の
切換えを人力で行う機構を設けたので、電子制御などを
行う必要がなくなり、モータも安価なクラッチモータを
用いることができ、ミシン全体のコストを大きく削減す
ることができる。
【0080】また、押えを昇降させる機構に連動して糸
調子を切換えるように構成したので、縫製開始のタイミ
ングにあわせて自動で糸調子を切換えることができる。
押えに連動して糸調子が切換わったのち、人力で元に戻
す機構も設けられる。
【0081】また、ストッパを設けることによって、糸
調子切換え部材の位置決めおよび保持を容易に行うこと
ができる。
【0082】このような糸調子の切換えは、生地縫製と
空環形成とを交互に行う場合や、厚みが変化する生地を
縫製する場合に適用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である二重環縫いミシン
30の構成を示す斜視図である。
【図2】ミシン30の針板32および押え37を斜め後
方から見た斜視図である。
【図3】押え37の分解斜視図である。
【図4】針35,36上昇時における押え37および針
板32を示す断面図である。
【図5】針35,36下降時における押え37および針
板32を示す断面図である。
【図6】生地縫製時における針板35,36およびルー
パ糸79による縫い目形成過程を示す斜視図である。
【図7】ミシン30の針糸77,78およびルーパ糸7
9の経路を示す斜視図である。
【図8】押え昇降機構200の構成を示す斜視図であ
る。
【図9】糸張力装置60の分解斜視図である。
【図10】空環形成時の糸張力装置60を示す正面図で
ある。
【図11】空環形成時の糸張力装置60の側面図であ
る。
【図12】生地縫製時における糸張力装置60を示す正
面図である。
【図13】生地縫製時における糸張力装置60を示す側
面図である。
【図14】空環形成時の各糸77〜79の状態を示す斜
視図である。
【図15】ペダル250、膝スイッチ260を用いる場
合のミシンを示す図である。
【図16】操作部を用いない場合のミシンを示す図であ
る。
【符号の説明】
30 二重環縫いミシン 32 針板 35,36 針 37 押え 38 空環 39 糸調子器 40 押え本体 42 補助押え金 48,49 針落ち孔 151 板ばね 60 糸張力装置 74 ルーパ 75 針落ち部 77,78 針糸 79 ルーパ糸 102 糸緩め板 103 針糸調子部 104 ルーパ糸調子部 214 ストッパ 220 操作レバー 250 ペダル 260膝スイッチ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡部 正人 大阪府豊中市蛍池南町2丁目10番3号 ヤ マトミシン製造株式会社豊中工場内 Fターム(参考) 3B150 AA05 CD01 CE01 CE23 FD09 FD15 QA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 針糸とルーパ糸とによって縫い目を形成
    する二重環縫いミシンにおいて、 針糸の張力を、緊張状態と弛緩状態とに切換える針糸調
    子部と、 ルーパ糸の張力を、緊張状態と弛緩状態とに切換えるル
    ーパ糸調子部と、 針糸調子部とルーパ糸調子部との間で往復動し、一方側
    にあるとき、針糸およびルーパ糸の張力の組み合わせで
    ある糸調子を第1の糸調子とし、他方側にあるとき、針
    糸およびルーパ糸の張力の組み合わせである糸調子を、
    前記第1の糸調子とは異なる第2の糸調子とする糸調子
    切換え部材と、 糸調子切換え部材を人力で往復動させる往復移動機構と
    を有することを特徴とする二重環縫いミシン。
  2. 【請求項2】 縫製時に生地を押さえる押えを人力で上
    昇させる機構を有し、前記糸調子切換え部材は、押えの
    上昇に連動して移動し、第1または第2のいずれか一方
    の糸調子から他方の糸調子に切換わることを特徴とする
    請求項1記載の二重環縫いミシン。
  3. 【請求項3】 押えの上昇に連動して他方の糸調子に切
    換わった糸調子切換え部を、人力で一方の糸調子に戻す
    機構を有することを特徴とする請求項2記載の二重環縫
    いミシン。
  4. 【請求項4】 糸調子切換え部材を一方側および他方側
    に弾発的に保持するストッパを有することを特徴とする
    請求項1〜3のいずれか1つに記載の二重環縫いミシ
    ン。
  5. 【請求項5】 前記第1の糸調子は、針糸を緊張状態と
    し、ルーパ糸を弛緩状態とする状態であり、前記第2の
    糸調子は、針糸を弛緩状態とし、ルーパ糸を緊張状態と
    する状態であることを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か1つに記載の二重環縫いミシン。
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