JP2001288304A - 水素化クロロプレン系ゴム組成物 - Google Patents

水素化クロロプレン系ゴム組成物

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JP2001288304A
JP2001288304A JP2000100435A JP2000100435A JP2001288304A JP 2001288304 A JP2001288304 A JP 2001288304A JP 2000100435 A JP2000100435 A JP 2000100435A JP 2000100435 A JP2000100435 A JP 2000100435A JP 2001288304 A JP2001288304 A JP 2001288304A
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JP
Japan
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chloroprene
polymer
hydrogenated
rubber
monomer
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JP2000100435A
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English (en)
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Yoshihiro Masuko
芳弘 増子
Yasushi Abe
靖 阿部
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Denka Co Ltd
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Denki Kagaku Kogyo KK
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  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐寒性、耐オゾン性等の特性の改良された優
れたゴム弾性体を提供する。 【解決手段】 2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体
及び、必要に応じてそれと共重合可能な単量体とを重合
してなるクロロプレン系重合体に水素を導入し、該重合
体中に存在する炭素炭素二重結合の一部分が単結合に変
換された重合体に、加硫剤を含有してなる水素化クロロ
プレン系ゴム組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クロロプレン系重
合体の炭素炭素二重結合を水素化触媒の存在下、水素に
より選択的に水素化して、該重合体中の炭素炭素二重結
合の一部を単結合に変換した水素化クロロプレン系重合
体を主成分とし、加硫剤を含有してなるゴム組成物に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】クロロプレン重合体(クロロプレンゴ
ム)は、そのバランスした特性を活かして自動車部品、
接着剤、各種工業部品など広範囲の分野に用いられてい
る。しかし、クロロプレンゴムは分子内に極性基である
塩素が付いているため、低温下で高分子鎖の柔軟性が損
なわれ、他のジエン系ゴムであるブタジエンゴムやイソ
プレンゴムなどと比べて耐寒性に劣ることが知られてい
る。また、分子内に二重結合を有するため、高分子主鎖
が炭素−炭素結合からなる重合体に比べて、オゾン劣化
が起きやすいことが知られている。
【0003】クロロプレン重合体の特性を改良する手段
として、ブタジエン単量体やイソプレン単量体などの様
なコモノマー成分とラジカル共重合させる方法がある
(Rubber Chemistry and Tec
hnology,49,670(1976))が、クロ
ロプレン単量体(以下、2−クロロ−1,3−ブタジエ
ン単量体をクロロプレン単量体と表記する)は他の単量
体に比べてラジカル重合速度が非常に速く、有意に共重
合するコモノマーの種類が限られ、特性改良の範囲が制
限されていた。一方、オレフィン類と共重合させる手段
として、特定の遷移金属化合物と助触媒を用いる方法が
知られている(特開平11−60638号公報)が、高
分子量の重合体が得にくいという問題点がある。
【0004】既述したコモノマー成分を共重合して改良
する方法以外に、クロロプレン重合体中に存在する炭素
炭素二重結合部位に水素を付加させて単結合とすること
が試みられている(Macromolecules,
,6985(1994))。しかし、得られた重合体
のガラス転移温度は原料であるクロロプレン重合体より
も高く、耐寒性は悪化する結果が記載されている。ま
た、クロロプレン重合体中に存在する炭素炭素二重結合
の一部に水素を付加させて単結合に変換させた、いわゆ
る、水素化クロロプレン重合体を、ゴム弾性体とする方
法は知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、耐寒性、耐
オゾン性等の特性の改良された優れたゴム弾性体を提供
するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため、クロロプレン単量体及び、必要に応
じてそれと共重合可能な単量体とを重合してなるクロロ
プレン系重合体に水素を導入し、該重合体中に存在する
炭素炭素二重結合の一部分が単結合に変換された重合体
が、良好なゴム弾性体を形成する方法について検討し、
本発明に到達した。すなわち、本発明はクロロプレン単
量体及び、必要に応じてそれと共重合可能な単量体とを
重合してなるクロロプレン系重合体に水素を導入し、該
重合体中に存在する炭素炭素二重結合の一部分が単結合
に変換された重合体に、加硫剤を含有してなる水素化ク
ロロプレン系ゴム組成物であり、更には加硫剤が有機過
酸化物またはトリアジン化合物である水素化クロロプレ
ン系ゴム組成物である。
【0007】以下に本発明を詳細に説明する。まず、本
発明の水素化クロロプレン系ゴム組成物を構成する水素
化クロロプレン系重合体を合成するための原料として用
いるクロロプレン系重合体とは、数平均分子量が5万か
ら60万の範囲、好ましくは8万から20万の範囲にあ
る、クロロプレン単量体及び、必要に応じてそれと共重
合可能な単量体とを重合して得られるクロロプレン系重
合体を指す。共重合可能な単量体とは、クロロプレン単
量体と有意に共重合する単量体であればいずれでもよ
く、その一例を挙げれば、共役ジエン単量体としては、
1−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロロ−
1,3−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、2−フ
ロロ−1,3−ブタジエン、2−ブロム−1,3−ブタ
ジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエンなどがあり、
ビニル単量体としては、アクリロニトリル、スチレン及
びスチレン誘導体、アクリル酸、メチルアクリレート、
エチルアクリレート、プロピルアクリレート、アミノメ
チルアクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノ
プロピルアクリレート、ジメチルアミノメチルアクリレ
ート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルア
ミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノメチルアク
リレート、ジエチルアミノエチルアクリレートなどがあ
る。また、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチ
ルメタクリレート、プロピルメタクリレート、アミノメ
チルメタクリレート、アミノエチルメタクリレート、ア
ミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメ
タクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、
ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミ
ノメチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタク
リレートなどがある。更に、マレイミド、N−フェニル
マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、
N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミ
ド、硫黄などがある。これらの単量体は、単独で用いて
もよく、また、二種以上を併用してもよい。
【0008】上記単量体を乳化重合する方法は、従来の
公知の方法を採用すればよい。以下、乳化重合について
説明する。乳化剤として、適正なpH雰囲気下、炭素数
が6〜18であるアルキルベンゼンスルホン酸のアルカ
リ金属塩、β−ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合
物のアルカリ金属塩、ポリオキシエチレンアルキルエー
テル、ロジン酸または不均化ロジン酸のアルカリ金属塩
などから選ばれた一種、または二種以上が用いられる。
【0009】分子量調節剤は、特に制限されず、アルキ
ルメルカプタン、ジアルキルキサントゲンジスルフィド
などが用いられる。また、硫黄とクロロプレン単量体と
の共重合体の場合には、テトラアルキルチウラムジスル
フィド化合物を用いたペプチゼーションによっても分子
量を制御することができる。
【0010】乳化重合の方法は、回分式、半回分式、連
続式のいずれでもよく、攪拌、混合操作によって水媒体
中に単量体の乳化状態を形成させた後、開始剤を添加し
重合反応を開始させる。開始剤としては、過酸化ベンゾ
イルなどの過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウ
ム、過硫酸アンモニウムなどが用いられる。重合温度は
0〜80℃、好ましくは0〜55℃である。単量体転化
率は30〜90質量%、好ましくは60〜90質量%の
範囲である。重合禁止剤は、通常用いられる禁止剤を用
いることができ、例えば、チオジフェニルアミン、4−
ターシャリー−ブチルカテコール、ジエチルヒドロキシ
ルアミンなどを用いることができる。
【0011】未反応の単量体は、例えば、スチームスト
リッピング法によって除去し、その後、ラテックスのp
Hを調整し、常法の凍結凝固、水洗、熱風乾燥などによ
り重合体を単離することができる。
【0012】こうして得られたクロロプレン系重合体
は、次に記す水素化反応を経て、該重合体中に存在する
炭素炭素二重結合の一部が単結合に変換された水素化ク
ロロプレン系重合体となる。水素化反応は、固形の重合
体を用いる場合は水素化触媒と共に有機溶媒に溶解して
水素に接触させて、溶液の状態で行われ、クロロプレン
系重合体ラテックス(以下、しばしばCRラテックスと
略す)を用いる場合は、CRラテックスと予め水素化触
媒を溶解、分散させた有機溶媒を混合、分散させて行わ
れる。
【0013】重合体溶液の濃度は、0.1〜50質量
%、好ましくは0.5〜20質量%である。有機溶媒
は、水素化反応に影響を与えず、クロロプレン系重合体
を溶解または膨潤し得る有機溶媒であれば制限無く用い
ることができ、一例を挙げれば、トルエン、キシレン、
ベンゼン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、クロロホ
ルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトン、メ
チルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルス
ルホキシドなどがある。
【0014】本発明による水素化方法によって達成され
るクロロプレン系重合体中の炭素炭素二重結合の単結合
への変換割合は、2モル%以上82モル%以下、好まし
くは、5モル%以上80モル%以下の範囲であり、この
範囲にある場合、良好なゴム弾性を示す。
【0015】本発明においては、水素化触媒としてウィ
ルキンソン錯体が用いられる。本発明でいうウィルキン
ソン錯体とは、一般式(1)で表わされる遷移金属化合
物である。 MeCla(P(C653b (1) ここで、Meは遷移金属元素、Clは塩素、Pはリン、
Cは炭素、Hは水素であり、添字a、bは、a+b≦
6、かつ、b≧1の関係を満たす整数である。Meとし
ては、ロジウム、ルテニウム、ニッケル、パラジウムが
好ましく用いられ、化合物を例示すれば、RhCl(P
(C6533、RuCl2(P(C6533、Ni
Cl2(P(C6532、PdCl2(P(C
6532、Pd(P(C6534などがある。
【0016】水素化触媒の使用量は、水素化条件、目的
とする水素化率などを考慮して適正に設定すればよい
が、通常、CRラテックス中の重合体当たり、水素化触
媒/クロロプレン系重合体の重量比で、5〜10000
0ppm、好ましくは10〜50000ppmである。
100000ppmを超えても差し支えないが、経済的
に不利である。
【0017】ウィルキンソン錯体を用いるに際して、ク
ロロプレン系重合体中の二重結合部位への水素付加をス
ムーズに進行させる目的で、配位子であるトリフェニル
ホスフィン、あるいはトリブチルホスフィンなどが好ま
しく併用される。配位子は、既述の遷移金属化合物に対
して、モル比で0.5〜50倍の範囲で好ましく使用さ
れる。配位子使用量が過少な場合は、脱Cl化反応が顕
著となり、反応を制御し難くなる。また、配位子を過剰
量添加することは、経済的に不利である。
【0018】反応温度は20〜200℃であり、好まし
くは50〜120℃である。200℃を超えると、水素
化反応時に分子切断反応などの副反応が顕著となり、好
ましくない。20℃未満では反応が著しく遅延、または
有意に反応が起きなくなる。
【0019】水素圧は0.1〜20MPaの範囲であ
り、好ましくは0.5〜10MPaである。20MPa
を超えても反応上は差し支えないが、設備費用が高くな
り、実用上の支障が出る。
【0020】クロロプレン系重合体中に存在する炭素炭
素二重結合部位の一部を水素化して単結合に変換した
後、この水素化した重合体(以下、しばしば水素化重合
体と記す)を有機溶媒から分離する。分離する方法とし
ては、例えば、重合体溶液を水蒸気と直接接触させる水
蒸気凝固法、加熱回転ドラム上に重合体溶液を滴下させ
溶媒を蒸発させるドラム乾燥方法、重合体溶液に貧溶媒
を添加して重合体を析出、沈殿させる方法などがある。
分離した水素化重合体は、減圧乾燥、熱風乾燥、押出し
乾燥などの乾燥工程を経て固形の水素化重合体として回
収される。
【0021】こうして得られた水素化重合体は、原料と
して用いたCRラテックス中のクロロプレン系重合体に
比べて耐寒性、耐オゾン性などに優れており、通常のク
ロロプレン重合体あるいはクロロプレン共重合体の用途
のみならず、耐寒性、耐オゾン性を必要とする種々のゴ
ム用途に好適である。
【0022】本発明に用いる加硫剤としては、有機過酸
化物、トリアジン化合物、ビスマレイミド化合物及びそ
の他の、ゴム加工分野で広く知られた架橋剤が用いられ
る。これらの中でも、有機過酸化物またはトリアジン化
合物が好ましく用いられる。有機過酸化物の一例を挙げ
れば、イソブチリルパーオキサイド、α,α’ビス(ネ
オデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ク
ミルパーオキシネオデカノエート、ジ−n−プロピルパ
ーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジ
カーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボ
ネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキ
シネオデカノエート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキ
シル)パーオキシジカーボネート、1−シクロヘキシル
−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、ジ−
2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ
(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、t
−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、ジメトキシブ
チルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−
メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート、t−ブチ
ルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキ
シピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、3,
5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オク
タノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、
ステアロイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラ
メチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、サ
クシニックパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5
−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、
1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ2−
エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エ
チルヘキサノエート、4−メチルベンゾイルパーオキサ
イド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエー
ト、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾ
イルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレ
ート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)2−メチ
ルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオ
キシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,
1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、
1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチル
パーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4,4−
ジ−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,
1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t
−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、
t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、t−ブチル
パーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、
t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t
−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t
−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネー
ト、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサ
ン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス
(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキ
シベンゾエート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチ
ルパーオキシ)バレレート、ジ−t−ブチルパーオキシ
イソフタレート、α,α’ビス(t−ブチルパーオキ
シ)ジイソプロフィルベンゼン、ジクミルパーオキサイ
ド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオ
キシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ
−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパ
ーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキシン−3、ジイソプロピルベンゼ
ンハイドロパーオキサイド、t−ブチルトリメチルシリ
ルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチ
ルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサ
イド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチ
ルハイドロパーオキサイドなどがある。
【0023】加硫剤として用いられるトリアジン化合物
は下記の化学式(1)で表わされるものが好ましい。
【0024】化学式(1)
【化1】
【0025】(ここで、Rはメルカプト基またはアミノ
基である) トリアジン化合物の具体例としては、1,3,5−トリ
メルカプトトリアジン、1−ヘキシルアミノ−3,5−
ジメルカプトトリアジン、1−ジエチルアミノ−3,5
−ジメルカプトトリアジン、1−シクロヘキシルアミノ
−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジブチルアミ
ノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−ジメチルア
ミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、1−アニリノ
−3,5−ジメルカプトトリアジンなどがある。
【0026】また、マレイミド化合物としては、N,
N’−m−フェニレンジマレイミドなど、また、メタク
リル酸またはアクリル酸のアルミニウム、亜鉛、カルシ
ウム、マグネシウムの金属塩なども用いられる。
【0027】その他の加硫剤としては、酸化亜鉛、酸化
マグネシウム、酸化鉛、三酸化鉄、二酸化チタン、酸化
カルシウム、ハイドロタルサイト類などを適宜使用する
ことができる。
【0028】以上示してきた加硫剤の使用量は、各々、
水素化クロロプレン系ゴム100質量部に対して、0.
05〜20質量部、好ましくは0.1〜10質量部であ
る。
【0029】更に、前記した加硫剤と共に、加硫助剤と
して以下に記す共架橋剤を併用することができる。共架
橋剤の一例を挙げれば、テトラハイドロフルフリルメタ
クリレート、エチレンジメタクリレート、1,3−ブチ
レンジメタクリレート、1,4−ブチレンジエタクリレ
ート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポ
リエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタ
ンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオール
ジアクリレート、2,2’ビス(4−メタクリロキシジ
エトキシフェニル)プロパン、トリメチロールプロパン
トリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタク
リレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、3
−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、オ
リゴエステルアクリレート、アルミニウムメタクリレー
ト、アルミニウムアクリレート、ジンクメタクリレー
ト、ジンクアクリレート、マグネシウムジメタクリレー
ト、マグネシウムアクリレート、カルシウムジメタクリ
レート、カルシウムアクリレート、トリアリルイソシア
ヌレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメ
リテート、ジアリルフタレート、ジアリルクロレンデー
ト、ジビニルベンゼン、2−ビニルピリジン、N,N’
−メチレンビスアクリルアミド、p−キノリンジオキシ
ム、p,p’−ジベンゾイルキノリンジオキシム、1,
2−ポリブタジエン、ジペンタメチレンチウラムテトラ
スルフィド、硫黄などがある。
【0030】この他、一般的に用いられる加硫促進剤、
受酸剤を適宜選定、使用できる。加硫促進剤としては、
例えば、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア、ト
リメチルチオウレア、トリエチルチオウレア、N,N’
−ジフェニルチオウレアなどを適宜用いることができ、
また、グアニジン化合物、チウラム化合物、チアゾール
化合物なども使用可能である。
【0031】本発明による水素化クロロプレン系ゴム組
成物には、必要に応じて、補強剤、充填剤、軟化剤、可
塑剤、加工助剤、老化防止剤などを配合することができ
る。補強剤としては、カーボンブラック、シリカなどが
挙げられ、ゴムの機械的強度増大させるために用いられ
る。一般には、水素化クロロプレン系ゴム100質量部
に対して、5〜100質量部の範囲で用いられる。ま
た、炭酸カルシウム、クレー、タルクなどの充填剤も適
宜添加することができる。
【0032】軟化剤としては、潤滑油、プロセスオイ
ル、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルトな
どの石油系軟化剤、ナタネ油、アマニ油、ヒマシ油、ヤ
シ油などの脂肪油系軟化剤があり、可塑剤としては、フ
タル酸誘導体であるジブチルフタレート、ジ−n−オク
チルフタレートなど、ジイソフタル酸誘導体であるジイ
ソオクチルイソフタレートなど、アジピン酸誘導体であ
るジ−n−ブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシ
ル)アジペート、ジ(n−オクチル)アジペートなど、
アゼライン酸誘導体であるジ−(2−エチルヘキシル)
アゼレート、ジイソオクチルアゼレートなど、セバシン
酸誘導体であるジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−
エチルヘキシル)セバケートなど、この他、マレイン酸
誘導体、フマル酸誘導体、トリメリット酸誘導体、リン
酸誘導体、グリセリン誘導体などがあり、水素化クロロ
プレン系ゴム100質量部に対して、最大40質量部程
度まで添加することができる。
【0033】加工助剤としては、ステアリン酸などの脂
肪酸、ステアロアミドの脂肪酸アミド、ブチルステアレ
ートなどの脂肪酸エステルなどが用いられ、水素化クロ
ロプレン系ゴム100質量部に対して、0.1〜5質量
部程度まで添加することができる。
【0034】老化防止剤としては、アミン系、イミダゾ
ール系、カルバミン酸金属塩、フェノール系、ワックス
などが使用でき、水素化クロロプレン系ゴム100質量
部に対して、0.1〜10質量部程度添加することがで
きる。
【0035】更に、本発明の水素化クロロプレン系ゴム
組成物の特性を損なわない範囲で、他種ゴムをブレンド
することも可能であり、ブレンド可能なゴムの一例を挙
げれば、通常のクロロプレンゴム、天然ゴム、イソプレ
ンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニ
トリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、塩素
化ポリエチレン、水素化ニトリルゴムなどがある。
【0036】本発明で得られる水素化クロロプレン系ゴ
ム組成物は、通常のクロロプレンゴムと同じ様に、ミキ
シングロール、ニーダー、バンバリーなどの密閉混合機
などを用いて各種配合剤を混練添加することによって得
られる。加硫時の温度や加硫時間は適宜設定することが
でき、例えば、加硫温度は130℃〜220℃の範囲で
ある。
【0037】
【実施例】以下に実施例により本発明を詳しく説明する
が、本発明は下記の実施例により限定されるものではな
い。以下の説明において特に断りのない限り、部及び%
は質量基準であらわす。
【0038】実施例1〜10 クロロプレンゴムとして電気化学工業社製M−30を用
い、容量2LのSUS304製耐圧反応器の中に、トル
エン1200gとクロロプレンゴム50gを入れ、上蓋
を締めた後、室温下、窒素ガスを通気した状態で攪拌、
溶解し、クロロプレン重合体溶液を作製した。一方、窒
素雰囲気のグローブボックス中で容量500mLのビー
カーに、トルエン300gを入れ、水素化触媒としてウ
ィルキンソン錯体RhCl(P(C6533(以下、
Rh錯体と略記する)を0.6g、配位子としてトリフ
ェニルホスフィンを3g加えた後に攪拌し、溶解した。
次に、グローブボックス中で容量500mLのSUS3
04製耐圧容器に移し替え、密栓した。前記した容積2
Lの耐圧反応器に、別に設置した水素ガス(水素ガス純
度99.99995%)ラインを連結し、その後、水素
化触媒と配位子を溶解した容量500mLの耐圧容器を
グローブボックスから取り出し、2L耐圧反応器に連結
した。また、耐圧容器の一端に水素ガスラインを連結し
た。バルブ操作により、2L反応器内を水素ガスで置換
した後、水素化触媒と配位子のトルエン溶液を、耐圧容
器から2L反応器へ水素ガスで圧入した。反応器内の内
容物を攪拌、溶解した(攪拌翼アンカー翼、回転数12
0rpm、室温、10分間)。次に、反応器内に水素ガ
スを導入して反応器内圧力を5.0MPaとし、反応器
外側のジャケットを80±1℃に維持した。その後、反
応器内の水素ガス圧力と温度が上記条件となる様に24
時間保持した。所定時間経過後、反応液を冷却し、ま
た、反応器内の水素ガスを開放し、内容液(以下、水素
化重合体溶液と言い換える)を取り出した。この水素化
重合体溶液に二倍量のメタノールを添加して水素化重合
体を析出させ、ベンゼンで溶解した後、凍結乾燥して水
素化クロロプレン系ゴムを得た。収量は46gであっ
た。同様に、これら一連の操作を25回繰り返し、合計
約1100gの水素化クロロプレン系ゴムを得た。
【0039】水素化クロロプレン系ゴムの水素化率の測
定は、以下の手順で実施した。前記の凍結乾燥して得ら
れた水素化クロロプレン系ゴムの一部を重クロロホルム
に溶解し(濃度5質量%)、日本電子(株)製JNM−
GSX−400を用いて温度30℃の条件で1H核磁気
共鳴スペクトルを測定した。C=Cに結合したプロトン
のシグナルとメチレン鎖のシグナルの強度から、水素化
率を算出した。測定結果を表2に示す。
【0040】水素化クロロプレンゴムのガラス転移温度
Tgは、セイコーインスツルメンツ(株)製示差走査熱
量計DSC−200を用い、窒素雰囲気中、以下の温度
プログラムを選定して測定した。ゴムサンプルを室温で
1時間放置後、3℃/分の冷却速度で−110℃まで冷
却し、2分間保持した。次に、−110℃から160℃
まで10℃/分の一定加熱速度で加熱し、この過程でガ
ラス転移温度を測定した。なお、本発明で言うガラス転
移温度とは、低温側のベースラインを高温側に延長した
直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線に勾配が最
大になる点で引いた接線との交点の温度、すなわち、補
外ガラス転移開始温度を指す。測定結果を表2に示す。
【0041】表3、表4に示す配合処方により、4イン
チロールを用いて配合し、水素化クロロプレン系ゴム組
成物を得た。油圧プレスを用いて150℃で15分間加
硫し、加硫シートを得た。この加硫物の物性測定結果を
表5、表6に示した。引張強度、破断伸びの力学的特性
はJIS K6251に、硬さ(タイプA)はK625
3に、耐オゾン性はK6259に、ゲーマン捻り試験測
定はK6261に準拠した。
【0042】実施例11 2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体(クロロプレン
単量体)と1−クロロ−1,3−ブタジエン単量体から
なる共重合体を以下の方法で作製した。内容積5リット
ルのガラス製反応器を用い、表1に示す組成割合で乳化
液とした後、過硫酸カリウムを開始剤として、窒素雰囲
気下40℃で重合を行った。単量体転化率が70%に達
した時点で、重合禁止剤としてフェノチアジンの乳濁液
を加えて重合を停止させた。次に、ロータリーエバポレ
ータを用いて未反応の単量体を除去し、CRラテックス
を得た。5%酢酸水溶液を添加してpHを7.0に合わ
せた後凍結ドラムで凝固し、水洗、乾燥を行い、クロロ
プレン共重合体(ゴム)を得た。核磁気共鳴測定から求
めた共重合体中の1−クロロ−1,3−ブタジエンの結
合割合は0.15モル%であった。次に、実施例1〜3
と同様の手順で、水素化反応を70℃で48時間実施
し、最終的に水素化クロロプレン系ゴム220gを得
た。
【0043】実施例12 2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体(クロロプレン
単量体)と2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン単量
体からなる共重合体を表1に示す処方で、実施例4と同
様の手順に従い作製した。核磁気共鳴測定から求めた共
重合体中の2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエンの結
合割合は6.8モル%であった。次に、実施例4と同様
の手順に従って水素化反応を行い、最終的に水素化クロ
ロプレン系ゴム250gを得た。
【0044】比較例1 実施例1〜10で用いたクロロプレンゴムM−30の物
性を測定した場合である。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】実施例と比較例との対比から、本発明によ
って得られる水素化クロロプレン系ゴム組成物は、優れ
た耐寒性、耐オゾン性を有することは明らかである。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、クロロプレン系重合体
中の炭素炭素二重結合の一部を単結合に変換させた水素
化クロロプレン系重合体と加硫剤を含有したゴム組成物
を得ることができ、良好なゴム弾性体を得ることができ
る。こうして得られた水素化クロロプレン系ゴム組成物
は優れた耐寒性と耐オゾン性を有し、また水素化クロロ
プレン系重合体の分子構造上、耐候性、耐熱性などの優
れた特性も期待できるゴム組成物である。従って、実用
上、工業上の有用性が期待できる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AC091 AC121 BL012 DA047 DE076 DE086 DE106 DE116 DE136 DE156 DE286 EA047 EG036 EG046 EH077 EH147 EK016 EK026 EK036 EK046 EK056 EK086 EL067 EL107 EP017 EU026 EU047 EU186 EU197 EV026 EV167 EZ007 FD020 FD030 FD146 FD152 FD157 GJ01 GN01 4J100 AB02Q AJ02Q AL03Q AL08Q AM02Q AM43Q AM47Q AM48Q AS02Q AS03Q AS06Q AS07P BA30Q BA31Q BA40Q BB01Q BB03Q BB07Q BC04Q BC43Q CA01 CA04 CA31 DA25 HA03 HB02 HC83 HE32 JA03 JA29

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2−クロロ−1,3−ブタジエン単量体
    及び、必要に応じてそれと共重合可能な単量体とを重合
    してなるクロロプレン系重合体に水素を導入し、該重合
    体中に存在する炭素炭素二重結合の一部分が単結合に変
    換された重合体に、加硫剤を含有してなることを特徴と
    する水素化クロロプレン系ゴム組成物。
  2. 【請求項2】 加硫剤が有機過酸化物またはトリアジン
    化合物であることを特徴とする請求項1記載の水素化ク
    ロロプレン系ゴム組成物。
  3. 【請求項3】 更に加硫助剤として共架橋剤を含有する
    ことを特徴とする請求項2記載の水素化クロロプレン系
    ゴム組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013136795A (ja) * 2013-04-12 2013-07-11 Denki Kagaku Kogyo Kk クロロプレンゴムの製造方法
CN113980373A (zh) * 2021-12-17 2022-01-28 合肥汇东橡塑有限公司 一种环保、阻燃橡塑材料及其制备方法
JP7438226B2 (ja) 2019-08-23 2024-02-26 デンカ株式会社 ゴム組成物、加硫物及び加硫成形体

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