JP2001297422A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2001297422A
JP2001297422A JP2000111043A JP2000111043A JP2001297422A JP 2001297422 A JP2001297422 A JP 2001297422A JP 2000111043 A JP2000111043 A JP 2000111043A JP 2000111043 A JP2000111043 A JP 2000111043A JP 2001297422 A JP2001297422 A JP 2001297422A
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JP2000111043A
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Kazue Goto
和重 後藤
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な電磁変換特性と良好な走行耐久性を兼
ね備えた磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 非磁性支持体11上に磁性層12が形成
され、磁性層12表面をフーリエ変換したパワースペク
トラムの波長5μm以上100μm以下の範囲における
各波長x[μm]に対して、強度yとの関係を下式、 y=axb (ただしa,bは係数) により近似したときに、係数a,bが0.0001≦a
≦0.005及び0.6≦bを満たす磁気記録媒体10
を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体に磁
性層が形成された磁気記録媒体に係わり、例えば磁気テ
ープに用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】近年放送局用にとどまらず民生用におい
て、映像機器の小型化によってカメラ一体型ビデオテー
プレコーダー等の普及が進み、様々な環境下でこれらの
機器と共にビデオテープ等の磁気記録媒体が用いられて
いる。さらに、データバックアップ用テープストリーマ
ー等のコンピューター用情報機器においてもその大容量
化が進んでいる。そこで用いられる磁気記録媒体は、記
録された信号を再生したときの再現性が重要視され、こ
れを達成するべく磁気記録媒体の高密度記録化が要求さ
れる。
【0003】この要求に対して、蒸着テープなどに代表
されるような高性能な磁気記録媒体が提案されている。
しかし、コストや汎用性を考慮して、従来からの塗布型
の磁気記録媒体、即ち強磁性粉末や結合剤、分散剤、潤
滑剤等を有機溶剤に分散、混練して成る磁性塗料をポリ
エステルフィルム等の非磁性支持体上に塗布することに
よって、磁性層が形成されている媒体を、高性能化する
ことが未だに主流になっている。
【0004】こうした塗布型の磁気記録媒体において
は、高密度記録化の要求に対応して高性能化を図るため
に、強磁性粉末の微細化が進められており、強磁性粉末
として比表面積の大きな強磁性粉末が使用されるように
なってきている。
【0005】具体的には、特願平4−274676号で
は、α−Feを主体とした強磁性粉末の磁気特性、粒子
サイズ等を規制することで短波長の磁気記録に適した塗
布型磁気記録媒体を提案している。また、特開平6−3
6265号では、Feを主体とし、Al又はSiと、希
土類元素を含有した強磁性粉末を用いた塗布型磁気記録
媒体を提案している。
【0006】さらに、良好な磁気特性を有する磁気記録
媒体を有効に活用するためには、磁性層と磁気ヘッドと
のスペーシングを小さくすることが不可欠である。ま
た、このような塗布型磁気記録媒体においては、電磁変
換特性を向上させると同時に、磁気記録媒体の走行性や
耐久性を向上させるようにしている。
【0007】具体的には、テープの走行性を良好にする
ために各種潤滑剤(例えば高級飽和脂肪酸、高級飽和脂
肪酸エステル)を一定量添加している(特開平1−11
3918号、特開平4−3317号参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
磁気記録媒体を高密度記録に用いる場合、前述した公知
技術では良好な電磁変換特性は得られるものの、走行耐
久性が満足しない結果となっている。
【0009】さらに、良好な電磁変換特性を得るため
に、磁気ヘッドとのスペーシングをできる限り小さくし
ようとした場合、磁気ヘッド或いはドラム、ガイド等の
走行系部品と磁気テープとの真実接触面積が増大し、摩
擦係数が大きくなり、走行性が悪化する問題が生じる。
ところが、前述した公知技術では、このような走行性の
課題を解決するには至っていない。
【0010】一方、走行性を改善するために、真実接触
面積を小さくしようとした場合、磁気記録媒体表面特に
磁性層表面を適度に荒らす必要がある。しかし、このよ
うに表面を荒らした場合には、スペーシングが増大し、
電磁変換特性が悪化する結果となる。さらに、磁気ヘッ
ド、ドラムの摺動によってスペーシングの要因となった
粗大突起が削られて、その脱落粉が堆積し、ヘッドクロ
ッグを引き起こす。
【0011】このように、従来技術では、単に磁性層の
粗度を制御するのみにとどまり、電磁変換特性と走行耐
久性の両立が困難である。特に、近年磁気記録媒体と磁
気ヘッドとの相対速度がより速められる傾向にあり、磁
気記録再生装置の小型化や、信号の高品質化或いはデジ
タル化等の進行によって、より顕著となっている。
【0012】上述した問題の解決のために、本発明にお
いては、従来通りの高い電磁変換特性を有すると共に、
走行耐久性にも優れた磁気記録媒体を提供するものであ
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体
は、非磁性支持体上に磁性層が形成されている磁気記録
媒体において、磁性層表面をフーリエ変換したパワース
ペクトラムの波長5μm以上100μm以下の範囲にお
ける各波長x[μm]に対して、波の個数と波の高さの
積を強度yと定義し、波長x[μm]と強度yとの関係
を下式、 y=axb (ただしa,bは係数) により近似したときに、係数a,bが0.0001≦a
≦0.005及び0.6≦bを満たすものである。
【0014】上述の本発明の構成によれば、磁気記録媒
体における磁性層表面をフーリエ変換したパワースペク
トラムの波長5μm以上100μm以下の範囲における
各波長に対する強度を前述の近似式で示したことによ
り、近似式の両辺の対数をとると、次式が成り立つ。 logy=b・logx+loga 即ちlogyを縦軸、logxを横軸にとると、傾きが
bでlogy切片がlogaとなる直線となる。そし
て、係数aが0.0001≦a≦0.005を満たすこ
とから、logy切片のlogaが特定範囲内に規定さ
れ、全体的に波の強度y、特に波長xの短い波の強度y
が規制される。
【0015】また、係数bが0.6以上であることか
ら、直線の傾きが0.6以上であり、波長xの短いもの
と波長xの長いものとにおいて強度に差がつくようにな
る。従って、波長の長い成分即ちなめらかな凹凸の割合
が比較的多くなる。
【0016】これにより、波長の短い成分即ち幅の狭い
凹凸が、多すぎず少なすぎず適度な量となる。幅の狭い
凹凸が多すぎると、突起が増え、例えば突起が磁気記録
媒体と磁気ヘッドやドラムとの摺動によって削られて脱
落粉を発生することになる。幅の狭い凹凸が少なすぎる
と、真実接触面積が大きくなり、ドラムやガイド等の走
行系部品に張り付き易くなるおそれがある。
【0017】また全体的に波の強度yが規制されるた
め、粗大突起の量が低減され、磁気ヘッドとのスペーシ
ングが小さくなる。
【0018】従って、係数a及び係数bを上述の範囲内
に規定することにより、磁気ヘッドとのスペーシングが
小さく、磁気ヘッドやドラムの摺動による粗大突起から
の削れを生じないで脱落粉の発生を抑制することができ
ると共に、真実接触面積が増大しないので走行系部品へ
の張り付きを防止することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明は、非磁性支持体上に磁性
層が形成されている磁気記録媒体において、磁性層表面
をフーリエ変換したパワースペクトラムの波長5μm以
上100μm以下の範囲における各波長x[μm]に対
して、波の個数と波の高さの積を強度yと定義し、波長
x[μm]と強度yとの関係を下式、 y=axb (ただしa,bは係数) により近似したときに、係数a,bが0.0001≦a
≦0.005及び0.6≦bを満たす磁気記録媒体であ
る。
【0020】また本発明は、上記磁気記録媒体におい
て、磁性層が少なくとも含有する磁性粉末の長軸長が
0.25μm以下であり、かつ非磁性支持体上に形成さ
れる磁性層、或いは複数の磁性層、或いは磁性層と下地
層又は中間層とから構成される塗膜の厚さが0.5μm
以上である構成とする。
【0021】まず、本発明の実施の形態の説明に先立
ち、本発明において採用される、表面をフーリエ変換し
たパワースペクトラムの測定について説明する。
【0022】表面をフーリエ変換したパワースペクトラ
ムとは、表面の曲面を様々な波長の波が合成された波面
として捉えて、波長に対して波のパワー(強度)の分布
を示すものである。
【0023】合成された波面の断面をとって得られる曲
線に対して、フーリエ変換を行うことにより各波長成分
に分解することができる。このとき、各波長成分にはそ
れぞれ様々な高さの波が含まれる。
【0024】そして、この様々な高さの波から、各波長
成分のパワー(強度)を求めることができる。即ち、各
波長成分毎に波の高さ(波高)と波数とを乗算して、パ
ワー(強度)の値を算出することができる。実際には、
表面粗度計等の測定機で測定して得られたデータを演算
処理して、各波長成分毎のパワー(強度)が求められ
る。
【0025】実際の測定においては、ある程度の面積の
領域に対して、一方向に平行に走査することを繰り返し
て、その領域全体の曲面を断面の多数の波として捉え
る。多数の波をフーリエ変換して各波長成分毎に分解し
た後、各波長成分において前述した様々な高さの波から
その波長成分のパワーを求める。
【0026】本発明では、特定の波長xに該当する波に
ついて、その波の高さと波の数との積を、その波長xに
おける強度yと定義する。従って、表面の測定値をフー
リエ変換することにより得られる前述した特定波長成分
の様々な高さの波から、波の高さと波の数を乗算して、
この特定波長xにおける強度yの値を算出する。
【0027】そして、本発明では、各波長x[μm]に
ついて強度yを算出した後、さらに波長xが5μm〜1
00μmの範囲において、波長x[μm]と強度yとを
下記近似式(1)に当てはめて、係数a,bを求める。 y=axb (1) この係数a,bは、例えば波長xと強度yの値からコン
ピューターの所定のプログラムに従って演算することに
より、求めることができる。
【0028】次に、係数a,bの意味について説明す
る。波長xと強度yの対数をとると、上記近似式は次の
ように書き換えられる。 logy=b・logx+loga (2) 即ちlogyを縦軸、logxを横軸にとると、傾きが
bでlogy切片がlogaとなる直線となる。
【0029】従って、本発明におけるパワースペクトラ
ムの測定により上述の近似式の係数a,bを求めること
は、logyを縦軸、logxを横軸にとり、波長xと
強度yの算出値をプロットした後、波長xが5μm〜1
00μmの範囲において、近似する直線を例えば最小二
乗法等により算出し、この直線の傾きbとlogy切片
logaとから係数a,bを求めることに相当する。
【0030】そして、本発明では、係数aが0.000
1≦a≦0.005を満たすことから、logy切片の
logaが特定の範囲内に規定される。これにより、上
記波長範囲即ち5μm〜100μmの全体にわたって、
強度yがある程度の範囲内に収まるようになると共に、
特に縦軸に近い波長xの短い波の強度yが規制される。
従って、全体的に波の数が多過ぎず少な過ぎず適度な量
となり、真実接触面積が適度な量になるため、磁気記録
媒体と磁気ヘッドとのスペーシングが適度な量確保され
ると共に、良好な走行性が得られるような適度な摩擦係
数となると考えられる。
【0031】また、係数b即ち直線の傾きbが0.6以
上であることから、波長xの短い波と波長xの長い波と
において強度の差が大きくなる。従って、波長の短い波
の割合が少なくなり、かつ波長の長いなめらかな波の割
合が多くなる。波長の短い波は、特に比較的尖った細い
突起に相当するため、波長の短い波が比較的少なくなる
ことにより、磁気記録媒体と磁気ヘッドやドラム等との
摺動において突起の削れによる脱落粉の発生が抑制され
ると考えられる。
【0032】次に、本発明の磁気記録媒体の具体的な実
施の形態を説明する。図1は本発明の磁気記録媒体の一
実施の形態の概略構成図(断面図)を示す。この磁気記
録媒体10は、非磁性支持体(ベースフィルム)11上
に、磁性層12が塗布形成されている。非磁性支持体1
1の磁性層12とは反対側即ちバック側には、バックコ
ート層13が形成されている。
【0033】非磁性支持体11としては、従来より公知
のものがいずれも使用可能であって、特にその種類は限
定されない。具体的な例を挙げると、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン
−2,6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリエチ
レン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルロー
ストリアセテート、セルロースダイセテート等のセルロ
ース誘導体、ポリアミドイミド、ポリイミド等の有機高
分子がいずれも使用可能である。
【0034】尚、これら非磁性支持体11の表面には接
着性向上のための接着層を設けてもよい。また、非磁性
支持体11に対しては、磁性層12と同様に、乾燥、カ
レンダー処理、熱処理を行うが、従来公知の方法がいず
れも使用可能であり、その方法は特に限定されない。
【0035】本実施の形態では、特に、磁性層12に用
いられる強磁性粉末の長軸長を0.25μm以下とす
る。これにより、後述するように磁気ヘッドとのスペー
シングを低減して、電磁変換特性を向上することができ
る。
【0036】磁性層12を構成する強磁性粉末は、長軸
長0.25μm以下の条件を満たすものであれば、従来
より公知のものがいずれも使用可能であって、酸化物磁
性粉末でも金属磁性粉末でもよい。酸化物磁性粉末とし
ては、例えばγ−Fe2 3 、Co含有γ−Fe
2 3 、Fe3 4 、Co含有Fe3 4 、Co被着γ
−Fe2 3 、Co被着Fe3 4 、CrO2 等が挙げ
られる。金属磁性粉末としては、例えば、Fe、Co、
Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Fe−Co−Ni、C
o−Ni、Fe−Co−B、Mn−Bi、Mn−Al、
Fe−Co−V等が挙げられ、さらにこれらの種々の特
性を改善する目的で、Al、Si、Ti、Cr、Mn、
Cu、Zn等の金属成分やYを含む希土類元素が添加さ
れたものであってもよい。さらに、Fe5 2 等の炭化
鉄や窒化鉄等も使用可能である。
【0037】磁性層12に用いられる結合剤には、通常
この種の記録媒体において用いられている樹脂材料がい
ずれも使用可能であって、特にその種類は限定されな
い。代表的な結合剤用樹脂を例示すれば、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニル
アルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイ
ン酸共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、
塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エ
ステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステ
ル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−
スチレン共重合体、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリフ
ッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合
体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、アクリロ
ニトリル−ブタジエン−メタクリル酸共重合体、ポリビ
ニルブチラール、ポリビニルアセタール、セルロース誘
導体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエステル樹
脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、
熱硬化性ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、
アリキド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂等である。
これらは、単独、もしくは2種類以上用いても構わな
い。
【0038】こうした結合剤は、少なくともその一部に
スルホン酸金属塩(−SO3 M:MはNa,K等のアル
カリ金属)又は硫酸金属塩(−OSO3 M:MはNa,
K等のアルカリ金属)の少なくとも一方が導入されてい
ることが望ましい。これらの金属塩は、磁性粉末の表面
積1m2 当たり0.2〜0.8μmolであることが望
ましい。これらは単独、もしくは2種類以上用いても構
わない。
【0039】さらに、必要に応じてアルミナ等の研磨
剤、カーボンブラック等の帯電防止剤、分散剤、潤滑
剤、各種防錆剤等の添加剤が磁性層12に加えられても
よい。これらの添加剤は、従来公知の材料がいずれも使
用可能であり、なんら限定されるものではない。
【0040】研磨剤としては、溶融アルミナ、α−アル
ミナ等の各種アルミナ、炭化珪素、酸化チタン、酸化ク
ロム、コランダム、人造コランダム、人造ダイヤモン
ド、ザクロ石、エメリ、シリカ等がいずれも使用可能で
ある。これらの研磨剤は平均粒子径0.05〜1.0μ
m、好ましくは0.08〜0.5μmの大きさのものが
望ましい。
【0041】カーボンブラックとしては、サーマルカー
ボンでもよく、アセチレンブラック、チャンネルブラッ
ク等を用いることができる。これらカーボンブラックを
分散剤等で表面処理したり、カーボンブラックを塗料に
添加する前に予め結合剤で別分散しておいてもよい。こ
れらは単独もしくは2つ以上用いて使用することができ
る。尚、本発明で使用できるカーボンブラックは、「カ
ーボンブラック便覧」(カーボンブラック協会編)を参
考にすることができる。また、上記のカーボンブラック
以外の帯電防止剤としては、天然界面活性剤、ノニオン
性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等の公知の帯電防
止剤を使用することができる。
【0042】分散剤としては、従来公知のものを使用可
能であり、なんら限定されるものではない。例えばシラ
ンカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アル
ミニウム系カップリング剤等が挙げられる。ここで、磁
性体重量100部に対するカップリング剤の添加量は、
0.05〜10.00部が好ましく、より好ましくは
0.1〜5.00部である。
【0043】シランカップリング剤としては、γ−メタ
クリロキシプリピルメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン等のビニルシラン化合物やβ−(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ
シラン化合物や、γ−アミノプロピルトリエトキシシラ
ン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチル
ジメキシシラン等のアミノシラン化合物やγ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン化
合物等が好適に用いられる。
【0044】チタネートカップリング剤としては、テト
ラ−n−ブトキシチタン、テトライソプロポキシチタ
ン、ビス[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノ
レート][2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノ
レート−O](2−プロパノレート)チタニウム、トリ
ス(イソオクタデカノエート−O)(2−プロパノレー
ト)チタニウム、ビス(ジトリデシルホスファイト−
O”)テトラキス(2−プロパノレート)ジハイドロゼ
ンチタネート、ビス(ジオクチルホスファイト−O”)
テトラキス(2−プロパノレート)チタニウム、ビス
((ジオクチルホスファイト−O”)[1,2−エタン
ジオレート(2−)−O,O´]チタニウム、トリス
(ドデシルベンゼンスルフォネート−O)(2−プロパ
ノレート)チタニウム、テトラキス[2,2−ビス
[(2−プロペニルオキシ)メチル]−1−ブタノレー
トチタネート等が挙げられ、商品としては、味の素社製
のプレンアクトKR TTS,KR 46B,KR 5
5,KR 41B,KR 38S,KR138S,KR
238S,KR 338X,KR 12,KR 4
4,KR9SA,KR 34S等が挙げられる。
【0045】アルミニウムカップリング剤としては、ア
セトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙
げられ、商品としては、味の素社製のプレンアクトAL
−M等を好適に用いることができる。
【0046】潤滑剤としては、通常この種の記録媒体に
おいて用いられている化合物がいずれも使用可能であ
る。化合物の具体的な例として、例えば脂肪酸は、カプ
リン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、
リノレン酸、等が挙げられる。また脂肪酸エステルは、
カプリン酸ブチル、カプリン酸オクチル、ラウリン酸エ
チル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸オクチル、ミリス
チン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸オク
チル、ミリスチン酸2エチルヘキシル、パルミチン酸エ
チル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸オクチル、パ
ルミチン酸2エチルヘキシル、ステアリン酸エチル、ス
テアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、ステアリ
ン酸オクチル、ステアリン酸2エチルヘキシル、ステア
リン酸アミル、ステアリン酸イソアミル、ステアリン酸
2エチルペンチル、ステアリン酸2ヘキシルデシル、ス
テアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸アミド、ステ
アリン酸アルキルアミド、ステアリン酸ブトキシエチ
ル、等があり、単独もしくは組み合わせて使用できる。
これら潤滑剤として用いる化合物例の一部は、化学工業
日報社「12695の化学商品」(1995)等の成書
に記載されている。
【0047】さらに、脂肪酸及び脂肪酸エステル以外の
化合物を潤滑剤として用いる場合は、前述した指定の有
機溶媒に溶解する化合物であるならば、通常この種の記
録媒体に用いられる化合物が使用可能である。例えば、
上述したモノエステル以外のソルビタン、グリセリン等
多価エステルの脂肪酸エステル、多塩基酸のエステル化
物、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド等の脂肪酸
アミド、高級脂肪族アルコール、モノアルキルフォスフ
ェート、ジアルキルフォスフェート、トリアルキルフォ
スフェート等のリン酸エステル、パラフィン類、シリコ
ーンオイル、脂肪酸変性のシリコン化合物、フッ素系オ
イル、パーフロロアルキル基をもつエステル、パーフロ
ロアルキルのシリコン化合物、動植物油、鉱油、高級脂
肪族アミン等が挙げられる。これらの化合物は、単独も
しくは組み合わせて使用することができる。上述の化合
物は、例えば特公昭44−18221号、特公昭48−
15007号には脂肪酸類が開示され、また特公昭43
−23889号、特公昭41−18065号等には脂肪
酸エステル類、特公昭41−16984号、特公昭47
−15624号、特開昭50−136009号、特開昭
55−139637号、特開昭54−46950号等に
は脂肪酸アミド類を使用することが開示されている。こ
れらの化合物は、必ずしも100%純粋なものである必
要はなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応物、
分解物、酸化物等の副成分が含まれていても構わない。
ただし、これらの副成分は10%以下であることが好ま
しい。
【0048】また、耐久性を向上させる目的で、磁性層
12を構成する磁性塗料へ硬化性樹脂を添加することも
可能である。具体的にはポリイソシアネート化合物、ポ
リエポキシ化合物に代表されるような熱硬化性樹脂や電
子線反応型硬化樹脂等が挙げられる。これらは単独もし
くは2つ以上用いて使用することができる。具体的な化
合物を挙げると、p−フェニレンジイソシアネート、ト
リレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシア
ネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロン
系ポリイソシアネート、ポリメチレンポリメチレンポリ
イソシアネート、等の1分子中に2個以上のイソシアネ
ート基を有するイソシアネート化合物、テトラグリシジ
ルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−
ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−
p−アミノフェノール等のポリグリシジルアミン化合
物、2−ジブチルアミノ−4,6−ジメチルカプト置換
トリアジン等のポリチオール化合物、トリグリシジルイ
ソシアヌレート等のエポキシ化合物、エポキシ化合物と
イソシアネート化合物との混合物、エポキシ化合物とオ
キサゾリン化合物との混合物、イミダゾール化合物とイ
ソシアネート化合物の混合物、無水メチルナジン酸等、
従来より公知のものがいずれも使用可能であり、なんら
限定されるものではない。
【0049】磁性層12を形成するには、上述した各構
成成分を、結合剤樹脂と、結合剤の種類等によってエー
テル類、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素、脂肪
族炭化水素、有機塩素化合物系溶剤等から選ばれる有機
溶剤と共に分散することにより磁性塗料を調整する。
【0050】上述の有機溶剤には、従来公知の材料がい
ずれも使用可能であり、なんら限定されるものではな
い。このような有機溶剤の具体的な例を挙げると、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノ
アセテート等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシ
レン等の芳香族炭化水素、メチレンクロライド、四塩化
炭素、クロロホルム、ジクロルベンゼン等のハロゲン化
炭化水素等、従来公知の材料がいずれも使用可能であ
り、なんら限定されるものではない。
【0051】このような磁性層用塗料を作製する場合に
用いる分散機や混練機は、従来公知のものがいずれも使
用可能であり、その種類は特に限定されない。具体例を
挙げると、前記の塗料原料にまず撹拌処理を施し、次い
で混練処理することにより製造される。撹拌処理には、
プラネタリミキサー、ダブルプラネタリミキサー、ケミ
カルミキサー、ヘンシルミキサー、2軸ミキサー等従来
公知の撹拌機が使用される。また混練処理には、プラネ
タリミキサー、ダブルプラネタリミキサー、ケミカルミ
キサー、オープンニーダー、加圧ニーダー、連続ニーダ
ー、二軸押し出し機、3本ロール等の従来公知の混練機
が使用される。また混練物の希釈処理には、プラネタリ
ミキサー、ダブルプラネタリミキサー、ストーンミル、
ディゾルバー等従来公知の装置が使用される。
【0052】このようにして調整された塗料の分散処理
には、横型サンドミル、ピン型ミル、アトライター、ウ
ルトラディスクミル等の従来公知の装置が使用される。
詳しくはT.C.PATTON著の"Paint Flow and Pigment Disp
ersion" 等に詳しく記述されている。
【0053】以上のようにして得られた磁性層用塗料
を、非磁性支持体11上に塗布し、乾燥、カレンダー処
理を行う。非磁性支持体11上へ塗布する方法として
は、従来公知の方法がいずれも使用可能であり、その方
法は特に限定されない。具体例を挙げると、エアードク
ターコート、ブレードコート、エアナイフコート、スク
イズコート、含浸コート、リバースロールコート、ダイ
コート、トランスファーロールコート、グラビアコー
ト、キスコート、スピンコート等が使用可能である。こ
れらの具体的な説明は、朝倉書店発行の「コーティング
工学」(1971.3.20発行)等に記述されてい
る。また、必要に応じて磁場配向や乾燥を、同時または
逐次行うことも可能である。
【0054】カレンダー処理する方法としては、従来公
知の方法がいずれも使用可能であり、その方法は特に限
定されない。具体例を挙げると、カレンダー処理ロール
としてエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミド
アミド等の耐熱性のあるプラスチックロールを使用す
る。また、金属ロール同士で処理することもできる。処
理温度は、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは8
0℃以上である。線圧力は好ましくは200kg/cm
以上、さらに好ましくは300kg/cm以上、その速
度は20m/分〜700m/分の範囲である。また、カ
レンダー処理後に、磁性層12の硬化を促進するため
に、40℃〜80℃の熱処理を施しても構わない。
【0055】バックコート層13は、非磁性支持体11
上の記録層12が設けられてないバック側の面(裏面)
に設けることにより、磁気記録媒体10の走行性の向上
や転写防止等を図るものである。バックコート層13
も、非磁性無機粉末、結合剤、従来公知のバックコート
層用の各種添加成分等を含有することができる。これら
非磁性無機粉末や結合剤には、通常この種の記録媒体に
おいて用いられる材料がいずれも使用可能であって、特
にその種類は限定されない。そして、これら各種添加成
分を有機溶媒に分散させたバックコート層用塗料を形成
する。このようなバックコート層用塗料を得る場合に用
いる分散機や混練機は、前述した磁性層用塗料を形成す
る際と同様に従来公知のものがいずれも使用可能であ
り、その種類は限定されない。
【0056】以上のようにして得られたバックコート層
用塗料を非磁性支持体11上に塗布して乾燥する。非磁
性支持体11上へ塗布する方法としては、磁性層12と
同様に従来公知の方法がいずれも使用可能であり、その
方法は特に限定されない。
【0057】さらに、本実施の形態においては、特に磁
性層12の表面をフーリエ変換したパワースペクトラム
の波長5μm以上100μm以下の範囲における各波長
x[μm]に対して、波の個数と波の高さの積を強度と
定義し、波長x[μm]と強度yとの関係を前述した
(1)式即ち、 y=axb (ただしa,bは係数) (1) により近似したときに、係数a,bが0.0001≦a
≦0.005及び0.6≦bを満たすようにする。
【0058】仮に、係数aが0.005より大きい場合
には、磁性層12の表面をフーリエ変換したパワースペ
クトラムの波長xの範囲が5μm〜10μmである短波
長側の強度が大きくなり、真実接触面積が減少する。そ
の結果、磁気ヘッドとのスペーシングが増大し、電磁変
換特性の悪化、さらには磁気ヘッドやドラムとの摺動に
よる粗大突起の削れによって、ヘッドクロッグを引き起
こす。
【0059】また、係数aが0.0001より小さい場
合には、磁性層12の表面をフーリエ変換したパワース
ペクトラムの波長xの範囲が5μm〜10μmである短
波長側の強度が小さくなり、真実接触面積が増大する。
これにより、磁気ヘッドとのスペーシングが小さくなる
一方で、ドラムやガイド等の走行系部品に張り付き、走
行性を著しく阻害する。
【0060】また、係数bが0.6より小さい場合に
は、係数aの値に係わらず、磁性層12の表面をフーリ
エ変換したパワースペクトラムの波長xの範囲が50μ
m〜100μmである長波長側の強度が小さくなり、真
実接触面積が増大する。これにより、磁気ヘッドとのス
ペーシングが小さくなる一方で、ドラムやガイド等の走
行系部品に張り付き、走行性を著しく阻害する。
【0061】さらに、磁性層12に用いられる強磁性粉
末の長軸長を前述したように0.25μm以下とすると
共に、非磁性支持体11上に形成される磁性層12から
成る塗膜の厚みを0.5μm以上に規定する。これによ
り、磁性層12の表面をフーリエ変換したパワースペク
トラムの波長5μm以上100μm以下の範囲における
各波長に対する強度を制御することが容易になる。
【0062】仮に磁性層12に用いられる強磁性粉末の
長軸長が0.25μmを超えるものならば、係数bの値
に係わらず、係数aが0.005より大きくなる。即
ち、磁性層12の表面をフーリエ変換したパワースペク
トラムの波長xの範囲が5μm以上10μm以下である
短波長側の強度が大きくなる。その結果、磁気ヘッドと
のスペーシングが増大し、電磁変換特性が悪化する。
【0063】また、非磁性支持体11上に形成される磁
性層12から構成される塗膜の厚みが0.5μmより薄
い場合には、磁性層12の構成或いはカレンダー処理条
件に係わらず、ベースフィルム11の表面状態の影響を
受けやすくなる。その結果、磁気記録媒体10における
磁性層12の表面をフーリエ変換したパワースペクトラ
ムの波長5μm以上100μm以下の範囲における各波
長に対する強度を制御することが困難になる。具体的に
は、係数aが0.005より大きくなり、磁気ヘッドと
のスペーシングが増大し、電磁変換特性が悪化する。或
いは係数bが0.6より小さくなり、ドラム・ガイド等
の走行系部品に張り付き、走行性を著しく阻害する。
【0064】上述の本実施の形態の磁気記録媒体10に
よれば、磁性層12の表面をフーリエ変換したパワース
ペクトラムの波長5μm以上100μm以下の範囲にお
ける各波長xに対する強度yを前述の近似式(1)で示
した際に、係数a,bを前述の範囲に規定したことによ
り、磁気ヘッドとのスペーシングが小さく、かつ磁気ヘ
ッド或いはドラムやガイド等の走行系部品と磁気記録媒
体10との間の真実接触面積が増大しないため、摩擦係
数が小さく安定した走行性が得られる。また、磁気ヘッ
ドやドラムと磁気記録媒体10との摺動による粗大突起
からの削れが発生しないことから、脱落粉が堆積するこ
となく、充分な信頼性が得られる。
【0065】また、上述の本実施の形態の磁気記録媒体
10によれば、磁性層12に用いる強磁性粉末の長軸長
を0.25μm以下と規定したことにより、強磁性粉末
の長軸長が充分小さく、磁性層12の表面状態に強磁性
粉末の寸法形状が直接影響しないため、磁性層12の表
面をフーリエ変換したパワースペクトラムの波長5μm
以上100μm以下の範囲における各波長に対する強度
を制御することが容易に行える。
【0066】さらに、上述の本実施の形態の磁気記録媒
体10によれば、非磁性支持体11上に形成される磁性
層12から構成される塗膜の厚みを0.50μm以上と
規定したことにより、非磁性支持体11の表面状態が磁
性層12の表面状態に及ぼす影響を小さくすることがで
きる。従って、磁性層12の表面をフーリエ変換したパ
ワースペクトラムの波長5μm以上100μm以下の範
囲における各波長に対する強度を制御することが、容易
にできる。
【0067】尚、非磁性支持体11上に形成される記録
層は、複数の磁性層から構成されていてもよい。また、
記録層は、磁性層12単独の単層構造である必要はな
く、下地層や中間層を設けた多層構造を有する記録層で
もよい。これらの場合の実施の形態を次に示す。
【0068】図2Aは、本発明の磁気記録媒体の他の実
施の形態として、磁性層を複数形成した場合の磁気記録
媒体の概略構成図(断面図)を示す。この磁気記録媒体
20は、非磁性支持体(ベースフィルム)11上に、下
層の第1の磁性層(磁性下地層)12Aと上層の第2の
磁性層12Bとの2層の磁性層の積層膜からなる磁性層
12が形成されている。バック側には図1の磁気記録媒
体10と同様にバックコート層13が形成されている。
【0069】第1の磁性層12Aと第2の磁性層12B
は、いずれも酸化磁性粉末或いは金属磁性粉末を強磁性
粉末として用いて構成される。そして、例えば前述した
従来より公知のものがいずれも使用可能である。それぞ
れの磁性層用塗料を非磁性支持体11上に順次塗布して
形成することができる。
【0070】また、第1の磁性層12Aと第2の磁性層
12Bとの2層の磁性層の積層膜から構成される磁性層
12の塗膜の厚みは0.50μm以上とする。
【0071】尚、第1の磁性層12Aと第2の磁性層1
2Bとは、必ずしも同一の材料(強磁性粉末及びバイン
ダ)には限定されず、また強磁性粉末の長軸長・膜厚等
の構成や各種特性が異なっていてもよい。良好な磁気特
性を得るために、特に上層の第2の磁性層12Bに比較
的微細な強磁性粉末を用いることが好ましい。
【0072】これにより、上層の第2の磁性層12Bの
表面状態に、非磁性支持体11の表面状態の影響が及ば
ないようにすることができ、第2の磁性層12Bの表面
をフーリエ変換したパワースペクトラムの波長5μm以
上100μm以下の範囲における強度の制御を容易に行
うことができる。
【0073】その他の構成や使用可能な材料及び製法に
ついては、先の実施の形態の磁気記録媒体10と同様で
あるため、重複説明を省略する。
【0074】図2Bは、本発明の磁気記録媒体のさらに
他の実施の形態として、下地層又は中間層を形成した場
合の磁気記録媒体の概略構成図(断面図)を示す。この
磁気記録媒体30は、非磁性支持体(ベースフィルム)
11上に、下地層又は中間層14とを介して磁性層12
が形成されている。バック側には図1の磁気記録媒体1
0と同様にバックコート層13が形成されている。この
図2Bの場合、下地層又は中間層14は非磁性の層とな
っている。
【0075】磁性層12は、先の実施の形態の磁気記録
媒体10と同様に、長軸長が0.25μm以下の強磁性
粉末を用いることとする。
【0076】また、非磁性支持体11上に形成される磁
性層12、下地層(又は中間層)14から構成される記
録層に相当する塗膜15の厚みは0.50μm以上とす
る。これにより、磁性層12の表面状態に、非磁性支持
体11の表面状態の影響が及ばないようにすることがで
き、磁性層12の表面をフーリエ変換したパワースペク
トラムの波長5μm以上100μm以下の範囲における
強度の制御を容易に行うことができる。
【0077】下地層(又は中間層)14の構成は、磁性
層12表面及び磁性層12中の磁性粉末がそれぞれ前述
した条件を満たし、かつ非磁性支持体11上に形成され
る磁性層12、下地層(又は中間層)14から構成され
る記録層に相当する塗膜15の厚みが0.5μm以上で
あれば、特に限定されない。
【0078】尚、非磁性支持体11と磁性層12との間
に、それぞれ材料の異なる材料によって下地層及び中間
層から成る2層構造を形成するようにしてもよい。
【0079】非磁性支持体11上に設けられる下地層又
は中間層14を構成する非磁性無機粉末としては、従来
より公知のものがいずれも使用可能であって、シリカ、
酸化チタン、アルミナ、カーボンブラック、α−酸化
鉄、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0080】また、下地層又は中間層14は、無機粉末
(強磁性粉末或いは非磁性無機粉末)を結合剤中に分散
させて成るものであるが、使用可能な結合剤としては、
磁性層同様に通常この種の記録媒体において用いられて
いる樹脂材料がいずれも使用可能であって、特にその種
類は限定されない。こうした結合剤は、少なくともその
一部にスルホン酸金属塩基(−SO3 M;MはNa,K
等のアルカリ金属)または硫酸金属塩基(−OSO
3 M;MはNa,K等のアルカリ金属又はアルキル基を
表す)の少なくとも一方が導入されていることが望まし
い。これらの金属塩基は、無機粉末(強磁性粉末、或い
は非磁性無機粉末)の表面積1m2 当たり0.2〜0.
8μmolであることが望ましい。
【0081】非磁性支持体11上に下地層又は中間層1
4を形成するには、前述した無機粉末を、結合剤と、結
合剤の種類等によってエーテル類、エステル類、ケトン
類、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、有機塩素化合物
系溶剤等から選ばれる有機溶剤と共に分散し、下地層用
塗料や中間層用塗料を調整する。
【0082】さらに、下地層又は中間層14は、必要に
応じて各種分散剤、カーボンブラックなどの帯電防止
材、各種防錆剤等が加えられていてもよい。これらの分
散剤、帯電防止材、潤滑剤、研磨剤及び防錆剤として
は、前述した磁性層用塗料と同様に従来公知の材料がい
ずれも使用可能であり、なんら限定されるものではな
い。またこのような下地層用塗料や中間層用塗料を得る
場合に用いる分散機や混練機は、前述した磁性層用塗料
と同様に従来公知のものがいずれも使用可能であり、そ
の種類は特に限定されない。さらに、耐久性を向上させ
るため、前述した磁性層用塗料と同様に、下地層用塗料
や中間層用塗料へ硬化性樹脂を添加することも可能であ
る。
【0083】以上のようにして得られた下地層用塗料又
は中間層用塗料、並びに磁性層用塗料を順次非磁性支持
体上に塗布する。具体的な方法としては、従来より公知
のウエットオンウエット方式のように下層が乾燥する前
に最上層を塗布してもよく、また、ウエットオンドライ
方式のように下層が乾燥してから上層を塗布してもよ
い。これらは、特開昭62−212933号、特公平1
−46186号、特開昭60−238179号、特開昭
63−88080号、等に詳しく記述されている。
【0084】その他の構成や使用可能な材料及び製法に
ついては、先の実施の形態の磁気記録媒体10と同様で
あるため、重複説明を省略する。
【0085】(実施例)以下、本発明の磁気記録媒体の
好適な実施例について実験結果に基づいて説明するが、
本発明はこの実施例に限定されるものではない。ここで
は、磁気記録媒体を製造し、これら磁気記録媒体の電磁
変換特性と耐久性、走行性について調査した。
【0086】(実施例1)まず、以下に示す配合の磁性
塗料を調整した。 磁性層用塗料配合 微細強磁性粉末 :100重量部 (比表面積(BET値)55.7m2 /g、長軸長0.16μm、保磁力(HC )130kA/m) ポリエステルポリウレタン樹脂 : 8重量部 (スルホン酸Na:0.12mol/g、数平均分子量:21000) 塩化ビニル系共重合体 : 10重量部 (平均重合度:305、エポキシ基:0.8mmol/g、硫酸カリウム:0. 07mmol/g、水酸基:0.3mmol/g) α−Al2 3 : 8重量部 (住友化学工業社製[AKP−50]) ステアリン酸 : 2重量部 ブチルステアレート : 2重量部 メチルエチルケトン : 20重量部 トルエン : 20重量部 シクロヘキサノン : 10重量部
【0087】以上の材料をニーダーで混練処理を施し、
さらにメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノ
ンで希釈した後、サンドミル分散し、磁性層用塗料とし
た。この塗料へポリイソシアネート(日本ポリウレタン
社製硬化剤、商品名:コロネートL)を4重量部添加
し、撹拌した後にこれを非磁性支持体である厚さ10μ
mのポリエチレンテレフタレートより成るベースフィル
ムの一方の主面上に塗布した。その後、磁場配向処理を
行い、乾燥させて巻き取り、さらにカレンダー処理、熱
処理して磁性層を形成した。尚、カレンダー処理は、処
理温度を70℃以上、線圧力を200kg/cm以上と
し、サンプルによって逐次処理条件を変更した。
【0088】次に、以下に示すような配合のバックコー
ト層用塗料を配合した。 バックコート層用塗料配合 カーボンブラック小 :96重量部 (粒径23nm、DBP吸油量50〜120ml/100g) カーボンブラック大 : 4重量部 (粒径270nm、DBP吸油量30〜60ml/100g) ポリエステルポリウレタン樹脂 :20重量部 (東洋紡(株)製[バイロンUR8300]) フェノキシ樹脂 :60重量部 (U.C.C社製[PKHH]) このバックコート層用塗料へポリイソシアネート(日本
ポリウレタン社製硬化剤、商品名:コロネートL)を1
5重量部添加し、これをベースフィルム11の磁性層1
2形成面とは反対側の主面上に塗布し、厚さ0.6μm
のバックコート層13を形成した。
【0089】次に、このようにして製造された全厚1
3.5〜14.2μmの広幅テープを1/2インチ幅に
スリットし、カセットに組み込んだものを実施例1のサ
ンプルテープとした。得られたサンプルテープに対し
て、次に示す方法により磁性層表面のパワースペクトラ
ムを測定した。
【0090】(磁性層表面のパワースペクトラムの測
定)小坂研究所製の表面粗さ測定器「ETB−30H
K」を用いて、磁性層12表面の磁気テープの長手方向
250μm×幅方向50μmの領域を測定した。測定に
おける走査の方向は磁気テープの長手方向とした。尚、
測定データには、250μm以上のうねり成分を排除す
るカットオフ処理を施した。解析に当たっては、小坂研
究所製の表面粗さ測定器「ETB−30HK」付属の
「POWER FFT プログラム」を用いて、測定し
た50本の二次元データである表面粗さ曲線を波形とみ
なして、フーリエ変換し、得られた各波長におけるパワ
ースペクトラムから、波長5μm以上100μm以下の
範囲における各波長に対する強度の関係を累積近似式で
求めた。ここで述べる強度は前述した特定波長成分にお
ける凹凸の高さ(波高)と波数との積である。
【0091】尚、上記に紹介した機器に限らず、同等の
測定能力・解析方法を有する測定機であれば、他の機器
であっても同様の測定を行うことができる。
【0092】そして、この実施例1において、磁性層1
2の表面を測定して得られたパワースペクトラムの波長
5μm以上100μm以下の範囲における各波長に対す
る強度の近似式から求められた係数aは0.0001で
あった。また係数bは2.0であった。
【0093】(実施例2)カレンダー処理の処理温度を
80℃以上、線圧力を300kg/cm以上とした以外
は、実施例1と同様にしてテープ化して実施例2とし
た。磁性層12の表面を測定して得られたパワースペク
トラムの波長5μm以上100μm以下の範囲における
各波長に対する強度の近似式から求められた係数aは
0.0005であった。また係数bは1.0であった。
【0094】(実施例3)カレンダー処理の処理温度を
90℃以上、線圧力を300kg/cm以上とした以外
は、実施例1と同様にしてテープ化して実施例3とし
た。磁性層12の表面を測定して得られたパワースペク
トラムの波長5μm以上100μm以下の範囲における
各波長に対する強度の近似式から求められた係数aは
0.001であった。また係数bは0.6であった。
【0095】(実施例4)カレンダー処理の処理温度を
90℃以上、線圧力を250kg/cm以上とした以外
は、実施例1と同様にしてテープ化して実施例4とし
た。磁性層12の表面を測定して得られたパワースペク
トラムの波長5μm以上100μm以下の範囲における
各波長に対する強度の近似式から求められた係数aは
0.002であった。また係数bは0.8であった。
【0096】(実施例5)カレンダー処理の処理温度を
80℃以上、線圧力を250kg/cm以上とした以外
は、実施例1と同様にしてテープ化して実施例5とし
た。磁性層12の表面を測定して得られたパワースペク
トラムの波長5μm以上100μm以下の範囲における
各波長に対する強度の近似式から求められた係数aは
0.005であった。また係数bは1.0であった。
【0097】(実施例6)この実施例では、図2Bに示
した構造の磁気記録媒体30を作成した。まず、以下に
示す非磁性下地層用塗料を調整した。 非磁性下地層用塗料 カーボンブラック小 :100重量部 (粒径23nm、DBP吸油量50〜120ml/100g) ポリエステルポリウレタン樹脂 : 67重量部 (三級アミン:0.10mol/g、数平均分子量:38000) ブチルステアレート : 1重量部 ステアリン酸 : 1重量部 メチルエチルケトン :220重量部 トルエン :220重量部 シクロヘキサノン :110重量部 この非磁性下地層用塗料を非磁性支持体11上へ0.2
〜1.5μm塗布して下地層14を形成し、さらに実施
例1と同様の磁性層用塗料を1.5〜3.0μm塗布し
て磁性層12を形成して図2Bに示す多層構造の塗膜を
形成した以外は実施例1と同様にサンプルテープを作製
した。磁性層12の表面を測定して得られたパワースペ
クトラムの波長5μm以上100μm以下の範囲におけ
る各波長に対する強度の近似式から求められた係数aは
0.0002であった。また係数bは0.8であった。
【0098】(実施例7)この実施例では、図2Aに示
した構造の磁気記録媒体20を作成した。まず、以下に
示す磁性下地層用塗料を調整した。 磁性下地層用塗料 Co被着Fe3 4 :100重量部 (比表面積(BET値)41.0m2 /g、長軸長0.22μm、保磁力(HC )55kA/m) ポリエステルポリウレタン樹脂 : 3重量部 (三級アミン:0.10mol/g、数平均分子量:38000) 塩化ビニル系共重合体 : 12重量部 (平均重合度:305、エポキシ基:0.8mmol/g、硫酸カリウム:0. 07mmol/g、水酸基:0.3mmol/g) ブチルステアレート : 1重量部 ステアリン酸 : 1重量部 メチルエチルケトン : 70重量部 トルエン : 70重量部 シクロヘキサノン : 40重量部 この磁性下地層用塗料を非磁性支持体11上へ0.2〜
1.5μm塗布して磁性下地層即ち第1の磁性層12A
を形成し、さらに実施例1と同様の磁性層用塗料を1.
5〜3.0μm塗布して第2の磁性層12Bを形成する
ことにより図2Aに示す多層構造の塗膜を形成した以外
は実施例1と同様にサンプルテープを作製した。第2の
磁性層12Bの表面を測定して得られたパワースペクト
ラムの波長5μm以上100μm以下の範囲における各
波長に対する強度の近似式から求められた係数aは0.
0003であった。また係数bは1.0であった。
【0099】(実施例8)磁性層12の膜厚を0.6μ
mとした以外は、実施例1と同様にテープ化して実施例
8とした。磁性層12の表面を測定して得られたパワー
スペクトラムの波長5μm以上100μm以下の範囲に
おける各波長に対する強度の近似式から求められた係数
aは0.003であった。また係数bは2.2であっ
た。
【0100】(比較例1)カレンダー処理の処理温度を
80℃以上、線圧力を200kg/cm以上とした以外
は、実施例1と同様にしてテープ化して比較例1とし
た。磁性層12の表面を測定して得られたパワースペク
トラムの波長5μm以上100μm以下の範囲における
各波長に対する強度の近似式から求められた係数aは
0.007であった。また係数bは1.0であった。
【0101】(比較例2)カレンダー処理の処理温度を
90℃以上、線圧力を200kg/cm以上とした以外
は、実施例1と同様にしてテープ化して比較例2とし
た。磁性層12の表面を測定して得られたパワースペク
トラムの波長5μm以上100μm以下の範囲における
各波長に対する強度の近似式から求められた係数aは
0.007であった。また係数bは0.5であった。
【0102】(比較例3)カレンダー処理の処理温度を
90℃以上、線圧力を300kg/cm以上とした以外
は、実施例1と同様にしてテープ化して比較例3とし
た。磁性層12の表面を測定して得られたパワースペク
トラムの波長5μm以上100μm以下の範囲における
各波長に対する強度の近似式から求められた係数aは
0.0001であった。また係数bは0.5であった。
【0103】(比較例4)カレンダー処理の処理温度を
90℃以上、線圧力を350kg/cm以上とした以外
は、実施例1と同様にしてテープ化して比較例4とし
た。磁性層12の表面を測定して得られたパワースペク
トラムの波長5μm以上100μm以下の範囲における
各波長に対する強度の近似式から求められた係数aは
0.00008であった。また係数bは0.6であっ
た。
【0104】(比較例5)カレンダー処理の処理温度を
70℃以上、線圧力を350kg/cm以上とした以外
は、実施例1と同様にしてテープ化して比較例5とし
た。磁性層12の表面を測定して得られたパワースペク
トラムの波長5μm以上100μm以下の範囲における
各波長に対する強度の近似式から求められた係数aは
0.00008であった。また係数bは2.5であっ
た。
【0105】(比較例6)磁性層12に用いた強磁性粉
末の長軸長を0.28μm(比表面積(BET値):4
6.1m2 /g、保磁力(HC )125kA/m)とし
た以外は、実施例1と同様にテープ化して比較例6とし
た。磁性層12の表面を測定して得られたパワースペク
トラムの波長5μm以上100μm以下の範囲における
各波長に対する強度の近似式から求められた係数aは
0.008であった。また係数bは1.8であった。
【0106】(比較例7)磁性層12の膜厚を0.4μ
mとした以外は実施例1と同様にテープ化して比較例7
とした。磁性層12の表面を測定して得られたパワース
ペクトラムの波長5μm以上100μm以下の範囲にお
ける各波長に対する強度の近似式から求められた係数a
は0.006であった。また係数bは2.9であった。
【0107】以上の実施例1〜実施例8及び比較例1〜
比較例7のサンプルテープについて、電磁変換特性、摩
擦、走行耐久性について調査した。
【0108】<電磁変換特性>電磁変換特性の測定は、
デジタルベータカムVTR(ソニー社製、商品名DVW
−500)を用いて、測定周波数を32MHzとした。
測定値は、実施例1の出力を0dBとして、相対値で表
した。
【0109】<摩擦係数の測定>ステンレス鋼SUS3
04で作製された外形3mmのピンに90゜巻き付け、
20mm/秒の速度で0.2Nの荷重を引くときの張力
T(N・m/s)を求め、次式(3)で算出される値を
摩擦係数とした。 摩擦係数=(2/π)×ln(T/20) (3) このようにして求めた摩擦係数の値が0.5以上である
と、テープ状磁気記録媒体では走行性に問題が生じる。
【0110】<走行耐久性の評価>90分長のビデオテ
ープカセットを5巻連続で記録・再生を行った。ビデオ
ヘッド摺動面上の脱落粉の蓄積量を光学顕微鏡(200
倍)で観察し、ヘッド摺動面に対する脱落粉蓄積量の面
積比を下記の3段階で評価した。 面積比で約1/2以上の場合 :× 面積比で約1/4以上1/2未満の場合 :△ 面積比で約1/4未満の場合 :○
【0111】<測定の結果>各サンプルテープにおい
て、近似式(1)の係数a,bの値と共に、電磁変換特
性、摩擦係数、並びに走行耐久性の測定結果を表1に示
す。
【0112】
【表1】
【0113】表1より、実施例1〜実施例5及び実施例
8においては、近似式(1)の係数a,bが、いずれも
0.0001≦a≦0.005及び0.6≦bを満たす
ため、良好な電磁変換特性を有し、かつ、摩擦が低い磁
気記録媒体となっている。さらに、いずれの例において
も走行耐久性を満足する結果となっている。
【0114】また、実施例6及び実施例7においては、
非磁性支持体11に形成された下地層14及び磁性層1
2から構成される多層構造の記録層となっているが、近
似式(1)の係数a,bがそれぞれ上記規定範囲内であ
るため、同様の結果となっている。
【0115】これに対して、比較例1〜比較例5では、
近似式(1)の係数a,bいずれかが上記規定範囲外と
なっているため、電磁変換特性、或いは走行耐久性が満
足されない結果となった。
【0116】また、比較例6においては、磁性層12に
用いた強磁性粉末の長軸長が0.25μmを超えている
ため、電磁変換特性が悪化した。さらに、比較例7にお
いては、磁性層12の膜厚が0.5μmより薄いため、
ベースフィルム11の表面状態の影響を受けやすくな
り、パワースペクトラムの波長5μm以上100μm以
下の範囲における各波長に対する強度を制御することが
困難となった。その結果、電磁変換特性が悪化した。
【0117】上述の各実施例及び比較例について、係数
a及び係数bの値をそれぞれ縦軸及び横軸にとって図4
に示す。各実施例を●印で示し、各比較例を△印で示し
ている。また、横軸の係数aは対数目盛としている。図
4より実施例と比較例の結果から、良好な特性が得られ
るのは図中破線で示す範囲即ち0.0001≦a≦0.
005かつ0.6≦bを満たす範囲内であることがわか
る。
【0118】以上の結果から、強磁性粉末及び結合剤を
主体とする磁性塗料を非磁性支持体11上に塗布して磁
性層12を形成する磁気記録媒体において、磁性層12
の表面をフーリエ変換したパワースペクトラムの波長5
μm以上100μm以下の範囲において、波の個数と波
高の積を強度と定義し、波長xと強度yとの関係を、前
述の近似式(1)で示した際の係数a,bが、0.00
01≦a≦0.005,0.6≦bを満たすことによ
り、良好な電磁変換特性及び充分な走行耐久性を満足す
ることができることがわかる。
【0119】また、磁性層12に用いる強磁性粉末の長
軸長を0.25μm以下とし、かつ非磁性支持体11上
に形成される磁性層12或いは磁性層12と中間層又は
下地層14から構成される塗膜の厚みを0.5μm以上
とすることが好ましいことがわかる。
【0120】以上の結果から、磁気記録媒体の磁性層1
2を上記の構成とすることにより、摩擦係数が小さくな
り安定した走行性が得られると共に、良好な電磁変換特
性と良好な走行耐久性を備えた磁気記録媒体が構成され
ることがわかる。
【0121】尚、塗布型磁気記録媒体であるならばどの
ようなフォーマットであっても本発明の効果を確認する
ことができる。磁気テープであれば、例えば1/2イン
チ幅のVHS、ベータカム、3/4インチ幅の業務用V
TRテープ、3.8mm幅ではオーディオ用テープやD
DS−1〜3用テープが挙げられる。磁気ディスクであ
れば、例えば3.5インチの2DD〜2HD、米国アイ
オメガ社が提唱するZipドライバ用3.7インチディ
スク等である。
【0122】また、磁気記録媒体の構成も、実施例で示
したベースフィルム11の厚さや下地層14の膜厚や磁
性層12の膜厚及びバックコート層13の膜厚に限定さ
れるものではなく、各塗布層の配合比率や製造方法、製
造条件等についても本発明の効果を規制するものではな
い。
【0123】本発明は、上述の実施の形態に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他
様々な構成が取り得る。
【0124】
【発明の効果】上述の本発明によれば、磁気記録媒体と
磁気ヘッドとのスペーシングが小さくなり、かつ磁気ヘ
ッド或いはドラムやガイド等の走行系部品と磁気記録媒
体との間の真実接触面積が増大しない。その結果、摩擦
係数が小さく、安定した走行性を有する磁気記録媒体を
構成することができる。
【0125】さらに、本発明によれば、粗大突起の発生
が非常に少なくなる。これにより、磁気ヘッドやドラム
と磁気記録媒体との摺動によっても、粗大突起からの削
れが発生しないことから、脱落粉が堆積することなく、
充分な信頼性が得られる磁気記録媒体を構成することが
できる。
【0126】従って、本発明により、良好な電磁変換特
性と良好な走行耐久性を兼ね備えた磁気記録媒体を構成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一実施の形態の概略構
成図(断面図)である。
【図2】本発明の磁気記録媒体の他の実施の形態の概略
構成図(断面図)である。A 磁性層を複数設けた場合
である。B 下地層又は中間層を設けた場合である。
【図3】本発明の実施例及び比較例について、係数a及
び係数bの値をそれぞれ縦軸及び横軸にとって示した図
である。
【符号の説明】
10,20,30 磁気記録媒体、11 非磁性支持
体、12,12A,12B磁性層、13 バックコート
層、14 下地層(又は中間層)、15 塗膜

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に磁性層が形成されてい
    る磁気記録媒体において、 上記磁性層表面をフーリエ変換したパワースペクトラム
    の波長5μm以上100μm以下の範囲における各波長
    x[μm]に対して、 波の個数と波の高さの積を強度yと定義し、 波長x[μm]と強度yとの関係を下式、 y=axb (ただしa,bは係数) により近似したときに、 係数a,bが、0.0001≦a≦0.005及び0.
    6≦bを満たすことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記磁性層が、少なくとも含有する磁性
    粉末の長軸長が0.25μm以下であり、かつ、上記非
    磁性支持体上に形成される上記磁性層、或いは複数の磁
    性層、或いは上記磁性層と下地層又は中間層とから構成
    される塗膜の厚さが0.5μm以上であることを特徴と
    する請求項1に記載の磁気記録媒体。
JP2000111043A 2000-04-12 2000-04-12 磁気記録媒体 Pending JP2001297422A (ja)

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