JP2001288560A - 蒸着源、光学物品およびそれらの製造方法 - Google Patents

蒸着源、光学物品およびそれらの製造方法

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JP2001288560A
JP2001288560A JP2000103322A JP2000103322A JP2001288560A JP 2001288560 A JP2001288560 A JP 2001288560A JP 2000103322 A JP2000103322 A JP 2000103322A JP 2000103322 A JP2000103322 A JP 2000103322A JP 2001288560 A JP2001288560 A JP 2001288560A
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compound
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optical article
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Tetsuji Kondo
哲司 近藤
Masaya Adachi
眞哉 足立
Masahiro Henmi
昌弘 辺見
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱伝導性の悪い有機化合物でも素早くかつ均一
に有機化合物を加熱することができ、物品表面に薄膜を
安定に形成でき、なおかつ加工や運搬の際に有機化合物
が飛散しないような蒸着源を製造する。 【解決手段】液状有機化合物と熱伝導性粉体を混合し、
該液状有機化合物を硬化させ固体の化合物にし、蒸着源
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に有機化合
物の薄膜を形成させる際に、有機化合物を加熱、蒸発さ
せて蒸着するための技術に関する。このような技術は、
CRT(cathode-ray tube)、LCD(liquid crystal
displays)、PDP(plasma display panel)、EL
(electroluminescence)など各種ディスプレイの画像
面、各種表示装置の表示面、光学フィルター類、眼鏡レ
ンズ、光学レンズ、照明用具、展示用のケースまたはシ
ョーウインドウ、絵画の額、窓ガラス、自動車のフロン
トガラスやミラー、光記憶媒体や感光ドラムなどの情報
記録物品など、またはそれらに添付して用いる光学物品
の製造方法に関わる。
【0002】
【従来の技術】防汚剤や低屈折率膜の有機化合物の薄膜
を基板に形成する方法としては、ディッピング法、スピ
ンコート法、グラビアコート法、スリットダイコート
法、リバースコート法などの溶液を用いる方法(いわゆ
るウエットコート法)が知られている。しかし、このよ
うな方法は溶剤が必要なうえ膜厚調整も難しく、溶剤を
蒸発するための乾燥時間、エージング時間が必要であり
生産効率が悪いなどの問題点が多い。
【0003】一方、有機化合物の膜を基板の表面に形成
するその他の方法として、真空蒸着法やスパッター法な
どの溶剤を用いない方法(いわゆるドライコート法)が
ある。これらの方法を用いた場合は、溶剤が不要で膜厚
調整が容易であり、また、基板に無機化合物の薄膜を付
与した後に同一装置内で連続的に防汚剤などの有機化合
物も付与できるので生産効率が良いなど長所が多い。
【0004】しかしながら、一般に真空蒸着法で用いら
れている無機化合物と比べ、熱伝導性が低く、真空蒸発
の際の加熱が局所的になりやすく、安定な蒸発状態を保
つまでに時間がかかるという欠点がある、また、有機化
合物は融点や沸点、昇華点が低く、不純物を多く含んで
いたり、分子量分布を持つものがあり、沸点の分布を持
ちやすいため、そのままでは蒸発状態が不安定になりや
すい。このため、有機化合物を真空蒸発する場合は、加
熱コントロールが無機化合物と比べて難しく、また、局
所的な加熱による突沸現象(スプラッシュ)を起こしや
すい。スプラッシュによる光学物品表面への飛沫飛散
は、欠点となり、収率低下の大きな原因になる。
【0005】スプラッシュ、加熱コントロールの対策と
して、特開平4−72055号公報や特開平5−215
905号公報で、有機化合物を多孔性セラミックや金属
燒結体に含浸する方法が提案されている。また、特開平
6−340966号公報では有機化合物を繊維状の導電
性物質の塊に付着する方法が提案されている。
【0006】しかし、多孔性セラミックや金属燒結体に
含浸したり、繊維状の導電性物質の塊に付着する方法
は、含浸、付着量がばらつきやすく、また均一に密着し
て多孔質や繊維に付着させることが難しいため、蒸着量
および蒸着速度にバラツキが出やすい。
【0007】また、特開平1−225769号公報にお
いて、有機化合物材料の粉末に高熱伝導性材料微粒子を
分散させる方法が提案されているが、分散させただけで
は有機化合物材料の粉末と高熱伝導性材料微粒子との間
には隙間が空き、熱が伝導しにくく、逆に熱伝導を良く
しようとして加圧充填して密着性をあげると、蒸着の際
に有機化合物材料が加熱されて発生するガスが逃げ場を
失い、内圧が上昇して爆発し、蒸着機内に粉末が飛散す
る欠点がある。また、この方法は加工工程や運搬の際に
粉末や微粒子が飛散する可能性が高い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、熱伝導性の
悪い有機化合物でも、素早くかつ均一に有機化合物を加
熱して、物品表面に薄膜を安定に形成させることがで
き、加工や運搬の際にも有機化合物が飛散しないような
蒸着源およびその蒸着源を使用した光学物品を提供する
ことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は下記構成を有する。
【0010】熱伝導性粉体を含有し液状有機化合物が硬
化した固体からなる蒸着源、蒸着源を加熱して有機化合
物を蒸発させ表面に該有機化合物の薄膜を形成した光学
物品、液状有機化合物と熱伝導性粉体を混合し該液状有
機化合物を反応させ固体の化合物にする蒸着源の製造方
法、および真空下で蒸着源を加熱して有機化合物を蒸発
させ光学物品表面に該有機化合物の薄膜を形成させる光
学物品の製造方法、である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明を説明する。
【0012】本発明は、熱伝導性粉体を含有し液状有機
化合物が硬化した固体からなる蒸着源であり、液状有機
化合物1種類以上と熱伝導性粉体1種類以上を混合し、
該液状有機化合物を反応させて、常温で固体の化合物の
蒸発源を製造することができる。これにより、有機化合
物が熱伝導性粉体にミクロに分散し密着することにより
加熱の際に素早く均一に熱が伝達し、有機物の蒸発が迅
速かつ安定的に行われ、加工、運搬の際に有機化合物、
熱伝導性粉体が飛散することがない。
【0013】液状有機化合物を熱伝導性粉体に均一に分
散するために、有機化合物と熱伝導性粉体を混合する際
に溶媒を使用することも場合によっては可能である。使
用する溶媒としては特に限定しないが、有機化合物を溶
解、分散するものが好ましく、アルコール類、セロソル
ブ類、ケトン類、エーテル類などの有機溶媒を使用す
る。また、フッ素を含む有機化合物を使用する場合はパ
ーフルオロヘキサン、パーフルオロオクタン、トリフル
オロキシレンなどのフッ素系の溶媒が好ましい。
【0014】液状有機化合物を反応させて蒸着源を固体
の化合物とするために、液状有機化合物は硬化できるよ
うな化合物であることが望ましく、なかでも、縮合重合
あるいは付加重合できる官能基を持つ有機化合物である
ことが望ましい。そのような官能基の例としてビニル
基、アクリレート基、メタクリレート基、エポキシ基、
アルコキシシラン基、シラノール基、シラザン基、アミ
ノ基、ヒドロキシ基、イソシアナート基、カルボキシ基
などが挙げられる。また、このような官能基が1分子当
たりに2個以上であれば有機化合物が架橋構造をとりや
すくなり、有機化合物が硬化されやすくなる。このよう
な重合性の有機化合物の硬化方法としては、有機化合物
と熱伝導性粉体を混合した後に、加熱、光、紫外線、電
子線、加湿、水分、酸、アルカリ、触媒等を作用させて
硬化を行う。
【0015】用途的には光学物品に使用するために、防
汚剤として撥水、撥油性機能を持つ薄膜や反射防止膜と
して低屈折率膜になり得る有機化合物が特に好ましい。
【0016】防汚剤として撥水、撥油性薄膜や反射防止
膜として低屈折率膜を形成し得る有機化合物の中で、加
熱によって性能を変化させず、蒸発可能な性質を持ち、
かつ蒸着後の基板表面で薄膜を形成し得るものとして、
分子内にフッ素原子を含むものが挙げられる。また、光
学物品表面は無機質膜、なかでも酸化ケイ素膜である場
合が多いため光学物品表面との密着性を向上するため
に、また、有機化合物を硬化させて固体とするために、
該有機化合物はシラン系化合物あるいはシラザン系化合
物であることが好ましい。中でも、シラノール基を形成
し得る加水分解性基が2官能性以上、好ましくは3官能
性以上である場合、無機質膜あるいは酸化ケイ素膜への
密着性を高くしやすい。
【0017】本発明に適用される有機化合物の代表例を
下記する。
【0018】ハロゲン化シラン類として、トリメチルク
ロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロ
ロシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピル
ジクロロシランなどがあげられる。
【0019】アルコキシシラン類として、トリメチルエ
トキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、3,3,3
−トリフルオロプロピルトリメトキシシランなど。
【0020】アミノシラン類として、3,3,3−トリ
フルオロプロピルトリアミノシラン、2−(パーフルオ
ロプロピル)エチルトリアミノシラン、2−(パーフル
オロオクチル)エチルトリアミノシランなどがあげられ
る。
【0021】シラザン類として、ヘキサメチルジシラザ
ン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクチルメチル
シクロテトラシラザンなどがあげられる。
【0022】またシラン化合物の中でも、下記構造を持
つ有機化合物I〜VIIに示すような、分子内にパーフル
オロポリエーテル構造を持ち、分子量1000〜500
00程度の比較的大きな化合物は、防汚性能が格段に優
れるため、これらの化合物を主成分として50wt%以
上、好ましくは75wt%以上含むことが望ましい。し
かし、これらの有機化合物は熱伝導性が良くないため蒸
着の際に均一に加熱しにくいため蒸着速度が不安定にな
ったり、スプラッシュによるブツを発生しやすい。しか
し、このような化合物であっても、本発明の方法によれ
ば、素早く均一に物品表面に薄膜を形成することができ
る。
【0023】有機化合物I Rf{(CH2iOCONH−R1−Si(OR23j (式中Rfは含フッ素オキサアルキル基あるいは含フッ
素アルキル基を含む有機基、iは1〜4の整数、R1
2価の有機基、R2は1価の有機基、jは1〜4の整
数) 有機化合物II (EtO)3SiCH2CH2CH2NHCOOCH2(CF2CF2O)p(CF2O)qCH2 OCON
HCH2CH3CH2Si(OEt)3 (式中、p、qは1〜100の整数を表す。) 有機化合物III 下式で表される化合物Aと多官能性イソシアネートとア
ミノシランまたはヒドロキシシランまたはカルボキシシ
ランの反応物であり、化合物Aとアミノシランまたはヒ
ドロキシシランまたはカルボキシシランとが、化学構造
的に多官能性イソシアネートを介して結合している有機
ケイ素化合物。
【0024】Rf{(CH2kOH}l・・・化合物A (式中、Rfは含フッ素オキサアルキル基、含フッ素ア
ルキル基、含フッ素オキサアルキレン基および含フッ素
アルキレン基から選ばれる少なくとも一つを含む有機
基、kは1〜4の整数、lは1〜4の整数)。
【0025】有機化合物IV 下式で表される化合物Bと多官能性アミンとイソシアネ
ートシランまたはエポキシシランとの反応物であり、化
合物Bとイソシアネートシランまたはエポキシシラン
が、化学構造的に多官能性アミンを介して結合している
有機ケイ素化合物。
【0026】Rf(COOH)r・・・化合物B (式中、Rfは含フッ素オキサアルキル基、含フッ素ア
ルキル基、含フッ素オキサアルキレン基および含フッ素
アルキレン基から選ばれる少なくとも一種を含む有機
基、rは1〜4の整数)。
【0027】有機ケイ素化合物V 上記化合物Bと多官能性イソシアネートとヒドロキシシ
ランまたはアミノシランまたはカルボキシシランとの反
応物であり、化合物Bとヒドロキシシランまたはアミノ
シランまたはカルボキシシランが、化学構造的に多官能
性イソシアネートを介して結合している有機ケイ素化合
物。
【0028】有機ケイ素化合物VI 上記化合物Bとイソシアネートシランが結合している有
機ケイ素化合物。
【0029】有機ケイ素化合物VII 上記化合物Bとアミノシランが結合している有機ケイ素
化合物。
【0030】これらのシラン化合物は、単独または混合
して用いられ、熱伝導性粉体1種類以上と混合し、ペー
スト状にした後、少なくともその一部をシロキサン結合
させて硬化したものが本発明に好適である。シロキサン
結合の形成は高温で加熱して縮合反応を起こしたり、加
水分解により縮合反応を起こして形成する。加水分解を
促進するためには加水分解促進剤として、水、水蒸気ま
たは塩酸、酢酸、リン酸、硝酸あるいは硫酸など、また
はそれらの酸性水溶液を添加することが好ましい。特に
フッ素を含むシラン化合物を使用する場合は、溶解性の
関係からトリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホ
ン酸などのフッ素を含む酸を使用することが好ましい。
加水分解に際しては、加水分解促進剤を加水分解性基1
当量に対して0.1当量から3.0当量、好ましくは
0.3当量から1.0当量を添加する。添加量が0.1
当量より少ないと加水分解が促進されにくく、また3.
0当量より多いと加水分解重縮合が進行しすぎて基板と
の密着性が乏しくなる傾向がある。以上のような加水分
解反応には酸性の水溶液を使用することが多いので、熱
伝導性粉体と混合する前に加水分解を行うことが望まし
い。また、縮合反応を促進するためにアルミニウムアセ
チルアセトナートなどの金属アルコキシドを添加してい
ても構わない。このような縮合反応の反応条件は使用す
るシラン化合物の種類や量、添加物の存在の有無によっ
て適宜変更可能である。通常、縮合反応の温度は10〜
300℃、好ましくは15〜250℃の範囲を取る。ま
た、反応時間としては5分〜40時間の範囲を取る。縮
合反応を進行させるため、あるいは使用した加水分解促
進剤や溶媒を揮発させるために、60〜200℃で処理
を行うことが好ましく、場合によっては減圧下や窒素な
どの不活性ガス雰囲気下で加熱処理を行うことも可能で
ある。
【0031】蒸着源を構成する有機化合物が常温で固体
である場合には、重合性の官能基を持っていない有機化
合物でも、その有機化合物を融点以上に加熱して、溶融
状態にして熱伝導性粉体混合した後、常温に戻し、凝固
反応により硬化する方法も適用可能である。
【0032】本発明で使用する熱伝導性粉体は、上記有
機化合物を蒸着する温度において、熱分解等による放出
ガスや蒸発物質が無いか、有っても少ないことが要求さ
れる。そのため、無機系粉末であるか、耐熱性の有機系
粉末であることが好ましい。
【0033】本発明に好ましく適用できる熱伝導性粉体
の具体例として、金属粉末、セラミックス粉末、カーボ
ン粉末などを挙げることができる。これらは1種のみを
用いてもよく、混合して用いても良い。熱伝導性粉体は
蒸着の際の熱伝導を素早く均一にする効果を担ってい
る。この様な効果を発揮するため、熱伝導性粉体の平均
粒径は0.5〜2000μmであることが好ましく、1
〜500μmがより好ましい。
【0034】平均粒径とは、ふるい分け、および動的光
散乱法で求めた重量平均粒子径のことである。
【0035】熱伝導性粉体がこの範囲の平均粒径のもの
であると、蒸着の際、有機物への熱伝導を素早く均一に
する効果が発揮されやすく、平均粒径が0.5μm未満
では粉体の酸化安定性などが不安定である可能性があ
り、平均粒径が2000μmを越えると熱伝導性、硬化
性が低下する傾向がある。
【0036】液状有機化合物1種類以上と該熱伝導性粉
体1種類以上を均一に混合し、液状有機化合物を反応さ
せて常温で固体の化合物として蒸発源を製造することに
より、蒸着の際、有機物への熱伝導を素早く均一にする
効果が発揮されやすくなる。液状有機化合物と熱伝導性
粉体を均一に混合するために、混合機、攪拌機、分散
機、混練機、捏和機、粉砕機、解砕機、振とう機、メカ
ニカルスターラー、マグネチックスターラー、ローラー
ミル、ボールミル、乳鉢、ホモジナイザー、ソニケータ
ー、遠心分離器などを使用することも可能である。
【0037】真空蒸着に際し、蒸着源は、通常、保持容
器(るつぼとも言う)に収納する。保持容器の形状は特
に限定しないが、クヌーセン型、末広ノズル型、直筒
型、末広筒型、ボート型、フィラメント型、チムニー型
などがあり、これらの容器は少なくとも一方が開放され
ている。保持容器の種類は、蒸着する有機化合物、蒸着
速度などによって適宜選択する。また、保持容器の材料
についても、銅、タングステン、タンタル、モリブデ
ン、ニッケルなどの金属製のものやアルミナのようなセ
ラミックス製やカーボン製のものがあり、用途によって
適宜選択する。
【0038】また、蒸着源は硬化され固体となっている
ので、上記のような保持容器を使用しなくても、そのま
ま蒸着源として使用することも可能である。
【0039】なお、熱伝導性粉体の混合量は、蒸着速
度、蒸着膜の性能、品質、経済性などから決めるべきも
のである。
【0040】本発明は、真空蒸着法、イオンプレーティ
ング法、反応性蒸着法など熱蒸発技術を使用して有機化
合物の薄膜を形成するPVD(physical vapor deposit
ion)法、CVD(chemical vapor deposition)法に好
適に使用できる。
【0041】蒸着時の蒸着源の加熱方法として、ハロゲ
ンランプ法、シーズヒータ法、抵抗加熱法、電子線ビー
ム法、プラズマ電子線ビーム法、誘導加熱法などがある
が、本発明ではいずれの方法でも用いることが可能であ
る。また、蒸発は10-6〜10Pa、さらには10-4
1Pa程度の減圧下で行うことが好ましい。
【0042】本発明の蒸着源を使用して有機化合物の薄
膜を光学物品の表面に形成することができる。光学物品
とは、CRT、LCD、PDP、ELなど各種ディスプ
レイ類の画像面や各種計器類の表示面として使用される
物品、それら画像面や表示面へ貼付して使用される物
品、あるいは、偏光板、光学フィルター類、眼鏡レン
ズ、光学レンズ、照明用具、展示用のケースまたはショ
ーウインドウ、絵画の額、窓ガラス、自動車のフロント
ガラスやミラーなどやそれらの表面に添付して用いられ
る物品、光記憶媒体や感光ドラムなどの情報記録物品な
どが含まれる。
【0043】これらの光学物品の材料としては、アクリ
ル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポ
リウレタン系樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1樹脂、
ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂などの樹脂
類やガラスなどを用いることができる。
【0044】また、光学物品の形状としては、平面形状
かフィルム状が真空蒸着の操作性、均質性から好まし
い。
【0045】中でも、光学物品の表面は反射防止膜や赤
外線の遮蔽膜や電磁波の遮蔽膜のような無機質膜によっ
て被覆され、その最外層が金、銀、アルミニウムなどの
金属膜、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、
酸化スズ、酸化インジュウム、炭化珪素、窒化ケイ素の
ような無機質膜である場合が多い。このため、光学物品
との間の密着性から、蒸着される有機化合物はシラン系
の化合物が好適である。
【0046】なお、本発明の光学物品は、有機化合物の
薄膜を形成する際、薄膜の性能、品質などに従い、室温
から光学物品の耐熱温度または有機化合物の耐熱温度ま
での任意の温度を取りうるものである。
【0047】
【実施例】本発明について、真空蒸着法の場合を実施例
に用いて具体的に説明するが、これに限定されるもので
はない。
【0048】実施例1 厚さ2mmのPMMA基板約400cm2に、真空蒸着
法により基板側から外へ向かい、SiO2/ZrO2/S
iO2/ZrO2/SiO2の順に多層反射防止膜を積層
した。
【0049】HO-CH2CF2(OC2F4)p(OCF2)qOCF2CH2-OH
(アウジモント株式会社 "FOMBLIN ZDOL" 数平均分子
量4000;p/q=1 ) 15mmolにトリエチルアミン
(触媒)0.01gを混合し、80℃窒素雰囲気下でイ
ソシアナートプロピルトリエトキシシラン30mmol
を滴下した後、8時間環流攪拌しながら、反応させ、無
色透明で高粘性液体の有機ケイ素化合物を得た。深さ
0.7cm、直径1.8cmの円筒状の銅製容器内に平
均粒径100μmの銅粉末1.0gを満遍なく充填した
後、その上に上記有機ケイ素化合物を0.5g充填し、
これを減圧下180℃で8時間加熱硬化させて蒸発源と
した。
【0050】真空蒸着装置BMC−700(シンクロン
社製)に上記基板を設置し、抵抗加熱用タンタルボード
上に上記蒸発源を設置し、2.5×10-3 Paまで減
圧してからタンタルボードに90Aの電流を通電して加
熱して、有機ケイ素化合物を基板の反射多層防止膜を形
成した側に被覆し、光学物品を得た。目視で観察したと
ころ得られた光学物品の表面にはブツが見られず、付着
した指紋がティッシュペーパ5往復で拭き取れる高い防
汚性能を示した。安定な蒸発が開始するまで2分かか
り、蒸着速度は50オングストローム/秒であった。
【0051】実施例2 実施例1において銅粉末に代わり平均粒径50μmのカ
ーボン粉末を用いた以外は実施例1と同様な方法で光学
物品を得た。得られた光学物品の表面にはブツが見られ
ず、付着した指紋がティッシュペーパ5往復で拭き取れ
る高い防汚性能を示した。安定な蒸発が開始するまで3
分かかり、蒸着速度は40オングストローム/秒であっ
た。
【0052】実施例3 実施例1の有機ケイ素化合物を減圧下180℃で8時間
加熱硬化した後、粉砕した。この粉末0.5gを減圧下
230℃まで加熱して溶融した後、平均粒径100μm
の銅粉末1.0gと混合し常温に戻して固体とした蒸着
源を得た。この蒸着源を実施例1と同様の方法で蒸着し
たところ、得られた光学物品の表面にはブツが見られ
ず、高い防汚性能を示した。また、安定な蒸発が始まる
まで2分かかり、蒸着速度は60オングストローム/秒
であった。
【0053】比較例1 実施例1において、銅粉末を用いずに有機ケイ素化合物
のみを銅容器に充填した以外は実施例1と同様にして光
学物品を得た。安定な蒸発が開始するまでに10分かか
り、蒸着速度は10オングストローム/秒と遅かった。
また、蒸着後の蒸着面を目視で観察すると直径0.5m
mで1個/cm2の割合でブツ(欠点)が存在した。
【0054】比較例2 実施例1の有機ケイ素化合物を減圧下180℃で8時間
硬化した後、粉砕し、この粉末0.5gと銅粉末1.0
gを混合した後、混合物を銅容器に充填して加圧を行い
蒸着源を得た。実施例1と同様の方法で蒸着を行った。
安定な蒸発が開始されるまでに6分かかり、蒸着速度は
20オングストローム/秒であった。また、蒸着途中で
銅粉末が銅容器外に飛散し、蒸着速度が不安定となっ
た。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、熱伝導性の悪い有機化
合物でも、素早くかつ均一に有機化合物を加熱して、物
品表面に薄膜を安定に形成させることができ、加工や運
搬の際にも有機化合物が飛散しないような蒸着源および
その蒸着源を使用した光学物品を提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K009 BB13 BB14 BB24 BB25 CC01 CC03 CC09 CC14 CC42 DD03 4K029 BA62 BC07 BD00 DB06 DB18

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱伝導性粉体を含有し、液状有機化合物が
    硬化した固体からなる蒸着源。
  2. 【請求項2】液状有機化合物が重合性の有機化合物であ
    る請求項1記載の蒸着源。
  3. 【請求項3】重合性の有機化合物がフッ化アルキル基を
    有するシラン化合物またはパーフルオロポリエーテル基
    を有するシラン化合物を50wt%以上含む請求項2記
    載の蒸着源。
  4. 【請求項4】重合性官能基が1分子当たり2個以上であ
    る請求項2または3記載の蒸着源。
  5. 【請求項5】熱伝導性粉体が金属、カーボンまたはセラ
    ミックスである請求項2〜4いずれかに記載の蒸着源。
  6. 【請求項6】熱伝導性粉体の平均粒径が0.5〜200
    0μmである請求項2〜5いずれかに記載の蒸着源。
  7. 【請求項7】請求項1〜6いずれかに記載の蒸着源を加
    熱して有機化合物を蒸発させ、表面に該有機化合物の薄
    膜を形成した光学物品。
  8. 【請求項8】液状有機化合物と熱伝導性粉体を混合し、
    該液状有機化合物を反応させ固体の化合物にする蒸着源
    の製造方法。
  9. 【請求項9】有機化合物を融点以上の温度で加熱して液
    状有機化合物とする請求項8記載の蒸着源の製造方法。
  10. 【請求項10】熱伝導性粉体の平均粒径が0.5〜20
    00μmである請求項8または9記載の蒸着源の製造方
    法。
  11. 【請求項11】真空下で請求項1〜6いずれかに記載の
    蒸着源を加熱して有機化合物を蒸発させ、光学物品表面
    に該有機化合物の薄膜を形成させる光学物品の製造方
    法。
  12. 【請求項12】蒸着源を抵抗加熱により直接加熱または
    輻射熱加熱する請求項11記載の光学物品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110408892A (zh) * 2019-08-06 2019-11-05 太仓碧奇新材料研发有限公司 一种多功能光致阻变薄膜的制备方法

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